説明

TOA(到達時刻)とRSS(受信信号強度)の融合による適応型測位法、装置、およびシステム

【課題】適応性、信頼性、高精度、拡張性、低コストな、適用型測位方法、装置、およびシステムを提供する。
【解決手段】対象から発信された信号のTOA結果およびRSS結果を収集する観測結果収集器と、収集されたTOA結果の数を決定するTOA結果カウンタと、入力されたTOA結果の数に基づいて移動体の位置計算法を選択し、選択された計算法を使用して移動体の位置を計算する位置計算器とを備える。TOA結果の数に基づいて適応的に適応型測位法を選択することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して移動体の測位方式に関し、特に、受信信号強度(RSS:Received Signal Strength)ベースの測位法と到達時刻(TOA:Time of Arrival)ベースの測位法の利点を統合した、安定的に高精度な適応型測位方法およびシステムを提供する。
【背景技術】
【0002】
急速なデジタル化の進展に伴い、コンピュータネットワークによる「ユビキタス情報社会」の実現はますます近づきつつある。現在、携帯機器、小型無線識別タグ、センサーネットワークなどを使った、エンティティの位置に応答する様々なサービスが提供されている。位置情報は、人々の日常生活にとってきわめて重要である。NTT DoCoMoの調査によれば、実世界でやり取りされる情報の85%、そして携帯電話システムを利用したデータサービスの5%が、位置に関わる情報やデータで占められるという。位置情報サービス(LBS:Location Based Service)は、個人の位置を正確に特定することを目指すものであり、位置情報を様々なマーケティングやサービスに適用することにより、さらに個別化されたより満足度の高い携帯電話サービスをユーザに提供することが可能となる。
【0003】
LBSは、各種産業や個別用途に不可欠なサービスとして広く受け入れられており、その適用範囲は、職場の生産性向上、病院での相互連携基盤、緊急対応システム、子供やペットの監視、データアクセス制御、ビルのセキュリティ、輸送、ロボット操縦、サプライチェーンマネジメント、Eコマースなど多岐にわたる。その典型的な例は、職場の生産性向上である。職場環境では、従業員は、セキュリティが確保された所定のエリアで機密情報データベースにアクセスすることを義務づけられ、それ以外のエリアからのアクセスは禁じられる。各部署のメンバーは、それぞれの作業区域に設置された部署専用の情報データベースにアクセスでき、セキュリティ上重要な一部のコンピュータは所定のエリアでしか利用できない。こうしたセキュリティ対策は、LBSにより初めて実現できるものであり、他のどのメカニズムを用いても実施は不可能である。そのため、位置情報は、AAA(認証、認可、アカウンティング)アプリケーションを強化するための物理キーとみなすことができる。銀行や防衛産業などの高度なセキュリティ保証を必要とする企業内セントラルサーバコンピュータでは、ハッカー攻撃の防止にデジタルキーだけでなく物理キーも必要とされるので、LBSはとりわけ有効である。また、LBSにより、ユーザは日常業務の中でまったく新たなヒューマン−マシン・インタラクション経験を得られるようになる。ユーザがコンピュータに向かうと、コンピュータはその人が誰かを認識し、画面にそのユーザ専用のデスクトップを自動的に表示する。例えば、ビデオクリップを見ていたユーザが何かの用事で急にその場を離れると、コンピュータは高度な判断によりビデオの再生を中断し、ユーザが戻ってくるとまた再生を開始する、といったことが可能になる。また、ユーザに電話がかかってくると、その人に最も近い電話機に自動的にルーティングすることもできる。さらに、社員が自分のデスクを持たず、空いたスペースを使って仕事をする職場環境では、オフィス内のどこに誰がいるのかを表示する対話式リアルタイムマップを表示できるLBSが大活躍する。
【0004】
位置を特定する方法と技術には多数のものがあり、「測位法」の名で広く普及している。しかし、既存の測位法には、あらゆる対象環境(室内、ビルの谷間、開放的な屋外など)で、十分な精度をもって有効に機能するものは一つもない。これらの測位法では、赤外線、可視光、超音波、電波(RF)など、様々な媒体信号が利用される。各媒体は、特定の状況で有効であるが、固有の欠点も抱えている。ここで、測位法として最も一般的に利用されているRSSとTOAを例に取って説明する。RFベースの方式は、受信信号強度(RSS)を利用して、発信者と受信者間の距離をRF信号伝播モデルに基づいて表示するもので、RSS方式を採用した位置測定システムでは、最大数百メートルの距離の測定が可能である。しかし、RSSベースの位置測定システムの性能は、マルチパスやノイズなどの環境変化に対して脆弱である。超音波方式では、超音波の速度にTOA(到達時刻)を乗じて距離を測定する。TOAベースの位置測定方式はきわめて正確であるが、超音波の減衰が速いため数メートル以内の距離しか扱うことができない。
【0005】
TOAベースとRSSベースの測位法でよく発生する問題としては、以下の2点を挙げることができる。
(1)RSSベースの方式では、カバレッジは広いが、位置精度が低い。
(2)TOAベースの方式では、位置精度は高いが、カバレッジが狭い。
【0006】
したがって、RSSとTOAとを融合した複合モードの測位法を提案できれば、複数信号の融合によって、信号を個々に使用する場合には実現できない複合的な特性を実現できるはずである。特に、RSSとTOAのそれぞれの利点(すなわち、RSSの長距離伝播特性とTOAの高精度測位特性)を組み合わせれば、互いに距離をとって展開された場合でも高精度で低コストな測位システムを得ることができる。
【0007】
以下では、まず、従来技術による既存の測位技術のいくつかを簡単に紹介する。測位法には多数の解決策が存在する。これらの従来方式は、1)RSSベースの測位方式、および2)TOAベースの測位方式、という2つのクラスに分類できるが、いずれも単独モードの測位法として認知されている。
【0008】
RSSベースの測位方式の例としては、Padmanabhanによって提案された「レーダー」システムが挙げられる(Bahl,P.Padmanabhan V.N.RADAR:an in−building RF−based user location and tracking system(RFベースの室内ユーザ位置追跡システム).In Proceedings of INFOCOM 2000)。この方法は、オフライン段階では、経験的に得たRSSを(t,x,y,d,RSSI)の形式で記録して様々な位置・方位のRSSを表示し、リアルタイム段階では、観測されたRSSと記録されたRSSとの間の(信号空間上の)距離を計算して三角測量を行い、観測されたRSSとの一致度が最も高い位置を特定するものである。Dietrichの米国特許第7116988号「Location of wireless node using signal strength weighting metric(信号強度重み付け測定による無線ノードの位置測定)」では、受信信号強度の絶対値や無線ノードから発信されたRF電力を使用する代わりに、様々な無線受信機ペアで検知されたRSS間の差を計算する信号強度差分測定法が提案されている。この発明は、特に、異なる無線受信機ペアで検知された信号強度値間の差を、RF環境モデルで特徴付けられた対応する差と比較する。
【0009】
TOAベースの測位方式の典型的な例は、A.Smithが提案した「クリケット」システムである(Tracking Moving Devices with the Cricket Location System(クリケット測位システムによる移動デバイスの追跡),Proc.ACM MOBISYS Conf.,Boston,MA,June 2004)。このシステムでは、クリケットビーコンがビル全体に分散される。各ビーコンはRF発信機と超音波発信機を搭載し、RF信号と超音波パルスを定期的かつ同時に発信する。測定対象のターゲットには、超音波受信機を搭載した超音波リスナーを装着する。受信したRF信号を使用して時刻同期が行われ、後続の超音波のTOAを測定して伝播時間が表示される。TOAに超音波の速度を乗じて、複数ビーコンからの距離が求められる。次に、リスナーは、最小二乗最小化(LSQ:Least Squares Minimization)と拡張カルマンフィルタ(EKF:Extended Kalman Filter)法により、自位置を計算する。
【0010】
TOAベースの測位方式のもう1つの例に、A.Wardらの「バット」システムがある(A new location technique for the active office(アクティブオフィスのための新測位技術),IEEE Personal Communications,4(5):42−47,October 1997)。「バット」システムは、「クリケット」と同様に、基本的なTOAベース測位方式を採用しており、最初に超音波信号のTOA情報からターゲットと基準点間の距離を計算し、次に、多辺測量アルゴリズムによりターゲットの位置を三角法で測定する。「バット」と「クリケット」の相違点は、「バット」は、天井に複数の超音波受信機を取り付け、ターゲットには超音波発信機を取り付けた追跡システムであるのに対し、「クリケット」は、天井に複数の超音波発信機を取り付け、ターゲットには超音波受信機を取り付けたナビゲーションシステムである、という点である。
【0011】
RSSベースの解決策では、Dietrichの差分方式と「レーダー」システムのいずれも、移動ターゲットの信号強度(絶対値と差分値のいずれも可)を、カバレッジエリアのRF物理モデルを含むデータベースと比較するRFフィンガープリント技術を利用している。しかし、屋内のRF環境ではマルチパス現象が発生し、RF信号の反射と吸収が信号強度間の相関関係に影響を及ぼすため、移動ターゲットの正確な位置測定には一定の困難が伴う。特に、「レーダー」システムの場合は、対象とする各物理環境の経験的RSSデータセットを構築する際に相当な労力を要する。このプロセスは、基準観測者の位置変更などにより物理環境が変化するたびに繰り返す必要がある。局所化エラーは大きく、誤差の50パーセンタイル値は2.67mを超える。この値は、精細な局所化が必要な用途には不十分である。
【0012】
TOAベースの解決策では、超音波の短距離減衰を克服してシステムの拡張性を向上させるために、超音波検知器を高密度に展開するという方法が採られている。「クリケット」と「バット」のいずれのシステムもこの方法を採っているため、システムの展開と保守には高いコストを要する。また、システムを構成するノード数が多いため、位置測定ネットワークが非常に複雑になる。一方、「クリケット」システムにおいては、EKFは計算集約型のため組み込み式の低速プロセッサには適さず、LSQは位置推定のために少なくとも3つTOA測定値を必要とする。
【0013】
発明者の知る限り、従来技術は、センサーを効果的に融合して、RSSベースとTOAベースという2つの局所化方式が各々有する利点を統合する解決策を提供し得ていない。従来のTOAベース局所化システムでは、RF信号が広く普及し、時刻同期信号として使用されているにもかかわらず、RSSのような貴重な情報が十分に活用されていない。さらに、基盤設備(受信機/発信機)のトポロジー情報はほとんど利用されていないため、距離の測定値が得られない場合には致命的となる。例えば、受信機がターゲットの信号を受信できないときには、ターゲットがその受信機から離れ過ぎていると考えてまず間違いない。一方、三角測量などの従来の測位アルゴリズムでは、位置を特定するために、少なくとも3つの同時TOA測定値が必要である。しかし、環境の動的変化、リンクの低信頼性、ターゲットの移動という要因が存在する中でこの条件を満たすことは時に困難であり、高い測位失敗率につながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第7116988号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Bahl,P.Padmanabhan V.N.RADAR:an in−building RF−based user location and tracking system(RFベースの室内ユーザ位置追跡システム).In Proceedings of INFOCOM 2000
【非特許文献2】Tracking Moving Devices with the Cricket Location System(クリケット測位システムによる移動デバイスの追跡),Proc.ACM MOBISYS Conf.,Boston,MA,June 2004
【非特許文献3】A new location technique for the active office(アクティブオフィスのための新測位技術),IEEE Personal Communications,4(5):42−47,October 1997
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記の分析から、RSSとTOAとトポロジー情報とを包括的に活用することによって効果的な複合モード測位法を設計し、それにより、必要な精度と拡張性を備え、かつ多様な環境で動作可能な位置決定を実現できることは明らかである。
【0017】
本発明は、RSS測位方式およびTOA測位方式の利点(RSSの長距離伝播特性、TOAの高精度測位特性など)を統合し、かつ、各方式固有の欠点を克服するための、適応型測位法に基づく安定的に高精度な方法、装置、およびシステムを提供する。特に、本発明の適応型測位システムは、RF信号と超音波信号の両方を使用することにより、超音波のTOA情報を検知するだけでなく、RF信号のRSS情報も測定することができる。ここで注目すべきことは、本発明の適応型測位システムはシステム基盤に依存しないため、ナビゲーションモード(複数の発信機を使用し、移動体に1個の受信機を装着する)だけでなく、追跡モード(複数の受信機を使用し、移動体に1個の発信機を装着する)にも適用できることである。
【0018】
本発明の測位アルゴリズムは、超音波のTOA検出数とRF信号のRSSに対して適応性がある。基本的に、TOA検出結果が3つ以上の場合には、三角測量を使用して良好な測位精度を得ることができる。TOA検出結果が2つの場合には、遠近フィルタ方法を使用して、三角測量を支援し、正確かつ一意の位置推定を行う。TOA検出結果が1つしか得られない場合には、RSSを追加の距離指標として使用して、一意の位置推定を行う。TOA検出結果がない場合には、RSSと移動体の位置履歴を活用して、一意の位置推定を行う。さらに、本発明の適応型測位システムでは、TOA測定値の異常値(超音波のエコーの影響などが原因で発生する)を除去して測位精度の安定性を向上させるための前処理ステップとして、高速TOA信頼性フィルタを設計することもできる。
【0019】
特に、本発明の第1の態様によれば、適応型移動体測位方法であって、移動体から発信された信号の到達時刻(TOA)結果と受信信号強度(RSS)結果とを収集し、収集したTOA結果数を判定し、入力されたTOA結果数に基づいて移動体の位置を計算するための測位法を選択し、選択した測位法を使用して移動体の位置を計算するための適応型移動体測位方法が提供される。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、適応型移動体測位装置であって、移動体から発信された信号の到達時刻(TOA)結果と受信信号強度(RSS)結果とを収集するための観測結果収集器と、収集したTOA結果数を判定するためのTOA結果カウンタと、入力されたTOA結果数に基づいて移動体の位置計算法を選択し、選択した計算法を使用して移動体の位置を計算するための位置計算器とを備えること特徴とする適応型移動体測位装置が提供される。
【0021】
本発明の第3の態様によれば、適応型移動体測位システムであって、第1の信号を発信し検出する第1信号トランシーバおよび第2の信号を発信し検出する第2信号トランシーバを備える検出装置と、第1の信号を発信し検出する第1信号トランシーバおよび第2の信号を発信し検出する第2信号トランシーバを備える、移動体に装着されたタグ装置と、第1の信号に関する到達時刻(TOA)結果および第2の信号に関する受信信号強度(RSS)結果に基づいて移動体の位置を計算するための測位法を適応的に選択する適応型測位装置とを備えることを特徴とする適応型移動体測位システムが提供される。
【0022】
本発明で提案される適応型複合モード測位法は、従来技術と比較していくつかの利点を提供する。有用な効果としては、主に、適応性、信頼性、高精度、拡張性、低コストなどが挙げられる。以下に、これらの効果について詳細に説明する。
・適応性:本発明の適応型測位アルゴリズムは、信頼性の高いTOA検出結果の数とRSSに基づいて選択が可能である。
・信頼性:高速の異常値排除アルゴリズムにより、TOA測定値に含まれる異常値が排除され、測位精度の安定性が改善される。
・高精度:従来の三角測量は、1つの位置を決定するために少なくとも3つのTOA測定値を必要とする。本発明の適応型測位システムでは、このような制限は不要となり、しかも三角測量が有するすべての長所が維持される。すなわち、3つ以上のTOA測定値が得られた場合には、従来の三角測量アルゴリズムと同一の精度となる。そして、TOA結果が2つしかない場合には、従来の三角測量では解を得ることができないのに対し、本発明のシステムでは、提案される遠近フィルタに基づいて正確な結果を得ることができる。さらに、TOA測定値が1つかゼロの場合でも、本発明のシステムの精度は、従来の純粋なRSSベースの測位方式よりもはるかに良好となる。
・拡張性:本発明の適応型測位法は、追跡モードのシステムだけでなく、ナビゲーションモードのシステムにも適用が可能である。そのため、測位システムは、測位精度を十分に保ちながら、より低い展開密度で高度なカバレッジ拡張姓を実現することができる。さらに、本発明の融合法は、より多くのTOAおよびRSS測定結果に対応して拡張することもできる。
・低コスト:本発明の適応型測位システムでは、システムコストが大幅に低廉化され、計算集約度もきわめて低い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の上記およびその他の特徴は、添付図面を参照しつつ以下の説明を読むことにより、より深く理解されるであろう。
【0024】
【図1】本発明による適応型測位システム100の全体構造を示すブロック図である。
【図2】追跡モードにおいて、図1に示すシステム100の動作プロセスを示すフローチャート図である。
【図3】ナビゲーションモードにおける、図1に示すシステム100の動作プロセスを示すフローチャート図である。
【図4】本発明による適応型測位装置300の内部構造を示すブロック図である。
【図5】図4に示すTOA結果フィルタの動作プロセスの例400を示すフローチャート図である。
【図6】図4に示す適応型測位装置の全動作プロセスの例500を示すフローチャート図である。
【図7】3つ以上のTOA結果に基づいて移動体の位置を計算するマルチTOA位置計算器の一例の内部構造を示すブロック図である。
【図8】3つ以上のTOA結果が得られた場合に、最大分離基準に基づいてTOA結果を選択する方法を説明する概念図である。
【図9】TOA測定値が2つの場合の測位法を図示する概念図である。
【図10】TOA測定値が1つの場合の測位法を図示する概念図である。
【図11】TOA測定値がない場合の測位法を図示する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明による適応型測位システム100の全体構造を示すブロック図である。一例として図示するシステム100には、移動体110によって搬送されるタグ装置102、観測装置としての検出装置120、および適応型測位装置101を含む中央情報サーバ111を備えることができる。一例として図1に示す検出装置120は、1個のヘッド装置103と数個のリーフ装置104で構成されるワンデバイス測位(POD:Positioning on One Device)構造を有する。PODの詳細な説明は、本出願と同じ出願者が2008年1月29日に提出した中国特許出願No.200810006317.0「Positioning on One Device(POD)and Autonomous Ultrasound Positioning System and Method Using the POD(ワンデバイス測位(POD)と、PODを使用した自律的超音波測位システムおよび方法)」に記載されている。この関連出願は、すべての趣旨においてその全体が援用される。当然ながら、検出装置120はこの特定のPOD構造に限定されるべきではなく、タグ装置から発信される信号を検出する能力を有する他の装置もまた使用可能である。以下では、ヘッド装置とリーフ装置で構成されるPODを一例として取り上げ、システム100内の検出装置120の動作をさらに詳細に説明する。適応型測位装置101は、本発明の中核的な構成要素であり、タグ装置102から発信され、検出装置120で測定された超音波およびRF信号のTOA測定値とRSS測定値とを受信し、適切な測位法を選択し、移動体110の位置の追跡と計算を行う。ここでは適応型測位装置101は独立した中央情報サーバ111の一部として示されているが、これは本発明の一例に過ぎず、本発明の適用範囲はこれに限定されるべきではない。当該技術に精通する当業者であれば、システムの動作モードと適用要件によれば、適応型測位装置101を検出装置120(例えば、PODのヘッド装置104)またはタグ装置102にも統合が可能なことは容易に理解できるであろう。さらに、図1では、ヘッド装置103とリーフ装置104とが1つの装置として統合されており、かつ稼働状態においてはヘッド装置とリーフ装置との間に固定した構造的トポロジー関係が存在するが、これもまた一例に過ぎない。本発明の範囲は、この構造に限定されるべきである。当該技術に精通する当業者には、ヘッド装置103とリーフ装置104とを互いに分離した別個の装置として実装し、ユーザがそれらの空間座標が分かっている限り、各々独立して展開できることは容易に理解できるであろう(該当特許出願No.200810006317.0を参照)。従来技術による既存の測位システムと比較すると、PODには、高精度、展開の容易さ、キャリブレーション不要、低コスト、装置内調整、柔軟性など多数の利点がある。したがって、以下の説明と図においてPODは検出装置の一例として使用されているが、上述したように、検出装置の構造、およびヘッド装置とリーフ装置の展開は、この特定の例に限定されるものではない。
【0026】
図1に示す適応型測位システム100は、ナビゲーションモードだけではなく追跡モードでも動作可能である。ナビゲーションモードでは、複数の発信機が基盤設備として動作する。そして、移動体によって搬送される1個の移動受信器が、複数の発信機の信号を待ち受けて自位置(すなわち移動体の位置)を計算する。追跡モードでは、発信器が移動体によって搬送され、複数の受信器が基盤設備として動作する。この場合は、複数の受信器が発信機からの信号を待ち受けて移動する発信機を追跡し、移動体の位置を計算する。図1に示すように、本発明による適応型測位システム100は、一般的には、検出装置120(例えば、ヘッド装置103およびリーフ装置104で構成されるPOD)とタグ装置102とで構成される階層的測位システムを対象に考案されている。ヘッド装置はRFモジュールと超音波モジュールとを備えるマイクロコントローラであり、リーフ装置は超音波モジュールのみを備えるマイクロコントローラである。そして、タグ装置はRFモジュールと超音波モジュールを備え、移動体に装着されるマイクロコントローラである。適応型測位システム100は、ヘッド装置およびリーフ装置の位置情報(すなわち空間座標)を使用し、追跡およびナビゲーションの両モードで動作可能である。
【0027】
図2と図3に、追跡モードとナビゲーションモードにおけるシステム100の動作フローを示す。このうち、図2は、図1のシステム100の追跡モードにおける動作プロセスを示すフローチャート図であり、図3は、ナビゲーションモードにおける動作プロセスを示すフローチャート図である。
【0028】
まず図2を参照すれば、システム100の追跡モードにおける動作プロセス200aは、タグ装置102がヘッド装置103との時刻同期のためにRF信号を発信することから開始される(ステップ201a)。次に、ステップ202aにおいて、ヘッド装置103は、タグ装置102から発信されたRF信号により時刻をタグ装置102と同期させ、そのRF信号のRSSを測定する。そして、複数のリーフ装置104を同期させて、タグ装置102が次に発信する超音波パルスを待ち受ける。次に、ステップ203aにおいて、タグ装置102は超音波をブロードキャストする。ヘッド装置103とリーフ装置104(複数)がタグ装置102からの超音波パルスを検出すると、各リーフ装置104は超音波パルスのTOAを測定する(ステップ204a)。ステップ202aでヘッド装置103が測定したRF信号のRSS結果と、ステップ204aでリーフ装置104が測定した超音波のTOA結果は、その後、移動体の位置計算のために適応型測位装置101に送信される。ステップ205aにおいて、適応型測位装置101は、TOAとRSSの測定値に適応型融合アルゴリズムを適用して移動体110の位置を計算する。追跡モードにおいては、適応型測位装置101は、各用途の実際の使用条件に応じて、独立して設置される中央情報サーバ111内に配置するか、またはヘッド装置103に含めることができる。適応型測位装置101を中央情報サーバ111内に配置した場合には、TOAとRSSの測定値を中央情報サーバ111に送信して位置計算を行うことができる。適応型測位装置101をヘッド装置103内に格納した場合には、リーフ装置104が検出したTOA測定値をヘッド装置103に供給し、そこで適応型測位装置101が移動体110の位置計算を行う。
【0029】
図3は、ナビゲーションモードにおけるシステム100の動作プロセス200bを示す。上述したように、ナビゲーションモードでは、移動体110によって搬送されるタグ装置102は発信機として動作し、ヘッド装置103およびリーフ装置104は受信機(検出器)として動作する。ナビゲーションモードでは、システム100のプロセス200bは、ヘッド装置103がタグ装置102との同期のためにRF信号をブロードキャストすることから開始される。これと同時に、ヘッド装置103が、超音波をブロードキャストするためにリーフ装置104と同期する(ステップ201b)。次に、ステップ202bにおいて、タグ装置102はRF信号によりヘッド装置103と同期し、RF信号のRSSを測定する。その際、タグ装置102は、ヘッド装置103とリーフ装置104がこれから発信する超音波の待ち受けを開始する。ステップ203bにおいて、ヘッド装置103とリーフ装置104は超音波をブロードキャストする。ステップ204bでは、タグ装置102は、ヘッド装置/リーフ装置からの超音波を検出すると、その超音波のTOAを測定する。次に、ステップ202bでタグ装置102によって測定されたRF信号のRSS結果とステップ204bでタグ装置102によって測定された超音波のTOA結果が、適応型測位装置101に送信され、続いて適応型測位装置101は取得したTOAおよびRSS結果に対して適応型融合を実行し、移動体110の位置を計算する。ナビゲーションモードでは、適応型測位装置101は、各用途の使用条件に従って中央情報サーバ111に配置するか、またはタグ装置102に格納することができる。適応型測位装置101を中央情報サーバ111内に配置した場合には、測定されたTOA結果とRSS結果を中央情報サーバ111に送信して位置計算を行うことができる。適応型測位装置101をタグ装置102に配置した場合、TOA結果とRSS結果はタグ装置102によって測定されるため、タグ装置102に格納した適応型測位装置101は移動体の位置を直接計算することができる。
【0030】
上記では、添付図面を参照しつつ、本発明による適応型測位システム100と、追跡モードおよびナビゲーションモードにおけるその動作プロセスを説明した。以下では、図4〜10を参照し、本発明の適応型測位法と、その測位法を使用した適応型測位装置101を詳細に説明する。
【0031】
最初に、図4を参照して、本発明による適応型測位装置300の内部構造について説明する。適応型測位装置300は、例えば、図1のシステム100内に示された適応型測位装置101である。上記のように、適応型測位装置101は、異なる動作モードおよび各用途の実際の使用条件に従って、独立したサーバに配置するか、またはヘッド装置103もしくはタグ装置102に内蔵することができる。
【0032】
適応型測位装置300は、同時に測定されたTOAおよびRSS測定結果を入力とし、移動体の一意の位置推定結果を出力とする、一般的なリアルタイム情報処理装置として考案されている。RSSのカバレッジ範囲は、TOAのカバレッジ範囲よりもはるかに大きいため、RSS測定は高い確率で得ることができる。しかし、TOAの場合には、移動体の運動と超音波の減衰の速さにより、TOA検出結果の数は、その時々の条件によって大きく変動する。場合によっては、TOA検出結果が2つまたは1つしか得られなかったり、全く得られなかったりすることもある。このような場合に対応するため、本発明による適応型測位装置は、TOA結果の数に応じて適応できるように考案されている。そのため、RSS結果、システムのトポロジー情報、さらには対象の履歴情報さえも位置の融合処理に利用して、一意の位置推定を行うことが可能である。
【0033】
図4に示すように、適応型測位装置300には、観察結果収集器301、TOA結果フィルタ304、TOA結果カウンタ302、位置計算器303、および履歴データメモリ305を含めることができる。観察結果収集器301は、外部からのTOA結果およびRSS結果を収集し、これらのデータが移動体の位置計算のために位置計算器に303に送られる。位置計算器303は、TOAおよびRSS融合法を利用して移動体の位置を計算する。特に、位置計算器303は、収集したTOA結果数に応じて異なる測位法を選択することができるため、安定的に高精度な適応型局所化が実現される。位置計算器303が利用する適応型測位法の詳細については、後述する。履歴データメモリ305は、移動体の測位履歴データを保存するために使用される。測位履歴データは、得られたTOAデータ数が3つ未満の場合に位置計算器303が測位のための参照として利用され、それにより測位精度を改善することができる。
【0034】
観察結果収集器301により収集されたTOA結果は、まずTOA結果フィルタ304(オプションの前処理部品)に送られ、そこで、すべてのTOA収集データから信頼性の低いTOA測定値が除去される。超音波が障害物により反射された場合には、測定された距離は、超音波が直接到達した場合の距離よりもはるかに長くなる。このような反射信号は、予期しない局所化エラーにつながるため「異常値」として取り扱い、局所化アルゴリズムから除去する必要がある。
【0035】
図5は、図4に示すTOA結果フィルタの動作プロセス例400を示すフローチャート図である。フィルタプロセスの基本的な考え方は、2組の発信機−受信機(観測者)ペア間の距離の差は、2つの受信機間の距離よりも大きくなり得ないというものである。しかし、ペア間の測定値を比較するのは時間がかかるため、本発明では、代わりに高速フィルタリングアルゴリズムが提案される。フィルタリングアルゴリズムの詳細を図5に示す。
【0036】
図5に示すように、ステップ401において、すべてのTOA検出結果{TOA}がフィルタに入力される。ここで、iは、i番目の受信機(観測者)を示す。さらに、任意の2つの受信機(i番目の受信機とj番目の受信機)間の距離Eijも入力される。上述したように、(受信機としての)ヘッド装置およびリーフ装置の空間座標は既知であるため、距離Eijを容易に得ることができる。
【0037】
まず、ステップ402において、粗フィルタにより明らかに過大または過小なTOA測定値が拒絶され、その際に、所要領域から外れた値を排除するための高閾値と低閾値が定義される。ここで各TOA結果は、既定の高閾値および低閾値と比較され、ステップ403において、高閾値と低閾値により規定された領域外のTOA結果が排除される。次に、ステップ404において、残りのTOA結果がTOA結果プール(TOA,TOA,…TOA)内に収集される。ここで、nは粗フィルタ通過後の残留TOA結果の数を示す。
【0038】
次に、ステップ405において、各残留TOA結果は、後の処理のために距離(d=TOASpeedultrasound)に変換される。ステップ406おいて、計算されたすべての測定距離が距離値プール(d,d,…,d)に収集される。次に、プロセス400は、残留TOA結果に対してさらに微細フィルタ処理を実行するための領域外値排除プロセスへと進む。
【0039】
このアルゴリズムでは、最小残留TOA測定値が最も信頼性が高いと想定し、それに基づいてすべての距離が昇順でソートされる。最小距離、最大距離は、それぞれd、dで表される(ステップ407)。決定ステップ408では、i=jが満足される場合には、距離値プール内の残留距離値に一致するTOA測定値はすべて信頼できるものであり、後の測位処理(ステップ409)に使用できるという結論を導くことができる。ステップ408においてi≠jと判定された場合には、距離dおよびdに対応するTOA測定値の信頼性は、以下の三角不等式に従ってチェックすることができる。
【数1】

【0040】
すなわち、ステップ410において、距離dとdがd-d>Ei,jを満足するかどうかが判定される。満足する場合には、現在の最大距離dは、信号反射によって発生した異常値である可能性がきわめて高いことになる。そのため、ステップ412において、距離dを排除する必要があり、距離値プール内にある次に大きな距離が考慮される。距離dとdがd-d>Ei,jを満足しない場合には、現在の最大距離dは、超音波信号が直接到達した場合の距離とみなすことが可能であり、それに対応するTOA結果は信頼できると結論づけることができる。そのため、ステップ411では、j=j-1と距離値プール内の次に大きな距離が考慮される。上記プロセスは、プール内のすべての残留距離が信頼できると結論づけられるまで繰り返される。次に、信頼できる距離に対応するTOA測定結果が、以下の測位プロセスのために使用される。
【0041】
図6は、図4に示す適応型測位装置の全動作プロセスの例500を示すフローチャート図である。
【0042】
図6に示すように、プロセス500は、観測結果収集器301がTOAおよびRSSの測定結果を収集するステップ501から開始される。次に、ステップ502において、TOA結果フィルタ304は、図5で説明したフィルタアルゴリズムを使用して、収集したTOA結果のフィルタリングを行う。ステップ503において、フィルタリング後に残ったTOA測定結果数に基づいて異なる測位法が選択される。図4に示すように、位置計算器303は、TOA結果カウンタ302がカウントしたTOA結果数に基づいて異なる位置計算モジュールを選択し、移動体の位置を計算する測位法セレクタ3031を含む。例えば、TOA結果の数が3つ以上の場合にはマルチTOA位置計算器3032が、TOA結果の数が2つの場合には2−TOA位置計算器3033が、TOA結果の数が1つの場合には1−TOA位置計算器3034が、そしてTOA結果がゼロの場合には0−TOA位置計算器3035が、それぞれ呼び出される。TOA結果が1つのみかゼロの場合には、履歴データメモリ305の測位履歴情報を参照して移動体の位置を計算する必要がある。
【0043】
図6に戻ると、ステップ503においてTOA結果が3つ以上あると判定された場合には、ステップ504aに進み、マルチTOA位置計算器3032がTOA三角測量を使用して移動体の位置を計算する。ステップ503においてTOA結果の数が2つの場合には、ステップ504bに進む。このステップでは、TOA結果の数が3未満なので、測位のための参照として測位システムのトポロジー情報を使用する必要がある。そのため、本発明においては、TOA結果を組み合わせて移動体の位置を計算する遠近フィルタが提案される。TOA結果の数が2つの場合の遠近フィルタと測位法については後述する。さらに、ステップ503において、TOA結果の数が1つの場合には、ステップ504cに進む。このステップでは、TOA結果に加えて、取得済みのRSS結果と、履歴データメモリ305の測位履歴情報も測位に使用する必要がある。TOA結果が1つの場合の測位法についても、詳細は後述する。ステップ503においてTOA結果がゼロと判定された場合は、ステップ504dに進む。このステップでは、RSS結果と履歴データメモリ305の測位履歴情報だけが移動体の位置計算に使用される。この詳細についても後述する。次に、ステップ505で移動体の位置の計算結果が出力され、これをもってプロセス500は終了する。
【0044】
以下では、図7、6B、および7〜9を参照しながら、TOA結果の数が3以上、2、1、および0の場合について、移動体の位置計算を行うための適応型TOA/RSS融合測位プロセスについて説明する。

(1)TOA結果≧3の場合
【0045】
通常、3つ以上のTOA測定値が得られた場合には、三角測量を使用して対象の位置を計算することができる。これは、実は、過剰に規定された関数セットを解くための問題である。信頼できるTOA測定値が全部でk個あったとすると、TOA測定値から決定される距離により与えられる制約関数は以下のようになる。
【数2】

ここで、(x,y,z)…(x,y,z)は、信頼できるk個のTOA測定値を提供するリーフ装置の座標、(d,…,d)は対応する測定距離である。
【0046】
【数3】

とすると、
上記方程式(2)は、AX=bと書き換えることができる。この式は最小2乗誤差(LSQ)方式を使用して解くことができ、これにより、第2ノルム||AX-b||2を最小化するためのX=[x,y,z]を見つけることができる。このLSQ問題の正規関数はATX=Abなので、Aが正則行列の場合には、結果は以下のようになる。
X=(ATA)-1ATb (3)
【0047】
上記から、TOA結果の数が3つ以上の場合には、上記方程式(3)を使用して移動体の一意の位置を計算できることが分かる。
【0048】
しかし、上記のように、多辺測量(信頼できるTOA結果すべてを使用して移動体の位置を計算するために使用される)と呼ばれる従来のマルチTOA測定は、PODのような装置に使用された場合には効率が低下することもある。これは、多辺測量アルゴリズムの計算コストは非常に高く、PODでは対応しきれないからである。これを考慮して、本発明の一実施例によれば、移動体の測位結果を最適化する構造的三辺測量法が提供される。
【0049】
具体的には、本発明による構造的三辺測量方式の核心は、TOAの絞り込み(すなわちTOA結果の選択)にある。図7に示すように、本発明によれば、観測結果収集器301により3つ以上のTOA測定結果が収集された場合には、マルチTOA位置計算器3032を呼び出して、三辺測量により移動体の位置を計算することができる。本実施例においては、マルチTOA位置計算器3032に、TOA結果セレクタ601および三辺測量測定手段602を含めることができる。収集したTOA結果の数が4つ以上の場合には、TOA結果セレクタ601は、収集したすべてのTOA結果から、三辺測量用に3つの結果を選択する。次に三辺測量測定ユニット602は、選択した結果に対して三辺測量アルゴリズムを実行して移動体の位置を計算する。
【0050】
ここで、TOA結果の選択は、「TOA結果を収集する受信機同士が離れているほど、局地化の結果は良好になる」という原則に基づいて行うことができる。逆に、受信機同士があまり離れていない(例えば受信機がほとんど1列に並んでいる)場合には、局地化結果にフリップ曖昧性が出現する確率が高くなる。したがって、3つのTOA結果は、「最大分離基準」(より正確な局地化結果を得るために、受信機間の距離をできるだけ長くする)に基づいて選択することができる。「最大分離基準」では、各ペア間の距離が最大となるようにTOA結果を選択する、形成される三角形の面積が最大となる3つのTOA結果を選択する、といったことが可能である。
【0051】
例えば、図8では、PODの場合の「最大分離基準」に基づいたTOA結果の選択例が示されている。ここで、POD装置は、説明を簡略化するための一例として使用されているに過ぎないことは明らかである。本発明の原理は、POD装置の場合に限定されるものではなく、固定トポロジー構造を有するあらゆる装置に適用することができる。また、本発明は、受信機が空間内に分散して配置されている場合にも同様に適用することができる。
【0052】
POD装置の場合、PODが固定した構造のトポロジーを有するため、POD上の3点分布から受信機同士の分離度を簡単に定めることができる。図8に示すように、この例ではPODの形状は六角形となっている。そのため、三辺測量に使用できる3点分布は4種類となる(図8の事例(a)、(b)、(c)、(d))。図8では、ヘッド装置には0、周囲のリーフ装置には順に1〜6の番号が付されている。
【0053】
事例(a)では、例えば受信機(1,3,5)や(2,4,6)が形成する大きな正三角形が3点分布の候補となる。この場合、可能な分布は全部で2種類となる。事例(b)では、例えばノード(1,3,4)や(1,2,4)が形成する三角形を3点分布とすることができる。この場合、可能な分布は全部で12種類となる。事例(c)では、例えばノード(1,2,6)や(0,2,6)が形成する三角形を3点分布とすることができる。この場合も、可能な分布は全部で12種類となる。最後に、事例(d)では、例えばノード(0,1,2)や(0,2,3)が形成する三角形を3点分布とすることができる。この場合、可能な分布は全部で6種類となる。
【0054】
図8に示す例では、受信機の分離度は(a)>(b)>(c)>(d)の順となることは明らかである。したがって、3点分布の分離度は事例(a)の場合に最大になるので、三辺測量と移動体の位置の計算を行う際には、大きな正三角形を形成する3つのTOA結果の優先順位を最も高くする必要がある。逆に、事例(d)は分離度が最小なので、TOA結果を選択する際には(d)の優先順位を最も低くするべきであるが、位置計算に使用できないというわけではない。(1,0,4)などの図8に示した事例以外の3点分布については、正確な位置結果が得られないため、そのTOA結果は廃棄される。
【0055】
当該技術に精通した当業者には、「最大分離基準」の適用はPOD装置に限定されず、固定構造トポロジーや分散した受信機配置を有するあらゆる装置に拡張できることは明らかである。

(2)TOA結果=2の場合
【0056】
TOA結果が2つしかない場合には、TOA結果の数が3未満のため、従来の三角測量を使用することはできない。本発明は、一意の正確な位置推定を可能にするため、システムのトポロジー情報を利用して、移動体の位置計算に必要な制約条件を三角測量アルゴリズムに与える遠近フィルタを提案する。この場合、基本的な想定は、移動体はz軸方向には低速で移動するということである。ここでは、最も近いzの履歴推定値をzとし、z=zとする。この想定により、3次元の問題が2次元の問題になり、距離測定値によって与えられた関数は以下の式で表すことができる。
【数4】

上記の関数を解くことにより、2つの曖昧解が得られる。図9に示すように、この2つの解は、2つの観測円C1およびC2の交点X1、X2となる。ここで、2つの観測円C1およびC2は、z=z平面上で定義され、それぞれ、対応する1番目および2番目のTOA結果を提供する受信機(ヘッド装置またはリーフ装置)をその中心とし、
【数5】

、および
【数6】

を半径とする円である。ここで、l1,TOAおよびl2,TOAは、それぞれ1番目および2番目のTOA結果に対応する距離である。図9に示す2つの交点X1およびX2は、それぞれX={x’,y’}、X={x’,y’}として示される。本発明によれば、曖昧な結果から一意の解を見つけ出すという概念は、移動体とTOA測定値を提供しないリーフ装置との距離は、超音波の検出可能距離を超えているはずだという想定に基づいている。超音波の検出可能距離は、送信機から発信される超音波を受信機が受信可能な範囲内の距離として定義される。この距離は、送信機の出力や信号対雑音比などに関連するスカラ値である。ここでは、この距離をUで表す。
【0057】
したがって、本発明によれば、TOA検出結果を提供しないすべてのリーフ装置の中から無作為に1つのリーフ装置(Aとする)を選択し、このリーフ装置と2つの推定位置(X、X)との距離を計算することができる。ここでは、AX≦UおよびAX>Uとするが、これにより一般性が失われることはない。この場合、XはAの検出可能距離を超えており、一意の位置推定として決定される。あるいは、AX>U,AX>UまたはAX≦U,AX≦Uであれば、TOA検出結果を提供しない別のリーフ装置が選択され、移動体の一意の位置推定が決定されるまで、このチェックが繰り返される。したがって、TOA結果の数が2つの場合には、測位システムのトポロジー情報を使って三角測量を支援することにより、移動体の位置を決定することができる。

(3)TOA結果=1の場合
【0058】
TOA結果が1つしかない場合には、ヘッド装置(またはタグ装置)によって記録された無線信号強度(RSS)結果を、移動体の位置決定を支援するための追加領域指標として使用することができる。本発明のアルゴリズムでは、マルチパスフェーディング効果に応じて調整されたRSS距離モデルが選択されている。
【数7】

ここで、mは距離の増大に伴う伝送路損失の増加率、P(d)は基準距離dにおける信号電力、dは送信機−受信機間の距離を表す。Cは、減衰係数に差が生じるまでの最大障害物(壁)数、nWは送信機−受信機間の障害物(壁)数、WAFは壁の減衰係数である。一般に、mとWAFの値は、ビルのレイアウトと建築材料に依存し、経験的に導かれる。P(d)の値は経験的に導くか、またはハードウェアの仕様から得ることができる。
【0059】
図10に示すように、TOA測定が1つしかない場合には、TOAに基づいた距離と式(5)により計算された距離とにより、z=z平面上にそれぞれCTOAおよびCRSSで表される2つの観測円を定めることができる。ここでは、TOA結果が2つある場合と同様に、移動体はz軸方向に低速で移動すると想定する。一方の円CTOAは、TOA結果に基づいて規定され、TOA結果が得られたリーフ装置をその中心とし、距離
【数8】

を半径とする円である(TOA円)。ここで、lTOAはTOA結果に対応する距離である。もう一方の円CRSSは、RSS結果に基づいて規定され、ヘッド装置をその中心とし、距離
【数9】

を半径とする円である(RSS円)。ここで、lRSSはRSS結果に対応する距離である。図10に示すように、RSSに基づく距離測定値は変動が大きいため、RSS円は実際には円ではなく環である。ここでは、環の幅を2σとする。TOA円とRSS円には、2つの交点ではなく、互いに交差する2つの弧が存在する。一意の位置を決定するために利用できるもう1つの情報は、履歴データメモリ305から取得される履歴位置推定である。具体的には、2つの交差する弧を得た後、その2つの弧上で、信頼できる履歴位置に最も近い点を見つけることにより、移動体の一意の位置が推定される。信頼できる履歴位置は、例えば、2つ以上のTOAにより計算される位置であり、信頼性の高い位置推定であると考えられる。したがって、このプロセスは、以下の式(6)で表される。
Xest=argmin||Xi-Xprevious||2(iは交差する弧上の点を示す) (6)

(4)TOA結果が0の場合
【0060】
TOA結果がゼロの場合には、RSS結果しか使用できない。この場合は、位置推定を支援するものとして、履歴位置推定を利用できる。図11に示すように、図10のTOA結果が1つの場合と同様に、RSS結果に基づいて、z=z平面上で、ヘッド装置をその中心とし、半径
【数10】

のRSS円を定めることができる。ここで、lRSSはRSS結果に対応する距離である。この場合、RSS円上にあるすべての候補の中から信頼できる履歴位置に最も近い位置を見つけることによって、移動体の一意の位置が特定される。
【0061】
RSSに基づく距離測定はRFのマルチパス効果に影響されて不安定なため、RSS情報のみに基づいた位置推測はきわめて信頼性が低く、例えば人間が移動しているような複雑な環境では特に信頼性が低くなる。そのため、このRSSベースの方式は、本発明の適応型測位法の中ではワーストケースとなる。しかし現実には、RFだけを受信しTOA結果は受信しないというケースは、測位システムの中心から遠い場所で常に発生する。RSS結果しか受信しないというケースをできるだけ回避するためには、監視領域内に展開する検出器(PODなど)の数を増やすことが推奨される。これにより、POD間の融合によって、位置推定に必要な、より信頼性の高いTOA情報を提供することができる。
【0062】
これまで、添付図面を参照しつつ、本発明に基づくTOAおよびRSSの融合による適応型測位方法、装置、およびシステムについて説明してきた。上記の説明から、本発明には以下の技術的効果があることが明らかである。
【0063】
本発明では、信頼性の高いTOA検出結果数とRSSに基づいて適応的に適応型測位アルゴリズムを選択することができる。さらに、本発明は、TOA測定値の異常値を排除するための高速異常値排除アルゴリズムも提案することにより、測位の安定性を改善している。
【0064】
従来の三角測量では、1つの位置を決定するために少なくとも3つのTOA結果が必要とされていたが、本発明の適応型測位システムにこのような制約はない。取得できるTOA測定値が3つ以上の場合には、適応型測位システムの精度は従来の三角測量と同じである。TOA検出結果が2つしかない(従来の三角測量では解を得られない)場合においても、本発明のシステムでは、提案される遠近フィルタに基づいて正確な結果を得ることができる。また、TOA測定値が1つかゼロの場合でも、本発明のシステムの精度は、従来の純粋なRSSベースの測位方式よりもはるかに良好である。
【0065】
本発明の適応型測位法は、追跡モードのシステムだけでなく、ナビゲーションモードのシステムにも適用が可能である。そのため、測位システムは、測位精度を十分に保ちながら、より低い展開密度で高度なカバレッジ拡張姓を実現することができる。さらに、本発明の融合法は、より多くのTOAおよびRSS測定結果に対応して拡張することもできる。
【0066】
また、本発明の適応型測位システムでは、システムコストが大幅に低廉化され、計算集約度もきわめて低い。
【0067】
添付図面を参照しながら本発明の特定の実施例を説明してきたが、本発明は、添付図面に示された特定の構成および処理に限定されるものではない。また、説明を簡潔にするために、ここでは、既存の方式および技術についての説明は省略している。
【0068】
また、上記の実施例では、いくつかの具体的なステップを例示したが、本発明の方法のプロセスはこれらのステップに限定されるものではない。これらのステップは、本発明の精神と実質的な特性から逸脱することなく変更、修正、補完が可能であり、また一部ステップについては順序の入れ替えも可能なことは、当業者には理解されるであろう。
【0069】
上記では本発明を特定の実施例を参照して説明したが、本発明は上記の特定の実施例や、図面に示した特定の構成に限定されるものではない。例えば、図示した一部のコンポーネントは、互いに組み合わせて1つのコンポーネントとしたり、1つのコンポーネントを複数のサブコンポーネントに分割したり、他の既知のコンポーネントを追加したりすることもできる。また、動作プロセスも同様に、例に示されたものに限定されない。本発明はその精神と主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形態で実装できることは、当該技術に精通した当業者により理解されるであろう。したがって、本発明の実施例はあらゆる点において例示的であり、限定的なものではない。本発明の範囲は前述の説明よりむしろ付記した特許請求の範囲に示されており、各請求項と等価な意味と範囲に含まれるあらゆる変更がそれに包含される。
【符号の説明】
【0070】
101:適応型測位装置
102:タグ装置
103:ヘッド装置
104:リーフ装置
110:移動体
111:中央情報サーバ
120:検出装置
300:適応型測位装置
301:観測結果収集器
302:TOA結果カウンタ
303:位置計算器
304:TOA結果フィルタ
305:履歴データメモリ
3031:測位法セレクタ
3032:マルチTOA位置計算器
3033:2−TOA位置計算器
3034:1−TOA位置計算器
3034:0−TOA位置計算器
601:TOA結果セレクタ
602:三辺測量測定手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
適応型対象体測位方法であって、
対象から発信された信号の到達時刻(TOA)と受信信号強度(RSS)とを収集し、
収集したTOAの数を判定し、入力されたTOAの数に基づいて対象の位置を計算するための測位法を選択し、
選択した測位法を使用して対象の位置を計算することを特徴とする適応型対象測位方法。
【請求項2】
前記TOAは、前記対象から送信された超音波信号から取得され、前記RSSは、前記対象から送信されたRF信号から取得することを特徴とする請求項1に記載の適応型対象測位方法。
【請求項3】
前記対象の位置を計算する測位法は、
前記TOAの数が2より大きい場合、TOAベースの三角測量で前記対象の位置を計算する、
前記TOAの数が2である場合、測位システムの相対的な距離情報に関連してTOAを利用することにより、前記対象の位置を決定する、
前記TOAの数が1である場合、前記対象の位置として信頼できる履歴位置に近い位置を見つけるために前記TOAおよびRSSを利用する、
前記TOAの数が0である場合、前記対象の位置として信頼できる履歴位置に近い位置を見つけるために前記RSSを利用する、
測位法のグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載の適応型対象測位方法。
【請求項4】
前記フィルタリングステップが、
所定の範囲から外れたTOAを削除するために収集した前記TOAについて粗フィルタリングを実行するステップと、
粗フィルタリングを行った前記TOAに対して、高速外れ値排除アルゴリズムを適用するステップを含み、
前記高速外れ値排除アルゴリズムが、
各TOAに対応する距離を計算し、それらの距離を昇順にソートするステップと、
最小距離を取得するステップと、
最大距離と最小距離に対して三角不等式判定を適用し、三角不等式判定を満たす場合、全ての距離を保存し、高速外れ値排除アルゴリズムを終了し、三角不等式判定を満たさない場合、残りの距離が全て三角不等式判定を満たすまで、最大距離を削除し、次の最大距離に対する三角不等式判定を繰り返すステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の適応型対象測位方法。
【請求項5】
前記TOAの数が2より大きい場合、
収集したTOAから、選択したTOAを受け取る位置間の分離度を最大にする最大分離基準を満たす3つのTOAを選択し、
前記対称の位置を計算するために選択された3つのTOAに三辺測量を適用することにより、前記対象の位置を計算することを特徴とする請求項3に記載の適応型対象測位方法。
【請求項6】
前記最大分離基準は、3つの選択されたTOAを受け取る位置間の平均距離あるいはその位置から形成される三角形の面積を最大にする基準であることを特徴とする請求項5に記載の適応型対象測位方法。
【請求項7】
前記TOAの数が2である場合、
対象z=zとする3次元空間を定義し、
z = zh平面上で、
【数11】


【数12】

をそれぞれ半径とし、第1のTOA及び第2のTOAを提供する観測器を中心とする2つの観測円を決定し(ここで、l1,TOAおよびl2,TOAは、それぞれ1番目および2番目のTOA結果に対応する距離)、
2つの候補位置X、Xとして、2つの観測円の交点を決定し、
2つの候補位置X1およびX2からTOAを提供しない観測器Aへの距離をAX1とAX2として測定し、
AX≦UおよびAX>Uである場合、候補位置X2を対象の位置として決定する(ここで、Uは観測器が超音波を検出可能な距離を示す)ことにより、
前記対象の位置を計算することを特徴とする請求項3に記載の適応型対象測位方法。
【請求項8】
前記TOAの数が1である場合、
対象z=zとする3次元空間を定義し、
z = zh平面上で、
【数13】

を半径とし、RSSを提供する観測器を中心とする観測円(ここで、lRSSはRSS結果に対応する距離)と、
【数14】

を半径とし、TOAを提供する観測器を中心とする観測円(ここで、lTOAはTOA結果に対応する距離)の2つの観測円を決定し、
2つの観測円が交わる部分から、信頼できる履歴位置に近い位置を対象の位置として決定することにより、
前記対象の位置を計算することを特徴とする請求項3に記載の適応型対象測位方法。
【請求項9】
前記TOAの数が0である場合、
対象z=zとする3次元空間を定義し、
z = zh平面上で、
【数15】

を半径とし、RSSを提供する観測器を中心とする観測円(ここで、lRSSはRSS結果に対応する距離)を決定し、
前記観測円に沿って、信頼できる履歴位置に近い位置を対象の位置として決定することにより、
前記対象の位置を計算することを特徴とする請求項3に記載の適応型対象測位方法。
【請求項10】
適応型対象測位装置であって、対象から発信された信号の到達時刻(TOA)と受信信号強度(RSS)とを収集する観測結果収集器と、
収集したTOAの数を判定するTOA結果カウンタと、
入力されたTOAの数に基づいて対象の位置計算法を選択し、選択した計算法を使用して対象の位置を計算する位置計算器と
を備えること特徴とする適応型対象測位装置。
【請求項11】
前記対象に関する履歴位置情報を格納する履歴データメモリを備えることを特徴とする請求項10に記載の適応型対象測位装置。
【請求項12】
TOAの数に従って対象の位置を計算するための測位法を選択する測位法セレクタと、
前記TOAの数が2より大きい場合、TOAベースの三角測量で前記対象の位置を計算するマルチTOA位置計算器と、
前記TOAの数が2である場合、測位システムの相対的な距離情報に関連してTOAを利用することにより、前記対象の位置を決定する2−TOA位置計算器と、
前記TOAの数が1である場合、前記対象の位置として信頼できる履歴位置に近い位置を見つけるために前記TOAおよびRSSを利用する1−TOA位置計算器と、
前記TOAの数が0である場合、前記対象の位置として信頼できる履歴位置に近い位置を見つけるために前記RSSを利用する0−TOA位置計算器とを備えることを特徴とする請求項10に記載の適応型対象測位装置。
【請求項13】
全てのTOAからの外れ値をフィルタリングために収集したTOAをフィルタリングするTOAフィルタを備えることを特徴とする請求項10に記載の適応型対象測位装置。
【請求項14】
前記マルチTOA位置計算器が、
収集したTOAから、3つの選択されたTOAを受け取る位置間の平均距離あるいはその位置から形成される三角形の面積を最大にする基準である最大分離基準を満たす3つのTOAを選択するTOAセレクタと、
前記対称の位置を計算するために選択された3つのTOAに三辺測量を適用する三辺測量測定ユニットとを備えることを特徴とする請求項12に記載の適応型対象測位装置。
【請求項15】
適応型対象測位システムであって、
第1の信号の発信と検出を行う第1信号トランシーバおよび第2の信号の発信と検出を行う第2信号トランシーバを備える検出装置と、
第1の信号の発信と検出を行う第1信号トランシーバおよび第2の信号の発信と検出を行う第2信号トランシーバを備える、対象に装着されたタグ装置と、
前記第1の信号の到達時刻(TOA)および前記第2の信号の受信信号強度(RSS)に基づいて前記対象の位置を計算するための測位法を適応的に選択する適応型測位装置と
を備えることを特徴とする適応型対象測位システム。
【請求項16】
前記適応型測位装置が、
適応型対象測位装置であって、対象から発信された信号の到達時刻(TOA)と受信信号強度(RSS)とを収集する観測結果収集器と、
収集したTOAの数を判定するTOA結果カウンタと、
入力されたTOAの数に基づいて対象の位置計算法を選択し、選択した計算法を使用して対象の位置を計算する位置計算器と
を備えること特徴とする請求項15に記載の適応型対象測位システム。
【請求項17】
中央情報サーバを備え、前記中央情報サーバが前記適応型測位装置を含むことを特徴とする請求項15に記載の適応型対象測位システム。
【請求項18】
前記適応型測位装置は、検出装置又は対象装置に含まれることを特徴とする請求項15に記載の適応型対象測位システム。
【請求項19】
請求項15によるシステムを利用して対象を追跡する対象追跡方法であって、
前記対象装置が、前記第2の信号を発信するステップと、
前記検出装置が、前記第2の信号のRSSを検出して記録するステップと、
前記対象装置が、前記第1の信号を発信するステップと、
前記検出装置が、前記第1の信号のTOAを検出して記録するステップと、
前記適応型測位装置が、前記TOAと前記RSSを受信して前記対象の位置を計算するステップと
を含むことを特徴とする対象追跡方法。
【請求項20】
前記検出装置が、前記第2の信号に従って前記対象装置と時間を同期させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項19に記載の対象追跡方法。
【請求項21】
請求項15によるシステムを利用して対象を追跡する対象追跡方法であって、
前記検出装置が、前記第2の信号を発信するステップと、
前記対象装置が、前記第2の信号のRSSを検出して記録するステップと、
前記検出装置が、前記第1の信号を発信するステップと、
前記対象装置が、前記第1の信号のTOAを検出して記録するステップと、
前記適応型測位装置が、前記TOAと前記RSSを受信して前記対象の位置を計算するステップと
を含むことを特徴とする対象追跡方法。
【請求項22】
前記対象装置が、前記第2の信号に従って前記検出装置と時間を同期させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項21に記載の対象追跡方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−210582(P2009−210582A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−48007(P2009−48007)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(505418870)エヌイーシー(チャイナ)カンパニー, リミテッド (108)
【氏名又は名称原語表記】NEC(China)Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】