説明

X線検査装置及び方法

本発明は、逆ジオメトリCTによりスペクトルX線撮像装置を実現する検査装置及び対応する方法に関する。提案される検査装置は、複数の位置でX線を放射する複数のX線源を有するX線源ユニットと、X線源のうちの1つ以上から放射されたX線を、X線源ユニットとX線検出ユニットとの間の検査領域の貫通後に検出し、検出信号を生成するX線検出ユニットと、生成された検出信号を処理する処理ユニットと、少なくとも2つの異なるエネルギースペクトルで順次、単独あるいはグループでX線を放射するようにX線源を制御する制御ユニットであり、特定のX線源又はX線源のグループが異なるエネルギースペクトルでX線を放射するように切り換えられる時間間隔中に、特定のX線源又はX線源のグループがオフに切り換えられ、且つ1つ以上のその他のX線源又はX線源のグループが順次オンに切り換えられてX線を放射するように制御する制御ユニットとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検査装置及び対応する方法、並びに該装置の制御のためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カラー(又はスペクトル)X線撮像は、医療用CTスキャナの全てのベンダーによって、CT(コンピュータ断層撮影)の今後の開発の非常に有望な路線であるとして確認されている。しかしながら、CTベンダーは言うまでもなく、スペクトル領域に入るために異なるアプローチを辿っている。これは主として、スペクトルCTスキャナのハードウェア実現が簡単な作業でないという事実によってもたらされている。
【0003】
例えば非特許文献1に記載されている新しい‘逆(インバース)’ジオメトリCT(IGCT)システム設計においては、個別の電子エミッタ及び焦点のアレイを備えた大型の分布X線源と、高フレームレートのフラットパネルX線検出器とが使用されている。カーボンナノチューブ(CNT)の出現により、例えば非特許文献2に記載されているように、冷‘電子銃’として、高速スイッチング可能なX線生成器が構築され得る。このようなCNTに基づくX線源は、上述の逆ジオメトリCTシステムにおいてアレイ状に配列されて、所定の変調パターンに従った時間でオン及びオフに切り換えられることができる。
【0004】
既知のスペクトルCTシステムは、以下の技術的障害を克服しなければならず、あるいは以下の欠点を有する:
異なる複数のkVp(ピークキロボルト)設定を有するデュアルソースCTシステム:明確に分離することができるのは2つの材料成分のみである;2つのソース(X線源)と2つの検出器とを搭載しなければならないため、ハードウェアコストが高い、
デュアルレイヤ(二層)検出器:明確に分離することができるのは2つの材料成分のみである;検出器の製造プロセスが複雑である、
高速デュアルkVp切換え:明確に分離することができるのは2つの材料成分のみである;強いkV遷移は実現が困難であるので、低スペクトル分離である、
光子計数スペクトルCT:検出には高いハードウェア労力を必要とする。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】DeMan,B.等、「Inverse geometry CT:The next-generation CT architecture?」、IEEE Nuclear Science Symposium Conference Record、2007年、M07-2、pp.2715-2716
【非特許文献2】Liu,Z.等、「Carbon nanotube based microfocus field emission x-ray source for microcomputed tomography」、Applied Physics Letters、2006年、第89巻、103111
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の1つの目的は、上述の障害及び欠点を解決することが可能な、X線検査装置、特に逆CTジオメトリを有するX線検査装置、及び対応する方法、並びに該装置の制御のためのコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様において、
− 複数の位置でX線を放射する複数のX線源を有するX線源ユニット、
− 前記X線源のうちの1つ以上から放射されたX線を、前記X線源ユニットと当該X線検出ユニットとの間の検査領域の貫通後に検出し、検出信号を生成するX線検出ユニット、
− 生成された前記検出信号を処理する処理ユニット、及び
− 少なくとも2つの異なるエネルギースペクトルで順次、単独あるいはグループでX線を放射するように前記X線源を制御する制御ユニットであり、特定のX線源又はX線源のグループが異なるエネルギースペクトルでX線を放射するように切り換えられる時間間隔中に、前記特定のX線源又はX線源のグループがオフに切り換えられ、且つ1つ以上のその他のX線源又はX線源のグループが順次、単独あるいはグループでオンに切り換えられてX線を放射するように制御する制御ユニット、
を有するX線検査装置が提示される。
【0008】
本発明の更なる一態様において、対応する方法が提示される。
【0009】
本発明のより更なる一態様において、コンピュータ上で実行されるときに、コンピュータに、上述の方法の段階群を実行するように、先に規定したX線検査装置を制御させるプログラムコードを有するコンピュータプログラムが提示される。
【0010】
本発明の好適な実施形態が、従属請求項にて規定される。理解されるように、請求項記載の方法及び請求項記載のコンピュータプログラムは、請求項記載の装置と、そして上記従属請求項にて規定されるのと、同様及び/又は同一の好適実施形態を有する。
【0011】
本発明は、特にスペクトルCT用途に関し、或る所与の時間に好ましくは唯一のX線源又はX線源(全てではない)のグループのみがアクティブにされるインバースCTシステム構成を用いるという考えに基づく。スペクトルCT用途で要求されるように、特定のX線源又はX線源のグループを、以前と異なるエネルギースペクトルでX線を放射することを達成するように切り換えることは、幾らかの時間を要する。この特定のX線源又はX線源のグループを切り換える時間が、本発明に従って、その合間に、該特定のX線源又はX線源のグループをオフに切り換え、且つX線を放射するように1つ以上のX線源又はX線源のグループを―順次、且つ好ましくは一度に1つ又は1グループのみ―オンに切り換えるために活用される。故に、この時間中にも、検出信号が得られ、時間が大いに節減される。従って、本発明によれば、インバースCTソース変調パターンが、有利な交番kV変調方式によって拡張される。
【0012】
更なる利点は、短縮される収集時間、ひいては、より小さい動きアーチファクト及びより良好な時間分解能である。理想的でない影響が考えられる場合、切換は過渡挙動によって記述され得る。例えば、ソースにおける“低速な”サーマルエミッタ及び検出器での“残光”を考えると、以前のフレームからの信号が現収集フレームに漏れ入る場合、異なるエネルギースペクトルの一層小さい重なりが存在する。
【0013】
一実施形態によれば、制御ユニットは、特定のX線源又はX線源のグループが、可能な限り早く異なるエネルギースペクトルでX線を放射するように切り換えられるよう、X線源を制御するように適応される。故に、最小期間の間のみ、他のX線源がオンに切り換えられる。第1の(特定の)X線源又は第1グループのX線源を切り換える処理が完了すると直ちに、このX線源(又はこのグループのX線源)は再びオンに切り換えられ、新たなエネルギースペクトルでX線を放射する。好ましくは、この期間は、X線源の切換のタイミングを適切に制御するために前もって決定される。しかしながら、切換処理自体の最中に‘オンラインで’この期間及びタイミングを決定することも可能である。
【0014】
他の一実施形態によれば、制御ユニットは、特定のX線源又はX線源のグループが切り換えられる時間間隔中に順次オンに切り換えられてX線を放射する前記1つ以上のその他のX線源又はX線源のグループが、特定のX線源又はX線源のグループが先に放射していた、あるいは切り換えられた後に放射することになるX線のエネルギースペクトルでX線を放射するよう、X線源を制御するように適応される。故に、或る特定の期間中(且つ或る特定の投影角範囲から)の全ての検出信号が、X線の同一のエネルギースペクトルで収集される。これは、データ処理及び再構成において有利となり得る。収集の一部が1つの固定されたスペクトルで行われ、他の部分が関心領域に応じてデュアルエネルギーモード又はマルチエネルギーモードで収集されることも可能であり、これは更なる柔軟性をもたらす。
【0015】
更に好ましくは、制御ユニットは、X線源の第1グループのX線源が、前記少なくとも2つの異なるエネルギースペクトルで、単独で、別々に、且つ順次にX線を放射し、その後、X線源の他のグループのX線源が、前記少なくとも2つの異なるエネルギースペクトルで、単独で、別々に、且つ順次にX線を放射するように、X線源をグループでX線を放射するよう制御するように適応される。利点は、スペクトル切換動作の回数の最小化に関する最適化として異なるグループサイズとなり、また、時間分解能が十分に高いことである。
【0016】
異なるエネルギースペクトルでX線を放射するようにX線源を切り換えることには、利用可能な様々な選択肢が存在する。好ましくは、制御ユニットは、特にX線源のアノードに供給される電圧であるX線源の電圧を変化させることによって、異なるエネルギースペクトルでX線を放射するようX線源を切り換えるように適応される。これは、単純なX線源の制御及び切換プロセスを可能にする。
【0017】
この目的のため、当該装置は好ましくは更に、多数の高電圧供給配線を有する高電圧供給ユニットを有し、制御ユニットは、切換パターンに従って、X線源をそれぞれの供給配線に動的に接続するマルチプレクサを有する。
【0018】
有利な一実施形態によれば、X線源は、特にカーボンナノチューブに基づく電界エミッタを備えた(例えば、微小焦点)X線源などの電界エミッタに基づくX線源である、分散されたX線源である。このような分散型のX線源は、空間の節約となるとともに容易に制御されることが可能である。また、平面状の基板上にアレイとして配列されることが可能なCNTが使用される場合、収集が遙かに高速になり得る。また、分散型X線源を構築することには、従来からのサーマルエミッタ技術が使用されてもよい。また、散乱アーチファクトが最小化される。さらに、分散型X線源は、機械的動作を用いずして、異なる視角から対象物を検査することを可能にする。異なる複数の視角からの投影画像の組は、限られた3D画像再構成(例えば、トモシンセシス)を可能にする。この断層撮影スキームは、撮像装置の構築及び動作を単純化する。
【0019】
好ましくは、当該装置は更に、X線源ユニット及びX線検出ユニットが搭載され、且つ検査領域の周りを回転するように構成されたガントリーを有する。特に、ガントリーは、これらのユニットの1つ以上又は各々が検査領域の周りを回転することができるように構成され得る。分散型X線源を用いる利点は、このような装置が機械的動作/回転を必要としないことである。他の実施形態において、特にX線源及び/又は検出器の移動/回転のためにガントリーが設けられる。このようなガントリー上でも、分散型X線源が用いられ得る。
【0020】
好適な一実施形態において、X線検出ユニットは、各層が所定のエネルギースペクトルのX線を検出するように適応された、特に二層検出器である、多層検出器を有する。逆ジオメトリにおける検出器はより小さいX線感度領域をカバーするのみであるため、ハードウェアコストが低減される。このような二層検出器自体は例えば国際公開第2007/039840号に記載されている。
【0021】
他の一実施形態によれば、X線検出ユニットはエネルギー弁別光子計数検出器を有する。この実施形態を用いる場合にも、従来のCT検出器サイズと比較して小さい検出器面積によるハードウェアコストの低減が達成される。このようなエネルギー弁別光子計数検出器は、例えば、Iwanczyk,J,S.等、「Photon Counting Energy Dispersive Detector Arrays for X-ray Imaging」、IEEE Nuclear Science Symposium Conference Record、2007年、M09-4、pp.2741-2748に記載されている。
【0022】
さらに、一実施形態によれば、当該装置は、X線検出中にX線検出器の何れかの画素にオーバーフローが存在するかを検出するオーバーフロー検出手段を更に有し、制御ユニットは、アクティブなX線源に供給される電流を低減するように適応される。
【0023】
制御ユニットが、例えば適応的に、特に高電圧発生器であるハードウェア、(例えばCNTといったソースの)切換時間、関心領域、及び必要な空間分解能を考慮に入れて、最適化された切換方式を決定するように適応化されることも可能である。
【0024】
一実施形態において、制御ユニットは、第1グループのX線源が、重なり合うエネルギースペクトルを有するX線を放射し、その後、X線源の他の複数のグループが別々且つ順次に、特に同一のエネルギースペクトルでX線を放射するように、X線源をグループでX線を放射するよう制御するように適応される。この実施形態は、エネルギー分解検出器を用いてソースを特定することができ、高速な収集時間及び高い精度がもたらされるという利点を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の上述及びその他の態様は、以下に説明する実施形態を参照することで明らかになる。
【図1】本発明に従った検査装置の一実施形態を概略的に示す図である。
【図2】CT構成での図1に示した実施形態の実現例を示す図である。
【図3】マルチソースIGCTシステムを示す3次元斜視図である。
【図4】カーボンナノチューブに基づく電界放出型X線源の一実施形態を示す図である。
【図5】エネルギープロファイル切換回路の一実施形態を示す図である。
【図6】本発明に従ったX線源の切換方式を例示する図である。
【図7】本発明に従った検査装置の制御ループの一実施形態を示すブロック図である。
【図8】本発明に従ったX線源の他の切換方式を例示する図である。 図面において、同一あるいは同様の構成要素は似通った参照符号によって参照される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本願に係る技術は概して、医療用及び非医療用の有用な画像を生成する、例えばトモシンセシス撮像技術などの撮像技術に向けられている。当業者に認識されるように、本願に係る技術は、有用な3次元データ及びコンテキストを提供する、例えば乗客及び/又は手荷物スクリーニングなどの、様々な医療用途及び非医療用途に適用され得る。ここでは概して、本願に係る技術の説明を容易にするため、医療での実現例を説明するが、理解されるように、非医療での実現も本願に係る技術の範囲内にある。
【0027】
図1は、本発明に従ったマルチエネルギー検査装置10の典型的な一実施形態概略的に示している。装置10は、X線源ユニット14を支持するポジショナ又は支持体12を含んでいる。支持体12は、X線源ユニット14と所望の撮像ボリュームとの間に位置付けられ得る1つ以上のX線フィルタ16を含み得る。一般的に、例えばフラットパネル検出器などのデジタル検出器18が、X線源ユニット14から撮像ボリュームを横切った位置に置かれる。デジタル検出器18は、静止してもよいし、X線源ユニット14及び/又は支持体12と協調して或いは独立に移動してもよい。デジタル検出器18と撮像ボリュームとの間には、散乱線除去グリッド20も存在し得る。存在するとき、散乱線除去グリッド20は典型的にデジタル検出器18の近くに取り付けられ、デジタル検出器18上への散乱X線の入射を抑制する。一実施形態において、散乱線除去グリッドは操舵可能とし得る。他の一実施形態において、散乱線除去グリッドは存在せず、その代わりに、定量的な投影画像を得るためにアルゴリズム散乱補正が実行され得る。
【0028】
X線源ユニット14は、患者22内の関心領域を包含する撮像ボリューム内に位置する患者22の全体又は一部に向けて、限られた角度範囲内で、複数の位置からX線を放射するように構成される。X線源ユニット14は、手動あるいは自動化手段によっての何れかで、様々な位置へ1、2又は3次元で移動可能であってもよく、その結果、X線源ユニット14は患者22及び/又はデジタル検出器18に対する位置を変化させ得る。
【0029】
好ましくは、図2に示すようなCT構成において、X線源ユニット14(多数の分散されたX線源15を有する)及びX線検出器18は、検査領域19の周りを回転するようにガントリー17に取り付けられる。テーブルなどの支持台21が、検査領域19内の患者又はその他の対象物を支持する。患者支持台21は好ましくは、長手方向すなわちz方向に移動可能である。しかしながら、異なる一実施形態において、X線源ユニット14及びX線検出器18は、ガントリーに取り付けられず、動かない。
【0030】
典型的に、X線源ユニット14は、所望の対象物又は患者22を撮像するのに有用な1つ以上のスペクトルでX線を放射するように構成される。例えば、医療の状況において、X線源は、患者撮像に用いられ得る例えば銅フィルタリングによる140kVpスペクトルといった高エネルギー光子を伴うX線のスペクトルを放射してもよいし、あるいは、望ましいX線透過特性に基づいて患者撮像に各々有用な1つ以上の低エネルギースペクトル(例えば、フィルタリングされない90kVpスペクトル)でX線を放射してもよい。X線は、所望の複数のX線放射位置に配置された或いは移動される多数の生成器(すなわち、所望の放射位置の各々に位置するX線管)によって、あるいは、所望の角度範囲内の所望の複数の放射位置に配置された或いは移動することが可能な静止X線管15と移動X線管15との組み合わせによって、多数の位置でX線源ユニット14から放射され得る。
【0031】
上述のX線源14は、患者22を通してデジタル検出器18に向けてX線24(図1参照)を放射する。デジタル検出器18は典型的に、X線24に応答してデジタル信号を生成するように構成されたアレイ状の複数の検出素子を含む。本発明の一実施形態において、デジタル検出器18は、画素に激突する様々な光子のエネルギーを区別しない。すなわち、各画素は、多様なX線スペクトルの電荷情報を蓄積して表す。このような一実施形態において、X線フィルタ16は、例えばX線放射を順に入れ替えるために、異なる時点における伝播スペクトルを限定あるいは変更することによってX線エネルギーの差異化を可能にするように使用され得る。X線フィルタ16は、銅、アルミニウム、鉄、モリブデン、錫、バリウム、ガドリニウム、タングステン、鉛、又はその他の好適材料で製造され得る。代替的に、本発明の他の一実施形態においては、フィルタ16を用いることなくオフセットされたスペクトル又はエネルギープロファイルを有するX線が異なる時点で伝播され得るように、X線源14は、2つ以上のスペクトルでX線を放射するように構成可能であってもよい。
【0032】
代替的に、更なる他の一実施形態において、X線源ユニット14は、2つ以上のスペクトルで放射するようにフィルタリングあるいは構成されず(あるいは、部分的にのみ或いは特別な位置でのみフィルタリングされ)、デジタル検出器18が、異なるエネルギープロファイル又はレベルを有するX線24をそれ自身で区別することが可能なエネルギー弁別検出器にされてもよい。例えば、一実施形態において、エネルギー弁別検出器は、一度の照射で或る特定の位置のX線源について、高エネルギー画像及び低エネルギー画像の双方を捕捉するように使用される。同様に、他の一実施形態において、デジタル検出器18は、各スタックが異なるスペクトル又はエネルギープロファイルを有するX線を検出するように構成された、シンチレータとフォトダイオードとのスタックのアレイを含んでいてもよい。この実施形態において、デジタル検出器18は、高エネルギー画像及び低エネルギー画像を同時に捕捉するように使用され得る。
【0033】
X線源ユニット14の動作はシステムコントローラ26によって制御され得る。例えば、システムコントローラ26は、X線コントローラ30を介して、コリメーション及びタイミングを含むX線源ユニット14の活性化及び動作を制御する。また、X線源ユニット14が2つ以上のエネルギープロファイルでX線を放射するように構成される実施形態において、システムコントローラ26は、エネルギープロファイル切換回路28を介して、X線放射のエネルギープロファイルの制御又は選択を行うように構成され得る。
【0034】
X線源ユニット14及び/又はデジタル検出器18の動きも、互いに独立に移動させるよう、あるいは同期して移動させるよう、例えばモータコントローラ32によってなど、システムコントローラ26によって制御され得る。例えば、一実施形態において、モータコントローラ32は、X線源ユニット14及び/又はデジタル検出器18が物理的に取り付けられた例えばCアームなどのポジショナ12の動作を制御し得る。一般的に、ポジショナ12は、所定の撮像軌道又はオペレータが選択した撮像軌道に従って、X線源ユニット14及び/又はデジタル検出器18の物理的な動作を実現する。故に、ポジショナ12によって、システムコントローラ26は、患者を通る様々な角度でのX線投影の収集を促進し得る。代替的に、X線源ユニット14及びデジタル検出器18が静止型である実施形態、すなわち、検出器18に対して相異なる角度に固定された複数のX線管又は固体エミッタをX線源ユニット14が有する実施形態においては、ポジショナ12は存在しない。別のハイブリッド構成も同様に可能であり、例えば、一実施形態において、組として(すなわち、個々にではなく)移動する複数のX線源が用いられてもよい。さらに、一部の実施形態において、有限の角度範囲にわたる様々なビューでの投影角度を作り出すように、患者又は撮像対象物がX線源及び/又は検出器に対して移動されてもよい。
【0035】
システムコントローラ26はまた、例えば検出器収集回路34を介して、デジタル検出器18の動作及び読み出しを制御し得る。一実施形態において、デジタル検出器18は、X線に応答して収集されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、更なる処理のために該デジタル信号を検出器収集回路34に提供する。典型的に、検出器収集回路34によってデジタル検出器18から読み出されたデータの処理及び再構成を行うために、処理回路36が存在する。具体的には、X線源ユニット14によって放射されたX線に応答して、投影データ又は投影画像が検出器収集回路34によって生成される。異なる時点で異なるスペクトル又はエネルギープロファイルを有するようにX線が生成あるいはフィルタリングされる実施形態において、投影画像は、全ての定められた位置で特定のエネルギープロファイルにて収集され、この処理が他のエネルギープロファイルのために繰り返され得る。代替的に、投影画像は特定の位置で全てのエネルギープロファイルに関して収集され、この処理が全ての定められた位置のために繰り返されてもよい。その他の収集シーケンスも同様に可能である。しかしながら、デジタル検出器18としてエネルギー弁別検出器を使用する実施形態においては、各投影画像が所望のエネルギー情報を含むので、典型的に位置ごとに1つの投影画像のみが取得される。検出器18によって収集された投影データは、検出器収集回路34及び/又は処理回路36にて前処理に掛けられ得る。また、処理回路36は投影データを再構成して、表示のための1つ以上の3次元画像を生成し得る。
【0036】
処理回路36は、異なるエネルギー特性を異なる材料種類に関連付けるように、エネルギー特性に基づいて投影画像を分解してもよい。処理回路36は更に投影画像を再構成して、例えばトモシンセシス画像などの3次元画像を生成してもよい。これらの再構成及び分解のステップは、何れに順序で実行されてもよいが、一般に、双方のステップが実行されるとき、相異なる材料種類又は組織型を表す合成3次元トモシンセシス画像を生成することができる。例えば、合成トモシンセシス画像は、軟組織トモシンセシス画像、骨トモシンセシス画像、及び/又は造影剤画像を含み得る。逆に、処理回路が投影データを分解することなく収集投影データを再構成する場合には、例えば低エネルギートモシンセシス画像、中間エネルギートモシンセシス画像及び高エネルギートモシンセシス画像など、エネルギートモシンセシス画像が生成され得る。これらのエネルギートモシンセシス画像は、撮像ボリューム内の患者22又は対象物によるそれぞれのエネルギープロファイルでのX線減衰を描写する。医療の状況において、様々なトモシンセシス画像は、患者22の関心内部領域を明らかにし、更なる診断に使用され得る。処理回路36はまた、処理されたデータ及び処理すべきデータを格納するメモリ回路を含んでいてもよい。メモリ回路はまた、処理パラメータ及び/又はコンピュータプログラムを格納してもよい。
【0037】
処理回路36は、オペレータワークステーション40に接続され得る。処理回路36によって生成された画像は、例えばディスプレイ42上での表示のため、オペレータワークステーション40に送られ得る。処理回路36は、処理、画像又は画像データに関するコマンド又は処理パラメータを、例えばキーボード、マウス及びその他のユーザ相互作用装置などの入力装置(図示せず)を含み得るオペレータワークステーション40から受信するように構成され得る。オペレータワークステーション40はまた、X線源ユニット14及び/又は検出器18の動作に関するコマンド及びスキャンパラメータをオペレータがシステムコントローラ26に与えることを可能にするよう、システムコントローラ26に接続され得る。故に、オペレータは、オペレータワークステーション40を介して、システム10の全体又は一部の動作を制御し得る。
【0038】
オペレータワークステーション40は典型的に、処理回路36によって生成された画像をレンダリング(画像表示)することが可能な、ディスプレイ42及び/又はプリンタ44に接続される。典型的に、オペレータワークステーション40内の表示及び/又はプリンタ回路が、画像をレンダリングのためにそれぞれのディスプレイ42又はプリンタ44に与える。また、オペレータワークステーション40は、画像保管通信システム(PACS)46に接続され得る。そして、PACS46は、異なる場所にいる人々が画像及び/又は画像データにアクセスし得るように、ネットワークを介して内部ワークステーション48及び/又は外部ワークステーション50に接続され得る。同様に、オペレータワークステーション40は、処理回路36による処理、及び/又はディスプレイ42若しくはプリンタ44でのレンダリングのため、PACS46を介してアクセス可能な画像又はデータにアクセスし得る。
【0039】
図3は、横断方向(xy面内)及び長手方向(z軸方向)に複数の点x線源15が配列された大きい分散ソースユニット14と組み合わされた小型検出器18を使用するマルチソース・逆ジオメトリ・コンピュータ断層撮影(Inverse Geometry Computed Tomography;IGCT)システム10の3次元斜視図を示している。点x線源15の各々は異なる時点にファン(扇状)ビーム(又はコーン(円錐)ビーム)60を放射し、検出器18によって投影データ(例えば、シノグラム)61が捕捉される。また、検出器18、分散ソースユニット14及びファンビーム(又はコーンビーム)60は、回転軸62の周りで軸回転され得る。検出器18によって捕捉された投影データ61は、視野(検査領域)19内の関心対象を再構成するように処理される。投影データを平行な光線投影に再瓶分け(re-bin)するための、既知のリビニング(re-binning)アルゴリズムが使用され得る。
【0040】
横断方向に、複数の点x線源15は好ましくは、全ての対応するファンビーム(又はコーンビーム)60が、アイソフォーカス検出器を備える従来の第3世代システムに適合するように回転されることが可能であるよう、アイソセントリックアーク上に位置付けられる。これは、完全なコーンビームへの的確な再瓶分けを可能にするとともに、均一なビームプロファイルを達成する助けとなる。得られたデータセットは、複数の長手方向にオフセットされた第3世代データセットへと再編成あるいは再瓶分けされることができる。また、z方向に分散された複数の点x線源15用に開発されたアルゴリズムは、従来の第3世代CTを用いた複数の長手方向にオフセットされたアクシャルスキャンに適用されることができ、その逆もまた然りである。これらの理由により、ソース群をアイソセントリックアーク上に位置付けることが望ましいが、例えば検出器を中心とするアーク(円弧)及び平面アレイなどのその他の構成も使用され得る。
【0041】
X線管はX線源ユニット14によりX線生成の1つの可能性であり、他の実施形態においては、X線源ユニット14はその他のX線生成・放射技術を用いてもよい。例えば、X線源ユニット14は、上述の実現例におけるX線管に代えて、固体X線エミッタを用いてもよい。しかしながら、X線管及び固体X線エミッタは使用され得るX線生成・放射技術の2つの例であり、医学的(あるいは産業的)に有用なスペクトルを有するX線を生成することが可能なその他のX線生成技術又は装置が、本発明に係る技術とともに用いられてもよい。
【0042】
一実施形態において、例えば、カーボンナノチューブ(CNT)に基づく電界放出(フィールドエミッション)型X線源15のアレイがX線生成に使用される。図4に示すように、アレイ14の各ソース15は、CNTカソード151と、ゲート電極152と、1つ又は2つの集束(フォーカシング)電極153、154と、電子ビーム156のX線157への変換が行われるアノード155を有する。個々のソースのオン及びオフの切換は、好ましくは、ゲート電極152に適切な電圧を印加することによって達成される。
【0043】
本発明によれば、或る特定のX線源が或る異なるエネルギースペクトルのX線を放射するように切り換えられる時間間隔において、該特定のX線源がオフに切り換えられ、1つ以上のその他のX線源が別々且つ順次にオンに切り替えられてX線を放射するように、システムコントローラ26、具体的にはエネルギープロファイル切換回路28及び/又はX線コントローラ30は、少なくとも2つの異なるエネルギースペクトルで別々且つ順次にX線を放射するよう複数のX線源15を制御するように適応される。故に、本発明によれば、交番的なkV変調方式が適用される。
【0044】
多数のx線源15a、15b、・・・、15xの個別制御・切換を行うエネルギープロファイル切換回路28の適当な実現例は、図5に示されている。
【0045】
図6は、本発明に従ったX線源の切換方式を例示している。例えば、時間tに高電圧Uでオンに切り換えられ且つ時間tにオフに切り換えられる特定のソース15aを考える。その後、スキャンはX線生成器のその他のソース15b、15cに進む。時間tに、ソース15aは高電圧Uで再び活性化される。tとtとの間の時間間隔中に、ソース15a用の高電圧源はUからUに切り換えられる。高電圧を変化させることは、高電圧供給配線のRC時定数によって与えられるのが通常である幾らかの時間を要する。
【0046】
故に、記載の技術は、電流領域での管(チューブ)(例えば、CNT)の高速切換の恩恵を受けることにより、高電圧切換ユニットに関するハードウェア労力を緩和する。具体的には、ソース15a、15b、15cのアノードはtからtの期間中は電圧Uに結合されることができる。時間tの時点で、ソース15aのアノードは既に電圧Uに切り換えられることができるが、ゲート電圧を使用して活性化されるのは時間tになってからである。CNTがソースとして使用される場合、この活性化を高速に達成しながら、高電圧切換の使用によるUからUへの高電圧の切換は、よりゆっくりと行うことができる。アノード電圧の高電圧切換の、ゲート電圧による活性化からの、この分離により、上述の切換シーケンスの使用の利点が達成される。
【0047】
好ましくは、本発明に従って提案される検査装置、特にインバースCTシステムは、マルチレイヤ(多層)検出器を備える。マルチレイヤ検出器及び従来のCTジオメトリと比較した利点は、ハードウェアコストが低減されることである。逆ジオメトリにおける検出器は、より小さいX線感度領域を対象とするからである。故に、一実施形態において、図6に示したような2つの高電圧設定を有するソース切換パターン、及びデュアルレイヤ検出器は、逆ジオメトリによる“4エネルギー(Quad-Energy)CT”を形成する。
【0048】
代替的な一実施形態において、本発明に従って提案される検査装置、特にインバースCTシステムは、エネルギー弁別式計数モード検出器を備える。この場合も、利点は、より小さい検出器領域によるハードウェアコストの低減である。計数モード検出器は、X線強度の限られたダイナミックレンジを対象とする。この特徴により良く対処するため、X線強度調整する検出器画素及びX線源を含む制御ループが構成され得る。斯くして、撮像システムは、仮想的なボウタイ(bow-tie)型フィルタを有するX線源とともに、実ドーズ検知能力を備えた検出器を有する。制御ループの一実現例は、例えば、検出器画素群のうちの少なくとも1つが計数率的に飽和していることが指し示される場合に、X線源電流の低減を実行する。
【0049】
好適な実施形態において、図5に示されるように、1つ以上の高電圧発生器を有する高電圧生成ユニット72aによって供給される典型的に最大150kVまでの、多数の高電圧配線73が存在する。例えば、固定電圧の、2エネルギー供給用の2つの高電圧発生器、又は3エネルギー供給用の3つの高電圧発生器が存在し得る。代替的に、2つの高電圧発生器が存在し、これら発生器のうちの一方がアクティブなX線源に電圧を提供し、他方の発生器が次に必要とされる次の(より高い、あるいは、より低い)電圧に切り換えられてもよい。
【0050】
これは、最低の高電圧設定を基準として用い、他方の設定のために一定の電位量を追加することによって実現され得る。個々のソース15a、15b、・・・、15xのアノード155は、別個の高電圧配線73に動的に接続される。各ソースの対応するフォーカシング電極153、154及びゲート電極152は、更なる電圧源72bに接続され、アノード電位の一定の割合に設定される。時間制御式マルチプレクサ74が、アノード155(並びに、代替的な実施形態によれば、フォーカシング電極153、154及びゲート電極152)の組を、ソース切換パターンに従って、それぞれの高電圧配線73(アノードに関して)、75(フォーカシング電極153、154及びゲート電極152に関して)に動的に接続する。マルチプレクサ74は、例えば、X線生成器と検出器との同期化のためにデータ収集システム(図1の34)に接続されるマイクロプロセッサ又はFPGA71によって制御される。
【0051】
一実施形態において、ガドリニウム酸硫化物(GOS)の頂部層と、端部にフォトダイオード読み出し部を有するGOSの底部層とを備えた、画素で構成された検出器が使用される。
【0052】
他の一実施形態によれば、例えばCd(Zn)Teからなる、画素で構成された半導体センサと、例えば整形増幅器、弁別器及び対応するカウンタを各画素に有した、付随する計数電子回路とが用いられる。このような実施形態の検査装置の制御ループの一実施形態を、図7のブロック図に示す。この制御ループは、検出器18の検出器画素における計数率の飽和を防止する。各電子画素80内に、オーバーフローフラグ(OF)82を出力するオーバーフロー検出ユニット81が存在する。オーバーフロー検出は、カウンタ83の読み出しのフレーム時間より短い所定の時間間隔(‘サブフレーム’)内で実行される。サブフレームの期間は、デジタル信号OFイネーブルによって定められる。各サブフレームの後、全ての画素のOFが、かなり高速に実行可能なOR回路84によって結合される。少なくとも1つの画素がオーバーフローを差し示した場合、電流制御ユニット85によって管電流が低減され、飽和した画素のカウンタ83がリセットされる。オーバーフロー検出と電流低減とを有するループは、何れの画素もオーバーフローを指し示さない場合に停止する。カウンタ83のフレーム読み出しはまた、好ましくは、収集時間フレーム中のチャネルのリセット回数を捕捉する。斯くして、オーバーフローの問題を有しない画素では光子の記録が失われず、サブフレーム内にオーバーフローした画素も依然として妥当な統計を有する。OFは、カウンタ83のエントリ、タイムオーバー閾値情報、又は例えばCIX型読み出し電子回路(同時の計数及び積分が、信号複製に基づく適切な電子回路によって容易化される)を用いて測定されるサブフレーム内での積分電荷から得ることができる。
【0053】
検査装置のジオメトリ(幾何学配置)は用途に従って選択される。上述のように、1つのシナリオにおいて、ソースアレイ及び検出器はCTガントリーに搭載され、データ収集中に対象物の周りを回転する。他の1つのシナリオにおいて、検出器及びソースアレイは静止したままであり、対象物は、より少ない視角の組でサンプリングされる。
【0054】
画像再構成は様々な技術に従って実行される。適用可能な1つの技術は、例えばDobbins J.、「Digital x-ray tomosynthesis:current state of the art and clinical potential」、Phys. Med. Biol.、2003年、第48巻、R65-R106に記載されているようなトモシンセシスである。しかしながら、例えばそれら自体は技術的に周知のフィルタ補正逆投影(Feldkamp)法又は反復アルゴリズムなどのその他の技術も同様に適用され得る。このモードにおいて、フレーム時間は、制御ループによって設定される最終的なビーム強度に従って動的に適応され得る。
【0055】
単一のアノードが2〜3個のエミッタに対する共通アノードとして作用すること、又は2〜3個のアノードが単一のエミッタに対して設けられることも可能である。例えば、異なる材料の複数のアノードが、例えば異なる或いは重なり合うエネルギースペクトルを放射するように設けられてもよい。
【0056】
図8は、本発明に従ったX線源の他の切換方式を例示している。この実施形態によれば、X線源は、一度に1つずつオンに切り換えられるのではなく、グループでオンに切り換えられる。例えば、ソース15a、15d、15gの第1のグループは、時間tに高電圧Uでオンに切り換えられ、時間tにオフに切り換えられる。その後、スキャンは、別のグループのソース15b、15e、15hに進んだ後、X線生成器のソース15c、15f、15iのグループに進む。時間tに、第1のグループのソース15a、15d、15gが、高電圧Uで再び活性化される。tとtとの間の時間間隔中に、ソース15a、15d、15gのグループ用の高電圧源はUからUに切り換えられる。
【0057】
好ましくは、特定のグループに割り当てられるX線源は、エネルギースペクトルにおいて全く或いは殆ど重なりを有しない。記録された光子を高い確率でアクティブソースのうちの1つに割り当てることができるように調整されたエネルギー分解検出器が使用される。斯くして、結果として高い量子雑音を有する2つの(大きい)数が減算されなければならない従来の手法に対して、ポアソン誤差が非常に低いものとなる。利点は、動きアーチファクトを小さくしながら高速タイミングであることである。
【0058】
本発明の主な用途は、エネルギー分解能を有するコンピュータ断層撮影、エネルギー分解能を有する投影撮像、又はエネルギー分解X線光子計数の恩恵を受け得るその他の用途である。
【0059】
図面及び以上の記載にて本発明を詳細に図示して説明したが、これらの図示及び説明は、限定的なものではなく、例示的あるいは典型的なものと見なされるべきである。本発明は、開示した実施形態に限定されるものではない。図面、明細書及び特許請求の範囲を調べて請求項に係る発明を実施する当業者によって、開示した実施形態へのその他の変形が理解されて実現され得る。
【0060】
特許請求の範囲において、用語“有する”はその他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞“a”又は“an”は複数であることを排除するものではない。単一の要素又はその他の装置が、請求項中に列挙された複数の項目の機能を果たしてもよい。特定の複数の手段が相互に異なる従属項にて列挙されているという単なる事実は、それらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないということを指し示すものではない。
【0061】
コンピュータプログラムは、その他のハードウェア又はその部分とともに提供される例えば光記憶媒体又は固体媒体などの好適な媒体上で格納/配信され得るが、例えばインターネット又はその他の有線若しくは無線の遠隔通信システムを介してなど、その他の形態で配信されてもよい。
【0062】
請求項中の如何なる参照符号も、その範囲を限定するものとして解されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 複数の位置でX線を放射する複数のX線源を有するX線源ユニット、
− 前記X線源のうちの1つ以上から放射されたX線を、前記X線源ユニットと当該X線検出ユニットとの間の検査領域の貫通後に検出し、検出信号を生成するX線検出ユニット、
− 生成された前記検出信号を処理する処理ユニット、及び
− 少なくとも2つの異なるエネルギースペクトルで順次、単独あるいはグループでX線を放射するように前記X線源を制御する制御ユニットであり、特定のX線源又はX線源のグループが異なるエネルギースペクトルでX線を放射するように切り換えられる時間間隔中に、前記特定のX線源又はX線源のグループがオフに切り換えられ、且つ1つ以上のその他のX線源又はX線源のグループが順次オンに切り換えられてX線を放射するように制御する制御ユニット、
を有するX線検査装置。
【請求項2】
前記制御ユニットは、前記特定のX線源又はX線源のグループが、可能な限り早く前記異なるエネルギースペクトルでX線を放射するように切り換えられるよう、前記X線源を制御するように適応されている、請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記制御ユニットは、前記特定のX線源又はX線源のグループが切り換えられる前記時間間隔中に順次オンに切り換えられてX線を放射する前記1つ以上のその他のX線源又はX線源のグループが、前記特定のX線源又はX線源のグループが先に放射していた、あるいは切り換えられた後に放射することになるX線のエネルギースペクトルでX線を放射するよう、前記X線源を制御するように適応されている、請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記制御ユニットは、X線源の第1グループのX線源が、前記少なくとも2つの異なるエネルギースペクトルで、単独で、別々に、且つ順次にX線を放射し、その後、X線源の他のグループのX線源が、前記少なくとも2つの異なるエネルギースペクトルで、単独で、別々に、且つ順次にX線を放射するように、前記X線源をグループでX線を放射するよう制御するように適応されている、請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記制御ユニットは、特にX線源のアノードに供給される電圧である前記X線源の電圧を変化させることによって、異なるエネルギースペクトルでX線を放射するよう前記X線源を切り換えるように適応されている、請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項6】
多数の高電圧供給配線を有する高電圧供給ユニットを更に有し、前記制御ユニットは、切換パターンに従って、前記X線源をそれぞれの前記供給配線に動的に接続するマルチプレクサを有する、請求項5に記載のX線検査装置。
【請求項7】
前記X線源は、特にカーボンナノチューブに基づく電界エミッタを備えた微小焦点X線源などの電界エミッタに基づくX線源である、分散されたX線源である、請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項8】
前記X線源ユニット及び前記X線検出ユニットが搭載され、且つ前記検査領域の周りを回転するように構成されたガントリー、を更に有する請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項9】
前記X線検出ユニットは、各層が所定のエネルギースペクトルのX線を検出するように適応された、特に二層検出器である、多層検出器を有する、請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項10】
前記X線検出ユニットはエネルギー弁別光子計数検出器を有する、請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項11】
X線検出中に前記X線検出器の何れかの画素にオーバーフローが存在するかを検出するオーバーフロー検出手段を更に有し、前記制御ユニットは、アクティブなX線源に供給される電流を低減するように適応されている、請求項10に記載のX線検査装置。
【請求項12】
前記制御ユニットは、第1グループのX線源が、重なり合うエネルギースペクトルを有するX線を放射し、その後、X線源の他の複数のグループが別々且つ順次に、特に同一のエネルギースペクトルでX線を放射するように、前記X線源をグループでX線を放射するよう制御するように適応されている、請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項13】
− 複数のX線源を有するX線源ユニットにより、複数の位置でX線を放射する段階、
− 前記X線源のうちの1つ以上から放射されたX線を、前記X線源ユニットとX線検出ユニットとの間の検査領域の貫通後に検出し、検出信号を生成する段階、
− 生成された前記検出信号を処理する段階、及び
− 少なくとも2つの異なるエネルギースペクトルで順次、単独あるいはグループでX線を放射するように前記X線源を制御する段階であり、特定のX線源又はX線源のグループが異なるエネルギースペクトルでX線を放射するように切り換えられる時間間隔中に、前記特定のX線源又はX線源のグループがオフに切り換えられ、且つ1つ以上のその他のX線源又はX線源のグループが別々且つ順次にオンに切り換えられてX線を放射するように制御する段階、
を有するX線検査方法。
【請求項14】
コンピュータ上で実行されるときに、コンピュータに、請求項13に記載の方法の段階群を実行するように請求項1に記載のX線検査装置を制御させるプログラムコードを有する、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−511988(P2012−511988A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541674(P2011−541674)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際出願番号】PCT/IB2009/055661
【国際公開番号】WO2010/070554
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】