説明

X線撮影システムおよびその制御方法

【課題】ケーブルの着脱が安全な状態においてのみ可能となるようなケーブル接続機構を提供する。
【解決手段】外部装置とデータ通信を行うためのケーブルが接続されたコネクタを着脱可能なケーブル接続部を有する電子機器は、コネクタの接続状態を維持するためのロック機構を有する。電子機器は、装着されているコネクタへの予め定められた特定の操作を検出することが可能となっており、その特定の操作を検出すると、コネクタを安全に取り外すのに必要な前処理を実行する。そして、この前処理の完了に応じて、上記ロック機構を解除することにより、ケーブルが離脱可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器におけるケーブル接続機構に関する。特に、放射線像を記録する放射線撮影装置に好適なケーブル接続機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療診断を目的とするX線撮影は、増感紙とX線写真フィルムを組み合わせたフィルムスクリーンシステムがよく用いられている。この方法によれば、被写体を透過した、当該被写体の内部情報を含むX線は、増感紙によってX線の強度に比例した可視光に変換される。そして、この可視光によりX線フィルムを感光させることで、X線画像がフィルム上に形成される。
【0003】
最近では、従来X線フィルムで撮影されてきた胸部などの一般撮影領域にもデジタル撮影装置が普及してきて、診断画像の分野でデジタル画像の取得が可能となってきた。例えば高分解能のデジタルX線検出器が提案されている(特許文献1参照。)。このデジタルX線検出器は各次元に例えば3000〜4000個の検出素子が配置された2次元アレーで構成される。検出素子としては、フォトダイオード等が代表的である。各検出素子は検出器に投射されるX線像の画素輝度に対応する電気信号を作成する。各検出素子からの信号は個別に読み出されてデジタル化される。その後、デジタル化されたデータを用いて画像処理が施され、格納及び/又は表示がなされる。
【0004】
更に、用途に応じて、可搬型のX線デジタル撮影装置(以下、電子カセッテと称す)も提案されている。このような電子カセッテは、可搬性や操作性を考慮して、極力小型化、軽量化されたものが望ましい。しかしながら、電子カセッテは、被検者のX線透過像をデジタル画像データとして出力するまでに多くの構成要素を必要とする。例えば、被写体を透過したX線を受光する2次元アレーセンサ、X線発生装置から出力される制御信号に応じて2次元アレーセンサを駆動するドライブ回路が必要である。更に、ドライブ回路により2次元アレーセンサ内マトリックスを選択し各マトリクスのデータを増幅するアンプ、アンプからの出力をデジタルに変換するAD回路、AD回路とドライブ回路で順次デジタル化された画像データをシリアライズする回路を必要とする。以上より、フィルムカセッテに比べて電子カセッテは小型化や軽量化が困難である。
【0005】
そこで、電子カセッテの操作性向上、小型化、軽量化を達成するために、ケーブル着脱式の電子カセッテ提案されている(特許文献2参照)。即ち、電子カセッテ内には、有線でデータ伝送する回路構成までを内包するようにして小型軽量化を図り、撮影時には電源供給や通信のためのケーブルを電子カセッテに接続するとうい構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−021879号公報(第7−11頁、第1図)
【特許文献2】特開平11−271454号公報(第3−4頁、第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したようなケーブル着脱式の電子カセッテにおいては、不用意にケーブルを取り外すと、そのタイミングによっては、システム或いは撮影部にエラーや障害を起こすケースが存在する。このような事態を避けるために、撮影部や操作パネル等に着脱可能状態を示す表示を設けることも考えられるが、作業ミス等によってケーブルが意図しないタイミングで着脱される危険性を防ぐことはできない。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、ケーブルの着脱が安全な状態においてのみ可能となるようなケーブル接続機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための本発明による電子機器は以下の構成を備える。即ち、
外部装置とデータ通信を行うためのケーブルを接続するためのコネクタを着脱可能なケーブル接続部を有する電子機器であって、
前記コネクタの接続状態を維持するためのロック機構と、
前記コネクタへの、予め定められた第1の操作を検出する検出手段と、
前記第1の操作が検出された場合に、前記コネクタを取り外しに必要な前処理を実行する前処理手段と、
前記前処理の完了に応じて、前記ロック機構を解除する解除手段とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ケーブルの着脱が安全な状態で行われることが保証される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】X線撮影システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】電子カセッテの内部構成を示す概略断面ブロック図である。
【図3】接続部の外観を示す図である。
【図4】第1実施形態によるケーブル取り外し時の処理を説明するフローチャートである。
【図5】第2実施形態によるケーブル取り外し時の処理を説明するフローチャートである。
【図6】コネクタ及びケーブル接続部の詳細を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定するものではなく、本発明の目的が達成される範囲において、各構成要素が代替的に置換されてもよい。又、以下の実施形態では、外部装置とデータ通信を行うためのケーブルを接続するためのコネクタを着脱可能なケーブル接続部を有する電子機器として、X線撮影用の電子カセッテを例に挙げて説明する。
【0013】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態によるX線撮影システムの構成を示すブロック図である。X線撮影システムは、図1に示すように、電子カセッテ10、ケーブル20、システム制御装置30、電源装置40、記憶装置50及びX線発生装置60を有する。X線撮影システムは、照射されたX線により被写体の内部構造をデジタル画像データとして取得する。なお、本システムにおいて用いられる放射線は、波長0.005Åから400Åの範囲であり、特に、波長0.1Åから15Åの範囲のX線が適する。
【0014】
電子カセッテ10は、被写体を透過したX線を可視光に変換し、かかる可視光を電気信号に変換して被写体のデジタル画像データを形成する撮影装置である。電子カセッテ10には、ケーブル20を着脱可能とするケーブル接続部16が設けられている。
【0015】
図2は、電子カセッテ10の概略構成説明するための断面ブロック図である。電子カセッテ10は、図2に示すように、シンチレータ11と、光像検出部12と、電気基板14と、ケーブル接続部16とを有する。シンチレータ11は、被写体を透過したX線を可視光に変換する。ケーブル接続部16は、コネクタ16aによりケーブル20を着脱可能とする。即ち、ケーブル20と接続されているコネクタ16aは、ケーブル接続部16に対して着脱可能となっている。
【0016】
シンチレータ11では、エネルギーの高いX線によって蛍光体の母体物質が励起され、再結合する際の再結合エネルギーにより可視領域の蛍光が得られる。かかる蛍光は、CaWO4などの母体自体によるものや、CSI:TI及びZnS:Agなどの母体内に付活された発光中心物質によるものがある。光像検出部12は、シンチレータ11に密着して配置され、光電変換素子及び薄膜トランジスタTFTがマトリックス状に配列されて構成されている。光像検出部12は、X線の照射により発光したシンチレータ11からの可視光を電気信号に変換する。
【0017】
、電気基板14には、制御装置30からの制御信号に応じて光像検出部12を駆動するドライブ回路142と、ドライブ回路142により選択された光像検出部12内のエレメント(画素に対応)からのアナログ信号の増幅等を行うアンプ144が搭載される。更に、電気基板14には、アンプ144からの出力をデジタル変換するA/D回路146、ドライブ回路142及びA/D変換回路146によって順次デジタル化された画像データをシリアライズするシリアライズ回路148、画像用メモリ149等が搭載される。また、上述した各構成要素への電源を供給する電源ケーブル17と、信号系の伝送を行う信号ケーブル18が配線されている。又、コントローラ140は、電気基板14上の上記回路間の信号の流れや、各回路の動作を統括的に制御する。又、コントローラ140は、ケーブル20の信号線を介した画像データの転送等を制御する通信制御機能を有する。
【0018】
図1に戻り、電源装置40は、ケーブル20及び電源ケーブル17を介してX線撮影装置の各部に電源を供給する。ケーブル20は、電子カセッテ10とシステム制御装置30との間のデータ伝送を行う信号線と、電子カセッテ10と電源装置40との間の電源供給を行う電源線とで構成され、電子カセッテ10とシステム制御装置30及び電源装置40とを接続する。
【0019】
接続部16は、電子カセッテ10にケーブル20を接続するための接続口であり、電子カセッテ10に対してケーブル20を着脱可能にする。接続部16は、ケーブル取り外し操作の第1のアクションが実施されたことを検出する機構およびケーブルロック機構を備えている。
【0020】
接続部16の構成例を図3に示す。接続部16には、ケーブル取り外し用ボタン100が付いており、このボタンを押下することにより、撮影部内の制御回路にその情報が伝わり、ケーブル取り外し前処理が開始される。取り外し前処理が終了すると、ケーブルロックが解除され、ケーブル20が取り外し可能となる。ケーブル取り外し操作に関する詳細は後述する。
【0021】
図1に戻り、システム制御装置30は、モニタ32と、入力装置34と、記憶装置50を有する。システム制御装置30は、電子カセッテ10から伝送されたデジタル画像データの補正、空間フィルタリング処理等をリアルタイムで行ったり、階調処理、DR(ダイナミックレンジ)圧縮処理等を行い、処理されたデジタル画像データをモニタ32に表示する。また、システム制御部30は、処理されたデジタル画像データを記憶装置50に格納する。更に、システム制御装置30は、モニタ32への表示データの切替えを行ったり、入力装置34からの入力情報に基づいてX線発生装置60及び電気基板14の駆動を制御する。
【0022】
システム制御装置30は、図示しないLANボードを搭載しており、LANボードを介してLANに接続することが可能である。LANには、画像をファイリングするファイリングサーバ、画像をフィルムに出力するイメージプリンタ、複雑な画像処理や診断支援を行う画像処理用端末などが接続される。システム制御装置30は、所定のプロトコル(例えば、DICOM)に従ってジタル画像データを出力する。
【0023】
入力装置34は、タッチパネル、マウス、キーボード、フットスイッチなどを含む。X線撮影装置の操作者は、入力装置32を介して撮影に必要な撮影条件(例えば、X線管電圧、管電流、X線照射時間等)及び撮影タイミング、画像処理条件、被検者ID、取り込み画像の処理方法などの設定を行うことができる。
【0024】
モニタ32は、例えば、CRTディスプレイからなり、入力装置34により入力された撮影条件、撮影した画像等を表示する。モニタ32に表示される内容は、システム制御装置30の制御によって自動的に切替るが、図示しない切替ボタンによって手動で切替るようにしてもよい。また、上述したように、モニタ32は、システム制御装置30からデジタル画像データを受け取り表示する。
【0025】
記憶装置50は、システム制御装置30の制御下で、各種処理が施されたデジタル画像データを保存する。記憶装置50としては、大容量、高速且つ高信頼性を満たすデータ保存装置が好ましく、例えば、RAID等のハードディスクアレーがより好ましい。
【0026】
X線発生装置60は、X線管球62と、高圧発生電源64と、X線絞り66とを有し、、X線を発生させる。X線管球62は、システム制御装置30により制御された高圧発生電源64によって駆動され、X線ビームを放射する。X線絞り66は、撮影領域の変更に伴い、不必要なX線照射を行わないようにX線ビームを整形する。X線ビームは、患者の撮影部位に向けられる。
【0027】
次に、撮影の際のシーケンスを簡単に説明する。
X線撮影に際して、操作者は、先ずケーブル20を接続していない電子カセッテ10を患者とベッド70との間に挿入する。ケーブル20と接続しない状態で電子カセッテ10を挿入するのは、撮影取得エリアにケーブル20が入らないようにケーブルの引き回しに注意しながら電子カセッテ10の配置位置を決めるといったような煩わしさを省くためである。
【0028】
患者の撮影したい範囲に適応した位置に電子カセッテ10を配置し終えたら接続部16にケーブル20を接続する。次に、入力装置34を介してシステム制御装置30に撮影開始が伝えられる。システム制御装置30は、撮影開始を受けて電子カセッテ10へ撮影開始信号を伝送する。また、システム制御装置30は、X線発生装置60のX線管球62を高圧発生電源64によって駆動し、更にX線絞り66を駆動して照射野を指定してX線ビームを放射させる。
【0029】
電子カセッテ10において、電気基板14に搭載されているドライブ回路142は、撮影タイミングに応じて、撮影駆動を行い、蓄積された電荷を読み出す。即ち、ドライブ回路142は、システム制御装置30の制御下で光像検出器12を駆動し、各画素から信号を読み出す。ドライブ回路142により読み出された光像検出器12内の各画素の信号はアンプ144により増幅され、増幅された信号はA/D回路146によりデジタルデータに変換される。こうしてドライブ回路142及びA/D回路146により順次デジタル化されて得られたデータがシリアライズ回路148によりシリアライズされることによってデジタル画像データが取得される。取得されたデジタル画像データは、画像用メモリ149に一時的に格納され、ケーブル20を介して電子カセッテ10からシステム制御装置30に伝送される。システム制御装置30は、伝送されたデジタル画像データに補正や各種処理を施し、かかるデジタル画像データを記憶装置50に格納する。
【0030】
次に、電子カセッテ10からケーブル20を取り外す時の操作について、図3、図4、図6を参照して説明する。
【0031】
図6はコネクタ16aと、電子カセッテ10のケーブル接続部16における構成を詳細に説明する図である。図6に示されるように、ケーブル20は電源ライン20aと複数の信号ライン20bを有する。ケーブル接続部16が有するロック機構161は、コントローラ140からのロック信号に従ってロック状態、解除状態が制御される。コネクタ16aがケーブル接続部16に接続されると、コントローラ140はシステム制御装置30との間で信号ライン20bを介した通信状態を確立する。通信状態が確立されたならば、ロック機構161をロック状態として、ケーブル接続部16とコネクタ16aの接続状態を維持するようにする。或は、コネクタ16aがケーブル接続部16に接続されたことを検出し、該検出に応じてロック機構161をロック状態とするようにしてもよい。ケーブル取り外し用ボタン100のオン信号がコントローラ140に供給されると、コントローラ140は、システム制御部30との間で確立されている通信状態を終了させ、ロック機構161を解除して、コネクタ16aをケーブル接続部16から取り外し可能な状態とする。
【0032】
ケーブル取り外しは、2つのアクションによって実行される。即ち、操作者は、まず、第1のアクションとして、取り外し用ボタン100を押す。電子カセッテ10のコントローラ140は、取り外し用ボタン100が押下されたことを検出すると(ステップS201)、ケーブル取り外し前処理を実施する(ステップS202)。ケーブル取り外し前処理とは、システム制御装置30或は電子カセッテ10にエラーや損傷を発生させることなくケーブル取り外しを行えるようにするための各処理である。ケーブル取り外し前処理としては、例えば、電子カセッテ10とシステム制御装置30との間の通信ポートのクローズ、終了コマンド送信等を行う通信終了処理が挙げられる。このとき、通信終了処理に画像用メモリ149の内容をバックアップ電源によって保持して、画像の再送を可能にするための処理を含むようにしてもよい。或は、通信終了処理に、不揮発性メモリに画像を保存して、画像再送可能にする処理を含むようにしてもよい。
【0033】
又、通信終了処理に、電源装置40による撮影部(電子カセッテ)10への電源供給をオフにする処理を含めてもよい。このようにすれば、ケーブルを抜いた場合に、抜いたケーブル端への電源電圧の供給が停止され、安全性確保を実現できる。但し、再びケーブルを挿した場合は、それを検出して、電源装置40の電源出力をオンにする。
【0034】
又、通信終了処理に、ケーブルの取り外し積算回数をカウントして、システム制御装置30に通知する処理を含めてもよい。このような積算回数の利用としては、コネクタ寿命(コネクタの挿抜回数には耐久限度がある)による交換を推奨するメッセージを表示するなどのアプリケーションが挙げられる。
【0035】
以上のようなケーブル取り外し前処理が終了すると(ステップS203)、コントローラ140はロック機構161のロック状態を解除する(ステップS204)。尚、ロック機構161は、例えば、一般的な電子ロック機構で実現できる。ロック機構161によるロックが解除されたことを受けて、操作者は、第2のアクションとして、撮影部10からケーブル20を取り外すことが可能となる(ステップS205)。
【0036】
又、ケーブル装着時には、各種接続処理が実施される。接続処理としては以下のような処理が挙げられる。
(1)ロック機構161をロック状態として、コネクタ16aを装着状態に維持するようロックする。
(2)システム制御部30との通信状態を確立するべく、ポートオープンを行う。
(3)画像転送が途中の場合、例えば、転送すべき画像が画像メモリ149に残っている場合は、画像メモリ149に保持されている画像を再転送する。
(4)電源装置の出力をオンにする。
【0037】
尚、ケーブル接続部16においてロック機構161のロック状態が解除され、コネクタ16aの取り外しが可能となった場合に、その旨をLED等で表示する機構を設けても良い。又、上記ステップS205において、所定時間が経過してもコネクタ16aがケーブル接続部16から取り外されなかった場合は、自動的に上記接続処理を実施するように構成してもよい。即ち、ステップS205で「NO」の場合、ケーブル取り外し用ボタン100が押下されてから所定時間が経過したか否かを判定し、所定時間が経過していた場合は上記接続処理を実行するようにする。
【0038】
又、上記実施形態では1つのケーブル接続部16を有する場合について説明したが、複数のケーブル接続部を有する場合にも本発明を適用できることは明らかである。又、撮影部は、自由な向きにて撮影が行えるため、取得画面においてどの方向が上なのか(画像原点)はケースバイケースとなる。通常は、画像方向を意識した向きに電子カセッテをセッティングして撮影を行ったり、撮影後に所望の向きに表示画像を回転させる。これに対して、複数のケーブル接続部をもつ電子カセッテにおいては、使用されているケーブル接続部(実際にケーブルが接続されたケーブル接続部)に応じて画像方向(画像原点)を決定する(例えば、ケーブルが接続された接続部を常に画像の下部とする)ように構成してもよい。この場合、使用されている接続部に応じて、自動的に画像を回転させて撮影画像を表示させることになる。又、例えば、上記実施形態ではコントローラ140がロック機構161を制御しているがこれに限られるものではない。例えば、ケーブル取り外し用ボタン100の信号がシステム制御部30に入力されるように構成し、システム制御部30からロック機構161を制御するようにしてもよい。その場合、図4に示した処理はシステム制御部30で実行されることになる。
【0039】
<第2実施形態>
第1実施形態では、ケーブル取り外しの際の第1番目のアクションを、ケーブル取り外し用ボタン100を押すこととしたが、これに限られるものではない。第2実施形態ではそのような第1番目のアクションの例として取り付け部を押し込んで回す操作とした場合を説明する。以下、図5を参照して第2実施形態を説明する。
【0040】
まず、取り付け部を押し込んで回す操作を行う(ステップS301)。例えば、この操作によりON状態となるスイッチを組み込むことで、第1番目のアクション(操作)がコネクタ16に対してなされたことがコントローラ140に通知される。これにより、第1実施形態で説明したケーブル取り外し前処理が実施される(ステップS302)。ケーブル取り外し前処理が終了すると(S303)、ケーブルロックが解除され(ステップS304)、ケーブル取り外しが可能となる(ステップS305)。
【0041】
以上説明したように、上記実施形態によれば、操作者は、撮影装置やシステムにエラーや損害を与えることなく、任意のタイミングで、安全にケーブル着脱を実行することが出来る。又、上記実施形態によれば、ケーブルを着脱する一連の動作の中で、システムあるいは撮影部がケーブル取り外し前処理を実行出来る機構を設けた。これにより、ユーザが任意のタイミングでケーブル着脱を行っても、システム或いは撮影部に障害を来たさない、安全性の高いX線撮影装置を提供することが可能となる。
【0042】
尚、以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されず、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
10:電子カセッテ
11:シンチレータ
12:光像検出部
13:電気基板
16:ケーブル接続部
20:ケーブル
30:制御装置
32:モニタ
34:入力装置
40:電源装置
50:記憶装置
60:X線発生装置
100:ケーブル取り外し用ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置とデータ通信を行うためのケーブルを接続するためのコネクタを着脱可能なケーブル接続部を有する電子機器であって、
前記コネクタの接続状態を維持するためのロック機構と、
前記コネクタへの、予め定められた第1の操作を検出する検出手段と、
前記第1の操作が検出された場合に、前記コネクタを取り外しに必要な前処理を実行する前処理手段と、
前記前処理の完了に応じて、前記ロック機構を解除する解除手段とを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記検出手段は、前記コネクタに設けられたスイッチの状態を検出することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記前処理は、前記外部装置との間の通信終了処理を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記電子機器は、放射線撮影のための撮影手段を含み、
前記前処理は、前記電子機器内の前記放射線撮影により得られた画像を不揮発にメモリに保存する処理を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記ケーブル接続部へケーブルを接続した際に、前記外部装置との間の通信開始処理を含む接続処理を実行する接続制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記ケーブル接続部へケーブルを接続した際に、前記外部装置との間の通信を開始する通信開始処理と、前記メモリに格納されている画像の再送処理とを含む接続処理を実行する接続制御手段を更に備えることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項7】
前記前処理が実施された後、一定の期間内にケーブル取り外しが実施されなかった場合、前記ケーブルを介した前記外部装置との通信を再開させる通信再開手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子機器。
【請求項8】
外部装置とデータ通信を行うためのケーブルを接続するためのコネクタを着脱可能なケーブル接続部を有する電子機器における、ケーブル接続部の制御方法であって、
前記コネクタの接続状態を維持するべくロック機構を制御するロック工程と、
前記電子機器に装着されている前記コネクタへの、予め定められた第1の操作を検出する検出工程と、
前記第1の操作が検出された場合に、前記コネクタを取り外しに必要な前処理を実行する前処理工程と、
前記前処理の完了に応じて、前記ロック機構を解除する解除工程とを備えることを特徴とする電子機器制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−88312(P2012−88312A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223451(P2011−223451)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【分割の表示】特願2006−15492(P2006−15492)の分割
【原出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】