説明

RFトランスポンダ用の統合アンテナ糸を備える帯状織物

本発明は、RFトランスポンダ用の統合アンテナ糸を含む帯状織物に関する。本発明の目的は、簡単で柔軟な方法で帯状織物を生産し、かつ短絡の危険性を回避することである。これを達成するために、帯状体はニードル織機で生産される基布(2、2a)から構成される。アンテナ糸(4、4a、4b)は、前記織物の生産中に波状またはジグザグ状に基布上に載せられ、アンテナ糸ループの糸脚(14a、14b)と帯状体の少なくとも1つの縁(8)との間の距離は緯糸2本分である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFトランスポンダ用の統合アンテナ糸を備えた帯状織物に関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭に述べたタイプの帯状織物は、例えばWO0136728から公知である。そこでは、例えばアンテナとして働く導電路は、とりわけ基布の連続緯糸として導入されている。このことの不利な点は、導電糸の個々の糸脚が相互に近接しており、前記導電糸に複雑な絶縁体を設けない限り、絶えず短絡の危険性が存在することである。
【0003】
US6677917は、例えばRFトランスポンダとして知られている無線周波数トランスポンダを固定することができ、かつ統合アンテナを有する、例えば衣料品のような織物を開示している。しかしながら、この文献はそのようなアンテナ糸をどのように織物に固定するかを詳述していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、製造中にアンテナ糸を中に組み込むことができ、前記アンテナ糸の短絡の危険性を回避する、帯状織物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
設定された目的は、請求項1の特徴的性質によって達成される。
【0006】
前記アンテナ糸を基布上に配設することによって、前記アンテナ糸は、一方では簡単な方法で基布に接続することが可能となり、他方では、所要長さの前記アンテナ糸を帯状織物の比較的短い部分に分布させることができるように蛇行状またはジグザグ状に取付けることが可能となる。さらに、少なくとも1つの帯縁におけるアンテナ糸ループの前記糸脚の間隔は、前記基布の少なくとも2本の緯糸になるため、このことは前記アンテナ糸の隣接糸脚が相互に接触しないことを確実にしており、それ故に前記アンテナ糸の所要長さに悪影響を及ぼす短絡が解消されることとなる。
【0007】
本発明の有利な改良を請求項2〜6に記載する。
【0008】
請求項2によると、前記アンテナ糸は固定点に基布の緯糸が通過するループを持つことが可能である。この設計は比較的単純であるが、前記アンテナ糸の係止点が前記基布の反対側に見えるという不利な点を有する。
【0009】
請求項3に記載する改良はより有利であり、請求項3によると、前記アンテナ糸は緯糸ループのように配設されることとなる。前記アンテナ糸は一方の帯縁に緯入れされ、少なくとも1目のステッチを用いて他方の帯縁に固定されている。前記アンテナ糸を前記基布に固定するために、その都度に各アンテナ糸ループの糸脚の各組合わせの上方に配設される少なくとも1つの浮き経糸が存在している。請求項4によると、アンテナ糸の上に浮く経糸が、接着性または融着可能であるように設計され、前記アンテナ糸に点状に接着接合または融着されると、特に有利である。
【0010】
請求項5によると、前記アンテナ糸の長さは配設される前記RFトランスポンダと公知の方法で合わされることとなる。
【0011】
請求項6に記載する改良は特に有利であり、請求項6によると、前記帯状織物は原則的に複数のラベルを有するラベルストリップとして設計され、各ラベルは予め定められた長さのアンテナ糸を備えている。次いで前記個々のラベルは前記ラベルストリップから分離され、個別のラベルを形成している。各々のそのようなラベルは、対応するRFトランスポンダを装備しているか、あるいは装備状態にすることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下で、本発明の例示的実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1〜図3は帯状織物の詳細を示しており、基布2はニードル織機で通常の方法で生産されている。基布は、ここでは詳細に示していない経糸を備え、同様にここでは詳細に示していない緯糸ループが経糸に結束されている。緯糸ループは緯入れニードルを用いて片側から公知の方法で緯入れされ、反対側で編針を用いて係止されている。この場合、緯糸ループは様々な方法で編針を用いて係止することが可能であり、緯糸ループはそれ自体にまたは補助糸を用いて固定されている。
【0014】
アンテナ糸4はこの基布2に蛇行状に配設される。アンテナ糸4は、緯糸ループのように配設され、一方の帯縁6から緯入れされ、その都度ステッチ10によって他方の帯縁8に固定されることとなる。特に図2および図3から推測されるように、アンテナ糸4を固定するために、アンテナ糸ループの糸脚14a,14bの組合せの上方にその都度走行する浮き経糸12が存在している。浮き経糸は、接着性を有しまたは融着可能であるように設計され、アンテナ糸に点状に接着接合または融着されることが好ましい。
【0015】
図1〜図3の実施例では、アンテナ糸ループの糸脚14a,14bは平行に走行し、糸脚の間隔は両方の帯縁6,8で基布の複数本の緯糸になる。
【0016】
アンテナ糸を備えるそのような帯状織物を生産するために、例えばDE2400101C、EP0121648A、GB2146665A、US5564477A、およびCH663629Aに記載されているような、例えばニードル織機および緯入れニードルが存在する。アンテナ糸ループを緯入れするために、基布2の製織運転は停止され、浮き経糸12および基布の経糸から補助杼口が形成され、次いでアンテナ糸が帯縁6から前記補助杼口内に緯入れされ、ステッチ10を形成するように補助糸を用いて反対側の帯縁8で係止されている。次いで、アンテナ糸ループの糸脚14a,14bを所望の間隔にすることを達成するために必要な基布の経糸の本数だけ、この補助杼口は開口した状態に維持される。次いで基布の製織運転の再停止が行われ、第2ステッチ10aによってアンテナ糸ループの係止が行われ、その後補助杼口が閉じられる。アンテナ糸ループはまた、2目のステッチ10,10aより多くのステッチで固定することも可能である。各ステッチ10,10aの上方には別個の経糸12aが走行する。所望の長さのアンテナ糸が配設されるまで、アンテナ糸ループの緯入れのたびに、当該操作が繰り返される。
【0017】
図4は、図1〜図3の帯状織物と同様の方法で構成され生産されるが、この場合、アンテナ糸4aがジグザグ状に走行する、さらなる帯状織物を示す。この目的のために、緯入れされたアンテナ糸ループは、1目のステッチ10だけで帯縁8に係止される。アンテナ糸ループの糸脚14a,14bは、一方の帯縁8では1本の経糸の間隔を有し、他方の帯縁6だけが基布の複数本の経糸の間隔を有することとなる。
【0018】
図5は、基布2aをニードル織機で生産した帯状織物のさらなる実施例を示す。本目的のために、基布の緯糸16は一方の帯縁6から緯入れされ、ここでは詳細に示していない例えばCH490541に示されるような公知の方法で、編針を用いて他方の帯縁8で係止される。アンテナ糸4bは基布2a上にジグザグ状に配設される。接続点18で、アンテナ糸4bはループ20を形成し、ループ20に基布の緯糸16が通される。この帯状織物の生産は、アンテナ糸4bが、経糸杼口の上方に供給され、固定点でダガーによって開口した織物の杼口内に導入されるという、例えばCH490541に従って行われる、そのため、その都度、対応する基布の緯糸16がループ20を貫通して固定することができるようになる。この固定技術は、一方では比較的複雑であり、他方ではアンテナ糸4bのループ20が帯状織物の反対側に見えるという不利な点を有する。ここでもまた、図4の実施例の場合と同様に、アンテナ糸ループの糸脚の間隔は、一方の帯縁では基布の緯糸のわずか1本分になり、他方の帯縁では基布の緯糸の複数本分になることとなる。
【0019】
帯状織物は、印刷および/または織込み画像および文字を設けることのできる連続ラベルを携行する公知のラベルストリップとして設計されることが好ましい。そのようなラベルストリップは同様に、公知の方法で個別ラベルに細分化されることとなる。
【0020】
そのようなラベルは例えば、868MHz用に設計されて、約17cmの長さの対応アンテナ糸を必要とする、RFトランスポンダを装備することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】アンテナ糸が蛇行状に配設された帯状織物の平面図である。
【図2】図1の帯状織物のII−II断面図である。
【図3】図1の帯状織物のIII−III断面図である。
【図4】アンテナ糸がジグザグ状に配設されたさらなる帯状織物の平面図である。
【図5】アンテナ糸がジグザグ状に配設されたさらなる帯状織物の平面図である。
【符号の説明】
【0022】
2 基布
2a 基布
4 アンテナ糸
4a アンテナ糸
4b アンテナ糸
6 帯縁
8 帯縁
10 ステッチ
10a ステッチ
12 浮き経糸
12a 浮き経糸
14a 糸脚
14b 糸脚
16 基布緯糸
18 接続点
20 ループ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFトランスポンダ用の統合アンテナ糸を備え、基布をニードル織機で緯入れニードルを用いて生産し、前記基布の生産と同時に、アンテナ糸ループの糸脚(14a,14b)の間隔が少なくとも一方の帯縁(8)で前記基布の経糸の少なくとも2本分になるように、前記基布上にアンテナ糸(4,4a,4b)を蛇行状またはジグザグ状に配設している、帯状織物を製造するための方法であって、
前記基布(2)の製織運転を停止し、浮き経糸(12)および前記基布の経糸から補助杼口を形成し、次いでアンテナ糸ループを帯縁(6)から前記補助杼口内に緯入れし、かつ反対側の帯縁(8)でステッチ(10)を形成するように補助糸を用いて係止し、所望の長さの前記アンテナ糸が配設されるまで、前記アンテナ糸ループの緯入れのたびに前記操作を繰り返すことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記アンテナ糸ループの糸脚(14a,14b)が所望の間隔を達成するために必要な前記基布の経糸の本数だけ、前記補助杼口は開口した状態に維持されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アンテナ糸ループが、少なくとも2本のステッチ(10,10a)を用いて形成されていることを特徴とする請求項1および2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記アンテナ糸(4,4a,4b)上の浮き経糸が、接着性のあるまたは融着可能であるように設計され、前記アンテナ糸に点状に接着接合または融着されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記アンテナ糸(4,4a,4b)の長さが、配設されるRFトランスポンダに合わされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記帯状織物が、複数のラベルを備えたラベルストリップとして設計されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
RFトランスポンダ用の統合アンテナ糸を備えるラベルストリップであって、請求項6に従って生産され、かつ各ラベルが予め定められた長さのアンテナ糸(4,4a,4b)を備えていることを特徴とするラベルストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−513613(P2008−513613A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531561(P2007−531561)
【出願日】平成17年8月19日(2005.8.19)
【国際出願番号】PCT/CH2005/000484
【国際公開番号】WO2006/029543
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(500031009)テクスティルマ・アクチェンゲゼルシャフト (22)
【Fターム(参考)】