説明

USBデバイスおよびコンピュータの周辺デバイス

【課題】ホストに応じて消費電力を抑えることができるUSBデバイスを提供する。
【解決手段】複数の機能モジュールを有するUSBデバイス100において、USBデバイス100に接続されたホスト150から供給される電源の電位レベルに応じて、USBデバイス100が有する機能モジュールの中から有効にする機能モジュールを切り替える制御回路として、電源の電圧値を識別する電圧デテクタ124と、機能モジュールのそれぞれに流れる電源を制御するスイッチ130と、USBデバイス100に関するディスクリプタを保存するメモリ126、メモリ144とを有し、電圧デテクタ124による電源の電圧値の識別結果に応じて、スイッチ130により有効にする機能モジュールに流れる電源をON状態にして、メモリ126、メモリ144に保存されたディスクリプタをホスト150に転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、USBデバイスおよびコンピュータの周辺デバイスの技術に関し、特に、起動時にUSBデバイス内で電圧を印加するモジュールを選択する方法に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、USBデバイスの技術においては、パソコンとその周辺デバイスとの間の通信インタフェースとしてUSBインタフェースがある。USB対応の周辺デバイスとしてキーボードやUSBメモリなどがある。これらのデバイスは、内部に電源を持たずにパソコンなどのホストが電源を供給するのが一般的である。キーボードのように、ある特定の機能しか持たないデバイスの場合、その内部動作に必要な消費電力も小さいため、小容量のバッテリしか持たないPDAや携帯電話で使用しても問題にならない。
【0003】
しかし、多くの機能を持ったUSBデバイスの場合、その動作に必要な消費電力も大きくなるため、バッテリの容量の面からPDAや携帯電話で使用することは難しい。
【0004】
そこで、動作に必要な消費電力を抑えるようにした技術として、例えば特許文献1〜3に記載される技術などが挙げられる。特許文献1には、USBと接続されている時は、必要としないブロックへの電力供給をスイッチにより遮断する技術が記載されている。特許文献2には、ホストがハイパワーデバイスとの接続を拒否すると、使用機能をユーザに選択させ、ローパワーデバイスとなるように設定変更する技術が記載されている。特許文献3には、起動時のホストとデバイス間のネゴシエーションで、デバイスの動作形態と消費電力を決定する技術が記載されている。
【特許文献1】特開2005−71274号公報
【特許文献2】特開2004−341699号公報
【特許文献3】特開2004−86359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、PDAや携帯電話で多機能なUSBデバイスを使用する場合、全ての機能を使用するパソコンとは異なり、特定の機能しか使用しない場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、特定の機能しか使用しない場合があることに着目し、前記特許文献1〜3とは異なる方法として、ホストによって使用できる機能を限定し、使用しない機能を実行するためのモジュールには電源を供給しない方法を用いるものである。そして、本発明の目的は、ホストに応じて消費電力を抑えることができるUSBデバイスおよびコンピュータの周辺デバイスを提供するものである。
【0007】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0009】
本発明は、ホストから供給される電圧値やデータを用いて、全てのモジュールに電源を供給するか、一部のモジュールのみに電源を供給するかを決定する。これにより、使用できる機能は限定されるが、ホストに応じてUSBデバイスの消費電力を抑えることができるようになる。
【発明の効果】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0011】
本発明によれば、ホストに応じて消費電力を抑えることができるUSBデバイスおよびコンピュータの周辺デバイスを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【実施例1】
【0013】
本発明の第1の実施の形態を、図1〜図3を参照して詳細を説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施の形態によるUSBデバイス、およびそのUSBデバイスとホストとの接続を示す図である。
【0015】
本実施の形態のUSBデバイス100は、インタフェース110と、USBコントローラ120と、スイッチ130と、演算モジュール140を含むデバイスである。USBデバイス100は、2本の信号線(D+線101、D−線102)と、2本の電源線(Vcc線103、GND線104)でホスト150と接続される。データは、D+線101と、D−線102を使用した差動信号によって転送される。送信したいデータが「0」であるときはD+線101、D−線102のそれぞれが反転し、「1」であるときは反転しないという方式でデータが転送される。
【0016】
インタフェース110は、ホスト150から転送されてきたデータをデジタル化する、もしくはUSBデバイス100からホスト150に転送するデータをアナログ化するモジュールである。
【0017】
USBコントローラ120は、エンドポイントと呼ばれるFIFO121〜123と、電圧デテクタ124と、メモリ126と、データ構造解析部128を含むモジュールである。ホスト150とUSBデバイス100がデータの送受信する際には、エンドポイントを介して行われる。電圧デテクタ124は、Vcc線103の電圧値を識別するためのモジュールである。メモリ126は、ホスト150から送信されたデータの他にディスクリプタA127を保存することができる。ディスクリプタとは、USBデバイス100の種類・特性などを示す情報である。USBデバイス100の種類には、メモリ、キーボード、マウスなどがある。USBデバイス100の特性には、データ転送方法などがある。ホスト150は、起動時にこのディスクリプタを手に入れることにより、USBデバイス100の使用用途に応じて、どのエンドポイントにどのような形式のデータを送信すればよいかなど、USBデバイス100に関する情報を知ることができる。データ構造解析部128は、ホスト150から送信されたデータの形式がディスクリプタA127に適した構造か否かを確認することや、ホスト150に送信するデータをディスクリプタA127に適したデータ形式にするなどの処理を行う。
【0018】
スイッチ130は、演算モジュール140に流れるVcc線103とGND線104を制御するモジュールである。USBデバイス100の起動時は、演算モジュール140に電圧が印加されないようにスイッチ130をOFFの状態にする。
【0019】
演算モジュール140は、CPU142と、メモリ144と、データ構造解析部146を含むモジュールである。CPU142は、USBデバイス100とホスト150間で送受信が行われるデータの処理などを行うモジュールである。メモリ144は、メモリ126と同様にホスト150から送信されたデータの他にディスクリプタB145を保存することができる。データ構造解析部146は、ホスト150から送信されたデータの形式がディスクリプタB145に適した構造か否かを確認することや、ホスト150に送信するデータをディスクリプタB145に適したデータ形式にするなどの処理を行う。データ構造解析部146の機能を、USBコントローラ120内のデータ構造解析部128の機能に追加してもよい。
【0020】
以上のように構成されるUSBデバイス100において、電圧デテクタ124は電源の電圧値を識別する識別手段として機能し、スイッチ130は機能モジュールのそれぞれに流れる電源を制御する制御手段として機能し、メモリ126、メモリ144はUSBデバイス100に関するディスクリプタを保存する記憶手段として機能し、これらの各機能モジュールにより、USBデバイス100に接続されたホスト150から供給される電源の電位レベルに応じて、USBデバイス100が有する機能モジュールの中から有効にする機能モジュールを切り替える制御回路が構成される。
【0021】
図2を参照して、USBデバイス100の起動時におけるVcc線103、D+線101、D−線102の動作について説明する。図2は、USBデバイス100の起動時における電源線とデータ線の動作タイミングを示す図である。
【0022】
USBデバイス100の起動時には、Vcc線103に電圧を印加し、値が安定してからt1後、ホスト150がD+線101もしくはD−線102のどちらか(図2ではD+線101)をHighにする(201)。Highにした端子が安定してからt2後、ホスト150がHighにした端子をLowにする(202)。さらにt3後、ホスト150が再びLowにした端子をHighにする(203)。この動作のことをリセットと呼ぶ。リセット終了後、USBデバイス100は、ホスト150にディスクリプタを転送する。以上が、USBデバイス100の起動時にみられる各線の動作である。
【0023】
図3を参照して、ホスト150がVcc線103に電圧を印加し、USBデバイス100がメモリ126もしくはメモリ144に保存してあるディスクリプタをホスト150に転送する流れを説明する。図3は、USBデバイス100の起動時における動作フローを示す図である。
【0024】
まず始めに、ホスト150が、メモリ126に保存してあるディスクリプタA127を用いてUSBデバイス100を低消費電力で動作させたい場合を説明する。
【0025】
ホスト150は、USBデバイス100起動のため、Vcc線103に電圧Vaを印加する(301)。電圧が安定した後、ホスト150は図2で説明したようにD+線101、D−線102にデータを送信する(302)。USBコントローラ120は、電圧デテクタ124を用いてリセット時のVcc線103の電圧値を測定する(303)。
【0026】
この測定の結果、電圧デテクタ124が電圧値Vaを測定できた場合、USBデバイス100の一部の機能のみしか使用できないように(図1では、インタフェース110およびUSBコントローラ120を使用可能で演算モジュール140を使用不可)、スイッチ130をONにせず、メモリ126に保存してあるディスクリプタA127をホスト150に転送する(304)。一方、電圧デテクタ124が電圧値Vaを測定できなかった場合、ホスト150は数msの間エンドポイント0のFIFOにディスクリプタが設定されるのを待つ(305)。
【0027】
数ms後、Vcc線103に電圧Vbを印加する(306)。電圧が安定した後、ホスト150は、再び図2で説明したようなデータを送信する(307)。USBコントローラ120は、電圧デテクタ124を用いてリセット時のVcc線103の電圧値を測定する(308)。
【0028】
この測定の結果、電圧デテクタ124が電圧値Vbを測定できた場合、USBデバイス100の全ての機能を使用できるように(図1では、インタフェース110、USBコントローラ120および演算モジュール140を使用可能)、USBコントローラ120はスイッチ130をONにし、演算モジュール140に電圧を印加する(309)。電圧を印加された演算モジュール140は、メモリ144に保存してあるディスクリプタB145をホスト150に転送する(310)。なお、メモリ144に保存してあるディスクリプタB145をホスト150に転送するのはUSBコントローラ120でもよい。この際、USBコントローラ120は、ディスクリプタB145が保存されているメモリ144のアドレスを事前に知っておく必要がある。一方、電圧デテクタ124が電圧値Vbを測定できなかった場合、USBデバイス100は動作しない(311)。
【0029】
なお、電圧デテクタ124が測定する電圧値は、リセット時のVcc線103の値のように安定した電圧値とする。
【0030】
次に、ホスト150が、USBデバイス100を低消費電力では動作させたくない場合の流れは、上記の306〜310の流れと同じであるため、説明を省略する。
【0031】
以上が、Vcc線103に電圧を印加し、USBデバイス100がディスクリプタをホスト150に転送するまでの流れである。
【0032】
従って、本実施の形態によれば、電圧デテクタ124、スイッチ130、メモリ126、メモリ144などを有することで、USBデバイス100に印加する電圧がVaの場合、演算モジュール140は動作しないため、機能は限定されるが、USBデバイス100の消費電力を抑えることができる。また、従来の電圧値によってUSBデバイス100の機能を切り替える方式は、USBメモリからUSBトークンに変更するようなUSBデバイス100の種類を変更することはできないが、複数のディスクリプタとデータ構造解析部を持つことにより、USBデバイス100の種類そのものを変更することができるようになる。一般的なUSBデバイスは5Vで動作する。そのため、Vaを3〜4V、Vbを5Vと設定するのが望ましい。ホスト150には、図3のように電圧が動作するようなデバイスドライバをインストールしておく必要がある。
【実施例2】
【0033】
前記第1の実施の形態ではVcc線の値を元にスイッチの選択を行ったが、第2の実施の形態では、信号線(D+線、D−線)の動作を元にスイッチの動作を選択する例を示す。
【0034】
本発明の第2の実施の形態を、図4〜図6を参照して詳細を説明する。
【0035】
図4は、本発明の第2の実施の形態によるUSBデバイス、およびそのUSBデバイスとホストとの接続を示す図である。
【0036】
本実施の形態のUSBデバイス100aにおいて、図1との違いは、USBコントローラ120a内に、電圧デテクタの代わりに、時間計測モジュール424と発信器428が追加されたことである。時間計測モジュール424は、クロックを元に時間計測を行うモジュールである。この際に用いるクロックは、発信器428で生成される。発信器428は、スイッチ130がOFFの状態で動作すれば、USBコントローラ120aの内部にあっても外部にあってもよい。
【0037】
以上のように構成されるUSBデバイス100aにおいて、時間計測モジュール424はデータ線のリセット時間を測定する測定手段として機能し、スイッチ130は機能モジュールのそれぞれに流れる電源を制御する制御手段として機能し、メモリ126、メモリ144はUSBデバイス100aに関するディスクリプタを保存する記憶手段として機能し、発信器428はリセット時間を測定するために用いるクロックを生成する発信手段として機能し、これらの各機能モジュールにより制御回路が構成される。
【0038】
図5を参照して、ホスト150aがVcc線103に電圧を印加し、USBデバイス100aがメモリ126もしくはメモリ144に保存してあるディスクリプタをホスト150aに転送する流れを説明する。
【0039】
まず始めに、ホスト150aが、メモリ126に保存してあるディスクリプタA127を用いてUSBデバイス100aを低消費電力で動作させたい場合を説明する。
【0040】
ホスト150aは、USBデバイス100aの起動のため、Vcc線103に電圧を印加する(501)。電圧が安定した後、ホスト150aは、図2で説明したようにD+線101、D−線102にデータを送信する(502)。このとき、リセット時の時間がTaとなるデータとする。リセット時の時間とは、図6に示すReset区間(601)のことを指す。USBコントローラ120aは、時間計測モジュール424と発信器428を用いてリセット時の時間を測定する(503)。
【0041】
この測定の結果、時間計測モジュール424がリセット時間Taを測定できた場合、USBデバイス100aの一部の機能のみしか使用できないように、スイッチ130をONにせず、メモリ126に保存してあるディスクリプタA127をホスト150aに転送する(504)。一方、時間計測モジュール424がリセット時間Taを測定できなかった場合、ホスト150aは数msの間、ディスクリプタが転送されるのを待った後(505)、D+線101、D−線102にリセット時の時間がTbとなるようなデータを送信する(506)。USBコントローラ120aは、時間計測モジュール424と発信器428を用いてリセット時の時間を測定する(507)。
【0042】
この測定の結果、時間計測モジュール424がTbを測定できた場合、USBデバイス100aの全ての機能を使用できるように、USBコントローラ120aはスイッチ130をONにし、演算モジュール140に電圧を印加する(508)。電圧を印加された演算モジュール140は、メモリ144に保存してあるディスクリプタB145をホスト150aに転送する(509)。なお、メモリ144に保存してあるディスクリプタB145をホスト150aに転送するのはUSBコントローラ120aでもよい。この際、USBコントローラ120aは、ディスクリプタB145が保存されているメモリ144のアドレスを事前に知っておく必要がある。一方、時間計測モジュール424がTbを測定できなかった場合、USBデバイス100aは動作しない(510)。
【0043】
なお、時間計測モジュール424が測定する時間は、Reset区間の時間の他に、Highになった信号線が安定してからリセットまでの時間でもよい(図6に示す602の区間)。
【0044】
以上が、Vcc線103に電圧を印加し、USBデバイス100aがディスクリプタをホスト150aに転送するまでの流れである。
【0045】
従って、本実施の形態によれば、時間計測モジュール424、発信器428、スイッチ130、メモリ126、メモリ144などを有することで、Reset区間の時間がTaの場合、演算モジュール140は動作しないため、機能は限定されるが、USBデバイス100aの消費電力を抑えることができる。この場合、ホスト150aには、図6のようにReset区間の時間が動作するようなデバイスドライバをインストールしておく必要がある。
【実施例3】
【0046】
前記第1の実施の形態ではVcc線の値を元にスイッチの選択を行ったが、第3の実施の形態では、ユーザが設定することができる外部スイッチを元にスイッチの選択を行う例を示す。
【0047】
本発明の第3の実施の形態を、図7、図8を参照して詳細を説明する。
【0048】
図7は、本発明の第3の実施の形態によるUSBデバイス、およびそのUSBデバイスとホストとの接続を示す図である。
【0049】
本実施の形態のUSBデバイス100bにおいて、図1との違いは、USBコントローラ120bの電圧デテクタの代わりに、外部スイッチ760を追加したことである。外部スイッチ760は、USBデバイス100bを使用するユーザが任意に切り替えることのできるスイッチである。
【0050】
以上のように構成されるUSBデバイス100bにおいて、USBコントローラ120bは外部スイッチ760の状態を識別する識別手段として機能し、スイッチ130は機能モジュールのそれぞれに流れる電源を制御する制御手段として機能し、メモリ126、メモリ144はUSBデバイス100bに関するディスクリプタを保存する記憶手段として機能し、これらの各機能モジュールにより制御回路が構成される。
【0051】
図8を参照して、Vcc線103に電圧を印加し、USBデバイス100bがメモリ126もしくはメモリ144に保存してあるディスクリプタをホスト150bに転送する流れを説明する。
【0052】
ホスト150bは、USBデバイス100bの起動のため、Vcc線103に電圧を印加する(801)。電圧が安定した後、ホスト150bは、図2で説明したようにD+線101、D−線102にデータを送信する(802)。USBコントローラ120bは、外部スイッチ760の状態を判断し、これを元にスイッチ130の動作を選択する(803)。
【0053】
もし、外部スイッチ760がOFFの場合、USBデバイス100bの一部の機能のみしか使用できないように、USBコントローラ120bはスイッチ130をONにせず、メモリ126に保存してあるディスクリプタA127をホスト150bに転送する(804)。もし、外部スイッチ760がONの場合、USBデバイス100bの全ての機能を使用できるように、USBコントローラ120bはスイッチ130をONにし、演算モジュール140に電圧を印加する(805)。電圧を印加された演算モジュール140は、メモリ144に保存してあるディスクリプタB145をホスト150bに転送する(806)。なお、メモリ144に保存してあるディスクリプタB145をホスト150bに転送するのはUSBコントローラ120bでもよい。この際、USBコントローラ120bは、ディスクリプタB145が保存されているメモリ144のアドレスを事前に知っておく必要がある。
【0054】
以上が、Vcc線103に電圧を印加し、USBデバイス100bがディスクリプタをホスト150bに転送するまでの流れである。
【0055】
従って、本実施の形態によれば、外部スイッチ760、スイッチ130、メモリ126、メモリ144などを有することで、外部スイッチ760でスイッチ130の動作を選択するため、ホスト150bはデバイスドライバをインストールする必要がない。
【実施例4】
【0056】
前記第3の実施の形態では外部スイッチの状態を元にスイッチの選択を行ったが、第4の実施の形態では、ホストからの選択線の信号を元にスイッチの選択を行う例を示す。
【0057】
本発明の第4の実施の形態を、図9、図10を参照して詳細を説明する。
【0058】
例えば、図9のようなICカードのPIN配置900を持つUSBデバイスの場合、C1端子901をVpp線、C4端子904はD+線、C5端子905をGND線、C8端子908はD−線にそれぞれ割り当て、残りの未使用端子(C2端子902、C3端子903、C6端子906、C7端子907)を、図7の外部スイッチのように使用することができる。
【0059】
図10は、本発明の第4の実施の形態によるUSBデバイス、およびそのUSBデバイスとホストとの接続を示す図である。
【0060】
本実施の形態のUSBデバイス100cにおいては、未使用端子のC6端子906をSel線1005の選択線として用いる。
【0061】
以上のように構成されるUSBデバイス100cにおいて、USBコントローラ120cはSel線1005の状態を識別する識別手段として機能し、スイッチ130は機能モジュールのそれぞれに流れる電源を制御する制御手段として機能し、メモリ126、メモリ144はUSBデバイス100cに関するディスクリプタを保存する記憶手段として機能し、これらの各機能モジュールにより制御回路が構成される。
【0062】
以上のような構成により、もし、Sel線1005がOFFの場合、USBデバイス100cの一部の機能のみしか使用できないように、USBコントローラ120cはスイッチ130をONにせず、メモリ126に保存してあるディスクリプタA127をホスト150cに転送する。もし、Sel線1005がONの場合、USBデバイス100cの全ての機能を使用できるように、USBコントローラ120cはスイッチ130をONにし、電圧を印加された演算モジュール140は、メモリ144に保存してあるディスクリプタB145をホスト150cに転送する。
【0063】
従って、本実施の形態によれば、Sel線1005を用いることにより、外部スイッチと同じようにスイッチ130の動作を選択することができる。ただし、図10のような構成図の場合、ホスト150cはデバイスドライバをインストールする必要がある。
【0064】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、USBデバイスおよびコンピュータの周辺デバイスの技術に関し、特に、PDAや携帯電話で多機能なUSBデバイスを使用する場合などに、起動時にUSBデバイス内で電圧を印加するモジュールを選択する技術に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるUSBデバイス、およびそのUSBデバイスとホストとの接続を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態において、USBデバイスの起動時における電源線とデータ線の動作タイミングを示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態において、USBデバイスの起動時における動作フローを示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態によるUSBデバイス、およびそのUSBデバイスとホストとの接続を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態において、USBデバイスの起動時における動作フローを示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態において、USBデバイスの起動時における電源線とデータ線の動作タイミングを示す図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態によるUSBデバイス、およびそのUSBデバイスとホストとの接続を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態において、USBデバイスの起動時における動作フローを示す図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態において、ICカードのPIN配置を示す図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態によるUSBデバイス、およびそのUSBデバイスとホストとの接続を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
100,100a,100b,100c…USBデバイス、101…D+線、102…D−線、103…Vcc線、104…GND線、110…インタフェース、120,120a,120b,120c…USBコントローラ、121〜123…FIFO、124…電圧デテクタ、126…メモリ、127…ディスクリプタA、128…データ構造解析部、130…スイッチ、140…演算モジュール、142…CPU、144…メモリ、145…ディスクリプタB、146…データ構造解析部、150,150a,150b,150c…ホスト、424…時間計測モジュール、428…発信器、760…外部スイッチ、901…C1端子、902…C2端子、903…C3端子、904…C4端子、905…C5端子、906…C6端子、907…C7端子、908…C8端子、1005…Sel線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機能モジュールを有するUSBデバイスであって、
前記USBデバイスに接続されたUSBホストから供給される電源の電位レベルに応じて、前記USBデバイスが有する機能モジュールの中から有効にする機能モジュールを切り替える制御回路を有し、
前記制御回路は、前記電源の電圧値を識別する識別手段と、前記機能モジュールのそれぞれに流れる電源を制御する制御手段と、前記USBデバイスに関するディスクリプタを保存する記憶手段とを有し、前記識別手段による前記電源の電圧値の識別結果に応じて、前記制御手段により有効にする機能モジュールに流れる電源をON状態にして、前記記憶手段に保存されたディスクリプタを前記USBホストに転送することを特徴とするUSBデバイス。
【請求項2】
請求項1記載のUSBデバイスにおいて、
前記制御回路は、前記有効にする機能モジュールに電源を供給するように切り替えることを特徴とするUSBデバイス。
【請求項3】
請求項1記載のUSBデバイスにおいて、
前記制御回路は、前記電源の電位レベルがVaのときに前記USBデバイスの一部の機能モジュールのみを有効にし、前記電源の電位レベルが前記Vaより大きいVbのときに前記USBデバイスの全ての機能モジュールを有効にすることを特徴とするUSBデバイス。
【請求項4】
複数の機能モジュールを有するUSBデバイスであって、
前記USBデバイスに接続されたUSBホストからの前記USBデバイスの起動時におけるデータ線のリセット動作に応じて、前記USBデバイスが有する機能モジュールの中から有効にする機能モジュールを切り替える制御回路を有し、
前記制御回路は、前記データ線のリセット時間を測定する測定手段と、前記機能モジュールのそれぞれに流れる電源を制御する制御手段と、前記USBデバイスに関するディスクリプタを保存する記憶手段とを有し、前記測定手段による前記データ線のリセット時間の測定結果に応じて、前記制御手段により有効にする機能モジュールに流れる電源をON状態にして、前記記憶手段に保存されたディスクリプタを前記USBホストに転送することを特徴とするUSBデバイス。
【請求項5】
請求項4記載のUSBデバイスにおいて、
前記制御回路は、前記リセット時間がTaのときに前記USBデバイスの一部の機能モジュールのみを有効にし、前記リセット時間が前記Taと異なるTbのときに前記USBデバイスの全ての機能モジュールを有効にすることを特徴とするUSBデバイス。
【請求項6】
請求項4記載のUSBデバイスにおいて、
前記制御回路は、前記リセット時間を測定するために用いるクロックを生成する発信手段を有することを特徴とするUSBデバイス。
【請求項7】
請求項4記載のUSBデバイスにおいて、
前記データ線は、差動信号線であることを特徴とするUSBデバイス。
【請求項8】
複数の機能モジュールを有するUSBデバイスであって、
前記USBデバイスに接続されたUSBホストからの前記USBデバイスに接続された電源線ならびにデータ線以外の選択線を用いて前記USBデバイスに送られるデータに応じて、前記USBデバイスが有する機能モジュールの中から有効にする機能モジュールを切り替える制御回路を有し、
前記制御回路は、前記選択線の状態を識別する識別手段と、前記機能モジュールのそれぞれに流れる電源を制御する制御手段と、前記USBデバイスに関するディスクリプタを保存する記憶手段とを有し、前記識別手段による前記選択線の状態の識別結果に応じて、前記制御手段により有効にする機能モジュールに流れる電源をON状態にして、前記記憶手段に保存されたディスクリプタを前記USBホストに転送することを特徴とするUSBデバイス。
【請求項9】
請求項8記載のUSBデバイスにおいて、
前記制御回路は、前記選択線がOFF状態のときに前記USBデバイスの一部の機能モジュールのみを有効にし、前記選択線がON状態のときに前記USBデバイスの全ての機能モジュールを有効にすることを特徴とするUSBデバイス。
【請求項10】
請求項8記載のUSBデバイスにおいて、
前記選択線は、前記USBデバイスのC2端子、C3端子、C6端子、またはC7端子に割り当てられることを特徴とするUSBデバイス。
【請求項11】
コンピュータに接続可能で、複数の機能モジュールを有する周辺デバイスであって、
前記コンピュータから供給される電源の電位レベルに応じて、前記周辺デバイスが有する機能モジュールの中から有効にする機能モジュールを切り替える制御回路を有し、
前記制御回路は、前記電源の電圧値を識別する識別手段と、前記機能モジュールのそれぞれに流れる電源を制御する制御手段と、前記周辺デバイスに関するディスクリプタを保存する記憶手段とを有し、前記識別手段による前記電源の電圧値の識別結果に応じて、前記制御手段により有効にする機能モジュールに流れる電源をON状態にして、前記記憶手段に保存されたディスクリプタを前記コンピュータに転送することを特徴とする周辺デバイス。
【請求項12】
コンピュータに接続可能で、複数の機能モジュールを有する周辺デバイスであって、
前記コンピュータからの前記周辺デバイスの起動時におけるデータ線のリセット動作に応じて、前記周辺デバイスが有する機能モジュールの中から有効にする機能モジュールを切り替える制御回路を有し、
前記制御回路は、前記データ線のリセット時間を測定する測定手段と、前記機能モジュールのそれぞれに流れる電源を制御する制御手段と、前記周辺デバイスに関するディスクリプタを保存する記憶手段とを有し、前記測定手段による前記データ線のリセット時間の測定結果に応じて、前記制御手段により有効にする機能モジュールに流れる電源をON状態にして、前記記憶手段に保存されたディスクリプタを前記コンピュータに転送することを特徴とする周辺デバイス。
【請求項13】
コンピュータに接続可能で、複数の機能モジュールを有する周辺デバイスであって、
前記コンピュータからの前記周辺デバイスに接続された電源線ならびにデータ線以外の選択線を用いて前記周辺デバイスに送られるデータに応じて、前記周辺デバイスが有する機能モジュールの中から有効にする機能モジュールを切り替える制御回路を有し、
前記制御回路は、前記選択線の状態を識別する識別手段と、前記機能モジュールのそれぞれに流れる電源を制御する制御手段と、前記周辺デバイスに関するディスクリプタを保存する記憶手段とを有し、前記識別手段による前記選択線の状態の識別結果に応じて、前記制御手段により有効にする機能モジュールに流れる電源をON状態にして、前記記憶手段に保存されたディスクリプタを前記コンピュータに転送することを特徴とする周辺デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−146419(P2008−146419A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−333921(P2006−333921)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】