情報提供装置、および情報提供方法
【課題】自己および周囲の状況を判断し、他の利用者と自律的にコミュニケーションをとることができる情報提供装置を提供することを目的とする。
【解決手段】接続されたセンサ機器から情報を取得するセンサ情報取得手段と、取得した前記センサ情報に基づいて、現在生じているイベントを決定するイベント選択手段と、決定した前記イベントと前記センサ情報に基づいて、可読性のあるキーワードを生成するキーワード生成手段と、ネットワークに送信するメッセージのテンプレートが定義されたメッセージテンプレート記憶手段と、決定した前記イベントに対応する前記メッセージテンプレートを選択するメッセージテンプレート選択手段と、選択された前記メッセージテンプレートと、生成された前記キーワードから、送信メッセージを生成する送信メッセージ生成手段と、生成した送信メッセージをネットワークに送信するメッセージ送信手段と、を有する。
【解決手段】接続されたセンサ機器から情報を取得するセンサ情報取得手段と、取得した前記センサ情報に基づいて、現在生じているイベントを決定するイベント選択手段と、決定した前記イベントと前記センサ情報に基づいて、可読性のあるキーワードを生成するキーワード生成手段と、ネットワークに送信するメッセージのテンプレートが定義されたメッセージテンプレート記憶手段と、決定した前記イベントに対応する前記メッセージテンプレートを選択するメッセージテンプレート選択手段と、選択された前記メッセージテンプレートと、生成された前記キーワードから、送信メッセージを生成する送信メッセージ生成手段と、生成した送信メッセージをネットワークに送信するメッセージ送信手段と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置、および情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット上で利用者間のコミュニケーションを実現するサービスとして、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が普及している。SNSでは、特定もしくは不特定多数の利用者に向けてメッセージを発信することができ、利用者が端末から直接メッセージを入力して発信したり、プログラムや機器が収集した情報を自動で送出したりすることが可能である。
【0003】
機器が自動的にメッセージを発信する技術には、例えば非特許文献1に記載されている郵便受けがある。当該技術によると、郵便物が投函された際に、SNSの一種であるTwitter(登録商標)を通して、郵便物の到着、および郵便物の種類を利用者に通知することができる。
【0004】
また、対象はSNSではないが、通信端末が、GPSによる位置情報をネットワークに自動で送信することにより、自分の現在位置を他者に伝える技術がある(非特許文献2)。当該技術によると、利用者の現在位置をサービス提供者が常に把握することができるようになるため、天気予報やイベント情報、観光情報など場所や地域に応じた情報の配信が容易に行えるようになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】水島 由郁,塚田 浩二,椎尾 一郎,“郵便着いったー”,情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(2010-HCI-137),No. 7,pp.1-6,2010.3.19
【非特許文献2】”オートGPS”、[online]、NTTドコモ、[平成23年10月7日検索]、インターネット<URL:http://www.nttdocomo.co.jp/service/information/auto_gps/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自動車の運転中にもSNSを通じて情報を発信したいという要望がある。従来の形態では、自分がどこで何をしているかをネットワーク経由で発信したい場合、車を止めて携帯端末を操作し、能動的に情報を発信する必要があった。そのため、SNSが普及し、誰がどこで何をしているかを容易に知ることができる現在においても、自動車を運転中のSNS利用者はコミュニケーションに参加することができなかった。
【0007】
これを解決するため、自動車に搭載された通信機器が、情報を自動的にSNSに送信するという形態が考えられる。しかし、従来技術によると、通信機器は、自己が有している情報をそのままネットワークに送信することしかできない。例えば、非特許文献1に記載の技術では、郵便物が到着したという事実と、センサおよびカメラによって検知した郵便物の情報を送信することができるが、「郵便受けの内容物」というあらかじめ決められた情報以外を通知することはできない。
【0008】
また、非特許文献2に記載の技術によると、利用者の位置情報を、ネットワーク経由で第三者に通知することができるが、当該技術では、あらかじめ定められたタイミングで緯
度・経度といった単純な情報を送信することしかできない。そのため、情報を取得したユーザは、対象の車がどこにいるのか具体的に想像することができず、また、車の状況を知ることもできない。
【0009】
このように、従来技術においては、機器がネットワークに対して自動でメッセージを発信する仕組みは存在したが、例えば「現在の位置」「書留が届いた」といった事実のみをそのまま送るものであり、他の利用者との交流を目的として、周囲の状況をわかりやすい言葉に置き換えて自律的にメッセージを作成し送信する装置は存在しなかった。
【0010】
本発明は上記の課題を考慮してなされたものであり、取得したセンサ情報から、人間の表現に近い言葉でメッセージを作成し、発言を自律的に行うことで他の利用者とコミュニケーションをとることができる情報提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る情報提供装置では、以下の手段により、取得したセンサ情報からメッセージを作成し発信を行う。
【0012】
本発明に係る情報提供装置は、接続されたセンサ機器から、前記センサ機器が読み取った情報であるセンサ情報を取得するセンサ情報取得手段を有している。センサ機器とは、位置情報を取得するためのGPS、車両が有する速度センサ、ウインカーやワイパー等のスイッチ、加速度センサ、スロットルやステアリングセンサ、車間レーダ、照度計や降雨計など、車両の状態および車両周辺の状態を取得することができる機器である。センサ情報は、例えば装置が車両に搭載されていれば、自車の現在位置や速度といった情報であってもよいし、天候や周囲の車両の密度といった情報であってもよい。また、センサ情報は、車内で流れている音楽のジャンルや、車載カメラの映像など、情報を取得できる機器によって読み取れるものであればどのようなものであってもよい。また、装置の搭載先も車両に限られない。
【0013】
また、本発明に係る情報提供装置は、取得した前記センサ情報に基づいて、現在生じているイベントを決定するイベント選択手段と、決定した前記イベントと前記センサ情報に基づいて、可読性のあるキーワードを生成するキーワード生成手段とを有している。イベントとは、例えば「特定のエリアにいる」「渋滞が発生している」「雨が降っている」といった、センサ情報から導ける自己の状況または周囲の状況を識別するための情報である。また、キーワードとは、センサ情報を可読性のある情報に変換したものであり、車速パルス信号に対して「時速40キロ」、緯度経度情報に対して「東京スカイツリー付近」といったように、センサから読み取った値を利用者が理解しやすい単語に置き換えたものである。例えば、取得したセンサ情報の一つである位置情報から「登録したランドマークが付近にある」というイベントを選択し、選択したイベントと位置情報から「東京スカイツリー」というキーワードを決定する。このように構成することにより、いま何が起きており、その詳細は何かという情報を生成することができる。
【0014】
また、本発明に係る情報提供装置は、ネットワークに送信するメッセージのテンプレートが定義されたメッセージテンプレートを記憶するメッセージテンプレート記憶手段と、
決定した前記イベントに対応する前記メッセージテンプレートを選択するメッセージテンプレート選択手段と、前記メッセージテンプレート選択手段によって選択された前記メッセージテンプレートと、キーワード生成手段によって生成された前記キーワードから、メッセージを生成する送信メッセージ生成手段と、生成した送信メッセージをネットワークに送信するメッセージ送信手段を有している。メッセージテンプレートとは、ネットワークに送信するためのメッセージの型であり、イベントごとに対応するものが定義されている。
【0015】
例えば「登録したランドマークが付近にある」というイベントであれば「ただいま○○付近を走行中」というメッセージテンプレートが選択される。選択されたテンプレートに対して、決定されたキーワードを組み合わせることで、「ただいま東京スカイツリー付近を走行中」といった、送信するメッセージを生成することができる。
【0016】
また、前記メッセージテンプレート選択手段は、前記キーワード生成手段が生成したキーワードも考慮して前記メッセージテンプレートを選択することを特徴としてもよい。
【0017】
このように構成することにより、単にイベントごとに対応するメッセージテンプレートを選択するだけでなく、キーワードの内容によってより適切なメッセージテンプレートを選択することができる。
【0018】
また、本発明に係る情報提供装置は、移動体に搭載された情報提供装置であって、ランドマークの名称と位置情報との対応が定義されたランドマークデータをさらに有し、前記センサ情報は、前記移動体が有するGPS装置から取得した位置情報を含み、前記イベント選択手段が、所定の位置に接近したというイベントを選択した場合に、前記キーワード生成手段は、取得した前記位置情報と前記ランドマークデータから移動体周辺にあるランドマークの名称をキーワードとして決定し、前記送信メッセージ生成手段は、前記ランドマークの名称を、位置情報を知らせるメッセージテンプレートに挿入して送信メッセージを生成することを特徴としてもよい。
【0019】
位置情報とランドマーク名称とが対応づけられたデータを有することで、GPS装置が取得した位置情報を、拠点名やエリア名などの言葉に置き換えることができ、置き換えた名称を用いることで、利用者が理解しやすいメッセージを作成することができる。ランドマークは建築物等に限定されず、たとえば地域名や山、港湾、湖の名称等、現在位置が想像できる情報であってもよい。
【0020】
また、前記イベント選択手段は、前記センサ情報に基づいて擬似的感情を示すパラメータをさらに生成し、前記送信メッセージ生成手段は、前記擬似的感情に基づいて送信メッセージを変更することを特徴としてもよい。
【0021】
擬似的感情とは、状況に応じて装置が抱く感情を擬似的に表現したものである。例えば、センサ情報が渋滞発生を表している場合、ネガティブな感情を選択し、選択した感情を元にメッセージを選択する。このように構成することで、より人間に近いメッセージを作成することができるようになる。また、メッセージの変更とは、文章を付加する、語尾や口調を変化させる、等の手段によって、生成されたメッセージに感情表現を追加することを指す。
【0022】
また、本発明に係る情報提供装置は、利用者の嗜好を記憶する嗜好データ記憶手段をさらに有し、前記キーワード生成手段は、前記利用者の嗜好に合致する前記キーワードを優先して適用することを特徴としてもよい。
【0023】
嗜好データとは、運転者の趣味・嗜好を保持しているデータである。例えば、運転者はグルメ情報を好むという嗜好が保持されていた場合、「横浜市中区山下町」というキーワードより「横浜中華街」というキーワードを優先して適用する。このように構成することにより、より個人の好みに合った発言を行うことができる。
【0024】
また、前記イベント選択手段は、取得された前記センサ情報から、外部機器に対する操作コマンドを決定し、前記外部機器に対して前記操作コマンドを発行し、前記送信メッセ
ージ生成手段は、発行した前記操作コマンドに対応する処理結果を送信メッセージとして生成することを特徴としてもよい。
【0025】
操作コマンドとは、本発明に係る情報提供装置に接続された、車載カメラなどの外部機器を操作するためのコマンド情報および宛先情報であり、例えば車載カメラの撮影コマンドなどが該当する。このように構成することにより、登録したランドマークに接近したタイミングで写真撮影等を行うなど、接続された機器に対して操作要求を行い、その結果をメッセージと共に送信することができる。
【0026】
また、本発明に係る情報提供装置は、前記ネットワークを通じて、ソーシャル・ネットワーキング・サービスにメッセージを送信することを特徴としてもよい。決定したメッセージを「つぶやき」や「日記」として送信することで、他の利用者とのコミュニケーションを図ることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、取得したセンサ情報から、人間の表現に近い言葉でメッセージを作成し、発言を自律的に行うことで他の利用者とコミュニケーションをとることができる情報提供装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第一の実施形態に係る車載情報提供装置のシステム構成図である。
【図2】第一の実施形態に係る車載情報提供装置の動作フローチャートである。
【図3】第一の実施形態に係るイベントデータの例である。
【図4】第一の実施形態に係るキーワードデータの例である。
【図5】第一の実施形態に係るメッセージテンプレートの例である。
【図6】第二の実施形態に係る車載情報提供装置のシステム構成図である。
【図7】第二の実施形態に係るイベントデータの例である。
【図8】第三の実施形態に係るイベントデータの例である。
【図9】第三の実施形態に係るメッセージテンプレートの例である。
【図10】実施形態の変形例に係るキーワードデータの例である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第一の実施形態)
第一の実施形態に係る情報提供装置は、自動車に搭載された車載情報提供装置である。図1は、第一の実施形態に係る車載情報提供装置の構成を示すブロック図であり、図2は、第一の実施形態に係る車載情報提供装置のフローチャートである。車載情報提供装置10は、センサ群11、センサ情報取得部12、イベント選択部13、キーワード生成部14、送信メッセージ作成部15、ネットワーク送受信部16を有しており、イベント選択部13はイベントデータ13aを、キーワード生成部14はキーワードデータ14aを、送信メッセージ作成部15はメッセージテンプレート15aをそれぞれ有している。第一の実施形態に係る車載情報提供装置の動作を、図1のブロック図と、図2のフローチャートを用いて説明する。
【0030】
センサ群11は、車両および車両周辺に関する情報を収集するために備えられたセンサ機器群である。このセンサ群は、たとえば車速、パーキングブレーキ、ウインカー、ステアリングなど、車両の状態もしくは車両周辺の状態を取得するための複数のセンサによって構成される。センサ群には、車両の現在位置(緯度・経度)を取得するためのGPS装置を含んでもよいし、車載カメラや、車載された音楽プレーヤ等と接続されていてもよい。車載カメラから取得した画像や、車載された音楽プレーヤが再生しているアルバムやトラックの番号といった情報もセンサ情報として扱うことができる。センサ群11によって
取得された情報は、センサ情報取得部12に送られる。伝送においては、定められた通信手段によって信号を送信することができる。例えば、車内LAN(Local Area Network)などの通信手段によって送るようにしてもよい。
【0031】
センサ情報取得部12は、センサ群11から送られた情報を取得する手段であり、本発明におけるセンサ情報取得手段である。
【0032】
イベント選択部13は、取得したセンサ情報をもとに、車両の状態もしくは車両周辺の状態(以降、イベントと称する)を選択する手段であり、本発明におけるイベント選択手段である。
【0033】
イベント選択部13は、イベントデータ13aを有している。イベントデータには、例えば「特定のエリアを走行中」「渋滞中」「雨が降っている」といった、センサ情報から取得できるイベントが、センサ情報と対応づけられて定義されている。イベントデータの例を図3に示す。入力されたセンサ情報が「条件1」〜「条件3」の全てに合致する場合、「イベント」欄に定義されたイベントが選択される。これにより、イベント選択部13は、センサ情報をもとに、利用者に伝達したいイベントの種類を決定することができる。
【0034】
キーワード生成部14は、本発明におけるキーワード生成手段であり、イベント選択部13が選択したイベントに基づいて、センサ情報を可読性のある情報に変換したキーワードを作成する手段である。キーワード生成部14は、キーワードデータ14aを有している。キーワードデータは、取得したセンサ情報を可読性のある情報に変換するための情報であり、対応するイベントごとに異なる。例えば、「特定のランドマーク付近にいる」というイベントが選択された場合、位置情報を当該エリアの名称や付近に存在するランドマークの名称に変換するためのキーワードデータが選択され、位置情報を入力することで名称を得ることができる。
【0035】
キーワードデータの一例を図4に示す。図4(a)に例示したキーワードデータは、位置情報と、当該位置付近に存在するランドマークまたは地域の名称、およびジャンルとの対応付けがなされており、GPS装置によって取得した緯度・経度情報を名称に変換することができる。また、図4(b)に例示したキーワードデータを用いると、センサ情報である燃料残量と走行距離を、走行可能距離というキーワードに変換することができる。このように、センサ情報を可読性のある情報に変換することができれば、キーワードデータはどのようなものであってもよい。
【0036】
以上の構成により、イベント選択部13およびキーワード生成部14は、センサ情報をもとに、利用者に伝達したいイベントを選択し、選択されたイベントを説明する詳細な情報を生成することができる。
【0037】
送信メッセージ作成部15は、選択されたイベントおよび生成されたキーワードから、ネットワークに送信するメッセージを作成する手段である。送信メッセージ作成部は、二つの役割を持っている。一つは、イベント選択部13が選択したイベントに対応するメッセージテンプレートを選択する手段であり、本発明におけるメッセージテンプレート選択手段に該当する。もう一つは、決定されたメッセージテンプレートに、生成されたキーワードを挿入してメッセージを生成する手段であり、本発明における送信メッセージ生成手段に該当する。それぞれについて説明する。
【0038】
送信メッセージ作成部15は、メッセージテンプレート15aを有している。本発明におけるメッセージテンプレート記憶手段である。メッセージテンプレートは、選択されたイベントに対応するメッセージのテンプレートが定義されたデータであり、最終的にSN
Sに発言として送信される文言が定義されている。メッセージテンプレートの例を図5に示す。図5に例示したメッセージテンプレートは、イベント(および補足情報)と、メッセージテンプレートとの対応が定義されている。送信メッセージ作成部15は、選択されたイベントから、使用するメッセージテンプレートを選択し、必要に応じてキーワードを挿入することにより最終的な送信文を作成する。
【0039】
ネットワーク送受信部16は、作成されたメッセージを送信する手段であり、本発明におけるメッセージ送信手段である。例えば、インターネットに接続可能な通信手段を有し、SNSに設けられた車両用アカウントにログインしてメッセージを投稿することができる。また、他利用者から車両用アカウントに送信されたリプライメッセージを取得することもできる。
【0040】
次に、第一の実施形態に係る車載情報提供装置のフローチャート図である図2を参照しながら、装置の動作を詳細に説明する。装置が動作を開始すると、前回のメッセージ送信から一定時間が経過したかをチェックし、経過していなければ条件を満たすまで待機する(S11)。次に、センサ群11よりセンサ情報を取得する(S12)。本実施形態では、センサ情報には、GPS装置より取得できる車両の現在位置(緯度・経度)が含まれる。
【0041】
次に、取得したセンサ情報と、イベントデータ13aから、対応するイベントを選択する(S13)。図3に示したイベントデータを使用すると、「キーワードデータに定義されたランドマークが近くにある」という条件に一致する場合、「ランドマーク接近」というイベントが選択され、燃料残量が5L以下である場合、「燃料切れ間近」というイベントが選択される。
【0042】
次に、選択されたイベントに対応するキーワードを取得する(S14)。
ステップS13で「ランドマーク接近」というイベントが選択された場合、位置情報とランドマーク名称とを対応づけたキーワードデータ(ランドマークデータと称する)を用いてキーワードを取得する。図4(a)は、ランドマークデータの例である。例えば車両の現在位置が、北緯35.451度、東経139.634度の近傍であった場合、「横浜ランドマークタワー」というキーワードが取得され、同時に「ジャンル:タワー建造物」という情報も取得される。
【0043】
「燃料切れ間近」というイベントが選択された場合、燃料の残量と走行可能距離とを対応付けたキーワードデータを用いてキーワードを取得する。図4(b)は、走行可能距離を生成するキーワードデータの例である。例えば、タンク容量が45L、燃料残量が5L、前回給油時からの走行距離が500kmであった場合、「62.5km」というキーワードが取得される。このように、センサ情報と、利用者が理解できる情報とが対応づけられていれば、キーワードデータはどのようなものであってもよい。
【0044】
ステップS13,S14の処理では、キーワードを決定せずにイベントだけを決定してもよい。例えば、直近5分間の平均速度が30km/h以上であり、停止回数が5回以下であった場合、「信号待ち少」というイベントが発生する。キーワードデータには対応する項目が無いため、キーワードは取得されない。
【0045】
ステップS15では、適切にイベントもしくはキーワードが選択できたことを確認する。もし、取得したセンサ情報に該当するイベントおよびキーワードが無い場合、処理はステップS11へ戻る。また、前回送信したメッセージがある場合、選択されたイベントもしくはキーワードが前回と異なるものであるか確認する(S16)。同一のものが選択された場合、処理はステップS11へ戻る。
【0046】
次に、送信メッセージ作成部15が、メッセージテンプレート15aから、選択されたイベントに対応するメッセージテンプレートを選択し、選択されたメッセージテンプレートに生成されたキーワードを挿入することでメッセージを作成する(S17)。ここでは、選択されたイベントを「ランドマーク接近」、キーワードを「横浜ランドマークタワー」とする。横浜ランドマークタワーのジャンルは「タワー建造物」であるため、選択されるメッセージテンプレートは「あっ、あのでかいの、(キーワード名)?」となる。送信メッセージ作成部15は、キーワード名の部分に、キーワード「横浜ランドマークタワー」を挿入し、作成するメッセージは、「あっ、あのでかいの、横浜ランドマークタワー?」となる。もし、ジャンルが「グルメ」であった場合、作成されるメッセージは「横浜中華街通過中。お腹空きませんか?」となる。
【0047】
なお、本実施形態では、「ランドマーク接近」というイベントと、「タワー建造物」という、キーワードに対応するジャンル情報とを用いてメッセージテンプレートを選択しているが、キーワードと一緒に定義した情報を用いず、イベントのみを用いてメッセージテンプレートを選択してもよい。
【0048】
また、選択されるイベントは運転に無関係なものであってもよい。例えば、車載された音楽プレーヤによって音楽が再生されており、ジャンルがジャズであった場合、「雰囲気ありBGM」というイベントが選択される。音楽プレーヤより楽曲名を取得して、キーワードとすることで、例えば「BGMは(楽曲名)。いい雰囲気ですね。」といったメッセージを作成することもできる。
【0049】
作成されたメッセージは、ネットワーク送受信部16によって送信される(S18)。前述した通り、車両は固有のアカウントを持っており、SNS等のサービスに投稿することによって、あたかも車両がつぶやいているかのような効果を得ることができる。
【0050】
なお、ステップS11で述べた一定時間とは、ランダムな時間であってもよいし、例えば深夜はメッセージの送信間隔が長くなるなど、時間帯によって待機時間を変更してもよい。
【0051】
また、センサ情報取得部には、音声入力装置などが接続されていてもよい。例えば、音声入力装置から入力があった場合、「運転者発声」というイベントを選択し、音声入力された内容をメッセージとして送信するようにしてもよい。この場合、音声認識の結果をキーワードとして設定することで、「ドライバーさんが何か言ってます。『(キーワード)』とのことです。」といったメッセージを作成可能になる。このようにすることで、運転者は運転操作を中断することなく任意のメッセージをSNSに送信できるようになる。
【0052】
以上のように構成することにより、従来、運転中には行えなかった車外とのコミュニケーションが可能となる。また、車両にアカウントを与えて自律的に人間の表現に近い言葉で発言をさせることで、他のユーザが話しかけやすい環境を作ることができる。
【0053】
(第二の実施形態)
第二の実施形態では、第一の実施形態に加え、車両が有している機器に対して、メッセージ作成以外の処理を行う形態である。第二の実施形態のシステム構成図を図6に示す。
【0054】
第二の実施形態に係る車載情報提供装置は、選択されたイベントを元に、車載されたデバイス17を操作する機能を有する。図7は、本実施形態に係るイベントデータ13aの例である。第一の実施形態で用いたイベントデータと比較すると、外部処理の定義が追加されている。なお、デバイス17、イベントデータ13a以外の構成は第一の実施形態と
同様である。
【0055】
第一の実施形態では、ステップS13にて、センサ情報に応じたイベントを選択するが、本実施形態では、イベントの選択と同時に、対応する外部機器に操作コマンドを発行する。操作コマンドとは、例えば車載カメラに対して発行する静止画の取得リクエスト、車載通信装置に対して発行する交通情報の取得リクエストなど、車両が有する機器に対して発行できるリクエストであればどのようなものであってもよい。図7の例では、「キーワードデータに定義されたランドマークが近くにある」という条件に該当し、「ジャンル=海が見える場所」であった場合、「海が見えた」というイベントを選択するのと同時に、車載カメラから静止画映像を取得し、作成されるメッセージに添付する。
【0056】
このように、選択されたイベントに応じて車両の設備に対してリクエストを送信し、その処理結果をメッセージとして送信することで、あたかも車両が人格を持っているかのような振る舞いを持たせることが可能となる。
【0057】
また、第一の実施形態にて例示したように、センサ情報取得部に音声入力装置を接続することで、運転者の音声入力によって外部機器を操作することも可能になる。例えば、音声入力装置から「写真撮影」という単語が入力された場合、「撮影リクエスト」というイベントを選択し、車載カメラによって静止画を撮影し、SNSに送信してもよい。
【0058】
(第三の実施形態)
第三の実施形態は、第一の実施形態に加え、擬似的な感情を選択してメッセージを装飾する形態である。第三の実施形態のシステム構成は第一の実施形態と同様である。また、処理については、差異点のみを説明する。
【0059】
図8は、第三の実施形態に係るイベントデータの例である。図8に示したイベントデータには、イベントのほか、「感情」というパラメータを設けている。これは、車両が発するメッセージに人間味を持たせるため、センサの入力から、車両がどのような感情を抱くかを定義した情報である。例えば、直近5分の平均速度が15km/h以下である場合、「渋滞中」というイベントが選択され、「アンラッキー」という感情が選択される。これに対し、さらにワイパーが作動している場合、渋滞に加えて雨も降ってきたということで、イベントは「渋滞中」のまま、感情が「最悪」に変化する。選択された「感情」は、人間味を持たせるためのパラメータであるため、情報の伝達には使用されず、たとえばメッセージの語尾を変化させる、一言付け加える、などのメッセージ装飾に使用される。
【0060】
第一の実施形態における処理ステップS17では、選択された感情を用いて、作成したメッセージを変更または修飾することができる。図9は、第三の実施形態におけるメッセージテンプレート15aである。選択されたイベントが「信号待ち少」であり、感情が「楽しい」であった場合、第一の実施形態では、イベントを表す「今日は信号のつながりがやたら良いぞ!」というメッセージが生成されるが、これに、感情を表す「ふふふふん♪」というメッセージを連結してもよい。前述した通り、「感情」とはメッセージに人間味を持たせるためのパラメータであるため、二つのメッセージを連結することで、「イベントに紐付いた情報」と「感情」を表現することができ、より自然な文章を生成することができる。
【0061】
なお、イベントを表すメッセージと、感情を表すメッセージは、どちらか片方のみを送信してもよいし、どのイベントにも当てはまらないタイミングで、感情のみをメッセージとして送信してもよい。感情のみを送信する場合、完全にランダムなタイミングでメッセージを送信してもよい。感情については、同じ感情に対して複数のメッセージを定義し、ランダムに選択させれば、同じ内容の発言を繰り返さなくなるため、より自然なメッセー
ジを作成することができる。
【0062】
また、感情の表現は、メッセージの連結だけでなく、生成するメッセージ自体を変更してもよい。例えば「目的地接近」というイベントに対し、「楽しい」という感情が設定されていた場合、「もうすぐ(キーワード名)に到着だよ!運転お疲れさま。」というメッセージが生成されるが、「疲れた」という感情であった場合、「やっと(キーワード名)に到着!眠い!疲れた!」となる。このように、生成されるメッセージの内容を感情によって異なるものとしてもよい。
【0063】
また、本実施形態の説明では用いなかったが、図9のメッセージテンプレートには、「性格タイプ」という項目を例示した。これは、車両によって性格が異なるという設定を表現したものであり、たとえば「性格A」はテンションが高く、「性格B」はのんびりしている、といったように車両ごとに使い分けることもできる。もちろん、同じ車両において時間帯によって性格タイプを切り替えてもよいし、高速道路に入ると性格が変わる、などの特徴を出してもよい。
【0064】
(変形例)
なお、以上の説明は本発明を説明する上での例示にすぎず、各実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変形することができる。例えば、実施形態の説明では、情報提供装置を車載されたものとして説明したが、情報提供装置を固定装置とし、移動体からセンサ情報を収集する形態としてもよい。この場合、車載情報提供装置10は固定されたコンピュータ、センサ群11は車両に置き換えることができる。車両から情報提供装置の間は、無線通信回線などによって結ばれる。
【0065】
また、実施形態の説明では、情報提供装置10を車両に搭載し、GPS装置による位置情報を利用する例を挙げたが、情報提供装置は車両に備えられたものでなくてもよい。例えば、船舶であってもよいし、固定された気象観測装置などであってもよい。また、位置情報は必ずしも用いなくともよい。
【0066】
また、実施形態の説明では、イベント選択部の出力に「イベント」、「キーワード」、「感情」を定義したが、他の項目を追加しても構わないし、出力は例示したものをそのまま用いなくてもよい。たとえば、複数のイベントや感情が該当する場合、値を演算して最終的な出力内容を決定してもよい。
【0067】
また、実施形態の説明では、SNSにメッセージを送信する例を挙げたが、ネットワークを通じて情報を送信することができれば、他のサービスに適用しても構わない。
【0068】
また、本発明に係る情報提供装置が車両に搭載される場合、運転者の嗜好を記録したデータベースを用意し、合致しない情報を発信しないようしてもよいし、合致する情報を優先的に発信するようにしてもよい。例えば「複数のイベントが該当する場合、温泉情報よりもグルメ情報を優先する」という定義がされていてもよい。図10は、キーワードデータに優先度を付加した例である。複数の項目に合致した場合、キーワード生成部14は、優先度が高いキーワードを優先的に抽出する。キーワードデータが有する優先度のカラムが、本発明における嗜好データ記憶手段となる。優先度は、値が小さいものを優先的に選択するようにしてもよいし、特定の値を設定することで選択を抑制するようにしてもよい。
【0069】
また、メッセージの作成にて参照できる情報を追加してもよい。例えば、走行履歴を記憶する手段を追加し、過去に発信した情報と類似の情報を優先して発信するようにしてもよいし、図4のキーワードデータより詳細な地理データベースや音楽データベースなどを
有していてもよい。
【0070】
また、実施形態の説明では、他の利用者が読んで理解しやすい形態のメッセージを作成したが、メッセージに他のコンピュータに処理させる内容を送信してもよい。例えば、ワイパーが動作しているという情報を位置情報とともに情報収集用サーバに送信することで、降雨地域を判定することができる。また、渋滞情報を送信すれば、交通管制に利用することができる。このように、送信された情報をコンピュータによって処理させてもよい。
【0071】
また、実施形態の説明においては、イベントデータ13aを用いてイベントを選択したが、通知したいイベントが固定されている場合は、イベントデータを用いなくともよい。例えば、位置情報のみを通知したい場合は、イベントを選択せず、送信するメッセージのテンプレートを固定としたうえで、キーワード(ランドマーク名称)のみを挿入してメッセージを作成、送信しても発明の目的を達成することができる。
【符号の説明】
【0072】
10 車載情報提供装置
11 センサ群
12 センサ情報取得部
13 イベント選択部
13a イベントデータ
14 キーワード生成部
14a キーワードデータ
15 送信メッセージ作成部
15a メッセージテンプレート
16 ネットワーク送受信部
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置、および情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット上で利用者間のコミュニケーションを実現するサービスとして、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が普及している。SNSでは、特定もしくは不特定多数の利用者に向けてメッセージを発信することができ、利用者が端末から直接メッセージを入力して発信したり、プログラムや機器が収集した情報を自動で送出したりすることが可能である。
【0003】
機器が自動的にメッセージを発信する技術には、例えば非特許文献1に記載されている郵便受けがある。当該技術によると、郵便物が投函された際に、SNSの一種であるTwitter(登録商標)を通して、郵便物の到着、および郵便物の種類を利用者に通知することができる。
【0004】
また、対象はSNSではないが、通信端末が、GPSによる位置情報をネットワークに自動で送信することにより、自分の現在位置を他者に伝える技術がある(非特許文献2)。当該技術によると、利用者の現在位置をサービス提供者が常に把握することができるようになるため、天気予報やイベント情報、観光情報など場所や地域に応じた情報の配信が容易に行えるようになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】水島 由郁,塚田 浩二,椎尾 一郎,“郵便着いったー”,情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(2010-HCI-137),No. 7,pp.1-6,2010.3.19
【非特許文献2】”オートGPS”、[online]、NTTドコモ、[平成23年10月7日検索]、インターネット<URL:http://www.nttdocomo.co.jp/service/information/auto_gps/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自動車の運転中にもSNSを通じて情報を発信したいという要望がある。従来の形態では、自分がどこで何をしているかをネットワーク経由で発信したい場合、車を止めて携帯端末を操作し、能動的に情報を発信する必要があった。そのため、SNSが普及し、誰がどこで何をしているかを容易に知ることができる現在においても、自動車を運転中のSNS利用者はコミュニケーションに参加することができなかった。
【0007】
これを解決するため、自動車に搭載された通信機器が、情報を自動的にSNSに送信するという形態が考えられる。しかし、従来技術によると、通信機器は、自己が有している情報をそのままネットワークに送信することしかできない。例えば、非特許文献1に記載の技術では、郵便物が到着したという事実と、センサおよびカメラによって検知した郵便物の情報を送信することができるが、「郵便受けの内容物」というあらかじめ決められた情報以外を通知することはできない。
【0008】
また、非特許文献2に記載の技術によると、利用者の位置情報を、ネットワーク経由で第三者に通知することができるが、当該技術では、あらかじめ定められたタイミングで緯
度・経度といった単純な情報を送信することしかできない。そのため、情報を取得したユーザは、対象の車がどこにいるのか具体的に想像することができず、また、車の状況を知ることもできない。
【0009】
このように、従来技術においては、機器がネットワークに対して自動でメッセージを発信する仕組みは存在したが、例えば「現在の位置」「書留が届いた」といった事実のみをそのまま送るものであり、他の利用者との交流を目的として、周囲の状況をわかりやすい言葉に置き換えて自律的にメッセージを作成し送信する装置は存在しなかった。
【0010】
本発明は上記の課題を考慮してなされたものであり、取得したセンサ情報から、人間の表現に近い言葉でメッセージを作成し、発言を自律的に行うことで他の利用者とコミュニケーションをとることができる情報提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る情報提供装置では、以下の手段により、取得したセンサ情報からメッセージを作成し発信を行う。
【0012】
本発明に係る情報提供装置は、接続されたセンサ機器から、前記センサ機器が読み取った情報であるセンサ情報を取得するセンサ情報取得手段を有している。センサ機器とは、位置情報を取得するためのGPS、車両が有する速度センサ、ウインカーやワイパー等のスイッチ、加速度センサ、スロットルやステアリングセンサ、車間レーダ、照度計や降雨計など、車両の状態および車両周辺の状態を取得することができる機器である。センサ情報は、例えば装置が車両に搭載されていれば、自車の現在位置や速度といった情報であってもよいし、天候や周囲の車両の密度といった情報であってもよい。また、センサ情報は、車内で流れている音楽のジャンルや、車載カメラの映像など、情報を取得できる機器によって読み取れるものであればどのようなものであってもよい。また、装置の搭載先も車両に限られない。
【0013】
また、本発明に係る情報提供装置は、取得した前記センサ情報に基づいて、現在生じているイベントを決定するイベント選択手段と、決定した前記イベントと前記センサ情報に基づいて、可読性のあるキーワードを生成するキーワード生成手段とを有している。イベントとは、例えば「特定のエリアにいる」「渋滞が発生している」「雨が降っている」といった、センサ情報から導ける自己の状況または周囲の状況を識別するための情報である。また、キーワードとは、センサ情報を可読性のある情報に変換したものであり、車速パルス信号に対して「時速40キロ」、緯度経度情報に対して「東京スカイツリー付近」といったように、センサから読み取った値を利用者が理解しやすい単語に置き換えたものである。例えば、取得したセンサ情報の一つである位置情報から「登録したランドマークが付近にある」というイベントを選択し、選択したイベントと位置情報から「東京スカイツリー」というキーワードを決定する。このように構成することにより、いま何が起きており、その詳細は何かという情報を生成することができる。
【0014】
また、本発明に係る情報提供装置は、ネットワークに送信するメッセージのテンプレートが定義されたメッセージテンプレートを記憶するメッセージテンプレート記憶手段と、
決定した前記イベントに対応する前記メッセージテンプレートを選択するメッセージテンプレート選択手段と、前記メッセージテンプレート選択手段によって選択された前記メッセージテンプレートと、キーワード生成手段によって生成された前記キーワードから、メッセージを生成する送信メッセージ生成手段と、生成した送信メッセージをネットワークに送信するメッセージ送信手段を有している。メッセージテンプレートとは、ネットワークに送信するためのメッセージの型であり、イベントごとに対応するものが定義されている。
【0015】
例えば「登録したランドマークが付近にある」というイベントであれば「ただいま○○付近を走行中」というメッセージテンプレートが選択される。選択されたテンプレートに対して、決定されたキーワードを組み合わせることで、「ただいま東京スカイツリー付近を走行中」といった、送信するメッセージを生成することができる。
【0016】
また、前記メッセージテンプレート選択手段は、前記キーワード生成手段が生成したキーワードも考慮して前記メッセージテンプレートを選択することを特徴としてもよい。
【0017】
このように構成することにより、単にイベントごとに対応するメッセージテンプレートを選択するだけでなく、キーワードの内容によってより適切なメッセージテンプレートを選択することができる。
【0018】
また、本発明に係る情報提供装置は、移動体に搭載された情報提供装置であって、ランドマークの名称と位置情報との対応が定義されたランドマークデータをさらに有し、前記センサ情報は、前記移動体が有するGPS装置から取得した位置情報を含み、前記イベント選択手段が、所定の位置に接近したというイベントを選択した場合に、前記キーワード生成手段は、取得した前記位置情報と前記ランドマークデータから移動体周辺にあるランドマークの名称をキーワードとして決定し、前記送信メッセージ生成手段は、前記ランドマークの名称を、位置情報を知らせるメッセージテンプレートに挿入して送信メッセージを生成することを特徴としてもよい。
【0019】
位置情報とランドマーク名称とが対応づけられたデータを有することで、GPS装置が取得した位置情報を、拠点名やエリア名などの言葉に置き換えることができ、置き換えた名称を用いることで、利用者が理解しやすいメッセージを作成することができる。ランドマークは建築物等に限定されず、たとえば地域名や山、港湾、湖の名称等、現在位置が想像できる情報であってもよい。
【0020】
また、前記イベント選択手段は、前記センサ情報に基づいて擬似的感情を示すパラメータをさらに生成し、前記送信メッセージ生成手段は、前記擬似的感情に基づいて送信メッセージを変更することを特徴としてもよい。
【0021】
擬似的感情とは、状況に応じて装置が抱く感情を擬似的に表現したものである。例えば、センサ情報が渋滞発生を表している場合、ネガティブな感情を選択し、選択した感情を元にメッセージを選択する。このように構成することで、より人間に近いメッセージを作成することができるようになる。また、メッセージの変更とは、文章を付加する、語尾や口調を変化させる、等の手段によって、生成されたメッセージに感情表現を追加することを指す。
【0022】
また、本発明に係る情報提供装置は、利用者の嗜好を記憶する嗜好データ記憶手段をさらに有し、前記キーワード生成手段は、前記利用者の嗜好に合致する前記キーワードを優先して適用することを特徴としてもよい。
【0023】
嗜好データとは、運転者の趣味・嗜好を保持しているデータである。例えば、運転者はグルメ情報を好むという嗜好が保持されていた場合、「横浜市中区山下町」というキーワードより「横浜中華街」というキーワードを優先して適用する。このように構成することにより、より個人の好みに合った発言を行うことができる。
【0024】
また、前記イベント選択手段は、取得された前記センサ情報から、外部機器に対する操作コマンドを決定し、前記外部機器に対して前記操作コマンドを発行し、前記送信メッセ
ージ生成手段は、発行した前記操作コマンドに対応する処理結果を送信メッセージとして生成することを特徴としてもよい。
【0025】
操作コマンドとは、本発明に係る情報提供装置に接続された、車載カメラなどの外部機器を操作するためのコマンド情報および宛先情報であり、例えば車載カメラの撮影コマンドなどが該当する。このように構成することにより、登録したランドマークに接近したタイミングで写真撮影等を行うなど、接続された機器に対して操作要求を行い、その結果をメッセージと共に送信することができる。
【0026】
また、本発明に係る情報提供装置は、前記ネットワークを通じて、ソーシャル・ネットワーキング・サービスにメッセージを送信することを特徴としてもよい。決定したメッセージを「つぶやき」や「日記」として送信することで、他の利用者とのコミュニケーションを図ることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、取得したセンサ情報から、人間の表現に近い言葉でメッセージを作成し、発言を自律的に行うことで他の利用者とコミュニケーションをとることができる情報提供装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第一の実施形態に係る車載情報提供装置のシステム構成図である。
【図2】第一の実施形態に係る車載情報提供装置の動作フローチャートである。
【図3】第一の実施形態に係るイベントデータの例である。
【図4】第一の実施形態に係るキーワードデータの例である。
【図5】第一の実施形態に係るメッセージテンプレートの例である。
【図6】第二の実施形態に係る車載情報提供装置のシステム構成図である。
【図7】第二の実施形態に係るイベントデータの例である。
【図8】第三の実施形態に係るイベントデータの例である。
【図9】第三の実施形態に係るメッセージテンプレートの例である。
【図10】実施形態の変形例に係るキーワードデータの例である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第一の実施形態)
第一の実施形態に係る情報提供装置は、自動車に搭載された車載情報提供装置である。図1は、第一の実施形態に係る車載情報提供装置の構成を示すブロック図であり、図2は、第一の実施形態に係る車載情報提供装置のフローチャートである。車載情報提供装置10は、センサ群11、センサ情報取得部12、イベント選択部13、キーワード生成部14、送信メッセージ作成部15、ネットワーク送受信部16を有しており、イベント選択部13はイベントデータ13aを、キーワード生成部14はキーワードデータ14aを、送信メッセージ作成部15はメッセージテンプレート15aをそれぞれ有している。第一の実施形態に係る車載情報提供装置の動作を、図1のブロック図と、図2のフローチャートを用いて説明する。
【0030】
センサ群11は、車両および車両周辺に関する情報を収集するために備えられたセンサ機器群である。このセンサ群は、たとえば車速、パーキングブレーキ、ウインカー、ステアリングなど、車両の状態もしくは車両周辺の状態を取得するための複数のセンサによって構成される。センサ群には、車両の現在位置(緯度・経度)を取得するためのGPS装置を含んでもよいし、車載カメラや、車載された音楽プレーヤ等と接続されていてもよい。車載カメラから取得した画像や、車載された音楽プレーヤが再生しているアルバムやトラックの番号といった情報もセンサ情報として扱うことができる。センサ群11によって
取得された情報は、センサ情報取得部12に送られる。伝送においては、定められた通信手段によって信号を送信することができる。例えば、車内LAN(Local Area Network)などの通信手段によって送るようにしてもよい。
【0031】
センサ情報取得部12は、センサ群11から送られた情報を取得する手段であり、本発明におけるセンサ情報取得手段である。
【0032】
イベント選択部13は、取得したセンサ情報をもとに、車両の状態もしくは車両周辺の状態(以降、イベントと称する)を選択する手段であり、本発明におけるイベント選択手段である。
【0033】
イベント選択部13は、イベントデータ13aを有している。イベントデータには、例えば「特定のエリアを走行中」「渋滞中」「雨が降っている」といった、センサ情報から取得できるイベントが、センサ情報と対応づけられて定義されている。イベントデータの例を図3に示す。入力されたセンサ情報が「条件1」〜「条件3」の全てに合致する場合、「イベント」欄に定義されたイベントが選択される。これにより、イベント選択部13は、センサ情報をもとに、利用者に伝達したいイベントの種類を決定することができる。
【0034】
キーワード生成部14は、本発明におけるキーワード生成手段であり、イベント選択部13が選択したイベントに基づいて、センサ情報を可読性のある情報に変換したキーワードを作成する手段である。キーワード生成部14は、キーワードデータ14aを有している。キーワードデータは、取得したセンサ情報を可読性のある情報に変換するための情報であり、対応するイベントごとに異なる。例えば、「特定のランドマーク付近にいる」というイベントが選択された場合、位置情報を当該エリアの名称や付近に存在するランドマークの名称に変換するためのキーワードデータが選択され、位置情報を入力することで名称を得ることができる。
【0035】
キーワードデータの一例を図4に示す。図4(a)に例示したキーワードデータは、位置情報と、当該位置付近に存在するランドマークまたは地域の名称、およびジャンルとの対応付けがなされており、GPS装置によって取得した緯度・経度情報を名称に変換することができる。また、図4(b)に例示したキーワードデータを用いると、センサ情報である燃料残量と走行距離を、走行可能距離というキーワードに変換することができる。このように、センサ情報を可読性のある情報に変換することができれば、キーワードデータはどのようなものであってもよい。
【0036】
以上の構成により、イベント選択部13およびキーワード生成部14は、センサ情報をもとに、利用者に伝達したいイベントを選択し、選択されたイベントを説明する詳細な情報を生成することができる。
【0037】
送信メッセージ作成部15は、選択されたイベントおよび生成されたキーワードから、ネットワークに送信するメッセージを作成する手段である。送信メッセージ作成部は、二つの役割を持っている。一つは、イベント選択部13が選択したイベントに対応するメッセージテンプレートを選択する手段であり、本発明におけるメッセージテンプレート選択手段に該当する。もう一つは、決定されたメッセージテンプレートに、生成されたキーワードを挿入してメッセージを生成する手段であり、本発明における送信メッセージ生成手段に該当する。それぞれについて説明する。
【0038】
送信メッセージ作成部15は、メッセージテンプレート15aを有している。本発明におけるメッセージテンプレート記憶手段である。メッセージテンプレートは、選択されたイベントに対応するメッセージのテンプレートが定義されたデータであり、最終的にSN
Sに発言として送信される文言が定義されている。メッセージテンプレートの例を図5に示す。図5に例示したメッセージテンプレートは、イベント(および補足情報)と、メッセージテンプレートとの対応が定義されている。送信メッセージ作成部15は、選択されたイベントから、使用するメッセージテンプレートを選択し、必要に応じてキーワードを挿入することにより最終的な送信文を作成する。
【0039】
ネットワーク送受信部16は、作成されたメッセージを送信する手段であり、本発明におけるメッセージ送信手段である。例えば、インターネットに接続可能な通信手段を有し、SNSに設けられた車両用アカウントにログインしてメッセージを投稿することができる。また、他利用者から車両用アカウントに送信されたリプライメッセージを取得することもできる。
【0040】
次に、第一の実施形態に係る車載情報提供装置のフローチャート図である図2を参照しながら、装置の動作を詳細に説明する。装置が動作を開始すると、前回のメッセージ送信から一定時間が経過したかをチェックし、経過していなければ条件を満たすまで待機する(S11)。次に、センサ群11よりセンサ情報を取得する(S12)。本実施形態では、センサ情報には、GPS装置より取得できる車両の現在位置(緯度・経度)が含まれる。
【0041】
次に、取得したセンサ情報と、イベントデータ13aから、対応するイベントを選択する(S13)。図3に示したイベントデータを使用すると、「キーワードデータに定義されたランドマークが近くにある」という条件に一致する場合、「ランドマーク接近」というイベントが選択され、燃料残量が5L以下である場合、「燃料切れ間近」というイベントが選択される。
【0042】
次に、選択されたイベントに対応するキーワードを取得する(S14)。
ステップS13で「ランドマーク接近」というイベントが選択された場合、位置情報とランドマーク名称とを対応づけたキーワードデータ(ランドマークデータと称する)を用いてキーワードを取得する。図4(a)は、ランドマークデータの例である。例えば車両の現在位置が、北緯35.451度、東経139.634度の近傍であった場合、「横浜ランドマークタワー」というキーワードが取得され、同時に「ジャンル:タワー建造物」という情報も取得される。
【0043】
「燃料切れ間近」というイベントが選択された場合、燃料の残量と走行可能距離とを対応付けたキーワードデータを用いてキーワードを取得する。図4(b)は、走行可能距離を生成するキーワードデータの例である。例えば、タンク容量が45L、燃料残量が5L、前回給油時からの走行距離が500kmであった場合、「62.5km」というキーワードが取得される。このように、センサ情報と、利用者が理解できる情報とが対応づけられていれば、キーワードデータはどのようなものであってもよい。
【0044】
ステップS13,S14の処理では、キーワードを決定せずにイベントだけを決定してもよい。例えば、直近5分間の平均速度が30km/h以上であり、停止回数が5回以下であった場合、「信号待ち少」というイベントが発生する。キーワードデータには対応する項目が無いため、キーワードは取得されない。
【0045】
ステップS15では、適切にイベントもしくはキーワードが選択できたことを確認する。もし、取得したセンサ情報に該当するイベントおよびキーワードが無い場合、処理はステップS11へ戻る。また、前回送信したメッセージがある場合、選択されたイベントもしくはキーワードが前回と異なるものであるか確認する(S16)。同一のものが選択された場合、処理はステップS11へ戻る。
【0046】
次に、送信メッセージ作成部15が、メッセージテンプレート15aから、選択されたイベントに対応するメッセージテンプレートを選択し、選択されたメッセージテンプレートに生成されたキーワードを挿入することでメッセージを作成する(S17)。ここでは、選択されたイベントを「ランドマーク接近」、キーワードを「横浜ランドマークタワー」とする。横浜ランドマークタワーのジャンルは「タワー建造物」であるため、選択されるメッセージテンプレートは「あっ、あのでかいの、(キーワード名)?」となる。送信メッセージ作成部15は、キーワード名の部分に、キーワード「横浜ランドマークタワー」を挿入し、作成するメッセージは、「あっ、あのでかいの、横浜ランドマークタワー?」となる。もし、ジャンルが「グルメ」であった場合、作成されるメッセージは「横浜中華街通過中。お腹空きませんか?」となる。
【0047】
なお、本実施形態では、「ランドマーク接近」というイベントと、「タワー建造物」という、キーワードに対応するジャンル情報とを用いてメッセージテンプレートを選択しているが、キーワードと一緒に定義した情報を用いず、イベントのみを用いてメッセージテンプレートを選択してもよい。
【0048】
また、選択されるイベントは運転に無関係なものであってもよい。例えば、車載された音楽プレーヤによって音楽が再生されており、ジャンルがジャズであった場合、「雰囲気ありBGM」というイベントが選択される。音楽プレーヤより楽曲名を取得して、キーワードとすることで、例えば「BGMは(楽曲名)。いい雰囲気ですね。」といったメッセージを作成することもできる。
【0049】
作成されたメッセージは、ネットワーク送受信部16によって送信される(S18)。前述した通り、車両は固有のアカウントを持っており、SNS等のサービスに投稿することによって、あたかも車両がつぶやいているかのような効果を得ることができる。
【0050】
なお、ステップS11で述べた一定時間とは、ランダムな時間であってもよいし、例えば深夜はメッセージの送信間隔が長くなるなど、時間帯によって待機時間を変更してもよい。
【0051】
また、センサ情報取得部には、音声入力装置などが接続されていてもよい。例えば、音声入力装置から入力があった場合、「運転者発声」というイベントを選択し、音声入力された内容をメッセージとして送信するようにしてもよい。この場合、音声認識の結果をキーワードとして設定することで、「ドライバーさんが何か言ってます。『(キーワード)』とのことです。」といったメッセージを作成可能になる。このようにすることで、運転者は運転操作を中断することなく任意のメッセージをSNSに送信できるようになる。
【0052】
以上のように構成することにより、従来、運転中には行えなかった車外とのコミュニケーションが可能となる。また、車両にアカウントを与えて自律的に人間の表現に近い言葉で発言をさせることで、他のユーザが話しかけやすい環境を作ることができる。
【0053】
(第二の実施形態)
第二の実施形態では、第一の実施形態に加え、車両が有している機器に対して、メッセージ作成以外の処理を行う形態である。第二の実施形態のシステム構成図を図6に示す。
【0054】
第二の実施形態に係る車載情報提供装置は、選択されたイベントを元に、車載されたデバイス17を操作する機能を有する。図7は、本実施形態に係るイベントデータ13aの例である。第一の実施形態で用いたイベントデータと比較すると、外部処理の定義が追加されている。なお、デバイス17、イベントデータ13a以外の構成は第一の実施形態と
同様である。
【0055】
第一の実施形態では、ステップS13にて、センサ情報に応じたイベントを選択するが、本実施形態では、イベントの選択と同時に、対応する外部機器に操作コマンドを発行する。操作コマンドとは、例えば車載カメラに対して発行する静止画の取得リクエスト、車載通信装置に対して発行する交通情報の取得リクエストなど、車両が有する機器に対して発行できるリクエストであればどのようなものであってもよい。図7の例では、「キーワードデータに定義されたランドマークが近くにある」という条件に該当し、「ジャンル=海が見える場所」であった場合、「海が見えた」というイベントを選択するのと同時に、車載カメラから静止画映像を取得し、作成されるメッセージに添付する。
【0056】
このように、選択されたイベントに応じて車両の設備に対してリクエストを送信し、その処理結果をメッセージとして送信することで、あたかも車両が人格を持っているかのような振る舞いを持たせることが可能となる。
【0057】
また、第一の実施形態にて例示したように、センサ情報取得部に音声入力装置を接続することで、運転者の音声入力によって外部機器を操作することも可能になる。例えば、音声入力装置から「写真撮影」という単語が入力された場合、「撮影リクエスト」というイベントを選択し、車載カメラによって静止画を撮影し、SNSに送信してもよい。
【0058】
(第三の実施形態)
第三の実施形態は、第一の実施形態に加え、擬似的な感情を選択してメッセージを装飾する形態である。第三の実施形態のシステム構成は第一の実施形態と同様である。また、処理については、差異点のみを説明する。
【0059】
図8は、第三の実施形態に係るイベントデータの例である。図8に示したイベントデータには、イベントのほか、「感情」というパラメータを設けている。これは、車両が発するメッセージに人間味を持たせるため、センサの入力から、車両がどのような感情を抱くかを定義した情報である。例えば、直近5分の平均速度が15km/h以下である場合、「渋滞中」というイベントが選択され、「アンラッキー」という感情が選択される。これに対し、さらにワイパーが作動している場合、渋滞に加えて雨も降ってきたということで、イベントは「渋滞中」のまま、感情が「最悪」に変化する。選択された「感情」は、人間味を持たせるためのパラメータであるため、情報の伝達には使用されず、たとえばメッセージの語尾を変化させる、一言付け加える、などのメッセージ装飾に使用される。
【0060】
第一の実施形態における処理ステップS17では、選択された感情を用いて、作成したメッセージを変更または修飾することができる。図9は、第三の実施形態におけるメッセージテンプレート15aである。選択されたイベントが「信号待ち少」であり、感情が「楽しい」であった場合、第一の実施形態では、イベントを表す「今日は信号のつながりがやたら良いぞ!」というメッセージが生成されるが、これに、感情を表す「ふふふふん♪」というメッセージを連結してもよい。前述した通り、「感情」とはメッセージに人間味を持たせるためのパラメータであるため、二つのメッセージを連結することで、「イベントに紐付いた情報」と「感情」を表現することができ、より自然な文章を生成することができる。
【0061】
なお、イベントを表すメッセージと、感情を表すメッセージは、どちらか片方のみを送信してもよいし、どのイベントにも当てはまらないタイミングで、感情のみをメッセージとして送信してもよい。感情のみを送信する場合、完全にランダムなタイミングでメッセージを送信してもよい。感情については、同じ感情に対して複数のメッセージを定義し、ランダムに選択させれば、同じ内容の発言を繰り返さなくなるため、より自然なメッセー
ジを作成することができる。
【0062】
また、感情の表現は、メッセージの連結だけでなく、生成するメッセージ自体を変更してもよい。例えば「目的地接近」というイベントに対し、「楽しい」という感情が設定されていた場合、「もうすぐ(キーワード名)に到着だよ!運転お疲れさま。」というメッセージが生成されるが、「疲れた」という感情であった場合、「やっと(キーワード名)に到着!眠い!疲れた!」となる。このように、生成されるメッセージの内容を感情によって異なるものとしてもよい。
【0063】
また、本実施形態の説明では用いなかったが、図9のメッセージテンプレートには、「性格タイプ」という項目を例示した。これは、車両によって性格が異なるという設定を表現したものであり、たとえば「性格A」はテンションが高く、「性格B」はのんびりしている、といったように車両ごとに使い分けることもできる。もちろん、同じ車両において時間帯によって性格タイプを切り替えてもよいし、高速道路に入ると性格が変わる、などの特徴を出してもよい。
【0064】
(変形例)
なお、以上の説明は本発明を説明する上での例示にすぎず、各実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変形することができる。例えば、実施形態の説明では、情報提供装置を車載されたものとして説明したが、情報提供装置を固定装置とし、移動体からセンサ情報を収集する形態としてもよい。この場合、車載情報提供装置10は固定されたコンピュータ、センサ群11は車両に置き換えることができる。車両から情報提供装置の間は、無線通信回線などによって結ばれる。
【0065】
また、実施形態の説明では、情報提供装置10を車両に搭載し、GPS装置による位置情報を利用する例を挙げたが、情報提供装置は車両に備えられたものでなくてもよい。例えば、船舶であってもよいし、固定された気象観測装置などであってもよい。また、位置情報は必ずしも用いなくともよい。
【0066】
また、実施形態の説明では、イベント選択部の出力に「イベント」、「キーワード」、「感情」を定義したが、他の項目を追加しても構わないし、出力は例示したものをそのまま用いなくてもよい。たとえば、複数のイベントや感情が該当する場合、値を演算して最終的な出力内容を決定してもよい。
【0067】
また、実施形態の説明では、SNSにメッセージを送信する例を挙げたが、ネットワークを通じて情報を送信することができれば、他のサービスに適用しても構わない。
【0068】
また、本発明に係る情報提供装置が車両に搭載される場合、運転者の嗜好を記録したデータベースを用意し、合致しない情報を発信しないようしてもよいし、合致する情報を優先的に発信するようにしてもよい。例えば「複数のイベントが該当する場合、温泉情報よりもグルメ情報を優先する」という定義がされていてもよい。図10は、キーワードデータに優先度を付加した例である。複数の項目に合致した場合、キーワード生成部14は、優先度が高いキーワードを優先的に抽出する。キーワードデータが有する優先度のカラムが、本発明における嗜好データ記憶手段となる。優先度は、値が小さいものを優先的に選択するようにしてもよいし、特定の値を設定することで選択を抑制するようにしてもよい。
【0069】
また、メッセージの作成にて参照できる情報を追加してもよい。例えば、走行履歴を記憶する手段を追加し、過去に発信した情報と類似の情報を優先して発信するようにしてもよいし、図4のキーワードデータより詳細な地理データベースや音楽データベースなどを
有していてもよい。
【0070】
また、実施形態の説明では、他の利用者が読んで理解しやすい形態のメッセージを作成したが、メッセージに他のコンピュータに処理させる内容を送信してもよい。例えば、ワイパーが動作しているという情報を位置情報とともに情報収集用サーバに送信することで、降雨地域を判定することができる。また、渋滞情報を送信すれば、交通管制に利用することができる。このように、送信された情報をコンピュータによって処理させてもよい。
【0071】
また、実施形態の説明においては、イベントデータ13aを用いてイベントを選択したが、通知したいイベントが固定されている場合は、イベントデータを用いなくともよい。例えば、位置情報のみを通知したい場合は、イベントを選択せず、送信するメッセージのテンプレートを固定としたうえで、キーワード(ランドマーク名称)のみを挿入してメッセージを作成、送信しても発明の目的を達成することができる。
【符号の説明】
【0072】
10 車載情報提供装置
11 センサ群
12 センサ情報取得部
13 イベント選択部
13a イベントデータ
14 キーワード生成部
14a キーワードデータ
15 送信メッセージ作成部
15a メッセージテンプレート
16 ネットワーク送受信部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続されたセンサ機器から、前記センサ機器が読み取った情報であるセンサ情報を取得するセンサ情報取得手段と、
取得した前記センサ情報に基づいて、現在生じているイベントを決定するイベント選択手段と、
決定した前記イベントと前記センサ情報に基づいて、可読性のあるキーワードを生成するキーワード生成手段と、
ネットワークに送信するメッセージのテンプレートが定義されたメッセージテンプレートを記憶するメッセージテンプレート記憶手段と、
決定した前記イベントに対応する前記メッセージテンプレートを選択するメッセージテンプレート選択手段と、
前記メッセージテンプレート選択手段によって選択された前記メッセージテンプレートと、前記キーワード生成手段によって生成された前記キーワードと、から、送信メッセージを生成する送信メッセージ生成手段と、
生成した送信メッセージをネットワークに送信するメッセージ送信手段と、
を有する
ことを特徴とする、情報提供装置。
【請求項2】
前記メッセージテンプレート選択手段は、前記キーワード生成手段が生成したキーワードも考慮して前記メッセージテンプレートを選択する
ことを特徴とする、請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
移動体に搭載された情報提供装置であって、
ランドマークの名称と位置情報との対応が定義されたランドマークデータをさらに有し、
前記センサ情報は、前記移動体が有するGPS装置から取得した位置情報を含み、
前記イベント選択手段が、所定の位置に接近したというイベントを選択した場合に、
前記キーワード生成手段は、取得した前記位置情報と前記ランドマークデータから移動体周辺にあるランドマークの名称をキーワードとして決定し、
前記送信メッセージ生成手段は、前記ランドマークの名称を、位置情報を知らせるメッセージテンプレートに挿入して送信メッセージを生成する
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記イベント選択手段は、前記センサ情報に基づいて擬似的感情を示すパラメータをさらに生成し、
前記送信メッセージ生成手段は、前記擬似的感情に基づいて生成された送信メッセージを変更する
ことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項5】
利用者の嗜好を記憶する嗜好データ記憶手段をさらに有し、
前記キーワード生成手段は、前記利用者の嗜好に合致する前記キーワードを優先して生成する
ことを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記イベント選択手段は、取得した前記センサ情報から、外部機器に対する操作コマンドを決定し、前記外部機器に対して前記操作コマンドを発行し、
前記送信メッセージ生成手段は、発行した前記操作コマンドに対応する処理結果を送信メッセージとして生成する
ことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記ネットワークを通じて、ソーシャル・ネットワーキング・サービスにメッセージを送信する
ことを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項8】
接続されたセンサ機器から、前記センサ機器が読み取った情報であるセンサ情報を取得するセンサ情報取得手段と、
ネットワークに送信するメッセージのテンプレートが定義されたメッセージテンプレートを記憶するメッセージテンプレート記憶手段と、
を有する情報提供装置が行う情報提供方法であって、
前記センサ情報取得手段によってセンサ情報を取得するステップと、
取得した前記センサ情報に基づいて現在生じているイベントを決定するステップと、
決定した前記イベントと前記センサ情報に基づいて、可読性のあるキーワードを生成するステップと、
決定したイベントに対応した前記メッセージテンプレートを選択するステップと、
選択された前記メッセージテンプレートと、生成された前記キーワードから、送信メッセージを生成するステップと、
生成した送信メッセージをネットワークに送信するステップと、
を含む
ことを特徴とする、情報提供方法。
【請求項1】
接続されたセンサ機器から、前記センサ機器が読み取った情報であるセンサ情報を取得するセンサ情報取得手段と、
取得した前記センサ情報に基づいて、現在生じているイベントを決定するイベント選択手段と、
決定した前記イベントと前記センサ情報に基づいて、可読性のあるキーワードを生成するキーワード生成手段と、
ネットワークに送信するメッセージのテンプレートが定義されたメッセージテンプレートを記憶するメッセージテンプレート記憶手段と、
決定した前記イベントに対応する前記メッセージテンプレートを選択するメッセージテンプレート選択手段と、
前記メッセージテンプレート選択手段によって選択された前記メッセージテンプレートと、前記キーワード生成手段によって生成された前記キーワードと、から、送信メッセージを生成する送信メッセージ生成手段と、
生成した送信メッセージをネットワークに送信するメッセージ送信手段と、
を有する
ことを特徴とする、情報提供装置。
【請求項2】
前記メッセージテンプレート選択手段は、前記キーワード生成手段が生成したキーワードも考慮して前記メッセージテンプレートを選択する
ことを特徴とする、請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
移動体に搭載された情報提供装置であって、
ランドマークの名称と位置情報との対応が定義されたランドマークデータをさらに有し、
前記センサ情報は、前記移動体が有するGPS装置から取得した位置情報を含み、
前記イベント選択手段が、所定の位置に接近したというイベントを選択した場合に、
前記キーワード生成手段は、取得した前記位置情報と前記ランドマークデータから移動体周辺にあるランドマークの名称をキーワードとして決定し、
前記送信メッセージ生成手段は、前記ランドマークの名称を、位置情報を知らせるメッセージテンプレートに挿入して送信メッセージを生成する
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記イベント選択手段は、前記センサ情報に基づいて擬似的感情を示すパラメータをさらに生成し、
前記送信メッセージ生成手段は、前記擬似的感情に基づいて生成された送信メッセージを変更する
ことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項5】
利用者の嗜好を記憶する嗜好データ記憶手段をさらに有し、
前記キーワード生成手段は、前記利用者の嗜好に合致する前記キーワードを優先して生成する
ことを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記イベント選択手段は、取得した前記センサ情報から、外部機器に対する操作コマンドを決定し、前記外部機器に対して前記操作コマンドを発行し、
前記送信メッセージ生成手段は、発行した前記操作コマンドに対応する処理結果を送信メッセージとして生成する
ことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記ネットワークを通じて、ソーシャル・ネットワーキング・サービスにメッセージを送信する
ことを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項8】
接続されたセンサ機器から、前記センサ機器が読み取った情報であるセンサ情報を取得するセンサ情報取得手段と、
ネットワークに送信するメッセージのテンプレートが定義されたメッセージテンプレートを記憶するメッセージテンプレート記憶手段と、
を有する情報提供装置が行う情報提供方法であって、
前記センサ情報取得手段によってセンサ情報を取得するステップと、
取得した前記センサ情報に基づいて現在生じているイベントを決定するステップと、
決定した前記イベントと前記センサ情報に基づいて、可読性のあるキーワードを生成するステップと、
決定したイベントに対応した前記メッセージテンプレートを選択するステップと、
選択された前記メッセージテンプレートと、生成された前記キーワードから、送信メッセージを生成するステップと、
生成した送信メッセージをネットワークに送信するステップと、
を含む
ことを特徴とする、情報提供方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−92948(P2013−92948A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235494(P2011−235494)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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