説明

SLV308およびL−DOPAを含んでなる組み合わせ製剤

【化1】


本発明は、ドーパミン作動性機能の回復が必要な疾患、特にパーキンソン病およびむずむず脚症候群の処置に同時に、別々にまたは順次に使用するためのSLV308もしくそのN−オキシド、またはそれら化合物(I)、(II)の薬理学的に許容され得る塩、およびL−DOPAの組み合わせ製剤の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
目次
発明の名称 1
目次 1
要約:発明の技術分野 1
発明の背景 2
発明の詳細な説明 5
定義 7
実施例 10
実施例1:薬理学的方法 10
実施例2:薬理学的試験結果 12
実施例3:製薬学的製剤 13
図1〜7の説明 15
参考文献 16
特許請求の範囲 19
要約 20
図面1〜7 21
【0002】
要約:発明の技術分野
本発明は、ドーパミン作動性機能の回復を必要とする疾患、特にパーキンソン病およびむずむず脚症候群(restless leg syndrome)の処置に同時に、別々に、もしくは順次に使用するためのSLV308もしくはそのN−オキシド、またはそのような化合物の薬理学的に許容され得る塩:
【0003】
【化1】

【0004】
およびL−DOPAの組み合わせ製剤の使用に関する。
【従来技術】
【0005】
発明の背景
手足の絶え間無い振せん、次第に硬く、遅く、そして弱くなる身体の運動、および仮面様の表情は、人類の歴史を通じて観察されてきた症状である。1817年にJames Parkinsonがこの一群の症状を“paralysis agitans”と記載し、その直後、最初に詳細にこの疾患を記載した医師にちなんで病名が付けられた。パーキンソン病の病理学的原因には、筋肉運動が関係する脳の部分の黒質の神経細胞の破壊が関与する。パーキンソン病において約80%の線条体ドーパミンの損失は、運動不能、硬直および運動緩徐の重要な症状を生じる(Hornykiewicz,1966)。患者は運動を始めることに問題があり、そして体位の不安定性および協調の損失を現す。
【0006】
現在のパーキンソン病の薬理療法は、ドーパミン作動性機能の回復に基づく(Blandini,2000;Lledo,2000)。ドーパミンは血液脳関門を通過しないのでパーキンソン病を処置するために使用することができず、代わりにその直前の前駆体であるL−DOPA(レボドパとも呼ばれる3,4−ジヒドロキシフェニルアラニンの左旋性エナンチオマー)が脳を通過し、そこでドーパミンに脱炭酸素化されるので使用されている。しかしレボドパは末梢組織でも脱炭酸化される。すなわち投与されたレボドパのわずかな部分のみが脳に輸送される。カルビドパは末梢のレボドパの脱炭酸化を阻害するが、それ自体が血液脳関門を通過できず、そして脳でのレボドパの代謝には効果が無い。カルビドパとレボドパとの組み合わせがパーキンソン病の症状に最も効果的な処置であると考えられる。それにもかかわらず治療を開始して2から5年以内に、ある限界が明らかになる。疾患が進行すると各投薬からの利益が短くなり(「効果が徐々になくなること(the wearing off effect)」、そして患者の中には可動(mobility)と非可動(immobility)との間を予測できずに変動する者もいる(「オン−オフ効果(on−off effect)」。「オン」の期間は通常、高い血漿レボドパ濃度に伴い、そしてしばしば異常な不随意の運動、すなわち運動異常症候群を含む。「オフ」の期間は低い血漿レボドパおよび運動緩徐のエピソードに相関する(Jankovic,1993;Rascol,2000)。これにより臨床医はドーパミン作動性アゴニストでの事前の処置によりL−DOPA処置の開始を遅らせることになる。
【0007】
しかしアポモルヒネ、ブロモクリプチン、リスリド、ペルゴリド、プラミペキソール(pramipexol)またはロピニロール(ropinirole)のような完全なドーパミン受容体アゴニストの使用にもその限界がある:それらは運動異常症候群を誘起し、幻覚を含む精神様の症状、起立性低血圧、傾眠および他の副作用を誘導する(Lozano,1998:Bennett,1999)。これは部分的ドーパミンD2/3受容体アゴニスト(すなわちドーパミンD2/3受容体を最大に刺激しない化合物)を使用することにより克服することができると示唆されてきた(Jenner 2002)。そのような化合物はドーパミン作動性の緊張(tone)が低い時、ドーパミンD2/3受容体を刺激することができるが、ドーパミン作動性の緊張が高い時、ドーパミンD受容体の過剰な刺激にも対抗することができ、これにより脳でのドーパミン作動性伝達の「安定化」をもたらすだろうと推測された(Jenner 2002)。
【0008】
5−HT1A受容体アゴニストは、5−HT1A受容体アゴニストであるタンドスピロン(tandospirone)がL−DOPAで処置したパーキンソン病患者の運動異常症候群(Kannari,2002)、および霊長類においてハロペリドールが誘導する錐体外路の副作用(Christoffersen,1998)を減少したので、運動異常症候群の誘導を改善することができる。さらに最近では、サリゾタン(sarizotan)、5−HT1A受容体アゴニストおよびドーパミン受容体リガンドが運動異常症状を改善できたことが示唆された(Olanow,2004;Bara−Jimenez,2005;Bibbiani,2001)。5−HT1A受容体アゴニストの存在は部分的D2/3受容体アゴニストの治療効果に有益となり得た(Johnston,2003)。
【0009】
最近、L−DOPAおよび1もしくは複数の他の酵素インヒビターを含有する種々の組み合わせ製剤が導入された。よく知られているのはL−DOPA/カルビドパ(例えばSinemet(商標))、L−DOPA/ベンセラジド(例えばMadopar(商標))およびL−DOPA/カルビドパ/エンタカポン(entacapone)(例えばStalevo(商標)(Jost,2005)である。さらに最近では、トルカポン(tolcapone)およびエンタカポン(entacapone)のようなカテコールアミン−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)インヒビターがL−DOPAの補助的療法として提案された。これらの化合物は、Cmaxを有意に上げずにL−DOPAの血漿半減期を延ばす。すなわちそれらは効果が徐々に無くなる期間を減らすが、ピーク用量での運動異常症候群を含むピーク−用量の副作用効果の強さを増す傾向がある。トルカポンは割と少ない患者に有意な肝臓毒性を誘導するようである。ドーパミンの代謝を遅らせることを目的とする別の方法は、L−DOPAと組み合わせてモノアミンオキシダーゼ−B(MAO−B)インヒビターを使用することである。しかしMAOインヒビターの投与は、それらの使用を限定する多くの衰弱する副作用を伴う。これらの効果には例えば悪心、目眩、頭のくらくら、失神、腹痛、錯乱、幻覚、口の渇き、鮮明な夢、運動異常症候群および頭痛がある。組み合わせ製剤の特徴は、症状を制御下に維持するために疾患の過程で通常、より高用量のL−DOPAが必要とされるため、それらが多くの異なる用量の組み合わせで存在する点である。固定量の薬剤を含有する錠剤の状態の組み合わせ製剤は使い易いが、同時にそれらは柔軟性が限定されている。固定された組み合わせが常に有用であるとは限らないという事実の具体例は、例えばパーキンソン病の処置において選択的MAO−Bインヒビターであるセレグリンの使用である。疾患の初期段階では、セレグリンは単独療法として与えられる可能性があり:この化合物は耐え得る限界内に症状を維持するために十分な内因性ドーパミンの代謝を低下させるだろう。疾患の後期では、L−DOPAの使用が必要となる可能性がある。L−DOPAの効力が弱くなり始めると、通常はその問題の第1の解決法は脱炭酸酵素インヒビター様のカルビドパ(上記参照)の使用であり、そしてまた不十分になった時、セレグリンとの併用療法がL−DOPAから生成されるドーパミンの分解を減らすことによりL−DOPAの効力を保存する。このように実際にはL−DOPAおよびセレグリンは、同時または順次に与えることができる別個の製剤で投与される。
【0010】
重篤なむずむず脚症候群(RLS:エクボーム症候群としても知られている)の患者は、座ったままでいることがほとんどできないか、またはじっと立っていることもできない。運動を静止し、そして認知刺激を限定したまま維持することが必要な活動、例えば輸送(車、飛行機、電車等)、あるいはより長い会合、講演会、映画または他の公演への参加は不可能ではなくても難しくなる。夜にさらに深刻になるこれらの感覚による苦痛で、RLS患者は眠ることがほとんど不可能となり、彼らの生活の質が落ちてくる。静止期間が増えることで動きたいという渇望はウォーキングのような運動により完全に発散することができる。しかしいったん運動を止めると、症状はより強くなって戻る。RLS患者が強制的に横にされたままでいると症状は負荷がかかったバネのように増し続け、最終的に脚が不随意に動き、症状は直ちに救済される。脚のリズム的または半リズム的運動は、患者が横になったままでいようとする場合に観察される(Pollmacher,1993)。これらの運動は覚醒中の運動異常症候群(dyskinesias−while−awake:DWA)(Hening,1986)、またはさらに一般的には覚醒中の周期的な四肢の運動(PLMW)と称する。臨床的にはRLSは4つの診断的基準が合った場合に示される:(1)四肢を動かしたい渇望(通常は脚);(2)感覚を減らすための不断の運動;(3)静止している時、症状が戻るか、または悪化する;および(4)RLS症状の発生または重篤度における顕著な概日的変動;すなわち症状は夕方および夜に悪化する(Allen,2001)。
【0011】
RLSの現行の処置は多様化し、そして望ましくない副作用に悩まされている。治療にはドーパミンアゴニスト、他のドーパミン作用剤、ベンゾジアゼピン、アヘン剤および鎮痙薬の投与を含んだ。RLSが妊娠、末期の腎疾患、エリトロポイエチン処置のような二次的状態、または鉄欠乏からから生じる場合、出産または従来の鉄分補給での処置といった状態の除去は、少なくとも場合によっては症状を減らすか、もしくは排除することができる(Allen,2001)。しかし二次的状態から生じるものではないRLS(「突発性RLS」)は、処置により大きな難題を提示する。レボドパのようなドーパミン作用剤は一般に効果的な初期の処置を提供するが、続けて使用するとRLS患者の約80%に
耐性および症状の増大が起こる(Allen,1996);この合併症はドーパミンアゴニストにも共通する(Earley,1996)。他の選択であるベンゾジアゼピン、アヘン剤および鎮痙薬はドーパミン作用剤のように均一に効果的ではない(Chesson,1999;Hening,1999)。それらの処置計画の変更にもかかわらず、15〜20%の患者には副作用および処置の利益の限界からすべての投薬療法が不十分であることが分かる。
【0012】
【化2】

【0013】
SLV308、7−[4−メチル−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンズオキサゾロン一塩酸塩は、ドーパミンD様受容体および5−HT1A受容体に結合する。これはドーパミンD2/3受容体で部分的アゴニストであり、そしてセロトニン5−HT1A受容体で完全なアゴニストである。クローン化されたヒトドーパミンD2,L受容体で、SLV308は有効な作用物質として作用したが、フォルスコリンが刺激するcAMP蓄積については、50%の効力で部分的D受容体アゴニストとして作用した(pEC50=8.0およびpA=8.4)。ヒト組換えドーパミンD受容体で、SLV308は[35S]GTPγS結合の誘導で部分的アゴニストとして作用し(ドーパミンの67%)、キンピロール(quinpirole)(pEC50=9.2)に比べて高度な有効性を有し、そして[35S]GTPγS結合のドーパミン誘導と拮抗した(pA=9.0)。SLV308は、5−HT1A受容体アゴニストである8−OH−DPATと同様に、クローン化ヒト5−HT1A受容体でフォルスコリンが誘導するcAMP蓄積に完全な5−HT1A受容体アゴニストとして作用した(pEC50=6.3)。ドーパミンD2/3受容体アゴニストについて期待されるように、ラットの線条体切片でSLV308はフォルスコリンが刺激するcAMPの蓄積を濃度−依存的に弱めた。SLV308はラットの線条体切片からのKが刺激する[H]ドーパミンの放出についてキンピロールの阻害効果と拮抗する(pA=8.5)。これと同じパラダイムで、部分的DアゴニストのテルグリドはDアンタゴニストであるハロペリドールと同様に(pA=9.3)、キンピロールの存在下で、より高度な拮抗作用を現したが(pA=10.3)、SLV308よりも低かった(pA=8.5)。まとめると、SLV308はドーパミンD2/3受容体で高い有効性の部分的作用性(ドーパミン安定化物質として作用する)と、完全な効力で低い有効性のセロトニン5−HT1A受容体作用性とを組み合わせている(特許文献1;Feenstra,2001;Johnston,2001a,b;Hesselink,2001,2003,McCreary,2001,2006;Wolf,2003)。特許文献2では、インビボでSLV308のN−オキシドがSLV308に迅速に転換され、すなわち「プロドラッグ」として機能することを開示する。
【参考文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第00/29397号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2007/023141号パンフレット
【発明の開示】
【0015】
発明の詳細な説明
本発明の目標は、L−DOPAのように効果的であるが、その副作用が無い、特に「オン」期間中に運動異常症候群を、そして「オフ」期間中に運動緩徐なエピソードを引き起こすその特徴的な「オン−オフ(on−off)効果」無しの処置を開発することであった。
【0016】
驚くべきことには、パーキンソン病の予想値を持つ動物モデルであるMPTPで処置したマーモセットを対象として研究で、L−DOPAおよびSLV308を組み合わせた処置がL−DOPA単独で処置した後に観察されるようなピーク運動活性を下げるので、機能亢進(hyperactivity)が観察されないことが分かった。L−DOPA後の活性(「オン」時間)期間は、SLV308の同時投与により増加した。
【0017】
本発明の主題は、ドーパミン作動性機能の回復が必要な疾患、特にパーキンソン病および「むずむず脚症候群」の治療に同時に、別々に、または順次に使用するためのSLV308もしくはそのN−オキシド、またはその薬理学的に許容され得る塩、水和物および溶媒和物、ならびにL−DOPA、および任意に脱炭酸酵素インヒビターおよび/または任意にCOMT−インヒビターおよび/または任意にMAO−Bインヒビターの組み合わせ製剤である。
【0018】
本発明はSLV308またはそのN−オキシドの使用、L−DOPAが運動異常症候群を誘導するか、または運動異常症候群を誘導すると想定し得る場合の本質的な(true)「プロドラッグ」の使用に関する。そのような場合、化合物の特異的な薬理学的活性、すなわちドーパミンDおよびドーパミンD受容体に対する部分的作動性(agonism)、ならびにセロトニン5−HT1A受容体に対する完全な作動性は、L−DOPAの治療的効果を減じることなく運動異常症候群の遮断をもたらす。
【0019】
本発明は:
(i)SLV308、そのN−オキシドまたはそれらの薬理学的に許容され得る塩、水和物および溶媒和物、および:
(ii)製薬学的に許容され得る補助物質、希釈剤もしくは担体との混合物でのL−DOPA
を含んでなる製薬学的製剤に関する。
【0020】
本発明のさらなる観点は:
(i)SLV308、そのN−オキシドまたはそれらの薬理学的に許容され得る塩、水和物および溶媒和物を、任意に製薬学的に許容され得る補助物質、希釈剤もしくは担体との混合物で含む容器、および;
(ii)L−DOPAを任意に製薬学的に許容され得る補助物質、希釈剤もしくは担体との混合物で含む容器、および;
(iii)必要な患者へのSLV308およびL−DOPAの順次の、別々の、または同時の投与に関する使用説明書、
を含んでなるキットの部分に関する。
【0021】
本発明のさらなる観点に従い、本明細書に定義するキットの部分の作成法が提供され、この方法は上記定義の成分(i)を上記定義の成分(ii)と合わせるようにし、すなわち2つの成分を互いに連合して(in conjunction with)投与に適するようにすることを含んでなる。2つの成分を互いに連合することには成分(i)および(ii)が:
(i)別個の製剤として提供され(すなわち互いに独立して)、これは引き続き併用療法において互いに連合して使用するために一緒にされる;あるいは
(ii)併用療法で互いに連合して使用するために「組み合わせパック」の別個の成分として一緒に包装され、そして提示される。
【0022】
本発明のさらに別の観点では、ドーパミン作動性機能の回復が必要または望まれる状態に罹患しているか、またはそれが疑われる患者の処置法に関し、この方法は患者に治療に有効な全量の:
(i)SLV308、そのN−オキシドまたはそれらの薬理学的に許容され得る塩、水和物および溶媒和物を、任意に製薬学的に許容され得る補助物質、希釈剤もしくは担体との混合物で;
(ii)L−DOPAを任意に製薬学的に許容され得る補助物質、希釈剤もしくは担体との混合物と連合して投与することを含んでなる。
【0023】
本発明のさらに別の観点はドーパミン作動性機能の回復が必要または望まれる状態を処置する薬剤の製造において:
(i)SLV308、そのN−オキシドまたはそれらの薬理学的に許容され得る塩、水和物および溶媒和物;および
(ii)L−DOPAを製薬学的に許容され得る補助物質、希釈剤もしくは担体との混合物で含んでなる製薬学的製剤の使用に関する。
【0024】
定義
脱炭酸酵素インヒビターの例は、カルビドパおよびベンセラジドである。カテコールアミン−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)インヒビターの例はエンタカポン(entacapone)、ニテカポン(nitecapone)およびトルカポン(tolcapone)であり、モノアミンオキシダーゼB(MAO−B)インヒビターの例には、デプレニール、(−)−デプレニール(セレジリン)、デスメチルデプレニール、N−プロパルギル−1−(R)−アミノインダン(ラサガリン:rasagaline)、フェネルジン(ナルジル:nardil)、トラニルシプロミン(パルネート:parnate)、CGP3466、フラゾリドン、イソカルボキサジド(isocarboxazid)、パルジリン、メチクロチアジドおよびプロカルバジンがある。
【0025】
より簡潔な記載を提供するために、本明細書で与える定量的表現の幾つかは用語「約」により限定されない。用語「約」が明確に使用されてもされなくても、本明細書で与える各量(quantity)は実際に与えた値を指すことを意味し、そしてそのように与えた値に関する実験および/または測定条件による近似を含め、当該技術分野の通常の技術に基づき合理的に推測されるような所定の値の近似を指すことも意味すると理解される。
【0026】
本明細書の記載および特許請求の範囲を通して、「含んでなる(comprise)」という言葉およびこの言葉の変形、例えば「含んでなる(comprising)」および「含んでなる(comprises)」は、他の付加物、成分、整数または工程を排除することを意図していない。
【0027】
本明細書で使用する用語「組成物」は、予め定めた量または比率で特定する成分を含んでなる生成物、ならびに特定の成分を特定の量で合わせることから直接的または間接的に生じる任意の生成物を包含する。製薬学的組成物と関連して、この用語は1もしくは複数の有効成分、および不活性成分を含んでなる任意の担体を含んでなる生成物、ならびに任意の2以上の成分の組み合わせの錯化もしくは凝集から、または1もしくは複数の成分の解離から、または1もしくは複数の成分の他の種類の反応もしくは相互作用から直接的もしくは間接的に生じる任意の生成物を包含する。一般に製薬学的組成物は有効成分を液体担体もしくは微細に分割した固体担体もしくは双方と均一かつ完全に連合するようにし、次いで必要に応じて生成物を所望の製剤に成形することにより調製される。製薬学的組成
物は、疾患の進行または状態に望ましい効果を生じるために十分な活性の目的化合物を含む。したがって本発明の製薬学的組成物は、本発明の化合物および製薬学的に許容され得る担体を混合することにより作成される任意の組成物を包含する。「製薬学的に許容され得る」とは、担体、希釈剤または賦形剤が製剤の他の成分と適合し、そしてその受容者に有害であってはならないことを意味する。
【0028】
本出願の内容において、用語「組み合わせ製剤」とは両方の本質的な組み合わせ物を含んでなり、錠剤または注入用流体のような1つの製剤に物理的に合わされたSLV308と他の薬剤、ならびに別個の剤形でSLV308およびL−DOPAを使用説明書と一緒に含んでなり、場合によりさらに成分化合物の投与のためのコンプライアンスを促進する手段、例えばラベルや図面を含んでなる「キットの部分」を意味する。本質的な組み合わせ物を用いると、薬理療法は定義により同時である。「キットの部分」の内容は同時または異なる時間間隔のいずれかで投与され得る。同時または順次のいずれかの治療は、使用する他の薬剤の特性、発生および作用期間、血漿レベル、クリアランス等のような特性、ならびに疾患、その段階および個々の患者の特性に依存するだろう。
【0029】
投与すべき組成物の用量は、関連する患者の兆候、年齢、体重および性別に依存し、そして医師により決定され得る。投薬用量は好ましくは0.01mg/kg〜10mg/kgの範囲である。有効成分の典型的な毎日の用量は広い範囲で変動し、そして関連する兆候、投与経路、患者の年齢、体重および性別のような種々の因子に依存し、そして医師により決定され得る。一般に経口および非経口の投薬用量は、1日あたり0.1〜1,000mgの範囲の全有効成分となる。
【0030】
本明細書で使用する用語「治療に有効な量」とは、本発明の組成物を投与することにより処置することができる状態を処置するための治療薬の量を指す。その量は組織系、動物またはヒトで検出可能な治療的または改善できる応答を現すために十分な量である。効果には例えば本明細書に列挙する状態を処置することを含む。個体に関する正確な有効量は個体のサイズおよび健康、処置する状態の性質および程度、処置する医師(研究者、獣医、医師または他の臨床医)の推薦、および投与するために選択された治療薬、治療薬の組み合わせに依存する。すなわち予め厳密な有効量を特定することは有用ではない。
【0031】
用語「製薬学的に許容され得る塩」とは、信頼できる医学的判断の範囲内で、不当な毒性、炎症、アレルギー応答など無しにヒトおよび下等な動物の組織との接触に適し、そして合理的な利益/危険比(benefit/risk ratio)が釣り合っている塩を指す。製薬学的に許容され得る塩は当該技術分野で周知である。それらは本発明の化合物が最終的に単離され、そして精製される時にそこで調製することができ、あるいはそれらを製薬学的に許容され得る非毒性の塩基もしくは酸(無機または有機塩基および無機または有機酸を含む)と反応させることにより別に調製することができる。製薬学的に許容され得る塩は、当該技術分野で周知の標準的手順を使用して、例えば本発明の化合物を適切な酸、例えば無機酸または有機酸と混合することにより得ることができる。
【0032】
「連合して投与」とは、関連する状態の処置の過程にわたってSLV308およびL−DOPAを含んでなる各製剤が順次に、別々に、かつ/または同時に投与されることを含み、この状態は急性もしくは慢性でよい。好ましくはこの用語は2つの製剤が患者に有益な効果がそこにあるように十分接近した時間内で投与され(場合により繰り返して)、この効果は関連する状態の処置の過程にわたり、2つのうちのいずれかの製剤がもう一方の製剤の不存在下で単独で投与される(場合により繰り返して)場合よりも大きい。組み合わせ物が特定の状態に関して、およびその処置の過程にわたり、より大きい有益な効果を提供するかどうかの決定は、処置または防止する状態に依存するが、当業者により日常的に達成することができる。すなわち用語「連合して」とは2つの製剤の一方またはもう一
方が他方の成分を投与する前、後および/または同時に投与できることを含む(場合により繰り返して)。この内容で使用する場合、用語「同時に投与する(administered simultaneously)」および「同時に投与する(administered at the same time as)」とは、SLV308およびL−DOPAの個別用量が48時間、例えば24時間、18時間、12時間、6時間、3時間、2時間、1時間または30分以内に互いに投与されることを含む。
【0033】
本明細書で使用する用語「処置」は、哺乳動物、好ましくはヒトの状態もしくは疾患の任意の処置を指し、そして(1)疾患または状態を抑制すること、すなわちその進行を静止すること、(2)疾患または状態を軽くすること、すなわち状態の退行が起こること、あるいは(3)疾患の症状が止まることを含む。
【0034】
本明細書で使用する用語「投薬療法」とは、インビボまたはエクスビボでヒトもしくは他の哺乳動物について行われる予防的、診断的および治療的処方を含むことを意図している。
【0035】
本明細書で使用する用語「個体」は、処置、観察または実験の対象となった動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。
【実施例】
【0036】
ニューロトキシンMPTP(1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン)での処置は、尾状核−被殻でのドーパミンの消耗およびヒト以外およびヒト霊長類で「パーキンソン様」の挙動を導く(Lange,1992;Langston,1984;Langston,1986)。
【0037】
実施例1:治療に関連する用量でのSLV308とL−DOPAとの間の相互作用
動物:雄雌両方の一般的な成体のマーモセット(Callithrix jacchus;n=6、320〜450g、2〜3年齢)をこの実験に使用した。動物は単独または対で24±2℃の温度および50%の相対湿度の標準的条件下で収容し、12時間の明暗サイクルを使用し、食料と水を自由に与えた。すべての実験作業はアニマル(サイエンティフィック プロセデュアーズ アクト:Scientific Procedures
Act)1986、プロジェクトライセンスnrPPL70/4986に従い行った。
【0038】
MPTPの投与:(1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン塩酸塩;リサーチ バオケミカル インターナショナル:Research Biochemical International、英国)は、0.9%の滅菌食塩水に溶解し、そして皮下(sc)注射により投与した(Pearce,1998)。完全な病変を誘導するために、MPTP(2.0mg/kg,sc)を1日1回、5日間連続して投与した。MPTP処置中およびその後6〜8週間、動物が一人で食べることが十分にできるように回復し、そして体重が安定するまでマーモセット用のゼリー食を動物に手で与えた。すべての動物は使用前にL−DOPA投与に対して応答性であると決定された。動物がMPTP処置の急性効果から回復した場合のみ試験を開始した。この実験で、これはMPTP処置の開始から70日後であった。
【0039】
薬剤:SLV308を10%のシュクロースに溶解し、そして2ml/kgの容量を得、そして経口栄養により投与した。投薬用量はmg/kgの遊離塩基で表す。L−DOPAメチルエステル(シグマ:Sigma、英国)を10%のシュクロースに溶解し、そして2ml/kgの容量を得、経口栄養により投与した。カルビドパ(メルク シャープ アンド ドーム:Merck Sharp and Dohme、英国)を10%のシュクロースに溶解して2ml/kgの容量を得、そして動物の口に直接投与した。ドンペリ
ドン(シグマ、英国)を10%のシュクロースに溶解して2ml/kgの容量を得、そして動物の口に直接投与した。投薬用量はSLV308を用いた事前の実験に基づき、ここでSLV308の運動活性に及ぼす最適な効果および疾患スコアが0.26mg/kg,po.で達成されることが示された。L−DOPAの投薬用量はL−DOPAの中および高用量を反映するために選択された(それぞれ7.5および12.5mg/kg,po)。
【0040】
手順:実験の日に、動物の体重を測定し、ドンペリドン(2mg/kg、po)を口に直接投与して処置し、そしてその60分後、SLV308(0.26mg/kg、po)または賦形剤のいずれかを用いて経口栄養により処置した。30分後、カルビドパ(12.5mg/kg,po)を投与し、そして30分後、L−DOPA(7.5または12.5mg/kg,po)またはその賦形剤を投与した。修飾ラテン方格デザインを使用し、処置の間に1週間のウォッシュ−アウト期間を設けた。動物は運動活性および疾患について以下に記載のように評価された。
【0041】
運動活性の評価:動物は、観察のための明確な目視を可能とする透明のパースペックスドアが付けられた活動ケージ(50×60×70cm)に個別に配置された。各ケージは8つの垂直方向の赤外線光電池エミッターが備え付けられ、そしてそれらに対応する検出器が運動の最大の評価を可能とするように配置された。運動活性は10分間の間隔で7時間に蓄積された動物の運動により引き起こされる光線の妨害の数として評価された。動物は活動ケージ中で60分間順応させられ、この間にベースライン活性が評価され、その後に薬剤が投与された。「オン」閾値は、MPTP処置したマーモセットで3回のベースライン活性と定義された。機能亢進は投薬を受けていない(naive)なマーモセットで3回の標準活動と定義された。「オン」時間は活性が「オン」閾値より上の期間(分)であった。
【0042】
疾患の採点;動物は処置に対して知らされていない経験のある観察者により1方向の鏡を通して監視され、そして運動の機能不全の程度について採点された。運動機能不全は疾患採点尺度でスコアを付けた:機敏性(正常=0、低下=1、ぼんやり=2);確認(checking)(あり=0、低下=1、無し=2);体位(正常=0、異常な体幹+1、異常な尾+1、異常な四肢+1、屈曲=4);バランス(正常=0、疾患=1、不安定=2、自然に低下=3);刺激に対する反応(正常=0、低下=1、遅い=2、無し=3);発声(vocalisation)(正常=0、低下=1、無し=2);運動(正常=0、運動緩徐または運動過剰=1、運動不能または重篤な運動過剰=2)。これらの値はまとめると18の最大スコアとなった。
【0043】
分析および統計:全運動活性のカウントおよび全疾患のスコアは、フリードマン検定(SPSS、バージョン10)、続いてウィルコクスンまたはマン−ホイットニーのポスト−ホック(post−hoc)検定を使用して処置の効果について分析して、個々の差異を決定した。有意性のレベルは5%に設定した。
【0044】
実施例2:L−DOPAが誘導する運動疾患の逆転に及ぼすSLV308の効果
自然な運動活性:SLV308(0.26mg/kg,po)は投与の30分以内に運動活性を増大した(図1)。ピーク活性は処置から180分後に見られ、そして運動活性は7時間の観察期間持続した。L−DOPA(7.5および12.5mg/kg,po)は運動活性に即座の上昇を生じ、この上昇は投与から60〜90分後にピークとなった(図1および2)。活性の期間は150〜240分であった。L−DOPA(7.5および12.5mg/kg,po)後のピーク活性は、SLV308(0.26mg/kg,po)単独後に見られた活性よりも大きかった。SLV308(0.26mg/kg,po)での前処置後、L−DOPA(7.5mg/kg,po)後の活性のピークおよび期間
は、SLV308(0.26mg/kg,po)単独後で見られるピークおよび期間に類似した(図1)。L−DOPA(7.5mg/kg,po)に加えてSLV308(0.26mg/kg,po)を用いた組み合わせ処置は、L−DOPA(7.5mg/kg,po)単独後のピーク運動活性を、SLV308(0.26mg/kg,po)単独後に見られるレベルに下げたので、機能亢進は観察されなかった(図1)。SLV308(0.26mg/kg,po)はL−DOPA(12.5mg/kg,po)後に見られるピーク活性を下げることができなかったが、上昇させなかった。しかしL−DOPA(7.5および12.5mg/kg,po)後の活性の期間(「オン」時間)は、SLV308(0.26mg/kg,po)の同時投与により増加し、SLV308活性の期間を反映している(図3)。全運動活性は、賦形剤で処置した群に比べてすべての処置で増加したが(図4)、他の差異は観察されなかった。
【0045】
運動疾患:L−DOPA(7.5および12.5mg/kg,po)は疾患の即座の逆転を生じ、これは投与から90分後にピークとなり、2.5のスコアであった(図5および6)。この効果の期間は7.5および12.5mg/kg,poのL−DOPAについてそれぞれ150および180分であった。SLV308(0.26mg/kg,po)は投与直後に疾患スコアを下げた(図5)。疾患(スコア3)の最大の改善は、投与後1〜7時間維持された。SLV308(0.26mg/kg,po)続いてL−DOPA(7.5および12.5mg/kg,po)での前処置後、疾患の逆転期間はSLV308(0.26mg/kg,po)単独後に見られる期間に類似した(活性の期間の中央値:それぞれ420分、420分および390分)。全疾患スコアは、単独で、またはL−DOPA(7.5および12.5mg/kg,po)と組み合わせて投与したSLV308(0.26mg/kg,po)の投与から7時間後にわたり減少した(図7)。L−DOPA(7.5mg/kg,po)にSLV308(0.26mg/kg,po)を加えると、L−DOPA(7.5mg/kg,po)単独に比べて全疾患スコアに増加を生じた(図7)。
【0046】
結論:これらのデータはL−DOPA(7.5および12.5mg/kg,po)およびSLV308(0.26mg/kg,po)の両方が、MPTPが誘導する運動不能および疾患を逆転することを確証する。高および低用量の両方のL−DOPAが短い作用期間を有し、そして機能亢進の期間を生じた。SLV308の活性期間はL−DOPAの期間よりもかなり長かったが、機能亢進は観察されなかった。組み合わせて与えた場合、SLV308の前処置によりL−DOPA後の機能亢進が防止された。SLV308とL−DOPAとの間のそのような相互作用は、SLV308とL−DOPAとの組み合わせの効果がSLV308単独の効果に似ているので、疾患スコアは観察されなかった。
【0047】
実施例3:製薬学的製剤
使用することができる製薬学的組成物の種類には、限定するわけではないが錠剤、チュワブル錠剤、カプセル(マイクロカプセルを含む)、溶液、非経口溶液、軟膏(クリームおよびゲル)、座薬、懸濁液、および本明細書に開示された、あるいは本明細書および当該技術分野での一般的知識から当業者に明白な他の種類を含む。組成物は投与するために経口、静脈内、皮下、気管、気管支、鼻内、肺、経皮、頬内、直腸、非経口または他の経路が使用される。製薬学的製剤は少なくとも1つの本発明の製剤を製薬学的に許容され得る補助剤、希釈剤および/または担体との混合物で含む。適切な有効成分の総量は製剤の約0.1(重量/重量)%〜約95(重量/重量)%の範囲であり、適切には0.5%〜50(重量/重量)%であり、そして好ましくは1%〜25(重量/重量)%である。SLV308(またはそのN−オキシド)とL−DOPAの間のモル比は、約1000:1〜約1:1000、適切には約300:1〜1:300の範囲にあり、そして好ましくは50:1〜1:50である。
【0048】
本発明の製剤は補助物質、例えば液体もしくは個体の粉末化成分、例えば製薬学的に通例の液体もしくは個体の充填剤および増量剤、溶媒、乳化剤、潤滑剤、香料、着色剤および/または緩衝物質を使用して通例の方法により投与に適する形態とすることができる。よく使用される補助物質には炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトールおよび他の糖もしくは糖アルコール、タルク、ラクトプロテイン、ゼラチン、澱粉、アミロペクチン、セルロースおよびその誘導体、魚類の肝油、ヒマワリ、アメリカホドイモ(groundnut)もしくはゴマ油のような動物および植物油、ポリエチレングリコール、および例えば滅菌水およびモノ−もしくはグリセロールのようなポリ−アルコールのような溶媒、ならびに崩壊剤およびステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウムおよびポリエチレングリコールワックスのような潤滑剤を含む。
【0049】
有効成分は、製剤を形成するために混合する前に他の非有効成分と別個にプレミックスされてもよい。有効成分は、製剤を形成するために非有効成分と混合する前に互いに混合してもよい。
【0050】
軟質ゼラチンカプセルは、本発明の有効成分の混合物を含有するカプセル、植物油、脂肪または軟質ゼラチンカプセル用の他の適切な賦形剤を用いて調製することができる。硬質ゼラチンカプセルは有効成分の粒子を含むことができる。また硬質ゼラチンカプセルは有効成分を固体の粉末化された成分、例えばラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、ジャガイモ澱粉、トウモロコシ澱粉、アミロペクチン、セルロース誘導体またはゼラチンと一緒に含んでもよい。直腸投与用の投薬単位は、(i)中性脂肪基材と混合された活性物質を含む座薬形態;(ii)植物油、パラフィン油もしくはゼラチン直腸カプセル用に適する他の賦形剤との混合物中に活性物質を含むゼラチン直腸カプセルの形態;(iii)既製のミクロ浣腸の形態;あるいは(iv)投与直前に適切な溶媒で再構成される乾燥ミクロ浣腸製剤の形態に調製することができる。
【0051】
液体製剤はシロップ、エリキシル、濃縮ドロップまたは懸濁液、例えば有効成分と例えば糖もしくは糖アルコールおよびエタノール、水、グリセロール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールの混合物からなる残部を含有する溶液もしくは懸濁液の状態に調製することができる。所望によりそのような液体製剤は着色剤、香料、保存剤、サッカリンおよびカルボキシメチルセルロースまたは他の増粘剤を含んでもよい。液体製剤は、使用前に適切な溶媒で再構成される乾燥粉末の形態に調製することもできる。非経口投与用の溶液は、製薬学的に許容され得る溶媒中に本発明の製剤の溶液として調製することができる。これらの溶液は安定化成分、保存剤および/または緩衝化成分を含んでもよい。非経口投与用の溶液は、使用前に適切な溶媒で再構成される乾燥粉末として調製することもできる。
【0052】
また本発明に従い提供されるのは製剤、および投薬療法に使用するための本発明の製薬学的組成物の1もしくは複数の成分を充填した1もしくは複数の容器を含んでなる「キットの部分」である。そのような容器(1もしくは複数)には、使用説明書のような種々の文書、または製薬学的製品の製造、使用もしくは販売を規制する政府機関により記載された状態の通知を添付することができ、この通知はヒトもしくは獣医学的投与のための製造、使用または販売の機関による認可を表す。ドーパミン作動性機能の回復が必要または望まれる状態の処置に使用する薬剤の製造における本発明の製剤の使用、およびドーパミン作動性機能の回復が必要または望まれる状態に罹患している、またはそれが疑われる患者に、本発明の少なくとも1つの製剤の治療に有効な総量を投与することを含んでなる医学的処置法。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】MPTPで病変した共通の(common)マーモセット(n=6)において、L−DOPA(7.5mg/kg,po)での処置後の運動活性に及ぼすSLV308(0.26mg/kg,po)の効果。点は7時間にわたり30分間の間隔で全運動活性カウントの中央値を表す。矢印1:SLV308処置、矢印2 L−DOPA処置。記号:白四角 賦形剤群、黒四角 L−DOPA 7.5mg/kg po、白三角 SLV308 0.26mg/kg po、および黒丸 SLV308に続いてL−DOPA 7.5mg/kg po。
【図2】MPTPで病変した共通のマーモセット(n=6)において、L−DOPA(12.5mg/kg,po)での処置後の運動活性に及ぼすSLV308(0.26mg/kg,po)の効果。点は7時間にわたり30分間の間隔で全運動活性カウントの中央値を表す。矢印1:SLV308処置、矢印2 L−DOPA処置。記号:白四角 賦形剤群、黒四角 L−DOPA 12.5mg/kg po、白三角 SLV308 0.26mg/kg po、および黒丸 SLV308に続いてL−DOPA 12.5mg/kg po。破線:折線−「オン」閾値、実線−機能亢進閾値。誤差棒は明確にするために省略する。
【図3】L−DOPA(7.5および12.5mg/kg,po)での処置後の運動「オン」時間に及ぼすSLV308(0.26mg/kg,po)の効果。棒はSLV308(0.26mg/kg,po;n=6)の経口投与後6時間にわたる全カウントの中央値を表す。棒は全「オン」時間の中央値を時間で表す。処置をわたって「オン」時間における増加があった(p’s<0.001、フリードマン検定)。#p<0.02、L−DOPA単独と比較した有意差(ウィルコクソン検定)。
【図4】L−DOPA(7.5および12.5mg/kg,po)での処置後の累積的運動活性カウントに及ぼすSLV308(0.26mg/kg,po)の効果。棒はSLV308(0.26mg/kg,po;n=6)の経口投与後6時間にわたる全カウントの中央値を表す。カウントの増加は処置をわたって有意であった(p’s<0.001、クラスカル ウォリス)。p<0.002、賦形剤と比較した有意差(マン ホイットニー検定)。
【図5】MPTPの共通のマーモセット(n=6)において、L−DOPA(7.5mg/kg,po)による運動疾患逆転に及ぼすSLV308(0.26mg/kg,po)の効果。個々の点はL−DOPAで処置した後7時間にわたり30分間の間隔で全疾患スコアの中央値を表す。矢印1:SLV308処置、矢印2 L−DOPA処置。記号:白四角 賦形剤群、黒四角 L−DOPA(7.5mg/kg,po)、白三角 SLV308(0.26mg/kg,po)、および黒丸 SLV308に続いてL−DOPA (7.5mg/kg,po)。誤差棒は明確にするために省略する。
【図6】MPTPの共通のマーモセット(n=6)において、L−DOPA(12.5mg/kg,po)による運動疾患逆転に及ぼすSLV308(0.26mg/kg,po)の効果。個々の点はL−DOPAで処置した後7時間にわたり30分間の間隔で全疾患スコアの中央値を表す。矢印1:SLV308処置、矢印2 L−DOPA処置。記号:白四角 賦形剤群、黒四角 L−DOPA(12.5mg/kg,po)、白三角 SLV308(0.26mg/kg,po)、および黒丸 SLV308に続いてL−DOPA 12.5mg/kg po。誤差棒は明確にするために省略する。
【図7】L−DOPA(7.5および12.5mg/kg,po)での処置後の累積的運動疾患に及ぼすSLV308(0.26mg/kg,po)の効果。棒はSLV308(0.26mg/kg,po;n=6)の経口投与後6時間にわたる全カウントの中央値を表す。疾患の減少は処置をわたって有意であった(p<0.0005、クラスカル ウォリス)。p<0.001、賦形剤と比較した有意差(マン ホイットニー検定)#p<0.002、L−DOPA(7.5mg/kg,po)と比較した(マン ホイットニー検定)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドーパミン作動性機能の回復を必要とする疾患の治療に同時に、別々に、もしくは順次に使用するための:
(i)SLV308もしくはそのN−オキシド
【化1】

またはこれら化合物の薬理学的に許容され得る塩、および(ii)L−DOPAもしくはその薬理学的に許容され得る塩を含んでなる組み合わせ製剤。
【請求項2】
さらに脱炭酸酵素インヒビターを含んでなる請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
さらにCOMTインヒビターを含んでなる請求項1または2に記載の製剤。
【請求項4】
さらにMAO−Bインヒビターを含んでなる請求項1、2または3のいずれかに記載の製剤。
【請求項5】
ドーパミン作動性機能の回復を必要とする疾患を処置する薬剤を製造するための請求項1ないし4のいずれかに記載の製剤の使用。
【請求項6】
疾患がパーキンソン病である請求項5に記載の使用。
【請求項7】
疾患がむずむず脚症候群である請求項5に記載の使用。
【請求項8】
製薬学的に許容され得る担体および/または少なくとも1つの製薬学的に許容され得る補助物質に加えて、有効成分として請求項1ないし4のいずれかに記載の製剤を薬理学的に活性な量で含んでなる製薬学的組成物。
【請求項9】
パーキンソン病またはむずむず脚症候群の処置が必要なヒトまたは動物患者において、ある量のSLV308もしくはそのN−オキシドまたはそれらの薬理学的に許容され得る塩、およびある量のL−DOPAを同時に、別々に、もしくは順次に患者に投与することを含んでなり、その量が処置に有効である、パーキンソン病またはむずむず脚症候群の処置方法。
【請求項10】
さらにある量の脱炭酸酵素インヒビターおよび/またはCOMTインヒビターおよび/またはMAO−Bインヒビターが投与される請求項9に記載方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−539941(P2009−539941A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514809(P2009−514809)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【国際出願番号】PCT/EP2007/055955
【国際公開番号】WO2007/144421
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(501439149)ソルベイ・フアーマシユーチカルズ・ベー・ブイ (71)
【Fターム(参考)】