説明

RFIDを用いた対象の位置をベースとしたセキュリティ

RFIDタグを使用して、無線ネットワークシステムへのアクセスを制御するシステムおよび方法が提供される。上記セキュリティシステムおよび方法は携帯計算装置の場所を決定するために、RFIDタグを使用し、携帯計算装置の決定された場所に基づいて、無線ネットワークシステムへのアクセスを選択的に可能にする。例えば、上記セキュリティシステムおよび方法は、携帯計算装置が、アクセスが許可されたエリアに存在すると決定された場合に、無線ネットワークシステムへのアクセスを許可し、逆に、携帯計算装置が、アクセスが許可されたエリア内に存在しないと決定された場合に、無線ネットワークシステムへのアクセスを否定する。このようにして、上記セキュリティシステムおよび方法は、指定されたエリア内にある携帯装置のみにアクセスを許可することによって、無線ネットワークシステムへのアクセスを効果的に制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、ネットワークシステムに関し、より詳細には、無線ネットワークセキュリティおよび無線周波数識別タグ(RFID)に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のコンピュータネットワークシステムにおいて、向上したセキュリティに対する多大な必要性が存在する。このことは、コンピュータネットワークに対しての不正なアクセスを防ぎ、同時に、正当なユーザに対しては、効果的かつ費用効率的な方法にて、必要とされるアクセスを提供することを含む。不正なアクセスおよび多様に異なるタイプの攻撃に対して特に影響を受け易いような性質のあるワイヤレスコンピュータネットワークにおいて、セキュリティは特に重要である。
【0003】
ワイヤレスネットワーク上の攻撃は、例えば、受動的攻撃、能動的攻撃、中間者攻撃、およびジャミング(jamming)攻撃などの、いくつかの形態にて現れ得る。受動的攻撃は、通常、盗聴の形態にて現れ、攻撃者は、ユーザのバスワードなどのセキュリティ上の情報を捕らえるために、ネットワークのトラフィックを聞く。能動的攻撃は通常、悪意を持って、攻撃者がネットワーク動作を実行することを含む。中間者攻撃は通常、ネットワークのトラフィックを他所の目的場所へと向け直すために、不正アクセスポイントをセットアップする攻撃者を含む。最後に、ジャミングは通常、アクセスポイントの管理に対する制御を得て、正当なユーザに対するサービスの拒否をトリガする攻撃者を含む。
【0004】
多種多様なインプリメンテーションで増大する無線ネットワークの普及に伴い、無線ネットワークシステムに対するセキュリティは日増しに重大になっている。特に、ワイヤレスネットワーク上において、効果的に不正アクセスを防止し、攻撃を阻止する能力に対する強いニーズが存在する。不都合にも、無線ネットワークシステムに対してのセキュリティを提供する一部の以前の試みは、比較的低いレベルのセキュリティを提供していたか、または正当なネットワークユーザに対しての相当な不便さをもたらしていた。
【0005】
したがって、無線ネットワークに対するセキュリティを提供するための改善されたシステムおよび方法を提供することが所望される。さらに、本発明の他の望ましい特性および特徴もまた、添付の図面ならびに前述の技術分野および背景技術に関連して、以下に続く詳細な記載および添付された請求の範囲から明らかになる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、RFIDタグを用いて、無線ネットワークシステムへのアクセスを制御するセキュリティシステムおよび方法を提供する。セキュリティシステムおよび方法はRFIDタグを用いて、携帯計算装置の位置を決定する。本セキュリティシステムおよび方法は、携帯計算装置の決定された位置に基づいて、無線ネットワークシステムへのアクセスを選択的に可能にする。例えば、そのセキュリティシステムおよび方法は、携帯計算装置が許可されたアクセスのエリア内にあることが決定される場合、無線ネットワークシステムへのアクセスを許可する。逆に、本セキュリティシステムおよび方法は、携帯計算装置が許可されたアクセスのエリア内にはないと決定された場合、無線ネットワークシステムへのアクセスを拒否する。したがって、本システムおよび方法は、指定されたエリア内にあるモバイルデバイスに対してのみアクセスを許可することによって、無線ネットワークシステムに対するアクセスを効果的に制御することが可能である。このことは、指定されたエリア内におけるユーザの能力を制限することなしに、無線ネットワークにアクセスする外部のユーザの能力を制限する。本システムおよび方法は、さらなる高いレベルのセキュリティをネットワークシステムに提供するために、他のネットワークセキュリティ手段と組み合わされ得る。
【0007】
上述のように、本セキュリティシステムおよび方法は、携帯計算装置の位置を決定するためにRFIDタグを用いる。RFIDを用いてモバイルユニットの位置を決定するために用いられ得る一つの方法は、RFIDタグからの信号到達の位相差(PDOA)に基づく。この方法において、RFID読み取り機および距離計算器は、モバイルユニットに結合されるRFIDタグを用いて、モバイルユニットの位置を、効率的におよび正確に決定するために用いられ得る。この実施形態において、RFID読み取り機は、複数の信号をRFIDタグに送信し、それらの複数の信号は、異なる基本周波数を有する。それに応じて、RFIDタグの後方散乱(backscatter)は、複数の後方散乱変調(backscatter−modulate)された信号を形成するために、複数の送信信号を変調させる。距離計算器は、複数の後方散乱によって変調された信号の位相を決定し、送信信号の基本周波数における変化率に対する複数の後方散乱によって変調された信号における位相の変化率を決定し、この情報を用いてRFIDタグに対する距離を計算する。RFIDタグに対するこの距離は、次いで、許可されたアクセスエリア内にその携帯計算装置があるかどうかを決定するために用いられ得る。
【0008】
もう一つの特定の実施形態において、RFID読み取り機のアレイは、対象の位置を決定するために用いられる。この場合もまた、RFID読み取り機のそれぞれは、携帯計算装置に結合されたRFIDタグに対して複数の信号を送信し、各RFID読み取り機からの複数の信号は、異なる基本周波数を有する。それに応じて、RFIDタグ後方散乱は、複数の後方散乱を作成するために、複数の送信信号を変調させる。距離計算器は、複数の後方散乱によって変調された信号の位相を決定し、送信信号の基本周波数における変化率に対する、後方散乱によって変調された信号における位相の変化率を決定し、この情報を用いて、各RFID読み取り機とRFIDタグとの間における距離を計算する。RFID読み取り機のアレイまでの距離および読み取り機の既知の位置を用いると、携帯計算装置の正確な位置は、三辺測量の技術を用いて決定され得る。この位置から、携帯計算装置が許可されたアクセスエリア内であるのかどうか、および無線ネットワークシステムがその決定に基づいて許可され得るのか拒否され得るのかが決定され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の好適な例示的実施形態は、以下において、添付の図面に関連して記載され、同じ参照番号は同じ要素を示す。
【0010】
以下の詳細な記載は、本質的には単に例示であり、本発明または本発明の応用および使用を限定することを意図されているわけではない。さらに、前述の技術分野、背景技術、発明の開示、または以下の詳細な記載に提示された、任意の明示または暗示された理論によって規定されるようには意図されていない。
【0011】
一般に、本発明は、無線周波数識別(RFID;Radio Frequency Identification)タグを用いて対象の位置を見出すシステムおよび方法を提供する。本システムおよび方法は、対象の位置を効率的および正確に決定するために、送信信号の基本周波数に対して、RFIDタグからの後方散乱変調された信号の位相を用いる。
【0012】
RFIDは、RFIDタグが添えられた対象を識別するために、無線周波数スペクトルにおける電磁結合または静電結合の使用を組み入れた技術である。一般に、RFIDシステムは、直接的な接触、または視野方向のスキャンニングを必要としない利点を提供する。典型的なRFIDシステムは、RFID読み取り機、および目的の対象に添えられた複数のRFIDタグを含む。RFID読み取り機は、アンテナおよびトランシーバを含むか、またはアンテナを含み、トランシーバと結合される。RFID読み取り機は、複数のタグから一つ以上のタグを特定する識別子を送信することによって、一つ以上のタグを選択する能力を有する。RFID読み取り機がRFIDタグを選択する場合、RFIDタグは応答モードにされ、他のタグはミュート状態にされる。
【0013】
応答モードにされた場合、タグは、RFID読み取り機ンテナにて受信された、後方散乱された信号を変調することによって読み取り機にデータを送信し戻す。一例として、いくつかのタグは、タグによって戻されるエネルギーの量を変更するために用いられ得る、アンテナに結合された可変のインピーダンスを用いる。これらのタグは、後方散乱された信号を変調するために、選択的にインピーダンスを変更することによってデータを読み取り機に送信することができる。同様に、これらのタグは、そのタグからの後方散乱を最小化するインピーダンス値を選択および維持することによって「ミュート」または非応答状態にされ得る。
【0014】
このように、RFID読み取り機は、一つ以上のRFIDタグを選択するように用いられ得、その選択されたタグからデータを引き出すことができる。したがって、RFIDタグは、多数の対象を識別および追跡するために用いられ得る。さらに、RFIDタグは、ユニットあたりのコストが比較的低いため、比較的低コストにて、多数の対象を追跡する能力を有する。
【0015】
RFIDタグは、多数の物品に対して、一意的な識別システムを必要とする様々な商業的な状況において用いられる。例として、RFIDタグは、デパートの在庫目録や清算システムから軍用品の追跡まであらゆる物事において用いられている。RFIDシステムは、増大する範囲、タグとその読み取り機との間の場所の視野の欠如、および高いマルチタグスループットなどの理由により、しばしば対象の識別に好適である。
【0016】
RFIDタグは、様々な構成、形状、およびサイズで利用可能である。例えば、異なる用途に対する異なるタグは、典型的には、その用途に対して適切な形状およびサイズを有する。RFIDタグは通常、能動、受動、または半受動として分類される。能動のRFIDタグは、データを送信するために用いられる内部バッテリーを含み、典型的には、受動または半受動タグのいずれかよりも、より多くの保存されたデータ量を読み出しおよび書き込む能力を含む。受動RFIDタグは、読み取り機から、RF送信からのエネルギーを反射および吸収することによって送信し、データ保存、引き出し、および操作のために、読み取り機から、吸収されたエネルギーを用いる。半受動タグは、データ保存、引き出し、および操作のために用いられる内部バッテリーを含み、他方で、読み取り機からエネルギーを反射および吸収することによってデータを送信する。
【0017】
受動タグおよび半受動タグは、典型的には能動タグよりも軽く、よりコストがかからない。受動タグは、実質的には無制限の稼動寿命を提供する。なぜならば、受動タグは動作のためのバッテリーを必要としないからである。交換するのは、受動タグが通常、能動タグよりも短い読み出し範囲を有したり、読み取り機からのより高い出力を必要としたりする場合である。留意すべき重要なことは、多くの管轄区における政府による規制が、安全性を確保し、周波数帯域を共有しなければならないデバイス間における干渉を最小にするために、読み取り機の出力を規制していることである。
【0018】
受動タグおよび半受動タグは、後に修正されることができないデータの一意的なセットで一度だけプログラム可能である読み出し専用タグと、適切なRFID書き込みデバイスを用いて一回以上再書込みされ得る読み出し/書き込み可能タグとの両方を含む。
【0019】
RFIDシステムは、データをタグに送信し、およびタグからデータをタグから送信する様々な技術を用いることができる。タグへの送信に対しては、データは、増幅変調(AM)、位相変調(PM)、および周波数変調(FM)を含む様々な変調技術のうちの任意のものを用いて送信され得る。さらに、タグへ送信されたデータは、周波数シフト変調(FSK)、パルス位置変調(PPM)、パルス幅変調(PDM)、および振幅シフト変調(ASK)を含む様々な技術の任意を用いてエンコードされ得る。
【0020】
上述のように、受動タグおよび半受動タグは、一般に、後方散乱変調といわれるプロセスで、読み取り機から、エネルギーを選択的に反射および吸収することによって送信する。また、データは、後方散乱変調で、様々な技術を用いて、エンコードされ得る。例えば、データはFSKを用いてエンコードされ得、そのタグは、あるレートでは、第1の状態(例えば「1」)を表すために吸収−反射し、別のレートでは、第2の状態(例えば「0」)を表すために吸収−反射する。別の例において、データはASKを用いてエンコードされ得、そのタグは、一部の期間、あるレートでは、第1の状態(例えば「1」)を表すために、吸収−反射し、別の期間、第2の状態(例えば「0」)を表すために、後方散乱変調を中止する。RFIDシステムはまた、通常、30KHz〜500KHz、850MHz〜950MHz、および2.4GHz〜2.5GHzを含む様々な異なる周波数範囲を用いるが、それは、様々な用途の条件に見合う、規制されたスペクトル割り当ておよび性能要件に依存する。例えば、より低い周波数システムは、通常、水を介して良好な電磁的貫通力を提供するが、その一方で、より高い周波数の場合はそうではない。より低い受動システムは通常、小さな読み取り機アンテナを用いることにより、数インチ内で動作する。他方で、より高い周波数システムは通常、同様のサイズのアンテナを用いるが、数フィート内にて動作する。また、より低い周波数にて規制された割り当ては、一般に、世界中に広く行き渡っており、典型的には、より高い周波数システムよりも、受動タグに対して、より高い出力を可能にする。しかしながら、FCC規制領域内などの、より高い周波数スペクトルがRFIDに対して利用可能であるところでは、その出力は相当なものであり、ロバストな長距離性能が実現可能である。
【0021】
ここで図1を参照すると、無線ネットワークシステムへのアクセスを制御するためのセキュリティシステム100が模式的に図示されている。セキュリティシステム100はアクセスコントローラ102、RFID読み取り機104および距離計算器106を含む。セキュリティシステム100はRFIDタグを使用して、無線ネットワークシステムへのアクセスを制御する。特に、システム100は、携帯計算装置の場所を決定するために、RFIDタグを使用する。セキュリティシステム100は、携帯計算装置の決定された場所に基づいて、無線ネットワークシステムへのアクセスを選択的に可能にする。例えば、セキュリティシステム100は、携帯計算装置がアクセスが許可されたエリアに存在すると決定された場合に、無線ネットワークシステムへのアクセスを許可する。逆に、セキュリティシステム100は、携帯計算装置がアクセスが許可されたエリア内に存在しないと決定された場合に、無線ネットワークシステムへのアクセスを否定する。このようにして、システム100は、指定されたエリア内にある携帯装置のみにアクセスを許可することによって、無線ネットワークシステムへのアクセスを効果的に制御することができる。これは、指定されたエリア内にいるユーザの能力を制限することなしに、外部のユーザの、無線ネットワークシステムへアクセスする能力を制限する。さらに、システム100は、ネットワークシステムに対してさらに高いレベルのセキュリティを提供するために、その他のネットワークセキュリティ手段と組み合わされ得る。システム100はまた、位置に基づいて、特定の当事者のシステムへのアクセスを制限するために使用され得る。例えば、それは、ホテルなどのビルディング内にいる顧客(patron)の無線ネットワークシステムへのアクセスを制限するために使用され得る。
【0022】
上記のように、セキュリティシステム100は、装置の場所を決定するために、装置へ結合されたRFIDタグを使用する。これは、RFID読み取り機104でRFIDタグに応答指令信号を送ることによって、かつ距離計算器106を使ってRFIDタグまでの距離を決定することによって達成される。この距離から、携帯計算装置が、アクセスが許可されたエリア内に存在するかどうかが決定され得る。
【0023】
距離計算器(104)は、任意の適切な技術を用いることにより、RFIDタグまでの距離を決定するように、インプリメントすることができる。RFIDタグを使用して携帯装置の場所を決定するために使用され得る1つの適切な方法は、RFIDタグからの信号の到達の位相差(PDOA)に基づいている。この実施形態においては、RFID読み取り機104はRFIDタグへ、複数の信号を送信するが、その複数の信号は異なった基本周波数を有する。これに応答して、RFIDタグは、複数の後方散乱変調信号を生成するために、送信された複数の信号を後方散乱変調する。RFID読み取り機104は、複数の後方散乱変調信号を受信し、かつ変調する。距離計算器106は、複数の後方散乱変調信号の位相を決定し、送信信号の基本周波数における変化率に対する後方散乱変調信号における位相の変化率を決定し、この情報を、RFIDタッグまでの距離を計算するために使用する。RFIDタグまでの距離は、携帯計算装置がアクセスが許可されたエリア内に存在するかどうかを決定するために使用され得る。
【0024】
もう1つの特定の実施形態においては、対象の場所を決定するために、RFID読み取り機104のアレイが使用される。この場合もやはり、RFID読み取り機104それぞれは、携帯計算装置に結合されたRFIDタッグへ複数の信号を送信するが、RFID読み取り機102それぞれからの信号は異なった基本周波数を有する。これに応答して、RFIDタグは、複数の後方散乱変調信号を生成するために、送信された複数の信号を後方散乱変調する。RFID読み取り機104のアレイは、複数の後方散乱変調信号を受信し、かつ変調する。距離計算器106は、複数の後方散乱変調信号の位相を決定し、送信信号の基本周波数における変化率に対する後方散乱変調信号における位相の変化率を決定し、この情報を、各RFID読み取り機104とRFIDタグとの間の距離を計算するために使用する。RFID読み取り機104のアレイまでの距離および読み取り機104の既知の場所を使用して、携帯計算装置の正確な場所が、三辺測量技術を使用して決定され得る。この場所から、携帯計算装置が、アクセスが許可されたエリア内に存在するかどうかが決定され得、無線ネットワークシステムへのアクセスが、その決定に基づいて許可され、または否定され得る。
【0025】
距離計算器106はさまざまに、インプリメントされ得ることに留意されたい。例えば、距離計算器は、各RFID読み取り機104の一部として完全にインプリメントされ得る。もう1つのインプリメンレーションにおいては、距離計算器は、中央場所(central location)にインプリメントされ得、距離を計算するために使用される位相および基本周波数データは、任意の適切なネットワーク技術を使用して、中央コンピュータへ送信され得る。最後に、距離計算器104は、読み取り機104において部分的に、かつ中央場所において部分的にインプリメントされ得る。例えば、位相決定は各読み取り機でなされ得、最終的な距離および場所計算は、読み取り機に接続されている中央コンピュータシステムでなされ得る。
【0026】
1つの実施形態においては、RFIDタグは携帯計算装置に結合され、RFID読み取り機は関心のあるエリアの周辺の既知の場所に分配される。このようにして、RFIDタグから、既知の場所にある、1つ以上のRFID読み取り機までの距離を計算することによって、携帯計算装置の場所が決定される。もう1つの実施形態においては、RFID読み取り機は携帯計算装置に結合され、RFIDタグは、関心のあるエリアの周辺の既知の場所において分配されている。この場合もやはり、携帯計算装置上のRFID読み取り機から、既知の場所にある、1つ以上のRFIDタグまでの距離を計算することによって携帯計算装置の場所が決定される。このようにして、双方の実施形態において、携帯計算装置の場所が決定され、その場所は無線ネットワークシステムへのアクセスを選択的に許可するために使用される。
【0027】
上記のように、RFIDタグへ送信される複数の信号は、異なる基本周波数を有するように選択される。異なる基本周波数を有するように選択された複数の信号を有するためには、少なくとも1つの他の送信信号とは異なる基本周波数を有する、少なくとも1つの送信信号のみが必要とされる。一般的に、追加的な異なる基本周波数を有する追加的な信号は、距離計算の向上した精度を提供する。しかしながら、他の送信信号と同じ周波数を有する追加的な送信信号を利用することは、なんら差し支えないことに注目されたい。他の送信信号と同じ基本周波数を有する送信信号でなされた位相測定は、位相対周波数変化率のより正確な総体的計算を生成するために、他の位相測定と組み合わせられ得る。
【0028】
ここで図2を参照すると、無線ネットワークシステムへのアクセスを制御するための方法200が図示されている。最初のステップ202において、RFIDタグがアドレス指定される。RFIDタグにアドレスを指定するには、他の潜在的に何千ものの中から1つのRFIDタグを選択するために、タグIDを使用する。アドレスを指定すると、選択されたRFIDタグは、読み取り機からの受信信号を変調し、かつ後方散乱させる応答モードに変わる。選択されなかったタグは通常、ミュート状態になり、それらのリフレクションは意図的に最小限化される。RFIDタグが携帯計算装置に結合された実施形態においては、タグは通常、対応する携帯計算装置が無線ネットワークにアクセスすることを試みる場合に、アドレス指定される。他の実施形態においては、アドレス指定されたタグは、携帯計算装置のエリア内に存在すると決定されたタグである。
【0029】
次のステップ204では複数の信号を、RFID読み取り機からタグへ送信するが、送信信号は異なる基本周波数を有する。この場合もやはり、適切な複数の送信信号を提供するためには、少なくとも1つの他の送信信号とは異なる基本周波数を有する少なくとも1つの送信信号がなくてはならず、追加的な送信信号は、複製の周波数を有し得る。さらに、本出願の中で使用されている用語の通り、信号の「基本周波数」は信号における1つ以上の主要な周波数成分を含む。例えば、信号の基本周波数は、高調波を有さないキャリア信号の周波数であり得る。送信信号は必ずしもきれいな正弦曲線ではなく、このため、受信機でパルス整形する必要性から、実際は高調波を搬送し得ることに留意されたい。
【0030】
複数の送信信号は、RFIDタグによって受信される。これらの信号に応答して、選択されたRFIDタグは、複数の後方散乱変調信号を生成するために、送信された複数の信号を後方散乱変調する。RFID読み取り機は、複数の後方散乱変調信号を受信し、復調する。元の送信信号における、基本周波数の相違のために、読み取り機で受信された複数の後方散乱変調信号それぞれは、別個の相対的位相を有する。
【0031】
ステップ206において、複数の変調された信号はRFID読み取り機で受信される。次のステップ208では、複数の変調された信号の位相を決定する。受信される信号の位相は、例えばチャネル復調など、さまざまな方法で決定され得る。そのような方法は、以下に、さらに詳細に記述される。
【0032】
次のステップ210では、基本周波数の変化率に対する位相の変化率を決定する。基本周波数の変化率に対する位相の変化率は、複数の位相測定および複数の送信信号の基本周波数から、さまざまな技術を使って計算され得る。例えば、1つのアプリケーションにおいては、基本周波数に対する位相の変化率は、位相測定および対応する基本周波数値の線形トレンドフィッティングを実行することによって決定される。線形トレンドフィッティングは、さらに正確な変化率または位相および周波数の「予測スロープ」を生成するために使用される。
【0033】
いくつかのアプリケーションにおいて、ステップ204〜210は、変化率が精度の特定の水準以内で計算されるまで、さらに多くの送信および位相測定を用いて繰り返し続けられることに留意されたい。例えば、ステップ204〜210は、所望の信頼水準の範囲内の予測スロープを線形トレンドフィッティングが生成するまで続けられ得、信頼水準は、例えば「フィッティングの良好度」または直線からのデータトレンドの変動を評価する任意の他の方法のような、任意の適切な技術を使用して計算され得る。
【0034】
次のステップに212では、送信信号の基本周波数の変化率に対する受信信号の位相の変化率を使用して、RFID読み取り機とRFIDタグとの間の距離を決定する。後にさらに詳細に説明されるように、RFID読み取り機とRFIDタグとの間の距離(D)は、
【0035】
【数1】

として計算され得る。
【0036】
ここで、Δφは後方散乱変調信号の位相における変化であり、Δfは送信信号の基本周波数における変化であり、cは、距離測定の望ましい単位に依存して、1秒間当たりのメータあるいは1秒間当たりのフィートでの光の速度である。このようにして、距離は送信信号の基本周波数における変化率(Δf)対後方散乱変調信号の位相における変化率(Δφ)を使用して計算され得る。
【0037】
距離がステップ212において計算されると、次のステップ214は、計算された距離に基づいてネットワークへのアクセスを選択的に許可する。例えば、このステップにおいて、携帯計算装置が、計算された距離から、アクセスが許可されたエリアに存在すると決定されれば、アクセスが無線ネットワークシステムへ許可され得る。逆に、携帯計算装置が、計算された距離から、アクセスが許可されたエリア以内には存在しないと決定されれば、上記方法は、無線ネットワークシステムへのアクセスを否定する。このように、上記方法は、指定されたエリア内にある携帯装置のみにアクセスを許可することによって、無線ネットワークシステムへのアクセスを効果的に制御し得る。これは、指定されたエリア内にいるユーザの能力を制限することなしに、外部のユーザの、無線ネットワークシステムにアクセスする能力を制限する。
【0038】
1つのアプリケーションにおいて、方法200は、対象の場所をさらに完全に決定するためにRFID読み取り機のアレイを用いて適用され得る。この実施形態においては、各RFID読み取り機は、204および206ステップを実行し、各RFID読み取り機までの距離は、RFID読み取り機で受信された後方散乱変調信号の位相、および元の送信信号の基本周波数を使用して計算される。少なくとも3つのRFID読み取り機までの距離およびこれらの読み取り機の既知の場所を使用して、非常に正確な場所が、三辺測量技術を使用して決定され得る。このようにして、方法200は、RFIDタグを含む携帯計算装置の非常に正確な場所を効果的に決定し得る。
【0039】
これらの複数の読み取り機アプリケーションにおいては、ステップ204および206は通常、読み取り機ごとに実行される。例えば、複数の信号は第1の読み取り機によって送受信され、その後複数の信号は第2の読み取り機によって送受信される。これは、複数の読み取り機からの複数の同時送信から起こる干渉を最小限にする利点を提供する。
【0040】
もう1つのアプリケーションにおいて、方法200は、携帯計算装置に添付された読み取り機を使用して、関係エリア周辺に分配された複数の異なるRFIDタグに適用され得る。この実施形態において、RFID読み取り機は、各タグに対してステップ202〜212までを実行し、RFIDタグまでの距離は、そのRFID読み取り機で受信された後方散乱変調信号の位相、および元の送信信号の基本周波数を使用して計算される。この場合もやはり、少なくとも3つのRFIDタグまでの距離およびこれらのタグの既知の場所を使用して、読み取り機の非常に正確な場所が、三辺測量技術を使用して決定され得る。このようにして、方法200は、RFID読み取り機を含む携帯計算装置の非常に正確な場所を効果的に決定することができる。
【0041】
図1および2に図示されたシステムおよび方法は、対象の場所の高い精度を提供し得る。また、このシステムおよび方法は比較的安価な受動的または半受動的RFIDタグを使用し得るので、このシステムおよび方法は、ユニット当たり比較的低価格で多くの対象に適用され得る。
【0042】
以上、議論されたように、RFID読み取り機は、位置付けられる対象上のRFIDタグへ、複数の信号を送信し、信号は異なる基本周波数を有するように選択される。ここでもやはり、複数の異なる周波数を有する信号をインプリメントするためには、少なくとも1つの他の送信信号とは異なる基本周波数を有する少なくとも1つの送信信号のみが必要とされる。さらに、他の送信信号と同じ周波数を有する追加的な送信信号を利用することは、なんら差し支えないことに留意されたい。しかしながら、一般的に、新しい周波数を有するより多くの信号を送信することは、システムの精度を向上させるために望ましい。
【0043】
いくつかの異なる方法と手段が複数の送信信号の周波数を選択する際に使用され得る。1つの重要な要素は、システムに課せられる調節制限条件である。例えば、いくつかの調節システムにおいては、周波数選択はチャネルの可用性に基礎を置くほうが望ましい。もう1つの例においては、周波数選択はランダムに選択され得る。
【0044】
特に、例えば915MHzおよび2.45MHz ISM周波数帯などの特定の周波数帯において、FCCおよび他の規制機関は、適切な拡散スペクトラム技術が使用されている場合に、4ワットまでの有効放射力を許可する。対象場所システムは、1つ以上の周波数帯内において、ランダムに送信周波数(すなわちチャネル)を選択するようにインプリメントされ得、このようにして、拡散スペクトラムシステムの必要条件を満たす。対象場所システムは、ランダムに周波数を選択することによって、そうでない場合は規制フレームワークに従うことによって、そのようなシステムに許された、より高い出力レベルで送信し得る。より高い出力レベルで送信することは、システムの有効範囲、ひいてはシステムの全体的性能を向上させる。
【0045】
もう1つの例のように、例えばヨーロッパのCEPTのような他の規制機関は、拡散スペクトラムに使用されているランダムホッピングの代わりに「送信前に聞く(listen before transmit)」手段の使用を特定している。そのようなシステムにおいては、発信器は、1つの周波数チャネルでの送信を、そのチャネルでそれ自身送信する前に聞く。送信器が、そのチャネルでアクティビティを探知すれば、送信器は次の周波数チャネルに切り替える。そこでも、再び送信器は、それ自身送信する前に、他の送信を探知する。利用できるチャンネルが見つかり、その利用できるチャネルで送信がなされるまで、このプロセスが、続けられる。さまざまな異なるチャネル選択アルゴリズムが、チャネル占有を探知することまたは伝統的なキャリアセンスマルティプルアクセス(CSMA)方法に基づくそのようなシステムをインプリメントするために、利用できる。いずれにせよ、対象場所システムは、「送信前に聞く」手段を、それが、システムが作動するように設計されている規制フレームワークと最も互換性のある方法で使用して、送信周波数を選択し得る。そのようなチャネル選択アルゴリズムを使用する能力なしでは、対象場所システムは、RFIDタグへ送信する際に使用される出力の点で制限され、システムの範囲が狭まり精度も落ちる結果となる。
【0046】
図1および2を参照して図示され、かつ記述されているシステムおよび方法は、多種多様な無線ネットワークシステムにアクセス制御を提供するように適合され得る。例えば、上記システムおよび方法は、Wi−Fiネットワークを含む、802.11に基づくさまざまなプロトコルを使用して、WLANに対するアクセス制御を提供するように適合され得る。同様に、上記システムおよび方法は、現在開発中の、WiMAXに基づくさまざまなシステムにアクセス制御を提供するように適合され得る。上記システムおよび方法はまた、WWANシステムおよびさまざまな無線電話ネットワークシステムに適合され得る。
【0047】
多くのアプリケーションにおいて、上記システムおよび方法は、ネットワーキングおよび無線セキュリティの他の伝統に基づく方法と組み合わせられ得る。例えば、上記システムおよび方法は、暗号化および/または認証セキュリティ手段に依存するネットワーキングセキュリティプロトコルと組み合わせられ得る。そのようなシステムにおいては、最初に標準的な通信が、標準的な暗号化技術を使用して確立され得、次にRFIDに基づく場所決定を使用して、認証され得る。この技術を使用すると、なぜネットワークアクセスが許可されるか、または許可されないかについてのユーザフィードバックが可能になる。もう1つの実施形態において、RFIDに基づく場所決定は、標準的な暗号化技術を使用した標準的な通信が試みられ得る前に、実行される。そのようなインプリメンテーションにおいては、ネットワークにアクセスする試みは、場所決定がなされた後まで禁止される。
【0048】
例えば、上記システムおよび方法は、ネットワーキングセキュリティを提供するために暗号化技術を使用するネットワーキングセキュリティシステムと組み合わせられ得る。特別な例として、Wired Equivalent Privacy (WEP)は802.11 Wi−Fi 標準に基づく無線ローカルネットワークにセキュリティを提供するプロトコルである。WEPは、無線ネットワーク上で送られるデータを暗号に置換するために、秘密のユーザキーおよびシステムで生成された値の組み合わせを使用する。もう1つの特別な例、Wi−Fi Protected Access (WPA)は、WEP上に向上したセキュリティを提供するために、組込みの認証で、一時的なキー保全プロトコルを使用するセキュリティ技術である。最後に、他の技術は、例えば、認可されていないクライアントからのネットワーク要求を否定するData Link Control (DLC)またはMedia Access Control (MAC)アドレスフィルタリングのような認証およびアクセスコントロール特徴を使用する。これらおよび他の技術は、向上した無線ネットワークセキュリティを提供するために、本発明のシステムおよび方法と組み合わせられ得る。
【0049】
これら他のセキュリティ技術は、さまざまな手段を使用して、RFIDに基づく場所決定システムおよび方法と組み合わせられ得る。1つの例として、上記システムおよび方法は、認証または他の通信への試みが進行を許される前に、携帯計算装置の場所を最初に決定するために使用され得る。このようにして、上記システムおよび方法は、認可されたエリア外からの携帯計算機が認可されようとしたり、またはそうでない場合は無線ネットワークシステムへのアクセスを得ようとしたりする試みさえも防止するために使用され得る。そのようなシステムは、伝統的なネットワーキングセキュリティシステムに対する多くのありふれた攻撃を防止する利点を有し得る。
【0050】
ここで図3を参照して、RFID読み取り機300の例示的なアレイが、本発明の例示的な実施形態にしたがって図示されている。この例において、RFID読み取り機300のアレイは5つの別個の読み取り機を含む。アレイ内の各読取り機は、読取り機から、RFIDタグを含む携帯計算装置までの距離を決定するために使用される。通常、読取り機は、無線ネットワークシステムが利用できるエリアまたは設備じゅうに展開されている。例えば、読取り機は大きな倉庫の天井または床に散在し得、倉庫内の計算装置に無線ネットワークアクセス制御を提供するために使用され得る。さらに、RFID読み取り機は、システム中のさまざまな無線ネットワークアクセスポイントに含まれ得る。
【0051】
少なくとも3つの読み取り機からの距離、および上記読取り機の既知の位置は、携帯計算装置の非常に正確な場所を三辺測量し、かつ決定するために使用され得る。この場合もやはり、RFID読み取り機のアレイは複数の信号を、選択された携帯計算装置上のRFIDタグへ送信する。特に、各RFID読み取り機は、上記読取り機で送信される少なくとも1つの信号とは異なる基本周波数を有する複数の信号を送信する。異なったRFID読み取り機からの送信信号の基本周波数は、通常は直接比較されないので、同じ周波数を有し得ることに留意されたい。
【0052】
各読み取り機により送信される信号に応答して、RFIDタグは、RFID読み取り機のアレイによって受信される複数の後方散乱変調信号を作り出す。RFID読み取り機とRFIDタグとの間の距離は、RFID読み取り機によって受信された後方散乱変調信号の測定された位相、および対応する、上記読取り機によって送信された元の信号の基本周波数を使用して計算される。特に、周波数における変化に対する位相の変化は、相違を計算するために、上記の等式1で使用される。複数の信号は、基本周波数における変化に対する位相の変化が特定の信頼水準以内で計算されるまで、各RFID読み取り機へ送信、かつ後方散乱変調されることが好ましい。1つの例として、基本振動数変化に対する位相変化の線形トレンドは、複数の位相測定および対応する基本周波数の、最小二乗フィッティング解析を実行することによって決定され得る。この線形トレンドは、周波数変化に対する位相変化の、さらに正確な「予測スロープ」である。測定の回数が多くなるにつれて、予測スロープおよび計算された距離の精度が上がる。このプロセスは、上記最少二乗フィッティングが所望の信頼水準以内にある予測スロープを生成するまで続けられ得、信頼水準は、例えば、「フィッティングの良好度」または直線からのデータトレンドの変動を評価する任意の他の方法のような、任意の適切な技術を使用して計算され得る。このプロセスは、タグの範囲内にある各読取り機からの距離が、所望の信頼水準で知られるまで続けられる。
【0053】
タグから各RFID読み取り機までの距離が計算された場合、対象の場所が、これらの距離、読取り機の既知の場所および適切な三辺測量技術を使用して決定され得る。図3に図示される例において、読取り機1と計算装置302との間の距離D1、読取り機2と計算装置302との間の距離D2、読取り機4と計算装置302との間の距離D3は計算され得、読取り機の既知の場所との関係で携帯計算装置の場所を決定するために使用され得る。携帯計算装置の場所は、携帯計算装置へのアクセスを選択的に許可しあるいは否定するために使用され得る。対象の範囲内にある他の読取り機からの追加的な測定は、追加的な精度を提供するために使用され得るけれども、3つの距離測定は一般に、対象の位置を三辺測量するためには充分である。さらに、わずか1つまたは2つの読取り機が距離測定を生成するのであれば、対象の場所は完全には明確にはできないけれども、いくつかのアプリケーションにおいては、わずか1つまたは2つの読取り機が使用され得る。例えば、いくつかのアプリケーションにおいては、アクセスを許可するためには、ユーザが設備のエリア以内にいることを決定するだけで充分であり得、この場合、それは2つ以下の距離測定で決定され得る。これは、通常のRFID読み取り機アレイの単純化された例であり、読取り機の数は、カバーされるエリアのサイズおよびRFID読み取り機の有効範囲に依存して大きく拡大され得ることもまた強調されたい。
【0054】
ここで図4を参照すると、RFID読み取り機アレイ400のもう1つの例示的な実施形態が図示されている。この実施形態においては、RFID読み取り機のアレイは1つのRFID送受信機406を共有する。特に、RFID読み取り機400のアレイは、物理的に分配された4つのアンテナ402を含む。個別のRFID送受信機を各アンテナに提供する代わりに、RFID読み取り機400のアレイは、単一のRFID送受信機406に4つのアンテナを選択的に接続するためにスイッチ404を使用する。このアプローチは、いくつかのアプリケーションにおいてはコストを下げ、RFID読み取り機間の干渉を最小化する能力を提供する。他のアプリケーションにおいては、個別の送受信機が、個別の送受信機の価格対個別のアンテナおよび配線の価格の相対価格に主に依存して、望ましくあり得、より費用効果が高くあり得ることに留意されたい。
【0055】
この場合もやはり、RFID読み取り機アレイ400は、RFIDタグを含む携帯計算装置の場所を決定するために使用され得る。送受信機406およびスイッチ404は、異なる基本周波数を有する複数の信号を、1つ以上のアンテナ402を使用して、選択されたRFIDタグへ送信するために使用される。各読取り機によって送信される信号に応答して、RFIDタグは、アンテナ402によって受信され、かつスイッチ404によってRFID送受信機406へ選択的に通される複数の後方散乱変調信号を作り出す。次いでこれらの信号の位相は決定され得、各アンテナと選択されたRFIDタグとの間の距離は、位相の変化率および対応する基本周波数の変化率を使用して計算され得る。
【0056】
RFID読み取り機アレイ400は、いくつかの利点を提供するが、最も顕著なものは、複数のアンテナの間で送受信機を共有することによって、RFID読み取り機アレイ400は、多くのアプリケーションにおいて、低減された価格と複雑さで、同じ対象場所能力を提供することができることである。例えば、1つのインプリメンテーションは複数のアンテナセットを使用し得、それぞれはスイッチを通して送受信機に結合され、複数の送受信機は、RFID読み取り機で広いエリアを高い費用効果でカバーするために共に結合される。
【0057】
例えば図3および4に図示されているようなシステムにおいては、測定される位相に対する影響を最小化するために、ケーブルの相違および他の接続長さを補正することがしばしば望ましい。この較正は、RFID読み取り機に対する既知のタグ場所までの距離を測定することによって、またはアンテナを既知の後方散乱基準へ切り替え、かつその距離をゼロに設定することによってのいずれかによってなされ得る。他のアプリケーションにおいては、各チャネルに対する2つの状態間の差を最初に取り、次にアークタンジェント関数を使用して位相を計算することによって位相が計算され得るから、ケーブル較正は必要とされ得ない。
【0058】
上記システムおよび方法は、さまざまな異なるタイプの携帯計算装置に適合され得る。例えば、上記システムおよび方法は、例えばラップトップコンピュータのような携帯パーソナル計算機における使用に適合され得る。もう1つの例として、上記システムおよび方法は、例えばPDA、ページングおよび他のメッセージング装置のような手のひらサイズの計算機における使用に適合され得る。もう1つの例として、上記システムおよび方法は、電話装置上の使用に適合され得る。最後の例として、上記システムおよび方法は、例えばバーコード読取り機および特定の業界で使用される他の装置のような特別な目的の装置上での使用に適合され得る。
【0059】
ここで図5を参照して、例示的な携帯計算装置500が図示されている。携帯計算装置500は、セキュリティシステムおよび方法に対する使用に適合され得る例示的なタイプの携帯計算装置である。携帯計算装置500は、RFIDタグ502を含む。RFIDタグ502は、携帯RFID読取り機500の場所が、以上記述されたシステムおよび方法を使用して、RFID読取り機で決定され得ることを意味している。携帯計算装置500の位置が決定されると、無線ネットワークシステムへのアクセスが選択的に許可され、または否定される。携帯計算装置上のRFIDタグは、携帯計算装置のアンテナ、トランジスタ、整流器および現存のマイクロプロセッサを使用するタグの挙動をエミュレートすることによってインプリメントされ得ることに留意されたい。この例において、トランジスタは、従来のRFIDタグを模倣する後方散乱変調を生成するために、マイクロプロセッサによって駆動される。
【0060】
ここで図6を参照して、RFID送受信機600は本発明の例示的な実施形態にしたがって図示されている。RFID送受信機600は、対象場所システムおよび方法におけるRFID読取り機において使用され得るRFID送受信機のタイプの例である。RFID送受信機600は、選択されたRFIDタグと信号を送受信するように設計されている。さらに、RFID送受信機600は直角位相復調器を含む。直角位相復調器は、2つの振幅変調信号を結合して単一チャネルにする直角位相振幅変調(QAM)システムにおいて通常使用され、2つの搬送波(「I」および「Q」)は同じ基本周波数を有するが、通常90度だけ位相が異なる。直角位相復調において、2つの搬送波は分離され、データはそれぞれから抽出され、次にデータは結合されて元の変調情報とされる。RFID送受信機600は、送信信号との関係で、受信された後方散乱変調信号の位相を決定するメカニズムを提供するために、直角位相復調器を使用する。特に、個別に復調された「I」および「Q」チャネルのAC振幅は、受信された後方散乱信号の相対位相を決定するために使用される。もちろん、これはただの一例であり、他の送受信機インプリメンテーションが他の復調技術を用いて使用され得る。
【0061】
RFID送受信機600は、変調器602、可変ゲイン増幅器604、電力増幅器606、帯域通過フィルタ608、サーキュレータ610、帯域通過フィルタ614、自動ゲイン制御616、復調器620および622、帯域通過フィルタ624および626、バッファ628および630ならびにフェーズロックドループ発振器632を含む。送受信機600はアンテナ612を通して信号を送信し、かつ信号を受信する。もちろん、上記図4を参照して記載されたように、追加的なアンテナが、スイッチを使用して追加され得る。
【0062】
一般的に、送受信機600は、応答モードにある選択されたRFIDタグと送受信する。データを送信するために、送受信機は、送信データを、発振器632によって生成された搬送波形に符号化し、かつアンテナ612を通してRFIDタグへ信号をブロードキャストする。特に、データを送信するために、送受信機600は、発振器632によって生成された搬送波信号を送信データ(TXデータ)で変調するために、変調器602および可変ゲイン増幅器604を使用する。電力増幅器606は変調信号を増幅し、その信号は帯域通過フィルタ608を通過する。サーキュレータ610は、アンテナ612への選択カプラ素子として振る舞い、変調信号は、RFIDタグへ送信され、かつ直接接続された受信機から実質的に分離される。
【0063】
タグからデータを受信するためには、送信機は搬送波変調をやめ、受信機はアンテナを介して変調後方散乱信号を受信し、搬送波信号から信号を取り去り、取り去った信号を位相が「I」のコンポーネントおよび直角位相「Q」コンポーネントに変換する。その後これらのコンポーネントは独立的にデジタル化され、ビット回復のためにプロセッサに送られ、RFID読み取り機および/または他の関連システムによって解釈される。さらに、これらのコンポーネントは、受信信号の位相を元の送信信号との関係で決定するために使用され得、元の送信信号の位相は、異なる受信信号間の位相変化を決定するための基準測定として役立つ。
【0064】
特に、送受信機600は、後方散乱変調信号を、アンテナ612を介して、RFIDタグから受信する。サーキュレータ610は、この場合もまた選択カプラ素子として振舞うが、今回はアンテナ612を、帯域通過フィルタ614と結合する。その後受信信号は自動ゲイン制御616によって増幅され得る。この増幅された信号は次に、全体として2つの復調器を提供するミキサ620および622および移相器618を使用して、直角位相に搬送波復調され得る。この復調で、同相の信号IAC+DCおよび直角位相信号QAC+DCが生じる。これらの信号それぞれは、個別の信号がさらに処理される前に、対応する帯域通過フィルタ(624および626)ならびにバッファ(628および630)を通される。
【0065】
この実施形態においては、復調器は、元の送信信号の搬送波生成のために使用されるフェーズロックループ発振器632によって生成されるものと同じ信号を使用することに留意されたい。従って、この信号の位相は、受信信号の位相変化が測定され得る基準として役立ち得る。特に、複数の受信信号の搬送波信号に対する位相を決定することにより、これら受信信号間の相対的位相変化が計算され得る。このようにして、元の送信信号と比較して、受信した後方散乱変調信号の位相差を決定することで、複数の後方散乱変調信号の位相における変化率を決定するメカニズムが提供される。
【0066】
この場合もまた、場所に基づくネットワークセキュリティのために使用され得るRFID受信機の一例に過ぎない。例えば、他の適切な受信機は、個別の送受信機構成を使用する。さらに他の適切な受信機は、サーキュレータコンポーネントを指向性のカプラで置き換える。指向性のカプラの利点は、はるかに価格が低く、サイズが小さいことであり、欠点は、重大な信号損失のために性能がはるかに劣ることである。
【0067】
RFIDタグからの後方散乱信号が復調されると、位相が決定され、携帯計算装置までの距離を計算するために使用される。上記のように、距離計算機は、RFID読み取り機によって受信された複数の後方散乱変調信号の位相を決定する。位相における変化、および元の送信信号の基本周波数における対応する変化から、距離計算機は、等式1を使用してRFIDタグまでの距離を計算する。位相差は、さまざまな異なる技術および装置を使用して決定され得る。1つの例として、各後方散乱信号の位相は元の送信信号の位相に参照される。
【0068】
受信信号の位相を決定する1つの方法は、IおよびQチャネル双方のAC振幅を測定し、位相角を決定するためにこれらの測定を使用することである。つまり、IおよびQチャネルのピークからピークまでのAC振幅は、いくらかの所定の時間にわたって平均され得る。搬送波位相と比較した受信信号の相対位相φは、
【0069】
【数2】

として決定され得る。
【0070】
ここで、QAMPはQチャネルにおける平均AC振幅であり、IAMPはIチャネルにおける平均AC振幅である。複数の後方散乱変調信号の相対位相Φが計算されると、これらの信号間の位相変化が計算され得、タグまでの距離を決定するために、送信信号の対応する基本周波数と共に使用され得る。
【0071】
もちろん、これは受信された後方散乱信号の位相が、いかにして計算され得るかの一例に過ぎない。ここで図7を参照して、もう1つの例示的な位相角推定器700が図示されている。位相角推定器700は、信号の位相を決定するために、マトリクス回転(matrix rotation)の数学的技術を使用する。図示されたインプリメンテーションにおいて、Iチャネル信号IAC+DC直角位相信号QAC+DCはDCオフセットリムーバ702へ送られる。これは、IおよびQチャネル信号のDC部分を除去し、各信号のAC部分のみを残す。さらに、ノイズ拒絶も同様にこの時点でなされ得る
Iチャネル信号IAC直角位相信号QACは次に、マトリクス回転メカニズム704に送られる。これらの信号のAC振幅はマトリクスに書き込まれる。この場合もまた、これらAC振幅は、選択された時間にわたってAC振幅を平均することによって決定され得る。マトリクスは次に、Qチャネルにおける信号が最小化され、Iチャネルにおける信号が最大化されるまで、数学的に回転される。Iチャネルにおける信号を最大化するために必要とされるマトリクス回転の角度は、受信信号の相対位相に等しい。図示されている例において、Qチャネルにおける信号の最小化は、最小二乗推定最小化技術を使用してなされる。もちろん、他の適切な技術が使用され得る。この方法はまた、信号のすべてをIチャネルに移動させる利点を有し、そのチャネルにおける情報は、任意の適切な技術を用いて回復され、かつ復号される。この場合もまた、複数の後方散乱信号の相対位相は、位相角推定器を使用して計算され、これらの信号間の位相変化は計算され、かつタグまでの距離を決定するために、使用される。
【0072】
信号の位相角を測定するための上記の方法とシステムは、受信信号の位相を必ずしも常に完全に明確にするわけではないことに留意されたい。特に、振幅のアークタンジェントを使用すると、実際の位相が、実際には2πよりもはるかに大きくなり得るときに、0ラジアンと2πラジアンとの間の結果を常に生成する。一般的に、測定された元の位相値は「ラップ(wrap)された」と称され、ラップされた値から実際の、名目上の位相値を決定するプロセスは「位相アンラッピング(phase unwrapping)」と呼ばれる。
【0073】
このようにして、位相アンラッピングは、対応する基本周波数の線形スパンにわたって名目上の位相変化を決定するために使用される技術である。位相アンラッピングの1つの方法は、ラップされた値からの位相シフトを線形化することである。特に、位相アンラッピングは、問題の位相測定が周波数スパンにわたって一貫したトレンドを示すまで、2πの倍数を加減することによって達成される。
【0074】
アンラッピングの1つの例として、1セットの単調増加な基本周波数が使用される場合、任意ノイズを補償した後、位相測定の単調なセットが生じ得る。単調なトレンドに従わない特別な位相測定については、それらが、線形周波数スパンにわたって線形トレンドを示すまで、2πの倍数を加減することによってアンラップされ得る。例えばMATLABで利用できる信号処理ツールのような、この用途に適合され得るさまざまな異なる位相アンラッピングアルゴリズムが利用できる。
【0075】
ここで図8を参照すると、表800は、本発明の例示的な実施形態を使用して、RFIDタグまでの距離が決定され得る、例示的なデータセットを図示する。特に、表800は、14個の送信された信号基本周波数および対応する14個の測定された相対位相測定を列挙している。第1に、これはデータセットの一例に過ぎず、通常のデータセットはさらに多くのまたはさらに少ないデータポイントを含み得ることに留意されたい。また、例のデータセットは、基本周波数間で等しい距離を示しているけれども、これは、多くのアプリケーションの場合にはあてはまらないことも留意されたい。
【0076】
表800の例において、送信信号の周波数順序はランダムに選択されている。この場合もまた、ランダム周波数ホッピングが使用される場合、システムは拡散スペクトラムシステムとして動作し、電流の規制のもとで、増加したパワーで送信し得る。この場合もまた、これはただの一例に過ぎず、他の場合においては、異なる周波数ホッピング手段が使用され得る。
【0077】
表800に図示されている位相測定はラップされていて、この場合もまた、位相測定は、ゼロラジアンと2πラジアンとの間の値に制限されていることを意味している。このように、これらの値は、実際の相対位相値を表しておらず、正確に距離を計算するには、位相測定をアンラップすることが望ましい。ここで図9を参照すると、表900は、基本周波数および対応するアンラップされた14個の測定された相対位相の順に、14個の送信された信号基本周波数を列挙している。これらのアンラップされた位相値は、受信された後方散乱変調信号の実際の相対位相に対応する。この場合もまた、これらアンラップされた位相値は、例えば一貫した線形位相トレンドが回復されるまで2πの倍数を加算するような、さまざまな位相アンラッピング技術によって決定され得る。
【0078】
ここで図10を参照すると、グラフ1000は表800および900のラップされた位相測定およびアンラップされた位相測定を図示する。見て取れるように、位相測定のアンラッピングは、一貫したトレンドに従う位相測定を生じる。位相アンラッピング技術を使用すると、下部の(underlying)位相が、大きなノイズおよびマルチリフレクションの存在下でさえも決定され得る。
【0079】
アンラップされた位相測定が決定されると、距離は、基本周波数の変化率に対する位相の変化率を計算することによって決定され得る。1つの例として、アンラップされた位相測定および基本周波数の線形トレンドフィッティングが、変化率を決定するために実行され得る。ここで図11を参照すると、グラフ1100は、位相測定から計算された例示的な線形トレンドと共に、表900およびグラフ1000のアンラップされた位相測定を図示している。線形トレンドは、例えば最小二乗フィッティングのようなさまざまな技術を使用して、データから計算され得る。計算されるとき、線形トレンドは、トレンドフィッティングラインのスロープの形で、周波数変化に対する位相変化のさらに正確な計算を与える。図示されている例において、線形トレンドのスロープは、9.01E−07ラジアン/ヘルツである。計算されるとき、線形トレンドフィッティングラインのスロープは、距離を計算するために、等式1におけるΔφ/Δfとして使用され得る。この例において、等式1における線形トレンドフィッティングラインのスロープを使用すると、21.4メータの距離測定が生じる。このようにして、線形フィッティング方法は、例えばマルチパスリフレクション、干渉およびノンコヒーレンス送信によって生成されたノイズのようなデータにおけるノイズを克服することができる。この場合もまた、これは、RFIDタグを使用して対象までの距離を計算するために、位相および周波数の変化率を決定するために、いかに線形トレンドフィッティングが使用され得るかの1つの特別な例に過ぎない。
【0080】
このように、本発明は、RFIDタグを使用して無線ネットワークシステムへのアクセスを制御するためのセキュリティシステムおよび方法を提供する。上記セキュリティシステムおよび方法は、携帯計算装置の場所を決定するために、RFIDタグを使用する。上記セキュリティシステムおよび方法は、携帯計算装置の決定された場所に基づいて、無線ネットワークシステムへのアクセスを選択的に許可する。例えば、上記セキュリティシステムおよび方法は、携帯計算装置が、アクセスが許可されたエリア内に存在すると決定された場合に、無線ネットワークシステムへのアクセスを許可し得る。逆に、上記セキュリティシステムおよび方法は、携帯計算装置が、アクセスが許可されたエリア内に存在しないと決定された場合に、無線ネットワークシステムへのアクセスを否定し得る。このように、上記システムおよび方法は、指定されたエリア内に存在する携帯装置にのみアクセスを許可することによって、無線ネットワークシステムへのアクセスを効果的に制御することができる。これは、指定されたエリア内に存在するユーザの能力を制限することなしに、無線ネットワークシステムにアクセスする外部のユーザの能力を制限する。上記システムおよび方法は、さらに高いレベルのセキュリティをネットワーキングシステムに提供するために、他のネットワーキングセキュリティ手段と組み合わされ得る。
【0081】
本明細書に述べられた実施形態および例は、本発明およびその特定のアプリケーションを最もよく説明し、それによって、当業者が本発明を作成し、かつ使用できるようにするために提示されている。しかしながら、当業者は、前述の記述および例は、図示および例示の目的でのみ提示されたことを認識し得る。述べられたような記述は、網羅的に述べることを意図されたり、または本発明を開示された正確な形式に制限されたりすることを意図されたものではない。多くの改変およびバリエーションが、添付の特許請求の範囲の精神から逸脱することなく、上記の教示に照らして可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】図1は、本発明の例示的な実施形態に従った無線ネットワークセキュリティシステムの略図である。
【図2】図2は、本発明の例示的な実施形態に従った無線ネットワークシステムに対するアクセスを制御する方法のフロー図である。
【図3】図3は、本発明の例示的な実施形態に従ったRFID読み取り機のアレイの略図である。
【図4】図4は、本発明の第2の例示的な実施形態に従ったRFIDのアレイの略図である。
【図5】図5は、本発明の例示的な実施形態に従った例示的な携帯計算装置の平面図である。
【図6】図6は、本発明の例示的な実施形態に従った例示的なRFID送受信機の略図である。
【図7】図7は、本発明の例示的な実施形態に従った例示的な位相角推定器の略図である。
【図8】図8は、本発明の例示的な実施形態に従った例示的なデータセットのテーブル図である。
【図9】図9は、本発明の例示的な実施形態に従った例示的なデータセットのテーブル図である。
【図10】図10は、本発明の例示的な実施形態に従った例示的なデータセットのグラフ図である。
【図11】図11は、本発明の例示的な実施形態に従った例示的なデータセットのグラフ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークセキュリティシステムであって、該ネットワークセキュリティシステムは、
信号をRFIDタグに送信するRFID読み取り機と、
送信信号から、該RFIDタグに対する距離を決定する距離計算器と、
該RFIDタグに対する決定された距離に基づいて、携帯計算装置から無線ネットワークシステムへのアクセスを選択的に許可するアクセス制御器と
を備える、ネットワークセキュリティシステム。
【請求項2】
前記アクセス制御器は、前記携帯計算装置が前記無線ネットワークシステム上において認証することを試みることを可能にする前に、該携帯計算装置が許可されたアクセスエリア内にあるかどうかを決定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記アクセス制御器は、前記携帯計算ユニットが、前記RFIDタグに対する前記決定された距離から、許可されたアクセスエリア内にあるかどうかを決定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記RFIDタグは、前記携帯計算装置に結合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記RFID読み取り機は、前記携帯計算装置に結合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記無線ネットワークシステムは、WLANシステムを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記RFID読み取り機は、複数の送信信号を前記RFIDタグに送信し、該RFIDタグから複数の後方散乱変調された信号を受信し、該複数の送信信号の少なくとも2つは異なる基本周波数を有し、前記距離計算器は、該RFIDタグから、該複数の後方散乱変調された信号の各々に対する位相を決定し、該距離計算器は、該複数の送信信号の該基本周波数における変化率に対する該複数の後方散乱変調された信号における位相の変化率を決定することによって、該RFIDタグに対する距離を決定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記RFID読み取り機はさらなる送信信号を継続的に送信し、さらなる後方散乱変調された信号を受信し、前記距離計算器は、受信されたさらなる後方散乱変調された信号の各々に対する位相を継続的に決定し、前記RFIDタグに対する該RFID読み取り機からの距離が特定の精度レベル内にあると計算されるまで、該距離を決定するために、さらなる後方散乱変調された信号の各々に対する位相を用いる、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数の送信信号の基本周波数における変化率に対する前記複数の後方散乱変調された信号における位相の変化率は、該複数の後方散乱変調された信号対該複数の送信信号の基本周波数における位相の線形トレンドフィットを実行することによって決定される、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
異なる基本周波数を有する前記少なくとも2つの複数の送信信号は、ランダムに選択された周波数差を有する、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
異なる基本周波数を有する前記少なくとも2つの複数の送信信号は、送信前に聞く手段を用いて、次に利用可能な周波数チャネルを選択することによって決定される周波数差を有する、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
無線ネットワークシステムに対するアクセスを制御する方法であって、該方法は、
RFIDタグに対する距離を決定するステップと、
該RFIDタグに対する決定された距離に基づいて、携帯計算装置から該無線ネットワークシステムへのアクセスを選択的に許可するステップと
を包含する、方法。
【請求項13】
前記RFIDタグに対する決定された距離に基づいて、携帯計算装置から前記無線ネットワークシステムへのアクセスを選択的に許可する前記ステップまでに、該携帯計算装置が、該無線ネットワークシステム上において認証を試みることを防ぐステップをさらに包含する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記携帯計算ユニットが、前記RFIDタグに対する前記決定された距離から、許可されたアクセスエリア内にあることを決定するステップをさらに包含する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記RFIDタグは、前記携帯計算装置に結合される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記携帯計算装置はRFID読み取り機を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記無線ネットワークシステムはWLANシステムを備える、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記RFIDタグに対する距離を決定するステップは、
RFID読み取り機から該RFIDタグへの複数の送信信号を送信するステップであって、該複数の送信信号は基本周波数差を有する、ステップと、
該RFIDタグから複数の後方散乱された信号を受信するステップと、
該複数の送信信号の該基本周波数における変化率に対する該複数の後方散乱変調された信号における位相の変化率を決定することによって、該RFIDタグに対する距離を計算するステップと
を包含する、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
複数の送信信号を送信するステップ、複数の後方散乱変調された信号を受信するステップ、および該複数の後方散乱変調された信号における位相を決定するステップは、前記RFIDタグに対する距離を計算するステップが特定の精度レベル内にある距離を決定するまで、送信、受信、ならびにさらなる送信信号および後方散乱変調された信号に対する位相を決定するステップを包含する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記基本周波数における変化率に対する前記複数の後方散乱変調された信号における位相の変化率を決定することによって、前記RFIDタグに対する距離を計算するステップが、線形トレンドフィットを実行するステップを包含する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記複数の送信信号が、ランダムに選択された基本周波数差を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記複数の送信信号が、送信前に聞く手段を用いて、次に利用可能な周波数チャネルを選択することによって選択される基本周波数差を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記基本周波数における変化率に対する前記複数の後方散乱変調された信号における位相の変化率を決定することによって、前記RFIDタグに対する距離を計算するステップが、線形トレンドフィットを実行するステップを包含する、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記複数の後方散乱変調された信号の各々に対する位相を決定するステップが、実質的に線形の位相トレンドを生じるために、相対位相差をアンラップするステップを包含する、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記RFIDタグに対して、前記RFID読み取り機から複数の送信信号を送信するステップが、RFID読み取り機のアレイから送信するステップを包含し、該RFIDタグから複数の後方散乱変調された信号を受信するステップが、該RFID読み取り機のアレイにおいて、該複数の後方散乱変調された信号を受信するステップを包含し、該RFIDタグに対する距離を計算するステップが、RFIDタグから該RFID読み取り機のアレイの各々までの距離を計算するステップを包含する、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
ネットワークセキュリティシステムであって、該ネットワークセキュリティシステムは、
エリアの周囲に分散されたRFID読み取り機のアレイであって、複数の該RFID読み取り機のアレイは、携帯計算装置に結合されたRFIDタグに少なくとも3つの送信信号を送信し、該複数のRFID読み取り機のアレイの各々は、マルチモードRFIDタグから少なくとも3つの後方散乱変調された信号を受信し、各RFID読み取り機からの該少なくとも3つの送信信号は基本周波数差を有する基本周波数を有する、RFID読み取り機のアレイと、
距離計算器であって、該距離計算器は、各RFID読み取り機にて受信された該少なくとも3つの後方散乱変調された信号の位相を決定し、該距離計算器は、該基本周波数の変化率に対する位相の変化率を決定するために、該少なくとも3つの後方散乱変調された信号における位相、および該少なくとも3つの送信信号の基本周波数の線形トレンドフィットを実行することによって、各RFID読み取り機からの距離を決定する、距離計算器と、
アクセス制御器であって、該アクセス制御器は、携帯計算装置が各RFID読み取り機からの距離から、許可されたアクセスエリア内にあるかどうかを決定し、該アクセス制御器は、該携帯計算装置が該許可されたアクセスエリア内にあるかどうかに基づいて、無線ネットワークシステムに対して、該携帯計算装置からのアクセスを選択的に許可する、アクセス制御器と
を備える、ネットワークセキュリティシステム。
【請求項27】
前記無線ネットワークシステムはWLANシステムを備える、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記アクセス制御器は、前記携帯計算装置が前記無線ネットワークシステム上において認証することを試みることを可能にする前に、該携帯計算装置が許可されたアクセスエリア内にあるかどうかを決定する、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
無線ネットワークシステムに対するアクセスを制御する方法であって、該方法は、
RFID読み取り機を用いて、携帯計算装置に結合されるRFIDタグにアドレス指定するステップであって、該RFIDタグにアドレス指定するステップが、該RFIDタグを応答状態にする、ステップと、
該RFID読み取り機から該RFIDタグへ、少なくとも3つの送信信号を送信するステップであって、該少なくとも3つの送信信号のうちの少なくとも2つが異なる基本周波数を有する、ステップと、
該RFIDタグから、少なくとも3つの後方散乱変調された信号を受信するステップと、
該少なくとも3つの後方散乱変調された信号の各々に対する位相を決定するステップと、
該基本周波数の変化率に対する位相の変化率を決定するために、該少なくとも3つの後方散乱変調された信号における位相、および該少なくとも3つの送信信号の基本周波数の線形トレンドフィットを実行することによって、各RFID読み取り機からの距離を計算するステップと、
該RFIDタグおよび携帯計算装置が、該RFIDタグに対する距離に基づいて、許可されたアクセスエリア内にあるかどうかを決定するステップと、
該RFIDタグおよび携帯計算装置が該許可されたアクセスエリア内にあるかどうかに基づいて、該携帯計算装置から該無線ネットワークシステムへのアクセスを選択的に許可するステップと
を包含する、方法。
【請求項30】
前記RFID読み取り機から前記RFIDタグへ、少なくとも3つの送信信号を送信するステップが、RFID読み取り機のアレイにおいて、少なくとも3つの送信信号を各RFID読み取り機において送信するステップを包含し、該RFIDタグから少なくとも3つの後方発散変調された信号を受信するステップが、該RFID読み取り機のアレイにおいて、少なくとも3つの後方散乱変調された信号を各RFID読み取り機にて受信するステップを包含し、該RFID読み取り機に対する距離を計算するステップは、該RFID読み取り機のアレイにおいて、該RFIDタグから各RFID読み取り機への距離を計算するステップを包含する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記無線ネットワークシステムは、WLANシステムを備える、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記RFIDタグに対する決定された距離に基づいて、携帯計算装置から無線ネットワークシステムへのアクセスを選択的に許可するステップの前に、該携帯計算装置が該無線ネットワークシステム上において認証することを試みることを防ぐステップをさらに包含する、請求項29に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2008−514920(P2008−514920A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533552(P2007−533552)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/033120
【国際公開番号】WO2006/039119
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(305043582)シンボル テクノロジーズ, インコーポレイテッド (51)
【Fターム(参考)】