説明

WI−FI信号による測位のための方法

本発明は、少なくとも1つの無線通信ネットワークの複数のアクセスポイントから受信された信号を使用して端末を測位するための方法に関する。端末は、まず、受信された信号から、アクセスポイントの識別子を取り出し(110)、次いで前記アクセスポイントに関連する地理的位置情報を求めて第1のデータベース(BDP)内を検索する(120)。端末の位置、または端末の測位エリアの第1の推定は、前記アクセスポイントの地理的位置情報から取得され(130)、次いで前記位置または前記測位エリアに関係する地形情報が第2のデータベース(SIG)から取り出される。最後に、端末の位置の第2の推定(150)が、このようにして取得された地形情報を使用して行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にGNSS(全地球的航法衛星システム)信号と結合されるまたは結合されないWi-Fi信号を使用した測位システムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のナビゲーション端末の大多数は、GPS(全地球測位システム)などの衛星測位システム(SPS)を使用する。以下、端末が、受信した信号によりその地理的位置を決定するとき、「測位」という用語を使用し、逆に、それが発する信号によって端末の座標が決定されるとき、「定位」を使用する。
【0003】
都市環境では、建物の存在は、掩蔽、反射、減衰、および回折の影響によって衛星信号の伝播を妨げる。したがって、可用性および精度の面で、SPSの測位性能が損なわれる。
【0004】
これらの欠点を解決するために、都市部で広く使用される、無線通信システムから放射される無線周波数の信号を使用して携帯端末の位置を決定することが提案されている。例えば、www.placelab.org/publications/より入手可能な“Delivering real-world ubiquitous location systems,”という名称のG. Borielloらの論文は、Wi-Fiネットワーク(IEEE 802.11)のアクセスポイントから放射される信号を使用した測位システム(Place Lab project)について説明する。そのシステムでは、端末は、まず、範囲内のWi-Fiアクセスポイントをスキャンし、それによって、各自のMACアドレス、ならびに受信信号のそれぞれの電力またはRSS(受信信号強度)を取得する。次いで端末は、それらのMACアドレスからアクセスポイントの地理的位置を求めて検索し、それ自体の位置を推定するために、当該の電力によりその重心の重み付け(barycentric weighting)を行う。
【0005】
しかし、この測位システムは、測位の精度がまだ不十分であるため、完全に満足のいくものではない。さらに、計算された位置は、アクセスできないゾーンに対応する場合があり、システムの信頼性を損なうという点で、時として矛盾する。最後に、測位システムは、アクセスポイントおよびそれぞれの地理的位置のリストを含むデータベースを表示する必要がある。データは、共同で、または集中型の方法で収集することができる。共同による収集では、ポータブルWi-Fi/GPSの端末を有する個人は、その移動中に、各自の位置、およびその位置(MACアドレスおよびRSSレベル)でのWi-Fiのスキャン結果を提供する。集中型の収集では、GPS受信機およびWi-Fi端末を備える車両が、MACアドレスおよびRSSレベルを収集するための所定の図に従って、マップすべきゾーンを縦横に動く。この収集の戦略では、ゾーンの全カバレッジを有し、データベース内にストックされたアクセスポイントの不均一な分布によって作成されたいくつかの測位のアーチファクトを除去することが可能になる。しかし、データ収集は、共同によるか集中型かにかかわらず、遅くコストのかかるプロセスである。さらに、アクセスポイントを更新するために、データ収集を連続的にまたは定期的に行う必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】www.placelab.org/publications/より入手可能な“Delivering real-world ubiquitous location systems,”という名称のG. Borielloらの論文
【非特許文献2】technical specification 3GPP TS 43.059、名称“3GPP Technical Specifications Group ERAN; Functional Stage 2, description of Location Services (LCS) in GERAN”
【非特許文献3】technical specification 3GPP TS 23.271、名称“3GPP Technical Specification Group Services and System Aspects; Functional Stage 2, description of Location Services (LCS)”
【非特許文献4】“Secure User Plane Location Architecture,” Candidate version 1.0, 27 Jan. 2006, OMA-AD-SUPL-V1_0-20060127-C, Open Mobile Alliance
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上述の欠点を有さず、特に、測位の精度および信頼性を向上させる無線通信システムのアクセスポイントを使用する測位システムを提案することである。本発明の付随する目的は、高速で効果的、かつ安価なデータベースを形成する方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、少なくとも1つの無線通信ネットワークの複数のアクセスポイントから受信された信号を使用して端末を測位するための方法によって定義され、
・このようにして受信された信号から、前記アクセスポイントの識別子を取り出すステップと、
・それぞれの識別子から、前記アクセスポイントの地理的位置情報を求めて第1のデータベース(BDP)内を検索するステップと、
・前記アクセスポイントの少なくとも地理的位置情報から端末の位置情報を推定する第1のステップであって、前記位置情報が、前記端末の位置、または測位ゾーンと呼ばれる、端末が配置されるゾーンである、ステップと
を含む。
【0009】
また、この方法は、
・第2のデータベース(SIG)から、このようにして推定された位置の周りのゾーン、またはこのようにして推定された測位ゾーンに対する地形情報を取り出すステップと、
・このようにして取り出された地形情報を使用して端末の位置を推定する第2のステップと
を含む。
【0010】
第1の実施形態によれば、第2の推定ステップは、このようにして取り出された地形情報から取得された係数を使用して、端末の前記位置、および衛星測位方法を使用して取得された第2の位置、またはアクセスポイントから受信された一方の信号の測定値、および衛星測位システムの他方の信号測定値に重み付けするステップを含む。
【0011】
第1の実施形態の1つの代替によれば、第2の推定ステップは、
・このようにして取り出された地形情報から、前記アクセスポイントから受信された信号を使用した第1の測位方法、衛星測位システムから受信された信号を使用した第2の測位方法、または第1および第2の両方を使用した第3のハイブリッド測位方法の中から選択するステップと、
・このようにして選択された方法を使用して端末の位置を決定するステップと
を含む。
【0012】
測位方法を選択するステップは、端末からの時刻情報、および前記測位システムの衛星の軌道を記述するパラメータを使用することもできる。
【0013】
第2のデータベースは、有利には、地理的ゾーンの複数のポイントについての測位方法を選択するための情報を含むことができる。
【0014】
あるいは、第2のデータベースは、前記複数の各ポイントについて、時刻情報に関連付けられている前記選択情報を含むことができる。
【0015】
有利には、第1の測位方法が選択された場合、第2の測位方法の実施に特有の物的手段および/またはソフトウェア手段がスタンバイになり、第2の測位方法が選択された場合、第1の測位方法の実施に特有の物的手段および/またはソフトウェア手段がスタンバイになる。
【0016】
第1の測位方法は、第1の軸に沿って端末の位置を決定するために選択することができ、第2の測位方法は、第1の軸とは別の第2の軸に沿って端末の位置を決定するために選択される。
【0017】
第2の実施形態によれば、端末は、第2のデータベースの地形データから、検出されたアクセスポイントと前記ゾーンの複数のポイントとの間の伝搬路の特性を決定し、そこから前記ポイントのそれぞれについて、こうしたポイントのそれぞれにおける理論上の電力を推定する。
【0018】
次いで、第2の推定ステップは、有利には、あるポイントでの理論上の電力とアクセスポイントから受信された信号の電力との間のギャップに応じて、前記ポイントの中で、費用関数を最低限に抑えるポイントを求めて検索することによって、端末の位置を決定することができる。
【0019】
第3の実施形態によれば、第1のデータベース(BDP)は、アクセスポイントごとに、その地理的位置、および前記位置の周りの不確定のゾーンを記述するデータを含む地理的位置情報を含む。
【0020】
次いで、有利には、端末の位置は、前記端末によって検出されたアクセスポイントのそれぞれの地理的位置を、重み係数によって重み付けすることによって決定することができ、前記係数が、このようにして検出されたポイントの送信電力の増加関数、および不確定のそれぞれのゾーンの面の減少関数によって取得される。
【0021】
第1のデータベースは、アクセスポイントごとに、その配置メーリングアドレス(deployment mailing address)を提供するファイルから事前に形成することができ、各アクセスポイントは、第2のデータベースに格納されている前記アドレスに対する地形情報からの地理的位置が割り当てられる。
【0022】
前記アドレスに対する地形情報は、好ましくは、そのアドレスに配置される建物の二次元のフットプリントを提供し、次いでアクセスポイントの位置が前記フットプリントの重心として計算される。
【0023】
あるいは、前記アドレスに対する地形情報は、前記アドレスに配置される建物の二次元のフットプリントを提供し、建物がそれぞれの地理的位置P1,P2,・・・PKのいくつかのアドレスA1,A2,・・・AKを有する場合、これらの位置に配置されるポイントのボロノイ図が決定され、アクセスポイントの地理的位置が、前記二次元のフットプリントと、前記アドレスに関連付けられているポイントのボロノイセルとの交点の重心として計算される。
【0024】
第1のデータベースは、アクセスポイントの最初の組から形成することができ、前記組に属していないアクセスポイントを、それに属する少なくとも3つのアクセスポイントによって受信された信号を使用して識別し、定位することができ、次いで前記アクセスポイントの識別子および位置が第1のデータベースに格納される。
【0025】
一実施形態では、第1の推定は、未接続であるか、またはある閾値を上回る面を有する端末の測位ゾーンを提供するとき、推定誤差が診断される。
【0026】
その場合、第1の推定のステップで考慮に入れられたアクセスポイントの中で、前記誤差につながったアクセスポイントを求めて検索することが可能であり、そのアクセスポイントを第1のデータベースから削除することが可能である。
【0027】
第1のデータベースの精度を向上させることができる一実施形態では、集中型では、複数の端末のトレースを格納し、ある端末のトレースが、特定の期間中、第1のステップで検出されたポイントの識別子の組として定義される。
【0028】
有利には、第2のデータベースは、許可された位置のスペース、および前記複数の端末にとって禁止されている位置のスペースを定義し、アクセスポイントの地理的位置は、不確定のそれぞれのゾーンの内部で最適化され、最適化は、平均して、トレースのすべてにわたって、費用関数を最低限に抑えることによって行われ、前記費用関数は、許可された位置のスペースでのトレースの偏差によって決まる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して本発明の好ましい態様を読むことによって明らかになる。
【図1】本発明による測位方法の原理を示す図である。
【図2A】地形データベースにおける一次元の例を示す図である。
【図2B】地形データベースにおける二次元の例を示す図である。
【図3】アクセスポイントの位置の精度が向上する測位方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
一般に、少なくとも1つの無線通信システムネットワークが配置されている所与のスペースについて検討する。好ましくは、このネットワークは、すなわち標準802.11 a/b/g/n等のうちのいずれかによるWi-Fiタイプのものとすることができる。あるいは、Bluetooth(IEEE 802.15.1、IEEE 802.15.2、IEEE 802.15.3、IEEE 802.15.4)またはZigBee(物理層およびMAC IEEE 802.15.4)タイプのWPAN(無線パーソナルエリアネットワーク)、WiMAX(IEEE 802.16)タイプのWMAN(ワイヤレスメトロポリタンエリアネットワーク)ネットワーク、またはUWBネットワーク(IEEE 802.15.4a)とすることができる。
【0031】
(例えば、異なるオペレータによる)同じタイプの、または別個のタイプのいくつかのネットワークも、本発明の文脈で考えることができる。しかし、簡略化するために、また普遍性を損なうことなく、以下、当該のネットワークは、Wi-Fiタイプのものであると仮定する。
【0032】
知られているように、Wi-Fiタイプのネットワークは、IEEE 802.11 a/b/g/nのモデムを有する端末がネットワークに接続できるようにするための個人の自宅および/または公共のスペースにインストールされているアクセスポイントを含む。こうした端末は、自動的に、または簡単な要求に応じて、その範囲内の端末をスキャンする。スキャンは、受動的(アクセスポイントによって送信される定期的なメッセージの受信)、または積極的(要求メッセージの送信、およびアクセスポイントによって送信される応答の受信)に行うことができる。これは、したがって、周囲のアクセスポイントのリストを、それぞれについて、BSSID(基本サービスセット識別子)とも呼ばれるそのMACアドレス、および、該当する場合、受信信号またはRSS(受信信号強度)の電力レベルの表示と共に、それが前記ポイントに接続できるかどうかという事実とは関係なく、取得することができる。一般に、端末は、任意のネットワークについて、異なるアクセスポイントから受信された信号から、それぞれの識別子を取り出すことができる。ここでは、アクセスポイントの識別子は、前記ポイントに全単射的に関連付けられているアドレスを指す。
【0033】
図1は、本発明による測位方法の原理を図示する。
【0034】
第1のステップ110において、上述したように、端末は、WLANチャネルをスキャンし、受信信号から周囲のアクセスポイントの識別子を取り出す。オプションとして、端末は、前記ポイントから受信された信号(RSS)のそれぞれの電力も測定する。
【0035】
第2のステップ120では、前記端末のそれぞれに対する位置情報について、BDPと示されるデータベース内を検索する。あるポイントに対する位置情報を、その地理的位置、例えば、それが配置されるサイトの緯度および経度に絞り込むことができる。あるいは、その周りの所定のメッシュに従って、ポイントによって送信された信号の電力分布をさらに詳しく表すことができる。地理的位置に加えて、データベースBDPは、ポイントごとに、またはその一部のみについて、前記ポイントによって送信される電力の指示、および該当する場合、例えば伝搬パラメータの形で示される送信信号の伝搬を含むことができる。データベースBDPが形成される方法については後述する。
【0036】
データベースBDPがローカルに、またはデータベースを収納するリモートサーバによって格納されている場合、位置情報についてのこの検索は、端末自体で行うことができる。
【0037】
第1の場合では、データベースBDPは、端末のメモリ、または別のメモリカードのいずれかに配置することができる。例えば、メモリカードは、所与の都市に関するデータベースBDPを含めることができる。あるいは、データベースBDPは、端末で完全にまたは部分的にダウンロードすることができる。例えば、ユーザは、自分の旅行日程がわかっている場合、予想される旅行日程に対応するデータベースBDPからの抜粋を端末にダウンロードすることができる。あるいは、端末は、データベースBDPを収納するサーバに前記データベースの一部のダウンロード要求を送信することができ、要求が、引数として、検出されたポイントの1つまたは複数の識別子を有する。その時、端末に対してサーバから戻されるBDPの一部は、要求内で送信された識別子の位置から推定された位置、および予め定められた、または要求のパラメータによって決まる範囲基準から、サーバによって決定される地理的ゾーンをカバーしている。一般的に、端末に戻される必要のあるBDPの一部は、粗い定位方法を使用して決定することもできる。
【0038】
第2の場合、すなわち、データベースBDPがサーバ上に配置されているとき、端末は、引数として、検出されたポイントの識別子を有する検索要求を後者に送信する。次いでサーバは、この検索の結果を端末に戻すことができる。
【0039】
該当する場合、データベースBDPは、例えばtechnical specification 3GPP TS 43.059、名称“3GPP Technical Specifications Group ERAN; Functional Stage 2, description of Location Services (LCS) in GERAN”に記載されているSMLC(Serving Mobile Location Center:サービングモバイル位置情報センタ)タイプ、またはtechnical specification 3GPP TS 23.271、名称“3GPP Technical Specification Group Services and System Aspects; Functional Stage 2, description of Location Services (LCS)”に記載されているGMLC(Gateway Mobile Location Center:ゲートウェイモバイル位置情報センタ)タイプのいくつかのサーバにわたって分散することができる。サーバは、“Secure User Plane Location Architecture,” Candidate version 1.0, 27 Jan. 2006, OMA-AD-SUPL-V1_0-20060127-C, Open Mobile Allianceに定義されるSLPタイプ(SUPL位置プラットフォーム)のものでもよい。
【0040】
データベースBDPは、それぞれの地形情報、例えば地理的位置と共に、アクセスポイントの識別子の少なくとも1つのリストを含む。これらの識別子は、ネットワークまたはSSID(サービスセット識別子)によって、または地理的ゾーンによってグループ化することができる。データベースは、端末に格納されている場合、有利には、それ自体、例えばZiv-Lempelコーディングで知られている圧縮アルゴリズムによって圧縮される。さらに、有利には、例えば、考慮されるスペースの中央において基準を選択することによって、ポイントの地理的位置を符号化するために相対コーディングを使用する。
【0041】
ステップ130で、端末の位置情報の最初の推定を行う。この情報は、端末の位置、またはその粗い表示(coarse indication)を提供することができる。推定は、サーバによって、または端末によって直接行うことができる。データベースBDPがそこに格納されている、または検出されたアクセスポイントの地理的位置が、サーバによって事前に端末に送られているからである。
【0042】
例えば、端末の位置の推定は、受信電力がある閾値を上回るアクセスポイントを含む不確定のゾーンの重心を決定するステップから成る。
【0043】
あるいは、端末の位置の推定は、受信電力によって、または前記電力のインジケータによって重み付けされた、アクセスポイントの地理的位置の重心を計算するステップから成っていてもよい。
【0044】
アクセスポイントの送信電力がデータベース内に示されている場合、または公称伝送電力が、ネットワークごとに(すなわち、SSIDごとに)、もしくは(BSSIDによって提供される)端末のタイプに応じてわかっている場合、端末の位置は、これらの端末のそれぞれの送信電力に対する受信電力の比によって、またはこれらの比率に応じた重み係数によって重み付けされた、アクセスポイントの地理的位置の重心として推定される。
【0045】
データベースBDPが各ポイントの周りの電力分布を含むより複雑な場合では、端末の位置は、受信信号の電力と格納されている電力との間の偏差に応じて費用関数を最低限に抑えることによって決定される。例えば、費用関数は、端末によって検出されたポイントについてのこれらの電力の偏差の二次形式和(quadratic sum)になり得る。次いで、前記費用関数を最低限に抑えるポイントによって、端末の位置が提供される。
【0046】
ハイブリッド状態(hybrid situation)とは、データベースBDPが、アクセスポイントの地理的位置、および各ポイントの周りの電力分布を計算することを可能にする伝搬モデルのパラメータを含む状態である。次いで、上記の方法のいずれかを使用して端末の位置を決定することが可能である。
【0047】
上述したように、位置情報は、単に、端末の位置の粗い表示、すなわち、以下、測位ゾーンと呼ばれる端末の位置を含むゾーンを提供することができる。
【0048】
この測位ゾーンは、検出されたアクセスポイントのすべての位置によって定義される凸形の筐体によって形成することができる。検出されたアクセスポイントは、端末から受信された信号の電力が予め定められた閾値を超えるポイントを指す。
【0049】
第1の代替によれば、測位ゾーンは、検出されたポイントに対する可視ゾーンの結合によって形成することができる。アクセスポイントの可視ゾーンは、端末がある閾値(必ずしも上記の閾値と同じではない)を超える電力の信号を受信することができるゾーンを指す。各ポイントの可視ゾーンは、直接データベースBDPにおいて示すことができ、またはパラメータがそのデータベースに予め格納されている伝搬モデルから推定することもできる。
【0050】
第2の代替によれば、測位ゾーンは、端末によって検出されたポイントに対する可視ゾーンの交点として定義される。この交点が空の場合、端末は、凸形の筐体の測位ゾーン、または可視ゾーンのタイプの結合を選ぶことができる。
【0051】
第3の代替によれば、測位ゾーンは、局所的な地理参照で、または検出されたアクセスポイントのすべての位置を包含するWGS84タイプ(緯度、経度およびオプションで標高)のものとすることができる参照におけるグローバル座標によって定義される、長方形のゾーンで定義される。
【0052】
データベースBDPは、考慮されるゾーンを覆う地理的スラブ(geographic slab)によってアクセスポイントの位置をランク付けするように構築することができる。その場合、測位ゾーンは、検出されたアクセスポイントの少なくとも1つをそれぞれ含むスラブの結合によって、またはより正確な位置推定を望む場合、前記スラブの交点によって提供することができる。
【0053】
例えば、アクセスポイントの位置が最後のデータベースの更新以降に変更されている場合、データベースBDPは誤差を含む場合があることに留意されたい。有利には、非常に大きい、もしくは接続されていない、または空の面を含む測位ゾーンにつながるとき、こうしたアクセスポイントを拒否することができる。こうした状況では、例えば、位置が検出されたアクセスポイントの重心から最も遠いアクセスポイントを拒否する。
【0054】
位置情報130の推定では、誤差率を低減するために、過去の位置情報を考慮に入れることもできる。例えば、端末の位置は、連続した瞬間に推定された端末の位置のフィルタリングを使用して得ることができる。フィルタリングは、忘却係数により再帰型フィルタを使用して行うことができる。さらに、過去の位置情報のうちの1つまたは複数は、衛星測位方法など別の測位方法を使用して、または無線通信ネットワークのセル識別によって、取得しておくことができる。
【0055】
以下、APPS(アクセスポイント測位システム)は、ステップ130で上述したように、アクセスポイントを介した測位を使用するシステムを指す。
【0056】
ステップ140で、ステップ130で推定された端末の位置の周りのゾーン、またはその同じステップで推定された端末の測位ゾーンに関連する地形情報について、SIGと示される第2のデータベース内を検索する。
【0057】
データベースSIGは、そのゾーンの地形モデル、すなわち、その中にあり、カテゴリによってランク付けされたオブジェクトのリストを含む。各オブジェクトは、属性データ(attributive data)、幾何学データ、および地理データによって定義される。幾何学データは、オブジェクトの幾何学的形状(ポイント、セグメント、セグメントの組、多面体など)を記述し、地理データは、その地理的位置を定義する。例えば、別の考慮されるカテゴリは、道路、歩道、橋、建物、中庭、公園、緑地、森林、水中要素(aquatic element)、関心地点(point of interest:POI)などとすることができる。各カテゴリは、サブカテゴリに細分化することができる。例えば、道路のカテゴリは、高速道路、国道、省の道路、大通り、袋小路、歩行者道路、鉄道などに分割される。オブジェクトの属性データは、特に、それが属するサブカテゴリおよびカテゴリを含む。
【0058】
オブジェクトは、SIGデータベースにおいて、道路セグメントの名前、建物の住所などの追加データによって定義することもできる。
【0059】
当該のゾーンの地形情報を使用して、端末または、該当する場合、リモートサーバは、その位置の新しい推定に移る。
【0060】
本発明の第1の実施形態によれば、データベースSIGからの地形情報は、アクセスポイント測位方法(APPS)、衛星測位システム(SPS)、またはハイブリッド測位方法の中から最も適切な測位方法を選択するために使用され、後者はそれ自体、すなわち受信信号(SPSおよびAPPS)の利用時に生じる、いわゆる密のハイブリダイゼーション(tight hybridization)、または前記2つの方法によって取得された位置において生じる、いわゆる疎のハイブリダイゼーション(loose hybridization)の形に分けることができる。ハイブリッド測位方法が選択された場合、データベースSIGからの地形情報は、疎のハイブリダイゼーションの場合にSPSおよびAPPSの方法によって取得された位置に適用される重み係数を調整するために使用され、または密のハイブリダイゼーションの文脈で、SPSおよびAPPSの方法を使用して行われる測定に適用される。
【0061】
選択は、単独でまたは組み合わせで、考えられるさまざまな基準に従って行うことができる。
【0062】
第1の基準は、考慮されるゾーンの「透明」または非透明な性質である。例えば、このゾーンが大通り部分、スクエア、公園に相当する場合、衛星測位システムが望ましい。逆に、ゾーンが街路に相当し、さらに隣接する建物が高い場合、APPS測位システムが好ましい。選択は、例えば、上記の属性データから行われる。街路の向きもこの第1の基準の構成要素になる可能性があり、SPSシステムの性能は、前記の向きによって統計的に幾分高い。街路の向きおよび衛星の構成が与えられ、定位性能が低いと予想される場合、APPS測位システムを選ぶ。
【0063】
第2の基準は、推定時に、端末によって直接的視界線またはLOS(視界線)で見られる衛星の数である。衛星が掩蔽されているかどうかを判断するには、最初に推定された位置の周りの建物の幾何学データ、衛星システムの軌道(エフェメリス、アルマナック)の記述パラメータのテーブル、および日付情報を使用する。LOSにおける衛星の数が所与の閾値を下回る場合、APPS測位を選ぶ。必要に応じて、ハイブリッド測位方法を使用し、LOSにおける衛星の数が所与の閾値を下回るとき、APPS測位に高い重みを割り当ててもよい。
【0064】
第3の基準は、端末の直接的視界線における衛星に対する幾何学的低下率またはGDOP(Geometric Dilution Of Precision:幾何学的精度低下率)のことである。この幾何学的低下率は、衛星が互いから離れた角度位置を持つ構成では低く、逆に、衛星が近い角度位置を有する構成では高いことを思い出されよう。GDOPの値を計算するために、衛星システムの軌道(エフェメリス、アルマナック)の記述パラメータのテーブル、および日付情報を使用する。視界線で見えないと宣言された衛星を計算から除外することも可能である。幾何学的低下率が予め定められた閾値を上回る場合、APPS測位を使用することが好ましい。
【0065】
第4の基準は、アクセスポイントと端末との間の伝搬路のプロファイルである。そのそれぞれの位置、および後者の推定位置が与えられると、異なるチャネルの伝搬特性を予測するために、ゾーンの地形モデリングを使用する。例えば、チャネルがマルチパスタイプのものかシングルパスタイプのものか、パス/チャネルの減衰係数の値、または検出されたポイントの少なくとも1つについての電力の空間分布の分散を予測することが可能である。これらのチャネルが好ましくない特性(マルチパス、高減衰、高分散)を有する場合、衛星またはハイブリッド測位システムが好ましい。
【0066】
第5の基準は、端末の視界線におけるアクセスポイントの角度分布のことである。実際に、アクセスポイントを使用した測位の精度は、それらが互いから離れた角度位置を有するので、より良いことは理解されよう。精度が十分である場合、APPS測位システムが選択される。
【0067】
データベースSIGの地形情報を使用していない第6の基準は、上記のものと組み合わせることができ、すなわちそれは、当該のゾーン内のアクセスポイントの密度のことである。この密度は、単に、アクセスポイントの座標、およびゾーンの範囲から、例えば、データベースBDPの各ポイントについて、その緯度および経度がそれぞれその範囲を定義する間隔に含まれているかどうかを決定することによって計算される。アクセスポイントの密度が第1の閾値を超えている場合、APPSの測位方法が使用される。それが第2の閾値を下回る場合、SPS測位方法が使用される。それが第1の閾値と第2の閾値との間に含まれる場合、ハイブリッド測位方法が使用される。これらの計算は、すべてについて、またはデータベースBDPの各更新時に一度行うことができることに留意されたい。この場合、計算の結果は、衛星測位ゾーン、アクセスポイント測位ゾーン、ハイブリッド測位ゾーンの3つのサブカテゴリに属する測位ゾーン(カテゴリ)の形で、データベースSIGに格納することができる。後者の場合、疎または密のハイブリダイゼーションのタイプを指定することもできる。
【0068】
最後に、選択された測位方法は、異なる軸に沿って別個である場合がある。具体的には、端末が2つの通りの間の交点にあり、そのうちの一方が高ポイント密度を有し、他方が低ポイント密度を有し、しかし、一方で、標高が低い多数の衛星の良好な視認性を提供する場合、位置を計算するアルゴリズムは、第1の通りの軸および第2の通りの軸に沿った位置の計算にそれぞれ対応する、独立した2つのサブアルゴリズムに分けることができ、第1のものは、アクセスポイントによって送信される信号を使用し、第2のものは、衛星信号を使用する。異なるタイプの2つの測位アルゴリズムへのこの分割は、大通りなどのゾーンに割り当てることもでき、大通りの長手方向軸に沿った位置は、次いで、第1のタイプのアルゴリズムによって決定され、その横軸に沿った位置は、第2のタイプのアルゴリズムによって決定される。
【0069】
第1の実施形態の代替によれば、測位方法の選択は、端末の電力消費量を低減するために使用される。具体的には、アクセスポイントによる測位方法が選択されている場合、(例えばGPS受信機など)衛星測位に固有のソフトウェアおよび物的手段がスタンバイになり、有利には、必要に応じて、迅速な再起動に必要な情報のみがメモリに格納される。逆に、衛星測位方法が選択されている場合、アクセスポイントの測位に固有のソフトウェアおよび物的資源がスタンバイになる。選択基準が満たされなくされると、これらの手段は、再アクティブ化される。必要に応じて、スタンバイ手段は、選択基準がまだ満たされているかどうかを確認するために、定期的に再起動できる。有利には、アクティブ化の期間は、端末の移動速度の減少関数である。
【0070】
本発明の第2の実施形態によれば、データベースSIGに格納された地形情報は、検出された各アクセスポイントと端末との間のチャネルの特性、特に、異なるパスの伝搬係数および遅延時間を決定するために使用される。これらの特性によって、端末がその推定位置の周りのゾーンの異なるポイントで受信する必要がある理論的な電力を計算することが可能である。有利には、このゾーンはメッシュであり、端末によって検出された異なるアクセスポイントについての受信電力と計算された電力との間の偏差に応じた費用関数は、メッシュのノードにおいて最低限に抑えられる。例えば、費用関数は、前記の偏差の二次形式和によって定義される。端末の位置の第2の推定は、最終的に、前記の費用関数を最低限に抑えるノードの位置によって与えられる。
【0071】
第3の実施形態によれば、端末によって決定される異なるアクセスポイントの地理的位置は、後で詳細に説明するように決定された、不確定のゾーンが割り当てられる。次いで、データベースBDPの地理情報は、各アクセスポイントについて、その地理的位置、およびその位置について不確定のゾーンを定義するデータを含む。
【0072】
端末の位置が重心の計算(受信電力、送信電力と受信電力との間の比)によって決定されると、重み係数を、不確定のゾーンのサイズを考慮に入れた修正係数によって変更することができる。具体的には、不確定のゾーンが重要なアクセスポイントに対する重み係数は増加し、逆に、低い不確定のゾーンを有するアクセスポイントに対する重み係数は低減する。一般的なルールとして、重み係数は、ポイントの送信電力の増加関数、およびその不確定のゾーンのそれぞれの面の減少関数によって定義される。
【0073】
同様に、費用関数を使用して位置が計算された場合、受信電力と計算された電力との間の二次偏差に重み付けする係数は、アクセスポイントの不確定のゾーンの面が低いか高いかに応じて上方または下方に修正することができる。
【0074】
本発明の第4の実施形態によれば、データベースSIGの地形データは、端末のユーザがアクセス可能またはアクセス不可であるゾーンを決定することが可能になる。アクセス可能な(または許可された)ゾーンは、ユーザの位置を物理的に特定することができるゾーンを指す。そうでなければ、このゾーンはアクセス不可である(または禁止されている)。
【0075】
ステップ130で推定された位置は、許可されたゾーンに分類される場合、変更されないままである。しかし、その位置が許可されていないゾーンに分類される場合、その位置に対応するポイントは、許可された位置のスペースに投影される。言い換えれば、第2の位置推定は、許可されていないポイントに最も近い許可されたポイントの座標によって与えられる。
【0076】
一代替によると、有利には、ユーザは、自動車、歩行、自転車、電車など、移動様式を宣言することができる。移動の各様式について、データベースSIGは、ユーザがアクセス可能またはアクセス不可であるゾーンを提供する。例えば、自動車の移動様式では、建物の二次元のフットプリントが禁止されていると見なされ、鉄道の移動様式でのみ、鉄道の線路が許可される。
【0077】
以下では、データベースBDPを形成および/または更新できるようにする方法を説明する。
【0078】
第1の変形形態によれば、データベースBDPは、アクセスポイントごとに配置アドレスを提供するオペレータからのファイルによって事前に形成される。一般に、各オペレータは、クライアントの名前、および配置アドレスと呼ばれるメーリングアドレス、ならびにアドレスのそれぞれにおいてインストールされた機器の特性、特に、存在する場合はアクセスポイントの識別子(例えばMACアドレスまたはBSSID)が列挙されるファイルを有する。
【0079】
データベースSIGが建物のアドレス(追加データ)を含む場合、後でわかるように、地理的位置を各配置アドレスと関連付けることが可能である。次いで、ネットワークごとに、アクセスポイントの識別子のリストを、それぞれの地理的位置、つまりデータベースBDPを構成している情報と共に取得する。
【0080】
データベース内のメーリングアドレスの表現の種類に応じて、アクセスポイントの地理的位置の計算が異なることがある。
【0081】
図2Aに示すように、アドレスが道路に沿った簡単なポイントによって示されている場合、ポイントの地理的位置は、単に当該のポイントのものである。アドレスは、欠落している場合、有利には、道路の同じ側の連続したアドレス(例えば偶数または奇数)間の補間によって決定されるが、ただし、これらが同一の道路セグメントに属していることを条件とする。
【0082】
建物が道路に沿って一次元的に示されている場合、ポイントの地理的位置は、建物を表すセグメントの真ん中として定義される。
【0083】
有利には、位置の不確定のゾーンは、アクセスポイントごとに決定される。上記の第1のタイプの表現では、不確定のゾーンは、道路の同じ側において、ポイントの配置アドレスに先行するアドレスおよび続くアドレスによって両端が指定される道路セグメントとして決定される。上記の第2のタイプの表現では、不確定のゾーンは、単に、建物を示すセグメントによって決定される。
【0084】
図2Bに示すように、建物がデータベースSIGで二次元的に示されている場合、アクセスポイントの位置は、配置アドレスにおける建物の二次元のフットプリントの重心として計算することができる。次いで不確定のゾーンは、建物の二次元のフットプリントA(図2Bにグレーアウト表示)を定義する多角形によって相関的に決定される。有利には、建物がそれぞれの地理的位置P1,P2,…,PKに関連付けられているいくつかのアドレスA1,A2,…,AKを有するとき、この不確定のゾーンを低減することができる。この場合、アドレスAkを有するポイントに関連付けられている不確定のゾーンは、二次元のフットプリントAとポイントPkのボロノイ領域Vkとの間の交点として定義されている。この低減された不確定のゾーンは、図2Bに網掛で示されている。次いで、アクセスポイントの位置Pは、ゾーンA∩Vkの重心として計算することができる。
【0085】
建物がデータベースSIGにおいて三次元的に示されている場合、不確定のゾーンは、情報がSIGに示されている場合、ベースA、および建物の最大高さ、または平均高さに等しい高さの多面体によって定義することができる。あるいは、不確定のゾーンは、ベースA∩Vk、および建物の最大または平均の高さに等しい高さの多面体によって定義することができる。最後に、フロア数がデータベースSIGに示されている場合、そのフロアに対応する多面体の水平断面のみを考慮しながら、不確定のゾーンのサイズを低減することもできる。しかし、これは、床の高さ、または床の数、および建物の高さもデータベースSIGに示されることを前提とする。
【0086】
その識別子、その地理的位置、および該当する場合、関連する不確定のゾーンを含む各アクセスポイントについての記録がこのように作成される。この記録は、通信オペレータのファイルから取り出されたアクセスポイントの他の特性、特にその送信電力、放射図、使用される周波数帯域などを含むことができる。
【0087】
形成された後、データベースBDPは、オペレータのファイルに対して変更が行われると、更新することができる。
【0088】
第1のものに対する第2の変形、代替、または補足によれば、データベースBDPは、宣言の手続きを使用して、形成し、補強し、または更新することができる。具体的には、この手続きによって、アクセスポイントをホストするすべての人がWebポータル(例えばAPPSのサービスによって管理される)においてそのメーリングアドレス、およびホストするポイントの特性を自発的に宣言できるようになる。
【0089】
次いで、地理的位置および不確定のゾーンを、すでに述べたように決定することができる。あるいは、またはさらに、クライアントは、当該のポータルにおいて、そのアクセスポイントの地理的位置を指定することができる。そのためには、データベースSIGからの一部を地理的地図の形で、該当する場合、クライアントが以前提供している場合はそのアドレスを中心として、その画面上に表示することができる。次いでクライアントは、その識別子に対する端末の特定の地理的位置上をクリックするだけでよい。あるいは、ポイントの地理的位置は、周囲のポイントをスキャンすることによって決定することができる。それらのうちの少なくとも3つがすでに宣言されている場合、端末について上記で説明したように、ポイントの位置は、それぞれの位置の重心の形で取得することができる。
【0090】
端末の特性は、クライアントによって手動で、またはコンピュータのモデムによって行われるスキャンから自動的に入力することができる。後者の場合、クライアントは、次いで、検出されたポイントのリストの中で、クライアントのそばにあるポイントを選択するだけでよい。次いで、識別子、および該当する場合、選択されたポイントの他の特性が、モデムによって直接検出される。選択された各ポイントで、ポータルは、クライアントに対して、地図上のその地理的位置を指定することを提案することもできる。
【0091】
データベースBDPを、アクセスポイントの最初の組から徐々に補強することができる。実際には、これらのポイントは、同じネットワークに属する、または属していない周囲のポイントを識別し、定位することができる。そのために、最初のまたは補強された組の3つのアクセスポイントが、そのポイントの受信信号(RSS)の電力を識別し、測定できるだけでよい。次いで、新しく識別され、定位されたポイントは、データベースに組み込まれる。
【0092】
いずれの場合でも、このように形成されたデータベースBDPの精度は、後述するように向上させることができる。
【0093】
この実施形態において、データベースBDPがサーバによってホストされ、後者が、集中型の方法で、測位システムのユーザのトレースを格納すると仮定する。ユーザ(または端末)のトレースは、ここでは、検出されたアクセスポイントの識別子のすべて、および有利には、そのRSS、および各検出/測定に関連付けられている時刻情報を指す。このデータは、測位システムによって推定されると、所与の期間中に前記ユーザによって取得された地理的位置を添付することができる。そうでない場合、これらの位置は、サーバによって再計算することができる。
【0094】
また、情報は、該当する場合、使用される移動様式に従って、データベースSIGにおいて許可された/禁止されたゾーンに関して、暗黙的または明示的に提供されていると仮定する。
【0095】
最後に、推定された地理的位置が、許可されたゾーンのスペースにおける投影の対象とされていないものと仮定される。そうでない場合、このような処理の対象とされなかったトレースまたはトレース部分のみを考慮に入れる。
【0096】
精度の向上は、平均して、利用可能なすべてのトレースにわたる費用関数を最低限に抑えるポイントの位置を不確定のゾーン内で探すことによって得られる。好ましくは、この費用関数は、トレースごとに、許可されたポイントのスペースでの偏差を測定し、該当する場合、選択された移動様式を考慮に入れる。つまり、それぞれの不確定のゾーン内のアクセスポイントの位置の変化が含まれているトレースにつながるか、そうでない場合、許可されたポイントのスペースに近いかをテストする。例えば、自動車の移動に関連するとき、道路のゾーン内に含まれるトレースを、そのような変更によって取得できるかどうかをテストする。
【0097】
これらのポイントの排除が、代表的なトレース数にわたって費用関数よりも著しく低い最小値につながる場合、精度の向上は、データベースBDPから1つ以上のポイントを排除することから成り得る。これによって特に、前回の更新以降にその位置が変更されているポイントをデータベースBDPから排除することができる。
【0098】
データベースBDP内のスペースのメッシングにおけるアクセスポイントまたは予測された電力値の個々の伝搬パラメータを調整しようとすることによって、費用関数を最低限に抑えることによって、代わりにまたは上記の方法と組み合わせて、精度の向上を取得することができる。
【0099】
最適化プロセスを簡素化するために、局所的な最適化に満足し、徐々にそれを行うことができる。局所的な最適化は、限定されたゾーン内のみを考慮に入れ、当該のトレースの計算に参加するポイントの最適な位置のみを探すステップから成る。例えば、循環経路内部またはその近くのトレースのみを考慮に入れ、相関的に、前記経路に隣接するアクセスポイントのみを考慮に入れることができる。
【0100】
トレースの一部が(ハイブリダイゼーション無しに)衛星位置を使用して排他的に決定されている場合、この位置は不変と見なされ、したがって、費用関数の計算からのものであり得ることにも留意されたい。
【0101】
最適化自体は、例えば、シミュレーテッドアニーリング法、勾配降下法、確率的勾配降下法などを使用して、それ自体で知られているアルゴリズムに従って行うことができる。
【0102】
アクセスポイントの位置の最適化は、該当する場合、局所的な最適化パスで開始し、グローバルな最適化パスで終わることによって、いくつかの連続したパスで行うことができる。
【0103】
これは、十分なトレース密度を取得したとき、一度限り行うことができる。好ましくは、ポイントの位置の可能な発展を考慮に入れるように、定期的に行われる。その場合、最適化は、最新のトレースのみに関係していてもよく、または、忘却係数を使用してそれらに重み付けすることによって、別の日付のトレースを考慮に入れることができる。
【0104】
上述した費用関数は、トレースと、許可されたポイントのスペースとの間の偏差を測定する。また、他の幾何学、運動力学など、制約を考慮に入れることができる。
【0105】
図3は、データベースBDPの精度が向上する、本発明の一実施形態による測位方法を図示する。
【0106】
ステップ310から350は、図1のステップ110から150までと同じであり、したがって、ここではもう説明しない。ステップ360では、推定された位置は、端末の位置の計算は、いずれによって行われるかに応じて、端末またはサーバのバッファメモリ361に格納される。一定の間隔で、バッファメモリの内容がトレースメモリに転送される。バッファメモリは、オプションで、端末の連続する位置をサーバに送信し、各推定時に、その補助記憶装置に格納することができることに留意されたい。
【0107】
有利には、トレースごとに、
・選択されたタイプの動き(オプション)
・トレースの日付(オプション)
・測位のために、およびこれらの端末のそれぞれのために役割を果たしたアクセスポイントの識別子
・異なる検出ポイントで行われたRSSの測定(オプション)
・アクセスポイントが検出され、そのRSSが測定された瞬間(オプション)
・推定された地理的位置(ステップ350)(オプション)
・測位タイプ(APPS、SPS、ハイブリッド、および該当する場合、ハイブリダイゼーションのタイプ)(オプション)
の情報が記録される。
【0108】
上述したように、ある数のトレースまたは新しいトレース(最後の操作から)がメモリ362に収集されたとき、アクセス端末の位置は、ステップ370で最適化される。このステップでは、データベースBDP(ポイントの初期位置、ポイントの不確定のゾーン)、データベースSIG(許可されたポイントのスペース)、およびトレースメモリ362にアクセスする必要がある。
【0109】
次いでデータベースBDPは、ステップ380で更新される。
【符号の説明】
【0110】
361 バッファメモリ
362 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの無線通信ネットワークの複数のアクセスポイントから受信された信号を使用して端末を測位するための方法であって、
このようにして受信された前記信号から、前記アクセスポイントの識別子を取り出すステップ(110)と、
それぞれの識別子から、前記アクセスポイントの地理的位置情報を求めて第1のデータベース(BDP)内を検索するステップ(120)と、
前記アクセスポイントの少なくとも前記地理的位置情報から前記端末の位置情報を推定する第1のステップ(130)であって、前記位置情報が、前記端末の前記位置、または測位ゾーンと呼ばれる、端末が配置されるゾーンである、ステップと
を含む方法において、
第2のデータベース(SIG)から、このようにして推定された前記位置の周りのゾーン、またはこのようにして推定された前記測位ゾーンに対する地形情報を取り出すステップ(140)と、
このようにして取り出された前記地形情報を使用して前記端末の前記位置を推定する第2のステップ(150)と
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第2の推定ステップが、このようにして取り出された前記地形情報から取得された係数を使用して、前記端末の前記位置、および衛星測位方法を使用して取得された第2の位置、または前記アクセスポイントから受信された一方の信号の測定値、および衛星測位システムの他方の信号測定値に重み付けするステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の測位方法。
【請求項3】
前記第2の推定ステップが、
このようにして取り出された前記地形情報から、前記アクセスポイントから受信された信号を使用した第1の測位方法、衛星測位システムから受信された信号を使用した第2の測位方法、または前記第1および第2の両方を使用した第3のハイブリッド測位方法の中から選択するステップと、
このようにして選択された方法を使用して前記端末の前記位置を決定するステップと
を含むことを特徴とする請求項1に記載の測位方法。
【請求項4】
前記測位方法を選択する前記ステップが、前記端末の時刻情報、および前記測位システムの前記衛星の前記軌道の記述パラメータを使用することもできることを特徴とする請求項3に記載の測位方法。
【請求項5】
前記第2のデータベースが、地理的ゾーンの複数のポイントについての前記測位方法を選択するための情報を含むことを特徴とする請求項3に記載の測位方法。
【請求項6】
前記第2のデータベースが、前記複数の各ポイントについて、時刻情報に関連付けられている前記選択情報を含むことを特徴とする請求項4に記載の測位方法。
【請求項7】
前記第1の測位方法が選択されている場合、前記第2の測位方法の実施に特有の物的手段および/またはソフトウェア手段がスタンバイになり、前記第2の測位方法が選択されている場合、前記第1の測位方法の実施に特有の物的手段および/またはソフトウェア手段がスタンバイになることを特徴とする請求項3から6の一項に記載の測位方法。
【請求項8】
前記第1の測位方法が、第1の軸に沿って前記端末の前記位置を決定するために選択され、前記第2の測位方法が、前記第1の軸とは別の第2の軸に沿って前記端末の前記位置を決定するために選択される請求項3に記載の測位方法。
【請求項9】
前記端末が、前記第2のデータベースの前記地形データから、前記検出されたアクセスポイントと、前記ゾーンの複数のポイントとの間の伝搬路の特性を決定し、そこから前記ポイントのそれぞれについて、前記ポイントのそれぞれにおける理論上の電力を推定することを特徴とする請求項1に記載の測位方法。
【請求項10】
前記第2の推定ステップが、あるポイントでの前記理論上の電力と前記アクセスポイントから受信された前記信号の前記電力との間のギャップに応じて、前記ポイントの中で、費用関数を最低限に抑えるポイントを求めて検索することによって、前記端末の前記位置を決定することを特徴とする請求項9に記載の測位方法。
【請求項11】
前記第1のデータベースBDPが、アクセスポイントごとに、その地理的位置、および前記位置の周りの不確定のゾーンを記述するデータを含む地理的位置情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の測位方法。
【請求項12】
前記端末の前記位置を、重み係数を使用して、前記端末によって検出された前記アクセスポイントの前記それぞれの地理的位置の重み付けから決定することができ、前記係数が、このようにして検出された前記ポイントの前記送信電力の増加関数、およびそれぞれの不確定のゾーンの面の減少関数によって取得されることを特徴とする請求項1に記載の測位方法。
【請求項13】
前記第1のデータベースが、アクセスポイントごとに、その配置メーリングアドレスを提供するファイルから事前に形成され、各アクセスポイントに、前記第2のデータベースに格納されている前記アドレスに対する地形情報からの地理的位置が割り当てられることを特徴とする請求項1に記載の測位方法。
【請求項14】
前記アドレスに対する前記地形情報が、そのアドレスに配置される建物の二次元のフットプリントを提供し、次いで前記アクセスポイントの前記位置が前記フットプリントの重心として計算されることを特徴とする請求項13に記載の測位方法。
【請求項15】
前記アドレスに対する前記地形情報が、前記アドレスに配置される前記建物の二次元のフットプリントを提供し、前記建物がそれぞれの地理的位置P1,P2,・・・PKのいくつかのアドレスA1,A2,・・・AKを有する場合、これらの位置に配置される前記ポイントのボロノイ図が決定され、前記アクセスポイントの前記地理的位置が、前記二次元のフットプリントと、前記アドレスに関連付けられている前記ポイントのボロノイセルとの交点の重心として計算されることを特徴とする請求項13に記載の測位方法。
【請求項16】
前記第1のデータベースを、アクセスポイントの最初の組から形成することができ、前記組に属していないアクセスポイントを、それに属する少なくとも3つのアクセスポイントによって受信された信号を使用して識別し、定位することができ、次いで前記アクセスポイントの前記識別子および前記位置が前記第1のデータベースに格納されることを特徴とする請求項1に記載の測位方法。
【請求項17】
前記第1の推定が、未接続であるか、またはある閾値を上回る面を有する端末の測位ゾーンを提供するとき、推定誤差が診断されることを特徴とする請求項1に記載の測位方法。
【請求項18】
推定誤差が診断されるとき、前記第1の推定のステップで考慮に入れられた前記アクセスポイントの中で、前記誤差につながったアクセスポイントを求めて検索し、そのアクセスポイントが前記第1のデータベースから削除されることを特徴とする請求項17に記載の測位方法。
【請求項19】
集中型の方法(360〜362)で、複数の端末のトレースを格納し、ある端末のトレースが、特定の期間中、前記第1のステップで検出されたポイントの識別子の組として定義されることを特徴とする請求項1に記載の測位方法。
【請求項20】
有利には、前記第2のデータベースが、許可された位置のスペース、および前記複数の端末にとって禁止されている位置のスペースを定義し、前記アクセスポイントの前記地理的位置が、不確定のそれぞれのゾーンの内部で最適化され、前記最適化が、平均して、前記トレースのすべてにわたって、費用関数を最低限に抑えることによって行われ、前記費用関数が、前記許可された位置のスペースでのトレースの偏差によって決まることを特徴とする請求項11および18に記載の測位方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−525569(P2012−525569A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507734(P2012−507734)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055734
【国際公開番号】WO2010/125113
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
【出願人】(511256026)
【Fターム(参考)】