説明

RFIDメディア

【課題】ICチップが破損しているかどうかを容易に検知する。
【解決手段】非接触状態にて情報の書き込みや読み出しを行うためのメインアンテナ110に接続されたICチップ101に、2つの配線120a,120bからなり、ICチップ101に対して情報の書き込みや読み出しを行う周波数の電波に共振する長さのサブアンテナ120を接続し、このサブアンテナ120に発光素子103を接続する。サブアンテナ120を構成する2つの配線120a,120bは、それぞれの長さを、ICチップ101に対して情報の書き込みや読み出しを行う周波数に共振しない長さとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触状態にて情報の書き込みや読み出しが可能なICチップを有してなるRFIDメディアに関し、特に、ICチップ内の回路部が断線する等のICチップの破損を検知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、情報化社会の進展に伴って、情報をカードに記録し、該カードを用いた情報管理や決済等が行われている。また、商品等に貼付されるラベルやタグに情報を記録し、このラベルやタグを用いての商品等の管理も行われている。
【0003】
このようなカードやラベル、あるいはタグを用いた情報管理においては、カードやラベル、あるいはタグに対して非接触状態にて情報の書き込みや読み出しを行うことが可能なICチップが搭載された非接触型ICカードや非接触型ICラベル、あるいは非接触型ICタグがその優れた利便性から急速な普及が進みつつある。
【0004】
非接触状態にて情報の書き込みや読み出しが可能な非接触型ICカードや非接触型ICラベル、非接触型ICタグにおいては、近年、小型化及び通信可能距離を確保するために、マイクロ波帯を利用して通信を行う微細なICチップが用いられることが多くなってきている。
【0005】
このような微細なICチップを用いた場合、ICチップに導電性のアンテナを接続することにより、ICチップの通信可能距離を延ばすことができる。
【0006】
図6は、マイクロ波帯を利用して通信を行うICチップが搭載された非接触型ICタグの一例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【0007】
本構成例は図6に示すように、樹脂や紙等からなるベース基材302上に、互いに直列に並ぶように所定の間隔を有して形成された2つの配線310a,310bからなるアンテナ310が形成されており、この2つの配線310a,310bの一端に接続されるように、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップ301が搭載されて構成されている。
【0008】
上記のように構成された非接触型ICタグ300においては、外部に設けられた情報書込/読出装置(不図示)に近接させることにより、情報書込/読出装置からの電波に共振してアンテナ310に電流が流れ、この電流がICチップ301に供給され、それにより、非接触状態において、情報書込/読出装置からICチップ301に情報が書き込まれたり、ICチップ301に書き込まれた情報が情報書込/読出装置にて読み出されたりする。このように情報書込/読出装置にてICチップ301に対して情報の書き込みや読み出しを行うためには、アンテナ310の長さを、ICチップ301に対して情報の書き込みや読み出しを行う周波数に応じて設定しておくとともに、ICチップ301とアンテナ302とのインピーダンス整合をとっておく必要がある。
【0009】
このような非接触型ICタグ300は、製造段階においてICチップ301が正常に動作するかどうかが検査される。また、製造後においても、ICチップ301が破損していないかどうかを検査することで、非接触型ICタグ300を用いたアプリケーションの信頼性を向上させることができる。
【0010】
このような検査において、ICチップ301に内蔵された回路部が断線する等してICチップ301が破損した場合は、情報の書き込みや読み出しができなくなる。ところが、上述したように、図6に示したような非接触型ICタグ300においては、アンテナ310の長さや、ICチップ301とアンテナ部302とのインピーダンス整合がとられているかどうかによっても、情報の書き込みや読み出しができなくなる。そのため、ICチップ301が破損しているかどうかを検査する場合に、情報書込/読出装置を用いて情報の書き込みや読み出しを行うだけでは、ICチップ301が破損しているかどうかを判断することができるとは言い難い。
【0011】
ここで、外部から加わる衝撃を感知する衝撃感知センサを備えた非接触データキャリア装置が特許文献1に記載されている。この非接触型データキャリア装置においては、衝撃によって断線する配線を有する衝撃感知センサを備え、この配線の両端部の電位を測定してICチップ内に記憶しておくことにより、衝撃が加わったかどうかの情報を保持しておくことができる。
【特許文献1】特開2002−150249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述したような衝撃感知センサを用いた場合においては、外部からの衝撃が加わったかどうかを確認することができるものの、その衝撃でICチップが破損しているかどうかを認識することはできない。また、衝撃が加わったかどうかを確認する場合、ICチップ内に記憶された情報を読み出すことになるため、ICチップに対する情報の読み出し処理を行うことになってしまい、ICチップが破損している場合、その旨を検知する目的としては利用することができない。
【0013】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、ICチップが破損しているかどうかを容易に検知することができるRFIDメディアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、
情報の書き込み及び/または読み出しが可能な回路部を内蔵したICチップと、前記ICチップに接続されたメインアンテナとを有し、受信した電波に共振することによって前記メインアンテナにて生じた電流が前記回路部に供給されることにより、前記ICチップに対して非接触状態にて情報の書き込み及び/または読み出しが行われるRFIDメディアにおいて、
前記回路部を介して互いが接続されるように一端が前記ICチップにそれぞれ接続された第1及び第2の配線部からなるサブアンテナと、
前記第1及び第2の配線部の他端にそれぞれ接続され、前記電波に共振することによって前記サブアンテナにて生じた電流が供給されることにより駆動する表示手段とを有し、
前記第1及び第2の配線部は、前記回路部を介して接続された長さが前記電波に共振する長さであり、かつ、それぞれの長さが前記電波に共振しない長さであることを特徴とする。
【0015】
上記のように構成された本発明においては、ICチップに内蔵された回路部に情報の書き込みや読み出しが行われる場合は、ICチップに接続されたメインアンテナが受信した電波に共振することによりメインアンテナに電流が生じ、この電流が回路部に供給され、それにより、ICチップに対して非接触状態にて情報の書き込みや読み出しが行われる。この際、ICチップの回路部に接続された第1及び第2の配線部からなるサブアンテナにおいては、第1の配線部と第2の配線部とが回路部を介して接続された状態となっており、回路部を介して接続された長さが、受信した電波に共振する長さであるため、第1及び第2の配線部からなるサブアンテナにおいても共振による電流が生じ、この電流が表示手段に供給されて表示手段が駆動する。ここで、ICチップ内の回路部が断線する等、ICチップが破損した場合は、サブアンテナを構成する第1の配線部と第2の配線部とが回路部にて断線した状態となる。第1及び第2の配線部は、それぞれの長さが電波に共振しない長さであるため、この状態においては、サブアンテナには電流が生じず、表示手段が駆動しない。
【0016】
このように、ICチップが破損していない場合は、サブアンテナが受信する電波に共振することにより生じる電流によって表示手段を駆動させ、また、ICチップ内の回路部が断線する等、ICチップが破損している場合は、サブアンテナが受信する電波に共振しないことで表示手段を駆動させないことにより、この表示手段を用いてICチップが破損しているかどうかが検知されることになる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明においては、ICチップが破損していない場合は、サブアンテナが受信する電波に共振することにより生じる電流によって表示手段を駆動させ、また、ICチップ内の回路部が断線する等、ICチップが破損している場合は、サブアンテナが受信する電波に共振しないことで表示手段を駆動させない構成とすることより、この表示手段を用いてICチップが破損しているかどうかを容易に検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明のRFIDメディアの実施の一形態を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【0020】
本形態は図1に示すように、樹脂や紙等からなるベース基材102上に、2つの配線110a,110bからなるメインアンテナ110と、第1の配線部となる配線120a及び第2の配線部となる配線120bからなるサブアンテナ120とが形成されるとともに、このメインアンテナ110及びサブアンテナ120にそれぞれ接続されるように、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップ101が搭載され、さらに、サブアンテナ120に接続されるように表示手段である発光素子103が搭載されて構成されている。
【0021】
メインアンテナ110を構成する2つの配線110a,110bは、一端が互いに空隙を介して配置され、この一端にてICチップ101に接続されてジグザグ形状を有して互いに離れる方向に伸び、他端がそれぞれ導電領域111a,111bに接続されている。このように2つの配線110a,110bがジグザグ形状を有することにより、メインアンテナ110はメアンダアンテナとなっている。
【0022】
サブアンテナ120を構成する2つの配線120a,120bは、一端が配線110a,110bとともになって互いに空隙を介して配置され、この一端にてICチップ101に接続され、他端が発光素子103に接続されている。
【0023】
発光素子103は、電流が流れることにより発光するLED等からなり、サブアンテナ120に流れる電流が供給されることによって発光する。そのため、実際には、サブアンテナ120に流れる交流電流を直流電流に整流するためのダイオード等を用いた整流回路や、サブアンテナ120に流れる電流による電圧を昇圧するためのコンデンサやコイル等を用いた昇圧回路が発光素子103とサブアンテナ120との間に設けられるが、本形態においては、説明を簡単にするためにそれらの構成要素については図示及び説明を省略する。
【0024】
ICチップ101は、内部に情報の書き込み及び読み出しが可能なメモリや制御回路等の回路部(不図示)を有し、この回路部を挟んで2つの接続端子(不図示)が設けられている。配線110a,120aは、2つの接続端子のうち一方の接続端子に接続され、また、配線110b,120bは、2つの接続端子のうち他方の接続端子に接続されている。それにより、配線110aと配線110bとがICチップ101内の回路部を介して互いが接続されるようにICチップ101に接続され、また、配線120aと配線120bとがICチップ101内の回路部を介して互いが接続されるようにICチップ101に接続されている。
【0025】
ここで、メインアンテナ110を構成する配線110a,110b及びサブアンテナ120を構成する配線120a,120bの長さについて説明する。
【0026】
図2は、図1に示した非接触型ICタグ100の周波数特性を説明するための図であり、ICチップ101への情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数に対する非接触型ICタグ100のリターンロスを示す。
【0027】
図1に示した非接触型ICタグ100においては、図2に示すように、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数によってリターンロスが変化するため、リターンロスが最も低くなるメインアンテナ110における共振点であるピークポイントAにおける周波数を、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faに設定する必要がある。ここで、メインアンテナ110においては、その長さが、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faとベース基材102の比透磁率及び比誘電率とから求まる波長λの1/2である場合に、その共振点における周波数がfaとなって共振するダイポールアンテナとして機能し、ICチップ101に対する情報の書き込みや読み出しが可能となる。
【0028】
そのため、メインアンテナ110の長さ、すなわち、ICチップ101の回路部を介して2つの配線110a,110bが接続された長さは、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faとベース基材102の比透磁率及び比誘電率とから求まる波長λの1/2となっている。
【0029】
また、メインアンテナ110を構成する配線110a,110bにおいては、その長さが、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faとベース基材102の比透磁率及び比誘電率とから求まる波長λの1/4である場合に、その共振点における周波数がfaとなって共振するモノポールアンテナとして機能し、ICチップ101に対する情報の書き込みや読み出しが可能となる。
【0030】
そのため、配線110a,110bのそれぞれの長さは、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faとベース基材102の比透磁率及び比誘電率とから求まる波長λの1/4となっている。
【0031】
また、サブアンテナ120においては、上述した周波数faを有する電波に共振するものとするため、その長さ、すなわち、ICチップ101の回路部を介して2つの配線120a,120bが接続された長さは、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faとベース基材102の比透磁率及び比誘電率とから求まる波長λの1/2となっている。
【0032】
また、サブアンテナ120を構成する配線120a,120bにおいては、その長さが互いに異なっている。そのため、配線120a,120bの長さは、メインアンテナ110を構成する配線110a,110bのように情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faとベース基材102の比透磁率及び比誘電率とから求まる波長λの1/4にはなっていない。
【0033】
上記のように構成された非接触型ICタグ100においては、外部に設けられた情報書込/読出装置(不図示)に近接させることにより、情報書込/読出装置からの周波数faを有する電波に共振してメインアンテナ110に電流が流れ、この電流がICチップ101に供給され、それにより、非接触状態において、情報書込/読出装置からICチップ101に情報が書き込まれたり、ICチップ101に書き込まれた情報が情報書込/読出装置にて読み出されたりする。またこの際、サブアンテナ120においても、情報書込/読出装置からの周波数faを有する電波に共振して電流が流れる。この電流は発光素子103に供給され、それにより、発光素子103が駆動して点灯する。
【0034】
以下に、上述した非接触型ICタグ100において、ICチップ101に内蔵された回路部が断線する等してICチップ101が破損した場合の発光素子103の動作について説明する。
【0035】
図3は、図1に示した非接触型ICタグ100においてICチップ101が破損した場合の発光素子103の動作を説明するための図であり、(a)はICチップ101が破損していない場合のサブアンテナ120の接続状態を示す図、(b)はICチップ101が破損している場合のサブアンテナ120の接続状態を示す図である。
【0036】
図1に示した非接触型ICタグ100においてICチップ101が破損していない場合は図3(a)に示すように、サブアンテナ120を構成する配線120aと配線120bとがICチップ101内の回路部を介して互いに接続された状態となっており、2つの配線120a,120bが接続されたサブアンテナ120の長さは、上述したように、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faとベース基材102の比透磁率及び比誘電率とから求まる波長λの1/2となっている。そのため、この状態で、ICチップ101に対して情報の書き込みや読み出しを行う情報書込/読出装置に近接させると、サブアンテナ120において、情報書込/読出装置からの情報の書き込みや読み出しを行うための周波数faを有する電波に共振して電流が流れ、この電流が発光素子103に供給されて発光素子103が点灯する。
【0037】
一方、図1に示した非接触型ICタグ100において、ICチップ101に内蔵された回路部が断線する等してICチップ101が破損している場合は図3(b)に示すように、サブアンテナ120を構成する配線120aと配線120bとがICチップ101内の回路部にて断線した状態となる。そのため、サブアンテナ120が、共振点における周波数がfaとなって共振するダイポールアンテナとして機能しなくなり、サブアンテナ120には電流が流れない。また、断線した2つの配線120a,120bにおいても、上述したように、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faとベース基材102の比透磁率及び比誘電率とから求まる波長λの1/4にはなっていないため、その共振点における周波数がfaとなって共振するモノポールアンテナとして機能しない。それにより、ICチップ101に内蔵された回路部が断線する等してICチップ101が破損している場合は、サブアンテナ120には電流が生じず、発光素子103が点灯しない。
【0038】
このように、ICチップ101が破損していない場合は、ICチップ101に対して情報の書き込みや読み出しを行う情報書込/読出装置に近接させると、情報書込/読出装置からの情報の書き込みや読み出しを行うための周波数faを有する電波にサブアンテナ120が共振してサブアンテナ120に電流が流れ、この電流によって発光素子103が点灯し、また、ICチップ101内の回路部が断線する等、ICチップ101が破損している場合は、情報書込/読出装置に近接させても、情報書込/読出装置からの情報の書き込みや読み出しを行うための周波数faを有する電波にサブアンテナ120が共振せず、発光素子103に電流が供給されずに発光素子103が点灯しないので、発光素子103が点灯するかどうかによって、ICチップ101が破損しているかどうかを検知することができる。
【0039】
また、上述したように発光素子103の起電力は、情報書込/読出装置からの電波にサブアンテナ120が共振することによりサブアンテナ120に生じる電流によるものであるため、発光素子103を点灯させるための電池等の電源を非接触型ICタグ100に内蔵しておく必要がなく、電池切れ等のメンテナンスが不要となる。
【0040】
なお、本形態において、ICチップ101の接続端子にて互いに接続された配線110aと配線120a、並びに配線110bと配線120bとを加えたそれぞれの長さが、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faとベース基材102の比透磁率及び比誘電率とから求まる波長λの1/2となっている場合、ICチップ101が破損している状態においても、配線110aと配線120aとを合わせた部分や配線110bと配線120bとを合わせた部分にて電流が流れ、この電流が発光素子103に供給されて発光素子103が発光してしまう虞れがある。そのため、配線110aと配線120a、並びに配線110bと配線120bとを加えたそれぞれの長さが、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faとベース基材102の比透磁率及び比誘電率とから求まる波長λの1/2とならないようにしておく必要がある。ただし、本形態にて示したものにおいては、上述したように、配線110a,110bのそれぞれの長さが、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faとベース基材102の比透磁率及び比誘電率とから求まる波長λの1/4となっており、かつ、配線120a,120bのそれぞれの長さが、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faとベース基材102の比透磁率及び比誘電率とから求まる波長λの1/4にはなっていないことから、配線110aと配線120a、並びに配線110bと配線120bとを加えたそれぞれの長さは、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faとベース基材102の比透磁率及び比誘電率とから求まる波長λの1/2にはなっていない。
【0041】
(他の実施の形態)
図4は、本発明のRFIDメディアの他の実施の形態を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【0042】
本形態は図4に示すように、図1に示したものに対して、2つの配線210a,210b間に、ICチップ201と並列に整流ブリッジ205が接続されている点のみが異なるものである。
【0043】
以下に、上述した非接触型ICタグ200において、ICチップ201に内蔵された回路部が断線する等してICチップ201が破損した場合の発光素子203の動作について説明する。
【0044】
図5は、図4に示した非接触型ICタグ200においてICチップ201が破損した場合の発光素子203の動作を説明するための図であり、(a)はICチップ201が破損していない場合のサブアンテナ220の接続状態を示す図、(b)はICチップ201が破損している場合のサブアンテナ220の接続状態を示す図である。
【0045】
図4に示した非接触型ICタグ200においてICチップ201が破損していない場合は図5(a)に示すように、サブアンテナ220を構成する配線220aと配線220bとがICチップ201内の回路部を介して互いに接続された状態となっており、2つの配線220a,220bが接続されたサブアンテナ220の長さは、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faとベース基材202の比透磁率及び比誘電率とから求まる波長λの1/2となっている。そのため、この状態で、ICチップ201に対して情報の書き込みや読み出しを行う情報書込/読出装置に近接させると、サブアンテナ220において、情報書込/読出装置からの情報の書き込みや読み出しを行うための周波数faを有する電波に共振して電流が流れ、この電流が発光素子203に供給されて発光素子203が点灯する。
【0046】
一方、図4に示した非接触型ICタグ200において、ICチップ201に内蔵された回路部が断線する等してICチップ201が破損している場合は図5(b)に示すように、サブアンテナ220を構成する配線220aと配線220bとが、ICチップ201内の回路部にて断線するものの、配線210a,210bの一部と整流ブリッジ205とを介して接続された状態となる。それにより、発光素子203に接続されたアンテナ部の長さは、2つの配線220a,220bからなるサブアンテナ220と配線210a,210bの一部と整流ブリッジ205とを加えた長さとなる。そのため、情報書込/読出装置からの情報の書き込みや読み出しを行うための周波数faを有する電波に共振する長さにはならず、発光素子203に接続されたアンテナ部には共振による電流が流れることはなく、発光素子203に電流が供給されずに発光素子203が点灯しない。またこの際、発光素子203に接続されたアンテナ部の構成が、サブアンテナ220のみから、サブアンテナ220と配線210a,210bの一部と整流ブリッジ205とからなるものに変化することによりアンテナ部のインピーダンスが変化することによっても、情報書込/読出装置からの情報の書き込みや読み出しを行うための周波数faを有する電波にアンテナ部が共振しないようになる。
【0047】
なお、上述した2つの実施の形態においては、メインアンテナ110,210としてメアンダアンテナを用いたものを例に挙げて説明したが、配線が直線状となる一般的なダイポールアンテナであっても、本発明を適用することができる。また、2つの配線からなるものではなく、1つの配線からなるモノポールアンテナであってもよい。
【0048】
また、上述した2つの実施の形態においては、表示手段としてLED等の発光素子103,203を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、サブアンテナ120,220に流れる電流によって駆動するものであれば適用可能である。例えば、発光素子103,203のように供給された電流によってただ単に発光するものではなく、予め設定された情報を表示するものや、音を発生するもの等、様々なものを適用することができる。
【0049】
また、上述した2つの実施の形態においては、RFIDメディアとして非接触型ICタグ100,200を例に挙げて説明したが、非接触型ICカードや非接触型ICラベル等についても適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明のRFIDメディアの実施の一形態を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【図2】図1に示した非接触型ICタグの周波数特性を説明するための図である。
【図3】図1に示した非接触型ICタグにおいてICチップが破損した場合の発光素子の動作を説明するための図であり、(a)はICチップが破損していない場合のサブアンテナの接続状態を示す図、(b)はICチップが破損している場合のサブアンテナの接続状態を示す図である。
【図4】本発明のRFIDメディアの他の実施の形態を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【図5】図4に示した非接触型ICタグにおいてICチップが破損した場合の発光素子の動作を説明するための図であり、(a)はICチップが破損していない場合のサブアンテナの接続状態を示す図、(b)はICチップが破損している場合のサブアンテナの接続状態を示す図である。
【図6】マイクロ波帯を利用して通信を行うICチップが搭載された非接触型ICタグの一例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【符号の説明】
【0051】
100,200 非接触型ICタグ
101,201 ICチップ
102,202 ベース基材
103,203 発光素子
110,210 メインアンテナ
110a,110b,120a,120b,210a,210b,220a,220b 配線
111a,111b 導電領域
120,220 サブアンテナ
205 整流ブリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報の書き込み及び/または読み出しが可能な回路部を内蔵したICチップと、前記ICチップに接続されたメインアンテナとを有し、受信した電波に共振することによって前記メインアンテナにて生じた電流が前記回路部に供給されることにより、前記ICチップに対して非接触状態にて情報の書き込み及び/または読み出しが行われるRFIDメディアにおいて、
前記回路部を介して互いが接続されるように一端が前記ICチップにそれぞれ接続された第1及び第2の配線部からなるサブアンテナと、
前記第1及び第2の配線部の他端にそれぞれ接続され、前記電波に共振することによって前記サブアンテナにて生じた電流が供給されることにより駆動する表示手段とを有し、
前記第1及び第2の配線部は、前記回路部を介して接続された長さが前記電波に共振する長さであり、かつ、それぞれの長さが前記電波に共振しない長さであることを特徴とするRFIDメディア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−90652(P2008−90652A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−271675(P2006−271675)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】