説明

SCD4インヒビターの使用による神経変性疾患の治療

本発明は、神経変性疾患、特にアルツハイマー病の治療のための薬物の調製のための、SCD4相互作用分子、特にSCD4インヒビターの使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、APPプロセッシングにおけるSCD4の役割、および神経発生性疾患の治療におけるSCD4のインヒビターの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病は、世界中で数百万人が罹患している慢性状態である。
【0003】
アルツハイマー病患者の脳は、最初に細胞内神経原線維変化(NFT)、および細胞外のアミロイドが豊富な老人斑などの、顕著な神経病理学的病変の特徴的病理を示す。これらの病変は、CNS神経細胞集団の大規模な喪失に関連し、およびそれらの進行は、ADに関連した臨床的認知症を伴う。アミロイド斑の主要成分は、様々な長さのアミロイドβ(A-ベータ、AベータまたはAβ)ペプチドである。Aβ1-42-ペプチド(Aβ-42)であるそれらの変種は、アミロイド形成の主な原因物質である。別の変種は、Aβ1-40-ペプチド(Aβ-40)である。アミロイドβは、前駆体タンパク質であるβアミロイド前駆体タンパク質(β-APPまたはAPP)のタンパク質分解産物である。APPは、いくつかの異なる膜結合したプロテアーゼにより逐次切断されるI型膜貫通タンパク質である。APPの最初の切断は、2種のプロテアーゼα-セクレターゼまたはβ-セクレターゼの一方により生じる。αセクレターゼは、その活性がタンパク質ADAM10およびADAM17の一方またはそれらの組合せによりおそらく提供されるメタロプロテアーゼである。α-セクレターゼによる切断は、アミロイドペプチドの形成を防止し、その結果非アミロイド形成的と称される。対照的に、β-セクレターゼによるAPPの切断は、その後のアミロイドペプチド形成の前提条件である。このセクレターゼは、BACE1(β位APP切断酵素)とも称され、アスパルチルプロテアーゼ活性(以下に詳細に説明する)を含むI型膜貫通タンパク質である。
【0004】
β-セクレターゼ(BACE)活性は、外部ドメインでAPPを切断し、このことは分泌された可溶性APPbの分断、および99残基C末端膜貫通断片(APP-C99)を生じる。Vassarら(Science, 286, 735-741(非特許文献1))は、想定されたAPP3のβ-セクレターゼの特徴を有する膜貫通型アスパラギン酸プロテアーゼをクローニングし、これをBACE1と称した。BACE1ノックアウトマウス由来の脳培養物および初代皮質培養物は、検出可能なβ-セクレターゼ活性を示さず、ならびにBACEノックアウトマウス由来の初代皮質培養物は、はるかに少ないアミロイド-βをAPPから生じた。このことは、BACE1は、そのパラログであるBACE2よりもAPPの主要なβ-セクレターゼであることを示唆している。BACE1は、21-aaシグナルペプチド、それに続くaa 22から45に広がるプロタンパク質ドメインを含むアミノ酸501個のタンパク質である。そこには選択的スプライシング型BACE-I-457およびBACE-I-476が存在する。その成熟型タンパク質の細胞外ドメインには、1個の予想された膜貫通ドメインおよび24 aaの短い細胞質ゾルC末端尾部が続く。BACE1は、活性部位を膜の細胞外側に伴う1型膜貫通タンパク質であると予測され、その活性部位では、β-セクレターゼがAPPおよび予想されるまだ定義されていない他の基質を切断する。BACE1は、明らかにAPPのA-βへのプロセッシングに必要な重要な酵素であるが、最近の証拠は、可能性のあるBACE1の基質および機能の追加を示唆している(J. Biol. Chem. 279, 10542-10550(非特許文献2))。今日まで、制御機能または調節機能を伴うBACE1相互作用タンパク質は、説明されていない。
【0005】
BACE1切断により生成されたAPP断片であるAPP-C99は、γ-セクレターゼ活性の基質であり、これは膜面内でAPP-C99をA-βペプチド(例えばアミロイド形成的のAβ1-42ペプチド)へ、およびAPP細胞内ドメイン(AICD)と称されるC末端断片へ切断する(Annu Rev Cell Dev Biol, 19, 25-51(非特許文献3))。γ-セクレターゼ活性は、少なくとも4個の個別のサブユニットを伴う多タンパク質複合体内に存在する。発見された第一のサブユニットは、プレセニリンであった(Proc Natl Acad Sci USA, 94, 8208-13(非特許文献4))。γ-セクレターゼ複合体の他の公知のタンパク質成分は、Pen-2、ニカストリンおよびAph-1aであった。
【0006】
最近アルツハイマー病の病因の基礎となる分子事象の描写が進歩しているにもかかわらず、疾患修飾療法は未だ開発されていない。この目的のために、当該技術分野は、BACE1の阻害に適したリード化合物を同定することに取り組んでいる。更に存在するγ-セクレターゼの代替基質の数が増えており、最も注目すべきはノッチ(Notch)タンパク質であることが認識されている。従ってγ-セクレターゼの阻害は、機序に基づいた副作用を引き起こす可能性がある。現在の第一の薬剤(例えば、Aricept(登録商標)/ドネペジル)は、脳内で神経伝達物質アセチルコリンレベルの上昇を生じるアセチルコリンエステラーゼを阻害することにより、認知機能の一過性の改善を実現することを試みている。これらの療法は、本疾患の比較的後期の病期には適しておらず、これらは基礎となる疾患の病因を治療せず、疾患の進行を停止しない。
【0007】
従って、アルツハイマー病の治療のための新規分子戦略を可能にする新規標的の同定の必要性は満たされていない。加えて該新規標的を標的化することにより前述の分子プロセスを修飾するような新規の治療用化合物が、強く必要とされている。
【0008】
【非特許文献1】Science, 286, 735-741
【非特許文献2】J. Biol. Chem. 279, 10542-10550
【非特許文献3】Annu Rev Cell Dev Biol, 19, 25-51
【非特許文献4】Proc Natl Acad Sci USA, 94, 8208-13
【発明の開示】
【0009】
第一の局面において、本発明は、神経発生性疾患の治療のための薬学的組成物の調製のための、SCD4相互作用分子の使用を提供する。
【0010】
機能アッセイを使用する本発明に関連して、驚くべきことに、SCD4は、アルツハイマー病の治療のための新規療法を可能にする新規標的であることがわかった。
【0011】
重要な標的分子としてのSCD4の同定は、神経変性疾患を治療するためのSCD4相互作用分子の使用を可能にしている。このことは特に、SCD4に対するsiRNAがAβ-42の低下したまたは減弱した分泌/生成を生じることを実証している「実施例」の項(下記)に示されている。
【0012】
本発明に関連して、「SCD4相互作用分子」は、少なくとも一時的にSCD4へ結合し、および好ましくはSCD4活性を調節する分子である。
【0013】
ステアロイル-CoAデサチュラーゼ(SCD)は、単不飽和脂肪酸の生合成の律速酵素である。マウスにおいては、少なくとも4種のアイソザイムが存在する(SCD1からSCD4)。この酵素は、ステアリン酸(およびパルミチン酸)を単不飽和脂肪酸(ほとんどオレイン酸;C18:1)へ転換する。
【0014】
ヒトにおいては、わずかに2種のオルソロガスなSCD遺伝子(SCD1およびSCD4)が存在するように見える。ヒトSCD4(図3参照、同じく仮定タンパク質FLJ21032としても公知)は、触媒ドメインを含むひと配列がSCD1に類似しているが、それ以外は極めて異なる。ヒトSCD4は、染色体4q21.3上に位置している。
【0015】
最近の証拠は、ヒトSCD4は、ヒト胎児において脳特異酵素であること、およびこの遺伝子は口唇裂家系において破壊されていることを示唆している(Beiraghi S, Zhou M, Talmadge CB, Went-Sumegi N, Davis JR, Huang D, Saal H, Seemayer TA, Sumegi J (2003) Identification and characterization of a novel gene disrupted by a pericentric inversion inv(4)(pl3.1q21.1) in a family with cleft lip. Gene. 309(1):11-21.)。しかしBeiraghiらは、任意の成人ヒト組織においてSCD4の発現を見出さなかった。
【0016】
対照的に本発明に関連して、SCD4は、成人ヒト脳において、分析された任意の他の組織よりもはるかに高いレベルで強力に発現されることがわかった(図1参照)。
【0017】
本発明において、表現「SCD4」は、図3に示されたタンパク質のみを意味するのではなく、それらの機能的に活性のある誘導体、またはそれらの機能的に活性のある断片、またはそれらのホモログ、または該タンパク質をコードしている核酸へ低ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする核酸でコードされた変種も意味する。好ましくは、これらの低ストリンジェンシー条件は、35%ホルムアミド、5×SSC、50mM Tris-HCl(pH7.5)、5mM EDTA、0.02% PVP、0.02% BSA、100μg/ml変性サケ精子DNA、および10%(wt/vol)硫酸デキストランを含む緩衝液中で、18〜20時間、40℃でのハイブリダイゼーション、2×SSC、25mM Tris-HCl(pH7.4)、5mM EDTA、および0.1% SDSからなる緩衝液中での、55℃で1〜5時間の洗浄、ならびに2×SSC、25mM Tris-HCl(pH7.4)、5mM EDTA、および0.1%SDSからなる緩衝液中での、60℃で1.5時間の洗浄を含む。
【0018】
一般に本明細書において使用される用語「機能的活性がある」は、このポリペプチド、すなわち断片または誘導体が関連している態様に従い、このタンパク質の構造的、制御的または生化学的機能を有するポリペプチド、すなわち断片または誘導体を意味する。
【0019】
SCD4の場合、機能的活性がある誘導体は、SCD4と本質的に同じ活性を発揮する誘導体を意味することが好ましく、例えばこれは、ステアリン酸(およびパルミチン酸)を単不飽和脂肪酸(ほとんどがオレイン酸;C18:1)へ転換するか、および/またはAβ-42分泌においてSCD4と同様の役割を果たすことが可能である。
【0020】
SCD4の活性(Δ-9デサチュラーゼ活性として)ならびにそれらの機能的活性がある誘導体の活性は、Obukowicz MG et al, The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics(JPET) 287:157-166 (1998)に記載されたように測定することができる。
【0021】
本発明に従い、本明細書において使用される用語「活性」は、その最も広い意味での分子の機能を意味する。一般にこれは分子の生物学的、生化学的、物理的または化学的機能を含むが、これらに限定されるものではない。これは例えば、酵素活性、他の分子と相互作用する能力、および他の分子の機能を活性化、促進、安定化、阻害、抑制または不安定化する能力、安定性、ある細胞レベル下の位置に局在化する能力を含む。該用語は、適用可能であるならば、その分子が阻害される場合に、Aβ-42の分泌を低下または減弱することにも関する。
【0022】
本発明に従い、本明細書において使用される用語SCD4の「誘導体」もしくは「アナログ」または「変異体」は好ましくは、様々な態様において、同一サイズのアミノ酸配列にわたり、少なくとも70%、80%、90%、95%または99%同一である、またはアラインメントが当該技術分野において公知のコンピュータ相同性検索プログラムにより実行されたアラインメントされた配列と比較した場合に、またはそのコード核酸がストリンジェントな条件下、中程度にストリンジェントな条件下もしくは非ストリンジェントな条件下でそのタンパク質をコードしている配列とハイブリダイズすることが可能である、SCD4と実質的に相同である領域を含む分子を含むが、これらに限定されるものではない。この触媒ドメインは、このタンパク質の非触媒領域よりも、より高度に保存されてよい。従って、触媒ドメインの全体または一部を含む領域、特に触媒ドメインの全体または一部からなる領域が選択される場合には、前記同一性の割合は比較的高くてもよく(例えば85%、90%、95%もしくは99%)、または触媒ドメインを含まない領域が選択される場合には、比較的低くてもよい(例えば30%、40%、50%、60%、70%)。これは各々、アミノ酸置換、欠失および付加による、天然のタンパク質の修飾の結果であるタンパク質を意味し、その誘導体は、必ずしも同じ程度ではないが、依然として天然のタンパク質の生物学的機能を示す。このようなタンパク質の生物学的機能は、例えば本発明で提供される適当な利用可能なインビトロアッセイにより試験することができる。
【0023】
本明細書において使用される用語「断片」は、本態様に従い、タンパク質、特にSCD4の少なくとも10、20、30、40または50個のアミノ酸のポリペプチドを意味する。特定の態様において、このような断片は、35、100または200個のアミノ酸よりも大きいことはない。
【0024】
本明細書において使用される用語「遺伝子」は、エキソン配列および任意にイントロン配列の両方を含む、特に指定しない限り、本発明のポリペプチドをコードしているオープンリーディングフレームを含む核酸を意味する。
【0025】
本明細書において使用される用語「ホモログ」または「相同な遺伝子産物」は、本明細書に記載されたタンパク質、特にSCD4と同じ生物学的機能を示す、別の種、好ましくは哺乳動物のタンパク質を意味する。このようなホモログは、「オルソロガス遺伝子産物」も意味する。ヒトおよび哺乳動物または他の種からのオルソログ遺伝子対の検出のためのアルゴリズムは、これらの生物の全ゲノムを使用する。第一に、対の最良ヒットが、推定されたタンパク質の完全スミス-ウォーターマン(Smith-Waterman)アラインメントを用いて検索される。更に信頼性を向上するために、これらの対は、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)および線虫(C. elegans)のタンパク質を含む対の最良ヒットでクラスター化される。このような分析は、例えばNature, 2001, 409:860-921に記されている。本発明のタンパク質のホモログは、従来の技術を適用し各遺伝子をクローニングしおよびそのような遺伝子からタンパク質を発現することによるか、または当該技術分野において一般に公知の他の適当な方法により、他の種の遺伝子に対する本明細書において提供されたタンパク質をコードしている遺伝子の配列相同性を基に単離することができる。
【0026】
本発明の好ましい態様において、SCD4相互作用分子は、SCD4インヒビターである。
【0027】
本発明に従い、用語「インヒビター」は、好ましくはSCD4の活性を阻害または低下する生化学的または化学的化合物を意味する。これは、例えば、対応する遺伝子の発現の抑制を介して生じることができる。遺伝子の発現は、RT-PCRまたはウェスタンブロット分析により測定することができる。更にこれは、例えばSCD4への結合による、活性の阻害を介して生じることができる。
【0028】
このようなSCD4インヒビターの例は、SCD4に対する、特にSCD4の活性部位に対する結合タンパク質または結合ペプチド、およびSCD4遺伝子に対する核酸である。
【0029】
用語「SCD4に対する核酸」は、例えばSCD4遺伝子の発現またはSCD4の活性を阻害する、二本鎖もしくは一本鎖のDNAもしくはRNA、またはそれらの修飾物もしくは誘導体を意味し、ならびにこれは、アンチセンス核酸、アプタマー、siRNA(低分子干渉RNA)およびリボザイムを含むが、これらに限定されるものではない。
【0030】
好ましくはこのインヒビターは、抗体、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、低分子量分子(LMW)、結合ペプチド、アプタマー、リボザイムおよびペプチド模倣物からなる群より選択される。
【0031】
LMWは、タンパク質、ペプチド、抗体または核酸ではない分子、および分子量5000Da未満、好ましくは2000Da未満、より好ましくは2000Da未満、最も好ましくは500Da未満を示す分子である。このようなLMWは、ライブラリーから出発するハイスループット手法により同定されてよい。このような方法は、当該技術分野において公知であり、以下に詳細に考察されている。
【0032】
これらの核酸は、細胞へ直接投与されるか、または外来性の導入された配列の転写により細胞内で作出することができる。
【0033】
本明細書において使用される「アンチセンス」核酸は、若干の配列相補性により、タンパク質をコードしているRNA(好ましくはmRNA)の配列特異的部分へのハイブリダイズが可能な核酸を意味する。アンチセンス核酸は、mRNAのコード領域および/または非コード領域に相補性であってよい。タンパク質の発現または活性を阻害するこのようなアンチセンス核酸は、治療薬としての有用性を有し、および本明細書において記載された障害の治療または予防において使用することができる。
【0034】
これらのアンチセンス核酸は、少なくとも6個のヌクレオチドであり、および好ましくは6〜約200個のヌクレオチド範囲のオリゴヌクレオチドである。特定の局面において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも10個のヌクレオチド、少なくとも15個のヌクレオチド、少なくとも100個のヌクレオチド、または少なくとも200個のヌクレオチドである。
【0035】
核酸、例えばアンチセンス核酸またはsiRNAは、例えばホスホトリエステル法(例えば、Uhlmann, E. & Peyman, A. (1990) Chemical Reviews, 90, 543-584参照)に従い、化学的に合成することができる。アプタマーは、高親和性でポリペプチド、ここではSCD4へ結合する核酸である。アプタマーは、SELEX(例えば、Jayasena (1999) Clin. Chem., 45, 1628-50;Klug and Famulok (1994) M. Mol. Biol. Rep., 20, 97-107;米国特許第5,582,981号参照)などの選択法により、異なる一本鎖RNA分子の巨大なプールから単離することができる。アプタマーは、例えばL-リボヌクレオチドのような、それらの鏡像型で合成および選択することができる(Nolte et al. (1996) Nat. Biotechnol., 14, 1116-9;Klussmann et al. (1996) Nat. Biotechnol., 14, 1112-5)。この方法で単離される型は、これらは天然のリボヌクレアーゼにより分解されず、従ってより大きい安定性を有するという利点を享受する。
【0036】
核酸は、エンドヌクレアーゼまたはエキソヌクレアーゼ、特に細胞内に見出すことができるDNaseおよびRNaseにより分解され得る。従って分解に対して核酸を安定化するために、核酸を修飾することは利点があり、それによって高濃度の核酸が細胞内で長期間維持されることを確実にする(Beigelman et al. (1995) Nucleic Acids Res. 23:3989-94;国際公開公報第95/11910号;国際公開公報第98/37240号;国際公開公報第97/29116号)。典型的にはこのような安定化は、1個もしくは複数のインターヌクレオチドリン基(internucleotide phosphorus group)の導入によるか、または1個もしくは複数の非リンインターヌクレオチドの導入により得ることができる。
【0037】
適宜修飾されたインターヌクレオチドは、前記のUhlmannおよびPeyman(1990)においてまとめられている(同じくBeigelman et al. (1995) Nucleic Acids Res. 23:3989-94;国際公開公報第95/11910号;国際公開公報第98/37240号;国際公開公報第97/29116号参照)。本発明に従うひとつの用途において使用することができる核酸内の修飾されたインターヌクレオチドホスフェートラジカルおよび/または非リン架橋は、例えば、メチルホスホネート、ホスホロチオエート、ホスホロアミデート、ホスホロジチオエートおよび/またはホスフェートエステルを含むが、非リンインターヌクレオチドアナログは、例えばシロキサン架橋、カーボネート架橋、カルボキシメチルエステル、アセトアミデート架橋および/またはチオエーテル架橋を含む。この修飾は、本発明の用途のひとつにおいて使用することができる薬学的組成物の耐久性を改善することも意図されている。一般に、オリゴヌクレオチドは、塩基部分、糖部分、またはリン酸骨格において修飾され得る。
【0038】
オリゴヌクレオチドは、ペプチド、細胞膜を超える輸送を促進する物質(例えばLetsinger et al. 1989 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:6553-6556;Lemaitre et al., 1987, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:648-652;国際特許公報第WO 88/09810号参照)もしくは血液脳関門を超える輸送を促進する物質(例えば国際特許公報第WO 89/10134号参照)、ハイブリダイゼーションにより引き起こされる切断物質(例えば、Krol et al., 1988, BioTechniques 6:958-976参照)、またはインターカレート剤(例えば、Zon, 1988, Pharm. Res. 5:539-549参照)のような、その他の付属基を含んでもよい。
【0039】
詳細に述べると、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1種の修飾された塩基部分を含むことができ、これは5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオ-ウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、D-ガラクトシルキュエノシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、D-マンノシルキュエノシン、5N-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチル-チオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、シュードウラシル、キュエノシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、5-メチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6-ジアミノプリンを含む群から選択されるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
別の態様において、オリゴヌクレオチドは、アラビノース、2-フルオロアラビノース、キシルロース、およびヘキソースを含む群より選択されるが、これらに限定されるものではない、少なくとも1種の修飾された糖部分を含む。
【0041】
適当なアンチセンス核酸の使用は更に、例えばZheng and Kemeny (1995) Clin. Exp. Immunol., 100, 380-2;Nellen and Lichtenstein (1993) Trends Biochem. Sci., 18, 419-23;Stein (1992) Leukemia, 6, 697-74または、Yacyshyn, B. R. et al. (1998) Gastroenterology, 114, 1142に記載されている。
【0042】
更に別の態様において、オリゴヌクレオチドは、2-a-アノマーオリゴヌクレオチドである。a-アノマーオリゴヌクレオチドは、相補的RNAと特異的二本鎖ハイブリッドを形成し、ここでは通常のβ-ユニットとは対照的に、これらの鎖は互いに平行に走る(Gautier et al., 1987, Nucl. Acids Res. 15:6625-6641)。
【0043】
このオリゴヌクレオチドは、別の分子、例えばペプチド、ハイブリダイゼーションにより引き起こされる架橋剤、輸送物質、ハイブリダイゼーションにより引き起こされる切断物質などに結合することができる。
【0044】
本発明を通じて、本発明のオリゴヌクレオチドは、自動DNA合成装置(Biosearch、Applied Biosystemsなどから市販されているものなど)の使用により、当該技術分野において公知の標準方法により合成され得る。例として、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、Steinらの方法(1988, Nucl. Acids Res. 16:3209)により合成され、メチルホスホネートオリゴヌクレオチドは、制御された多孔質ガラスポリマー支持体などの使用により調製することができる(Sarin et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:7448-7451)。
【0045】
特定の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、触媒的RNA、またはリボザイムを含む(例えば、国際特許公報第WO 90/11364号;Sarver et al., 1990, Science 247:1222-1225参照)。別の態様において、オリゴヌクレオチドは、2'-0-メチルリボヌクレオチド(Inoue et al., 1987, Nucl. Acids Res. 15:6131-6148)、またはキメラRNA-DNAアナログ(Inoue et al., 1987, FEBS Lett. 215:327-330)である。
【0046】
別の態様において、本発明のアンチセンス核酸は、外来配列からの転写により、細胞内で生成される。例えばベクターが、インビボで導入され、細胞により取り込まれ、その細胞中でベクターまたはその一部が転写され、本発明のアンチセンス核酸(RNA)を作出することができる。このようなベクターは、このタンパク質をコードしている配列を含むであろう。このようなベクターは、それが転写され所望のアンチセンスRNAを生じる限りは、エピソームのままであるか、または染色体に組み込まれるようになることができる。このようなベクターは、当該技術分野において標準の組換えDNA技法により構築することができる。ベクターは、プラスミド、ウイルス、または哺乳動物細胞において複製および発現が可能である当該技術分野において公知のその他のものであることができる。アンチセンスRNAをコードしている配列の発現は、哺乳動物の、好ましくはヒトの細胞において作用する、当該技術分野において公知の任意のプロモーターであることができる。このようなプロモーターは、誘導性または構成性であることができる。このようなプロモーターは、SV40初期プロモーター領域(Bernoist and Chambon, 1981, Nature 290:304-310)、ラウス肉腫ウイルスの3'長末端反復配列に含まれたプロモーター(Yamamoto et al., 1980, Cell 22:787-797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al., 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:1441-1445)、メタロチオネイン遺伝子の制御配列(Brinster et al., 1982, Nature 296:39-42)などを含むが、これらに限定されるものではない。
【0047】
本発明のアンチセンス核酸は、タンパク質遺伝子、好ましくはヒト遺伝子、より好ましくはヒトSCD4遺伝子のRNA転写産物の少なくとも一部に相補的である配列を含む。しかし完全な相補性が好ましいが、余り必要とはしていない。本明細書において言及された「RNAの少なくとも一部に相補的な」配列は、RNAとハイブリダイズし、安定した二重鎖を形成することができるのに十分な相補性を有する配列を意味し;二本鎖アンチセンス核酸の場合は、二重鎖DNAの一本鎖がこのように試験されるか、または三本鎖形成をアッセイすることができる。ハイブリダイズ能は、アンチセンス核酸の相補性の程度および長さの両方に応じて左右されるであろう。一般に、ハイブリダイズする核酸がより長いほど、RNAとのより多くの塩基ミスマッチが生じ、このことは安定した二重鎖(または場合によっては三本鎖)を含みおよびなお形成することができる。当業者は、ハイブリダイズした複合体の融解温度を決定する標準的手法の使用により、ミスマッチの許容可能な程度を確定することができる。
【0048】
遺伝子発現、ここではSCD4遺伝子発現をダウンレギュレートまたはスイッチオフするプロセスにおけるRNA干渉のツールとしてのsiRNAの生成および使用は、例えば、Elbashir, S. M. et al. (2001) Genes Dev., 15, 188またはElbashir, S. M. et al. (2001) Nature, 411, 494に記載されている。好ましくはsiRNAは、30ヌクレオチド未満の長さを示し、ここでsiRNAのセンス鎖(strang)の同一のひと配列は、少なくとも19個のヌクレオチドであることが好ましい。
【0049】
リボザイムも、核酸、ここではSCD4遺伝子の翻訳を阻害するための適したツールであり、その理由はこれらもmRNAを特異的に結合および切断することができるからである。これらは例えば、Amarzguioui et al. (1998) Cell. Mol. Life Sci., 54, 1175-202;Vaish et al. (1998) Nucleic Acids Res., 26, 5237-42;Persidis (1997) Nat. Biotechnol., 15, 921-2、またはCouture and Stinchcomb (1996) Trends Genet., 12, 510-5に記載されている。
【0050】
薬学的に許容される担体中に有効量の核酸を含む本発明の薬学的組成物は、SCD4を発現または過剰発現する型である疾患または障害を有する患者へ投与することができる。
【0051】
特定の障害または状態の治療に有効である核酸の量は、障害または状態の性質に応じて決まり、ならびに標準の臨床技術により決定することができる。可能であるならば、ヒトにおいて試験および使用する前に、インビトロにおいて、その後有用な動物モデルシステムにおいて、核酸の細胞毒性を決定することが望ましい。
【0052】
特定の態様において、核酸を含む薬学的組成物は、リポソーム、微粒子、またはマイクロカプセルにより投与される。本発明の様々な態様において、核酸の除放を実現するために、そのような組成物を使用することは有用であろう。特定の態様において、特異的な同定可能な中枢神経系細胞型に対する抗体を介して標的化されたリポソームを利用することが望ましいことがある(Leonetti et al., 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 87:2448-2451;Renneisen et al., 1990, J. Biol. Chem. 265:16337-16342)。
【0053】
用語「結合タンパク質」または「結合ペプチド」は、SCD4を結合および阻害するタンパク質またはペプチドのクラスを意味し、これは、SCD4に対するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体、抗体断片およびタンパク質スカフォールドを含むが、これらに限定されるものではない。
【0054】
本発明に従い、用語抗体または抗体断片は、組換えにより調製され、および適当ならば修飾される、それらの抗体または抗原結合部分、例えばキメラ抗体、ヒト化抗体、多機能性抗体、二重特異性または多特異性抗体、一本鎖抗体およびF(ab)もしくはF(ab)2断片などを意味するものとしても理解され(例えばEP-B1-0 368 684号、米国特許第4,816,567号、米国特許第4,816,397号、国際公開公報第88/01649号、国際公開公報第93/06213号または国際公開公報第98/24884号)、好ましくはFAB発現ライブラリーの援助により作製される。
【0055】
古典的抗体の代わりとして、例えばSCD4に対するタンパク質スカフォールド、例えば、リポカリンをベースにしたアンチカリン(anticalin)を使用することも可能である(Beste et al. (1999) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96, 1898-1903)。例えばレチノール結合タンパク質またはビリン結合タンパク質のような、リポカリンの天然のリガンド結合部位は、例えば、「コンビナトリアルタンパク質デザイン」法を用いて変更することができ、そのような方法においてこれらは選択されたハプテン、ここではSCD4へ結合する(Skerra, 2000, Biochim. Biophys. Acta, 1482, 337-50)。他の公知のタンパク質スカフォールドは、分子認識に関する抗体の代用であることが知られている(Skerra (2000) J. Mol. Recognit., 13, 167-187)。
【0056】
抗体または抗体断片を調製する手法は、適当ならば例えば、フロイントのアジュバントおよび/または水酸化アルミニウムゲルの存在下で、哺乳動物、例えばウサギなどの、SCD4による免疫化によるような、当業者に周知の方法に従い実行される(例えば、Diamond, B.A. et al. (1981) The New England Journal of Medicine:1344-1349参照)。免疫学的反応の結果として動物において作出されるポリクローナル抗体は、引き続き周知の方法を用い血液から単離され、および例えばカラムクロマトグラフィーを用いて精製される。モノクローナル抗体は、例えばWinterおよびMilsteinの公知の方法(Winter, G. & Milstein, C. (1991) Nature, 349, 293-299)に従い、調製することができる。
【0057】
詳細に述べると、ポリクローナル抗体は、前述のように、免疫原としてのポリペプチドで適当な対象を免疫化することにより、調製することができる。好ましいポリクローナル抗体組成物は、1種または複数の本発明のポリペプチドに対する抗体について選択されるものである。特に好ましいポリクローナル抗体調製物は、1種または複数の所定のポリペプチドに対する抗体のみを含むものである。特に好ましい免疫原組成物は、例えば、本発明のポリペプチドを組換え発現するために非ヒト宿主細胞を用いて作製された免疫原組成物などの、ヒト以外のタンパク質を含むものである。このような方法において、この免疫原に対して生じた得られた抗体組成物によって認識される1種または複数のヒトエピトープのみが、本発明の1種または複数のポリペプチドの一部として存在するであろう。
【0058】
免疫化された対象における抗体力価は、固定されたポリペプチドを使用する酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などの標準技術により、経時的にモニタリングすることができる。必要に応じて、抗体分子は、哺乳動物から(例えば血液から)単離し、IgG画分を得るためのプロテインAクロマトグラフィーなどの周知の技術により、更に精製することができる。あるいは、本発明のタンパク質またはポリペプチドに対し特異的な抗体は、例えばアフィニティクロマトグラフィーなどにより、選択される(例えば部分的に精製される)か、または精製されることができる。例えば組換えにより発現されおよび精製された(または部分的に精製された)本発明のタンパク質は、本明細書に記載されたように生成され、および例えばクロマトグラフィーカラムなどの固形支持体に共有結合的にまたは非共有結合的に連結される。その後このカラムは、多数の様々なエピトープに対する抗体を含有する試料からの、本発明のタンパク質に特異的な抗体のアフィニティ精製に使用することができ、これにより実質的に精製された抗体組成物、すなわち夾雑抗体を実質的に含まないものを生成することができる。実質的に精製された抗体組成物は、この文脈において、抗体試料は、本発明の望ましいタンパク質またはポリペプチドのエピトープ以外のエピトープに対する夾雑抗体を最大でもわずかに30%(乾燥重量)を含有し、ならびに試料の好ましくは最大でも20%、更により好ましくは最大でも10%、および最も好ましくは最大でも5%(乾燥重量)は、夾雑抗体であることを意味する。精製された抗体組成物は、組成物中の抗体の少なくとも99%は、本発明の望ましいタンパク質またはポリペプチドに対するものであることを意味する。
【0059】
免疫化後の適当な時点、例えば特異的抗体力価が最高である時点で、抗体産生細胞が、対象から得られ、Kohler and Milstein 1975, Nature 256:495-497により最初に記載されたハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor et al., 1983, Immunol. Today 4:72)、EBV-ハイブリドーマ技術(Cole et al., 1985, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96)またはトリオーマ技術などの、標準技術により、モノクローナル抗体を調製するために使用される。ハイブリドーマを作製する技術は、周知である(一般にCurrent Protocols in Immunology 1994, Coligan et al. (eds.) John Wiley & Sons, Inc., New York, NY参照)。本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞は、例えば標準のELISAアッセイを使用する、関心対象のポリペプチドに結合する抗体に関するハイブリドーマ培養物上清のスクリーニングにより検出される。
【0060】
モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを調製する代わりに、本発明のポリペプチド対するモノクローナル抗体を、組換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリー(例えば、抗体ファージディスプレイライブラリー)の関心対象のポリペプチドによるスクリーニングにより同定および単離することができる。ファージディスプレイライブラリーを作製およびスクリーニングするキットは、市販されている(例えば、Pharmacia Recombinant Phage Antibody System、カタログ番号27-9400-01;および、Stratagene SurfZAP Phage Display Kit、カタログ番号240612)。加えて、抗体ディスプレイライブラリーの作製およびスクリーニングにおける使用に特に適した方法および試薬の例は、例えば米国特許第5,223,409号;PCT国際公開公報第92/18619号;PCT国際公開公報第91/17271号;PCT国際公開公報第92/20791号;PCT国際公開公報第92/15679号;PCT国際公開公報第93/01288号;PCT国際公開公報第92/01047号;PCT国際公開公報第92/09690号;PCT国際公開公報第90/02809号;Fuchs et al., 1991, Bio/Technology 9:1370-1372;Hay et al., 1992, Hum. Antibod. Hybridomas 3:81-85;Huse et al., 1989, Science 246:1275-1281;Griffiths et al., 1993, EMBO J. 12:725-734において見出すことができる。
【0061】
加えて、標準の組換えDNA技術を用いて作製することができるヒト部分および非ヒト部分の両方を含むキメラおよびヒト化モノクローナル抗体などの組換え抗体は、本発明の範囲内である。キメラ抗体は、マウスmAb由来の可変領域およびヒト免疫グロブリン定常領域を有するもののような、異なる部分が異なる動物種に由来する分子である(例えば、Cabillyらの米国特許第4,816,567号;および、Bossらの米国特許第4,816,397号を参照のこと。これらは全体が参照により本明細書に組入れられている)。ヒト化抗体は、非ヒト種由来の1個または複数の相補性決定領域(CDR)およびヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域を有する非ヒト種由来の抗体分子である(例えばQueenの米国特許第5,585,089号を参照のこと。これは全体が参照により本明細書に組入れられている)。このようなキメラおよびヒト化モノクローナル抗体は、例えば、PCT国際公開公報第87/02671号;欧州特許出願第184,187号;欧州特許出願第171,496号;欧州特許出願第173,494号;PCT国際公開公報第86/01533号;米国特許第4,816,567号;欧州特許出願第125,023号;Better et al., 1988, Science 240:1041-1043;Liu et. al., 1987, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:3439-3443;Liu et al., 1987, J. Immunol. 139:3521-3526;Sun et al., 1987, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:214-218;Nishimura et al., 1987, Canc. Res. 47:999-1005;Wood et al., 1985, Nature 314:446-449;および、Shaw et al., 1988, J. Natl. Cancer Inst. 80:1553-1559;Morrison, 1985, Science 229:1202-1207;Oi et. al., 1986, Bio/Techniques 4:214;米国特許第5,225,539号;Jones et al., 1986, Nature 321:552-525;Verhoeyan et al., 1988, Science 239:1534;および、Beidler et al., 1988, J. Immunol. 141:4053-4060に開示された方法を使用する、当該技術分野において公知の組換えDNA技術により作製することができる。
【0062】
完全なヒト抗体は、ヒト患者の治療的処置にとって特に望ましい。このような抗体は、例えば内在性免疫グロブリン重鎖および軽鎖の遺伝子を発現することは不可能であるが、ヒト重鎖および軽鎖の遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを用いて作出することができる。トランスジェニックマウスは、選択された抗原、例えば本発明のポリペプチドの全てまたは一部により、通常の様式で免疫化される。この抗原に対するモノクローナル抗体は、従来のハイブリドーマ技術を用いて得ることができる。トランスジェニックマウスに保有されたヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化を通じて再構成され、引き続きクラススイッチおよび体細胞変異を受ける。従ってこのような技術を用い、治療に有用なIgG、IgAおよびIgE抗体を作製することが可能である。ヒト抗体を作出するためのこの技術の概説に関しては、Lonberg and Huszar, 1995, Int. Rev. Immunol. 13:65-93を参照のこと。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を作出するための技術ならびにそのような抗体を作出するためのプロトコールに関する詳細な考察は、例えば米国特許第5,625,126号;米国特許第5,633,425号;米国特許第5,569,825号;米国特許第5,661,016号;および、米国特許第5,545,806号を参照のこと。加えて、Abgenix, Inc.(Freemont, CA)などの会社が、前述の技術に類似した技術を使用し、選択された抗原に対するヒト抗体を提供することに従事することができる。
【0063】
選択されたエピトープを認識する完全なヒト抗体は、「ガイドセレクション」と称される技術を用いて作製することができる。この方法において、選択された非ヒトモノクローナル抗体、例えばマウス抗体を使用し、同じエピトープを認識する完全なヒト抗体の選択をガイドする(Jespers et al., 1994, Bio/technology 12:899-903)。
【0064】
タンパク質、特にSCD4のイディオタイプを含有する抗体断片は、当該技術分野において公知の技術により作製することができる。例えばそのような断片は、抗体分子のペプシン消化により作製することができるF(ab')2断片;F(ab')2断片のジスルフィド架橋の還元により作製することができるFab'断片;パパインおよび還元剤による抗体分子の処理により作製することができるFab断片;および、Fv断片を含むが、これらに限定されるものではない。
【0065】
抗体産生において、所望の抗体のスクリーニングは、当該技術分野において公知の技術、例えばELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)により達成することができる。タンパク質の特定のドメインに特異的な抗体またはその誘導体を選択するために、そのようなドメインを含むタンパク質の断片またはその誘導体に結合する産物について作製されたハイブリドーマをアッセイしてもよい。
【0066】
前記抗体を、1種または複数の所定のタンパク質の局在化および/または定量に関連している当該技術分野において公知の方法、例えばこれらのタンパク質の画像化、適当な生理的試料中におけるそれらのレベルの測定(イムノアッセイによる)、または診断法などにおいて使用することができる。これは、SCD4の誘導体またはそれらのホモログについても当てはまる。
【0067】
好ましい態様において、SCD4インヒビターは、下記配列を伴うsiRNAである:AGUACUCAGAGACGGAUGC。
【0068】
前述の説明のように、驚くべきことに、本発明に関連して、SCD4は、Aβ-42の分泌を低下または減弱することがわかった。従って、これはβ-セクレターゼおよび/またはγセクレターゼの活性を直接または間接に制御する。その結果好ましい態様において、インヒビターまたは相互作用分子は、Aβ-42の分泌を低下もしくは減弱するか、またはβ-セクレターゼおよび/もしくはγセクレターゼの活性を調節する。
【0069】
本発明に関連して、「γセクレターゼおよび/またはβセクレターゼの活性を調節する」は、より少ない産物が形成されるかもしくは形成されない(部分的もしくは完全な阻害)よう、その活性を低下すること、または各酵素が、異なる産物を生じること(γセクレターゼの場合、例えばAβ-42の代わりにAβ-40)、または産物の相対量が異なること(γセクレターゼの場合、例えばAβ-42よりも多いAβ-40)を意味する。
【0070】
本発明を通じて、用語「γセクレターゼおよび/またはβセクレターゼの活性を調節する」は、この酵素の活性が直接的または間接的に調節されることを含む。これは、SCD4モジュレーターは、この酵素へ同じく直接結合するか、またはより好ましくはSCD4に対する影響を及ぼし、これは次に例えばタンパク質-タンパク質相互作用によるかまたはシグナル伝達もしくは小規模代謝により、その酵素活性を調節することを意味する。
【0071】
更にこれは、モジュレーターが、γセクレターゼもしくはβセクレターゼのいずれかまたは両酵素の活性を調節することを含む。
【0072】
本発明を通じて、βセクレターゼモジュレーターは、βセクレターゼの活性を完全にまたは部分的のいずれかで阻害することが好ましい。
【0073】
γセクレターゼ活性のモジュレーターに関して、このモジュレーターは、γセクレターゼ活性を阻害することが好ましい。しかし、γセクレターゼの活性は、より多くのAβ-40および/またはAβ-38がAβ-42の代わりに生成されるような方法にシフトされることも好ましい。
【0074】
γセクレターゼ活性は、例えば、APPプロセッシングの決定により、例えばAβ-40またはAβ-42が産生されるかどうかを決定することにより、測定することができる(下記「実施例」の項参照)。
【0075】
BACE1活性を測定するために、α-およびβ-C末端APP断片間の比の変化を、ウェスタンブロットにより分析することができる(Blasko et al., J Neural Transm, 111, 523);BACE1活性アッセイの追加例は、以下を含むが、これらに限定されるものではない:β-ガラクトシダーゼレポーター活性を再構築および測定するための、BACE1切断部位を含む環化された酵素ドナーペプチドの使用(Naqvi et al., J Biomol Screen. 9, 398);消光された蛍光定量的ペプチド基質および蛍光測定の使用(Andrau et al., J. Biol Chem 278, 25859);酵素(例えばアルカリホスファターゼ)が、BACE1認識配列を含むアミノ酸ひと配列を介してゴルジ体常在(resident)タンパク質へ連結されている、組換えキメラタンパク質を利用する細胞ベースのアッセイの使用(Oh et al., Anal Biochem, 323, 7);蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)ベースのアッセイ(Kennedy et al., Anal Biochen 319, 49);酵母における細胞増殖選択システム(Luthi et al., Biochim Biophys Acta 1620, 167)など。
【0076】
好ましくは神経変性疾患は、アルツハイマー病である。
【0077】
本発明に従い、SCD4相互作用分子を使用し、薬学的組成物を調製する。
【0078】
従って本発明は、有効量で対象へ投与することができる薬学的組成物を提供する。好ましい局面において、この治療薬は、実質的に精製されている。対象は、動物が好ましく、ウシ、ブタ、ウマ、ニワトリ、ネコ、イヌなどの動物を含むが、これらに限定されるものではなく、および好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトである。特定の態様においては、非ヒト哺乳動物が対象である。
【0079】
例えばリポソーム、微粒子、およびマイクロカプセル中のカプセル化:治療薬の発現が可能である組換え細胞の使用、受容体媒介エンドサイトーシスの使用(例えば、Wu and Wu, 1987, J. Biol. Chem. 262:4429-4432参照);レトロウイルスベクターまたは他のベクターの一部としての治療用核酸の構築などの、様々な送達システムが公知であり、本発明の治療薬を投与するために使用することができる。導入方法は、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外および経口経路を含むが、これらに限定されるものではない。これらの化合物は、例えば注入、ボーラス注射、上皮層または粘膜皮膚層を通る吸収(例えば経口、直腸および小腸粘膜など)などの、任意の都合のよい通常の経路により投与することができ、ならびに他の生物学的活性物質と一緒に投与されてもよい。投与は全身または局所的であることができる。加えて、本発明の薬学的組成物を中枢神経系へ、脳室内およびクモ膜下注射を含む任意の適当な経路により導入することが望ましく;脳室内注射は、例えばOmmayaレザバーのようなレザバーに連結された、脳室内カテーテルにより促進されてもよい。肺投与も、例えば、吸入器またはネブライザーの使用、およびエアロゾル化剤を伴う製剤により利用することができる。
【0080】
特定の態様において、本発明の薬学的組成物を、治療が必要な領域へ局所的に投与することが望ましいことがある。これは、例えば手術時の局所的注入、局所的適用、例えば手術後の創傷包帯との組合せ、注射、カテーテルによる、坐薬による、または多孔質もしくは非多孔質であるインプラントによる、またはシアラスティック(sialastic)メンブレンなどのメンブレン、もしくは繊維を含むゼラチン質物質により達成されるが、これらに限定されるものではない。ひとつの態様において、投与は、悪性腫瘍または新生物組織またはプレ新生物組織の部位(または以前の部位)への直接注射によることができる。
【0081】
別の態様において、治療薬は、ベシクル、特にリポソーム中で送達することができる(Langer, 1990, Science 249:1527-1533;Treat et al., 1989, In: Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer, Lopez-Berestein and Fidler, eds., Liss, New York, pp.353-365;Lopez-Berestein、同書、pp.317-327;全般的に同書参照)。
【0082】
更に別の態様において、治療薬は、除放システムにより送達することができる。ひとつの態様において、ポンプを使用することができる(Langer、前記;Sefton, 1987, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201-240;Buchwald et al., 1980, Surgery 88:507-516;Saudek et al., 1989, N. Engl. J. Med. 321:574-579)。別の態様において、高分子材料を使用することができる(Medical Applications of Controlled Release, Langer and Wise, eds., CRC Press, Boca Raton, Florida, 1974;Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Smolen and Ball, eds., Wiley, New York, 1984;Ranger and Peppas, 1983, Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61;Levy et al.,1985, Science 228:190-192;During et al., 1989, Ann. Neurol. 25:351-356;Howard et al., 1989, J. Neurosurg. 71:858-863)。更に別の態様において、除放システムは、治療標的、すなわち脳の近傍に配置し、その結果少量の全身投与量のみを必要とすることができる(例えば、Goodson, 1984, In: Medical Applications of Controlled Release, 前記, Vol. 2, pp.115-138)。他の除放システムは、Langerの総説(1990, Science 249:1527-1533)において考察されている。
【0083】
治療薬が核酸、好ましくはタンパク質治療薬をコードしている核酸である特定の態様において、この核酸は、適当な核酸発現ベクターの一部としてこれを構築し、ならびにこれを例えばレトロウイルスベクターを使用することにより(米国特許第4,980,286号)、または直接注射することにより、または微粒子銃(例えば遺伝子銃;Biolistic, Dupont)を使用することにより、または脂質、細胞表面受容体もしくはトランスフェクション剤でこれをコーティングすることにより、またはこれを核内に侵入することがわかっているホメオボックス様ペプチドと連結して投与すること(例えば、Joliot et al., 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:1864-1868)などにより、細胞内となるように投与することにより、そのコードされたタンパク質の発現を促進するためにインビボにおいて投与することができる。あるいは、核酸治療薬は、細胞内へ導入されかつ発現のために宿主細胞DNA内の相同組換えにより組み込まれ得る。
【0084】
概して本発明の薬学的組成物は、治療的有効量の治療薬、および薬学的に許容される担体を含む。特定の態様において、用語「薬学的に許容される」は、連邦もしくは州政府の規制機関により承認されるか、または動物、より具体的にはヒトにおける使用に関する米国薬局方もしくは他の一般に認められる局方に収載されていることを意味する。用語「担体」は、それと共に治療薬が投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、または媒体を意味する。そのような薬学的担体は、無菌の液体、例えば水および油であり、石油、動物、植物または合成起源のものを含み、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などを含むが、これらに限定されるものではないものであることができる。薬学的組成物が経口投与される場合には、水が好ましい担体である。薬学的組成物が静脈内投与される場合には、生理食塩水および水性デキストロースが好ましい担体である。生理食塩水溶液ならびにデキストロースおよびグリセロール水溶液は、注射用溶液の液体担体として使用されることが好ましい。適切な薬学的賦形剤は、デンプン、グルコース、乳糖、ショ糖、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどを含む。
【0085】
必要に応じてこの組成物は、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤も含有することができる。これらの組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、徐放製剤などの形をとることができる。この組成物は、従来の結合剤およびトリグリセリドのような担体と共に坐薬として製剤化することができる。経口製剤は、薬用グレードのマンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準の担体を含むことができる。適当な薬学的担体の例は、E.W. Martinの「Remington's Pharmaceutical Sciences」に記載されている。このような組成物は、患者への適切な投与の形を提供するために、治療的有効量の治療薬を、好ましくは精製された形で、適量の担体と共に含有するであろう。この製剤は、投与様式に適合しなければならない。
【0086】
好ましい態様において、この組成物は、ヒトへの静脈内投与に適した薬学的組成物として、慣習的手法に従い製剤化される。典型的には、静脈内投与のための組成物は、無菌の等張性水性緩衝液中の溶液である。必要であるならば、この組成物は、可溶化剤および注射部位の疼痛を軽減するためのリドカインのような局所麻酔薬も含むことができる。一般に、これらの構成成分は、例えば活性成分の量を記しているアンプルまたはサシェなどの密封された容器内の、乾燥した凍結乾燥粉末または水非含有濃縮液として、単位剤形中個別にまたは混合してのいずれかで供給される。この組成物が注入により投与される場合、これは、無菌の医薬グレードの水または生理食塩水を含有する注入ボトルにより分配することができる。この組成物が注射により投与される場合、構成成分が投与前に混合されるように、注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルが提供される。
【0087】
本発明の治療薬は、中性型または塩型で製剤化することができる。薬学的に許容される塩は、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸など由来のもののように、遊離のカルボキシル基により形成されたもの、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなど由来のもののように、遊離のアミン基により形成されたもの、ならびに水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウムおよび水酸化第二鉄などに由来するものを含む。
【0088】
特定の障害または状態を治療する上で有効である本発明の治療薬の量は、障害または状態の性質に応じて左右され、ならびに標準の臨床技術により決定することができる。加えてインビトロアッセイが任意に、最適用量範囲を確定することを補助するために使用される。製剤において使用される正確な投与量は、投与経路、疾患もしくは障害の重症度に応じて決まり、医師の判断および各患者の状況に応じて決定されるべきである。しかし静脈内投与のための適当な用量範囲は、一般に体重1kg当たり活性化合物約20〜500μgである。鼻腔内投与のための適当な用量範囲は、一般に約0.01pg/kg体重〜1mg/kg体重である。有効量は、インビトロまたは動物モデル試験システムから得られた用量反応曲線から外挿されてよい。
【0089】
坐薬は一般に、0.5%〜10重量%の範囲の活性構成成分を含有し;経口製剤は好ましくは、10%〜95%の活性構成成分を含有する。
【0090】
本発明は、本発明の薬学的組成物の1種または複数の構成成分で満たされた1個または複数の容器を備える、薬学的パックまたはキットも提供する。製薬製品または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する政府機関により指定された形式の注意事項を、任意にそのような容器に添付することができ、この注意事項は、製造、使用または販売の機関によるヒトへの投与の承認を反映している。
【0091】
本発明のキットは、SCD4または相互作用もしくは結合するペプチドもしくはポリペプチドをコードしている発現ベクターも含み、これはSCD4または各々の相互作用もしくは結合するペプチドもしくはポリペプチドの発現のために使用することができる。このようなキットは好ましくは、必要な緩衝液および試薬も含む。キットの使用のための使用説明書および/または製薬製品もしくは生物学的製品の製造、使用もしくは販売を規制する政府機関により指定された形式の注意事項を、任意にそのような容器に添付することができ、この注意事項は、製造、使用または販売の機関によるヒトへの投与の承認を反映している。
【0092】
本発明は更に、有効量のSCD4相互作用分子もしくはインヒビターまたは本発明の薬学的組成物が、神経変性疾患、好ましくはアルツハイマー病に罹患している対象へ投与される治療方法に関する。
【0093】
本発明のこの方法に関して、全ての態様は、本発明の使用に関して前述のように適用される。
【0094】
本発明は更に、下記工程を含む、γセクレターゼモジュレーターおよび/またはβ-セクレターゼモジュレーターを同定するための方法に関する:
a.所定の被験化合物がSCD4相互作用分子であるかどうかを決定することにより、SCD4相互作用分子を同定する工程、
b.工程a)のSCD4相互作用分子が、γセクレターゼ活性またはβ-セクレターゼ活性を調節することが可能であるかどうかを決定する工程。
【0095】
本発明の好ましい態様において、工程a)において被験化合物は、SCD4と接触させられ、およびSCD4の被験化合物との相互作用が決定される。候補分子がSCD4へ結合されるかどうかが測定されることが好ましい。
【0096】
本発明の方法は、ハイスループットアッセイの状況で実行されることが好ましい。このようなアッセイは、当業者には公知である。
【0097】
スクリーニングされる被験分子または候補分子は、限定数の特定の化合物の混合物として、または化合物ライブラリー、ペプチドライブラリーなどとして提供することができる。スクリーニングされる物質/分子は同じく、SCD4活性または発現を調節することができる抗血清、アンチセンス核酸などの全ての形を含んでよい。スクリーニングのための候補分子およびライブラリーの例は、以下に示している。
【0098】
ライブラリーのスクリーニングは、任意の様々な一般に公知の方法により達成することができる。例えば、ペプチドライブラリーのスクリーニングを記載している、下記参考文献を参照のこと:Parmley and Smith, 1989, Adv. Exp. Med. Biol. 251:215-218;Scott and Smith, 1990, Science 249:386-390;Fowlkes et al., 1992, BioTechniques 13:422-427;Oldenburg et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:5393-5397;Yu et al., 1994, Cell 76:933-945;Staudt et al., 1998, Science 241:577-580;Bock et al., 1992, Nature 355:564-566;Tuerk et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:6988-6992;Ellington et al., 1992, Nature 355:850-852;全てLadnerらの、米国特許第5,096,815号、米国特許第5,223,409号、および米国特許第5,198,346号;Rebar and Pabo, 1993, Science 263:671-673;および国際特許公報第WO 94/18318号。
【0099】
特定の態様において、スクリーニングは、ライブラリーメンバーを固相上に固定されたSCD4と接触させ、およびそのタンパク質(またはコードしている核酸もしくは誘導体)に結合するそれらのライブラリーメンバーを収集することにより行うことができる。「パニング」法と称されるそのようなスクリーニング法の例は、Parmley and Smith, 1988, Gene 73:305-318;Fowlkes et al., 1992, BioTechniques 13:422-427;国際特許公報第WO 94/18318号;および先に引用された参考文献において例として記載されている。
【0100】
具体的態様において、SCD4断片および/またはアナログ、特にペプチド模倣物は、SCD4の存在(例えばSCD4発現または安定性)、または特に細胞におけるSCD4活性の競合的または非競合的インヒビターとして、活性についてスクリーニングされている。
【0101】
ひとつの態様において、SCD4活性を調節する(すなわち阻害または活性化する)物質は、Aβ-42分泌アッセイを用いてスクリーニングすることができ、ここで物質は、試験される物質が存在しない場合にSCD4が活性である水性または生理的条件下でSCD4活性を調節するそれらの能力についてスクリーニングされる。好ましくは候補物質は、SCD4と相互作用または結合する物質である。Aβ-42の分泌と干渉する物質は、SCD4活性のインヒビターとして同定される。Aβ-42の分泌を促進する物質は、SCD4のアクチベーターとして同定される。
【0102】
好ましくは2工程手法を使用することができ、これは(a)SCD4活性アッセイ(例えば前記のObukowicz MG et al.,に記載されたような、SCD4のΔ-9デサチュラーゼ活性を測定するアッセイなど)において、モジュレーターを同定する工程、および(b)Aβ-42を低下または減弱する活性についてそれらのモジュレーターを試験する工程を含む。
【0103】
スクリーニング法、特にSCD4に結合する物質のスクリーニング法は、SCD4の放射性リガンド(例えば、125Iもしくは3H)、磁気リガンド(例えば、酢酸フォトビオチンに共有結合的に連結した常磁性ビーズ)、蛍光リガンド(例えば、フルオレセインもしくはローダミン)、または酵素リガンド(例えば、ルシフェラーゼもしくはβ-ガラクトシダーゼ)による標識に関連してよい。溶液中で結合する反応体はその後、非標識の結合パートナー(または第二の標識されたタンパク質において使用されるものからの識別可能なマーカーで標識された結合パートナー)に対する抗血清を使用する標識タンパク質の免疫共沈降、免疫アフィニティクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、密度勾配遠心分離を含むが、これらに限定されるものではない当該技術分野において公知の多くの技術のひとつにより単離することができる。ひとつの態様において、標識された結合パートナーは、市販のフィルターにより保持されない小型の断片またはペプチド模倣物である。従って結合時に、標識された種は、このフィルターを通過することができず、簡単な結合のアッセイを提供する。
【0104】
当該技術分野において一般に公知の方法を使用し、タンパク質またはポリペプチドの少なくとも1種を標識する。適当な標識法は、放射標識されたアミノ酸、例えば3H-ロイシンまたは35S-メチオニンの取り込みによる放射標識、クロラミンT法、Bolton-Hunter試薬などを使用する125Iもしくは131Iによる翻訳後ヨウ素化による放射標識、またはホスホリラーゼおよび放射標識された無機リンを使用する32Pによる標識、酢酸フォトビオチンおよび太陽灯曝露によるビオチン標識などを含むが、これらに限定されるものではない。例えば後述のように、結合パートナーのひとつが固定されている場合、遊離種が標識される。相互作用種がいずれも固定されていない場合は、両方のパートナーの単離がその後より正確な定量を提供し、および例えばヘテロ結合からホモ結合の形成を識別することができるように、各々は、識別可能なマーカーで標識することができる。検出感度を改善し、結合の安定性を増加するためなどに、修飾されたパートナーのひとつに結合する付属タンパク質を使用する方法が提供される。
【0105】
例えばAβ分泌アッセイにおいて分泌されたAβ-40またはAβ-42の量を決定するために、先に説明されたものと同じ標識法を使用し、例えばAPP、Aβ-40、またはAβ-42を標識してもよい。
【0106】
典型的結合条件は、例えば10〜250mM NaCl、5〜50mM Tris-HCl、pH5〜8、および相互作用の特異性を改善する0.5%トリトンX-100または他の界面活性剤の水性塩溶液中であるが、これに限定されるものではない。結合を改善しおよび/またはタンパク質分解を低下するために、金属キレート剤および/または二価カチオンを添加してもよい。反応温度は、4、10、15、22、25、35または42℃を含み、インキュベーション時間は、典型的には少なくとも15秒であるが、それよりも長い時間が、結合平衡を生じさせるためには好ましい。特定の結合は、再現可能な結合に関する最適結合条件を決定するために、慣習的タンパク質結合アッセイを用いアッセイすることができる。
【0107】
結合の物理的パラメータは、例えば放射活性検出のための液体シンチレーションカウント、酵素標識部分の酵素活性などの、使用される標識物に特異的なアッセイ法を使用し結合を定量することにより分析することができる。その後反応の結果は、スキャッチャード解析、ヒル解析、および当該技術分野において一般に公知のその他の方法を用いて解析される(例えば、Proteins, Structures, and Molecular Principles, 第2版(1993) Creighton, Ed., W.H. Freeman and Company, New York参照)。
【0108】
結合アッセイの第二の一般的方法において、結合種のひとつは、フィルター、マイクロタイタープレートウェル、試験管、クロマトグラフィーマトリックスなどに、共有結合的または非共有結合的のいずれかで固定される。タンパク質は、例としてKadonagaおよびTjianの方法(1986, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:5889-5893)、すなわち、臭化シアン誘導体化された基質、例えばCNBr-Sepharose 4B(Pharmacia)への連結などであるが、これらに限定されるものではない当該技術分野において周知の任意の方法を用い、共有結合的に固定することができる。必要な場合、スペーサーの使用により、基質による立体障害を低下させることができる。タンパク質の基質への非共有結合的付着は、タンパク質の帯電表面への付着、特異的抗体との結合、第三の無関係の相互作用タンパク質への結合などを含むが、これらに限定されるものではない。
【0109】
競合剤、増強剤、または所定の結合パートナーと比べ特に望ましい結合特性(例えばより低いまたはより高い親和性)を伴う物質をスクリーニングするためには、所定の分子のSCD4への結合に競合する物質(細胞抽出物またはライブラリープールを含む)のアッセイが提供される。同じく、分子またはSCD4のいずれかが、任意の手段(例えば先に説明されたそのような手段)により標識され得る。
【0110】
特定の態様において、試薬の他のタンパク質への非特異的結合、または試薬のプラスチック、固定マトリックスへの吸収による喪失などを阻害する遮断剤が、このアッセイ混合物中に含まれる。遮断剤は、ウシ血清アルブミン、カゼイン、乾燥脱脂粉乳、デンハート試薬、フィコール、ポリビニルピロリドン、非イオン性界面活性剤(NP40、トリトンX-100、ツイーン20、ツイーン80など)、イオン性界面活性剤(例えば、SDS、LDSなど)、ポリエチレングリコールなどを含むが、これらに限定されるものではない。適当な遮断剤濃度は、特異的結合を可能にする。
【0111】
結合が行われた後、未結合の標識された物質は、上清から除去され、任意の結合した標識された物質を保持する固定されたタンパク質(または該当する場合には、固定された物質)は、十分に洗浄される。その後結合した標識物の量が、前記に記載された標識物を検出するための、当該技術分野において標準の方法を用いて定量される。
【0112】
別の特定の態様において、本明細書において提供されたタンパク質のモジュレーターのスクリーニングは、本明細書において提供されたものおよび/または抗体の固形担体への連結により実行することができる。
【0113】
様々な種類のタンパク質(抗体を含む)を含有するそのようなアレイの調製は、当該技術分野において周知であり、当業者には明らかである(例えば、Ekins et al., 1989, J. Pharm. Biomed. Anal. 7:155-168;Mitchell et al. 2002, Nature Biotechnol. 20:225-229;Petricoin et al., 2002, Lancet 359:572-577;Templin et. al., 2001, Trends Biotechnol. 20:160-166;Wilson and Nock, 2001, Curr. Opin. Chem. Biol. 6:81-85;Lee et al., 2002, Science 295:1702-1705;MacBeath and Schreiber, 2000, Science 289:1760;Blawas and Reichert, 1998, Biomaterials 19:595;Kane et al., 1999, Biomaterials 20:2363;Chen et al., 1997, Science 276:1425;Vaugham et al., 1996, Nature Biotechnol. 14:309-314;Mahler et al., 1997, Immunotechnology 3:31-43;Roberts et al., 1999, Curr. Opin. Chem. Biol. 3:268-273;Nord et al., 1997, Nature Biotechnol. 15:772-777;Nord et al., 2001, Eur. J. Biochem. 268:4269-4277;Brody and Gold, 2000, Rev. Mol. Biotechnol. 74:5-13;Karlstroem and Nygren, 2001, Anal. Biochem. 295:22-30;Nelson et al., 2000, Electrophoresis 21:1155-1163;Honore et al., 2001, Expert Rev. Mol. Diagn. 3:265-274;Albala, 2001, Expert Rev. Mol. Diagn. 2:145-152;Figeys and Pinto, 2001, Electrophoresis 2:208-216、および本明細書に列記された刊行物中の参考文献を参照のこと)。
【0114】
タンパク質または他の物質は、当業者に明らかであるように、様々な手段によりアレイへ付着することができる。タンパク質は、例えば当業者に明らかであるように、精製工程または別の適当な精製スキームの後、TAP-タグ(国際公開公報第/0009716号およびRigaut et al., 1999, Nature Biotechnol. 10:1030-1032に記載されたように)によりアレイへ添加される。
【0115】
任意に、当業者に明らかであるように、その一部は本明細書において例証的に示されている機能アッセイを行い、マトリックスに結合したタンパク質の完全性をチェックすることができる。
【0116】
任意に、先に概説したようなタンパク質または抗体の付着は、当業者に明らかな様々な方法により更にモニタリングすることができる。これらは、表面プラズモン共鳴を含むが、これに限定されるものではない(例えば、McDonnel, 2001, Curr. Opin. Chem. Biol. 5:572-577;Lee, 2001, Trends Biotechnol. 19:217-222;Weinberger et al., 2000, 1:395-416;Pearson et al., 2000, Ann. Clin. Biochem. 37:119-145;Vely et al., 2000, Methods Mol. Biol. 121:313-321;Slepak, 2000, J. Mol Recognit. 13:20-26参照のこと)。
【0117】
ELISAによるAβ-40およびAβ-42ペプチド生成の測定に有用なアッセイの例は、Vassar R et al., 1999, Science, 286:735-41に記載されたものを含むが、これに限定されるものではない。
【0118】
ウェスタンブロットによる細胞株またはトランスジェニック動物におけるC末端APP断片の生成の測定に有用なアッセイの例は、Yan R et al., 1999, Nature, 402:533-7に記載されたものを含むが、これに限定されるものではない。
【0119】
インビトロにおける細菌により発現されたAPP断片に対するβ-またはγセクレターゼのタンパク質分解活性の測定に有用なアッセイ(例えば、SCD4タンパク質をコードしているRNAi(siRNA)および/またはプラスミドを用いる、細胞内SCD4タンパク質発現の修飾による)の例は、Tian G et al., 2002, J Biol Chem, 277:31499-505に記載されたものを含むが、これに限定されるものではない。
【0120】
Gal4駆動レポーター遺伝子のトランス活性化の測定に有用なアッセイ(例えば、SCD4タンパク質をコードしているRNAi(siRNA)および/またはプラスミドを用いる、SCD4発現の修飾による)の例は、Cao X et al., 2001, Science, 293:115-20に記載されたものを含むが、これに限定されるものではない。
【0121】
当該技術分野において公知の任意の分子は、本発明に従い相互作用分子またはインヒビターであるその能力に関して試験することができる。候補分子は、SCD4を発現している細胞へ直接提供することができるか、または候補タンパク質の場合は、それらをコードしている核酸を、核酸が組換えにより発現され、候補タンパク質を生成する条件下で提供することにより、提供することができる。
【0122】
本発明の方法は、タンパク質、特にSCD4の量または活性を調節する、例えば阻害、拮抗またはアゴナイズする分子のケミカルライブラリーのスクリーニングによく適している。このケミカルライブラリーは、ペプチドライブラリー、ペプチド模倣物ライブラリー、化学合成されたライブラリー、組換え、例えばファージディスプレイライブラリー、およびインビトロ翻訳ベースのライブラリー、他の非ペプチド合成有機ライブラリーなどであることができる。
【0123】
例証的ライブラリーは、いくつかの供給業者(ArQule、Tripos/PanLabs、ChemDesign、Pharmacopoeia)から市販されている。場合によっては、これらのケミカルライブラリーは、メンバー化合物が付着している基板上のライブラリーの各メンバーの同一性をコードしているコンビナトリアル戦略を用いて作製され、その結果有効なモジュレーターである分子の直接または迅速な同定を可能にする。従って多くのコンビナトリアル法において、化合物のプレート上の位置は、その化合物の組成を特定する。同じくひとつの例において、単独のプレート上の位置は、関心対象の相互作用を含むウェルへ投与することによりスクリーニングすることができる1〜20種の化学物質を有してもよい。従って調節が検出される場合、相互作用対のより小さいプールを、調節活性についてアッセイすることができる。このような方法において、多くの候補分子をスクリーニングすることができる。
【0124】
使用に適した多くの多様なライブラリーが、当該技術分野において公知であり、および本発明に従い試験される化合物を提供するために使用することができる。あるいは、ライブラリーは、標準の方法を用いて構築することができる。化学物質(合成)ライブラリー、組換え発現ライブラリー、またはポリソームベースのライブラリーが、使用することができるライブラリー型の例である。
【0125】
これらのライブラリーは、制約付き(constrained)または半剛体(ある程度の構造的剛性を有する)、または直線状もしくは制約なしであることができる。このライブラリーは、cDNAまたはゲノム発現ライブラリー、ランダムペプチド発現ライブラリーまたは化学合成されたランダムペプチドライブラリー、または非ペプチドライブラリーであることができる。発現ライブラリーは、アッセイが生じる細胞へ導入され、そこでライブラリーの核酸は発現され、それらのコードされたタンパク質を生成する。
【0126】
ひとつの態様において、本発明において使用することができるペプチドライブラリーは、インビトロにおいて化学的に合成されたライブラリーであってよい。そのようなライブラリーの例は、以下の論文に示されている:Houghten et al., 1991, Nature 354:84-86、これは各ペプチド内の第一および第二残基が個別にかつ特異的に定義されている遊離のヘキサペプチドの混合物を記載している;Lam et. al., 1991, Nature 354:82-84、これは固相分離合成スキームが、コレクション中の各ビーズはその上に、アミノ酸残基の単独のランダムな配列を固定しているペプチドのライブラリーを作製する、「1ビーズ、1ペプチド」法を記載している;Medynski, 1994, Bio/Technology 12:709-710、これは分離合成およびT-バッグ合成法を記載している;ならびに、Gallop et. al., 1994, J. Med. Chem. 37:1233-1251。簡単に他の例として、コンビナトリアルライブラリーは、Ohlmeyer et al., 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:10922-10926;Erb et al., 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:11422-11426;Houghten et al., 1992, Biotechniques 13:412;Jayawickreme et al., 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:1614-1618;または、Salmon et al., 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:11708-11712の方法に従い使用のために調製することができる。PCT国際公開公報第93/20242号およびBrenner and Lerner, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:5381-5383は、各化学ポリマーライブラリーメンバーのためのオリゴヌクレオチド識別子を含む、「コードされたコンビナトリアルケミカルライブラリー」を記載している。
【0127】
好ましい態様において、スクリーニングされるライブラリーは、ランダムペプチドファージディスプレイライブラリーである生物学的発現ライブラリーであり、ここでランダムペプチドは、(例えば、ジスルフィド結合を有することにより)制約される。
【0128】
更により一般的な、構造的に制約された有機的に多様な(例えば非ペプチド)ライブラリーも使用することができる。例としてベンゾジアゼピンライブラリー(例えばBunin et al., 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:4708-4712参照)を使用しても良い。
【0129】
使用することができる立体構造的に制約されたライブラリーは、酸化環境においてジスルフィド結合により架橋しシスチンを形成する不変システイン残基を含むもの、修飾されたペプチド(例えば、フッ素、金属、同位体標識を組み込んだもの、リン酸化されたものなど)、1種または複数の非天然のアミノ酸を含むペプチド、非ペプチド構造、およびカルボキシグルタミン酸の大きい画分を含むペプチドを含むが、これらに限定されるものではない。
【0130】
例えばペプチド誘導体(例えば、1種または複数の非天然のアミノ酸を含むもの)のような、非ペプチドライブラリーも使用することができる。これらの一例は、ペプトイドライブラリーである(Simon et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:9367-9371)。ペプトイドは、α炭素に結合しないが、骨格アミノ窒素に結合する、天然の側鎖を有する、非天然のアミノ酸ポリマーである。ペプトイドは、ヒト消化酵素により容易に分解されないので、これらは有利なことに薬物用途に更に容易に適応可能である。化学的に形質転換されたコンビナトリアルライブラリーを作製するためにペプチドのアミド官能基が過メチル化されているライブラリーの別の例を使用することができ、これは、Ostresh et al., 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:11138-11142に記載されている。
【0131】
本発明に従いスクリーニングすることができるペプチドライブラリーのメンバーは、20種の天然のアミノ酸を含むことに制限されない。特に化学的に合成されたライブラリーおよびポリソームベースのライブラリーは、20種の天然のアミノ酸に加えたアミノ酸の使用が可能である(ライブラリー作製において使用されるアミノ酸の前駆体プール中にそれらを包含することによる)。特定の態様において、ライブラリーメンバーは、1種または複数の非天然のもしくは非古典的アミノ酸または環式ペプチドを含む。非古典的アミノ酸は、一般的アミノ酸のD-異性体、-アミノイソ酪酸、4-アミノ酪酸、Abu、2-アミノ酪酸;-Abu、-Ahx、6-アミノヘキサン酸;Aib、2-アミノイソ酪酸;3-アミノプロピオン酸;オルニチン;ノルロイシン;ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β-アラニン、デザイナー(designer)アミノ酸、例えばβ-メチルアミノ酸、C-メチルアミノ酸、N-メチルアミノ酸、フルオロ-アミノ酸および一般的アミノ酸アナログを含むが、これらに限定されるものではない。更にアミノ酸は、D(右旋性)またはL(左旋性)であることができる。
【0132】
特定の態様において、本発明のタンパク質の断片および/またはアナログ、特にペプチド模倣物は、SCD4発現の競合的または非競合的インヒビターとしての活性(例えば安定性)または活性についてスクリーニングされる。
【0133】
別の本発明の態様において、コンビナトリアルケミストリーを使用し、SCD4のモジュレーターを同定することができる。コンビナトリアルケミストリーは、その多くは構造的に類似している、数百から数千の化合物を含むライブラリーを作製することが可能である。ハイスループットスクリーニングプログラムは、公知の標的に対する親和性についてこれらの豊富なライブラリーをスクリーニングすることが可能であるが、より小さい大きさのライブラリーを実現するが、最大の化学的多様性を提供する新規な方法が開発されている(例えばMatter, 1997, J. Med. Chem. 40:1219-1229参照)。
【0134】
コンビナトリアルケミストリーのひとつの方法である親和性フィンガープリント法は、タンパク質の指定されたパネルに関する結合親和性について小分子の個別のライブラリーを試験するために、これまで使用されてきた。このスクリーニングにより得られたフィンガープリントを使用し、関心対象の、特にSCD4に対する他のタンパク質または受容体の個々のライブラリーメンバーの親和性を予測する。このフィンガープリントは、そのライブラリー化合物が同様に反応するかどうかを予測するために、関心対象のタンパク質と反応することがわかっている他の化合物から得られたフィンガープリントと比較される。例えば、タンパク質との相互作用について大きいライブラリーにおける全てのリガンドを試験することよりもむしろ、その活性を有することがわかっている他の化合物に類似したフィンガープリントを有するそれらのリガンドのみ試験することができる(例えば、Kauvar et al., 1995, Chem. Biol. 2:107-118;Kauvar, 1995, Affinity fingerprinting, Pharmaceutical Manufacturing International. 8:25-28;および、Kauvar, Toxic-Chemical Detection by Pattern Recognition in New Frontiers in Agrochemical Immunoassay, Kurtz, Stanker and Skerritt (eds), 1995, AOAC: Washington, D.C., 305-312参照)。
【0135】
Kayら(1993, Gene 128:59-65)は、任意の先行する従来のライブラリーよりも長い全体的にランダムな配列のペプチドをコードするペプチドライブラリーを構築する方法を開示している。Kayらにより明らかにされたライブラリーは、長さが約20個よりも多いアミノ酸の全体的合成ランダムペプチドをコードしている。そのようなライブラリーは有利なことに、タンパク質モジュレーターを同定するためにスクリーニングされる(同じく1996年3月12日付けの米国特許第5,498,538号;および、1994年8月18日付けのPCT国際公開公報第94/18318号参照)。
【0136】
様々な種類のペプチドライブラリーの包括的検証は、Gallop et al., 1994, J. Med. Chem. 37:1233-1251に見出すことができる。
【0137】
好ましい態様において、被験化合物のSCD4との相互作用は、SCD4活性の阻害を生じる。
【0138】
好ましい態様に従い、工程b)において、γセクレターゼのAPP切断能が測定される。これは、先に説明されたように測定することができる。
【0139】
別の好ましい態様に従い、工程b)において、SCD4相互作用分子のAβ-42分泌を低下または減弱する能力が測定される。
【0140】
更に本発明は、下記工程を含む、神経変性疾患、好ましくはアルツハイマー病の治療のための薬学的組成物を調製するための方法にも関連している:
a)本発明の方法に従い、γセクレターゼモジュレーターおよび/またはβ-セクレターゼモジュレーター、好ましくはインヒビターを同定する工程;ならびに
b)γセクレターゼおよび/またはβ-セクレターゼモジュレーター、好ましくはインヒビターを、薬学的組成物に製剤化する工程。
【0141】
この薬学的組成物に関して、先に説明された全ての態様を、ここで適用することもできる。
【0142】
好ましい態様において、本発明のこの方法は更に、同定された分子を、先に説明されたような薬学的に許容される担体と混合する工程を含む。
【0143】
本発明は、先に定義されたようなSCD4インヒビターを含む薬学的組成物にも関する。
【0144】
更に本発明は、薬学的組成物の調製のための前記方法により入手可能な薬学的組成物にも関する。
【0145】
本発明は、アルツハイマー病のような神経変性疾患および関連する神経変性障害を治療するための本発明の薬学的組成物にも関する。
【0146】
本発明は、治療的有効量の本発明の薬学的組成物をそのような治療または予防が必要な対象へ投与する工程を含む、神経変性疾患、好ましくはアルツハイマー病を治療または予防する方法にも関する。
【0147】
本発明の方法に関して、本発明の用途に関して先に説明された全ての態様は、同じく適用される。
【0148】
本発明は、インビトロにおけるβセクレターゼおよび/またはγセクレターゼ活性の調節、好ましくは阻害のための、SCD4相互作用分子の使用にも関する。例えば、SCD4相互作用分子により、細胞培養物におけるβセクレターゼおよび/またはγセクレターゼ活性を調節、好ましくは阻害することが、本発明に包含される。先に記載されたようなSCD4相互作用分子に関する全ての態様も、本発明のこの用途に適用される。
【0149】
本発明は更に、以下の図面および実施例により例証されるが、これらにより限定されるものではない:
【0150】
実施例
下記実施例は、本発明の全ての態様、特に特許請求の範囲に請求された態様を意味する。
実施例1:SCD-4組織発現レベルの決定
SCD-4が、ADの可能性のある標的として規定されるかどうかを評価するために、本発明者らは、これがヒト脳において発現されるかどうかを調べた。この目的のために、本発明者らは、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)により様々な組織におけるその発現レベルを測定した。簡単に述べると、5μgの様々なヒト組織源(Clontech)由来の総RNAを、標準手法を用いて逆転写した。等量の各組織由来のcDNAおよびSCD4特異的プライマーを使用し、製造業者の指示に従う定量的PCRによりSCD-4の相対発現レベルを決定した。全ての値は、ヒト参照RNA(Stratagene)に対して正規化した。
【0151】
実施例2:SCD4のsiRNA阻害
RNAi遺伝子発現撹乱(perturbation)戦略を、APPプロセッシングのエフェクターとしてのSCD-4の機能的確認に用いた:SCD-4に対するsiRNAならびに、BACE1またはLuc3に対するsiRNAを、SKNBE2神経芽細胞腫細胞またはH4神経膠腫細胞へトランスフェクトした。ヒトSCD-4に対するsiRNAを、Dharmacon Research Incにより合成した。SCD-4に使用したsiRNAの配列は以下である:AGUACUCAGAGACGGAUGC。
【0152】
SK-N-BE2細胞のトランスフェクションは、製造業者の指示に従いLipofectAMINE 2000(Invitrogen)を用いて行った。簡単に述べると、細胞を、96-ウェルあたり最終容積85μl中密度1.0×104細胞で、12〜16時間播種し、その後トランスフェクトした。siRNA 25nMを、Opti-MEM緩衝液(Gibco)8μlおよび担体DNA 60ngと混合し、この混合物を、室温で20分間インキュベーションし、その後細胞へ添加した。トランスフェクション後16および48時間で、培地を、それぞれ、血清を含むまたは含まない、100μlまたは200μlの増殖培地と交換した。トランスフェクション後72時間で、上清100μlをAβ42 ELISAのために収集した。このアッセイを、製造業者の指示に従い実行した(Innogenetics)。
【0153】
H4細胞のトランスフェクションは、RNAiFect(Qiagen)を製造業者の指示に従い用いて実行した。簡単に述べると、細胞を、96-ウェルあたり最終容積100μl中密度1.0×104細胞で、12〜16時間播種し、その後トランスフェクトした。270nM(0,375μg)のsiRNAを、25μl EC-R緩衝液および2.3μlのRNAiFectと混合し、室温で15分間インキュベーションし、その後細胞へ添加した。細胞上の培地を、新鮮な増殖培地75μlと交換した。トランスフェクション後5時間で、細胞を増殖培地で1回洗浄し、100μlを更なる培養のために添加した。トランスフェクション後48時間で、培地を、血清を含まない200μlの増殖培地と交換した。トランスフェクション後72時間で、上清100μlを、Aβ42 ELISAのために収集した。このアッセイは、製造業者の指示に従い実行した(Innogenetics)。
【0154】
選択されたsiRNAのノックダウン効率は、siRNAおよび対応するTAP-タグ付きcDNA発現ベクターのコトランスフェクトによるか、または関心対象の各タグ付きタンパク質を安定して発現している細胞株の使用により、タンパク質レベルで評価した。トランスフェクション後48時間で、抽出物を調製し、タンパク質をSDS-PAGEにより分離し、ニトロセルロースへ移した。ウェスタンブロットを、タグおよびチューブリンに対する抗体でプローブした。
【0155】
本発明者らは、APPプロセッシングの公知のエフェクターに対するsiRNAのように、SCD-4を標的とするsiRNAであるBACE1は、Aβ1-42分泌の著しい減弱を引き起こしたのに対し、Luc3 siRNAは作用を有さなかったことに注目した。
【0156】
従って本発明者らは、SCD-4は、APPのプロセッシングにおいて機能的役割を果たすことを示すことができた。SCD-4の阻害により、Aβ1-42ペプチドの産生は低下することが示された。
【0157】
本発明者らは、SCD-4 siRNAは実際に、先に説明したRT-PCR分析により、デサチュラーゼの発現をmRNAレベルで干渉したことを確認した。
【0158】
実施例3:SCD4活性の決定
a)ラット肝ミクロソームアッセイ
下記論文から、SCD-4活性測定に適合させた:(Obukowicz MG, Raz A, Pyla PD, Rico JG, Wendling JM, Needleman P (1998a) Identification and characterization of a novel delta6/delta5 fatty acid desaturase inhibitor as a potential anti-inflammatory agent. Biochem. Pharmacol. 1;55(7):1045-58;Obukowicz MG, Welsch DJ, Salsgiver WJ, Martin-Berger CL, Chinn KS, Duffin KL, Raz A, Needleman P (1998b) Novel, selective delta6 or delta5 fatty acid desaturase inhibitors as antiinflammatory agents in mice. J. Pharmacol. Exp. Ther. 287(1):157-66)。
【0159】
ラットミクロソーム膜を、標準の生化学的分画手法により得た。48-ウェルプレートにおいて、下記成分を混合した:a)150μl緩衝液/補因子(250mMショ糖、150mM KCl、40mM NaF、1.3mM ATP、1mg/ml MgC12*5H2O、1.5mM還元型グルタチオン、60μM還元型CoA、330μMニコチンアミド、670μg/ml NADH、100mMリン酸ナトリウム、pH7.4);b)50μlラット肝ミクロソーム(〜500μg総タンパク質);c)2.2μl被験化合物(DMSOストック;1%最終DMSO濃度);d)20μl(0.05μCi)14C-脂肪酸基質。
【0160】
このアッセイは、SCD1およびSCD4活性(Δ9デサチュラーゼ)の同時測定を可能にした。これらの酵素活性の基質は、ステアリン酸(14C18:0)であった。試料を、37℃で1時間インキュベーションし、その後反応を停止し、脂肪酸エステル結合を、メタノール:水(4:1)中の2.5N KOH 200μlとの65℃で4時間のインキュベーションにより加水分解した。遊離の脂肪酸を、ギ酸280μlによりプロトン化し、有機相(700μlヘキサン)へ抽出した。ヘキサン層200μlを、AgNO3-薄層クロマトグラフィー(TLC)プレート上で分析した。プレートを一晩乾燥し、活性をホスホイメージャー(phosphoimager)で定量化した。TLC分析の代わりに、試料の分離をHPLCにより行った。
【0161】
b)細胞アッセイ
高レベルのSCD4を発現している細胞株を利用した。細胞は、SCD4基質(例えば10μMステアリン酸/15μM脂肪酸非含有BSA)を含有する適当な血清非含有培地中で増殖するように適合した。SCD4活性を測定するために、2x105個細胞を、48-ウェルに播種し、その後10μMの適当な基質(ステアリン酸(14C18:0)など)を含有する培地においてインキュベーションした。脂肪酸代謝を終結するために、細胞層を、PBSで洗浄し、メタノール:水(4:1)中の2.5N KOH 200μlを添加した。更に試料を先に説明されたように処理した。
【0162】
c)脂肪酸合成酵素を使用するハイスループットスクリーニングアッセイ(s.国際公開公報第03/019146号, p27 ff.)
このアッセイは、ミクロソームアッセイ様式(前記参照)で、位置特異的にトリチウム化された脂肪酸アシル-CoAエステルを利用する。この方法は、トリチウム化された水の放出を検出し、14C標識した脂肪酸のTLCまたはHPLC分析の必要性を回避する。
【0163】
簡単に述べると、下記成分を混合した(総容積:100μl):非標識の1.5mM脂肪酸アシルCoA 2μl、トリチウム化された脂肪酸アシルCoA 1μl、20mM NADH 10μl、DMSOストック由来の化合物、100mMリン酸緩衝液67μl、pH7.2。この混合物80μlを、ミクロソーム20μlに添加し(〜20μg総タンパク質)、反応を室温で5〜30分間進行させた。6%過塩素酸10μlを添加し、反応を停止した。未使用のトリチウム化された基質を沈降させるために、試料をチャコール懸濁液100μlと共にボルテックスし、13,000rpmで4℃で10分間遠心した。上清400μlを、液体シンチレーションカウンターで分析した。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】SCD4は、ヒト脳において非常に高度に発現される。5μgの様々なヒト組織源(Clontech)由来の総RNAを、逆転写した。等量の各組織由来のcDNAおよびSCD4特異的プライマーを使用し、定量的PCRによりSCD4の相対発現レベルを決定した。3回の独立した実験を行い、全ての値を、ヒト参照RNA(Stratagene)に対して正規化した。
【図2】SCD4発現のsiRNA媒介ノックダウンは、Aβ1-42の分泌を減弱する。(左側パネル)BACE1、SCD4またはLuc3に対するsiRNAを、突然変異体APPswを過剰発現しているH4神経膠腫細胞へトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、増殖培地を取り除き、細胞を一晩、血清非含有培地においてインキュベーションした。上清を収集し、Aβ1-42のレベルをELISA(Innogenetics)により決定した。少なくとも3回の独立した実験を、2つ組で行った。(右側パネル)SCD4に対するsiRNAは、mRNAレベルを特異的に低下した。総RNAを、Luc3またはSCD4のいずれかに対するsiRNAをトランスフェクトしたH4/APPsw細胞から調製した。逆転写後、SCD4転写産物の相対量を、定量的PCRにより決定した。少なくとも2回の独立した実験を行った。
【図3】1文字表記で示された、ヒトSCD4のアミノ酸配列(SCD4/仮定タンパク質FLJ21032)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経発生性疾患の治療のための薬学的組成物の調製のためのSCD4相互作用分子の使用。
【請求項2】
SCD4相互作用分子が、SCD4インヒビターである、請求項1記載の使用。
【請求項3】
インヒビターが、抗体、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、低分子量分子(LMW)、結合ペプチド、アプタマー、リボザイムおよびペプチド模倣物からなる群より選択される、請求項2記載の使用。
【請求項4】
相互作用分子またはインヒビターが、γセクレターゼおよび/またはβセクレターゼの活性を調節する、請求項1〜3のいずれか1項記載の使用。
【請求項5】
神経変性疾患が、アルツハイマー病である、請求項1〜4のいずれか1項記載の使用。
【請求項6】
下記工程を含む、γセクレターゼおよび/またはβセクレターゼモジュレーターを同定するための方法:
a.所定の被験化合物がSCD4相互作用分子であるかどうかを決定することにより、SCD4相互作用分子を同定する工程、
b.工程a)のSCD4相互作用分子が、γセクレターゼおよび/またはβセクレターゼ活性を調節することが可能であるかどうかを決定する工程。
【請求項7】
工程a)において、被験化合物が、SCD4と接触させられ、およびSCD4の被験化合物との相互作用が決定される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
被験化合物のSCD4との相互作用が、SCD4活性の阻害を生じる、請求項7記載の方法。
【請求項9】
工程b)において、γセクレターゼおよび/またはβセクレターゼがAPPを切断する能力が測定される、請求項6〜8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
下記工程を含む、神経変性疾患、好ましくはアルツハイマー病の治療のための薬学的組成物を調製するための方法:
a.請求項6〜9記載のγセクレターゼおよび/またはβセクレターゼモジュレーター、好ましくはインヒビターを同定する工程;ならびに
b.γセクレターゼおよび/またはβセクレターゼモジュレーター、好ましくはインヒビターを、薬学的組成物に製剤化する工程。
【請求項11】
同定された分子を薬学的に許容される担体と混合する工程を更に含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜4のいずれか1項において規定されたSCD4インヒビターを含む、薬学的組成物。
【請求項13】
請求項10または11のいずれか1項記載の方法により得ることができる、薬学的組成物。
【請求項14】
アルツハイマー病のような神経変性疾患、および関連した神経変性障害の治療のための、請求項12または13のいずれか1項記載の薬学的組成物。
【請求項15】
治療的有効量の請求項12〜14のいずれか1項記載の薬学的組成物を、そのような治療または予防が必要な対象へ投与する工程を含む、神経変性疾患、好ましくはアルツハイマー病を治療または予防するための方法。
【請求項16】
インビトロにおけるβセクレターゼおよび/またはγセクレターゼ活性の調節のための、SCD4相互作用分子の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−509171(P2008−509171A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525181(P2007−525181)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013340
【国際公開番号】WO2006/015621
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(505000022)セルゾーム アーゲー (7)
【Fターム(参考)】