説明

WLAN配信のためMPEGトランスポートストリームをIPパケットに変換する方法及び装置

WLANにおける配信サービスのためのMPEG−2トランスポートストリームからIPベースRTP/UDP/IPスタックに変換する方法。すべての変換関数は、受信機のトランスコーダ(図2)において実行されるようにしてもよい。ラップトップコンピュータ、携帯電話及びPDAなどのモバイル装置は、限定的な電池パワー、CPU処理及びメモリリソースしか持たない。これらの装置におけるCPU処理パワー及び消費電池電力を低減するため、ローカルレベルでの再送のため、典型的にMPEG−2を提供するデマルチプレクサ機能などのデータ処理昨日が通信システムにおいて実現される。MPEG−2トランスポートストリームを逆多重化可能なトランスコーダがプログラムを受信するとき、それは各トランスポートパケットに割当てられたPIDに基づきストリームを逆多重化する。この逆多重化昨日は、トランスポートストリームからプログラムに関連する映像及び音声PES/ES、PSI及びPMTの複数のコンポーネントを抽出する。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、2003年1月9日に出願された米国仮出願第60/439,093号の優先権を主張する。
【0002】
1.発明の技術分野
本発明は、一般に音声及び映像プログラムを無線ローカルエリアネットワーク対応装置に配信する方法及び装置に関する。
【0003】
2.関連技術の説明
本発明は、インターネットなどのグローバルネットワークや有線ローカルエリアネットワークなどの他のネットワークおよびモバイル装置に無線通信を提供する従来のローカルエリアネットワークアクセスポイントを規定するWLAN仕様に関する。限定的受信配信に用いられる無線受信ポイントはシンプルなシステムのセットトップボックスを含むかもしれないが、商業的な再配信システムでは、トランスコーダ/マルチプレクサ/デマルチプレクサ(TMD)がローカルビデオサーバと共に機能するかもしれない。
【0004】
図1は、本発明を実現するのに適した一例となるデジタル映像音声システムを示す。ヘッドエンドにおいて、マルチプル映像音声コンテンツストリームがデジタルフォーマットに変換され(典型的には、MPEG−2規格に従って)、衛星を介し受信アンテナまたはセットトップボックスと呼ばれる受信機やTMDなどの他の適切な手段に付属する他の適切な手段に送信される。米国特許第6,510,519号は、チューナ、復調器、デコーダ、トランスポートデマルチプレクサ、マイクロプロセッサ、プログラムメモリ、ビデオピクチャメモリ、MPEGビデオデコーダ、ディスプレイ、スマートカードなどを含むセットトップボックス及びヘッドエンドを利用する典型的なシステムを開示している。大部分のデジタル配信システムデータストリームは、セキュリティのため送信機において符号化及びスクランブル処理され、受信機において解読及び復号処理が行われると、システムはメモリにビデオコンポジット画像を構成し、音声コンポーネントと同期した所望の画像をモニタ上に表示する。プログラムのスクランブル解除に加えて、一般には、受信機がプログラムを受信することが許可されているか確認するため、さらなる認証が与えられる。
【0005】
さらに、図1に示されるように、ローカルビデオサーバと共に動作するTMDは、ビデオLANや無線アクセスポイントとさらなる通信を行うよう設計及び構成され、図示された例では、ダウンライン受信機に映像及び音声コンテンツの送信に必要な同期信号を含む逆多重化された映像及び音声送信ストリームを提供する。
【0006】
「ホットスポット(hot spot)」(ホテルのロビー、空港、ショッピングモール、カフェなど)で用いられるWLAN技術は、多くのネットワークサービスプロバイダを魅了するWLAN対応モバイル装置にライブの無線テレビ放送を提供する。現在、これらの大容量トラフィックのホットスポットでは、テレビ装置が予め設定されたチャンネル(CNN、FOX、CBSなど)にチューニングされ、視聴者は異なるチャンネルを選択する余地はない。本発明の方法を利用すると、WLAN構成及びWLAN対応装置は、利用可能な配信されているテレビプログラムの中から視聴者が選択したテレビプログラムを受信することができる。
【0007】
現在、テレビ放送局は、デジタル圧縮されたMPEG−2ストリーム形式によりプログラムを配信している。これらのストリームは、衛星やケーブルネットワークなどの固定遅延ネットワークを介した送信のためのMPEG−2トランスポートストリーム(TS)にパケット化される。これらのストリームは、ホットスポットにおいて受信されると、IPベースWLANを介し再配信される。WLANプロトコルと互換性を備えるため、トランスポートストリームからIPパケットに変換されることが必要とされる。
【0008】
MPEG2トランスポートストリームは、多重化された圧縮音声/映像プログラム群と共に関連するプログラム情報とから構成される。このようなMPEG2トランスポートストリームが、衛星、地上波及びケーブルネットワークにより配信される。受信機(セットトップボックスやTMDなど)が、トランスポートストリーム全体(複数のプログラム)を受信し、トランスポートストリームの逆多重化及び復号化を行い、最終的には、ユーザの選択にしたがって特定の音声/映像プログラムを生成する。
【0009】
イーサネット(登録商標)ローカルエリアネットワークによりMPEG2 TSを配信する方法は、UDP(Universal Datagram Protocol)やIPマルチキャスト/ブロードキャストプロトコル(専用IPマルチキャスティングIPアドレスやIGMP(Internet Group Management Protocol)などのマルチキャスグループにより用いられるプロトコルなど)を介しMPEG2 TSパケットを搬送するというものである。これらの技術は、受信端末においてMPEG2 TSを逆多重化するのにかなりの処理パワーを必要とする。端末がPDAや携帯電話などのモバイル装置であるWLANでは、電力消費やCPU処理パワーは、保存を要する重要なリソースである。
【0010】
映像配信サービスのため、MPEG−2 TSパケットをIPパケットに変換することは、TSの特徴を特別に配慮する必要がある。MPEG−2 TSプロトコルは、ケーブルや衛星ネットワークなどの固定遅延ネットワークを介しデジタル圧縮された音声及び映像ストリームを搬送するよう構成されている。トランスポートストリーム形式による音声及び映像コンテンツに加えて、もとになるプログラムに関する情報が、所望のプログラムの選択において受信機に資するように、同一のトランスポートストリームにより搬送される。このような情報は、関連するパケット識別子(PID)により特定される複数のPMT(Program Map Table)、CAT(Conditional Access Table)及びPAT(Program Map Table)を有するPSI(Program Specific Information)と呼ばれる。
【0011】
IPネットワークにおいてサービスを配信するため、MPEG−2 TSパケットをIPパケットに変換するとき、受信機はプログラムにリンクした追加情報を特別に考慮する必要がある。データ変換の結果は、関連するサブネットワークのすべてのホストが予め設定することなくデータを受信するように、周知のIPアドレス及びポートを介し通信を行うよう構成される必要がある。変換されたデータは、受信機が迅速にプログラム情報をキャプチャし、過度な遅延なくプログラムにチューニングすることができるように、最小インターバルで送信される必要がある。変換されたデータは、割当てられたスペクトル内に帯域幅を保持するため、可能な限り狭いチャネル帯域幅を用いて送信される必要がある。最後の2つの要求は相反する課題である。設計のトレードオフは、これら相反する課題をシステマチックにバランスさせる必要がある。IPベースネットワークでは、映像または音声パケットをカプセル化するため、UDP/IPを介したRTP(Real Time Protocol)が利用される。このRTP/UDP/IPプロトコルスタックは、MPEG−2 TSの構成と同様のプロトコルヘッダに埋め込まれた多数の特徴を有する。明確に構成された変換により、MPEG−2 TSとRTP/UDP/IPスタックとを比較し、(1)低減されたオーバヘッドや最小帯域幅が重要となる限定されたチャネル容量を有するWLANと、(2)リアルタイムでの配信アプリケーションを受信することが可能となるように、PDAや携帯電話のための入力映像/音声ストリームの処理の簡単化を実現する変換処理を確実にする必要がある。
【0012】
WLAN配信システムは、MPEG−2 TSにより搬送される複数のテレビプログラムの送信及び処理を行い、当該プログラムをWLANカバーエリア内のWLAN対応装置に再配信するようにしてもよい。衛星トランスポンダから、受信式は固定サイズのトランスポートパケットから構成されるMPEG−2トランスポートストリームを受信する。D.Hoffmanらによる「RTP Payload Format for MPEG1/MPEG2 Video」(IETF RFC2250,1998年1月)に示されるように、これらのトランスポートパケットは、RTPペイロードに直接カプセル化され、IPベースWLANを介し搬送することができる。このアプローチは以下の欠点を有する。すなわち、それはトランスポートストリームを処理(逆多重化)するのに受信機に依存している。モバイル端末では、CPUパワーは限定的であり、映像及び音声復号化及び表示処理などの他の重要なタスクに専用とされるべきである。さらに、受信機が要求するかどうかに関係なく、すべてのトランスポートパケットがRTPペイロードを介し搬送されるため、帯域幅リソースが浪費される。
[発明の概要]
本発明では、MPEG−2 TSからWLANにおけるサービスを配信するためのIPベースRTP/UDP/IPスタックへの新規の変換により、すべての変換機能がTMDなどの受信機において実行されることを可能にする。本発明は、WLANなどのIPネットワークを介し映像及び音声を提供する最終的な送信先にトランスポートストリームに含まれるプログラムを効率的に配信するためのIPベースMPEG−2配信サービスに利用するため、MPEG−2トランスポートストリームをIPプロトコルに変換する装置及び方法を提供する。本発明は、無線ネットワークを介した配信前にMPEG−2形式のデータを逆多重化及び変換し、意図された各無線受信機がトランスポートストリームにおいて利用可能なすべてのプログラムの受信及び処理を行うのでなく、固有のプログラムを決定し、それにより当該プログラムに関連するパケットのみを処理することを可能にすることからなるトランスポートストリームの前処理を実行する。本発明は、MPEG−2トランスポートストリーム全体を送信するのに必要な帯域幅を減少させるという効果を有する。さらに、ネットワーク内の逆多重化は、所望のビット送信レートでのMPEG−2プログラムストリームの再符号化を可能にする。
【0013】
ここで開示された本発明は、少なくとも1つのPIDと関連するPSIとから構成される各パケット(主に、PAT、PMT及びCATデータ)を含むにフォーマット化されたデータを有する送信ストリームを受信する手段と、一意的なトランスポートストリームパケットへの関連するPIDの割当てに基づき、前記PSIを逆多重化する手段と、RTPデータフローに従って、前記PSIを再構成する手段と、前記RTPデータフローをマルチキャストアドレスを有するIPパケットにカプセル化する手段と、WLANを介し再構成されたトランスポートストリームを通信する手段とから構成される。また、本発明は、本発明に関連する手段を満足することが可能な任意のメディアサーバ(一般に、トランスコーダと呼ばれる)において実現されてもよい。このようなメディアサーバは、IEEE802.11規格に従う無線アクセスポイント、セットトップボックス、TMDなどの装置を含むものであってもよい。
【0014】
本発明はさらに、映像WLANから構成される通信手段と、関連する各PMTのマルチキャストIPアドレスを挿入する手段を有するPSIを再構成する手段とを開示する。PMTが挿入されたマルチキャストIPアドレスを有すると、本発明は、対応するCRC(Cyclical Redundancy Check)を計算することからなる。一実施例では、PSIはPATとPMTから構成され、これにより、PSIはマルチキャストIPアドレスが格納される記述子フィールドを有するようになる。PSIはまた、PSIの状態が前の送信から不変であることを示すヌルフラグとして呼ばれる機能を有する。PSIが前の送信から変更されると、当該フラグの状態は、PSI状態が変更されたことを示すよう変更される。
【0015】
本発明によると、映像WLANから送信ストリームを受信する任意のモバイル装置は、少なくとも1つの再構成されたPIDと関連するPSIとを受信する機能と、RTPデータフローに従ってトランスポートパケットへのPIDの割当てに基づき再構成されたPSIを逆多重化する手段と、挿入されたマルチキャストアドレスを抽出する手段と、挿入されたマルチキャストアドレスに関連する送信ストリームを受信する手段とから構成される。このような受信機は、テレビ受信機、無線アクセス装置(例えば、以下に限定されるものではないが、IEEE802.11規格やHiperlan2規格において指定される)、PDA及び他のコンピュータ技術形態を含む本発明を実行する手段を提供することが可能な任意の装置を有するようにしてもよい。
【0016】
ここで開示された本発明の実施例には、MPEG−2 TSをIPベースRTP/UDP/IPスタックに変換する方法であって、少なくとも1つのPIDと関連するPSIとから構成される各パケットにフォーマット化されたデータを有する送信ストリームを受信するステップと、一意的なトランスポートストリームパケットへのPIDの割当てに基づき、前記PSIを逆多重化するステップと、RTPデータフローに従って、前記PSIを再構成するステップと、前記RTPデータフローをマルチキャストアドレスにカプセル化するステップと、対応するCRCを計算するステップとから構成される方法が含まれる。
【0017】
新たなPSIがRTPデータフローに従って構成され、RTPがマルチキャストアドレスにカプセル化されたとき、新たなトランスポートストリームがWLANを介し送信される。
【0018】
ここで開示される本発明は、MPEG−2 TSをIPベースRTP/UDP/IPスタックに変換する方法であって、少なくとも1つのPIDと関連するPSIとから構成さる各パケットにフォーマット化されたデータを有する送信ストリームを受信するステップと、RTPデータフローに従って一意的なトランスポートストリームパケットへのPIDの割当てに基づき、前記PSIを逆多重化する手段と、マルチキャストアドレスを抽出する手段と、マルチキャストアドレスに関連する送信ストリームを受信する手段とから構成される方法が含まれる。
【0019】
本発明の実施例はまた、IPマルチキャストアドレスを含む少なくとも1つの第1フィールドと、PATと関連するPMT(1)を表す第2フィールドと、RTPヘッドを表すデータを含む第3フィールドと、プログラムを表すデータを含む第4フィールドとを含む1つのパケットから構成されるグループから選択される1以上のデータ構造を格納するMPEG−2をIPベースRTP/UDP/IPスタックに変換することを特徴とするコンピュータ可読媒体が含まれる。
[本発明の詳細な説明]
説明される図面では、回路及び関連するブロックと矢印は、電気信号及び/またはソフトウェアモジュールを送信する付属の配線またはデータバス及び電気回路として実現可能な本発明によるプロセスの機能を表す。あるいは、1以上の付属の矢印は、特に本発明の方法または装置がデジタルプロセスとして実現されるときには、ソフトウェアルーチン間の通信(データフローなど)を表すかもしれない。
【0020】
図1の従来技術は、オーディオビジュアルプログラミングを供給するデジタル配信システム100を概略的に示す。すべてのデジタル配信システムデータストリームは、セキュリティのため、すなわち、認証された加入者のみが送信されるプログラムの視聴が可能となることを保証するため、符号化またはスクランブル処理された映像、音声及びタイミング情報を含む。
【0021】
デジタル配信システムでは、ユーザは映像及び音声情報に加えて、デジタル映像及び音声データの解読及びアセンブリングを可能にするため、スクランブル解除キーを復号するのに必要な暗号化された制御ワードを解読するのに必要な使用鍵を含む資格制御メッセージ(entitlement control message)などの各種管理制御メッセージを受信する。解読が行われると、システムは典型的にはMPEG−2規格に従ってメモリに映像コンポジット画像を構成し、所望の画像をディスプレイ上に表示する。
【0022】
図1によると、ヘッドエンド110は、送信機102から衛星104を介し限定受信ユーザへのテレビサービスのための受信エンドにある受信アンテナ106に送信するため、エンコーダ、パケット化装置及びマルチプレクサを有するサブシステム113を用いて、変調器114により変調される映像及び音声コンテンツをデジタルフォーマット化する。
【0023】
この受信エンドは、典型的には、電気的に受信アンテナ106に接続させるローカルビデオサーバ120と協調するTMD123である。TMD123は、受信した信号を復調し、選択パケットを各種制御、データ及び状態サブシステムにルーティングすることにより、多数のパケット化ストリームを処理する中央処理ユニット(図示せず)に復調した信号を出力する復調器(図示せず)を有する。例えば、典型的には、選択されたパケット化映像音声ストリームは、NTSC、PALまたはSECAMフォーマットに従い機能するテレビ150、IEEE802.11または他の適用可能な無線ネットワーキング規格に従うラップトップコンピュータ、携帯電話または携帯情報端末(PDA)などの装置のための受信装置として用いられる無線ステーション140への出力に適したフォーマットに変換するためのトランスデューサ(図示せず)に送信される。無線受信装置は、ラップトップコンピュータ、携帯電話、PDA装置などのモバイル装置を示す無線ステーション140を表すものであってもよい。従って、ステーションは、認証、認証解除、プライバシー及びデータ送信などの各種サービスを提供するIEEE802.11に準拠したモバイル、ポータブルまたは静止などのあらゆるステーションであってもよい。HiperLan2などの他のWLAN装置が、無線送信のために利用されてもよい。
【0024】
図1及び2を参照するに、圧縮されていない映像及び音声からMPEG−2 TSを生成するプロセスは、ヘッドエンド110の複数のプログラム202から開始される。各プログラム202は、少なくとも1つの未圧縮エレメンタリ映像信号230と少なくとも1つの未圧縮エレメンタリ音声信号232から構成される。プログラム104の複数の映像(異なる視野のためなど)及び音声(異なる言語のためなど)エレメンタリストリームが、現在の商業用配信規格において許容されている。デジタル化された音声及び映像信号202の各々は、映像エンコーダ233(a)と音声エンコーダ232(b)から構成されるエンコーダにより処理され、PAT(Program Association Table)205a、PMT(Program Map Table)206a、NIT(Network Information Table)208及びCAT(Conditional Access Table)210を含む関連するPSI(Program Specific Information)203aが含まれるように、パケット化234(a)と234(b)及び多重化235される。多重化235されたトランスポートストリーム236は、複数のプログラム202の特定のプログラム情報を有する。各トランスポートパケットは、あるエレメンタリストリーム(映像、音声またはPSI203a)に属する。パケット識別子(PID)204aは、対応する各エレメンタリストリームをアドレス指定するのに利用される。
【0025】
サブシステム113により生成されるような構成されたトランスポートストリーム236は、MPEG−2 TSフォーマットによる送信及び配信のため、変調器114により適切な搬送信号に変調される。配信通信の当業者は、トランスポートストリーム236がローカルマルチメディアサーバ及び関連する送信ライン(図示せず)を介し送信されてもよいということを認識しているであろう。
【0026】
TMD123は、トランスポートストリーム236において送信されるプログラム202に関する情報を提供する異なるテーブルなどのPSI203a情報を含むMPEG−2 TSフォーマットによるトランスポートパケット105を受信する。図2Aでは、逆多重化プロセス240は、トランスポートストリーム236が搬送するプログラム202、PMT206aに対応するいくつかのPMT206b及びPAT205aに対応するPAT205bを階層的関係において解体及び再構成する。PATは常にPID=0により識別される。PAT205bでは、プログラム202(1)、202(2)〜202(n)などのすべてのプログラムがリストされている。さらに、各プログラムはPAT205bのプログラムに関連するPID204aに対応するPID204bを有する特定のPMT206bに関連付けされている。
【0027】
ヘッドエンド110から受信されるすべてのプログラム202が、必ずしもWLAN配信サービスにより再配信されるとは限らない。従って、所望されないエレメンタリストリームは処理から破棄され、処理時間とWLAN帯域幅を低減することができる。コンテンツの暗号化/再暗号化が配信において必要でない場合、MPEG−2 TSのCAT210は、本発明の実現形態では無視されてもよい。
【0028】
デマルチプレクサ240において、(PAT)205b、(PMT)206b、(NIT)208ba及びWLAN配信サービスのためのあらゆるエレメンタリストリーム212を含む階層的関係(PSI)203bを再構成すると、TMP123は、プログラム202bの各配信エレメンタリストリーム212をRTPトラフィックデータフローに変換する。RTPパケット249は、例えば、IPアドレス250と252のマルチキャスト処理などのアドレスのマルチキャスト処理によりカプセル化される。インターネット通信の当業者は、WLAN160を介しパケット249により通知されるようなエレメンタリストリームを送信するのに利用される。
【0029】
プログラム202のMPEG−2映像音声エレメンタリストリーム260がパケット249などのRTPペイロードにより搬送されるとき、映像と音声は異なるRTPペイロードタイプを有する個々のRTPトラフィックフローにカプセル化されてもよい。映像と音声を分離するこのカプセル化は、受信機がリップ同期のため映像と音声を同期化する必要がある。他のカプセル化は、マルチキャスト処理のため単一のRTPトラフィックフローへの同一のプログラムに属する束ねられた映像及び音声エレメンタリストリームを提案している。この束ねられたカプセル化は、映像と音声とのコヒーレントな同期化を提供する。映像及び音声の単一のRTPトラフィックフローへのこの束ねられたカプセル化が好ましい。
【0030】
配信アクセスポイント145に接続するすべてのホストがプログラム選択のためPSI203aを受信することを保証するため、PSI203は、配信プログラムを選択するのにユーザを支援するオーディオビジュアルストリームにより送信される必要がある。この課題を実現するのに2つのアプローチがある。
【0031】
第1のアプローチは、各自のもとのフォーマットによりPSI203aから導出されたPSI203bテーブルを周知のマルチキャストアドレス250に直接変換する。MPEG−2 TS及びIPネットワークで用いられることなるアドレス指定スキームにより、トランスコーダ123は、マルチキャストするIPアドレス250と252をそれに関連するPMT206bの各プログラムに対し挿入する必要がある。
【0032】
マルチキャストするIPアドレス250と252がPMT206bに挿入されるとき、これらマルチキャストIPアドレス250と252を格納するのに追加バイトスペースが必要とされる。PMT206の記述子フィールド253を利用して、マルチキャストIPアドレス250と252の格納及び搬送を行うことができる。マルチキャストIPアドレスをPMT206bに挿入した後、PMT206bのCRC257がPMT206bの変更により再計算される必要がある。PAT205bとPMT206b情報が、周知のマルチキャストアドレス250を用いてUDP/IPフォーマットにより搬送される新たなプログラム固有情報PSIパケット254を生成するよう処理される。
【0033】
第2のアプローチは、WLANベース映像配信サービスに適した新たなPSIプロトコルを規定することである。PSIプロトコルは、周知の同一のマルチキャストアドレスを介し搬送され、WLAN160のカバーエリア内のすべてのホストに送信される。第2のアプローチは、PSI203bに専用データをサポートする手段を設ける。何れのアプローチにおいても、PSI203bを搬送するパケットは、エレメンタリストリーム262を搬送するパケットと区別するため、PSIパケットと呼ばれる。
【0034】
受信機の処理時間を低減させるため、このようなプログラム情報がTSの逐次的送信中に不変であるとき(PATとPMTの変更がない)、PSIパケット251の用意されているビット256が、状態に応じてPSIなどが直前の送信から同じまま、または変更されたことを示す新たなフラグ256として借用されるようにしてもよい。直近の送信から変更が生じている場合、新たなフラグ256がセットされる。そうでない場合、新たなフラグ256はセットされないままである。
【0035】
モバイル装置140はまず、周知の配信アドレス250と252にカプセル化されたPSIパケット251と258を処理し、各プログラム202とそれらの対応するマルチキャストアドレス250と252のエレメンタリストリーム262のリストを含むプログラムマップを構成するため、プログラム固有情報を復元する。モバイル装置140は、新たなフラグ256がセットされない状態を維持する限り、以降のPSIパケット251と258を無視するようにしてもよい。新たなフラグ256が受信したPSIパケット251の状態を変更すると、プログラムマップがクライアントにおいて再構成される必要がある。ユーザがプログラム202を視聴するようリクエストすると、モバイル装置140は、プログラムマップからマルチキャストするIPアドレス250と252を抽出し、当該マルチキャストIPアドレス250と252に関連するIPパケット249のみに応答する。ユーザが異なるプログラム202に切り替えをすると(ユーザがテレビの視聴チャンネルを変更するなどすると)、モバイル装置140はまずプログラムマップから関連するプログラム情報を特定し、プログラム202に関連するマルチキャストアドレス250と252を抽出し、選択されたマルチキャストアドレス250と252を宛先とするパケットに応答する。このようにして、モバイル装置140は各種プログラム202を選択する。上記プロセスの実現がソフトウェアまたはハードウェアにより実現されてもよいということは当業者には理解されるであろう。
【0036】
映像及び音声TSパケットの変換では、トランスポートパケットヘッダは、TSヘッダ239とRTPヘッダ260の両方の冗長フィールドにより変換中に削除される。TSヘッダでは、配信のための関連するフィールドは連続的カウンタとPCR(Program Clock Reference)である。PCRは、TSヘッダ239の任意的な適応化フィールドに挿入される。この連続的カウンタは、受信機がパケットの損失を検出するのに利用される。しかしながら、シーケンス番号と呼ばれるフィールドが、同様の役割を担うRTPヘッダ260において特定される。PCRは、固定遅延ネットワークの受信機と送信機のクロックを正確に同期化するのに利用される。このクロック同期化は、RTPヘッダ260のタイムスタンプなどの他の手段により簡素化されてもよい。
【0037】
MPEG−2トランスポートストリーム236では、エレメンタリストリームは通常はパケット化されたエレメンタリストリーム(PES)にカプセル化される。PESヘッダは、ソースエンコーダにより設定されるような各種レート、タイミング及びデータ記述情報を搬送する。1つの選択肢として、PESヘッダにおいて搬送されるすべての情報を確保するため、PESパケット全体をRTPパケットに直接変換するというものがある。しかしながら、PESヘッダの大部分のフィールドは、任意的なものである。PESヘッダにおいて配信サービスに最も関連するフィールドは、PTS(Presentation Time Stamp)である。MPEG−2画像または音声フレームのPTSは、RTPヘッダ260のタイムスタンプフィールドにより搬送することが可能である。RTPパケット252は、同一のプログラムからの画像または音声フレームパケットを搬送し、同一のタイムスタンプを有するべきである。
【0038】
RTP/UDP/IPヘッダ(トータルで40バイト)のオーバヘッドを低減するため、標準的な圧縮スキームが適用されてもよい。この圧縮アルゴリズムは、UDPチェックサムが送信されないときには2バイトに、そうでない場合には4バイトに合成したRTP/UDP/IPの40バイトのヘッダを圧縮する。
【0039】
本発明の一実施例には、少なくとも1つのPID206aと関連するPSIを含む各パケットにフォーマット化されたデータを有する送信ストリームを受信するステップと、RTPデータフローに従う一意的なトランスポートパケットへのPID206aの割当てに基づき、PSIを逆多重化するステップと、マルチキャストアドレスを抽出するステップと、マルチキャストアドレスに関連する映像プログラムを構成するステップとから構成されるMPEG−2 TSをIPベースRTP/UDP/IPスタック252に変換する方法が含まれる。
【0040】
図2を参照するに、本発明の一実施例には、IPマルチキャストアドレス254を含む少なくとも1つの第1フィールドと、PAST251とPMT258(1)などの少なくとも1つの関連するPMTを表す第2フィールド251aと、RTPヘッド260(1)を表すデータを含む260(1)などの第3フィールドと、262(1)などのプログラムを表すデータを含む第4フィールド262aとを有する各パケットから構成されるグループから選択される1以上のデータ構造を格納した、MPEG−2フォーマット化トランスポートストリーム237をIPベースRTP/UDP/IPスタック252に変換するコンピュータ可読媒体250と252が含まれる。
【0041】
図示されるような本発明の構成は、単なる好適な実施例であるということが理解されるべきである。パーツの機能及び構成には各種変更が可能であり、例示及び説明のため、等価な手段に置換されてもよく、以下の請求項に規定されるような本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、ある特徴が他の特徴とは独立に利用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、WLAN映像配信システムのブロック図である。
【図2A】図2Aは、トランスポートストリームのプログラムコンテンツの分配処理のための本発明のブロック図である。
【図2B】図2Bは、トランスポートストリームのプログラムコンテンツの分配処理のための本発明のブロック図である。
【図2C】図2Cは、トランスポートストリームのプログラムコンテンツの分配処理のための本発明のブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声及び映像データを無線により送受信する装置であって、
少なくとも1つのPIDと関連するPSIとから構成され、PAT、PMT、CAT及びNITを含む各パケットにフォーマット化されたデータを有する送信ストリームを受信する手段と、
一意的なトランスポートパケットへの1以上のPIDの割当てに基づき、前記PSIを逆多重化する手段と、
RTPデータフローに従って、前記PSIを再構成する手段と、
前記RTPデータフローを対応するマルチキャストアドレスを有する1以上のIPパケットにカプセル化する手段と、
前記再構成されたトランスポートストリームを通信する手段と、
から構成されることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1記載の無線装置であって、
前記通信する手段は、WLANから構成されることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1記載の無線装置であって、
前記PSIを再構成する手段は、関連する各PMTのマルチキャストIPアドレスを挿入する手段を有することを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3記載の無線装置であって、
前記PMTは、前記マルチキャストIPアドレスによりアドレス指定されるプログラムを指示することを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項3記載の無線装置であって、
前記関連する各PMTのマルチキャストIPアドレスを挿入する手段は、CRCを計算する手段を有することを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項3記載の無線装置であって、
前記PSIは、前記マルチキャストIPアドレスが格納される記述子フィールドを含むことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項3記載の無線装置であって、
前記PSIは、前記PATと前記PMTから再生成されることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1記載の無線装置であって、
前記PSIは、該PSIが前の送信から不変であることを示すフラグを含むことを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1記載の無線装置であって、
前記PSIは、該PSIが前の送信から変更されたことを示すフラグを含むことを特徴とする装置。
【請求項10】
音声及び映像プログラムデータを無線により受信するよう構成されるモバイル端末であって、
少なくとも1つのマルチキャストIPアドレスと関連するPSIとから構成され、PAT及びPMTを含む1以上の各パケットにフォーマット化されたデータを有する送信ストリームを受信する手段と、
RTPデータフローに従って、一意的なトランスポートパケットへの1以上のマルチキャストIPアドレスの割当てに基づき前記PSIを逆多重化する手段と、
マルチキャストアドレスを抽出する手段と、
前記マルチキャストアドレスに関連する送信ストリームを受信する手段と、
から構成されることを特徴とする端末。
【請求項11】
請求項10記載のモバイル端末であって、
前記受信する手段は、IEEE802.11規格に従ってデータを受信する手段から構成されることを特徴とする端末。
【請求項12】
MPEG−2 TSをIPベースRTP/UDP/IPスタックに変換する方法であって、
少なくとも1つのPIDと関連するPSIとから構成され、PAT及びPMTを含む各パケットにフォーマット化されたデータを有する送信ストリームを受信するステップと、
一意的なトランスポートパケットへの1以上のPIDの割当てに基づき、前記PSIを逆多重化するステップと、
RTPデータフローに従って、前記PSIを再構成するステップと、
前記RTPデータフローをマルチキャストアドレスを有するIPパケットにカプセル化するステップと、
再構成されたトランスポートパケットをWLANを介し通信するステップと、
から構成されることを特徴とする方法。
【請求項13】
MPEG−2 TSをIPベースRTP/UDP/IPスタックに変換する方法であって、
少なくとも1つのPIDと関連するPSIとから構成され、PAT及びPMTを含む各パケットにフォーマット化されたデータを有する送信ストリームを受信するステップと、
RTPデータフローに従って、一意的なトランスポートパケットへの1以上のPIDの割当てに基づき、前記PSIを逆多重化するステップと、
マルチキャストアドレスを抽出するステップと、
前記マルチキャストアドレスに関連する映像プログラムを構成するステップと、
から構成されることを特徴とする方法。
【請求項14】
パケット化され、パケットベースネットワークを介しパケットシーケンスにより送信されたデジタル圧縮された映像ストリームを復号する方法であって、
少なくとも1つのマルチキャストIPアドレスと関連するPSIと関連付けされ、PAT及びPMTを含むパケットを受信するステップと、
RTPデータフローに従って、一意的なトランスポートパケットへのPIDの割当てに基づき、前記PSIに関連する送信パケットを決定するステップと、
マルチキャストアドレスを抽出する手段と、
前記マルチキャストアドレスに関連する送信ストリームを受信する手段と、
から構成されることを特徴とする方法。
【請求項15】
IPマルチキャストアドレスを含む少なくとも1つの第1フィールドと、
PATと関連するPMTを表す第2フィールドと、
RTPヘッドを表すデータを含む第3フィールドと、
プログラムを表すデータを含む第4フィールドと、
を含む1つのパケットから構成されるグループから選択される1以上のデータ構造を格納するMPEG−2をIPベースRTP/UDP/IPスタックに変換することを特徴とするコンピュータ可読媒体。
【請求項16】
請求項15記載の変換のためのコンピュータ可読媒体であって、
前記PSIはさらに、該PSIが前の送信から不変であることを示すフラグを含むことを特徴とする媒体。
【請求項17】
請求項15記載の変換のためのコンピュータ可読媒体であって、
前記PSIはさらに、該PSIが前の送信から変更されたことを示すフラグを含むことを特徴とする媒体。

【図1】
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【公表番号】特表2007−525038(P2007−525038A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500875(P2006−500875)
【出願日】平成16年1月9日(2004.1.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/000511
【国際公開番号】WO2004/064300
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【Fターム(参考)】