γ変換処理装置,画像処理装置およびγ変換処理方法
【課題】 画像処理で行うγ変換の高速化、そのために準備するデータ量,メモリ容量を少なくする、および、γ変換特性の変更,補正を容易化。
【解決手段】 プログラムRAM36、および、そのプログラムに従って1命令による複数データの処理を実行し複数画素分の多値階調カラー画像データのそれぞれを並行して同時に処理する複数のプロセッサエレメントPE、を有するSIMDプロセッサ33;および、γ変換(図13)の範囲を複数区分する境界値x1〜x7および各区間の直線近似による補間演算を規定するパラメータa1〜a8,b1〜b8に基づいて、複数画素分の多値階調カラー画像データのそれぞれを同時に並行してγ変換する補間演算プログラム、をRAM36に書込むコントローラ106;を備えるγ変換処理装置。これを内蔵するカラースキャナSCRおよびカラープリンタPTRならびにカラー複合機能複写機。
【解決手段】 プログラムRAM36、および、そのプログラムに従って1命令による複数データの処理を実行し複数画素分の多値階調カラー画像データのそれぞれを並行して同時に処理する複数のプロセッサエレメントPE、を有するSIMDプロセッサ33;および、γ変換(図13)の範囲を複数区分する境界値x1〜x7および各区間の直線近似による補間演算を規定するパラメータa1〜a8,b1〜b8に基づいて、複数画素分の多値階調カラー画像データのそれぞれを同時に並行してγ変換する補間演算プログラム、をRAM36に書込むコントローラ106;を備えるγ変換処理装置。これを内蔵するカラースキャナSCRおよびカラープリンタPTRならびにカラー複合機能複写機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、γ変換処理装置,画像処理装置およびγ変換処理方法に関する。
【0002】
【従来技術】特開平8−18826号公報は、映像信号を表示装置の表示特性(γ曲線)に合わせて補正するγ変換に、LUT(Look Up Table:ルックアップテーブル)の代りに曲線の折線近似を用いて、折線近似計算により補正した画像データを得る、リアルタイムでγ特性を変えることができる、デジタルγ変換回路を提示している。
【0003】特開平10−145806号公報は、複数組のγ変換データをLUTに持って、それからの読み出しアドレス操作により、LUTのどの組にもないγ変換データの組を生成してRAMに書込み、このRAMを用いてγ変換を実行する、γ変換の変更或は調整を開示している。
【0004】特開2000−184236号公報は、γ変換特性を折線で近似し、入力ビデオデータV0を、Vc=a・V0+bなる一次関数式にしたがって出力データVcにγ変換するγ変換回路を開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】LUTには、ROM又はRAMが用いられるので、1つの画素の画像データをアドレスとしてそのγ変換済データを読み出すときには、他の画素の画像データの変換済データを同一のLUTから読み出すことができない。すなわち、一時点には1画素のγ変換しかできないので、1ラインの画像データのすべてを逐次γ変換するのにかなりの時間がかかる。同一データを持つ多数のLUTを別個に作成することにより多数の画素の画像データを同時に並行してγ変換できるが、多数のLUT用メモリを必要とし、しかも別個のLUTの同時アクセス(アドレス)制御が複雑になり、γ変換制御が複雑になる。これはγ変換速度アップの障害になる。
【0006】γカーブ(γ特性曲線)を折線で近似し、折線を表す直線式に入力画像データを与えて近似値を算出する場合、折線近似演算をプロセッサ又はハードウェア演算回路で画素単位の画像データごとに逐次行うが、LUTを用いる場合と同様に、一時点には1画像データ(1画素)のγ変換しかできないので、1ラインの画像データのすべてを逐次にγ変換するのにかなりの時間がかかる。
【0007】カラー画像処理装置例えばカラースキャナ,カラープリンタ或はカラー複写機では、RGB画像データやそれを色変換した2値化前のYMCK画像データが数ビットの多値データであってデータビット数が多いばかりでなく、3系統の読込みR,G,Bの画像データや、4系統の出力Y,M,C,K画像データなど、各色成分データを処理しなければならないため、モノクロ複写の場合の数十倍のデータ量と画像処理を行うので、データ処理時間が大幅に増大する。データ処理に所要のプログラムおよび参照データも膨大になり、画像処理制御用データを格納するメモリ量も膨大になる。例えば像域分離,色変換処理,カラーγ変換など、カラー独特の画像処理および画質をより高くする画像処理或は調整が加わり、データ処理量が圧倒的に増大し、データ処理時間が非常に長くなる。
【0008】これらの画像処理および調整には、RGB画像データの補正(たとえばスキャナγ変換すなわち読取りγ変換),RGBからYMCKへの色変換,YMCK画像データの補正(例えばプリンタγ変換)等があるが、補正特性あるいは変換特性の切換え或は調整ができることが望まれる。これを満たすために複数の処理モードの中から1つを選択するようにすると、該複数分の処理用データを準備しなければならず、これが更に処理用データ量を増やすことになる。例えば読取りγ変換の場合はRGB各色宛1つ、合計3個のγ変換用LUTを用い、プリンタγ変換の場合は、YMCK各色宛1つ、合計4個のγ変換用LUTを用いるが、特性選択用に各色に複数aのLUTを準備すれば、LUT群のデータ量が4×a倍になる。
【0009】デジタル複写機や複合機のような画像形成装置で、様々な画像処理を画像処理専用のプロセッサで処理する場合において、装置のカラー化に伴いカラー独特な処理や処理データの増加により処理がますます困難になっている。
【0010】特に、前記画像形成装置のカラー画像読取手段(カラースキャナ)やカラー画像形成手段(カラープリンタ)では、カラーγ変換における処理量が大きな問題となる。
【0011】本発明は、前記問題点を解決し、γ変換の高速化を第1の目的とし、γ変換のために準備するデータ量あるいはメモリ容量を少なくすることを第2の目的とし、それらに加えてγ変換特性の変更を容易にし、γ特性の補正を可能にすることを第3の目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】(1)複数ビット構成の多値階調データである入力画像データの階調特性を変更するγ変換処理装置において、読み書き可能なプログラムメモリ(36)、および、該プログラムメモリのプログラムに従ってそれぞれが2以上の所定数で一連の入力画像データのそれぞれに並行して同時に同じデータ処理をする2以上の所定数のプロセッサエレメント(PE)、を有する画像処理器(33/53y,53m,53c,53k)と、γ変換特性の入力階調範囲を複数の区間に区分する境界値(x1〜x7),各区間の直線近似による補間演算を規定する補間演算パラメータ(a1〜a8,b1〜b8)、および入力画像データを用いた補間演算により出力画像データを算出する補間演算プログラムを、前記プログラムメモリ(36)に書込む手段(106)とを備え、前記画像処理器(33/53y,53m,53c,53k)が、前記境界値と補間演算パラメータに基づく前記プログラムメモリに書込まれた補間演算に応じてγ変換処理を行なうことを特徴とするγ変換処理装置。
【0013】なお、理解を容易にするために括弧内には、図面に示し後述する実施例の対応要素,相当要素もしくは対応事項の記号を、参考までに付記した。以下も同様である。
【0014】例えば、LUTを用いる場合は、1画素の多値入力カラー画像データにつき、LUTに対する「アドレス設定」と「読み出し」という2ステップを踏む。よって320画素の多値入力カラー画像データをγ変換するのに、時系列で640ステップを要する。
【0015】これに対してたとえば320個の、上記機能のプロセッサエレメント(PE)を持つSIMD(Single Instruction stream Multi-Data stream)型の画像処理器(33/53y,53m,53c,53k)を用いて、320個すなわち2以上の所定数で一連の画像データを、同時に補間演算によるγ変換をすると、補間演算は略50ステップ前後とステップ数が多いが、同時に320画素の演算結果が得られる。したがって、320画素のカラー画像データのγ変換に関しては、LUTを用いる場合は時系列で640ステップとなるのに対して、上記補間演算の場合は時系列で略50ステップ前後と、大幅な時系列ステップ数の減少となり、γ変換時間が大幅に短くなる。すなわちγ変換速度を大幅に高速化できる。
【0016】また例えば、0〜255を表わす1バイト(8ビット)構成の画像データをγ変換するために用いるLUTは、0〜255の各アドレスに1バイトのγ変換済画像データを格納しておくと、256バイトのメモリ容量を必要とする。これに対して、入力画像データを表わす8ビットが表し得る範囲を複数m、例えばm=8、の区間に区分し、各区間で直線近似でγ変換演算する場合には、各区間およびそこでの演算式を規定する境界値(x1〜x7)および補間演算パラメータ(a1〜a8,b1〜b8)の数は例えば略3×8=24バイトとなり、データ量および所要メモリ容量の少量化が可能である。特に、各色成分画像データ宛てに複数の変換特性を準備しておいて、その中の1つを選択する場合に、保存データ量を大幅に削減できる。
【0017】更には、書込む手段(106)が画像処理器(33)のプログラムメモリ(36)に、処理特性が異なったプログラムを書込むことによりすなわち書換えにより、処理特性が変わる。処理特性の選択又は変更を容易にできる。
【0018】
【発明の実施の形態】(2)前記γ変換処理は、入力画像データと前記境界値(x1〜x7)のそれぞれとの大小比較による入力画像データが属する区間(i)の判定、および、該属する区間宛ての補間演算パラメータ(ai,bi)のみを用いた入力画像データの補間演算によるγ変換(図12)、を含む上記(1)のγ変換処理装置。
【0019】例えば、プロセッサエレメント(PE)群に対する1グループの画像データ群(D1〜Dn)のセット;プロセッサエレメント群に対する各境界値の同時供給とそれに続く各区間(i)の補間演算パラメータ(ai,bi)の同時供給、の区間数m分の繰返し;および、一回の演算式の指定と算出指示;によって、画像データ群(D1〜Dn)の変換が完了する。プロセッサエレメント群は算出演算は1回のみであり、変換速度が速い。次の変形実施態様(3)よりも、高速で変換処理できる。
【0020】(3)前記γ変換処理は、各入力画像データについてのすべての補間演算パラメータ(a1〜a8,b1〜b8)を用いた全区間の補間演算値の算出,入力画像データと前記境界値(x1〜x7)のそれぞれとの大小比較による入力画像データが属する区間の判定、および、該属する区間の補間演算値のみの出力(図14)、を含む上記(1)のγ変換処理装置。
【0021】すなわち、1グループの画像データ群(D1〜Dn)のそれぞれの、各区間i、i=1〜m、の補間演算をプロセッサエレメント群で同時に並行して実行し、全区間での補間演算を遂行すると、その間に、どのプロセッサエレメントも1回、正しい変換値を算出する。この正しい変換値を変換データとして出力する。
【0022】これにより、誤りのない変換データを得ることができる。各画素のカラー画像データに対して、それを与えられたプロセッサエレメントは、見かけ上はm回(例えば、m=8)補間演算を繰り返す。したがって演算回数は多くなるが、1回の演算が簡単で時間が短いので、複数nの画像データ全体としての変換時間は短い。
【0023】(4)前記補間演算は、複数画素分の多値画像データを1画素単位で各プロセッサエレメント(PE)に対応させて入力し、入力された複数の多値画像データの階調値の大きさを1度で同時に前記境界値(x1〜x7)の各値と比較することにより各入力画像データがどの区間(i)に対応するかを判定し、判定された区間に対応する補間演算パラメータ(ai,bi)を各プロセッサエレメントに取り込み、前記補間演算プログラムに応じてその区間のみのγ変換を行う、ものである、上記(2)のγ変換処理装置。
【0024】これによれば、例えば図13に2点鎖線で示すγ変換特性の区間i、i=1〜m、の近似直線による補間演算式をyi=ai・x+bi ・・・(1)ai:近似直線の傾きbi:近似直線のy切片(オフセット)
とすると、1グループの画像データ群D1〜Dnのそれぞれを各プロセッサエレメントPE1〜PEn、にセットし、そして全区間の境界値および補間演算パラメータを、全プロセッサエレメントに同一時点には同一のデータを同時に与える態様で、与え終わった時点には、各プロセッサエレメントPEには、それにセットされた画像データDが属する区間iに宛てられた補間演算パラメータai,biが書込まれている。そして、全プロセッサエレメントに、同一の演算式(Ax+B;xは与えられている画像データDを指定、A,Bは書込んだai,biを指定。)が与えられて算出が指示されると、各プロセッサエレメントPEが、AD=ai・D+biを算出する。そして全プロセッサエレメントPE1〜PEnの算出値AD1〜ADnが出力される。
【0025】プロセッサエレメント群に対する1グループの画像データ群D1〜Dnのセット;プロセッサエレメント群に対するi区間の境界値の同時供給とそれに続く該区間iの補間演算パラメータの同時供給、の区間i=1〜mについての実行、すなわちm回の繰返し;および、一回の演算式の指定と算出指示;によって、画像データ群D1〜Dnの変換が完了する。プロセッサエレメント群は算出演算は1回のみであり、変換速度が速い。次の表1に、この実施態様で、320個のプロセッサエレメントPEを用いて320画素のカラー画像データを同時にγ変換する場合の、画像処理器33のデータ処理ステップ数を示す。この場合には320画素のカラー画像データの処理が51ステップで行なわれる。従来のLUTを用いるγ変換では、「アドレス設定」と「読み出し」という2ステップを踏み、320画素のカラー画像データをγ変換するのに、時系列で640ステップを要するのに対比して、大幅なステップ数の低減となり、γ変換速度が速い。
【0026】
【表1】
【0027】(5)前記補間演算は、複数画素分の多値画像データを1画素単位で各プロセッサエレメント(PE)に対応させて入力し、各入力画像データに対して全区間の補間演算を順次に実行し、前記境界値との大きさの比較により各入力画像データがどの区間に対応するかを判定することで、全区間の出力値の中から対応する区間の補間演算値のみを有効にする、上記(3)のγ変換処理装置。
【0028】これによれば、各プロセッサエレメントが同一時点には同一の区間の補間演算をしてγ変換データを算出する。しかしこのとき各プロセッサエレメントに与えられる各画像データは同一とは限らず、すべてが該補間演算が宛てられる区間iに入っているものとは限らない。区間iに入っていない画像データが与えられたプロセッサエレメントの演算出力はエラーであり、区間iに入っている画像データが与えられたプロセッサエレメントの演算出力が正しい値である。
【0029】各区間i、i=1〜m、の補間演算を1つづつ、すべてのプロセッサエレメントで同時に同じ演算を並行して実行し、全区間の補間演算を遂行すると、その間に、どのプロセッサエレメントも1回、正しい変換値を算出する。この正しい変換値を有効とする。すなわち変換データとして出力する。
【0030】これにより、単一の命令に従う処理を並列に実行するSIMD型プロセッサによって、区分区間の簡易な演算で、誤りのない変換データを得ることができる。1画素の多値カラー画像データに対して、それを与えられたプロセッサエレメントは、見かけ上はm回(例えば、m=8)補間演算を繰り返す。すなわち、各区間の補間演算yi、i=1〜m、のそれぞれを実行する。したがって演算回数は多くなるが、1回の演算が簡単で時間が短いので、大きなn値の複数nのカラー画像データ全体としての変換時間は短い。
【0031】(6)原稿の画像を読取り、1画素の画情報を複数ビット構成の多値階調データで表す画像データを生成する画像読取手段(SCR)と画像データに基づいて画像を形成する画像形成手段(PTR)の少なくとも1つと、画像データにγ変換を含む画像データ処理を施す手段とを備える画像処理装置において、画像データを蓄えて、複数の一連の画像データの区分で出力するラインバッファ(32)と、該ラインバッファから出力される2以上の所定数で一連の画像データを受け取ってそれらのγ変換処理を行う上記(1)乃至(5)の何れかのγ変換処理装置(IPU1/IPU3y,3m,3c,3k)と、を有する画像処理装置。
【0032】これによれば、上記画像処理装置において、上記(1)乃至(5)の何れかに記述した作用効果が、同様に得られる。
【0033】(7)前記画像読取手段(SCR)は、RGB画像データに読取補正を加える第1画像処理手段(IPU1)を含み、画像処理装置は更に、読取補正を加えたRGB画像データのYMCK画像データへの変換を含む画像データ処理をする第2画像処理手段(IPU2)を備え、前記画像形成手段(PTR)は、前記YMCK画像データにプリンタ出力用の出力補正を加える第3画像処理手段(IPU3y,3m,3c,3k)を含み、第1および第3画像処理手段(IPU1、IPU3y,3m,3c,3k)のそれぞれが前記構成の各画像処理器(33,53y,m,ck)を有し、前記書込む手段(106)は、前記補間演算により出力カラー画像データを算出する、RGB画像データのγ変換用の補間演算プログラムおよびYMCK画像データのγ変換用の補間演算プログラムをそれぞれ、第1および第3画像処理手段の各画像処理器(33,53y,m,ck)のプログラムメモリ(36)に書込む、上記(6)の画像処理装置。
【0034】これによれば、第1および第3画像処理手段(IPU1、IPU3y,3m,3c,3k)のそれぞれが、上記(6)に記述した補間演算によるカラーγ変換処理を、RGB画像データおよびYMCK画像データに対してそれぞれ実行する。したがって、上記(6)に記述の作用効果が、RGB画像データおよびYMCK画像データのγ変換のいずれでも、同様に得られる。
【0035】(8)前記画像形成手段(SCR)は、作像する感光体ユニット(10Y,M,C,K)の数に対応した数の前記第3画像処理手段(IPU3y,3m,3c,3k)を含む、上記(6)の画像処理装置。
【0036】例えば1組の感光体ユニットで順次にY,M,CおよびK画像を形成する場合には、各色画像データは作像順にプリンタに与えればよいので、1つの第3画像処理手段で、各色画像データのγ変換に対応できる。γ変換がプリンタの各色画像形成のタイミングを遅くしてしまうことはない。
【0037】例えば4組の感光体ユニット(10Y,M,C,K)のタンデム配列の場合、作像開始には時間ずれがあるものの略同時に並行して各色画像を形成して、同一転写紙上に重ね転写する。1つの第3画像処理手段でYMCK各色画像データのγ変換をすると、プリンタの各色画像形成のタイミングを遅くしてしまう。本実施態様では、4組の感光体ユニット(10Y,M,C,K)のそれぞれに対応する各画像処理手段(IPU3y,3m,3c,3k)を備えるので、各色画像形成のタイミングを遅らせる必要がなく、1つの感光体ユニットで順次に各色画像を形成する場合よりも、速くフルカラー画像プリントが得られる。
【0038】(9)前記画像処理器(53y,53m,53c,53k)は、ディザ処理にも使え、前記複数のプロセッサエレメントの数は、該ディザ処理で用いられる複数種類のマトリクス構成数をカバーできる数(96×整数 以上)であることを特徴とする上記(6)の画像処理装置。
【0039】これによれば、前記画像処理器(53y,53m,53c,53k)を、複数種類のマトリクス構成の何れのディザ処理に使用できる。
【0040】(10)画像処理装置は更に、変換特性が異なった複数組の、補間演算のそれぞれの境界値(x1〜x7)および補間演算パラメータ(a1〜a8,b1〜b8)と、1組の境界値および補間演算パラメータに基いて補間演算する補間演算プログラムと、を保持する記憶手段(HDD)を備える、上記(6)の画像処理装置。
【0041】これによれば、複数の変換特性が選択可となる。例えば、ユーザ指定或は画像データが表わす画像の特性対応で自動的に1組を選択してプログラムメモリに書込めばよい。
【0042】(11)前記書込む手段(106)は、該記憶手段(HDD)の1組の境界値および補間演算パラメータを含んだ補間演算プログラムを前記プログラムメモリ(36)に書込む、上記(10)に記載の画像処理装置。
【0043】例えば図13に2点鎖線で示すγカーブに従うγ変換の、多値カラー画像データすなわち入力画像データのビット数(例えば1バイト=8ビット)が表し得る0〜255の範囲をm(例えばm=8)個の区間i(i=1〜m)に区分し、各区間iの補間演算式yi、i=1〜m、にしたがって、画像データx(画像データが表す値)を変換する場合、補間演算式yiを、yi=ai・x+bi ・・・(1)と近似直線式に定めた場合を、図12に示すフローチャートを参照して説明する。
【0044】画像処理器(33)が、n個の画像データ群に対して同時に、次のステップγp1〜γp9を、処理対象の画像データがエンドになるまで繰返し実行するプログラムを一組とし、演算式が異なる複数組を記憶手段(HDD)に準備しておく。
【0045】ステップγp1:各プロセッサエレメントPE1〜PEn、にn個の多値カラー画像データ群の中の各画像データDをセットする;
ステップγp2:第m区間の補間演算パラメータam,bmを全プロセッサエレメントのパラメータ設定用レジスタに書込む。
【0046】ステップγp3〜7:第1〜第(m−1)区間の中の、補間演算式y1=a1・x+b1 ・・・(1-1)を適用する第1区間の境界値x1を全プロセッサエレメントPE1〜PEnに与えて、x1<D(与えられている画像データが与えられた境界値より大きい)かの比較を指示し、そして第1区間の補間演算パラメータa1,b1を与える。各プロセッサエレメントPEは、自身にセットされた画像データDが第1区間にある(x1<D:NO,すなわちx1≧Dである)かをチェックして、第1区間であると自身のフラグに「1」を立てる。そして、フラグに「1」を立てていると、次に与えられる前記第1区間の補間演算パラメータa1,b1を自身のパラメータ設定用レジスタに書込む。フラグに「1」を立てていないとこの書込はしない。
【0047】第2区間(i=2)、境界値x2、の補間演算式y2=a2・x+b2 ・・・(1-2)ただし、x=x2のとき、a2・x2+b2=a1・x2+b1、すなわち第1区間の線分:(1-1)式と第2区間の線分:(1-2)式は連続である、の境界値x2を全プロセッサエレメントPE1〜PEnにあたえてx2<Dかの比較を指示し、そして第2区間の補間演算パラメータa2,b2を与える。各プロセッサエレメントPEは、自身にセットされた画像データDが第2区間にある(x2<D:NO,すなわちx2≧Dである)かをチェックして、第2区間であると自身のフラグに「1」を立てる。そして、フラグに「1」を立てていると、次に与えられる前記第2区間の補間演算パラメータa2,b2を自身に書込む。フラグに「1」を立てていないとこの書込はしない。
【0048】同様に、第3区間(i=3)の補間演算式y3=a3・x+b3 ・・・(1-3)の境界値x3および補間演算パラメータa3,b3を全プロセッサエレメントPE1〜PEnに与える。ただし、x=x3のとき、a3・x3+b3=a2・x3+b2、すなわち第2区間の線分:(1-2)式と第3区間の線分:(1-3)式は連続である。全プロセッサエレメントPE1〜PEnは、上記と同様に動作する;
・・・。
【0049】最後に、最後の区間mより1つ前の区間(i=m−1=7)の補間演算式y(m-1)=a(m-1)・x+ ・・・(1-m-1)の境界値x(m-1)および補間演算パラメータa(m-1),b(m-1)を全プロセッサエレメントPE1〜PEnに与える。ただし、x=x(m-2)のとき、a(m-1)・x(m-2)+b(m-1)=a(m-2)・x(m-2)+b(m-2)、すなわち第(m-2)区間の線分:(1-m-2)式と第(m-1)区間の線分:(1-m-1)式は連続である。全プロセッサエレメントPE1〜PEnは、上記ステップ2のときと同様に動作する。なお、最後の区間i=m(=8)の補間演算パラメータam,bmは、ステップγp2で全プロセッサエレメントPE1〜PEnのパラメータ設定用レジスタに書込んだので、自身にセットされた画像データDが第1〜(m-1)区間の何れでもなかったプロセッサエレメントは、最後の区間i=m(=8)の補間演算パラメータam,bmを自身に保持していることになる。
【0050】ステップγp8:全プロセッサエレメントPE1〜PEnに、A・x+Bの演算を指示する。xはプロセッサエレメント個別に与えられている画像データDを意味し、A,Bはエレメント個別に書込んだ補間演算パラメータai,biを意味する。各プロセッサエレメントPEは、AD=ai・D+biを算出する;ステップγp9:全プロセッサエレメントPEの算出値AD1〜ADnを出力する。
【0051】1組のプログラムの上述の処理は、プログラム設計で言われるステップ数で表現すると50ステップ余り(例えば表1)であり、演算式を規定する補間演算パラメータおよび境界値の数は例えば区間数m=8とすると、3×8=24バイトとなり、1組のプログラムのデータ量および所要メモリ容量の少量化が可能である。従って、少ないデータ量で複数組のプログラムを準備しておくことが容易である。
【0052】本実施態様によれば、複数の変換特性が選択可となる。例えば、ユーザ指定或は画像データが表わす画像の特性対応で自動的に1組を選択してプログラムメモリに書込めばよい。
【0053】(12)前記画像処理器(33/53y,53m,53c,53k)は、前記補間演算で参照するデータを記憶するための読み書き可能なデータメモリ(37)を有し;前記書込む手段(106)は、前記記憶手段(HDD)の1組の境界値および補間演算パラメータを選択して前記データメモリ(37)に書込み、前記補間演算プログラムは前記プログラムメモリ(36)に書込む、上記(10)の画像処理装置。
【0054】例えば、各区間iの補間演算式yi、i=1〜m、にしたがって、画像データx(画像データが表す値)を変換する場合、補間演算式yiを、yi=ai・x+bi ・・・(1)と定めた場合を説明すると1組の境界値および補間演算パラメータは、第1区間(i=1)宛ての、前記のx1,a1,b1;
第2区間(i=2)宛ての、前記のx2,a2,b2;
第3区間(i=3)宛ての、前記のx3,a3,b3;
・ ・・ ・・ ・第m区間(i=m)宛ての、前記のxm,am,bm;
の集合である。
【0055】この場合、プログラムは、n個の画像データ群に対して同時に、次のデータ処理を実行する1組のみである:ステップγp1a:各プロセッサエレメントPE1〜PEn、にn個の多値カラー画像データ群の中の各画像データDをセットする;
ステップγp2a:選択した組の境界値および補間演算パラメータの中の第m区間の補間演算パラメータam,bmを全プロセッサエレメントのパラメータ設定用レジスタに書込む。
【0056】ステップγp3a〜γp7a:選択した組の境界値および補間演算パラメータの中の、第1区間(i=1)宛ての境界値x1および補間演算パラメータa1,b1を摘出して、上記(8)のステップγp3〜γp7と同様な態様で全プロセッサエレメントPE1〜PEnに与える;第2区間(i=2)宛ての境界値x2および補間演算パラメータa2,b2を摘出して、上記(8)のステップγp3〜γp7と同様な態様で全プロセッサエレメントPE1〜PEnに与える;第3区間(i=3)宛ての境界値x3および補間演算パラメータa3,b3を摘出して、上記(8)のステップγp3〜γp7と同様な態様で全プロセッサエレメントPE1〜PEnに与える;
・・・。
【0057】最後に、最後の区間mより1つ前の区間(i=m−1=7)宛ての境界値x(m-1)および補間演算パラメータa(m-1),b(m-1)を摘出して、上記(8)のステップγp3〜γp7と同様な態様で全プロセッサエレメントPE1〜PEnに与える。
【0058】ステップγp8a:上記(8)のステップγp8と同様;
ステップγp9a:上記(8)のステップγp9と同様。
【0059】この実施態様によれば、複数の画像処理の種類又は変換特性が選択可となる。ユーザ指定或は画像データの特性対応で自動的に1組の境界値および補間演算パラメータを選択して、ただ1組のプログラムにしたがって、選択した1組の境界値および補間演算パラメータによって規定される特性の変換を実行することができる。境界値および補間演算パラメータの数は比較的に少なく、プログラムは1組のみ準備すればよいので、変換のために準備するデータ量(境界値,補間演算パラメータおよびプログラムのデータ総計)が少なくて済む。従ってそれらを格納するためのメモリ容量が少なくて済む。
【0060】(13)画像データを転送するパラレルバス(Pb);画像メモリ(MEM);前記パラレルバス上の画像データを前記画像メモリに書込み、前記画像メモリの画像データを前記パラレルバスに読出す画像メモリ制御手段(IMAC);および、画像読取手段(SCR),第2画像処理手段(IPU2)および前記パラレルバス(Pb)の間の画像データのやりとりを制御する画像データ制御手段(CDIC);を更に備える、上記(6)の画像処理装置。
【0061】例えば、画像データ制御手段(CDIC)によって画像読取手段(SCR)の出力RGB画像データを第2画像処理手段(IPU2)に与えてそのYMCK出力を画像形成手段(PTR)に与えてその出力用YMCK画像データをプリントアウトできる。
【0062】また画像データ制御手段(CDIC)によって画像読取手段(SCR)の出力RGB画像データをパラレルバス(Pb)に送出し、画像メモリ制御手段(IMAC)によってパラレルバス(Pb)の画像データを画像メモリ(MEM)に書込むことができる。そして、画像メモリ制御手段(IMAC)によって画像メモリ(MEM)のRGB画像データをパラレルバス(Pb)に読み出し、画像データ制御手段(CDIC)によってパラレルバス(Pb)のRGB画像データを第2画像処理手段(IPU2)に与えてその出力であるYMCK画像データを画像形成手段(PTR)に与えて、その出力用YMCK画像データをプリントアウトできる。
【0063】(14)前記画像データ制御手段(CDIC)は、前記画像読取手段(SCR)からの画像データを非可逆な圧縮をして前記パラレルバス(Pb)に出力するか、又は、第2画像処理手段(IPU2)へ転送し第2画像処理手段(IPU2)が処理した画像データを非可逆な圧縮をして前記パラレルバス(Pb)に出力するか、更には、パラレルバス(Pb)のデータを伸張して第2画像処理手段(IPU2)に転送するかを制御する、上記(13)のカラー画像処理装置。
【0064】例えば、画像データ制御手段(CDIC)によって画像読取手段(SCR)の出力RGB画像データをバス転送用に非可逆な圧縮1してパラレルバス(Pb)に送出し、画像メモリ制御手段(IMAC)によってパラレルバス(Pb)の画像データを更にメモリ書込み用に可逆な圧縮2して画像メモリ(MEM)に書込むことができる。そして、画像メモリ制御手段(IMAC)によって画像メモリ(MEM)のRGB画像データを伸張2(圧縮2の伸張)してパラレルバス(Pb)に読み出し、画像データ制御手段(CDIC)によってパラレルバス(Pb)のRGB画像データを伸張1(圧縮1の伸張)して第2画像処理手段(IPU2)に与えてその出力であるYMCK画像データを画像形成手段(PTR)に与えて、その出力用YMCK画像データをプリントアウトできる。
【0065】第2画像処理手段(IPU2)の出力であるYMCK画像データを、ただちには第3画像処理手段(IPU3)に出力せずに、画像データ制御手段(CDIC)によって圧縮1してパラレルバス(Pb)に送出し、画像メモリ制御手段(IMAC)によってパラレルバス(Pb)のYMCK画像データを圧縮2して画像メモリ(MEM)に書込むことができる。そして、画像メモリ制御手段(IMAC)によって画像メモリ(MEM)からYMCK画像データを伸張2してパラレルバス(Pb)に読み出し画像データ制御手段(CDIC)によって伸張1して画像形成手段(PTR)に与えて、その出力用YMCK画像データをプリントアウトできる。
【0066】従って、画像メモリ(MEM)を利用して、RGB画像データおよびYMCK画像データの蓄積,格納ができる。また、画像メモリ(MEM)に対する読み書きを利用して、画像編集を行うことができる。
【0067】(15)前記画像メモリ制御手段(IMAC)は、パソコン,LANなどの外部機器や前記パラレルバスに接続されたファクシミリ及び前記画像データ制御手段(CDIC)との間の画像データを前記画像メモリ(MEM)に圧縮して書込み、または読み出して伸張する、上記(13)の画像処理装置。
【0068】これは、いわゆる複合機能複写機の態様であり、画像データを一旦画像メモリ(MEM)に格納することにより、高度な画像処理或は画像編集を施すことが出来るほかに、画像メモリ制御手段(IMAC)は、パソコン,LANなど外部機器や前記パラレルバスに接続されたファクシミリ及び前記画像データ制御手段(CDIC)との間で画像データをやり取りできる。そして、画像データをやり取りするときならびにプリントアウトするとき、第1画像処理手段(IPU1),第2画像処理手段(IPU2)ならびに第3画像処理手段(IPU3)で高速に画像処理できる。
【0069】(16)複数ビット構成の多値階調データである入力画像データの階調特性を変更するγ変換処理方法において、読み書き可能なプログラムメモリ(36)、および、該プログラムメモリのプログラムに従ってそれぞれが2以上の所定数で一連の入力画像データのそれぞれに並行して同時に同じデータ処理をする2以上の所定数のプロセッサエレメント(PE)、を有する画像処理器(33/53y,53m,53c,53k)の、前記プログラムメモリ(36)に、γ変換特性の入力階調範囲を複数の区間に区分する境界値(x1〜x7),各区間の直線近似による補間演算を規定する補間演算パラメータ(a1〜a8,b1〜b8)、および入力画像データを用いた補間演算により出力画像データを算出する補間演算プログラムを書込み、前記画像処理器(33/53y,53m,53c,53k)にて、前記境界値と補間演算パラメータに基づく前記プログラムメモリに書込まれた補間演算に応じてγ変換処理を行なうことを特徴とするγ変換処理方法。
【0070】これによれば、上記(1)に記述した作用効果を同様に得ることができる。
【0071】(17)原稿の画像を読取り、1画素の画情報を複数ビット構成の多値階調データで表すカラー画像データを生成する画像読取手段(SCR)とカラー画像データに基づいてカラー画像を形成するカラー画像形成手段(PTR)の少なくとも1つと、カラー画像データにγ変換を含む画像データ処理を施す手段とを備えるカラー画像処理装置において、読み書き可能なプログラムメモリ(36)および該プログラムメモリのプログラムに従って1命令による複数データの処理を実行し、前記多値階調の複数画素分のカラー画像データのそれぞれに、並行して同時に同じデータ処理をする複数のプロセッサエレメント(PE)を有する画像処理器(33);および、カラーγ変換処理に用いるγ変換特性(図13)の入力階調範囲を入力可能な階調数より少ない複数の区間(i=1〜8)に区分する境界値(x1〜x7),各区間の直線近似による補間演算を規定する補間演算パラメータ(a1〜a8,b1〜b8)および入力カラー画像データに基いて、複数の入力カラー画像データのそれぞれにつき前記複数のプロセッサエレメント(PE)で同時に並行して、補間演算により出力カラー画像データを算出する補間演算プログラム、を前記プログラムメモリ(36)に書込む手段(106);を備え、前記画像処理器(33)が、前記プログラムメモリに書込まれた補間演算プログラムに応じて、カラーγ変換処理を行なうことを特徴とするカラー画像処理装置。
【0072】これによれば、前記カラー画像処理装置において、上記(1)に記述した作用効果を同様に得ることができる。
【0073】本発明の他の目的および特徴は、図面を参照した以下の実施例の説明より明らかになろう。
【0074】
【実施例】−第1実施例−図1に本発明の一実施例の複合機能フルカラーデジタル複写機の外観を示す。このフルカラー複写機は、大略で、自動原稿送り装置ADFと、操作ボードOPBと、カラースキャナSCRと、カラープリンタPTR、の各ユニットで構成されている。機内のカラー画像データ処理装置ACP(図3)には、パソコンPCが接続したLAN(Local Area Network)、および、電話回線PN(ファクシミリ通信回線)に接続された交換器PBXが接続されており、交換器PBXにファクシミリボードのファクシミリコントロールユニットFCU(図3)が接続されている。プリンタPTRのプリント済の用紙は、排紙トレイ8上に排出される。
【0075】図2に、カラープリンタPTRの機構を示す。この実施例のカラープリンタPTRは、レーザプリンタである。このレーザプリンタPTRは、マゼンダ(M),シアン(C),イエロー(Y)および黒(ブラック:K)の各色の画像を形成するための4組のトナー像形成ユニットが、転写紙の移動方向(図中の右下から左上方向)に沿ってこの順に配置されている。即ち、4連ドラム方式のフルカラー画像形成装置である。
【0076】これらマゼンダ(M),シアン(C),イエロー(Y)および黒(K)のトナー像形成ユニットは、それぞれ、感光体ドラム11M,11C,11Yおよび11Kを有する感光体ユニット10M,10C,10Yおよび10Kと現像ユニット20M,20C,20Yおよび20Kとを備えている。また、各トナー像形成部の配置は、各感光体ユニット内の感光体ドラム11M,11C,11Yおよび11Kの回転軸が水平x軸に平行になるように、且つ、転写紙移動方向(y,z平面上でy軸に対して45°をなす左上がり線)に所定ピッチの配列となるように、設定されている。各感光体ユニットの感光体ドラムとしては、表面に有機感光体(OPC)層を有する直径が30mmの感光体ドラムを用いた。
【0077】また、レーザプリンタPTRは、上記トナ−像形成ユニットのほか、レーザ走査による光書込ユニット2、給紙カセット3,4、レジストローラ対5、転写紙を担持して各トナ−像形成部の転写位置を通過するように搬送する転写搬送ベルト60を有する転写ベルトユニット6、ベルト定着方式の定着ユニット7、排紙トレイ8等を備えている。また、レーザプリンタPTRは、図示していない手差しトレイ、トナ−補給容器、廃トナーボトル、両面・反転ユニット、電源ユニットなども備えている。
【0078】光書込ユニット2は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を備え、画像データに基づいて各感光体ドラム11M,11C,11Yおよび11Kの表面にレーザ光を、x方向に振り走査しながら照射する。また図2上の一点鎖線は、転写紙の搬送経路を示している。給紙カセット3,4から給送された転写紙は、図示しない搬送ガイドで案内されながら搬送ローラで搬送され、レジストローラ対5に送られる。このレジストローラ対5により所定のタイミングで転写搬送ベルト60に送出された転写紙は転写搬送ベルト60で担持され、各トナ−像形成部の転写位置を通過するように搬送される。
【0079】各トナー像形成部の感光体ドラム11M,11C,11Yおよび11Kに形成されたトナー像が、転写搬送ベルト60で担持され搬送される転写紙に転写され、各色トナー像の重ね合わせ即ちカラー画像が形成された転写紙は、定着ユニット7に送られる。定着ユニット7を通過する時トナー像が転写紙に定着する。トナー像が定着した転写紙は、排紙トレイ8上に排出される。すなわち転写は、転写紙上にじかにトナー像を転写する直接転写方式である。
【0080】イエローYのトナ−像形成ユニットの概要を次に説明する。他のトナ−像形成ユニットも、イエローYのものと同様な構成である。イエローYのトナー像形成ユニットは、前述のように感光体ユニット10Y及び現像ユニット20Yを備えている。感光体ユニット10Yは、感光体ドラム11Yのほか、感光体ドラム表面に潤滑剤を塗布するブラシローラ,感光体ドラム表面をクリーニングする揺動可能なブレード,感光体ドラム表面に光を照射する除電ランプ,感光体ドラム表面を一様帯電する非接触型の帯電ローラ、等を備えている。
【0081】感光体ユニット10Yにおいて、交流電圧が印加された帯電ローラにより一様帯電された感光体ドラム11Yの表面に、光書込ユニット2で、プリントデータに基づいて変調されポリゴンミラーで偏向されたレーザ光Lが走査されながら照射されると、感光体ドラム11Yの表面に静電潜像が形成される。感光体ドラム1IY上の静電潜像は、現像ユニット20Yで現像されてイエローYのトナー像となる。転写搬送ベルト60上の転写紙が通過する転写位置では、感光体ドラム1IY上のトナー像が転写紙に転写される。トナ−像が転写された後の感光体ドラム11Yの表面は、ブラシローラで所定量の潤滑剤が塗布された後、ブレードでクリーニングされ、除電ランプから照射された光によって除電され、次の静電潜像の形成に備えられる。
【0082】現像ユニット20Yは、磁性キャリア及びマイナス帯電のトナ−を含む二成分現像剤を収納している。そして、現像ケース1Yの感光体ドラム側の開口から一部露出するように配設された現像ローラや、搬送スクリュウ、ドクタブレード、トナ−濃度センサ,粉体ポンプ等を備えている。現像ケース内に収容された現像剤は、搬送スクリュウで損枠攪拌搬送されることにより摩擦帯電する。そして、現像剤の一部が現像ローラの表面に担持される。ドクタブレードが現像ローラの表面の現像剤の層厚を均一に規制し、現像ローラの表面の現像剤中のトナーが感光体ドラムに移り、これにより静電潜像に対応するトナー像が感光体ドラム11Y上に現われる。現像ケース内の現像剤のトナー濃度はトナ−濃度センサで検知される。濃度不足の時には、粉体ポンプが駆動されてトナーが補給される。
【0083】次に、転写ベルトユニット6の概要を説明する。転写ベルトユニット6の転写搬送ベルト60は、体積抵抗率が109〜1011Ωcmである高抵抗の無端状単層ベルトであり、その材質はPVDF(ポリふっ化ビニリデン)である。この転写搬送ベルト60は、各トナ−像形成部の感光体ドラム11M,11C,11Yおよび11Kに接触対向する各転写位置を通過するように、4つの接地された張架ローラに掛け回されている。これらの張架ローラのうち、2点鎖線矢印で示す転写紙移動方向上流側の入口ローラには、電源から所定電圧が印加された静電吸着ローラが対向するように配置されている。これらの2つのローラの間を通過した転写紙は、転写搬送ベルト60上に静電吸着される。また、転写紙移動方向下流側の出口ローラは、転写搬送ベルトを摩擦駆動する駆動ローラであり、図示しない駆動源に接続されている。また、転写搬送ベルト60の外周面には、電源から所定のクリーニング用電圧が印加されたバイアスローラが接触するように配置されている。このバイアスローラにより転写搬送ベルト60上に付着したトナ−等の異物が除去される。
【0084】また、感光体ドラム11M,11C,11Yおよび11Kに接触対向する接触対向部を形成している転写搬送ベルト60の裏面に接触するように、転写バイアス印加部材を設けている。これらの転写バイアス印加部材は、マイラ製の固定ブラシであり、各転写バイアス電源から転写バイアスが印加される。この転写バイアス印加部材で印加された転写バイアスにより、転写搬送ベルト60に転写電荷が付与され、各転写位置において転写搬送ベルト60と感光体ドラム表面との間に所定強度の転写電界が形成される。
【0085】図3に、図1に示す複写機の電気系システムの主要部を示す。原稿を光学的に読み取るカラー原稿スキャナSCRは、読み取りユニット21にて、原稿に対するランプ照射の反射光をミラー及びレンズにより受光素子に集光する。受光素子(本実施例ではCCD)は、読み取りユニット21のセンサー・ボード・ユニット(以下単にSBUと称す)にあり、CCDに於いて電気信号に変換されたRGB画像信号は、SBU上でディジタル信号すなわち読取った各8ビット多値のR,G,B画像デ−タに変換された後、SBUから、第1画像処理ユニットIPU1(以下、単にIPU1と表現する)に与えられる。
【0086】IPU1は、入力RGB画像デ−タのそれぞれ(R,G,B画像データ)に、読取補正(CCDライン間補正,主走査レジスト調整,シェーディング補正,ドット補正,縦スジ補正およびスキャナγ変換)を加えると共に、RGB画像データが表す画像が、文字,線などの濃淡が2値的なもの(以下単に文字と称す)のエッジ(文字エッジ)又は中(線幅内:文字なか)か、写真などの網点画像(以下単に写真と称す)か、更に、有彩か、無彩か、を判定する像域分離を行う。また、RGB画像データが、紙幣や証券などの、複製禁止物を表すものであるかの判定(以下単に紙幣認識と称す)を行う。
【0087】そしてIPU1は、読取補正をした各8ビット多値のRGB画像データに、像域分離結果すなわち判定結果を表す像域データFdを加えて、それらを圧縮/伸張及びカラーデータインターフェース制御部CDIC(以下単にCDICと称す)に出力する。紙幣認識の結果が複製禁止物であるとIPU1は、システムコントローラ106にこれを報知する。システムコントローラ106はこの報知に応答して、カラー原稿スキャナSCRによる原稿画像読取りに付帯する画像処理条件(たとえば複写指示の場合には、フルカラー読取りか否か)を参照して、忠実な複製となる複写条件が設定されていると複製画を大きく色違いにする、画像毀損用のスキャナγ変換をIPU1に設定する。
【0088】CDICは、RGB画像データおよびYMCK画像データとそれらに付帯する像域データFdに関し、IPU1,パラレルバスPbおよび中間処理用の第2画像処理ユニットIPU2(以下、単にIPU2と表現する)の間のデータ転送、ならびに、図1に示すデジタル複写機全体制御を司るシステムコントローラ106と、主に読取ユニット21の動作とカラープリンタPTRの画像形成プロセス制御を司るプロセスコントローラ101間の、画像データ転送およびその他の制御に関する通信を行う。システムコントローラ106とプロセスコントローラ101は、パラレルバスPb,CDIC及びシリアルバスSbを介して相互に通信を行う。CDICは、その内部に於いてパラレルバスPbとシリアルバスSbとのデータインターフェースのためのデータフォーマット変換を行う。
【0089】カラー原稿スキャナSCRのIPU1からの、像域データFd付きのRGB画像データ(以下単にRGB画像データと称すこともある)は、CDICを経由してIPU2又はパラレルバスPbに転送又は送出される。パラレルバスPbに送出したRGB画像データは、画像メモリアクセス制御部IMAC(以下単にIMACと称す)によって画像メモリMEMに書込まれる。画像メモリMEMからパラレルバスPbに読み出したRGB画像データは、ファクシミリ送信のときにはFCUに、そうでないときにはIPU2に出力される。
【0090】IPU2はRGB画像データを各8ビット多値のYMCK画像データに変換し更にその前後に数種の画像処理を加える。YMCK画像データは、CDICを経由してパラレルバスPbに送出されIMACによって画像メモリMEMに格納される,或は、IPU2から直接に、Y,M,CおよびKの画像データごとにそれぞれ、第3画像処理ユニットIPU3y,IPU3m,IPU3cおよびIPU3k(以下、単にIPU3y,IPU3m,IPU3cおよびIPU3kと表現する)に出力される。
【0091】IPU3y,IPU3m,IPU3cおよびIPU3kはそれぞれ、Y,M,CおよびK画像データに各色プリンタγ変換を施してから、階調処理によりプリント出力用の2値のY,M,CおよびK画像データに変換しカラープリンタPTRの作像ユニット105に出力する。
【0092】上述のようにCDICには、RGB画像デ−タ又はYMCK画像データをメモリMEMに蓄積して再利用するジョブと、RGB画像デ−タをメモリMEMに蓄積しないでIPU2でYMCK画像データに変換してIPU3y,3m,3c,3kに出力しプリントアウトするジョブとがある。メモリMEMに蓄積する例としては、1枚の原稿を複数枚複写する場合、読取りユニット21を1回だけ動作させ、IPU1のRGB画像デ−タ又はそれをIPU2で変換したYMCK画像データをメモリMEMに蓄積し、蓄積データを複数回読み出す使い方がある。メモリMEMを使わない例としては、1枚の原稿を1枚だけ複写する場合、IPU1のRGB画像デ−タをそのままIPU2に出力しそのYMCK画像データをIPU3でプリンタ出力用に処理すれば良いので、メモリMEMへの書込みを行う必要はない。
【0093】まず、メモリMEMを使わない場合、IPU1からCDICへ転送された画像データは、CDICからIPU2に送られる。IPU2は、RGB画像データに中間処理(フィルタ処理,地肌除去,色変換すなわちYMCK画像データへの変換,下色除去,主走査変倍,主走査シフト,主走査ミラーリング,副走査間引き,マスク処理および単色文字出力の場合の2値化)を施す。
【0094】IPU3y,IPU3m,IPU3cおよびIPU3kはそれぞれ、Y,M,CおよびK画像データに、出力補正(プリンタγ変換および階調処理)を施す。階調処理により2値化されたY,M,CおよびK画像データが、レ−ザプリンタPTRの作像ユニット105に於いてY,M,CおよびK作像ユニットのレーザ変調器に与えられ、各色画像形成用の2値静電潜像が、感光体ドラム11Y,11M,11Cおよび11Kに形成される。階調処理には、濃度変換,ディザ処理,誤差拡散処理等が有り、階調情報の面積近似を主な処理とする。
【0095】メモリMEMに蓄積し、それからの読み出し時に付加的な処理、例えば画像方向の回転,画像の合成等を行う場合は、IPU1からCDICへ転送されたデータは、CDICでバス転送用の1次圧縮をしてからパラレルバスPbを経由してIMACに送られる。ここではシステムコントローラ106の制御に基づき画像データと画像メモリMEMのアクセス制御,外部パソコンPC(以下単にPCと称す)のプリント用データの展開(文字コ−ド/キャラクタビット変換),メモリー有効活用のための画像データの2次圧縮を行う。
【0096】IMACで2次圧縮したデータは画像メモリMEMへ蓄積し、蓄積データを必要に応じて読み出す。読み出したデータはIMACで2次伸張(2次圧縮の伸張)をして1次圧縮データに戻しIMACからパラレルバスPb経由でCDICへ戻される。CDICでは、1次伸張(1次圧縮の伸張)をして画像データに戻してIPU2に送り、RGB画像データの場合はそこでYMCK画像データに変換して、上述と同様に圧縮して画像メモリMEMに書込む。又は、IPU2のYMCK画像データを直ちにIPU3y〜3kに送り、作像ユニット105で画像を形成する。
【0097】上述の画像データの流れに於いて、IMACの、画像メモリMEMおよびパラレルバスPbに対する画像データの読み書き制御、ならびに、CDICの、IPU1およびIPU2とパラレルバスPbとの間のバス制御により、デジタル複写機の複合機能を実現する。複写機能の1つであるFAX送信機能は、カラー原稿スキャナSCRの読取りユニット21が発生するRGB画像データをIPU1にて読取補正し、必要に応じて更にIPU2でYMCK画像データに変換して、CDIC及びパラレルバスPbを経由してFCUへ転送する。FCUにて公衆回線通信網PN(以下単にPNと称す)へのデータ変換を行い、PNへFAXデータとして送信する。FAX受信は、PNからの回線データをFCUにて画像データに変換し、パラレルバスPb及びCDICを経由してIPU2へ転送する。受信データがRGB画像データであるとIPU2でYMCK画像データに変換するが、受信データがYMCK画像データであると特別な中間処理は行わず、IPU3y〜3kに送り、作像ユニット105で画像を形成する。
【0098】複数ジョブ、例えばコピー機能,FAX送受信機能およびプリンタ出力機能、が並行に動作する状況に於いて、カラー原稿スキャナSCR,カラープリンタPTR,パラレルバスPbおよびIPU2の使用権のジョブへの割り振りを、システムコントロ−ラ106およびプロセスコントロラ101にて制御する。
【0099】プロセスコントローラ101は画像データの流れを制御し、システムコントローラ106はシステム全体を制御し各リソースの起動を管理する。このデジタル複合機能カラー複写機の機能選択は、操作ボ−ドOPBにて選択入力し、コピー機能,FAX機能等の処理内容を設定する。パソコンPCのプリントコマンドに応答するプリンタ出力機能の処理内容は、パソコンPCのプリントコマンドが設定する。
【0100】カラー原稿スキャナSCRが出力する読取補正をしたRGB画像データを、一旦メモリMEMに蓄積しておけば、IPU3y,IPU3m,IPU3cおよびIPU3k、ならびに必要に応じてIPU2で施す処理を変える事によって種々の再生画像を確認することができる。例えばγ変換特性を変えてみたり、再生画像の濃度を振ってみたり、ディザマトリクスの線数を変更してみたりする事で、再生画像の雰囲気を変更できる。この時処理を変更する度に画像をカラー原稿スキャナSCRで読み込み直す必要はなく、MEMから格納画像を読み出せば同一データに対し、何度でも異なる処理を実施できる。
【0101】図4の(a)に、カラー原稿スキャナSCRの画像データ処理系の概要を示す。CCD22が発生したR,G,B画像信号はA/Dコンバータ23で8ビット多値のR,G,B画像データに変換されて、インターフェース(以下ではI/Fと称す)24を通して、IPU1に与えられる。
【0102】IPU1の主要部は、入出力I/F31,バッファメモリ32およびSIMD型プロセッサ33を結合したカラー画像処理ユニットである。
【0103】図5に、IPU1のカラー画像処理ユニット(31+32+33)の各部の構成を示す。入出力I/F31には、画像データの入,出力をする画像ポート0〜4、および、制御データ,制御信号あるいは同期信号のやり取りをするモード設定器(モード指定デコーダ),SCI(Computer System Interface),割込みコントローラ,JTAG(ジョブ指定デコーダ/エンコーダ),ホストI/Fおよびクロックジェネレータ、ならびにタイマがある。画像ポート0および1は画像データの入力専用,画像ポート2は画像データの入出力用、ならびに、画像ポート3および4は出力専用である。
【0104】バッファメモリ32の一個のRAM 8K(8Kバイト)は、A3版短辺に平行な1ラインの600dpiの多値の画像データ(8ビット:R,G,B,Y,M,C,K画像データの1種)を格納しうる容量であり、ラインバッフアとして画像データの入力および又は出力に用いられる、あるいは、LUTとして用いられる。この種のRAM 8Kが16個ある。2個のRAM 2Kは、画像データ転送元又は転送先との間のシリアルデータ転送の速度差吸収のために、画像データを循環シフトする循環シフトレジスタとして使用するものである。
【0105】これらのRAMはメモリスイッチSW1〜SW3の何れかに接続されている。画像ポート0〜4,メモリスイッチSW1〜SW3およびSIMD型プロセッサ33の3者の間にはメモリコントローラ「メモコン」が介挿されている。メモコンは、SIMD型プロセッサ33が与える入出力モード指定に応じて、メモリスイッチSW1〜SW3の内部のスイッチのオン/オフを定め、すなわち、画像ポート/メモコン/RAM使用モードの場合はメモリスイッチ&使用するRAM/SIMD型プロセッサの接続、を設定し、指定モードの、画像データのパラレル,シリアル変換および転送を行う。
【0106】図6に、メモコンが行うことができる画像データのパラレル,シリアル変換の数種を示す。(a)は、画像ポート,RAM 8K又はSIMD型プロセッサ33から、与えられる色別R,G,B画像データ(3連;1連は1色の1ラインの画像データ)と像域データFd(1連;1ラインの像域データ)を、1つのメモコンで2連を1連に集成して、合計で2連にパラレル/シリアル変換する態様を示す。この例では、パラレル2連入力のR画像データとG画像データが、交互ピックアップ集成により、1連に変換され、パラレル2連入力のB画像データと像域データFdが、交互ピックアップ集成により、1連に変換される。
【0107】(b)は、上記(a)でシリアル変換された2連のシリアルデータを、元の4連のパラレルデータに戻すシリアル/パラレル変換を示す。
【0108】(c)は、IPU1のバッファメモリ32では実行されないが、IPU2の同様なバッフアメモリで、IPU3y〜3kへのYMCK画像データ出力のときに実行されるパラレル/シリアル変換を示し、5連のパラレルデータ、すなわち色別Y,M,C,K画像データ(4連)と像域データFd(1連)、を4連のシリアルデータに変換する。変換した各1連のシリアルデータはIPU3y〜3kのそれぞれに転送される。IPU3y〜3kは、逆変換すなわちシリアル/パラレル変換により、各1色の画像データ(Y,M,C,K)と像域データFdの2連に分ける。
【0109】(d)は、IPU1のバッファメモリ32では実行されないが、IPU2の同様なバッフアメモリで、IPU2のSIMD型プロセッサが生成したパラレルYMCK画像データをパラレルバスPbにシリアル出力するときに実行されるパラレル/シリアル変換を示し、4連のパラレルデータ、すなわち色別Y,M,C,K画像データ(4連)、を2連のシリアルデータに変換する。この2連のシリアルデータを受けるときには、IPU2は逆変換すなわちシリアルパラレル変換により、元の4連の色別Y,M,C,K画像データに分ける。
【0110】SIMD型プロセッサ33は、外部(メモコン)とのデータ入出力に関し、複数個の入出力ポートを持ち、それぞれ入力、出力を任意に設定できる。
【0111】図7の(a)に、図5に示すSIMD型プロセッサ33の内部構成の概略を示し、図7の(b)には、(a)に示す1つのプロセッサエレメントPEの一部分の構成を拡大して示す。このSIMD型プロセッサ33は、内部にプロセッサエレメントPE区分のローカルメモリRAM群を持ち、使用するメモリ領域,データパスの経路をデータバスコントロールに於いて制御する。入力されたデータおよび出力のためのデータはローカルメモリRAM群をバッファーメモリとして割り当て、それぞれに格納し、外部とのI/Fを制御する。ローカルメモリRAMを含みそれぞれが8ビット以上の多値画像データに対して並行して同じ画像処理を行う320個のプロセッサエレメントPE群に、グローバルプロセッサ38が同時に同一の演算命令を与える。プロセッサエレメントPEの演算結果は再度ローカールメモリRAMに格納する。そして外部I/Fを通してメモコンに出力する。
【0112】プロセッサエレメントPEの処理手順,処理のためのパラメータ等はプログラムRAM36及びデータRAM37との間でやり取りを行う。プログラムRAM36,データRAM37には、システムコントローラ106によって、ハードディスクHDDのプログラムおよびデータが、IMAC/パラレルバスPb/CDIC/シリアルバスSb経由で、ダウンロードされる。このデータの流れは、プロセスコントローラ101が制御する。画像処理の内容を変えたり、システムで要求される処理形態(画像処理の組合せ)が変更になる場合、HDDからプログラムRAM36及びデータRAM37に転送するデータセットの、システムコントローラ106による選択を、操作ボードOPB又はパソコンPCからの指示により変更して対応する。また、HDDの、プログラムRAM36及びデータRAM37に転送するデータセットを、書換えて対応する場合もある。
【0113】再度図4の(a)を参照すると、IPU1のカラー画像処理ユニット(31+32+33)の画像処理機能は、SIMD型プロセッサ33の内部のプログラムメモリであるRAM36に書込まれた読取処理プログラムにより定まる。該読取処理プログラムは、入力RGB画像データに、CCDライン間補正,主走査レジスト調整,シェーディング補正,ドット補正,縦スジ補正およびスキャナγ変換をこの順に順次に加え、しかも縦スジ補正まで施したRGB画像データに基いて像域分離して像域データFdを生成して画像上の同一位置対応で読取処理を終えた出力RGB画像データに付加してCDICに出力すると共に、外付けの紙幣認識ユニット34に、縦スジ補正まで施したRGB画像データを与えるものである。ここでのスキャナγ変換の内容は、図11,図12および図13を参照して後述する。
【0114】図4の(b)に、CDICの機能構成の概要を示す。画像データ入出力制御121は、IPU1が図6の(a)に示す態様でシリアル変換したRGB画像データ(像域データFdを含む)をうけて、IPU2に出力する。IPU2は、そのメモコンで図6の(b)に示すパラレル/シリアル変換をして、RGB画像データのそれぞれと像域データFdに分離し、RGB画像データを中間処理を施してYMCK各記録色の画像データに変換した8ビット構成の多値YMCK画像データを発生して、画像形成(プリントアウト)が指定されているときには、図6の(c)に示すパラレル/シリアル変換をして、IPU3y〜IPU3kに出力する。パラレルバスPbに出力する指定の場合には、図6の(d)に示すパラレル/シリアル変換をしてCDICの画像データ入出力制御122に送りだす。
【0115】画像データ入出力制御122が受けたデータは、パラレルバスPbでの転送効率を高めるためにデータ圧縮部123に於いて、画像データの1次圧縮を行う。圧縮した画像デ−タは、データ変換部124でパラレルデータに変換してパラレルデータI/F125を介してパラレルバスPbへ送出される。パラレルデータバスPbからパラレルデータI/F125を介して入力される画像データは、データ変換部124でシリアル変換される。このデータは、バス転送のために1次圧縮されており、データ伸張部126で伸張される。伸張された画像データは、図6の(d)のメモコン出力側に示す2連のシリアルデータであり、画像データ出力制御127によってIPU2へ転送される。IPU2では、パラレル変換によりY,M,C,K画像データに分ける。
【0116】CDICは、パラレルバスPbで転送するパラレルデータとシリアルバスSbで転送するシリアルデータの変換機能を併せ持つ。システムコントローラ106は、パラレルバスPbにデータを転送し、プロセスコントローラ101は、シリアルバスSbにデータを転送する。2つのコントローラ106,101の通信のために、デ−タ変換部124およびシリアルデ−タI/F129で、パラレル/シリアルデータ変換を行う。シリアルデータI/F128は、IPU2用であり、IPU2ともシリアルデ−タ転送する。
【0117】図8の(a)に、IPU2の概要を示す。IPU2は、入出力I/F41,バッファメモリ42およびSIMD型プロセッサ43を結合したカラー画像処理ユニットである。これは、図5に示すIPU1のカラー画像処理ユニット(31+32+33)と同様の構成であるが、SIMD型プロセッサ43のプログラムRAMおよびデータRAMに格納されるデータが、IPU2では、RGB画像データに中間処理(フィルタ処理,地肌除去,色変換すなわちYMCK画像データへの変換,下色除去,主走査変倍,主走査シフト,主走査ミラーリング,副走査間引き,マスク処理および単色文字出力の場合の2値化)を行うものである。
【0118】図8の(b)に、IMACの機能構成の概略を示す。パラレルデータI/F141に於いて、パラレルバスPbに対する画像データの入,出力を管理し、MEMへの画像データの格納/読み出しと、主に外部のパソコンPCから入力されるコードデータの画像データへの展開を制御する。PCから入力されたコードデータは、ラインバッファ142に格納する。すなわち、ローカル領域でのデータの格納を行い、ラインバッファ142に格納したコードデータは、システムコントローラI/F144を介して入力されたシステムコントローラ106からの展開処理命令に基づき、ビデオ制御143に於いて画像データに展開する。
【0119】展開した画像データもしくはパラレルデータI/F141を介してパラレルバスPbから入力される画像データは、MEMに格納される。この場合、データ変換部45に於いて格納対象となる画像データを選択し、データ圧縮部46においてメモリ使用効率を上げるためにデータの2次圧縮を行い、メモリアクセス制御部147にてMEMのアドレスを管理しながらMEMに2次圧縮したデータを格納する。MEMに格納された画像データの読み出しは、メモリアクセス制御部147にて読み出し先アドレスを制御し、読み出された画像データをデータ伸張部48にて伸張する。伸張された画像データは、パレルバスPbで転送用に1次圧縮されたものであり、これをパラレルバスPbへ転送する場合、パラレルデータI/F141を介してデータ転送を行う。
【0120】図3に示す、FAX送受信を行うファクシミリコントロールユニットFCUは、画像データを通信形式に変換して外部回線PNに送信し、又、外部回線PNからのデータを画像データに戻して外部I/F部及びパラレルバスPbを介して作像ユニット105において記録出力する。FCUは、FAX画像処理,画像メモリ,メモリ制御部,ファクシミリ制御部,画像圧縮伸張,モデム及び網制御装置からなる。画像データの出力バッファ機能に関してはIMAC及びMEMでその機能の一部をおぎなう。
【0121】この様に構成されたFAX送受信部FCUでは、画像情報の伝送を開始するとき、FCU内においてファクシミリ制御部がメモリ制御部に指令し、FCU内の画像メモリから蓄積している画像情報を順次読み出させる。読み出された画像情報は、FCU内のFAX画像処理によって元の信号に復元されるとともに、密度変換処理及び変倍処理がなされ、ファクシミリ制御部に加えられる。ファクシミリ制御部に加えられた画像信号は、画像圧縮伸張部によって符号圧縮され、モデムによって変調された後、網制御装置を介して宛先へと送出される。そして、送信が完了した画像情報は、画像メモリから削除される。
【0122】受信時には、受信画像は一旦FCU内の画像メモリに蓄積され、その時に受信画像を記録出力可能であれば、1枚分の画像の受信を完了した時点で記録出力される。
【0123】図9に、IPU3y〜3kの概要を示す。IPU3y〜3kは同一の構成で、ほぼ同様な内容の出力補正(プリンタγ変換および階調処理)を行う。そこでここではIPU3yを説明する。IPU3yは、入出力I/F51y,バッファメモリ52yおよびSIMD型プロセッサ53yを結合したカラー画像処理ユニットである。これは、図5に示すIPU1のカラー画像処理ユニット(31+32+33)と同様の構成であるが、SIMD型プロセッサ53yのプログラムRAMおよびデータRAMに格納されるデータが、IPU3yでは、Y画像データにY用のプリンタγ変換を加えさらに、階調処理によってプリント出力用の2値データに変換するものである。階調処理では、濃度階調処理,ディザ処理および誤差拡散2値化があり、画像処理モード指定または像域データFdに応じてそれらの1つを実施するが、本実施例のIPU3yは、誤差拡散2値化ユニット35(図5に2点鎖線で示す)をSIMDプロセッサ53yに接続したものである。図9においてはこの誤差拡散2値化ユニット35の図示は省略している。
【0124】IPU3m,IPU3cおよびIPU3kの説明はそれぞれ、上記IPU3yの説明のY(y)を、M(m),C(c)およびK(k)とおき変えたものとなる。なお、IPU3y〜3kは、図6の(c)のメモコンの出力側に示す、像域データFdを含むシリアルデータを受けるときには、図6の(c)のパラレル/シリアル変換、の逆変換をして、YMCK画像データと像域データFdとを分離する。例えばIPU3yは、Y画像データと像域データFdが交互に配置された1連のシリアルデータを、Y画像データのみの1連と、像域データFdのみの1連に、パラレル変換する。
【0125】以上の例において、画像データ制御手段であるCDICと画像メモリ制御手段であるIMACは、パラレルバスPbで接続されている。各独立した、カラー原稿スキャナSCR,第2のカラー画像処理ユニットIPU2およびカラープリンタPTRは直接パラレルバスPbに接続せずにCDICあるいはIPU2に接続するため、事実上、パラレルバスPbの使用管理は、CDICとIMACによってのみ行われる。よってパラレルバスPbの調停や転送の制御が容易であり、かつ効率的である。
【0126】図10に、画像メモリMEMに画像を蓄積する処理ならびにMEMから画像を読出す処理のフローを示す。(a)はカラー原稿スキャナSCRが発生するRGB画像データ又はIPU2が変換したYMCK画像データをMEMに書き込むまでの画像データの処理あるいは転送過程Ip1〜Ip14を示し、(b)はMEMから画像データを読み出して、カラープリンタPTRの作像ユニット105に出力するまで、又は、RGB画像データを読出してIPU2でYMCK画像データに変換して再度MEMに書込むまで、の画像データの処理あるいは転送過程Op1〜Op13を示す。CDICの制御により、このようなバス及びユニット間のデータフローが制御される。
【0127】なお、カラー原稿スキャナSCRが発生するRGB画像データをMEMに書込むときには、CDICは、ステップIp4からIP6に進むルート(A)を選択する。カラー原稿スキャナSCRが発生するRGB画像データをIPU2でYMCK画像データに変換してMEMに書込む時には、ステップIp4からIP5に進むルート(B)を選択する。
【0128】メモリMEMから読出すときには、読出しデータがYMCK画像データであるときにはCDICは、ステップOp8からOP10に進むルート(c)を選択し、RGB画像データを読出してYMCKデータに変換してから再度MEMに書込む時には、ステップOp8からIP10に進むルート(D)を選択し、RGB画像データを読出してYMCKデータに変換してプリントアウトするときには、ステップOp8からOP9に進むルート(E)を選択する。
【0129】上述のIPU1におけるRGB画像データの読取補正,IPU2におけるYMCK画像データへの変換を含む中間処理、および、IPU3y〜IPU3kにおけるプリンタ出力用の出力補正、のいずれにも、1ライン上に分布する各画素宛ての各画像データに、大要では同一の処理を行う画像処理が多い。細かくは、像域データFdの違いに対応して処理内容を切換える処理もあるが、その場合でも像域データFdが同じであれば同じ内容の画像処理を行う。
【0130】したがって、カラー画像処理ユニットIPU1〜IPU3にはSIMD型プロセッサ33,43,53y,53m,53c,53kを用いて、多数のプロセッサエレメントPEによって、多数の、多値階調のカラー画像データのそれぞれに同時に並行して同じ画像処理を施すことにより、前記読取補正,中間処理および出力補正の総てでカラー画像処理速度を高くしている。
【0131】なお、本実施例でSIMD型プロセッサ33,43,53Y,53m,53c,53kは、それぞれが8ビット以上の多値画像データを処理する総計320個のプロセッサエレメントPEを備え、同時に320個(320画素分)の画像データを処理できる。例えばディザ処理で用いられるマトリクスは、例えば4×4,6×6,8×8,16×16のサイズが考えられ、これらの何れにも適応しえて、しかも、ディザ処理速度を速くするために同時に複数個のマトリクスの処理を並行して行おうとすれば、4,8は16の約数のため6と16の最小公倍数である96(=6×16)の整数倍の数のプロセッサエレメントPEが必要である。そこで本実施例では、オフセット分32個を加えて、96×3+32=320個のプロセッサエレメントPEを設けている。これらオフセットのものは、96×3個の画素群の画像データを処理する場合に、該画素群の両外側の近傍画素の画像データを参照するときに、該近傍画素の画像データ保持用又は供給用もしくは中間的な演算処理用に使用される。
【0132】注目画素を中心に2次元方向にそれぞれ複数の画素があるマトリクスの区分で、注目画素の画像データにエッジ強調又は平滑化の処理を施すフィルタ処理(MTF補正)のとき、また、マトリクスの画像データ分布をエッジパターンマトリクスと比較して注目画素が画像エッジであるかを判定するエッジ検出など、マトリクス区分の画像データ処理をする場合には、実質上演算データを算出出力する96×3個のプロセッサエレメントPE(実効エレメント)の両側に夫々16個プロセッサエレメントをオフセット分として割当てて、それらにも96×3個の画素群の両外側の近傍画素の画像データを与えて、積和演算或はパターン比較をして、結果を実効エレメントに供給する必要がある。したがって、画像処理の内容によっては、96×3個以上のプロセッサエレメントが同時並行の画像データ処理に用いられる。
【0133】なお、上述の直線近似の補間演算によるγ変換の場合には、近傍画素の画像データを注目画素のγ変換に参照する必要はないので、320個のプロセッサエレメントPEのすべてを、実効エレメントとして320画素の画像データの同時並行のγ変換を行う。
【0134】ハードディスクHDD(図3)には、SIMD型プロセッサ33,43,53y,53m,53cおよび53kそれぞれのプログラムRAMおよびデータRAM(36,37:図7)にロードする、画像処理プログラムおよびデータがある。システムコントローラ106が、電源オンに応じて発生するリセット信号ならびに操作ボードOPBまたはホストPCからのリセット指示に応答してシステムの初期設定をするとき、ハードディスクHDDにある、各プロセッサ33,43,53y,53m,53cおよび53k宛てのプログラムおよびデータを、上述のIMAC,パラレルバスPb,CDIC,シリアルバスSbおよびプロセスコントローラ101を用いるデータ転送を利用して、各プロセッサ33,43,53y,53m,53cおよび53kのプログラムRAMおよびデータRAMにロードする。
【0135】ここで、IPU1,IPU2およびIPU3y〜3kが実行する、多数の画像データに同時に並行して同一の処理を行う多くの画像処理の中の、γ変換(IPU1におけるスキャナγ変換&IPU3y〜3kにおけるプリンタγ変換)を説明する。
【0136】IPU1宛ての読取補正プログラムには、γ変換の位置に、スキャナγ変換のプログラムの格納アドレス(例えば第1グループのS1R,S1G&S1B:図11)が挿入されており、HDDから読取補正プログラムをIPU1のプロセッサ33のプログラムRAM36に転送するときに、該格納アドレスのR,GおよびBスキャナγ変換のプログラムを、該格納アドレスと置き変えて、転送する。プログラムRAM36に転送した後でも、プログラムRAM36のプログラムは、操作ボードOPB或はホストPCからの変更操作(書換え指示入力)によってシステムコントローラ106に書換え命令を与えて、図11に示す他のグループのもの(例えばS3R,S3G,S3Bのもの)に書換えることができる。
【0137】同様に、IPU3y,IPU3m,IPU3cおよびIPU3kの夫々宛てのY,M,CおよびK出力補正プログラムにも、γ変換の位置に、Y,M,CおよびKプリンタγ変換のプログラムの格納アドレス(例えば第1グループのP1Y,P1M,P1CおよびP1K:図11)が挿入されており、HDDからY,M,CおよびK出力補正プログラムを、IPU3y,IPU3m,IPU3cおよびIPU3kのプロセッサ53y,53m,53cおよび53kの各プログラムRAMに転送するときに、該格納アドレスのプリンタγ変換のプログラムを、該格納アドレスと置き変えて、転送する。各プログラムRAMに転送した後でも、操作ボードOPB或はホストPCからの変更操作によって、図11に示す他のグループのもの(例えばP3Y,P3M,P3C,P3Kのもの)に書換えることができる。
【0138】ここで、上述のR,GおよびBスキャナγ変換ならびにY,M,CおよびKプリンタγ変換のプログラムによるγ変換の内容を説明する。
【0139】図13を参照されたい。本実施例では、読取ユニット21が出力するRGB画像データのIPU1でのγ変換ならびにIPU2が出力するYMCK画像データのIPU3y〜IPU3kでのγ変換で、入力画像データx(横軸値:R,G,B/Y,M,C,K画像データ)を、図13に2点鎖線で示す略S字カーブの変換特性(特性曲線は色々である)となるように、出力画像データy(縦軸値;イエローyではない)に変換するが、8ビット構成の入力画像データxが表し得る数値範囲0〜255をそれより少ない複数m=8区間に分割して、変換特性曲線の各区間を、図13上に実線で示す直線で近似した。これらの直線を表わす数式を用いる、直線近似の補間演算によりγ変換する。これらの補間演算式の適用区間を次に示す。
【0140】
区間No.i 境界値 演算式(パラメータai,bi)
1 x1 y1=a1・x+b1 2 x2 y2=a2・x+b2 3 x3 y3=a3・x+b3 4 x4 y4=a4・x+b4 5 x5 y5=a5・x+b5 6 x6 y6=a6・x+b6 7 x7 y7=a7・x+b7 8 (x8:不要) y8=a8・x+b8なお、隣接する区間の境界において両区間の演算式は繋がっている。例えばy1=a1・x+b1とy2=a2・x+b2に、x=x1を与えたときの、y1の値=y2の値、すなわち、y1=a1・x1+b1=a2・x1+b2=y2である。
【0141】境界値はxi(x1〜x8)、補間演算パラメータは傾きai(a1〜a8)およびy切片(オフセット)bi(b1〜b8)である。
【0142】図11に示すリスト上の各変換プログラムは、これらの演算式に従って、入力画像データxに対応するγ変換した出力画像データyを算出するものである。なお、図11に示すリスト上の多数の変換プログラムは、直線式(を規定するパラメータ)あるいは区間(を規定する境界値)が異なるものである。すなわちγ変換特性が異なるものである。
【0143】図12に、IPU1,IPU3y,IPU3m,IPU3cおよびIPU3kのSIMD型プロセッサ33,53y,53m,53c,53kの、プログラムRAM(36)の変換プログラムに基いたグローバルプロセッサ(38)による、n個(例えば320個)の画像データの同時並行のγ変換の内容を示す。なお、本実施例では、入出力画像データ共に、8ビット構成の多値階調データである。
【0144】グローバルプロセッサ(38)はまず、全プロセッサエレメントPE1〜PEnを初期化してから、n個の画像データD1〜Dnのそれぞれを、n個のプロセッサエレメントPE1〜PEnの各入力レジスタにセットする(ステップγp1)。なお、以下においてカッコ内には、ステップという語を省略して、ステップNo.記号のみを記す。
【0145】次に、グローバルプロセッサ(38)は、全プロセッサエレメントPE1〜PEnに最後区間i=m=8の補間演算パラメータam(a8),bm(b8)を与え、各プロセッサエレメントはそれらを自己のパラメータ設定用レジスタに書込む(γp2)。
【0146】次に、グローバルプロセッサ(38)は、演算対象区間iを第1区間(i=1)に定めて(γp3)、区間iの境界値xiをプロセッサエレメントPE1〜PEnに与えて、比較を指示する。PE1〜PEnはそれぞれ、セットされている画像データD(D1〜Dnのそれぞれ)が第i区間である(xi<D:NO,すなわちxi≧Dである)かをチェックして、第i区間であると自身のフラグに「1」を立てる(γp4)。次に、第i区間の計算式を規定するパラメータA=ai,B=biをプロセッサエレメントPE1〜PEnに与える。ここで、自身のフラグに始めて「1」を立てた(フラグを「0」から「1」に切換えた)プロセッサエレメントは、自身のパラメータ設定用レジスタに、パラメータA=ai,B=biを書込む(γp5)。
【0147】第1区間を演算対象区間とした上記処理を同様に、演算対象区間iを順次に第2(i=2),第3(i=3),・・・と更新して、第m−1=7区間(i=7)まで繰返し実行する(γp6/γp7/γp4/γp5/γp6)。ただし、すでにフラグに「1」を立てており、「0」から「1」への切換わりのないプロセッサエレメントは、自身のパラメータ設定用レジスタに新たにパラメータA=ai,B=biを更新書込みすることはしない。
【0148】第m−1=7区間まで実行すると、プロセッサエレメントPE1〜PEnのいずれもが、自身にセットされている画像データが属する区間に宛てられているパラメータA=ai,B=biを、自身のパラメータ設定用レジスタに保持していることになる。
【0149】ここでグローバルプロセッサは、Y=A・x+B、xはセットしている画像データ、なる演算指示をプロセッサエレメントPE1〜PEnにあたえる。プロセッサエレメントPE1〜PEnは、パラメータ設定用レジスタに保持しているA=ai,B=biを用いて、Y=A・x+Bを算出し、算出したYを表すデータすなわちγ変換した画像データを、自身の出力レジスタに格納する(γp8)。グローバルプロセッサ(38)は、プロセッサエレメントPE1〜PEnの出力レジスタのデータ(AD1〜ADn:算出したY)をプロセッサエレメントのRAMの出力データ領域に書込み、メモコン(図5)にそこのデータの読み出しを指示する。
【0150】この第1実施例の補間演算では、プロセッサエレメントPE群に対する1グループの画像データ群D1〜Dnのセット;プロセッサエレメント群に対するi区間の境界値の同時供給とそれに続く該区間iの補間演算パラメータの同時供給、の区間i=1〜mについての実行、すなわちm回の繰返し;および、一回の演算式の指定と算出指示;によって、画像データ群D1〜Dnの変換が完了する。
【0151】プロセッサエレメント群は算出演算は1回のみであり、変換速度が速い。前掲の表1に示すように、320個のプロセッサエレメント(PE)を用いて320画素のカラー画像データを同時にγ変換する場合の、画像処理器(33)のデータ処理ステップ数は少ない。従来のLUTを用いるγ変換では、「アドレス設定」と「読み出し」という2ステップを踏み、320画素のカラー画像データをγ変換するのに、時系列で640ステップを要するのに対比して、大幅なステップ数の低減となり、γ変換速度が速い。
【0152】上述のγ変換は、IPU1のSIMD型プロセッサ33のプログラムRAM(36)に書込んだ読取補正プログラムの中のスキャナγ変換プログラム、又は、IPU3y〜3kのSIMD型プロセッサのプログラムRAMに書込んだ出力補正プログラムの中のプリンタγ変換プログラムを、ハードディスクHDDにある他の、γ変換特性が異なるものに書換えることにより、変更できる。
【0153】なお、本実施例では、IPU1のSIMD型プロセッサ33は、図12に示すγ変換を繰り返して、1ライン分のR画像データのγ変換を終えると、該1ラインのG画像データのγ変換をする。そして次に該1ラインのB画像データのγ変換をする。これを終了すると、次のラインのR画像データのγ変換を開始する。同一ラインのγ変換したR,G,B画像データは、全てが整うまでバッファメモリ32に蓄積してから、該1ラインの像域データFdと共に、図5に示すメモコンで、図6の(a)に示す態様でパラレル/シリアル変換して、CDICに送り出す。しかし、IPU3y,IPU3m,IPU3cおよびIPU3kは、それぞれY,M,CおよびK画像データの一色のみを、同一時点に並行してγ変換する。
【0154】上述のように第1実施例では、境界値を最小値から順番に大きいものに変更して、画像データと比較したが、境界値を最大値から順番に小さいものに変更して画像データと比較する態様も有り得る。例えば、図12のステツプγp2ではA=a1,B=b1をパラメータ設定用レジスタに書込み、ステップγp3ではiを8に設定し、ステップγp4ではx(i-1)をエレメントPE1〜PEnにあたえて第i区間にある(D≧x(i-1))かをチェックする。そしてステップγp6ではiが1かをチェックして、1であるとステップγp8に進み、1になっていないと、ステップγp7でiを1デクレメントする。
【0155】−第2実施例−第2実施例のハードウエアは、上述の第1実施例と同じであるが、第2実施例は、γ変換の補間演算でのデータ処理の内容が少し異なる。
【0156】図14に、第2実施例のIPU1およびIPU3y〜3kが実行する、γ変換(IPU1におけるスキャナγ変換&IPU3y〜3kにおけるプリンタγ変換)の内容を示す。
【0157】第2実施例のSIMD型プロセッサ(33)のグローバルプロセッサ(38)はまず、全プロセッサエレメントPE1〜PEnを初期化してから、n個の画像データD1〜Dnのそれぞれを、n個のプロセッサエレメントPE1〜PEnの各入力レジスタにセットする(ステップaγp1)。
【0158】次に、グローバルプロセッサ(38)は、演算対象区間iを第1区間(i=1)に定めて(aγp2)、区間iの補間演算パラメータai,biを全プロセッサエレメントPE1〜PEnに与えて、yi=ai・x+biの算出を指示する(aγp3)。全プロセッサエレメントPE1〜PEnは、それぞれに与えられている画像データD(D1〜Dnのそれぞれ)をxとして、yiを算出し、それぞれ算出値A1〜Anを得る(aγp3)。
【0159】次に、グローバルプロセッサ(38)は、第i区間の境界値xiを全プロセッサエレメントPE1〜PEnに与えて、比較を指示する。PE1〜PEnはそれぞれ、セットされている画像データDが第i区間である(xi<D:NO,すなわちxi≧Dである)かをチェックして、第i区間であると自身のフラグに「1」を立てる(aγp4)。
【0160】次に、自身のフラグに始めて「1」を立てた(フラグを「0」から「1」に切換えた)プロセッサエレメントは、算出値A(A1〜Anのいずれか)を出力レジスタADに書込む(aγp5)。自身のフラグを「0」から「1」に切換えなかったプロセッサエレメントは、この書込をしない。
【0161】第1区間を演算対象区間とした上記処理を同様に、演算対象区間iを順次に第2(i=2),第3(i=3),・・・と更新して、第m−1=7区間(i=7)まで繰返し実行する(aγp6/aγp7/aγp3/aγp4/aγp5/aγp6)。ただし、すでにフラグに「1」を立てており、「0」から「1」への切換わりのないプロセッサエレメントは、出力レジスタAへの算出値の書込はしない。そして最後の第m=8区間では、フラグに「1」を立てていないプロセッサエレメントのみが、算出値Aを出力レジスタADに書込む。
【0162】第m−1=7区間まで実行すると、プロセッサエレメントPE1〜PEnのいずれもが、自身にセットされている画像データが属する区間に宛てられているパラメータA=ai,B=biでの算出値を、自身の出力レジスタに保持していることになる。
【0163】次にグローバルプロセッサ(38)は、プロセッサエレメントPE1〜PEnの出力レジスタのデータ(AD1〜ADn)をプロセッサエレメントのRAMの出力データ領域に書込み、メモコン(図5)にそこのデータの読み出しを指示する。
【0164】この第2実施例の補間演算によれば、各プロセッサエレメントが同一時点には同一の区間の補間演算をしてγ変換データを算出する。しかしこのとき各プロセッサエレメントに与えられる各画像データは同一とは限らず、すべてが該補間演算が宛てられる区間iに入っているものとは限らない。区間iに入っていない画像データが与えられたプロセッサエレメントの演算出力はエラーであり、区間iに入っている画像データが与えられたプロセッサエレメントの演算出力が正しい値である。
【0165】各区間i、i=1〜m、の補間演算を1つづつ、すべてのプロセッサエレメントで同時に同じ演算を並行して実行し、全区間の補間演算を遂行すると、その間に、どのプロセッサエレメントも1回、正しい変換値を算出する。この正しい変換値を有効とする。すなわち変換データとして出力する。
【0166】1画素の多値カラー画像データに対して、それを与えられたプロセッサエレメントは、見かけ上はm回(例えば、m=8)補間演算を繰り返す。すなわち、各区間の補間演算yi、i=1〜m、のそれぞれを実行する。したがって演算回数は多くなるが、1回の演算が簡単で時間が短いので、大きなn値の複数nのカラー画像データ全体としての変換時間は短い。
【0167】−第3実施例−第3実施例のハードウエアは、上述の第1実施例と同じであるが、第3実施例は、γ変換に用いるプログラムの構成が少し異なる。第3実施例のIPU1およびIPU3y〜3kが実行する、γ変換(IPU1におけるスキャナγ変換&IPU3y〜3kにおけるプリンタγ変換)を説明する。
【0168】IPU1宛ての読取補正プログラムには、γ変換の位置に、スキャナγ変換のプログラムの格納アドレスS00(図15)が挿入されており、HDDから読取補正プログラムをIPU1のSIMD型プロセッサ33のプログラムRAM36に転送するときに、該格納アドレスS00のスキャナγ変換のプログラムを、該格納アドレスと置き変えて転送する。これに加えて、1セットのR,G,B γ変換用の「境界値,パラメータ」群、例えばアドレスS1R,S1GおよびS1B(図15)のデータを、SIMD型プロセッサ33のデータRAM37のγ変換用データ格納領域に転送して書込む。一組例えばアドレスS1Rの、R γ変換用の、「境界値,パラメータ」群は、図13に示す区間の境界値xiおよび補間演算式yiのパラメータai,biであり、i=1〜8、の8区間分である。
【0169】図16に、一組のパラメータ群の、データRAM37上の情報区分を模式的に示す。
【0170】前記1セットすなわち3組(R用,G用およびB用:アドレスS1R,S1GおよびS1B)をデータRAM37に書込んだ後でも、操作ボードOPB或はホストPCからの変更操作によって、図15に示す他のグループのもの(例えばS3R,S3G,S3Bのもの)に書換えることができる。
【0171】同様に、IPU3y,IPU3m,IPU3cおよびIPU3kの夫々宛てのY,M,CおよびK出力補正プログラムにも、γ変換の位置に、γ変換のプログラムの格納アドレス(P00:図15)が挿入されており、HDDからY,M,CおよびK出力補正プログラムを、IPU3y,IPU3m,IPU3cおよびIPU3kのプロセッサ53y,53m,53cおよび53kの各プログラムRAM(36)に転送するときに、該格納アドレスP00のプリンタγ変換のプログラムを、該格納アドレスと置き変えて、転送する。これに加えて、1セットのY,M,C,およびKそれぞれのγ変換用の「境界値,パラメータ」群、例えばアドレスP1Y,P1M,P1CおよびP1K(図15)のデータ、のそれぞれを、SIMD型プロセッサ53y,53m,53cおよび53kの各データRAMのγ変換用データ格納領域に転送して書込む。データRAMに書込んだ後でも、操作ボードOPB或はホストPCからの変更操作によって、図15に示す他のグループのもの(例えばP3Y,P3M,P3CおよびP3Kのもの)に書換えることができる。
【0172】第3実施例のγ変換処理フローは、図12に示す第1実施例のものと同様である。ただし、境界値xiおよびパラメータai,biは、SIMDプロセッサ(33)内のデータRAM(37)から読出してプロセッサエレメントPEに与える。
【0173】なお、上記第1〜3実施例のいずれも、R,G,B画像データのスキャナγ変換をSIMD型プロセッサ33で、色順次に行うようにしたが、三組のSIMD型プロセッサを併置して、色別の読取補正を同時に並行処理するのもよい。それとは逆に、YMCK画像データのプリンタγ変換あるいは出力処理の全体を、1つのSIMD型プロセッサで色毎に順次に行うこともできる。これは、1組の作像ユニットで順次に各色像を形成するいわゆるワンドラム方式のカラープリンタに適合する。しかし、実施例に示した4組の作像ユニットをタンデム配列したカラープリンタでは、上述のようにYMCK画像データのそれぞれあて、合計4組のSIMD型プロセッサ53Y,53m,53c,53kを用いるのが、YMCK画像データの出力処理の全体が極めて高速になり、高速プリントアウトに好ましい。
【0174】
【発明の効果】上記のように複数ビット構成の多値データである、2以上の所定数画素の入力カラー画像データのそれぞれにつき2以上の所定数のプロセッサエレメント(PE)で同時に並行して補間演算により出力カラー画像データを算出することにより、2以上の所定数の画像データ群の処理時間が、LUTを用いる場合よりも短くできる。
【0175】また、直線近似の補間演算でγ変換するので、γ変換のために準備するデータ量および所要メモリ容量の少量化が可能である。特に、各色成分画像データ宛てに複数の変換特性を準備しておいて、その中の1つを選択する場合に、保存データ量を大幅に削減できる。
【0176】更には、γ変換を行う画像処理器のプログラムメモリに、処理特性が異なったプログラムを書込むことによりすなわち書換えにより、処理特性が変わる。処理特性の選択又は変更を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の、複合機能があるデジタルフルカラー複写機の外観を示す正面図である。
【図2】 図1に示すカラープリンタPTRの作像機構の概要を示す拡大縦断面図である。
【図3】 図1に示す複写機の電気系システムの概要を示すブロック図である。
【図4】 (a)および(b)はそれぞれ、図3に示すカラー原稿スキャナSCRおよびカラーデータインターフェース制御部CDICの画像処理系およびデータ転送系の概要を示すブロック図である。
【図5】 図5の(a)に示す第1画像処理ユニットIPU1の、入出力インターフェイス31およびバッファメモリ32の構成を示すブロック図である。
【図6】 画像データ転送の際の、パラレル,シリアルのデータ配列の変換態様の数種を示すブロック図である。
【図7】 (a)は図4の(a)および図5に示すSIMD型プロセッサ33の構成の概要を示すブロック図、(b)は1個のプロセッサエレメントPEの一部分の構成を示すブロック図である。
【図8】 (a)および(b)はそれぞれ、図3に示す第2画像処理ユニットIPU2および画像メモリアクセス制御部IMACの画像処理系およびデータ転送系の概要を示すブロック図である。
【図9】 (a),(b),(c)および(d)はそれぞれ、図3に示す第3画像処理ユニットIPU3Y,IPU3m,IPU3cおよびIPU3kの画像処理系の概要を示すブロック図である。
【図10】 図3に示す画像処理システムにおける、画像データの流れの数例を示すフローチャートである。
【図11】 本願発明の第1実施例の、図3に示すハードディスク装置HDDに格納されている、γ変換用データの区分を示す図表である。
【図12】 図7に示すグローバルプロセッサ38が、プログラムRAM36に格納された読取補正プログラムの中のγ変換プログラムに基いて実行する補間演算処理の過程を示すフローチャートである。
【図13】 γ変換特性カーブを2点鎖線で示し、その近似直線を実線で示すグラフである。
【図14】 第2実施例においてSIMD型プロセッサのグローバルプロセッサ38が、プログラムRAM36に格納された読取補正プログラムの中のγ変換プログラムに基いて実行する補間演算処理の過程を示すフローチャートである。
【図15】 本願発明の第3実施例の、ハードディスク装置HDDに格納されている、γ変換用データの区分を示す図表である。
【図16】 HDDから読み出してデータRAM37に書込んだ一組のパラメータ群のRAM37上の分布を模式的に示す図表である。
【符号の説明】
ADF:自動原稿供給装置
SCR:カラー原稿スキャナ
OPB:操作ボード PTR:カラープリンタ
PC:パソコン PBX:交換器
PN:通信回線 2:光書込みユニット
3,4:給紙カセット 5:レジストローラ対
6:転写ベルトユニット
7:定着ユニット 8:排紙トレイ
10M,10C,10Y,10K:感光体ユニット
11M,11C,11Y,11K:感光体ドラム
20M,20C,20Y,20K:現像器
60:転写搬送ベルト IPU1:第1画像処理ユニット
IPU2:第2画像処理ユニット
IPU3y,3m,3c,3k:第3画像処理ユニット
CDIC:カラーデータインターフェース制御部
IMAC:画像メモリアクセス制御部
HDD:ハードディスク装置
MEM:画像メモリ LAN:ローカルエリアネットワーク
FONT:フォントROM
IDU:紙幣認識ユニット
SCI:システム制御インターフェイス
JTAG:ジョブエンコーダ/デコーダ
メモコン:メモリコントローラ
R:R画像データ G:G画像データ
B:B画像データ Fd:像域データ
Y:Y画像データ M:M画像データ
C:C画像データ K:K画像データ
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、γ変換処理装置,画像処理装置およびγ変換処理方法に関する。
【0002】
【従来技術】特開平8−18826号公報は、映像信号を表示装置の表示特性(γ曲線)に合わせて補正するγ変換に、LUT(Look Up Table:ルックアップテーブル)の代りに曲線の折線近似を用いて、折線近似計算により補正した画像データを得る、リアルタイムでγ特性を変えることができる、デジタルγ変換回路を提示している。
【0003】特開平10−145806号公報は、複数組のγ変換データをLUTに持って、それからの読み出しアドレス操作により、LUTのどの組にもないγ変換データの組を生成してRAMに書込み、このRAMを用いてγ変換を実行する、γ変換の変更或は調整を開示している。
【0004】特開2000−184236号公報は、γ変換特性を折線で近似し、入力ビデオデータV0を、Vc=a・V0+bなる一次関数式にしたがって出力データVcにγ変換するγ変換回路を開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】LUTには、ROM又はRAMが用いられるので、1つの画素の画像データをアドレスとしてそのγ変換済データを読み出すときには、他の画素の画像データの変換済データを同一のLUTから読み出すことができない。すなわち、一時点には1画素のγ変換しかできないので、1ラインの画像データのすべてを逐次γ変換するのにかなりの時間がかかる。同一データを持つ多数のLUTを別個に作成することにより多数の画素の画像データを同時に並行してγ変換できるが、多数のLUT用メモリを必要とし、しかも別個のLUTの同時アクセス(アドレス)制御が複雑になり、γ変換制御が複雑になる。これはγ変換速度アップの障害になる。
【0006】γカーブ(γ特性曲線)を折線で近似し、折線を表す直線式に入力画像データを与えて近似値を算出する場合、折線近似演算をプロセッサ又はハードウェア演算回路で画素単位の画像データごとに逐次行うが、LUTを用いる場合と同様に、一時点には1画像データ(1画素)のγ変換しかできないので、1ラインの画像データのすべてを逐次にγ変換するのにかなりの時間がかかる。
【0007】カラー画像処理装置例えばカラースキャナ,カラープリンタ或はカラー複写機では、RGB画像データやそれを色変換した2値化前のYMCK画像データが数ビットの多値データであってデータビット数が多いばかりでなく、3系統の読込みR,G,Bの画像データや、4系統の出力Y,M,C,K画像データなど、各色成分データを処理しなければならないため、モノクロ複写の場合の数十倍のデータ量と画像処理を行うので、データ処理時間が大幅に増大する。データ処理に所要のプログラムおよび参照データも膨大になり、画像処理制御用データを格納するメモリ量も膨大になる。例えば像域分離,色変換処理,カラーγ変換など、カラー独特の画像処理および画質をより高くする画像処理或は調整が加わり、データ処理量が圧倒的に増大し、データ処理時間が非常に長くなる。
【0008】これらの画像処理および調整には、RGB画像データの補正(たとえばスキャナγ変換すなわち読取りγ変換),RGBからYMCKへの色変換,YMCK画像データの補正(例えばプリンタγ変換)等があるが、補正特性あるいは変換特性の切換え或は調整ができることが望まれる。これを満たすために複数の処理モードの中から1つを選択するようにすると、該複数分の処理用データを準備しなければならず、これが更に処理用データ量を増やすことになる。例えば読取りγ変換の場合はRGB各色宛1つ、合計3個のγ変換用LUTを用い、プリンタγ変換の場合は、YMCK各色宛1つ、合計4個のγ変換用LUTを用いるが、特性選択用に各色に複数aのLUTを準備すれば、LUT群のデータ量が4×a倍になる。
【0009】デジタル複写機や複合機のような画像形成装置で、様々な画像処理を画像処理専用のプロセッサで処理する場合において、装置のカラー化に伴いカラー独特な処理や処理データの増加により処理がますます困難になっている。
【0010】特に、前記画像形成装置のカラー画像読取手段(カラースキャナ)やカラー画像形成手段(カラープリンタ)では、カラーγ変換における処理量が大きな問題となる。
【0011】本発明は、前記問題点を解決し、γ変換の高速化を第1の目的とし、γ変換のために準備するデータ量あるいはメモリ容量を少なくすることを第2の目的とし、それらに加えてγ変換特性の変更を容易にし、γ特性の補正を可能にすることを第3の目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】(1)複数ビット構成の多値階調データである入力画像データの階調特性を変更するγ変換処理装置において、読み書き可能なプログラムメモリ(36)、および、該プログラムメモリのプログラムに従ってそれぞれが2以上の所定数で一連の入力画像データのそれぞれに並行して同時に同じデータ処理をする2以上の所定数のプロセッサエレメント(PE)、を有する画像処理器(33/53y,53m,53c,53k)と、γ変換特性の入力階調範囲を複数の区間に区分する境界値(x1〜x7),各区間の直線近似による補間演算を規定する補間演算パラメータ(a1〜a8,b1〜b8)、および入力画像データを用いた補間演算により出力画像データを算出する補間演算プログラムを、前記プログラムメモリ(36)に書込む手段(106)とを備え、前記画像処理器(33/53y,53m,53c,53k)が、前記境界値と補間演算パラメータに基づく前記プログラムメモリに書込まれた補間演算に応じてγ変換処理を行なうことを特徴とするγ変換処理装置。
【0013】なお、理解を容易にするために括弧内には、図面に示し後述する実施例の対応要素,相当要素もしくは対応事項の記号を、参考までに付記した。以下も同様である。
【0014】例えば、LUTを用いる場合は、1画素の多値入力カラー画像データにつき、LUTに対する「アドレス設定」と「読み出し」という2ステップを踏む。よって320画素の多値入力カラー画像データをγ変換するのに、時系列で640ステップを要する。
【0015】これに対してたとえば320個の、上記機能のプロセッサエレメント(PE)を持つSIMD(Single Instruction stream Multi-Data stream)型の画像処理器(33/53y,53m,53c,53k)を用いて、320個すなわち2以上の所定数で一連の画像データを、同時に補間演算によるγ変換をすると、補間演算は略50ステップ前後とステップ数が多いが、同時に320画素の演算結果が得られる。したがって、320画素のカラー画像データのγ変換に関しては、LUTを用いる場合は時系列で640ステップとなるのに対して、上記補間演算の場合は時系列で略50ステップ前後と、大幅な時系列ステップ数の減少となり、γ変換時間が大幅に短くなる。すなわちγ変換速度を大幅に高速化できる。
【0016】また例えば、0〜255を表わす1バイト(8ビット)構成の画像データをγ変換するために用いるLUTは、0〜255の各アドレスに1バイトのγ変換済画像データを格納しておくと、256バイトのメモリ容量を必要とする。これに対して、入力画像データを表わす8ビットが表し得る範囲を複数m、例えばm=8、の区間に区分し、各区間で直線近似でγ変換演算する場合には、各区間およびそこでの演算式を規定する境界値(x1〜x7)および補間演算パラメータ(a1〜a8,b1〜b8)の数は例えば略3×8=24バイトとなり、データ量および所要メモリ容量の少量化が可能である。特に、各色成分画像データ宛てに複数の変換特性を準備しておいて、その中の1つを選択する場合に、保存データ量を大幅に削減できる。
【0017】更には、書込む手段(106)が画像処理器(33)のプログラムメモリ(36)に、処理特性が異なったプログラムを書込むことによりすなわち書換えにより、処理特性が変わる。処理特性の選択又は変更を容易にできる。
【0018】
【発明の実施の形態】(2)前記γ変換処理は、入力画像データと前記境界値(x1〜x7)のそれぞれとの大小比較による入力画像データが属する区間(i)の判定、および、該属する区間宛ての補間演算パラメータ(ai,bi)のみを用いた入力画像データの補間演算によるγ変換(図12)、を含む上記(1)のγ変換処理装置。
【0019】例えば、プロセッサエレメント(PE)群に対する1グループの画像データ群(D1〜Dn)のセット;プロセッサエレメント群に対する各境界値の同時供給とそれに続く各区間(i)の補間演算パラメータ(ai,bi)の同時供給、の区間数m分の繰返し;および、一回の演算式の指定と算出指示;によって、画像データ群(D1〜Dn)の変換が完了する。プロセッサエレメント群は算出演算は1回のみであり、変換速度が速い。次の変形実施態様(3)よりも、高速で変換処理できる。
【0020】(3)前記γ変換処理は、各入力画像データについてのすべての補間演算パラメータ(a1〜a8,b1〜b8)を用いた全区間の補間演算値の算出,入力画像データと前記境界値(x1〜x7)のそれぞれとの大小比較による入力画像データが属する区間の判定、および、該属する区間の補間演算値のみの出力(図14)、を含む上記(1)のγ変換処理装置。
【0021】すなわち、1グループの画像データ群(D1〜Dn)のそれぞれの、各区間i、i=1〜m、の補間演算をプロセッサエレメント群で同時に並行して実行し、全区間での補間演算を遂行すると、その間に、どのプロセッサエレメントも1回、正しい変換値を算出する。この正しい変換値を変換データとして出力する。
【0022】これにより、誤りのない変換データを得ることができる。各画素のカラー画像データに対して、それを与えられたプロセッサエレメントは、見かけ上はm回(例えば、m=8)補間演算を繰り返す。したがって演算回数は多くなるが、1回の演算が簡単で時間が短いので、複数nの画像データ全体としての変換時間は短い。
【0023】(4)前記補間演算は、複数画素分の多値画像データを1画素単位で各プロセッサエレメント(PE)に対応させて入力し、入力された複数の多値画像データの階調値の大きさを1度で同時に前記境界値(x1〜x7)の各値と比較することにより各入力画像データがどの区間(i)に対応するかを判定し、判定された区間に対応する補間演算パラメータ(ai,bi)を各プロセッサエレメントに取り込み、前記補間演算プログラムに応じてその区間のみのγ変換を行う、ものである、上記(2)のγ変換処理装置。
【0024】これによれば、例えば図13に2点鎖線で示すγ変換特性の区間i、i=1〜m、の近似直線による補間演算式をyi=ai・x+bi ・・・(1)ai:近似直線の傾きbi:近似直線のy切片(オフセット)
とすると、1グループの画像データ群D1〜Dnのそれぞれを各プロセッサエレメントPE1〜PEn、にセットし、そして全区間の境界値および補間演算パラメータを、全プロセッサエレメントに同一時点には同一のデータを同時に与える態様で、与え終わった時点には、各プロセッサエレメントPEには、それにセットされた画像データDが属する区間iに宛てられた補間演算パラメータai,biが書込まれている。そして、全プロセッサエレメントに、同一の演算式(Ax+B;xは与えられている画像データDを指定、A,Bは書込んだai,biを指定。)が与えられて算出が指示されると、各プロセッサエレメントPEが、AD=ai・D+biを算出する。そして全プロセッサエレメントPE1〜PEnの算出値AD1〜ADnが出力される。
【0025】プロセッサエレメント群に対する1グループの画像データ群D1〜Dnのセット;プロセッサエレメント群に対するi区間の境界値の同時供給とそれに続く該区間iの補間演算パラメータの同時供給、の区間i=1〜mについての実行、すなわちm回の繰返し;および、一回の演算式の指定と算出指示;によって、画像データ群D1〜Dnの変換が完了する。プロセッサエレメント群は算出演算は1回のみであり、変換速度が速い。次の表1に、この実施態様で、320個のプロセッサエレメントPEを用いて320画素のカラー画像データを同時にγ変換する場合の、画像処理器33のデータ処理ステップ数を示す。この場合には320画素のカラー画像データの処理が51ステップで行なわれる。従来のLUTを用いるγ変換では、「アドレス設定」と「読み出し」という2ステップを踏み、320画素のカラー画像データをγ変換するのに、時系列で640ステップを要するのに対比して、大幅なステップ数の低減となり、γ変換速度が速い。
【0026】
【表1】
【0027】(5)前記補間演算は、複数画素分の多値画像データを1画素単位で各プロセッサエレメント(PE)に対応させて入力し、各入力画像データに対して全区間の補間演算を順次に実行し、前記境界値との大きさの比較により各入力画像データがどの区間に対応するかを判定することで、全区間の出力値の中から対応する区間の補間演算値のみを有効にする、上記(3)のγ変換処理装置。
【0028】これによれば、各プロセッサエレメントが同一時点には同一の区間の補間演算をしてγ変換データを算出する。しかしこのとき各プロセッサエレメントに与えられる各画像データは同一とは限らず、すべてが該補間演算が宛てられる区間iに入っているものとは限らない。区間iに入っていない画像データが与えられたプロセッサエレメントの演算出力はエラーであり、区間iに入っている画像データが与えられたプロセッサエレメントの演算出力が正しい値である。
【0029】各区間i、i=1〜m、の補間演算を1つづつ、すべてのプロセッサエレメントで同時に同じ演算を並行して実行し、全区間の補間演算を遂行すると、その間に、どのプロセッサエレメントも1回、正しい変換値を算出する。この正しい変換値を有効とする。すなわち変換データとして出力する。
【0030】これにより、単一の命令に従う処理を並列に実行するSIMD型プロセッサによって、区分区間の簡易な演算で、誤りのない変換データを得ることができる。1画素の多値カラー画像データに対して、それを与えられたプロセッサエレメントは、見かけ上はm回(例えば、m=8)補間演算を繰り返す。すなわち、各区間の補間演算yi、i=1〜m、のそれぞれを実行する。したがって演算回数は多くなるが、1回の演算が簡単で時間が短いので、大きなn値の複数nのカラー画像データ全体としての変換時間は短い。
【0031】(6)原稿の画像を読取り、1画素の画情報を複数ビット構成の多値階調データで表す画像データを生成する画像読取手段(SCR)と画像データに基づいて画像を形成する画像形成手段(PTR)の少なくとも1つと、画像データにγ変換を含む画像データ処理を施す手段とを備える画像処理装置において、画像データを蓄えて、複数の一連の画像データの区分で出力するラインバッファ(32)と、該ラインバッファから出力される2以上の所定数で一連の画像データを受け取ってそれらのγ変換処理を行う上記(1)乃至(5)の何れかのγ変換処理装置(IPU1/IPU3y,3m,3c,3k)と、を有する画像処理装置。
【0032】これによれば、上記画像処理装置において、上記(1)乃至(5)の何れかに記述した作用効果が、同様に得られる。
【0033】(7)前記画像読取手段(SCR)は、RGB画像データに読取補正を加える第1画像処理手段(IPU1)を含み、画像処理装置は更に、読取補正を加えたRGB画像データのYMCK画像データへの変換を含む画像データ処理をする第2画像処理手段(IPU2)を備え、前記画像形成手段(PTR)は、前記YMCK画像データにプリンタ出力用の出力補正を加える第3画像処理手段(IPU3y,3m,3c,3k)を含み、第1および第3画像処理手段(IPU1、IPU3y,3m,3c,3k)のそれぞれが前記構成の各画像処理器(33,53y,m,ck)を有し、前記書込む手段(106)は、前記補間演算により出力カラー画像データを算出する、RGB画像データのγ変換用の補間演算プログラムおよびYMCK画像データのγ変換用の補間演算プログラムをそれぞれ、第1および第3画像処理手段の各画像処理器(33,53y,m,ck)のプログラムメモリ(36)に書込む、上記(6)の画像処理装置。
【0034】これによれば、第1および第3画像処理手段(IPU1、IPU3y,3m,3c,3k)のそれぞれが、上記(6)に記述した補間演算によるカラーγ変換処理を、RGB画像データおよびYMCK画像データに対してそれぞれ実行する。したがって、上記(6)に記述の作用効果が、RGB画像データおよびYMCK画像データのγ変換のいずれでも、同様に得られる。
【0035】(8)前記画像形成手段(SCR)は、作像する感光体ユニット(10Y,M,C,K)の数に対応した数の前記第3画像処理手段(IPU3y,3m,3c,3k)を含む、上記(6)の画像処理装置。
【0036】例えば1組の感光体ユニットで順次にY,M,CおよびK画像を形成する場合には、各色画像データは作像順にプリンタに与えればよいので、1つの第3画像処理手段で、各色画像データのγ変換に対応できる。γ変換がプリンタの各色画像形成のタイミングを遅くしてしまうことはない。
【0037】例えば4組の感光体ユニット(10Y,M,C,K)のタンデム配列の場合、作像開始には時間ずれがあるものの略同時に並行して各色画像を形成して、同一転写紙上に重ね転写する。1つの第3画像処理手段でYMCK各色画像データのγ変換をすると、プリンタの各色画像形成のタイミングを遅くしてしまう。本実施態様では、4組の感光体ユニット(10Y,M,C,K)のそれぞれに対応する各画像処理手段(IPU3y,3m,3c,3k)を備えるので、各色画像形成のタイミングを遅らせる必要がなく、1つの感光体ユニットで順次に各色画像を形成する場合よりも、速くフルカラー画像プリントが得られる。
【0038】(9)前記画像処理器(53y,53m,53c,53k)は、ディザ処理にも使え、前記複数のプロセッサエレメントの数は、該ディザ処理で用いられる複数種類のマトリクス構成数をカバーできる数(96×整数 以上)であることを特徴とする上記(6)の画像処理装置。
【0039】これによれば、前記画像処理器(53y,53m,53c,53k)を、複数種類のマトリクス構成の何れのディザ処理に使用できる。
【0040】(10)画像処理装置は更に、変換特性が異なった複数組の、補間演算のそれぞれの境界値(x1〜x7)および補間演算パラメータ(a1〜a8,b1〜b8)と、1組の境界値および補間演算パラメータに基いて補間演算する補間演算プログラムと、を保持する記憶手段(HDD)を備える、上記(6)の画像処理装置。
【0041】これによれば、複数の変換特性が選択可となる。例えば、ユーザ指定或は画像データが表わす画像の特性対応で自動的に1組を選択してプログラムメモリに書込めばよい。
【0042】(11)前記書込む手段(106)は、該記憶手段(HDD)の1組の境界値および補間演算パラメータを含んだ補間演算プログラムを前記プログラムメモリ(36)に書込む、上記(10)に記載の画像処理装置。
【0043】例えば図13に2点鎖線で示すγカーブに従うγ変換の、多値カラー画像データすなわち入力画像データのビット数(例えば1バイト=8ビット)が表し得る0〜255の範囲をm(例えばm=8)個の区間i(i=1〜m)に区分し、各区間iの補間演算式yi、i=1〜m、にしたがって、画像データx(画像データが表す値)を変換する場合、補間演算式yiを、yi=ai・x+bi ・・・(1)と近似直線式に定めた場合を、図12に示すフローチャートを参照して説明する。
【0044】画像処理器(33)が、n個の画像データ群に対して同時に、次のステップγp1〜γp9を、処理対象の画像データがエンドになるまで繰返し実行するプログラムを一組とし、演算式が異なる複数組を記憶手段(HDD)に準備しておく。
【0045】ステップγp1:各プロセッサエレメントPE1〜PEn、にn個の多値カラー画像データ群の中の各画像データDをセットする;
ステップγp2:第m区間の補間演算パラメータam,bmを全プロセッサエレメントのパラメータ設定用レジスタに書込む。
【0046】ステップγp3〜7:第1〜第(m−1)区間の中の、補間演算式y1=a1・x+b1 ・・・(1-1)を適用する第1区間の境界値x1を全プロセッサエレメントPE1〜PEnに与えて、x1<D(与えられている画像データが与えられた境界値より大きい)かの比較を指示し、そして第1区間の補間演算パラメータa1,b1を与える。各プロセッサエレメントPEは、自身にセットされた画像データDが第1区間にある(x1<D:NO,すなわちx1≧Dである)かをチェックして、第1区間であると自身のフラグに「1」を立てる。そして、フラグに「1」を立てていると、次に与えられる前記第1区間の補間演算パラメータa1,b1を自身のパラメータ設定用レジスタに書込む。フラグに「1」を立てていないとこの書込はしない。
【0047】第2区間(i=2)、境界値x2、の補間演算式y2=a2・x+b2 ・・・(1-2)ただし、x=x2のとき、a2・x2+b2=a1・x2+b1、すなわち第1区間の線分:(1-1)式と第2区間の線分:(1-2)式は連続である、の境界値x2を全プロセッサエレメントPE1〜PEnにあたえてx2<Dかの比較を指示し、そして第2区間の補間演算パラメータa2,b2を与える。各プロセッサエレメントPEは、自身にセットされた画像データDが第2区間にある(x2<D:NO,すなわちx2≧Dである)かをチェックして、第2区間であると自身のフラグに「1」を立てる。そして、フラグに「1」を立てていると、次に与えられる前記第2区間の補間演算パラメータa2,b2を自身に書込む。フラグに「1」を立てていないとこの書込はしない。
【0048】同様に、第3区間(i=3)の補間演算式y3=a3・x+b3 ・・・(1-3)の境界値x3および補間演算パラメータa3,b3を全プロセッサエレメントPE1〜PEnに与える。ただし、x=x3のとき、a3・x3+b3=a2・x3+b2、すなわち第2区間の線分:(1-2)式と第3区間の線分:(1-3)式は連続である。全プロセッサエレメントPE1〜PEnは、上記と同様に動作する;
・・・。
【0049】最後に、最後の区間mより1つ前の区間(i=m−1=7)の補間演算式y(m-1)=a(m-1)・x+ ・・・(1-m-1)の境界値x(m-1)および補間演算パラメータa(m-1),b(m-1)を全プロセッサエレメントPE1〜PEnに与える。ただし、x=x(m-2)のとき、a(m-1)・x(m-2)+b(m-1)=a(m-2)・x(m-2)+b(m-2)、すなわち第(m-2)区間の線分:(1-m-2)式と第(m-1)区間の線分:(1-m-1)式は連続である。全プロセッサエレメントPE1〜PEnは、上記ステップ2のときと同様に動作する。なお、最後の区間i=m(=8)の補間演算パラメータam,bmは、ステップγp2で全プロセッサエレメントPE1〜PEnのパラメータ設定用レジスタに書込んだので、自身にセットされた画像データDが第1〜(m-1)区間の何れでもなかったプロセッサエレメントは、最後の区間i=m(=8)の補間演算パラメータam,bmを自身に保持していることになる。
【0050】ステップγp8:全プロセッサエレメントPE1〜PEnに、A・x+Bの演算を指示する。xはプロセッサエレメント個別に与えられている画像データDを意味し、A,Bはエレメント個別に書込んだ補間演算パラメータai,biを意味する。各プロセッサエレメントPEは、AD=ai・D+biを算出する;ステップγp9:全プロセッサエレメントPEの算出値AD1〜ADnを出力する。
【0051】1組のプログラムの上述の処理は、プログラム設計で言われるステップ数で表現すると50ステップ余り(例えば表1)であり、演算式を規定する補間演算パラメータおよび境界値の数は例えば区間数m=8とすると、3×8=24バイトとなり、1組のプログラムのデータ量および所要メモリ容量の少量化が可能である。従って、少ないデータ量で複数組のプログラムを準備しておくことが容易である。
【0052】本実施態様によれば、複数の変換特性が選択可となる。例えば、ユーザ指定或は画像データが表わす画像の特性対応で自動的に1組を選択してプログラムメモリに書込めばよい。
【0053】(12)前記画像処理器(33/53y,53m,53c,53k)は、前記補間演算で参照するデータを記憶するための読み書き可能なデータメモリ(37)を有し;前記書込む手段(106)は、前記記憶手段(HDD)の1組の境界値および補間演算パラメータを選択して前記データメモリ(37)に書込み、前記補間演算プログラムは前記プログラムメモリ(36)に書込む、上記(10)の画像処理装置。
【0054】例えば、各区間iの補間演算式yi、i=1〜m、にしたがって、画像データx(画像データが表す値)を変換する場合、補間演算式yiを、yi=ai・x+bi ・・・(1)と定めた場合を説明すると1組の境界値および補間演算パラメータは、第1区間(i=1)宛ての、前記のx1,a1,b1;
第2区間(i=2)宛ての、前記のx2,a2,b2;
第3区間(i=3)宛ての、前記のx3,a3,b3;
・ ・・ ・・ ・第m区間(i=m)宛ての、前記のxm,am,bm;
の集合である。
【0055】この場合、プログラムは、n個の画像データ群に対して同時に、次のデータ処理を実行する1組のみである:ステップγp1a:各プロセッサエレメントPE1〜PEn、にn個の多値カラー画像データ群の中の各画像データDをセットする;
ステップγp2a:選択した組の境界値および補間演算パラメータの中の第m区間の補間演算パラメータam,bmを全プロセッサエレメントのパラメータ設定用レジスタに書込む。
【0056】ステップγp3a〜γp7a:選択した組の境界値および補間演算パラメータの中の、第1区間(i=1)宛ての境界値x1および補間演算パラメータa1,b1を摘出して、上記(8)のステップγp3〜γp7と同様な態様で全プロセッサエレメントPE1〜PEnに与える;第2区間(i=2)宛ての境界値x2および補間演算パラメータa2,b2を摘出して、上記(8)のステップγp3〜γp7と同様な態様で全プロセッサエレメントPE1〜PEnに与える;第3区間(i=3)宛ての境界値x3および補間演算パラメータa3,b3を摘出して、上記(8)のステップγp3〜γp7と同様な態様で全プロセッサエレメントPE1〜PEnに与える;
・・・。
【0057】最後に、最後の区間mより1つ前の区間(i=m−1=7)宛ての境界値x(m-1)および補間演算パラメータa(m-1),b(m-1)を摘出して、上記(8)のステップγp3〜γp7と同様な態様で全プロセッサエレメントPE1〜PEnに与える。
【0058】ステップγp8a:上記(8)のステップγp8と同様;
ステップγp9a:上記(8)のステップγp9と同様。
【0059】この実施態様によれば、複数の画像処理の種類又は変換特性が選択可となる。ユーザ指定或は画像データの特性対応で自動的に1組の境界値および補間演算パラメータを選択して、ただ1組のプログラムにしたがって、選択した1組の境界値および補間演算パラメータによって規定される特性の変換を実行することができる。境界値および補間演算パラメータの数は比較的に少なく、プログラムは1組のみ準備すればよいので、変換のために準備するデータ量(境界値,補間演算パラメータおよびプログラムのデータ総計)が少なくて済む。従ってそれらを格納するためのメモリ容量が少なくて済む。
【0060】(13)画像データを転送するパラレルバス(Pb);画像メモリ(MEM);前記パラレルバス上の画像データを前記画像メモリに書込み、前記画像メモリの画像データを前記パラレルバスに読出す画像メモリ制御手段(IMAC);および、画像読取手段(SCR),第2画像処理手段(IPU2)および前記パラレルバス(Pb)の間の画像データのやりとりを制御する画像データ制御手段(CDIC);を更に備える、上記(6)の画像処理装置。
【0061】例えば、画像データ制御手段(CDIC)によって画像読取手段(SCR)の出力RGB画像データを第2画像処理手段(IPU2)に与えてそのYMCK出力を画像形成手段(PTR)に与えてその出力用YMCK画像データをプリントアウトできる。
【0062】また画像データ制御手段(CDIC)によって画像読取手段(SCR)の出力RGB画像データをパラレルバス(Pb)に送出し、画像メモリ制御手段(IMAC)によってパラレルバス(Pb)の画像データを画像メモリ(MEM)に書込むことができる。そして、画像メモリ制御手段(IMAC)によって画像メモリ(MEM)のRGB画像データをパラレルバス(Pb)に読み出し、画像データ制御手段(CDIC)によってパラレルバス(Pb)のRGB画像データを第2画像処理手段(IPU2)に与えてその出力であるYMCK画像データを画像形成手段(PTR)に与えて、その出力用YMCK画像データをプリントアウトできる。
【0063】(14)前記画像データ制御手段(CDIC)は、前記画像読取手段(SCR)からの画像データを非可逆な圧縮をして前記パラレルバス(Pb)に出力するか、又は、第2画像処理手段(IPU2)へ転送し第2画像処理手段(IPU2)が処理した画像データを非可逆な圧縮をして前記パラレルバス(Pb)に出力するか、更には、パラレルバス(Pb)のデータを伸張して第2画像処理手段(IPU2)に転送するかを制御する、上記(13)のカラー画像処理装置。
【0064】例えば、画像データ制御手段(CDIC)によって画像読取手段(SCR)の出力RGB画像データをバス転送用に非可逆な圧縮1してパラレルバス(Pb)に送出し、画像メモリ制御手段(IMAC)によってパラレルバス(Pb)の画像データを更にメモリ書込み用に可逆な圧縮2して画像メモリ(MEM)に書込むことができる。そして、画像メモリ制御手段(IMAC)によって画像メモリ(MEM)のRGB画像データを伸張2(圧縮2の伸張)してパラレルバス(Pb)に読み出し、画像データ制御手段(CDIC)によってパラレルバス(Pb)のRGB画像データを伸張1(圧縮1の伸張)して第2画像処理手段(IPU2)に与えてその出力であるYMCK画像データを画像形成手段(PTR)に与えて、その出力用YMCK画像データをプリントアウトできる。
【0065】第2画像処理手段(IPU2)の出力であるYMCK画像データを、ただちには第3画像処理手段(IPU3)に出力せずに、画像データ制御手段(CDIC)によって圧縮1してパラレルバス(Pb)に送出し、画像メモリ制御手段(IMAC)によってパラレルバス(Pb)のYMCK画像データを圧縮2して画像メモリ(MEM)に書込むことができる。そして、画像メモリ制御手段(IMAC)によって画像メモリ(MEM)からYMCK画像データを伸張2してパラレルバス(Pb)に読み出し画像データ制御手段(CDIC)によって伸張1して画像形成手段(PTR)に与えて、その出力用YMCK画像データをプリントアウトできる。
【0066】従って、画像メモリ(MEM)を利用して、RGB画像データおよびYMCK画像データの蓄積,格納ができる。また、画像メモリ(MEM)に対する読み書きを利用して、画像編集を行うことができる。
【0067】(15)前記画像メモリ制御手段(IMAC)は、パソコン,LANなどの外部機器や前記パラレルバスに接続されたファクシミリ及び前記画像データ制御手段(CDIC)との間の画像データを前記画像メモリ(MEM)に圧縮して書込み、または読み出して伸張する、上記(13)の画像処理装置。
【0068】これは、いわゆる複合機能複写機の態様であり、画像データを一旦画像メモリ(MEM)に格納することにより、高度な画像処理或は画像編集を施すことが出来るほかに、画像メモリ制御手段(IMAC)は、パソコン,LANなど外部機器や前記パラレルバスに接続されたファクシミリ及び前記画像データ制御手段(CDIC)との間で画像データをやり取りできる。そして、画像データをやり取りするときならびにプリントアウトするとき、第1画像処理手段(IPU1),第2画像処理手段(IPU2)ならびに第3画像処理手段(IPU3)で高速に画像処理できる。
【0069】(16)複数ビット構成の多値階調データである入力画像データの階調特性を変更するγ変換処理方法において、読み書き可能なプログラムメモリ(36)、および、該プログラムメモリのプログラムに従ってそれぞれが2以上の所定数で一連の入力画像データのそれぞれに並行して同時に同じデータ処理をする2以上の所定数のプロセッサエレメント(PE)、を有する画像処理器(33/53y,53m,53c,53k)の、前記プログラムメモリ(36)に、γ変換特性の入力階調範囲を複数の区間に区分する境界値(x1〜x7),各区間の直線近似による補間演算を規定する補間演算パラメータ(a1〜a8,b1〜b8)、および入力画像データを用いた補間演算により出力画像データを算出する補間演算プログラムを書込み、前記画像処理器(33/53y,53m,53c,53k)にて、前記境界値と補間演算パラメータに基づく前記プログラムメモリに書込まれた補間演算に応じてγ変換処理を行なうことを特徴とするγ変換処理方法。
【0070】これによれば、上記(1)に記述した作用効果を同様に得ることができる。
【0071】(17)原稿の画像を読取り、1画素の画情報を複数ビット構成の多値階調データで表すカラー画像データを生成する画像読取手段(SCR)とカラー画像データに基づいてカラー画像を形成するカラー画像形成手段(PTR)の少なくとも1つと、カラー画像データにγ変換を含む画像データ処理を施す手段とを備えるカラー画像処理装置において、読み書き可能なプログラムメモリ(36)および該プログラムメモリのプログラムに従って1命令による複数データの処理を実行し、前記多値階調の複数画素分のカラー画像データのそれぞれに、並行して同時に同じデータ処理をする複数のプロセッサエレメント(PE)を有する画像処理器(33);および、カラーγ変換処理に用いるγ変換特性(図13)の入力階調範囲を入力可能な階調数より少ない複数の区間(i=1〜8)に区分する境界値(x1〜x7),各区間の直線近似による補間演算を規定する補間演算パラメータ(a1〜a8,b1〜b8)および入力カラー画像データに基いて、複数の入力カラー画像データのそれぞれにつき前記複数のプロセッサエレメント(PE)で同時に並行して、補間演算により出力カラー画像データを算出する補間演算プログラム、を前記プログラムメモリ(36)に書込む手段(106);を備え、前記画像処理器(33)が、前記プログラムメモリに書込まれた補間演算プログラムに応じて、カラーγ変換処理を行なうことを特徴とするカラー画像処理装置。
【0072】これによれば、前記カラー画像処理装置において、上記(1)に記述した作用効果を同様に得ることができる。
【0073】本発明の他の目的および特徴は、図面を参照した以下の実施例の説明より明らかになろう。
【0074】
【実施例】−第1実施例−図1に本発明の一実施例の複合機能フルカラーデジタル複写機の外観を示す。このフルカラー複写機は、大略で、自動原稿送り装置ADFと、操作ボードOPBと、カラースキャナSCRと、カラープリンタPTR、の各ユニットで構成されている。機内のカラー画像データ処理装置ACP(図3)には、パソコンPCが接続したLAN(Local Area Network)、および、電話回線PN(ファクシミリ通信回線)に接続された交換器PBXが接続されており、交換器PBXにファクシミリボードのファクシミリコントロールユニットFCU(図3)が接続されている。プリンタPTRのプリント済の用紙は、排紙トレイ8上に排出される。
【0075】図2に、カラープリンタPTRの機構を示す。この実施例のカラープリンタPTRは、レーザプリンタである。このレーザプリンタPTRは、マゼンダ(M),シアン(C),イエロー(Y)および黒(ブラック:K)の各色の画像を形成するための4組のトナー像形成ユニットが、転写紙の移動方向(図中の右下から左上方向)に沿ってこの順に配置されている。即ち、4連ドラム方式のフルカラー画像形成装置である。
【0076】これらマゼンダ(M),シアン(C),イエロー(Y)および黒(K)のトナー像形成ユニットは、それぞれ、感光体ドラム11M,11C,11Yおよび11Kを有する感光体ユニット10M,10C,10Yおよび10Kと現像ユニット20M,20C,20Yおよび20Kとを備えている。また、各トナー像形成部の配置は、各感光体ユニット内の感光体ドラム11M,11C,11Yおよび11Kの回転軸が水平x軸に平行になるように、且つ、転写紙移動方向(y,z平面上でy軸に対して45°をなす左上がり線)に所定ピッチの配列となるように、設定されている。各感光体ユニットの感光体ドラムとしては、表面に有機感光体(OPC)層を有する直径が30mmの感光体ドラムを用いた。
【0077】また、レーザプリンタPTRは、上記トナ−像形成ユニットのほか、レーザ走査による光書込ユニット2、給紙カセット3,4、レジストローラ対5、転写紙を担持して各トナ−像形成部の転写位置を通過するように搬送する転写搬送ベルト60を有する転写ベルトユニット6、ベルト定着方式の定着ユニット7、排紙トレイ8等を備えている。また、レーザプリンタPTRは、図示していない手差しトレイ、トナ−補給容器、廃トナーボトル、両面・反転ユニット、電源ユニットなども備えている。
【0078】光書込ユニット2は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を備え、画像データに基づいて各感光体ドラム11M,11C,11Yおよび11Kの表面にレーザ光を、x方向に振り走査しながら照射する。また図2上の一点鎖線は、転写紙の搬送経路を示している。給紙カセット3,4から給送された転写紙は、図示しない搬送ガイドで案内されながら搬送ローラで搬送され、レジストローラ対5に送られる。このレジストローラ対5により所定のタイミングで転写搬送ベルト60に送出された転写紙は転写搬送ベルト60で担持され、各トナ−像形成部の転写位置を通過するように搬送される。
【0079】各トナー像形成部の感光体ドラム11M,11C,11Yおよび11Kに形成されたトナー像が、転写搬送ベルト60で担持され搬送される転写紙に転写され、各色トナー像の重ね合わせ即ちカラー画像が形成された転写紙は、定着ユニット7に送られる。定着ユニット7を通過する時トナー像が転写紙に定着する。トナー像が定着した転写紙は、排紙トレイ8上に排出される。すなわち転写は、転写紙上にじかにトナー像を転写する直接転写方式である。
【0080】イエローYのトナ−像形成ユニットの概要を次に説明する。他のトナ−像形成ユニットも、イエローYのものと同様な構成である。イエローYのトナー像形成ユニットは、前述のように感光体ユニット10Y及び現像ユニット20Yを備えている。感光体ユニット10Yは、感光体ドラム11Yのほか、感光体ドラム表面に潤滑剤を塗布するブラシローラ,感光体ドラム表面をクリーニングする揺動可能なブレード,感光体ドラム表面に光を照射する除電ランプ,感光体ドラム表面を一様帯電する非接触型の帯電ローラ、等を備えている。
【0081】感光体ユニット10Yにおいて、交流電圧が印加された帯電ローラにより一様帯電された感光体ドラム11Yの表面に、光書込ユニット2で、プリントデータに基づいて変調されポリゴンミラーで偏向されたレーザ光Lが走査されながら照射されると、感光体ドラム11Yの表面に静電潜像が形成される。感光体ドラム1IY上の静電潜像は、現像ユニット20Yで現像されてイエローYのトナー像となる。転写搬送ベルト60上の転写紙が通過する転写位置では、感光体ドラム1IY上のトナー像が転写紙に転写される。トナ−像が転写された後の感光体ドラム11Yの表面は、ブラシローラで所定量の潤滑剤が塗布された後、ブレードでクリーニングされ、除電ランプから照射された光によって除電され、次の静電潜像の形成に備えられる。
【0082】現像ユニット20Yは、磁性キャリア及びマイナス帯電のトナ−を含む二成分現像剤を収納している。そして、現像ケース1Yの感光体ドラム側の開口から一部露出するように配設された現像ローラや、搬送スクリュウ、ドクタブレード、トナ−濃度センサ,粉体ポンプ等を備えている。現像ケース内に収容された現像剤は、搬送スクリュウで損枠攪拌搬送されることにより摩擦帯電する。そして、現像剤の一部が現像ローラの表面に担持される。ドクタブレードが現像ローラの表面の現像剤の層厚を均一に規制し、現像ローラの表面の現像剤中のトナーが感光体ドラムに移り、これにより静電潜像に対応するトナー像が感光体ドラム11Y上に現われる。現像ケース内の現像剤のトナー濃度はトナ−濃度センサで検知される。濃度不足の時には、粉体ポンプが駆動されてトナーが補給される。
【0083】次に、転写ベルトユニット6の概要を説明する。転写ベルトユニット6の転写搬送ベルト60は、体積抵抗率が109〜1011Ωcmである高抵抗の無端状単層ベルトであり、その材質はPVDF(ポリふっ化ビニリデン)である。この転写搬送ベルト60は、各トナ−像形成部の感光体ドラム11M,11C,11Yおよび11Kに接触対向する各転写位置を通過するように、4つの接地された張架ローラに掛け回されている。これらの張架ローラのうち、2点鎖線矢印で示す転写紙移動方向上流側の入口ローラには、電源から所定電圧が印加された静電吸着ローラが対向するように配置されている。これらの2つのローラの間を通過した転写紙は、転写搬送ベルト60上に静電吸着される。また、転写紙移動方向下流側の出口ローラは、転写搬送ベルトを摩擦駆動する駆動ローラであり、図示しない駆動源に接続されている。また、転写搬送ベルト60の外周面には、電源から所定のクリーニング用電圧が印加されたバイアスローラが接触するように配置されている。このバイアスローラにより転写搬送ベルト60上に付着したトナ−等の異物が除去される。
【0084】また、感光体ドラム11M,11C,11Yおよび11Kに接触対向する接触対向部を形成している転写搬送ベルト60の裏面に接触するように、転写バイアス印加部材を設けている。これらの転写バイアス印加部材は、マイラ製の固定ブラシであり、各転写バイアス電源から転写バイアスが印加される。この転写バイアス印加部材で印加された転写バイアスにより、転写搬送ベルト60に転写電荷が付与され、各転写位置において転写搬送ベルト60と感光体ドラム表面との間に所定強度の転写電界が形成される。
【0085】図3に、図1に示す複写機の電気系システムの主要部を示す。原稿を光学的に読み取るカラー原稿スキャナSCRは、読み取りユニット21にて、原稿に対するランプ照射の反射光をミラー及びレンズにより受光素子に集光する。受光素子(本実施例ではCCD)は、読み取りユニット21のセンサー・ボード・ユニット(以下単にSBUと称す)にあり、CCDに於いて電気信号に変換されたRGB画像信号は、SBU上でディジタル信号すなわち読取った各8ビット多値のR,G,B画像デ−タに変換された後、SBUから、第1画像処理ユニットIPU1(以下、単にIPU1と表現する)に与えられる。
【0086】IPU1は、入力RGB画像デ−タのそれぞれ(R,G,B画像データ)に、読取補正(CCDライン間補正,主走査レジスト調整,シェーディング補正,ドット補正,縦スジ補正およびスキャナγ変換)を加えると共に、RGB画像データが表す画像が、文字,線などの濃淡が2値的なもの(以下単に文字と称す)のエッジ(文字エッジ)又は中(線幅内:文字なか)か、写真などの網点画像(以下単に写真と称す)か、更に、有彩か、無彩か、を判定する像域分離を行う。また、RGB画像データが、紙幣や証券などの、複製禁止物を表すものであるかの判定(以下単に紙幣認識と称す)を行う。
【0087】そしてIPU1は、読取補正をした各8ビット多値のRGB画像データに、像域分離結果すなわち判定結果を表す像域データFdを加えて、それらを圧縮/伸張及びカラーデータインターフェース制御部CDIC(以下単にCDICと称す)に出力する。紙幣認識の結果が複製禁止物であるとIPU1は、システムコントローラ106にこれを報知する。システムコントローラ106はこの報知に応答して、カラー原稿スキャナSCRによる原稿画像読取りに付帯する画像処理条件(たとえば複写指示の場合には、フルカラー読取りか否か)を参照して、忠実な複製となる複写条件が設定されていると複製画を大きく色違いにする、画像毀損用のスキャナγ変換をIPU1に設定する。
【0088】CDICは、RGB画像データおよびYMCK画像データとそれらに付帯する像域データFdに関し、IPU1,パラレルバスPbおよび中間処理用の第2画像処理ユニットIPU2(以下、単にIPU2と表現する)の間のデータ転送、ならびに、図1に示すデジタル複写機全体制御を司るシステムコントローラ106と、主に読取ユニット21の動作とカラープリンタPTRの画像形成プロセス制御を司るプロセスコントローラ101間の、画像データ転送およびその他の制御に関する通信を行う。システムコントローラ106とプロセスコントローラ101は、パラレルバスPb,CDIC及びシリアルバスSbを介して相互に通信を行う。CDICは、その内部に於いてパラレルバスPbとシリアルバスSbとのデータインターフェースのためのデータフォーマット変換を行う。
【0089】カラー原稿スキャナSCRのIPU1からの、像域データFd付きのRGB画像データ(以下単にRGB画像データと称すこともある)は、CDICを経由してIPU2又はパラレルバスPbに転送又は送出される。パラレルバスPbに送出したRGB画像データは、画像メモリアクセス制御部IMAC(以下単にIMACと称す)によって画像メモリMEMに書込まれる。画像メモリMEMからパラレルバスPbに読み出したRGB画像データは、ファクシミリ送信のときにはFCUに、そうでないときにはIPU2に出力される。
【0090】IPU2はRGB画像データを各8ビット多値のYMCK画像データに変換し更にその前後に数種の画像処理を加える。YMCK画像データは、CDICを経由してパラレルバスPbに送出されIMACによって画像メモリMEMに格納される,或は、IPU2から直接に、Y,M,CおよびKの画像データごとにそれぞれ、第3画像処理ユニットIPU3y,IPU3m,IPU3cおよびIPU3k(以下、単にIPU3y,IPU3m,IPU3cおよびIPU3kと表現する)に出力される。
【0091】IPU3y,IPU3m,IPU3cおよびIPU3kはそれぞれ、Y,M,CおよびK画像データに各色プリンタγ変換を施してから、階調処理によりプリント出力用の2値のY,M,CおよびK画像データに変換しカラープリンタPTRの作像ユニット105に出力する。
【0092】上述のようにCDICには、RGB画像デ−タ又はYMCK画像データをメモリMEMに蓄積して再利用するジョブと、RGB画像デ−タをメモリMEMに蓄積しないでIPU2でYMCK画像データに変換してIPU3y,3m,3c,3kに出力しプリントアウトするジョブとがある。メモリMEMに蓄積する例としては、1枚の原稿を複数枚複写する場合、読取りユニット21を1回だけ動作させ、IPU1のRGB画像デ−タ又はそれをIPU2で変換したYMCK画像データをメモリMEMに蓄積し、蓄積データを複数回読み出す使い方がある。メモリMEMを使わない例としては、1枚の原稿を1枚だけ複写する場合、IPU1のRGB画像デ−タをそのままIPU2に出力しそのYMCK画像データをIPU3でプリンタ出力用に処理すれば良いので、メモリMEMへの書込みを行う必要はない。
【0093】まず、メモリMEMを使わない場合、IPU1からCDICへ転送された画像データは、CDICからIPU2に送られる。IPU2は、RGB画像データに中間処理(フィルタ処理,地肌除去,色変換すなわちYMCK画像データへの変換,下色除去,主走査変倍,主走査シフト,主走査ミラーリング,副走査間引き,マスク処理および単色文字出力の場合の2値化)を施す。
【0094】IPU3y,IPU3m,IPU3cおよびIPU3kはそれぞれ、Y,M,CおよびK画像データに、出力補正(プリンタγ変換および階調処理)を施す。階調処理により2値化されたY,M,CおよびK画像データが、レ−ザプリンタPTRの作像ユニット105に於いてY,M,CおよびK作像ユニットのレーザ変調器に与えられ、各色画像形成用の2値静電潜像が、感光体ドラム11Y,11M,11Cおよび11Kに形成される。階調処理には、濃度変換,ディザ処理,誤差拡散処理等が有り、階調情報の面積近似を主な処理とする。
【0095】メモリMEMに蓄積し、それからの読み出し時に付加的な処理、例えば画像方向の回転,画像の合成等を行う場合は、IPU1からCDICへ転送されたデータは、CDICでバス転送用の1次圧縮をしてからパラレルバスPbを経由してIMACに送られる。ここではシステムコントローラ106の制御に基づき画像データと画像メモリMEMのアクセス制御,外部パソコンPC(以下単にPCと称す)のプリント用データの展開(文字コ−ド/キャラクタビット変換),メモリー有効活用のための画像データの2次圧縮を行う。
【0096】IMACで2次圧縮したデータは画像メモリMEMへ蓄積し、蓄積データを必要に応じて読み出す。読み出したデータはIMACで2次伸張(2次圧縮の伸張)をして1次圧縮データに戻しIMACからパラレルバスPb経由でCDICへ戻される。CDICでは、1次伸張(1次圧縮の伸張)をして画像データに戻してIPU2に送り、RGB画像データの場合はそこでYMCK画像データに変換して、上述と同様に圧縮して画像メモリMEMに書込む。又は、IPU2のYMCK画像データを直ちにIPU3y〜3kに送り、作像ユニット105で画像を形成する。
【0097】上述の画像データの流れに於いて、IMACの、画像メモリMEMおよびパラレルバスPbに対する画像データの読み書き制御、ならびに、CDICの、IPU1およびIPU2とパラレルバスPbとの間のバス制御により、デジタル複写機の複合機能を実現する。複写機能の1つであるFAX送信機能は、カラー原稿スキャナSCRの読取りユニット21が発生するRGB画像データをIPU1にて読取補正し、必要に応じて更にIPU2でYMCK画像データに変換して、CDIC及びパラレルバスPbを経由してFCUへ転送する。FCUにて公衆回線通信網PN(以下単にPNと称す)へのデータ変換を行い、PNへFAXデータとして送信する。FAX受信は、PNからの回線データをFCUにて画像データに変換し、パラレルバスPb及びCDICを経由してIPU2へ転送する。受信データがRGB画像データであるとIPU2でYMCK画像データに変換するが、受信データがYMCK画像データであると特別な中間処理は行わず、IPU3y〜3kに送り、作像ユニット105で画像を形成する。
【0098】複数ジョブ、例えばコピー機能,FAX送受信機能およびプリンタ出力機能、が並行に動作する状況に於いて、カラー原稿スキャナSCR,カラープリンタPTR,パラレルバスPbおよびIPU2の使用権のジョブへの割り振りを、システムコントロ−ラ106およびプロセスコントロラ101にて制御する。
【0099】プロセスコントローラ101は画像データの流れを制御し、システムコントローラ106はシステム全体を制御し各リソースの起動を管理する。このデジタル複合機能カラー複写機の機能選択は、操作ボ−ドOPBにて選択入力し、コピー機能,FAX機能等の処理内容を設定する。パソコンPCのプリントコマンドに応答するプリンタ出力機能の処理内容は、パソコンPCのプリントコマンドが設定する。
【0100】カラー原稿スキャナSCRが出力する読取補正をしたRGB画像データを、一旦メモリMEMに蓄積しておけば、IPU3y,IPU3m,IPU3cおよびIPU3k、ならびに必要に応じてIPU2で施す処理を変える事によって種々の再生画像を確認することができる。例えばγ変換特性を変えてみたり、再生画像の濃度を振ってみたり、ディザマトリクスの線数を変更してみたりする事で、再生画像の雰囲気を変更できる。この時処理を変更する度に画像をカラー原稿スキャナSCRで読み込み直す必要はなく、MEMから格納画像を読み出せば同一データに対し、何度でも異なる処理を実施できる。
【0101】図4の(a)に、カラー原稿スキャナSCRの画像データ処理系の概要を示す。CCD22が発生したR,G,B画像信号はA/Dコンバータ23で8ビット多値のR,G,B画像データに変換されて、インターフェース(以下ではI/Fと称す)24を通して、IPU1に与えられる。
【0102】IPU1の主要部は、入出力I/F31,バッファメモリ32およびSIMD型プロセッサ33を結合したカラー画像処理ユニットである。
【0103】図5に、IPU1のカラー画像処理ユニット(31+32+33)の各部の構成を示す。入出力I/F31には、画像データの入,出力をする画像ポート0〜4、および、制御データ,制御信号あるいは同期信号のやり取りをするモード設定器(モード指定デコーダ),SCI(Computer System Interface),割込みコントローラ,JTAG(ジョブ指定デコーダ/エンコーダ),ホストI/Fおよびクロックジェネレータ、ならびにタイマがある。画像ポート0および1は画像データの入力専用,画像ポート2は画像データの入出力用、ならびに、画像ポート3および4は出力専用である。
【0104】バッファメモリ32の一個のRAM 8K(8Kバイト)は、A3版短辺に平行な1ラインの600dpiの多値の画像データ(8ビット:R,G,B,Y,M,C,K画像データの1種)を格納しうる容量であり、ラインバッフアとして画像データの入力および又は出力に用いられる、あるいは、LUTとして用いられる。この種のRAM 8Kが16個ある。2個のRAM 2Kは、画像データ転送元又は転送先との間のシリアルデータ転送の速度差吸収のために、画像データを循環シフトする循環シフトレジスタとして使用するものである。
【0105】これらのRAMはメモリスイッチSW1〜SW3の何れかに接続されている。画像ポート0〜4,メモリスイッチSW1〜SW3およびSIMD型プロセッサ33の3者の間にはメモリコントローラ「メモコン」が介挿されている。メモコンは、SIMD型プロセッサ33が与える入出力モード指定に応じて、メモリスイッチSW1〜SW3の内部のスイッチのオン/オフを定め、すなわち、画像ポート/メモコン/RAM使用モードの場合はメモリスイッチ&使用するRAM/SIMD型プロセッサの接続、を設定し、指定モードの、画像データのパラレル,シリアル変換および転送を行う。
【0106】図6に、メモコンが行うことができる画像データのパラレル,シリアル変換の数種を示す。(a)は、画像ポート,RAM 8K又はSIMD型プロセッサ33から、与えられる色別R,G,B画像データ(3連;1連は1色の1ラインの画像データ)と像域データFd(1連;1ラインの像域データ)を、1つのメモコンで2連を1連に集成して、合計で2連にパラレル/シリアル変換する態様を示す。この例では、パラレル2連入力のR画像データとG画像データが、交互ピックアップ集成により、1連に変換され、パラレル2連入力のB画像データと像域データFdが、交互ピックアップ集成により、1連に変換される。
【0107】(b)は、上記(a)でシリアル変換された2連のシリアルデータを、元の4連のパラレルデータに戻すシリアル/パラレル変換を示す。
【0108】(c)は、IPU1のバッファメモリ32では実行されないが、IPU2の同様なバッフアメモリで、IPU3y〜3kへのYMCK画像データ出力のときに実行されるパラレル/シリアル変換を示し、5連のパラレルデータ、すなわち色別Y,M,C,K画像データ(4連)と像域データFd(1連)、を4連のシリアルデータに変換する。変換した各1連のシリアルデータはIPU3y〜3kのそれぞれに転送される。IPU3y〜3kは、逆変換すなわちシリアル/パラレル変換により、各1色の画像データ(Y,M,C,K)と像域データFdの2連に分ける。
【0109】(d)は、IPU1のバッファメモリ32では実行されないが、IPU2の同様なバッフアメモリで、IPU2のSIMD型プロセッサが生成したパラレルYMCK画像データをパラレルバスPbにシリアル出力するときに実行されるパラレル/シリアル変換を示し、4連のパラレルデータ、すなわち色別Y,M,C,K画像データ(4連)、を2連のシリアルデータに変換する。この2連のシリアルデータを受けるときには、IPU2は逆変換すなわちシリアルパラレル変換により、元の4連の色別Y,M,C,K画像データに分ける。
【0110】SIMD型プロセッサ33は、外部(メモコン)とのデータ入出力に関し、複数個の入出力ポートを持ち、それぞれ入力、出力を任意に設定できる。
【0111】図7の(a)に、図5に示すSIMD型プロセッサ33の内部構成の概略を示し、図7の(b)には、(a)に示す1つのプロセッサエレメントPEの一部分の構成を拡大して示す。このSIMD型プロセッサ33は、内部にプロセッサエレメントPE区分のローカルメモリRAM群を持ち、使用するメモリ領域,データパスの経路をデータバスコントロールに於いて制御する。入力されたデータおよび出力のためのデータはローカルメモリRAM群をバッファーメモリとして割り当て、それぞれに格納し、外部とのI/Fを制御する。ローカルメモリRAMを含みそれぞれが8ビット以上の多値画像データに対して並行して同じ画像処理を行う320個のプロセッサエレメントPE群に、グローバルプロセッサ38が同時に同一の演算命令を与える。プロセッサエレメントPEの演算結果は再度ローカールメモリRAMに格納する。そして外部I/Fを通してメモコンに出力する。
【0112】プロセッサエレメントPEの処理手順,処理のためのパラメータ等はプログラムRAM36及びデータRAM37との間でやり取りを行う。プログラムRAM36,データRAM37には、システムコントローラ106によって、ハードディスクHDDのプログラムおよびデータが、IMAC/パラレルバスPb/CDIC/シリアルバスSb経由で、ダウンロードされる。このデータの流れは、プロセスコントローラ101が制御する。画像処理の内容を変えたり、システムで要求される処理形態(画像処理の組合せ)が変更になる場合、HDDからプログラムRAM36及びデータRAM37に転送するデータセットの、システムコントローラ106による選択を、操作ボードOPB又はパソコンPCからの指示により変更して対応する。また、HDDの、プログラムRAM36及びデータRAM37に転送するデータセットを、書換えて対応する場合もある。
【0113】再度図4の(a)を参照すると、IPU1のカラー画像処理ユニット(31+32+33)の画像処理機能は、SIMD型プロセッサ33の内部のプログラムメモリであるRAM36に書込まれた読取処理プログラムにより定まる。該読取処理プログラムは、入力RGB画像データに、CCDライン間補正,主走査レジスト調整,シェーディング補正,ドット補正,縦スジ補正およびスキャナγ変換をこの順に順次に加え、しかも縦スジ補正まで施したRGB画像データに基いて像域分離して像域データFdを生成して画像上の同一位置対応で読取処理を終えた出力RGB画像データに付加してCDICに出力すると共に、外付けの紙幣認識ユニット34に、縦スジ補正まで施したRGB画像データを与えるものである。ここでのスキャナγ変換の内容は、図11,図12および図13を参照して後述する。
【0114】図4の(b)に、CDICの機能構成の概要を示す。画像データ入出力制御121は、IPU1が図6の(a)に示す態様でシリアル変換したRGB画像データ(像域データFdを含む)をうけて、IPU2に出力する。IPU2は、そのメモコンで図6の(b)に示すパラレル/シリアル変換をして、RGB画像データのそれぞれと像域データFdに分離し、RGB画像データを中間処理を施してYMCK各記録色の画像データに変換した8ビット構成の多値YMCK画像データを発生して、画像形成(プリントアウト)が指定されているときには、図6の(c)に示すパラレル/シリアル変換をして、IPU3y〜IPU3kに出力する。パラレルバスPbに出力する指定の場合には、図6の(d)に示すパラレル/シリアル変換をしてCDICの画像データ入出力制御122に送りだす。
【0115】画像データ入出力制御122が受けたデータは、パラレルバスPbでの転送効率を高めるためにデータ圧縮部123に於いて、画像データの1次圧縮を行う。圧縮した画像デ−タは、データ変換部124でパラレルデータに変換してパラレルデータI/F125を介してパラレルバスPbへ送出される。パラレルデータバスPbからパラレルデータI/F125を介して入力される画像データは、データ変換部124でシリアル変換される。このデータは、バス転送のために1次圧縮されており、データ伸張部126で伸張される。伸張された画像データは、図6の(d)のメモコン出力側に示す2連のシリアルデータであり、画像データ出力制御127によってIPU2へ転送される。IPU2では、パラレル変換によりY,M,C,K画像データに分ける。
【0116】CDICは、パラレルバスPbで転送するパラレルデータとシリアルバスSbで転送するシリアルデータの変換機能を併せ持つ。システムコントローラ106は、パラレルバスPbにデータを転送し、プロセスコントローラ101は、シリアルバスSbにデータを転送する。2つのコントローラ106,101の通信のために、デ−タ変換部124およびシリアルデ−タI/F129で、パラレル/シリアルデータ変換を行う。シリアルデータI/F128は、IPU2用であり、IPU2ともシリアルデ−タ転送する。
【0117】図8の(a)に、IPU2の概要を示す。IPU2は、入出力I/F41,バッファメモリ42およびSIMD型プロセッサ43を結合したカラー画像処理ユニットである。これは、図5に示すIPU1のカラー画像処理ユニット(31+32+33)と同様の構成であるが、SIMD型プロセッサ43のプログラムRAMおよびデータRAMに格納されるデータが、IPU2では、RGB画像データに中間処理(フィルタ処理,地肌除去,色変換すなわちYMCK画像データへの変換,下色除去,主走査変倍,主走査シフト,主走査ミラーリング,副走査間引き,マスク処理および単色文字出力の場合の2値化)を行うものである。
【0118】図8の(b)に、IMACの機能構成の概略を示す。パラレルデータI/F141に於いて、パラレルバスPbに対する画像データの入,出力を管理し、MEMへの画像データの格納/読み出しと、主に外部のパソコンPCから入力されるコードデータの画像データへの展開を制御する。PCから入力されたコードデータは、ラインバッファ142に格納する。すなわち、ローカル領域でのデータの格納を行い、ラインバッファ142に格納したコードデータは、システムコントローラI/F144を介して入力されたシステムコントローラ106からの展開処理命令に基づき、ビデオ制御143に於いて画像データに展開する。
【0119】展開した画像データもしくはパラレルデータI/F141を介してパラレルバスPbから入力される画像データは、MEMに格納される。この場合、データ変換部45に於いて格納対象となる画像データを選択し、データ圧縮部46においてメモリ使用効率を上げるためにデータの2次圧縮を行い、メモリアクセス制御部147にてMEMのアドレスを管理しながらMEMに2次圧縮したデータを格納する。MEMに格納された画像データの読み出しは、メモリアクセス制御部147にて読み出し先アドレスを制御し、読み出された画像データをデータ伸張部48にて伸張する。伸張された画像データは、パレルバスPbで転送用に1次圧縮されたものであり、これをパラレルバスPbへ転送する場合、パラレルデータI/F141を介してデータ転送を行う。
【0120】図3に示す、FAX送受信を行うファクシミリコントロールユニットFCUは、画像データを通信形式に変換して外部回線PNに送信し、又、外部回線PNからのデータを画像データに戻して外部I/F部及びパラレルバスPbを介して作像ユニット105において記録出力する。FCUは、FAX画像処理,画像メモリ,メモリ制御部,ファクシミリ制御部,画像圧縮伸張,モデム及び網制御装置からなる。画像データの出力バッファ機能に関してはIMAC及びMEMでその機能の一部をおぎなう。
【0121】この様に構成されたFAX送受信部FCUでは、画像情報の伝送を開始するとき、FCU内においてファクシミリ制御部がメモリ制御部に指令し、FCU内の画像メモリから蓄積している画像情報を順次読み出させる。読み出された画像情報は、FCU内のFAX画像処理によって元の信号に復元されるとともに、密度変換処理及び変倍処理がなされ、ファクシミリ制御部に加えられる。ファクシミリ制御部に加えられた画像信号は、画像圧縮伸張部によって符号圧縮され、モデムによって変調された後、網制御装置を介して宛先へと送出される。そして、送信が完了した画像情報は、画像メモリから削除される。
【0122】受信時には、受信画像は一旦FCU内の画像メモリに蓄積され、その時に受信画像を記録出力可能であれば、1枚分の画像の受信を完了した時点で記録出力される。
【0123】図9に、IPU3y〜3kの概要を示す。IPU3y〜3kは同一の構成で、ほぼ同様な内容の出力補正(プリンタγ変換および階調処理)を行う。そこでここではIPU3yを説明する。IPU3yは、入出力I/F51y,バッファメモリ52yおよびSIMD型プロセッサ53yを結合したカラー画像処理ユニットである。これは、図5に示すIPU1のカラー画像処理ユニット(31+32+33)と同様の構成であるが、SIMD型プロセッサ53yのプログラムRAMおよびデータRAMに格納されるデータが、IPU3yでは、Y画像データにY用のプリンタγ変換を加えさらに、階調処理によってプリント出力用の2値データに変換するものである。階調処理では、濃度階調処理,ディザ処理および誤差拡散2値化があり、画像処理モード指定または像域データFdに応じてそれらの1つを実施するが、本実施例のIPU3yは、誤差拡散2値化ユニット35(図5に2点鎖線で示す)をSIMDプロセッサ53yに接続したものである。図9においてはこの誤差拡散2値化ユニット35の図示は省略している。
【0124】IPU3m,IPU3cおよびIPU3kの説明はそれぞれ、上記IPU3yの説明のY(y)を、M(m),C(c)およびK(k)とおき変えたものとなる。なお、IPU3y〜3kは、図6の(c)のメモコンの出力側に示す、像域データFdを含むシリアルデータを受けるときには、図6の(c)のパラレル/シリアル変換、の逆変換をして、YMCK画像データと像域データFdとを分離する。例えばIPU3yは、Y画像データと像域データFdが交互に配置された1連のシリアルデータを、Y画像データのみの1連と、像域データFdのみの1連に、パラレル変換する。
【0125】以上の例において、画像データ制御手段であるCDICと画像メモリ制御手段であるIMACは、パラレルバスPbで接続されている。各独立した、カラー原稿スキャナSCR,第2のカラー画像処理ユニットIPU2およびカラープリンタPTRは直接パラレルバスPbに接続せずにCDICあるいはIPU2に接続するため、事実上、パラレルバスPbの使用管理は、CDICとIMACによってのみ行われる。よってパラレルバスPbの調停や転送の制御が容易であり、かつ効率的である。
【0126】図10に、画像メモリMEMに画像を蓄積する処理ならびにMEMから画像を読出す処理のフローを示す。(a)はカラー原稿スキャナSCRが発生するRGB画像データ又はIPU2が変換したYMCK画像データをMEMに書き込むまでの画像データの処理あるいは転送過程Ip1〜Ip14を示し、(b)はMEMから画像データを読み出して、カラープリンタPTRの作像ユニット105に出力するまで、又は、RGB画像データを読出してIPU2でYMCK画像データに変換して再度MEMに書込むまで、の画像データの処理あるいは転送過程Op1〜Op13を示す。CDICの制御により、このようなバス及びユニット間のデータフローが制御される。
【0127】なお、カラー原稿スキャナSCRが発生するRGB画像データをMEMに書込むときには、CDICは、ステップIp4からIP6に進むルート(A)を選択する。カラー原稿スキャナSCRが発生するRGB画像データをIPU2でYMCK画像データに変換してMEMに書込む時には、ステップIp4からIP5に進むルート(B)を選択する。
【0128】メモリMEMから読出すときには、読出しデータがYMCK画像データであるときにはCDICは、ステップOp8からOP10に進むルート(c)を選択し、RGB画像データを読出してYMCKデータに変換してから再度MEMに書込む時には、ステップOp8からIP10に進むルート(D)を選択し、RGB画像データを読出してYMCKデータに変換してプリントアウトするときには、ステップOp8からOP9に進むルート(E)を選択する。
【0129】上述のIPU1におけるRGB画像データの読取補正,IPU2におけるYMCK画像データへの変換を含む中間処理、および、IPU3y〜IPU3kにおけるプリンタ出力用の出力補正、のいずれにも、1ライン上に分布する各画素宛ての各画像データに、大要では同一の処理を行う画像処理が多い。細かくは、像域データFdの違いに対応して処理内容を切換える処理もあるが、その場合でも像域データFdが同じであれば同じ内容の画像処理を行う。
【0130】したがって、カラー画像処理ユニットIPU1〜IPU3にはSIMD型プロセッサ33,43,53y,53m,53c,53kを用いて、多数のプロセッサエレメントPEによって、多数の、多値階調のカラー画像データのそれぞれに同時に並行して同じ画像処理を施すことにより、前記読取補正,中間処理および出力補正の総てでカラー画像処理速度を高くしている。
【0131】なお、本実施例でSIMD型プロセッサ33,43,53Y,53m,53c,53kは、それぞれが8ビット以上の多値画像データを処理する総計320個のプロセッサエレメントPEを備え、同時に320個(320画素分)の画像データを処理できる。例えばディザ処理で用いられるマトリクスは、例えば4×4,6×6,8×8,16×16のサイズが考えられ、これらの何れにも適応しえて、しかも、ディザ処理速度を速くするために同時に複数個のマトリクスの処理を並行して行おうとすれば、4,8は16の約数のため6と16の最小公倍数である96(=6×16)の整数倍の数のプロセッサエレメントPEが必要である。そこで本実施例では、オフセット分32個を加えて、96×3+32=320個のプロセッサエレメントPEを設けている。これらオフセットのものは、96×3個の画素群の画像データを処理する場合に、該画素群の両外側の近傍画素の画像データを参照するときに、該近傍画素の画像データ保持用又は供給用もしくは中間的な演算処理用に使用される。
【0132】注目画素を中心に2次元方向にそれぞれ複数の画素があるマトリクスの区分で、注目画素の画像データにエッジ強調又は平滑化の処理を施すフィルタ処理(MTF補正)のとき、また、マトリクスの画像データ分布をエッジパターンマトリクスと比較して注目画素が画像エッジであるかを判定するエッジ検出など、マトリクス区分の画像データ処理をする場合には、実質上演算データを算出出力する96×3個のプロセッサエレメントPE(実効エレメント)の両側に夫々16個プロセッサエレメントをオフセット分として割当てて、それらにも96×3個の画素群の両外側の近傍画素の画像データを与えて、積和演算或はパターン比較をして、結果を実効エレメントに供給する必要がある。したがって、画像処理の内容によっては、96×3個以上のプロセッサエレメントが同時並行の画像データ処理に用いられる。
【0133】なお、上述の直線近似の補間演算によるγ変換の場合には、近傍画素の画像データを注目画素のγ変換に参照する必要はないので、320個のプロセッサエレメントPEのすべてを、実効エレメントとして320画素の画像データの同時並行のγ変換を行う。
【0134】ハードディスクHDD(図3)には、SIMD型プロセッサ33,43,53y,53m,53cおよび53kそれぞれのプログラムRAMおよびデータRAM(36,37:図7)にロードする、画像処理プログラムおよびデータがある。システムコントローラ106が、電源オンに応じて発生するリセット信号ならびに操作ボードOPBまたはホストPCからのリセット指示に応答してシステムの初期設定をするとき、ハードディスクHDDにある、各プロセッサ33,43,53y,53m,53cおよび53k宛てのプログラムおよびデータを、上述のIMAC,パラレルバスPb,CDIC,シリアルバスSbおよびプロセスコントローラ101を用いるデータ転送を利用して、各プロセッサ33,43,53y,53m,53cおよび53kのプログラムRAMおよびデータRAMにロードする。
【0135】ここで、IPU1,IPU2およびIPU3y〜3kが実行する、多数の画像データに同時に並行して同一の処理を行う多くの画像処理の中の、γ変換(IPU1におけるスキャナγ変換&IPU3y〜3kにおけるプリンタγ変換)を説明する。
【0136】IPU1宛ての読取補正プログラムには、γ変換の位置に、スキャナγ変換のプログラムの格納アドレス(例えば第1グループのS1R,S1G&S1B:図11)が挿入されており、HDDから読取補正プログラムをIPU1のプロセッサ33のプログラムRAM36に転送するときに、該格納アドレスのR,GおよびBスキャナγ変換のプログラムを、該格納アドレスと置き変えて、転送する。プログラムRAM36に転送した後でも、プログラムRAM36のプログラムは、操作ボードOPB或はホストPCからの変更操作(書換え指示入力)によってシステムコントローラ106に書換え命令を与えて、図11に示す他のグループのもの(例えばS3R,S3G,S3Bのもの)に書換えることができる。
【0137】同様に、IPU3y,IPU3m,IPU3cおよびIPU3kの夫々宛てのY,M,CおよびK出力補正プログラムにも、γ変換の位置に、Y,M,CおよびKプリンタγ変換のプログラムの格納アドレス(例えば第1グループのP1Y,P1M,P1CおよびP1K:図11)が挿入されており、HDDからY,M,CおよびK出力補正プログラムを、IPU3y,IPU3m,IPU3cおよびIPU3kのプロセッサ53y,53m,53cおよび53kの各プログラムRAMに転送するときに、該格納アドレスのプリンタγ変換のプログラムを、該格納アドレスと置き変えて、転送する。各プログラムRAMに転送した後でも、操作ボードOPB或はホストPCからの変更操作によって、図11に示す他のグループのもの(例えばP3Y,P3M,P3C,P3Kのもの)に書換えることができる。
【0138】ここで、上述のR,GおよびBスキャナγ変換ならびにY,M,CおよびKプリンタγ変換のプログラムによるγ変換の内容を説明する。
【0139】図13を参照されたい。本実施例では、読取ユニット21が出力するRGB画像データのIPU1でのγ変換ならびにIPU2が出力するYMCK画像データのIPU3y〜IPU3kでのγ変換で、入力画像データx(横軸値:R,G,B/Y,M,C,K画像データ)を、図13に2点鎖線で示す略S字カーブの変換特性(特性曲線は色々である)となるように、出力画像データy(縦軸値;イエローyではない)に変換するが、8ビット構成の入力画像データxが表し得る数値範囲0〜255をそれより少ない複数m=8区間に分割して、変換特性曲線の各区間を、図13上に実線で示す直線で近似した。これらの直線を表わす数式を用いる、直線近似の補間演算によりγ変換する。これらの補間演算式の適用区間を次に示す。
【0140】
区間No.i 境界値 演算式(パラメータai,bi)
1 x1 y1=a1・x+b1 2 x2 y2=a2・x+b2 3 x3 y3=a3・x+b3 4 x4 y4=a4・x+b4 5 x5 y5=a5・x+b5 6 x6 y6=a6・x+b6 7 x7 y7=a7・x+b7 8 (x8:不要) y8=a8・x+b8なお、隣接する区間の境界において両区間の演算式は繋がっている。例えばy1=a1・x+b1とy2=a2・x+b2に、x=x1を与えたときの、y1の値=y2の値、すなわち、y1=a1・x1+b1=a2・x1+b2=y2である。
【0141】境界値はxi(x1〜x8)、補間演算パラメータは傾きai(a1〜a8)およびy切片(オフセット)bi(b1〜b8)である。
【0142】図11に示すリスト上の各変換プログラムは、これらの演算式に従って、入力画像データxに対応するγ変換した出力画像データyを算出するものである。なお、図11に示すリスト上の多数の変換プログラムは、直線式(を規定するパラメータ)あるいは区間(を規定する境界値)が異なるものである。すなわちγ変換特性が異なるものである。
【0143】図12に、IPU1,IPU3y,IPU3m,IPU3cおよびIPU3kのSIMD型プロセッサ33,53y,53m,53c,53kの、プログラムRAM(36)の変換プログラムに基いたグローバルプロセッサ(38)による、n個(例えば320個)の画像データの同時並行のγ変換の内容を示す。なお、本実施例では、入出力画像データ共に、8ビット構成の多値階調データである。
【0144】グローバルプロセッサ(38)はまず、全プロセッサエレメントPE1〜PEnを初期化してから、n個の画像データD1〜Dnのそれぞれを、n個のプロセッサエレメントPE1〜PEnの各入力レジスタにセットする(ステップγp1)。なお、以下においてカッコ内には、ステップという語を省略して、ステップNo.記号のみを記す。
【0145】次に、グローバルプロセッサ(38)は、全プロセッサエレメントPE1〜PEnに最後区間i=m=8の補間演算パラメータam(a8),bm(b8)を与え、各プロセッサエレメントはそれらを自己のパラメータ設定用レジスタに書込む(γp2)。
【0146】次に、グローバルプロセッサ(38)は、演算対象区間iを第1区間(i=1)に定めて(γp3)、区間iの境界値xiをプロセッサエレメントPE1〜PEnに与えて、比較を指示する。PE1〜PEnはそれぞれ、セットされている画像データD(D1〜Dnのそれぞれ)が第i区間である(xi<D:NO,すなわちxi≧Dである)かをチェックして、第i区間であると自身のフラグに「1」を立てる(γp4)。次に、第i区間の計算式を規定するパラメータA=ai,B=biをプロセッサエレメントPE1〜PEnに与える。ここで、自身のフラグに始めて「1」を立てた(フラグを「0」から「1」に切換えた)プロセッサエレメントは、自身のパラメータ設定用レジスタに、パラメータA=ai,B=biを書込む(γp5)。
【0147】第1区間を演算対象区間とした上記処理を同様に、演算対象区間iを順次に第2(i=2),第3(i=3),・・・と更新して、第m−1=7区間(i=7)まで繰返し実行する(γp6/γp7/γp4/γp5/γp6)。ただし、すでにフラグに「1」を立てており、「0」から「1」への切換わりのないプロセッサエレメントは、自身のパラメータ設定用レジスタに新たにパラメータA=ai,B=biを更新書込みすることはしない。
【0148】第m−1=7区間まで実行すると、プロセッサエレメントPE1〜PEnのいずれもが、自身にセットされている画像データが属する区間に宛てられているパラメータA=ai,B=biを、自身のパラメータ設定用レジスタに保持していることになる。
【0149】ここでグローバルプロセッサは、Y=A・x+B、xはセットしている画像データ、なる演算指示をプロセッサエレメントPE1〜PEnにあたえる。プロセッサエレメントPE1〜PEnは、パラメータ設定用レジスタに保持しているA=ai,B=biを用いて、Y=A・x+Bを算出し、算出したYを表すデータすなわちγ変換した画像データを、自身の出力レジスタに格納する(γp8)。グローバルプロセッサ(38)は、プロセッサエレメントPE1〜PEnの出力レジスタのデータ(AD1〜ADn:算出したY)をプロセッサエレメントのRAMの出力データ領域に書込み、メモコン(図5)にそこのデータの読み出しを指示する。
【0150】この第1実施例の補間演算では、プロセッサエレメントPE群に対する1グループの画像データ群D1〜Dnのセット;プロセッサエレメント群に対するi区間の境界値の同時供給とそれに続く該区間iの補間演算パラメータの同時供給、の区間i=1〜mについての実行、すなわちm回の繰返し;および、一回の演算式の指定と算出指示;によって、画像データ群D1〜Dnの変換が完了する。
【0151】プロセッサエレメント群は算出演算は1回のみであり、変換速度が速い。前掲の表1に示すように、320個のプロセッサエレメント(PE)を用いて320画素のカラー画像データを同時にγ変換する場合の、画像処理器(33)のデータ処理ステップ数は少ない。従来のLUTを用いるγ変換では、「アドレス設定」と「読み出し」という2ステップを踏み、320画素のカラー画像データをγ変換するのに、時系列で640ステップを要するのに対比して、大幅なステップ数の低減となり、γ変換速度が速い。
【0152】上述のγ変換は、IPU1のSIMD型プロセッサ33のプログラムRAM(36)に書込んだ読取補正プログラムの中のスキャナγ変換プログラム、又は、IPU3y〜3kのSIMD型プロセッサのプログラムRAMに書込んだ出力補正プログラムの中のプリンタγ変換プログラムを、ハードディスクHDDにある他の、γ変換特性が異なるものに書換えることにより、変更できる。
【0153】なお、本実施例では、IPU1のSIMD型プロセッサ33は、図12に示すγ変換を繰り返して、1ライン分のR画像データのγ変換を終えると、該1ラインのG画像データのγ変換をする。そして次に該1ラインのB画像データのγ変換をする。これを終了すると、次のラインのR画像データのγ変換を開始する。同一ラインのγ変換したR,G,B画像データは、全てが整うまでバッファメモリ32に蓄積してから、該1ラインの像域データFdと共に、図5に示すメモコンで、図6の(a)に示す態様でパラレル/シリアル変換して、CDICに送り出す。しかし、IPU3y,IPU3m,IPU3cおよびIPU3kは、それぞれY,M,CおよびK画像データの一色のみを、同一時点に並行してγ変換する。
【0154】上述のように第1実施例では、境界値を最小値から順番に大きいものに変更して、画像データと比較したが、境界値を最大値から順番に小さいものに変更して画像データと比較する態様も有り得る。例えば、図12のステツプγp2ではA=a1,B=b1をパラメータ設定用レジスタに書込み、ステップγp3ではiを8に設定し、ステップγp4ではx(i-1)をエレメントPE1〜PEnにあたえて第i区間にある(D≧x(i-1))かをチェックする。そしてステップγp6ではiが1かをチェックして、1であるとステップγp8に進み、1になっていないと、ステップγp7でiを1デクレメントする。
【0155】−第2実施例−第2実施例のハードウエアは、上述の第1実施例と同じであるが、第2実施例は、γ変換の補間演算でのデータ処理の内容が少し異なる。
【0156】図14に、第2実施例のIPU1およびIPU3y〜3kが実行する、γ変換(IPU1におけるスキャナγ変換&IPU3y〜3kにおけるプリンタγ変換)の内容を示す。
【0157】第2実施例のSIMD型プロセッサ(33)のグローバルプロセッサ(38)はまず、全プロセッサエレメントPE1〜PEnを初期化してから、n個の画像データD1〜Dnのそれぞれを、n個のプロセッサエレメントPE1〜PEnの各入力レジスタにセットする(ステップaγp1)。
【0158】次に、グローバルプロセッサ(38)は、演算対象区間iを第1区間(i=1)に定めて(aγp2)、区間iの補間演算パラメータai,biを全プロセッサエレメントPE1〜PEnに与えて、yi=ai・x+biの算出を指示する(aγp3)。全プロセッサエレメントPE1〜PEnは、それぞれに与えられている画像データD(D1〜Dnのそれぞれ)をxとして、yiを算出し、それぞれ算出値A1〜Anを得る(aγp3)。
【0159】次に、グローバルプロセッサ(38)は、第i区間の境界値xiを全プロセッサエレメントPE1〜PEnに与えて、比較を指示する。PE1〜PEnはそれぞれ、セットされている画像データDが第i区間である(xi<D:NO,すなわちxi≧Dである)かをチェックして、第i区間であると自身のフラグに「1」を立てる(aγp4)。
【0160】次に、自身のフラグに始めて「1」を立てた(フラグを「0」から「1」に切換えた)プロセッサエレメントは、算出値A(A1〜Anのいずれか)を出力レジスタADに書込む(aγp5)。自身のフラグを「0」から「1」に切換えなかったプロセッサエレメントは、この書込をしない。
【0161】第1区間を演算対象区間とした上記処理を同様に、演算対象区間iを順次に第2(i=2),第3(i=3),・・・と更新して、第m−1=7区間(i=7)まで繰返し実行する(aγp6/aγp7/aγp3/aγp4/aγp5/aγp6)。ただし、すでにフラグに「1」を立てており、「0」から「1」への切換わりのないプロセッサエレメントは、出力レジスタAへの算出値の書込はしない。そして最後の第m=8区間では、フラグに「1」を立てていないプロセッサエレメントのみが、算出値Aを出力レジスタADに書込む。
【0162】第m−1=7区間まで実行すると、プロセッサエレメントPE1〜PEnのいずれもが、自身にセットされている画像データが属する区間に宛てられているパラメータA=ai,B=biでの算出値を、自身の出力レジスタに保持していることになる。
【0163】次にグローバルプロセッサ(38)は、プロセッサエレメントPE1〜PEnの出力レジスタのデータ(AD1〜ADn)をプロセッサエレメントのRAMの出力データ領域に書込み、メモコン(図5)にそこのデータの読み出しを指示する。
【0164】この第2実施例の補間演算によれば、各プロセッサエレメントが同一時点には同一の区間の補間演算をしてγ変換データを算出する。しかしこのとき各プロセッサエレメントに与えられる各画像データは同一とは限らず、すべてが該補間演算が宛てられる区間iに入っているものとは限らない。区間iに入っていない画像データが与えられたプロセッサエレメントの演算出力はエラーであり、区間iに入っている画像データが与えられたプロセッサエレメントの演算出力が正しい値である。
【0165】各区間i、i=1〜m、の補間演算を1つづつ、すべてのプロセッサエレメントで同時に同じ演算を並行して実行し、全区間の補間演算を遂行すると、その間に、どのプロセッサエレメントも1回、正しい変換値を算出する。この正しい変換値を有効とする。すなわち変換データとして出力する。
【0166】1画素の多値カラー画像データに対して、それを与えられたプロセッサエレメントは、見かけ上はm回(例えば、m=8)補間演算を繰り返す。すなわち、各区間の補間演算yi、i=1〜m、のそれぞれを実行する。したがって演算回数は多くなるが、1回の演算が簡単で時間が短いので、大きなn値の複数nのカラー画像データ全体としての変換時間は短い。
【0167】−第3実施例−第3実施例のハードウエアは、上述の第1実施例と同じであるが、第3実施例は、γ変換に用いるプログラムの構成が少し異なる。第3実施例のIPU1およびIPU3y〜3kが実行する、γ変換(IPU1におけるスキャナγ変換&IPU3y〜3kにおけるプリンタγ変換)を説明する。
【0168】IPU1宛ての読取補正プログラムには、γ変換の位置に、スキャナγ変換のプログラムの格納アドレスS00(図15)が挿入されており、HDDから読取補正プログラムをIPU1のSIMD型プロセッサ33のプログラムRAM36に転送するときに、該格納アドレスS00のスキャナγ変換のプログラムを、該格納アドレスと置き変えて転送する。これに加えて、1セットのR,G,B γ変換用の「境界値,パラメータ」群、例えばアドレスS1R,S1GおよびS1B(図15)のデータを、SIMD型プロセッサ33のデータRAM37のγ変換用データ格納領域に転送して書込む。一組例えばアドレスS1Rの、R γ変換用の、「境界値,パラメータ」群は、図13に示す区間の境界値xiおよび補間演算式yiのパラメータai,biであり、i=1〜8、の8区間分である。
【0169】図16に、一組のパラメータ群の、データRAM37上の情報区分を模式的に示す。
【0170】前記1セットすなわち3組(R用,G用およびB用:アドレスS1R,S1GおよびS1B)をデータRAM37に書込んだ後でも、操作ボードOPB或はホストPCからの変更操作によって、図15に示す他のグループのもの(例えばS3R,S3G,S3Bのもの)に書換えることができる。
【0171】同様に、IPU3y,IPU3m,IPU3cおよびIPU3kの夫々宛てのY,M,CおよびK出力補正プログラムにも、γ変換の位置に、γ変換のプログラムの格納アドレス(P00:図15)が挿入されており、HDDからY,M,CおよびK出力補正プログラムを、IPU3y,IPU3m,IPU3cおよびIPU3kのプロセッサ53y,53m,53cおよび53kの各プログラムRAM(36)に転送するときに、該格納アドレスP00のプリンタγ変換のプログラムを、該格納アドレスと置き変えて、転送する。これに加えて、1セットのY,M,C,およびKそれぞれのγ変換用の「境界値,パラメータ」群、例えばアドレスP1Y,P1M,P1CおよびP1K(図15)のデータ、のそれぞれを、SIMD型プロセッサ53y,53m,53cおよび53kの各データRAMのγ変換用データ格納領域に転送して書込む。データRAMに書込んだ後でも、操作ボードOPB或はホストPCからの変更操作によって、図15に示す他のグループのもの(例えばP3Y,P3M,P3CおよびP3Kのもの)に書換えることができる。
【0172】第3実施例のγ変換処理フローは、図12に示す第1実施例のものと同様である。ただし、境界値xiおよびパラメータai,biは、SIMDプロセッサ(33)内のデータRAM(37)から読出してプロセッサエレメントPEに与える。
【0173】なお、上記第1〜3実施例のいずれも、R,G,B画像データのスキャナγ変換をSIMD型プロセッサ33で、色順次に行うようにしたが、三組のSIMD型プロセッサを併置して、色別の読取補正を同時に並行処理するのもよい。それとは逆に、YMCK画像データのプリンタγ変換あるいは出力処理の全体を、1つのSIMD型プロセッサで色毎に順次に行うこともできる。これは、1組の作像ユニットで順次に各色像を形成するいわゆるワンドラム方式のカラープリンタに適合する。しかし、実施例に示した4組の作像ユニットをタンデム配列したカラープリンタでは、上述のようにYMCK画像データのそれぞれあて、合計4組のSIMD型プロセッサ53Y,53m,53c,53kを用いるのが、YMCK画像データの出力処理の全体が極めて高速になり、高速プリントアウトに好ましい。
【0174】
【発明の効果】上記のように複数ビット構成の多値データである、2以上の所定数画素の入力カラー画像データのそれぞれにつき2以上の所定数のプロセッサエレメント(PE)で同時に並行して補間演算により出力カラー画像データを算出することにより、2以上の所定数の画像データ群の処理時間が、LUTを用いる場合よりも短くできる。
【0175】また、直線近似の補間演算でγ変換するので、γ変換のために準備するデータ量および所要メモリ容量の少量化が可能である。特に、各色成分画像データ宛てに複数の変換特性を準備しておいて、その中の1つを選択する場合に、保存データ量を大幅に削減できる。
【0176】更には、γ変換を行う画像処理器のプログラムメモリに、処理特性が異なったプログラムを書込むことによりすなわち書換えにより、処理特性が変わる。処理特性の選択又は変更を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の、複合機能があるデジタルフルカラー複写機の外観を示す正面図である。
【図2】 図1に示すカラープリンタPTRの作像機構の概要を示す拡大縦断面図である。
【図3】 図1に示す複写機の電気系システムの概要を示すブロック図である。
【図4】 (a)および(b)はそれぞれ、図3に示すカラー原稿スキャナSCRおよびカラーデータインターフェース制御部CDICの画像処理系およびデータ転送系の概要を示すブロック図である。
【図5】 図5の(a)に示す第1画像処理ユニットIPU1の、入出力インターフェイス31およびバッファメモリ32の構成を示すブロック図である。
【図6】 画像データ転送の際の、パラレル,シリアルのデータ配列の変換態様の数種を示すブロック図である。
【図7】 (a)は図4の(a)および図5に示すSIMD型プロセッサ33の構成の概要を示すブロック図、(b)は1個のプロセッサエレメントPEの一部分の構成を示すブロック図である。
【図8】 (a)および(b)はそれぞれ、図3に示す第2画像処理ユニットIPU2および画像メモリアクセス制御部IMACの画像処理系およびデータ転送系の概要を示すブロック図である。
【図9】 (a),(b),(c)および(d)はそれぞれ、図3に示す第3画像処理ユニットIPU3Y,IPU3m,IPU3cおよびIPU3kの画像処理系の概要を示すブロック図である。
【図10】 図3に示す画像処理システムにおける、画像データの流れの数例を示すフローチャートである。
【図11】 本願発明の第1実施例の、図3に示すハードディスク装置HDDに格納されている、γ変換用データの区分を示す図表である。
【図12】 図7に示すグローバルプロセッサ38が、プログラムRAM36に格納された読取補正プログラムの中のγ変換プログラムに基いて実行する補間演算処理の過程を示すフローチャートである。
【図13】 γ変換特性カーブを2点鎖線で示し、その近似直線を実線で示すグラフである。
【図14】 第2実施例においてSIMD型プロセッサのグローバルプロセッサ38が、プログラムRAM36に格納された読取補正プログラムの中のγ変換プログラムに基いて実行する補間演算処理の過程を示すフローチャートである。
【図15】 本願発明の第3実施例の、ハードディスク装置HDDに格納されている、γ変換用データの区分を示す図表である。
【図16】 HDDから読み出してデータRAM37に書込んだ一組のパラメータ群のRAM37上の分布を模式的に示す図表である。
【符号の説明】
ADF:自動原稿供給装置
SCR:カラー原稿スキャナ
OPB:操作ボード PTR:カラープリンタ
PC:パソコン PBX:交換器
PN:通信回線 2:光書込みユニット
3,4:給紙カセット 5:レジストローラ対
6:転写ベルトユニット
7:定着ユニット 8:排紙トレイ
10M,10C,10Y,10K:感光体ユニット
11M,11C,11Y,11K:感光体ドラム
20M,20C,20Y,20K:現像器
60:転写搬送ベルト IPU1:第1画像処理ユニット
IPU2:第2画像処理ユニット
IPU3y,3m,3c,3k:第3画像処理ユニット
CDIC:カラーデータインターフェース制御部
IMAC:画像メモリアクセス制御部
HDD:ハードディスク装置
MEM:画像メモリ LAN:ローカルエリアネットワーク
FONT:フォントROM
IDU:紙幣認識ユニット
SCI:システム制御インターフェイス
JTAG:ジョブエンコーダ/デコーダ
メモコン:メモリコントローラ
R:R画像データ G:G画像データ
B:B画像データ Fd:像域データ
Y:Y画像データ M:M画像データ
C:C画像データ K:K画像データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】複数ビット構成の多値階調データである入力画像データの階調特性を変更するγ変換処理装置において、読み書き可能なプログラムメモリ、および、該プログラムメモリのプログラムに従ってそれぞれが2以上の所定数で一連の入力画像データのそれぞれに並行して同時に同じデータ処理をする2以上の所定数のプロセッサエレメント、を有する画像処理器と、γ変換特性の入力階調範囲を複数の区間に区分する境界値,各区間の直線近似による補間演算を規定する補間演算パラメータ、および入力画像データを用いた補間演算により出力画像データを算出する補間演算プログラムを、前記プログラムメモリに書込む手段とを備え、前記画像処理器が、前記境界値と補間演算パラメータに基づく前記プログラムメモリに書込まれた補間演算に応じてγ変換処理を行なうことを特徴とするγ変換処理装置。
【請求項2】前記γ変換処理は、入力画像データと前記境界値のそれぞれとの大小比較による入力画像データが属する区間の判定、および、該属する区間宛ての補間演算パラメータのみを用いた入力画像データの補間演算によるγ変換、を含む請求項1記載のγ変換処理装置。
【請求項3】前記γ変換処理は、各入力画像データについてのすべての補間演算パラメータを用いた全区間の補間演算値の算出,入力画像データと前記境界値のそれぞれとの大小比較による入力画像データが属する区間の判定、および、該属する区間の補間演算値のみの出力、を含む請求項1記載のγ変換処理装置。
【請求項4】前記補間演算は、複数画素分の多値画像データを1画素単位で各プロセッサエレメントに対応させて入力し、入力された複数の多値画像データの階調値の大きさを1度で同時に前記境界値の各値と比較することにより各入力画像データがどの区間に対応するかを判定し、判定された区間に対応する補間演算パラメータを各プロセッサエレメントに取り込み、前記補間演算プログラムに応じてその区間のみのγ変換を行う、ものである、請求項2に記載のγ変換処理装置。
【請求項5】前記補間演算は、複数画素分の多値画像データを1画素単位で各プロセッサエレメントに対応させて入力し、各入力画像データに対して全区間の補間演算を順次に実行し、前記境界値との大きさの比較により各入力画像データがどの区間に対応するかを判定することで、全区間の出力値の中から対応する区間の補間演算値のみを有効にする、請求項3に記載のγ変換処理装置。
【請求項6】原稿の画像を読取り、1画素の画情報を複数ビット構成の多値階調データで表す画像データを生成する画像読取手段と画像データに基づいて画像を形成する画像形成手段の少なくとも1つと、画像データにγ変換を含む画像データ処理を施す手段とを備える画像処理装置において、画像データを蓄えて、2以上の所定数で一連の画像データの区分で出力するラインバッファと、該ラインバッファから出力される画像データを受け取ってそれらのγ変換処理を行う請求項1乃至5の何れかに記載のγ変換処理装置と、を有する画像処理装置。
【請求項7】前記画像読取手段は、RGB画像データに読取補正を加える第1画像処理手段を含み、画像処理装置は更に、読取補正を加えたRGB画像データのYMCK画像データへの変換を含む画像データ処理をする第2画像処理手段を備え、前記画像形成手段は、前記YMCK画像データにプリンタ出力用の出力補正を加える第3画像処理手段を含み、第1および第3画像処理手段のそれぞれが前記構成の各画像処理器を有し、前記書込む手段は、前記補間演算により出力カラー画像データを算出する、RGB画像データのγ変換用の補間演算プログラムおよびYMCK画像データのγ変換用の補間演算プログラムをそれぞれ、第1および第3画像処理手段の各画像処理器のプログラムメモリに書込む、請求項6記載の画像処理装置。
【請求項8】前記画像形成手段は、作像する感光体ユニットの数に対応した数の前記第3画像処理手段を含む、請求項6記載の画像処理装置。
【請求項9】前記画像処理器は、ディザ処理にも使え、前記複数のプロセッサエレメントの数は、該ディザ処理で用いられる複数種類のマトリクス構成数をカバーできる数であることを特徴とする請求項6記載の画像処理装置。
【請求項10】画像処理装置は更に、変換特性が異なった複数組の、補間演算のそれぞれの境界値および補間演算パラメータと、1組の境界値および補間演算パラメータに基いて補間演算する補間演算プログラムと、を保持する記憶手段を備える、請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項11】前記書込む手段は、該記憶手段の1組の境界値および補間演算パラメータを含んだ補間演算プログラムを前記プログラムメモリに書込む、請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】前記画像処理器は、前記補間演算で参照するデータを記憶するための読み書き可能なデータメモリを有し;前記書込む手段は、前記記憶手段の1組の境界値および補間演算パラメータを選択して前記データメモリに書込み、前記補間演算プログラムは前記プログラムメモリに書込む、請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項13】画像データを転送するパラレルバス;画像メモリ;前記パラレルバス上の画像データを前記画像メモリに書込み、前記画像メモリの画像データを前記パラレルバスに読出す画像メモリ制御手段;および、画像読取手段,第2画像処理手段および前記パラレルバスの間の画像データのやりとりを制御する画像データ制御手段;を更に備える、請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項14】前記画像データ制御手段は、前記画像読取手段からの画像データを非可逆な圧縮をして前記パラレルバスに出力するか、又は、第2画像処理手段へ転送し第2画像処理手段が処理した画像データを非可逆な圧縮をして前記パラレルバスに出力するか、更には、パラレルバスのデータを伸張して第2画像処理手段に転送するかを制御する、請求項13に記載の画像処理装置。
【請求項15】前記画像メモリ制御手段は、パソコン,LANなどの外部機器や前記パラレルバスに接続されたファクシミリ及び前記画像データ制御手段との間の画像データを前記画像メモリに圧縮して書込み、又は読み出して伸張する、請求項13に記載の画像処理装置。
【請求項16】複数ビット構成の多値階調データである入力画像データの階調特性を変更するγ変換処理方法において、読み書き可能なプログラムメモリ、および、該プログラムメモリのプログラムに従ってそれぞれが2以上の所定数で一連の入力画像データのそれぞれに並行して同時に同じデータ処理をする2以上の所定数のプロセッサエレメント、を有する画像処理器の、前記プログラムメモリに、γ変換特性の入力階調範囲を複数の区間に区分する境界値,各区間の直線近似による補間演算を規定する補間演算パラメータ、および入力画像データを用いた補間演算により出力画像データを算出する補間演算プログラムを書込み、前記画像処理器にて、前記境界値と補間演算パラメータに基づく前記プログラムメモリに書込まれた補間演算に応じてγ変換処理を行なうことを特徴とするγ変換処理方法。
【請求項1】複数ビット構成の多値階調データである入力画像データの階調特性を変更するγ変換処理装置において、読み書き可能なプログラムメモリ、および、該プログラムメモリのプログラムに従ってそれぞれが2以上の所定数で一連の入力画像データのそれぞれに並行して同時に同じデータ処理をする2以上の所定数のプロセッサエレメント、を有する画像処理器と、γ変換特性の入力階調範囲を複数の区間に区分する境界値,各区間の直線近似による補間演算を規定する補間演算パラメータ、および入力画像データを用いた補間演算により出力画像データを算出する補間演算プログラムを、前記プログラムメモリに書込む手段とを備え、前記画像処理器が、前記境界値と補間演算パラメータに基づく前記プログラムメモリに書込まれた補間演算に応じてγ変換処理を行なうことを特徴とするγ変換処理装置。
【請求項2】前記γ変換処理は、入力画像データと前記境界値のそれぞれとの大小比較による入力画像データが属する区間の判定、および、該属する区間宛ての補間演算パラメータのみを用いた入力画像データの補間演算によるγ変換、を含む請求項1記載のγ変換処理装置。
【請求項3】前記γ変換処理は、各入力画像データについてのすべての補間演算パラメータを用いた全区間の補間演算値の算出,入力画像データと前記境界値のそれぞれとの大小比較による入力画像データが属する区間の判定、および、該属する区間の補間演算値のみの出力、を含む請求項1記載のγ変換処理装置。
【請求項4】前記補間演算は、複数画素分の多値画像データを1画素単位で各プロセッサエレメントに対応させて入力し、入力された複数の多値画像データの階調値の大きさを1度で同時に前記境界値の各値と比較することにより各入力画像データがどの区間に対応するかを判定し、判定された区間に対応する補間演算パラメータを各プロセッサエレメントに取り込み、前記補間演算プログラムに応じてその区間のみのγ変換を行う、ものである、請求項2に記載のγ変換処理装置。
【請求項5】前記補間演算は、複数画素分の多値画像データを1画素単位で各プロセッサエレメントに対応させて入力し、各入力画像データに対して全区間の補間演算を順次に実行し、前記境界値との大きさの比較により各入力画像データがどの区間に対応するかを判定することで、全区間の出力値の中から対応する区間の補間演算値のみを有効にする、請求項3に記載のγ変換処理装置。
【請求項6】原稿の画像を読取り、1画素の画情報を複数ビット構成の多値階調データで表す画像データを生成する画像読取手段と画像データに基づいて画像を形成する画像形成手段の少なくとも1つと、画像データにγ変換を含む画像データ処理を施す手段とを備える画像処理装置において、画像データを蓄えて、2以上の所定数で一連の画像データの区分で出力するラインバッファと、該ラインバッファから出力される画像データを受け取ってそれらのγ変換処理を行う請求項1乃至5の何れかに記載のγ変換処理装置と、を有する画像処理装置。
【請求項7】前記画像読取手段は、RGB画像データに読取補正を加える第1画像処理手段を含み、画像処理装置は更に、読取補正を加えたRGB画像データのYMCK画像データへの変換を含む画像データ処理をする第2画像処理手段を備え、前記画像形成手段は、前記YMCK画像データにプリンタ出力用の出力補正を加える第3画像処理手段を含み、第1および第3画像処理手段のそれぞれが前記構成の各画像処理器を有し、前記書込む手段は、前記補間演算により出力カラー画像データを算出する、RGB画像データのγ変換用の補間演算プログラムおよびYMCK画像データのγ変換用の補間演算プログラムをそれぞれ、第1および第3画像処理手段の各画像処理器のプログラムメモリに書込む、請求項6記載の画像処理装置。
【請求項8】前記画像形成手段は、作像する感光体ユニットの数に対応した数の前記第3画像処理手段を含む、請求項6記載の画像処理装置。
【請求項9】前記画像処理器は、ディザ処理にも使え、前記複数のプロセッサエレメントの数は、該ディザ処理で用いられる複数種類のマトリクス構成数をカバーできる数であることを特徴とする請求項6記載の画像処理装置。
【請求項10】画像処理装置は更に、変換特性が異なった複数組の、補間演算のそれぞれの境界値および補間演算パラメータと、1組の境界値および補間演算パラメータに基いて補間演算する補間演算プログラムと、を保持する記憶手段を備える、請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項11】前記書込む手段は、該記憶手段の1組の境界値および補間演算パラメータを含んだ補間演算プログラムを前記プログラムメモリに書込む、請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】前記画像処理器は、前記補間演算で参照するデータを記憶するための読み書き可能なデータメモリを有し;前記書込む手段は、前記記憶手段の1組の境界値および補間演算パラメータを選択して前記データメモリに書込み、前記補間演算プログラムは前記プログラムメモリに書込む、請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項13】画像データを転送するパラレルバス;画像メモリ;前記パラレルバス上の画像データを前記画像メモリに書込み、前記画像メモリの画像データを前記パラレルバスに読出す画像メモリ制御手段;および、画像読取手段,第2画像処理手段および前記パラレルバスの間の画像データのやりとりを制御する画像データ制御手段;を更に備える、請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項14】前記画像データ制御手段は、前記画像読取手段からの画像データを非可逆な圧縮をして前記パラレルバスに出力するか、又は、第2画像処理手段へ転送し第2画像処理手段が処理した画像データを非可逆な圧縮をして前記パラレルバスに出力するか、更には、パラレルバスのデータを伸張して第2画像処理手段に転送するかを制御する、請求項13に記載の画像処理装置。
【請求項15】前記画像メモリ制御手段は、パソコン,LANなどの外部機器や前記パラレルバスに接続されたファクシミリ及び前記画像データ制御手段との間の画像データを前記画像メモリに圧縮して書込み、又は読み出して伸張する、請求項13に記載の画像処理装置。
【請求項16】複数ビット構成の多値階調データである入力画像データの階調特性を変更するγ変換処理方法において、読み書き可能なプログラムメモリ、および、該プログラムメモリのプログラムに従ってそれぞれが2以上の所定数で一連の入力画像データのそれぞれに並行して同時に同じデータ処理をする2以上の所定数のプロセッサエレメント、を有する画像処理器の、前記プログラムメモリに、γ変換特性の入力階調範囲を複数の区間に区分する境界値,各区間の直線近似による補間演算を規定する補間演算パラメータ、および入力画像データを用いた補間演算により出力画像データを算出する補間演算プログラムを書込み、前記画像処理器にて、前記境界値と補間演算パラメータに基づく前記プログラムメモリに書込まれた補間演算に応じてγ変換処理を行なうことを特徴とするγ変換処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図16】
【図4】
【図5】
【図13】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図11】
【図14】
【図15】
【図2】
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【図11】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2003−110853(P2003−110853A)
【公開日】平成15年4月11日(2003.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−294097(P2001−294097)
【出願日】平成13年9月26日(2001.9.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成15年4月11日(2003.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成13年9月26日(2001.9.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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