説明

NK−1受容体アンタゴニストおよびSSRIを含む、耳鳴、聴力障害または耳鳴と聴力障害の治療用組成物

耳鳴、聴力障害または耳鳴りおよび聴力障害の治療薬の製造における、選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)と組み合わせたNK1受容体アンタゴニストの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耳鳴および/または聴力障害の治療におけるNK1受容体アンタゴニスト単独での、または選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)と組み合わせた新しい使用に関する。
【背景技術】
【0002】
サブスタンスPは、神経伝達物質および神経調節物質として機能する短鎖ポリペプチドである。それは、タキキニン神経ペプチドファミリーに属する。中枢神経系で、サブスタンスPは、感情障害、不安、ストレス、増強、神経形成、呼吸律動、神経毒性、悪心/嘔吐および疼痛の調節と関連付けられている。サブスタンスPの内因性受容体は、ニューロキニン1受容体(NK1受容体)である。急性および遅延型の化学療法誘発性の悪心嘔吐の予防、ならびに手術後の悪心嘔吐の予防で使用するために市販されているアプレピタント(Emend(商標))を含め、多くのNK1受容体アンタゴニストが公知である。NK1受容体アンタゴニストの他の可能性のある用途には、不安およびうつ病、疼痛、炎症性疾患、過敏性膀胱、アレルギー性障害、CNS障害、皮膚障害、咳ならびに胃腸障害の治療が含まれる。
【0003】
選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)は、うつ病、不安および恐慌性障害、ならびに人格異常の治療で用いられる抗抑うつ剤のクラスである。それらはシナプス前裂への神経伝達物質セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン)の再取込みの阻害を通して作用し、シナプス間隙内のセロトニンレベルを増加させる。シタロプラム、パロキセチン、セルトラリン、フルオキセチンおよびフルボキサミンを含む、いくつかの市販SSRI剤がある。
【0004】
米国特許第6117855号は、うつ病および/または不安の治療または予防のための医薬品の製造のために、抗抑うつ剤または抗不安薬と一緒に用いるCNS浸透剤NK1受容体アンタゴニストの使用を記載する。
【0005】
国際公開2004/091624(Glaxo Group社)は、パロキセチンまたは生理的に許容されるその塩もしくは溶媒和物と、2−(S)−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミドまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物とを含む治療的な組合せ、前記組合せを含む医薬組成物、ならびにうつ病および/または不安の治療のためのそれらの使用に関する。
【0006】
国際公開2004/004122(Glaxo Group社)は、パロキセチンまたは生理的に許容されるその塩もしくは溶媒和物と、4−(S)−(4−アセチルピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物とを含む治療的な組合せ、前記組合せを含む医薬組成物、ならびにうつ病および/または不安の治療のためのそれらの使用に関する。
【0007】
国際公開2004/091615(Glaxo Group社)は、パロキセチンまたは生理的に許容されるその塩もしくは溶媒和物と、2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4−(S)−((8aS)−6−オキソ−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]−ピラジン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物とを含む治療的な組合せ、前記組合せを含む医薬組成物、ならびにうつ病および/または不安の治療のためのそれらの使用に関する。
【0008】
耳鳴りとも呼ばれる耳鳴は、「その所有者の頭で非自発的に起こる音の意識的な発現」と定義されている。この症状は一般集団の約10〜15%で起こり、0.5〜1%では重度の障害レベルに到達する。耳鳴は、複数の病因による症状である。それは感音性聴力損失と通常関連するが、聴覚路内の多くのイグニションポイントで起こり得る。耳鳴は、内部生成の音の経験として、そのピッチ、音の大きさ、音色および関連する窮迫で特徴付けることができる。厄介な耳鳴を有する対象の約40%は、大多数の個体には煩わしくない日常生活音に対しても、聴覚過敏、厄介な敏感性および窮迫を起こす。
【0009】
現在の治療はカウンセリングに基づく療法を利用し、その効力は比較試験を用いて判定するのが困難である。耳鳴生成機構にかかわる不確実性は、有効な治療の考案を困難にする。最も一貫しているが一時的な薬理効果がリドカインの静脈内注入によって生成され、最高60%の対象が耳鳴の部分的または完全な阻止で応答する。ベンゾジアゼピン、GABA作動薬または三環系抗うつ薬を長期投与した場合に、ある程度の改善の証拠が報告される。SSRIで8〜12週間治療した後にささやかな効果が報告されており、これには高用量パロキセチン(最高50mg/日)が含まれる。しかし、聴力障害と関連する耳鳴は、療法に関する限り、重要な必要が満たされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6117855号
【特許文献2】国際公開2004/091624
【特許文献3】国際公開2004/004122
【特許文献4】国際公開2004/091615
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
聴力障害および聴覚処理の問題はいかなる年齢でも起こり得るが、特に成人または高齢者で起こる。Royal National Institute for Deaf People(RNID)によると、英国には難聴または耳が遠い者が約9,000,000人いる。彼らのほとんどは、年齢の上昇に従い徐々に聴力を失った(老人性難聴)。60歳を超える者の半分を超える人々は、耳が遠いか難聴である。成人の聴力障害の最も一般的な原因の1つは、音響性外傷に関連する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明が提供する解決策は、耳鳴および/または聴力障害の治療のための、NK1受容体アンタゴニストの単独での使用、または選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)と組み合わせた使用である。
【0013】
したがって、第一の態様では、本発明は、耳鳴の治療のための医薬品の製造における、NK1受容体アンタゴニストの単独での使用、または選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)と組み合わせた使用を提供する。
【0014】
さらなる態様では、本発明は、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療のための医薬品の製造における、NK1受容体アンタゴニストの単独での使用、または選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)と組み合わせた使用を提供する。
【0015】
さらなる態様では、本発明は、耳鳴、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療のための医薬品の製造における、選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)と組み合わせたNK1受容体アンタゴニストの使用を提供する。
【0016】
別の態様では、本発明は、耳鳴を起こしている対象を治療する方法であって、前記対象にNK1受容体アンタゴニスト単独の、または選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)と組み合わせたものの有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0017】
別の態様では、本発明は、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害を起こしている対象を治療する方法であって、前記対象にNK1受容体アンタゴニスト単独の、または選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)と組み合わせたものの有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0018】
別の態様では、本発明は、耳鳴、聴覚障害または耳鳴および聴覚障害を起こしている対象を治療する方法であって、前記対象に選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)と組み合わせたNK1受容体アンタゴニストの有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0019】
別の態様では、本発明は、耳鳴の治療で使用するための、NK1受容体アンタゴニスト単独、または選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)と組み合わせたものを提供する。
【0020】
別の態様では、本発明は、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療で使用するための、NK1受容体アンタゴニスト単独、または選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)と組み合わせたものを提供する。
【0021】
別の態様では、本発明は、耳鳴、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療で使用するための、選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)と組み合わせたNK1受容体アンタゴニストを提供する。
【0022】
別の態様では、本発明は、耳鳴の治療で使用するための、NK1受容体アンタゴニスト単独、または選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)と組み合わせたものを含む医薬組成物を提供する。
【0023】
別の態様では、本発明は、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療で使用するための、NK1受容体アンタゴニスト単独、または選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)と組み合わせたものを含む医薬製剤を提供する。
【0024】
別の態様では、本発明は、耳鳴、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療で使用するための、選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)と組み合わせたNK1受容体アンタゴニストを含む医薬製剤を提供する。
【0025】
さらなる態様では、本発明で用いるためのNK1受容体アンタゴニストには、その開示が参照により本明細書に組み込まれている以下の特許明細書に一般的に、および具体的に開示されているものが含まれる。
米国特許明細書第4839465号、同第5338845号、同第5594022号、同第6169097号、同第6197772号、同第6222038号、同第6204265号、同第6329392号、同第6316445号、同第2001039286号、同第2001034343号、同第2001029297号、同第2002193402号、同第2002147212号、同第2002147207号、同第2002143003号および同第2002022624号;ならびに欧州特許明細書第284942号、同第327009号、同第333174号、同第336230号、同第360390号、同第394989号、同第428434号、同第429366号、同第436334号、同第443132号、同第446706号、同第482539号、同第484719号、同第499313号、同第512901号、同第512902号、同第514273号、同第514275号、同第517589号、同第520555号、同第522808号、同第525360号、同第528495号、同第532456号、同第533280号、同第577394号、同第591040号、同第615751号、同第684257号、同第1176144号、同第1110958号、同第1176144号、同第1172106号、同第1103545号、および同第1256578号;ならびに国際特許公開第90/05525号、同第90/05729号、同第91/02745号、同第91/12266号、同第91/18016号、同第91/18899号、同第92/01688号、同第92/06079号、同第92/15585号、同第92/17449号、同第92/20676号、同第92/21677号、同第92/22569号、同第93/00331号、同第93/01159号、同第93/01160号、同第93/01165号、同第93/01169号、同第93/01170号、同第94/01402号、同第94/26735号、同第95/06645号、同第95/08549号、同第95/14017号、同第95/16679号、同第95/18124号、同第95/23798号、同第95/28389号、同第95/33744号、同第96/05181号、同第96/18643号、同第96/21661号、同第96/29326号、同第96/32386号、同第96/34857号、同第96/37489号、同第97/02824号、同第97/05110号、同第97/08166号、同第97/13514号、同第97/14671号、同第97/16440号、同第97/17362号、同第97/19074号、同第97/19084号、同第97/19942号、同第97/21702号、同第97/22597号、同第97/22604号、同第97/23455号、同第97/24324号、同第97/24350号、同第97/25322号、同第97/25988号、同第97/27185号、同第97/30989号、同第97/30990号、同第97/30991号、同第97/32865号、同第97/38692号、同第97/44035号、同第97/49393号、同第97/49710号、同第98/02158号、同第98/04561号、同第98/07694号、同第98/07722号、同第98/08826号、同第98/13369号、同第98/17276号、同第98/18761号、同第98/18785号、同第98/18788号、同第98/20010号、同第98/24438号、同第98/24439号、同第98/24440号、同第98/24441号、同第98/24442号、同第98/24442号、同第98/24443号、同第98/24444号、同第98/24445号、同第98/24446号、同第98/24447号、同第98/28297号、同第98/43639号、同第98/45262号、同第98/49170号、同第98/54187号、同第98/57954号、同第98/57972号、同第99/00388号、同第99/01444号、同第99/01451号、同第99/07677号、同第99/07681号、同第99/09987号、同第99/21823号、同第99/24423号、同第99/25364号、同第99/26924号、同第99/27938号、同第99/36424号、同第99/52903号、同第99/59583号、同第99/59972号、同第99/62893号、同第99/62900号、同第99/64000号、同第00/02859号、同第00/06544号、同第00/06571号、同第00/06572号、同第00/06578号、同第00/06580号、同第00/15621号、同第00/20003号、同第00/21512号、同第00/21564号、同第00/23061号、同第00/23062号、同第00/23066号、同第00/23072号、同第00/20389号、同第00/25745号、同第00/26214号、同第00/26215号、同第00/34243号、同第00/34274号、同第00/39114号、同第00/47562号、同第01/77069号、同第01/25233号、同第01/30348号、同第01/87866号、同第01/94346号、同第01/90083号、同第01/87838号、同第01/85732号、同第01/77100号、同第01/77089号、同第01/77069号、同第01/46176号、同第01/46167号、同第01/44200号、同第01/32625号、同第01/29027号、同第01/25219号、同第02/32865号、同第02/00631号、同第02/81461号、同第02/92604号、同第02/38575号、同第02/57250号、同第02/22574号、同第02/74771号、同第02/26710号、同第02/28853号、同第02/102372号、同第02/85458号、同第02/81457号、同第02/74771号、同第02/62784号、同第02/60898号、同第02/60875号、同第02/51848号、同第02/51807号、同第02/42280号、同第02/34699号、同第02/32867号、同第02/32866号、同第02/26724号、同第02/24673号、同第02/24629号、同第02/18346号、同第02/16344号、同第02/16343号、同第02/16324号、同第02/12168号、同第02/08232号および同第02/06236号;ならびに英国特許明細書第2216529号、同第2266529号、同第2268931号、同第2269170号、同第2269590号、同第2271774号、同第2292144号、同第2293168号、同第2293169号および同第2302689号;ならびに日本国特許明細書第6040995号。
【0026】
さらなる態様では、本発明で用いるためのNK1受容体アンタゴニストは、アプレピタント(Emend(商標))、ネツピタント(R−1124)、フォサプレピタント(MK−0517)、SSR−240600、シゾリルチン、AV 608、TA−5538、E 6039およびベシル酸ノルピタンチウム(SR 140333)からなる群から選択される。
【0027】
さらなる態様では、本発明で用いるためのNK1受容体アンタゴニストは、式(I):
【0028】
【化1】

[式中:
Rは、ハロゲン原子またはC1〜4アルキル基を表し;
R1は、水素またはC1〜4アルキル基を表し;
R2は、水素、C1〜4アルキル、C2〜6アルケニルまたはC3〜7シクロアルキル基を表し;あるいはR1およびR2は、それらがそれぞれ結合する窒素および炭素原子と一緒に5〜6員複素環基を表し;
R3は、トリフルオロメチル、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、トリフルオロメトキシまたはハロゲン基を表し;
R4は、水素、(CHR7または(CHCO(CHR7基を表し;
R5は、水素、C1〜4アルキルまたはCOR6基を表し;
R6は、水素、ヒドロキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、酸素、硫黄および窒素から選択される1から3個のヘテロ原子を含む5員ヘテロアリール基、または1から3個の窒素原子を含む6員ヘテロアリール基を表し;
R7は、水素、ヒドロキシまたはNR8R9を表し、ここで、R8およびR9は、独立して水素または、ヒドロキシもしくはアミノによって適宜置換されるC1〜4アルキルを表し;
R10は、水素、C1〜4アルキル基を表し、または、
R10はR2と一緒にC3〜7シクロアルキル基を表し;
mは、ゼロまたは1から3の整数であり;nは、ゼロまたは1から3の整数であり;pおよびrは、独立してゼロまたは1から4の整数であり;qは、1から4の整数であり;但し、R1およびR2が、それらがそれぞれ結合する窒素および炭素原子と一緒に5〜6員複素環基を表す場合、i)mは1または2であって;ii)mが1の時、Rはフッ素ではなく、iii)mが2の時、2つの置換基Rが両方ともにフッ素であることはない]
で示される化合物、あるいはその薬学的に許容される塩または溶媒和物である。
【0029】
式(I)の化合物ならびに薬学的に許容されるその塩および溶媒和物は、2001年4月12日に公開された国際公開01/25219に記載されている。この参考文献の開示は、本明細書に完全に組み込まれる。式(I)の化合物ならびに薬学的に許容されるその塩および溶媒和物は、国際公開01/25219に記載の任意の方法によって調製することができる。
【0030】
さらなる態様では、本発明で用いるためのNK1受容体アンタゴニストは、式(II):
【0031】
【化2】

[式中:
Rは、ハロゲン原子またはC1〜4アルキル基を表し;
は、C1〜4アルキル基を表し;
は、水素またはC1〜4アルキル基を表し;
は、水素またはC1〜4アルキル基を表し;
は、トリフルオロメチル基を表し;
は、水素、C1〜4アルキル基またはC(O)Rを表し、
は、C1〜4アルキル、C3〜7シクロアルキル、NH(C1〜4アルキル)またはN(C1〜4アルキル)を表し;
mは、ゼロまたは1から3の整数であり;
nは、1から3の整数である]
で示される化合物、あるいはその薬学的に許容される塩および溶媒和物である。
【0032】
式(II)の化合物ならびに薬学的に許容されるその塩および溶媒和物は、2002年4月25日に公開された国際公開02/32867に記載されている。この参考文献の開示は、本明細書に完全に組み込まれる。式(II)の化合物ならびに薬学的に許容されるその塩および溶媒和物は、国際公開02/32867に記載の任意の方法によって調製することができる。
【0033】
さらなる態様では、本発明で用いるためのNK1受容体アンタゴニストは、式(III):
【0034】
【化3】


[式中:
Rは、ハロゲンまたはC1〜4アルキルを表し;
は、C1〜4アルキルを表し;
またはRは、独立して水素またはC1〜4アルキルを表し;
は、トリフルオロメチル、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、トリフルオロメトキシまたはハロゲンを表し;
は、水素、C1〜4アルキルまたはC3〜7シクロアルキルを表し;
は水素であり、Rは式(W):
【0035】
【化4】

の基であるか、あるいはRは式(W)の基であり、Rは水素であり;
Xは、CH、NRまたはOを表し;
Yは窒素を表し、ZはCHであり、あるいはYはCHを表し、Zは窒素であり;
AはC(O)またはS(O)を表すが、Yが窒素でありZがCHである場合、AはS(O)ではなく;
mは、ゼロまたは1から3の整数であり;
nは、1から3の整数であり;
pおよびqは、独立して1から2の整数である]
で示される化合物、あるいはその薬学的に許容される塩および溶媒和物である。
【0036】
式(III)の化合物ならびに薬学的に許容されるその塩および溶媒和物は、2003年8月14日に公開された国際公開03/066635に記載されている。この参考文献の開示は、本明細書に完全に組み込まれる。式(III)の化合物ならびに薬学的に許容されるその塩および溶媒和物は、国際公開03/066635に記載の任意の方法によって調製することができる。
【0037】
さらなる態様では、本発明で用いるためのNK1受容体アンタゴニストは、2−(S)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、および2−(R)−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−(S)−((8aS)−6−オキソ−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]−ピラジン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物からなる群から選択される。
【0038】
本明細書で先に言及した薬学的に許容される塩および溶媒和物には、薬学的に許容される有機もしくは無機の酸と形成された酸付加塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、アルキル−もしくはアリールスルホン酸塩(例えばメタンスルホン酸塩またはp−トルエンスルホン酸塩)、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩およびマレイン酸塩が含まれる。
【0039】
溶媒和物は、例えば、水和物であることができる。
【0040】
本発明のさらなる態様では、SSRIは、参照により本明細書に組み込まれているWongら、Neuropsychopharmacology 8、337〜344(1993)に提示されている標準の薬理学的アッセイを用いて判定される、選択的セロトニン再取込み阻害薬として機能する化合物である。多くの化合物がそのような活性を有し、間違いなくより多くのものが将来同定される。本発明の実施では、上記Wongによって記載されているプロトコルにおいて、約1000nM以下の50%有効濃度を示す再取込み阻害薬を含むものとする。
【0041】
本発明のさらなる態様では、本発明の選択的セロトニン再取込み阻害薬には、それらに限定されないが以下のものが含まれる。
【0042】
フルオキセチン、N−メチル−3−(p−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−フェニルプロピルアミン、本剤は塩酸塩の形で、およびその2つの鏡像異性体のラセミ混合物として市販される。米国特許第4,314,081号は、この化合物に対する初期の参照を提供する。Robertsonら、J.Med.Chem.31、1412(1988)は、フルオキセチンのRおよびS鏡像異性体の分離を教示し、セロトニン吸収阻害剤としてのそれらの活性が互いに類似していることを示した。本文書では、用語「フルオキセチン」は、任意の酸付加塩または遊離の塩基を意味し、ラセミ混合物またはRおよびS鏡像異性体のいずれかを含む。
【0043】
シタロプラム、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−1−(4-フルオロフェニル)−1,3−ジヒドロ−5−イソベンゾフラン−アクスカルボニトリル(aqscarbonitrile)、本剤はセロトニン再取込み阻害薬として米国特許第4,136、193号に開示されている。その薬理は、Christensenら、Eur.J.Pharmacol.41、153(1977)に開示され、うつ病におけるその臨床上の有効性の報告は、Dufourら、Int.Clin.Psychopharmacol.2、225(1987)、およびTimmermanら、同上、239で見ることができる。
【0044】
フルボキサミン、5−メトキシ−1−[4−(トリフルオロメチル)−フェニル]−1−ペンタノン−O−(2−アミノエチル)−オキシム、本薬剤は米国特許第4,085,225号に教示されている。本薬剤についての学術記事は、Claassenら、Brit.J.Pharmacol.60、505(1977);およびDe Wildeら、J.Affective Disord.4、249(1982);およびBenfieldら、Drugs 32、313(1986)に発表されている。
【0045】
パロキセチン、トランス−(−)−3−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルオキシ)メチル]−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン、本薬剤は米国特許第3,912,743号および第4,007,196号で見ることができる。本薬剤の活性の報告は、Lassen、Eur.J.Pharmacol.47、351(1978);Hassanら、Brit.J.Clin.Pharmacol.19、705(1985);Laursenら、Acta Psychiat.Scand.71、249(1985);およびBattegayら、Neuropsychobiology 13、31(1985)にある。本明細書で用いる用語「パロキセチン」は、生理的に許容される任意のその塩または溶媒和物を含む。詳細には、パロキセチンの生理的に許容される塩または溶媒和物には、それらに限定されないが、塩酸パロキセチン、塩酸パロキセチン半水塩、塩酸パロキセチン無水物、パロキセチンメシレートおよびそれらの全ての多型形態が含まれる。
【0046】
セルトラリン、(1S−シス)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−N−メチル−1−ナフチルアミン塩酸塩は、抗抑うつ剤として市販されているセロトニン再取込み阻害薬である。それは、米国特許第4,536,518号に開示されている。
【0047】
本発明で用いる化合物に関連して上で指摘した米国特許の全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
さらなる態様では、本発明に用いるSSRIはパロキセチンである。
【0049】
さらなる態様では、本発明は、耳鳴の治療薬の製造における、2−(S)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物の単独での使用、またはパロキセチンと組み合わせた使用を提供する。
【0050】
さらなる態様では、本発明は、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療薬の製造における、2−(S)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物の単独での使用、またはパロキセチンと組み合わせた使用を提供する。
【0051】
さらなる態様では、本発明は、耳鳴、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療薬の製造における、パロキセチンと組み合わせた2−(S)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0052】
さらなる態様では、本発明は、耳鳴、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療薬の製造における、パロキセチンと組み合わせた2−(S)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミドメタンスルホン酸塩またはその溶媒和物の使用を提供する。
【0053】
さらなる態様では、本発明は、耳鳴、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療薬の製造における、パロキセチンと組み合わせたベスチピタントの使用を提供する。
【0054】
さらなる態様では、本発明は、耳鳴の対象を治療する方法であって、前記対象に、2−(S)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物単独、またはパロキセチンと組み合わせたものの有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0055】
さらなる態様では、本発明は、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の対象を治療する方法であって、前記対象に、2−(S)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物単独、またはパロキセチンと組み合わせたものの有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0056】
さらなる態様では、本発明は、耳鳴、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の対象を治療する方法であって、前記対象に、パロキセチンと組み合わせた2−(S)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0057】
別の態様では、本発明は、耳鳴の治療で使用するための、2−(S)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物単独、またはパロキセチンと組み合わせたものを提供する。
【0058】
別の態様では、本発明は、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療で使用するための、2−(S)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物単独、またはパロキセチンと組み合わせたものを提供する。
【0059】
別の態様では、本発明は、耳鳴、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療で使用するための、パロキセチンと組み合わせた2−(S)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0060】
別の態様では、本発明は、耳鳴の治療で使用するための、2−(S)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物単独、またはパロキセチンと組み合わせたものを含む医薬組成物を提供する。
【0061】
別の態様では、本発明は、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療で使用するための、2−(S)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物単独、またはパロキセチンと組み合わせたものを含む医薬製剤を提供する。
【0062】
別の態様では、本発明は、耳鳴、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療で使用するための、パロキセチンと組み合わせた2−(S)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物を含む医薬製剤を提供する。
【0063】
さらなる態様では、本発明は、耳鳴の治療薬の製造における、4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物の単独での使用、またはパロキセチンと組み合わせた使用を提供する。
【0064】
さらなる態様では、本発明は、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療薬の製造における、4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物の単独での使用、またはパロキセチンと組み合わせた使用を提供する。
【0065】
さらなる態様では、本発明は、耳鳴、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療薬の製造における、パロキセチンと組み合わせた4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0066】
さらなる態様では、本発明は、耳鳴、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療薬の製造における、パロキセチンと組み合わせたカソピタントの使用を提供する。
【0067】
さらなる態様では、本発明は、耳鳴の対象を治療する方法であって、前記対象に、4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物単独、またはパロキセチンと組み合わせたものの有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0068】
さらなる態様では、本発明は、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の対象を治療する方法であって、前記対象に、4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物単独、またはパロキセチンと組み合わせたものの有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0069】
さらなる態様では、本発明は、耳鳴、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の対象を治療する方法であって、前記対象に、パロキセチンと組み合わせた4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0070】
別の態様では、本発明は、耳鳴の治療で使用するための、4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物単独、またはパロキセチンと組み合わせたものを提供する。
【0071】
別の態様では、本発明は、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療で使用するための、4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物単独、またはパロキセチンと組み合わせたものを提供する。
【0072】
別の態様では、本発明は、耳鳴、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療で使用するための、パロキセチンと組み合わせた4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0073】
別の態様では、本発明は、耳鳴の治療で使用するための、4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物単独、またはパロキセチンと組み合わせたものを含む医薬組成物を提供する。
【0074】
別の態様では、本発明は、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療で使用するための、4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物単独、またはパロキセチンと組み合わせたものを含む医薬製剤を提供する。
【0075】
別の態様では、本発明は、耳鳴、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療で使用するための、パロキセチンと組み合わせた4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物を含む医薬製剤を提供する。
【0076】
さらなる態様では、本発明は、耳鳴の治療薬の製造における、2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4−(S)−((8aS)−6−オキソ−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]−ピラジン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物の単独での使用、またはパロキセチンと組み合わせた使用を提供する。
【0077】
さらなる態様では、本発明は、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療薬の製造における、2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4−(S)−((8aS)−6−オキソ−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]−ピラジン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物の単独での使用、またはパロキセチンと組み合わせた使用を提供する。
【0078】
さらなる態様では、本発明は、耳鳴、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療薬の製造における、パロキセチンと組み合わせた2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4−(S)−((8aS)−6−オキソ−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]−ピラジン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0079】
さらなる態様では、本発明は、耳鳴、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療薬の製造における、パロキセチンと組み合わせたオルベピタントの使用を提供する。
【0080】
さらなる態様では、本発明は、耳鳴の対象を治療する方法であって、前記対象に、2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4−(S)−((8aS)−6−オキソ−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]−ピラジン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物単独、またはパロキセチンと組み合わせたものの有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0081】
さらなる態様では、本発明は、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の対象を治療する方法であって、前記対象に、2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4−(S)−((8aS)−6−オキソ−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]−ピラジン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物単独、またはパロキセチンと組み合わせたものの有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0082】
さらなる態様では、本発明は、耳鳴、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の対象を治療する方法であって、前記対象に、パロキセチンと組み合わせた2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4−(S)−((8aS)−6−オキソ−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]−ピラジン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0083】
別の態様では、本発明は、耳鳴の治療で使用するための、2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4−(S)−((8aS)−6−オキソ−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]−ピラジン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物単独、またはパロキセチンと組み合わせたものを提供する。
【0084】
別の態様では、本発明は、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療で使用するための、2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4−(S)−((8aS)−6−オキソ−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]−ピラジン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物単独、またはパロキセチンと組み合わせたものを提供する。
【0085】
別の態様では、本発明は、耳鳴、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療で使用するための、パロキセチンと組み合わせた2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4−(S)−((8aS)−6−オキソ−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]−ピラジン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0086】
別の態様では、本発明は、耳鳴の治療で使用するための、2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4−(S)−((8aS)−6−オキソ−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]−ピラジン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物単独、またはパロキセチンと組み合わせたものを含む医薬組成物を提供する。
【0087】
別の態様では、本発明は、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療で使用するための、2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4−(S)−((8aS)−6−オキソ−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]−ピラジン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物単独、またはパロキセチンと組み合わせたものを含む医薬製剤を提供する。
【0088】
別の態様では、本発明は、耳鳴、聴覚障害、または耳鳴および聴覚障害の治療で使用するための、パロキセチンと組み合わせた2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4−(S)−((8aS)−6−オキソ−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]−ピラジン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物を含む医薬製剤を提供する。
【0089】
本発明の補助療法は、NK1受容体アンタゴニストをSSRIと一緒に、体内でのそれら化合物の有効レベルを同時に提供する任意の方法で投与することによって実施される。その組合せの化合物を、同じか別々の剤形で同時に、または逐次的に投与することができることは理解されよう。その組合せの化合物、または生理的に許容されるその塩もしくは溶媒和物は、同時に提供されるか逐次的に提供されるかにかかわらず、個々に、または多重的に、またはそれらの任意の組合せで投与することができることも理解されよう。
【0090】
本発明による組合せにおけるSSRIに対するNK1受容体アンタゴニストの比は、例えば、1:15から10:1(遊離塩基の重量によって測定)であることができる。別の態様では、その比は1:4から4:1(遊離塩基の重量によって測定)であることができる。さらなる態様では、その比は1:4から1:1(遊離塩基の重量によって測定)であることができる。
【0091】
耳鳴の治療法として有効であるために必要とされる本発明による組合せの量は、当然異なることができ、究極的には医師の裁量内にある。考慮因子には、投与経路および製剤の性質、対象哺乳動物の体重、年齢および一般状態、ならびに治療する状態の性質および重症度が含まれる。
【0092】
特に明記しない限り、有効成分の全ての重量は、薬剤自体に換算して計算される。好ましくは所望の用量は、1日を通して適当な間隔で投与される1、2、3、4、5、6個またはそれ以上の分割用量で提供することができる。
【0093】
組合せの有効成分を未加工の化学物質として投与することが可能であるが、それらを医薬製剤として提供することが好ましい。本発明による医薬製剤は、本発明による組合せを、1つまたは複数の薬学的に許容される担体または賦形剤、および所望により他の治療剤と一緒に含む。担体(複数可)はその処方の他の成分と適合するという意味において許容されるものでなければならず、そのレシピエントに有害であってはならない。組合せの個々の成分が別々に投与される場合、一般にそれらは、それぞれ医薬製剤として提供される。製剤への以下の言及は、特に明記しない限り、組合せかその成分を含む製剤を指す。
【0094】
耳鳴の治療で用いるNK1受容体アンタゴニストおよびSSRIの組合せは、単一剤形の医薬製剤として都合よく提供することができる。したがって、両化合物を組み込む医薬製剤は、本発明の重要な実施形態である。そのような製剤は、薬学的に許容される、例えば経口的に使える医薬製剤である、任意の物理的形態をとることができる。そのような補助的医薬製剤は各化合物の有効量を含み、その有効量は投与する化合物の日用量に関係する。各補助的投薬単位は全ての化合物の日用量を含むことができ、または、日用量の一部分、例えば用量の3分の1を含むことができる。あるいは各投薬単位は、化合物の1つの全体の用量および他の化合物の用量の一部分を含むことができる。このような場合、患者は組合せ投薬単位の1つ、および他の化合物だけを含む1つまたは複数の単位を毎日摂取する。各投薬単位に含まれる各薬剤の量は、療法のために選択される薬剤の素性によって決めることができる。
【0095】
本発明に用いるNK1受容体アンタゴニストおよびSSRIの製剤には、経口、直腸、経鼻、局所(経皮、口内および舌下を含む)、経膣、または非経口(皮下、筋肉内、静脈内および皮内を含む)投与に適するものが含まれる。製剤は単位剤形で都合よく提供することができ、また薬学の分野で公知である任意の方法で調製することができる。そのような方法は本発明のさらなる特徴を現し、有効成分を1つまたは複数の副成分を構成する担体と組み合わせる工程を含む。一般に、製剤は、有効成分を液状担体または微粉固体担体またはその両方と一様にかつ緊密に組み合わせ、次に、必要に応じて生成物を形づくることによって調製される。
【0096】
経口投与に適する本発明の製剤は、例えば各々有効成分の所定量を含んでいるカプセル、カプレット、カシェ剤もしくは錠剤などの別々の単位として;粉末もしくは顆粒剤として;水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として;または、水中油液体エマルジョンもしくは油中水液体エマルジョンとして提供することができる。有効成分はボーラス、舐剤またはペーストとして提供することもできる。
【0097】
錠剤は圧縮または成形により、所望により1つまたは複数の副成分と製造することができる。圧縮錠剤は、適する機械で粉体または顆粒のような易流動性の形態の有効成分を、所望により結合剤(例えばポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えばデンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム架橋ポビドン、架橋カルボキシルメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤を混ぜ合わせて圧縮することにより、調製することができる。成形錠剤は、不活性の液状希釈剤で湿らせた粉末状化合物の混合物を、適する機械で成形することによって作ることができる。錠剤は、所望によりコーティングするか切れ目を入れることができ、また、所望の放出プロフィールを提供するために例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースを様々な割合で使用して、錠剤中の有効成分の緩徐放出または制御放出を提供するように製剤化することができる。錠剤は、胃以外の腸管の部分で放出を提供するために、所望により腸溶コーティングで提供することができる。
【0098】
口内の局所投与に適する製剤には、有効成分を口当たりの良い基材、通常ショ糖およびアカシアまたはトラガカンタの中に含むロゼンジ;有効成分を不活性の基材、例えばゼラチンおよびグリセリン、またはショ糖およびアカシアの中に含むトローチ;ならびに有効成分を適する液状担体中に含むうがい薬が含まれる。直腸投与のための製剤は、例えばカカオバターまたはポリエチレングリコールを含む、適する基材を有する坐薬として提供することができる。
【0099】
局所投与は、経皮イオン泳動装置によってもよい。
【0100】
膣投与に適する製剤は、有効成分に加えて、適当であることが当技術分野で知られている担体などを含む錠剤、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡またはスプレー製剤として提供することができる。
【0101】
担体が固体である直腸投与に適する医薬製剤は、最も好ましくは単位用量坐薬として提供される。適する担体には、カカオバター、および当技術分野で通常用いられるその他の材料が含まれる。坐薬は、活性組合せと軟化または溶融させた担体との混和、続いて、型内での冷凍および成形によって都合よく形成することができる。
【0102】
非経口投与に適する製剤には、抗酸化剤、緩衝剤、保存剤、および製剤を予定レシピエントの血液と等張にする溶質を含むことができる水性および非水性の等張無菌注射液;ならびに懸濁化剤および増粘剤を含んでもよい水性および非水性の無菌懸濁液;ならびに化合物の標的を血液成分または1つもしくは複数の器官にするように設計されているリポソームまたは他の微粒子系が含まれる。製剤は、単位用量または複数用量の密封容器、例えばアンプルおよびバイアルで提供することができ、また、無菌の液状担体、例えば注射用水を使用直前に加えるだけでよい、フリーズドライ(凍結乾燥)された状態で保存することができる。即席の注射液および懸濁液は、前に記載した種類の無菌の粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。
【0103】
上で特記された成分に加えて、本発明の製剤は、当の製剤の種類を顧慮して当技術分野で慣用される他の剤を含むことができることを理解するべきであり、例えば、経口投与に適するものは、甘味剤、増粘剤および着香剤のようなさらなる剤を含むことができる。
【0104】
2つの有効成分を含む本発明の医薬製剤は、医薬品工業で公知である従来の技術によって調製することができる。したがって、例えばパロキセチンおよび2−(S)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミドまたは生理的に許容されるその塩もしくは溶媒和物は、各有効成分の製剤について別々に上で記載したものなどの、適する賦形剤と一緒に混和することができる。錠剤は、例えばそのような混合物の直接圧縮によって、または他の従来の方法を用いて調製することができる。二重層錠剤は、従来の手順によって調製することができる。したがって、例えば、2つの充填場所を有する好適な打錠機内で2つのブレンドは別々に圧縮される。カプセルは、適する充填機を用いて、適する賦形剤とともに混合物をゼラチンカプセルに充填することによって調製することができる。経口または直腸投与のための制御放出剤形は、制御放出剤形に関連する従来の方法で製剤化することができる。
【0105】
医薬製剤は、しばしば、単一のパッケージ、通常ブリスターパックに治療クール全体を含む、「患者パック」で患者に処方される。患者パックに含まれる、従来の処方では通常欠落している添付文書を患者が常に参照することができるという点で、患者パックは、薬剤師がバルク供給品から患者の薬剤供給品を分割する従来の処方に勝る利点を有する。添付文書の封入は、医師の指示に対する患者コンプライアンスを向上させ、したがって一般に、より高い成功率の治療に導くことが示された。
【0106】
本発明の正しい使用を患者に指示する添付文書をその中に含む、各製剤の単一の患者パック、または複数のパックによる本発明の組合せの投与が、本発明のさらなる望ましい特徴であることが理解されよう。
【0107】
本発明のさらなる態様に従い、NK1受容体アンタゴニストおよびSSRI、ならびに本発明の組合せの使用に関する指示を含む情報文書を含む多重の、例えば二重または三重のパックが提供される。
【0108】
実験データ
中間体1
(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−オキソ−酢酸メチルエステル
1)無水THF(6mL)中のマグネシウム粉(617mg)の懸濁液に、室温で、N2の下で、I2の小さな結晶を加え、続いて、無水THF(15mL)中の市販の2−ブロモ−5−フルオロトルエン(4.0g)の溶液の10%を加えた。褐色の色が消失するまで、懸濁液を穏やかに加熱した(ヒートガン)。反応混合液を油浴で保温しながら(50〜60℃)、残りの臭化物溶液を滴下により加えた。添加の終了後(15分間後)、マグネシウム粉がほとんど完全に反応するまで(2時間)、懸濁液を70℃で撹拌した。新しい褐色の溶液を、次の工程で用いた。
2)無水THF(50mL)中のLiBr(4.41g)の溶液を、無水THF(50mL)中のCuBr(3.64g)の懸濁液に滴下により加えた。反応混合液を、室温で1時間撹拌した(懸濁液中に少量の白色固体を含む濃緑色の溶液)。前に調製したグリニャール溶液を次に滴下により加え(温度を<25℃に維持するために氷浴を用いた)、続いてメチル塩化オキサリル(1.95mL)を加えた。反応混合液を室温で2時間撹拌した。THFを蒸発させ、残留物をAcOEtに取り込んだ。有機層を、飽和NH4Cl水(2×)で洗浄し、乾燥させた。固体をろ過して取り除き、溶媒を蒸発させて未精製の油を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(CH/AcOEt 95:5)によって精製して、透明な油(2.44g)の標記化合物を得た。
NMR(CDCl3):δ(ppm)7.74(m,1H)、6.98〜7.04(m,2H)、3.96(s,3H)、2.61(s,3H)。
【0109】
中間体2
3−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−5,6−ジヒドロ−1H−ピラジン−2−オン
トルエン(40mL)中の中間体1(2.01g)およびエチレンジアミン(684μL)の溶液に、室温で、N2の下で、無水のNa2SO4(2g)を加えた。反応混合物を、6時間還流下加熱した。それを次に室温に冷却させ、ろ過した。固体を、DCMで洗浄した。溶媒を蒸発させ、未精製の油をフラッシュクロマトグラフィー(AcOEt)によって精製して、白色固体(1.29g)の標記化合物を得た。
NMR(CDCl3):δ(ppm)7.33(m,1H)、6.95〜6.90(m,2H)、6.56(m,1H)、3.97(m,2H)、3.58(m,2H)、2.31(s,3H)。
【0110】
中間体2a
3−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−2−オン
メタノール(2400mL)中の中間体2(168g)の25℃の溶液に、窒素の下で、Pd/C 10%(44g)を加えた。反応混合液をH雰囲気下に置き、25℃で約16時間撹拌した(それ以上水素が消費されなくなるまで撹拌し、反応をTLC、EA/MeOH 9/1によって完了した)。触媒を窒素雰囲気下でろ過し、溶媒を低容量(360mL)まで除去し、次にメタノール(2040mL)および酢酸エチル(9600mL)を加え、シリカパッド(800g)を実施した。溶出した溶液を濃縮して、標記化合物(168g)を得た。
H−NMR(DMSO)δ(ppm)7.77(bm,1H);7.24(dd,1H);6.96(dd,1H);6.92(td,1H);4.43(s,1H);3.30(m,1H);3.14(m,1H);2.92(m,1H);2.82(m,2H);2.33(s,3H)。
【0111】
中間体3
(+)(S)−3−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−2−オン
方法A
AcOEt(900mL)中の中間体2(35g)の懸濁液に、L(+)−マンデル酸(27.3g)を加えた。懸濁液を室温で1時間、次に3〜5℃で2時間撹拌し、ろ過し、減圧下の室温で乾燥させて未精製のL(+)−マンデレート3−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−2−オン(37g)を得、それをAcOEt(370mL)に懸濁し、完全に可溶化するまで還流加熱し、次に室温に冷却し、さらなる2時間撹拌し、ろ過し、AcOEt(150mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させ、白色固体の(+)L−マンデレート3−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−5,6ピラジン−2−オン(30.4g)を得た。この物質(30.4g)をAcOEt(300mL)に懸濁し、NaClで飽和させたNaOH(0.73M、155mL)で処理した。次に、有機相を水(90mL)で洗浄した。水相を、AcOEt(90mL)で4回カウンター抽出した。合わせた有機相(1800mL)を10gのNa2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮し、白色の泡の標記化合物(25.04g)を得た。
【0112】
方法B
45℃に加温した酢酸エチル(2000mL)中の中間体2a(168g)の溶液に、L(+)−マンデル酸(116g)および3,5−ジクロロ−サリチルアルデヒド(10.8g)を加えた。溶液を45℃で30分間撹拌し、次にL(+)マンデレート−3−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−2−オンの白色結晶(0.4g)を播種した。得られた懸濁液を45℃の窒素雰囲気下で16時間撹拌し、次に0℃でさらなる4時間撹拌し、冷却した酢酸エチル(2×200ml)で洗浄し、次に室温の減圧下で2時間乾燥させて、白色/黄色がかった固体のL(+)マンデレート−3−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−2−オン(126.22g)を得、それをDCM(2760mL)に懸濁し、次に、塩水中のNaOH 0.8M(塩水530mLにNaOH 17.35g)を加えた。次に有機相を塩水(380mL)で洗浄し、水相をDCM(4×1500mL)で4回カウンター抽出した。合わせた有機相を乾燥させ、濃縮して標記化合物(60.35g)を得た。
H−NMR(DMSO)δ(ppm)7.77(bm,1H);7.24(dd,1H);6.96(dd,1H);6.92(td,1H);4.43(s,1H);3.30(m,1H);3.14(m,1H);2.92(m,1H);2.82(m,2H);2.33(s,3H)。
HPLC:DaicelからのChiralcel OJ(4.6×250mm);移動相:n−ヘキサン/エタノール80:20v/v;流速:1mL/分;検出器:UV@265nm(またはより高いシグナルでは210nm);溶解相:n−ヘキサン/エタノール80/20v/v;
試料濃度1mg/ml;注入量:5μL;保持時間:2:8.4分
[α](溶媒CHCl3、ソース:Na;セル容量[ml]:1;セルパス長[dm]:1;セル温度[℃]:20;波長[nm]:589;濃度試料[% p/v]:1.17)=+17.9。
【0113】
中間体4
(S)−3−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジンジヒドロクロリド
乾燥THF(180ml)中の中間体3(60.35g)の溶液に、0〜3℃で、Nの下で、BH−THF 1M/THF(1220mL)を滴下により加えた。溶液を4時間還流させ、次に0〜3℃に冷却し、メタノール(240mL)を加えた。反応混合液を室温に加温し、次にそれを濃縮して乾燥させた。残留物をメタノール(603.5mL)に再溶解させ、EtO(1207mL)中の過剰なHCl 1Nを加え、混合液を2時間還流させ、次に3℃で4時間冷却させた。懸濁液をろ過して白色の固体を得、それをEtO(60.35mL)で洗浄し、乾燥させて、標記化合物(72.02g)を得た。
H−NMR(DMSO)δ(ppm)11.0〜9.5(b,4H);7.99〜7.19(dd−m,3H);4.96(dd,1H);3.65〜3.15(m,6H);2.42(s,3H)。
【0114】
中間体5
(R)−3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミン
MeOH(1120mL)中の3,5−ビス−トリフルオロメチルアセトフェノン(300g)の溶液に、EtOH(372mL)中のメチルアミン溶液8Mを、Nの下で、25℃で15分間滴下により加えた。混合液を、Nの下で、25℃で24時間撹拌した。次に、NaBHを0℃で30分間かけて少量ずつ加えた(27.9g)。第二の量のNaBHを30分間かけて加え(17.1g)、混合液をさらに1.5時間撹拌した。
【0115】
減圧下で600mLの溶媒を蒸発させることによって混合物を濃縮し、次に、それを、AcOEt(1500mL)/飽和NHCl(750mL)および水(750mL)の混合液へ徐々に注いだ。水相を、AcOEt(1500mL)で逆抽出した。合わせた有機相を水/塩水(150mL/150mL)で洗浄し、次に蒸発させて黄色の油の3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミン(305g)を得た。
【0116】
EtOAc(2380mL)中の3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミン(245.6g)の溶液に、L(+)リンゴ酸を少量ずつ加えた(118g)。懸濁液を25℃で2時間、次に0℃で3時間撹拌した。懸濁液をろ過し、ケークをEtOAc(240mL)で洗浄した。固体を減圧下で乾燥させ、白色固体の未精製のL(+)マレート3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミン(135.3g)を得、それを酢酸エチル(1760mL)に懸濁し、次に完全に溶解するまで還流加熱し、次に25℃で冷却させた。懸濁液をろ過し、酢酸エチル(135mL)で洗浄し、次に乾燥させてL(+)マレート3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミン(128.5g)を得た。固体を、10容量%NaOH(720mL)および酢酸エチル(650mL)の混合液中で撹拌した。有機相を水(720mL)で洗浄し、次に濃縮して標記化合物(82.2g)を得た。
H−NMR(DMSO)δ(ppm)7.99(s,2H);7.85(s,1H);3.78(q,1H);2.34(s,1H);2.09(s,3H);1.23(d,3H)。
【実施例】
【0117】
実施例1
2−(S)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミドメタンスルホン酸
AcOEt(137.2L)中の中間体4(4.9Kg)の懸濁液に、トリエチルアミン(5.63L)を加えた。混合液を0℃に冷却させ、次に、温度を0から5℃の間に維持して、AcOEt(24.5L)中のジテルブチル(diterbuthyl)ジカーボネート(3.134Kg)の溶液を35分間で加えた。懸濁液を0℃で15分間、20/25℃で1時間撹拌し、次に水(3×39.2L)で洗浄し、24.5Lまで濃縮し、次に、0℃に冷却したAcOEt(24.5L)中のトリホスゲン(1.97Kg)の溶液に加えた。次に、0から8℃の温度を維持してトリエチルアミン(3.28L)を40分間で加えた。懸濁液を20/25℃で1時間および45分間、70℃で30分間撹拌し、次に、AcOEt(49L)およびトリエチルアミン(2.6L)で希釈した中間体5の溶液を30分間で加えた。混合液を、15時間還流させた。
【0118】
20/25℃に冷却した反応混合液を、10容量%NaOH(36.75L)水溶液で処理した。有機相を4容量%HCl(46.55L)および11.5p/p%NaCl(4×24.5L)で洗浄し、次に14.7Lまで濃縮し、シクロヘキサン(Ciclohexane)(39.2L)で希釈した。混合液を、CH/AcOEt 85/15(2×49L)の混合液で2回洗浄したシリカパッド(4.9Kg)を通してろ過した。20/25℃に冷却した溶出相(14.7L)に、メチルtertブチルエーテル(49L)およびメタンスルホン酸(4.067L)を加えた。混合物を、10容量%NaOH(31.85L)で、次に水(4×31.85L)で洗浄した。有機相を9.8Lまで濃縮し、メチルtertブチルエーテル(49L)を加え、溶液を5ミクロンフィルターに通してろ過し、次に9.8Lまで濃縮した。20/25℃で、MTBE(29.4L)およびメタンスルホン酸(1.098L)を加えた。懸濁液を10分間還流させ、20/25℃で10時間、およびO℃で2時間撹拌した。次に、沈殿をろ過し、メチルtertブチルエーテル(4.9L)で洗浄し、20/25℃の減圧下で24時間乾燥させて、白色固体の標記化合物(5.519Kg)を得た。
H−NMR(DMSO)δ(ppm)8.99(bm,1H);8.66(bm,1H);8.00(bs,1H);7.69(bs,2H);7.27(dd,1H);7.00(dd,1H);6.83(m,1H);5.32(q,1H);4.47(dd,1H);3.50〜3.20(m,4H);2.96(m,2H);2.72(s,3H);2.37(s,3H);2.28(s,3H);1.46(d,3H)。
ES:m/z 492[MH−CHSOH]
ES:m/z 586[M−H];95[CHSO
【0119】
中間体6
1−(ベンジルオキシカルボニル)−2−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−2,3−ジヒドロ−4−ピリドン
窒素雰囲気下の室温で少量のヨウ素を乾燥THF(300mL)中のマグネシウム粉(13.2g)の懸濁液に加え、次に混合液を20分間激しく還流させた。この懸濁液に、無水THF(300mL)中の2−ブロモ−5−フルオロトルエン(52.5mL)の溶液の15%を加えた。褐色の色が消失するまで、懸濁液を激しい還流下で加熱した。臭化物溶液の残りの部分を、1時間かけて滴下により還流懸濁液に加え、次にそれをさらに1時間撹拌した。このグリニャール試薬溶液を、−23℃で、乾燥THF(900mL)中のクロロギ酸ベンジル(48.7mL)および4−メトキシピリジン(25mL)から得られたピリジニウム塩に滴下により加えた。
【0120】
得られた溶液を−20℃で1時間撹拌し、次にそれを20℃に暖め、10%塩酸溶液(560mL)を加え、水層をAcOEt(2×750mL)で抽出した。
【0121】
合わせた有機抽出物を5%炭酸水素ナトリウム溶液(600mL)および塩水(600mL)で洗浄し、次に減圧下で部分的に濃縮した。CH(400mL)を20℃で1時間かけて滴下により加え、生じた混合液を30分間撹拌し、次にろ過して白色固体(66g)の標記化合物を得た。
IR(nujol、cm−1):1726および1655(C=O)、1608(C=C)。
NMR(d−DMSO):δ(ppm)8.19(d,1H);7.31〜7.18(m,5H);7.08(m,2H);6.94(dt,1H);5.77(d,1H);5.36(d,1H);5.16(2d,2H);3.26(dd,1H);2.32(d,1H);2.26(s,3H)。
MS(ES/+):m/z=340[MH]
【0122】
中間体7
2−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−4−オン
方法A
2−メチル−4−フルオロ−ベンズアルデヒド(4g)を、乾燥ベンゼン(50mL)中の4−アミノブタン−2−オンエチレンアセタール(3.8g)の溶液に加え、溶液を窒素雰囲気の下で、室温で撹拌した。1時間後に、混合液を還流させながら16時間加熱し、次に室温に放冷させた。この溶液を、Dean−Stark装置で事前に1時間還流させた、乾燥ベンゼン(50mL)中のp−トルエンスルホン酸(10.6g)の還流溶液に徐々に加えた。3.5時間後、未精製の溶液を冷却し、飽和炭酸カリウム溶液で塩基性にし、AcOEt(50mL)にとった。水相を、AcOEt(3×50mL)およびEt2O(2×50mL)で抽出した。有機層を乾燥させ、減圧下で濃縮して、残渣として黄色の濃い油(7.23g)を得た。未精製の混合物の一部(3g)を6N塩酸溶液(20mL)に溶解し、60℃で16時間撹拌した。溶液を固体炭酸カリウムで塩基性化し、DCM(5×50mL)で抽出した。合わせた有機相を塩水(50mL)で洗浄し、乾燥させ、減圧下で濃縮して、濃い黄色油の標記化合物(2.5g)を得た。
【0123】
方法B
L−セレクトリド(乾燥THF中の1M溶液、210mL)を、事前に窒素雰囲気下で−72℃に冷却した、乾燥THF(1065mL)中の中間体6(50g)の溶液に、滴下により80分間かけて加えた。45分後、2%炭酸水素ナトリウム溶液(994mL)を滴下により加え、溶液をAcOEt(3×994mL)で抽出した。合わせた有機相を、水(284mL)および塩水(568mL)で洗浄した。有機相を乾燥させ、減圧下で濃縮して、淡黄色の濃い油(94g)の1−ベンジルオキシカルボニル−2−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−4−オンを得、それを粗原料として用いた。
【0124】
この物質(94g)をAcOEt(710mL)に溶解し、次に、10%Pd/C(30.5g)を窒素雰囲気下で加えた。スラリーを、1気圧で30分間水素化した。混合物をセライトに通してろ過し、有機相を減圧下で濃縮して、黄色の油の未精製2−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−4−オンを得た。この物質を室温でAcOEt(518mL)に溶解し、ラセミのショウノウスルホン酸(48.3g)を加えた。混合液を室温で18時間撹拌し、次に固体をろ過して取り除き、AcOEt(2×50mL)で洗浄し、減圧下で18時間乾燥させて、淡黄色の固体(68.5g)の2−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−4−オン、10−ショウノウスルホン酸塩を得た。(融点:167〜169℃−NMR(d−DMSO):δ(ppm)9.43(bs,1H);9.23(bs,1H);7.66(dd,1H);7.19(m,2H);4.97(bd,1H);3.6(m,2H);2.87(m,3H);2.66(m,1H);2.53(m,2H);2.37(s+d,4H);2.22(m,1H);1.93(t,1H);1.8(m,2H);1.26(m,2H);1.03(s,3H);0.73(s,3H)。
【0125】
この物質(68.5g)をAcOEt(480mL)に懸濁し、飽和炭酸水素ナトリウム(274mL)と撹拌した。有機層を分離し、さらなる水(274mL)で洗浄した。有機相を乾燥させ、減圧下で濃縮して、黄色から橙色の油の標記化合物(31g)を得た。
NMR(d−DMSO):δ(ppm)7.49(dd,1H);7.00(m,2H);3.97(dd,1H);3.27(m,1H);2.82(dt,1H);2.72(bm,1H);2.47(m,1H);2.40(m,1H);2.29(s,3H);2.25(dt,1H);2.18(m,1H)。
MS(ES/+):m/z=208[MH]
【0126】
中間体8
2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−4−オンマンデル酸。
AcOEt(308mL)中のL−(+)−マンデル酸(22.6g)の溶液を、AcOEt(308mL)中の中間体7(31g)の溶液に加えた。次に、イソプロパノール(616mL)を加え、溶液を274mLまで減圧下で濃縮した。溶液を0℃に冷却し、さらに冷たいイソプロパノール(96mL)を加えた。厚い沈殿物を0℃で5時間窒素の下で撹拌し、次にろ過し、冷たいEt2O(250mL)で洗浄して、淡黄色固体(20.3g)の標記化合物を得た。
融点:82〜85℃。
NMR(d−DMSO):δ(ppm)7.51(dd,1H);7.40(m,2H);7.32(m,2H);7.26(m,1H);7.0(m,2H);4.95(s,1H);4.04(dd,1H);3.31(m,1H);2.88(m,1H);2.49〜2.2(m,4H);2.29(s,3H)。
キラルHPLC:HP1100 HPLCシステム;カラムChiralcel OD−H、25cm×4.6mm;移動相:n−ヘキサン/イソプロパノール95:5+1%ジエチルアミン;流速:1.3ml/分;検出:240/215nm;保持時間12.07分。
【0127】
中間体9
2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4−オキソ−ピペリジン−1−カルボン酸、[1−(R)−3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミド(9a)および2−(S)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4−オキソ−ピペリジン−1−カルボン酸、[1−(R)−3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミド(9b)
方法A
乾燥DCM(5mL)中に溶解したトリホスゲン(147mg)の溶液を、事前に窒素雰囲気下で0℃に冷却した、乾燥DCM(15mL)中の中間体7(250mg)およびDIPEA(860μL)の溶液に滴下により加えた。2時間後、乾燥アセトニトリル(20mL)中の[1−(R)−3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミン塩酸(503mg)およびDIPEA(320μL)を加え、混合液を70℃に16時間加熱した。さらなる[1−(R)−3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミン塩酸(170mg)およびDIPEA(100μL)を加え、混合液を70℃でさらなる4時間撹拌した。次に、混合液を室温に冷却させ、AcOEt(30mL)でとり、冷たい1N塩酸溶液(3×15mL)および塩水(2×10mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ、減圧下で濃縮して残渣とし、それをフラッシュクロマトグラフィー(CH/AcOEt 8:2)によって精製して以下のものを得た:
1.白色の泡の中間体9a(230mg)、
2.白色の泡の中間体9b(231mg)。
【0128】
中間体9a
NMR(d−DMSO):δ(ppm)7.98(bs,1H);7.77(bs,2H);7.24(dd,1H);6.97(dd,1H);6.89(m,1H);5.24(t,1H);5.14(q,1H);3.61(m,1H);3.55(m,1H);2.71(m,2H);2.56(s,3H);2.50(m,2H);2.26(s,3H);1.57(d,3H)。
【0129】
中間体9b
NMR(d−DMSO):δ(ppm)7.96(bs,1H);7.75(bs,2H);7.24(dd,1H);6.98(dd,1H);6.93(dt,1H);5.29(q,1H);5.24(t,1H);3.56(m,1H);3.48(m,1H);2.70(s,3H);2.50(m,4H);2.26(s,3H);1.54(d,3H)。
【0130】
中間体9a
方法B
飽和炭酸水素ナトリウム溶液(324mL)を、AcOEt(324mL)中の中間体8(21.6g)の溶液に加え、生じた混合液を15分間激しく撹拌した。水層をさらなるAcOEt(216mL)で逆抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥させ、減圧下で濃縮して黄色の油の2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−4−オンを得、それをTEA(19mL)およびAcOEt(114mL)で処理した。0℃から8℃に温度を維持しながら、得られた溶液を、事前に窒素雰囲気下で0℃に冷却したAcOEt(64mL)中のトリホスゲン(8g)の溶液に40分かけて滴下により加えた。0℃で1時間および20℃で3時間撹拌した後に、[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミン塩酸(29.7g)、AcOEt(190mL)およびTEA(38mL)を反応混合液に加え、次に、それを16時間還流加熱した。溶液を、10%水酸化ナトリウム溶液(180mL)、1%塩酸溶液(4×150mL)、水(3×180mL)および塩水(180mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ、減圧下で濃縮して残渣とし、それをシリカパッド(CH/AcOEt 9:1)に通して精製し、褐色の濃い油の標記化合物(21.5g)を得た。
NMR(d−DMSO):δ(ppm)7.97〜7.77(bs+bs,3H);7.24(dd,1H);6.97(dd,1H);6.88(td,1H);5.24(m,1H);5.14(q,1H);3.58(m,2H);2.7(m,2H);2.56(s,3H);2.49(m,2H);2.26(s,3H);1.57(d,3H)。
【0131】
実施例2
4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸、[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドメタンスルホン酸
アセトニトリル(177mL)中の中間体9a(7.7g)の溶液をアセトニトリル(17.7mL)中の1−アセチル−ピペラジン(3.9g)の溶液に加え、続いて、窒素雰囲気下でナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(6.4g)を加えた。
【0132】
反応混合液を室温で24時間撹拌し、次に飽和炭酸水素ナトリウム(23.1mL)および水(61.6mL)でクエンチした。生じた溶液を減圧下で濃縮し、次にAcOEt(208mL)を加えた。層を分離し、水層をさらなるAcOEt(2×77mL)で逆抽出した。収集した有機相を塩水(2×118mL)で洗浄し、乾燥させ、減圧下で濃縮して、シン(syn)およびアンチ(anti)ジアステレオマー(ほぼ1:1)の未精製混合物を白色の泡(9.5g)として得た。
【0133】
THF(85.4mL)中のこの中間体の溶液を、THF(6.1mL)中のメタンスルホン酸溶液(0.890mL)に室温で加えた。播種の後、所望のシンジアステレオマーが沈殿し始めた。生じた懸濁液を0℃で3時間撹拌し、次に窒素雰囲気下でろ過した。生じたケークを冷たいTHF(15.4mL)で洗浄し、減圧下の+20℃で48時間乾燥させ、白色の固体(4.44g)の標記化合物を得た。
NMR(d−DMSO):δ(ppm)9.52(bs,1H);7.99(bs,1H);7.68(bs,2H);7.23(m,1H);6.95(dd,1H);6.82(m,1H);5.31(q,1H);4.45(bd,1H);4.20(dd,1H);3.99(bd,1H);3.65〜3.25(bm,5H);3.17(m,1H);2.96(m,1H);2.88〜2.79(m+m,2H);2.73(s,3H);2.36(s,3H);2.30(s,3H);2.13〜2.09(bd+bd,2H);2.01(s,3H);1.89〜1.73(m+m,2H);1.46(d,3H)。
融点243.0℃。
化合物は、結晶形で単離される。
【0134】
中間体10
1−(ベンジルオキシカルボニル)−2−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−2,3−ジヒドロ−4−ピリドン
窒素雰囲気下の室温で少量のヨウ素を乾燥THF(300mL)中のマグネシウム粉(13.2g)の懸濁液に加え、次に混合液を20分間激しく還流させた。この懸濁液に、無水THF(300mL)中の2−ブロモ−5−フルオロトルエン(52.5mL)の溶液の15%を加えた。褐色の色が消失するまで、懸濁液を激しい還流下で加熱した。臭化物溶液の残りの部分を、1時間かけて滴下により還流懸濁液に加え、次にそれをさらに1時間撹拌した。次にこのグリニャール試薬溶液を、−23℃で、乾燥THF(900mL)中のクロロギ酸ベンジル(48.7mL)および4−メトキシピリジン(25mL)から得られたピリジニウム塩に滴下により加えた。
【0135】
得られた溶液を、−20℃で1時間撹拌し、次にそれを20℃に暖め、10%塩酸溶液(560mL)を加え、水層をAcOEt(2×750mL)で抽出した。
【0136】
合わせた有機抽出物を5%炭酸水素ナトリウム溶液(600mL)および塩水(600mL)で洗浄し、次に減圧下で部分的に濃縮した。CH(400mL)を20℃で1時間かけて滴下により加え、生じた混合液を30分間撹拌し、次にろ過して白色固体(66g)の標記化合物を得た。
IR(nujol、cm−1):1726および1655(C=O)、1608(C=C)。
NMR(d−DMSO):δ(ppm)8.19(d,1H);7.31〜7.18(m,5H);7.08(m,2H);6.94(dt,1H);5.77(d,1H);5.36(d,1H);5.16(2d,2H);3.26(dd,1H);2.32(d,1H);2.26(s,3H)。
MS(ES/+):m/z=340[MH]
【0137】
中間体11
2−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−4−オン
方法A:
4−フルオロ−2−メチル−ベンズアルデヒド(4g)を、乾燥ベンゼン(50mL)中の4−アミノブタン−2−オンエチレンアセタール(3.8g)の溶液に加え、溶液を窒素雰囲気下の室温で撹拌した。1時間後に、混合液を還流させながら16時間加熱し、次に室温に放冷させた。この溶液を、Dean−Stark装置で事前に1時間還流させた、乾燥ベンゼン(50mL)中のp−トルエンスルホン酸(10.6g)の還流溶液に徐々に加えた。3.5時間後、未精製の溶液を冷却し、飽和炭酸カリウム溶液で塩基性にし、AcOEt(50mL)にとった。水相を、AcOEt(3×50mL)およびEt2O(2×50mL)で抽出した。有機層を乾燥させ、減圧下で濃縮して、残渣として黄色の濃い油(7.23g)を得た。未精製の混合物の一部(3g)を6N塩酸溶液(20mL)に溶解し、60℃で16時間撹拌した。溶液を固体炭酸カリウムで塩基性化し、DCM(5×50mL)で抽出した。合わせた有機相を塩水(50mL)で洗浄し、乾燥させ、減圧下で濃縮して、濃い黄色油の標記化合物(2.5g)を得た。
【0138】
方法B
L−セレクトリド(乾燥THF中の1M溶液、210mL)を、事前に窒素雰囲気下で−72℃に冷却した、乾燥THF(1065mL)中の中間体10(50g)の溶液に、滴下により80分間かけて加えた。45分後、2%炭酸水素ナトリウム溶液(994mL)を滴下により加え、溶液をAcOEt(3×994mL)で抽出した。合わせた有機相を水(284mL)および塩水(568mL)で洗浄した。有機相を乾燥させ、減圧下で濃縮して、淡黄色の濃い油(94g)の1−ベンジルオキシカルボニル−2−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−4−オンを得、それを粗原料として用いた。
【0139】
この物質(94g)をAcOEt(710mL)に溶解し、次に、10%Pd/C(30.5g)を窒素雰囲気下で加えた。スラリーを、1気圧で30分間水素化した。混合物をセライトに通してろ過し、有機相を減圧下で濃縮して、黄色の油の未精製2−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−4−オンを得た。この物質を室温でAcOEt(518mL)に溶解し、ラセミのショウノウスルホン酸(48.3g)を加えた。混合液を室温で18時間撹拌し、次に固体をろ過して取り除き、AcOEt(2×50mL)で洗浄し、減圧下で18時間乾燥させて、淡黄色の固体(68.5g)の2−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−4−オン、10−ショウノウスルホン酸塩を得た。
(融点:167〜169℃−NMR(d−DMSO):δ(ppm)9.43(bs,1H);9.23(bs,1H);7.66(dd,1H);7.19(m,2H);4.97(bd,1H);3.6(m,2H);2.87(m,3H);2.66(m,1H);2.53(m,2H);2.37(s+d,4H);2.22(m,1H);1.93(t,1H);1.8(m,2H);1.26(m,2H);1.03(s,3H);0.73(s,3H)。
【0140】
この物質(68.5g)をAcOEt(480mL)に懸濁し、飽和炭酸水素ナトリウム(274mL)で撹拌した。有機層を分離し、さらなる水(274mL)で洗浄した。有機相を乾燥させ、減圧下で濃縮して、黄色から橙色の油の標記化合物(31g)を得た。
NMR(d−DMSO):δ(ppm)7.49(dd,1H);7.00(m,2H);3.97(dd,1H);3.27(m,1H);2.82(dt,1H);2.72(bm,1H);2.47(m,1H);2.40(m,1H);2.29(s,3H);2.25(dt,1H);2.18(m,1H)。
MS(ES/+):m/z=208[MH]
【0141】
中間体12
2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4−オキソ−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミド(12a)および2−(S)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4−オキソ−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミド(12b)。
方法A:
乾燥DCM(5mL)中に溶解したトリホスゲン(147mg)の溶液を、事前に窒素雰囲気下で0℃に冷却した、乾燥DCM(15mL)中の中間体11(250mg)およびDIPEA(860μL)の溶液に滴下により加えた。2時間後、乾燥アセトニトリル(20mL)中の[1−(R)−3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミン塩酸(503mg)およびDIPEA(320μL)を加え、混合液を70℃に16時間加熱した。さらなる[1−(R)−3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミン塩酸(170mg)およびDIPEA(100μL)を加え、混合液を70℃でさらなる4時間撹拌した。次に、混合液を室温に冷却させ、AcOEt(30mL)でとり、冷たい1N塩酸溶液(3×15mL)および塩水(2×10mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ、減圧下で濃縮して残渣を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(CH/AcOEt 8:2)によって精製して以下のものを得た:
3.白色の泡の中間体12a(230mg)、
4.白色の泡の中間体12b(231mg)。
【0142】
中間体12a
NMR(d−DMSO):δ(ppm)7.98(bs,1H);7.77(bs,2H);7.24(dd,1H);6.97(dd,1H);6.89(m,1H);5.24(t,1H);5.14(q,1H);3.61(m,1H);3.55(m,1H);2.71(m,2H);2.56(s,3H);2.50(m,2H);2.26(s,3H);1.57(d,3H)。
【0143】
中間体12b
NMR(d−DMSO):δ(ppm)7.96(bs,1H);7.75(bs,2H);7.24(dd,1H);6.98(dd,1H);6.93(dt,1H);5.29(q,1H);5.24(t,1H);3.56(m,1H);3.48(m,1H);2.70(s,3H);2.50(m,4H);2.26(s,3H);1.54(d,3H)。
【0144】
中間体12a
方法B
飽和炭酸水素ナトリウム溶液(324mL)を、AcOEt(324mL)中の中間体13(21.6g)の溶液に加え、生じた混合液を15分間激しく撹拌した。水層をさらなるAcOEt(216mL)で逆抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥させ、減圧下で濃縮して黄色の油の2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−4−オンを得、それをTEA(19mL)およびAcOEt(114mL)で処理した。0℃から8℃に温度を維持しながら、得られた溶液を、事前に窒素雰囲気下で0℃に冷却したAcOEt(64mL)中のトリホスゲン(8g)の溶液に40分かけて滴下により加えた。0℃で1時間および20℃で3時間撹拌した後に、[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)−エチル]−メチルアミン塩酸(29.7g)、AcOEt(190mL)およびTEA(38mL)を反応混合液に加え、次に還流下16時間加熱した。
【0145】
溶液を、10%水酸化ナトリウム溶液(180mL)、1%塩酸溶液(4×150mL)、水(3×180mL)および塩水(180mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ、減圧下で濃縮して残渣とし、それをシリカパッド(CH/AcOEt 9:1)に通して精製し、褐色の濃い油の標記化合物(21.5g)を得た。
NMR(d−DMSO):δ(ppm)7.97〜7.77(bs+bs,3H);7.24(dd,1H);6.97(dd,1H);6.88(td,1H);5.24(m,1H);5.14(q,1H);3.58(m,2H);2.7(m,2H);2.56(s,3H);2.49(m,2H);2.26(s,3H);1.57(d,3H)。
【0146】
中間体13
2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−4−オンL−(+)−マンデル酸
AcOEt(308mL)中のL−(+)−マンデル酸(22.6g)の溶液を、AcOEt(308mL)中の中間体11(31g)の溶液に加えた。次にイソプロパノール(616mL)を加え、溶液を274mLまで減圧下で濃縮した。次に溶液を0℃に冷却し、さらなる冷たいイソプロパノール(96mL)を加えた。厚い沈殿物を0℃で5時間窒素の下で撹拌し、次にろ過し、冷たいEt2O(250mL)で洗浄して、淡黄色固体(20.3g)の標記化合物を得た。
融点:82〜85℃。
NMR(d−DMSO):δ(ppm)7.51(dd,1H);7.40(m,2H);7.32(m,2H);7.26(m,1H);7.0(m,2H);4.95(s,1H);4.04(dd,1H);3.31(m,1H);2.88(m,1H);2.49〜2.2(m,4H);2.29(s,3H)。
キラルHPLC:HP1100 HPLCシステム;カラムChiralcel OD−H、25cm×4.6mm;移動相:n−ヘキサン/イソプロパノール95:5+1%ジエチルアミン;流速:1.3ml/分;検出:240/215nm;保持時間12.07分。
【0147】
中間体14
1,4−ジベンジル−2−ピペラジンカルボキシアルデヒド
無水トルエン(50mL)中のエチル2,3−ジブロモプロピオネート(6mL)の溶液を、窒素雰囲気下で無水トルエン(50mL)中のN,N’−ジベンジルエチレンジアミン(5g)およびDIPEA(12mL)の溶液に加えた。生じた混合液を100℃で21時間加熱し、次に室温に冷却させ、AcOEt(100mL)で希釈し、塩水(3×100mL)で洗浄した。有機抽出物を乾燥させ、減圧下で濃縮して残渣とし、それをフラッシュクロマトグラフィー(CH/AcOEt 9:1)によって精製し、黄色の油のエチル1,4−ジベンジルピペラジン−2−カルボキシレート(5.65g)を得、それを精製せずに次の工程で用いた。
【0148】
ジイソブチルアルミニウムヒドリド(トルエン中の1M溶液−29mL)を、事前に窒素雰囲気下で−78℃に冷却した無水トルエン(110mL)中のエチル1,4−ジベンジル−ピペラジン−2−カルボキシレート(5.47g)の溶液に滴下した。溶液を−78℃で1時間撹拌し、次に20%水酸化ナトリウム溶液(20mL)を加え、混合液を放置して室温に上昇させた。さらなる20%水酸化ナトリウム溶液(50mL)を加え、溶液をEt2O(2×150mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ、減圧下で濃縮して、標記化合物(5.33g)を粗原料として得、それをさらなる精製なしに次の工程で用いた。
T.l.c.:CH/AcOEt 8:2,Rf=0.36。
NMR(d−DMSO):δ(ppm)9.62(s,1H);7.4〜7.15(m,10H);3.86(d,1H);3.6(d,1H);3.46(s,2H);3.09(bt,1H);2.82(t,1H);2.55〜2.45(m,2H);2.4〜2.3(m,3H)。
【0149】
中間体15
ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン−6−オン
方法A:
(カルブエトキシメチレン)トリフェニルホスホラン(11.72g)を、窒素雰囲気下で無水トルエン(100mL)中の中間体14(4.95g)の溶液に2分割して加えた。混合液を80℃で24時間加熱し、次にそれを室温に冷却させ、水(100mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ、減圧下で濃縮して残渣とし、それをフラッシュクロマトグラフィー(CH/AcOEt 85:15)によって精製して、エチル1,4−ジベンジル−2−ピペラジン−3−アクリレート(4.2g−T.l.c.:CH/AcOEt 8:2、Rf=0.36)を得た。
【0150】
絶対EtOH(40mL)中のエチル1,4−ジベンジル−2−ピペラジン−3−アクリレート(2.84g)の溶液を、3.5気圧で2日間Pd/C10%(1.42g)の上で水素化した。ろ過の後、溶液をほぼ30mLまで濃縮し、完全な環化が起こるまで、70℃で16時間加熱した。溶液を減圧下で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(DCM/MeOH 7:3)によって精製して、淡黄色の油の標記化合物(820mg)を得た。
【0151】
方法B:
ジイソブチルアルミニウムヒドリド(トルエン中の1.2M溶液−262mL)を、事前に窒素雰囲気下で−78℃に冷却した、無水トルエン(450mL)中の上で記載のように合成したエチル1,4−ジベンジル−ピペラジン−2−カルボキシレート(48.4g)の溶液に滴下した(DIBAL−Hの添加は1.5時間かかり、内部温度は−70℃未満に常に維持した)。溶液を−78℃で2時間撹拌し、次に10%水酸化ナトリウム溶液(500mL)を加え、混合液を放置して室温に上昇させた。さらなる10%水酸化ナトリウム溶液(400mL)を加え、溶液をトルエン(2×250mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ、1,4−ジベンジル−2−ピペラジンカルボキシアルデヒドを含有する約100mLの容量まで減圧下で濃縮し、それをさらなる精製なしに次の工程で用いた。
【0152】
(カルブエトキシメチレン)トリフェニルホスホラン(75g)を、窒素雰囲気下でトルエン(450mL)中の前工程の1,4−ジベンジル−2−ピペラジンカルボキシアルデヒド溶液に2分割して加えた。混合液を80℃で一晩加熱し、次にそれを室温に冷却させ、水(2×400mL)および塩水(250mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ、減圧下で濃縮して残渣とし、それをフラッシュクロマトグラフィー(CH/AcOEt 85:15)によって精製して、エチル1,4−ジベンジル−2−ピペラジン−3−アクリレート(44.8g−T.l.c.:CH/AcOEt 8:2、Rf=0.36)を得た。
【0153】
MeOH(450mL)中のエチル1,4−ジベンジル−2−ピペラジン−3−アクリレート(44.8g)の溶液に、窒素雰囲気下でギ酸アンモニウム(23.2g)および5%パラジウム炭(8.96g)を加えた。生じた混合液を、還流温度に6時間加熱した。セライト上でのろ過後、溶液を減圧下で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(DCM/MeOH 8:2)によって精製して、淡黄色の油の標記化合物(14.15g)を得た。
【0154】
方法C:
中間体17(820g)およびトルエン(1680g)を5Lステンレス鋼オートクレーブに入れ、パラジウム炭(5%、乾燥−50g)を加えた。オートクレーブを窒素で不活性にし、その後100バールの水素で満たし、次に100℃に加熱した。内圧が90バールに低下したとき、圧を再び100バールに高めた。水素取り込みが終わった後、オートクレーブを30℃未満に冷却し、反応溶液を取り出した。次に触媒をブフナー漏斗でろ過して取り除き、トルエン(2×200mL)で洗浄した。回転蒸発装置でろ液を濃縮した後に、生成物を15cmVigreuxカラム(沸点:115〜125℃ @0.07mbar)で蒸留し、わずかに黄色がかった油の標記化合物(574g)を得た。
T.l.c.:DCM/MeOH 7:3、Rf=0.17(ニンヒドリンによる検出)
NMR(CDCl3):δ(ppm)4.01(m,1H);3.54(m,1H);3.16(m,1H);3.01(m,1H);2.81(m,1H);2.6(dt,1H);2.38(m,3H);2.16(m,1H);1.6(m,1H)。
MS(ES/+):m/z=141[M+H]
【0155】
中間体16
(8aS)−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン−6−オン(16a)および(8aR)−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン−6−オン(16b)
方法A:
中間体15(746mg)を、分取HPLC(カラム:Chiralpack AD 25×2cm;移動相:n−ヘキサン/EtOH 8:2;流量=1mL/分;λ=225nm)により鏡像異性体に分離した。このようにして、中間体16a(330mg)および中間体16b(320mg)が得られた。
【0156】
中間体16a(鏡像異性体1):
HPLC:カラムChiralpack AD 25cm×4.6mm×5μ;移動相 n−ヘキサン/EtOH 8:2;流量=1mL/分;λ=225nm;保持時間10.7分。比16a/16b=100:0。
【0157】
中間体16b(鏡像異性体2):
HPLC:カラムChiralpack AD 25cm×4.6mm×5μ;移動相 n−ヘキサン/EtOH 8:2;流量=1mL/分;λ=225nm;保持時間12.8分。比16a/16b=0:100。
【0158】
中間体16b:
方法B:
イソプロパノール(60mL)中のL−(+)−マンデル酸(13.03g)の溶液を、窒素雰囲気下でイソプロパノール(60mL)中の中間体15(12g)の溶液に、20分間かけて滴下した。懸濁液を23℃で2時間撹拌し、次にそれをろ過し、さらなるイソプロパノール(120mL)で洗浄した。得られた固体(鏡像異性体比20:80)を、完全なHPLCエナンチオ選択性が検出されるまで、イソプロパノール(10容)から3回再結晶させた。このようにして、(8aR)−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン−6−オンL−(+)−マンデル酸(5.84g−鏡像異性体2)が得られた。
【0159】
この物質(6.469g)をEtOH(40mL)および水(4mL)に溶解し、EtOH(200mL)中の樹脂IRA68(112g−事前に中性pHまで0.05N水酸化ナトリウム溶液(370mL)および水(4L)で洗浄した)の懸濁液と一緒に撹拌した。混合液を23℃で1.5時間撹拌し、次にろ過した。有機層を減圧下で濃縮して、白色固体の標記化合物(3.1g)を得た。
【0160】
中間体16b:
HPLC:カラムChiralpack AD 25cm×4.6mm×5μ;移動相 n−ヘキサン/EtOH 8:2;流量=1mL/分;λ=225nm;保持時間12.8分。比16a/16b=0:100。
【0161】
中間体16a:
方法B:
母液の一部(比16a:16b=63:37を有する3.48g)を、EtOH(150mL)および水(1mL)の中の樹脂IRA68(70g−事前に中性pHまで0.05N水酸化ナトリウム溶液(150mL)および水で洗浄した)の懸濁液で処理した。混合液を23℃で2時間撹拌し、次にろ過した。有機層を減圧下で濃縮して、無色の油の遊離ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン−6−オン(1.6g)を得た。この物質(1.6g)をイソプロパノール(8mL)に溶解し、イソプロパノール(8mL)中のD−(−)−マンデル酸(1.74g)の溶液で処理した。
【0162】
懸濁液を23℃で16時間撹拌し、次にそれをろ過し、さらなるイソプロパノール(120mL)で洗浄した。得られた固体(鏡像異性体比86:14)を、完全なHPLCエナンチオ選択性が検出されるまで、イソプロパノール(10容)から3回再結晶させた。このようにして、(8aS)−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン−6−オンD−(−)−マンデル酸(0.88g−鏡像異性体1)が得られた。
【0163】
この物質(0.88g)をEtOH(10mL)および水(1mL)に溶解し、EtOH(30mL)中の樹脂IRA68(15g−事前に中性pHまで0.05N水酸化ナトリウム溶液(50mL)および水で洗浄した)の懸濁液と一緒に撹拌した。混合液を23℃で1時間撹拌し、次にろ過した。有機層を減圧下で濃縮して、白色固体の標記化合物(0.434g)を得た。
【0164】
中間体16a:
HPLC:カラムChiralpack AD 25cm×4.6mm×5μ;移動相 n−ヘキサン/EtOH 8:2;流量=1mL/分;λ=225nm;保持時間10.7分。比16a/16b=100:0。
【0165】
中間体17
3−ピラジン−2−イル−プロピオン酸エチルエステル
温度を氷浴で0〜5℃に維持しながら、ブチルリチウム(ヘキサン中に2.5M−2560mL)を、THF(3350mL)およびジイソプロピルアミン(658g)を入れた10Lフラスコに2時間以内に加えた。次にLDA溶液を−50℃に予備冷却し、メチルピラジン(606g)およびTHF(590mL)の混合液を、激しく撹拌しながら−40〜−30℃で2時間以内に加えた。次に、深い赤色のアニオン溶液を、20Lリアクター内のtert−ブチルブロモ酢酸(1255g)およびTHF(3360mL)の冷却(−60℃)混合液に汲み入れる。アニオン溶液を添加する間、反応容器内の温度は−55℃を超えなかった。添加後、混合液を−55℃でさらなる30分間撹拌し、次に、30Lリアクターに移した(エステル転移反応および溶媒の除去は、一度に2回の実行について行うことができる)。次に、EtOH(2200mL)に溶解したナトリウムエチラート(142g)の溶液を橙色混合液に加え、蒸留頭の温度が80℃に、沸騰液の温度が100℃に達するまで、約12Lの溶媒を蒸留した。混合液を約30℃に冷却し、次にトルエン(840mL)、AcOEt(840mL)および水(1180mL)を加えた。相の分離後、有機層をそれぞれAcOEt(420mL)およびトルエン(170mL)で3回抽出した。次に、合わせた有機相を減圧下で濃縮し、残渣をVigreuxカラム(沸点115〜130℃ @0.07mbar)で蒸留して、標記化合物(579g)を得た。
T.l.c.:CH/EtOAc=1:1、Rf=0.36。
H−NMR(d−DMSO):δ(ppm)8.57(d,1H);8.52(dd,1H);8.45(d,1H);4.01(q,2H);3.04(t,2H);2.76(t,2H);1.12(t,3H)。
MS(ES/+):m/z=181[M+H]
【0166】
中間体18
(8aS)−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン−6−オン S−(+)−O−アセチルマンデレート(鏡像異性体1)
アセトン(12mL)中の(S)−(+)−O−アセチルマンデル酸(2.77g)の溶液を、アセトン(28mL)中の20℃の中間体15(4g)の溶液に滴下により加えた。生じた混合液を播種して、沈殿を開始させた。
【0167】
得られた沈殿物を20℃で4時間撹拌し、次に、アセトン(12mL)で洗浄しながらろ過した。固体を減圧下の40℃で18時間乾燥させ、白色固体の標記化合物(3.44g)を得た。
HPLC:カラムChiralpack AD 25×4.6×5μm;移動相 n−ヘキサン/EtOH=1:1;流量=1ml/分;λ=210nm;保持時間 標記化合物5.42分、(8aR)鏡像異性体6.06分。E.e.>94%。
H−NMR(d−DMSO):δ(ppm)9.5(広幅,1H);7.42(m,2H);7.32(m,3H);5.62(s,1H);3.79(dd,1H);3.55(m,1H);3.14〜3.02(2dd,2H);2.80(dt,1H);2.52(dt,1H);2.40(t,1H);2.19(m,2H);2.06(s,3H);2.05(m,1H);1.49(m,1H)。
MS(ES/+):m/z=141[M+H−PhCH(OAc)COOH]
【0168】
実施例3
2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4−(R)−((8aS)−6−オキソ−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]−ピラジン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミド(実施例3a)および2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4−(S)−((8aS)−6−オキソ−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]−ピラジン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミド(実施例3b)
方法A:
中間体12a(168mg)およびナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(127mg)を、窒素雰囲気下で無水アセトニトリル(4mL)中の中間体16a(80mg)の溶液に加えた。混合液を23℃で14時間撹拌した。溶液を5%炭酸水素ナトリウム溶液(5mL)で希釈し、AcOEt(2×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ、減圧下で濃縮して残渣とし、それをフラッシュクロマトグラフィー(AcOEt/MeOH 9:1)によって精製して次の3つの分画を得た:
1.白色固体の実施例3a(18mg)
2.実施例3aおよび3bの混合物(160mg)
3.白色固体の実施例3b(8mg)。
【0169】
方法B:
無水アセトニトリル(80mL)中の中間体16a(2.4g)の溶液を、窒素雰囲気下で無水アセトニトリル(30mL)中の中間体12a(5.7g)の溶液に加えた。ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(4.36g)を3分割して15分ごとに加え、混合液を23℃で22時間撹拌した。溶液を水(75mL)および飽和炭酸水素ナトリウム溶液(25mL)で希釈し、AcOEt(2×200mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ、減圧下で濃縮して残渣とし、それをフラッシュクロマトグラフィー(CH/AcOEt/MeOH 50:50:8)によって精製して次の4分画を得た:
1.比1:1の実施例3aおよび実施例3bの混合物(1.27g)
2.実施例3b(1.66g)(比3a:3b=13:87)
3.実施例3b(420mg)(比3a:3b=5:95)
4.実施例3b(800mg)(比3a:3b=2:98)
【0170】
実施例3a:
T.l.c.:AcOEt/MeOH 8:2、Rf=0.55。
MS(ES/+)m/z=629[M+H]
HPLC:カラムSupelcosil ABZ Plus 25cm×4.6mm×5μ;移動相NHOAc 10mmol/CHCN 5分で60:40から10:90へ、次にNHOAc 10mmol/CHCN 10分間;流量=0.8mL/分;λ=220nm;保持時間9.27分。
【0171】
実施例3b:
T.l.c.:AcOEt/MeOH 8:2、Rf=0.48。
MS(ES/+)m/z=629[M+H]
HPLC:カラムSupelcosil ABZ Plus 25cm×4.6mm×5μ;移動相NHOAc 10mmol/CHCN 5分で60:40から10:90へ、次にNHOAc 10mmol/CHCN 10分間;流量=0.8mL/分;λ=220nm;保持時間8.84分。
【0172】
実施例4
2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4−(S)−((8aS)−6−オキソ−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]−ピラジン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミド塩酸
乾燥Et2O(1mL)中の実施例3b(8mg)の溶液を、窒素雰囲気下の0℃で、塩酸(Et2O中の1M−14μL)で処理した。生じた混合液を0℃で20分間撹拌し、次に、混合液を減圧下で濃縮した。沈殿物をペンタン(2mL)で洗浄し、白色固体(7.6mg)の標記化合物を得た。
NMR(d−DMSO):δ(ppm)10.22(bs,1H);7.99(s,1H);7.67(s,2H);7.22(dd,1H);6.94(dd,1H);6.81(t,1H);5.31(q,1H);4.2(dd,1H);4.0〜3.86(bm,2H);3.6〜3.4(m,2H);3.1〜2.7(m,4H);2.73(s,3H);2.4〜2.0(m,5H);2.35(s,3H);1.94(m,1H);1.74(q,1H);1.57(d,3H);1.46(d,3H)。
MS(ES/+)m/z=629[M+H−HCl]
HPLC:カラムSupelcosil ABZ Plus 25cm×4.6mm×5μ、移動相NHOAc 10mmol/CHCN 5分で60:40から10:90へ、次にNHOAc 10mmol/CHCNを10:90から10分間;流量=0.8mL/分;λ=220nm;保持時間8.86分。
カラムX−Terra 4.6×100mm、RP18 3.5μm;移動相:溶離液A:NHHCO 5mM(pH=8)/CHCN 90/10−溶離液B:NHHCO 5mM(pH=8)/CHCN 10/90−勾配:50%Bから7.5分間で100%Bに;100%Bで0.5分間、その後50%Bで3分間;カラム温度:40℃;流量=1mL/分;λ=210nm;保持時間4.15分。
【0173】
実施例4a
無水結晶形の2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4−(S)−((8aS)−6−オキソ−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]−ピラジン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミド塩酸
2%水酸化ナトリウム溶液(100mL)を、AcOEt(150mL)中の実施例5(10g)の懸濁液に加えた。次に2相混合液を10分間撹拌し、層を分離した。有機相を水(100mL)で洗浄し、次に40mLまで減圧下で濃縮した。AcOEt(100mL)を有機相に加え、次にそれを再び40mLまで減圧下で濃縮した。溶液をさらにAcOEt(60mL)で希釈し、イソプロパノール(3mL)中の5〜6N塩酸を加えた。5分後、透明な溶液を播種した。沈殿が数分で起こり、さらなる20分間の撹拌後に、n−ヘプタン(100mL)を10〜15分で加えた。得られた混合液を、20℃で2時間撹拌した。次に固体をろ過し、AOEt/n−ヘプタン 1/1(60mL)で洗浄し、減圧下の40℃で16時間乾燥させ、白色固体の標記化合物(8.08g)を得た。
【0174】
X線粉末回折データを、表1に報告する。
【0175】
【表1】

【0176】
実施例4b
二水和結晶形の2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4−(S)−((8aS)−6−オキソ−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]−ピラジン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミド塩酸
265mgの実施例4aに、3mlの水を加えた。懸濁液を25℃で一晩撹拌し、次に、10000rpmで5分間遠心分離した。遠心ろ過装置(Millipore Ultrafree−MC 0.45μm)を用いて固体をろ過し、標記化合物(250mg)を得た
【0177】
X線粉末回折データを、表2に報告する
【0178】
【表2】

【0179】
実施例5
2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4−(S)−((8aS)−6−オキソ−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]−ピラジン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドマレイン酸
方法A:
中間体18(25g)をアセトニトリル(300mL)に懸濁し、次に、遊離の塩基を得るためにTEA(10.4mL)を速やかに加えた。TEA−アセチルマンデル酸塩の新しい沈殿物が形成したので、スラリーの様相は変化をしなかった。混合液を、15〜20分間撹拌し続けた。一方、中間体12a(25g)をアセトニトリル(125mL)に溶解し、そのようにして得られた溶液をスラリーに速やかに加えた。次に、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(15g)を直ちに加え、混合液を22時間撹拌条件下に維持した。白色沈殿物をろ過して取り除き、母液を100mLまで蒸発させた。そのようにして得られた混合液にAcOEt(250mL)を加え、生じた溶液を4%炭酸水素ナトリウム水溶液(2×125mL)で、次に5%塩化ナトリウム溶液(125mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ、100mLまで蒸発させた。イソプロピルアルコール(150ml)を加え、混合液を再び100mLまで蒸発させた。この操作を繰り返した。さらなるイソプロピルアルコール(100mL)を加えて、混合液の最終容量を200mLに調整した。イソプロピルアルコール(50mL)中のマレイン酸(5.8g)の溶液を、約10分で滴下した。混合液を播種し、数分で沈殿が起こった。スラリーを20℃で1時間撹拌し、イソクタン(isoctane)(250mL)を10分で加えた。生じた懸濁液を、室温で22時間撹拌した。固体をろ過し、イソプロパノール/イソクタン 1/1(150mL)で洗浄し、減圧下の40℃で18時間乾燥させ、白色固体の標記化合物(13.75g)を得た。
【0180】
方法B:
中間体18(1g)をアセトニトリル(12mL)に懸濁し、次に、遊離の塩基を得るためにTEA(0.415mL)を速やかに加えた。TEA−アセチルマンデル酸塩の新しい沈殿物が形成したので、スラリーの様相は変化をしなかった。30分間の撹拌の後に、混合液をナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(0.6g)とギ酸(0.224mL)とで処理した。
【0181】
一方、中間体12a(1g)をアセトニトリル(6mL)に溶解し、そのようにして得られた溶液をスラリーに速やかに加え、生じた混合液を撹拌条件下で18時間維持した。スラリーを小容量まで蒸発させ、そのようにして得られた混合液にAcOEt(10mL)を加え、生じた溶液を4%炭酸水素ナトリウム水溶液(2×5mL)で、次に5%塩化ナトリウム溶液(5mL)で洗浄した。有機層を乾燥、蒸発させ、白色の泡にした。
【0182】
イソプロピルアルコール(10ml)を加え、混合液を再び蒸発乾固させた。生じた泡を再度イソプロピルアルコール(8mL)に溶解し、イソプロピルアルコール(2mL)中のマレイン酸(0.232g)の溶液を滴下して処理した。30分後混合液を播種し、数分で沈殿が起こった。スラリーを20℃で1時間撹拌し、次にイソクタン(10mL)を滴下により5〜10分で加えた。生じた懸濁液を、室温で19時間撹拌した。固体をろ過し、イソプロパノール/イソクタン 1/1(5mL)で洗浄し、減圧下の40℃で18時間乾燥させ、白色固体の標記化合物(0.639g)を得た。
HPLC:カラムX−Terra 4.6×100mm、RP18 3.5μm;移動相:溶離液A:NHHCO 5mM(pH=8)/CHCN 90/10−溶離液B:NHHCO 5mM(pH=8)/CHCN 10/90−勾配:7.5分で50%Bから100%Bに;100%Bで0.5分間、その後50%Bで3分間;カラム温度40℃;流量=1mL/分;λ=210nm;保持時間4.15分、>99%a/a。
H−NMR(d−DMSO):δ(ppm)7.98(bs,1H);7.68(bs,2H);7.21(dd,1H);6.93(dd,1H);6.81(dt,1H);6.09(s,2H);5.31(q,1H);4.19(dd,1H);3.93(m,1H);3.74(bm,1H);3.46(m,1H);3.45(bm,1H);3.30(bm,2H);2.93(bt,1H);2.79(t,1H);2.73(s,3H);2.73(bm,1H);2.60(bm,1H);2.35(s,3H);2.23(m,2H);2.12(m,1H);2.04(bd,1H);1.98(bd,1H);1.84(m,1H);1.64(q,1H);1.56(m,1H);1.46(d,3H)。
MS(ES/+):m/z=629[MH−HOOCCHCHCOOH]
【0183】
NK1受容体アンタゴニストとして作用する化合物の能力は、RupniakおよびWilliams、Eur.Jour.of Pharmacol.、1994に記載の、アレチネズミ足タッピングモデルを用いて判定することができる。
【0184】
化合物を経口的投与し、4時間後にNK1アゴニスト(例えばδ−アミノバレリル[Pro、Me−Leu10]−サブスタンスP(7−11))(5μL icv中に3pmol)を動物の脳室に直接注入する。NK1アゴニスト(例えばδ−アミノバレリル[Pro、Me−Leu10]−サブスタンスP(7−11))によって誘導される後ろ足のタッピングの持続時間を、ストップウオッチを用いて3分間連続的に記録する。NK1アゴニスト(例えばδ−アミノバレリル[Pro、Me−Leu10]−サブスタンスP(7−11))によって誘導されるタッピングを50%阻害するために必要とされる、供試化合物のmg/kgで表される用量は、ED50値と呼ばれる。あるいは化合物は皮下に、または腹腔内に投与することができる。
【0185】
SSRIとして作用する化合物の能力は、参照により本明細書に組み込まれるWongら、Neuropsychopharmacology 8、337〜344(1993)に示されている、標準の薬理学的アッセイを用いて判定することができる。
【0186】
セロトニントランスポータ(SERT)の再取込み部位に結合する化合物の親和性は、ヒトSERTで安定してトランスフェクトした組換え型上皮ブタ腎臓細胞(hSERT/LLCPK)で実施される、[3H]シタロプラム結合アッセイを用いて評価することができる。500cmのペトリ皿で細胞を増殖させ、80%の集密度で膜調製のために用いる。5mM EDTAを含むリン酸緩衝食塩水(PBS)中の細胞を収集し、4℃で8分間、900gで遠心分離する。30〜50容のアッセイ緩衝液(50mMトリス、120mM NaCl、5mM KCl、10μMパージリン、0.1%アスコルビン酸(pH=7.7))中でペレットをホモジナイズし、4℃で20分間、48000gで遠心分離する。同じ容量にペレットを再懸濁し、37℃で20分間のインキュベーションの後、前のように遠心分離し、最後に、冷却アッセイ緩衝液中で約0.2mgタンパク質/mlに等分する。[3H]シタロプラム結合アッセイについては、供試化合物(ストレートのDMSO中で100倍)(全結合を明確にするために)またはDMSO中の最終濃度10μMのフルオキセチン(非特異的結合を明確にするために)を4μl、アッセイ緩衝液中の最終濃度0.25nMの[H]シタロプラムを200μl、およびタンパク質濃度2μg/ウェルでアッセイ緩衝液に希釈した膜を200μl加える(最終アッセイ容量400μl)。膜を加えて反応を開始し、室温で2時間インキュベートする。Packard細胞ハーベスターを用い、0.5%ポリエチレンイミン(PEI)に前浸漬したGF/B96−フィルタープレートを通す急速ろ過によって、反応を停止する。1ml/ウェルの冷却0.9%NaCl溶液で3回96−フィルタープレートを洗浄し、Packard TopCountで放射能をカウントする。
【0187】
臨床試験A
研究デザイン
耳鳴患者の絞込み集団におけるプラセボと比較しての2−(S)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミドメタンスルホン酸とパロキセチンとの併用および単独の2−(S)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミドメタンスルホン酸の単回投与および反復投与の影響を調査する、ランダム化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験。
【0188】
耳鳴を起こしている対象が2回のスクリーニング訪問のためにクリニックに通い、その後、6つの反復投与治療系列の1つにランダム化される。治療相はそれぞれ14日の3つの治療期間からなり、それらは、14日のウオッシュアウト区間によって分離される。自己評価スケール、オージオグラムおよび音響心理学的検査による評価を、各治療期間の1日目および14日目に、最終投与から4時間以内に実施する。全対象は全ての治療を受け、追跡検査訪問が最終薬剤投与の14日後に実施される。治療薬は以下の通りである:
1.プラセボ
2.2−(S)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミドメタンスルホン酸25mg/日+パロキセチン20mg/日
3.2−(S)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミドメタンスルホン酸25mg/日
【0189】
含まれる集団の主な絞込み基準は、音響性外傷(すなわち、病歴、自己報告または音聴力図プロフィールとしての)に関連付けできる軽度から中等度の聴覚障害の存在、およびリドカイン試験への陽性応答に基づく。
【0190】
第一のスクリーニング訪問は、聴力図および質問表を含む耳鳴診断のための臨床評価、ECG、血液および尿の臨床検査、現在の治療を含む医学的スクリーニング、ならびに試験参加への同意書からなる。
【0191】
第一の訪問時に対象が臨床上適格者であるとわかった場合にだけ、第二のスクリーニング訪問が実施される。第二の訪問は、対象がリドカイン応答について検査される静かな部屋で行われる。ランダム化され、均衡のとれた順序で、治療に盲目である対象がプラセボまたはリドカイン(1.5mg/kg体重)を5分間注入される。耳鳴のピッチ、音の大きさおよび窮迫、および聴覚過敏の存在のVASを、注入前および各注入の5分後に収集する。2つの注入は、少なくとも20〜30分間分離される。対象は、以下の場合だけ含まれる:
a)2つの注入前値の間に一貫性がある(注入前の最高値と最低値の間の30%未満の差、ベースライン値)
b)リドカインの後、音の大きさについてのVASにおいて、プラセボの後の低下よりも少なくとも10mm大きなベースラインからの低下がある。
【0192】
試験母集団
対象数
試験を完了する少なくとも19名の対象を得るために、試験で24名の対象を募集する。
【0193】
適格基準
適格な対象は、標準化ONH訪問ならびに耳鏡検査および聴力図を含む検査に基づき、耳鳴の確定診断を有する18〜60歳の男女の対象である。完全に正常な聴力図を有する対象または重度の聴力障害を有する対象は、除外される。メニエール病または耳硬化症など、障害が耳鳴と関連する場合も、対象は除外される。
【0194】
患者が耳鳴を起こしてから、少なくとも6ヵ月間経過していなければならない。絞込み基準は、聴覚障害の実証された存在、およびリドカイン注入に対する耳鳴音の大きさの過渡変化(ベースラインに標準化されたプラセボに対して20%以上の低下)を検出する能力に基づく。
【0195】
エンドポイント
一次
投薬の2時間後(または投与前ベースラインに対して任意の他の時点)の測定時に認められる耳鳴音の大きさの変化を測定する視覚的アナログ尺度(VAS)。
【0196】
二次
1.測定時に認められる耳鳴ピッチおよび耳鳴窮迫のレベルを測定する視覚的アナログ尺度(VAS)
2.興奮/不安(すなわち、疲労−精力的、活動的−嗜眠的、緊張−平穏、および心配−安心)を測定するVAS
3.純音聴力検査(聴力図)
4.耳鳴ピッチ、音色、強度、最低マスキングレベルの音響心理学的な評価(できれば自動化されたもの)
5.自己報告質問表(投薬後の試験日だけに言及する総合評価):耳鳴ハンディキャップ目録(THI)
6.自己報告質問表(測定時までの前週に言及する総合評価):
a.耳鳴ハンディキャップ目録(THI)
b.抑うつ症候学のクイック目録(QIDS−SR 16)。
c.Leeds睡眠評価質問表(LSEQ)
7.日誌(夜に記入):
a.日中に摂取されたベンゾジアゼピン、鎮痛薬または他の任意の鎮静注入薬の数
b.耳鳴音の大きさ、ピッチおよび/または窮迫のVAS(日全体の総合評価)
c.聴覚過敏の数、生成元の概要および全体の窮迫のVAS窮迫評価
8.臨床医評価スケール:
a.耳鳴の不快感:質問:「耳鳴によりあなたはどれくらいいらいらしますか?0から7ポイントの程度で評価してください」(8ポイントスケール、[Robinsonら、Psychosomatic Med.2005;67:981〜988およびZennerら、Acta Oto−Laryngologica.2005:125:1184〜1188]
b.聴覚過敏の不快感:質問に対する答え:(i)、「あなたは、音を過敏に感じますか?(イエス/ノー応答);および、(ii)、イエスの場合、日常生活に及ぼす聴覚過敏の全体の影響についてスコア>1(0〜10スケールで)[Daumanら、Acta Oto−Laryngologica.2005.125:503〜509]。
【0197】
臨床試験B
研究デザイン
耳鳴患者集団におけるプラセボと比較しての2−(S)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミドメタンスルホン酸とパロキセチンとの併用の単回投与および反復投与の影響を調査する、多施設2期間クロスオーバー二重盲検ランダム化プラセボ対照研究。
【0198】
耳鳴の対象は、それぞれ14日の2つの治療期間を受け、それらは、14日のウオッシュアウト区間によって分離される。治療薬は以下の通りである:
1.プラセボ
2.2−(S)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミドメタンスルホン酸25mg/日+パロキセチン20mg/日
【0199】
試験母集団
対象数
試験を完了する少なくとも35名の対象を得るために、試験に十分な対象を募集する。
【0200】
適格性基準
適格な対象は、標準化ONH訪問ならびに耳鏡検査および聴力図を含む検査に基づき、耳鳴の確定診断を有する18〜60歳の男女の対象である。メニエール病または耳硬化症など、障害が耳鳴と関連する場合も、対象は除外される。患者が耳鳴を起こしてから、少なくとも6ヵ月間経過していなければならない。
【0201】
エンドポイント
一次
プラセボと比較しての2−(S)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミドメタンスルホン酸25mg/日とパロキセチン20mg/日との併用の、単回投与(1日目)の後および/もしくは反復投与(14日目対1日目のベースラインで)の後の耳鳴音の大きさの変化[視覚的アナログ尺度(VAS)]、または耳鳴マッチングに及ぼす影響を測定すること。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耳鳴、聴力障害または耳鳴と聴力障害の治療薬の製造における、選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)と組み合わせたNK1受容体アンタゴニストの使用。
【請求項2】
NK1受容体が、式(I):
【化1】

[式中、
Rは、ハロゲン原子またはC1〜4アルキル基を表し;
R1は、水素またはC1〜4アルキル基を表し;
R2は、水素、C1〜4アルキル、C2〜6アルケニルまたはC3〜7シクロアルキル基を表し;あるいはR1およびR2は、それらがそれぞれ結合する窒素および炭素原子と一緒に5〜6員複素環基を表し;
R3は、トリフルオロメチル、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、トリフルオロメトキシまたはハロゲン基を表し;
R4は、水素、(CHR7または(CHCO(CHR7基を表し;
R5は、水素、C1〜4アルキルまたはCOR6基を表し;
R6は、水素、ヒドロキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、酸素、硫黄および窒素から選択される1から3個のヘテロ原子を含む5員ヘテロアリール基、または1から3個の窒素原子を含む6員ヘテロアリール基を表し;
R7は、水素、ヒドロキシまたはNR8R9を表し、ここで、R8およびR9は、独立して水素または、ヒドロキシもしくはアミノによって適宜置換されるC1〜4アルキルを表し;
R10は、水素、C1〜4アルキル基を表すか、または
R10はR2と一緒にC3〜7シクロアルキル基を表し;
mは、ゼロまたは1から3の整数であり;nは、ゼロまたは1から3の整数であり;pおよびrは、独立してゼロまたは1から4の整数であり;qは、1から4の整数である;
但し、R1およびR2が、それらがそれぞれ結合する窒素および炭素原子と一緒に5〜6員複素環基を表す場合、i)mは1または2であって;ii)mが1の時、Rはフッ素ではなく、iii)mが2の時、2つの置換基Rは両方ともにフッ素であることはない]
で示される化合物、あるいはその薬学的に許容されるその塩または溶媒和物である、請求項1記載の使用。
【請求項3】
NK1受容体が、式(II):
【化2】

[式中、
Rは、ハロゲン原子またはC1〜4アルキル基を表し;
は、C1〜4アルキル基を表し;
は、水素またはC1〜4アルキル基を表し;
は、水素またはC1〜4アルキル基を表し;
は、トリフルオロメチル基を表し;
は、水素、C1〜4アルキル基またはC(O)Rを表し;
は、C1〜4アルキル、C3〜7シクロアルキル、NH(C1〜4アルキル)またはN(C1〜4アルキル)を表し;
mは、ゼロまたは1から3の整数であり;
nは、1から3の整数である]
で示される化合物、あるいはその薬学的に許容される塩または溶媒和物である、請求項1記載の使用。
【請求項4】
NK1受容体が、式(III):
【化3】

[式中:
Rは、ハロゲンまたはC1〜4アルキルを表し;
は、C1〜4アルキルを表し;
またはRは、独立して水素またはC1〜4アルキルを表し;
は、トリフルオロメチル、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、トリフルオロメトキシまたはハロゲンを表し;
は、水素、C1〜4アルキルまたはC3〜7シクロアルキルを表し;
は水素であり、Rは式(W)
【化4】

の基であるか、あるいはRは式(W)の基であり、Rは水素であり;
Xは、CH、NRまたはOを表し;
Yは窒素を表し、ZはCHであり、あるいはYはCHを表し、Zは窒素であり;
AはC(O)またはS(O)を表すが、Yが窒素でありZがCHである場合、AはS(O)ではなく;
mは、ゼロまたは1から3の整数であり;
nは、1から3の整数であり;
pおよびqは、独立して1から2の整数である]
で示される化合物、あるいはその薬学的に許容される塩または溶媒和物である、請求項1記載の使用。
【請求項5】
NK1受容体が、2−(S)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、および2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4−(S)−((8aS)−6−オキソ−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]−ピラジン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物からなる群から選択される、請求項1記載の使用。
【請求項6】
SSRIがパロキセチンである、請求項1から5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
耳鳴、聴覚障害、または耳鳴と聴覚障害の治療薬の製造における、パロキセチンと組み合わせた2−(S)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチル−アミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用。
【請求項8】
耳鳴、聴覚障害、または耳鳴と聴覚障害の治療薬の製造における、パロキセチンと組み合わせた4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用。
【請求項9】
耳鳴、聴覚障害、または耳鳴と聴覚障害の治療薬の製造における、パロキセチンと組み合わせた2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4−(S)−((8aS)−6−オキソ−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]−ピラジン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用。

【公表番号】特表2010−506884(P2010−506884A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532805(P2009−532805)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061144
【国際公開番号】WO2008/046882
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】