説明

{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノンの新規の結晶形態

【課題】化合物{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノンの、商業規模で再現的かつ効率的に生成することのできる高結晶性形態を提供すること。
【解決手段】本発明は、{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノンの新規の結晶形態と、その組成物と、その中間体と、新規の結晶形態を使用する方法と、新規の結晶形態を製造するプロセスと、その中間体を製造するプロセスとを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノンの新規の結晶形態と、その生成および分離プロセスと、新規の中間体と、本発明の結晶形態を含有している医薬組成物とに関する。さらに、本発明は、過剰なタキキニンに関連付けられる障害を治療する方法であって、治療を必要としている患者に本発明の結晶化合物の有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、を提供する。
【背景技術】
【0002】
化合物{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノンは、[特許文献1]に初めて記載された。この化合物は、タキキニン受容体のサブタイプNK−1の阻害剤であるため、過剰なタキキニンに関連付けられる障害の治療に有用である。例えば、この化合物は、うつ病(大うつ病性障害など)、不安症(全般性不安障害、パニック障害、強迫性障害、社会恐怖障害または社会不安障害など)、統合失調症およびその他の精神障害(双極性障害など)、痴呆などの神経変性障害(アルツハイマー型の老人性痴呆症、アルツハイマー病など)、膀胱機能障害(膀胱排尿筋過反射、失禁(切迫性尿失禁など)など)、嘔吐(化学療法によって起こる悪心、急性または遅発性嘔吐など)、痛みまたは痛覚、血圧に関連する障害(高血圧など)、血管拡張症および血管攣縮症に起因する血流障害(アンギナ、片頭痛、レイノー病など)、一過性熱感、急性または慢性の閉塞性気道疾患(成人呼吸窮迫症候群、気管支肺炎、気管支痙攣、慢性気管支炎、ドライバーコフ(drivercough)、喘息など)、炎症性疾患(炎症性大腸炎など)、胃腸疾患または内臓の神経調節に関連する疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病、機能性消化不良、過敏性腸症候群(便秘型、下痢型、または混合型の過敏性腸症候群など))、皮膚病(接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、じんましん、その他の湿疹様皮膚炎)に有用である。
【0003】
商業規模で再現的かつ効率的に生成することのできる、この化合物の高結晶性形態(highly crystalline form)を発見することは、望ましく有利である。本発明者は、{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノンの改良された合成プロセスを開発する中で、この化合物の新規の無水多形体(anhydrous polymorph)を発見し、以下ではこれらを形態IVおよび形態Vと称する。
【特許文献1】米国特許出願第60/376,121号明細書(PCT出願公開、国際公開第03/091226号パンフレット)
【非特許文献1】United States Pharmacopeia #24、National Formulary #19、p.1843〜1844(2000年)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノンの1つの結晶形態である形態IVに関する。
【0005】
別の実施形態においては、本発明は、{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノンの第2の結晶形態である形態Vに関する。
【0006】
また、本発明は、薬学的に許容される1つ以上の担体、希釈剤、または賦形剤との組合せにおいて、有効成分として形態IVまたは形態Vを含有している医薬組成物にも関する。好ましい実施形態においては、本発明は、薬学的に許容される1つ以上の担体、希釈剤、または賦形剤との組合せにおける、形態IVを含有している医薬組成物に関する。
【0007】
さらなる実施形態においては、本発明は、形態IVまたは形態Vによって表される化合物を製造する方法に関する。さらに、本発明は、形態IVまたは形態Vによって表される化合物の製造において有用な中間体を包含している。
【0008】
さらなる実施形態においては、本発明は、過剰なタキキニンに関連付けられる状態を治療する方法であって、治療を必要としている患者に形態IVまたは形態Vの有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、に関する。すなわち、本発明は、過剰なタキキニンに関連付けられる障害を治療する目的で形態IVを使用する方法を提供する。別の実施形態においては、本発明は、過剰なタキキニンに関連付けられる障害を治療する目的で形態Vを使用する方法を提供する。
【0009】
さらなる態様においては、本発明は、治療において使用する形態IVまたは形態Vを提供する。さらに、本発明は、過剰なタキキニンに関連付けられる障害を治療するための薬剤の製造において形態IVまたは形態Vを使用する方法を提供する。
【0010】
好ましい実施形態においては、本発明は、大うつ病性障害を治療する方法であって、治療を必要としている患者に形態IVの有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、を提供する。
【0011】
別の好ましい実施形態においては、本発明は、全般性不安障害を治療する方法であって、治療を必要としている患者に形態IVの有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、を提供する。
【0012】
別の好ましい実施形態においては、本発明は、パニック障害を治療する方法であって、治療を必要としている患者に形態IVの有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、を提供する。
【0013】
別の好ましい実施形態においては、本発明は、強迫性障害を治療する方法であって、治療を必要としている患者に形態IVの有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、を提供する。
【0014】
別の好ましい実施形態においては、本発明は、社会恐怖障害または社会不安障害を治療する方法であって、治療を必要としている患者に形態IVの有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、を提供する。
【0015】
別の好ましい実施形態においては、本発明は、過敏性腸症候群を治療する方法であって、治療を必要としている患者に形態IVの有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、を提供する。
【0016】
別の好ましい実施形態においては、本発明は、大うつ病性障害を治療する方法であって、治療を必要としている患者に形態Vの有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、を提供する。
【0017】
別の好ましい実施形態においては、本発明は、全般性不安障害を治療する方法であって、治療を必要としている患者に形態Vの有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、を提供する。
【0018】
別の好ましい実施形態においては、本発明は、パニック障害を治療する方法であって、治療を必要としている患者に形態Vの有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、を提供する。
【0019】
別の好ましい実施形態においては、本発明は、強迫性障害を治療する方法であって、治療を必要としている患者に形態Vの有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、を提供する。
【0020】
別の好ましい実施形態においては、本発明は、社会恐怖障害または社会不安障害を治療する方法であって、治療を必要としている患者に形態Vの有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、を提供する。
【0021】
別の好ましい実施形態においては、本発明は、過敏性腸症候群を治療する方法であって、治療を必要としている患者に形態Vの有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
有機化合物の結晶形態を特徴付ける目的には、数多くの方法が利用できる。これらの方法としては、例えば、示差走査熱量測定法、熱重量分析、吸湿/脱湿、13C交差分極/マジック角回転(CP/MAS)核磁気共鳴分光法(固体NMRまたはSSNMR)、X線粉末回折法が挙げられる。これらの方法のうちX線粉末回折法および固体NMR分光法は、それぞれ長距離秩序および近距離秩序に基づいて、結晶形態を識別および区別する目的に極めて有用である。
【0023】
これらのパラメータのそれぞれを分析すると、[特許文献1]に記載されているプロセスの結果として得られる{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノンの結晶形態(形態I)が、本明細書に記載した2つの新規の結晶形態(形態IVまたは形態V)とは異なることが示される。形態Iと形態IVまたは形態Vの特性の違いについては、後から詳しく説明する。
【0024】
X線粉末回折法
CuKα源(λ=1.54056Å)と、50kV/40mAで動作するKevex製の固体Si(Li)検出器とを備えたX線粉末回折計Siemens D5000において、X線粉末回折パターンを得た。1mmの発散スリットおよび受光スリットと、0.1mmの検出器スリットとを使用し、3°〜40°(2θ)の間で、ステップサイズ0.02(2θ)、最小走査速度9.0秒/ステップで、各試料を走査した。
【0025】
結晶学の分野では、どのような結晶形においても、回折ピークの相対強度およびピーク幅は好ましい配向や粒子サイズの影響などの複数の要因によって変化しうることが周知である。好ましい配向の影響は、試料に軽い研磨を行うなど、この分野において周知の方法によって最小にすることができる。好ましい配向もしくは粒子サイズ、またはその両方の影響が存在する場合、ピーク強度は変わりうるが、多形体の特徴的なピーク位置は変化しない。例えば、[非特許文献1]を参照。さらに、結晶学の分野においては、どのような結晶形においても、ピーク角度位置がわずかに変化しうることも公知である。例えば、試料の変位、あるいは試料を分析するときの温度の変動に起因して、ピーク位置がシフトすることがある。試料の変位誤差が最小であり、室温で分析を行うならば、ピーク位置が±0.1°(2θ)(実験室用の一般的な回折計の角度精度)だけ変動しても、本発明の結晶形態の識別が妨げられることはない。
【0026】
以下の一連の表は、{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノンのピークのうち、強度が最大ピークの5%またはそれ以上であるピークすべてについて、ピークの角度位置(2θ)と対応する相対強度データ(I/I)とを示している。
【0027】
[特許文献1]の実施例132に記載されているプロセスから得られる結晶形態である形態Iに対して、CuKα放射線を用いる上述した方法論を使用してX線粉末回折パターンを生成した。この結晶形は、表Iにおけるピーク角度位置(2θ)とそれに対応する相対強度データとによって特徴付けられる。この表は、{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(形態I)のピークのうち、強度が最大ピークの5%またはそれ以上であるピークの2θ値(±0.1°(2θ))と相対強度とを示している。
(形態I)
【表1】

【0028】
本発明は、表IIにおけるピーク角度位置(2θ)と対応する相対強度データとによって特徴付けられる結晶形態IVを対象としており、表IIは、{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(形態IV)のピークのうち、強度が最大ピークの5%またはそれ以上であるピークの2θ値(±0.1°(2θ))と相対強度とを示している。
(形態IV)
【表2−1】

【表2−2】

【0029】
第2の実施形態においては、本発明は、表IIIにおけるピーク角度位置(2θ)と対応する相対強度データとによって特徴付けられる結晶形態Vを対象としており、表IIIは、{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(形態V)のピークのうち、強度が最大ピークの5%またはそれ以上であるピークの2θ値(±0.1°(2θ))と相対強度とを示している。
(形態V)
【表3−1】

【表3−2】

【0030】
従って、{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(形態IV)の適切に生成された結晶試料は、CuKα放射線を使用しての2θ値(±0.1°(2θ))におけるX線回折パターンとして、表IIに記載されているピークを有するX線回折パターンによって特徴付けることができる。具体的には、結晶形態IVは、CuKα放射線を使用しての2θ値(±0.1°(2θ))におけるX線回折パターンとして、少なくとも1つのピーク14.3±0.1°(2θ)、あるいは、少なくとも1つのピーク12.1±0.1°(2θ)、より具体的には、1つのピークが12.1±0.1°であり、第2のピークが、7.7±0.1°、8.3±0.1°、12.7±0.1°、13.5±0.1°、14.3±0.1°、14.9±0.1°、16.6±0.1°、16.9±0.1°、18.5±0.1°、21.9±0.1°、24.9±0.1°(2θ)から成る群から選択される、少なくとも2つのピーク、より具体的には、1つのピークが12.1±0.1°であり、第2のピークが、8.3±0.1°、14.3±0.1°、14.9±0.1°、16.6±0.1°、16.9±0.1°、18.5±0.1°、19.3±0.1°、21.9±0.1°、24.9±0.1°(2θ)から成る群から選択される、少なくとも2つのピーク、より具体的には、1つのピークが12.1±0.1°であり、第2のピークが、8.3±0.1°、14.3±0.1°、16.6±0.1°、16.9±0.1°、18.5±0.1°(2θ)から成る群から選択される、少なくとも2つのピーク、より具体的には、少なくとも12.1±0.1°、14.3±0.1°、16.6±0.1°、18.5±0.1°(2θ)のピーク、より具体的には、少なくとも8.3±0.1°、12.1±0.1°、16.6±0.1°、16.9±0.1°、18.5±0.1°(2θ)のピーク、より具体的には、少なくとも8.3±0.1°、12.1±0.1°、12.7±0.1°、13.5±0.1°、14.3±0.1°、14.9±0.1°、16.9±0.1°、18.5±0.1°、24.9±0.1°(2θ)のピーク、より具体的には、少なくとも7.7±0.1°、8.3±0.1°、12.1±0.1°、12.7±0.1°、13.5±0.1°、14.3±0.1°、14.9±0.1°、16.6±0.1°、16.9±0.1°、18.5±0.1°、21.9±0.1°、24.9±0.1°(2θ)のピーク、を有するX線回折パターンによって特徴付けることができる。
【0031】
本発明の第2の実施形態においては、{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(形態V)の適切に生成された結晶試料は、CuKα放射線を使用しての2θ値(±0.1°(2θ))におけるX線回折パターンとして、表3に記載されているピーク、具体的には、少なくとも1つのピーク12.5±0.1°(2θ)、より具体的には、1つのピークが12.5±0.1°であり、第2のピークが、7.9±0.1°、11.2±0.1°、13.1±0.1°、14.0±0.1°、15.8±0.1°、19.1±0.1°、19.7±0.1°、20.9±0.1°、21.5±0.1°、25.6±0.1°(2θ)から成る群から選択される、少なくとも2つのピーク、より具体的には、1つのピークが12.5±0.1°であり、第2のピークが、15.8±0.1°、16.5±0.1°、19.1±0.1°、19.7±0.1°、21.5±0.1°、25.3±0.1°、27.7±0.1°、28.6±0.1°(2θ)から成る群から選択される、少なくとも2つのピーク、より具体的には、少なくとも12.5±0.1°、25.3±0.1°、27.7±0.1°(2θ)のピーク、より具体的には、少なくとも12.5±0.1°、25.3±0.1°、27.7±0.1°、28.6±0.1°(2θ)のピーク、より具体的には、少なくとも12.5±0.1°、15.8±0.1°、16.5±0.1°、19.1±0.1°、19.7±0.1°(2θ)のピーク、より具体的には、少なくとも7.9±0.1°、12.5±0.1°、13.1±0.1°、14.0±0.1°、15.8±0.1°、19.1±0.1°、19.7±0.1°、25.6±0.1°(2θ)のピーク、より具体的には、少なくとも7.9±0.1°、12.5±0.1°、13.1±0.1°、14.0±0.1°、15.8±0.1°、16.5±0.1°、19.1±0.1°、19.7±0.1°、25.6±0.1°(2θ)のピーク、最も具体的には、少なくとも7.9±0.1°、11.2±0.1°、12.5±0.1°、13.1±0.1°、14.0±0.1°、15.8±0.1°、19.1±0.1°、19.7±0.1°、20.9±0.1°、21.5±0.1°、25.6±0.1°(2θ)のピーク、を有するX線回折パターンによって特徴付けることができる。
【0032】
13C固体核磁気共鳴法(NMR)
固体用アクセサリ類一式(complete solids accessory)と、Chemagnetics社製の4.0mm T3プローブとを備えており、炭素周波数(carbon frequency)100.573MHzにて動作するVarian Unity Inova社製の400MHz NMR分光計を使用して、13C交差分極/マジック角回転(CP/MAS)NMR(固体NMRまたはSSNMR)スペクトルを得た。62kHzにおけるランプ振幅交差分極(RAMP−CP:Ramped−amplitude cross−polarization)と、70kHzにおけるTPPM(2パルス位相変調)デカップリングとを使用した。測定時の設定値は、90°プロトン無線周波数パルス幅(90°proton radio frequency pulse width)4.0μs、接触時間2.0ms、パルス繰り返し時間10s、MAS周波数10kHz、スペクトル幅50kHz、取得時間50msであった。化学シフトは、試料の交換によってヘキサメチルベンゼンのメチル基(δ=17.3ppm)を基準とした。分析は室温にて行った。すべての値の単位はppm(parts per million)であり、ピーク位置の変動は±0.2ppmである。
【0033】
{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(形態I)のスペクトルは、化学シフト52.8±0.2、121.0±0.2、122.8±0.2、125.4±0.2、128.7±0.2、130.9±0.2、134.5±0.2、136.4±0.2、138.0±0.2、139.6±0.2、145.3±0.2、150.1±0.2、151.0±0.2、および194.1±0.2ppmに等方性ピーク(isotropic peak)を持つ。
【0034】
従って、本発明は、化学シフト52.3±0.2および195.4±0.2ppmに等方性ピークを持つ{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(形態IV)を対象としている。より好ましくは、本発明は、化学シフト52.3±0.2、123.5±0.2、127.2±0.2、131.4±0.2、133.5±0.2、136.9±0.2、146.7±0.2、149.3±0.2、151.4±0.2、195.4±0.2ppmに等方性ピークを持つ形態IVを対象としている。最も好ましくは、本発明は、化学シフト52.3±0.2、123.5±0.2、127.2±0.2、129.6±0.2、131.4±0.2、133.5±0.2、135.4±0.2、136.9±0.2、146.7±0.2、149.3±0.2、151.4±0.2、195.4±0.2ppmに等方性ピークを持つ形態IVを対象としている。
【0035】
別の実施形態においては、本発明は、化学シフト54.3±0.2および196.6±0.2ppmに等方性ピークを持つ{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(形態V)を対象としている。より好ましくは、本発明は、化学シフト54.3±0.2、123.7±0.2、127.4±0.2、132.0±0.2、134.3±0.2、137.1±0.2、145.8±0.2、151.0±0.2、196.6±0.2ppmに等方性ピークを持つ形態Vを対象としている。最も好ましくは、本発明は、化学シフト54.3±0.2、123.7±0.2、127.4±0.2、130.1±0.2、132.0±0.2、134.3±0.2、137.1±0.2、145.8±0.2、149.1±0.2、151.0±0.2、196.6±0.2ppmに等方性ピークを持つ形態Vを対象としている。
【0036】
以下の実施例は、化合物{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノンと、結晶形態IVおよび結晶形態Vとを生成するプロセスをさらに示している。以下の実施例は、これらのプロセスの範囲をいかなる観点においても制限するものではない。
【0037】
化合物{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノンの生成においては、新規の中間体(2−クロロフェニル)−[2−(2−ヒドロキシ−2−ピリジン−4−イル−ビニル)ピリジン−3−イル]メタノンまたはその塩、好ましくはリン酸塩と、1−アジドメチル−3,5−ビストリフルオロメチルベンゼンおよび適切な塩基とを、溶媒の存在下で混合することによって、反応を行う。この反応において使用できる塩基としては、水酸化カリウム、炭酸水素カリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム十二水和物、またはナトリウム・エトキシドが挙げられ、好ましい塩基は炭酸カリウムである。この反応に有用な溶媒としては、DMSO、イソプロパノール、エタノール、THF、トルエンが挙げられる。好ましくは、この反応はDMSOまたはイソプロパノール中で行う。反応温度は重要ではないが、約40℃〜約80℃の間の温度とすることができる。
【0038】
反応生成物は、この分野において周知の手法、例えば沈殿、濾過、抽出、蒸発、粉砕、クロマトグラフィー、再結晶化などによって、分離および精製することができる。
【0039】
本発明の結晶形態の生成においては、不活性溶媒を使用することが有利であることがある。本発明のコンテキストにおいて使用されている用語「不活性溶媒」は、{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノンが、選択された溶媒よりも大幅に溶けにくい溶媒を意味する。不活性溶媒を使用するとき、その不活性溶媒は、選択された溶媒との混和性があることが好ましい。
【0040】
従って、{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(形態IVおよび形態V)は、制御された条件下で溶媒からの結晶化によって生成することができる。溶液からの結晶化、もしくは溶液媒介相転位(スラリー化手法)、またはその両方は、本プロセスの範囲内であるとみなす。
【0041】
実際には、形態IVの生成には、多数の溶媒および不活性溶媒が有用であることが判明している。これらの溶媒としては、低級アルコール、エーテル、エステル、ニトリル、ハロゲン化炭素が挙げられる。例えば、本発明の形態IVは、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリル、プロパノール、ブタノール、酢酸エチル、メチル−t−ブチルエーテル、ジクロロメタンから成る群から選択される溶媒からの結晶化によって生成することができる。形態IVを結晶化することのできる好ましい溶媒は、イソプロパノールである。形態IVの結晶化には、ヘキサン、ヘプタン、水などの不活性溶媒も有用なことがある。
【0042】
形態IVは、ある範囲の温度において生成することができる。実際には、形態IVは、室温から約85℃までの範囲の温度において生成することができる。
【0043】
本発明の形態Vも、溶媒からの結晶化によって生成することができる。例えば、形態Vは、水性有機溶媒混合物から結晶化させることができる。実際には、形態Vの結晶化に有用な有機溶媒は、メタノールやエタノールなどの低級アルコールであり、不活性溶媒は水である。
【0044】
形態Vの結晶化も、室温から約76℃までの範囲の温度において、より好ましくは68〜71℃の範囲の温度において行うことができる。
【0045】
当業者には、形態IVおよび形態Vの結晶化合物の別名が、メタノン,[2−[1−[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]−5−(4−ピリジニル)−1H−1,2,3−トリアゾル−4−イル]−3−ピリジニル](2−クロロフェニル)−であることが認識されるであろう。
【0046】
生成および実施例の中で使用されている用語および略語は、特に明記しない限りは通常の意味である。例えば、「℃」は摂氏温度、「N」は規定濃度または規定度、「mol」はモル、「Eq」は当量、「g」はグラム、「h」は時間、「HPLC」は高速液体クロマトグラフィー、「min」は分、「L」はリットル、「M」はモル濃度、「塩水」は塩化ナトリウム飽和水溶液、「MS」は質量分析法、「NMR」は核磁気共鳴分光法、「ppm」はparts per million、「RT」は室温、「TLC」は薄層クロマトグラフィー、「ACN」はアセトニトリル、「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミド、「DMSO」はジメチルスルホキシド、「EtO」はジエチルエーテル、「EtOAc」は酢酸エチル、「MeOH」はメタノール、「EtOH」はエタノール、「iPrOH」はイソプロパノール、「TEA」はトリエチルアミン、「TFA」はトリフルオロ酢酸、「THF」はテトラヒドロフランである。
【実施例】
【0047】
<実施例1>
{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(形態IV)
【化1】

DMSO(16mL)における(2−クロロフェニル)−[2−(2−ヒドロキシ−2−ピリジン−4−イル−ビニル)ピリジン−3−イル]メタノンフォスフェイト(6.0g,13.8mmol)の溶液に、1−アジドメチル−3,5−ビストリフルオロメチルベンゼン(3.73g、13.8mmol)と炭酸カリウム(5.73g、41.4mmol)とを加える。40℃に加熱し、約20〜24時間攪拌する。反応混合物を室温まで冷やし、この混合物をCHCl(75mL)と1N NaOH(75mL)に加える。層を分離させ、CHCl(50mL)によって水層を抽出する。層を分離させ、有機層を混合し、混合した有機層を1N NaOH(2×50mL)によって抽出する。MgSOと、酸で洗浄したカーボン(1.2g)とを加えて20分間攪拌し、Celite(登録商標)によって濾過する。濾液を、総重量約25gまで濃縮する。ヘプタン(75mL)を約45分間かけて滴下により加える。必要な場合、この溶液に標題化合物を加える。その結果のスラリーを1時間攪拌した後に濾過し、標題化合物を得る。標題化合物を乾燥させた後、イソプロパノール(36mL)に加える。この混合物を、固体が溶けるまで加熱する(約65℃)。溶液を室温まで冷やす。その結果のスラリーを約3時間攪拌する。スラリーを氷/水浴の中で冷やし、2時間攪拌する。濾過して乾燥させると、標題化合物が白色の固体として得られる。MS(IS)588(M+1)。TLC(3%MeOH/CHCl)R=0.17。H NMR(400MHz,CDCl):5.46(s,2H);7.19(m,5H);7.36(dd,1H,J=4.9,7.8);7.45(s,2H);7.59(m,1H);7.83(s,1H);7.93(dd,1H,J=1.5,7.8);8.56(dd,1H,J=1.5,4.9);8.70(d,2H,J=5.9)。
【0048】
この反応は、イソプロパノール(225mL)中の(2−クロロフェニル)−[2−(2−ヒドロキシ−2−ピリジン−4−イル−ビニル)ピリジン−3−イル]メタノン(30.0g、72.3mmol、1.0Eq)の溶液を使用して行うこともできる。1−アジドメチル−3,5−ビストリフルオロメチルベンゼン(20.43g、76mmol、1.05Eq)と、炭酸カリウム(5.0g、36.2mmol、0.5Eq)とを加え、反応混合物を約21〜24時間加熱して還流させる。反応混合物を20℃に冷やし、水(120mL)を加えて約16時間攪拌する。濾過し、120mLのイソプロパノール/水(体積比1:1)で洗浄し、減圧下で50℃において乾燥させ、標題化合物を得る。この化合物を上述したように再結晶化させることができる。
【0049】
<生成1−A>
(2−クロロフェニル)−[2−(2−ヒドロキシ−2−ピリジン−4−イル−ビニル)ピリジン−3−イル]メタノン
【化2】

アルゴン雰囲気中で、ジクロロメタン(1.1L)における(2−クロロフェニル)−(2−フルオロピリジン−3−イル)メタノール(140g、0.59mol)の溶液に、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(TEMPO)(1.43g,9.15mmol)と臭化カリウム(水における重量濃度10%、57.1mL、0.048mol)とを加える。その結果の混合物に、水(403mL)における次亜塩素酸ナトリウム(水における活性塩素の重量濃度13%、403mL、0.85mol)と重炭酸ナトリウム(20.3g、0.24mol)の溶液を、よく攪拌しながら、20℃以下の温度に維持しながら加える。反応混合物の攪拌を、30分間、または反応が完了するまで続ける。層を分離させ、有機層を総容積約200mLまで濃縮する。ジメチルスルホキシドを加え、溶液中にジクロロメタンが存在しなくなるまで濃縮する。4−アセチルピリジン(107g、0.88mol)と粉末の水酸化リチウム(28.2g、1.17mol)とを加え、60℃において2.5時間、または反応が完了するまで攪拌する。室温まで冷やし、ジクロロメタン(1.4L)と塩化ナトリウムの10%水溶液(1.3L)とを、20℃〜24℃の温度を維持しながら加える。層を分離させ、水層をジクロロメタン(1.4L)によって抽出する。層を分離させ、有機層を混合する。混合した有機層を塩化ナトリウムの10%水溶液(3×2.6L)によって洗浄する。有機層を、総容積約500mLまで濃縮した後、メタノール(1.0L)を加える。結果の残留物の重量が約500gになるまで真空下で濃縮した後、さらにメタノール(207mL)を加える。この溶液を60℃に加熱する。温度が45℃に達したらリン酸(水における重量濃度85%、67.4g、0.58mol)を加える。その結果のスラリーを22℃において16時間攪拌する。その結果の固体を濾過によって集め、メタノール(3×65mL)および水(3×65mL)によって洗浄する。その結果の固体を、水(714mL)における炭酸カリウム(49.3g、0.356mol)の溶液に加え、4時間攪拌する。その結果の固体を濾過によって集め、水(50mL)によって洗浄し、50℃において真空下で乾燥させ、オレンジ色の固体として標題化合物を得る。H NMR(400MHz,DMSO−D)δppm 4.89(s,2H)6.93(d,J=7.33Hz,1H)7.09(s,1H)7.11−7.17(m,2H)7.24(dd,J=7.58,5.31Hz,1H)7.40−7.67(m,15H)7.71−7.77(m,3H)7.85(d,J=7.83Hz,1H)7.89(d,J=6.06Hz,2H)8.15(d,J=7.58Hz,1H)8.50(d,J=3.79Hz,1H)8.62(d,J=3.79Hz,3H)8.67(d,J=5.81Hz,2H)8.73(dd,J=4.80,1.52Hz,1H)8.83(d,J=5.81Hz,1H)
【0050】
標題化合物は、互変異性体と幾何異性体の混合物として存在する。これらの形態のそれぞれは、本発明の範囲に含まれるものと理解されるであろう。
【化3】

【0051】
<生成1−B>
(2−クロロフェニル)−[2−(2−ヒドロキシ−2−ピリジン−4−イル−ビニル)ピリジン−3−イル]メタノンフォスフェイト
窒素下で、ナトリウム−t−ブトキシド(8.99g、93.5mmol)と、酢酸パラジウム(0.36g、1.60mmol)と、ビス(2−ジフェニルホスフィノフェニル)エーテル(1.06g、1.97mmol)と、硫酸マグネシウム(4.68g、38.9mmol)と、トルエン(160mL)とを混合する。この混合物に、トルエン(40mL)における4−アセチルピリジン(7.60g、62.7mmol)と(2−ブロモピリジン−3−イル)−(2−クロロフェニル)メタノン(9.31g、31.4mmol)の溶液を加える。反応混合物を60℃に加熱して3時間攪拌する。反応混合物を室温まで冷やす。反応混合物を、氷酢酸(9.3mL)と水(40mL)の溶液に加える。約30分間攪拌し、Hyflo(登録商標)によって濾過する。層を分離させ、トルエン(50mL)によって水層を抽出する。混合した有機層に1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール(1.7g)を加える。60℃に加熱し、約1時間攪拌する。反応混合物を室温まで冷やし、Darco(登録商標)(2.3g)を加えて室温において1時間攪拌する。Hyflo(登録商標)によって濾過し、溶液をオイル状になるまで濃縮する。その結果のオイルを、n−ブタノール(38mL)およびメタノール(93mL)に溶かし、60℃に加熱する。この溶液を、メタノール(15mL)における85%のリン酸(6.1mL)の混合物によって処理する。混合物を60℃において約1時間攪拌する。混合物を室温まで冷やし、13時間攪拌する。濾過し、メタノール(26mL)でリンスして乾燥させ、オレンジ色の固体として標題化合物を得る。C1914ClN(M+H)337.06のLRMS(ES+)の計算値は337.31m/z。IR(固体)2364(broad),1658,1561,1278,1152,1108,1050。
【0052】
標題化合物は、以下に説明する代替プロセスによって生成することもできる。Nの不活性雰囲気中で、(2−フェニルスルホニル−ピリジン−3−イル)−(2−クロロフェニル)メタノン(15g)と4−アセチルピリジン(7.59g、1.5Eq)をDMSO(150mL)に加える。この溶液を70℃に加熱した後、LiOH(4g、4Eq)を一度に加える。反応混合物をその温度において4時間攪拌する。反応中、混合物は赤から黒褐色に変わる。反応の完了は、HPLCによって調べることができる。反応の完了後、反応混合物を冷水浴によって15℃に冷やし、CHCl(150mL)を加える。酢酸(9.58mL、4Eq)を含んだ10%NaCl(150ml)によって、反応混合物を10分間クエンチする。添加の終了時点で、温度は約27℃に達する。CHCl(150ml)によって水層を再抽出する。有機層を混合し、10%NaCl(3×300mL)で洗浄する。混合した有機層を真空下で乾燥状態まで濃縮し、MeOH(4.3容積)に残留物を再び溶かす。反応混合物を20℃に冷やし、HPO(水における重量濃度85%、2.88mL、1Eq)を加える。懸濁液を20℃において4時間攪拌し、濾過する。沈殿物をMeOH(2×15mL)によって洗浄し、真空下で50℃において乾燥させ、オレンジ色の固体として標題化合物を得る。
【0053】
標題化合物は、互変異性体と幾何異性体の混合物として存在する。これらの形態のそれぞれは、本発明の範囲に含まれるものと理解されるであろう。
【化4】

【0054】
<生成1−C>
(2−ブロモピリジン−3−イル)−(2−クロロフェニル)メタノン
THF(75mL)におけるジイソプロピルアミン(4.9mL、34.8mmol)の−70℃の溶液に、n−ブチルリチウム(21.7mL、34.8mmol、1.6Mヘキサン溶液)を加える。溶液を−70℃に戻し、−65℃以下の温度を維持しながら、溶液に2−ブロモピリジン(5.0g、31.6mmol)を加える。2−ブロモピリジンが含まれている容器内容物をTHF(10mL)によってリンスし、この溶液を反応混合物に加える。その結果の溶液を15分間攪拌した後、THF(15mL)における2−クロロベンズアルデヒド(3.55mL、31.6mmol)の溶液を一度に加える。その結果の溶液を−70℃において約5時間攪拌する。MeOH(3.0mL)を加え、室温まで戻す。反応混合物に3N HCl(30mL)を加えた後、トルエン(25mL)を加える。層を分離させ、有機層をHO(25mL)によって洗浄する。有機層を約2総容積まで濃縮する。トルエン(50mL)を加え、溶液を約2総容積まで濃縮する。もう一度トルエン(65mL)を加え、溶液を約2総容積まで濃縮する。DMSO(18mL)を加える。その結果の溶液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(14.5mL、83.1mmol)を加える。別の反応容器において、DMSO(50mL)に三酸化硫黄ピリジン錯体(11.6g、72.7mmol)を溶かす。三酸化硫黄ピリジン錯体/DMSO溶液の一部(35mL)を反応混合物に加え、30分間攪拌する。三酸化硫黄ピリジン錯体/DMSO溶液の第2の部分(9mL)を反応混合物に加え、30分間攪拌する。三酸化硫黄ピリジン錯体/DMSO溶液の第3の部分(9mL)を反応混合物に加え、30分間攪拌する。三酸化硫黄ピリジン錯体/DMSO溶液の最後の部分(約9mL)を加え、30分間攪拌する。酢酸エチル(50mL)と1N HCl(100mL)とを加える。層を分離させ、酢酸エチル(25mL)によって水層を抽出する。層を分離させ、混合した有機層をHO(25mL)によって抽出する。層を分離させ、有機層を約2総容積まで濃縮する。イソプロパノール(50mL)を加え、その結果の溶液を約2総容積まで濃縮する。イソプロパノール(50mL)を加え、その結果の溶液を約2総容積まで濃縮する。イソプロパノール(5mL)を加えた後、ヘプタン(40mL)を滴下により加える。その結果のスラリーを15分間攪拌する。スラリーを0℃に冷やし、1時間攪拌する。スラリーを濾過し、冷やしたヘプタン(20mL)によって濾過ケークを洗浄して乾燥させ、わずかに灰色がかった白色として標題化合物を得る。H NMR(500MHz,CDCl)δ 8.49(dd,J=4.9,2.0Hz,1H),7.78(dd,J=7.3,2.0Hz,1H),7.59(dd,J=7.3,1.5Hz,1H),7.49−7.36(m,4H);13CNMR(125MHz,CDCl)δ 193.8,152.0,139.5,139.1,137.7,136.7,133.6,133.3,131.8,131.2,127.4,123.0。C12BrClNO(M+H)295.9のLRMS(ES+)の計算値は295.8m/z。
【0055】
<生成1−D>
(2−クロロフェニル)−(2−フルオロピリジン−3−イル)−メタノール
n−ブチルリチウム(2.47Mヘキサン溶液、917mL、2.27mol)の−63℃の溶液に、−38℃以下の温度を維持しながらジイソプロピルアミン(286.6g、2.83mol)を加える。−43℃以下の温度を維持しながら、テトラヒドロフラン(1.20L)を加える。その結果の溶液に、−66℃〜−57℃の温度を維持しながら、2−フルオロピリジン(200.0g、2.06mol)を加える。その結果の溶液を−72℃〜−57℃の温度において45分間攪拌する。この溶液に、−70℃〜−39℃の温度を維持しながら、テトラヒドロフラン(125mL)における2−クロロベンズアルデヒド(318.5g、2.27mol)の溶液を加える。その結果の溶液を−73℃〜−50℃の温度において1時間攪拌し、メタノール(198g、6.18mol)を加える。溶液を−30℃まで戻し、30分間攪拌する。その結果の溶液を、トルエン(1.20L)と3N塩酸(1.85L、5.55mol)との−13℃の混合物に加える。層を分離させ、トルエン(1.2L)によって水層を抽出する。混合した有機層を水(1.8L)によって抽出し、この溶液を、減圧下で60℃において約910gの重量まで濃縮する。溶液を25℃に冷やす。結晶化が起こる。その結果のスラリーを1時間攪拌する。シクロヘキサン(2.0L)を5分間かけて加え、結果のスラリーを14時間攪拌する。その結果の固体を濾過によって集め、固体をシクロヘキサン(500mL)によって洗浄する。真空下で45℃において固体を4時間乾燥させ、白色の固体として標題化合物を得る。H NMR(400MHz,DMSO−D)δppm 6.17(d,J=4.80Hz,1H)6.35(d,J=4.80Hz,1H)7.29−7.38(m,2H)7.42(t,J=7.71Hz,1H)7.41−7.46(m,1H)7.61−7.67(m,1H)7.75−7.88(m,1H)8.16(d,J=4.55Hz,1H)。
【0056】
<生成1−E>
(2−フェニルスルホニル−ピリジン−3−イル)−(2−クロロフェニル)メタノン
−65℃に冷やしたn−ブチルリチウム(2.5Nヘキサン溶液、28mL)に、−65℃〜−52℃の温度を維持しながら、ジイソプロピルアミン(286.6g、2.83mol)を加える。すると沈殿が起こる。リチウムジイソプロピルアミン(LDA)懸濁液にTHF(42mL)を加える。この懸濁液に、−65℃〜−55℃の温度を維持しながら、THF(42mL)における2−フェニルスルホニルピリジン(14g)の溶液を加える。約15分間攪拌する。黄色ないしオレンジ色の沈殿物が形成される。この懸濁液に、THF(11mL)における2−クロロベンズアルデヒド(8.96g)の溶液を加え、このとき反応混合物の温度は−75℃〜−60℃に維持する。赤い溶液が得られる。この反応混合物を−70℃において1時間攪拌し、反応混合物を−30℃まで暖めた後、3N HCl(112mL)を慎重に加える。添加の終了時点で、温度を0℃まで戻す。反応混合物を約20℃に暖め、トルエン(2×140mL)によって抽出する。
【0057】
有機層を混合し、水(100mL)によって洗浄し、減圧下で乾燥状態まで濃縮し、黄色の固化オイルを得る。残留物をCHCl(150mL)に溶かし、水(44mL)における10%のKBr溶液と2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)(728mg)とを加える。反応混合物を氷浴によって10℃に冷やす。4%のNaOCl(728mL)とNaHCO(6.5g)の溶液を、よく攪拌しながら、約10℃の温度を維持しながら加える。添加の終了時点で、反応混合物を20℃に暖め、1時間攪拌する。有機層をデカント処理して分離し、真空下で濃縮して25gのオイル(crude oil)を得る。オイル状の残留物をDMF(100mL)に溶かし、ゆっくりと水(160mL)を加えて標題化合物を沈殿させる。懸濁液を室温において1時間攪拌した後、0℃において15分間攪拌する。懸濁液を濾過し、沈殿物をDMF/HOによって洗浄し、真空下で50℃において乾燥させ、白色ないし、わずかに灰色がかった白色の固体として標題化合物を得る。H NMR(600MHz,クロロホルム−d)δ ppm 7.38(td,J=7.52,1.28Hz,1H)7.47(dd,J=7.80,1.30Hz,1H)7.51(td,J=7.79,1.60Hz,1H)7.51(t,J=7.89Hz,2H)7.50−7.54(m,J=7.75,4.63Hz,1H)7.60(t,J=7.43Hz,1H)7.73(dd,J=7.75,1.60Hz,1H)7.81(dd,J=7.79,1.56Hz,1H)8.00(dd,J=8.44,1.10Hz,2H)8.76(dd,J=4.63,1.61Hz,1H)。
【0058】
<実施例2>
{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(形態IV)
の不活性雰囲気中で、(2−フェニルスルホニル−ピリジン−3−イル)−(2−クロロフェニル)メタノン(15g)と4−アセチルピリジン(7.59g、1.5Eq)をDMSO(150mL)に加える。溶液を70℃に加熱した後、LiOH(4g、4Eq)を一度に加える。反応混合物を4時間攪拌し、反応の完了をHPLCによって調べる。反応中、混合物は赤から黒褐色に変わる。反応の完了後、反応混合物を15℃に冷やし、CHCl(150mL)を加える。酢酸(9.58mL、4Eq)を含んだ10%NaCl(150ml)によって、反応混合物をクエンチする。層を分離させ、CHCl(150ml)によって水層を再抽出する。有機層を混合し、10%NaCl(3×300mL)で洗浄する。混合した有機層を真空下で乾燥状態まで濃縮し、残留物をMeOH(4.3容積)に再び溶かす。反応混合物を20℃に冷やし、HPO(水における重量濃度85%、2.88mL、1Eq)を加える。懸濁液を20℃において4時間攪拌し、濾過し、沈殿物をMeOH(2×15mL)によって洗浄する。
【0059】
水(35mL)と沈殿物の懸濁液に、THF(53mL)とKCO(5.51g、1.5Eq)とを加え、混合物を室温において10分間攪拌する。混合物をデカント処理し、層を分離する。有機層を乾燥状態まで濃縮し、残留物をイソプロピルアルコール(53mL)に溶かし、再び濃縮する。残留物をイソプロピルアルコール(53mL)にもう一度溶かし、1−アジドメチル−3,5−ビストリフルオロメチルベンゼン(5.23mL、1.05Eq)とKCO(1.84g)とを加え、懸濁液を82℃に約21時間加熱する。反応の完了をHPLCによって調べる。反応混合物を20℃に冷やし、水(35mL)を加えて沈殿させる。濾過し、イソプロパノール/水(体積比1:1)によって洗浄し、減圧下で50℃において乾燥させ、白色ないし、わずかに灰色がかった白色の固体として標題化合物を得る。
【0060】
<実施例3>
{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(形態IV)
A. {2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(400g)を、イソプロパノール(8mL)に約65℃において溶かす。温度を54℃に冷やし、HO(20mL)を加えて結晶化を起こす。真空濾過によって固体生成物を分離する。
B. これに代えて、{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(600mg)を、加熱しながらイソプロパノール(4.5mL)に溶かすことができる。溶液を室温までゆっくりと冷やし、真空濾過によって固体生成物を分離することができる。ヘプタンによって洗浄する。
C. 別の方法においては、{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(400mg)を、加熱しながら酢酸エチル(2mL)に溶かす。温度を約62℃に保持し、ヘプタン(10mL)を加えて結晶化を起こす。真空濾過によって生成物を分離する。
D. 別の方法においては、{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(400mg)を、室温において酢酸エチル(4mL)に溶かす。ヘプタン(15mL)を加えて結晶化を起こす。真空濾過によって生成物を分離する。
E. 別の方法においては、{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(300mg)を、室温においてジクロロメタン(2mL)に溶かす。温度を約40℃まで高め、その時点でヘプタン(15mL)を加えて結晶化を起こす。真空濾過によって生成物を分離する。
【0061】
<実施例4>
{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(形態V)
A. {2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(200mg)を、熱いMeOH(1mL)または熱いEtOH(2mL)に溶かす。溶液に水(10mL)を加えて、約68〜71℃において結晶化を起こす。懸濁液を室温まで冷やし、真空濾過によって固体生成物を分離する。
B. これに代えて、{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(200mg)を、室温においてMeOH(7mL)に溶かす。溶液に水(10mL)を加えて結晶化を起こす。真空濾過によって固体生成物を分離する。
【0062】
本明細書おいて使用されている用語「患者」は、過剰なタキキニンに関連付けられる1つ以上の障害を抱えている哺乳類を意味する。この用語の意味の範囲内の哺乳類の例は、モルモット、イヌ、ネコ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、ヒツジ、人間である。最も好ましい患者は人間であることが理解されるであろう。また、本発明は、具体的には哺乳類のNK−1受容体の阻害に関することが理解されるであろう。
【0063】
また、形態IVまたは形態Vの化合物の有効量を使用して、現在障害に悩まされている患者を治療することによって、または、障害に悩まされている患者を予防治療することによって、当業者が障害に何らかの作用を及ぼすことができることも理解されるであろう。従って、用語「治療」は、本明細書に記載した障害の進行を、遅らせる、一時的に止める、阻む、制御する、または止めることのできるあらゆるプロセスを意味するものとし、そのような障害の予防的な治療も含むものとするが、障害のあらゆる症状を完全に排除することは必ずしも意味しない。
【0064】
本明細書において使用されている用語として、本発明の化合物の「有効量」は、本明細書に記載した障害を治療するうえで有効である量を意味する。
【0065】
本発明の化合物は、単独で、または医薬組成物の形式において、すなわち薬学的に許容される担体または賦形剤と組み合わせて投与することができ、後者の場合、担体または賦形剤の割合および性質は、選択される化合物の溶解性および化学的特性と、選択される投与経路と、標準的な薬務とによって決まる。
【0066】
従って、本発明は、形態IVまたは形態Vの化合物と、薬学的に許容される希釈剤とを有する医薬組成物を提供する。
【0067】
本発明の化合物は、さまざまな経路によって投与することができる。本明細書に記載した障害を抱えている患者の治療を実施するとき、形態IVまたは形態Vの化合物を、化合物の有効量を体内に吸収させることのできる任意の形式または形態(経口経路または非経口経路など)において投与することができる。例えば、形態IVまたは形態Vの化合物は、経口投与、吸入投与、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、経皮投与、経鼻投与、直腸投与、経眼投与、局所投与、舌下投与、口腔投与、またはその他の経路によって投与することができる。本明細書に記載した神経疾患および精神障害の治療には、一般的には経口投与が好ましい。
【0068】
製剤の当業者は、選択される化合物の特性、治療する障害または状態、障害または状態の段階、およびその他の関与する状況に応じて、投与の適切な形式および形態を容易に選択することができる(「レミントンの薬剤学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」(第18版、Mack Publishing Co.、1990年)。
【0069】
本医薬組成物は、薬学分野において周知の方法によって調合される。担体または賦形剤は、有効成分の賦形剤または媒体としての役割を果たすことのできる固体材料、半固体材料、または液体材料とすることができる。適切な担体または賦形剤は、この分野において周知である。本医薬組成物は、経口投与、吸入投与、非経口投与、または局所投与用に適合させることができ、錠剤、カプセル剤、噴霧剤、吸入剤、座薬、溶液剤、懸濁液剤、その他の形式において患者に投与することができる。
【0070】
本発明の化合物は、経口的に、例えば、不活性希釈剤またはカプセルによって、あるいは錠剤に固めて投与することができる。治療のための経口投与を目的とする場合、本化合物は、賦形剤と共に組み込むことができ、錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁液剤、シロップ、ウェハ、チューインガム、その他の形式で使用することができる。これらの製剤は、本発明の化合物(有効成分)を少なくとも4%含んでいる必要があるが、これは形態に応じて変えることができ、投薬単位重量の4%〜約70%の間とすることができる。医薬組成物中に存在する化合物の量は、適切な薬用量が得られるような量である。本発明による好ましい組成および製剤法は、当業者によって決定することができる。
【0071】
錠剤、丸薬、カプセル、トローチ、その他には、補助剤として、結合剤(ポピドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、微結晶性セルロース、トラガカント、ゼラチンなど)と、賦形剤(第二リン酸カルシウム、スターチ、マンニトール、ラクトースなど)と、崩壊剤(アルギン酸、Primogel(登録商標)、クロスカルメロース・ナトリウム、コーンスターチなど)と、滑沢剤(タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、Sterotex(登録商標)など)と、流動促進剤(コロイド状二酸化ケイ素など)と、甘味剤(ショ糖、アスパルテーム、サッカリンなど)または着香剤(ペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジ香味料など)のうちの1つまたは複数を含めることもできる。単位投薬形態がカプセルであるときには、カプセルには、上記の種類の材料に加えて、ポリエチレングリコールや脂肪油などの液体担体を含めることができる。その他の単位投薬形態では、単位投薬量の物理的な形態を調整する他のさまざまな材料(例:コーティング)を含めることができる。従って、錠剤や丸剤は、砂糖、セラック、またはその他のコーティング剤によってコーティングすることができる。シロップには、本発明の化合物に加えて、甘味剤としてのショ糖と、特定の保存料と、色素および着色剤と、香料とを含めることができる。これらのさまざまな組成物を調合するときに使用する材料は、薬学的に純粋であり、使用量において毒性がないことが必要である。
【0072】
本発明の化合物の溶解性を高める目的で、経口投与の場合の好ましい製剤は、微粉末状の本化合物と、プロトン供給源(proton donating source)との組合せにおいてイオン対の形成を可能にする適切な賦形剤とを組み合わせることによって、本化合物の溶解性が高まる製剤である。従って、好ましい製剤は、陰イオン界面活性剤と適切な酸とを含んでいる。好ましい陰イオン界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムとスルホ琥珀酸ジオクチルナトリウム(dioctylsulfosuccinate sodium)が挙げられ、ただしこれらに限定されない。好ましい酸としては、クエン酸(無水物または一水和物)、琥珀酸などが挙げられる。
【0073】
治療のための非経口投与を目的とする場合、本発明の化合物は、溶液または懸濁液に組み入れることができる。これらの製剤は、一般には本発明の化合物を少なくとも0.001%含んでいるが、重量の0.001〜約90%の間で変えることができる。そのような組成物中に存在する形態IVまたは形態Vの化合物の量は、適切な薬用量が得られるような量である。溶液または懸濁液には、補助剤として、滅菌希釈剤(注射用蒸留水、食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、その他の合成溶媒など)と、抗菌剤(ベンジルアルコール、メチルパラベンなど)と、酸化防止剤(アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウムなど)と、キレート剤(エチレンジアミン四酢酸など)と、緩衝液(アセテート、クエン酸塩、リン酸塩など)と、等張化剤(塩化ナトリウム、デキストロースなど)のうちの1つまたは複数を含めることもできる。非経口製剤は、アンプル、使い捨て注射器、あるいはガラスまたはプラスチック製の複数投与バイアルに充填することができる。好ましい組成および製剤法は、当業者によって決定することができる。
【0074】
本発明の化合物は、局所的に投与することもでき、その場合、担体は、適切な溶液、軟膏、またはジェルベースを有することができる。ベースは、例えば、ペトロラタム、ラノリン、ポリエチレングリコール、蜜ろう、鉱油、希釈液(水、アルコールなど)、乳化剤、安定剤のうちの1つまたは複数を含んでいることができる。局所的製剤は、約0.1〜約10w/v(単位体積あたり重量)%の濃度の形態IVまたは形態Vの化合物を含んでいることができる。
【0075】
以下の製剤の例は、説明を目的としており、本発明の範囲を制限するものではない。
<製剤1>
形態IVのハードゼラチンカプセル
【表4】

【0076】
一般に、薬剤物質は微粉末形態であり、充填剤、緩衝剤、界面活性剤、および崩壊剤と組み合わせる。製剤は、高せん断ミキサーあるいは流動層造粒機において結合剤溶液を使用して湿粒化する(wet−granulated)。薬剤物質は、内側顆粒層(inner granule phase)の賦形剤(マンニトール、微結晶性セルロース、クエン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース)と混合し、次いで、一般にはヒドロキシプロピルセルロースおよびラウリル硫酸ナトリウムを有する結合剤溶液を使用して粒化する。
【0077】
これに代えて、直接的な圧縮プロセスを適用することができる。流動層乾燥器またはトレイオーブンにおいて適切に乾燥させた後、一般には顆粒を適切なスクリーン(例:1016μm)によってふるいにかけ、ミキサーにおいて、潤滑剤(ステアリン酸)、流動促進剤(コロイド状二酸化ケイ素)、充填剤(微結晶性セルロース)、および界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)と混合する。混合物を約5分間混和させる。
【0078】
最終的な混合物は、サイズ0のハードゼラチン、HPMC、スターチ、またはその他の適切なカプセルに充填する、または錠剤に形成することができる。
【0079】
1つの実施形態においては、本発明は、不安症(全般性不安障害、パニック障害、強迫性障害、社会恐怖障害または社会不安障害など)、うつ病(大うつ病性障害など)、精神疾患/統合失調症/およびその他の精神障害(双極性障害など)、神経変性障害(アルツハイマー型の老人性痴呆症、アルツハイマー病、AIDSに関連付けられる痴呆、ダウン症候群など)、発作性疾患(全身発作、部分発作など)、脱髄疾患(多発性硬化症、筋委縮性側索硬化症など)、神経病理疾患(末梢神経障害、糖尿病および化学療法による神経障害、ヘルペス後およびその他の神経痛)、急性および慢性の閉塞性気道疾患(成人呼吸窮迫症候群、気管支肺炎、気管支痙攣、慢性気管支炎、ドライバーコフ、喘息など)、炎症性疾患(炎症性大腸炎、乾癬、結合組織炎、変形性関節症、関節リウマチなど)、筋骨格系の障害(骨粗鬆症など)、アレルギー(湿疹、鼻炎など)、過敏症(ツタウルシ過敏症など)、眼科疾患(結膜炎、春季カタル、その他)、皮膚病(接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、じんましん、その他の湿疹様皮膚炎)、依存症(アルコール依存症など)、ストレスに関連する身体障害、反射性交感神経性ジストロフィー(肩手症候群など)、気分変調性障害、有害な免疫反応(移植組織の拒絶など)、免疫亢進または免疫抑制に関連する障害(全身性エリテマトーデスなど)、胃腸疾患、内臓の神経調節に関連する疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病、機能性消化不良、過敏性腸症候群)、膀胱機能障害(膀胱排尿筋過反射、失禁(切迫性尿失禁など)など)、アテローム性動脈硬化症/線維症/膠原病(強皮症、好酸性肝蛭症など)、前立腺肥大症の刺激症状、血圧に関連する障害(高血圧など)、血管拡張症および血管攣縮症に起因する血流障害(アンギナ、片頭痛、レイノー病など)、一過性熱感、嘔吐(化学療法によって起こる悪心、急性または遅発性嘔吐など)、痛みまたは痛覚(上記状態のいずれかに起因するかまたは関連する痛覚)、から成る群から選択される障害を治療する方法であって、治療を必要としている患者に、形態IVまたは形態Vの化合物の有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、を提供する。すなわち、本発明は、過剰なタキキニンに関連付けられる障害を治療する方法であって、治療を必要としている患者に形態IVまたは形態Vの化合物の有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、を提供する。
【0080】
本発明は、治療対象として本明細書に記載したさまざまな障害と、当業者によって理解される拮抗薬によって治療することのできるその他の障害とを対象としている。
【0081】
過剰なタキキニンに関連付けられる障害は、形態IVまたは形態Vの化合物または医薬組成物の有効量を投与することによって治療される。有効量は、当業者としての主治医が、従来の手法を使用し、同様の状況下で得られた結果を観察することによって、容易に決定することができる。有効量、すなわち形態IVまたは形態Vの化合物の投薬量の決定においては、主治医は、多数の要因、例えば、哺乳類の種(大きさ、年齢、全般的な健康状態)、問題の障害、その障害の程度または重大度、患者個人の対応、投与の形態、投与する製剤の生物学的利用能特性、選択される用法、他の併用薬の使用、その他の関与する状況(ただしこれらに限定されない)、を考慮する。
【0082】
本発明の化合物の有効量は、一日あたり体重1kgあたり約0.001mg(mg/kg/日)〜約100mg/kg/日の間で変わるものと予測される。当業者は、好ましい量を容易に決定することができる。
【0083】
過剰なタキキニンに関連付けられる障害のうち、本発明によって治療される障害としては、うつ病、不安症、炎症性大腸炎、過敏性腸症候群(便秘型、下痢型、または混合型の過敏性腸症候群など)、嘔吐(化学療法によって起こる悪心、急性または遅発性嘔吐など)が特に好適である。
【0084】
好ましい実施形態においては、本発明は、大うつ病性障害を治療する方法であって、治療を必要としている患者に、化合物{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(形態IV)の有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、を提供する。
【0085】
別の好ましい実施形態においては、本発明は、全般性不安障害を治療する方法であって、治療を必要としている患者に、化合物{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(形態IV)の有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、を提供する。
【0086】
別の好ましい実施形態においては、本発明は、パニック障害を治療する方法であって、治療を必要としている患者に、化合物{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(形態IV)の有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、を提供する。
【0087】
別の好ましい実施形態においては、本発明は、強迫性障害を治療する方法であって、治療を必要としている患者に、化合物{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(形態IV)の有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、を提供する。
【0088】
別の好ましい実施形態においては、本発明は、社会恐怖障害または社会不安障害を治療する方法であって、治療を必要としている患者に、化合物{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(形態IV)の有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、を提供する。
【0089】
別の好ましい実施形態においては、本発明は、過敏性腸症候群を治療する方法であって、治療を必要としている患者に、化合物{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(形態IV)の有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、を提供する。
【0090】
好ましい実施形態においては、本発明は、大うつ病性障害を治療する方法であって、治療を必要としている患者に、化合物{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(形態V)の有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、を提供する。
【0091】
別の好ましい実施形態においては、本発明は、全般性不安障害を治療する方法であって、治療を必要としている患者に、化合物{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(形態V)の有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、を提供する。
【0092】
別の好ましい実施形態においては、本発明は、パニック障害を治療する方法であって、治療を必要としている患者に、化合物{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(形態V)の有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、を提供する。
【0093】
別の好ましい実施形態においては、本発明は、強迫性障害を治療する方法であって、治療を必要としている患者に、化合物{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(形態V)の有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、を提供する。
【0094】
別の好ましい実施形態においては、本発明は、社会恐怖障害または社会不安障害を治療する方法であって、治療を必要としている患者に、化合物{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(形態V)の有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、を提供する。
【0095】
別の好ましい実施形態においては、本発明は、過敏性腸症候群を治療する方法であって、治療を必要としている患者に、化合物{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノン(形態V)の有効量を投与するステップ、を含んでいる方法、を提供する。
【0096】
うつ病や不安症などの中枢神経系の障害は、「精神障害の診断と統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders:DSM−IV(商標))」(1994年、American Psychiatric Association、Washington,D.C.)にそれぞれの特徴が記載されている。このDSM−IV(商標)は、診断分類を明確に記載している。熟練者には、これらの障害には別の術語、別の疾病分類、別の分類体系が存在し、分類体系は医科学的な進歩にともなって進化しうることが認識されるであろう。例えば、ICHPPC−2(プライマリーケアにおける健康問題の国際分類:International Classification of Health Problems in Primary Care)(第3版、1983年、Oxford University Press、オックスフォード)には、代替の分類体系が記載されている。従って、用語「うつ病」、「抑うつ障害」、「不安症」、「不安障害」は、上記以外の診断分類に記載されている同様の症状を含むものとする。
【0097】
DSM−IV(商標)の第4版によると、大うつ病性障害は、少なくとも二週間の期間にわたる憂うつ感または喜びの喪失、およびその他の症状とから成る1つ以上の大うつ病エピソードによって特徴付けられる。従って、熟練者には、大うつ病性障害の1つのエピソードまたは再発エピソードのいずれの治療にも本発明が有用であることが認識されるであろう。
【0098】
熟練者には、その他の抑うつ障害も、本発明の化合物の有効量を投与することによって治療できることが理解されるであろう。このようなその他の抑うつ障害としては、気分変調性障害と、特定不能の抑うつ障害(例えば、月経前不快気分障害、小うつ病性障害、反復性短期抑うつ障害、統合失調症の病後抑うつ障害)が挙げられる。さらに、本発明の化合物によるうつ病の治療には、一般身体疾患による気分障害および物質誘発性気分障害の治療も含めることができる。
【0099】
DSM−IV(商標)は、不安症および関連する障害の診断手段も提供している。これらの障害としては、広所恐怖症を伴う、または伴わないパニック障害、パニック障害の病歴のない広所恐怖症、特定の恐怖症、社会恐怖障害または社会不安障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、全般性不安障害、一般身体疾患による不安症、物質誘発性不安症、特定不能の不安症が挙げられる。本明細書において使用されている用語「不安」には、DSM−IVに記載されている不安症および関連する障害の治療も含まれる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学シフト52.3±0.2および195.4±0.2ppmにおけるピークを有する固体13C核磁気共鳴スペクトルによって特徴付けられる、{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノンの結晶形態IV。
【請求項2】
化学シフト123.5±0.2、127.2±0.2、131.4±0.2、133.5±0.2、136.9±0.2、146.7±0.2、149.3±0.2、および151.4±0.2ppmにおけるピークをさらに有する固体13C核磁気共鳴スペクトルによって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶形態IV。
【請求項3】
化学シフト129.6±0.2および135.4±0.2ppmにおけるピークをさらに有する固体13C核磁気共鳴スペクトルによって特徴付けられる、請求項2に記載の結晶形態IV。
【請求項4】
12.1±0.1°(2θ)における少なくとも1つのピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の結晶形態IV。
【請求項5】
1つのピークが12.1±0.1°であり、第2のピークが、8.3±0.1°、14.3±0.1°、16.6±0.1°、16.9±0.1°、および18.5±0.1°(2θ)から成る群から選択される、少なくとも2つのピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の結晶形態IV。
【請求項6】
少なくとも8.3±0.1°、12.1±0.1°、16.6±0.1°、16.9±0.1°、および18.5±0.1°(2θ)におけるピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の結晶形態IV。
【請求項7】
少なくとも7.7±0.1°、8.3±0.1°、12.1±0.1°、12.7±0.1°、13.5±0.1°、14.3±0.1°、14.9±0.1°、16.6±0.1°、16.9±0.1°、18.5±0.1°、21.9±0.1°、および24.9±0.1°(2θ)におけるピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の結晶形態IV。
【請求項8】
化学シフト54.3±0.2および196.6±0.2ppmにおけるピークを有する固体13C核磁気共鳴スペクトルによって特徴付けられる、{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノンの結晶形態V。
【請求項9】
化学シフト123.7±0.2、127.4±0.2、132.0±0.2、134.3±0.2、137.1±0.2、145.8±0.2、および151.0±0.2ppmにおけるピークをさらに有する固体13C核磁気共鳴スペクトルによって特徴付けられる、請求項8に記載の結晶形態V。
【請求項10】
化学シフト130.1±0.2および149.1±0.2ppmにおけるピークをさらに有する固体13C核磁気共鳴スペクトルによって特徴付けられる、請求項9に記載の結晶形態V。
【請求項11】
12.5±0.1°(2θ)における少なくとも1つのピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、請求項8〜10のいずれか1項に記載の結晶形態V。
【請求項12】
1つのピークが12.5±0.1°であり、第2のピークが、15.8±0.1°、16.5±0.1°、19.1±0.1°、19.7±0.1°、21.5±0.1°、25.3±0.1°、27.7±0.1°、および28.6±0.1°(2θ)から成る群から選択される、少なくとも2つのピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、請求項8〜10のいずれか1項に記載の結晶形態V。
【請求項13】
少なくとも12.5±0.1°、25.3±0.1°、27.7±0.1°、および28.6±0.1°(2θ)におけるピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、請求項8〜10のいずれか1項に記載の結晶形態V。
【請求項14】
少なくとも12.5±0.1°、15.8±0.1°、16.5±0.1°、19.1±0.1°、および19.7±0.1°(2θ)におけるピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、請求項8〜10のいずれか1項に記載の結晶形態V。
【請求項15】
少なくとも7.9±0.1°、12.5±0.1°、13.1±0.1°、14.0±0.1°、15.8±0.1°、16.5±0.1°、19.1±0.1°、19.7±0.1°、および25.6±0.1°(2θ)におけるピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、請求項8〜10のいずれか1項に記載の結晶形態V。
【請求項16】
少なくとも7.9±0.1°、11.2±0.1°、12.5±0.1°、13.1±0.1°、14.0±0.1°、15.8±0.1°、19.1±0.1°、19.7±0.1°、20.9±0.1°、21.5±0.1°、および25.6±0.1°(2θ)におけるピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、請求項8〜10のいずれか1項に記載の結晶形態V。
【請求項17】
(2−クロロフェニル)−[2−(2−ヒドロキシ−2−ピリジン−4−イル−ビニル)ピリジン−3−イル]メタノン、またはその塩、である化合物。
【請求項18】
(2−クロロフェニル)−[2−(2−ヒドロキシ−2−ピリジン−4−イル−ビニル)ピリジン−3−イル]メタノンフォスフェイトである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノンである化合物を生成するプロセスであって、(2−クロロフェニル)−[2−(2−ヒドロキシ−2−ピリジン−4−イル−ビニル)ピリジン−3−イル]メタノンまたはそのリン酸塩と、1−アジドメチル−3,5−ビストリフルオロメチルベンゼンとを、適切な塩基および溶媒の存在下において反応させるステップ、を含んでいる、プロセス。
【請求項20】
前記塩基が炭酸カリウムである、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
前記溶媒が、ジメチルスルホキシド、イソプロパノール、エタノール、テトラヒドロフラン、トルエンから成る群から選択される、請求項19または20に記載のプロセス。
【請求項22】
前記溶媒がジメチルスルホキシドまたはイソプロパノールである、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノンを溶媒から結晶化させるステップ、を含んでいる、請求項1〜7のいずれか1項の結晶形態IVを生成するプロセス。
【請求項24】
前記溶媒が、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリル、プロパノール、ブタノール、酢酸エチル、メチル−t−ブチルエーテル、ジクロロメタンから成る群から選択される、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
前記溶媒がイソプロパノールである、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノンを、溶液媒介相転位によって結晶化させるステップ、を含んでいる、請求項1〜7のいずれか1項の結晶形態IVを生成するプロセス。
【請求項27】
{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノンを、溶液と不活性溶媒との混合物から結晶化させるステップ、を含んでいる、請求項8〜16のいずれか1項の結晶形態を生成するプロセス。
【請求項28】
前記溶媒が低級アルコールである、請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
前記溶媒がメタノールまたはエタノールである、請求項28に記載のプロセス。
【請求項30】
前記不活性溶媒が水である、請求項27〜29のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項31】
過剰なタキキニンに関連付けられる状態を治療する方法であって、治療を必要としている患者に、請求項1〜16のいずれか1項の結晶化合物の有効量を投与するステップ、を含んでいる方法。
【請求項32】
過剰なタキキニンに関連付けられる前記状態が、大うつ病性障害、全般性不安障害、社会不安障害、過敏性腸症候群から成る群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記状態が大うつ病性障害である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記状態が全般性不安障害または社会不安障害である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記状態が過敏性腸症候群である、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
治療において使用する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の結晶化合物。
【請求項37】
過剰なタキキニンに関連付けられる障害を治療するための薬剤の製造において、請求項1〜16のいずれか1項の結晶化合物を使用する方法。
【請求項38】
薬学的に許容される1つ以上の担体、希釈剤、または賦形剤との組合せにおいて、請求項1〜16のいずれか1項の結晶化合物を含んでいる医薬組成物。
【請求項39】
陰イオン界面活性剤を含んでいる、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
前記陰イオン界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウムである、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
酸を含んでいる、請求項38〜40のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項42】
前記酸がクエン酸である、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
マンニトールを含んでいる、請求項38に記載の組成物。
【請求項44】
微結晶性セルロースを含んでいる、請求項38に記載の組成物。
【請求項45】
ヒドロキシプロピルセルロースを含んでいる、請求項38に記載の組成物。
【請求項46】
コロイド状二酸化ケイ素を含んでいる、請求項38に記載の組成物。
【請求項47】
クロスカルメロース・ナトリウムを含んでいる、請求項38に記載の組成物。
【請求項48】
ステアリン酸を含んでいる、請求項38に記載の組成物。
【請求項49】
{2−[1−(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−5−ピリジン−4−イル−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル]−ピリジン−3−イル}−(2−クロロフェニル)−メタノンの結晶形態IVを含んでいる、請求項39〜48のいずれか1項に記載の組成物。



【公表番号】特表2007−509143(P2007−509143A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536635(P2006−536635)
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/030914
【国際公開番号】WO2005/042515
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】