説明

X線画像撮影装置

【課題】DA画像からリアルタイムにDSA画像を作成する場合、血管と骨のエッジとの重なりを回避するようにする。
【解決手段】DA画像を得る1回の撮影によってリアルタイムにDSA画像を得るX線画像撮影装置において、画像収集中に得られたサブトラクション画像から、血管と骨のエッジとが重なりそうになった時点での血管の骨に対する進入角度を演算し、この演算された血管の骨に対する進入角度から、血管が骨から離れる観察角度を逆算し、この逆算した角度にX線発生部1およびX線検出部2を保持する保持装置3の角度を制御するシステム制御部8を備えた。これにより、血管と骨のエッジとの重なりの少ないDSA画像がリアルタイムに収集され、診断精度も向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線画像撮影装置に係り、例えば下肢の血管造影を行なうのに好適なX線画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
循環器系疾患の診断には、被検者の血管に造影剤を注入してX線撮影を行なう血管造影法が行なわれている。このとき、血管部分をより鮮明に観察できるようにするために、被検者の同じ部位について、造影剤を注入する前と注入した後の2回X線撮影を行い、得られた2種の画像を減算処理することによって血管部分の強調された画像を得ている。この造影剤を注入する前に得た画像をマスク像、造影剤を注入して得た画像をライブ像と称し、これらの画像を減算処理して得た画像をサブトラクション画像と称している。
【0003】
ところで、サブトラクション画像を得るためには、通常1回目のX線撮影によってマスク像を得、2回目のX線撮影でライブ像を得るが、X線被曝を低減するために、1回のX線撮影によってマスク像とライブ像を得てサブトラクション画像を形成する試みがされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−321995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、心臓カテーテル手術を実施した後に、プラークが下肢に流れて栓塞を起こしていないかどうかを確認することが必要になる。そのような場合、1回のX線撮影で下肢全体のサブトラクション画像を得ようとすると、下肢全体の画像を収集するために、被検者を載置した天板を体軸方向へ移動させながら撮影を行なう必要があり、その移動によって生ずる幾何学的ズレが原因でサブトラクションが不完全になり、マスク画像内の画像レベルの変化度が大きい部分(主に骨のエッジ)がサブトラクション後の画像内に残ることがある。そのため、骨のエッジに重なった血管部分の観察が難しくなるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するため、本実施形態によれば、被検者を載置する天板と、前記被検者を間にして対向するようにX線発生部とX線検出部とから成る撮影系を保持する保持手段と、前記被検者の血管に注入した造影剤の流れに応じて、前記被検者の体軸方向へ前記天板または保持手段を相対的に移動させながら複数の画像を撮影する撮影手段と、この撮影手段による1回の撮影によって得られる複数の画像を基にしてサブトラクション画像を得る画像処理手段と、を備えるX線画像撮影装置において、前記撮影手段による画像収集中に、前記画像処理手段でサブトラクション画像を得るとともに、得られたサブトラクション画像から、血管と骨のエッジとが重なりそうになった時点での血管の骨に対する進入角度を演算し、この演算された血管の骨に対する進入角度から、血管が骨から離れる観察角度を逆算し、この逆算した角度に前記保持手段を駆動する制御手段を具備することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係るX線画像撮影装置の一実施例の、全体的な概略構成を示した系統図である。
【図2】本実施形態に係るX線画像撮影装置の動作の概略を説明したフローチャートである。
【図3】X線の照射タイミングと、これによって取得される画像の取得タイミングを説明した説明図である。
【図4】DSA画像を作成する過程の一例を、図3に対応付けて概念的に説明した説明図である。
【図5】血管の他に骨のエッジが残存しているDSA画像にROIを配置した様子を説明した説明図である。
【図6】血管と骨との重なりを、保持装置の角度を変更することによって回避して観察できるようになることを説明した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態に係るX線画像撮影装置について、図1ないし図6を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本実施形態に係るX線画像撮影装置の、全体的な概略構成を示した系統図である。
【0011】
このX線画像撮影装置は、被検者PにX線を照射するX線発生部1と、X線発生部1から照射され被検者Pを透過したX線を検出するX線検出部2とを備え、これらX線発生部1およびX線検出部2は、例えばC字形に形成された保持装置3の両端部分に、互いに対向する向きに保持されている。なお、被検者Pは寝台装置(図示せず)の天板4に載置されるようになっている。
【0012】
X線発生部1には、X線を発生するX線管1aとX線の照射野を制限するX線絞り器1bが備えられている。また、X線検出器2は、例えばマトリックス状に配列された半導体X線検出素子を有するフラットパネルディテクタ(FPD:平面型X線検出器)である。そして、X線発生部1には高電圧発生部5が接続されており、この高電圧発生部5には、X線管1aに高電圧を印加する高電圧発生器5aとX線の発生状況を制御するX線制御部5bが備えられている。
【0013】
保持装置3は、被検者Pの体軸方向および体幅方向へ所定範囲にわたって回転可能になっており、天板4は被検者Pを体軸方向および体幅方向へ所定範囲にわたって平行に移動させるようにスライド可能となっている。そして、この保持装置3や天板4を駆動するための可動部駆動機構6と、高電圧発生部5や可動部駆動機構6を制御するためのX線/機構部制御コントローラ7が備えられている。
【0014】
なお、これらの各構成機器を制御したり、X線検出部2から得られる出力データを基に画像を形成したりするためのシステム制御部8が備えられているとともに、形成された画像を表示するモニタ9と操作者が各種操作指示を入力するための操作部10が設けられている。
【0015】
システム制御部8は、CPU8a、ハードデスク8b、メモリ8c、画像蓄積データベース(以下、RAIDと称する。)8d、X線/機構部制御インターフェイス8e、ビデオメモリ8f、検出器インターフェイス8gを備え、これらはバスラインで相互に接続されており、CPU8aの指示の下で各種の動作を実行するものである。
【0016】
次に、このように構成されたX線画像撮影装置によって、血管造影により例えば下肢のサブトラクション画像を得る場合の動作について、図2に示したフローチャートを参照しながら説明する。
【0017】
先ず、ステップ1(S1)として、X線技師などの操作者は、X線画像撮影装置によって下肢のサブトラクション画像を得るに当たって必要となる、X線の発生条件、撮影範囲、撮影角度などの撮影条件などを、操作部10を操作してシステム制御部8に設定する。この設定に基づき、CPU8aはX線/機構部制御インターフェイス8eを介してX線/機構部制御コントローラ7へ駆動信号を供給し、X線/機構部制御コントローラ7は保持装置3を所定の撮影角度に位置づけるとともに、天板4を所定の撮影開始位置へスライドさせて、画像収集の準備状態を整える。
【0018】
次に、ステップ2(S2)として、ステップ1で設定した条件に沿ってデジタルアンギオ画像(DA画像)の収集を開始する。すなわち、操作部10からシステム制御部8へ撮影開始指示を与えると、CPU8aの指示によりX線/機構部制御インターフェイス8eを介してX線/機構部制御コントローラ7へ駆動信号を供給する。X線/機構部制御インターフェイス8eを介して駆動信号を受けたX線/機構部制御コントローラ7は、高電圧発生部5を制御し、その制御に従いX線発生部1からX線を被検者Pへ向けて照射する。
【0019】
図3は、X線発生部1からのX線の照射タイミングと、これによってX線検出部2で取得される画像の取得タイミングを説明したものである。
【0020】
すなわち、X線/機構部制御インターフェイス8eを介して駆動信号を受けたX線/機構部制御コントローラ7は、高電圧発生部5を制御し、その制御に従いX線発生部1から図3(a)に示すようなパルス状のX線X1、X2、X3、X4・・・を、被検者Pへ向けて順次照射する。同時にX線/機構部制御コントローラ7は、可動部駆動機構6も制御し、被検者の血管へ注入した造影剤の流れに応じて、天板4を所定の速度で被検者の体軸方向へ移動させる。なお、保持装置3が天井走行型のものの場合には、天板4を停止させたまま保持装置3を被検者の体軸方向へ移動させても同様である。よって、X線が照射される毎にX線検出器2から図3(b)に示すような少しずつ撮影位置のずれた画像が得られる。
【0021】
ここで画像IM1は、X線パルスX1によって得られた画像を示し、この時点ではまだ造影剤がこの撮影部位に到達していないため、画像IM1は全体が血管の造影されていないマスク像に相当する画像となる。次の画像IM2は、X線パルスX2によって得られた画像を示し、この時点では造影剤がこの撮影部位にある程度到達することとなり、画像IM2の上側約半分のところまで造影剤が到達した様子を示している。よって、画像IM2の上側約半分は血管像が存在する(網目を付して示す)ライブ像に相当する画像であり、画像IM2の下側約半分は血管の造影されていないマスク像に相当する画像となる。同様に、画像IM3はX線パルスX3によって得られた画像を示しており、この時点では画像の上側約半分のところまで造影剤が到達して、画像IM3の上側約半分も血管像が存在する(網目を付して示す)ライブ像に相当する画像であり、画像IM3の下側約半分は血管の造影されていないマスク像に相当する画像となる。画像IM4以降についても同様である。
【0022】
なお、X線検出器2から得られる信号はデジタル信号であり、この信号は検出器インターフェイス8gを介して順次システム制御部8に取り込まれ、デジタルアンギオ画像(DA画像)としてRAID8dに格納される。
【0023】
次にステップ3(S3)として、収集したDA画像からDSA画像を作成するために、RAID8dに格納されているDA画像は、CPU8aによって読み出されてメモリ8cに展開され、CPU8aはDA画像を血管像が存在するライブ像に相当する画像と、血管の造影されていないマスク像に相当する画像とに分割する。
【0024】
図4は、DSA画像を作成する過程の一例を、図3に対応付けて概念的に説明するために示したものである。ここでは、1回の撮影で得たDA画像からDSA画像を作成するために、1フレームのDA画像を上下に2分して2つの分割画像にするとともに、分割画像の大きさに等しい移動量で天板4または保持装置3を被検者の体軸方向へ移動させ、さらに、被検者の血管へ注入した造影剤の流れに伴い、血管造影像の先端部分が画像の中央に達するタイミングで画像を撮影するものとする。
【0025】
すなわち、図4に示されている画像IM1は、図3で説明したX線パルスX1によって得られた画像であるとする。この画像IM1は、全体が血管の造影されていないマスク像に相当する画像であるが、この画像IM1を上下方向に2分割する。よって、両者とも血管の造影像を含まない画像であるが、上半分をマスク像MT0とし、同じく下半分をマスク像MT1とする。X線パルスX2によって得られた画像IM2を2分割すると、上半分は血管の造影像を含む画像となり、これをライブ像LT2とする。同じく画像IM2の下半分は血管の造影像を含まない画像となり、これをマスク像MT2とする。同様にして、X線パルスX3によって得られた画像IM3を2分割すると、上半分はライブ像LT3であり下半分はマスク像MT3となる。従って、これらステップ3で分割した画像を、ステップ4(S4)として、マスク像とライブ像とに分類する。
【0026】
続いて、ステップ4でマスク像とライブ像とに分類した画像を、ステップ5(S5)において減算処理することによってDSA画像を得る。すなわち、マスク像MT1とライブ像LT2とは同じ位置の画像であるから、これを減算処理するとその位置のDSA画像が得られるので、これをDSA1とする。同様にして、マスク像MT2とライブ像LT3とは同じ位置の画像であるから、これを減算処理するとその位置のDSA画像が得られるので、これをDSA2とする。
【0027】
そして、このDSA画像DSA1とDSA画像DSA2を結合すれば、1フレームのDSA画像となり、これをメモリ8cに保存する。このことを順次繰り返すことによって、例えば下肢全体のDSA画像を得ることができる。
【0028】
ところで、ステップ5(S5)で得たDSA画像には、画像内に骨のエッジが残ることがあり、骨のエッジに血管部分が重なると血管部分の観察が難しくなるという問題がある。以下、この問題を解決するための手法について説明する。
【0029】
先ず、ステップ6(S6)として、メモリ8cに保存されているDSA画像内の観察すべき主要血管の周りに、CPU8aが所定の関心領域(以下、ROIと称する。)を配置する。図5は、血管の他に骨のエッジが残存している、あるフレームのDSA画像にROIを配置した様子を示したものである。このROIの形状は、円、四角など適宜のものでよい。
【0030】
次にステップ7(S7)として、CPU8aは、DSA画像に配置したROI内の血管と骨とを、コントラスト値や形状などの特徴量から抽出し、抽出した血管の走行状態を収集したフレーム毎に追っていく。そして、血管の走行状態を追跡しながらステップ8(S8)として、主要血管に骨が重なりそうか否かを判定する。ここで、血管に骨が重なるおそれがない状況(NO)であれば、後述するステップ13(S13)へ進み、血管に骨が重なりそうな状況(YES)であれば、ステップ9(S9)へ進む。
【0031】
すなわち、主要な血管が骨と重なりそうになった時点でステップ9(S9)として、血管の骨に対する進入角度を計算する。この計算は勿論CPU8aが実行する。さらに、CPU8aは、算出した進入角度からステップ10(S10)として、血管が骨から離れることになる観察角度を逆算する。
【0032】
このCPU8aによって逆算された観察角度に関する情報は、システム制御部8からX線/機構部制御コントローラ7へ送られ、ステップ11(S11)として、X線/機構部制御コントローラ7は受けた観察角度に関する情報に従い可動部駆動機構6を制御して、保持装置3の角度を変更する。
【0033】
図6は、保持装置3の角度を変更することによって、血管と骨との重なりを回避して血管を明瞭に観察できるようになることを説明するために示したものである。
【0034】
すなわち、保持装置3を、X線発生部1がXAの位置となる状態にして撮影が行なわれているものとする。このときX線検出部2には注目したい血管が骨に重なって写し込まれることになる。そこで、前述の手法によって逆算された観察角度となるように、X線発生部1をXBの位置となるように保持装置3の角度を変更する。このようにすれば、X線検出部2には血管は骨から外れた状態で写し込まれるので、血管の観察を確実にするDSA画像を得ることができる。なお、骨に重ならないように設定する血管は、必ずしも1本に絞る必要はなく、例えば2本か3本であっても良い。
【0035】
ステップ11(S11)として保持装置3の角度を変更した後も、引き続き画像の収集が続けられるので、ステップ12(S12)として、その後取得されるDSA画像について、血管と骨との重なりが回避されたか否かを判定する。ここで、血管と骨との重なりが未だ回避されていない状況(NO)であれば、ステップ9(S9)へ戻って血管の骨に対する進入角度の計算をやり直し、その結果に基づいて、血管が骨から離れる観察角度を逆算(S10)し、保持装置3の角度を変更する(S11)動作を繰り返す。
【0036】
その結果、血管と骨との重なりが回避された状況(YES)になれば、ステップ13(S13)へ進み、所望とする全範囲のDSA画像を収集したか否かを判定し、収集途中(NO)であればステップ2(S2)へ戻って動作を継続し、収集が完了していれば(YES)終了となる。なお、ステップ8(S8)において主要血管に骨が重なりそうか否かを判定した結果、血管に骨が重なるおそれがない状況(NO)と判断した場合には、ステップ13(S13)において所望とする全範囲のDSA画像を収集したか否かを判定することになる。
【0037】
このような動作を繰り返すことによって、下肢全体のDSA画像がシステム制御部8のRAID8dに格納される。そして、RAID8dに格納されたDSA画像はメモリ8cに展開された後、ビデオメモリ8fを介してモニタ9に表示される。
【0038】
なおこれまでは、主要な血管が骨と重なりそうになった時点で血管の骨に対する進入角度を計算(S9)し、算出した進入角度から血管が骨から離れることになる観察角度を逆算する(S10)する。そして、逆算された観察角度に関する情報に基づき、X線/機構部制御コントローラ7は可動部駆動機構6によって保持装置3の角度を変更する(S11)ものと説明した。しかし、ステップ10(S10)において逆算された観察角度が小さい場合には、天板4の位置を変更しても被検体Pと保持装置3の相対的な角度はわずかながら変化するので、ステップ11(S11)として、X線/機構部制御コントローラ7は観察角度に関する情報に従い可動部駆動機構6によって天板4の位置を変更するようにしても、血管と骨との重なりを回避して血管を明瞭に観察できるようになる。
【0039】
以上詳述したように本実施形態によれば、血管と骨のエッジとの重なりの少ないDSA画像をリアルタイムに収集することができ、診断精度の向上に寄与することができる。
【実施例2】
【0040】
次に、実施例2について説明する。
【0041】
実施例2では、予め被検者に対して治療計画を実施して、観察したい血管を決めておき、その血管の情報を、実施例1として説明した図2のステップ2と同様に、操作者が操作部10から入力して、システム制御部8のメモリ8cに保存しておく。その上で下肢のDA画像の収集を開始する。その後の動作の流れは図2に示したフローチャートに沿ったものとなる。すなわち、収集中のDA画像は、実施例1の場合と同様にしてRAID8dに格納される。このDA画像は、CPU8aによってRAID8dから読み出されてメモリ8cに展開され、メモリ8c上のDA画像に対してCPU8aがDSA画像を作成し、そのDSA画像をメモリ8cに保存する。
【0042】
次に、メモリ8cに保存されているDSA画像内に、CPU8aが所定の関心領域ROIを配置する。このROIの形状は、円、四角など適宜のものでよい。そこでCPU8aは、DSA画像に配置したROI内の血管と骨とを、コントラスト値や形状などの特徴量から抽出し、予め実施した治療計画に基づきメモリ8cに登録した血管情報に従って、抽出した血管のうち観察したい血管の走行状態を収集したフレーム毎に追っていく。そして、その血管と骨のエッジとが重なりそうになった時点で、血管の骨に対する進入角度をCPU8aが計算する。さらに、CPU8aは算出した進入角度から、その血管が骨から離れる観察角度を逆算する。
【0043】
このCPU8aによって逆算された観察角度に関する情報は、X線/機構部制御インターフェイス8eからX線/機構部制御コントローラ7へ送られ、X線/機構部制御コントローラ7は受けた観察角度に関する情報に従い可動部駆動機構6を制御して、保持装置3の角度または天板4の位置を変更する。このような動作を繰り返すことによって、下肢全体のDSA画像がシステム制御部8のRAID8dに格納される。そして、RAID8dに格納されたDSA画像はメモリ8cに展開された後、ビデオメモリ8fを介してモニタ9に表示される。
【0044】
このように、実施例2によっても実施例1と同様に、血管と骨のエッジとの重なりの少ないDSA画像をリアルタイムに収集することができ、診断精度の向上に寄与することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 X線発生部
2 X線検出部
3 保持装置
4 天板
5 高電圧発生部
6 可動部駆動機構
7 X線/機構部制御コントローラ
8 システム制御部
9 モニタ
10 操作部
P 被検者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者を載置する天板と、前記被検者を間にして対向するようにX線発生部とX線検出部とから成る撮影系を保持する保持手段と、前記被検者の血管に注入した造影剤の流れに応じて、前記被検者の体軸方向へ前記天板または保持手段を相対的に移動させながら複数の画像を撮影する撮影手段と、この撮影手段による1回の撮影によって得られる複数の画像を基にしてサブトラクション画像を得る画像処理手段と、を備えるX線画像撮影装置において、
前記撮影手段による画像収集中に、前記画像処理手段でサブトラクション画像を得るとともに、
得られたサブトラクション画像から、血管と骨のエッジとが重なりそうになった時点での血管の骨に対する進入角度を演算し、
この演算された血管の骨に対する進入角度から、血管が骨から離れる観察角度を逆算し、
この逆算した角度に前記保持手段を駆動する制御手段を
具備することを特徴とするX線画像撮影装置。
【請求項2】
前記制御手段で骨に対する進入角度を演算する対象となる血管は、事前の治療計画によって予め決められていることを特徴とする請求項1に記載のX線画像撮影装置。
【請求項3】
前記画像処理手段で得られる前記サブトラクション画像に関心領域を設定し、この設定した関心領域について前記血管の骨に対する進入角度を演算することを特徴とする請求項1に記載のX線画像撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−40204(P2012−40204A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184444(P2010−184444)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】