説明

OHV式エンジン

【課題】第1,第2機関弁を,クランク軸の軸線と平行で且つシリンダボアの軸線を含む平面の両側に配置しても,それらを開閉駆動し得るプッシュロッド式動弁装置を得る。
【解決手段】動弁装置35を,カム軸36と平行に配置される第1,第2ロッカ軸48a,48bと,第1ロッカ軸48aに支持されてカム軸36に第1,第2プッシュロッド40a,40bを介して連接する第1,第2ロッカアーム42a,42bと,第2ロッカ軸48bに支持されて第1ロッカアーム42aに第1リンク43aを介して連接すると共に,第2機関弁29eに当接させる第3ロッカアーム42cと,第2ロッカ軸48bに支持されて第2ロッカアーム42bに第2リンク43bを介して連接する第4ロッカアーム42dと,第1ロッカ軸48aに支持されて第4ロッカアーム42dに連接すると共に,第1機関弁29iに当接させる第5ロッカアーム42eとで構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,シリンダヘッドに設けられる第1,第2機関弁を,クランクケースにクランク軸と平行に支持されるカム軸により,プッシュロッド及びロッカアームを介して開閉駆動するようにした動弁装置を備えるOHV式エンジンの改良に関する。上記第1機関弁は,吸,排気弁の一方を意味し,第2機関弁は,吸,排気弁の他方を意味する。
【背景技術】
【0002】
従来,かゝるOHV式エンジンとして,特許文献1に開示されるように,クランクケースに鉛直姿勢で支持されるクランク軸の上端部に冷却ファンを付設し,この冷却ファンにより発生した冷却風を,シリンダヘッドに対して上下方向へ流すように誘導するシュラウドを備え,シリンダヘッドに設けられる第1,第2機関弁をカム軸の軸線に沿う方向に沿って上下に配列し,これら第1,第2機関弁を開閉駆動する動弁装置を,カム軸の第1,第2カムによりそれぞれ昇降駆動される第1,第2プッシュロッドと,シリンダヘッドに軸支されて第1,第2プッシュロッド及び第1,第2機関弁の各間を連接する第1,第2ロッカアームとで,プッシュロッド式に構成したものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59−70838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の上記エンジンは,クランクケースに連なるシリンダブロック及びシリンダヘッドが水平方向に向けて配置されることで,その全高を低く抑えて低重心化を図ることができるため,芝刈り機,その他の各種作業機の動力源となる汎用エンジンとして有効である。しかしながら,シリンダヘッドでは,吸,排気弁を上下に配列しているため,冷却風が強く当たるシリンダヘッドの上面に近い一方の機関弁の冷却は良好となるが,その下側に位置する他方の機関弁の冷却性は低下することになる。
【0005】
そこで,第1及び第2機関弁を,クランク軸の軸線と平行で且つシリンダボアの軸線を含む鉛直面の両側に配置すれば,第1,第2機関弁は,共にシリンダヘッドの,冷却風が強く当たる上面からの距離が等しくなり,両機関弁の冷却性を高めることができる。しかしながら,このように配置した第1,第2機関弁を,上記構成の動弁装置をもって開閉駆動することはできない。
【0006】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,第1,第2機関弁を,クランク軸の軸線と平行で且つシリンダボアの軸線を含む平面の両側に配置しても,それらを開閉駆動し得るプッシュロッド式動弁装置を備えるエンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために,本発明は,シリンダヘッドに設けられる第1,第2機関弁を,クランク軸の軸線と平行で且つシリンダボアの軸線を含む平面の両側に配置し,これら第1,第2機関弁を,クランクケースにクランク軸と平行に支持されるカム軸により開閉駆動する動弁装置を備えるOHV式エンジンであって,前記動弁装置を,シリンダヘッドに支持されて前記平面と前記第1,第2機関弁との各間にそれぞれ前記カム軸と平行に配置される第1,第2ロッカ軸と,前記第1ロッカ軸にそれぞれ揺動自在に支持されて各一端を前記カム軸の第1,第2カムに第1,第2プッシュロッドを介してそれぞれ連接する第1,第2ロッカアームと,前記第2ロッカ軸に揺動自在に支持されて一端を前記第1ロッカアームの他端に第1リンクを介して連接すると共に,他端を前記第2機関弁の頭部に押圧可能に当接させる第3ロッカアームと,前記第2ロッカ軸に揺動自在に支持されて一端を前記第2ロッカアームの他端に第2リンクを介して連接する第4ロッカアームと,前記第1ロッカ軸に揺動自在に支持されて一端を前記第4ロッカアームの他端に連接すると共に,他端を前記第1機関弁の弁頭に押圧可能に当接させる第5ロッカアームとで構成したことを第1の特徴とする。尚,前記第1,第2機関弁は,後述する本発明の実施形態中の吸,排気弁29i,29eにそれぞれ対応し,また前記平面は,同実施形態中の鉛直面Pに対応する。
【0008】
また本発明は,クランクケースに鉛直姿勢で支持されるクランク軸の一端部に,これにより駆動される冷却ファンを付設し,この冷却ファンにより発生した冷却風を,シリンダヘッドに対して上下方向へ流すように誘導するシュラウドを備え,また第1,第2機関弁を,クランク軸の軸線と平行で且つシリンダボアの軸線を含む鉛直面の両側に配置し,これら第1,第2機関弁を,クランクケースにクランク軸と平行に支持されるカム軸により開閉駆動する動弁装置を備えるOHV式エンジンであって,前記動弁装置を,シリンダヘッドに支持されて前記鉛直面と前記第1,第2機関弁との各間にそれぞれ前記カム軸と平行に配置される第1,第2ロッカ軸と,前記第1ロッカ軸にそれぞれ揺動自在に支持されて各一端を前記カム軸の第1,第2カムに第1,第2プッシュロッドを介してそれぞれ連接する第1,第2ロッカアームと,前記第2ロッカ軸に揺動自在に支持されて一端を前記第1ロッカアームの他端に第1リンクを介して連接すると共に,他端を前記第2機関弁の頭部に押圧可能に当接させる第3ロッカアームと,前記第2ロッカ軸に揺動自在に支持されて一端を前記第2ロッカアームの他端に第2リンクを介して連接する第4ロッカアームと,前記第1ロッカ軸に揺動自在に支持されて一端を前記第4ロッカアームの他端に連接すると共に,他端を前記第1機関弁の弁頭に押圧可能に当接させる第5ロッカアームとで構成したことを第2の特徴とする。
【0009】
さらに本発明は,第2の特徴に加えて,前記第1,第2機関弁間に,この両弁間の距離がそれぞれの弁頭に向かって広がる挟み角を付与し,これら第1,第2機関弁の間を通るようにシリンダヘッドを上下方向に貫通する通風孔を設けたことを第3の特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の特徴によれば,吸,排気弁は,クランク軸の軸線と平行で且つシリンダボアの軸線を含む平面の両側に配置されるにも拘らず,それら吸,排気弁を,クランク軸に平行なカム軸を備えるプッシュロッド式の動弁装置により開閉駆動することができる。
【0011】
本発明の第2の特徴によれば,クランクケースに鉛直姿勢で支持されるクランク軸の一端部に,これにより駆動される冷却ファンを付設し,この冷却ファンにより発生した冷却風を,シリンダヘッドに対して上下方向へ流すように誘導するシュラウドを備え,吸,排気弁は,クランク軸の軸線と平行で且つシリンダブロックのシリンダボアの軸線を含む鉛直面の両側に配置されるので,冷却風が強く当たるシリンダヘッドの上面又は下面の放熱の影響を略等しく受けることになり,これら吸,排気弁の冷却が共に効果的に促進され,吸,排気効率の向上により,エンジン出力の向上とエミッションの低減を図ることができる。しかも,前記配置の吸,排気弁を,クランク軸に平行なカム軸を備えるプッシュロッド式の動弁装置により開閉駆動することができる。
【0012】
本発明の第3の特徴によれば,吸,排気弁間に挟み角を付与することで,燃焼室を,混合気の燃焼を良好にし得るペントルーフ型に形成することができるのみならず,吸,排気弁間に大きな通風孔を設けることができ,したがって比較的大量の冷却風が通風孔を通過して通風孔の周壁からの放熱を促すことで,それに近接した吸,排気弁の冷却を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るバーチカル型OHV式空冷エンジンの縦断平面図。
【図2】図1の2−2線拡大断面図。
【図3】図2の3−3線断面図。
【図4】図2の4−4線断面図。
【図5】図3の5矢視方向から見た動弁装置の底面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を添付図面に基づいて以下に説明する。
【0015】
先ず,図1において,バーチカル型OHV式空冷エンジン(以下,単にエンジンという。)Eのエンジン本体1は,クランクケース2と,このクランクケース2の開放した下端面に接合されるオイルパン3と,このクランクケース2の一側に一体に連設されて水平に配置されるシリンダブロック4と,このシリンダブロック4の端面にガスケット5を介して接合されるシリンダヘッド6とより構成され,シリンダブロック4及びシリンダヘッド6は,複数のボルト7(図2参照)により相互に結合される。これらシリンダブロック4及びシリンダヘッド6の各外周には放熱フィン8,9が形成される。
【0016】
クランクケース2にはボールベアリング10が装着され,オイルパン3には軸受ボス11が一体に形成され,これらによって鉛直姿勢のクランク軸12の上下両端部が回転自在に支承される。
【0017】
シリンダブロック4に形成される水平方向のシリンダボア4aにはピストン15が摺動可能に嵌装され,このピストン15は,コンロッド16を介してクランク軸12に連接される。
【0018】
クランク軸12の上端部には,フライホイール17がキー結合されると共に,このフライホイール17と,その上端面に重ねられる遠心式の冷却ファン18と,この冷却ファン18の中心部上端面に重ねられる始動筒19とがナット20により固着される。したがって,冷却ファン18はフライホイール17と共にクランク軸12により回転駆動されるようになっている。
【0019】
エンジン本体1の上面には,冷却ファン18を囲みながらシリンダヘッド6側へ延びるシュラウド21の周縁部が,エンジン本体1の上面に突設される複数のボス22(図1にはそのうちの1個のみ示す。)にボルト23により固着される。このシュラウド21の,冷却ファン18に対向する部分には,上方へ膨出したルーバ24が連結され,このルーバ24の内壁に,前記始動筒19と協働してクランク軸12をクランキングし得るリコイル式のスタータ26が取り付けられる。
【0020】
ルーバ24は複数の冷却風導入孔25を有しており,またシュラウド21は,冷却ファン18の回転により,冷却風導入孔25から導入した冷却風Wをシリンダヘッド6に対して,その上方から下方へ向けて誘導するようになっている。
【0021】
図2〜図4に示すように,シリンダヘッド6には,ピストン15の頂面が臨む燃焼室27と,この燃焼室27に開口する吸気ポート28i及び排気ポート28eとが形成されると共に,これら吸気ポート28i及び排気ポート28eの燃焼室27への各開口端部をそれぞれ開閉する吸気弁29i及び排気弁29eが取り付けられ,また燃焼室27に電極を臨ませる点火プラグ30(図2,図5参照)が螺着される。吸気ポート28iには気化器31が,また排気ポート28eにはマフラ32がそれぞれ接続される。
【0022】
図2〜図4に明示するように,吸気弁29i及び排気弁29eは,クランク軸12の軸線Yと平行で且つシリンダボア4aの軸線Xを含む鉛直面Pの両側に配置される。またこれら吸,排気弁29i,29eは,両弁29i,29e間の間隔が,それらの弁頭に向かって広くなるように配置されることにより,両弁29i,29e間に挟み角θが付与され,これによって前記燃焼室27は,混合気の燃焼を良好にし得るペントルーフ型に形成される。
【0023】
さらにシリンダヘッド6には,上記吸気弁29i及び排気弁29eの間を通るようにシリンダヘッド6を上下方向に貫通する通風孔33が設けられ,この通風孔33の入口近傍に前記点火プラグ30が配置される。
【0024】
上記吸気弁29i及び排気弁29eを開閉駆動するプッシュロッド式の動弁装置35が次の構成される。
【0025】
即ち,動弁装置35は,吸,排気カム36i,36eを有してクランク軸12と平行に配置されるカム軸36(図1,図3,図5参照)と,クランク軸12及びカム軸36間を連結するタイミングギヤ列37と,シリンダブロック4の横方向一側部に形成されるガイド孔38a,38bに摺動自在に支承されて前記吸,排気カム36i,36eにそれぞれ摺接可能に当接する第1,第2タペット39a,39bと,これら第1,第2タペット39a,39bの各先端に各一端を球面係合させる第1,第2プッシュロッド40a,40bと,吸,排気弁29i,29e間においてシリンダヘッド6の端面に一体に突設される第1,第2支柱47a,47b(図2〜図4参照)に支持されて前記鉛直面Pと吸,排気弁29i,29eとの各間にそれぞれカム軸36と平行に配置される第1,第2ロッカ軸48a,48bと,第1ロッカ軸48aにそれぞれ揺動自在に支持されて各一端を第1,第2プッシュロッド40a,40bの他端にそれぞれ球面係合させる第1,第2ロッカアーム42a,42bと,第2ロッカ軸48bに揺動自在に支持されて一端を前記第1ロッカアーム42aの他端に第1リンク43aを介して連接すると共に,他端を排気弁29eの頭部に弁頭調整ボルト41bを介して押圧可能に当接させる第3ロッカアーム42cと,前記第2ロッカ軸48bに揺動自在に支持されて一端を第2ロッカアーム42bの他端に第2リンク43bを介して連接する第4ロッカアーム42dと,第1ロッカ軸48aに揺動自在に支持されて一端を第4ロッカアーム42dの他端に連接すると共に,他端を吸気弁29iの弁頭に弁頭調整ボルト41aを介して押圧可能に当接させる第5ロッカアーム42eと,吸,排気弁29i,29eにそれぞれ装着されて各弁を閉じ方向に付勢する第1,第2弁ばね43a,43bとで構成される。尚,第1及び第2リンク43a,43bと,それに隣接するロッカアームとの連接部は球面係合部で構成される。
【0026】
前記カム軸36は,クランクケース2とオイルパン3にそれぞれ形成される軸受ボス45a,45b(図1参照)により回転自在に支承され,前記タイミングギヤ列37(図1及び図3参照)は,オイルパン3の軸受ボス11の内端に隣接してクランク軸12に固設される駆動ギヤ37aと,カム軸36に一体に形成されて駆動ギヤ37aから1/2の減速比で駆動される従動ギヤ37bとよりなっている。
【0027】
またシリンダブロック4及びシリンダヘッド6の横方向一側部に,前記ガイド孔38a,38bと連通するように形成されるプッシュロッド通路46が形成され,このプッシュロッド通路46に前記第1,第2プッシュロッド40a,40bが収容される。その際,これら第1,第2プッシュロッド40a,40bは,それらの間に前記吸気ポート28iを挟むように配置される(図5参照)。
【0028】
シリンダヘッド6には,シリンダヘッド6上の動弁装置35を覆うヘッドカバー50がシール部材51を介して複数のボルト52(図3参照)により接合される。
【0029】
次に,この実施形態の作用について説明する。
【0030】
エンジンEの運転中,カム軸36がクランク軸12よりタイミングギヤ列37を介して回転駆動されると,吸,排気カム36i,36eが第1,第2タペット39a,39bを介して第1,第2プッシュロッド40a,40bを交互にリフトさせる。
【0031】
而して,第2プッシュロッド40bがリフトされると,そのリフト力が第1ロッカアーム42a,第1リンク43a,第3ロッカアーム42cへと順次伝達することにより,第3ロッカアーム42cが第2弁ばね44bのセット荷重に抗して揺動しながら排気弁29eを開弁する。排気カム36eが第2タペット39bを解放すると,第2弁ばね44bの反発力で第3ロッカアーム42c等を押し戻しながら排気弁29eを閉弁する。
【0032】
また第1プッシュロッド40aがリフトされると,そのリフト力が第2ロッカアーム42b,第2リンク43b,第4ロッカアーム42d,第5ロッカアームへと順次伝達することにより,第5ロッカアーム42eが第1弁ばね44aのセット荷重に抗して揺動しながら吸気弁29iを開弁する。吸気カム36iが第1タペット39aを解放すると,第1弁ばね44aの反発力で第5ロッカアーム42e等を押し戻しながら吸気弁29iを閉弁する。
【0033】
このように,吸,排気弁29i,29eは,クランク軸12の軸線Yと平行で且つシリンダボア4aの軸線Xを含む鉛直面Pの両側に配置されるにも拘らず,これら吸,排気弁29i,29eをプッシュロッド式の動弁装置35により開閉駆動することができる。
【0034】
一方,クランク軸12により回転駆動される冷却ファン18は,ルーバ24の冷却風導入孔25より外気を冷却風として取り入れて半径方向外方へ圧送する。すると,その冷却風Wは,シュラウド21により誘導されてシリンダヘッド6側へ流れ,そして冷却ファン18と同側のシリンダヘッド6の上面6aから,その周囲及び通風孔33を下方へ向かって流れ,シリンダヘッド6を冷却していく。その際,冷却風Wは,シリンダヘッド6の上面6aに強く当たるので,その上面6aからの放熱が特に良好に行われる。
【0035】
ところで,吸,排気弁29i,29eは,クランク軸12の軸線Yと平行で且つシリンダブロック4のシリンダボア4aの軸線Xを含む鉛直面Pの両側に配置されるので,シリンダヘッド6の上面6aの放熱の影響を略等しく受けることになり,これら吸,排気弁29i,29eの冷却が共に効果的に促進され,吸,排気効率の向上により,エンジン出力の向上とエミッションの低減を図ることができる。
【0036】
さらに挟み角θを付与される吸,排気弁29i,29e間には,上下方向に延びる大きな通風孔33が設けられるので,比較的大量の冷却風Wが通風孔33を通過して通風孔33の周壁からの放熱を促し,それに近接した吸,排気弁29i,29eの冷却を促進することができる。
【0037】
しかも通風孔33の入口近傍には点火プラグ30が配置されるので,通風孔33に流入する冷却風Wにより点火プラグ30の冷却をも図ることができ,その耐久性の向上に寄与し得る。
【0038】
本発明は,上記実施形態に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,冷却ファン18をクランク軸12の下端部に取り付け,冷却ファン18で発生した冷却風をシリンダヘッド6の下面側から上方へ流すようにすることもできる。また上記実施形態において,吸気弁29iと排気弁29i,29eとの配置を互いに逆にすることもできる。
【符号の説明】
【0039】
E・・・・・OHV式エンジン
P・・・・・平面,鉛直面
X・・・・・シリンダボアの軸線
Y・・・・・クランク軸の軸線
θ・・・・・吸,排気弁間の挟み角
2・・・・・クランクケース
4・・・・・シリンダブロック
4a・・・・シリンダボア
6・・・・・シリンダヘッド
21・・・・シュラウド
29i,29e・・・吸,排気弁
33・・・・通風孔
35・・・・動弁装置
36・・・・カム軸
36i,36e・・・吸,排気カム
40a,40b・・・第1,第2プッシュロッド
42a〜42e・・・第1〜第5ロッカアーム
43a,43b・・・第1,第2リンク
48a,48b・・・第1,第2ロッカ軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダヘッド(6)に設けられる第1,第2機関弁(29i,29e)を,クランク軸(12)の軸線(Y)と平行で且つシリンダボア(4a)の軸線(X)を含む平面(P)の両側に配置し,これら第1,第2機関弁(29i,29e)を,クランクケース(2)にクランク軸(12)と平行に支持されるカム軸(36)により開閉駆動する動弁装置(35)を備えるOHV式エンジンであって,
前記動弁装置(35)を,
シリンダヘッド(6)に支持されて前記平面(P)と前記第1,第2機関弁(29i,29e)との各間にそれぞれ前記カム軸(36)と平行に配置される第1,第2ロッカ軸(48a,48b)と,
前記第1ロッカ軸(48a)にそれぞれ揺動自在に支持されて各一端を前記カム軸(36)の第1,第2カム(36i,36e)に第1,第2プッシュロッド(40a,40b)を介してそれぞれ連接する第1,第2ロッカアーム(42a,42b)と,
前記第2ロッカ軸(48b)に揺動自在に支持されて一端を前記第1ロッカアーム(42a)の他端に第1リンク(43a)を介して連接すると共に,他端を前記第2機関弁(29e)の頭部に押圧可能に当接させる第3ロッカアーム(42c)と,
前記第2ロッカ軸(48b)に揺動自在に支持されて一端を前記第2ロッカアーム(42b)の他端に第2リンク(43b)を介して連接する第4ロッカアーム(42d)と,
前記第1ロッカ軸(48a)に揺動自在に支持されて一端を前記第4ロッカアーム(42d)の他端に連接すると共に,他端を前記第1機関弁(29i)の弁頭に押圧可能に当接させる第5ロッカアーム(42e)とで構成したことを特徴とするOHV式エンジン。
【請求項2】
クランクケース(2)に鉛直姿勢で支持されるクランク軸(12)の一端部に,これにより駆動される冷却ファン(18)を付設し,この冷却ファン(18)により発生した冷却風(W)を,シリンダヘッド(6)に対して上下方向へ流すように誘導するシュラウド(21)を備え,また第1,第2機関弁(29i,29e)を,クランク軸(12)の軸線(Y)と平行で且つシリンダボア(4a)の軸線(X)を含む鉛直面(P)の両側に配置し,これら第1,第2機関弁(29i,29e)を,クランクケース(2)にクランク軸(12)と平行に支持されるカム軸(36)により開閉駆動する動弁装置(35)を備えるOHV式エンジンであって,
前記動弁装置(35)を,
シリンダヘッド(6)に支持されて前記鉛直面(P)と前記第1,第2機関弁(29i,29e)との各間にそれぞれ前記カム軸(36)と平行に配置される第1,第2ロッカ軸(48a,48b)と,
前記第1ロッカ軸軸(48a,48b)にそれぞれ揺動自在に支持されて各一端を前記カム軸(36)の第1,第2カム(36i,36e)に第1,第2プッシュロッド(40a,40b)を介してそれぞれ連接する第1,第2ロッカアーム(42a,42b)と,
前記第2ロッカ軸(48b)に揺動自在に支持されて一端を前記第1ロッカアーム(42a)の他端に第1リンク(43a)を介して連接すると共に,他端を前記第2機関弁(29e)の頭部に押圧可能に当接させる第3ロッカアーム(42c)と,
前記第2ロッカ軸(48b)に揺動自在に支持されて一端を前記第2ロッカアーム(42b)の他端に第2リンク(43b)を介して連接する第4ロッカアーム(42d)と,
前記第1ロッカ軸(48a)に揺動自在に支持されて一端を前記第4ロッカアーム(42d)の他端に連接すると共に,他端を前記第1機関弁(29i)の弁頭に押圧可能に当接させる第5ロッカアーム(42e)とで構成したことを特徴とするOHV式エンジン。
【請求項3】
請求項2記載のOHV式エンジンにおいて,
前記第1,第2機関弁(29i,29e)間に,この両弁(29i,29e)間の距離がそれぞれの弁頭に向かって広がる挟み角(θ)を付与し,これら第1,第2機関弁(29i,29e)の間を通るようにシリンダヘッド(6)を上下方向に貫通する通風孔(33)を設けたことを特徴とするOHV式エンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−113265(P2013−113265A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262327(P2011−262327)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】