説明

β−ヒドロキシカルボン酸の誘導体の製造方法

【課題】β-ヒドロキシカルボン酸からそのエステル誘導体及びα,β-不飽和型カルボン酸、α,β-不飽和型カルボン酸のエステル等の誘導体の製造方法の提供。
【解決手段】β-ヒドロキシカルボン酸又はその塩を、アルコールと大気圧下、還流温度未満の温度で、実質的に無水の条件下で、エステル化触媒の存在及び前記アルコール以外の溶剤の不存在下において反応させることによりβ-ヒドロキシカルボン酸エステルを製造する。又、α,β-不飽和型カルボン酸は、β-ヒドロキシカルボン酸塩を含む水溶液を脱水触媒存在下に加熱脱水することにより製造する。さらに、該α,β-不飽和型カルボン酸又はその塩をアルコールと反応させα,β-不飽和型カルボン酸エステルとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連事例の記述
本出願は、2002年3月25日付けで出願された仮特許出願第06/367,301号の優先権を有し、その全体は本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明はβ-ヒドロキシカルボン酸の誘導体の製造に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒドロキシカルボン酸(HCA)は特に興味深い有用なクラスの化合物である。ヒドロキシカルボン酸は本質的に二官能性であり、従って多数の化学変化を可能にする。両官能基、すなわちヒドロキシ基及びカルボン酸基は、或る特定の条件下で互いに独立して反応し、これにより各基の古典的な誘導体を生成するが、他のときには、相互作用することによりこれらの通常の化学反応性を混乱させることができる。また興味深いのは、2つの官能基間の反応が二量体材料、オリゴマー材料及び、これが重要なのであるが高分子材料をもたらすことが可能なことである。ベータ-ヒドロキシカルボン酸(β-HCA)の場合、ヒドロキシ基及び隣接する水素原子の損失によって、脱水も可能である。このような脱水は、α,β-不飽和型カルボン酸、これら自体の重要なクラスの化合物をもたらすことができる。
【0004】
極めて一般的な商業的に重要な2つのα,β-不飽和型カルボン酸は、アクリレート群及びメタクリレート群である。ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩及びポリアクリレートの製造に際しては、アクリル酸、アクリル酸塩及びアクリル酸のエステルが使用される。これらの材料は、表面コーティング、接着剤及びシーラント、吸収剤、生地及び不織布、並びにプラスチック変性剤として有用である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
β-HCAの誘導体及びこれらの塩の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの誘導体は、エステル(具体的には酸をC1-C7アルコールと反応させることにより形成される「軽質」エステル)、α,β-不飽和型カルボン酸及びエステル(例えばアクリル酸及びアクリレート・エステル)、及びβ-HCAをアルコールと反応させることにより調製されるアルコキシ誘導体を含む。これらの誘導体には更なる加工を施すことができる。例えば、β-HCAエステルをハロゲン化することによりポリオールを形成することができる。
【0007】
β-HCAはバイオマス発酵ブイヨンから誘導することができる。「アルコール」という用語は、一官能価アルコール(すなわち1つのヒドロキシル基を有するアルコール)と、多官能価アルコール(すなわち2つ又は3つ以上のヒドロキシル基を有するアルコール)との両方を含む。
【0008】
本発明の1つ又は2つ以上の実施態様の詳細を以下に説明する。本発明の他の特徴、目的及び利点が、明細書及び特許請求の範囲から明らかとなる。
【0009】
例えばβ-HCAのエステル、アクリル酸、アクリル酸の塩、アクリル酸のエステル及びアルコキシ誘導体を含むβ-HCAの誘導体を製造する方法を説明する。これらの誘導体を製造する上で有用なβ-HCAは、例えば3-ヒドロキシプロピオン酸、3-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸、3-ヒドロキシブタン酸、3-ヒドロキシ-2-メチルブタン酸、3-ヒドロキシ-2-メチルペンタン酸、3-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸、2,3-ジメチル-3-ヒドロキシブタン酸、3-ヒドロキシ-3-フェニルプロピオン酸、及びこれらの組み合わせを含む。これらのβ-HCA及びこれらの塩は、種々の源から得ることができる。β-HCA及びその塩の有用な源は発酵プロセス及び酵素プロセスを含む。この酸を生成する発酵反応は典型的には微生物、例えば2001年4月20日付けで出願された米国特許出願第60/285,478号明細書に記載される微生物の存在において、糖を発酵させることに関与する。
【0010】
次いでβ-HCA及びこれらの塩を発酵ブイヨンから分離する。このことは、例えばPCT出願番号US02/14315(国際公開第02/090312号パンフレットとして公開)、標題「カルボン酸及びこれらの誘導体の製造方法)において記載される抽出塩分解法を含む種々の技術を用いて達成することができる。このパンフレットに記載されているように、ヒドロキシル官能性カルボン酸の調製方法は、アンモニウム及びアミンを使用することにより、酸を中和し、これにより酸のアンモニウム塩を形成することができる。次いで、有機抽出剤を添加して混合物を加熱することによってアンモニウム塩を分解し、そして酸を有機溶剤中に分配し、これによりカルボン酸のアンモニウム塩を発酵ブイヨンから分離することができる。従って、結果として得られる有機組成物は特に、有機抽出剤を有する酸を含む。酸と有機抽出剤との組み合わせを、残留する水性発酵ブイヨンから分離して逆抽出することにより、酸から抽出剤を分離し、これにより純粋(すなわち遊離)酸を生成することができる。
【0011】
特定の誘導体の調製を以下に論じる。
β-HCAのエステル
本発明による或る特定の方法を用いることにより、比較的穏やかな条件下でβ-HCAのカルボン酸のエステル又はこれらの塩を調製することができる。エステル化プロセスは、β-HCA又はその塩をアルコールと反応させることにより促進され、そしてエステル化触媒の存在及びアルコール以外の溶剤の不存在において達成することができる。あるいは、水不混和性抽出剤及び任意のエステル化触媒の存在において、β-HCA又はその塩を炭素原子数1〜7の軽質アルコールと反応させることにより、カルボン酸エステルを調製することができる。この技術は、有機抽出剤を用いた抽出塩分解を介して発酵ブイヨンからβ-HCAを誘導する場合に特に有用である。抽出剤中のエステル化触媒の存在においてβ-HCAがアルコールと反応するのを可能にすることにより、エステルと抽出剤とを含む混合物が生成される。
【0012】
抽出剤の一例としては、アミド、エーテル、ケトン、リンエステル(例えばトリブチルホスフェート)、酸化ホスフィン、硫化ホスフィン及び硫化アルキルが挙げられる。これらの抽出剤のいずれかを単独で、又は別の抽出剤と組み合わせて使用することができる。
【0013】
この反応は、脱水を介したエステル化を好む条件下で行われる。この反応が大気圧、及び還流温度未満の温度で実質的に無水条件下で行われる場合に、エステル化は進行し、これによりエステルを製造することができる。好ましくは、反応は周囲温度で行われる。
【0014】
エステルを調製する上で有用なアルコールは、水と混和性又は部分混和性であるアルコールである。好適なアルコールは例えば、直鎖状、分枝鎖状、及び環状有機部分を含むC1〜C26アルコールを含む。これらの部分は脂肪族、芳香族又はこれらの組み合わせであってよい。メタノールからヘプタノールの範囲にある軽質又は第一級アルコール(例えば炭素原子数1〜7のアルコール)が特に有用である。アルコールは直鎖状又は分枝鎖状、そして第一級、第二級又は第三級であってよい。加えて、アルコールは単官能性(すなわち単独のヒドロキシル基を含有)又は多官能性(すなわち2つ又は3つ以上のヒドロキシル基を含有)であってよい。多官能価アルコールの例は、グリコール及びポリオール、例えばグリセロール、1,2-エタンジオール(エチレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、及びこれらのポリオキシエチレン(PEO又はPEG)誘導体を含む。
【0015】
アルコールを、β-HCAを含有する水性組成物に添加したあと、蒸留工程を実施することができる。このことは、残留β-HCA/アルコール混合物が実質的に乾燥するまで、水含有蒸留物を蒸留により除去することによって実施することができる。1つの技術の場合、有機溶剤、例えばトルエンを有する共沸蒸留を行うことができる。任意には、β-HCAのエステル化に使用されたアルコールを、蒸留工程で使用することもできる。
【0016】
実質的な無水条件を達成したら、続いてエステル化を添加することによって、エステル化を誘発することができる。このプロセスに好適なエステル化触媒は、酸性樹脂、酸性無機塩及び鉱物酸を含む。有用な鉱物酸は酸、例えば硫酸又はリン酸を含む。無機塩、例えば無水硫酸銅を使用することができる。酸樹脂触媒の一例としては、商業的に入手可能な化合物、例えば酸性AMBERLYST(商標)樹脂(Rohm and Haas Co.;Philadelphia, PAから入手可能)、NAFION(商標)樹脂(E.I. DuPont de Nemours and Co.;Wilmington DEから入手可能)、酸性DOWEX(商標)樹脂(Dow Chemical Co.;Midland, MI)が挙げられる。酸性樹脂とβ-HCAの蒸気又は液体との接触を可能にする形態で、酸性樹脂を使用することができる。例えば、樹脂はベッド又はカラムの形を成していてよい。
【0017】
所期のエステル生成物は蒸留によって精製することができる。本発明の或る方法を用いたエステルの収率は約80%を上回ることができる。
【0018】
α,β-不飽和型カルボン酸及びその塩
β-HCAの脱水により、α,β-不飽和型カルボン酸生成物を提供することができる。一例としての方法の場合、α,β-不飽和型カルボン酸又はその塩は、β-HCA塩を有する水溶液を加熱し、これにより塩を脱水してα,β-不飽和型カルボン酸及び/又はその塩を形成することによって調製することができる。水溶液は発酵ブイヨン又はその他の酵素プロセスから誘導することができる。このプロセスの1つの利点は、β-HCA塩が水溶性である一方、α,β-不飽和型カルボン酸の対応塩が一般に水溶性ではないことである。こうして、α,β-不飽和型カルボン酸の塩は溶液から析出し、これにより出発材料からの不飽和型酸の分離を促進する。
【0019】
β-HCAの塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類塩又はこれらの組み合わせのうちのいずれか1つとなることができる。典型的な塩は例えばナトリウム塩及びカルシウム塩を含む。α,β-不飽和型カルボン酸又はその塩を生成するための脱水は、水性媒質中で発生することができる。それというのもβ-HCAは水溶液中に可溶性であるからである。
【0020】
任意には、水溶液を加熱するのに伴って脱水酵素をこれに添加し、これにより酸又は酸性塩の脱水を増強してα,β-不飽和型カルボン酸又はその塩を形成することができる。酸性又は塩基性材料を使用することにより、水性媒質中で脱水プロセスを触媒することができる。脱水触媒は、脱水を促進する中性、酸性又は塩基性材料であってよい。中性触媒の例は、例えばリン酸カルシウム、乳酸カルシウム及び3-ヒドロキシプロピオン酸カルシウムを含む。その他の有用な触媒は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、ゼオライト及びその他のルイス酸を含む。アミンは、触媒として使用することができる塩基性化合物である。β-HCAを提供するために発酵ブイヨンを使用する場合、塩基性アミンが、水性発酵ブイヨンからβ-HCAを分離するための抽出剤としての機能、並びに脱水触媒としての機能の両方を好都合に果たすことができる。このプロセスに適したアミンの一例としては、トリカプリルアミン(TCA)、トリデシルアミン(TDA)、及びトリドデシルアミン(TDDA)を含む。さらに別の外生的な塩基性材料を利用することにより、脱水を生じさせることができる。具体的には、金属酸化物及び水酸化物、例えば酸化カルシウム及び水酸化カルシウムは、脱水を増強して助成することのできる塩基性材料である。酸触媒は、気体状又は液状の強鉱酸、例えば塩酸、硫酸又はリン酸であってよい。不溶性酸樹脂、例えばAMBERLYST(商標) 樹脂、NAFION(商標)樹脂、及び酸性DOWEX(商標)樹脂を触媒として採用することもできる。特に有用な酸触媒はリン酸である。
【0021】
蒸気転化(すなわち蒸気相反応)によって行われる脱水により、α,β-不飽和型カルボン酸を調製することもできる。このような方法において、β-HCAを有する水溶液を比較的高い温度で、好ましくは脱水触媒の存在において蒸発させ、これによりβ-HCAをα,β-不飽和型カルボン酸に転化することができる。
【0022】
α,β-不飽和型カルボン酸エステル
β-HCAのエステル化プロセスを推進するプロセス条件は、高められた温度及び酸触媒又は塩基触媒を用いて、これらの材料の脱水を推進することもできる。同様に、高められた温度及び酸触媒又は塩基触媒を用いて、α,β-不飽和型カルボン酸のエステル化を達成することもできる。こうして、一例としての方法の場合、α,β-不飽和型カルボン酸のエステル化プロセス及び脱水プロセスを同じ反応容器内で実施することができる。
【0023】
α,β-不飽和型カルボン酸のエステルを調製するために種々異なる経路が利用可能である。1つのルートにおいて、アルコールとの反応を介して、β-HCA又はそのアンモニウム塩が最初にエステル化される。次いでエステルを続いて脱水することにより、α,β-不飽和型カルボン酸のエステルを提供することができる。別の経路の場合、β-HCAが最初に脱水され、その後、その結果得られたα,β-不飽和型カルボン酸又はその塩を、アルコールを使用してエステル化することにより、α,β-不飽和型カルボン酸のエステルが産出される。
【0024】
水性媒質中で、最初にβ-HCA又はその塩をエステルに転化することにより、α,β-不飽和型カルボン酸エステルを調製することができ、このエステル及び脱水触媒を有する溶液を蒸発させることにより、β-HCAエステルをα,β-不飽和型カルボン酸エステルに転化することができる。
【0025】
アルコキシ誘導体
密閉反応器内でβ-HCA又はその塩及びアルコールを含有する水溶液を加熱することにより、例えばα,β-不飽和型カルボン酸エステル、α,β-不飽和型カルボン酸、β-アルコキシカルボン酸又はエステルを含む種々の誘導体を生成することが可能である。これらのエステルを達成するために、溶液にエステル化触媒を添加することが有利である。本明細書中に記載した他のプロセスと同様に、β-HCA又はその塩は、例えば発酵ブイヨンから誘導された水溶液中にあってよい。
【0026】
密閉反応器、例えばParr反応器内で、塩基性触媒の存在において、β-HCA又はその塩を有する水溶液をアルコールと反応させることにより、β-HCAのアルコキシ誘導体を調製することができる。溶液を加熱することにより、反応が酸のアルコキシ誘導体を形成するのを可能にすることができる。塩基性触媒は、Mg(OH)2、Ca(OH)2、NaOH又はこれらの組み合わせのいずれか1つとなることができる。
【実施例】
【0027】
全てのパーセンテージは、特に断りのない限り、重量パーセントである。
高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)及びガス・クロマトグラフィ(GC)を用いて、下記の反応生成物を分析した。
【0028】
HPLC分析において使用される装置は、Waters 717及びオートサンプラを備えたWaters 1525バイナリHPLCポンプ、並びにWaters 2410屈折率及び2487デュアル・ラムダ吸光度検出器を含んだ。Bio-Rad HP87-Hカラムを使用した。移動相は0.004N硫酸であった。流量は0.6mL/分であり、そしてカラム温度は60℃であった。
【0029】
GC分析において使用された装置は、J&W DB-WAXETR 30m x 32mm, 0.5μmの膜カラムを含んだ。炉の初期温度は90℃であり、20℃/分の上昇を伴い、最終温度は200℃であった。試料を約12.5分間にわたって最終温度で維持した。注入温度は200℃であった。
【0030】
例1
この例は、樹脂酸で触媒された、3-HPから種々のアルキルエステルへの転化を説明する。3-HPは30%水溶液の形態を成していた。材料の70%は純粋3-HPモノマーであった。
【0031】
30%の3-HP 20.65gをメタノールとの共沸蒸留によって乾燥させた。乾燥3-HPに、過剰(56.84 g)の無水メタノールと、5.05 gの乾燥AMBERLYST-15とを添加した。混合物を18時間にわたって室温で撹拌し、GCによってモニタリングした。
【0032】
クロマトグラムにおいて、3-HPのメチルエステル及び3-HPのエーテル二量体のジメチルエステルにそれぞれ対応する5.13分目及び7.89分目に2つの主なピークがあった。反応において使用される3-HPは純度が約70%でしかない純粋モノマーであり、残りは二量体及び微量のアクリル酸である。3-HPメチルエステルの同一性をGC-MSによって確認した。
【0033】
反応終了時に、固形触媒をろ過して除去し、そして溶剤を真空蒸留によって除去した。粗生成物にフラッシュ・カラム・クロマトグラフィを施し、これにより純粋材料を得た。校正曲線をエステルのGC上に生成した。
【0034】
3.18gの30% 3-HP、15.88gの乾燥メタノール及び1.02gのAMBERLYST-15を使用して、上記反応を繰り返した。反応混合物を21時間にわたって室温で撹拌し、そしてGCによってモニタリングした。上記試験から得られた較正曲線を使用することにより、収率を決定した。
【0035】
時間 収率*
4時間 70%
21時間 100%
*純度70%の3-HPを基準とする
【0036】
3.14gの30% 3-HP、17.47gの乾燥エタノール及び1.12gの乾燥AMBERLYST-15を使用して、上述の反応を繰り返し、これにより3-HPのエチルエステルを調製した。反応混合物を室温で19時間にわたって撹拌し、そしてGCによってモニタリングした。
【0037】
時間 収率*
2.5時間 17%
19時間 68%
*純度70%の3-HPを基準とする
【0038】
ブタノールをアルコールとして使用することを除いて、上記反応を繰り返した。19時間後、純度70%の3-HP出発材料を基準として、ブチルエステルの収率は70%であった。
【0039】
2-エチルヘキシルアルコールをアルコールとして使用することを除いて、上記反応を繰り返した。19時間後、純度70%の3-HP出発材料を基準として、2-エチルヘキシルエステルの収率は59%であった。
【0040】
触媒としてAMBERLYST-15ではなくNAFION NR-50を使用することを除いて、上記反応を繰り返した。アルコールはエタノールであった。この混合物を室温で21時間にわたって撹拌し、そしてGCによってモニタリングした。純度70%の3-HP出発材料を基準として、3-HPエチルエステルの収率は71%であった。
【0041】
例2
この例は、H2SO4を触媒として使用して室温で3-HPのメチルエステルを合成することを説明する。3-HPは30%水溶液の形態を成していた。材料の70%は純粋3-HPモノマーであった。
【0042】
30%の水性3-HPをメタノールとの共沸蒸留によって乾燥させた。乾燥3-HPに、過剰のメタノールと、数滴の濃H2SO4とを添加した。GCによってモニタリングしながら、混合物を室温で24時間にわたって撹拌した。24時間にわたって撹拌した後、3-HPのほとんどがエステルに転化された。
【0043】
時間 収率*
3.5時間 89%
6時間 92%
24時間 96%
*純度70%の3-HPを基準とする
【0044】
例3
この例は、酸樹脂触媒を使用して3-HPをそのメチルエステルに転化することを説明する。3-HPは14.72%水溶液の形態を成していた。材料の98.7%は純粋3-HPモノマーであった。
【0045】
16.685gの14.72%水性3-HP(25.7mmol)を、回転蒸発器上で水を除去することにより乾燥させた。乾燥3-HP(2.371g)に、16gのメタノールと、0.548gのAMBERLYST-15酸樹脂触媒とを添加した。混合物を室温で28時間にわたって撹拌し、そしてGCによってモニタリングした。次いでAMBERLYST-15酸樹脂触媒をさらに0.549g添加し、そして混合物をさらに18時間にわたって撹拌することにより、3-HPのメチルエステルを生成した。
【0046】
時間 収率*
2時間 31%
4時間 42%
20時間 81%
28時間 95%
46時間 100%
*純度98.7%の3-HPを基準とする
【0047】
例4
この例は、H2SO4を触媒として使用して3-HPをそのメチルエステルに転化することを説明する。3-HPは14.72%水溶液の形態を成していた。材料の98.7%は純粋3-HPモノマーであった。
【0048】
18.524gの14.72%水性3-HP(30.2mmol)を、回転蒸発器上で水を除去することにより乾燥させた。乾燥3-HP(2.717g)に、13gのメタノールと、0.22gの濃H2SO4触媒とを添加した。混合物を室温で22時間にわたって撹拌し、そしてGCによってモニタリングすることにより、3-HPのメチルエステルを生成した。
【0049】
時間 収率*
1.5時間 75%
3.5時間 88%
22時間 95%
*純度98.7%の3-HPを基準とする
【0050】
例5
この例は3-HPのカルシウム塩からアクリル酸カルシウムを調製することを説明する。
【0051】
5.22gの30% 3-HP及び0.65gのCa(OH)2から形成された、3-HPのカルシウム塩の水溶液56gを220℃で600ml Parr反応器内で2時間にわたって加熱した。室温まで冷却したあと、溶液をGC及びHPLCによって、アクリル酸及び3-HPに関して分析した。3-HPのカルシウム塩からのアクリル酸カルシウムの収率は48.7%であり、3-HPのカルシウム塩からアクリル酸カルシウムへの転化率は47.1%である。このことは、3-ヒドロキシプロピオン酸のカルシウム塩からアクリル酸カルシウムへの選択率100%を提供した。反応の炭素収支は101.7%であった。
【0052】
例6
この例は3-HPのナトリウム塩からアクリル酸ナトリウムを調製することを説明する。
5.027gの30% 3-HP及び0.69gのNaOHから形成された、3-HPのナトリウム塩の水溶液21gを220℃で600ml Parr反応器内で2時間にわたって加熱した。室温まで冷却したあと、溶液をGC及びHPLCによって、アクリル酸及び3-HPに関して分析した。3-HPのナトリウム塩からのアクリル酸ナトリウムの収率は41.8%であり、3-HPのナトリウム塩からアクリル酸ナトリウムへの転化率は61.3%である。このことは、3-HPのナトリウム塩からアクリル酸ナトリウムへの選択率68.2%を提供した。反応の炭素収支は80.6%であった。
【0053】
例7
この例は、硫酸触媒を使用して3-HPからアクリル酸を蒸気相転化することを説明する。
0.8139gの水性30% 3-HPと、0.2800gの濃H2SO4とを(約1:1のモル比で)混合し、そしてただちにGC中に注入する。校正直線を使用して、アクリル酸の濃度を見極めた。アクリル酸の収率は97.8%であった。試験を繰り返すと、アクリル酸の収率99.97%を得た。3-HPとH2SO4との比を変化させることにより、同様の試験を行った。その結果を下記表に示す。
【0054】
【表1】

【0055】
例8
この例は、リン酸触媒を使用して3-HPからアクリル酸に蒸気相転化することを説明する。
0.5005gの7.117% 3-HPと0.3525gの85% H3PO4とを混合し、そしてGC中にただちに注入した。第2の試験において、0.5041gの7.117% 3-HPと0.0505gの85% H3PO4とを使用した。その結果を下記表に報告する。
【0056】
【表2】

【0057】
例9
この例は、Cu-Ba-CrO触媒を使用して、3-HPからアクリル酸を調製することを説明する。
50.0gの5.13% 3-HPを、0.50gのCu-Ba-CrO触媒と共に、Parr反応器内に入れた。混合物を310psiの窒素下で22時間にわたって200℃で加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、そしてGCによって分析した。3-HPの転化率は63%であり、アクリル酸への選択率は100%であった。
【0058】
例10
この例は、硫酸又はリン酸触媒を使用して、3-ヒドロキシイソ酪酸(3-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸としても知られている)をメタクリル酸に蒸気相転化することを説明する。
【0059】
3-ヒドロキシイソ酪酸(3-HIBA)の15.5%水溶液を、種々の量の濃硫酸と混合し、そしてGC中に注入した。1つの試験を、濃リン酸でも実施した。その結果を下記表に報告する。
【0060】
【表3】

【0061】
例11
この例は3-ヒドロキシプロピオン酸アンモニウムからアクリル酸ブチルへの転化を説明する。
3-ヒドロキシプロピオン酸アンモニウムと、トリカプリルアミン/n-ブタノール(1:1)から成る溶剤との混合物を160℃まで、3時間にわたって加熱した。反応混合物は主として、少量のアクリル酸を含むアクリル酸ブチル、及び3-ヒドロキシプロピオン酸ブチルであった。エステルはコンベンショナルな分留により、トリカプリルアミンから容易に分離された。
【0062】
例12
この例は、3-ヒドロキシプロピオン酸のカルシウム塩からアクリル酸ブチルへの転化を説明する。
3-ヒドロキシプロピオン酸のカルシウム塩を、3-HP及びCa(OH)2から調製した。カルシウム塩を中和して遊離酸にするために多量の硫酸を使用し、そして溶剤抽出剤としてトリカプリルアミンを使用して、カルシウム塩溶液に抽出を施した。抽出剤相を水性相から分離した。3-HPを含有する抽出溶剤にブタノールを添加し、そしてその混合物を加熱することにより、エステル化及び脱水を引き起こし、アクリル酸ブチルを産出した。
【0063】
例13
この例は、酸触媒を使用して、3-HPからアクリル酸ブチルのワンポット合成を説明する。
10.0gの30% 3-HP、100mlのn-ブタノール及び5滴の濃H2SO4を250mlのフラスコ内で混合した。混合物を、取り付けられたDean-Starkトラップで還流することにより、水を除去した。水がもはやDean-Starkトラップ内に集まらなくなるまで、還流を続けた。蒸留装置を取り付け、そしてn-ブタノールのほとんどを蒸留により除去した。次に、温度を低下させ、そして真空を加える(0.5torr, 80℃)ことにより、残りの液体を蒸留した。いくらかのブタノールと共に、アクリル酸ブチル1.58gを得た。アクリル酸ブチルの収率は37%であった。
【0064】
例14
この例は、塩基性触媒を使用して、3-アルコキシプロピオン酸エステルの調製を説明する。
5.12gの30% 3-HP水溶液、0.50gのMg(OH)2、及び53.58gのブタノールを600mlオートクレーブParr反応器に添加した。その結果として生じた混合物を、50psiの窒素ガスで3回フラッシュすることにより、空気を除去し、その後、反応器を220℃まで1.6時間にわたって加熱した。加熱期間の終わりに、反応器を室温まで冷却し、そして減圧した。反応器の内容物を遠心分離することにより、溶液から固形物を分離した。固形物の除去後、溶液をガスクロマトグラフィによって、3-ブトキシプロピオン酸ブチルエステル、3-ヒドロキシプロピオン酸ブチル、及びアクリル酸ブチルに関して分析した。3-ブトキシプロピオン酸ブチルエステルの収率は48%であり、3-ヒドロキシプロピオン酸ブチルの収率は5%であり、そしてアクリル酸ブチルの収率は47%であった。
【0065】
Mg(OH)2触媒の代わりにCa(OH)2及びNaOHを使用することにより、このプロセスを繰り返した。3-ブトキシプロピオン酸ブチルエステルの収率は、触媒の素性に応じて変化し、その順序はMg>Ca>Naであった。
【0066】
ブタノールの代わりにエタノールを使用することにより、このプロセスを繰り返した。この反応が提供する3-エトキシプロピオン酸エチルエステルの収率は、アルカリ土類金属塩に応じて5〜50%であり、その順序はMg>Ca>Naであった。
【0067】
例15
この例は、塩基性触媒を使用した3-アルコキシプロピオン酸エステルの別の調製を説明する。
例10に従って調製したアクリル酸ブチルを、これを水酸化カルシウム及びブタノールと約50℃で反応させることにより、3-ブトキシプロピオン酸ブチルエステルに転化した。
【0068】
例16
この例は、種々の触媒を使用して3-HPエステルを脱水することにより、種々のアクリル酸アルキルを調製することを説明する。
温度プローブを備えた3首フラスコ内に触媒を入れた(温度プローブを触媒と接触させる)。蒸留カラムと受容フラスコとを取り付けて、反応中に形成された蒸気を捕集できるようにし、そして触媒を所望の温度に加熱した。対応するアルコール中の3-ヒドロキシプロピオン酸エステルの溶液を、シリンジを使用して触媒上に直接的に液滴状に添加した。蒸留した液体を捕集し、そしてガス・クロマトグラフィによって分析した。その結果、及び対応する試験条件を下記表に示す。
【0069】
【表4】

【0070】
出発材料として3-HPを使用し、GCの代わりに、加熱された触媒を含有するフラスコを使用して、同様の脱水反応を実施した:
(a) 水性3-HPをNaH2PO4-シリカゲル触媒上で180℃で脱水してアクリル酸にした。GC分析及びHPLC分析を基準にして、アクリル酸の収率は90〜96%であった。
【0071】
(b) 水性3-HPをH3PO4-シリカゲル触媒上で180℃で脱水してアクリル酸にした。GC分析及びHPLC分析を基準にして、アクリル酸の収率は85〜90%であった。
【0072】
(c) 水性3-HPをCuSO4-シリカゲル触媒上で180℃で脱水してアクリル酸にした。GC分析及びHPLC分析を基準にして、アクリル酸の収率は73%であった。
【0073】
(d) 水性3-HPを、触媒としてのゼオライトH-β粉末及び85% H3PO4上で180℃で脱水してアクリル酸にした。GC分析及びHPLC分析を基準にして、アクリル酸の収率は71%であった。
【0074】
(e) 水性3-ヒドロキシイソ酪酸をNaH2PO4-シリカゲル触媒上で270℃で脱水してメタクリル酸にした。GC分析を基準にして、メタクリル酸の収率は79%であった。
【0075】
例17
この例は、Amberlyst-15樹脂触媒を使用して、アミド溶剤中で3-HPのメチルエステルを調製することを説明する。
純度約70%の3-HPを出発材料として使用した。1-オクチル-2-ピロリドン中25.02gの10.79% 3-HPに、14.85gのメタノールを添加した。この溶液を、丸底フラスコ内で1.26gのAmberlyst-15樹脂の存在において、22時間にわたって76〜78℃で還流させた。生成物のGC分析は、この反応が76%収率で3-HPメチルエステルを生成することを示した。
【0076】
例18
この例は、Amberlyst-15樹脂触媒を使用して、トリブチルホスフェート(TBP)溶剤中で3-HPのメチルエステルを調製することを説明する。
【0077】
純度約70%の3-HPを出発材料として使用した。TBP中18gの8.23% 3-HPに、30.19gのメタノールを添加した。この溶液を、丸底フラスコ内で1.80gのAmberlyst-15樹脂の存在において、17時間にわたって70℃で還流させた。生成物のGC分析は、この反応が75.5%収率で3-HPメチルエステルを生成することを示した。
【0078】
例19
この例は、H2SO4触媒を使用して、アミド溶剤中で3-HPのメチルエステルを調製することを説明する。
純度約70%の3-HPを出発材料として使用した。1-オクチル-2-ピロリドン中12.03gの22.9% 3-HPに、2.91gのメタノールと0.13gのH2SO4(98%)とを添加した。この溶液を、丸底フラスコ内で2時間にわたって83℃で還流させた。生成物のGC分析は、この反応が67.5%収率で3-HPメチルエステルを生成することを示した。
【0079】
例20
この例は、Amberlyst-15樹脂を触媒として使用して、アミド溶剤中で3-HPのメチルエステルを調製することを説明する。
純度約99%の3-HPを出発材料として使用した。1-オクチル-2-ピロリドン中12.02gの9.7% 3-HPに、6.24gのメタノールを添加した。この溶液を、丸底フラスコ内でAmberlyst-15樹脂の存在において、21時間にわたって71℃で還流させた。生成物のGC分析は、この反応が99.1%収率で3-HPメチルエステルを生成することを示した。
【0080】
本発明の数多くの実施態様を説明してきたが、いうまでもなく、本発明の思想及び範囲を逸脱することなしに種々の変更を加えることができる。従って、添付の特許請求の範囲には他の実施態様も含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
β-ヒドロキシカルボン酸エステルの製造方法であって、β-ヒドロキシカルボン酸又はその塩をアルコールと、大気圧、及び還流温度未満の温度で実質的に無水条件下で、エステル化触媒の存在及び前記アルコール以外の溶剤の不存在において反応させることにより、前記エステルを製造することを含むことを特徴とする、β-ヒドロキシカルボン酸エステルの製造方法。
【請求項2】
周囲温度で前記エステルを製造することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記β-ヒドロキシカルボン酸が、3-ヒドロキシプロピオン酸、3-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸、3-ヒドロキシブタン酸、3-ヒドロキシ-2-メチルブタン酸、3-ヒドロキシ-2-メチルペンタン酸、3-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸、2,3-ジメチル-3-ヒドロキシブタン酸、3-ヒドロキシ-3-フェニルプロピオン酸、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記β-ヒドロキシカルボン酸が、3-ヒドロキシプロピオン酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アルコールの炭素原子数が1〜7である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記エステル化触媒が酸触媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記酸触媒が酸樹脂触媒を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
β-ヒドロキシカルボン酸エステルの製造方法であって:(a)β-ヒドロキシカルボン酸又はその塩を含む発酵ブイヨンを準備し;(b)前記発酵ブイヨンから前記β-ヒドロキシカルボン酸又はその塩を含む溶液を形成し;そして(c)前記β-ヒドロキシカルボン酸又はその塩をアルコールと、大気圧、及び還流温度未満の温度で実質的に無水条件下で、エステル化触媒の存在及び前記アルコール以外の溶剤の不存在において反応させることにより、前記エステルを製造することを含むことを特徴とする、β-ヒドロキシカルボン酸エステルの製造方法。
【請求項9】
β-ヒドロキシカルボン酸エステルの製造方法であって、水不混和性抽出剤中のエステル化触媒の存在において、β-ヒドロキシカルボン酸を炭素原子数1〜7のアルコールと反応させることにより、前記エステルと前記抽出剤とを含む反応混合物を製造することを含むことを特徴とする、β-ヒドロキシカルボン酸エステルの製造方法。
【請求項10】
前記β-ヒドロキシカルボン酸が、3-ヒドロキシプロピオン酸、3-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸、3-ヒドロキシブタン酸、3-ヒドロキシ-2-メチルブタン酸、3-ヒドロキシ-2-メチルペンタン酸、3-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸、2,3-ジメチル-3-ヒドロキシブタン酸、3-ヒドロキシ-3-フェニルプロピオン酸、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記β-ヒドロキシカルボン酸が、3-ヒドロキシプロピオン酸である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記水不混和性抽出剤が、アミド、エーテル、ケトン、リンエステル、酸化ホスフィン、硫化ホスフィン、硫化アルキル、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
β-ヒドロキシカルボン酸エステルの製造方法であって:(a)β-ヒドロキシカルボン酸又はその塩を含む発酵ブイヨンを準備し;(b)水不混和性抽出剤で前記ブイヨンを処理することにより、前記β-ヒドロキシカルボン酸及び前記抽出剤を含む抽出物を形成し;(c)前記抽出物を、炭素原子数1〜7のアルコール及びエステル化触媒と一緒にし;そして(d)前記β-ヒドロキシカルボン酸を前記アルコールと、前記抽出剤及び前記触媒の存在において反応させることにより、前記エステルを製造することを含むことを特徴とする、β-ヒドロキシカルボン酸エステルの製造方法。
【請求項14】
α,β-不飽和型カルボン酸又はその塩の製造方法であって:(a)β-ヒドロキシカルボン酸塩を含む水溶液を準備し、そして(b)前記溶液を加熱することにより、前記塩を脱水し、そしてα,β-不飽和型カルボン酸又はその塩を形成することを含むことを特徴とする、α,β-不飽和型カルボン酸又はその塩の製造方法。
【請求項15】
前記塩が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記塩がナトリウム塩を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記塩がカルシウム塩を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記β-ヒドロキシカルボン酸が、3-ヒドロキシプロピオン酸、3-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸、3-ヒドロキシブタン酸、3-ヒドロキシ-2-メチルブタン酸、3-ヒドロキシ-2-メチルペンタン酸、3-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸、2,3-ジメチル-3-ヒドロキシブタン酸、3-ヒドロキシ-3-フェニルプロピオン酸、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記β-ヒドロキシカルボン酸が、3-ヒドロキシプロピオン酸である、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記水溶液が発酵ブイヨンから誘導される、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
脱水触媒の存在において前記水溶液を加熱することにより、前記塩を脱水し、そしてα,β-不飽和型カルボン酸又はその塩を形成することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
さらに、前記α,β-不飽和型カルボン酸又はその塩をアルコールと反応させることにより、α,β-不飽和型カルボン酸エステルを形成することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
α,β-不飽和型カルボン酸又はその塩の製造方法であって:(a)β-ヒドロキシカルボン酸又はその塩を含む発酵ブイヨンを準備し;(b)前記発酵ブイヨンから前記β-ヒドロキシカルボン酸又はその塩を含む水溶液を形成し;そして(c)前記水溶液を加熱することにより、前記β-ヒドロキシカルボン酸又はその塩を脱水し、そしてα,β-不飽和型カルボン酸又はその塩を形成することを含むことを特徴とする、α,β-不飽和型カルボン酸又はその塩の製造方法。
【請求項24】
前記β-ヒドロキシカルボン酸が、3-ヒドロキシプロピオン酸、3-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸、3-ヒドロキシブタン酸、3-ヒドロキシ-2-メチルブタン酸、3-ヒドロキシ-2-メチルペンタン酸、3-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸、2,3-ジメチル-3-ヒドロキシブタン酸、3-ヒドロキシ-3-フェニルプロピオン酸、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記β-ヒドロキシカルボン酸が、3-ヒドロキシプロピオン酸である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
脱水触媒の存在において前記水溶液を加熱することにより、前記β-ヒドロキシカルボン酸又は塩を脱水し、そしてα,β-不飽和型カルボン酸又はその塩を形成することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
さらに、前記α,β-不飽和型カルボン酸又はその塩をアルコールと反応させることにより、α,β-不飽和型カルボン酸エステルを形成することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
α,β-不飽和型カルボン酸の製造方法であって:(a)β-ヒドロキシカルボン酸を含む発酵ブイヨンを準備し;(b)前記発酵ブイヨンから前記β-ヒドロキシカルボン酸を含む溶液を形成し;そして(c)脱水触媒の存在において前記溶液を蒸発させることにより、前記β-ヒドロキシカルボン酸をα,β-不飽和型カルボン酸に転化することを含むことを特徴とする、α,β-不飽和型カルボン酸の製造方法。
【請求項29】
前記β-ヒドロキシカルボン酸を含む前記溶液に前記脱水触媒を添加することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
加熱された表面に前記溶液を暴露することにより、前記溶液を蒸発させることを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記加熱された表面が前記脱水触媒を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記β-ヒドロキシカルボン酸が、3-ヒドロキシプロピオン酸、3-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸、3-ヒドロキシブタン酸、3-ヒドロキシ-2-メチルブタン酸、3-ヒドロキシ-2-メチルペンタン酸、3-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸、2,3-ジメチル-3-ヒドロキシブタン酸、3-ヒドロキシ-3-フェニルプロピオン酸、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記β-ヒドロキシカルボン酸が、3-ヒドロキシプロピオン酸である、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記β-ヒドロキシカルボン酸が、3-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸である、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記脱水触媒が酸触媒を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
さらに、前記β-ヒドロキシカルボン酸をエステルに転化し、そして脱水触媒の存在において前記エステルを含む溶液を蒸発させることにより、前記β-ヒドロキシカルボン酸エステルをα,β-不飽和型カルボン酸エステルに転化することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
α,β-不飽和型カルボン酸エステルの製造方法であって:(a)β-ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アルコール及び脱水触媒を含む水溶液を準備し;そして(b)前記溶液を加熱することにより、α,β-不飽和型カルボン酸エステルを形成することを含むことを特徴とする、α,β-不飽和型カルボン酸エステルの製造方法。
【請求項38】
前記水溶液が培養ブイヨンから誘導される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記アルコールの炭素原子数が1〜7である、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記脱水触媒が酸触媒を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記β-ヒドロキシカルボン酸が、3-ヒドロキシプロピオン酸、3-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸、3-ヒドロキシブタン酸、3-ヒドロキシ-2-メチルブタン酸、3-ヒドロキシ-2-メチルペンタン酸、3-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸、2,3-ジメチル-3-ヒドロキシブタン酸、3-ヒドロキシ-3-フェニルプロピオン酸、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記β-ヒドロキシカルボン酸が、3-ヒドロキシプロピオン酸である、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
β-ヒドロキシカルボン酸のアルコキシ誘導体の製造方法であって:(a)β-ヒドロキシカルボン酸又はその塩と、アルコールと、塩基性触媒とを含む水溶液を密閉反応器内に準備し;そして(b)前記反応器を加熱することにより、前記アルコールと前記β-ヒドロキシカルボン酸のヒドロキシル基とを反応させることにより、前記β-ヒドロキシカルボン酸のアルコキシ誘導体を形成することを含むことを特徴とする、β-ヒドロキシカルボン酸のアルコキシ誘導体の製造方法。
【請求項44】
前記触媒が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類水酸化物、アルカリ土類酸化物及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記触媒が、Mg(OH)2、Ca(OH)2、NaOH及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記β-ヒドロキシカルボン酸が、3-ヒドロキシプロピオン酸、3-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸、3-ヒドロキシブタン酸、3-ヒドロキシ-2-メチルブタン酸、3-ヒドロキシ-2-メチルペンタン酸、3-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸、2,3-ジメチル-3-ヒドロキシブタン酸、3-ヒドロキシ-3-フェニルプロピオン酸、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記β-ヒドロキシカルボン酸が、3-ヒドロキシプロピオン酸である、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記水溶液が発酵ブイヨンから誘導される、請求項43に記載の方法。
【請求項49】
α,β-不飽和型カルボン酸エステルの製造方法であって、β-ヒドロキシカルボン酸、炭素原子1〜7のアルコール、及び水不混和性溶剤を含む溶液を加熱することにより、α,β-不飽和型カルボン酸エステルを形成することを含むことを特徴とする、α,β-不飽和型カルボン酸エステルの製造方法。

【公開番号】特開2010−6819(P2010−6819A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−188539(P2009−188539)
【出願日】平成21年8月17日(2009.8.17)
【分割の表示】特願2003−580264(P2003−580264)の分割
【原出願日】平成15年3月25日(2003.3.25)
【出願人】(504359639)カーギル,インコーポレイティド (3)
【Fターム(参考)】