説明

RFIDタグの製造方法およびRFIDタグ

【課題】外力や周囲の環境に対する耐性のあるRFIDタグを効率よく製造する。
【解決手段】アンテナパターンが形成され、かつ、非接触通信型のICチップ21が実装された単位ベース基板22が、帯状の第1のシート部材上に一定の間隔で固着されたベースシート部材を形成する工程と、それぞれ弾性を有する帯状の第2のシート部材と第3のシート部材との間に補強部材23が配置された上層シート部材を、シート平面側から見てICチップ21と補強部材23とが重なる状態で配置されるように、第1のシート部材の単位ベース基板22側の面に積層する工程と、上層シート部材とベースシート部材とが積層された積層部材から、1つの単位ベース基板22を内包する領域を順次切り出してRFIDユニット1を作製する工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部装置との間で非接触で通信する回路チップを備えたRFIDタグの製造方法、およびそのRFIDタグに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触で外部との情報の受け渡しが可能なIC(Integrated Circuit)チップが注目されている。例えば、このような非接触型のICチップがカード基材の内部に設けられたICカードは、電子マネー、交通機関の定期券、入館証などに広く利用されている。
【0003】
また、このようなICチップにIDを記憶させ、商品などの識別や管理に利用することが考えられている。このような用途の非接触ICチップは、RFID(Radio Frequency ID)タグなどと呼ばれる。RFIDタグは、一般的に、読み取り器からの電波あるいは電磁波を基に駆動電力を発生し、読み取り器と無線通信して、ICチップのメモリ内に記憶されたIDなどの情報を読み取り器に送信する。また、RFIDタグには、ICチップのメモリへの書き込みが可能なものや、外部装置との間の認証処理など、受信した情報や記憶している情報を用いた各種の処理を実行できるものもある。
【0004】
ところで、非接触型ICチップを搭載したICカードには、樹脂製のカード基材の間に、ICチップや通信用のアンテナなどが設けられた構造のものが多い。また、このようなICカードでは、機械的強度を高めるために、金属などの補強部材によってICチップの両面を挟む構造としたものがある(例えば、特許文献1参照)。さらに、ICチップの主面側に、チップの電極に対応する部分が開口した補強板を直接接合するようにして、ICカードを薄型化することも考えられている(例えば、特許文献2参照)。また、ICチップやコイルなどを搭載したモジュールパッケージとカード基材との間に、補強材として繊維材を設けたものもある(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
一方、RFIDタグも、一般的に、ICチップが通信用のアンテナなどと一体にモジュール化された形態で提供される。そして、このようなRFIDタグでも、折り曲げなどに対する強度を高めることが要求されている。さらに、RFIDタグを衣服などに取り付ける用途も想定されており、このようなものでは液体や薬剤に対する耐性も求められている。そこで、RFIDタグを、補強部材をICチップに積層するとともに、このようなICチップが搭載されたモジュールを保護シートにより封止することによって製造することが考えられている。
【特許文献1】特開2003−141486号公報
【特許文献2】特開2000−200333号公報
【特許文献3】特開平10−181261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、補強部材を配し、保護シートで内部回路を封止したRFIDタグの製造には、製造に手間がかかり、製造コストが増大してしまうという問題があった。
例えば、RFIDタグを製造する際には、あらかじめアンテナパターンを形成したシート状の基板自体は、ロールなどに巻き付けが可能な程度の厚みで用意しておくことができる。しかし、このシート状基板に対してICチップを取り付け、その上に補強部材を実装した場合、ICチップおよび補強部材の双方は曲げ抵抗が大きいため、シート状基板を再度ロールで巻き取ることが困難になる。このため、例えば、シート状基板を1つまたは複数のICチップを単位として切断した後、保護シートによる封止工程をバッチ処理で行う必要が生じる。このように、フィルム基板をロールに巻き付けた状態のまま、補強部材や保護シートを連続的に積層することができない場合には、低コストで大量に生産することが難しくなる。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、外力や周囲の環境に対する耐性のあるRFIDタグを効率よく製造できるようにしたRFIDタグの製造方法、およびそのRFIDタグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、アンテナとして機能する導体パターンが形成されているとともに、前記導体パターンに接続した非接触通信型の回路チップが実装された単位ベース基板と、帯状の第1のシート部材とを備え、前記第1のシート部材上にその長手方向に沿って前記単位ベース基板が一定の間隔で固着されたベースシート部材を形成するベースシート部材形成工程と、それぞれ帯状であって弾性を有する第2のシート部材と第3のシート部材との間に、前記回路チップを補強するための補強部材を前記回路チップの配置間隔と同じ間隔で配置した状態で積層することにより、上層シート部材を形成するとともに、前記上層シート部材を、前記ベースシート部材形成工程により形成された前記ベースシート部材における前記単位ベース基板の積層面側に対して、前記回路チップと前記補強部材とがシート平面側から見て重なる状態で積層するシート部材積層工程と、前記シート部材積層工程により積層されたシートから、1つの前記単位ベース基板を内包する領域を順次切り出す切り出し工程と、を有するRFIDタグの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
以上によれば、回路チップと補強部材は、各々別のシート部材に配置されるため、各々のシート部材のまげ抵抗は、回路チップ・補強部材の双方を搭載した場合に比べ低くなるので、巻き付けが可能となる。また、これらのシート部材を積層した段階で、切り出し前のRFIDタグの最終形態を形成することになるので、この状態で最終製品の切り出し作業を行うことができ、回路チップおよび補強部材の双方を搭載した状態でロールに巻き付けるということがなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の各実施の形態において、非接触型のICチップは、例えば、外部装置からの電波または電磁波を基に駆動電力を発生して、この外部装置との間で通信し、内部に設けられた記憶回路に記憶された情報を外部装置に送信する機能を有する。また、このICチップとしては、例えば、外部装置から送信された情報を内部の記憶回路に記憶できるものであってもよく、また、外部装置との間の認証処理など、受信した情報や記憶している情報を用いた各種の処理を実行できるものであってもよい。
【0011】
図1は、第1の実施の形態に係るRFIDタグの構成を示す断面図である。
図1に示すRFIDタグは、RFIDタグとして機能するための回路部品がシート部材に封止された状態で実現されたものである。以下の説明では、このようなRFIDタグを“RFIDユニット”と呼称するものとする。
【0012】
図1において、RFIDユニット1は、3層のシート部材11〜13が積層された構造を有している。これらのシート部材11〜13の材料としては、例えば、各種の樹脂材料やエラストマなどが用いられるが、特に、シート部材12またはシート部材13の少なくとも一方については、弾性を有していることが望ましい。
【0013】
シート部材11とシート部材12との間には、非接触型のICチップ21が実装された単位ベース基板22が配置されている。単位ベース基板22には、アンテナとして機能する導体パターン(図示せず)が形成され、この導体パターンにICチップ21が接続されている。ここで、シート部材11,12は、単位ベース基板22より大きな面積を有し、単位ベース基板22の周囲の領域において互いに接触して固着されている。このような構成により、ICチップ21および導体パターンは、シート部材11,12によって封止されている。従って、RFIDユニット1に液体や薬剤などが付着した場合でも、ICチップ21や導体パターンを確実に保護することができる。
【0014】
また、シート部材12,13は、シート部材11の上層に積層される上層シート部材14を構成し、これらの間には、ICチップ21を補強するための補強部材23が、ICチップ21に対応する位置に配置されている。図1の例では、補強部材23は、シート部材12,13によって完全に封止されている。このような構成により、RFIDユニット1に曲げなどの外力が加えられた場合に、ICチップ21の破壊が防止される。なお、この構成の場合には、補強部材23として、樹脂材料、セラミック、金属などの硬質な材料が用いられる。
【0015】
図2は、第1の実施の形態に係るRFIDタグの製造方法を説明するための図である。
図2では、本実施の形態でのRFIDタグの製造工程の一部の様子を、平面図として示してある。本実施の形態では、シート部材11〜13にそれぞれ対応する帯状のシート素材を積層し、それらのシート素材の間に、ICチップ21などの1つのRFIDタグを構成する回路部品を、複数組だけ並列させて配設しておく。そして、これらのシート素材を積層して固着した後に、所定の領域を切り出す。このような工程により、上記のRFIDユニット1が大量に効率よく製造されるようにする。なお、図1は、図2に示した切り出し領域AにおけるX−X矢視から見た断面図に対応している。
【0016】
RFIDユニット1の製造工程は、ICチップ21が実装された単位ベース基板22をシート部材11に固着する第1の工程と、シート部材11に対して上層シート部材14を積層し、シート部材同士を固着する第2の工程と、積層されたシート部材から1つのRFIDタグの領域を切り出す第3の工程とに大別される。
【0017】
第1の工程では、シート部材11に対応する帯状シート素材が、例えばロールに巻き取られた状態で用意される。そして、この帯状シート素材に対して、その長手方向に対して、ICチップ21が実装された単位ベース基板22が並列して固着される。単位ベース基板22が固着された帯状シート素材は、ロールに巻き取っておくことが可能である。
【0018】
第2の工程では、シート部材12,13にそれぞれ対応する帯状シート素材が、例えばロールに巻き取られた状態で用意される。ここで、これらの帯状シート素材の一方には、単位ベース基板22が配設された間隔と同じ間隔で、補強部材23を固着しておく。そして、シート部材11〜13に対応する上記各帯状シート素材をロールから順次引き出して積層し、隣接する帯状シート素材同士を例えば熱圧着などによって固着する。このとき、図2に示すような状態となる。
【0019】
第3の工程では、第2の工程によって帯状シート素材が積層された積層部材から、1つのRFIDタグに対応する切り出し領域Aが、抜き型などによって切り出される。これにより、RFIDユニット1が作製される。
【0020】
以上の製造工程によれば、ICチップ21や導体パターン24などが実装された単位ベース基板22を、シート部材11に対応する帯状シート素材の上にあらかじめ固着しておくとともに、シート部材12,13にそれぞれ対応する帯状シート素材の間にあらかじめ補強部材23を配置しておき、これらの帯状シート部材を上記第2の工程に投入している。
【0021】
すなわち、従来はICチップ21および補強部材11の双方を搭載した状態で、保護シートを積層するようにしていたために、ICチップ21および補強部材11の双方の曲げ抵抗により巻き取りができなかったが、これに対して、本実施の形態によれば、シート部材11に対応する帯状シートにICチップ21を実装する一方、シート部材12,13に対応する帯状シートに補強部材23を配置するというように、ICチップ21と補強部材23とを別の帯状シートに配置しておくことができる。その結果、それぞれのシート部材の曲げ抵抗が、ICチップ21および補強部材23の双方を搭載した場合に比べ低くなるので、巻き付けが可能となる。
【0022】
そして、これらのシート部材を積層した段階で、切り出し前のRFIDタグの最終形態を形成することになる。従って、この状態で最終製品の切り出し作業を行えば、ICチップ21および補強部材23の双方を搭載した状態でロールに巻き付けるということがなくなる。
【0023】
以上により、積層するすべての帯状シート素材をロールに巻き付け、そこから順次引き出して積層するという製造手法が利用可能になる。従って、大量のRFIDユニット1を効率よく製造できる。
【0024】
なお、単位ベース基板22を作製するための手法としては、例えば、多数の導体パターン24を長手方向に並列して形成した帯状ベース基板を用意し、各導体パターン24に対してICチップ21を実装し、その後に帯状ベース基板から単位ベース基板22の領域を切り離すという手法を適用可能である。
【0025】
また、この手法とは別の手法として、個々の単位ベース基板22を切り離すことなく、多数の単位ベース基板22が長手方向に並列された、シート部材11に対応する帯状シート素材を直接的に作製する手法を採ることも可能である。具体的には、まず、一方の面に粘着材が付着された帯状シート素材を、単位ベース基板22に対応する帯状ベース基板に貼付する。このとき、帯状シート素材は、帯状ベース基板におけるICチップ21の搭載面の反対面に貼付される。次に、この帯状ベース基板において、1つのICチップ21とこれに接続された導体パターン24とを含む領域の周縁部を、粘着剤の層とともに切断する。このとき、シート部材11に対応する帯状シート素材については切断しない。次に、切断した領域の外側領域のみ、帯状ベース基板を帯状シート素材から剥離する。これにより、帯状シート素材には、単位ベース基板22の領域のみが残る。
【0026】
このような手法を用いることで、多数の単位ベース基板22が貼付された帯状シート素材を一旦ロールに巻き取った後、上記の積層工程に投入できるようになり、製造効率をより向上させることができる。
【0027】
なお、図1および図2の例では、ICチップ21の上方のみに補強部材23を配置したが、さらにICチップ21の下方にも同様な補強部材を配置することも可能である。この場合、シート部材11の下面に、補強部材を挟んでさらにシート部材を積層して固着すればよい。ただし、この場合には、シート部材11またはその下層のシート部材の少なくとも一方を、弾性を有する材料により形成しておく。
【0028】
また、図1および図2の例では、個々のICチップ21ごとに分離された補強部材23が配置されたが、このような補強部材23の代わりに、メッシュ状補強部材が用いられてもよい。この場合、シート部材12,13に対応する帯状シート素材の間に、それらの長手方向に伸びる帯状のメッシュ状補強部材を挟み込んでおく。そして、このような帯状シート素材を上記と同様の手法で積層・固着した後、RFIDユニットに対応する領域を切り出す。このような手法によれば、補強部材を配置する工程の効率をさらに高めることができる。
【0029】
また、後述するように、メッシュ状補強部材を用いた場合には、単位ベース基板22を、シート部材11に対応する帯状シート素材にあらかじめ固着するという工程を省略した手法を用いてもよい。この場合には、導体パターン24を並列して形成した帯状ベース基板に開口部を設けておき、各導体パターン24にICチップ21を接続した後、帯状ベース基板の上下に、メッシュ状補強部材を挟んだ2層の帯状シート素材を含む積層部材をそれぞれ積層し、これらを開口部を介して固着するようにする。
【0030】
次に、RFIDタグの製造方法についてのより具体的な実施の形態を説明する。以下の説明では、まず、実施の形態に示されるRFIDタグ製造方法と従来の技術との対比を容易にするために、図3〜図8を用いて一般的なRFIDタグの製造工程の例を挙げる。そして、その後、第2〜第5の実施の形態として、この一般的なRFIDタグの製造工程での問題点を解決した製造工程の具体例について説明する。
【0031】
[一般的なRFIDタグ製造工程]
図3〜図8は、一般的なRFIDタグの製造工程におけるICチップの実装工程を説明するための図である。なお、図3において、上段は、この工程の様子を示す側面図であり、下段は、その平面図である。
【0032】
図3において、アンテナ基板101は、多数のアンテナパターン102が一定の間隔で形成されたシート状またはフィルム状の基板である。アンテナパターン102は、例えば、アルミニウムなどの導電材を用いて、印刷技術または薄膜形成技術などによって基板の表面に形成される。図3の例では、それぞれのアンテナパターン102は直線状に形成され、略中央部が離間している。なお、アンテナパターン102の形状としては、他に例えば、ループ状やスパイラル状なども適用可能である。
【0033】
非接触型のICチップ103の実装工程では、上記のようにアンテナパターン102が形成されたアンテナ基板101が、ロール121に巻き付けられた状態で用意される。そして、アンテナ基板101は、ロール121を回転させることによってステージ122の上に順次引き出され、このステージ122上において、ICチップ103が順次取り付けられる。
【0034】
ICチップ103の取り付けは、例えば、ボンディングツール123を用いたフリップチップボンディングなどによって行われる。ICチップ103の下面または側面には、図示しないアンテナ端子が2つ形成され、これらのアンテナ端子がアンテナパターン102の離間した両側部分のそれぞれに接続される。以上の工程によってICチップ103が実装されたアンテナ基板101は、再度ロールに巻き取られる。
【0035】
図4は、一般的なRFIDタグの製造工程における補強部材の取り付け工程を説明するための図である。
ICチップ103が実装され、ロール131に巻き付けられたアンテナ基板101には、次の工程において、ICチップ103を補強するための補強部材104が取り付けられる。補強部材104の材料としては、例えば、FRP(Fiber-reinforced Plastic)などの樹脂材料、セラミック、金属などが利用可能である。図4の例では、補強部材104は平板状に形成されている。
【0036】
ロール131からステージ132上に引き出されたアンテナ基板101上のICチップ103には、まず、ディスペンサ133によって接着剤が塗布される。次に、接着剤が塗布されたICチップ103の上面に、ボンディングツール134によって補強部材104が載置され、さらに熱源135からの熱によって接着剤が硬化される。
【0037】
このようにして、ICチップ103の上側に補強部材104が固着されると、アンテナ基板101上にはICチップ103、接着剤および補強部材104による突起が存在する状態となるため、アンテナ基板101をロールで巻き取ることが困難になる。そこで、1個または複数個のICチップ103を単位として、アンテナ基板101をカッター136によって裁断する。そして、裁断された状態のアンテナ基板101を、次の工程のための装置に運搬する。図4の例では、3個のICチップ103が搭載された領域を単位としてアンテナ基板101が裁断されている。
【0038】
図5は、一般的なRFIDタグの製造工程におけるRFIDインレットの切り出し工程を説明するための図である。なお、図5において、上段は、この工程の様子を示す側面図であり、下段はその平面図である。
【0039】
前述のように裁断されたアンテナ基板101は、ステージ141の上に載置された後、さらに、抜き型142によって図中の点線に沿って打ち抜かれる。これにより、1つのRFIDタグを構成する電子部品群がパッケージ化されたRFIDインレット105が作製される。
【0040】
図6,図7は、一般的なRFIDタグの製造工程におけるRFIDインレット封止工程について説明するための図である。
まず、図6に示すように、上記の工程により作製された複数のRFIDインレット105が、下側の外装材である下層保護シート106aの上に並べて載置される。下層保護シート106aの材料としては、例えば、PET(Polyethylene Terephthalate)、EPDM(Ethylene Propylene Diene Terpoleymer)、シリコンゴムなどの樹脂材料などが用いられる。なお、図6において、上段は、例として8個のRFIDインレット105が並列された様子を示す平面図であり、下段はその側面図である。
【0041】
次に、図7に示すように、テーブル151の上において、RFIDインレット105が載置された下層保護シート106aの上面に、さらに、中間層保護シート106bおよび上層保護シート106cが載置される。なお、中間層保護シート106bは、RFIDインレット105と同等またはそれ以上の厚さを有し、RFIDインレット105に対応する領域がくり抜かれた構成を有している。
【0042】
次に、上層保護シート106cの上側から下側方向に対して、プレスヘッド152により加圧されるとともに、加熱される。ここで、下層保護シート106a、中間層保護シート106bおよび上層保護シート106cが、前述の樹脂材料によって形成されている場合には、加圧・加熱により各保護シート同士が固着され、RFIDインレット105が封止される。
【0043】
図8は、一般的なRFIDタグの製造工程における最終製品切り出し工程を説明するための図である。なお、図8において、上段は、この工程の様子を示す側面図であり、下段はその平面図である。
【0044】
図8における保護シート106は、前述の下層保護シート106a、中間層保護シート106bおよび上層保護シート106cが固着された状態の領域を示している。図8に示す工程では、抜き型161によって、個々のRFIDインレット105を包含する領域が打ち抜かれて、最終製品であるRFIDユニット107が作製される。
【0045】
以上の図3〜図8に示した工程により、補強部材104によって補強されたICチップ103やアンテナパターン102などが搭載されたRFIDインレット105の全体を、保護シート106によって封止したRFIDユニット107が製造される。このRFIDユニット107は、曲げや圧迫などの外力に強く、なおかつ、各種の液体や薬剤の中に置かれた場合でもその内部が腐食することなどが防止されるという効果を有する。
【0046】
しかしながら、この一般的な製造方法では、アンテナ基板101上にICチップ103や補強部材104を搭載する工程の後、そのアンテナ基板101をロールで巻き取ることが困難になるため、一旦アンテナ基板101からRFIDインレット105を切り出してから、残りの工程に進む必要がある。ロールを用いた製造手法は、長尺物を容易に持ち運び、そこから長尺物を順次引き出して部品の実装などを連続的に実行できるため、非常に効率がよい製造手法であるが、上記の製造方法では、ロールを用いた製造手法を途中の工程までしか利用できず、製造効率が低いという問題がある。
【0047】
また、切り出されたRFIDインレット105を封止する工程では、保護シート106の上面を平坦にするために、RFIDインレット105の位置に適合した形状を有する中間層保護シート106bを用いる必要がある。このため、RFIDインレット105の封止工程では、切り出されたRFIDインレット105を所定の位置まで運搬して、正確に位置合わせする必要があり、工程が複雑になってしまう。
【0048】
本明細書における各実施の形態では、上記のRFIDユニット107とほぼ同様の仕様を持つ製品を、ロールを用いた手法によって一貫して製造することによって、低コストで大量に製造できるようにすることを目的としている。
【0049】
なお、各実施の形態では、アンテナパターンを直線状のものとするが、アンテナパターンとしては、例えば、ループ状やスパイラル状などのものも適用可能である。
[第2の実施の形態]
図9は、第2の実施の形態に係るRFIDユニットの製造工程の概要を示すフローチャートである。
【0050】
〔ステップS21〕第2の実施の形態では、ICチップの補強部材として、メッシュ状のシート材料を用いる。まず、メッシュ状の補強部材を、弾性を有する保護部材によって挟み込んだ積層シートを作製する。作製された積層シートは、ロールによって巻き取っておく。
【0051】
〔ステップS22〕一方、上記の一般的なRFIDタグの製造工程と同様の方法により、アンテナパターンが形成されたアンテナ基板を作製する。作製されたアンテナ基板は、ロールによって巻き取っておく。
【0052】
〔ステップS23〕上記の一般的なRFIDタグの製造工程と同様の方法により、アンテナ基板に対してICチップを実装する。ICチップが実装されたアンテナ基板は、ロールによって巻き取っておくことも可能である。
【0053】
〔ステップS24〕ICチップが実装されたアンテナ基板上の所定の位置に、スリットを形成する。スリットが形成されたアンテナ基板は、ロールによって巻き取っておく。
〔ステップS25〕ステップS24においてスリットが形成されたアンテナ基板を、ステップS21において作製された積層シートによって両側から挟み込み、積層シート同士を固着する。さらに、固着された部材をRFIDタグの領域ごとに切り出し、RFIDユニットを完成させる。この工程では、アンテナ基板と積層シートとを、それぞれのロールから同じ速度で引き出していくことで、積層シート同士を固着し、さらにRFIDユニットを切り出すことができる。
【0054】
次に、上記各工程について、より詳しく説明する。
図10は、第2の実施の形態における積層シート作製工程を説明するための図である。なお、図10において、上段は、この工程の様子を示す側面図であり、下段はその平面図である。
【0055】
図10に示す工程は、図9のステップS21に対応する。この工程では、シート状のナイロンメッシュ201と、ゴムシート202a,202bとが、それぞれロール221,222a,222bに巻き付けられた状態で用意される。そして、これらが積層された積層シートが作製される。
【0056】
ここで、ナイロンメッシュ201は、非接触型のICチップの補強部材として利用されるものであり、少なくともICチップ全体を包含するだけの幅を有する。この補強部材の材料としては、メッシュ状であればナイロンに限らず、例えば、各種樹脂材料、金網などの金属材料でもよい。ただし、この材料としては、ある程度の剛性を持ち、伸びにくく、かつ、ある程度曲げることができるものが望ましい。また、ICチップの通信性能を良好に保つためには、非導電性であることが望ましい。
【0057】
一方、ゴムシート202a,202bは、後述するように、ICチップ、またはこれが実装された基板に接するシート部材であり、ICチップや基板を保護するために設けられる。この保護シート部材の材料としては、各種の樹脂材料やエラストマなど他の材料でも構わないが、ICチップを押しつけたときにICチップが沈み込む程度の弾性を有することが望ましい。また、後述するように、熱圧着が可能な材料であることがより望ましい。
【0058】
ナイロンメッシュ201、ゴムシート202a,202bは、それぞれロール221,222a,222bから、ローラ223a,223bの間に引き出され、積層される。このとき、ナイロンメッシュ201は、ゴムシート202a,202bによって上下から挟み込まれた状態とされ、ロール224に巻き取られる。
【0059】
なお、この工程においては、ナイロンメッシュ201は、積層されたゴムシート202a,202bに対して、特に接着される必要はない。しかし、例えば、ナイロンメッシュ201の両面、あるいはゴムシート202a,202bのナイロンメッシュ201との対向面に、接着剤を塗布して、その対向面同士を接着するようにしてもよい。
【0060】
図11は、第2の実施の形態におけるスリット形成工程を説明するための図である。なお、図11において、上段は、この工程の様子を示す側面図であり、下段はその平面図である。
【0061】
図9のステップS22で述べたように、積層シートとは別に、アンテナパターンが形成されたアンテナ基板が作製される。次に、図9のステップS23で述べたように、作製されたアンテナ基板に対して、ICチップが実装される。これらの工程に関しては、図3を用いて説明した一般的なRFIDタグの製造工程におけるICチップ実装工程と同様であるので、ここでは図示を省略する。ここで、図11におけるアンテナ基板203、アンテナパターン204およびICチップ205は、図3におけるアンテナ基板101、アンテナパターン102およびICチップ103にそれぞれ対応するものとする。
【0062】
ICチップ205が実装されたアンテナ基板203は、例えば、ロール231に一旦巻き取られた後、図11のスリット形成工程に投入される。ここで、ICチップ205の大きさはアンテナ基板203の幅などに対して小さく、また、その高さは例えば前述の補強部材104に対して低いので、ICチップ205のみを実装したアンテナ基板203は比較的容易にロール231に巻き付けておくことができる。
【0063】
次に、ロール231を回転させて、アンテナ基板203をステージ232上に順次引き出していきながら、抜き型233を用いてアンテナ基板203にスリットを形成していく。図11の例では、並列するアンテナパターン204の間の領域にスリット203aを形成し、アンテナパターン204の長手方向の両端の領域にスリット203bを形成している。
【0064】
これらのスリットは、後述するシート固着工程において、アンテナ基板203の両側のゴムシート同士を接触させて熱圧着させるために形成される。従って、スリットの大きさや形成場所は、熱圧着時に十分な接着力が生じるように決定される。また、スリットの形成領域は、基本的には、ICチップ205やアンテナパターン204を含まない領域であればどこでも構わない。ただし、後述するように、スリットの形成場所やその大きさによって、完成したRFIDユニットの側面からアンテナ基板203が露出する部分の大きさを小さくすることができる。
【0065】
スリットが形成されたアンテナ基板203は、再度ロールに巻き取られる。このロールとしては、アンテナ基板203が巻き付けられていた元のロール231であってもよいし、アンテナ基板203の他端側に設けられた別のロールであってもよい。
【0066】
なお、以上のようなスリットの形成は、ステップS23の工程において、ICチップ205をアンテナ基板203に実装する直前または直後に行われてもよい。あるいは、ステップS21の工程において、アンテナパターン102を形成するために用意するアンテナ基板203に、あらかじめスリットを設けておいてもよい。
【0067】
図12は、第2の実施の形態におけるシート固着・ユニット切り出し工程を説明するための図である。なお、図12において、上段は、この工程の様子を示す側面図であり、下段はその平面図である。
【0068】
図12に示す工程は、図9のステップS25に対応する。この工程では、まず、ステップS24の工程においてスリットが形成されたアンテナ基板203の両面に、ステップS21の工程においてそれぞれ作製された積層シート206a,206bが積層される。図12において、アンテナ基板203、積層シート206a,206bは、それぞれロール241,242a,242bから引き出され、ローラ243a,243bによって上下方向から加圧されながら搬送される。これとともに、例えば、ローラ243a,243bによって、あるいは、これらとは別の図示しない熱源から、熱が加えられる。
【0069】
これにより、積層シート206aの下層側、すなわち、アンテナ基板203に対向する側のゴムシートと、積層シート206bの上層側のゴムシートとが、アンテナ基板203に形成されたスリットを介して熱圧着される。これにより、ICチップ205およびアンテナパターン204が、ゴムシートによって封止される。また、積層シート206aにおいては、上層側のゴムシートと下層側のゴムシートとが、それらの間のナイロンメッシュ201の隙間を介して熱圧着される。同様に、積層シート206bにおいても、上層側のゴムシートと下層側のゴムシートとが、それらの間のナイロンメッシュ201の隙間を介して熱圧着される。
【0070】
ここで、積層シート206aの下層側のゴムシートは、弾性を有していることから、アンテナ基板203に圧着されたとき、このICチップ205の高さの分だけ収縮する。これにより、積層シート206aの上面はほぼ平坦な状態に保たれる。なお、積層シート206aの上面を平坦にするためには、例えば、ICチップ205の形状に合わせてゴムシートに凹部を設けておいてもよい。ただし、この場合には、アンテナ基板203を挟んだ積層シート206a,206bの固着工程において、積層シート206aの凹部の位置をICチップ205の位置に合わせる必要が生じる。
【0071】
このように熱圧着されたシート部材は、さらに、抜き型244によって、ICチップ205とこれに接続されたアンテナパターン204とを含む領域ごとに切り出される。ここで切り出されたものが、最終製品であるRFIDユニットとなる。図12の下段では、抜き型244によって切り出される領域を、切り出し領域207として示している。本実施の形態では、切り出し領域207を、アンテナ基板203に形成したスリット203a,203bのそれぞれの内部を通るように設定している。
【0072】
なお、本実施の形態では、ステップS21の工程においてあらかじめ作製した積層シート206a,206bを、ステップS25の工程に投入している。しかし、例えば、ステップS25の工程において、積層シート206a,206bの積層および固着と、これらとアンテナ基板203との積層および固着を、同時に行うようにしてもよい。
【0073】
図13は、第2の実施の形態において作製されたRFIDユニットの構成を示す図である。図中の上段はその平面図であり、下段はその側面図である。
図13に示すように、本実施の形態で作製されたRFIDユニットでは、ICチップ205およびアンテナパターン204が、保護部材であるゴムシートによって封止されている。従って、このRFIDユニットに液体や薬剤が付着した場合でも、それらが内部のICチップ205やアンテナパターン204に触れることはなく、ICチップ205を正常に動作させることができる。
【0074】
また、ICチップ205の上側および下側には、ナイロンメッシュ201の層が形成されている。このため、このRFIDユニットに外部から圧力が加えられたり、曲げる力が加えられた場合でも、ICチップ205が保護される。なお、ナイロンメッシュ201による補強効果については、後の図14においてさらに説明する。
【0075】
また、ナイロンメッシュ201については、その端面がRFIDユニットの側面から露出している。しかし、ナイロンメッシュ201とICチップ205およびアンテナ基板203との間はゴムシートによって完全に離間しているため、ナイロンメッシュ201が露出していることがICチップ205の動作に与える影響はない。
【0076】
ただし、このRFIDユニットでは、その側面からアンテナ基板203の端面の一部が露出している。このため、アンテナ基板203の露出部ができるだけ小さくなるように、切り出し前のアンテナ基板203に形成したスリットの位置や大きさと、RFIDユニットを切り出す領域の位置とを決定することが望ましい。
【0077】
本実施の形態では、図12に示したRFIDユニットの切り出し工程では、アンテナ基板203に形成したスリット203a,203bのそれぞれの内部を通るように、切り出し領域207を設定している。これにより、RFIDユニットの側面からアンテナ基板203が露出する部分は、スリット203aと、これに隣接するスリット203bとの間に位置する領域のみとなる。図13ではこの領域を、露出領域208として示している。
【0078】
従って、本実施の形態においては、切り出し前のアンテナ基板203において、並列したアンテナパターン204の間に設けるスリット203aの、アンテナパターン204と平行な方向(図13中の左右方向)の長さを、できるだけ長くすることが望ましい。これに加えて、RFIDユニットのアンテナパターン204と直交する方向(図13上段における上下方向)の長さが、アンテナパターン204の長手方向の両端に設けるスリット203bにおける同方向の長さ以下となるように、スリット203bの大きさおよび切り出し領域207の位置を設定することが望ましい。
【0079】
なお、例えば、図12において、アンテナ基板203の幅を、積層シート206a,206bの幅より小さくしておき、切り出し領域207の幅方向の長さをアンテナ基板203の幅より大きくするようにしてもよい。この場合、スリット203bを形成せずに、アンテナ基板203のアンテナパターン204の長手方向側の端部が、RFIDユニットの端部から露出しないようになる。
【0080】
図14は、ナイロンメッシュによる補強効果を説明するための図である。
図14(A)では、上記のRFIDユニットで用いた保護部材、すなわちゴムシートの断面を示している。このようなシート部材を図中上側が凸部になるように曲げると、一般的に、右側に示すように、シート部材の中心線を基準として、上側には引っ張りの応力が働き、下側には圧縮の応力が働く。
【0081】
本実施の形態で作製されるRFIDユニットでは、ICチップ205の上下にそれぞれナイロンメッシュ201の層が形成されている。ここで、伸びの小さいナイロンメッシュ201を用いた場合、図14(B)に示すように、図中上側が凸部になるようにRFIDユニットを曲げたときには、上側のナイロンメッシュ201の伸び方が小さいために、その領域のゴムシートは曲がりにくい。逆に、図中下側が凸部になるようにRFIDユニットを曲げたときには、下側のナイロンメッシュ201の伸び方が小さいために、同様にゴムシートは曲がりにくい。従って、曲げに対してICチップ205を確実に保護することができる。
【0082】
以上の第2の実施の形態では、ICチップの補強部材としてメッシュ状の材料を用い、このメッシュ状補強部材を保護シート部材に積層した積層シートを作製する工程を採り入れた。これにより、RFIDユニットを、ロールを利用して一貫して製造することが可能となる。また、保護シート部材として熱圧着が可能な材料を用いたことにより、上記の積層シートと、ICチップが搭載されたアンテナ基板とを積層し、固着する工程を、効率よく実行可能になる。さらに、保護シート部材として弾性を有する材料を用いたことにより、積層シートとアンテナ基板とを固着する際に、これらの搬送方向に対して特に位置合わせすることなく、積層シートの上面を平坦にすることができる。従って、外力や液体、薬剤などに対して強いRFIDユニットを、低コストで大量に製造することが可能になる。
【0083】
[第3の実施の形態]
ところで、上記の第2の実施の形態で作製されるRFIDユニットでは、その側面に補強部材やアンテナ基板の一部が露出する構成となっていた。これに対して、本実施の形態では、補強部材やアンテナ基板が外部に露出しない構成のRFIDユニットを、効率よく製造できるようにする。
【0084】
図15は、第3の実施の形態に係るRFIDユニットの製造工程の概要を示すフローチャートである。
〔ステップS31〕第3の実施の形態では、上記の一般的なRFIDタグの製造工程と同様の補強部材を利用する。まず、補強部材を、外装となる保護シート部材に実装する。このとき、保護シート部材には、後の工程での位置合わせのためのスプロケットホールを形成しておく。補強部材が実装された保護シート部材は、ロールによって巻き取っておく。
【0085】
〔ステップS32〕一方、前述のアンテナ基板上に非接触型のICチップを実装し、ICチップおよびアンテナパターンごとにアンテナ基板を切断することにより、RFIDインレットを作製する。
【0086】
〔ステップS33〕RFIDインレットを、中間層となるシート部材に実装する。このとき、シート部材には、後の工程での位置合わせのためのスプロケットホールを形成しておく。RFIDインレットが実装されたシート部材は、ロールによって巻き取っておく。
【0087】
〔ステップS34〕補強部材が実装された最上層および最下層をなす保護シート部材、RFIDインレットが実装されたシート部材、および、スペーサとしてのシート部材を積層し、シート同士を固着する。さらに、固着された部材をRFIDタグの領域ごとに切り出し、RFIDユニットを完成させる。この工程では、すべてのシート部材をロールから同じ速度で引き出していくことで、シート同士を固着し、さらにRFIDユニットを切り出すことができる。
【0088】
次に、上記各工程について、より詳しく説明する。
図16は、補強部材実装・ホール加工工程を説明するための図である。なお、図16において、上段は、この工程の様子を示す側面図であり、下段はその平面図である。
【0089】
図16に示す工程は、図15のステップS31に対応する。この工程では、保護シート部材であるゴムシート301が、ロール331に巻き付けられた状態で用意される。この保護シート部材は、最終製品であるRFIDユニットの外装を構成する部材であって、内部のICチップやアンテナパターン、補強部材などを封止する機能を果たす。この保護シート部材としては、第1の実施の形態においてナイロンメッシュ201に積層される保護シート部材と同様の材料が用いられればよい。
【0090】
この工程では、ゴムシート301がロール331からステージ332の上に引き出され、実装ツール333によって、ICチップの補強部材302が、ゴムシート301の上面に一定の間隔Pを空けて実装される。補強部材302は、上記の一般的なRFIDタグの製造工程における補強部材104と同様の材料や形状のものが使用されればよい。また、本実施の形態では、補強部材302の下面に、粘着材303が付着される。ここでは例として、粘着材303として両面テープが補強部材302の下面に貼り付けられる。このような補強部材302は、実装ツール333によってゴムシート301上の所定位置に搬送され、ゴムシート301に押しつけられる。なお、粘着材303がゴムシート301上に付着された後、その上に補強部材302が貼付されてもよい。
【0091】
さらに、この工程では、孔空けツール334により、ゴムシート301上に位置合わせ用のスプロケットホール304が一定間隔で形成される。スプロケットホール304の形成間隔は、例えば、補強部材302が実装される間隔Pと同じであればよい。
【0092】
以上の工程により補強部材302が実装され、スプロケットホール304が形成されたゴムシート301は、再度ロールに巻き取られる。このロールとしては、ゴムシート301が巻き付けられていた元のロール331であってもよいし、ゴムシート301の他端側に設けられた別のロールであってもよい。
【0093】
図17は、RFIDインレット作製工程を説明するための図である。なお、図17において、上段は、この工程の様子を示す側面図であり、下段はその平面図である。
図17に示す工程は、図15のステップS32に対応する。この工程では、まず、図3を用いて説明した一般的なRFIDタグの製造工程におけるICチップ実装工程と同様の手順により、アンテナ基板311上に非接触型のICチップ312が実装される。すなわち、図17において、アンテナパターン313が形成されたアンテナ基板311が、ロール341からステージ342上に引き出される。そして、例えば、ボンディングツール343を用いたフリップチップボンディングなどにより、ICチップ312がアンテナ基板311に取り付けられ、ICチップ312の端子がアンテナパターン313に接続される。なお、アンテナ基板311、アンテナパターン313の材料や形状などは、上記の一般的なRFIDタグの製造工程の場合と同様でよい。
【0094】
次に、ステージ342上では、1組のICチップ312およびアンテナパターン313に対応する領域が、抜き型344によって図中の点線に沿って打ち抜かれる。これにより、1つのRFIDタグを構成する電子部品群がパッケージ化されたRFIDインレットが作製される。
【0095】
図18は、RFIDインレット実装・ホール加工工程を説明するための図である。なお、図18において、上段は、この工程の様子を示す側面図であり、下段はその平面図である。
【0096】
図18に示す工程は、図15のステップS33に対応する。この工程では、まず、RFIDユニットの中間層となるシート部材に対して、ステップS32の工程で作製されたRFIDインレットが取り付けられる。本実施の形態では、シート部材としてゴムシート321が用いられる。このシート部材としては、外装となる保護シート部材と同様の材料が用いられればよい。
【0097】
ゴムシート321は、ロール351に巻き付けられた状態で提供される。そして、このゴムシート321がロール351からステージ352の上に引き出され、実装ツール353によって、RFIDインレット322が、ゴムシート321の上面に一定の間隔を空けて実装される。ここで、RFIDインレット322は、ステップS31の工程においてゴムシート301に補強部材302を搭載した際の間隔Pと同じ間隔を空けて、ゴムシート321に搭載される。
【0098】
また、本実施の形態では、RFIDインレット322の下面に、粘着材323が付着される。ここでは例として、ステップS31の工程と同様に、粘着材323として両面テープがRFIDインレット322の下面に貼り付けられる。このようなRFIDインレット322は、実装ツール353によってゴムシート321上の所定位置に搬送され、ゴムシート321に押しつけられて貼付される。なお、粘着材323がゴムシート321上に付着された後、その上にRFIDインレット322が貼付されてもよい。
【0099】
さらに、この工程では、孔空けツール354により、ゴムシート321上に位置合わせ用のスプロケットホール324が一定間隔で形成される。スプロケットホール324を形成する間隔は、ステップS31の工程においてスプロケットホール304が形成された間隔Pと同じにする必要がある。また、スプロケットホール304の幅方向の間隔についても、ステップS31での形成間隔と同じにする。
【0100】
以上の工程によりRFIDインレット322が実装され、スプロケットホール324が形成されたゴムシート321は、再度ロールに巻き取られる。このとき、ゴムシート321上に搭載されたRFIDインレット322は比較的薄いものであるため、このようなゴムシート321を比較的容易にロールに巻き付けておくことができる。なお、このロールとしては、ゴムシート321が巻き付けられていた元のロール351であってもよいし、ゴムシート321の他端側に設けられた別のロールであってもよい。
【0101】
図19は、シート固着・ユニット切り出し工程を説明するための図である。なお、図19において、上段は、この工程の様子を示す側面図であり、下段はその平面図である。
図19に示す工程は、図15のステップS34に対応する。この工程では、ステップS33の工程によりRFIDインレット322が実装されたゴムシート321の下層側に、ステップS31の工程により補強部材302が実装されたゴムシート301aが積層される。また、ゴムシート321に上層側には、スペーサシート330を挟んで、ステップS31の工程により補強部材302が実装されたゴムシート301bが積層される。
【0102】
ここで、ゴムシート301a,301bは、搭載された補強部材302が内側を向くようにそれぞれ積層される。また、スペーサシート330は、ゴムシート301a,301b,330と同様の材料により形成されたシート部材である。このスペーサシート330には、ゴムシート301a,301b,321に形成されたものと同じ間隔で、スプロケットホールが形成されているものとする。
【0103】
図19に示すように、ゴムシート301a,301b,321、スペーサシート330は、それぞれロール361a,361b,362,363から引き出され、スプロケットホイール364a,364bの間に搬送される。スプロケットホイール364a,364bには、その外周面上に同じ間隔で凸部が設けられ、これらの凸部がゴムシート301a,301b,321、スペーサシート330にそれぞれ設けられたスプロケットホールに順次挿入されながら搬送される。これにより、ゴムシート321に搭載されたICチップの上下に、ゴムシート301a,301bにそれぞれ搭載された補強部材302が正確に配置されるように位置合わせされる。
【0104】
さらに、スプロケットホイール364a,364bの後段にはローラ365a,365bが設けられ、ゴムシート301a,301b,321、スペーサシート330は、ローラ365a,365bによって上下方向から加圧されながら搬送される。このとき、例えば、ローラ365a,365bによって、あるいは、これらとは別の図示しない熱源から、熱が加えられる。これにより、隣接するシート同士が熱圧着され、RFIDインレット322および補強部材302がともに封止される。
【0105】
また、積層される各シート、特に、ゴムシート321およびスペーサシート330は、弾性を有していることから、これらのシート部材がローラ365a,365bによって加圧されたとき、シート部材においてRFIDインレット322および補強部材302に接している領域は、RFIDインレット105および補強部材302の高さの分だけ収縮する。これにより、積層されたシート全体の上面はほぼ平坦な状態に保たれる。なお、積層されたシート全体の上面を平坦にするためには、例えば、RFIDインレット322や補強部材302の形状に合わせて、ゴムシート321およびスペーサシート330に凹部を設けておいてもよい。
【0106】
このように熱圧着されたシート部材は、さらに、ステージ366上において抜き型367によって、1つのRFIDインレット105を含む領域ごとに切り出される。ここで切り出されたものが、最終製品であるRFIDユニットとなる。図19の下段では、抜き型367によって切り出される領域を、切り出し領域370として示している。この切り出し領域370は、RFIDインレット105とこれに対応する補強部材302の領域より大きく設定され、これにより、RFIDインレット105および補強部材302が上下層のシート部材によって完全に封止される。
【0107】
なお、本実施の形態では、シート部材積層時の位置合わせのために、各シート部材にスプロケットホールを設けたが、このような孔状のものの他、例えば各シート部材の側部に切り欠きを設けてもよい。この場合、積層工程においては、各シート部材の切り欠きに、スプロケットホイールの凸部に対応する部材を係合させながら各シート部材を搬送すればよい。また、この他の位置合わせ手法が利用されてもよい。
【0108】
また、図19では、ゴムシート301a,301b,321、スペーサシート330のすべてが、一度に積層されている。しかし、これらのうち隣接するシート部材同士をあらかじめ積層し、例えばロールに巻き取った後に、最終的にそれらすべてを積層するという手順が採られてもよい。この場合、シート部材間の固着は、シート部材同士を積層するたびに行われてもよいし、最終的な積層工程で行われてもよい。
【0109】
図20は、第3の実施の形態において作製されたRFIDユニットの構成を示す図である。図中の上段はその平面図であり、下段はその側面図である。
図20に示すように、本実施の形態で作製されたRFIDユニットでは、RFIDインレット105に搭載されたICチップ312の上層および下層に、それぞれ補強部材302が配置される。ここで、補強部材302としては、前述のように硬質の材料を用いることができるので、第2の実施の形態のように、メッシュ状の材料を用いた場合より、強度を高めることができる。
【0110】
また、ICチップ312、アンテナパターン313およびアンテナ基板311は、すべて保護シート部材の中に封止されており、RFIDユニットの外面に露出していない。このため、このRFIDユニットに液体や薬剤が付着した場合でも、それらが内部のICチップ312やアンテナパターン313に触れることはなく、ICチップ312を正常に動作させることができる。さらに、補強部材302も保護シート部材の中に完全に封止されているので、補強部材302が腐食することも防止される。
【0111】
以上の第3の実施の形態によれば、RFIDユニットを、ロールを利用して一貫して製造することが可能となる。また、保護シート部材として熱圧着が可能な材料を用いたことにより、保護シート部材を積層して固着する工程を、効率よく実行可能になる。さらに、積層する各保護シート部材に位置合わせ用の孔を設けておくことで、保護シート部材を積層して固着する際に、ICチップと補強部材とを簡単に位置合わせすることができる。従って、上記のような特徴を有するRFIDユニットを、低コストで大量に製造することが可能になる。
【0112】
なお、以上の第3の実施の形態では、ICチップ312の上層および下層の両方に補強部材302を配置したが、例えば、ICチップ312の上層側のみに補強部材302を配置する構成としてもよい。この場合、図19に示したシート固着工程において、下層側のゴムシート301aの積層および固着が省略されればよい。すなわち、この場合には、ゴムシート321がRFIDインレット322を保護する外装の保護シートとして機能する。
【0113】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態は、第2の実施の形態での製造工程の一部を、別の手法によって置き換えたものである。具体的には、ICチップを搭載したアンテナ基板にスリットを入れて、保護シート部材同士を固着する代わりに、ICチップとアンテナ基板とを含むRFIDインレットを中間層の保護シート部材の上に実装することで、保護シート部材同士を固着できるようにする。
【0114】
図21は、第4の実施の形態に係るRFIDユニットの製造工程の概要を示すフローチャートである。
〔ステップS41〕この工程では、図9のステップS21の工程と同様の手法で、メッシュ状の補強部材を保護シート部材によって挟み込んだ積層シートを作製する。作製された積層シートは、ロールによって巻き取っておく。
【0115】
〔ステップS42〕上記の積層シートとは別に、ICチップをシート部材に実装する工程が実行される。まず、図9のステップS22,S23の工程と同様の手法で、アンテナパターンが形成されたアンテナ基板を作製し、このアンテナ基板に対してICチップを実装する。
【0116】
〔ステップS43〕ICチップが実装されたアンテナ基板に対して、ベースシート部材を積層する。この工程では、粘着材が付着されたベースシート部材が、アンテナ基板の下面、すなわちICチップが搭載されていない面に固着される。
【0117】
〔ステップS44〕保護シート部材から、ICチップおよびアンテナパターンを含む領域を打ち抜き、RFIDインレットを作製する。この工程では、積層された部材のうちアンテナ基板およびその下層の粘着材の層のみをカットし、RFIDインレットの領域以外のアンテナ基板を剥がして除去する。これにより、RFIDインレットのみが搭載された保護シート部材が作製され、ロールに巻き取られる。
【0118】
〔ステップS45〕図9のステップS25の工程と同様の手法で、RFIDインレットが搭載されたベースシート部材を、ステップS41において作製された積層シートによって両側から挟み込み、隣接するシート部材同士を固着する。さらに、固着された部材をRFIDタグの領域ごとに切り出し、RFIDユニットを完成させる。
【0119】
次に、上記各工程について、より詳しく説明する。
まず、ステップS41の工程は、図10を用いて説明した通りである。また、ステップS42の工程は、図3を用いて説明した一般的なRFIDタグの製造工程におけるICチップ実装工程と同様である。従って、これらの工程については図示を省略する。
【0120】
図22は、ベースシート部材積層工程を説明するための図である。
図22に示す工程は、図21のステップS43に対応する。図22において、アンテナ基板401は、ステップS42の工程によりICチップ402が実装され、ロール431に巻き取られた状態でこの工程に投入される。一方、ロール432には、片面に粘着材411が塗布されたゴムシート412が巻き取られている。ゴムシート412は、粘着材411の表面に剥離紙413が貼付された状態でロール432に巻かれている。このゴムシート412は、RFIDインレットを取り付けておくためのベース基材として機能するシート部材であり、ステップS41において用いられる保護シート部材と同様の材料が用いられる。
【0121】
図22に示すように、アンテナ基板401およびゴムシート412は、それぞれロール431,432から引き出され、ローラ433a,433bの間に搬送される。このとき、ゴムシート412に貼付されていた剥離紙413は、剥離されてローラ434に巻き取られる。これにより、ゴムシート412の粘着材411の面がアンテナ基板401に接触し、ゴムシート412とアンテナ基板401とが、ローラ433a,433bの圧力によって圧着される。圧着されたゴムシート412およびアンテナ基板401は、ステージ435に搬送されて、ローラに巻き取られることなく、次の工程に投入される。
【0122】
なお、アンテナ基板401に接触するローラ433aについては、ICチップ402を圧力により破損しない程度に柔らかい材料により形成されていることが望ましい。
図23は、RFIDインレット打ち抜き工程を説明するための図である。なお、図23において、上段は、この工程の様子を示す側面図であり、下段はその平面図である。
【0123】
図23に示す工程は、図21のステップS44に対応する。上記工程により圧着されたゴムシート412およびアンテナ基板401は、ステージ435での打ち抜き工程に投入される。この工程では、抜き型436によって、アンテナ基板401と、ゴムシート401における粘着材411の層のみがカットされ、ゴムシート412はカットされない。
【0124】
この後、ローラ437の位置において、アンテナ基板401のうち抜き型436によりカットされた領域の外側の部分が、ゴムシート412から剥離されて、例えばロール438に巻き取られる。一方、ゴムシート412は、ロール439によって巻き取られる。
【0125】
ここで、抜き型436によってカットされる領域については、下段の図において点線で示してある。この図に示すように、1組のICチップ402およびアンテナパターン403に対応する領域が、抜き型436によってカットされる。従って、カットされた領域の外側のみがゴムシート412から剥離されると、ロール439に巻き取られるゴムシート412は、ICチップ402およびアンテナパターン403を含む領域のみが貼付された状態となる。すなわち、このゴムシート412の上に、1つのRFIDタグを構成する電子部品群がパッケージ化されたRFIDインレット404が作製される。
【0126】
なお、このとき作製される、RFIDインレット404が貼付されたゴムシート412は、第3の実施の形態におけるRFIDインレット実装工程(図15のステップS33)において作製されるものと、ほぼ同じ構成を有するものとなる。ただし、本実施の形態では、スプロケットホールは形成されない。
【0127】
図24は、シート固着・ユニット切り出し工程を説明するための図である。なお、図24において、上段は、この工程の様子を示す側面図であり、下段はその平面図である。
図24に示す工程は、図21のステップS45に対応する。この工程の基本的な手順は、第2の実施の形態において、図10のステップS25に示したシート固着・ユニット切り出し工程とほぼ同様である。また、この工程については、図12を用いてすでに説明した。このため、図24では、図12と同じ構成要素には同じ符号を付して示している。
【0128】
図24に示す工程は、図12に示したアンテナ基板203の代わりに、図21のステップS42〜S44の工程によって作製された、RFIDインレット404付きのゴムシート412を用いたものである。すなわち、ゴムシート412、積層シート206a,206bは、それぞれロール439,242a,242bから引き出され、ローラ243a,243bによって上下方向から加圧されながら搬送される。これとともに、例えば、ローラ243a,243bによって、あるいは、これらとは別の図示しない熱源から、熱が加えられる。
【0129】
これにより、積層シート206aの下層側のゴムシートと、ゴムシート412の上面とが熱圧着される。これにより、ICチップ402およびアンテナパターン403が、ゴムシートによって封止される。また、積層シート206bの上層側のゴムシートと、ゴムシート412の下面との間も熱圧着される。そして、第2の実施の形態と同様、各積層シート206a,206b内の2枚のゴムシート同士も熱圧着される。
【0130】
また、これらすべてのシート部材が圧着されると、積層シート206aがRFIDインレット404の高さに応じて収縮するため、積層シート206aの上面はほぼ平坦な状態に保たれる。なお、積層シート206aの上面を平坦にするためには、例えば、RFIDインレット404の形状に合わせてゴムシートに凹部を設けておいてもよい。ただし、この場合には、ゴムシート412を挟んだ積層シート206a,206bの固着工程において、積層シート206aの凹部の位置をRFIDインレット404の位置に合わせる必要が生じる。
【0131】
このように熱圧着されたシート部材は、さらに、抜き型244によって、RFIDインレット404を含む領域ごとに切り出される。ここで切り出されたものが、最終製品であるRFIDユニットとなる。図24の下段では、抜き型244によって切り出される領域を、切り出し領域405として示している。
【0132】
なお、本実施の形態では、ステップS41の工程においてあらかじめ作製した積層シート206a,206bを、ステップS45の工程に投入している。しかし、例えば、ステップS45の工程において、積層シート206a,206bの積層および固着と、これらとゴムシート412との積層および固着を、同時に行うようにしてもよい。
【0133】
また、図24に示した工程においては、積層シート206a,206bのうち、ゴムシート412の下面に固着する積層シート206bについては、ゴムシート412側の面のゴムシートが省略され、ナイロンメッシュが直接ゴムシート412に接触するようにしてもよい。ただし、図24のような工程とすることで、ゴムシート412の両面側に対して全く同じ製造工程によって製造された積層シート206a,206bを利用可能になり、製造工程が簡略化されるというメリットが生じる。
【0134】
図25は、第4の実施の形態において作製されたRFIDユニットの構成を示す図である。図中の上段はその平面図であり、下段はその側面図である。
図25に示すように、本実施の形態で作製されたRFIDユニットでは、第2の実施の形態の場合と同様に、ICチップ402の上側および下側に、ナイロンメッシュ201の層が形成される。これにより、外力からICチップ402が保護される。なお、第2の実施の形態と同様に、ナイロンメッシュ201の端面は、RFIDユニットの側面に露出した状態となる。
【0135】
また、このRFIDユニットにおいては、ICチップ402およびアンテナパターン403を備えたRFIDインレット404が、保護部材であるゴムシートによって完全に封止されている。すなわち、第2の実施の形態の場合と異なり、RFIDインレット404に含まれるアンテナ基板401全体が、ゴムシートによって封止される。このため、液体や薬剤が付着した場合でも、ICチップ205をより強固に保護することができる。
【0136】
以上の第4の実施の形態によれば、粘着材付きのゴムシートをRFIDインレットのベースシート部材として使用することで、ロールに巻き取り可能なシート部材からRFIDインレットを一旦切り離す必要がなくなる。このため、RFIDユニットの製造工程において、一貫してロールを利用した製造手法を採ることが可能になる。しかも、RFIDインレットが保護シート部材によって完全に封止された構造のRFIDユニットを製造できる。従って、外力や液体、薬剤などに対して強いRFIDユニットを、低コストで大量に製造することが可能になる。
【0137】
なお、以上の第4の実施の形態では、ICチップ402の上層および下層の両方に補強用のナイロンメッシュ201を配置したが、例えば、ICチップ402の上層側のみにナイロンメッシュ201を配置してもよい。この場合、図24に示したシート固着工程では、下層側の積層シート206bの積層および固着が省略される。ただし、図14で説明したように、曲げに対する強度を確保するためには、ナイロンメッシュ201をICチップ402の上層および下層の両方に配置しておくことが望ましい。
【0138】
[第5の実施の形態]
第5の実施の形態では、第3の実施の形態における製造工程の一部を、第4の実施の形態におけるRFIDインレットの製造工程によって置き換える。
【0139】
図26は、第5の実施の形態に係るRFIDユニットの製造工程の概要を示すフローチャートである。
〔ステップS51〕この工程では、図15のステップS31の工程と同様の手法で、硬質な補強部材を保護シート部材に実装し、さらに、位置合わせ用のスプロケットホールを形成する。補強部材が実装された保護シート部材は、ロールによって巻き取っておく。
【0140】
〔ステップS52〜S54〕これらの工程では、図21のステップS42〜S44と同様の手法で、RFIDインレット付きの保護シート部材を作製する。ただし、ステップS54の工程において、保護シート部材にスプロケットホールを形成する工程が加わっている点のみが異なる。
【0141】
〔ステップS55〕図15のステップS34の工程と同様の手法で、RFIDインレット付きの保護シート部材と、補強部材が実装された最上層および最下層をなす保護シート部材と、スペーサとしてのシート部材とを積層し、シート同士を固着する。さらに、固着された部材をRFIDタグの領域ごとに切り出し、RFIDユニットを完成させる。
【0142】
次に、上記各工程について、より詳しく説明する。
まず、ステップS51の工程は、図16を用いて説明した通りである。また、ステップS52の工程は、図3を用いて説明した一般的なRFIDタグの製造工程におけるICチップ実装工程と同様である。さらに、ステップS53の工程は、図22を用いて説明した通りである。従って、これらの工程については図示を省略する。
【0143】
図27は、ホール加工・RFIDインレット打ち抜き工程を説明するための図である。なお、図27において、上段は、この工程の様子を示す側面図であり、下段はその平面図である。
【0144】
図27に示す工程は、図26のステップS54に対応する。この工程の基本的な手順は、第4の実施の形態において、図21のステップS44に示したRFIDインレット打ち抜き工程とほぼ同様である。また、この工程については、図23を用いてすでに説明した。このため、図27では、図23と同じ構成要素については同じ符号を付して示している。ただし、図27中のアンテナ基板401a、ゴムシート412aおよびロール439aは、それぞれ図23中のアンテナ基板401、ゴムシート412およびロール439に対応している。
【0145】
図27に示す工程は、図23で説明した工程に対して、さらに、スプロケットホール501を形成する工程を加えたものである。スプロケットホール501は、孔空けツール511により、アンテナ基板401aおよびゴムシート412aに対して一定間隔で形成される。ここで、スプロケットホール501を形成する間隔は、ステップS51におけるスプロケットホールの形成間隔と同じにされる。なお、スプロケットホール501の形成工程は、抜き型436によるアンテナ基板401aのカット工程の前に限定されず、その後に行われてもよい。例えば、アンテナ基板401aの余計な領域がゴムシート412aから剥離された後に、このゴムシート412aに対してスプロケットホール501が形成されてもよい。
【0146】
このような工程により、ロール439aに巻き取られるゴムシート412aは、ICチップ402およびアンテナパターン403を含む領域のみが貼付された状態となる。すなわち、このゴムシート412aの上に、1つのRFIDタグを構成する電子部品群がパッケージ化されたRFIDインレット404が作製される。なお、このとき作製される、RFIDインレット404が貼付されたゴムシート412aは、第3の実施の形態におけるRFIDインレット実装工程(図15のステップS33)において作製されるものと同じ構成を有するものとなる。
【0147】
図28は、シート固着・ユニット切り出し工程を説明するための図である。なお、図28において、上段は、この工程の様子を示す側面図であり、下段はその平面図である。
図28に示す工程は、図26のステップS55に対応する。この工程の基本的な手順は、第3の実施の形態において、図15のステップS34に示したシート固着・ユニット切り出し工程と同じである。また、この工程については、図19を用いてすでに説明した。このため、図28では、図19と同じ構成要素については同じ符号を付して示している。
【0148】
図28に示す工程では、図19に示した、RFIDインレット322付きのゴムシート321の代わりに、図26のステップS54の工程により作製された、RFIDインレット404付きのゴムシート412aが用いられる。このゴムシート412aは、ロール439から引き出されて、スプロケットホイール364a,364bによって搬送される。そして、下層、上層の各ゴムシート301a,301bおよびスペーサシート330と積層され、熱圧着される。
【0149】
これらすべてのシート部材が圧着されると、スペーサシート330がRFIDインレット404の高さに応じて収縮するため、積層されたシート全体の上面はほぼ平坦な状態に保たれる。なお、シート全体の上面を平坦にするためには、例えば、RFIDインレット404の形状に合わせてスペーサシート330に凹部を設けておいてもよい。
【0150】
このように熱圧着されたシート部材は、さらに、ステージ366上において抜き型367によって、1つのRFIDインレット404を含む領域ごとに切り出される。ここで切り出されたものが、最終製品であるRFIDユニットとなる。図28の下段では、抜き型367によって切り出される領域を、切り出し領域370として示している。この切り出し領域370は、RFIDインレット404とこれに対応する補強部材302の領域より大きく設定され、これにより、RFIDインレット404および補強部材302が上下層のシート部材によって完全に封止される。
【0151】
なお、本実施の形態では、シート部材積層時の位置合わせのために、各シート部材にスプロケットホールを設けたが、上記の第3の実施の形態と同様、このような孔状のものの他、例えば各シート部材の側部に切り欠きを設けてもよい。また、この他の位置合わせ手法が利用されてもよい。
【0152】
また、図28では、ゴムシート301a,301b,412a、スペーサシート330のすべてが、一度に積層されている。しかし、これらのうち隣接するシート部材同士をあらかじめ積層し、例えばロールに巻き取った後に、最終的にそれらすべてを積層するという手順が採られてもよい。この場合、シート部材間の固着は、シート部材同士を積層するたびに行われてもよいし、最終的な積層工程で行われてもよい。
【0153】
図29は、第5の実施の形態において作製されたRFIDユニットの構成を示す図である。図中の上段はその平面図であり、下段はその側面図である。なお、図29では、図20と同じ構成要素については同じ符号を付して示している。
【0154】
図29に示すように、本実施の形態で作製されたRFIDユニットは、図20に示した、第3の実施の形態において作製されたRFIDユニットとほぼ同じ構成を有している。すなわち、RFIDインレット404に搭載されたICチップ402の上層および下層に、それぞれ補強部材302が配置される。また、ICチップ402、アンテナパターン403、アンテナ基板401および補強部材302は、すべて保護シート部材の中に封止されており、RFIDユニットの外面に露出していない。
【0155】
以上の第5の実施の形態によれば、第3の実施の形態において作製されるものと同様の特徴を有するRFIDユニットを、より効率よく製造することが可能である。すなわち、第5の実施の形態では、粘着材付きのゴムシートをRFIDインレットのベースシート部材として使用することで、ロールに巻き取り可能なシート部材からRFIDインレットを一旦切り離す必要がなくなる。このため、RFIDユニットの製造工程において、一貫してロールを利用した製造手法を採ることが可能になる。
【0156】
なお、以上の第5の実施の形態では、ICチップの上層および下層の両方に補強部材302を配置したが、前述した第3の実施の形態と同様に、例えば、ICチップの上層側のみに補強部材302を配置する構成としてもよい。この場合、図28に示したシート固着工程において、下層側のゴムシート301aの積層および固着が省略されればよい。
【0157】
また、上記の第2〜第5の実施の形態において、図6のステップS25、図15のステップS34、図21のステップS45、図26のステップS55のそれぞれでのシート固着工程では、熱圧着の代わりに、例えば、超音波を用いてシート部材同士を固着してもよい。あるいは、接着剤を用いてシート部材同士が固着されてもよい。ただし、接着剤を用いた場合には、例えば、アンテナ基板やシート部材などの必要な面に接着剤を塗布する工程が必要になる。これに対して、上記各実施の形態のように、接着剤を用いない手法により複数のシート部材を一度に固着することで、製造効率を高めることができる。また、接着剤を用いず、シート部材同士を直接固着させる手法を用いることで、各層のシート部材が剥がれにくくなるので、その内部をより確実に封止することができる。さらに、いずれの固着手法を用いた場合でも、シート部材同士を加圧して、積層されたシート部材の表面が平坦になるようにすることが望ましい。
【0158】
以上の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) アンテナとして機能する導体パターンが形成されているとともに、前記導体パターンに接続した非接触通信型の回路チップが実装された単位ベース基板と、帯状の第1のシート部材とを備え、前記第1のシート部材上にその長手方向に沿って前記単位ベース基板が一定の間隔で固着されたベースシート部材を形成するベースシート部材形成工程と、
それぞれ帯状であって弾性を有する第2のシート部材と第3のシート部材との間に、前記回路チップを補強するための補強部材を前記回路チップの配置間隔と同じ間隔で配置した状態で積層することにより、上層シート部材を形成するとともに、前記上層シート部材を、前記ベースシート部材形成工程により形成された前記ベースシート部材における前記単位ベース基板の積層面側に対して、前記回路チップと前記補強部材とがシート平面側から見て重なる状態で積層するシート部材積層工程と、
前記シート部材積層工程により積層されたシートから、1つの前記単位ベース基板を内包する領域を順次切り出す切り出し工程と、
を有することを特徴とするRFIDタグの製造方法。
【0159】
(付記2) 前記導体パターンが長手方向に前記一定の間隔で形成された帯状のベース基板に対して、前記回路チップを順次実装して対応する前記導体パターンに接続させる回路チップ実装工程をさらに有し、
前記ベースシート部材形成工程は、
一方の面に粘着材が付着された前記第1のシート部材を、前記ベース基板の前記回路チップの実装面とは反対の面に前記粘着材を介して貼付する工程と、
前記ベース基板が貼付された前記第1のシート部材において、1つの前記回路チップとこれに接続された前記導体パターンとを囲む領域の周縁部を、前記ベース基板および前記粘着材の各層のみ切断する工程と、
前記第1のシート部材から、前記ベース基板のうち前記周縁部の外側領域のみを剥離して、前記単位ベース基板が固着された前記ベースシート部材を形成する工程と、
を有することを特徴とする付記1記載のRFIDタグの製造方法。
【0160】
(付記3) 前記シート部材積層工程では、前記ベースシート部材側の面に前記回路チップごとに分離された前記補強部材が前記回路チップの配置間隔と同じ間隔で固着された前記第3のシート部材を、前記第2のシート部材を挟んで前記ベースシート部材に積層し、
前記切り出し工程では、前記上層シート部材と前記ベースシート部材とが積層されたシートから、1つの前記単位ベース基板と当該単位ベース基板上の前記回路チップに対応する前記補強部材とを内包する領域を順次切り出す、
ことを特徴とする付記1または2に記載のRFIDタグの製造方法。
【0161】
(付記4) 前記シート部材積層工程では、前記第1のシート部材と前記第2のシート部材、および、前記第2のシート部材と前記第3のシート部材を、それぞれ熱圧着することを特徴とする付記3記載のRFIDタグの製造方法。
【0162】
(付記5) 前記シート部材積層工程では、前記第1のシート部材、前記第2のシート部材および前記第3のシート部材にそれぞれ同一間隔で形成された孔または切り欠きの位置を合わせながら、前記第1のシート部材、前記第2のシート部材および前記第3のシート部材を搬送して積層することで、前記回路チップと対応する前記補強部材との位置を合わせることを特徴とする付記3または4に記載のRFIDタグの製造方法。
【0163】
(付記6) 前記第1のシート部材は弾性を有する材料により形成され、
前記シート部材積層工程では、前記回路チップごとに分離された下層側補強部材が前記回路チップの配置間隔と同じ間隔で固着された、弾性を有する第4のシート部材を、前記回路チップと前記下層側補強部材とがシート平面側から見て重なる状態で、前記第1のシート部材における前記単位ベース基板の固着面の反対面にさらに積層する、
ことを特徴とする付記3〜5のいずれか1つに記載のRFIDタグの製造方法。
【0164】
(付記7) 前記シート部材積層工程では、前記補強部材として、少なくとも前記回路チップを包含する幅を有し、前記第2のシート部材および前記第3のシート部材の長手方向に帯状に長く形成されたメッシュ状補強部材を、前記第2のシート部材と前記第3のシート部材との間に挟んで配置することを特徴とする付記1または2に記載のRFIDタグの製造方法。
【0165】
(付記8) 前記シート部材積層工程では、前記メッシュ状補強部材と同様の下層側メッシュ状補強部材を、弾性を有する第4のシート部材と第5のシート部材との間に挟んだ下層シート部材を、当該下層側メッシュ状補強部材と前記回路チップとがシート平面側から見て重なる状態で、前記第1のシート部材における前記単位ベース基板の固着面に対する反対面にさらに積層することを特徴とする付記7記載のRFIDタグの製造方法。
【0166】
(付記9) 前記シート部材積層工程では、前記第1のシート部材と前記第2のシート部材、および、前記第2のシート部材と前記第3のシート部材を、それぞれ熱圧着することを特徴とする付記7記載のRFIDタグの製造方法。
【0167】
(付記10) 前記第2のシート部材と前記第3のシート部材との間に前記メッシュ状補強部材を挟んでロールに巻き取ることにより、前記上層シート部材を作製する上層シート部材作製工程をさらに有し、
前記シート部材積層工程では、前記上層シート部材がロールから引き出されて投入されることを特徴とする付記8または9に記載のRFIDタグの製造方法。
【0168】
(付記11) アンテナとして機能する導体パターンが長手方向に一定の間隔で形成されているとともに、前記導体パターンにそれぞれ接続した非接触通信型の回路チップが実装され、さらに、前記導体パターンおよび前記回路チップを除く領域に開口部が形成された、帯状のベース基板の両面に対して、ともに弾性を有する2つのシート部材の間に、少なくとも前記回路チップを包含する幅を有して前記シート部材の長手方向に帯状に長く形成されたメッシュ状補強部材が挟まれて配置された上層シート部材および下層シート部材を、前記メッシュ状補強部材と前記回路チップとがシート平面側から見て重なる状態で積層して、前記上層シート部材および前記下層シート部材のそれぞれにおける前記シート部材同士を固着するとともに、前記上層シート部材および前記下層シート部材のそれぞれにおける前記ベース基板側の前記シート部材同士を、前記ベース基板の前記開口部を介して固着するシート部材積層工程と、
前記ベース基板を挟んで前記上層シート部材と前記下層シート部材とが積層された積層部材から、1つの前記回路チップと当該回路チップに接続された前記導体パターンとを内包する領域であって前記開口部の少なくとも一部を含む領域を順次切り出す切り出し工程と、
を有することを特徴とするRFIDタグの製造方法。
【0169】
(付記12) 前記シート部材積層工程では、前記上層シート部材および前記下層シート部材のそれぞれにおける前記シート部材同士、および、前記上層シート部材と前記下層シート部材のそれぞれにおける前記ベース基板側の前記シート部材同士を、それぞれ熱圧着することを特徴とする付記11記載のRFIDタグの製造方法。
【0170】
(付記13) 2つの前記シート部材の間に前記メッシュ状補強部材を挟んでロールに巻き取ることにより、前記上層シート部材および前記下層シート部材を形成する上層・下層シート部材形成工程をさらに有し、
前記シート部材積層工程では、前記上層シート部材および前記下層シート部材がそれぞれロールから引き出されて投入されることを特徴とする付記11または12に記載のRFIDタグの製造方法。
【0171】
(付記14) 外部装置との間で非接触で通信する回路チップを備えたRFIDタグにおいて、
アンテナとして機能する導体パターンが形成されているとともに、前記導体パターンに接続した前記回路チップが実装された単位ベース基板と、
前記単位ベース基板より大きな面積を有し、一方の面に前記単位ベース基板が固着された第1のシート部材と、
それぞれ弾性を有する第2のシート部材と第3のシート部材との間に前記回路チップを補強するための補強部材が配置された上層シート部材であって、前記補強部材と前記回路チップとがシート平面側から見て重なる状態に配置され、前記第2のシート部材が前記第1のシート部材との間で前記単位ベース基板全体を封止するように、前記第1のシート部材に積層されて固着された上層シート部材と、
を有することを特徴とするRFIDタグ。
【0172】
(付記15) 前記補強部材は、前記第2のシート部材と前記第3のシート部材との間で封止されていることを特徴とする付記14記載のRFIDタグ。
(付記16) 前記第1のシート部材は弾性を有する材料により形成され、
前記第1のシート部材の前記上層シート部材に対する反対面に積層された固着された、弾性を有する第4のシート部材と、
シート平面側から見て前記回路チップと重なる状態で配置され、前記第1のシート部材と前記第4のシート部材との間に封止された、前記回路チップを補強するための下層側補強部材と、
をさらに有することを特徴とする付記15記載のRFIDタグ。
【0173】
(付記17) 前記補強部材は、前記第2のシート部材および前記第3のシート部材を横切るように帯状に配置されたメッシュ状補強部材であることを特徴とする付記14記載のRFIDタグ。
【0174】
(付記18) それぞれ弾性を有する第4のシート部材と第5のシート部材との間に下層側メッシュ状補強部材が配置され、前記第4のシート部材と前記第5のシート部材とが固着された下層側シート部材であって、前記下層側メッシュ状補強部材と前記回路チップとがシート平面側から見て重なる状態で配置されるように、前記第1のシート部材の前記上層シート部材に対して反対面に積層されて固着された下層シート部材をさらに有することを特徴とする付記17記載のRFIDタグ。
【0175】
(付記19) 前記第1のシート部材と前記第2のシート部材、前記第2のシート部材と前記第3のシート部材は、熱圧着により固着されていることを特徴とする付記14〜18のいずれか1つに記載のRFIDタグ。
【0176】
(付記20) 外部装置との間で非接触で通信する回路チップを備えたRFIDタグにおいて、
アンテナとして機能する導体パターンが形成されているとともに、前記導体パターンに接続した前記回路チップが実装されたベース基板であって、前記回路チップおよび前記導体パターンを挟んで対向する1対の側部にそれぞれ切り欠き部が形成されたベース基板と、
前記ベース基板における前記回路チップおよび前記導体パターンを包含する領域より大きな同一の面積をそれぞれ有し、少なくとも前記切り欠き部を介して互いに接触して固着された第1のシート部材および第2のシート部材と、
前記第1のシート部材および前記第2のシート部材と同一の面積を有し、前記第1のシート部材および前記第2のシート部材のそれぞれにおける前記ベース基板の固着面に対する反対面に積層されて固着された第3のシート部材および第4のシート部材と、
前記第1のシート部材と前記第3のシート部材との間、および、前記第2のシート部材と前記第4のシート部材との間において、シート平面側から見てそれぞれ前記回路チップと重なる状態で配置されたメッシュ状補強部材であって、前記切り欠き部の対向方向に横切るように帯状に配置されたメッシュ状補強部材と、
を有することを特徴とするRFIDタグ。
【0177】
(付記21) 前記第1のシート部材と前記第2のシート部材、前記第1のシート部材と前記第3のシート部材、前記第2のシート部材と前記第4のシート部材は、熱圧着により固着されていることを特徴とする付記20記載のRFIDタグ。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】第1の実施の形態に係るRFIDタグの構成を示す断面図である。
【図2】第1の実施の形態に係るRFIDタグの製造方法を説明するための図である。
【図3】一般的なRFIDタグの製造工程におけるICチップの実装工程を説明するための図である。
【図4】一般的なRFIDタグの製造工程における補強部材の取り付け工程を説明するための図である。
【図5】一般的なRFIDタグの製造工程におけるRFIDインレットの切り出し工程を説明するための図である。
【図6】一般的なRFIDタグの製造工程におけるRFIDインレット封止工程について説明するための第1の図である。
【図7】一般的なRFIDタグの製造工程におけるRFIDインレット封止工程について説明するための第2の図である。
【図8】一般的なRFIDタグの製造工程における最終製品切り出し工程を説明するための図である。
【図9】第2の実施の形態に係るRFIDユニットの製造工程の概要を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態における積層シート作製工程を説明するための図である。
【図11】第2の実施の形態におけるスリット形成工程を説明するための図である。
【図12】第2の実施の形態におけるシート固着・ユニット切り出し工程を説明するための図である。
【図13】第2の実施の形態において作製されたRFIDユニットの構成を示す図である。
【図14】ナイロンメッシュによる補強効果を説明するための図である。
【図15】第3の実施の形態に係るRFIDユニットの製造工程の概要を示すフローチャートである。
【図16】補強部材実装・ホール加工工程を説明するための図である。
【図17】RFIDインレット作製工程を説明するための図である。
【図18】RFIDインレット実装・ホール加工工程を説明するための図である。
【図19】シート固着・ユニット切り出し工程を説明するための図である。
【図20】第3の実施の形態において作製されたRFIDユニットの構成を示す図である。
【図21】第4の実施の形態に係るRFIDユニットの製造工程の概要を示すフローチャートである。
【図22】ベースシート部材積層工程を説明するための図である。
【図23】RFIDインレット打ち抜き工程を説明するための図である。
【図24】シート固着・ユニット切り出し工程を説明するための図である。
【図25】第4の実施の形態において作製されたRFIDユニットの構成を示す図である。
【図26】第5の実施の形態に係るRFIDユニットの製造工程の概要を示すフローチャートである。
【図27】ホール加工・RFIDインレット打ち抜き工程を説明するための図である。
【図28】シート固着・ユニット切り出し工程を説明するための図である。
【図29】第5の実施の形態において作製されたRFIDユニットの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0179】
1 RFIDユニット
11〜13 シート部材
14 上層シート部材
21 ICチップ
22 単位ベース基板
23 補強部材
24 導体パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナとして機能する導体パターンが形成されているとともに、前記導体パターンに接続した非接触通信型の回路チップが実装された単位ベース基板と、帯状の第1のシート部材とを備え、前記第1のシート部材上にその長手方向に沿って前記単位ベース基板が一定の間隔で固着されたベースシート部材を形成するベースシート部材形成工程と、
それぞれ帯状であって弾性を有する第2のシート部材と第3のシート部材との間に、前記回路チップを補強するための補強部材を前記回路チップの配置間隔と同じ間隔で配置した状態で積層することにより、上層シート部材を形成するとともに、前記上層シート部材を、前記ベースシート部材形成工程により形成された前記ベースシート部材における前記単位ベース基板の積層面側に対して、前記回路チップと前記補強部材とがシート平面側から見て重なる状態で積層するシート部材積層工程と、
前記シート部材積層工程により積層されたシートから、1つの前記単位ベース基板を内包する領域を順次切り出す切り出し工程と、
を有することを特徴とするRFIDタグの製造方法。
【請求項2】
前記導体パターンが長手方向に前記一定の間隔で形成された帯状のベース基板に対して、前記回路チップを順次実装して対応する前記導体パターンに接続させる回路チップ実装工程をさらに有し、
前記ベースシート部材形成工程は、
一方の面に粘着材が付着された前記第1のシート部材を、前記ベース基板の前記回路チップの実装面とは反対の面に前記粘着材を介して貼付する工程と、
前記ベース基板が貼付された前記第1のシート部材において、1つの前記回路チップとこれに接続された前記導体パターンとを囲む領域の周縁部を、前記ベース基板および前記粘着材の各層のみ切断する工程と、
前記第1のシート部材から、前記ベース基板のうち前記周縁部の外側領域のみを剥離して、前記単位ベース基板が固着された前記ベースシート部材を形成する工程と、
を有することを特徴とする請求項1記載のRFIDタグの製造方法。
【請求項3】
前記シート部材積層工程では、前記ベースシート部材側の面に前記回路チップごとに分離された前記補強部材が前記回路チップの配置間隔と同じ間隔で固着された前記第3のシート部材を、前記第2のシート部材を挟んで前記ベースシート部材に積層し、
前記切り出し工程では、前記上層シート部材と前記ベースシート部材とが積層されたシートから、1つの前記単位ベース基板と当該単位ベース基板上の前記回路チップに対応する前記補強部材とを内包する領域を順次切り出す、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のRFIDタグの製造方法。
【請求項4】
前記シート部材積層工程では、前記第1のシート部材と前記第2のシート部材、および、前記第2のシート部材と前記第3のシート部材を、それぞれ熱圧着することを特徴とする請求項3記載のRFIDタグの製造方法。
【請求項5】
前記第1のシート部材は弾性を有する材料により形成され、
前記シート部材積層工程では、前記回路チップごとに分離された下層側補強部材が前記回路チップの配置間隔と同じ間隔で固着された、弾性を有する第4のシート部材を、前記回路チップと前記下層側補強部材とがシート平面側から見て重なる状態で、前記第1のシート部材における前記単位ベース基板の固着面の反対面にさらに積層する、
ことを特徴とする請求項3または4に記載のRFIDタグの製造方法。
【請求項6】
前記シート部材積層工程では、前記補強部材として、少なくとも前記回路チップを包含する幅を有し、前記第2のシート部材および前記第3のシート部材の長手方向に帯状に長く形成されたメッシュ状補強部材を、前記第2のシート部材と前記第3のシート部材との間に挟んで配置することを特徴とする請求項1または2に記載のRFIDタグの製造方法。
【請求項7】
前記シート部材積層工程では、前記メッシュ状補強部材と同様の下層側メッシュ状補強部材を、弾性を有する第4のシート部材と第5のシート部材との間に挟んだ下層シート部材を、当該下層側メッシュ状補強部材と前記回路チップとがシート平面側から見て重なる状態で、前記第1のシート部材における前記単位ベース基板の固着面に対する反対面にさらに積層することを特徴とする請求項6記載のRFIDタグの製造方法。
【請求項8】
アンテナとして機能する導体パターンが長手方向に一定の間隔で形成されているとともに、前記導体パターンにそれぞれ接続した非接触通信型の回路チップが実装され、さらに、前記導体パターンおよび前記回路チップを除く領域に開口部が形成された、帯状のベース基板の両面に対して、ともに弾性を有する2つのシート部材の間に、少なくとも前記回路チップを包含する幅を有して前記シート部材の長手方向に帯状に長く形成されたメッシュ状補強部材が挟まれて配置された上層シート部材および下層シート部材を、前記メッシュ状補強部材と前記回路チップとがシート平面側から見て重なる状態で積層して、前記上層シート部材および前記下層シート部材のそれぞれにおける前記シート部材同士を固着するとともに、前記上層シート部材および前記下層シート部材のそれぞれにおける前記ベース基板側の前記シート部材同士を、前記ベース基板の前記開口部を介して固着するシート部材積層工程と、
前記ベース基板を挟んで前記上層シート部材と前記下層シート部材とが積層された積層部材から、1つの前記回路チップと当該回路チップに接続された前記導体パターンとを内包する領域であって前記開口部の少なくとも一部を含む領域を順次切り出す切り出し工程と、
を有することを特徴とするRFIDタグの製造方法。
【請求項9】
外部装置との間で非接触で通信する回路チップを備えたRFIDタグにおいて、
アンテナとして機能する導体パターンが形成されているとともに、前記導体パターンに接続した前記回路チップが実装された単位ベース基板と、
前記単位ベース基板より大きな面積を有し、一方の面に前記単位ベース基板が固着された第1のシート部材と、
それぞれ弾性を有する第2のシート部材と第3のシート部材との間に前記回路チップを補強するための補強部材が配置された上層シート部材であって、前記補強部材と前記回路チップとがシート平面側から見て重なる状態に配置され、前記第2のシート部材が前記第1のシート部材との間で前記単位ベース基板全体を封止するように、前記第1のシート部材に積層されて固着された上層シート部材と、
を有することを特徴とするRFIDタグ。
【請求項10】
外部装置との間で非接触で通信する回路チップを備えたRFIDタグにおいて、
アンテナとして機能する導体パターンが形成されているとともに、前記導体パターンに接続した前記回路チップが実装されたベース基板であって、前記回路チップおよび前記導体パターンを挟んで対向する1対の側部にそれぞれ切り欠き部が形成されたベース基板と、
前記ベース基板における前記回路チップおよび前記導体パターンを包含する領域より大きな同一の面積をそれぞれ有し、少なくとも前記切り欠き部を介して互いに接触して固着された第1のシート部材および第2のシート部材と、
前記第1のシート部材および前記第2のシート部材と同一の面積を有し、前記第1のシート部材および前記第2のシート部材のそれぞれにおける前記ベース基板の固着面に対する反対面に積層されて固着された第3のシート部材および第4のシート部材と、
前記第1のシート部材と前記第3のシート部材との間、および、前記第2のシート部材と前記第4のシート部材との間において、シート平面側から見てそれぞれ前記回路チップと重なる状態で配置されたメッシュ状補強部材であって、前記切り欠き部の対向方向に横切るように帯状に配置されたメッシュ状補強部材と、
を有することを特徴とするRFIDタグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2010−86361(P2010−86361A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−255891(P2008−255891)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】