pH感受性ポリマーを含む風味マスクされる医薬組成物
本発明は、製剤及び再構成間の当該薬物の結晶化を阻害し、様々な多型相を示す薬物、及びpH感受性ポリマーを含む、実質的に非晶質な医薬組成物を開示する。高分子量ポリマーは、低い負荷で、特に当該薬物ポリマー・マトリックスが溶媒蒸発法又は溶媒抽出法により製造されるとき、さらに効果的である。ドライシロップとして使用される当該組成物は、当該組成物が再構成されるとき、当該薬物の生物学的利用能を維持し、そして当該薬物の風味を効果的にマスクする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、苦味のある薬物及びpH感受性ポリマーを含む風味マスクされる組成物であって、当該薬物を実質的に非晶質に維持し、当該薬物の生物学的利用能を促進する当該組成物、及びさらにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
【0003】
様々なデリバリーシステムが、投与の異なる経路、例えば、経口、非経口、鼻及び経皮などについて開発されているけれども、当該経口経路は興味を惹きつけたままである、というのは、この投与形態は容易で便利で非侵襲性で、そしてよく知られたドラッグデリバリー方法だからである。処方薬の大部分は、経口適用としてデザインされる、というのは、それらの処方薬は、入院せずに患者により自己投与され得るからである。経口剤形は、当該薬物の性質、使用の種類、及び当該デリバリーシステムにおける所望のようないずれかの特別な効果の必要性に従ってデザインされる。共通の経口剤形は、溶液のような液状混合物、懸濁、タブレット及びカプセルのような固形剤形、及び液体入りカプセルを含む。当該固形剤形は、所望の治療効果、例えば制御、持続又は遅延放出に依存してさらに改良される。しかしながら、両極端の年齢の患者、例えば子供及び高齢者は、しばしば固形経口剤形を嚥下する際に困難を経験する。これらの患者に対して、当該薬物は、大部分、液状剤形であって、例えば、溶液、乳化及び懸濁で提供される。これらの剤形は、通常、味蕾に対する当該活性成分のかなりの暴露を導き、そのことは、当該薬物が極端に嫌な又は苦味のある味である際に、非常に深刻な問題である。
【0004】
経口投与される当該薬物の苦味は、いくつかの状況において不都合である。風味は、承諾を支配する重要な要素である。薬剤の不快な風味は、嚥下における困難の原因となり又は患者がそれらの薬物療法を避ける原因となり、それ故、患者の低い遵守という結果となる。甘味料、アミノ酸、香料添加剤の使用の如き、慣習的な風味マスキング技術は、非常に苦い薬剤の風味マスキングにおいて、しばしば不十分であり、ここで当該非常に苦い薬剤とは、例えば、キニーネ、バルベリン(barberin)、セレコキシブ、エトリコキシブ、レボフロキサシンのような抗生物質、オフロキサシン、スパルフロキサシン、ガチフロキサシン、シプロフロキサシン、セフロキシム・アキセチル、エリスロマイシン、及びクラロスロマイシンのようなものである。このように、風味マスキング技術は、重要とみなされ、そして多くの研究者により開発されてきた。
【0005】
当該風味マスキングは、当該薬物が極端に不快及び苦いときに、主に問題となる。さらに、この問題は、溶液、ドライシロップ、及び懸濁のような液状経口組成物を制限するだけでなく、チュアブル錠又は分散錠の剤形間に困難に直面させる、ここで、これらの剤形は、通常、味蕾に対して活性成分のかなりの暴露を導く。
【0006】
経口ドラッグデリバリーに関連する主な科学的困難は、風味マスキングは別として、当該活性成分が製造過程間に被る様々な変化に関し、及びこれらの活性成分が、摂取されたときに直面する物理化学的環境、例えば、胃の低いpHから小腸の高いpHに渡る当該環境、及び当該活性成分の安定性、溶解性及び生物学的利用能に関するこれらの媒体の効果にも因る。多くの薬物について、効果的な吸収領域を提供する胃腸管の領域は、かなり限られる。例えば、当該摂取は、小腸の特定領域に限定され得るか又は上部胃腔にだけ限定され得る。製剤の間に又は胃液の接触の際に、それらの多形を変化する傾向を有し、結果としてそれらの生物学的利用能に影響を与える薬物がある。当該デリバリーシステムの性能に影響を及ぼす薬物の生理化学的特質は、溶解度、溶出速度、粒径、親油性、安定性、及び多形性及び非晶質性である。
【0007】
ある薬物は、それらの物理化学的特性に因る製剤の間の課題を提起する。セフロキシム・アキセチルは、水性媒体と接触してゲル化する傾向を示し、当該剤形が分解して素早く粒子となり及び生体内でゲル化が発生する前のより早い段階で当該薬物を放出することを必要とする。当該セフロキシム・アキセチルの非晶形は、結晶性形状より優れた生物学的利用能を示す。当該薬物は、当該組成物から素早く溶解させる必要がある溶媒と再度長時間接触するときに、結晶化する傾向も示す。セフロキシム・アキセチルに関する他の問題は当該薬物の極度の苦味に関し、味のよいものとするためのコーティングされたデリバリーシステムにおいてセフロキシム・アキセチルを配合することを必要とする。
【0008】
セレコキシブは、極度に低い水溶解度を有し、及び容易に溶解されず、及び胃腸管内の素早い吸収のために分散されない。さらに、セレコキシブ結晶には、低いかさ密度、弱い流動特性、静電的特性、及び凝集性のような問題があり、配合しにくくしている。セレコキシブの非晶形は、素早い溶解及び高い生物学的利用能も示すが、しかし、水性媒体と接触して結晶化する傾向にある。COX2阻害剤ファミリー由来の他の分子であるエトリコキシブは、極端な苦味にも関連する。第2世代セファロスポリン抗生物質であるセフロキシム・アキセチル、及びCOX2阻害剤のクラス由来のセレコキシブの双方は、非常に高容量を必要とし、治療有効量の投与の際に困難さをさらに増大する。配合問題を提起し、及び低い生物学的利用能を克服するために素早い放出製剤として投与される必要のある、そのような活性分子は、当該生物学的利用能を損なうことなしに当該活性成分を急速に放出し、結晶化を阻害し、及び当該活性成分の苦味をもマスクする保護ポリマー・コーティングを必要とする。
【0009】
風味マスキングの様々な方法は、より早くから試みられ、イオン交換樹脂の使用、医薬として許容される賦形剤との複合体、及び脂質及び様々なポリマー材料による薬物のコーティングを含む。これらの内、コーティングは、風味マスキングのために、最も広く使用される技術である。活性成分のコーティングは、本分野において知られるいずれかの技術により実施され得、例えば、マイクロカプセル化、ホットメルト造粒、ウルスター(Wurster)コーティング、スプレー乾燥である。
【0010】
風味マスキングとしてのアプローチの1つは、イオン交換樹脂の使用である。様々な、Duolite AP143/1083(登録商標)(コレスチラミン樹脂 USP)のような陰イオン性樹脂、Amberlite IRP 64(登録商標)(ジビニル・ベンゼンと架橋されるメタクリン酸のコポリマー)のような陽イオン性樹脂、及びDowex(ジビニル・ベンゼンと架橋されるポリスチレンスルホン酸をベースとする)が、使用される。Schering Ploughに付与される米国特許第6514492号は、キノロン誘導体の風味マスキングのためのイオン交換樹脂、AMBERLITE.RTM.IRP 69(登録商標)の使用であって、結果として、経口液状製剤におけるキノロンの極度の苦味の除去を開示する。
【0011】
国際特許公開第WO01/70194号は、速溶性の経口消費フィルムであって、当該消費者の口内で、付着し、及び溶解するように適応させるものを開示する。当該フィルムは、苦い薬物であるデキストロメトルファンの風味マスキング剤としてのイオン交換樹脂・アンバーライト、及び水溶性ポリマー・プルランからなる。当該フィルムは、口腔へ付着し、そして溶解し当該活性成分をデリバリーする。製剤中の当該水溶性ポリマーの使用は、もし当該風味マスキングが液状経口製剤のために所望されるならば、そのようなデリバリーシステムの使用を制限するだろう。さらに、そのようなデリバリーシステムは、患者の承諾が重要となる子供及び高齢者の製剤の場合、おそらく受け入れられないだろう。
【0012】
米国特許第6,001,392号は、デキストロメトルファンを含む経口投与のための制御放出シロップ懸濁液であって、ポリスチレン・スルホネート・イオン交換樹脂で吸収されるものを開示する。当該薬物ポリマー複合体は、可塑剤を有するエチル・セルロース又はエチル・セルロース・ラテックス、及びSURELEASE(登録商標)の如き水分散性ポリマーとの混合物によりコーティングされる。即効作用のために即時放出が必要とされる薬物として、当該活性成分の制御放出は好まれず、そして放出の際の遅れは、限られた吸収領域を有する薬物にとっての関心事でもあるだろう。
【0013】
風味マスキングのためのアミノ基を含む薬物を吸収するためのイオン交換樹脂の使用は、非常に苦い薬物の風味をマスキングする際における限定された適用性を見出し、及びここで、当該薬物は、長い継続時間で液状経口組成物中に分散されるものである。
【0014】
複合体は、苦味のある薬物の風味マスキングのさらに別の方法である。米国特許第4,808,411号は、風味マスキングされる組成物であって、エリスロマイシン25〜95%、及びカルボマー75〜5%を含む当該組成物を開示し、ここで、当該薬物及びカルボマーは、エリスロマイシンとカルボマーとの間のイオン相互作用によりつなぎ合わされる。当該複合体は、製剤を味のよいものとするために、さらに機能性ポリマーであるヒドロキシ・プロピル・メチルセルロース・フタレートでコーティングされる。エリスロマイシンは、口内の苦味についての重要な知覚を避けるため、当該複合体からゆっくりと放出される。苦味のある薬剤の早くない放出であって、持続放出は、本発明において開示されるように達成されることが明らかである。しかし、複合のみでは、風味マスキングに十分ではなく、及び機能的ポリマーとのコーティングが、所望の味の良さを得るために必要とされ、及び薬物放出は妥協すべきでないが故に複合体剤の適切な選択が重要である。
【0015】
薬物のコーティングは、別の方法であるが、しかし、中程度の苦味の薬物に対してのみ又はコートされた粒子が、投与前に液状製剤として配合される際又は非水容媒中に配合される際の製品中でのみ効果的であることだけはわかるかもしれない。
【0016】
国際特許公開第WO02/092106号は、ポリカルボフィル及びマクロライド系抗生物質であるクラリスロマイシンを含む風味マスキングされる組成物を開示する。当該複合体は、さらに耐酸性ポリマー、Eudragit L100 55(登録商標)でコーティングされ、腸内に当該薬物を放出する。ある薬物について、当該生物学的利用能は、当該薬物が小腸内に放出される場合、腸溶コーティングの使用により変化されないであろうが、しかし、上方胃部領域に限定される狭い吸収領域を有する薬物の腸溶コーティングの使用は、当該生物学的利用能を変化させ得る。欧州特許出願公開第EP0409254号は、エチル・セルロースを使用してマスクされる嫌な味を有する経口粒子製剤、及び活性成分が上記製剤から素早く放出される場合の水性膨潤剤を開示する。
【0017】
米国特許第5,635,200号は、脂質コーティングにより苦味のある薬物であるラニチジンの風味マスクされる製剤、及び非水溶媒中のこれらのコートされる粒子の分散を開示する。米国特許第4,865,851号は、脂質の不可欠なコーティング又は当該風味をマスクするのに役立つ脂質の混合物でコートされる微粒子形状のセフロキシムの非常に苦いl−アセトキシ・エチル・エステルを風味マスキングするための他の方法を開示する。脂質を使用する風味マスキング・コーティングは、当該脂質の融点が、口内での融解を防ぐために十分に高くあるべきであること、及び活性成分自体が融解するほど又は化学的に分解するほど高くあるべきではないことを必要とする。最大の生物学的利用能を有する実質的に非晶形のセフロキシム・アキセチルは、約70℃の低い融点を有し、及び当該脂質及び薬物の融点の相違は、ほんの僅かである。当該混合物が微粒化される温度も、当該脂質の融点より高い。脂質ベースのマイクロカプセル化は、当該薬物に悪影響を与えることなしに、微粒子を製造するための非常に高度なホットメルト造粒法を必要とする。
【0018】
英国特許第2081092号もまた、風味マスキングのための脂質コーティングを開示する。しかしながら、ワックス・コーティングは、消化管内で当該活性成分の少ない溶解という結果となることが明らかとなった。さらに、当該特許は、当該ワックスを水膨潤性ポリマーと混合することによるこの問題を克服するための技術を、開示する。さらに、当該特許に言及される水膨潤性ポリマーの使用は、それを懸濁及びドライシロップのような液状経口薬にほとんど適さなくさせる。
【0019】
米国特許第5,286,489号は、多孔質の薬物ポリマー・マトリクスであって、苦味のある活性成分及びメチル・メタクリレート・エステル・コポリマーを、当該薬物の風味をマスキングするのに効果的な、活性成分:コポリマーの重量比が少なくとも1:1の比で混合することにより形成される当該マトリクスを開示する。当該特許に開示される実施例の内、当該マトリクスから当該薬物を放出することに関するこれらのポリマーの効果を開示するものはない。しかし、本分野における教示から、当該薬物放出は、当該明細書中に記載の当該マトリクスから遅らせられることを予期され得る。
【0020】
国際特許公開第WO00/56266号は、苦味のある薬物の風味マスキングのための、フィルム形成ポリメタクリレート及びチャンネル化剤と、高密度膨潤性ポリマー・カルボマーとの併用を開示する。当該水膨潤性ポリマーの添加は、胃の中膜内における当該活性成分の素早い放出に役立つ。
【0021】
国際特許公開第WO00/76479号は、メタクリル酸コポリマー及びフタレート・ポリマーを含む2つの腸溶性ポリマーの混合物を使用する、風味マスキング組成物を開示する。当該特許は、活性成分の放出を補助するための水溶性材料又は水膨潤性材料を含むチャンネル化剤の使用を開示する。当該特許中に開示されるような腸溶性ポリマーは、当該ポリマーが溶解するアルカリ性pHで、活性成分を放出するものとして知られる。当該活性成分の放出は、腸溶性ポリマーの使用により及び上部消化管に限られる狭い吸収領域を有する薬剤の場合に、遅らせられるであろう。それ故、かかるシステムは、限られた使用となるであろう。
【0022】
風味マスキングのために、非常に苦い薬物セフロキシム・アキセチルをマイクロカプセルに入れることは、M.Cuna et al(M.Cuna,M.L.Lorenzo,J.L.Vila−Jato,D.Toress,M.J.Alonso,Acta Technologiae et Legis Medicamenti.volume VII,N.3,1996)により開示され、風味をマスクする最終目標と共に、異なるポリマー材料、例えば、セルロース・アセテート・トリメリテート(trimellitate)、HPMCP−50、HPMCP−55を使用し、及び腸内空洞中へのその放出を保証する。Alonso et al(M.J.Alonso,M.L.Lorenzo−Lamosa,M.Cuna,J.L.Vila−Jato 及び D.Torres,Journal of Microencapsulation,1997,Volume 14,NO.5,607−616)は、pH感受性アクリル・マイクロスフィア内に、懸濁剤形を調剤するため、非常に苦い薬物であるセフロキシム・アキセチルをカプセルに入れることを記載する。使用されるアクリルポリマーは、eudragit E(登録商標)、eudragit RL 100(登録商標)、eudragit L100−55(登録商標)であった。当該カチオン性ポリマー eudragit E(登録商標)は、セフロキシム・アキセチルとのネガティブ相互作用を示す。当該腸溶性ポリマー eudragitL100−55(登録商標)は、アルカリ性のpH中の有益な放出を示す。
【0023】
上記開示において、セフロキシム・アキセチルの放出は、アルカリ媒体において研究されていた。これに反して、Danzig et al(Anne H. Dantzig, Dale C.Duckworth,Linda B.Tabas,Biochimica et Biophysica Acta 1191,1994,7−13)は、セフロキシム・アキセチルが、エステラーゼにより腸管腔内において加水分解され、セフロキシムとなり、当該腸管腔内のセフロキシム・アキセチルを低減し、そして結果として低減吸収をもたらし、ヒトにおけるセフロキシム・アキセチルの低い生物学的利用能をもたらすことを示した。セフロキシム・アキセチルは、既に、32〜50%の低い生物学的利用能であって、それ故、当該剤形態様に起因する生物学的利用能のさらなる低減は、最小化されるべきである。
【0024】
当該風味マスキング製剤は、当該薬物の生物学的利用能が妥協されないようにデザインされるべきであり、そして腸溶コーティングのようなポリマーの使用は、ピークの時間に影響を与えるべきでない。さらに当該薬物は、血漿内の有効治療濃度を確実とするために十分に吸収されるべきである。Vogleman et al(B.Vogleman,William A.Craig 108(5,pt2)835−40,Journal Pediatric 1986 & B.Vogleman,William A.Craig,S.Ebert,S.Gudmundsson,J.Leggett,J.Infect.Diseases 1988,158(4),831−47)は、殺菌が、素早く、徹底的に実施され、そして濃度に比例して増大することを確立する。当該薬物の高濃度下、当該殺菌は完全であり、ほとんど瞬間的なものである。薬物の素早く及び完全な吸収そして高い全身性濃度は、所望の治療効果を誘発するのに重要である。
【0025】
極端に嫌な味の活性成分は、風味マスキングの所望のレベルを得るためのポリマーの高濃度を必要とし得る。しかしながら、これは、当該製剤からの当該活性成分の放出を遅らせ得る。ポリメタクリレートのようなポリマーに対して、推薦される安全な投与量は、体重の2mg/kgであり(Rohm Pharma GmbH.Technical Literature,Eudragit 1990及びHand book of Pharmaceutical Excipients published by American Pharmaceutical Association & The Pharmaceutical Society of Great Britain)、ヒトに投与される現実の配合における当該ポリマーの高濃度の使用を制限することによりそこに至る。
【0026】
米国特許第5,599,556号は、当該活性成分が、プロラミン穀物蛋白質及び可塑剤由来の単一の外側ポリマー・コーティングでコートされる場合の液剤を開示する。ポリビニル・ピロリジンと混合される当該苦味のある薬物であるクラリスロマイシンは、風味マスキングを達成するためにプロラミンによりコートされ、そしてコートされた粒子状物質は、pH6超の懸濁溶媒内に分散させられる。当該コーティングは、いったん、当該組成物が口を離れ、そして胃に到達したならば、素早く分解するようにデザインされる。医薬の液状経口組成物の大部分は、pH3.5〜5.5で配合される(US Pharmacopoeia/National Formulary 23/NF 18,1995)。高いpHでは安定しないであろう薬物もあり、極端に酸性のpHで安定しないであろう薬物もあり、長期暴露に渡って分解する傾向にあるだろう。
【0027】
米国特許第5,489,436号は、当該コーティングが胃の低いpHで可溶性となるが、しかし口の高いpHで比較的不水溶性となるようにデザインされる際の、コートされた薬剤からなるチュアブル錠を開示する。当該コーティングは、ジメチルアミノエチル・メタクリレート、及び中性メタクリル酸エステルのポリマーブレンド、及びセルロース・エステルを含む。上記記載の風味マスキング経口製剤の“逆腸溶性”コーティング方法は、チュアブル錠と共に開示される。
【0028】
国際特許公開第WO02/096392号は、高い水溶性の薬物であるセトリジン・ハイドロクロライドの風味マスキングを開示する。ヒドロキシ・プロピル・メチル・セルロース、ポリビニル・ピロリジン、エチル・セルロースのようなポリマーは、タブレット形状におけるセトリジンの風味を効果的にマスクし、及び胃の中の一般的な酸性状態下において、当該薬物をすぐに放出するように使用される。
【0029】
上記開示から明らかなことに、風味マスキングは、様々な方法により達成される。Eudragit Lのような腸溶性ポリマーは、風味マスキングとして使用されるが、しかし唾液のpHは、5.8付近であり、そしてこれらのポリマーは、pH5.5超で可溶化する。それ故、薬物の一部浸出の可能性がある。その結果、風味マスキング・ポリマーの開発の必要性があり、というのは、当該苦味が、口内の唾液のpH及び当該液状経口薬の場合のような再構成溶媒中のpHで、当該ポリマーにより完全にマスクされるようにするためであり、及びさらに生物学的活性型における薬物を保護できるようにするため、及び溶媒和形状又は他の多形に変形することから妨害する当該剤形において湿気からも保護できるようにするためである。
【0030】
薬物の治療有効性は、所望の薬理反応を誘発するのに十分な割合及び量で、その作用部位に薬剤をデリバリーするための当該剤形の能力に依存する。この特質は、生物学的利用能として言及される。多くの薬物の物理化学的性質は、消化管からの吸収特質に関する大きな影響を有する。他のメカニズムによる薬物の吸収のための重要な必要条件は、水溶液中に存在しなければならないことである。薬物の弱い生物学的利用能は、その弱い水溶解度、及び体液中のゆっくりとした溶出速度、及び生理液中の溶解薬物の弱い安定性の結果である。
【0031】
しばしば、化学物質は、異なる規則状態で存在する。これは、多形として言及される。当該薬物が存在する多形は、さらに製法技術により影響され得る。様々な結晶型は、見せかけの多形も含む。ある種の医薬品に観察される多形及び見せかけの多形に因る相違は決定的であり、その理由は、これらの医薬品の異なる結晶性形状の物理的及び化学的特性が変化するからである、ということがよく知られている。医薬物及び賦形剤は、複数の結晶型に結晶化される(多形体、結晶性改良)。物質の多形体は同様の化学式を共有するけれども、結晶構造における相違が、物質の生理化学的パラメータ、例えば、溶解度、溶出速度、密度に影響し得(Haleblain,J.K.及びMc Crone,W,Journal of Phrmaceutical Sciences,58(8)Aug,911−929,(1969))、同様に、重要な医薬特性、例えば、生物学的利用能、薬物の安定性、並びに剤形の製剤技術に影響を与え得る(Byrn,S.,Pfeiffer,R.,Ganey,M.,Hoiberg,C.,Poochikian,G.,Pharmaceutical Research,12(7),945−954,(1995))。当該物理的により安定する多形は、最も低いエネルギー態様、最も高い融点、及び最も少ない水溶解度である。他の型は、準安定型であり、より高いエネルギー、より低い融点、及びより高い溶解度を有する。当該準安定型は、より優れた溶解度を有し、及びそれ故より優れた生物学的利用能を有しているので、それらは製剤において好まれる。非晶形において存在する薬物は、より高いエネルギー及びより優れた水溶解度を有する。ノボビオシンの非晶形は、当該結晶性形状よりも10倍優れた溶解度を有する。それ故、薬物の固形の異なる形状の溶解の順序は、非晶質>準安定型>結晶質である。
【0032】
一般的に、水中に僅かに溶解し高い結晶化度を有する薬物は、低い生物学的利用能であり、というのは、それらは、消化管内において、低い溶解度及び低い分解度を有するからである。結晶化合物をその非晶質状態に変化することは、当該化合物の水溶解度を実質的に増大し、結果的に生物学的利用能を増大することになるだろうことが知られている。
【0033】
生体内の薬物放出過程が吸収過程より遅いとき、吸収は、溶出速度限定といわれる。全体的過程において、溶解は吸収に先立つが故に、薬物放出又は溶解過程における変化は、その後、薬物吸収に影響を与える。例えば、Lieberman et al.(1989)、Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Vol.1 34−36ページ Marcel Dekker,New Yorkを参照のこと。その結果、組成物の溶解時間は、速やかに開始されるデリバリーを対象とする組成物を評価する際に、特に薬物吸収が溶出速度限定である場合、考慮すべき重要な基本的特徴の内の1つであることが明らかである。
【0034】
結晶性固体であって、高度に組織化された、格子状の構造体に因るものは、典型的に、溶解のためのかなりの量のエネルギーを必要とする。結晶から抜け出るための薬物分子の必要とするエネルギーは、例えば、同様の薬物分子が非結晶質、非晶形から抜け出るためのエネルギーよりも非常に多い。非晶質を得るための方法として、固体分散体を粉々にし又は形成することが考慮される。それらの吸収性を改良するために、薬物結晶を細かく粉々にするための又はそれらを非晶質に変換するためのいくつかの方法が、試験されている。
【0035】
技術は、当該非晶質薬物の結晶化を克服するために発達している。製剤の改良のための単純な戦略は、薬物の溶解度を増大すること、及びそれ故、吸収される当該薬物の画分を増大することを好む。一般的に使用される当該技術は、コーティング及びカプセル化することを含む単純な遮断法であって、それらの内のいくつかは、分子を配合することが困難であるような、経口デリバリー用の消化管の吸収を増大するための化学的担体の使用を含む。
【0036】
米国特許第4,673,564号は、ポリマーであるヒドロキシプロピルメチル・セルロースの存在下、結晶質ニカルジピン又はその塩を摩擦粉砕することにより得られる非晶質のニカルジピンの持続放出医薬組成物製造方法を開示する。結晶質のニカルジピンの細かい粉末への粉砕は、ボールミル又は振動ボールミル中で、少なくとも10〜16時間、実施される。しかしながら、当該分散を形成する方法は、徹底的な及び時間のかかるボールミルによるものであり、そして、ある感受性活性成分についてのそのような方法の適用は限られるであろう。国際特許公開第WO02/087588号は、優れた安定性及び放出性を有する非晶質セフジトレン・ピボキシルの組成物を開示する。非晶質のセフジトレン・ピボキシルの組成物は、医薬として許容される有機ポリマーの存在下、結晶質のセフジトレン・ピボキシルを粉砕することにより得られる。
【0037】
しかしながら、微粉砕により、粒径はロット間で不均一となり又は粒子間力が促進され凝集を引き起こす。粉砕により非晶形となり得る薬物結晶は、限られる。
【0038】
周囲温度及び圧力で、通常結晶化し及び難水溶性の医薬活性成分の非晶質の薬物組成物の製造として報告される他の方法は、医薬として許容される媒体の融解溶液中の当該薬物の溶解又は分散、及び当該活性成分を実質的に非晶形に保持する安定剤の追加を含む。
【0039】
ある場合には、当該結晶性活性成分を溶解することが可能であり、有限時間で融解状態においてそれを維持し、そして次いで冷却し非晶質固形にすることができる。
【0040】
米国特許第6,171,599号は、エホニジピン・ヒドロクロライド、ヒドロキシ・プロピル・メチル・セルロース・アセテート・スクシネートを、85〜160℃に加熱するサイクルに処し、その後浸漬処理により水含有溶液とすることによる、非晶質のエホニジピン組成物の製造方法を開示する。米国特許出願公開第20020127号は、低水溶解度を有する結晶質の医薬組成物の水溶解度を改良するための方法及び製剤に関し、当該方法等は、当該組成物を、粒状医薬製剤中に安定するような非晶質状態に変換することによる。それは、イトラコナゾールの水溶解度及び生物学的利用能を改良する方法を開示し、当該方法は、イトラコナゾールを非晶質状態に変換し、この状態に安定化し、そして整粒し安定化した顆粒を形成することによる。当該方法は、当該活性成分を、疎水性媒体の融解溶液中に溶解することを含む。
【0041】
米国特許第6,497,905号に開示されるように、抗真菌薬であるイトラコナゾールの他の組成物において、結晶性イトラコナゾールは、グリセリル・モノステアレートの融解溶液に溶解すること、その後安定剤としてヒドロキシ・プロピル・メチル・セルロースを添加すること、そしてさらに崩壊剤の添加、そして5℃未満まで徐々に冷却し又は当該温度まで素早く冷却することによる顆粒の形成により、非晶形に変換させられる。
【0042】
欧州特許出願公開第EP0852140号は、難水溶性医薬物質を非晶質状態に変換する方法であって、軟水溶性医薬物質、非晶質状態誘導剤、及び非晶質状態安定化剤の化合物を混合するステップ、及び結果混合物を熱処理又は機械化学処理に供するステップを含む、当該方法を開示する。欧州特許出願公開第0462066号は、ゲムフィブロジルを融解し、及び次いで当該ポリマーと混合することによる、又は溶媒蒸発による、ポリビニル・ピロリドンからなる固体分散体中のゲムフィブロジルの新たな物理的形状に関する。
【0043】
上記全方法は、安定非晶質固体を形成でき及び加熱ステップにより分解されない、特定の活性成分に限られる。いくつかの実施例においては、当該活性物質が分解され、及び当該担体が劣化するだけでなく、活性成分は非晶質状態に十分に変換されない。さらに、僅かに水溶性の化合物の溶解度及び吸収度は、固体分散体を形成するためにポリマー中に分散することにより改良されることが知られている。
【0044】
米国特許第5,445,830号は、非晶質状態中のメチル・3−フェニル−2 (E)−プロペニル・1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−4−(3−ニトロフェニル)ピリジン−3,5−ジカルボキシレートを含む高吸収性医薬組成物、及びメタクリル酸のpH感受性コポリマー又はその誘導体を開示する。当該発明者等は、メタクリル酸のpH感受性コポリマー又はその誘導体を使用して、当該化合物が非晶質状態に維持された場合に限り、改良溶解度が達成されたことを開示する。さらに、当該発明者等は、セルロース型高分子化合物又はポリビニルピロリドン又はそのようなものの如きポリマーを使用する場合に、当該化合物の溶解度が改良されたことを開示する。当該特許は、上記問題を克服するための高容量の親水性ポリマー及びeudragitポリマーの混合を開示する。しかし、当該pH感受性ポリマーに加えて親水性ポリマーの使用は、その非晶形における活性の風味マスキングが、当該薬物粒子が水性媒体中に懸濁させられる場合に所望される際の適用において、そのようなデリバリーシステムをほとんど役立たなくさせる。
【0045】
米国特許出願公開第2002040051号は、高水溶性ポリマー中のイプリフラボンの固体分散体を開示する。当該結晶性イプリフラボンは、スプレー乾燥の間に非晶形に変換され、当該生物学的利用能が増大する。欧州特許出願公開第EP0838218号は、非晶形のポリビニル・ピロリドン(PVP)及びニフェジピンの共沈物を含む制御放出医薬組成物であって、ニフェジピン及びPVPを含む溶液をスプレー乾燥すること、及び8〜24時間にわたって当該共沈物から当該薬物を放出することにより得られる当該医薬組成物を開示する。これらの組成物は、持続放出についてより好適である。さらに、当該結晶性形状の変換並びに生物学的利用能に関する分子量の影響は、議論されていない。
【0046】
米国特許第6,503,927号は、安定性非晶質パロキセチン・ヒドロクロライド組成物であって、酸味料及びポリビニル・ピロリドンを含む水性媒体を使用すること、及び得られた固体分散体を乾燥することにより製造される当該組成物を開示する。また、他の米国特許第6,168,805号は、ポリビニル・ピロリドンを含む固体非晶質組成物の製造方法を開示する。パロキセチン遊離塩基と水とを混合する非晶質パロキセチン、及び約10,000〜450,000の平均分子量を有するポリビニル・ピロリドンを入手する方法、及び乾燥して非晶質パロキセチン及びポリマーを含む組成物を形成する方法を開示する。ポリビニル・ピロリドンはポリマーとして好まれ、というのは、固体タブレット形状から前記パロキセチンの放出を制御又は遅延しないからである。
【0047】
ポリビニル・ピロリドンを利用する前記組成物は、水性媒体と接触する場合の当該活性成分をデリバリーする際に有用であるが、しかし、そのようなシステムは、液状剤形中に配合され得ず、というのは、再構成媒体中で活性成分の放出の可能性があり、及び当該水性媒体と接触する場合に当該活性成分の再結晶化の可能性も有するからである。
【0048】
国際特許公開第WO00/71098号は、非晶質パロキセチンを含む医薬組成物の製造方法、及び共溶媒ポリエチレン・グリコール及び錯化剤クロスポビドンの使用により、それを非晶形に維持する方法を開示する。前記発明において、共溶媒の使用は、パロキセチンの非晶形を維持するための本質的要素であり、そしてそれの欠如は、錯化剤の存在下であっても当該活性成分の再結晶化を引き起こす。共溶媒としての、ポリエチレン・グリコールのような添加剤は、水性媒体中の薬物の浸出が所望されない場合の医薬剤製造において有用ではないであろう。
【0049】
米国特許第4,857,336号は、カルバマゼピンの浸透性のデリバリーシステムを開示し、ここで当該システムにおいて、セルロース・アセテートからなる外壁は、水に透過性を有するが、しかし、カルバマゼピン・ハイドレートの結晶成長を阻害する保護コロイドとしてのヒドロキシ・プロピル・メチル・セルロース、及びビニル・ピロリドンと膨潤性親水性ポリマーとして60,000〜15,000の分子量を有するビニルアセテートとのコポリマーとからなる当該中心の成分には透過性を有さない。
【0050】
米国特許第5,980,942号は、親水性ポリマーのヒドロキシ・プロピル・メチル・セルロース、疎水性ポリマーのエチル・セルロース、及び結晶質のカルバマゼピンからなるポリマー・マトリクスを含むドラッグ・デリバリーシステムであって、当該ポリマーが当該カルバマゼピンを非晶質無水型に変換する場合のポリマー・マトリクスを組み込まれる当該デリバリーシステムを開示する。さらに、当該ポリマー・マトリクスは、非晶質カルバマゼピンをゼロオーダー比でより容易に放出する結晶ジハイドレート型への、無水カルバマゼピンの転換を阻害する。当該特許中に言及されるようなポリマー・マトリクスは、改良デリバリーとして、より好適である。さらに、これらのポリマーは、pH依存性溶解特徴を示さず、それ故、即時放出にとって適していない。
【0051】
国際特許公開第WO03/024426号は、カルベジロールを含む制御放出組成物であって、固体分散体の製剤の間に、当該カルベジロールが結晶から非晶形に変換され、そして安定化される場合における当該制御放出組成物を明らかにする。約20,000の分子量を有する当該ポリマーであるポリエチレン・グリコール又はポリエチレン・オキシドは、この目的のための製剤中に使用され、そして製剤から薬物を制御放出する。当該安定剤は、当該組成物中で再結晶化を防止し、保存期間を増大する。
【0052】
米国特許第2002006951号は、難溶性薬物であるセレコキシブ、及びポリマーを有するその混合物を含む、経口デリバリー可能な医薬組成物を開示し、ここで当該ポリマーは、濁度低減特徴を有するポリマーであるポリビニル・ピロリジン、及びセルロース系ポリマーであるヒドロキシ・プロピル・メチルセルロースである。当該特許の開示に従って、当該ポリマーは、疑似胃流動体の中で、及び摂取に関して当該薬物の結晶化及び/又は沈殿を阻害する。本開示において使用されるポリマーは、150,000の分子量を有するHPMC、及び50,000の分子量を有するポビドンを包含する。本特許は、当該薬物が、限られた時間で水性媒体に暴露される胃腸管内の当該水性媒体に対する暴露に関する当該薬物の再結晶化の阻害を開示する。液状経口製剤においても、当該水性媒体は、長期の再構成期間にわたって当該薬物を取り囲む。
【0053】
欧州特許出願公開第1027886号は、難溶性薬物の固体分散体、及び分解防止ポリマーを含む組成物を開示する。当該特許は、相対湿度50%で測定される少なくとも100℃のガラス転移温度を有するポリマーが、非晶形の当該薬物の大部分を保持するのに貢献することを開示する。本明細書中に記載のような用語、当該薬物の“大部分”とは、一旦分散した当該薬物の少なくとも60%が、結晶性形状よりもむしろ非晶形となることを意味する。分散して存在する非晶質の薬物は、時間とともに再結晶化する傾向にあり、そして、もし結晶性形状になると当該薬物の生物学的利用能が悪影響を受けるとして、結晶性形状中の20〜30%の薬物でさえ、所望されないであろう。
【0054】
セフロキシム・アキセチルは、広範囲のグラム陽性及びグラム陰性微生物に対して、高い活性を有するセファロスポリン抗生物質である。経口投与に対する抗生物質は、消化管から血流への吸収が最大となるための高い生物学的利用能を提供する形状となるべきである。セフロキシム・アキセチルについて、当該先行技術は、高い生物学的利用能を提供する経口投与のための組成物を作成する場合の多くの困難を開示する。純粋なセフロキシム・アキセチルは、結晶質形状又は非晶形において製造され得る。3つの多形が存在し得、約180℃の高融点を有する結晶性形状、約135℃の高融点を有する実質的非晶形、及び約70℃の低融点を有する実質的非晶形である。水中で難溶性であり、及び水性媒体と接触してゲルを形成するセフロキシム・アキセチルの結晶性形状は、当該消化管内に容易には吸収されず、経口投与に関するその生物学的利用能を非常に低くさせる。
【0055】
国際特許公開第WO99/08683号は、セフロキシム・アキセチル及びポビドンのような水溶性賦形剤の共沈物の製造方法を開示する。当該製剤中に使用されるセフロキシム・アキセチルは、純粋な非晶形である。米国特許第6,107,290号は、共沈物に関して実施される熱分析を開示する。PCT出願第WO99/08683号は、湿潤条件下の吸収ピーク温度におけるシフトが、乾燥条件下の根源的状態に戻ること、及び共沈物に関して吸収される水が結合水と判断され、そしてその事は当該薬物の特性における物理化学的変化を引き起こすことを示す。さらに、水溶性賦形剤の使用にも係らず、当該共沈物からのセフロキシム・アキセチルの溶解は、十分に促進されず、従って、当該共沈物を含むセフロキシム・アキセチルの生物学的利用能は、比較的低い。
【0056】
米国特許第6,107,290号は、シリコン・ジオキシド、微結晶質セルロースのような不水溶性添加物、架橋ポビドン、架橋ソジウム・カルボキシメチルセルロース又はそれらの混合物を含む、スプレー乾燥により得られる非結晶質のセフロキシム・アキセチル固体分散体を開示する。この特許に開示される方法は、固形経口剤形について有用かもしれないが、しかし、苦味がマスクされないであろう液状経口製剤について適用され得ない。
【0057】
欧州特許出願公開第EP1077067号は、亜鉛塩により安定させられるセフロキシム・アキセチルの固形組成物、及びスプレー乾燥により純粋な非晶形で得られるセフロキシム・アキセチルを開示する。そのような剤形は、固形経口剤形として最も適している。
【0058】
米国特許第4,820,833号は、安定し及び高いレベルの生物学的利用能を提供する、実質的に非晶形のセフロキシム・アキセチルの製造方法を開示する。当該特許は、当該薬物の苦味を克服するための方法を開示しない。米国特許第5,847,118号は、結晶性セフロキシム・アキセチルを高い極性溶媒中に溶解し、そして次いで、大量の水にそれを添加することによる、非結晶質のセフロキシム・アキセチルの製造方法を開示する。当該特許は、その中に、非晶質のセフロキシム・アキセチルの製剤及び安定性を開示しない。
【0059】
米国特許第6,060599号は、ソジウム・ラウリル・スルフェート、コロイド状シリコン・ジオキシド、及びでんぷんのような医薬賦形剤の存在下においてセフロキシム・アキセチルを粉状にすることによる、非晶形のセフロキシム・アキセチル製造方法を開示する。また他の米国特許第6,346,530号において、純粋な非晶形と同様の生物学的利用能を示すタブレットを有する非晶形に加えて、結晶質セフロキシム・アキセチルの約7〜25%を含む、セフロキシム・アキセチルの生物学的利用能可能な組成物の製造方法当該方法が開示される。
【0060】
国際特許公開第WO98/43980号は、ジメチル・スルホキシド中に結晶質セフロキシム・アキセチルを溶解すること、そして当該混合物を凍結し、その後5℃で水を加えることによる、非晶形セフロキシム・アキセチルの製造を開示する。得られる沈殿物は、真空内で乾燥される。国際特許公開第WO99/32124号は、‘R’型から遊離する非晶質‘S’セフロキシム・アキセチルを含む、医薬組成物を開示する。当該特許出願に開示されるような組成物は、当該1:1のラセミ混合物より、より口当たりがよいように請求される。
【0061】
国際特許公開第WO99/44614号は、セフロキシム・アキセチルの医薬組成物、及び微少環境pH調整剤として、及びセフロキシム・アキセチルについての抗ゲル化剤としてシリコン・ジオキシド又はその水和物を開示する。シリコン・ジオキシドは、当該タブレット中心において、外気からの水分の吸収に起因し、及び胃の流動物の浸入にも起因するセフロキシム・アキセチルのゲル化を避ける、微少環境pH調整剤として作用し、結果として生物学的利用能を強化する。
【0062】
国際特許公開第WO02/43707号は、二重層フィルムコートを有するセフロキシム・アキセチルの風味マスキング・タブレット組成物を開示し、ここで、第1コートは、苦味をマスクするために役立ち、そして第2コートは、40秒超、当該タブレットの破裂時間を遅らせる。
【0063】
上記の全開示は、セフロキシム・アキセチルのような薬物の非晶形を得る方法又はその生物学的利用能を改良する方法、及び固形剤形のための風味マスキングを例証する。当該開示は、液状経口製剤におけるセフロキシム・アキセチルの風味マスキング、そして非晶形においてそれを維持し及び生物学的利用能を落とすことなしに胃の中で即時に放出するためのポリマーを明らかにするものではない。
【0064】
我々の同時継続特許出願第NF403/2003号は、我々の他の同時継続特許出願第NF402/2003号に記載され及び請求される新規ポリマーを使用する、苦味のある薬物の風味マスキングされる組成物を開示し請求する。
【0065】
先行技術から薬物の結晶性形状に加えてポリマーの使用は、当該同様の薬物を非晶形に変換でき、そして再結晶化を防ぐためのポリマー又は共溶媒の使用により安定化させることができることが知られている。水溶性及び膨潤性ポリマーとしてしられる多くは、早くに結晶化の阻害のために使用され、及び当該医薬組成物からの難溶性薬物の溶解度及び溶解を改良するために使用された。そのようなポリマー・システムは、固形並びに液状組成物中の当該薬物の風味マスキングにおける適用はほとんどないだろう。
【0066】
それ故、多形において、難水溶性薬物を含む液体経口薬としての再構成媒体中に存在する薬物の結晶化を阻害するための手段について、及び特に当該溶媒の存在下で多形転移を被る傾向にあるような薬物について本分野における必要性が残る。
【発明の開示】
【0067】
本発明の目的
本発明の主目的は、非常に苦い薬物の風味マスキングを可能とし、実質的な非晶形における医薬組成物中の当該活性成分を維持し、前記薬物の生物学的利用能が維持されるようにすることである。
【0068】
本発明の他の目的は、剤形間の多形において存在し、及び非常に低いポリマー負荷で存在する、当該薬物の結晶化を阻害するための高分子量を有するpH感受性ポリマーを使用して、苦味のある薬物の風味マスクされる組成物を提供することである。
【0069】
本発明のさらに他の目的は、pH感受性ポリマーを使用して風味マスクされる組成物で提供することあって、ここで、当該ポリマーは、液状経口薬の場合において、唾液中、及び再構成媒体中でも、苦味のある薬物の浸出が阻害されるように、pH>3.5の範囲内で液状媒体中の当該活性剤の放出を阻害する。
【0070】
本発明は、当該活性成分の結晶化傾向の阻害に関するポリマーの分子量の効果であって、高められた生物学的利用能を導く当該効果も開示する。
【0071】
本発明の他の目的は、pH感受性ポリマーを使用して風味マスクされる苦味のある薬物組成物を提供することであって、ここで当該ポリマーは、その生物学的利用能に影響を与えることなしに胃の中で当該活性剤を素早く放出するように、胃の中に見出されるような酸性環境中で膨潤又は溶解するものである。
【0072】
本発明の概要
それ故、本発明は、生物学的利用能が高められた風味マスクされた医薬組成物であって、一般式P[A(x)B(y)C(z)]:DのpH感受性ポリマーを含み、{ここで‘A’は疎水性モノマーであり、‘B’は塩基性モノマーであり、‘C’は親水性モノマーであり、そして‘D’は多形において存在する薬物であり、ここで、Xは30〜95%の範囲であり、Yは5〜70%の範囲であり、そしてZは0〜65%の範囲であり、ここで、上記%は全て重量に関して示され、そしてP:Dの比は、30:1〜0.2:1の範囲である。}を有する、当該医薬組成物を提供する。
【0073】
本発明のある態様は、50,000〜7,00,000の範囲にある当該ポリマーの分子量である。
【0074】
本発明の他の態様は、当該疎水性モノマー(A)は、シクロヘキシル・アクリレート、ドデシル・アクリレート、2エチル・ヘキシル・アクリレート、オクチル・アクリレート、第三ブチル・アクリレート、フェニル・アクリレート、ブチル・アクリレート、メチル・メタクリレート、ベンジル・メタクリレート、シクロヘキシル・メタクリレート、フェニル・メタクリレート、第三ブチル・メタクリレート、ブチル・メタクリレート、2エチルヘキシル・メタクリレート、プロピル・メタクリレートより例示されるアクリル酸、及びメタクリル酸の誘導体を含み、好ましいアクリル酸、及びメタクリル酸の誘導体は、メチル・メタクリレート、ブチル・メタクリレート、及びブチル・アクリレート、最も好ましくはメチル・メタクリレートより例示される。
【0075】
他の態様において、当該塩基性モノマー(B)は、ジメチル・アミノ・エチル・アクリレート、ジエチル・アミノ・エチル・アクリレート、ジメチル・アミノ・エチル・メタクリレート、ジエチル・アミノ・エチル・メタクリレート、ピペリジン・エチル・メタクリレート、2tert−ブチル・アミノ・エチル・メタクリレート、好ましくはジメチル・アミノ・エチル・メタクリレート、及びジエチル・アミノ・エチル・アクリレートのようなアミノ・アルキル・アクリル酸、及びメタクリル酸の誘導体である。
【0076】
さらに他の態様において、当該塩基性モノマー(B)は、2−ビニル・ピリジン、3−ビニル・ピリジン、4−ビニル・ピリジン、及び5−ビニル2−ピコリン、2−ビニル4−ピコリン、2イソプロぺニル・ピリジン、イソプロペニル・ピリジン、好ましくは4−ビニル・ピリジンのようなアルケニル・ピリジンからなる群より選択される。
【0077】
さらに他の態様において、当該塩基性モノマー(B)は、ビニル・キノリン、アミノアルキル・ビニル・エーテル、アミノ・エチル・スチレン、及びアリル・アミン、好ましくはアリル・アミンから選択される。
【0078】
さらに他の態様において、本発明における当該親水性モノマー(C)は、ヒドロキシ・エチル・メタクリレート、ヒドロキシ・プロピル・メタクリレート、ヒドロキシ・エチル・エチル・メタクリレート、好ましくはヒドロキシ・エチル・メタクリレート、及びヒドロキシ・エチル・エチル・メタクリレート、最も好ましくはヒドロキシ・エチル・メタクリレートのようなメタクリル酸の誘導体を含む。
【0079】
さらに他の態様において、当該使用される苦味のある薬物は、エリスロマイシン、アジスロマイシン、及びクラリスロマイシンにより例示されるマクロライド系抗生物質、シプロフロキサシン、エンロフロキサシン、オフロキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、及びノルフロキサシンにより例示されるフルオロキノロン、セフロキシム、セファレキシン、セファドロキシル、セフポドキシム・プロキセチルにより例示されるセファロスポリン、イブプロフェン、ジクロフェナク・ソジウムの如き非ステロイド系薬及び抗炎症薬及び鎮痛薬、及びエトリコキシブ、及びセレコキシブのようなCOX2阻害剤、及びクロルフェニラミン・マレエートのような抗ヒスタミン薬、リネゾリドのようなオキサゾリジノン、及びデキストロメトルファンのような他の薬物、好ましくはセフロキシム・アキセチル、及びセレコキシブを含む。
【0080】
さらに他の態様において、薬物の生物学的利用能を高めるための、多形において存在する当該薬物の最適な風味マスキング、及び結晶転移の阻害のためのポリマー:薬物の比は、重量基準で30:1〜0.2:1、好ましくは5:1〜0.4:1である。
【0081】
本発明の風味マスクされる組成物は、pH感受性ポリマーの使用による当該薬物のコーティングにより入手され得、マイクロカプセル化、スプレー乾燥、流動層法、非溶媒中の共沈か、それともトレイ乾燥法による。当該薬物は、ポリマー・マトリクス中に分散される。
【0082】
本発明の他の態様において、当該医薬組成物は、非溶媒中の当該薬物ポリマー溶液を共沈すること又は当該薬物ポリマー溶液をトレイ乾燥することにより製造される。
【0083】
本発明の医薬組成物は、チュアブル、発泡、及び分散性タブレットのような固形剤形、及びドライシロップ、及び懸濁のような液状剤形として配合され得る。
【0084】
本発明の他の態様において、当該風味マスクされる組成物は、懸濁又はドライシロップとして配合され得る。
【0085】
本発明は、医薬組成物であって、当該風味マスキングするpH感受性ポリマーが多形薬物の結晶化傾向を低減するところの、当該ポリマー・マトリクス中に分散させられる多形における苦味のある薬物の固体分散体を含む、当該医薬組成物を提供する。風味マスキングに使用されるpH感受性ポリマーは、特別に当該疎水性ポリマー、親水性ポリマー、及び塩基性ポリマーを含む。
【0086】
本発明は、バルク又は溶液重合、好ましくは溶液重合を含む、pH感受性ポリマーの製造方法も提供する。
【0087】
本発明の他の態様において、溶液重合は、溶媒存在下で実施される。重合過程に使用される溶媒は、当該モノマーが溶解するいずれかの溶媒であり、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素、アルコール、エステル、ケトン、ホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、及びジメチル・スルホキシド、好ましくはジメチル・ホルムアミドから選択され、ここでモノマーに対する溶媒の比率は、モノマーの重量基準の20〜100%、好ましくは30〜80、最も好ましくは30〜70%である。
【0088】
本発明の他の態様において、当該溶液重合は遊離基開始剤の存在下で実施され、ここで当該遊離基開始剤は、アゾ化合物、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド、過酸及び過エステル、好ましくはアゾ−ビス−シアノ吉草酸、アゾ−ビス−ジフェニル・メタン、アゾ−ビス−メチル・イソブチレート、及びアゾ−ビス−イソブチロニトリル、最も好ましくはアゾ−ビス−イソブチロニトリルを含むアゾ開始剤を含むファミリーから選択され、ここでモノマーに対する開始剤の重量%は、0.1〜5、好ましくは0.2〜3である。
【0089】
他の態様において、当該医薬組成物は、当該薬物の生物学的利用能が影響されないように、得られた分散中の非晶形における十分量の当該薬物を有する。当該pH感受性ポリマーの分子量及びその粘度は、当該薬物の結晶化の阻害に関与し、そしてそれを非晶形中に実質的に維持する要因となる。当該医薬組成物中の当該pH感受性ポリマーは、もし液状経口薬が、よりおいしく風味マスクされた組成物を与え、及び即時放出として胃部内に当該薬物の大部分を放出する場合には、当該薬物の放出が、唾液中で、及び再構成媒体中でも阻止されるように、pH3.5〜7の中性又は中性付近の液状媒体における当該薬物の浸出を防ぐ。
【0090】
特に、本発明は、安定した風味マスキング組成物であって、当該活性剤に関連する嫌な味を形成することなしに摂取されること、一方、ヒトの胃の中にみられるpHレベルへの暴露に関する迅速な生物学的利用能をも提供することが可能な液状懸濁液として配合され得る、当該組成物を含む。当該請求される組成物の風味マスキング特徴は、液状懸濁液として保存される十分な期間、組成物が当該活性剤の嫌な味をマスクできるように安定することであり、すなわち、当該分散から当該活性剤の最小限の漏出が保存期間に発生し、及び当該pH感受性ポリマーの防湿層の特徴が、液状媒体中の非晶質の薬物分子の結晶化を防ぐ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0091】
本発明の詳細な説明
部分的溶解度を有する薬物原料は、異なるポリマー及び賦形剤を混合するとき、結晶化度において低減することがわかっている。当該薬物の非晶形は、しばしば不安定であり、そして当該結晶性形状に変換できる。固体分散体技術は、非晶形を安定させるために使用される。当該発明は、当該風味マスクされる固体分散体の形成及び非晶形における当該活性成分の保持に十分な、最少量の高分子量pH感受性ポリマーの使用を開示する。
【0092】
本発明は、多形を示す薬物の結晶化傾向を低減するpH感受性ポリマーを含む医薬組成物であって、ここで当該pH感受性ポリマーが、当該ポリマー中に95〜30重量%の疎水性モノマー、10〜60重量%の親水性ポリマー、及び5〜70%の塩基性ポリマーを本質的に含み、ここで当該ポリマーの分子量が、当該薬物の結晶化の低減に貢献する50,000〜700,000の範囲であり、ここで、当該薬物がポリマー・マトリクス中で分散型又はコーティング型において存在し、当該薬物が実質的に非晶形にあり、胃の流動体内で即時放出されるように、同時に唾液のpHで又は液状経口薬の場合の当該再構成pHで薬物放出を阻害するような、当該医薬組成物を開示する。
【0093】
本発明は、pH感受性ポリマーによりコーティングされた活性剤を含む、風味マスクされた組成物を提供する。本発明の当該pH感受性ポリマーは、胃の中にみられる酸性pH中で膨潤し、及び溶解し、そして遅れを生ずることなく当該薬物を放出する。本発明のpH感受性ポリマーは、pH>3.5の範囲内において、完全に非膨潤のままであり、及び実質的に不溶性である。当該ポリマーがpH>3.5の範囲で不溶性であるので、ドライシロップが再構成される液状媒体中の当該薬物の浸出は阻害され、及び同様の効果が懸濁液中でも発揮されるだろう。唾液のpHは中性付近であり、よって本発明に開示されるポリマーは、当該薬物放出を阻止し、及びそれ故風味マスキングを提供するだろう。本発明のpH感受性ポリマーは、慣習的タブレット、分散性タブレット、及びチュアブル・タブレットのような即時放出製剤として要求される固形剤形を風味マスクするためにも使用され得る。本発明のpH感受性ポリマーは、水溶性でなく、及び水中で膨潤しない、よって、摂取前に水中に落とされる、及びほぼすぐに当該薬物を放出するための分散性タブレットの製造において使用され得る。当該ポリマーは、酸性媒体中、素早く膨潤し、及び溶解するので、当該活性成分の湿潤、及び可溶化にさらに役立つ。当該pH感受性ポリマーは、かなりの時間にわたり当該活性成分が味蕾と接触するチュアブル・タブレットの場合、当該薬物の風味をコーティングし、及びマスクするために使用され得る。
【0094】
本発明の範囲における当該ポリマー製剤は、薬物を風味マスキングすることに特に好適であり、当該薬物は、非常に苦味があり、当該薬物が存在する、及び当該非晶形が他型より好まれる場合の多形に依存して様々な生物学的利用能レベルを示し、及び胃の中で素早く放出される必要がある。しかしながら、本発明のpH感受性ポリマーの適用は、多形を示す当該薬物の風味マスキングに限定されない。嫌な及び苦い味を有する薬物は、当該ポリマー・コーティングに供され得る。使用され得る当該苦味のある、嫌な味の薬物の例は、エリスロマイシン、アジスロマイシン、及びクラリスロマイシンにより例示されるマクロライド系抗生物質、シプロフロキサシン、エンロフロキサシン、オフロキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、及びノルフロキサシンにより例示されるフルオロキノロン、セフロキシム、セファレキシン、セファドロキシル、セフポドキシム・プロキセチルにより例示されるセファロスポリン、イブプロフェン、ジクロフェナク・ソジウムの如き非ステロイド系薬及び抗炎症薬及び鎮痛薬、及びエトリコキシブ、及びセレコキシブのようなCOX2阻害剤、クロルフェニラミン・マレエートのような抗ヒスタミン薬、リネゾリドのようなオキサゾリジノン、及びデキストロメトルファンのような他の薬物を非制限的に含む。当該薬物自体又は医薬として許容される塩又はエステルは、本発明において使用され得る。
【0095】
セフロキシム・アキセチルのような薬物分子は、液状媒体の存在下でゲル化する傾向にある。もし当該タブレットが保存の間、湿潤から保護されないならば、それらは、難溶性及び低生物学的利用能となる。よって、当該セフロキシム・アキセチルの液状経口製剤は、再構成間、当該薬物を水性環境からの保護を必要とする。セフロキシム・アキセチルは、酵素エステラーゼがそれをセフロキシムに加水分解するような消化管内の限られた吸収領域を有し、当該消化管を越えて吸収され得ず、その結果、その生物学的利用能は低減する。セフロキシム・アキセチルは、非常に苦い風味にも関連する。セフロキシム・アキセチルの医薬組成物は、それ故、風味マスクされることを必要とされる。セフロキシム・アキセチルのための水溶性及び腸溶性コーティング・ポリマーは、それ故限定使用である。
【0096】
本発明の好ましい態様において、当該固体分散体は、苦味のある薬物セフロキシム・アキセチルであって、その非晶形における第2世代セファロスポリン抗生物質を含む。非晶質のセフロキシム・アキセチルは、当該溶媒存在下で結晶化する傾向を示し、本発明において開示されるpH感受性ポリマーにより抑制される。本発明において合成される高分子量のpH感受性ポリマーは、固体分散体中の苦味のある薬物セフロキシム・アキセチルの風味マスキング及び結晶化阻害において、及び全再構成期間にわたりpH4.5の液状シロップベース中で再構成される場合においても、低負荷でより効果的である。当該ポリマーは、製剤の間、及び当該再構成懸濁液が通常消費される7日間、非晶形セフロキシム・アキセチルの結晶性形状への変換も阻害する。セフロキシム・アキセチルは、実施例4〜11及び16に示されるように、胃部内で固体分散体からほとんどすぐに、及び完全に放出される。
【0097】
カルバマゼピンのような薬物は、無水型及び非晶形においてより吸収され、そして結晶状、ニ水和物形状への変換は、低溶解度を導き、及び低生物学的利用能をも導く。さらに、セレコキシブのような薬物分子は、低水溶解度を有し、及び非晶形は、素早い放出製剤として好まれる。しかし、当該薬物は、胃の媒体の存在下で結晶化の傾向を示す。そのような薬物は、防湿層として作用し、及び当該薬物の多形転移を妨害する保護ポリマーコーティングを必要とする。先行技術から、別のポリマーの様々な負荷が、苦味のある薬物を風味マスクするために、及び結晶質薬物を非晶形に変換し、及び非晶形を維持するために使用されることが明らかである。
【0098】
商業的に入手できるポリマー、Rohm GmbH,Darmstadt,Germany(ジメチル・アミノ・エチル・メタクリレート・コポリマー)からのEudragit Eは、風味マスキング剤として有用である。一般的に、このポリマーは、塩基性pH内で不溶性である。しかしながら、当該ポリマーは、問題が生ずる中性からわずかに酸性のpHで、ある程度の膨潤を示すことがわかっている。セフロキシム・アキセチルがEudragit Eポリマーを用いてコーティングされたとき、当該薬物のネガティブ相互作用を示した(M.J.Alonso,M.L Lorenzo−Lamosa,M.Cuna,J.L.Vila−Jato and D.Torres,Journal of Microencapsulation,1997,Volume 14,No.5,607−616)。
【0099】
本発明のpH感受性ポリマーは、低負荷で、風味マスキング及び結晶化阻害を引き起こし得る利点を有する。製剤中の当該ポリマーの負荷を低下することにおける補助は、経済的に魅力があるだろうし、一日の投与量の点から、規定する必要性を満たす助けともなるだろう。本発明に記載されるような高分子量、及び高い溶液粘度を有する当該pH感受性ポリマーは、同様の形状中の非晶質の薬物を保持し、さらに当該溶媒存在下で結晶性形状中の当該薬物の変換を阻害する。さらに、当該ポリマーは、ピーク時間及び薬物の吸収が、放出の遅れる腸溶性ポリマーの場合に観察されるように遅れないために、胃の中の薬物放出の助けとなるためのチャンネル化剤又は水溶性又は水膨潤性賦形剤のような補助を必要としない。
【0100】
本発明に記載されるpH感受性ポリマーは、塩基性モノマーに加えて重合される疎水性モノマー又は親水性ポリマー及び塩基性ポリマーに加えて重合される疎水性モノマーを含む。本発明の好ましい態様において、様々な多形において存在し得る苦味のある薬物の結晶化を阻害する、当該pH感受性ポリマーは、疎水性モノマー、親水性モノマー、及び塩基性モノマーを本質的に含む。
【0101】
当該疎水性モノマーは、シクロヘキシル・アクリレート、ドデシル・アクリレート、2エチル・ヘキシル・アクリレート、オクチル・アクリレート、第三ブチル・アクリレート、フェニル・アクリレート、ブチル・アクリレート、メチル・メタクリレート、ベンジル・メタクリレート、シクロヘキシル・メタクリレート、フェニル・メタクリレート、第三ブチル・メタクリレート、ブチル・メタクリレート、2エチル・ヘキシル・メタクリレート、プロピル・メタクリレートより例示されるアクリル及びメタクリル酸の誘導体、好ましくはメチル・メタクリレート、ブチル・メタクリレート、及びブチル・アクリレート、最も好ましくはメチル・メタクリレートより例示されるアクリル及びメタクリル酸の誘導体を含む。
【0102】
当該塩基性モノマーは、ジメチル・アミノ・エチル・アクリレート、ジエチル・アミノ・エチル・アクリレート、ジメチル・アミノ・エチル・メタクリレート、ジエチル・アミノ・エチル・メタクリレート、ピペリジン・エチル・メタクリレート、2tert−ブチル・アミノ・エチル・メタクリレート、好ましくはジメチル・アミノ・エチル・メタクリレート及びジエチル・アミノ・エチル・アクリレートのようなアミノ・アルキル・アクリル酸及びメタクリル酸エステルの様々な誘導体を含む。
【0103】
当該塩基性モノマーは、2ビニル・ピリジン、3−ビニル・ピリジン、4−ビニル・ピリジン、及び5−ビニル2ピコリン、2−ビニル4ピコリン、2イソプロぺニル・ピリジン、イソプロペニル・ピリジン、好ましくは4ビニルピリジンのようなアルケニル・ピリジンの群を含む。
【0104】
当該塩基性モノマー(B)は、ビニル・キノリン、アミノ・アルキル・ビニル・エーテル、アミノ・エチル・スチレン、及びアリル・アミン、好ましくはアリル・アミンから選択される。本発明における当該親水性モノマーは、ヒドロキシ・エチル・メタクリレート、ヒドロキシ・プロピル・メタクリレート、ヒドロキシ・エチル・エチル・メタクリレート、好ましくはヒドロキシ・エチル・メタクリレート、及びヒドロキシ・エチル・エチル・メタクリレート、最も好ましくは、ヒドロキシ・エチル・メタクリレートのようなアクリル酸又はメタクリル酸の誘導体を含む。
【0105】
当該医薬組成物は、患者の胃の中に当該薬物を素早く放出することが可能である。本発明のpH感受性風味マスキング・ポリマーは、pH>3.5で不溶性であり、唾液のpH、及びpH>3.5の溶媒でも当該薬物を放出しない。当該pH感受性ポリマーは、さらに、製剤の間、多形において存在する当該薬物の結晶化を阻害することができ、非晶形中の当該薬物を保持することが可能である。
【実施例】
【0106】
[A]当該pH感受性ポリマーの製造
合成される当該pH感受性ポリマーは、親水性モノマー及び塩基モノマーに加えて疎水性モノマーを含む。当該pH感受性ポリマーは、バルク又は溶液重合により合成され得る。本発明のpH感受性ポリマーは、溶液重合により合成される。当該pH感受性ポリマーは、疎水性、親水性、及び塩基性モノマーを溶媒ジメチル・ホルムアミドの存在下で溶解することにより合成される。
【0107】
さらに、本発明のpH感受性ポリマーは、遊離基開始剤の存在下で重合される。当該開始剤は、当該pH感受性ポリマーを産生するための疎水性、親水性、及び塩基性モノマーに加えて溶媒中に溶解される。当該pH感受性ポリマーの合成のために使用される当該遊離基開始剤は、アゾ−ビス−イソブチロニトリルにより例示されるアゾ化合物のファミリーから選択される。
【0108】
当該pH感受性ポリマーは、疎水性モノマーであるメチル・メタクリレート、親水性モノマーであるヒドロキシ・エチル・メタクリレート、及び塩基性モノマーであるビニル・ピリジンを使用して合成される。当該モノマーを溶媒であるジメチル・ホルムアミド中に溶解させた。アゾ開始剤であるアゾ・ビス・イソブチロニトリルを、ジメチル・ホルムアミド中のモノマー溶液に添加した。当該反応混合物を窒素ガスでパージし、不活性雰囲気を提供した。当該重合反応を、15〜18時間、当該反応混合物を60〜70℃まで加熱することにより実施した。そのように合成された当該ポリマーを非溶媒中に沈殿させることにより回収した。石油エーテル又はジエチル・エーテル又は水のような非溶媒が使用され得る。当該ポリマーを真空下、27℃で乾燥させた。当該ポリマーは、粘度及び分子量に、及び組成に特徴付けられた。
【0109】
低いポリマー負荷で、当該ポリマー薬物の結晶化を阻害するために使用される当該ポリマーは、高分子量及び高溶液粘度を有するポリマーである。高分子量のポリマーを、本発明において、一定のモノマー組成物を使用して、及び開始剤及び当該溶媒の量を変化させることにより合成した。当該高分子量のポリマーを、モノマー含有量に対する開始剤の濃度を低減することによっても合成した。あるいは、当該高分子量のポリマーは、モノマー含有量に対する不活性溶媒の量を低減することにより合成され得る。合成されたポリマーの分子量を、Styragelカラムを使用する参考文献通り、ウォーターズ(Waters)ゲル透過クロマトグラフィー及びポリスチレン基準(Polysciences Inc.USA)を使用し決定した。ジメチル・ホルムアミド中の0.1〜1%(w/w)の範囲におけるポリマー溶液の固有粘度を、希釈手順としてのUbbelohde Viscometer、Schott Gerate,GmbHを30℃で使用して決定した。分子量についての応答固有粘度は、表1〜3に示される。
【0110】
実施例1
当該pH感受性ポリマーは、溶液重合により合成される。当該疎水性モノマーであるメチル・メタクリレート60重量%、当該親水性モノマーであるヒドロキシ・エチル・メタクリレート25重量%、及び塩基性モノマーであるビニル・ピリジン15重量%を、当該ポリマーの合成のために使用した。当該モノマーを溶媒であるジメチル・ホルムアミド中に溶解させた。アゾ開始剤であるアゾ・ビス・イソブチロニトリルを、ジメチル・ホルムアミド中の当該モノマー溶液中に添加した。当該反応混合物を、窒素ガスでパージし、不活性雰囲気を提供した。当該重合反応を、18時間、65℃まで加熱することにより実施した。そのように合成された当該ポリマーを非溶媒中に沈殿させることにより回収した。非溶媒ジエチル・エーテルを使用した。当該ポリマーを真空下、27℃で乾燥させた。当該ポリマーを、粘性及び分子量、及び組成に特徴付けた。当該ポリマー組成、当該ポリマーの分子量及び固有粘度を、表1に簡単に示す。
【0111】
【表1】
【0112】
実施例2
低いポリマー負荷でポリマー薬物の結晶化の阻害のために使用されるpH感受性ポリマーは、高分子量及び高粘度を有するポリマーである。高分子量の当該ポリマーを、当該疎水性モノマーであるメチル・メタクリレート60重量%、当該親水性モノマーであるヒドロキシ・エチル・メタクリレート25重量%、及び塩基性モノマーであるビニル・ピリジン15重量%を使用して、及び開始剤及び当該溶媒の量を変化させて合成した。高分子量の当該ポリマーを、モノマー含有量に対する開始剤の濃度を低減することによっても合成した。あるいは、当該高分子量のポリマーを、モノマー含有量に対する不活性溶媒の量を低減することにより合成できた。
【0113】
本発明の高分子量pH感受性ポリマーは、溶液重合により合成される。当該疎水性モノマーであるメチル・メタクリレート、当該親水性モノマーであるヒドロキシ・エチル・メタクリレート、及び塩基性モノマーであるビニル・ピリジンを、当該ポリマーの合成のために使用した。モノマーの一定量を重合反応の異なるセットに使用した。当該溶媒量を、それぞれの試験について徐々に低減した。当該モノマーを、当該溶媒であるジメチル・ホルムアミド中に溶解した。アゾ開始剤であるアゾ・ビス・イソブチロニトリルを、ジメチル・ホルムアミド中の当該モノマー溶液に添加した。当該アゾ開始剤の量を、一連の全反応における当該モノマー含有量に対して一定に保った。当該反応混合物を、窒素ガスでパージし、不活性雰囲気を提供した。当該重合反応を、18時間、65℃まで加熱することにより実施した。そのように合成された当該ポリマーを非溶媒中に沈殿させることにより回収した。使用した非溶媒はジエチル・エーテルであった。当該ポリマーを真空下、27℃で乾燥させた。当該ポリマーを、粘性及び分子量、及び組成に特徴付けた。溶媒量を変化することにより合成された異なる分子量の当該ポリマーを、表2に示す。
【0114】
あるいは、本発明中に記載される高分子量pH感受性ポリマーは、アゾ開始剤の量を変化する溶液重合により合成され得る。重合に使用される当該アゾ開始剤は、アゾ・ビス・イソブチロニトリルである。当該疎水性モノマーであるメチル・メタクリレート、当該親水性モノマーであるヒドロキシ・エチル・メタクリレート、及び塩基性モノマーであるビニル・ピリジンを、当該ポリマーの合成のために使用した。モノマーの一定量を重合反応の異なるセットに使用した。開始剤であるアゾ・ビス・イソブチロニトリルを、徐々に低減した。当該モノマー含有量に対する当該溶媒量を、一連の反応において一定に保った。当該モノマーを、当該溶媒であるジメチル・ホルムアミド中に溶解した。反応混合物を、窒素ガスでパージし、不活性雰囲気を提供した。当該重合反応を、18時間、65℃まで加熱することにより実施した。そのように合成された当該ポリマーを非溶媒であるジエチル・エーテル中に沈殿させることにより回収した。当該ポリマーを、真空下、27℃で乾燥させ、そして粘性及び分子量、及び組成に特徴付けた。開始剤であるアゾ・ビス・イソブチロニトリルの量を変化することにより合成された異なる分子量の当該ポリマーを、表2に示す。
【0115】
【表2】
【0116】
実施例3
高分子量ポリマーは、メチル・メタクリレート60%(w/w)、ヒドロキシ・エチル・メタクリレート25%(w/w)、及びビニル・ピリジン15%(w/w)のモノマー組成物を使用して、溶媒としてのジメチル・ホルムアミド(モノマーに対する)51重量%、及び開始剤としてアゾ・ビス・イソブチロニトリル0.0225%の存在下で合成される。当該重合反応を15〜18時間、当該反応混合物を60〜70℃まで加熱することにより実施した。そのように合成された当該ポリマーを非溶媒であるジエチル・エーテル中に沈殿させることにより回収した。当該ポリマーを真空下、27℃で乾燥させた。当該ポリマー組成物を表3に示す。
【0117】
高分子量ポリマーを、メチル・メタクリレート60%(w/w)、ヒドロキシ・エチル・メタクリレート25%(w/w)、及びビニル・ピリジン15%(w/w)のモノマー組成物を使用して、溶媒としてのジメチル・ホルムアミド(モノマーに対する)34.72重量%、及び開始剤としてアゾ・ビス・イソブチロニトリル(モノマーに対する)0.045%の存在下で合成した。当該重合反応を15〜18時間、当該反応混合物を60〜70℃まで加熱することにより実施した。そのように合成された当該ポリマーを非溶媒中に沈殿させることにより回収した。当該非溶媒は、ジエチル・エーテルを使用した。当該ポリマーを真空下、27℃で乾燥させた。当該高分子量ポリマーを表3に示す。
【0118】
【表3】
【0119】
広範囲の分子量を有するポリマーを合成し、そしてそれらの風味マスキング及び結晶化阻害に対する有用性を、多形で存在する苦味のある薬物セフロキシム・アキセチルを使用して、及びこれらのpH感受性ポリマーで当該薬物をコーティングして医薬組成物を製剤することにより評価した。
【0120】
[B]医薬組成物の製造
本発明の医薬組成物は、pH感受性ポリマーの使用による当該薬物のコーティングにより入手され得、当該コーティングは、マイクロカプセル化、スプレー乾燥、流動層法、非溶媒中の共沈か、それともトレイ乾燥法による。当該薬物は、ポリマー・マトリクス中に分散される。
【0121】
本発明の医薬組成物は、トレイ乾燥法により、あるいは非溶媒中の当該薬物及びポリマーの共沈により入手され得る。当該ポリマーは、溶媒中に溶解され、そして当該薬物は、その中に溶解又は分散される。使用されるポリマー対薬物の比は、当該ポリマーの分子量及び粘度に依存し、ここで当該分子量及び粘度は、当該ポリマーが当該薬物の結晶化を阻害し、当該風味マスキング効果を維持できるようにするものである。本発明の態様において、最適な風味マスキング、及び当該ポリマー薬物の結晶転移の阻害のための、総ポリマー対薬物の比は、重量基準で30:1〜0.2:1である。より好ましい当該ポリマー対薬物の比は、重量基準で5:1〜0.4:1である。本発明のさらに好ましい態様において、当該ポリマー対薬物の比は、重量基準で3:1〜0.6:1である。
【0122】
多形に存在する薬物について、風味をマスクし、及び結晶傾向を低減する、当該pH感受性ポリマーは、50,000〜700,000の範囲の分子量を有する。さらに、分子量50,000〜500,000の分子量を有する当該ポリマーは、さらに好まれる。さらに好ましい分子量は、100,000〜350,000の範囲である。最も好ましい分子量の範囲は、250,000〜350,000である。
【0123】
さらに、本発明の医薬組成物は、150,000未満の低分子量のpH感受性ポリマー又は150,000〜350,000超の高分子量のポリマー、又は低分子量ポリマー及び高分子量ポリマーの1:1〜1:5又は5:1〜1:1の比の混合物を使用して配合され得る。好ましくは、当該溶媒は、当該薬物及びポリマーの双方がそこに可溶化するように選択される。当該薬物及びポリマーの溶解について選択される溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール、ジクロロメタン、クロロホルムのような塩素化炭化水素、メチル・エチル・ケトン、メチル・イソ−ブチル・ケトン、及びアセトンのようなケトンである。好ましくは、当該薬物及びポリマーを溶解するために使用される当該溶媒は、メタノール、アセトン、及びジクロロメタンである。当該薬物、及びポリマーを溶解するための最も好ましい溶媒は、アセトン又は1:1〜1:1.5の比のメタノール、及びジクロロメタンの混合物である。使用される当該溶媒は、好ましくは、10〜0.5重量%の水を含有するアセトンである。
【0124】
当該固体分散体の型における当該風味マスクされる組成物は、非溶媒中に当該薬物、及びポリマーを共沈させることにより入手され得る。当該方法は、セフロキシム・アキセチル、及びポリマーを0.5〜10%の水を含有するアセトン中に溶解することを含む。得られた混合物は、5℃で維持される石油エーテルに加えられる。そのように入手された共沈物は、室温で24時間真空下で乾燥され、ASTMメッシュ40/60粒子の大きさにする。
【0125】
風味マスクされる組成物を入手する他の方法は、当該薬物ポリマー溶液をトレイ乾燥することである。これは、0.5〜10%の水を含有するアセトン中への当該薬物のセフロキシム・アキセチル及びポリマーの溶解、及びトレイ上に当該溶液を入れ、そして室温で真空下乾燥すること、及びASTMメッシュ40/60粒子の大きさにすることを含む。風味マスクされる粒子、及び得られる顆粒は、天然又は人工の香料、クエン酸、及び酒石酸の如き香料添加剤、スクロース、サッカリン、及びアスパルテームの如き甘味料、及びその他の医薬として許容される賦形剤であって、慣習的な無傷の、チュアブル又は分散性タブレット、ドライ・シロップ、懸濁、小袋又は他の好適な経口剤形として製剤されるものと混合され得る。
【0126】
当該風味マスクされた医薬組成物は、液状媒体中の薬物粒子をコーティングする当該ポリマーの再構成により製造され、当該液状媒体はスクロース、香料、及びクエン酸、及び懸濁化剤であって、例えばセルロース誘導体又はポリ・ビニル・ピロリドン又はキサンタンガムなどを含む。本発明の当該風味マスクされる医薬組成物は、スクロース、何種類もの果物の風味のある香料、クエン酸、及びビニル・ピロリドンを含むpH4.5の再構成媒体を使用することにより、液状経口懸濁液の中に製造される。
【0127】
当該医薬組成物中に含まれる当該セフロキシム・アキセチルは、好ましくは、非晶形中に存在するであろう。当該セフロキシム・アキセチルの非晶形は、当該医薬組成物中に保持され、ここで当該医薬組成物は、低分子量を有するポリマーの高負荷を含む。しかしながら、当該低分子量のポリマーは、セフロキシム・アキセチルの結晶化の阻害において、低負荷で完全には成功しなかったことを観察した。本発明の当該pH感受性ポリマーは、セフロキシム・アキセチルの生物学的利用能を促進し、当該セフロキシム・アキセチルは、当該放出媒体と接触してもたらされるときゲル化され得る。当該組成物からのセフロキシム・アキセチルの放出を、実施例4〜11及び実施例16に示す。セフロキシム・アキセチルの素早く及びほぼ完全な放出は、当該医薬組成物中のセフロキシム・アキセチルのゲル化及び結晶化の阻害の結果を保証する。当該実施例に例証されるような当該ポリマーの様々な負荷における当該セフロキシム・アキセチルの放出を、図14及び図15に示す。当該サンプルにおいて実施されるX線回折試験及びDSCは、結晶化の阻害を確認する。図1、2、3及び4は、実施例4〜7に記載されるトレイ乾燥組成物のX線回折パターンを示す。
【0128】
図5、6、7、及び8は、実施例8〜11に記載のように得られた共沈のX線回折パターンを示す。図9、10、11、及び12は、実施例12〜15に記載のトレイ乾燥組成物のX線回折パターンを示す。図13は、実施例16に記載のスプレー乾燥組成物のX線回折パターンを示す。
【0129】
当該高分子量のポリマーを、当該医薬組成物の配合に使用したとき、セフロキシム・アキセチルを、低いポリマー負荷でも実質的に非晶形に維持した。サンプルについて実施されるXRD試験及びDSCは、この発見を確認する。高分子量ポリマーは、薬物対ポリマーの比が非常に低くても、当該風味をマスクすること、及び当該セフロキシム・アキセチルの結晶化を阻害することに成功した。
【0130】
高分子量のポリマーを、当該薬物であるセレコキシブを含む医薬組成物について使用した。当該高分子量ポリマーは、高い及び低いポリマー負荷でさえ、セレコキシブを非晶形に維持した。本発明中に合成される全ての分子量のポリマーは、当該医薬組成物の風味マスキングに適用され得るが、しかし、高分子量の当該ポリマーの場合、非晶形に存在する薬物の結晶化の阻害が達成される。
【0131】
本発明は、後に続く実施例により例証され、いかなる方法によっても本発明の範囲を限定する意図はない。以下の実施例4〜11及び実施例16に例示される風味マスクされる組成物を、100rpmで回転する器具、USP typeIIを使用して、37±0.5℃で、0.07Nの塩酸900ml中のセフロキシム・アキセチルの放出について試験した。サンプルを、15、30、45、60、90、120、180、及び240分で、回収した。各時間で回収した量を、シンク条件を維持するために新たな溶媒で置換した。溶解結果物が、各サンプルについての各タブレット中に与えられる。
【0132】
以下の実施例12〜15に例示されるような風味マスクされる医薬組成物を、30分間、0.1Nの塩酸100ml中のセレコキシブの放出について試験し、次いで、当該放出を、100rpmで回転する器具、USP typeIIを使用して、37±0.5℃で、0.1NのNaOHの900mlを加えて試験した。当該サンプルを、0.1NのNaOH溶液から15、30、45、60、90、120、180、及び240分で、回収した。各時間で回収した量を、シンク条件を維持するために新たな溶媒で置換した。溶解結果物が、各サンプルについての各タブレットに与えられる。
【0133】
実施例4
分子量63,189ダルトンのポリマーの1.5g、及びセフロキシム・アキセチル3gを、10%の水を含むアセトン40ml中に溶解させた。得られた混合物を、トレイの中に注ぎ、そして24時間、真空下27℃で乾燥させた。得られた薬物ポリマー・マトリクスを、ASTMメッシュ40/60粒子で得る大きさにした。当該薬物放出を表4に示す。
【0134】
【表4】
【0135】
実施例5
分子量63,189ダルトンのポリマーの4.050g、及びセフロキシム・アキセチル1.350gを、10%の水を含むアセトン40ml中に溶解させた。得られた混合物を、トレイの中に注ぎ、そして24時間、真空下27℃で乾燥させた。得られた薬物ポリマー・マトリクスを、ASTMメッシュ40/60粒子で得る大きさにした。当該薬物放出を表5に示す。
【0136】
【表5】
【0137】
実施例6
分子量338,021ダルトンのポリマーの1.5g、及びセフロキシム・アキセチル3gを、10%の水を含むアセトン50ml中に溶解させた。得られた混合物を、トレイの中に注ぎ、そして24時間、真空下27℃で乾燥させた。得られた薬物ポリマー・マトリクスを、ASTMメッシュ40/60粒子で得る大きさにした。当該薬物放出を表6に示す。
【0138】
【表6】
【0139】
実施例6において製造された当該粒子の当該風味マスクされる医薬組成物は、5投与量と等量の当該粒子を、pH4.5の当該再構成媒体を使用して懸濁することにより入手され、ここで、当該再構成媒体は、スクロース85%w/v、何種類もの果物の風味がある香料を適量、クエン酸を適量、及びポリビニル・ピロリドン2%を含む。7日間の保存の間の薬物放出を表7に示す。
【0140】
【表7】
【0141】
実施例7
分子量338,021ダルトンのポリマーの4.050g、及びセフロキシム・アキセチル1.350gを、10%の水を含むアセトン50ml中に溶解させた。得られた混合物を、トレイの中に注ぎ、そして24時間、真空下27℃で乾燥させた。得られた薬物ポリマー・マトリクスを、ASTMメッシュ40/60粒子で得る大きさにした。当該薬物放出を表8に示す。
【0142】
【表8】
【0143】
分子量63,189ダルトンのポリマーの1.5g、及びセフロキシム・アキセチル3gを、10%の水を含むアセトン40ml中に溶解させた。得られた混合物を、撹拌下、5℃で維持される石油エーテル中に注ぐ。当該沈殿物を分離し、そして24時間、真空下27℃で乾燥させた。得られた薬物ポリマー・マトリクスを、ASTMメッシュ40/60粒子で得る大きさにした。当該薬物放出を表9に示す。
【0144】
【表9】
【0145】
実施例9
分子量63,189ダルトンのポリマーの4.050g、及びセフロキシム・アキセチル1.350gを、10%の水を含むアセトン40ml中に溶解させた。得られた混合物を、撹拌下、5℃で維持される石油エーテル中に注ぐ。当該沈殿物を分離し、そして24時間、真空下27℃で乾燥させた。得られた薬物ポリマー・マトリクスを、ASTMメッシュ40/60粒子で得る大きさにした。当該薬物放出を表10に示す。
【0146】
【表10】
【0147】
実施例10
分子量338,021ダルトンのポリマーの1.5g、及びセフロキシム・アキセチル3gを、10%の水を含むアセトン50ml中に溶解させた。得られた混合物を、撹拌下、5℃で維持される石油エーテル中に注ぐ。当該沈殿物を分離し、そして24時間、真空下27℃で乾燥させた。得られた薬物ポリマー・マトリクスを、ASTMメッシュ40/60粒子で得る大きさにした。当該薬物放出を表11に示す。
【0148】
【表11】
【0149】
実施例10において製造された当該粒子の当該風味マスクされる医薬組成物は、5投与量と等量の当該粒子を、pH4.5の当該再構成媒体を使用して懸濁することにより入手され、ここで、当該再構成媒体は、スクロース85%w/v、何種類もの果物の風味がある香料を適量、クエン酸を適量、及びポリビニル・ピロリドン2%を含む。7日間の保存の間の薬物放出を表12に示す。
【0150】
【表12】
【0151】
実施例11
分子量338,021ダルトンのポリマーの4.050g、及びセフロキシム・アキセチル1.350gを、10%の水を含むアセトン50ml中に溶解させた。得られた混合物を、撹拌下、5℃で維持される石油エーテル中に注ぐ。当該沈殿物を分離し、そして24時間、真空下27℃で乾燥させた。得られた薬物ポリマー・マトリクスを、ASTMメッシュ40/60粒子で得る大きさにした。当該薬物放出を表13に示す。
【0152】
【表13】
【0153】
実施例12
分子量63,189ダルトンのポリマーの0.75g、及びセレコキシブ1.00gを、メタノール−ジクロロメタン(1.5:1)20ml中に溶解させた。得られた混合物を、トレイの中に注ぎ、そして24時間、真空下27℃で乾燥させた。得られた薬物ポリマー・マトリクスを、ASTMメッシュ40/60粒子で得る大きさにした。当該薬物放出を表14に示す。
【0154】
【表14】
【0155】
実施例13
分子量63,189ダルトンのポリマーの1.8g及びセレコキシブ0.600gを、メタノール−ジクロロメタン(1.5:1)20ml中に溶解させた。得られた混合物を、トレイの中に注ぎ、そして24時間、真空下27℃で乾燥させた。得られた薬物ポリマー・マトリクスを、ASTMメッシュ40/60粒子で得る大きさにした。当該薬物放出を表15に示す。
【0156】
【表15】
【0157】
実施例14
分子量272,177ダルトンのポリマーの0.750g及びセレコキシブ1.0gを、メタノール−ジクロロメタン(1.5:1)25ml中に溶解させた。得られた混合物を、トレイの中に注ぎ、そして24時間、真空下27℃で乾燥させた。得られた薬物ポリマー・マトリクスを、ASTMメッシュ40/60粒子で得る大きさにした。当該薬物放出を表16に示す。
【0158】
【表16】
【0159】
実施例15
分子量272,177ダルトンのポリマーの1.80g及びセレコキシブ0.600gを、メタノール−ジクロロメタン(1.5:1)35ml中に溶解させた。得られた混合物を、トレイの中に注ぎ、そして24時間、真空下27℃で乾燥させた。得られた薬物ポリマー・マトリクスを、ASTMメッシュ40/60粒子で得る大きさにした。当該薬物放出を表17に示す。
【0160】
【表17】
【0161】
実施例16
有機溶媒中のセフロキシム・アキセチル−ポリマー溶液をスプレー乾燥し、風味マスクされた微粒子を得た。約0.60gのポリマーを、メタノール:アセトン:ジクロロメタン(1:1:1)の溶液30ml中に溶解させた。各重量300mgの分子量272,177、及び125,280のポリマーが、セフロキシム・アキセチルのコーティングのために使用される。このため、セフロキシム・アキセチルの2.4gを加え、そして溶解させた。乾燥ガスは、空気であった。当該スプレードライヤーのための吸気温度は、40〜70℃の範囲であった。当該排気温度は、25〜50℃であった。当該微粒化は、1〜2kgの範囲であった。当該送り速度は、20〜85rpmの範囲で最適化された。得られた溶液をスプレー乾燥し、当該風味マスクされた微粒子を得た。当該薬物放出を表18に示す。
【0162】
【表18】
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】図1は、実施例4に開示する低分子量ポリマーの低負荷を有する医薬組成物のX線回折図形を記載する。
【図2】図2は、実施例5に開示する低分子量ポリマーの高負荷を有する医薬組成物のX線回折図形を記載する。
【図3】図3は、実施例6に開示する高分子量ポリマーの低負荷を有する医薬組成物のX線回折図形を記載する。
【図4】図4は、実施例7に開示する高分子量ポリマーの高負荷を有する医薬組成物のX線回折図形を記載する。
【図5】図5は、実施例8に開示する低分子量ポリマーの低負荷を有する医薬組成物のX線回折図形を記載する。
【図6】図6は、実施例9に開示する低分子量ポリマーの高負荷を有する医薬組成物のX線回折図形を記載する。
【図7】図7は、実施例10に開示する高分子量ポリマーの低負荷を有する医薬組成物のX線回折図形を記載する。
【図8】図8は、実施例11に開示する高分子量ポリマーの高負荷を有する医薬組成物のX線回折図形を記載する。
【図9】図9は、実施例12に開示する低分子量ポリマーの低負荷を有する医薬組成物のX線回折図形を記載する。
【図10】図10は、実施例13に開示する低分子量ポリマーの高負荷を有する医薬組成物のX線回折図形を記載する。
【図11】図11は、実施例14に開示する高分子量ポリマーの低負荷を有する医薬組成物のX線回折図形を記載する。
【図12】図12は、実施例15に開示する高分子量ポリマーの高負荷を有する医薬組成物のX線回折図形を記載する。
【図13】図13は、実施例16に開示する、低負荷で、低分子量ポリマー及び高分子量ポリマーの混合を有する医薬組成物のX線回折図形を記載する。
【図14】図14は、0.07NのHCLバッファー中の、薬物セフロキシム・アキセチルの放出v/s時間を記載する。
【図15】図15は、0.07NのHCLバッファー中の、薬物セフロキシム・アキセチルの放出v/s時間を記載する。
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、苦味のある薬物及びpH感受性ポリマーを含む風味マスクされる組成物であって、当該薬物を実質的に非晶質に維持し、当該薬物の生物学的利用能を促進する当該組成物、及びさらにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
【0003】
様々なデリバリーシステムが、投与の異なる経路、例えば、経口、非経口、鼻及び経皮などについて開発されているけれども、当該経口経路は興味を惹きつけたままである、というのは、この投与形態は容易で便利で非侵襲性で、そしてよく知られたドラッグデリバリー方法だからである。処方薬の大部分は、経口適用としてデザインされる、というのは、それらの処方薬は、入院せずに患者により自己投与され得るからである。経口剤形は、当該薬物の性質、使用の種類、及び当該デリバリーシステムにおける所望のようないずれかの特別な効果の必要性に従ってデザインされる。共通の経口剤形は、溶液のような液状混合物、懸濁、タブレット及びカプセルのような固形剤形、及び液体入りカプセルを含む。当該固形剤形は、所望の治療効果、例えば制御、持続又は遅延放出に依存してさらに改良される。しかしながら、両極端の年齢の患者、例えば子供及び高齢者は、しばしば固形経口剤形を嚥下する際に困難を経験する。これらの患者に対して、当該薬物は、大部分、液状剤形であって、例えば、溶液、乳化及び懸濁で提供される。これらの剤形は、通常、味蕾に対する当該活性成分のかなりの暴露を導き、そのことは、当該薬物が極端に嫌な又は苦味のある味である際に、非常に深刻な問題である。
【0004】
経口投与される当該薬物の苦味は、いくつかの状況において不都合である。風味は、承諾を支配する重要な要素である。薬剤の不快な風味は、嚥下における困難の原因となり又は患者がそれらの薬物療法を避ける原因となり、それ故、患者の低い遵守という結果となる。甘味料、アミノ酸、香料添加剤の使用の如き、慣習的な風味マスキング技術は、非常に苦い薬剤の風味マスキングにおいて、しばしば不十分であり、ここで当該非常に苦い薬剤とは、例えば、キニーネ、バルベリン(barberin)、セレコキシブ、エトリコキシブ、レボフロキサシンのような抗生物質、オフロキサシン、スパルフロキサシン、ガチフロキサシン、シプロフロキサシン、セフロキシム・アキセチル、エリスロマイシン、及びクラロスロマイシンのようなものである。このように、風味マスキング技術は、重要とみなされ、そして多くの研究者により開発されてきた。
【0005】
当該風味マスキングは、当該薬物が極端に不快及び苦いときに、主に問題となる。さらに、この問題は、溶液、ドライシロップ、及び懸濁のような液状経口組成物を制限するだけでなく、チュアブル錠又は分散錠の剤形間に困難に直面させる、ここで、これらの剤形は、通常、味蕾に対して活性成分のかなりの暴露を導く。
【0006】
経口ドラッグデリバリーに関連する主な科学的困難は、風味マスキングは別として、当該活性成分が製造過程間に被る様々な変化に関し、及びこれらの活性成分が、摂取されたときに直面する物理化学的環境、例えば、胃の低いpHから小腸の高いpHに渡る当該環境、及び当該活性成分の安定性、溶解性及び生物学的利用能に関するこれらの媒体の効果にも因る。多くの薬物について、効果的な吸収領域を提供する胃腸管の領域は、かなり限られる。例えば、当該摂取は、小腸の特定領域に限定され得るか又は上部胃腔にだけ限定され得る。製剤の間に又は胃液の接触の際に、それらの多形を変化する傾向を有し、結果としてそれらの生物学的利用能に影響を与える薬物がある。当該デリバリーシステムの性能に影響を及ぼす薬物の生理化学的特質は、溶解度、溶出速度、粒径、親油性、安定性、及び多形性及び非晶質性である。
【0007】
ある薬物は、それらの物理化学的特性に因る製剤の間の課題を提起する。セフロキシム・アキセチルは、水性媒体と接触してゲル化する傾向を示し、当該剤形が分解して素早く粒子となり及び生体内でゲル化が発生する前のより早い段階で当該薬物を放出することを必要とする。当該セフロキシム・アキセチルの非晶形は、結晶性形状より優れた生物学的利用能を示す。当該薬物は、当該組成物から素早く溶解させる必要がある溶媒と再度長時間接触するときに、結晶化する傾向も示す。セフロキシム・アキセチルに関する他の問題は当該薬物の極度の苦味に関し、味のよいものとするためのコーティングされたデリバリーシステムにおいてセフロキシム・アキセチルを配合することを必要とする。
【0008】
セレコキシブは、極度に低い水溶解度を有し、及び容易に溶解されず、及び胃腸管内の素早い吸収のために分散されない。さらに、セレコキシブ結晶には、低いかさ密度、弱い流動特性、静電的特性、及び凝集性のような問題があり、配合しにくくしている。セレコキシブの非晶形は、素早い溶解及び高い生物学的利用能も示すが、しかし、水性媒体と接触して結晶化する傾向にある。COX2阻害剤ファミリー由来の他の分子であるエトリコキシブは、極端な苦味にも関連する。第2世代セファロスポリン抗生物質であるセフロキシム・アキセチル、及びCOX2阻害剤のクラス由来のセレコキシブの双方は、非常に高容量を必要とし、治療有効量の投与の際に困難さをさらに増大する。配合問題を提起し、及び低い生物学的利用能を克服するために素早い放出製剤として投与される必要のある、そのような活性分子は、当該生物学的利用能を損なうことなしに当該活性成分を急速に放出し、結晶化を阻害し、及び当該活性成分の苦味をもマスクする保護ポリマー・コーティングを必要とする。
【0009】
風味マスキングの様々な方法は、より早くから試みられ、イオン交換樹脂の使用、医薬として許容される賦形剤との複合体、及び脂質及び様々なポリマー材料による薬物のコーティングを含む。これらの内、コーティングは、風味マスキングのために、最も広く使用される技術である。活性成分のコーティングは、本分野において知られるいずれかの技術により実施され得、例えば、マイクロカプセル化、ホットメルト造粒、ウルスター(Wurster)コーティング、スプレー乾燥である。
【0010】
風味マスキングとしてのアプローチの1つは、イオン交換樹脂の使用である。様々な、Duolite AP143/1083(登録商標)(コレスチラミン樹脂 USP)のような陰イオン性樹脂、Amberlite IRP 64(登録商標)(ジビニル・ベンゼンと架橋されるメタクリン酸のコポリマー)のような陽イオン性樹脂、及びDowex(ジビニル・ベンゼンと架橋されるポリスチレンスルホン酸をベースとする)が、使用される。Schering Ploughに付与される米国特許第6514492号は、キノロン誘導体の風味マスキングのためのイオン交換樹脂、AMBERLITE.RTM.IRP 69(登録商標)の使用であって、結果として、経口液状製剤におけるキノロンの極度の苦味の除去を開示する。
【0011】
国際特許公開第WO01/70194号は、速溶性の経口消費フィルムであって、当該消費者の口内で、付着し、及び溶解するように適応させるものを開示する。当該フィルムは、苦い薬物であるデキストロメトルファンの風味マスキング剤としてのイオン交換樹脂・アンバーライト、及び水溶性ポリマー・プルランからなる。当該フィルムは、口腔へ付着し、そして溶解し当該活性成分をデリバリーする。製剤中の当該水溶性ポリマーの使用は、もし当該風味マスキングが液状経口製剤のために所望されるならば、そのようなデリバリーシステムの使用を制限するだろう。さらに、そのようなデリバリーシステムは、患者の承諾が重要となる子供及び高齢者の製剤の場合、おそらく受け入れられないだろう。
【0012】
米国特許第6,001,392号は、デキストロメトルファンを含む経口投与のための制御放出シロップ懸濁液であって、ポリスチレン・スルホネート・イオン交換樹脂で吸収されるものを開示する。当該薬物ポリマー複合体は、可塑剤を有するエチル・セルロース又はエチル・セルロース・ラテックス、及びSURELEASE(登録商標)の如き水分散性ポリマーとの混合物によりコーティングされる。即効作用のために即時放出が必要とされる薬物として、当該活性成分の制御放出は好まれず、そして放出の際の遅れは、限られた吸収領域を有する薬物にとっての関心事でもあるだろう。
【0013】
風味マスキングのためのアミノ基を含む薬物を吸収するためのイオン交換樹脂の使用は、非常に苦い薬物の風味をマスキングする際における限定された適用性を見出し、及びここで、当該薬物は、長い継続時間で液状経口組成物中に分散されるものである。
【0014】
複合体は、苦味のある薬物の風味マスキングのさらに別の方法である。米国特許第4,808,411号は、風味マスキングされる組成物であって、エリスロマイシン25〜95%、及びカルボマー75〜5%を含む当該組成物を開示し、ここで、当該薬物及びカルボマーは、エリスロマイシンとカルボマーとの間のイオン相互作用によりつなぎ合わされる。当該複合体は、製剤を味のよいものとするために、さらに機能性ポリマーであるヒドロキシ・プロピル・メチルセルロース・フタレートでコーティングされる。エリスロマイシンは、口内の苦味についての重要な知覚を避けるため、当該複合体からゆっくりと放出される。苦味のある薬剤の早くない放出であって、持続放出は、本発明において開示されるように達成されることが明らかである。しかし、複合のみでは、風味マスキングに十分ではなく、及び機能的ポリマーとのコーティングが、所望の味の良さを得るために必要とされ、及び薬物放出は妥協すべきでないが故に複合体剤の適切な選択が重要である。
【0015】
薬物のコーティングは、別の方法であるが、しかし、中程度の苦味の薬物に対してのみ又はコートされた粒子が、投与前に液状製剤として配合される際又は非水容媒中に配合される際の製品中でのみ効果的であることだけはわかるかもしれない。
【0016】
国際特許公開第WO02/092106号は、ポリカルボフィル及びマクロライド系抗生物質であるクラリスロマイシンを含む風味マスキングされる組成物を開示する。当該複合体は、さらに耐酸性ポリマー、Eudragit L100 55(登録商標)でコーティングされ、腸内に当該薬物を放出する。ある薬物について、当該生物学的利用能は、当該薬物が小腸内に放出される場合、腸溶コーティングの使用により変化されないであろうが、しかし、上方胃部領域に限定される狭い吸収領域を有する薬物の腸溶コーティングの使用は、当該生物学的利用能を変化させ得る。欧州特許出願公開第EP0409254号は、エチル・セルロースを使用してマスクされる嫌な味を有する経口粒子製剤、及び活性成分が上記製剤から素早く放出される場合の水性膨潤剤を開示する。
【0017】
米国特許第5,635,200号は、脂質コーティングにより苦味のある薬物であるラニチジンの風味マスクされる製剤、及び非水溶媒中のこれらのコートされる粒子の分散を開示する。米国特許第4,865,851号は、脂質の不可欠なコーティング又は当該風味をマスクするのに役立つ脂質の混合物でコートされる微粒子形状のセフロキシムの非常に苦いl−アセトキシ・エチル・エステルを風味マスキングするための他の方法を開示する。脂質を使用する風味マスキング・コーティングは、当該脂質の融点が、口内での融解を防ぐために十分に高くあるべきであること、及び活性成分自体が融解するほど又は化学的に分解するほど高くあるべきではないことを必要とする。最大の生物学的利用能を有する実質的に非晶形のセフロキシム・アキセチルは、約70℃の低い融点を有し、及び当該脂質及び薬物の融点の相違は、ほんの僅かである。当該混合物が微粒化される温度も、当該脂質の融点より高い。脂質ベースのマイクロカプセル化は、当該薬物に悪影響を与えることなしに、微粒子を製造するための非常に高度なホットメルト造粒法を必要とする。
【0018】
英国特許第2081092号もまた、風味マスキングのための脂質コーティングを開示する。しかしながら、ワックス・コーティングは、消化管内で当該活性成分の少ない溶解という結果となることが明らかとなった。さらに、当該特許は、当該ワックスを水膨潤性ポリマーと混合することによるこの問題を克服するための技術を、開示する。さらに、当該特許に言及される水膨潤性ポリマーの使用は、それを懸濁及びドライシロップのような液状経口薬にほとんど適さなくさせる。
【0019】
米国特許第5,286,489号は、多孔質の薬物ポリマー・マトリクスであって、苦味のある活性成分及びメチル・メタクリレート・エステル・コポリマーを、当該薬物の風味をマスキングするのに効果的な、活性成分:コポリマーの重量比が少なくとも1:1の比で混合することにより形成される当該マトリクスを開示する。当該特許に開示される実施例の内、当該マトリクスから当該薬物を放出することに関するこれらのポリマーの効果を開示するものはない。しかし、本分野における教示から、当該薬物放出は、当該明細書中に記載の当該マトリクスから遅らせられることを予期され得る。
【0020】
国際特許公開第WO00/56266号は、苦味のある薬物の風味マスキングのための、フィルム形成ポリメタクリレート及びチャンネル化剤と、高密度膨潤性ポリマー・カルボマーとの併用を開示する。当該水膨潤性ポリマーの添加は、胃の中膜内における当該活性成分の素早い放出に役立つ。
【0021】
国際特許公開第WO00/76479号は、メタクリル酸コポリマー及びフタレート・ポリマーを含む2つの腸溶性ポリマーの混合物を使用する、風味マスキング組成物を開示する。当該特許は、活性成分の放出を補助するための水溶性材料又は水膨潤性材料を含むチャンネル化剤の使用を開示する。当該特許中に開示されるような腸溶性ポリマーは、当該ポリマーが溶解するアルカリ性pHで、活性成分を放出するものとして知られる。当該活性成分の放出は、腸溶性ポリマーの使用により及び上部消化管に限られる狭い吸収領域を有する薬剤の場合に、遅らせられるであろう。それ故、かかるシステムは、限られた使用となるであろう。
【0022】
風味マスキングのために、非常に苦い薬物セフロキシム・アキセチルをマイクロカプセルに入れることは、M.Cuna et al(M.Cuna,M.L.Lorenzo,J.L.Vila−Jato,D.Toress,M.J.Alonso,Acta Technologiae et Legis Medicamenti.volume VII,N.3,1996)により開示され、風味をマスクする最終目標と共に、異なるポリマー材料、例えば、セルロース・アセテート・トリメリテート(trimellitate)、HPMCP−50、HPMCP−55を使用し、及び腸内空洞中へのその放出を保証する。Alonso et al(M.J.Alonso,M.L.Lorenzo−Lamosa,M.Cuna,J.L.Vila−Jato 及び D.Torres,Journal of Microencapsulation,1997,Volume 14,NO.5,607−616)は、pH感受性アクリル・マイクロスフィア内に、懸濁剤形を調剤するため、非常に苦い薬物であるセフロキシム・アキセチルをカプセルに入れることを記載する。使用されるアクリルポリマーは、eudragit E(登録商標)、eudragit RL 100(登録商標)、eudragit L100−55(登録商標)であった。当該カチオン性ポリマー eudragit E(登録商標)は、セフロキシム・アキセチルとのネガティブ相互作用を示す。当該腸溶性ポリマー eudragitL100−55(登録商標)は、アルカリ性のpH中の有益な放出を示す。
【0023】
上記開示において、セフロキシム・アキセチルの放出は、アルカリ媒体において研究されていた。これに反して、Danzig et al(Anne H. Dantzig, Dale C.Duckworth,Linda B.Tabas,Biochimica et Biophysica Acta 1191,1994,7−13)は、セフロキシム・アキセチルが、エステラーゼにより腸管腔内において加水分解され、セフロキシムとなり、当該腸管腔内のセフロキシム・アキセチルを低減し、そして結果として低減吸収をもたらし、ヒトにおけるセフロキシム・アキセチルの低い生物学的利用能をもたらすことを示した。セフロキシム・アキセチルは、既に、32〜50%の低い生物学的利用能であって、それ故、当該剤形態様に起因する生物学的利用能のさらなる低減は、最小化されるべきである。
【0024】
当該風味マスキング製剤は、当該薬物の生物学的利用能が妥協されないようにデザインされるべきであり、そして腸溶コーティングのようなポリマーの使用は、ピークの時間に影響を与えるべきでない。さらに当該薬物は、血漿内の有効治療濃度を確実とするために十分に吸収されるべきである。Vogleman et al(B.Vogleman,William A.Craig 108(5,pt2)835−40,Journal Pediatric 1986 & B.Vogleman,William A.Craig,S.Ebert,S.Gudmundsson,J.Leggett,J.Infect.Diseases 1988,158(4),831−47)は、殺菌が、素早く、徹底的に実施され、そして濃度に比例して増大することを確立する。当該薬物の高濃度下、当該殺菌は完全であり、ほとんど瞬間的なものである。薬物の素早く及び完全な吸収そして高い全身性濃度は、所望の治療効果を誘発するのに重要である。
【0025】
極端に嫌な味の活性成分は、風味マスキングの所望のレベルを得るためのポリマーの高濃度を必要とし得る。しかしながら、これは、当該製剤からの当該活性成分の放出を遅らせ得る。ポリメタクリレートのようなポリマーに対して、推薦される安全な投与量は、体重の2mg/kgであり(Rohm Pharma GmbH.Technical Literature,Eudragit 1990及びHand book of Pharmaceutical Excipients published by American Pharmaceutical Association & The Pharmaceutical Society of Great Britain)、ヒトに投与される現実の配合における当該ポリマーの高濃度の使用を制限することによりそこに至る。
【0026】
米国特許第5,599,556号は、当該活性成分が、プロラミン穀物蛋白質及び可塑剤由来の単一の外側ポリマー・コーティングでコートされる場合の液剤を開示する。ポリビニル・ピロリジンと混合される当該苦味のある薬物であるクラリスロマイシンは、風味マスキングを達成するためにプロラミンによりコートされ、そしてコートされた粒子状物質は、pH6超の懸濁溶媒内に分散させられる。当該コーティングは、いったん、当該組成物が口を離れ、そして胃に到達したならば、素早く分解するようにデザインされる。医薬の液状経口組成物の大部分は、pH3.5〜5.5で配合される(US Pharmacopoeia/National Formulary 23/NF 18,1995)。高いpHでは安定しないであろう薬物もあり、極端に酸性のpHで安定しないであろう薬物もあり、長期暴露に渡って分解する傾向にあるだろう。
【0027】
米国特許第5,489,436号は、当該コーティングが胃の低いpHで可溶性となるが、しかし口の高いpHで比較的不水溶性となるようにデザインされる際の、コートされた薬剤からなるチュアブル錠を開示する。当該コーティングは、ジメチルアミノエチル・メタクリレート、及び中性メタクリル酸エステルのポリマーブレンド、及びセルロース・エステルを含む。上記記載の風味マスキング経口製剤の“逆腸溶性”コーティング方法は、チュアブル錠と共に開示される。
【0028】
国際特許公開第WO02/096392号は、高い水溶性の薬物であるセトリジン・ハイドロクロライドの風味マスキングを開示する。ヒドロキシ・プロピル・メチル・セルロース、ポリビニル・ピロリジン、エチル・セルロースのようなポリマーは、タブレット形状におけるセトリジンの風味を効果的にマスクし、及び胃の中の一般的な酸性状態下において、当該薬物をすぐに放出するように使用される。
【0029】
上記開示から明らかなことに、風味マスキングは、様々な方法により達成される。Eudragit Lのような腸溶性ポリマーは、風味マスキングとして使用されるが、しかし唾液のpHは、5.8付近であり、そしてこれらのポリマーは、pH5.5超で可溶化する。それ故、薬物の一部浸出の可能性がある。その結果、風味マスキング・ポリマーの開発の必要性があり、というのは、当該苦味が、口内の唾液のpH及び当該液状経口薬の場合のような再構成溶媒中のpHで、当該ポリマーにより完全にマスクされるようにするためであり、及びさらに生物学的活性型における薬物を保護できるようにするため、及び溶媒和形状又は他の多形に変形することから妨害する当該剤形において湿気からも保護できるようにするためである。
【0030】
薬物の治療有効性は、所望の薬理反応を誘発するのに十分な割合及び量で、その作用部位に薬剤をデリバリーするための当該剤形の能力に依存する。この特質は、生物学的利用能として言及される。多くの薬物の物理化学的性質は、消化管からの吸収特質に関する大きな影響を有する。他のメカニズムによる薬物の吸収のための重要な必要条件は、水溶液中に存在しなければならないことである。薬物の弱い生物学的利用能は、その弱い水溶解度、及び体液中のゆっくりとした溶出速度、及び生理液中の溶解薬物の弱い安定性の結果である。
【0031】
しばしば、化学物質は、異なる規則状態で存在する。これは、多形として言及される。当該薬物が存在する多形は、さらに製法技術により影響され得る。様々な結晶型は、見せかけの多形も含む。ある種の医薬品に観察される多形及び見せかけの多形に因る相違は決定的であり、その理由は、これらの医薬品の異なる結晶性形状の物理的及び化学的特性が変化するからである、ということがよく知られている。医薬物及び賦形剤は、複数の結晶型に結晶化される(多形体、結晶性改良)。物質の多形体は同様の化学式を共有するけれども、結晶構造における相違が、物質の生理化学的パラメータ、例えば、溶解度、溶出速度、密度に影響し得(Haleblain,J.K.及びMc Crone,W,Journal of Phrmaceutical Sciences,58(8)Aug,911−929,(1969))、同様に、重要な医薬特性、例えば、生物学的利用能、薬物の安定性、並びに剤形の製剤技術に影響を与え得る(Byrn,S.,Pfeiffer,R.,Ganey,M.,Hoiberg,C.,Poochikian,G.,Pharmaceutical Research,12(7),945−954,(1995))。当該物理的により安定する多形は、最も低いエネルギー態様、最も高い融点、及び最も少ない水溶解度である。他の型は、準安定型であり、より高いエネルギー、より低い融点、及びより高い溶解度を有する。当該準安定型は、より優れた溶解度を有し、及びそれ故より優れた生物学的利用能を有しているので、それらは製剤において好まれる。非晶形において存在する薬物は、より高いエネルギー及びより優れた水溶解度を有する。ノボビオシンの非晶形は、当該結晶性形状よりも10倍優れた溶解度を有する。それ故、薬物の固形の異なる形状の溶解の順序は、非晶質>準安定型>結晶質である。
【0032】
一般的に、水中に僅かに溶解し高い結晶化度を有する薬物は、低い生物学的利用能であり、というのは、それらは、消化管内において、低い溶解度及び低い分解度を有するからである。結晶化合物をその非晶質状態に変化することは、当該化合物の水溶解度を実質的に増大し、結果的に生物学的利用能を増大することになるだろうことが知られている。
【0033】
生体内の薬物放出過程が吸収過程より遅いとき、吸収は、溶出速度限定といわれる。全体的過程において、溶解は吸収に先立つが故に、薬物放出又は溶解過程における変化は、その後、薬物吸収に影響を与える。例えば、Lieberman et al.(1989)、Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Vol.1 34−36ページ Marcel Dekker,New Yorkを参照のこと。その結果、組成物の溶解時間は、速やかに開始されるデリバリーを対象とする組成物を評価する際に、特に薬物吸収が溶出速度限定である場合、考慮すべき重要な基本的特徴の内の1つであることが明らかである。
【0034】
結晶性固体であって、高度に組織化された、格子状の構造体に因るものは、典型的に、溶解のためのかなりの量のエネルギーを必要とする。結晶から抜け出るための薬物分子の必要とするエネルギーは、例えば、同様の薬物分子が非結晶質、非晶形から抜け出るためのエネルギーよりも非常に多い。非晶質を得るための方法として、固体分散体を粉々にし又は形成することが考慮される。それらの吸収性を改良するために、薬物結晶を細かく粉々にするための又はそれらを非晶質に変換するためのいくつかの方法が、試験されている。
【0035】
技術は、当該非晶質薬物の結晶化を克服するために発達している。製剤の改良のための単純な戦略は、薬物の溶解度を増大すること、及びそれ故、吸収される当該薬物の画分を増大することを好む。一般的に使用される当該技術は、コーティング及びカプセル化することを含む単純な遮断法であって、それらの内のいくつかは、分子を配合することが困難であるような、経口デリバリー用の消化管の吸収を増大するための化学的担体の使用を含む。
【0036】
米国特許第4,673,564号は、ポリマーであるヒドロキシプロピルメチル・セルロースの存在下、結晶質ニカルジピン又はその塩を摩擦粉砕することにより得られる非晶質のニカルジピンの持続放出医薬組成物製造方法を開示する。結晶質のニカルジピンの細かい粉末への粉砕は、ボールミル又は振動ボールミル中で、少なくとも10〜16時間、実施される。しかしながら、当該分散を形成する方法は、徹底的な及び時間のかかるボールミルによるものであり、そして、ある感受性活性成分についてのそのような方法の適用は限られるであろう。国際特許公開第WO02/087588号は、優れた安定性及び放出性を有する非晶質セフジトレン・ピボキシルの組成物を開示する。非晶質のセフジトレン・ピボキシルの組成物は、医薬として許容される有機ポリマーの存在下、結晶質のセフジトレン・ピボキシルを粉砕することにより得られる。
【0037】
しかしながら、微粉砕により、粒径はロット間で不均一となり又は粒子間力が促進され凝集を引き起こす。粉砕により非晶形となり得る薬物結晶は、限られる。
【0038】
周囲温度及び圧力で、通常結晶化し及び難水溶性の医薬活性成分の非晶質の薬物組成物の製造として報告される他の方法は、医薬として許容される媒体の融解溶液中の当該薬物の溶解又は分散、及び当該活性成分を実質的に非晶形に保持する安定剤の追加を含む。
【0039】
ある場合には、当該結晶性活性成分を溶解することが可能であり、有限時間で融解状態においてそれを維持し、そして次いで冷却し非晶質固形にすることができる。
【0040】
米国特許第6,171,599号は、エホニジピン・ヒドロクロライド、ヒドロキシ・プロピル・メチル・セルロース・アセテート・スクシネートを、85〜160℃に加熱するサイクルに処し、その後浸漬処理により水含有溶液とすることによる、非晶質のエホニジピン組成物の製造方法を開示する。米国特許出願公開第20020127号は、低水溶解度を有する結晶質の医薬組成物の水溶解度を改良するための方法及び製剤に関し、当該方法等は、当該組成物を、粒状医薬製剤中に安定するような非晶質状態に変換することによる。それは、イトラコナゾールの水溶解度及び生物学的利用能を改良する方法を開示し、当該方法は、イトラコナゾールを非晶質状態に変換し、この状態に安定化し、そして整粒し安定化した顆粒を形成することによる。当該方法は、当該活性成分を、疎水性媒体の融解溶液中に溶解することを含む。
【0041】
米国特許第6,497,905号に開示されるように、抗真菌薬であるイトラコナゾールの他の組成物において、結晶性イトラコナゾールは、グリセリル・モノステアレートの融解溶液に溶解すること、その後安定剤としてヒドロキシ・プロピル・メチル・セルロースを添加すること、そしてさらに崩壊剤の添加、そして5℃未満まで徐々に冷却し又は当該温度まで素早く冷却することによる顆粒の形成により、非晶形に変換させられる。
【0042】
欧州特許出願公開第EP0852140号は、難水溶性医薬物質を非晶質状態に変換する方法であって、軟水溶性医薬物質、非晶質状態誘導剤、及び非晶質状態安定化剤の化合物を混合するステップ、及び結果混合物を熱処理又は機械化学処理に供するステップを含む、当該方法を開示する。欧州特許出願公開第0462066号は、ゲムフィブロジルを融解し、及び次いで当該ポリマーと混合することによる、又は溶媒蒸発による、ポリビニル・ピロリドンからなる固体分散体中のゲムフィブロジルの新たな物理的形状に関する。
【0043】
上記全方法は、安定非晶質固体を形成でき及び加熱ステップにより分解されない、特定の活性成分に限られる。いくつかの実施例においては、当該活性物質が分解され、及び当該担体が劣化するだけでなく、活性成分は非晶質状態に十分に変換されない。さらに、僅かに水溶性の化合物の溶解度及び吸収度は、固体分散体を形成するためにポリマー中に分散することにより改良されることが知られている。
【0044】
米国特許第5,445,830号は、非晶質状態中のメチル・3−フェニル−2 (E)−プロペニル・1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−4−(3−ニトロフェニル)ピリジン−3,5−ジカルボキシレートを含む高吸収性医薬組成物、及びメタクリル酸のpH感受性コポリマー又はその誘導体を開示する。当該発明者等は、メタクリル酸のpH感受性コポリマー又はその誘導体を使用して、当該化合物が非晶質状態に維持された場合に限り、改良溶解度が達成されたことを開示する。さらに、当該発明者等は、セルロース型高分子化合物又はポリビニルピロリドン又はそのようなものの如きポリマーを使用する場合に、当該化合物の溶解度が改良されたことを開示する。当該特許は、上記問題を克服するための高容量の親水性ポリマー及びeudragitポリマーの混合を開示する。しかし、当該pH感受性ポリマーに加えて親水性ポリマーの使用は、その非晶形における活性の風味マスキングが、当該薬物粒子が水性媒体中に懸濁させられる場合に所望される際の適用において、そのようなデリバリーシステムをほとんど役立たなくさせる。
【0045】
米国特許出願公開第2002040051号は、高水溶性ポリマー中のイプリフラボンの固体分散体を開示する。当該結晶性イプリフラボンは、スプレー乾燥の間に非晶形に変換され、当該生物学的利用能が増大する。欧州特許出願公開第EP0838218号は、非晶形のポリビニル・ピロリドン(PVP)及びニフェジピンの共沈物を含む制御放出医薬組成物であって、ニフェジピン及びPVPを含む溶液をスプレー乾燥すること、及び8〜24時間にわたって当該共沈物から当該薬物を放出することにより得られる当該医薬組成物を開示する。これらの組成物は、持続放出についてより好適である。さらに、当該結晶性形状の変換並びに生物学的利用能に関する分子量の影響は、議論されていない。
【0046】
米国特許第6,503,927号は、安定性非晶質パロキセチン・ヒドロクロライド組成物であって、酸味料及びポリビニル・ピロリドンを含む水性媒体を使用すること、及び得られた固体分散体を乾燥することにより製造される当該組成物を開示する。また、他の米国特許第6,168,805号は、ポリビニル・ピロリドンを含む固体非晶質組成物の製造方法を開示する。パロキセチン遊離塩基と水とを混合する非晶質パロキセチン、及び約10,000〜450,000の平均分子量を有するポリビニル・ピロリドンを入手する方法、及び乾燥して非晶質パロキセチン及びポリマーを含む組成物を形成する方法を開示する。ポリビニル・ピロリドンはポリマーとして好まれ、というのは、固体タブレット形状から前記パロキセチンの放出を制御又は遅延しないからである。
【0047】
ポリビニル・ピロリドンを利用する前記組成物は、水性媒体と接触する場合の当該活性成分をデリバリーする際に有用であるが、しかし、そのようなシステムは、液状剤形中に配合され得ず、というのは、再構成媒体中で活性成分の放出の可能性があり、及び当該水性媒体と接触する場合に当該活性成分の再結晶化の可能性も有するからである。
【0048】
国際特許公開第WO00/71098号は、非晶質パロキセチンを含む医薬組成物の製造方法、及び共溶媒ポリエチレン・グリコール及び錯化剤クロスポビドンの使用により、それを非晶形に維持する方法を開示する。前記発明において、共溶媒の使用は、パロキセチンの非晶形を維持するための本質的要素であり、そしてそれの欠如は、錯化剤の存在下であっても当該活性成分の再結晶化を引き起こす。共溶媒としての、ポリエチレン・グリコールのような添加剤は、水性媒体中の薬物の浸出が所望されない場合の医薬剤製造において有用ではないであろう。
【0049】
米国特許第4,857,336号は、カルバマゼピンの浸透性のデリバリーシステムを開示し、ここで当該システムにおいて、セルロース・アセテートからなる外壁は、水に透過性を有するが、しかし、カルバマゼピン・ハイドレートの結晶成長を阻害する保護コロイドとしてのヒドロキシ・プロピル・メチル・セルロース、及びビニル・ピロリドンと膨潤性親水性ポリマーとして60,000〜15,000の分子量を有するビニルアセテートとのコポリマーとからなる当該中心の成分には透過性を有さない。
【0050】
米国特許第5,980,942号は、親水性ポリマーのヒドロキシ・プロピル・メチル・セルロース、疎水性ポリマーのエチル・セルロース、及び結晶質のカルバマゼピンからなるポリマー・マトリクスを含むドラッグ・デリバリーシステムであって、当該ポリマーが当該カルバマゼピンを非晶質無水型に変換する場合のポリマー・マトリクスを組み込まれる当該デリバリーシステムを開示する。さらに、当該ポリマー・マトリクスは、非晶質カルバマゼピンをゼロオーダー比でより容易に放出する結晶ジハイドレート型への、無水カルバマゼピンの転換を阻害する。当該特許中に言及されるようなポリマー・マトリクスは、改良デリバリーとして、より好適である。さらに、これらのポリマーは、pH依存性溶解特徴を示さず、それ故、即時放出にとって適していない。
【0051】
国際特許公開第WO03/024426号は、カルベジロールを含む制御放出組成物であって、固体分散体の製剤の間に、当該カルベジロールが結晶から非晶形に変換され、そして安定化される場合における当該制御放出組成物を明らかにする。約20,000の分子量を有する当該ポリマーであるポリエチレン・グリコール又はポリエチレン・オキシドは、この目的のための製剤中に使用され、そして製剤から薬物を制御放出する。当該安定剤は、当該組成物中で再結晶化を防止し、保存期間を増大する。
【0052】
米国特許第2002006951号は、難溶性薬物であるセレコキシブ、及びポリマーを有するその混合物を含む、経口デリバリー可能な医薬組成物を開示し、ここで当該ポリマーは、濁度低減特徴を有するポリマーであるポリビニル・ピロリジン、及びセルロース系ポリマーであるヒドロキシ・プロピル・メチルセルロースである。当該特許の開示に従って、当該ポリマーは、疑似胃流動体の中で、及び摂取に関して当該薬物の結晶化及び/又は沈殿を阻害する。本開示において使用されるポリマーは、150,000の分子量を有するHPMC、及び50,000の分子量を有するポビドンを包含する。本特許は、当該薬物が、限られた時間で水性媒体に暴露される胃腸管内の当該水性媒体に対する暴露に関する当該薬物の再結晶化の阻害を開示する。液状経口製剤においても、当該水性媒体は、長期の再構成期間にわたって当該薬物を取り囲む。
【0053】
欧州特許出願公開第1027886号は、難溶性薬物の固体分散体、及び分解防止ポリマーを含む組成物を開示する。当該特許は、相対湿度50%で測定される少なくとも100℃のガラス転移温度を有するポリマーが、非晶形の当該薬物の大部分を保持するのに貢献することを開示する。本明細書中に記載のような用語、当該薬物の“大部分”とは、一旦分散した当該薬物の少なくとも60%が、結晶性形状よりもむしろ非晶形となることを意味する。分散して存在する非晶質の薬物は、時間とともに再結晶化する傾向にあり、そして、もし結晶性形状になると当該薬物の生物学的利用能が悪影響を受けるとして、結晶性形状中の20〜30%の薬物でさえ、所望されないであろう。
【0054】
セフロキシム・アキセチルは、広範囲のグラム陽性及びグラム陰性微生物に対して、高い活性を有するセファロスポリン抗生物質である。経口投与に対する抗生物質は、消化管から血流への吸収が最大となるための高い生物学的利用能を提供する形状となるべきである。セフロキシム・アキセチルについて、当該先行技術は、高い生物学的利用能を提供する経口投与のための組成物を作成する場合の多くの困難を開示する。純粋なセフロキシム・アキセチルは、結晶質形状又は非晶形において製造され得る。3つの多形が存在し得、約180℃の高融点を有する結晶性形状、約135℃の高融点を有する実質的非晶形、及び約70℃の低融点を有する実質的非晶形である。水中で難溶性であり、及び水性媒体と接触してゲルを形成するセフロキシム・アキセチルの結晶性形状は、当該消化管内に容易には吸収されず、経口投与に関するその生物学的利用能を非常に低くさせる。
【0055】
国際特許公開第WO99/08683号は、セフロキシム・アキセチル及びポビドンのような水溶性賦形剤の共沈物の製造方法を開示する。当該製剤中に使用されるセフロキシム・アキセチルは、純粋な非晶形である。米国特許第6,107,290号は、共沈物に関して実施される熱分析を開示する。PCT出願第WO99/08683号は、湿潤条件下の吸収ピーク温度におけるシフトが、乾燥条件下の根源的状態に戻ること、及び共沈物に関して吸収される水が結合水と判断され、そしてその事は当該薬物の特性における物理化学的変化を引き起こすことを示す。さらに、水溶性賦形剤の使用にも係らず、当該共沈物からのセフロキシム・アキセチルの溶解は、十分に促進されず、従って、当該共沈物を含むセフロキシム・アキセチルの生物学的利用能は、比較的低い。
【0056】
米国特許第6,107,290号は、シリコン・ジオキシド、微結晶質セルロースのような不水溶性添加物、架橋ポビドン、架橋ソジウム・カルボキシメチルセルロース又はそれらの混合物を含む、スプレー乾燥により得られる非結晶質のセフロキシム・アキセチル固体分散体を開示する。この特許に開示される方法は、固形経口剤形について有用かもしれないが、しかし、苦味がマスクされないであろう液状経口製剤について適用され得ない。
【0057】
欧州特許出願公開第EP1077067号は、亜鉛塩により安定させられるセフロキシム・アキセチルの固形組成物、及びスプレー乾燥により純粋な非晶形で得られるセフロキシム・アキセチルを開示する。そのような剤形は、固形経口剤形として最も適している。
【0058】
米国特許第4,820,833号は、安定し及び高いレベルの生物学的利用能を提供する、実質的に非晶形のセフロキシム・アキセチルの製造方法を開示する。当該特許は、当該薬物の苦味を克服するための方法を開示しない。米国特許第5,847,118号は、結晶性セフロキシム・アキセチルを高い極性溶媒中に溶解し、そして次いで、大量の水にそれを添加することによる、非結晶質のセフロキシム・アキセチルの製造方法を開示する。当該特許は、その中に、非晶質のセフロキシム・アキセチルの製剤及び安定性を開示しない。
【0059】
米国特許第6,060599号は、ソジウム・ラウリル・スルフェート、コロイド状シリコン・ジオキシド、及びでんぷんのような医薬賦形剤の存在下においてセフロキシム・アキセチルを粉状にすることによる、非晶形のセフロキシム・アキセチル製造方法を開示する。また他の米国特許第6,346,530号において、純粋な非晶形と同様の生物学的利用能を示すタブレットを有する非晶形に加えて、結晶質セフロキシム・アキセチルの約7〜25%を含む、セフロキシム・アキセチルの生物学的利用能可能な組成物の製造方法当該方法が開示される。
【0060】
国際特許公開第WO98/43980号は、ジメチル・スルホキシド中に結晶質セフロキシム・アキセチルを溶解すること、そして当該混合物を凍結し、その後5℃で水を加えることによる、非晶形セフロキシム・アキセチルの製造を開示する。得られる沈殿物は、真空内で乾燥される。国際特許公開第WO99/32124号は、‘R’型から遊離する非晶質‘S’セフロキシム・アキセチルを含む、医薬組成物を開示する。当該特許出願に開示されるような組成物は、当該1:1のラセミ混合物より、より口当たりがよいように請求される。
【0061】
国際特許公開第WO99/44614号は、セフロキシム・アキセチルの医薬組成物、及び微少環境pH調整剤として、及びセフロキシム・アキセチルについての抗ゲル化剤としてシリコン・ジオキシド又はその水和物を開示する。シリコン・ジオキシドは、当該タブレット中心において、外気からの水分の吸収に起因し、及び胃の流動物の浸入にも起因するセフロキシム・アキセチルのゲル化を避ける、微少環境pH調整剤として作用し、結果として生物学的利用能を強化する。
【0062】
国際特許公開第WO02/43707号は、二重層フィルムコートを有するセフロキシム・アキセチルの風味マスキング・タブレット組成物を開示し、ここで、第1コートは、苦味をマスクするために役立ち、そして第2コートは、40秒超、当該タブレットの破裂時間を遅らせる。
【0063】
上記の全開示は、セフロキシム・アキセチルのような薬物の非晶形を得る方法又はその生物学的利用能を改良する方法、及び固形剤形のための風味マスキングを例証する。当該開示は、液状経口製剤におけるセフロキシム・アキセチルの風味マスキング、そして非晶形においてそれを維持し及び生物学的利用能を落とすことなしに胃の中で即時に放出するためのポリマーを明らかにするものではない。
【0064】
我々の同時継続特許出願第NF403/2003号は、我々の他の同時継続特許出願第NF402/2003号に記載され及び請求される新規ポリマーを使用する、苦味のある薬物の風味マスキングされる組成物を開示し請求する。
【0065】
先行技術から薬物の結晶性形状に加えてポリマーの使用は、当該同様の薬物を非晶形に変換でき、そして再結晶化を防ぐためのポリマー又は共溶媒の使用により安定化させることができることが知られている。水溶性及び膨潤性ポリマーとしてしられる多くは、早くに結晶化の阻害のために使用され、及び当該医薬組成物からの難溶性薬物の溶解度及び溶解を改良するために使用された。そのようなポリマー・システムは、固形並びに液状組成物中の当該薬物の風味マスキングにおける適用はほとんどないだろう。
【0066】
それ故、多形において、難水溶性薬物を含む液体経口薬としての再構成媒体中に存在する薬物の結晶化を阻害するための手段について、及び特に当該溶媒の存在下で多形転移を被る傾向にあるような薬物について本分野における必要性が残る。
【発明の開示】
【0067】
本発明の目的
本発明の主目的は、非常に苦い薬物の風味マスキングを可能とし、実質的な非晶形における医薬組成物中の当該活性成分を維持し、前記薬物の生物学的利用能が維持されるようにすることである。
【0068】
本発明の他の目的は、剤形間の多形において存在し、及び非常に低いポリマー負荷で存在する、当該薬物の結晶化を阻害するための高分子量を有するpH感受性ポリマーを使用して、苦味のある薬物の風味マスクされる組成物を提供することである。
【0069】
本発明のさらに他の目的は、pH感受性ポリマーを使用して風味マスクされる組成物で提供することあって、ここで、当該ポリマーは、液状経口薬の場合において、唾液中、及び再構成媒体中でも、苦味のある薬物の浸出が阻害されるように、pH>3.5の範囲内で液状媒体中の当該活性剤の放出を阻害する。
【0070】
本発明は、当該活性成分の結晶化傾向の阻害に関するポリマーの分子量の効果であって、高められた生物学的利用能を導く当該効果も開示する。
【0071】
本発明の他の目的は、pH感受性ポリマーを使用して風味マスクされる苦味のある薬物組成物を提供することであって、ここで当該ポリマーは、その生物学的利用能に影響を与えることなしに胃の中で当該活性剤を素早く放出するように、胃の中に見出されるような酸性環境中で膨潤又は溶解するものである。
【0072】
本発明の概要
それ故、本発明は、生物学的利用能が高められた風味マスクされた医薬組成物であって、一般式P[A(x)B(y)C(z)]:DのpH感受性ポリマーを含み、{ここで‘A’は疎水性モノマーであり、‘B’は塩基性モノマーであり、‘C’は親水性モノマーであり、そして‘D’は多形において存在する薬物であり、ここで、Xは30〜95%の範囲であり、Yは5〜70%の範囲であり、そしてZは0〜65%の範囲であり、ここで、上記%は全て重量に関して示され、そしてP:Dの比は、30:1〜0.2:1の範囲である。}を有する、当該医薬組成物を提供する。
【0073】
本発明のある態様は、50,000〜7,00,000の範囲にある当該ポリマーの分子量である。
【0074】
本発明の他の態様は、当該疎水性モノマー(A)は、シクロヘキシル・アクリレート、ドデシル・アクリレート、2エチル・ヘキシル・アクリレート、オクチル・アクリレート、第三ブチル・アクリレート、フェニル・アクリレート、ブチル・アクリレート、メチル・メタクリレート、ベンジル・メタクリレート、シクロヘキシル・メタクリレート、フェニル・メタクリレート、第三ブチル・メタクリレート、ブチル・メタクリレート、2エチルヘキシル・メタクリレート、プロピル・メタクリレートより例示されるアクリル酸、及びメタクリル酸の誘導体を含み、好ましいアクリル酸、及びメタクリル酸の誘導体は、メチル・メタクリレート、ブチル・メタクリレート、及びブチル・アクリレート、最も好ましくはメチル・メタクリレートより例示される。
【0075】
他の態様において、当該塩基性モノマー(B)は、ジメチル・アミノ・エチル・アクリレート、ジエチル・アミノ・エチル・アクリレート、ジメチル・アミノ・エチル・メタクリレート、ジエチル・アミノ・エチル・メタクリレート、ピペリジン・エチル・メタクリレート、2tert−ブチル・アミノ・エチル・メタクリレート、好ましくはジメチル・アミノ・エチル・メタクリレート、及びジエチル・アミノ・エチル・アクリレートのようなアミノ・アルキル・アクリル酸、及びメタクリル酸の誘導体である。
【0076】
さらに他の態様において、当該塩基性モノマー(B)は、2−ビニル・ピリジン、3−ビニル・ピリジン、4−ビニル・ピリジン、及び5−ビニル2−ピコリン、2−ビニル4−ピコリン、2イソプロぺニル・ピリジン、イソプロペニル・ピリジン、好ましくは4−ビニル・ピリジンのようなアルケニル・ピリジンからなる群より選択される。
【0077】
さらに他の態様において、当該塩基性モノマー(B)は、ビニル・キノリン、アミノアルキル・ビニル・エーテル、アミノ・エチル・スチレン、及びアリル・アミン、好ましくはアリル・アミンから選択される。
【0078】
さらに他の態様において、本発明における当該親水性モノマー(C)は、ヒドロキシ・エチル・メタクリレート、ヒドロキシ・プロピル・メタクリレート、ヒドロキシ・エチル・エチル・メタクリレート、好ましくはヒドロキシ・エチル・メタクリレート、及びヒドロキシ・エチル・エチル・メタクリレート、最も好ましくはヒドロキシ・エチル・メタクリレートのようなメタクリル酸の誘導体を含む。
【0079】
さらに他の態様において、当該使用される苦味のある薬物は、エリスロマイシン、アジスロマイシン、及びクラリスロマイシンにより例示されるマクロライド系抗生物質、シプロフロキサシン、エンロフロキサシン、オフロキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、及びノルフロキサシンにより例示されるフルオロキノロン、セフロキシム、セファレキシン、セファドロキシル、セフポドキシム・プロキセチルにより例示されるセファロスポリン、イブプロフェン、ジクロフェナク・ソジウムの如き非ステロイド系薬及び抗炎症薬及び鎮痛薬、及びエトリコキシブ、及びセレコキシブのようなCOX2阻害剤、及びクロルフェニラミン・マレエートのような抗ヒスタミン薬、リネゾリドのようなオキサゾリジノン、及びデキストロメトルファンのような他の薬物、好ましくはセフロキシム・アキセチル、及びセレコキシブを含む。
【0080】
さらに他の態様において、薬物の生物学的利用能を高めるための、多形において存在する当該薬物の最適な風味マスキング、及び結晶転移の阻害のためのポリマー:薬物の比は、重量基準で30:1〜0.2:1、好ましくは5:1〜0.4:1である。
【0081】
本発明の風味マスクされる組成物は、pH感受性ポリマーの使用による当該薬物のコーティングにより入手され得、マイクロカプセル化、スプレー乾燥、流動層法、非溶媒中の共沈か、それともトレイ乾燥法による。当該薬物は、ポリマー・マトリクス中に分散される。
【0082】
本発明の他の態様において、当該医薬組成物は、非溶媒中の当該薬物ポリマー溶液を共沈すること又は当該薬物ポリマー溶液をトレイ乾燥することにより製造される。
【0083】
本発明の医薬組成物は、チュアブル、発泡、及び分散性タブレットのような固形剤形、及びドライシロップ、及び懸濁のような液状剤形として配合され得る。
【0084】
本発明の他の態様において、当該風味マスクされる組成物は、懸濁又はドライシロップとして配合され得る。
【0085】
本発明は、医薬組成物であって、当該風味マスキングするpH感受性ポリマーが多形薬物の結晶化傾向を低減するところの、当該ポリマー・マトリクス中に分散させられる多形における苦味のある薬物の固体分散体を含む、当該医薬組成物を提供する。風味マスキングに使用されるpH感受性ポリマーは、特別に当該疎水性ポリマー、親水性ポリマー、及び塩基性ポリマーを含む。
【0086】
本発明は、バルク又は溶液重合、好ましくは溶液重合を含む、pH感受性ポリマーの製造方法も提供する。
【0087】
本発明の他の態様において、溶液重合は、溶媒存在下で実施される。重合過程に使用される溶媒は、当該モノマーが溶解するいずれかの溶媒であり、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素、アルコール、エステル、ケトン、ホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、及びジメチル・スルホキシド、好ましくはジメチル・ホルムアミドから選択され、ここでモノマーに対する溶媒の比率は、モノマーの重量基準の20〜100%、好ましくは30〜80、最も好ましくは30〜70%である。
【0088】
本発明の他の態様において、当該溶液重合は遊離基開始剤の存在下で実施され、ここで当該遊離基開始剤は、アゾ化合物、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド、過酸及び過エステル、好ましくはアゾ−ビス−シアノ吉草酸、アゾ−ビス−ジフェニル・メタン、アゾ−ビス−メチル・イソブチレート、及びアゾ−ビス−イソブチロニトリル、最も好ましくはアゾ−ビス−イソブチロニトリルを含むアゾ開始剤を含むファミリーから選択され、ここでモノマーに対する開始剤の重量%は、0.1〜5、好ましくは0.2〜3である。
【0089】
他の態様において、当該医薬組成物は、当該薬物の生物学的利用能が影響されないように、得られた分散中の非晶形における十分量の当該薬物を有する。当該pH感受性ポリマーの分子量及びその粘度は、当該薬物の結晶化の阻害に関与し、そしてそれを非晶形中に実質的に維持する要因となる。当該医薬組成物中の当該pH感受性ポリマーは、もし液状経口薬が、よりおいしく風味マスクされた組成物を与え、及び即時放出として胃部内に当該薬物の大部分を放出する場合には、当該薬物の放出が、唾液中で、及び再構成媒体中でも阻止されるように、pH3.5〜7の中性又は中性付近の液状媒体における当該薬物の浸出を防ぐ。
【0090】
特に、本発明は、安定した風味マスキング組成物であって、当該活性剤に関連する嫌な味を形成することなしに摂取されること、一方、ヒトの胃の中にみられるpHレベルへの暴露に関する迅速な生物学的利用能をも提供することが可能な液状懸濁液として配合され得る、当該組成物を含む。当該請求される組成物の風味マスキング特徴は、液状懸濁液として保存される十分な期間、組成物が当該活性剤の嫌な味をマスクできるように安定することであり、すなわち、当該分散から当該活性剤の最小限の漏出が保存期間に発生し、及び当該pH感受性ポリマーの防湿層の特徴が、液状媒体中の非晶質の薬物分子の結晶化を防ぐ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0091】
本発明の詳細な説明
部分的溶解度を有する薬物原料は、異なるポリマー及び賦形剤を混合するとき、結晶化度において低減することがわかっている。当該薬物の非晶形は、しばしば不安定であり、そして当該結晶性形状に変換できる。固体分散体技術は、非晶形を安定させるために使用される。当該発明は、当該風味マスクされる固体分散体の形成及び非晶形における当該活性成分の保持に十分な、最少量の高分子量pH感受性ポリマーの使用を開示する。
【0092】
本発明は、多形を示す薬物の結晶化傾向を低減するpH感受性ポリマーを含む医薬組成物であって、ここで当該pH感受性ポリマーが、当該ポリマー中に95〜30重量%の疎水性モノマー、10〜60重量%の親水性ポリマー、及び5〜70%の塩基性ポリマーを本質的に含み、ここで当該ポリマーの分子量が、当該薬物の結晶化の低減に貢献する50,000〜700,000の範囲であり、ここで、当該薬物がポリマー・マトリクス中で分散型又はコーティング型において存在し、当該薬物が実質的に非晶形にあり、胃の流動体内で即時放出されるように、同時に唾液のpHで又は液状経口薬の場合の当該再構成pHで薬物放出を阻害するような、当該医薬組成物を開示する。
【0093】
本発明は、pH感受性ポリマーによりコーティングされた活性剤を含む、風味マスクされた組成物を提供する。本発明の当該pH感受性ポリマーは、胃の中にみられる酸性pH中で膨潤し、及び溶解し、そして遅れを生ずることなく当該薬物を放出する。本発明のpH感受性ポリマーは、pH>3.5の範囲内において、完全に非膨潤のままであり、及び実質的に不溶性である。当該ポリマーがpH>3.5の範囲で不溶性であるので、ドライシロップが再構成される液状媒体中の当該薬物の浸出は阻害され、及び同様の効果が懸濁液中でも発揮されるだろう。唾液のpHは中性付近であり、よって本発明に開示されるポリマーは、当該薬物放出を阻止し、及びそれ故風味マスキングを提供するだろう。本発明のpH感受性ポリマーは、慣習的タブレット、分散性タブレット、及びチュアブル・タブレットのような即時放出製剤として要求される固形剤形を風味マスクするためにも使用され得る。本発明のpH感受性ポリマーは、水溶性でなく、及び水中で膨潤しない、よって、摂取前に水中に落とされる、及びほぼすぐに当該薬物を放出するための分散性タブレットの製造において使用され得る。当該ポリマーは、酸性媒体中、素早く膨潤し、及び溶解するので、当該活性成分の湿潤、及び可溶化にさらに役立つ。当該pH感受性ポリマーは、かなりの時間にわたり当該活性成分が味蕾と接触するチュアブル・タブレットの場合、当該薬物の風味をコーティングし、及びマスクするために使用され得る。
【0094】
本発明の範囲における当該ポリマー製剤は、薬物を風味マスキングすることに特に好適であり、当該薬物は、非常に苦味があり、当該薬物が存在する、及び当該非晶形が他型より好まれる場合の多形に依存して様々な生物学的利用能レベルを示し、及び胃の中で素早く放出される必要がある。しかしながら、本発明のpH感受性ポリマーの適用は、多形を示す当該薬物の風味マスキングに限定されない。嫌な及び苦い味を有する薬物は、当該ポリマー・コーティングに供され得る。使用され得る当該苦味のある、嫌な味の薬物の例は、エリスロマイシン、アジスロマイシン、及びクラリスロマイシンにより例示されるマクロライド系抗生物質、シプロフロキサシン、エンロフロキサシン、オフロキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、及びノルフロキサシンにより例示されるフルオロキノロン、セフロキシム、セファレキシン、セファドロキシル、セフポドキシム・プロキセチルにより例示されるセファロスポリン、イブプロフェン、ジクロフェナク・ソジウムの如き非ステロイド系薬及び抗炎症薬及び鎮痛薬、及びエトリコキシブ、及びセレコキシブのようなCOX2阻害剤、クロルフェニラミン・マレエートのような抗ヒスタミン薬、リネゾリドのようなオキサゾリジノン、及びデキストロメトルファンのような他の薬物を非制限的に含む。当該薬物自体又は医薬として許容される塩又はエステルは、本発明において使用され得る。
【0095】
セフロキシム・アキセチルのような薬物分子は、液状媒体の存在下でゲル化する傾向にある。もし当該タブレットが保存の間、湿潤から保護されないならば、それらは、難溶性及び低生物学的利用能となる。よって、当該セフロキシム・アキセチルの液状経口製剤は、再構成間、当該薬物を水性環境からの保護を必要とする。セフロキシム・アキセチルは、酵素エステラーゼがそれをセフロキシムに加水分解するような消化管内の限られた吸収領域を有し、当該消化管を越えて吸収され得ず、その結果、その生物学的利用能は低減する。セフロキシム・アキセチルは、非常に苦い風味にも関連する。セフロキシム・アキセチルの医薬組成物は、それ故、風味マスクされることを必要とされる。セフロキシム・アキセチルのための水溶性及び腸溶性コーティング・ポリマーは、それ故限定使用である。
【0096】
本発明の好ましい態様において、当該固体分散体は、苦味のある薬物セフロキシム・アキセチルであって、その非晶形における第2世代セファロスポリン抗生物質を含む。非晶質のセフロキシム・アキセチルは、当該溶媒存在下で結晶化する傾向を示し、本発明において開示されるpH感受性ポリマーにより抑制される。本発明において合成される高分子量のpH感受性ポリマーは、固体分散体中の苦味のある薬物セフロキシム・アキセチルの風味マスキング及び結晶化阻害において、及び全再構成期間にわたりpH4.5の液状シロップベース中で再構成される場合においても、低負荷でより効果的である。当該ポリマーは、製剤の間、及び当該再構成懸濁液が通常消費される7日間、非晶形セフロキシム・アキセチルの結晶性形状への変換も阻害する。セフロキシム・アキセチルは、実施例4〜11及び16に示されるように、胃部内で固体分散体からほとんどすぐに、及び完全に放出される。
【0097】
カルバマゼピンのような薬物は、無水型及び非晶形においてより吸収され、そして結晶状、ニ水和物形状への変換は、低溶解度を導き、及び低生物学的利用能をも導く。さらに、セレコキシブのような薬物分子は、低水溶解度を有し、及び非晶形は、素早い放出製剤として好まれる。しかし、当該薬物は、胃の媒体の存在下で結晶化の傾向を示す。そのような薬物は、防湿層として作用し、及び当該薬物の多形転移を妨害する保護ポリマーコーティングを必要とする。先行技術から、別のポリマーの様々な負荷が、苦味のある薬物を風味マスクするために、及び結晶質薬物を非晶形に変換し、及び非晶形を維持するために使用されることが明らかである。
【0098】
商業的に入手できるポリマー、Rohm GmbH,Darmstadt,Germany(ジメチル・アミノ・エチル・メタクリレート・コポリマー)からのEudragit Eは、風味マスキング剤として有用である。一般的に、このポリマーは、塩基性pH内で不溶性である。しかしながら、当該ポリマーは、問題が生ずる中性からわずかに酸性のpHで、ある程度の膨潤を示すことがわかっている。セフロキシム・アキセチルがEudragit Eポリマーを用いてコーティングされたとき、当該薬物のネガティブ相互作用を示した(M.J.Alonso,M.L Lorenzo−Lamosa,M.Cuna,J.L.Vila−Jato and D.Torres,Journal of Microencapsulation,1997,Volume 14,No.5,607−616)。
【0099】
本発明のpH感受性ポリマーは、低負荷で、風味マスキング及び結晶化阻害を引き起こし得る利点を有する。製剤中の当該ポリマーの負荷を低下することにおける補助は、経済的に魅力があるだろうし、一日の投与量の点から、規定する必要性を満たす助けともなるだろう。本発明に記載されるような高分子量、及び高い溶液粘度を有する当該pH感受性ポリマーは、同様の形状中の非晶質の薬物を保持し、さらに当該溶媒存在下で結晶性形状中の当該薬物の変換を阻害する。さらに、当該ポリマーは、ピーク時間及び薬物の吸収が、放出の遅れる腸溶性ポリマーの場合に観察されるように遅れないために、胃の中の薬物放出の助けとなるためのチャンネル化剤又は水溶性又は水膨潤性賦形剤のような補助を必要としない。
【0100】
本発明に記載されるpH感受性ポリマーは、塩基性モノマーに加えて重合される疎水性モノマー又は親水性ポリマー及び塩基性ポリマーに加えて重合される疎水性モノマーを含む。本発明の好ましい態様において、様々な多形において存在し得る苦味のある薬物の結晶化を阻害する、当該pH感受性ポリマーは、疎水性モノマー、親水性モノマー、及び塩基性モノマーを本質的に含む。
【0101】
当該疎水性モノマーは、シクロヘキシル・アクリレート、ドデシル・アクリレート、2エチル・ヘキシル・アクリレート、オクチル・アクリレート、第三ブチル・アクリレート、フェニル・アクリレート、ブチル・アクリレート、メチル・メタクリレート、ベンジル・メタクリレート、シクロヘキシル・メタクリレート、フェニル・メタクリレート、第三ブチル・メタクリレート、ブチル・メタクリレート、2エチル・ヘキシル・メタクリレート、プロピル・メタクリレートより例示されるアクリル及びメタクリル酸の誘導体、好ましくはメチル・メタクリレート、ブチル・メタクリレート、及びブチル・アクリレート、最も好ましくはメチル・メタクリレートより例示されるアクリル及びメタクリル酸の誘導体を含む。
【0102】
当該塩基性モノマーは、ジメチル・アミノ・エチル・アクリレート、ジエチル・アミノ・エチル・アクリレート、ジメチル・アミノ・エチル・メタクリレート、ジエチル・アミノ・エチル・メタクリレート、ピペリジン・エチル・メタクリレート、2tert−ブチル・アミノ・エチル・メタクリレート、好ましくはジメチル・アミノ・エチル・メタクリレート及びジエチル・アミノ・エチル・アクリレートのようなアミノ・アルキル・アクリル酸及びメタクリル酸エステルの様々な誘導体を含む。
【0103】
当該塩基性モノマーは、2ビニル・ピリジン、3−ビニル・ピリジン、4−ビニル・ピリジン、及び5−ビニル2ピコリン、2−ビニル4ピコリン、2イソプロぺニル・ピリジン、イソプロペニル・ピリジン、好ましくは4ビニルピリジンのようなアルケニル・ピリジンの群を含む。
【0104】
当該塩基性モノマー(B)は、ビニル・キノリン、アミノ・アルキル・ビニル・エーテル、アミノ・エチル・スチレン、及びアリル・アミン、好ましくはアリル・アミンから選択される。本発明における当該親水性モノマーは、ヒドロキシ・エチル・メタクリレート、ヒドロキシ・プロピル・メタクリレート、ヒドロキシ・エチル・エチル・メタクリレート、好ましくはヒドロキシ・エチル・メタクリレート、及びヒドロキシ・エチル・エチル・メタクリレート、最も好ましくは、ヒドロキシ・エチル・メタクリレートのようなアクリル酸又はメタクリル酸の誘導体を含む。
【0105】
当該医薬組成物は、患者の胃の中に当該薬物を素早く放出することが可能である。本発明のpH感受性風味マスキング・ポリマーは、pH>3.5で不溶性であり、唾液のpH、及びpH>3.5の溶媒でも当該薬物を放出しない。当該pH感受性ポリマーは、さらに、製剤の間、多形において存在する当該薬物の結晶化を阻害することができ、非晶形中の当該薬物を保持することが可能である。
【実施例】
【0106】
[A]当該pH感受性ポリマーの製造
合成される当該pH感受性ポリマーは、親水性モノマー及び塩基モノマーに加えて疎水性モノマーを含む。当該pH感受性ポリマーは、バルク又は溶液重合により合成され得る。本発明のpH感受性ポリマーは、溶液重合により合成される。当該pH感受性ポリマーは、疎水性、親水性、及び塩基性モノマーを溶媒ジメチル・ホルムアミドの存在下で溶解することにより合成される。
【0107】
さらに、本発明のpH感受性ポリマーは、遊離基開始剤の存在下で重合される。当該開始剤は、当該pH感受性ポリマーを産生するための疎水性、親水性、及び塩基性モノマーに加えて溶媒中に溶解される。当該pH感受性ポリマーの合成のために使用される当該遊離基開始剤は、アゾ−ビス−イソブチロニトリルにより例示されるアゾ化合物のファミリーから選択される。
【0108】
当該pH感受性ポリマーは、疎水性モノマーであるメチル・メタクリレート、親水性モノマーであるヒドロキシ・エチル・メタクリレート、及び塩基性モノマーであるビニル・ピリジンを使用して合成される。当該モノマーを溶媒であるジメチル・ホルムアミド中に溶解させた。アゾ開始剤であるアゾ・ビス・イソブチロニトリルを、ジメチル・ホルムアミド中のモノマー溶液に添加した。当該反応混合物を窒素ガスでパージし、不活性雰囲気を提供した。当該重合反応を、15〜18時間、当該反応混合物を60〜70℃まで加熱することにより実施した。そのように合成された当該ポリマーを非溶媒中に沈殿させることにより回収した。石油エーテル又はジエチル・エーテル又は水のような非溶媒が使用され得る。当該ポリマーを真空下、27℃で乾燥させた。当該ポリマーは、粘度及び分子量に、及び組成に特徴付けられた。
【0109】
低いポリマー負荷で、当該ポリマー薬物の結晶化を阻害するために使用される当該ポリマーは、高分子量及び高溶液粘度を有するポリマーである。高分子量のポリマーを、本発明において、一定のモノマー組成物を使用して、及び開始剤及び当該溶媒の量を変化させることにより合成した。当該高分子量のポリマーを、モノマー含有量に対する開始剤の濃度を低減することによっても合成した。あるいは、当該高分子量のポリマーは、モノマー含有量に対する不活性溶媒の量を低減することにより合成され得る。合成されたポリマーの分子量を、Styragelカラムを使用する参考文献通り、ウォーターズ(Waters)ゲル透過クロマトグラフィー及びポリスチレン基準(Polysciences Inc.USA)を使用し決定した。ジメチル・ホルムアミド中の0.1〜1%(w/w)の範囲におけるポリマー溶液の固有粘度を、希釈手順としてのUbbelohde Viscometer、Schott Gerate,GmbHを30℃で使用して決定した。分子量についての応答固有粘度は、表1〜3に示される。
【0110】
実施例1
当該pH感受性ポリマーは、溶液重合により合成される。当該疎水性モノマーであるメチル・メタクリレート60重量%、当該親水性モノマーであるヒドロキシ・エチル・メタクリレート25重量%、及び塩基性モノマーであるビニル・ピリジン15重量%を、当該ポリマーの合成のために使用した。当該モノマーを溶媒であるジメチル・ホルムアミド中に溶解させた。アゾ開始剤であるアゾ・ビス・イソブチロニトリルを、ジメチル・ホルムアミド中の当該モノマー溶液中に添加した。当該反応混合物を、窒素ガスでパージし、不活性雰囲気を提供した。当該重合反応を、18時間、65℃まで加熱することにより実施した。そのように合成された当該ポリマーを非溶媒中に沈殿させることにより回収した。非溶媒ジエチル・エーテルを使用した。当該ポリマーを真空下、27℃で乾燥させた。当該ポリマーを、粘性及び分子量、及び組成に特徴付けた。当該ポリマー組成、当該ポリマーの分子量及び固有粘度を、表1に簡単に示す。
【0111】
【表1】
【0112】
実施例2
低いポリマー負荷でポリマー薬物の結晶化の阻害のために使用されるpH感受性ポリマーは、高分子量及び高粘度を有するポリマーである。高分子量の当該ポリマーを、当該疎水性モノマーであるメチル・メタクリレート60重量%、当該親水性モノマーであるヒドロキシ・エチル・メタクリレート25重量%、及び塩基性モノマーであるビニル・ピリジン15重量%を使用して、及び開始剤及び当該溶媒の量を変化させて合成した。高分子量の当該ポリマーを、モノマー含有量に対する開始剤の濃度を低減することによっても合成した。あるいは、当該高分子量のポリマーを、モノマー含有量に対する不活性溶媒の量を低減することにより合成できた。
【0113】
本発明の高分子量pH感受性ポリマーは、溶液重合により合成される。当該疎水性モノマーであるメチル・メタクリレート、当該親水性モノマーであるヒドロキシ・エチル・メタクリレート、及び塩基性モノマーであるビニル・ピリジンを、当該ポリマーの合成のために使用した。モノマーの一定量を重合反応の異なるセットに使用した。当該溶媒量を、それぞれの試験について徐々に低減した。当該モノマーを、当該溶媒であるジメチル・ホルムアミド中に溶解した。アゾ開始剤であるアゾ・ビス・イソブチロニトリルを、ジメチル・ホルムアミド中の当該モノマー溶液に添加した。当該アゾ開始剤の量を、一連の全反応における当該モノマー含有量に対して一定に保った。当該反応混合物を、窒素ガスでパージし、不活性雰囲気を提供した。当該重合反応を、18時間、65℃まで加熱することにより実施した。そのように合成された当該ポリマーを非溶媒中に沈殿させることにより回収した。使用した非溶媒はジエチル・エーテルであった。当該ポリマーを真空下、27℃で乾燥させた。当該ポリマーを、粘性及び分子量、及び組成に特徴付けた。溶媒量を変化することにより合成された異なる分子量の当該ポリマーを、表2に示す。
【0114】
あるいは、本発明中に記載される高分子量pH感受性ポリマーは、アゾ開始剤の量を変化する溶液重合により合成され得る。重合に使用される当該アゾ開始剤は、アゾ・ビス・イソブチロニトリルである。当該疎水性モノマーであるメチル・メタクリレート、当該親水性モノマーであるヒドロキシ・エチル・メタクリレート、及び塩基性モノマーであるビニル・ピリジンを、当該ポリマーの合成のために使用した。モノマーの一定量を重合反応の異なるセットに使用した。開始剤であるアゾ・ビス・イソブチロニトリルを、徐々に低減した。当該モノマー含有量に対する当該溶媒量を、一連の反応において一定に保った。当該モノマーを、当該溶媒であるジメチル・ホルムアミド中に溶解した。反応混合物を、窒素ガスでパージし、不活性雰囲気を提供した。当該重合反応を、18時間、65℃まで加熱することにより実施した。そのように合成された当該ポリマーを非溶媒であるジエチル・エーテル中に沈殿させることにより回収した。当該ポリマーを、真空下、27℃で乾燥させ、そして粘性及び分子量、及び組成に特徴付けた。開始剤であるアゾ・ビス・イソブチロニトリルの量を変化することにより合成された異なる分子量の当該ポリマーを、表2に示す。
【0115】
【表2】
【0116】
実施例3
高分子量ポリマーは、メチル・メタクリレート60%(w/w)、ヒドロキシ・エチル・メタクリレート25%(w/w)、及びビニル・ピリジン15%(w/w)のモノマー組成物を使用して、溶媒としてのジメチル・ホルムアミド(モノマーに対する)51重量%、及び開始剤としてアゾ・ビス・イソブチロニトリル0.0225%の存在下で合成される。当該重合反応を15〜18時間、当該反応混合物を60〜70℃まで加熱することにより実施した。そのように合成された当該ポリマーを非溶媒であるジエチル・エーテル中に沈殿させることにより回収した。当該ポリマーを真空下、27℃で乾燥させた。当該ポリマー組成物を表3に示す。
【0117】
高分子量ポリマーを、メチル・メタクリレート60%(w/w)、ヒドロキシ・エチル・メタクリレート25%(w/w)、及びビニル・ピリジン15%(w/w)のモノマー組成物を使用して、溶媒としてのジメチル・ホルムアミド(モノマーに対する)34.72重量%、及び開始剤としてアゾ・ビス・イソブチロニトリル(モノマーに対する)0.045%の存在下で合成した。当該重合反応を15〜18時間、当該反応混合物を60〜70℃まで加熱することにより実施した。そのように合成された当該ポリマーを非溶媒中に沈殿させることにより回収した。当該非溶媒は、ジエチル・エーテルを使用した。当該ポリマーを真空下、27℃で乾燥させた。当該高分子量ポリマーを表3に示す。
【0118】
【表3】
【0119】
広範囲の分子量を有するポリマーを合成し、そしてそれらの風味マスキング及び結晶化阻害に対する有用性を、多形で存在する苦味のある薬物セフロキシム・アキセチルを使用して、及びこれらのpH感受性ポリマーで当該薬物をコーティングして医薬組成物を製剤することにより評価した。
【0120】
[B]医薬組成物の製造
本発明の医薬組成物は、pH感受性ポリマーの使用による当該薬物のコーティングにより入手され得、当該コーティングは、マイクロカプセル化、スプレー乾燥、流動層法、非溶媒中の共沈か、それともトレイ乾燥法による。当該薬物は、ポリマー・マトリクス中に分散される。
【0121】
本発明の医薬組成物は、トレイ乾燥法により、あるいは非溶媒中の当該薬物及びポリマーの共沈により入手され得る。当該ポリマーは、溶媒中に溶解され、そして当該薬物は、その中に溶解又は分散される。使用されるポリマー対薬物の比は、当該ポリマーの分子量及び粘度に依存し、ここで当該分子量及び粘度は、当該ポリマーが当該薬物の結晶化を阻害し、当該風味マスキング効果を維持できるようにするものである。本発明の態様において、最適な風味マスキング、及び当該ポリマー薬物の結晶転移の阻害のための、総ポリマー対薬物の比は、重量基準で30:1〜0.2:1である。より好ましい当該ポリマー対薬物の比は、重量基準で5:1〜0.4:1である。本発明のさらに好ましい態様において、当該ポリマー対薬物の比は、重量基準で3:1〜0.6:1である。
【0122】
多形に存在する薬物について、風味をマスクし、及び結晶傾向を低減する、当該pH感受性ポリマーは、50,000〜700,000の範囲の分子量を有する。さらに、分子量50,000〜500,000の分子量を有する当該ポリマーは、さらに好まれる。さらに好ましい分子量は、100,000〜350,000の範囲である。最も好ましい分子量の範囲は、250,000〜350,000である。
【0123】
さらに、本発明の医薬組成物は、150,000未満の低分子量のpH感受性ポリマー又は150,000〜350,000超の高分子量のポリマー、又は低分子量ポリマー及び高分子量ポリマーの1:1〜1:5又は5:1〜1:1の比の混合物を使用して配合され得る。好ましくは、当該溶媒は、当該薬物及びポリマーの双方がそこに可溶化するように選択される。当該薬物及びポリマーの溶解について選択される溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール、ジクロロメタン、クロロホルムのような塩素化炭化水素、メチル・エチル・ケトン、メチル・イソ−ブチル・ケトン、及びアセトンのようなケトンである。好ましくは、当該薬物及びポリマーを溶解するために使用される当該溶媒は、メタノール、アセトン、及びジクロロメタンである。当該薬物、及びポリマーを溶解するための最も好ましい溶媒は、アセトン又は1:1〜1:1.5の比のメタノール、及びジクロロメタンの混合物である。使用される当該溶媒は、好ましくは、10〜0.5重量%の水を含有するアセトンである。
【0124】
当該固体分散体の型における当該風味マスクされる組成物は、非溶媒中に当該薬物、及びポリマーを共沈させることにより入手され得る。当該方法は、セフロキシム・アキセチル、及びポリマーを0.5〜10%の水を含有するアセトン中に溶解することを含む。得られた混合物は、5℃で維持される石油エーテルに加えられる。そのように入手された共沈物は、室温で24時間真空下で乾燥され、ASTMメッシュ40/60粒子の大きさにする。
【0125】
風味マスクされる組成物を入手する他の方法は、当該薬物ポリマー溶液をトレイ乾燥することである。これは、0.5〜10%の水を含有するアセトン中への当該薬物のセフロキシム・アキセチル及びポリマーの溶解、及びトレイ上に当該溶液を入れ、そして室温で真空下乾燥すること、及びASTMメッシュ40/60粒子の大きさにすることを含む。風味マスクされる粒子、及び得られる顆粒は、天然又は人工の香料、クエン酸、及び酒石酸の如き香料添加剤、スクロース、サッカリン、及びアスパルテームの如き甘味料、及びその他の医薬として許容される賦形剤であって、慣習的な無傷の、チュアブル又は分散性タブレット、ドライ・シロップ、懸濁、小袋又は他の好適な経口剤形として製剤されるものと混合され得る。
【0126】
当該風味マスクされた医薬組成物は、液状媒体中の薬物粒子をコーティングする当該ポリマーの再構成により製造され、当該液状媒体はスクロース、香料、及びクエン酸、及び懸濁化剤であって、例えばセルロース誘導体又はポリ・ビニル・ピロリドン又はキサンタンガムなどを含む。本発明の当該風味マスクされる医薬組成物は、スクロース、何種類もの果物の風味のある香料、クエン酸、及びビニル・ピロリドンを含むpH4.5の再構成媒体を使用することにより、液状経口懸濁液の中に製造される。
【0127】
当該医薬組成物中に含まれる当該セフロキシム・アキセチルは、好ましくは、非晶形中に存在するであろう。当該セフロキシム・アキセチルの非晶形は、当該医薬組成物中に保持され、ここで当該医薬組成物は、低分子量を有するポリマーの高負荷を含む。しかしながら、当該低分子量のポリマーは、セフロキシム・アキセチルの結晶化の阻害において、低負荷で完全には成功しなかったことを観察した。本発明の当該pH感受性ポリマーは、セフロキシム・アキセチルの生物学的利用能を促進し、当該セフロキシム・アキセチルは、当該放出媒体と接触してもたらされるときゲル化され得る。当該組成物からのセフロキシム・アキセチルの放出を、実施例4〜11及び実施例16に示す。セフロキシム・アキセチルの素早く及びほぼ完全な放出は、当該医薬組成物中のセフロキシム・アキセチルのゲル化及び結晶化の阻害の結果を保証する。当該実施例に例証されるような当該ポリマーの様々な負荷における当該セフロキシム・アキセチルの放出を、図14及び図15に示す。当該サンプルにおいて実施されるX線回折試験及びDSCは、結晶化の阻害を確認する。図1、2、3及び4は、実施例4〜7に記載されるトレイ乾燥組成物のX線回折パターンを示す。
【0128】
図5、6、7、及び8は、実施例8〜11に記載のように得られた共沈のX線回折パターンを示す。図9、10、11、及び12は、実施例12〜15に記載のトレイ乾燥組成物のX線回折パターンを示す。図13は、実施例16に記載のスプレー乾燥組成物のX線回折パターンを示す。
【0129】
当該高分子量のポリマーを、当該医薬組成物の配合に使用したとき、セフロキシム・アキセチルを、低いポリマー負荷でも実質的に非晶形に維持した。サンプルについて実施されるXRD試験及びDSCは、この発見を確認する。高分子量ポリマーは、薬物対ポリマーの比が非常に低くても、当該風味をマスクすること、及び当該セフロキシム・アキセチルの結晶化を阻害することに成功した。
【0130】
高分子量のポリマーを、当該薬物であるセレコキシブを含む医薬組成物について使用した。当該高分子量ポリマーは、高い及び低いポリマー負荷でさえ、セレコキシブを非晶形に維持した。本発明中に合成される全ての分子量のポリマーは、当該医薬組成物の風味マスキングに適用され得るが、しかし、高分子量の当該ポリマーの場合、非晶形に存在する薬物の結晶化の阻害が達成される。
【0131】
本発明は、後に続く実施例により例証され、いかなる方法によっても本発明の範囲を限定する意図はない。以下の実施例4〜11及び実施例16に例示される風味マスクされる組成物を、100rpmで回転する器具、USP typeIIを使用して、37±0.5℃で、0.07Nの塩酸900ml中のセフロキシム・アキセチルの放出について試験した。サンプルを、15、30、45、60、90、120、180、及び240分で、回収した。各時間で回収した量を、シンク条件を維持するために新たな溶媒で置換した。溶解結果物が、各サンプルについての各タブレット中に与えられる。
【0132】
以下の実施例12〜15に例示されるような風味マスクされる医薬組成物を、30分間、0.1Nの塩酸100ml中のセレコキシブの放出について試験し、次いで、当該放出を、100rpmで回転する器具、USP typeIIを使用して、37±0.5℃で、0.1NのNaOHの900mlを加えて試験した。当該サンプルを、0.1NのNaOH溶液から15、30、45、60、90、120、180、及び240分で、回収した。各時間で回収した量を、シンク条件を維持するために新たな溶媒で置換した。溶解結果物が、各サンプルについての各タブレットに与えられる。
【0133】
実施例4
分子量63,189ダルトンのポリマーの1.5g、及びセフロキシム・アキセチル3gを、10%の水を含むアセトン40ml中に溶解させた。得られた混合物を、トレイの中に注ぎ、そして24時間、真空下27℃で乾燥させた。得られた薬物ポリマー・マトリクスを、ASTMメッシュ40/60粒子で得る大きさにした。当該薬物放出を表4に示す。
【0134】
【表4】
【0135】
実施例5
分子量63,189ダルトンのポリマーの4.050g、及びセフロキシム・アキセチル1.350gを、10%の水を含むアセトン40ml中に溶解させた。得られた混合物を、トレイの中に注ぎ、そして24時間、真空下27℃で乾燥させた。得られた薬物ポリマー・マトリクスを、ASTMメッシュ40/60粒子で得る大きさにした。当該薬物放出を表5に示す。
【0136】
【表5】
【0137】
実施例6
分子量338,021ダルトンのポリマーの1.5g、及びセフロキシム・アキセチル3gを、10%の水を含むアセトン50ml中に溶解させた。得られた混合物を、トレイの中に注ぎ、そして24時間、真空下27℃で乾燥させた。得られた薬物ポリマー・マトリクスを、ASTMメッシュ40/60粒子で得る大きさにした。当該薬物放出を表6に示す。
【0138】
【表6】
【0139】
実施例6において製造された当該粒子の当該風味マスクされる医薬組成物は、5投与量と等量の当該粒子を、pH4.5の当該再構成媒体を使用して懸濁することにより入手され、ここで、当該再構成媒体は、スクロース85%w/v、何種類もの果物の風味がある香料を適量、クエン酸を適量、及びポリビニル・ピロリドン2%を含む。7日間の保存の間の薬物放出を表7に示す。
【0140】
【表7】
【0141】
実施例7
分子量338,021ダルトンのポリマーの4.050g、及びセフロキシム・アキセチル1.350gを、10%の水を含むアセトン50ml中に溶解させた。得られた混合物を、トレイの中に注ぎ、そして24時間、真空下27℃で乾燥させた。得られた薬物ポリマー・マトリクスを、ASTMメッシュ40/60粒子で得る大きさにした。当該薬物放出を表8に示す。
【0142】
【表8】
【0143】
分子量63,189ダルトンのポリマーの1.5g、及びセフロキシム・アキセチル3gを、10%の水を含むアセトン40ml中に溶解させた。得られた混合物を、撹拌下、5℃で維持される石油エーテル中に注ぐ。当該沈殿物を分離し、そして24時間、真空下27℃で乾燥させた。得られた薬物ポリマー・マトリクスを、ASTMメッシュ40/60粒子で得る大きさにした。当該薬物放出を表9に示す。
【0144】
【表9】
【0145】
実施例9
分子量63,189ダルトンのポリマーの4.050g、及びセフロキシム・アキセチル1.350gを、10%の水を含むアセトン40ml中に溶解させた。得られた混合物を、撹拌下、5℃で維持される石油エーテル中に注ぐ。当該沈殿物を分離し、そして24時間、真空下27℃で乾燥させた。得られた薬物ポリマー・マトリクスを、ASTMメッシュ40/60粒子で得る大きさにした。当該薬物放出を表10に示す。
【0146】
【表10】
【0147】
実施例10
分子量338,021ダルトンのポリマーの1.5g、及びセフロキシム・アキセチル3gを、10%の水を含むアセトン50ml中に溶解させた。得られた混合物を、撹拌下、5℃で維持される石油エーテル中に注ぐ。当該沈殿物を分離し、そして24時間、真空下27℃で乾燥させた。得られた薬物ポリマー・マトリクスを、ASTMメッシュ40/60粒子で得る大きさにした。当該薬物放出を表11に示す。
【0148】
【表11】
【0149】
実施例10において製造された当該粒子の当該風味マスクされる医薬組成物は、5投与量と等量の当該粒子を、pH4.5の当該再構成媒体を使用して懸濁することにより入手され、ここで、当該再構成媒体は、スクロース85%w/v、何種類もの果物の風味がある香料を適量、クエン酸を適量、及びポリビニル・ピロリドン2%を含む。7日間の保存の間の薬物放出を表12に示す。
【0150】
【表12】
【0151】
実施例11
分子量338,021ダルトンのポリマーの4.050g、及びセフロキシム・アキセチル1.350gを、10%の水を含むアセトン50ml中に溶解させた。得られた混合物を、撹拌下、5℃で維持される石油エーテル中に注ぐ。当該沈殿物を分離し、そして24時間、真空下27℃で乾燥させた。得られた薬物ポリマー・マトリクスを、ASTMメッシュ40/60粒子で得る大きさにした。当該薬物放出を表13に示す。
【0152】
【表13】
【0153】
実施例12
分子量63,189ダルトンのポリマーの0.75g、及びセレコキシブ1.00gを、メタノール−ジクロロメタン(1.5:1)20ml中に溶解させた。得られた混合物を、トレイの中に注ぎ、そして24時間、真空下27℃で乾燥させた。得られた薬物ポリマー・マトリクスを、ASTMメッシュ40/60粒子で得る大きさにした。当該薬物放出を表14に示す。
【0154】
【表14】
【0155】
実施例13
分子量63,189ダルトンのポリマーの1.8g及びセレコキシブ0.600gを、メタノール−ジクロロメタン(1.5:1)20ml中に溶解させた。得られた混合物を、トレイの中に注ぎ、そして24時間、真空下27℃で乾燥させた。得られた薬物ポリマー・マトリクスを、ASTMメッシュ40/60粒子で得る大きさにした。当該薬物放出を表15に示す。
【0156】
【表15】
【0157】
実施例14
分子量272,177ダルトンのポリマーの0.750g及びセレコキシブ1.0gを、メタノール−ジクロロメタン(1.5:1)25ml中に溶解させた。得られた混合物を、トレイの中に注ぎ、そして24時間、真空下27℃で乾燥させた。得られた薬物ポリマー・マトリクスを、ASTMメッシュ40/60粒子で得る大きさにした。当該薬物放出を表16に示す。
【0158】
【表16】
【0159】
実施例15
分子量272,177ダルトンのポリマーの1.80g及びセレコキシブ0.600gを、メタノール−ジクロロメタン(1.5:1)35ml中に溶解させた。得られた混合物を、トレイの中に注ぎ、そして24時間、真空下27℃で乾燥させた。得られた薬物ポリマー・マトリクスを、ASTMメッシュ40/60粒子で得る大きさにした。当該薬物放出を表17に示す。
【0160】
【表17】
【0161】
実施例16
有機溶媒中のセフロキシム・アキセチル−ポリマー溶液をスプレー乾燥し、風味マスクされた微粒子を得た。約0.60gのポリマーを、メタノール:アセトン:ジクロロメタン(1:1:1)の溶液30ml中に溶解させた。各重量300mgの分子量272,177、及び125,280のポリマーが、セフロキシム・アキセチルのコーティングのために使用される。このため、セフロキシム・アキセチルの2.4gを加え、そして溶解させた。乾燥ガスは、空気であった。当該スプレードライヤーのための吸気温度は、40〜70℃の範囲であった。当該排気温度は、25〜50℃であった。当該微粒化は、1〜2kgの範囲であった。当該送り速度は、20〜85rpmの範囲で最適化された。得られた溶液をスプレー乾燥し、当該風味マスクされた微粒子を得た。当該薬物放出を表18に示す。
【0162】
【表18】
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】図1は、実施例4に開示する低分子量ポリマーの低負荷を有する医薬組成物のX線回折図形を記載する。
【図2】図2は、実施例5に開示する低分子量ポリマーの高負荷を有する医薬組成物のX線回折図形を記載する。
【図3】図3は、実施例6に開示する高分子量ポリマーの低負荷を有する医薬組成物のX線回折図形を記載する。
【図4】図4は、実施例7に開示する高分子量ポリマーの高負荷を有する医薬組成物のX線回折図形を記載する。
【図5】図5は、実施例8に開示する低分子量ポリマーの低負荷を有する医薬組成物のX線回折図形を記載する。
【図6】図6は、実施例9に開示する低分子量ポリマーの高負荷を有する医薬組成物のX線回折図形を記載する。
【図7】図7は、実施例10に開示する高分子量ポリマーの低負荷を有する医薬組成物のX線回折図形を記載する。
【図8】図8は、実施例11に開示する高分子量ポリマーの高負荷を有する医薬組成物のX線回折図形を記載する。
【図9】図9は、実施例12に開示する低分子量ポリマーの低負荷を有する医薬組成物のX線回折図形を記載する。
【図10】図10は、実施例13に開示する低分子量ポリマーの高負荷を有する医薬組成物のX線回折図形を記載する。
【図11】図11は、実施例14に開示する高分子量ポリマーの低負荷を有する医薬組成物のX線回折図形を記載する。
【図12】図12は、実施例15に開示する高分子量ポリマーの高負荷を有する医薬組成物のX線回折図形を記載する。
【図13】図13は、実施例16に開示する、低負荷で、低分子量ポリマー及び高分子量ポリマーの混合を有する医薬組成物のX線回折図形を記載する。
【図14】図14は、0.07NのHCLバッファー中の、薬物セフロキシム・アキセチルの放出v/s時間を記載する。
【図15】図15は、0.07NのHCLバッファー中の、薬物セフロキシム・アキセチルの放出v/s時間を記載する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的利用能が高められた風味マスクされた医薬組成物であって、pH感受性ポリマーを含み、かつ、組成P[A(x)B(y)C(z)]:Dであって、{ここで、‘A’は疎水性モノマーであり、‘B’は塩基性モノマーであり、‘C’は親水性モノマーであり、そして‘D’は多形において存在する薬物であり、ここでXは30〜95%の範囲であり、Yは5〜70%の範囲であり、及びZは0〜65%の範囲であり、ここで、上記%は全て重量に関して示され、そしてP:Dの比は、30:1〜0.2:1の範囲である。}を有する、前記医薬組成物。
【請求項2】
前記ポリマーの分子量が、50,000〜7,00,000の範囲にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記疎水性モノマー(A)が、シクロヘキシル・アクリレート、ドデシル・アクリレート、2エチル・ヘキシル・アクリレート、オクチル・アクリレート、第三ブチル・アクリレート、フェニル・アクリレート、及びブチル・アクリレートからなる群より選択されるアクリル酸の誘導体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記疎水性モノマー(A)が、メチル・メタクリレート、ベンジル・メタクリレート、シクロヘキシル・メタクリレート、フェニル・メタクリレート、第三ブチル・メタクリレート、ブチル・メタクリレート、2エチルヘキシル・メタクリレート、及びプロピル・メタクリレートからなる群より選択されるメタクリル酸の誘導体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記疎水性モノマー(A)が、ブチル・アクリレートを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記疎水性モノマー(A)が、メチル・メタクリレート、及びブチル・メタクリレートから選択されるメタクリル酸の誘導体を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
前記塩基性モノマー(B)が、ジメチル・アミノ・エチル・アクリレート、及びジエチル・アミノ・エチル・アクリレートからなる群より選択されるアミノ・アルキル・アクリル酸の誘導体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記塩基性モノマー(B)が、ジメチル・アミノ・エチル・メタクリレート、ジエチル・アミノ・エチル・メタクリレート、ピペリジン・エチル・メタクリレート、2tert−ブチル・アミノ・エチル・メタクリレート、及びジメチル・アミノ・エチル・メタクリレートからなる群より選択される、アミノ・アルキル・メタクリル酸の誘導体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記塩基性モノマー(B)が、ジエチル・アミノ・エチル・アクリレートを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記塩基性モノマー(B)が、ジメチル・アミノ・エチル・メタクリレートを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記塩基性モノマー(B)が、2−ビニル・ピリジン、3−ビニル・ピリジン、4−ビニル・ピリジン、5−ビニル2−ピコリン、2−ビニル4−ピコリン、2イソプロぺニル・ピリジン、及びイソプロペニル・ピリジンからなる群より選択される、アルケニル・ピリジンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記塩基性モノマー(B)が、4−ビニル・ピリジンを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記塩基性モノマー(B)が、ビニル・キノリン、アミノ・アルキル・ビニル・エーテル、アミノ・エチル・スチレン、及びアリル・アミンからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記塩基性モノマー(B)が、アリル・アミンを含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記親水性モノマー(C)が、ヒドロキシ・エチル・メタクリレート、ヒドロキシ・プロピル・メタクリレート、ヒドロキシ・エチル・エチル・メタクリレートからなる群より選択されるメタクリル酸の誘導体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記親水性モノマー(C)が、ヒドロキシ・エチル・メタクリレートを含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記親水性モノマー(C)が、ヒドロキシ・エチル・エチル・メタクリレートを含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
前記使用される苦味のある薬物が、エリスロマイシン、アジスロマイシン、及びクラリスロマイシンからなる群より選択されるマクロライド系抗生物質を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記使用される苦味のある薬物が、シプロフロキサシン、エンロフロキサシン、オフロキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、及びノルフロキサシンからなる群より選択されるフルオロキノロンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記使用される苦味のある薬物が、セフロキシム、セファレキシン、セファドロキシル、及びセフポドキシム・プロキセチルからなる群より選択されるセファロスポリンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記使用される苦味のある薬物が、イブプロフェン、アセトアミノフェン、及びジクロフェナク・ソジウムからなる群より選択される非ステロイド系薬及び抗炎症薬及び鎮痛薬を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記使用される苦味のある薬物が、エトリコキシブ、及びセレコキシブから選択されるCOX2阻害剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記使用される苦味のある薬物が、抗ヒスタミン薬を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記抗ヒスタミン薬が、クロルフェニラミン・マレエート又はファモチジンである、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記使用される苦味のある薬物が、オキサゾリジノンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
前記オキサゾリジノンが、リネゾリドである、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記使用される苦味のある薬物が、デキストロメトルファンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
前記薬物の生物学的利用能を高めるための、前記多形において存在する薬物の最適な風味マスキング、及び結晶転移の阻害のための、ポリマー対薬物の比が、重量基準で30:1〜0.2:1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
前記ポリマー対薬物の比が、重量基準で5:1〜0.4:1の範囲内である、請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
前記医薬組成物が、前記苦味のある薬物、及び分子量150,000未満のpH感受性ポリマー、又は150,000超350,000までの高分子量ポリマー、又は1:1〜1:5又は5:1〜1:1の比における低分子量及び高分子量ポリマーの組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
前記pH感受性ポリマーP[A(x)B(y)C(z)]が、胃の中にみられるpH≦3の酸性状態において溶解し又は膨潤し、かつ、pH>3.5の範囲内においては、不溶性又は非膨潤のままである、請求項1に記載の組成物。
【請求項32】
前記組成物が水性懸濁液の形態にあり、ここで、前記ポリマーでコーティングされる薬物の微粒子が液状再構成媒体中で再構成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項33】
前記再構成媒体がpH4.5であり、及びスクロース、何種類もの果物の風味、クエン酸、及びポリビニル・ピロリドンからなる群より選択される、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記組成物が、アカシア、カルボマー、カルボキシ・メチル・セルロース・カルシウム、カルボキシ・メチル・セルロース・ソジウム、ヒドロキシ・エチル・セルロース、ヒドロキシ・プロピル・セルロース、ヒドロキシ・プロピル・メチル・セルロース、メチルセルロース、ポリビニル・ピロリドン、粉末セルロース、ソジウム・アルギネート、及びトラガカントからなる群より選択される懸濁剤を含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項35】
前記組成物が、糖、デキストロース、マンニトール、サッカリン、サッカリン・ソジウム、ソルビトール、スクロース、及びキシリトールからなる群より選択される甘味料を含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項36】
バタースコッチ、メープル、バニラ、ミント、クルミ、チョコレート、チェリー、ベリー、ラズベリー、及びシトラスからなる群より選択される香味料を含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項37】
前記医薬組成物が、チュアブル、発泡、及び分散性タブレットから選択される固形剤形で配合される、請求項1に記載の組成物。
【請求項38】
前記医薬組成物が、ドライシロップ、及び懸濁液から選択される液状剤形で配合される、請求項1に記載の組成物。
【請求項39】
生物学的利用能が高められた風味マスクされた医薬組成物の製造方法であって、当該医薬組成物が、pH感受性ポリマーを含み、かつ、組成P[A(x)B(y)C(z)]:Dであって、{ここで、‘A’は疎水性モノマーであり、‘B’は塩基性モノマーであり、‘C’は親水性モノマーであり、そして‘D’は多形において存在する薬物であり、ここで、Xは30〜95%の範囲であり、Yは5〜70%の範囲であり、そしてZは0〜65%の範囲であり、ここで、上記%は全て重量に関して示され、そしてP:Dの比は、30:1〜0.2:1の範囲である}を有し、
ここで前記方法は、
前記ポリマーにより形成されるマトリクス中で前記薬物を分散すること、あるいは、
前記ポリマーにより前記薬物中心をコーティングすること、を含む前記製造方法。
【請求項40】
前記薬物が、マイクロカプセル化により前記pH感受性ポリマーを使用して当該薬物をコーティングすることにより、前記ポリマー・マトリクス中に分散される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記薬物が、スプレー乾燥により前記ポリマー・マトリクス中に分散される、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記薬物が、流動層法により前記ポリマーによるコーティングされる、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記薬物が、非溶媒中の共沈により前記ポリマー・マトリクス中に分散される、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記薬物が、当該薬物及び前記ポリマーの溶液をトレイ乾燥することにより前記ポリマー・マトリクス中に分散される、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
前記疎水性モノマー(A)が、シクロヘキシル・アクリレート、ドデシル・アクリレート、2エチル・ヘキシル・アクリレート、オクチル・アクリレート、第三ブチル・アクリレート、フェニル・アクリレート、及びブチル・アクリレートからなる群より選択されるアクリル酸の誘導体を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
前記疎水性モノマー(A)が、メチル・メタクリレート、ベンジル・メタクリレート、シクロヘキシル・メタクリレート、フェニル・メタクリレート、第三ブチル・メタクリレート、ブチル・メタクリレート、2エチル・ヘキシル・メタクリレート、及びプロピル・メタクリレートからなる群より選択されるメタクリル酸の誘導体を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項47】
前記疎水性モノマー(A)が、ブチル・アクリレートを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記疎水性モノマー(A)が、メチル・メタクリレート、及びブチル・メタクリレートから選択されるメタクリル酸の誘導体を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記塩基性モノマー(B)が、ジメチル・アミノ・エチル・アクリレート、及びジエチル・アミノ・エチル・アクリレートからなる群より選択されるアミノ・アルキル・アクリル酸の誘導体を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項50】
前記塩基性モノマー(B)が、ジメチル・アミノ・エチル・メタクリレート、ジエチル・アミノ・エチル・メタクリレート、ピペリジン・エチル・メタクリレート、2−tert−ブチル・アミノ・エチル・メタクリレート、及びジメチル・アミノ・エチル・メタクリレートからなる群より選択されるアミノ・アルキル・メタクリル酸の誘導体を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項51】
前記塩基性モノマー(B)が、ジエチル・アミノ・エチル・アクリレートである、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記塩基性モノマー(B)が、ジメチル・アミノ・エチル・メタクリレートである、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記塩基性モノマー(B)が、2−ビニル・ピリジン、3−ビニル・ピリジン、4−ビニル・ピリジン、5−ビニル2−ピコリン、2−ビニル4−ピコリン、2イソプロぺニル・ピリジン、及びイソプロペニル・ピリジンからなる群より選択される、アルケニル・ピリジンを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項54】
前記塩基性モノマー(B)が、4−ビニル・ピリジンを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記塩基性モノマー(B)が、ビニル・キノリン、アミノ・アルキル・ビニル・エーテル、アミノ・エチル・スチレン、及びアリル・アミンからなる群より選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項56】
前記塩基性モノマー(B)が、アリル・アミンである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記親水性モノマー(C)が、ヒドロキシ・エチル・メタクリレート、ヒドロキシ・プロピル・メタクリレート、ヒドロキシエチル・エチル・メタクリレートからなる群より選択されるメタクリル酸の誘導体を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項58】
前記親水性モノマー(C)が、ヒドロキシ・エチル・メタクリレートを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記親水性モノマー(C)が、ヒドロキシ・エチル・エチル・メタクリレートを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記使用される苦味のある薬物が、エリスロマイシン、アジスロマイシン、及びクラリスロマイシンからなる群より選択されるマクロライド系抗生物質を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項61】
前記使用される苦味のある薬物が、シプロフロキサシン、エンロフロキサシン、オフロキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、及びノルフロキサシンからなる群より選択されるフルオロキノロンを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項62】
前記使用される苦味のある薬物が、セフロキシム、セファレキシン、セファドロキシル、及びセフポドキシム・プロキセチルからなる群より選択されるセファロスポリンを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項63】
前記使用される苦味のある薬物が、イブプロフェン、アセトアミノフェン、及びジクロフェナク・ソジウムからなる群より選択される非ステロイド系薬、及び抗炎症薬、及び鎮痛薬を含む、請求項39に記載の組成物。
【請求項64】
前記使用される苦味のある薬物が、エトリコキシブ、及びセレコキシブから選択されるCOX2阻害剤を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項65】
前記使用される苦味のある薬物が、クロルフェニラミン・マレエート、及びファモチジンからなる群より選択される抗ヒスタミン薬を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項66】
前記使用される苦味のある薬物が、オキサゾリジノンを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項67】
前記オキサゾリジノンが、リネゾリドである、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記使用される苦味のある薬物が、デキストロメトルファンを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項69】
前記ポリマー:薬物の比が、重量基準で30:1〜0.2:1の範囲である、請求項39に記載の方法。
【請求項70】
前記ポリマー:薬物の比が、重量基準で5:1〜0.4:1の範囲である、請求項69に記載の方法。
【請求項1】
生物学的利用能が高められた風味マスクされた医薬組成物であって、pH感受性ポリマーを含み、かつ、組成P[A(x)B(y)C(z)]:Dであって、{ここで、‘A’は疎水性モノマーであり、‘B’は塩基性モノマーであり、‘C’は親水性モノマーであり、そして‘D’は多形において存在する薬物であり、ここでXは30〜95%の範囲であり、Yは5〜70%の範囲であり、及びZは0〜65%の範囲であり、ここで、上記%は全て重量に関して示され、そしてP:Dの比は、30:1〜0.2:1の範囲である。}を有する、前記医薬組成物。
【請求項2】
前記ポリマーの分子量が、50,000〜7,00,000の範囲にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記疎水性モノマー(A)が、シクロヘキシル・アクリレート、ドデシル・アクリレート、2エチル・ヘキシル・アクリレート、オクチル・アクリレート、第三ブチル・アクリレート、フェニル・アクリレート、及びブチル・アクリレートからなる群より選択されるアクリル酸の誘導体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記疎水性モノマー(A)が、メチル・メタクリレート、ベンジル・メタクリレート、シクロヘキシル・メタクリレート、フェニル・メタクリレート、第三ブチル・メタクリレート、ブチル・メタクリレート、2エチルヘキシル・メタクリレート、及びプロピル・メタクリレートからなる群より選択されるメタクリル酸の誘導体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記疎水性モノマー(A)が、ブチル・アクリレートを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記疎水性モノマー(A)が、メチル・メタクリレート、及びブチル・メタクリレートから選択されるメタクリル酸の誘導体を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
前記塩基性モノマー(B)が、ジメチル・アミノ・エチル・アクリレート、及びジエチル・アミノ・エチル・アクリレートからなる群より選択されるアミノ・アルキル・アクリル酸の誘導体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記塩基性モノマー(B)が、ジメチル・アミノ・エチル・メタクリレート、ジエチル・アミノ・エチル・メタクリレート、ピペリジン・エチル・メタクリレート、2tert−ブチル・アミノ・エチル・メタクリレート、及びジメチル・アミノ・エチル・メタクリレートからなる群より選択される、アミノ・アルキル・メタクリル酸の誘導体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記塩基性モノマー(B)が、ジエチル・アミノ・エチル・アクリレートを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記塩基性モノマー(B)が、ジメチル・アミノ・エチル・メタクリレートを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記塩基性モノマー(B)が、2−ビニル・ピリジン、3−ビニル・ピリジン、4−ビニル・ピリジン、5−ビニル2−ピコリン、2−ビニル4−ピコリン、2イソプロぺニル・ピリジン、及びイソプロペニル・ピリジンからなる群より選択される、アルケニル・ピリジンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記塩基性モノマー(B)が、4−ビニル・ピリジンを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記塩基性モノマー(B)が、ビニル・キノリン、アミノ・アルキル・ビニル・エーテル、アミノ・エチル・スチレン、及びアリル・アミンからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記塩基性モノマー(B)が、アリル・アミンを含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記親水性モノマー(C)が、ヒドロキシ・エチル・メタクリレート、ヒドロキシ・プロピル・メタクリレート、ヒドロキシ・エチル・エチル・メタクリレートからなる群より選択されるメタクリル酸の誘導体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記親水性モノマー(C)が、ヒドロキシ・エチル・メタクリレートを含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記親水性モノマー(C)が、ヒドロキシ・エチル・エチル・メタクリレートを含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
前記使用される苦味のある薬物が、エリスロマイシン、アジスロマイシン、及びクラリスロマイシンからなる群より選択されるマクロライド系抗生物質を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記使用される苦味のある薬物が、シプロフロキサシン、エンロフロキサシン、オフロキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、及びノルフロキサシンからなる群より選択されるフルオロキノロンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記使用される苦味のある薬物が、セフロキシム、セファレキシン、セファドロキシル、及びセフポドキシム・プロキセチルからなる群より選択されるセファロスポリンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記使用される苦味のある薬物が、イブプロフェン、アセトアミノフェン、及びジクロフェナク・ソジウムからなる群より選択される非ステロイド系薬及び抗炎症薬及び鎮痛薬を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記使用される苦味のある薬物が、エトリコキシブ、及びセレコキシブから選択されるCOX2阻害剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記使用される苦味のある薬物が、抗ヒスタミン薬を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記抗ヒスタミン薬が、クロルフェニラミン・マレエート又はファモチジンである、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記使用される苦味のある薬物が、オキサゾリジノンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
前記オキサゾリジノンが、リネゾリドである、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記使用される苦味のある薬物が、デキストロメトルファンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
前記薬物の生物学的利用能を高めるための、前記多形において存在する薬物の最適な風味マスキング、及び結晶転移の阻害のための、ポリマー対薬物の比が、重量基準で30:1〜0.2:1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
前記ポリマー対薬物の比が、重量基準で5:1〜0.4:1の範囲内である、請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
前記医薬組成物が、前記苦味のある薬物、及び分子量150,000未満のpH感受性ポリマー、又は150,000超350,000までの高分子量ポリマー、又は1:1〜1:5又は5:1〜1:1の比における低分子量及び高分子量ポリマーの組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
前記pH感受性ポリマーP[A(x)B(y)C(z)]が、胃の中にみられるpH≦3の酸性状態において溶解し又は膨潤し、かつ、pH>3.5の範囲内においては、不溶性又は非膨潤のままである、請求項1に記載の組成物。
【請求項32】
前記組成物が水性懸濁液の形態にあり、ここで、前記ポリマーでコーティングされる薬物の微粒子が液状再構成媒体中で再構成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項33】
前記再構成媒体がpH4.5であり、及びスクロース、何種類もの果物の風味、クエン酸、及びポリビニル・ピロリドンからなる群より選択される、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記組成物が、アカシア、カルボマー、カルボキシ・メチル・セルロース・カルシウム、カルボキシ・メチル・セルロース・ソジウム、ヒドロキシ・エチル・セルロース、ヒドロキシ・プロピル・セルロース、ヒドロキシ・プロピル・メチル・セルロース、メチルセルロース、ポリビニル・ピロリドン、粉末セルロース、ソジウム・アルギネート、及びトラガカントからなる群より選択される懸濁剤を含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項35】
前記組成物が、糖、デキストロース、マンニトール、サッカリン、サッカリン・ソジウム、ソルビトール、スクロース、及びキシリトールからなる群より選択される甘味料を含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項36】
バタースコッチ、メープル、バニラ、ミント、クルミ、チョコレート、チェリー、ベリー、ラズベリー、及びシトラスからなる群より選択される香味料を含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項37】
前記医薬組成物が、チュアブル、発泡、及び分散性タブレットから選択される固形剤形で配合される、請求項1に記載の組成物。
【請求項38】
前記医薬組成物が、ドライシロップ、及び懸濁液から選択される液状剤形で配合される、請求項1に記載の組成物。
【請求項39】
生物学的利用能が高められた風味マスクされた医薬組成物の製造方法であって、当該医薬組成物が、pH感受性ポリマーを含み、かつ、組成P[A(x)B(y)C(z)]:Dであって、{ここで、‘A’は疎水性モノマーであり、‘B’は塩基性モノマーであり、‘C’は親水性モノマーであり、そして‘D’は多形において存在する薬物であり、ここで、Xは30〜95%の範囲であり、Yは5〜70%の範囲であり、そしてZは0〜65%の範囲であり、ここで、上記%は全て重量に関して示され、そしてP:Dの比は、30:1〜0.2:1の範囲である}を有し、
ここで前記方法は、
前記ポリマーにより形成されるマトリクス中で前記薬物を分散すること、あるいは、
前記ポリマーにより前記薬物中心をコーティングすること、を含む前記製造方法。
【請求項40】
前記薬物が、マイクロカプセル化により前記pH感受性ポリマーを使用して当該薬物をコーティングすることにより、前記ポリマー・マトリクス中に分散される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記薬物が、スプレー乾燥により前記ポリマー・マトリクス中に分散される、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記薬物が、流動層法により前記ポリマーによるコーティングされる、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記薬物が、非溶媒中の共沈により前記ポリマー・マトリクス中に分散される、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記薬物が、当該薬物及び前記ポリマーの溶液をトレイ乾燥することにより前記ポリマー・マトリクス中に分散される、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
前記疎水性モノマー(A)が、シクロヘキシル・アクリレート、ドデシル・アクリレート、2エチル・ヘキシル・アクリレート、オクチル・アクリレート、第三ブチル・アクリレート、フェニル・アクリレート、及びブチル・アクリレートからなる群より選択されるアクリル酸の誘導体を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
前記疎水性モノマー(A)が、メチル・メタクリレート、ベンジル・メタクリレート、シクロヘキシル・メタクリレート、フェニル・メタクリレート、第三ブチル・メタクリレート、ブチル・メタクリレート、2エチル・ヘキシル・メタクリレート、及びプロピル・メタクリレートからなる群より選択されるメタクリル酸の誘導体を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項47】
前記疎水性モノマー(A)が、ブチル・アクリレートを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記疎水性モノマー(A)が、メチル・メタクリレート、及びブチル・メタクリレートから選択されるメタクリル酸の誘導体を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記塩基性モノマー(B)が、ジメチル・アミノ・エチル・アクリレート、及びジエチル・アミノ・エチル・アクリレートからなる群より選択されるアミノ・アルキル・アクリル酸の誘導体を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項50】
前記塩基性モノマー(B)が、ジメチル・アミノ・エチル・メタクリレート、ジエチル・アミノ・エチル・メタクリレート、ピペリジン・エチル・メタクリレート、2−tert−ブチル・アミノ・エチル・メタクリレート、及びジメチル・アミノ・エチル・メタクリレートからなる群より選択されるアミノ・アルキル・メタクリル酸の誘導体を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項51】
前記塩基性モノマー(B)が、ジエチル・アミノ・エチル・アクリレートである、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記塩基性モノマー(B)が、ジメチル・アミノ・エチル・メタクリレートである、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記塩基性モノマー(B)が、2−ビニル・ピリジン、3−ビニル・ピリジン、4−ビニル・ピリジン、5−ビニル2−ピコリン、2−ビニル4−ピコリン、2イソプロぺニル・ピリジン、及びイソプロペニル・ピリジンからなる群より選択される、アルケニル・ピリジンを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項54】
前記塩基性モノマー(B)が、4−ビニル・ピリジンを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記塩基性モノマー(B)が、ビニル・キノリン、アミノ・アルキル・ビニル・エーテル、アミノ・エチル・スチレン、及びアリル・アミンからなる群より選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項56】
前記塩基性モノマー(B)が、アリル・アミンである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記親水性モノマー(C)が、ヒドロキシ・エチル・メタクリレート、ヒドロキシ・プロピル・メタクリレート、ヒドロキシエチル・エチル・メタクリレートからなる群より選択されるメタクリル酸の誘導体を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項58】
前記親水性モノマー(C)が、ヒドロキシ・エチル・メタクリレートを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記親水性モノマー(C)が、ヒドロキシ・エチル・エチル・メタクリレートを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記使用される苦味のある薬物が、エリスロマイシン、アジスロマイシン、及びクラリスロマイシンからなる群より選択されるマクロライド系抗生物質を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項61】
前記使用される苦味のある薬物が、シプロフロキサシン、エンロフロキサシン、オフロキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、及びノルフロキサシンからなる群より選択されるフルオロキノロンを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項62】
前記使用される苦味のある薬物が、セフロキシム、セファレキシン、セファドロキシル、及びセフポドキシム・プロキセチルからなる群より選択されるセファロスポリンを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項63】
前記使用される苦味のある薬物が、イブプロフェン、アセトアミノフェン、及びジクロフェナク・ソジウムからなる群より選択される非ステロイド系薬、及び抗炎症薬、及び鎮痛薬を含む、請求項39に記載の組成物。
【請求項64】
前記使用される苦味のある薬物が、エトリコキシブ、及びセレコキシブから選択されるCOX2阻害剤を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項65】
前記使用される苦味のある薬物が、クロルフェニラミン・マレエート、及びファモチジンからなる群より選択される抗ヒスタミン薬を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項66】
前記使用される苦味のある薬物が、オキサゾリジノンを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項67】
前記オキサゾリジノンが、リネゾリドである、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記使用される苦味のある薬物が、デキストロメトルファンを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項69】
前記ポリマー:薬物の比が、重量基準で30:1〜0.2:1の範囲である、請求項39に記載の方法。
【請求項70】
前記ポリマー:薬物の比が、重量基準で5:1〜0.4:1の範囲である、請求項69に記載の方法。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2007−518669(P2007−518669A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−511659(P2005−511659)
【出願日】平成15年12月15日(2003.12.15)
【国際出願番号】PCT/IN2003/000391
【国際公開番号】WO2005/055986
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(595059872)カウンシル オブ サイエンティフィク アンド インダストリアル リサーチ (81)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年12月15日(2003.12.15)
【国際出願番号】PCT/IN2003/000391
【国際公開番号】WO2005/055986
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(595059872)カウンシル オブ サイエンティフィク アンド インダストリアル リサーチ (81)
【Fターム(参考)】
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