説明

TRPV4チャネル受容体のアゴニストとしてのピペラジン化合物

本発明は、TRPV4チャネル受容体に関連する疾患の治療に有用な新規化合物に関する。より詳細には、本発明は、式(I)に示されるある特定の置換ピペラジン類に関する。式(I)


[式中、Zが結合またはNHであり;Rがアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり;RがH、置換されていてもよいC1−6アルキル、または置換されていてもよいC2−6アルケニルであり;RおよびRが独立して、H、置換されていてもよいC1−6アルキル、またはアリールであり;RがHまたは置換されていてもよいC1−6アルキルであり;RがHまたはC1−6アルキルであり;RがHまたはC1−6アルキルであり;XおよびX’が独立して、OまたはHであるか;またはここに、RおよびRが一緒になって、モルホリニル、ピペラジニル、またはアジリジニル環の一部を形成する]の化合物およびその医薬上許容される塩が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、TRPV4チャネル受容体に関連する疾患の治療に有用な新規化合物に関する。より詳細には、本発明は、TRPV4チャネル受容体のアゴニストであるある特定の置換ピペラジン類に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
軟骨は、軟骨細胞と呼ばれる特殊化された細胞によって占められる無血管組織であり、多様な機械的および生化学的刺激に応答する。軟骨は、関節の内面、間質結合組織および基底膜に存在し、II型コラーゲン、プロテオグリカン、フィブロネクチンおよびラミニンを包含する数種のマトリックス成分からなる細胞外マトリックスからなる。
【0003】
正常な軟骨において、細胞外マトリックス合成は細胞外マトリックス分解によって相殺され、その結果、正常なマトリックスターンオーバーがもたらされる。受けるシグナルにもよるが、その後の応答は、同化作用(マトリックス産生および/または修復に至る)または異化作用(マトリックス分解、細胞アポトーシス、機能喪失、および疼痛に至る)のいずれかでありうる。
【0004】
TRPV4チャネル受容体は、一過性受容体潜在的チャネルのバニロイドファミリーの6つの既知メンバーの一つであり、TRPV1、カプサイシン受容体に対しヌクレオチドレベルで51%の同一性を有する。ヒト由来のTRPV4チャネル受容体を包含するヒトバニロイド受容体のポリペプチドおよびポリヌクレオチドコード化形態の例は、EP1170365ならびにWO 00/32766に見出すことができる。他のファミリーメンバーのように、TRPV4チャネル受容体は、Ca2+透過性非選択的リガンド依存性カチオンチャネルであり、それは、オスモル濃度減少、温度上昇および小型分子リガンドなどの多様な刺激に応答する。例えば、Voetsら、J.Biol.Chem.(2002)277 33704−47051、Watanabeら、J.Biol.Chem.(2002)277:47044−47051、Watanabeら、J.Biol.Chem.(2002)277:13569−47051、Xuら、J.Biol.Chem.(2003)278:11520−11527を参照のこと。体組織のスクリーンに基づくと、ヒトTRPV4チャネル受容体は、軟骨において最も顕著に発現されている。初代およびクローン細胞培養のスクリーンは、軟骨細胞においてのみ有意な発現を示す。
【0005】
圧迫障害および/または炎症性メディエーター(例えば、炎症性サイトカイン)への曝露に応答して、軟骨細胞はマトリックス産生を減らし、複数のマトリックス分解酵素の産生を増加する。マトリックス分解酵素の例は、アグリカナーゼ(ADAMTSs)およびマトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)を包含する。これらの酵素の活性は、軟骨マトリックスの分解をもたらす。アグリカナーゼ(ADAMTSs)は、MMPsと共に、アグリカン、関節軟骨に存在する凝集性プロテオグリカンを分解する。骨関節炎(OA)に罹った関節軟骨において、プロテオグリカン染色の喪失は、初期OAにおいて表面ゾーンにおいて観察され、中程度ないし重篤なOAにおいて軟骨侵食領域に隣接する。プロテオグリカン含量の減少は、コラゲナーゼと呼ばれる特殊化MMPs(例えば、MMP−13)によるII型コラーゲンの分解の増加に関連する。コラゲナーゼは、無傷コラーゲンの三重らせん内での最初の切断をもたらすと考えられる。コラゲナーゼによるコラーゲンの最初の切断により、他のプロテアーゼによるコラーゲン原線維のさらなる分解が容易になると仮定される。かくして、マトリックス分解酵素の産生増加を防止または減少させること、および/またはマトリックス産生の阻害を軽減することは、また、機能的回復を促進しうる。TRPV4チャネル受容体の調節は、軟骨分解の軽減ならびにマトリックス分解酵素の産生の減少または軽減において役割を果たすことが示された。PCT公開第WO2006/029209号を参照のこと。
【0006】
細胞外マトリックスの過度の分解は、疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、術後疼痛、関節リウマチ、骨関節炎、神経痛、神経障害、痛覚過敏、神経損傷、虚血、神経変性、軟骨変性、卒中、失禁、炎症性障害、過敏性大腸症候群、肥満、歯周疾患、異所性脈管形成、腫瘍浸潤および転移、角膜潰瘍を包含する多くの疾患の病因および糖尿病の合併症に関係する。
【0007】
かくして、TRPV4チャネル受容体を調節するのに有用な新規な化合物を見出す必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明の概要
本発明は、TRPV4チャネル受容体と関連する疾患の治療に有用な下記の式(I)の化合物を含む。本発明は、また、式(I)の化合物および医薬上許容される担体を含む医薬組成物である。本発明は、また、哺乳動物、特にヒトにおいてTRPV4チャネル受容体に関連する疾患を治療する方法である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
詳細には、本発明は、式I:
【化1】

[式中
Zは、結合またはNHであり;
は、アリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり;
はH、置換されていてもよいC1−6アルキル、または置換されていてもよいC2−6アルケニルであり;
およびRは、独立して、H、置換されていてもよいC1−6アルキル、またはアリールであり;
は、Hまたは置換されていてもよいC1−6アルキルであり;
は、HまたはC1−6アルキルであり;
は、HまたはC1−6アルキルであり;
XおよびX’は、独立して、OまたはHであるか;または
ここに、RおよびRが一緒になって、モルホリニル、ピペラジニル、またはアジリジニル環の一部を形成する]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩に向けられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
発明の詳細な記載
本発明の記載中、化学元素は、元素周期表にしたがって同定される。本明細書中で使用される略語および記号は、化学分野における技術者によるかかる略語および記号の一般的な使用にしたがう。例えば、ある特定の基は、本明細書中において、以下のように略される。「t−Bu」は第三級ブチル基を示し、「Boc」はt−ブチルオキシカルボニル基を示し、「Fmoc」はフルオレニルメトキシカルボニル基を示し、「Ph」はフェニル基を示し、「Cbz」はベンジルオキシカルボニル基を示す。さらに、ある特定の試薬は、本明細書中において以下のように略される。「m−CPBA」は3−クロロペルオキシ安息香酸を意味し、「EDC」はN−エチル−N’(ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドを意味し、「DMF」はジメチルホルムアミドを意味し、「DMSO」はジメチルスルホキシドを意味し、「TEA」はトリエチルアミンを意味し、「TFA」はトリフルオロ酢酸を意味し、「THF」はテトラヒドロフランを意味する。
【0011】
用語および定義
「C−Cアルキル」なる語は、本明細書中で使用される場合、全ての事象にて、鎖長が限定されない限り(例えば、C−Cは1〜4個の炭素原子からなる基を意味する)、1〜6個の炭素原子からなる置換および非置換の直鎖または分枝鎖基を意味し、限定するものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルおよびt−ブチル、ペンチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびヘキシルおよびその異性体を包含する。
【0012】
「C−Cアルコキシ」なる語は、本明細書中で使用される場合、全ての事象にて、鎖長が限定されない限り(例えば、C−Cは、1〜4個の炭素原子からなる基を意味する)、1〜6個の炭素原子からなる、酸素原子に結合した直鎖または分枝鎖基を意味し、限定するものではないが、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシなどを包含する。
【0013】
本明細書中に定義される置換基において、「アルキル」および「アルコキシ」なる語は、また、一価および二価の両方の直鎖または分枝炭素鎖基を意味する。例えば、「C−Cヒドロキシアルキル」なる語は、結合配置「HO−CH−」または「HO−CH(CH)CHCH−」を有する置換基を包含することを意味し、「Ph−C−Cアルコキシ」なる語は、結合配置「Ph−CH−O−」または[Ph−(CH)CH−O−」を有する置換基を包含することを意味する。対照的に、「C」なる語は、アルキル基のないことを示し、例えば、基Ph−C−Cアルコキシにおいて、Cが0のとき、該置換基はフェノキシであることができ、基Ph−C−Cアルキルにおいて、Cが0のとき、該置換基はフェニルであることができる。
【0014】
本明細書中で定義されるアルキルおよびアルコキシ置換基/部分は、非置換であってもよく、または置換されていてもよい。
【0015】
「アルキル」なる語は、飽和炭化水素鎖を示す。アルキル基は、本明細書中で定義される1以上の置換基で置換されていてもよい。接頭辞「C1−x」または「C−C」をアルキルと共に使用する場合、それは、1〜x個のメンバー原子を有するアルキル基を示す。例えば、C1−6アルキルは、1〜6個のメンバー原子を有するアルキル基を示す。アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。代表的な分枝鎖アルキル基は、1、2または3個の分枝を有する。アルキルは、メチル、エチル、プロピル(n−プロピルおよびイソプロピル)、ブチル(n−ブチル、イソブチルおよびt−ブチル)、ペンチル(n−ペンチル、イソペンチル、およびネオペンチル)、およびヘキシルを包含する。別記しない限り、C1−6アルキル(または(C1−6)アルキル)なる語は、単独で使用される場合または他の基の一部を形成する場合(例えば、「アルコキシ」基)、1〜6個の炭素原子を含有する置換または非置換の直鎖または分枝鎖アルキル基を包含する。
【0016】
「アルケニル」なる語は、鎖内に1以上の炭素−炭素二重結合を有する不飽和炭化水素鎖を示す。ある特定の具体例において、アルケニル基は、鎖内に1個の炭素−炭素二重結合を有する。他の具体例において、アルケニル基は、鎖内に1以上の炭素−炭素二重結合を有する。アルケニル基は、本明細書中に定義される1以上の置換基で置換されていてもよい。接頭辞「C2−x」または「C−C」をアルケニルと共に使用する場合、それは、2〜x個のメンバー原子を有するアルケニル基を示す。例えば、C−Cアルケニル(または(C2−6)アルケニル)は、2〜6個のメンバー原子を有するアルケニル基を示す。アルケニル基は、直鎖または分枝鎖であってもよい。代表的な分枝鎖アルケニル基は、1、2または3個の分枝を有する。限定するものではないが、アルケニルは、エチレニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニルおよびヘキセニルを包含する。
【0017】
「アルキニル」なる語は、鎖内に1以上の炭素−炭素三重結合を有する不飽和炭化水素鎖を示す。ある特定の具体例において、アルキニル基は、鎖内に1個の炭素−炭素三重結合を有する。他の具体例において、アルキニル基は鎖内に1以上の炭素−炭素三重結合を有する。明瞭にするために、鎖内に1以上の炭素−炭素三重結合を有し、かつ、鎖内に1以上の炭素−炭素二重結合を有する不飽和炭化水素鎖はアルキニル基である。アルキニル基は、本明細書中に定義される1以上の置換基で置換されていてもよい。接頭辞「C2−x」または「C−C」をアルキニルと共に使用する場合、それは、2〜x個のメンバー原子を有するアルキニル基を示す。例えば、C2−C6アルキニル(または(C2−6)アルキニル)は、2〜6個のメンバー原子を有するアルキニル基を示す。アルキニル基は、直鎖または分枝鎖であってもよい。代表的な分枝鎖アルキニル基は、1、2または3個の分枝を有する。限定するものではないが、アルキニルは、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルおよびヘキシニルを包含する。
【0018】
「アミノ酸」なる語は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンのD−またはL−異性体を示す。
【0019】
「アリール」または「Ar」なる語は、置換されていてもよいフェニルまたはナフチルを意味する。
【0020】
「シクロアルキル」なる語は、単環式飽和炭化水素環系を示す。シクロアルキル基は、本明細書中で定義される1以上の置換基で置換されていてもよい。接頭辞「C3−x」または「C−C」をシクロアルキルと共に使用する場合、それは、3〜x個のメンバー原子を有するシクロアルキル基を示す。例えば、C−Cシクロアルキルは、3〜6個のメンバー原子を有するシクロアルキル基を示す。限定するものではないが、シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロへキシルを包含する。
【0021】
「シクロアルケニル」なる語は、単環式不飽和炭化水素環系を示す。ある特定の具体例において、シクロアルケニル基は、環内に1個の炭素−炭素二重結合を有する。他の具体例において、シクロアルケニル基は、環内に1以上の炭素−炭素二重結合を有する。しかしながら、シクロアルケニル環は芳香族ではない。シクロアルケニル基は、本明細書中で定義される1以上の置換基で置換されていてもよい。接頭辞「C3−x」または「C−C」と共にシクロアルケニルを使用する場合、それは、3〜x個のメンバー原子を有するシクロアルケニル基を示す。例えば、C−Cシクロアルケニルは、3〜6個のメンバー原子を有するシクロアルケニル基を示す。シクロアルケニルは、限定するものではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルを包含する。
【0022】
「エナンチオマー的に豊富な」なる語は、そのエナンチオマー過剰率が0より大きい生成物を示す。例えば、エナンチオマー的に豊富とは、そのエナンチオマー過剰率が約50%eeより大きい、約75%eeより大きい、約90%eeより大きい生成物を示す。
【0023】
「エナンチオマー過剰率」または「ee」なる語は、1のエナンチオマーの他のエナンチオマーに対する過剰度をパーセンテージで表したものである。結果として、ラセミ混合物中に両方のエナンチオマーが等量で存在するので、エナンチオマー過剰率は0(0%ee)である。しかしながら、1のエナンチオマーが生成物の95%を構成するくらい豊富である場合、該エナンチオマーの過剰率は90%eeであろう(豊富なエナンチマーの量95%から他のエナンチオマーの量5%を減じた)。
【0024】
「エナンチオマー的に純粋」なる語は、そのエナンチオマー過剰率が100%eeの生成物を示す。
【0025】
「ジアステレオマー」なる語は、少なくとも2つのキラル中心を有する化合物を示す。
「ジアステレオマー過剰率」または「de」なる語は、1のジアステレオマーの他のジアステレオマーに対する過剰度をパーセンテージで表したものである。
「ジアステレオマー的に純粋」なる語は、そのジアステレオマー過剰率が100%deである生成物を示す。
【0026】
「半減期」なる語は、一の物質の量の半分がイン・ビトロまたはイン・ビボで別の化学的に別個の種に変換されるのに必要な時間を示す。
【0027】
「ハロ」または「ハロゲン」なる語は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを示す。
「ハロアルキル基」は、1−3個のハロゲン原子を包含する。
【0028】
「ヘテロアリール」なる語は、環においてメンバー原子として1〜4個のヘテロ原子を含有している芳香環を示す。1以上のヘテロ原子を含有するヘテロアリール基は、異なるヘテロ原子を含有していてもよい。ヘテロアリール基は、本明細書中で定義される1以上の置換基で置換されていてもよい。ヘテロアリール基は、単環式環系であるか、または縮合、スピロもしくは架橋二環式環系である。単環式ヘテロアリール環は、5〜7個のメンバー原子を有する。二環式ヘテロアリール環は、7〜11個のメンバー原子を有する。二環式ヘテロアリール環は、フェニルと単環式ヘテロシクロアルキル環が結合して縮合、スピロまたは架橋二環式環系を形成している環、および単環式ヘテロアリール環と単環式シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリール環が結合して縮合、スピロまたは架橋二環式環系を形成している環を包含する。限定するものではないが、ヘテロアリールは、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、フラニル、フラザニル、チエニル、トリアゾリル、テトラヒドロフラニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、インダゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、プテリジニル、シンノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル(ベンゾ[b]チオフェニルまたはベンゾチオフェニルともいう)、フロピリジニル、およびナフチリジニルを包含する。ヘテロアリール環上の置換基は、3個までの置換基であってもよく、独立して、例えば、(C1−4)アルキルチオ、ハロ、カルボキシ(C1−4)アルキル、ハロ(C1−4)アルコキシ、ハロ(C1−4)アルキル、(C1−4)アルキル、(C2−4)アルケニル、(C1−4)アルコキシカルボニル、ホルミル、(C1−4)アルキルカルボニル、(C2−4)アルケニルオキシカルボニル、(C2−4)アルケニルカルボニル、(C1−4)アルキルカルボニルオキシ、(C1−4)アルコキシカルボニル(C1−4)アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ(C1−4)アルキル、メルカプト(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アミノまたはアミノカルボニル、(C1−4)アルキルスルホニル、(C2−4)アルケニルスルホニル、またはアミノスルホニル(ここに、アミノ基は、(C1−4)アルキルまたは(C2−4)アルケニルによって置換されていてもよい)、フェニル、フェニル(C1−4)アルキルまたはフェニル(C1−4)アルコキシを包含する。置換基はシアノおよび(C1−4)アルキルを包含する。
【0029】
「ヘテロ原子」なる語は、窒素、硫黄または酸素原子を示す。
「ヘテロシクロアルキル」なる語は、環のメンバー原子として1〜4個のヘテロ原子を含有する飽和または不飽和環を示す。しかしながら、ヘテロシクロアルキル環は、芳香族ではない。1以上のヘテロ原子を含有するヘテロシクロアルキル基は、異なるヘテロ原子を含有していてもよい。ヘテロシクロアルキル基は、本明細書中で定義される1以上の置換基で置換されていてもよい。ヘテロシクロアルキル基は、単環式環系であり、または縮合、スピロ、または架橋二環式環系である。単環式ヘテロシクロアルキル環は、5〜7個のメンバー原子を有する。二環式ヘテロシクロアルキル環は、7〜11個のメンバー原子を有する。ある特定の具体例において、ヘテロシクロアルキルは飽和である。他の具体例において、ヘテロシクロアルキルは、不飽和であるが、芳香族ではない。ヘテロシクロアルキルは、限定するものではないが、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チアモルホリニル、アゼピニル、1,3−ジオキソラニル、1,3−ジオキサニル、1,4−ジオキサニル、1,3−オキサチオラニル、1,3−オキサチアニル、1,3−ジチアニル、アザビシクロ[3.2.1]オクチル、アザビシクロ[3.3.1]ノニル、アザビシクロ[4.3.0]ノニル、およびオキサビシクロ[2.2.1]ヘプチルを包含する。
【0030】
「メンバー原子」なる語は、鎖または環を形成する原子を示す。1以上のメンバー原子が鎖または環内に存在する場合、各メンバー原子は、該鎖または環において隣接するメンバー原子と共有結合している。鎖または環上の置換基を形成する原子は、該鎖または環のメンバー原子ではない。
【0031】
「置換されていてもよい」なる語は、基、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリールが本明細書中で定義される1〜3個の置換基で置換されていてもよいことを示す。基に関して「置換されていてもよい」とは、非置換基を包含する(例えば、「置換されていてもよいC1−C4アルキル」とは、非置換のC1−C4アルキルを包含する)。「置換」なる語が、かかる置換が置換された原子および置換基の許容される原子価にしたがい、かつ、該置換が安定な化合物(すなわち、再配置または環化によるような変換を自発的に行わないもの)をもたらすという暗黙の条件を含むことは理解されるべきである。単一原子は、かかる置換が原子の許容される原子価にしたがうかぎり、1以上の置換基で置換されていてもよい。適当な置換基は、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−CH(R)OR、−SR、−S(O)R、−S(O)R、−N(R)(R)、−N(R)C(O)OR、−N(R)C(O)R、−OC(O)N(R)(R)、−N(H)C(=NR)N(R)(R)−C(O)N(R)(R)、C(R)=NR、アリール、シアノ、シクロアルキル、シクロアルケニル、ハロ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ニトロ、およびオキソを包含し、ここに、各Rは独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールから選択される。
【0032】
「オキソ」なる語は、置換基=Oを示す。
【0033】
本明細書中で使用される場合、「生理学上機能的な誘導体」なる語は、哺乳動物への投与時に、本発明の化合物またはその活性な代謝産物を(直接または間接的に)提供することのできる本発明の化合物のいずれかの医薬上許容される誘導体、例えば、エステルまたはアミドをいう。かかる誘導体は、過度の実験を用いることなく、Burger’s Medicinal Chemistry And Drug Discovery, 5th Edition, Vol 1: Principles and Practice(出典明示により、生理学上機能的な誘導体を教示する範囲まで、本明細書の一部とされる)の教示を参照して、当業者に明らかである。
【0034】
「医薬上許容される」なる語は、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激または他の問題もしくは合併症を伴うことなく、ヒトおよび動物の組織と接触させて使用するのに適当な、妥当な損益比に見合った化合物、材料、組成物および投与形態を示す。
【0035】
本発明の化合物は、2以上の互変形態において生じ、かかる互変形態の全てが本発明の範囲内に包含される。
【0036】
アミノ基が上記で定義される単一または縮合した非芳香族複素環の一部を形成する場合、かかる置換されたアミノ基の適当な任意の置換基は、H;トリフルオロメチル;ヒドロキシ、(C1−6)アルコキシ、(C1−6)アルキルチオ、ハロまたはトリフルオロメチルで置換されていてもよい(C1−4)アルキル;(C2−4)アルケニル;アリール;アリール(C1−4)アルキル;(C1−4)アルコキシカルボニル;(C1−4)アルキルカルボニル;ホルミル;(C1−6)アルキルスルホニル;またはアミノカルボニル(ここに、アミノ基は、(C1−4)アルコキシカルボニル、(C1−4)アルキルカルボニル、(C2−4)アルケニルオキシカルボニル、(C2−4)アルケニルカルボニル、(C1−4)アルキルまたは(C2−4)アルケニルで置換されていてもよく、さらに、(C1−4)アルキルまたは(C2−4)アルケニルで置換されていてもよい)を包含する。
【0037】
「Ph」なる語は、フェニル環を示す。
【0038】
本明細書中で使用される場合、TRPV4チャネル受容体に対する「アゴニスト」とは、TRPV4チャネル受容体の生物学的活性を活性化または増加することのできるいずれの化合物をも包含する。
本明細書中で使用される場合、TRPV4チャネル受容体を「活性化する」とは、限定するものではないが、TRPV4チャネル受容体を含む細胞中へのCa2+流入量を増加する、該細胞によって産生および/または放出されるADAMTSsの量を減少する、該細胞によって産生および/または放出されるMMPsの量を減少する、該細胞の基底または成長因子刺激性増殖を阻害する、細胞によって産生される酸化窒素(NO)の量を減少する、およびマトリックス合成の阻害を軽減するような結果を包含しうる。
【0039】
本明細書中で使用される場合、「炎症性メディエーター」なる語は、炎症過程を引き起こすことのできるいずれの化合物をも包含する。炎症なる語は、一般に、脈管化された生存組織の損傷に対する反応の過程を示す。該過程は、限定するものではないが、血流増加、管浸透性増加および白血球浸出を包含する。炎症反応中に捕獲された白血球は強力な酵素および酸素フリーラジカル(すなわち、炎症性メディエーター)を放出することができるので、該炎症応答は相当な組織損傷の媒介となることができる。炎症性メディエーターの例は、限定するものではないが、プロスタグランジン(例えば、PGE2)、ロイコトリエン(例えば、LTB4)、炎症性サイトカイン、例えば、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、インターロイキン1(IL−1)およびインターロイキン6(IL−6);酸化窒素(NO)、メタロプロテイナーゼ、および熱ショック蛋白質を包含する。
【0040】
本明細書中で使用される場合、「マトリックス蛋白質」なる語は、軟骨の細胞外マトリックスを形成するために細胞から放出される蛋白質を包含する。軟骨の細胞外マトリックスは、プロテオグリカンからなり、いくつかの別個のプロテオグリカンファミリーに属する。これらは、限定するものではないが、アグリカンおよびバーシカン(versican)によって例示されるペルレカン(perlecan)およびヒアレクタン(hyalectans)、およびデコリン、ビグリカンおよびフィブロモジュリンを包含するプロテオグリカンの小型ロイシンリッチファミリーを包含する。細胞外マトリックスは、また、付属蛋白質、例えば、軟骨オリゴマーマトリックス蛋白質(COMP)、リンク蛋白質およびフィブロネクチンと共に、3つのコラーゲンイソ型、すなわち、II型、IX型およびXI型コラーゲンから構成されるハイブリッドコラーゲン繊維からなる。軟骨は、また、ヒアレクチン(hyalectin)との非共有結合を形成するヒアルロニンを含有する。さらに、特殊化された細胞周囲マトリックスが軟骨細胞を取り巻き、プロテオグリカン、VI型コラーゲンおよびコラーゲン受容体蛋白質、例えば、アンコリン(anchorin)からなる。
【0041】
本明細書中で使用される場合、「マトリックス分解酵素」なる語は、細胞外マトリックス蛋白質を切断することのできる酵素を示す。軟骨細胞外マトリックスターンオーバーは、軟骨細胞外マトリックス蛋白質を分解するのに活性化を必要とする潜在性プロ酵素として合成されるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)によって調節される。酵素の3つのクラスが細胞外マトリックス蛋白質のターンオーバーを調節すると考えられており、すなわち、天然コラーゲン繊維の分解に関与するコラゲナーゼ(限定するものではないが、MMP−13を包含する)、プロテオグリカンおよびIX型コラーゲンを分解するストロメリシン(限定するものではないが、MMP−3を包含する)、および変性コラーゲンを分解するゼラチナーゼ(限定するものではないが、MMP−2およびMMP−9を包含する)である。ADAMTSと呼ばれるメタロプロテイナーゼは、その構造中にディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼドメインおよびトロンボスポンジンモチーフを有するので、OAの軟骨分解に最も関連があるように思われるマトリックス分解酵素群は、ADAMTSのサブグループを包含する。ADAMTS4(アグリカナーゼ−1)は、OA関節において上昇することが報告され、同様に、ADAMTS−5(アグリカナーゼ−2)は、ヒト骨関節炎軟骨において発現することが示された。これらの酵素は、MMP関与を伴うことなくアグリカン分解の原因となるようである。かくして、これらの酵素の活性の阻害または発現の減少は、OA治療において有用でありうる。
【0042】
本明細書中で使用される場合、マトリックス分解酵素の産生を「減少する」または「減少している」とは、限定するものではないが、物理的損傷、機械的圧および/または浸透圧または炎症性メディエーターへの曝露を包含しうる異化作用刺激に応答してマトリックス分解酵素産生または放出の増加を示す細胞によって産生および/または放出されるマトリックス分解酵素の量の減少をいう。
【0043】
本明細書中で使用される場合、「軽減(attenuateまたはattenuating)」なる語は、異化作用刺激への曝露後に細胞によって産生および/または放出されるマトリックス分解酵素、炎症性メディエーターまたはマトリックス蛋白質の量の正常化(すなわち、増加または減少)を示す。例えば、IL−1への曝露後、マトリックス蛋白質、例えば、プロテオグリカンの軟骨細胞産生が減少し、その間、マトリックス分解酵素(例えば、MMP−13、ADAMTS4)および反応性酸素種(例えば、NO)が増加する。軽減とは、これらの多様な応答を異化作用刺激の不在下で観察されるレベルへ正常化することをいう。
【0044】
本発明の化合物のいくつかは、水性および有機性溶媒などの溶媒から結晶化または再結晶化されてもよい。かかる場合、溶媒和物が形成されうる。本発明は、その範囲内に、水和物ならびに凍結乾燥などの過程によって生じうる種々の含水量の化合物を包含する化学量論量の溶媒和物を包含する。
【0045】
式(I)の化合物は、医薬組成物における使用が意図されるので、それらが各々、実質的に純粋な形態、例えば、少なくとも60%純粋、より適当には少なくとも75%純粋、好ましくは少なくとも85%、特に少なくとも98%純粋な形態において提供されることが容易に理解されよう(%は、重量対重量基準である)。該化合物の不純な調製物は、医薬組成物において使用されるより純粋な形態を調製するために使用することができ、これらは、少なくとも1%、より適当には少なくとも5%、好ましくは10〜59%の式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を含有すべきである。
【0046】
式(I)の化合物の医薬上許容される塩は、当業者によって容易に調製される。式(I)の化合物は、また、N−オキシドとして調製されてもよい。遊離のカルボキシ基を有する式(I)の化合物は、また、イン・ビボで加水分解可能なエステルとして調製されてもよい。本発明は、全てのかかる誘導体にまで及ぶ。
【0047】
生理学上機能的な誘導体を構成することのできる適当な医薬上許容されるイン・ビボで加水分解可能なエステル形成基の例は、体内で容易に分解して親酸またはその塩を残すエステルを形成する基を包含する。該型の適当な基は、部分式(i)、(ii)、(iii)、(iv)および(v):
【化2】

[式中、Rは、水素、(C1−6)アルキル、(C3−7)シクロアルキル、メチル、またはフェニルであり、Rは、(C1−6)アルキル、(C1−6)アルコキシ、フェニル、ベンジル、(C3−7)シクロアルキル、(C3−7)シクロアルキルオキシ、(C1−6)アルキル(C3−7)シクロアルキル、1−アミノ(C1−6)アルキル、または1−(C1−6アルキル)アミノ(C1−6)アルキルであるか;またはRおよびRは一緒になって、1または2個のメトキシ基で置換されていてもよい1,2−フェニレン基を形成し;Rは、メチルまたはエチル基で置換されていてもよい(C1−6)アルキレンを示し、RおよびRは、独立して、(C1−6)アルキルを示し;Rは、(C1−6)アルキルを示し;Rは、水素、またはハロゲン、(C1−6)アルキルまたは(C1−6)アルコキシから選択される3個までの基で置換されていてもよいフェニルであり;Qは酸素またはNHであり;Rは、水素または(C1−6)アルキルであり;Rは、水素、またはハロゲン、(C2−6)アルケニル、(C1−6)アルコキシカルボニル、アリールまたはヘテロアリールで置換されていてもよい(C1−6)アルキルであるか;またはRおよびRは一緒になって、(C1−6)アルキレンを形成し;Rは、水素、(C1−6)アルキルまたは(C1−6)アルコキシカルボニルであり;Rは、(C1−8)アルキル、(C1−8)アルコキシ、(C1−6)アルコキシ(C1−6)アルコキシまたはアリールである]
で示されるものを包含する。
【0048】
適当なイン・ビボで加水分解可能なエステル基の例は、例えば、アシルオキシ(C1−6)アルキル基、例えば、アセトキシメチル、ピバロイルオキシメチル、α−アセトキシエチル、α−ピバロイルオキシエチル、1−(シクロヘキシルカルボニルオキシ)プロプ−1−イル、および(1−アミノエチル)カルボニルオキシメチル;(C1−6)アルコキシカルボニルオキシ(C1−6)アルキル基、例えば、エトキシカルボニルオキシメチル、α−エトキシカルボニルオキシエチルおよびプロポキシカルボニルオキシエチル;ジ(C1−6)アルキルアミノ(C1−6)アルキル、特に、ジ(C1−4)アルキルアミノ(C1−4)アルキル基、例えば、ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノメチルまたはジエチルアミノエチル;2−((C1−6)アルコキシカルボニル)−2−(C2−6)アルケニル基、例えば、2−(イソブトキシカルボニル)ペンタ−2−エニルおよび2−(エトキシカルボニル)ブト−2−エニル;ラクトン基、例えば、フタリジルおよびジメトキシフタリジルを包含する。
【0049】
さらに適当な医薬上許容されるイン・ビボで加水分解可能なエステル基は、
【化3】

[式中、Rは水素、C1−6アルキルまたはフェニルである]
で示されるものである。
【0050】
上記式(I)の化合物のうちある特定のものは、光学異性体、例えば、ジアステレオ異性体およびあらゆる比率での異性体混合物、例えば、ラセミ混合物の形態で存在しうる。本発明は、全てのかかる形態、特に、純粋な異性形態を包含する。種々の異性形態は、常法によって一を他から分離または分割して得てもよく、あるいは所定の異性体を通常の合成法または立体特異的もしくは不斉合成によって得てもよい。
【0051】
組成物は、いずれかの経路、例えば、経口、局所または非経口による投与用に処方されうる。組成物は、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、ロゼンジ、クリームまたは液体製剤、例えば、経口または滅菌非経口溶液もしくは懸濁液の形態であってもよい。
【0052】
本発明の局所処方は、例えば、軟膏、クリームまたはローション、目用軟膏および点眼剤または点耳剤、含浸包帯およびエーロゾルとして提供されてもよく、通常の添加剤、例えば、保存料、薬物浸透を助けるための溶剤ならびに軟膏およびクリームにおける皮膚軟化剤を含有していてもよい。
【0053】
処方は、また、適合性の通常の担体、例えば、クリームまたは軟膏基剤およびローション用のエタノールまたはオレイルアルコールを含有していてもよい。かかる担体は、処方の約1%〜約98%配合されていてもよい。より普通には、それらは処方の約80%までを形成する。
【0054】
経口投与用錠剤およびカプセルは、単位投与形態であってもよく、通常の賦形剤、例えば、結合剤、例えば、シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガカントまたはポリビニルピロリドン;増量剤、例えば、ラクトース、砂糖、トウモロコシデンプン、燐酸カルシウム、ソルビトールまたはグリシン;錠剤成形滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコールまたはシリカ;崩壊剤、例えば、ジャガイモデンプン;または許容される湿潤剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムを含有していてもよい。錠剤は、通常の製薬習慣においてよく知られた方法にしたがって被覆されていてもよい。経口液体製剤は、例えば、水性または油性懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップまたはエリキシルの形態であってもよく、または水もしくは他の適当なビヒクルで使用前に復元する乾燥製品として提供されてもよい。かかる液体製剤は、通常の添加剤、例えば、懸濁化剤、例えば、ソルビトール、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルまたは水素化食用油脂、乳化剤、例えば、レシチン、モノオレイン酸ソルビタン、またはアラビアゴム;非水性ビヒクル(食用油を包含しうる)、例えば、アーモンド油、油性エステル、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、またはエチルアルコール;保存料、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピルあるいはソルビン酸、および所望により、通常のフレーバー剤または着色料を含有していてもよい。
【0055】
座剤は、通常の座剤基剤、例えば、ココア脂または他のグリセリドを含有する。
非経口投与の場合、流体単位投与形態は、該化合物および滅菌ビヒクル(好ましくは水)を用いて調製される。使用されるビヒクルおよび濃度にもよるが、該化合物はビヒクル中に懸濁または溶解されることができる。溶液の調製において、該化合物を注射用水に溶解し、フィルター滅菌後、適当なバイアルまたはアンプル中に充填し、密封することができる。
【0056】
有利には、局所麻酔薬、保存料及び緩衝化剤などの剤をビヒクル中に溶解することができる。安定性を増加させるために、組成物をバイアル中に充填後に冷凍し、真空下で水分を除去することができる。該凍結乾燥粉末は、次いで、バイアル中に密封し、使用前に液体に復元するために、添付の注射用水を供給してもよい。非経口懸濁液は、化合物をビヒクル中に溶解する代わりに懸濁し、滅菌を濾過によって達成できないことを除き、実質的に同じ方法で調製される。化合物はエチレンオキシドに曝露することによって滅菌した後、滅菌ビヒクル中に懸濁することができる。有利には、界面活性剤または湿潤剤を組成物中に含ませて、化合物の均一な分布を容易にする。
【0057】
化合物
本発明は、式I:
【化4】

[式中
Zは、結合またはNHであり;
は、アリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり;
はH、置換されていてもよいC1−6アルキル、または置換されていてもよいC2−6アルケニルであり;
およびRは、独立して、H、置換されていてもよいC1−6アルキル、またはアリールであり;
は、Hまたは置換されていてもよいC1−6アルキルであり;
は、HまたはC1−6アルキルであり;
は、HまたはC1−6アルキルであり;
XおよびX’は、独立して、OまたはHであるか;または
ここに、RおよびRが一緒になって、モルホリニル、ピペラジニル、またはアジリジニル環の一部を形成する]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩に向けられる。
【0058】
別の態様において、本発明は、また、式Iの化合物、および医薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物を包含する。
【0059】
式Iまたはそのいずれかの下位式におけるいずれか1つの事象にて、いずれの官能基または置換基の意味も、別記しない限り、いずれか他の事象におけるいずれか他の官能基または置換基の意味から独立している。
【0060】
式Iの化合物は、1以上の不斉中心を含有していてもよく、したがって、個々のエナンチオマー、ジアステレオマーまたは他の立体異性形態、またはその混合物として存在していてもよい。例えば、RがH以外の基であるとき、それが結合している炭素は不斉である。さらに、不斉炭素原子はまた、アルキル基などの置換基に存在していてもよい。式Iまたは本明細書中に記載されるいずれかの化学構造に存在するキラル炭素の立体化学が特定されていない場合、該化学構造は、該化合物に存在する各キラル中心のいずれの立体異性体およびその全ての混合物を含む化合物を包含するものとされる。かくして、1以上のキラル中心を含有する式Iの化合物は、ラセミ混合物、エナンチオマー的に豊富な混合物または個々のエナンチオマー的に純粋な立体異性体として使用されうる。
【0061】
1以上の不斉中心を含有する式Iの化合物の個々の立体異性体は、当業者に既知の方法によって分割されうる。例えば、かかる分割は、例えば、結晶化によって分離されうるジアステレオ異性体塩または複合体の形成によって;例えば、結晶化、ガス−液体もしくは液体−クロマトグラフィーによって分離されうるジアステレオ異性体誘導体の形成によって;エナンチオマー特異的試薬との一のエナンチオマーの選択的反応、例えば、酵素的酸化または還元、次いで、修飾および非修飾されたエナンチオマーの分離によって;あるいはキラル環境における、例えば、結合したキラルリガンドを有するシリカなどのキラル支持体上での、またはキラル溶媒の存在下での、ガス−液体または液体−クロマトグラフィーによって実施しうる。当業者に明らかなように、上記の分離法の1つによって所望のエナンチオマーが別の化学物質に変換される場合、所望のエナンチオマー形態を遊離させるためにさらなる工程が必要である。別法では、特異的エナンチオマーは、光学活性試薬、基質、触媒または溶媒を用いる不斉合成によって、または不斉トランスフォーメーションによって1のエナンチオマーを他のエナンチオマーに変換することによって、合成されうる。
【0062】
式Iの化合物は、また、二重結合または他の幾何不斉中心を含有していてもよい。式Iは、トランス(E)幾何異性体およびシス(Z)幾何異性体を包含する。同様に、全ての互変形態もまた、かかる互変体が等しく存在するか、一の形態で優先的に存在するかにかかわらず、式Iに包含される。
【0063】
当業者には、式Iの化合物の医薬上許容される塩が調製できることが明らかであろう。実際、本発明のある特定の具体例において、式Iの化合物の医薬上許容される塩は、分子により大きな安定性または溶解性を付与し、それにより、投与形への処方を容易にするので、かかる塩は各遊離塩基または遊離酸よりも好ましい場合がある。したがって、本発明は、さらに、式Iの化合物の医薬上許容される塩に向けられる。
【0064】
本明細書中で使用される場合、「医薬上許容される塩」なる語は、対象化合物の所望の生物学的活性を保持し、かつ、最小限の望ましくない毒物学的効果を示す塩をいう。「医薬上許容される塩」なる語は、医薬上許容される酸付加塩および医薬上許容される塩基付加塩の両方を包含する。これらの医薬上許容される塩は、化合物の最終的な単離および精製の間にその場で(in situ)、または別に、遊離酸もしくは遊離塩基形態で精製された化合物を各々、適当な塩基もしくは酸と反応させることによって、調製されうる。
【0065】
ある特定の具体例において、式Iの化合物は、酸性官能基を含有しうるので、適当な塩基での処理によって、医薬上許容される塩基付加塩を形成することができる。適当な塩基には、アンモニア、および医薬上許容される金属塩、例えば、アルカリ金属およびアルカリ土類金属カチオンの水酸化物、炭酸塩および重炭酸塩がある。適当なアルカリ金属およびアルカリ土類金属カチオンは、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムおよび亜鉛を包含する。適当な塩基には、さらに、医薬上許容される有機一級、二級および三級アミンがあり、脂肪族アミン、芳香族アミン、脂肪族ジアミン、およびヒドロキシアルキルアミンを包含する。適当な医薬上許容される有機塩基は、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミンおよびシクロヘキシルアミンを包含する。
【0066】
ある特定の具体例において、式Iの化合物は、塩基性官能基を含有していてもよく、したがって、適当な酸での処理によって、医薬上許容される酸付加塩を形成することができる。適当な酸は、限定するものではないが、医薬上許容される無機酸、医薬上許容される有機酸、および医薬上許容される有機スルホン酸を包含する。適当な無機酸は、限定するものではないが、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、スルファミン酸およびリン酸を包含する。適当な有機酸は、酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、アクリル酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、グリコール酸、乳酸、ヘプタン酸、フタル酸、シュウ酸、コハク酸、安息香酸、o−アセトキシ安息香酸、クロロ安息香酸、メチル安息香酸、ジニトロ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、メトキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、ギ酸、ステアリン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ピルビン酸、パモ酸(pamoic acid)、マロン酸、ラウリン酸、グルタル酸およびグルタミン酸を包含する。適当な有機スルホン酸は、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−アミノベンゼンスルホン酸(すなわち、スルファニル酸)、p−トルエンスルホン酸、およびナフタレン−2−スルホン酸を包含する。
【0067】
本明細書中で使用される場合、「本発明の化合物」なる語は、式Iの化合物およびその医薬上許容される塩の両方を意味する。「本発明の化合物」なる語は、また、本明細書中で明らかであり、式Iの化合物およびその医薬上許容される塩の両方をいう。
【0068】
本発明の化合物は、固体、液体または気体形態で存在していてもよく、その全てが本発明に包含される。固体状態において、本発明の化合物は、非晶質物質または結晶形態、またはその混合物として存在していてもよい。当業者には、結晶化の間に、溶媒分子が結晶格子中に組み込まれた医薬上許容される溶媒和物が形成されうることが明らかであろう。溶媒和物は、エタノール、イソプロパノール、DMSO、酢酸、エタノールアミンおよび酢酸エチルなどの非水性溶媒を含んでいてもよく、またはそれらは、結晶格子中に組み込まれる溶媒として水を含んでいてもよい。結晶格子中に組み込まれる溶媒が水である溶媒和物は、典型的には、「水和物」と呼ばれる。本発明は、かかる全ての溶媒和物を包含する。
【0069】
当業者には、さらに、種々の溶媒和物を包含する結晶形態で存在する本発明のある特定の化合物が、多形(すなわち、異なる結晶構造において出現しうる能力)を示しうることが明らかであろう。これらの異なる結晶形態は、典型的には、「多形体」として知られる。本発明は、かかる多形体の全てを包含する。多形体は、同じ化学組成を有しているが、結晶固体状態のパッキング、幾何学的配置および他の記述的性質が異なる。したがって、多形体は、異なる物理的性質、例えば、形状、密度、硬度、変形性、安定性および溶解性を有しうる。典型的には、多形体は、同定に使用されうる融点、IRスペクトル、およびX線粉末回折パターンにおいて異なる値を示す。当業者には、異なる多形体が例えば、化合物製造に使用される反応条件または試薬、例えば、溶媒を変化または調整することによって製造されうることが明らかであろう。さらに、ある特定の条件下で、1の多形体を自発的に別の多形体に変換させてもよい。
【0070】
本発明の一の態様において、Rは、フェニルおよびベンゾ[b]チオフェニルからなる群から選択される。別の態様において、Rは、イソ−ブチル、ブテニルおよびヒドロキシメチルからなる群から選択される。また別の態様において、Rは、H、メチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエメチル、メチルオキシメチル、イソブチルおよびフェニルからなる群から選択される。Rは、Hまたはメチルであってもよい。また別の態様において、RおよびRは一緒になって、ピペラジニル、モルホリニルまたはアジリジニル環の一部を形成する。また別の態様において、アリールは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよいフェニルである。
【0071】
本発明の例示的化合物は、
N−((1S)−1−{[4−(2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}エチル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[4−(2−{[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)スルホニル]アミノ}エチル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[4−({[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}アセチル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[4−((2R)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−ヒドロキシプロピル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−{(1S)−1−[(4−{N−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−L−セリル}−1−ピペラジニル)メチル]−3−メチルブチル}−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[4−((2S)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−ヒドロキシプロパノイル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[4−((2R)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−ヒドロキシプロパノイル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
2,4−ジクロロ−N−{2−[4−((2S)−4−メチル−2−{[(フェニルアミノ)カルボニル]アミノ}ペンタノイル)−1−ピペラジニル]−2−オキソエチル}ベンゼン−スルホンアミド;
N−((1S)−1−{[4−((2S)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}プロパノイル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[4−((2S)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−2−フェニルアセチル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[4−((2S,3R)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−ヒドロキシブタノイル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−{(1S)−1−[(4−{[[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル](メチル)アミノ]アセチル}−1−ピペラジニル)カルボニル]−3−メチルブチル}−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[(3S)−4−({[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}アセチル)−3−メチル−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[(2S)−4−({[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}アセチル)−2−メチル−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[4−({(2R)−1−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−2−ピペリジニル}カルボニル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[4−({4−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−3−モルホリニル}カルボニル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−[(1S)−2−[4−((2S)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−4−メチルペンタノイル)−1−ピペラジニル]−1−(ヒドロキシメチル)−2−オキソエチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[4−({(2S)−1−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−2−ピペリジニル}カルボニル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−{(1S)−1−[(4−{(2S)−2−[[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル](メチル)アミノ]−3−ヒドロキシプロパノイル}−1−ピペラジニル)カルボニル]−3−メチルブチル}−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
2,4−ジクロロ−N−{(1S)−1−(ヒドロキシメチル)−2−[4−((2S)−4−メチル−2−{[(フェニルアミノ)カルボニル]アミノ}ペンタノイル)−1−ピペラジニル]−2−オキソエチル}ベンゼンスルホンアミド;
N−{(1S)−1−[(4−{(2S)−3−ヒドロキシ−2−[(フェニルスルホニル)アミノ]プロパノイル}−1−ピペラジニル)カルボニル]−3−メチルブチル}−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−[(1S)−1−({4−[(2S)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−(メチルオキシ)プロパノイル]−1−ピペラジニル}カルボニル)−3−メチルブチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[4−({(2R)−1−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−2−メチル−2−アジリジニル}カルボニル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[4−({(2S)−1−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−2−メチル−2−アジリジニル}カルボニル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[4−((2S)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−ヒドロキシプロパノイル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチル−3−ブテン−1−イル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
および
N−((1S)−1−{[4−((2S)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−ヒドロキシプロパノイル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチル−3−ブテン−1−イル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド
を包含する。
【0072】
合成スキーム:
本発明の化合物の合成は、スキーム1−7において概説されるように達成されうる。
スキーム1は、市販の4−N−(2−アミノエチル)1−N−Boc−ピペラジン 1を用いて出発するピペラジン−エチルアミノ化合物の調製方法を示す。アミン塩基、例えば、トリエチルアミンの存在下、当該分野で一般的な条件下において、親電子試薬、例えば、限定するものではないが、塩化2,4−ジクロロフェニルスルホニルで第一級アミンを処理することにより、スルホンアミド 2を提供し、次いで、それを標準的な条件下、例えば、1,4−ジオキサンおよびメタノール中において塩酸などの酸で処理することによって、脱保護することができる。遊離した第二級アミン 3を、当該分野で一般的な条件下、例えば、N−メチルモルホリンなどの塩基およびHOOBtなどのカップリング修飾剤の存在下におけるEDCにより、カルボン酸、例えば、限定するものではないが、N−(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)−L−ロイシンとカップリングして、目的化合物4を提供することができる。
【0073】
スキーム1
【化5】

【0074】
別法では、スキーム2に示されるように、まず、アミノ酸、例えば、限定するものではないが、グリシンとピペラジンをカップリングし、次いで、当該分野で一般的な条件下、例えば、N−メチルモルホリンなどの塩基およびHOOBtなどのカップリング修飾剤の存在下におけるEDCにより、カルボン酸、例えば、限定するものではないが、N−(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)−L−ロイシンと6を合わせるカップリング工程を行って、合成ピペラジン骨格を提供することによって、目的化合物を構築することができる。標準的な条件下、例えば、1,4−ジオキサンおよびメタノール中における塩酸などの酸で処理することによってBOC基を脱保護し、次いで、当該分野で一般的な条件下、トリエチルアミンなどのアミン塩基の存在下、親電子試薬、例えば、限定するものではないが、塩化2,4−ジクロロフェニルスルホニルで第一級アミン 8を処理することによって、目的化合物 9を提供する。
【0075】
スキーム2
【化6】

【0076】
スキーム3に示すように、目的物は還元的アミノ化法を用いて調製することができる。そこでは、まず、当該分野で一般的な条件下、例えば、Dess−Martinペルヨージナンでの処理下、アルコール 10の酸化によって11のような適当に保護されたセリン中間体を調製する。次いで、生成物アルデヒドを、当該分野で一般的な条件下、例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウムおよび酢酸の存在下、CBZ−ピペラジンなどのアミンと混合してアミン 12を得る。CBZ基の除去は、標準的な水素化分解条件、例えば、水素雰囲気下における炭素上のパラジウムを用いて行い、遊離した第二級アミン 13を、当該分野で一般的な条件下、例えば、N−メチルモルホリンなどの塩基およびHOOBtなどのカップリング修飾剤の存在下におけるEDCにより、カルボン酸、例えば、限定するものではないが、N−(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)−L−ロイシンとカップリングして、アミド 14を得る。標準的な条件下、例えば、1,4−ジオキサンおよびメタノール中における塩酸などの酸で処理することによってBOC基を脱保護し、次いで、当該分野で一般的な条件下、トリエチルアミンなどのアミン塩基の存在下、親電子試薬、例えば、限定するものではないが、塩化2,4−ジクロロフェニルスルホニルで第一級アミン 15を処理することによって、目的化合物 16を提供する。
【0077】
スキーム3
【化7】

【0078】
スキーム4は、当該分野で一般的な条件下、例えば、Dess−Martinペルヨージナンでの処理下、アルコール 17の酸化から誘導される新たに調製されたロイシン誘導体を用いて出発する同様の還元的アミノ化方法を示す。次いで、生成物アルデヒドを、当該分野で一般的な条件下、例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウムおよび酸の存在下、アミン、例えば、限定するものではないが、CBZ−ピペラジンと混合して、アミン 19を提供する。CBZ基の除去は、標準的な水素化分解条件、例えば、水素雰囲気下における炭素上のパラジウムを用いて行い、遊離した第二級アミン 20を、当該分野で一般的な条件下、例えば、N−メチルモルホリンなどの塩基およびHOOBtなどのカップリング修飾剤の存在下におけるEDCにより、カルボン酸、例えば、限定するものではないが、CBZ−L−セリンとカップリングして、アミド 21を得る。第2の標準的な水素化分解工程により、CBZ基を除去し、次いで、当該分野で一般的な条件下、トリエチルアミンなどのアミン塩基の存在下、親電子試薬、例えば、限定するものではないが、塩化2,4−ジクロロフェニルスルホニルで第一級アミン 22を処理することによって、スルホンアミド 23を提供する。標準的な条件下、例えば、1,4−ジオキサンおよびメタノール中における塩酸などの酸で処理することによってBOC基を脱保護し、次いで、当該分野で一般的な条件下、例えば、N−メチルモルホリンなどの塩基およびHOOBtなどのカップリング修飾剤の存在下におけるEDCにより、カルボン酸、例えば、限定するものではないが、ベンゾチエン−2−カルボン酸と第一級アミン 24をカップリングすることによって、目的化合物 25を提供する。
【0079】
スキーム4
【化8】

【0080】
スキーム5は、関連化合物の調製を示す。CBZ−ピペラジンを用いて出発し、アミノ酸、例えば、限定するものではないが、N−Boc−L−ロイシンへのカップリングを、当該分野で標準的な条件、例えば、N−メチルモルホリンなどの塩基の存在下におけるカップリング試薬EDCおよびHOOBtでの処理を用いて行って、27を得る。標準的な条件、例えば、1,4−ジオキサンおよびメタノール中における塩酸などの酸での処理下でBOC基を脱保護し、次いで、上記と同様の条件下、第一級アミン 28をカルボン酸、例えば、限定するものではないが、ベンゾチオフェン−2−カルボキシレートとカップリングして、CBZ−保護中間体 29を提供する。CBZ基の除去は、標準的な水素化分解条件、例えば、水素雰囲気下における炭素上のパラジウムを用いて行い、次いで、遊離した第二級アミン 30を、当該分野で一般的な条件下、例えば、N−メチルモルホリンなどの塩基およびHOOBtなどのカップリング修飾剤の存在下におけるEDCにより、アミノ酸、例えば、限定するものではないが、N−Boc−L−セリンとカップリングして、アミド 31を提供する。標準的な条件下、例えば、1,4−ジオキサンおよびメタノール中における塩酸などの酸で処理することによってBOC基を脱保護し、次いで、得られた第一級アミン 32を、当該分野で一般的な条件下、トリエチルアミンなどのアミン塩基の存在下、親電子試薬、例えば、限定するものではないが、塩化2,4−ジクロロフェニルスルホニルで処理することによって、目的化合物 33を提供する。
【0081】
スキーム5
【化9】

【0082】
スキーム6において、フェニル尿素誘導体の調製が示される。CBZ−ピペラジン 27(上記で調製)を用いて出発し、標準的な水素化分解条件、例えば、水素雰囲気下における炭素上のパラジウムを用いてCBZ基を除去し、次いで、遊離した第二級アミン 34を当該分野で一般的な条件下、例えば、N−メチルモルホリンなどの塩基およびHOOBtなどのカップリング修飾剤の存在下におけるEDCにより、カルボン酸、例えば、限定するものではないが、N−CBZ−グリシンとカップリングして、CBZ−保護中間体 35を提供する。第2のCBZ除去工程の後、得られた第一級アミンを、当該分野で一般的な条件下、トリエチルアミンなどのアミン塩基の存在下、親電子試薬、例えば、限定するものではないが、塩化2,4−ジクロロフェニルスルホニルで処理して、Boc−保護中間体 37を提供する。標準的な条件下、例えば、1,4−ジオキサンおよびメタノール中における塩酸などの酸で処理することによってBOC基を脱保護し、次いで、得られた第一級アミン 38を、当該分野で一般的な条件下、トリエチルアミンなどのアミン塩基の存在下、親電子試薬、例えば、限定するものではないが、イソシアナートベンゼンで処理することによって、目的の尿素化合物 39を提供する。
【0083】
スキーム6
【化10】

【0084】
他の化合物を調製するために使用される方法の例の概略をスキーム7に示す。当該分野で一般的な条件、例えば、N−メチルモルホリンなどの塩基およびHOOBtなどのカップリング修飾剤の存在下におけるEDCを用いて、カルボン酸、例えば、限定するものではないが、N−(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)−L−ロイシンとピペラジンをカップリングして、ピペラジン中間体 41を得る。同様の条件下、アミノ酸、例えば、限定するものではないが、N−Boc−L−アラニンとの続くカップリング工程により、Boc−保護アミン 42を提供する。ジクロロメタン中におけるトリフルオロ酢酸での処理によってBoc除去を行い、次いで、当該分野で一般的な条件下、トリエチルアミンなどのアミン塩基の存在下、親電子試薬、例えば、限定するものではないが、塩化2,4−ジクロロフェニルスルホニルでアミン 43を処理することにより、目的化合物 44を提供する。
【0085】
スキーム7
【化11】

【0086】
置換ピペラジン化合物の調製方法をスキーム8に示す。市販の出発物質 45から、モノ−Boc保護ピペラジン 46を生成し、次いで、当該分野で一般的な条件下、例えば、HOBtなどのカップリング修飾剤の存在下におけるEDCにより、カルボン酸、例えば、限定するものではないが、N−CBZ−グリシンにカップリングすることによって合成して、CBZ−保護中間体 47を提供する。CBZ基の除去は、標準的な水素化分解条件、例えば、水素雰囲気下における炭素上のパラジウムを用いて行い、次いで、遊離した第二級アミン 48を、当該分野で一般的な条件下、トリエチルアミンなどのアミン塩基の存在下、親電子試薬、例えば、限定するものではないが、塩化2,4−ジクロロベンゼンスルホニルで処理して、スルホンアミド 49を提供する。標準的な条件下、例えば、1,4−ジオキサンおよびメタノール中における塩酸などの酸での処理によってBOC基を脱保護し、次いで、上記と同様の条件下、第一級アミン 50をカルボン酸、例えば、限定するものではないが、N−(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)−L−ロイシンとカップリングして、目的化合物 51を提供する。
【0087】
スキーム8
【化12】

【0088】
別法では、位置異性置換ピペラジンをスキーム9に示すように調製することができる。同じメチルピペラジン 45から出発し、当該分野で一般的な条件下、例えば、ヘキサメチルジシラジドなどの極性溶媒の存在下での加熱下、カルボン酸、例えば、N−Boc−グリシンとカップリングすることにより、Boc−保護中間体 52を提供する。次いで、該遊離アミンを、当該分野で一般的な条件下、例えば、N−メチルモルホリンなどの塩基およびHOOBtなどのカップリング修飾剤の存在下におけるEDCにより、カルボン酸、例えば、限定するものではないが、N−(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)−L−ロイシンとカップリングすることによって、アミド 53を提供する。標準的な条件下、例えば、1,4−ジオキサンおよびメタノール中における塩酸などの酸での処理によってBOC基を脱保護し、次いで、当該分野で一般的な条件下、トリエチルアミンなどのアミン塩基の存在下、親電子試薬、例えば、限定するものではないが、塩化2,4−ジクロロベンゼンスルホニルで第一級アミン 54を処理して、目的スルホンアミド 55を提供する。
【0089】
スキーム9
【化13】

【0090】
いくつかのピペラジン目的物への一般的な経路をスキーム10に示す。当該分野で一般的な条件下、例えば、N−メチルモルホリンなどの塩基およびHOBtなどのカップリング修飾剤の存在下でのEDCにより、CBZ−ピペラジン 26とカルボン酸、例えば、限定するものではないが、N−Boc−D−ピペリジンカルボン酸とをカップリングして、ピペラジン中間体 56を提供する。標準的な水素化分解条件、例えば、水素雰囲気下における炭素上のパラジウムを用いてCBZ基の除去を行い、次いで、遊離した第二級アミン 57を、当該分野で一般的な条件下、例えば、N−メチルモルホリンなどの塩基およびHOOBtなどのカップリング修飾剤の存在下におけるEDCにより、アミノ酸、例えば、限定するものではないが、N−(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)−L−ロイシンとカップリングして、アミド 58を提供する。標準的な条件下、例えば、1,4−ジオキサンおよびメタノール中における塩酸などの酸で処理することによってBOC基を脱保護し、次いで、当該分野で一般的な条件下、トリエチルアミンなどのアミン塩基の存在下、親電子試薬、例えば、限定するものではないが、塩化2,4−ジクロロベンゼンスルホニルで該遊離アミンを処理することによって、目的のスルホンアミド 59を提供する。
【0091】
スキーム10
【化14】

【0092】
スキーム11は、関連化合物の調製を示す。CBZ−ピペラジン 26から出発し、当該分野で標準的な条件、例えば、N−メチルモルホリンなどの塩基の存在下におけるカップリング試薬EDCおよびHOOBtでの処理を用いて、アミノ酸、例えば、限定するものではないが、N−Boc−L−セリンとカップリングして、60を得る。標準的な条件下、例えば、1,4−ジオキサンおよびメタノール中における塩酸などの酸で処理することによってBOC基を脱保護し、次いで、当該分野で一般的な条件下、トリエチルアミンなどのアミン塩基の存在下、親電子試薬、例えば、限定するものではないが、塩化2,4−ジクロロベンゼンスルホニルで処理することによって、スルホンアミド 61を提供する。標準的なルイス酸条件、例えば、三臭化ホウ素を用いてCBZ基の除去を行い、次いで、遊離した第二級アミンを、当該分野で一般的な条件下、例えば、N−メチルモルホリンなどの塩基およびHOOBtなどのカップリング修飾剤の存在下におけるEDCにより、アミノ酸、例えば、限定するものではないが、N−Boc−L−ロイシンとカップリングして、アミド 62を提供する。標準的な条件下、例えば、1,4−ジオキサンおよびメタノール中における塩酸などの酸で処理することによってBOC基を脱保護し、次いで、得られた第一級アミンを親電子試薬、例えば、イソシアナートベンゼンで処理することによって、目的の化合物 63を提供する。
【0093】
スキーム11
【化15】

【0094】
組成物
本発明の化合物は、必須ではないが、通常、患者へ投与する前に医薬組成物に処方される。したがって、別の態様において、本発明は、本発明の化合物および医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物に向けられる。
【0095】
本発明の医薬組成物は、安全かつ有効量の本発明の化合物を抽出することができ、次いで患者に与えることができる粉末またはシロップなどのバルク形態において調製および包装してもよい。別法では、本発明の医薬組成物は、各物理的に別個の単位が安全かつ有効量の本発明の化合物を含有する単位投与形態において調製および包装してもよい。単位投与形態に調製する場合、本発明の医薬組成物は、典型的には、約0.1mg〜約50mgを含有する。
【0096】
本発明の医薬組成物は、典型的には、1の本発明の化合物を含有する。しかしながら、ある特定の具体例において、本発明の医薬組成物は、1以上の本発明の化合物を含有する。例えば、ある特定の具体例において、本発明の医薬組成物は、2個の本発明の化合物を含有する。さらに、本発明の医薬組成物は、1以上の付加的に医薬上活性な化合物を含んでいてもよい。逆に言えば、本発明の医薬組成物は、典型的には、1以上の医薬上許容される賦形剤を含有する。しかしながら、ある特定の具体例において、本発明の医薬組成物は、1の医薬上許容される賦形剤を含有する。
【0097】
本明細書中で使用される場合、「医薬上許容される賦形剤」なる語は、医薬組成物に形態またはコンシステンシーを与えることに関与する医薬上許容される物質、組成またはビヒクルを意味する。各賦形剤は、患者への投与時に本発明の化合物の効力を実質的に減少させる相互作用および医薬上許容されない医薬組成物をもたらす相互作用を回避するように、混合した時に医薬組成物の他の材料と適合性でなければならない。さらに、各賦形剤は、もちろん、医薬上許容されるようにするほど十分に高い純度のものでなければならない。
【0098】
本発明の化合物および医薬上許容される賦形剤は、典型的には、所望の投与経路によって患者に投与されるのに適合した投与形態に処方される。例えば、投与形態は、(1)経口投与に適応したもの、例えば、錠剤、カプセル、カプレット、丸薬、トローチ、粉末、シロップ、エリキシル、懸濁液、溶液、エマルジョン、サシェ、およびカシェ、(2)非経口投与に適応したもの、例えば、滅菌溶液、懸濁液、および復元するための粉末、(3)経皮投与に適応したもの、例えば、経皮パッチ、(4)直腸投与に適応したもの、例えば、座剤、(5)吸入に適応したもの、例えば、エーロゾルおよび溶液、および(6)局所投与に適応したもの、例えば、クリーム、軟膏、ローション、溶液、ペースト、スプレー、泡沫およびゲルを包含する。
【0099】
適当な医薬上許容される賦形剤は、選択された特定の投与形態に依存して変化する。さらに、適当な医薬上許容される賦形剤は、それらが組成物において提供しうる特定の機能に関して選択されうる。例えば、ある特定の医薬上許容される賦形剤は、一様な投与形態の製造を容易にするための能力に関して選択されうる。ある特定の医薬上許容される賦形剤は、安定な投与形態の製造を容易にするための能力に関して選択されうる。ある特定の医薬上許容される賦形剤は、いったん患者に投与された本発明の化合物を1の器官または体の一部から別の器官または体の別の部分に運搬または輸送することを容易にする能力に関して選択されうる。ある特定の医薬上許容される賦形剤は、患者のコンプライアンスを増幅させる能力に関して選択されうる。
【0100】
適当な医薬上許容される賦形剤は、限定するものではないが、下記の種類の賦形剤を包含する:希釈剤、増量剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、潤滑剤、造粒剤、被覆剤、湿潤剤、溶媒、共溶媒、懸濁化剤、乳化剤、甘味料、フレーバー剤、フレーバーマスキング剤、着色剤、アンチケーキング剤、保湿剤、キレート剤、可塑剤、増粘剤、抗酸化剤、保存料、安定化剤、界面活性剤および緩衝化剤。どれだけ多くの賦形剤が処方中に存在するか、どのような他の成分が処方中に存在するかにもよるが、ある特定の医薬上許容される賦形剤が1以上の機能を提供することがあり、また、別の機能を提供することもあることは、当業者に明らかであろう。
【0101】
当業者は、本発明において使用するのに適当な量で適当な医薬上許容される賦形剤を選択することができる知識および技術を有する。さらに、医薬上許容される賦形剤を記載し、適当な医薬上許容される賦形剤の選択に有用な当業者に入手可能ないくつかの供給源がある。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Company)、The Handbook of Pharmaceutical Additives (Gower Publishing Limited)、およびThe Handbook of Pharmaceutical Excipients (the American Pharmaceutical Association and the Pharmaceutical Press)がある。
【0102】
本発明の医薬組成物は、当業者に既知の技術および方法を用いて調製される。当該分野で一般に使用される方法のいくつかは、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)に記載される。
【0103】
1の態様において、本発明は、安全かつ有効量の本発明の化合物および希釈剤または増量剤を含む錠剤またはカプセルなどの固形経口投与形態に向けられる。適当な希釈剤および増量剤は、ラクトース、シュークロ−ス、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、およびアルファ化デンプン)、セルロースおよびその誘導体(例えば、微結晶セルロース)、硫酸カルシウム、および第2リン酸カルシウムを包含する。経口固形投与形態は、さらに、結合剤を含んでいてもよい。適当な結合剤は、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、およびアルファ化デンプン)、ゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、トラガカントゴム、グアーガム、ポビドン、およびセルロースおよびその誘導体(例えば、微結晶セルロース)を包含する。経口投与形態は、さらに、崩壊剤を含んでいてもよい。適当な崩壊剤は、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロース、アルギン酸、およびナトリウムカルボキシメチルセルロースを包含する。経口固形投与形態は、さらに、滑沢剤を含んでいてもよい。適当な滑沢剤は、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびタルクを包含する。
【0104】
生物学的アッセイ
本発明の化合物は、いくつかの生物学的アッセイのうちの1つにおいて試験されうる。
TRPV4チャネル受容体で媒介されるCa2+流入は、限定するものではないが、ヒト、ラット、イヌ、ウサギ、サルおよびウシなどの種由来の関節軟骨細胞を用い、限定するものではないが、FlexStation(Molecular Devices製,Sunnyvale,CA)を用いるFura−2(Invitrogen/Molecular Probes,Eugene,OR)蛍光などの当該分野で標準的な技術を用いて測定することができる。表1は、ウシ関節軟骨細胞において該方法を用いて得られたいくつかの代表的化合物に関する生物学的データを挙げる。
【0105】
【表1】

【0106】
軟骨細胞におけるTRPV4チャネル受容体活性化を測定するために使用される他の技術には、限定するものではないが、化合物の、TRPV4チャネル受容体を含む細胞による異化刺激に応答して産生および/または放出されるADAMTSsの量を減少させる能力を測定する、化合物の、TRPV4チャネル受容体を含む細胞による異化刺激に応答して産生および/または放出されるMMPsの量を減少させる能力を測定する、化合物の、TRPV4チャネル受容体を含む細胞による異化刺激に応答して産生される酸化窒素(NO)の量に影響を及ぼす能力を測定する、および化合物の、TRPV4チャネル受容体を含む細胞による異化刺激に応答してマトリックス合成の阻害を軽減する能力を測定するFLIPRアッセイがある。表2は、FLIPR法を用いて得られたいくつかの代表的化合物に関する生物学的データを挙げる。
【0107】
【表2】

凡例 pEC50=−log10(EC50μM)
【0108】
本発明の化合物は、一般に、0.0001μM〜5μMのEC50値を有するTRPV4チャネル受容体モジュレーター活性を示す。本発明の化合物に関し、全構造/活性関係は今だ確立されていないが、当業者は、式(I)のどの化合物が好都合には0.0001μM〜5μMのEC50値を有するTRPV4チャネル受容体のモジュレーターであるかを本明細書中に記載のアッセイを用いて容易に決定することができる。本発明の全ての例示化合物を上記の生物学的アッセイの少なくとも1つを用いてアッセイした。実施例に記載の化合物は、ウシ関節軟骨細胞を用いるFlex Stationによって測定した場合、0.0001μM〜1μMのEC50値を有し、TRPV4発現HEK細胞を用いるFLIPRアッセイによって測定した場合、約6.0〜9.1のpEC50値を有した。
【0109】
使用方法
本発明の化合物は、TRPV4チャネル受容体のアゴニストである。本発明の化合物は、TRPV4チャネル受容体に関連する疾患の治療において有用である。かくして、本発明は、患者においてTRPV4チャネル受容体を活性化する方法であって、必要とする該患者に、有効量の式Iの化合物を投与することを特徴とする方法を提供する。また、患者のTRPV4チャネル受容体を発現している少なくとも1つの細胞を治療上有効量の式Iの化合物と接触させることを特徴とする、必要とする患者を治療する方法も提供される。
【0110】
本発明の一の態様において、患者は、軟骨またはマトリックス分解に影響を及ぼす疾患に罹患している。別の態様において、患者は、疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、術後疼痛、関節リウマチ、骨関節炎、神経痛、神経障害、痛覚過敏、神経損傷、虚血、神経変性、軟骨変性および炎症性障害からなる群から選択される疾患または病態に罹患している。別の態様において、患者は、喉頭、気管、耳道、椎間板、靱帯、腱、関節包または骨の発達に影響を及ぼす疾患に罹患している。別の態様において、疾患は骨関節炎である。別の態様において、疾患は、関節リウマチである。本発明の治療法は、安全かつ有効量の式Iの化合物またはその医薬上許容される塩を必要とする患者に投与することを特徴とする。
【0111】
本明細書中で使用する場合、「治療」なる語は、(1)治療している疾患または治療している疾患の1以上の生物学的徴候の改善または予防、(2)(a)治療している疾患を導くか、またはその原因となる生物学的カスケードの1以上の時点、または(b)治療している疾患の1以上の生物学的徴候の干渉、(3)治療している疾患に関連する1以上の症状または効果の緩和を意味する。当業者には、「予防」なる語が絶対的な用語でないことが明らかであろう。医学において、「予防」は、疾患の可能性または重篤度あるいはその生物学的徴候を実質的に減少させるため、またはかかる疾患またはその生物学的徴候の発症を遅らせるための薬物の予防的投与をいう。
【0112】
本明細書中で使用される場合、「安全かつ有効量」なる語は、健全な医学的判断の範囲内で、治療されるべき疾患においてプラスの修飾を有意に誘導するのに十分な化合物量であるが、深刻な副作用を(妥当な利益/危険比で)回避するほど十分に低い化合物量を意味する。本発明の化合物の安全かつ有効量は、選択される特定の化合物(例えば、化合物の強度、効力および半減期を考慮する)、選択される投与経路、治療されている疾患、治療されている疾患の重篤度、治療されている患者の年齢、大きさ、体重および物理的状態、治療されるべき患者の病歴、治療期間、併用療法の性質、所望の治療効果および同様の因子によって変化するが、当業者によってごく普通に決定できる。
【0113】
本明細書中で使用される場合、「患者」なる語は、ヒトまたは他の動物をいう。
本発明の化合物は、全身投与および局所投与を包含するいずれかの適当な投与経路によって投与すればよい。全身投与は、経口投与、非経口投与、経皮投与、直腸投与および吸入による投与を包含する。非経口投与は、腸、経皮または吸入による以外の投与経路をいい、典型的には、注射または点滴による。非経口投与は、静脈内、筋内、および皮下注射または点滴を包含する。吸入は、患者の肺への投与をいい、口または鼻道を介して吸入される。局所投与は、皮膚への塗布ならびに眼内、耳、膣内、および鼻腔内投与を包含する。
【0114】
本発明の化合物は、一度に、またはいくつかの投与量が所定の期間、種々の時間間隔で投与される投与方針にしたがって投与してもよい。例えば、投与量を1日に1、2、3または4回投与してもよい。投与量は、所望の治療効果が達成されるまで、または所望の治療効果を維持するために無期限に投与してもよい。本発明の化合物のための適当な投与方針は、その化合物の薬物動力学的性質、例えば、吸収、分布および半減期に依存し、当業者によって決定されることができる。さらに、本発明の化合物のための適当な投与方針は、かかる方針を施す期間を包含するが、治療している疾患、治療されている疾患の重篤度、治療されている患者の年齢および物理的状態、治療されるべき患者の病歴、併用療法の性質、所望の治療効果および当業者の知識および専門技術の範囲内での同様の因子に依存する。さらに、かかる当業者には、適当な投与方針が、該投与方針に対する個々の患者の応答に対して調整を必要としうること、または個々の患者が変化を必要とするのに応じて調整する必要がありうることが分かるであろう。
【0115】
典型的な1日の投与量は、選択された特定の投与経路によって変化しうる。経口投与のための典型的な1日の投与量は、約0.4〜約400mg/kgの範囲である。非経口投与のための典型的な1日の投与量は、約0.01〜約100mg/kg、好ましくは、0.1〜20mg/kgである。本発明の化合物は、単独で投与してもよく、または1以上の付加的な活性剤と組み合わせて投与してもよい。
【実施例】
【0116】
下記の実施例は、本発明を説明するものである。これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではなく、むしろ、本発明の化合物、組成物および方法を調製し、使用するための当業者に対する手引きを提供するものである。本発明の特定の具体例を記載するが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく種々の変更および修飾を施すことができることは、当業者に明らかであろう。
【0117】
実施例1
N−((1S)−1−{[4−(2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}エチル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
【化16】

【0118】
【化17】

a. 4−(2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}エチル)−1−ピペラジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル
4−N−(2−アミノエチル)1−N−Boc−ピペラジン(2.06g,8.99mmol)のCHCl中溶液に、トリエチルアミン(2.5mL,17.9mmol)および塩化2,4−ジクロロベンゼンスルホニル(2.65g,10.8mmol)を加えた。反応混合物を室温で4日間攪拌した。次いで、反応物を真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(10−70%酢酸エチル:ヘキサン)によって精製して、標題化合物を白色固体として得た(3.46g、88%)。LCMS(m/z):438.0/440.0[(M/M+2)+H]
【0119】
【化18】

b. 2,4−ジクロロ−N−[2−(1−ピペラジニル)エチル]ベンゼンスルホンアミド塩酸塩
HCl(ジオキサン中4.0M;7.4mL,29.6mmol)を4−(2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}エチル)−1−ピペラジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(3.46g,7.90mmol)のメタノール(80mL)中溶液に加え、17時間攪拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、共沸条件下、トルエンと共に繰り返し蒸発させることによって乾燥させた。標題化合物を精製することなく次工程に用いた。LCMS(m/z):338.0/340.0[(M/M+2)+H]
【0120】
【化19】

c. N−((1S)−1−{[4−(2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}エチル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド
2,4−ジクロロ−N−[2−(1−ピペラジニル)エチル]ベンゼンスルホンアミド塩酸塩(1.25g,3.34mmol)のCHCl(28mL)中溶液に、EDC(0.773g,4.03mmol)、HOOBt(0.110g,0.674mmol)、N−(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)−L−ロイシン(0.977g,3.36mmol)および4−メチルモルホリン(1.2mL,10.9mmol)を加えた。反応混合物を室温で20時間攪拌し、その後、反応物をCHClで希釈し、飽和NaHCO、1N HCl、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(10−80%酢酸エチル:ヘキサン)により、標題化合物を白色固体として得た(2工程で、1.18g、58%)。
H NMR(400MHz,CDCl−d)γppm8.07(d,J=8.59Hz,1H)7.81−7.90(m,3H)7.59(d,J=2.02Hz,1H)7.39−7.47(m,3H)7.03(d,J=8.34Hz,1H)5.76(s,1H)5.17−5.24(m,1H)3.78(s,1H)3.67(s,1H)3.52−3.58(m,1H)3.51(s,1H)2.99−3.07(m,2H)2.40−2.52(m,4H)2.31−2.37(m,1H)1.73−1.84(m,1H)1.59−1.71(m,3H)1.53(ddd,J=13.83,9.41,4.04Hz,1H)1.08(d,J=6.57Hz,3H)0.97(d,J=6.57Hz,3H);LCMS(m/z):611.2/613.2[(M/M+2)+H]
【0121】
実施例2
N−((1S)−1−{[4−(2−{[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)スルホニル]アミノ}エチル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
【化20】

標題化合物は、塩化2,4−ジクロロベンゼンスルホニルの代わりに塩化2−クロロ−4−フルオロベンゼンスルホニルを用いたことを除き、実施例1に記載の手法にしたがって調製された。
H NMR(400MHz,CDCl−d)γppm8.15(dd,J=8.84,5.81Hz,1H)7.83−7.90(m,2H)7.83(s,1H)7.39−7.49(m,2H)7.27−7.34(m,1H)7.13−7.21(m,1H)7.06(d,J=8.34Hz,1H)5.80(s,1H)5.19(td,J=9.03,(3.92Hz,1H)4.06−4.17(m,1H)3.80(s,1H)3.71(s,1H)3.55(d,J=2.53Hz,1H)3.53(s,1H)3.04(d,J=4.29Hz,2H)2.52(s,3H)2.36(s,1H)2.06(s,1H)1.73−1.82(m,1H)1.62−1.71(m,1H)1.53(ddd,J=13.83,9.41,4.04Hz,1H)1.28(t,J=7.07Hz,1H)1.07(d,J=6.57Hz,3H)0.92−1.01(m,3H);LCMS(m/z):595.2(M+H)
【0122】
実施例3
N−((1S)−1−{[4−({[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}アセチル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
【化21】

【0123】
【化22】

a. [2−オキソ−2−(1−ピペラジニル)エチル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
EDC(1.30g,6.79mmol)、HOBt(0.914g,6.76mmol)およびトリエチルアミン(6.7mL,48.1mmol)をBoc−Gly−OH(1.13g,6.44mmol)のCHCl(65mL)中溶液に加えた。5分間攪拌後、ピペラジン(2.80g,32.6mmol)を加え、反応物を20時間攪拌した。反応物をCHClで希釈し、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗標題化合物を得(1.12g、〜71%)、それをさらに精製することなく次工程に用いた。LCMS(m/z):244.0(M+H)
【0124】
【化23】

b. [2−(4−{(2S)−2−[(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)アミノ]−4−メチルペンタノイル}−1−ピペラジニル)−2−オキソエチル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
[2−オキソ−2−(1−ピペラジニル)エチル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル(1.12g,4.61mmol)のCHCl(40mL)中溶液に、EDC(1.30g,6.79mmol)、HOOBt(0.148g,0.91mmol)、N−(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)−L−ロイシン(1.36g,4.66mmol)および4−メチルモルホリン(1.8mL,16.4mmol)を加えた。反応物を室温で24時間攪拌後、CHClで希釈し、飽和NaHCO、1N HCl、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(16−100%酢酸エチル:ヘキサン)により、標題化合物をオフホワイト色固体として得た(0.66g、28%)。LCMS(m/z):517.2(M+H)
【0125】
【化24】

c. N−((1S)−1−{[4−(アミノアセチル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド塩酸塩
HCl(ジオキサン中4.0M;1.2mL,4.60mmol)を実施例3b由来の生成物(0.660g,1.28mmol)のメタノール(13mL)中溶液に加え、19時間攪拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、共沸条件下、トルエンと共に繰り返し蒸発させることによって乾燥させた。該粗HCl塩をさらに精製することなく次工程に用いた。LCMS(m/z):417.2(M+H)
【0126】
【化25】

d. N−((1S)−1−{[4−({[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}アセチル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド
トリエチルアミン(0.62mL,4.45mmol)および塩化2,4−ジクロロベンゼンスルホニル(0.489g,1.91mmol)をN−((1S)−1−{[4−(アミノアセチル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド塩酸塩(0.579g,1.28mmol)のCHCl中溶液に加えた。室温で19時間攪拌後、反応物を真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(15−75%酢酸エチル:ヘキサン)によって精製して、標題化合物を白色固体として得た(0.588g、79%)。
H NMR(400MHz,CDCl−d)γppm 8.02(dd,J=8.46,2.15Hz,1H)7.80−7.89(m,3H)7.56(d,J=2.02Hz,1H)7.39−7.47(m,3H)6.98(dd,J=8.08,3.79Hz,1H)6.21(s,1H)5.13−5.22(m,1H)3.81−3.93(m,4H)3.47−3.51(m,1H)3.35−3.45(m,3H)1.66−1.78(m,3H)1.48−1.59(m,J=13.39,8.91,8.78,4.29Hz,1H)1.28(t,J=7.07Hz,1H)1.01−1.08(m,3H)0.93−1.00(m,3H);LCMS(m/z):625.0/627.0[(M/M+2)+H]
【0127】
実施例4
N−((1S)−1−{[4−((2R)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−ヒドロキシプロピル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
【化26】

【0128】
【化27】

a. ((1S)−2−{[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}−1−ホルミルエチル)カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
(R)−(+)−N−t−ブトキシカルボニル)−O−(t−ブチルジメチルシリル)セリノール(2.08g,6.82mmol)のCHCl(15mL)中冷却(〜0℃)溶液に、Dess−Martinペルヨージナン(3.48g,8.20mmol)を加えた。反応物を〜0℃にて30分間攪拌後、室温に2.5時間加温した。反応物をエチルエーテルで希釈し、飽和NaHCOおよび0.1N Na(15mL)中に注ぎ入れた。得られた混合物を1時間攪拌後、層を分離し、水層をエチルエーテルで抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCOおよび水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。標題化合物を透明油として単離した(94%収率、1.94g)。
H NMR(400MHz,CDCl−d)γ ppm 9.67(s,1H)5.40(d,J=5.81Hz,1H)4.27(ddd,J=6.95,3.66,3.54Hz,1H)4.21(dd,J=10.36,3.03Hz,1H)3.89(dd,J=10.36,4.04Hz,1H)1.45−1.55(m,9H)0.86−0.95(m,9H)0.03−0.15(m,6H)
【0129】
【化28】

b. 4−[(2R)−3−{[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}−2−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)プロピル]−1−ピペラジンカルボン酸フェニルメチル
1−ピペラジンカルボン酸ベンジル(1.5mL,7.78mmol)および氷酢酸(1.25mL,20.8mmol)をN下、((1S)−2−{[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}−1−ホルミルエチル)カルバミン酸1,1−ジメチルエチル(1.94g,6.40mmol)のメタノール(120mL)中溶液に加え、1時間攪拌した。次いで、NaCNBH(0.807g,12.8mmol)を加え、反応物を20時間攪拌した。濃縮後、残渣を飽和NaHCOで希釈し、CHClで3回抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(2−50%酢酸エチル:ヘキサン)により、標題化合物を得た(2.18g、67%)。LCMS(m/z):508.4(M+H)
【0130】
【化29】

c. [(1R)−2−{[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}−1−(1−ピペラジニルメチル)エチル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
メタノール(33mL)中における実施例4b由来のCBZ−保護ピペラジン(2.18g,4.30mmol)のパージ(N)溶液に10%Pd/C(0.761g)を加えた。反応物をHのバルーン圧下で21時間攪拌した。セライト(登録商標)で濾過後、固体をCHOHおよびCHClで洗浄し、濾液を濃縮して標題化合物を得た(1.57g)。LCMS(m/z):374.2(M+H)
【0131】
【化30】

d. [(1R)−2−{4−[N−(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)−L−ロイシル]−1−ピペラジニル}−1−({[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)エチル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
[(1R)−2−{[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}−1−(1−ピペラジニルメチル)エチル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル(1.57g,4.20mmol)のCHCl(35mL)中溶液に、EDC(0.957g,4.99mmol)、HOOBt(0.145g,0.89mmol)、N−(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)−L−ロイシン(1.23g,4.22mmol)および4−メチルモルホリン(1.2mL,10.9mmol)を加えた。反応物を室温で18時間攪拌後、CHClで希釈し、飽和NaHCO、1N HCl、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(5−80%酢酸エチル:ヘキサン)により、標題化合物を白色固体として得た(2.05g、75%)。
H NMR(400MHz,CDCl−d) γ ppm 7.83−7.90(m,1H)7.83(s,1H)7.39−7.48(m,1H)7.12(d,J=8.34Hz,1H)5.17−5.24(m,1H)4.80−4.90(m,1H)3.73−3.81(m,1H)3.69(s,1H)3.64(s,1H)3.54−3.60(m,1H)2.58(d,J=3.79Hz,2H)2.47(d,J=7.07Hz,2H)1.74−1.84(m,1H)1.60−1.70(m,3H)1.46−1.56(m,7H)1.09(t,J=7.20Hz,2H)0.88−0.99(m,9H)0.06−0.11(m,4H);LCMS(m/z):647.4(M+H)
【0132】
【化31】

e. N−[(1S)−1−({4−[(2R)−2−アミノ−3−ヒドロキシプロピル]−1−ピペラジニル}カルボニル)−3−メチルブチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド塩酸塩
メタノール(31mL)中における実施例4d由来のTBDMS−/BOC−保護化合物(2.00g,3.10mmol)の溶液にHCl(ジオキサン中4.0M;3.8mL,15.2mmol)を加え、3日間攪拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、共沸条件下、トルエンと共に繰り返し蒸発させることによって乾燥させた。標題化合物をさらに精製することなく次工程に用いた。LCMS(m/z):433.2(M+H)
【0133】
【化32】

f. N−((1S)−1−{[4−((2R)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−ヒドロキシプロピル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド
CHCl(31mL)中における実施例4e由来の塩酸塩(1.34g,3.10mmol)の溶液に、トリエチルアミン(1.5mL,10.8mmol)および塩化2,4−ジクロロベンゼンスルホニル(1.15g,4.67mmol)を加え、反応混合物を24時間攪拌した。濃縮後、カラムクロマトグラフィー(2−100%酢酸エチル:ヘキサン)により、標題化合物を白色固体として得た(1.02g、56%)。
H NMR(400MHz,CDCl−d) γ ppm8.06(d,J=8.34Hz,1H)7.81−7.89(m,2H)7.59(d,J=2.02Hz,1H)7.39−7.48(m,3H)7.03(d,J=8.34Hz,1H)5.77(s,1H)5.14−5.21(m,1H)3.68−3.79(m,2H)3.58−3.68(m,2H)3.46(s,2H)3.24(s,1H)2.83(s,1H)2.66(dd,J=13.01,8.72Hz,1H)2.47(dd,J=12.88,5.31Hz,3H)2.32−2.43(m,1H)1.73−1.82(m,1H)1.59−1.70(m,3H)1.52(ddd,J=13.71,9.28,4.04Hz,1H)1.28(t,J=7.20Hz,1H)1.07(d,J=6.32Hz,3H)0.93−1.01(m,3H);LCMS(m/z):641.2/643.2[(M/M+2)+H]
【0134】
実施例5
N−{(1S)−1−[(4−{N−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−L−セリル}−1−ピペラジニル)メチル]−3−メチルブチル}−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
【化33】

【0135】
【化34】

a. [(1S)−1−ホルミル−3−メチルブチル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
CHCl(32mL)中におけるN−(t−ブトキシカルボニル)−L−ロイシノール(3.50g,16.1mmol)の冷却(〜0℃)溶液に、Dess−Martinペルヨージナン(8.24g,19.4mmol)を加えた。反応混合物を〜0℃で30分間攪拌し、次いで、2.5時間室温に加温した。反応物をエチルエーテルで希釈し、飽和NaHCOおよび0.1N Na(32mL)中に注ぎ入れた。得られた混合物を1時間後、層を分離し、水層をエチルエーテルで抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCOおよび水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。標題化合物を無色油として単離した(86%収率、2.99g)。
H NMR(400MHz,CDCl−d) γ ppm 9.61(s,1H)4.94(s,1H)4.25(m,1H)1.73−1.82(m,1H)1.67(td,J=14.15,4.55Hz,1H)1.40−1.50(m,10H)0.91−1.01(m,6H)
【0136】
【化35】

b. 4−[(2S)−2−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−4−メチルペンチル]−1−ピペラジンカルボン酸フェニルメチル
1−ピペラジンカルボン酸ベンジル(2.6mL,13.5mmol)および氷酢酸(2.1mL,35.0mmol)をN下で[(1S)−1−ホルミル−3−メチルブチル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル(2.52g,11.7mmol)のメタノール(200mL)中溶液に加え、1時間攪拌した。次いで、NaCNBH(1.48g,23.6mmol)を加え、反応混合物を20時間攪拌した。濃縮後、残渣を飽和NaHCOで希釈し、CHClで3回抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(2−66%酢酸エチル:ヘキサン)により、標題化合物を得た(3.06g、62%)。LCMS(m/z):420.2(M+H)
【0137】
【化36】

c. [(1S)−3−メチル−1−(1−ピペラジニルメチル)ブチル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
メタノール(56mL)中における実施例5b由来の4−[(2S)−2−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−4−メチルペンチル]−1−ピペラジンカルボン酸フェニルメチル(3.06g,7.30mmol)のパージ(N)溶液に10%Pd/C(1.01g)を加えた。反応混合物をHのバルーン圧下で21時間攪拌した。セライトで濾過後、固体をCHOHおよびCHClで洗浄し、濾液を濃縮して標題化合物を得た(2.04g)。LCMS(m/z):286.2(M+H)
【0138】
【化37】

d. [(1S)−1−({4−[(2S)−3−ヒドロキシ−2−({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)プロパノイル]−1−ピペラジニル}メチル)−3−メチルブチル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
[(1S)−3−メチル−1−(1−ピペラジニルメチル)ブチル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル(1.13g,3.96mmol)のCHCl(40mL)中溶液に、EDC(0.838g,4.37mmol)、HOBt(0.595g,4.40mmol)、CBZ−L−Ser(0.955g,3.99mmol)およびトリエチルアミン(1.6mL,11.5mmol)を加え、反応混合物を2日間攪拌した。CHClで希釈し、次いで、飽和NaHCO、1N HCl、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(10−100%酢酸エチル:ヘキサン)により、標題化合物を得た(1.15g、57%)。LCMS(m/z):507.4(M+H)
【0139】
【化38】

e. {(1S)−3−メチル−1−[(4−L−セリル−1−ピペラジニル)メチル]ブチル}カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
メタノール(17mL)中における実施例5d由来のCBZ−保護アミン(1.15g,2.27mmol)のパージ(N)溶液に10%Pd/C(0.388g)を加えた。反応混合物をHのバルーン圧下で3日間攪拌した。セライトで濾過後、固体をCHOHおよびCHClで洗浄し、濾液を濃縮して、標題化合物を得た(0.770g)。LCMS(m/z):373.2(M+H)
【0140】
【化39】

f. {(1S)−1−[(4−{N−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−L−セリル}−1−ピペラジニル)メチル]−3−メチルブチル}カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
トリエチルアミン(0.86mL,6.17mmol)および塩化2,4−ジクロロベンゼンスルホニル(0.775g,3.16mmol)を{(1S)−3−メチル−1−[(4−L−セリル−1−ピペラジニル)メチル]ブチル}カルバミン酸1,1−ジメチルエチル(0.770g,2.07mmol)のCHCl(21mL)中溶液に加えた。反応混合物を室温で17時間攪拌後、真空下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(10−90%酢酸エチル:ヘキサン)により、標題化合物を得た(0.510g、43%)。LCMS(m/z):581.2/583.2[(M/M+2)+H]
【0141】
【化40】

g. N−[(1S)−2−{4−[(2S)−2−アミノ−4−メチルペンチル]−1−ピペラジニル}−1−(ヒドロキシメチル)−2−オキソエチル]−2,4−ジクロロベンゼンスルホンアミド塩酸塩
メタノール(8.5mL)中における実施例5f由来のBoc−保護ロイシンアミン(0.490g,0.843mmol)の溶液にHCl(ジオキサン中4.0M;1.3mL,5.12mmol)を加え、反応物を一晩攪拌した。次いで、反応混合物を真空下で濃縮して標題化合物を得、それをさらに精製することなく次工程に用いた。LCMS(m/z):481.2/483.2[(M/M+2)+H]
【0142】
【化41】

h. N−{(1S)−1−[(4−{N−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−L−セリル}−1−ピペラジニル)メチル]−3−メチルブチル}−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド
EDC(0.178g,0.928mmol)、HOBt(0.128g,0.947mmol)、ベンゾ(b)チオフェン−2−カルボン酸(0.151g,0.847mmol)およびトリエチルアミン(0.42mL,3.01mmol)をCHCl(9.0mL)中における実施例5g由来のアミン・HCl塩(0.436g,0.843mmol)の溶液に加えた。反応混合物を室温で19時間攪拌後、CHClで希釈し、飽和NaHCO、1N HCl、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(10−100%酢酸エチル:ヘキサン)により、標題化合物を白色固体として得た(0.433g、80%)。
H NMR(400MHz,CDCl−d) γ ppm7.96−8.03(m,1H)7.83−7.91(m,2H)7.76−7.80(m,1H)7.53−7.59(m,1H)7.40−7.48(m,2H)7.38(dd,J=8.59,2.02Hz,1H)6.34(d,J=7.07Hz,1H)6.02(d,J=8.34Hz,1H)4.27−4.36(m,2H)3.65−3.70(m,1H)3.53−3.62(m,2H)3.33−3.45(m,3H)2.65(d,J=10.11Hz,1H)2.39−2.50(m,3H)2.34(d,J=7.83Hz,1H)2.17(s,1H)1.72−1.78(m,1H)1.64−1.71(m,1H)1.53(ddd,J=13.96,8.65,5.68Hz,1H)1.43(ddd,J=13.83,8.65,5.05Hz,1H)0.93−1.01(m,6H);LCMS(m/z):641.2/643.2(M/M+2)
【0143】
実施例6
N−((1S)−1−{[4−((2S)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−ヒドロキシプロパノイル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
【化42】

【0144】
【化43】

a. 4−(N−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−L−ロイシル)−1−ピペラジンカルボン酸フェニルメチル
1−ピペラジンカルボン酸フェニルメチル(3.0g,13.62mmol)のCHCl(68mL)中溶液に、EDC(2.61g,13.62mmol)、HOOBt(44mg,0.27mmol)、N−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−L−ロイシン(3.15g,13.62mmol)および4−メチルモルホリン(4.51mL,40.9mmol)を加えた。反応混合物を室温で20時間攪拌後、反応物をCHClで希釈し、10%クエン酸およびブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(10−80%酢酸エチル:ヘキサン)により、標題化合物を白色固体として得た(5.4g、91%収率)。LCMS(m/z):434.2(M+H)
【0145】
【化44】

b. 4−L−ロイシル−1−ピペラジンカルボン酸フェニルメチル
HCl(1,4−ジオキサン中4.0M;8.7mL,34.6mmol)を4−(N−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−L−ロイシル)−1−ピペラジンカルボン酸フェニルメチル(3.0g,6.93mmol)のメタノール(10mL)中溶液に加えた。2時間攪拌後、反応混合物を真空下で濃縮して標題化合物を白色固体として得た。LCMS(m/z):334.2(M+H)
【0146】
【化45】

c. 4−[N−(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)−L−ロイシル]−1−ピペラジンカルボン酸フェニルメチル
4−L−ロイシル−1−ピペラジンカルボン酸フェニルメチル(1.0g,3.34mmol)のCHCl(13.5mL)中溶液に、EDC(571mg,2.98mmol)、HOOBt(8.8mg,0.054mmol)、1−ベンゾチオフェン−2−カルボン酸(530mg,2.98mmol)および4−メチルモルホリン(1.5mL,13.5mmol)を加えた。反応混合物を室温で20時間攪拌後、反応物をCHClで希釈し、10%クエン酸およびブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(10−80%酢酸エチル:ヘキサン)により、標題化合物を白色固体として得た(1.3g、88%収率)。LCMS(m/z):494.2(M+H)
【0147】
【化46】

d. N−[(1S)−3−メチル−1−(1−ピペラジニルカルボニル)ブチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド
4−[N−(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)−L−ロイシル]−1−ピペラジンカルボン酸フェニルメチル(1.3g)のエタノール(20mL)中溶液を10%Pd/C(0.26g)で処理し、混合物を水素雰囲気下(50psi)、室温で4時間振盪した。濾過および蒸発により、標題化合物を白色固体として定量的収率で得た(0.91g)。LCMS(m/z):360.2(M+H)
【0148】
【化47】

e. [(1S)−2−(4−{(2S)−2−[(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)アミノ]−4−メチルペンタノイル}−1−ピペラジニル)−1−(ヒドロキシメチル)−2−オキソエチル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
N−[(1S)−3−メチル−1−(1−ピペラジニルカルボニル)ブチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド(150mg,0.418mmol)のCHCl(2mL)中溶液に、EDC(88mg,0.460mmol)、HOOBt(0.16g,0.0096mmol)、N−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−L−セリン(94mg,0.460mmol)および4−メチルモルホリン(0.14mL,1.254mmol)を加えた。反応混合物を室温で20時間攪拌後、反応物をCHClで希釈し、10%クエン酸およびブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(10−80%酢酸エチル:ヘキサン)により、標題化合物を白色固体として得た(190mg、83%)。LCMS(m/z):547.2(M+H)
【0149】
【化48】

f. N−[(1S)−1−({4−[(2S)−2−アミノ−3−ヒドロキシプロパノイル]−1−ピペラジニル}カルボニル)−3−メチルブチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド
HCl(1,4−ジオキサン中4.0M;0.8mL,3.47mmol)をメタノール(5mL)中における実施例8e由来のBoc−アミン(190mg,0.347mmol)の溶液に加え、1時間攪拌した。反応混合物を真空下で濃縮して、標題化合物を白色固体として得た。LCMS(m/z):447.2(M+H)
【0150】
【化49】

g. N−((1S)−1−{[4−((2S)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−ヒドロキシプロパノイル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド
N−[(1S)−1−({4−[(2S)−2−アミノ−3−ヒドロキシプロパノイル]−1−ピペラジニル}カルボニル)−3−メチルブチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド(76mg,0.157mmol)のCHCl中溶液に、トリエチルアミン(0.1mL,0.785mmol)および塩化2,4−ジクロロベンゼンスルホニル(39mg,0.157mmol)を加えた。反応物を室温で一晩攪拌した。次いで、反応物を真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(10−70%酢酸エチル:ヘキサン)によって精製して、標題化合物を白色固体として得た(65mg、63%収率)。LCMS(m/z):655.2(M+H)
【0151】
実施例7
N−((1S)−1−{[4−((2R)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−ヒドロキシプロパノイル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
【化50】

標題化合物は、N−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−L−セリンの代わりにN−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−D−セリンを用いたことを除き、実施例6の一般的手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):655.2(M+H)
【0152】
実施例8
2,4−ジクロロ−N−{2−[4−((2S)−4−メチル−2−{[(フェニルアミノ)カルボニル]アミノ}ペンタノイル)−1−ピペラジニル]−2−オキソエチル}ベンゼン−スルホンアミドの調製
【化51】

【0153】
【化52】

a. [(1S)−3−メチル−1−(1−ピペラジニルカルボニル)ブチル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
標題化合物は、4−[N−(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)−L−ロイシル]−1−ピペラジンカルボン酸フェニルメチルの代わりに4−(N−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−L−ロイシル)−1−ピペラジンカルボン酸フェニルメチルを用いたことを除き、実施例6dの一般的手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):300.4(M+H)
【0154】
【化53】

b. [(1S)−3−メチル−1−({4−[({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)アセチル]−1−ピペラジニル}カルボニル)ブチル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
標題化合物は、N−[(1S)−3−メチル−1−(1−ピペラジニルカルボニル)ブチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの代わりに[(1S)−3−メチル−1−(1−ピペラジニルカルボニル)ブチル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチルを用い、N−Boc L−セリンの代わりにN−CBZグリシンを用いたことを除き、実施例6eの一般的手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):491.2(M+H)
【0155】
【化54】

c. ((1S)−1−{[4−(アミノアセチル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
標題化合物は、4−[N−(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)−L−ロイシル]−1−ピペラジンカルボン酸フェニルメチルの代わりに[(1S)−3−メチル−1−({4−[({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)アセチル]−1−ピペラジニル}カルボニル)ブチル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチルを用いたことを除き、実施例6dの一般的手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):357.2(M+H)
【0156】
【化55】

d. ((1S)−1−{[4−({[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}アセチル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
標題化合物は、N−[(1S)−1−({4−[(2S)−2−アミノ−3−ヒドロキシプロパノイル]−1−ピペラジニル}カルボニル)−3−メチルブチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの代わりに((1S)−1−{[4−(アミノアセチル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)カルバミン酸1,1−ジメチルエチルを用いたことを除き、実施例6gの一般的手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):565.2(M+H)
【0157】
【化56】

e. N−(2−{4−[(2S)−2−アミノ−4−メチルペンタノイル]−1−ピペラジニル}−2−オキソエチル)−2,4−ジクロロベンゼンスルホンアミド
標題化合物は、4−(N−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−L−ロイシル)−1−ピペラジンカルボン酸フェニルメチルを((1S)−1−{[4−({[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}アセチル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)カルバミン酸1,1−ジメチルエチルを用いたことを除き、実施例8bの一般的手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):465.0(M+H)
【0158】
【化57】

f. 2,4−ジクロロ−N−{2−[4−((2S)−4−メチル−2−{[(フェニルアミノ)カルボニル]アミノ}ペンタノイル)−1−ピペラジニル]−2−オキソエチル}ベンゼンスルホンアミド
標題化合物は、N−[(1S)−1−({4−[(2S)−2−アミノ−3−ヒドロキシプロパノイル]−1−ピペラジニル}カルボニル)−3−メチルブチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの代わりにN−(2−{4−[(2S)−2−アミノ−4−メチルペンタノイル]−1−ピペラジニル}−2−オキソエチル)−2,4−ジクロロベンゼンスルホンアミドを用い、塩化2,4−ジクロロベンゼンスルホニルの代わりにイソシアナートベンゼンを用いたことを除き、実施例6gの一般的手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):584.2(M+H)
【0159】
実施例9
N−((1S)−1−{[4−((2S)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}プロパノイル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
【化58】

【0160】
【化59】

a. N−[(1S)−3−メチル−1−(1−ピペラジニルカルボニル)ブチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド
標題化合物は、N−(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)−L−ロイシンおよびピペラジンを用いて出発したことを除き、実施例6aの一般的手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):360.2(M+H)
【0161】
【化60】

b. [(1S)−2−(4−{(2S)−2−[(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)アミノ]−4−メチルペンタノイル}−1−ピペラジニル)−1−メチル−2−オキソエチル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
標題化合物は、N−[(1S)−3−メチル−1−(1−ピペラジニルカルボニル)ブチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドおよびN−Boc−L−アラニンを用いて出発したことを除き、実施例8aの一般的手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):531.2(M+H)
【0162】
【化61】

c. N−[(1S)−1−({4−[(2S)−2−アミノプロパノイル]−1−ピペラジニル}カルボニル)−3−メチルブチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド
トリフルオロ酢酸(1mL)を[(1S)−2−(4−{(2S)−2−[(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)アミノ]−4−メチルペンタノイル}−1−ピペラジニル)−1−メチル−2−オキソエチル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル(200mg,0.38mmol)のDCM(1mL)中溶液に加え、反応混合物を2時間攪拌した。反応混合物を真空下で濃縮して、生成物を白色固体として得た。LCMS(m/z):431(M+H)
【0163】
【化62】

d. N−((1S)−1−{[4−((2S)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}プロパノイル)−1−ピペラジニル] カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド
標題化合物は、N−[(1S)−1−({4−[(2S)−2−アミノ−3−ヒドロキシプロパノイル]−1−ピペラジニル}カルボニル)−3−メチルブチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの代わりにN−[(1S)−1−({4−[(2S)−2−アミノプロパノイル]−1−ピペラジニル}カルボニル)−3−メチルブチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドを用いたことを除き、実施例6gの一般的手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):639/641[(M/M+2)+H]
【0164】
実施例10
N−((1S)−1−{[4−((2S)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−2−フェニルアセチル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
【化63】

標題化合物は、N−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−L−アラニンの代わりに(2S)−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)(フェニル)エタン酸を用いたことを除き、実施例9の一般的手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):701/703[(M/M+2)+H]
【0165】
実施例11
N−((1S)−1−{[4−((2S,3R)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−ヒドロキシブタノイル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
【化64】

標題化合物は、N−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−L−アラニンの代わりにN−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−L−スレオニンを用いたことを除き、実施例9の一般的手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):669/671[(M/M+2)+H]
【0166】
実施例12
N−((1S)−1−{[4−((2S)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−4−ヒドロキシブタノイル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
【化65】

標題化合物は、N−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−L−アラニンの代わりにN−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−L−ホモセリンを用いたことを除き、実施例9の一般的手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):669/671[(M/M+2)+H]
【0167】
実施例13
N−{(1S)−1−[(4−{[[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル](メチル)アミノ]アセチル}−1−ピペラジニル)カルボニル]−3−メチルブチル}−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
【化66】

N−((1S)−1−{[4−({[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}アセチル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド(実施例3で合成)(0.112g,0.179mmol)のDMF(1.8mL)中溶液に、炭酸セシウム(0.058g,0.178mmol)およびヨードメタン(0.056mL,0.898mmol)を加えた。得られた反応混合物を室温で20時間攪拌した。反応物を酢酸エチルで希釈し、1N HCl、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(0−8%CHOH/CHCl)により、標題化合物を得た(0.112g、97%)。LCMS(m/z):639.2/641.2[(M/M+2)+H]
【0168】
実施例14
N−((1S)−1−{[(3S)−4−({[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}アセチル)−3−メチル−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
【化67】

【0169】
【化68】

a. (3S)−3−メチル−1−ピペラジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル
(S)−(+)−2−メチルピペラジン(2.85g,28.5mmol)のCHCl(17mL)中溶液に、CHCl(13mL)中におけるBoc−ON(1.76g,7.15mmol)をN下で45分かけて滴下した。反応物を18時間攪拌し、CHClで希釈し、HOで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して粗標題化合物を得、それを次工程に用いた。LCMS(m/z):201.2(M+H)
【0170】
【化69】

b. (3S)−3−メチル−4−(N−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}グリシル)−1−ピペラジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル
EDC(1.51g,7.87mmol)、HOBt(1.06g,7.85mmol)、CBz−グリシン(1.51g,7.20mmol)およびトリエチルアミン(3.2mL,23.0mmol)をCHCl(68mL)中における(3S)−3−メチル−1−ピペラジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(1.43g,7.15mmol)に加え、室温で3日間攪拌した。反応物をCHClで希釈し、飽和NaHCO、1N HCl、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(20−100%酢酸エチル:ヘキサン)により、標題化合物を得た(2工程で0.720g、26%)。LCMS(m/z):392.2(M+H)
【0171】
【化70】

c. (3S)−4−グリシル−3−メチル−1−ピペラジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル
(3S)−3−メチル−4−(N−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}グリシル)−1−ピペラジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(0.720g,1.84mmol)のメタノール(14mL)中溶液を10〜15分間Nでパージした。10%Pd/C(0.212g)を加え、反応混合物を55psi H下に24時間置いた。次いで、反応物をセライトを充填したフィルターフリットによって濾過し、CHOHおよびCHClで洗浄し、濃縮して、粗標題化合物を得た(0.470g,〜99%)。LCMS(m/z):258.2(M+H)
【0172】
【化71】

d. (3S)−4−{N−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]グリシル}−3−メチル−1−ピペラジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル
トリエチルアミン(0.76mL,5.45mmol)および塩化2,4−ジクロロベンゼンスルホニル(0.667g,2.72mmol)をCHCl(18mL)中における(3S)−4−グリシル−3−メチル−1−ピペラジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(0.470g,1.83mmol)に加え、23時間攪拌した。反応物を真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(5−75%酢酸エチル:ヘキサン)により、標題化合物を得た(0.490g、58%)。LCMS(m/z):466.2/468.2[(M/M+2)+H]
【0173】
【化72】

e. 2,4−ジクロロ−N−{2−[(2S)−2−メチル−1−ピペラジニル]−2−オキソエチル}ベンゼンスルホンアミド)
(3S)−4−{N−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]グリシル}−3−メチル−1−ピペラジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(0.490g,1.05mmol)のメタノール(11mL)中溶液に、HCl(ジオキサン中4.0N,0.82mL,3.28mmol)を加え、反応物を22時間攪拌した。反応物を濃縮し、粗標題化合物を精製することなく次工程に用いた。LCMS(m/z):366.0/368.0[(M/M+2)+H]
【0174】
【化73】

f. N−((1S)−1−{[(3S)−4−({[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}アセチル)−3−メチル−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド
2,4−ジクロロ−N−{2−[(2S)−2−メチル−1−ピペラジニル]−2−オキソエチル}ベンゼンスルホンアミド(0.423g,1.05mmol)のCHCl(9.0mL)中溶液に、EDC(0.248g,1.29mmol)、HOOBt(0.037g,0.227mmol)、N−(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)−L−ロイシン(0.307g,1.05mmol)およびN−メチルモルホリン(0.41mL,3.73mmol)を加えた。反応物を室温で24時間攪拌した。CHClで希釈し、次いで、飽和NaHCO、1N HCl、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(5−90%酢酸エチル:ヘキサン)により、標題化合物を得た(0.499g、74%)。
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ ppm 8.02(dd,J=8.46,1.64Hz,1H)7.84(ddd,J=13.52,8.08,7.20Hz,3H)7.54(d,J=13.64Hz,1H)7.47(d,J=1.26Hz,3H)6.98(s,1H)6.86(s,1H)6.20(d,J=3.54Hz,1H)5.32(s,1H)4.75(s,1H)4.43(s,1H)4.06−4.18(m,J=19.74,6.95,6.95,6.79Hz,1H)3.84(s,1H)3.75(s,1H)3.41(d,J=9.35Hz,1H)3.29(s,1H)3.26(s,1H)2.94(d,J=2.53Hz,1H)2.07(s,1H)1.74(td,J=10.93,8.72Hz,1H)1.63−1.68(m,2H)1.56(td,J=15.54,5.31Hz,1H)1.49(s,1H)1.16−1.24(m,2H)1.14(s,1H)1.11(s,1H)1.02−1.08(m,2H)0.93−1.00(m,J=6.06,5.76,5.76,4.04,3.38Hz,2H);LCMS(m/z):639.2/641.2[(M/M+2)+H]
【0175】
実施例15
N−((1S)−1−{[(2S)−4−({[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}アセチル)−2−メチル−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
【化74】

【0176】
【化75】

a. {2−[(3S)−3−メチル−1−ピペラジニル]−2−オキソエチル}カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
(S)−(+)−2−メチルピペラジン(1.02g,10.2mmol)、Boc−グリシン(1.782g,10.2mmol)およびヘキサメチルジシラザン(4.4mL,20.9mmol)を合わせ、110℃で19時間加熱した。反応物を冷却し、CHClで希釈し、飽和NaHCO、HOおよびブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して粗標題化合物を得(1.63g、〜62%)、それを次工程に用いた。LCMS(m/z):258.2(M+H)
【0177】
【化76】

b. [2−((3S)−4−{(2S)−2−[(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)アミノ]−4−メチルペンタノイル}−3−メチル−1−ピペラジニル)−2−オキソエチル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
{2−[(3S)−3−メチル−1−ピペラジニル]−2−オキソエチル}カルバミン酸1,1−ジメチルエチル(1.63g,6.34mmol)のCHCl(53mL)中溶液に、EDC(1.46g,7.63mmol)、HOOBt(0.208g,1.27mmol)、N−(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)−L−ロイシン(1.85g,6.36mmol)およびN−メチルモルホリン(2.0mL,18.2mmol)を加えた。反応物を室温で24時間攪拌した。CHClで希釈し、次いで、飽和NaHCO、1N HCl、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(10−100%酢酸エチル:ヘキサン)により、標題化合物を得た(1.86g、55%)。LCMS(m/z):531.2(M+H)
【0178】
【化77】

c. N−((1S)−1−{[(2S)−4−(アミノアセチル)−2−メチル−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド
標題化合物は、(3S)−4−{N−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]グリシル}−3−メチル−1−ピペラジンカルボン酸1,1−ジメチルエチルの代わりに[2−((3S)−4−{(2S)−2−[(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)アミノ]−4−メチルペンタノイル}−3−メチル−1−ピペラジニル)−2−オキソエチル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチルを用いたことを除き、実施例14eと同じ手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):431.2(M+H)
【0179】
【化78】

d. N−((1S)−1−{[(2S)−4−({[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}アセチル)−2−メチル−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド
標題化合物は、(3S)−4−グリシル−3−メチル−1−ピペラジンカルボン酸1,1−ジメチルエチルの代わりにN−((1S)−1−{[(2S)−4−(アミノアセチル)−2−メチル−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドを用いたことを除き、実施例14dと同じ手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):639.2/641.2[(M/M+2)+H]
【0180】
実施例16
N−((1S)−1−{[4−({(2R)−1−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−2−ピペリジニル}カルボニル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
【化79】

【0181】
【化80】

a. 4−[((2R)−1−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−2−ピペリジニル)カルボニル]−1−ピペラジンカルボン酸フェニルメチル
CBz−ピペラジン(0.84mL,4.36mmol)のCHCl(22mL)中溶液に、EDC(0.918g,4.79mmol)、HOBt(0.645g,4.77mmol)、Boc−D−Pip−OH(1.03g,4.50mmol)およびトリエチルアミン(0.74mL,5.31mmol)を加え、反応物を室温で5日間攪拌した。反応物をCHClで希釈し、飽和NaHCO、1N HCl、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗標題化合物を得た(1.87g、〜99%)。LCMS(m/z):432.2(M+H)
【0182】
【化81】

b. (2R)−2−(1−ピペラジニルカルボニル)−1−ピペリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル
4−[((2R)−1−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−2−ピペリジニル)カルボニル]−1−ピペラジンカルボン酸フェニルメチル(1.87g,4.34mmol)のメタノール(36mL)中溶液を10〜15分間Nでパージした。Pd/C(10%,0.874g)を加え、反応物をH下で18時間攪拌した。反応物をセライトを充填したフィルターフリットで濾過し、CHOHおよびCHClでリンスし、濃縮して粗標題化合物を得た(1.29g、〜100%)。LCMS(m/z):298.2(M+H)
【0183】
【化82】

c. (2R)−2−({4−[N−(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)−L−ロイシル]−1−ピペラジニル}カルボニル)−1−ピペリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル
標題化合物は、2,4−ジクロロ−N−{2−[(2S)−2−メチル−1−ピペラジニル]−2−オキソエチル}ベンゼンスルホンアミドの代わりに(2R)−2−(1−ピペラジニルカルボニル)−1−ピペリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチルを用いたことを除き、実施例14fと同じ手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):571.2(M+H)
【0184】
【化83】

d. N−[(1S)−3−メチル−1−({4−[(2R)−2−ピペリジニルカルボニル]−1−ピペラジニル}カルボニル)ブチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド
標題化合物は、(3S)−4−{N−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]グリシル}−3−メチル−1−ピペラジンカルボン酸1,1−ジメチルエチルの代わりに(2R)−2−({4−[N−(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)−L−ロイシル]−1−ピペラジニル}カルボニル)−1−ピペリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチルを用いたことを除き、実施例14eと同じ手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):471.2(M+H)
【0185】
【化84】

e. N−((1S)−1−{[4−({(2R)−1−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−2−ピペリジニル}カルボニル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド
標題化合物は、(3S)−4−グリシル−3−メチル−1−ピペラジンカルボン酸1,1−ジメチルエチルの代わりにN−[(1S)−3−メチル−1−({4−[(2R)−2−ピペリジニルカルボニル]−1−ピペラジニル}カルボニル)ブチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドを用いたことを除き、実施例14dと同じ手法にしたがって調製された。
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ ppm 8.04(s,1H)7.83−7.91(m,2H)7.83(s,1H)7.54(s,1H)7.39−7.48(m,J=10.52,7.01,3.55,3.55,3.55,1.39Hz,2H)7.37(d,J=8.08Hz,1H)7.04(d,J=8.34Hz,1H)5.21(td,J=9.03,4.17Hz,1H)5.04(s,1H)4.05(s,1H)3.95−4.00(m,1H)3.93(d,J=2.53Hz,1H)3.78(d,J=9.60Hz,1H)3.71(s,1H)3.62(s,3H)3.42(s,2H)1.84(s,2H)1.79(td,J=7.89,4.42Hz,2H)1.64−1.73(m,4H)1.56(d,J=9.09Hz,2H)1.43(d,J=11.62Hz,1H)1.08(d,J=6.32Hz,3H)0.98(d,J=6.57Hz,3H);LCMS(m/z):679.2/681.2[(M/M+2)+H]
【0186】
実施例17
N−((1S)−1−{[4−({4−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−3−モルホリニル}カルボニル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
【化85】

標題化合物は、Boc−D−Pip−OHの代わりにモルホリン−3,4−ジカルボン酸4−t−ブチルエステルを用いたことを除き、実施例16の一般的手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):681.2/683.2[(M/M+2)+H]
【0187】
実施例18
N−[(1S)−2−[4−((2S)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−4−メチルペンタノイル)−1−ピペラジニル]−1−(ヒドロキシメチル)−2−オキソエチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
【化86】

標題化合物は、N−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−L−ロイシンの代わりにN−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−L−セリンを用い、次いで、N−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−L−セリンの代わりにN−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−L−ロイシンを用いたことを除き、実施例6の一般的手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):655.2/657.2[(M/M+2)+H]
【0188】
実施例19
N−((1S)−1−{[4−({(2S)−1−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−2−ピペリジニル}カルボニル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
【化87】

標題化合物は、Boc−D−Pip−OHの代わりにBoc−L−Pip−OHを用いたことを除き、実施例16の一般的手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):679.2/681.2[(M/M+2)+H]
【0189】
実施例20
N−{(1S)−1−[(4−{(2S)−2−[[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル](メチル)アミノ]−3−ヒドロキシプロパノイル}−1−ピペラジニル)カルボニル]−3−メチルブチル}−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド
【化88】

N−((1S)−1−{[4−((2S)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−ヒドロキシプロパノイル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド(60mg,0.092mmol)のCHCN(1.0mL)中溶液に、硫酸ジメチル(11mg,0.092mmol)および炭酸カリウム(19mg,0.138mmol)を加えた。反応混合物を室温で16時間攪拌した。濃縮後、残渣を酢酸エチルで希釈し、HOで2回洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(10−85%酢酸エチル:ヘキサン)により、標題化合物を得た(53mg、86%収率)。LCMS(m/z):669.2/671.2[(M/M+2)+H]
【0190】
実施例21
2,4−ジクロロ−N−{(1S)−1−(ヒドロキシメチル)−2−[4−((2S)−4−メチル−2−{[(フェニルアミノ)カルボニル]アミノ}ペンタノイル)−1−ピペラジニル]−2−オキソエチル}ベンゼンスルホンアミド(GSK1132685A)の調製
【化89】

【0191】
【化90】

a. 4−(N−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−L−セリル)−1−ピペラジンカルボン酸フェニルメチル
標題化合物は、N−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−L−ロイシンの代わりにN−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−L−セリンを用いたことを除き、実施例6aの一般的手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):408(M+H)
【0192】
【化91】

b. 4−L−セリル−1−ピペラジンカルボン酸フェニルメチル
標題化合物は、4−(N−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−L−ロイシル)−1−ピペラジンカルボン酸フェニルメチルの代わりに4−(N−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−L−セリル)−1−ピペラジンカルボン酸フェニルメチルを用いたことを除き、実施例6bの一般的手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):308(M+H)
【0193】
【化92】

c. 4−{N−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−L−セリル}−1−ピペラジンカルボン酸フェニルメチル
標題化合物は、N−[(1S)−1−({4−[(2S)−2−アミノ−3−ヒドロキシプロパノイル]−1−ピペラジニル}カルボニル)−3−メチルブチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの代わりに4−L−セリル−1−ピペラジンカルボン酸フェニルメチルを用いたことを除き、実施例6gの一般的手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):516/518[(M/M+2)+H]
【0194】
【化93】

d. 2,4−ジクロロ−N−[(1S)−1−(ヒドロキシメチル)−2−オキソ−2−(1−ピペラジニル)エチル]ベンゼンスルホンアミド
CHCl(27mL)中における4−{N−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−L−セリル}−1−ピペラジンカルボン酸フェニルメチル(2.83g,5.50mmol)の冷却(〜0℃)溶液にBBr(16.5mL,16.5mmol)をゆっくり加えた。反応物を〜0℃で30分間攪拌し、次いで、室温に16時間加温した。反応混合物を氷浴中で冷却し、次いで、水でクエンチした。得られた混合物を分離し、水層を3N NaOHで約pH4に中和し、CHClで3回抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。標題化合物を得た(86%収率、1.97g)。LCMS(m/z):382/384[(M/M+2)+H]
【0195】
【化94】

e. ((1S)−1−{[4−((2S)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−ヒドロキシプロパノイル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)カルバミン酸1,1−ジメチルエチル(非優先名称)
標題化合物は、1−ピペラジンカルボン酸フェニルメチルの代わりに2,4−ジクロロ−N−[(1S)−1−(ヒドロキシメチル)−2−オキソ−2−(1−ピペラジニル)エチル]ベンゼンスルホンアミドを用いたことを除き、実施例6aの一般的手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):595/597[(M/M+2)+H]
【0196】
【化95】

f. N−[(1S)−2−{4−[(2S)−2−アミノ−4−メチルペンタノイル]−1−ピペラジニル}−1−(ヒドロキシメチル)−2−オキソエチル]−2,4−ジクロロベンゼンスルホンアミド
標題化合物は、4−(N−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−L−ロイシル)−1−ピペラジンカルボン酸フェニルメチルの代わりに((1S)−1−{[4−((2S)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−ヒドロキシプロパノイル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)カルバミン酸1,1−ジメチルエチルを用いたことを除き、実施例6bの一般的手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):495/497[(M/M+2)+H]
【0197】
【化96】

g. 2,4−ジクロロ−N−{(1S)−1−(ヒドロキシメチル)−2−[4−((2S)−4−メチル−2−{[(フェニルアミノ)カルボニル]アミノ}ペンタノイル)−1−ピペラジニル]−2−オキソエチル}ベンゼンスルホンアミド
標題化合物は、N−(2−{4−[(2S)−2−アミノ−4−メチルペンタノイル]−1−ピペラジニル}−2−オキソエチル)−2,4−ジクロロベンゼンスルホンアミドの代わりにN−[(1S)−2−{4−[(2S)−2−アミノ−4−メチルペンタノイル]−1−ピペラジニル}−1−(ヒドロキシメチル)−2−オキソエチル]−2,4−ジクロロベンゼンスルホンアミドを用いたことを除き、実施例8fの一般的手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):614.2/616.2[(M/M+2)+H]
【0198】
実施例22
N−{(1S)−1−[(4−{(2S)−3−ヒドロキシ−2−[(フェニルスルホニル)アミノ]プロパノイル}−1−ピペラジニル)カルボニル]−3−メチルブチル}−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
【化97】

標題化合物は、塩化2,4−ジクロロベンゼンスルホニルの代わりに塩化ベンゼンスルホニルを用いたことを除き、実施例6の一般的手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):587.2(M+H)
【0199】
実施例23
N−[(1S)−1−({4−[(2S)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−(メチルオキシ)プロパノイル]−1−ピペラジニル}カルボニル)−3−メチルブチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
【化98】

標題化合物は、N−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−L−アラニンの代わりにN−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−O−メチル−L−セリンを用いたことを除き、実施例9の一般的手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):669.2/671.2[(M/M+2)+H]
【0200】
実施例24
N−((1S)−1−{[4−({(2R)−1−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−2−メチル−2−アジリジニル}カルボニル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
【化99】

標題化合物は、N−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−L−アラニンの代わりにN−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−2−メチル−D−セリンを用いたことを除き、実施例9の一般的手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):651.2/653.2[(M/M+2)+H]
【0201】
実施例25
N−((1S)−1−{[4−({(2S)−1−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−2−メチル−2−アジリジニル}カルボニル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
【化100】

標題化合物は、N−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−L−アラニンの代わりにN−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−2−メチル−L−セリンを用いたことを除き、実施例9の一般的手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):651.0/653.2[(M/M+2)+H]
【0202】
実施例26
N−((1S)−1−{[4−((2S)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−ヒドロキシプロパノイル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチル−3−ブテン−1−イル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
【化101】

標題化合物は、N−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−N−メチル−L−ロイシンの代わりにN−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−4−メチリデン−L−ノルバリンを用いたことを除き、実施例21の一般的手法にしたがって調製された。LCMS(m/z):653.2/655.2(M+H)
【0203】
実施例27
シュークロース、硫酸カルシウム二水和物および下記の表3に示されるTRPV4アゴニストを混合し、示される割合で、10%ゼラチン溶液を用いて造粒した。湿潤顆粒をスクリーンし、乾燥させ、デンプン、タルクおよびステアリン酸と混合し、スクリーンし、打錠した。
【0204】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中
Zは、結合またはNHであり;
は、アリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり;
はH、置換されていてもよいC1−6アルキル、または置換されていてもよいC2−6アルケニルであり;
およびRは、独立して、H、置換されていてもよいC1−6アルキル、またはアリールであり;
は、Hまたは置換されていてもよいC1−6アルキルであり;
は、HまたはC1−6アルキルであり;
は、HまたはC1−6アルキルであり;
XおよびX’は、独立して、OまたはHであるか;または
ここに、RおよびRが一緒になって、モルホリニル、ピペラジニル、またはアジリジニル環の一部を形成する]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項2】
がフェニルおよびベンゾ[b]チオフェニルからなる群から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項3】
がイソブチル、ブテニルおよびヒドロキシメチルからなる群から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項4】
がH、メチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエメチル、メチルオキシメチル、イソブチルおよびフェニルからなる群から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項5】
がHまたはメチルである請求項1記載の化合物。
【請求項6】
およびRが一緒になって、ピペラジニル、モルホリニルまたはアジリジニル環の一部を形成する請求項1記載の化合物。
【請求項7】
アリールが1〜3個のハロゲンで置換されていてもよいフェニルである請求項1記載の化合物。
【請求項8】
N−((1S)−1−{[4−(2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}エチル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[4−(2−{[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)スルホニル]アミノ}エチル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[4−({[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}アセチル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[4−((2R)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−ヒドロキシプロピル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−{(1S)−1−[(4−{N−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−L−セリル}−1−ピペラジニル)メチル]−3−メチルブチル}−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[4−((2S)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−ヒドロキシプロパノイル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[4−((2R)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−ヒドロキシプロパノイル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
2,4−ジクロロ−N−{2−[4−((2S)−4−メチル−2−{[(フェニルアミノ)カルボニル]アミノ}ペンタノイル)−1−ピペラジニル]−2−オキソエチル}ベンゼン−スルホンアミド;
N−((1S)−1−{[4−((2S)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}プロパノイル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[4−((2S)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−2−フェニルアセチル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[4−((2S,3R)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−ヒドロキシブタノイル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−{(1S)−1−[(4−{[[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル](メチル)アミノ]アセチル}−1−ピペラジニル)カルボニル]−3−メチルブチル}−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[(3S)−4−({[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}アセチル)−3−メチル−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[(2S)−4−({[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}アセチル)−2−メチル−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[4−({(2R)−1−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−2−ピペリジニル}カルボニル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[4−({4−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−3−モルホリニル}カルボニル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−[(1S)−2−[4−((2S)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−4−メチルペンタノイル)−1−ピペラジニル]−1−(ヒドロキシメチル)−2−オキソエチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[4−({(2S)−1−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−2−ピペリジニル}カルボニル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−{(1S)−1−[(4−{(2S)−2−[[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル](メチル)アミノ]−3−ヒドロキシプロパノイル}−1−ピペラジニル)カルボニル]−3−メチルブチル}−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
2,4−ジクロロ−N−{(1S)−1−(ヒドロキシメチル)−2−[4−((2S)−4−メチル−2−{[(フェニルアミノ)カルボニル]アミノ}ペンタノイル)−1−ピペラジニル]−2−オキソエチル}ベンゼンスルホンアミド;
N−{(1S)−1−[(4−{(2S)−3−ヒドロキシ−2−[(フェニルスルホニル)アミノ]プロパノイル}−1−ピペラジニル)カルボニル]−3−メチルブチル}−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−[(1S)−1−({4−[(2S)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−(メチルオキシ)プロパノイル]−1−ピペラジニル}カルボニル)−3−メチルブチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[4−({(2R)−1−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−2−メチル−2−アジリジニル}カルボニル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[4−({(2S)−1−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−2−メチル−2−アジリジニル}カルボニル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[4−((2S)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−ヒドロキシプロパノイル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチル−3−ブテン−1−イル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;および
N−((1S)−1−{[4−((2S)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−ヒドロキシプロパノイル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチル−3−ブテン−1−イル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド
からなる群から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項9】
請求項1記載の化合物および医薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項10】
必要とする患者に有効量の請求項1記載の化合物を投与することを特徴とする患者においてTRPV4チャネル受容体を活性化する方法。
【請求項11】
患者のTRPV4チャネル受容体を発現している少なくとも1つの細胞を治療上有効量の式Iの化合物と接触させることを特徴とする患者を治療する方法。
【請求項12】
患者が軟骨またはマトリックス分解に影響を及ぼす疾患に罹患している請求項11記載の方法。
【請求項13】
患者が疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、術後疼痛、関節リウマチ、骨関節炎、神経痛、神経障害、痛覚過敏、神経損傷、虚血、神経変性、軟骨変性および炎症性障害からなる群から選択される疾患または病態に罹患している請求項12記載の方法。
【請求項14】
患者が喉頭、気管、耳道、椎間板、靱帯、腱、関節包または骨の発達に影響を及ぼす疾患に罹患している請求項12記載の方法。
【請求項15】
疾患が関節破壊に関連する請求項12記載の方法。
【請求項16】
患者が骨関節炎に罹患している請求項15記載の方法。
【請求項17】
患者が関節リウマチに罹患している請求項15記載の方法。

【公表番号】特表2009−519976(P2009−519976A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545985(P2008−545985)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/062147
【国際公開番号】WO2007/070865
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(591002957)スミスクライン・ビーチャム・コーポレイション (341)
【氏名又は名称原語表記】SMITHKLINE BEECHAM CORPORATION
【Fターム(参考)】