説明

がんへのホットスポット放射線の多段階送達のための組成物

本発明は、がんの症状を処置または緩和する組成物および方法を特徴とする。本発明の組成物および方法は、実質的にすべてのがん細胞型に対する、ホットスポットと呼ばれる致死線量を超える放射線照射に関する。1つの局面において、本発明は。置換された3−インドキシルホスフェート誘導体に連結された、抗EGFレセプター抗体、その誘導体またはそのフラグメントを含む組成物を提供する。別の局面において、本発明は、がんの症状を緩和する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明はがんの処置に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
現在、がん処置のかなりの部分の世界的な研究努力は多様な細胞殺傷剤によるがん細胞の死滅にささげられている。放射活性化合物等の多数の医薬ががん細胞を殺滅することができることが示されてきた事実にもかかわらず、(1)それら薬剤はすべてのがん細胞に対する細胞毒特異性を示さないので、すべてのがん細胞を殺滅しない、(2)それら薬剤はがん細胞に対してだけに細胞毒特異性を示さないので正常な細胞も殺滅し、(3)それら薬剤は、許容可能な用量において耐性がん細胞を殺滅するためか、または細胞殺傷剤に順応して耐性となるがん細胞の能力を克服するためには十分な効力がないという3つの普遍的な現在の障害を回避することができないために、これら薬剤はがんをうまく処置できないことが多い。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(発明の要約)
本発明は、がんを処置するための組成物および方法を提供する。本発明の方法は、ホットスポットと呼ばれる、実質的にすべてのがんに対する局所的な致死線量を超える放射線照射に関する多段階の処置法である。
【0004】
一つの局面において、本発明は、プラットフォーム構築材料に結合(例えば、共有結合)させた細胞標的剤を含有する工程1試薬を提供する。プラットフォーム構築材料は、細胞、例えばがん細胞への細胞標的剤の取り込みの際に該標的剤から切り離される。細胞標的剤からいったん切り離されたプラットフォーム構築材料は水不溶性となり、ナノプラットフォームを形成する。任意に、細胞標的剤は担体部分によりプラットフォーム構築材料に連結される。本発明の多様な局面において、プラットフォーム構築材料は、第2試薬、すなわち工程3試薬に特異的に結合することのできる付加的分子構造を有する。
【0005】
細胞標的剤は細胞による試薬の取り込みを増強するもので、ポリペプチド、細胞表面リガンド、ペプチドまたは小分子である。ポリペプチドは、例えば、EGFレセプター抗体またはトランスフェリンレセプター抗体等の抗体、上皮細胞増殖因子またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)1 TATタンパク質、(HIV)1 TATタンパク質の機能的に効果のある部分、またはVP22等のウイルスタンパク質である。細胞表面リガンドは、例えばトランスフェリン、上皮細胞増殖因子またはインターロイキンである。
【0006】
ペプチドは、例えば、オキシトキシン、成長ホルモン放出ホルモン、グルカゴン、ガストリン、セクレチン、ソマトスタチン、プロラクチン、卵胞刺激ホルモン、インシュリン、成長ホルモンまたはアルギニン−グリシン−アスパラギン酸ペプチド(RGD)等のペプチドホルモンである。
【0007】
小分子は、例えば、エストロゲン、カルシフェロールまたはテストステロン等のホルモン、核酸、ペプチド模倣物、炭水化物、脂質、ニコチン性アセチルコリンレセプターアゴニストまたは葉酸またはそのアナログまたは誘導体である。
【0008】
プラットフォーム構築材料は、例えば、インドキシル、ポルフィリン、HPMA誘導体等のポリマー、デンドリマー、オピオ−メラニン(opio−melanin)、または多糖類、例えばデキストラン、アラビアゴム、セルロースまたはキチンである。インドキシルは、例えば、置換インドキシル、すなわち、モノ−インドキシル、ビス−インドキシルまたはポリインドキシルである。インドキシルはインジゴ、直鎖インジゴポリマーまたはポリインジゴ格子を形成する。
【0009】
担体部分は、例えば、タンパク質;多糖;ポリマー、例えば、合成ポリマーまたはバイオポリマー、例えば、ポリリジン;デンドリマー;リポソーム;ナノ粒子;または高分子ミセルである。
【0010】
例示的な工程1試薬としては、置換された3−インドキシルホスフェート誘導体に連結された抗EGFレセプター抗体、その誘導体またはそのフラグメントが挙げられる。抗体は、デキストラン等の担体部分により3−インドキシルホスフェート誘導体に連結される。さらに、ホスホエノールピルベート誘導体等のUDP−N−アセチルグルコサミンエノールピルボイルトランスフェラーゼインヒビターが3−インドキシルホスフェート誘導体に連結される。
【0011】
トランスフェリンポリペプチドまたはそのフラグメンは、グリコシド、例えば、ガラクトシド、グルコシドまたはグルクロニドまたはその誘導体に連結された。好ましくは、グリコシドは置換ビス−3−インドキシルグリコシド誘導体である。トランスフェリンポリペプチドは、アルブミンポリペプチドまたはそのフラグメント等の担体部分によりグリコシドに連結される。さらに、変異β−ラクタマーゼインヒビターがビス−β−インドキシルグリコシド誘導体に連結される。変異β−ラクタマーゼインヒビターはカルバセフェムアナログ等のラクタム誘導体である。カルバセフェムアナログは、例えば、ロラカルベフである。
【0012】
フォルメート誘導体は、ポルフィリン誘導体に連結された。葉酸誘導体は、免疫グロブリンポリペプチドまたはそのフラグメント等の担体部分によりポルフィリン誘導体に連結される。さらに、オルニチンデカルボキシラーゼインヒビター、例えば、α−ジフルオロメチルオルニチンまたはアルギニンデカルボキシラーゼインヒビター、例えば、α−ジフルオロメチルアルギニンがポルフィリン誘導体に連結される。
【0013】
フォルメート誘導体は、置換ビス−3−インドキシルガラクトシド誘導体に連結された。さらに、変異β−ラクタマーゼインヒビターが置換ビス−3−インドキシルガラクトシド誘導体に連結される。
【0014】
表皮細胞増殖因子ポリペプチドまたはそのフラグメントは、HPMAに連結された。さらに、置換インドキシルガラクトシド誘導体または変異βラクタマーゼインヒビターがHPMAに連結される。
【0015】
本発明のさらに別の局面は、標的部分および同位元素捕捉部分を含有する二特異的試薬である工程3試薬を提供する。標的部分および同位元素捕捉部分は、例えば共有結合している。標的部分はナノプラットフォームに結合できる。例えば、標的部分はナノプラットフォーム上の付加的分子構造に結合する。同位元素捕捉部分は放射標識水溶性工程4試薬を捕捉することができる。
【0016】
標的部分または同位元素捕捉部分は、ヒドラジン、ケトン、メルカプタンまたはマレイミジル等の有機官能基;ポリペプチド;ペプチド;またはレクチンである。ポリペプチドは、β−ラクタマーゼ、アルギニンデカルボキシラーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、またはUDP−N−アセチルグルコサミンエノールピルボイルトランスフェラーゼ等の酵素;変異β−ラクタマーゼ等の変異酵素;または抗体またはそのフラグメントである。
【0017】
例示的な工程3試薬として、ストレプトアビジンに連結されたUDP−N−アセチルグルコサミンエノールピルボイルトランスフェラーゼ、β−D−ガラクトシダーゼに連結された変異β−ラクタマーゼ、4−カルボキシベンズアルデヒドに連結されたオルニチンデカルボキシラーゼまたはアルギニンデカルボキシラーゼ、抗NIP抗体に連結された変異β−ラクタマーゼ、アルカリホスファターゼに連結された変異β−ラクタマーゼが挙げられる。
【0018】
本発明の別の局面は工程1試薬および工程3試薬を含む1つ以上の容器に包装されたキットを提供する。任意に、キットは、工程2細胞殺傷剤および/または放射標識水溶性工程4試薬を含む。例示的な工程4試薬として、90Y−ビオチン−ペンチル−DOTA、131I−5−ヨード−3−インドキシルガラクトシド、131I−p−ヨード安息香酸ヒドラジン、131I−4−ヒドロキシ−3−ヨード−5−ニトロフェニル酢酸および131I−5−ヨード−3−インドキシルホスフェートが挙げられる。
【0019】
(a)プラットフォーム構築材料に例えば共有結合させた細胞標的剤を含有する工程1試薬;(b)標的部分および同位元素捕捉部分を含有する工程3試薬;および(c)放射標識水溶性工程4試薬を被験体に投与することにより、がんを処置し、がんの症状を緩和する。細胞標的剤は細胞による工程1試薬の取り込みを増強する。プラットフォーム構築物質は、工程1試薬の細胞への取り込みの際に、細胞標的剤から分離され、工程3試薬の標的部分が結合する水不溶性ナノプラットフォームを形成する。工程3試薬の同位元素捕捉部分は、放射標識水溶性工程4試薬を、微小領域照射野(ホットスポット)を作って致死線量照射を周囲の腫瘍細胞に供給するために必要とされる時間、腫瘍細胞外マトリックス内に捕捉する。
【0020】
これら試薬は順次投与される。あるいは、これら試薬は同時に投与される。任意に、工程2細胞殺傷剤を工程3試薬の前、その後または同時に被験体に投与して、ナノプラットフォームを腫瘍細胞外マトリックスに再配置する。
【0021】
1つの局面において、(a)3−インドキシルホスフェート誘導体に連結されたUDP−N−アセチルグルコサミンエノールピルボイルトランスフェラーゼインヒビターを有する置換された3−インドキシルホスフェート誘導体に連結された、抗EGFレセプター抗体、その誘導体またはフラグメントを含む組成物;(b)ストレプトアビジンに連結されたUDP−N−アセチルグルコサミンエノールピルボイルトランスフェラーゼを含む組成物;および(c)90Y−ビオチン−ペンチル−DOTAを含む組成物を被験体に投与することによりがんを処置するか、またはがんの症状を緩和する。
【0022】
別の局面において、(a)ビス−3−インドキシルグルコシド誘導体に連結された変異β−ラクタマーゼインヒビターを有する置換ビス−3−インドキシルグルコシル誘導体に連結された、トランスフェリンポリペプチドまたはそのフラグメントを含む組成物;(b)β−D−ガラクトシダーゼに連結された変異β−ラクタマーゼを含む組成物;および(c)131I−5−ヨード−3−インドキシルガラクトシドを含む組成物を被験体に投与することによりがんを処置するか、またはがんの症状を緩和する。
【0023】
さらなる局面において、(a)ポルフィリン誘導体に連結された、オルニチンデカルボキシラーゼインヒビターまたはアルギニンデカルボキシラーゼインヒビターのいずれかにを有するポルフィリン誘導体に連結されたフォルメート誘導体を含む組成物;(b)4−カルボキシベンズアルデヒドに連結された、オルニチンデカルボキシラーゼまたはアルギニンデカルボキシラーゼインヒビターを含む組成物;および(c)131I−p−ヨード安息香酸ヒドラジドを含む組成物を被験体に投与することによりがんを処置するか、またはがんの症状を緩和する。
【0024】
さらなる別の局面において、(a)ビス−3−インドキシルガラクトシド誘導体に連結された変異β−ラクタマーゼインヒビターを有する置換ビス−3−インドキシルガラクトシド誘導体に連結されたフォルメート誘導体を含む組成物;(b)抗NIP抗体に連結された変異β−ラクタマーゼを含む組成物;および(c)131I−4−ヒドロキシ−3−ヨード−5−ニトロフェニル酢酸(131I−NIP酸)を含む組成物を被験体に投与することによりがんを処置するか、がんの症状を緩和する。
【0025】
別の形態において、(a)HPMAに連結された置換インドキシルガラクトシド誘導体およびHPMAに連結された変異βラクタマーゼインヒビターを有するHPMAに連結された、上皮細胞増殖因子(EGF)ポリペプチドまたはそのフラグメントを含む組成物;(b)アルカリホスファターゼに連結されたβ−ラクタマーゼを含む組成物;および(c)131I−5−ヨード−3−インドキシルホスフェートを含む組成物を被験体に投与することによりがんを処置するか、またはがんの症状を緩和する。
【0026】
被験体は、ヒト、霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタおよびフェレット等の哺乳動物である。被験体はがんに罹患している。がんは、例えば、乳がん、皮膚がん、前立腺がん、肺がん、結腸がん、肝臓がん、子宮頸がん、脳腫瘍、卵巣がん、膵臓がん、または胃がんである。がんに罹患している被験体は、当該分野で公知の方法、例えば、理学的検査;PSA等の特定のがん抗原に対する血液試験;MRI;X線;またはマンモグラフィにより同定される。がんの症状として、疲労;悪心;頻尿;体重減少;乳房または精巣のしこりまたは肥厚;いぼまたは母斑の変化;治らない皮膚の痛みまたは持続性の咽頭炎;腸または膀胱習慣の変化;持続性の咳または咳嗽血;一定の消化不良または嚥下困難;異常な出血または膣分泌物;インフルエンザ様症状;挫傷;めまい;眠気;異常な眼球運動または視力変化が挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
他に定義しない限り、ここで用いられるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。ここに記載の方法および材料と類似物または等価物は本発明の実施または試験に用いることができるが、適当な方法および材料を以下に説明する。ここに挙げられたすべての出版物、特許出願、特許および他の参考文献は、本明細書中においてその全文が参考と援用される。矛盾がある場合、定義を含む本明細書が優先される。さらに、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定を意図するものではない。
【0028】
本発明の他の特徴と利点は以下の詳細な説明と請求の範囲から明らかになるだろう。
【0029】
(発明の詳細な説明)
本発明は、局部照射の送達による被験体のがん細胞の不均質集団を処置する組成物および方法を提供する。本発明は、放射性ヨウ化物による甲状腺がんの非常に成功した処置の観察に一部基づく。甲状腺がんの成功した処置は、一部には、多くの悪性甲状腺細胞はヨウ素を捕捉することが可能であるという独特の生物学的機能を有するという事実による。従って、甲状腺がんの患者を放射性ヨウ化物で処置する場合、十分な比率のがん細胞は十分な量の放射性同位元素を吸収し、微小領域中のすべての細胞が殺される強烈な照射(「ホットスポット」と称される)が重なる微小領域を作るのに十分に長く放射性同位元素を蓄積する。これらのホットスポットのそれぞれの照射野は、放射性同位元素を取り込む細胞を超えて広がり、何千もの隣接細胞を殺滅する。これらのホットスポット内では放射線が非常に強いために、ホットスポット内において、放射線同位元素を吸収しない細胞を含んだすべてのがん細胞が死滅し、全腫瘍の根絶を可能とする。体内では、他のどの組織または細胞群もこれと同じヨウ素捕捉機構を有さないので、ホットスポットは正常および悪性の甲状腺組織のみに作られる。本発明の方法および組成物は、これらの放射性同位元素送達および捕捉の条件を非甲状腺がんに再現する。非甲状腺がんでの「ホットスポット」の発生は、顕著な全身毒性を引き起こすことなく実質的に腫瘍のみに重なるホットスポットを作る多段階プロセスである。これらの重なるホットスポット内のすべてのがん細胞は根絶される。根絶される細胞として、標的ではないがん細胞、耐性があり、超耐性でもあるがん細胞、および別な方法で処置に順応し、耐性となり得るがん細胞が挙げられる。したがって、本発明の方法は、がん細胞の不均質性および現在のがん標的剤の不完全な性質により阻止されることはない。
【0030】
図1に示されるように、がんは、がん細胞100の集団を含み、各細胞はがん細胞に特異的であって細胞標的剤に結合することのできる内在化構造101を有する。内在化構造101は、標的剤がそれらに結合するときに内在化することができる。標的化されたがん細胞の亜集団は、被験体の天然の系により死滅する高い感受性および/または実施される提供された細胞殺滅プロセスにより死滅する高い感受性も有する。
がんの処置方法
被験体に複数の試薬を複数の工程で投与することによりがんが処置されるか、がんの症状が緩和される。すべての種類のがんが処置に適する。処置されるがんとして、例えば、肺がん、結腸がん、乳がん、前立腺がん、肝臓がん、膵臓がん、膀胱がん、皮膚がん(例えば、黒色腫)、卵巣がん、子宮頸がん、頭部および頸部のがん、血液がん、肺がん、結腸/直腸/肛門がん、子宮頸がん、脳腫瘍、卵巣がん、胃がん、腎臓がん、子宮がん、骨がん、食道がん、眼がん、カポジ肉腫、喉頭がん、口唇がん、上咽頭がん、中咽頭がん、口腔がん、精巣がん、甲状腺がん、肉腫、リンパ腫、副腎皮質がん、胆管がん、気管支がん、原発不明がん、胆嚢がん、生殖細胞がん、下咽頭がん、膵島細胞がん、中皮腫、多発性骨髄腫、鼻腔がん、副鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、下垂体がん、唾液腺がん、小腸がん、胸腺がん、尿管がん、尿道がん、膣がん、外陰がんおよびウィルムス腫瘍が挙げられる。
【0031】
被験体は哺乳動物である。哺乳動物は、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマまたはウシである。工程は連続して施される。任意に、1つ以上の工程が別の工程の前または同時に施される。各工程は少なくとも一回施される。あるいは、各工程は2、3、4、5、10、15回以上または連続した注入で施される。 例えば、工程2試薬は、当技術分野で知られている標準的な処置手順を用いて反復投与で施される。プラットフォーム構築材料に連結された細胞による試薬の取り込みを増強する細胞標的剤を含む試薬(本明細書中において工程1試薬という);任意の細胞殺傷剤(本明細書中において工程2試薬という);水不溶性ナノプラットフォームに結合可能な標的部分および同位元素捕捉部分を含む二特異的試薬(本明細書中において工程3試薬という);および放射標識水溶性試薬(本明細書中において工程4試薬という)が被験体に投与される。
【0032】
図2に示されるように、工程1試薬1000は、細胞標的剤1100、任意の担体部分1200および付加的分子構造1400を任意に取り付けられたプラットフォーム構築材料1300を含む。図3に示されるように、工程1試薬の細胞標的剤部分1100はがん細胞の標的内在化構造101に付着することにより、工程1試薬1000をがん細胞100内に輸送させる。がん細胞内への輸送により、工程1試薬は細胞内環境に曝される。図4に示されているように、標的細胞内にいったん入ると、細胞内環境によって、任意に取り付けられた付加的分子構造1400を有するプラットフォーム構築材料1300は標的剤1100および担体部分1200から切り離され、これによってプラットフォーム構築材料1300を、標的がん細胞内で水溶性ナノプラットフォーム1500に変換させることができる。(付加的分子構造1400を有するか、有さない)水不溶性ナノプラットフォーム1500は標的がん細胞内で安定であり、比較的無毒性である。安定であるということは、ナノプラットフォームが、1日間、2日間、3日間、4日間、6日間以上から1週間、2週間、3週間、4週間以上、がん細胞に捕捉されたままであるか、または細胞外マトリックスに取り囲まれたままであることを意味する。比較的無毒性であるとは、ナノプラットフォームが被験体に対して顕著な有害な効果を有さない、例えば、被験体に対して中程度または最小限の炎症を起こすか、および/または生命を脅かす効果を持たないことを意味する。付加的分子構造を有するか、または有さない水不溶性ナノプラットフォームは、ここでは「ナノプラットフォーム」と称する。
【0033】
細胞内ナノプラットフォームの蓄積は、ステップ1試薬の被験体への投与を続けることによって達成され、その結果、より多くのプラットフォーム構築材料が標的がん細胞中に輸送される(図5を参照)。可溶性の化学物質または医薬とは対照的に、細胞内ナノプラットフォームは水不溶性で安定であるために標的がん細胞から離れないので時間とともに蓄積する。
【0034】
図25に示されているように、標的がん細胞におけるナノプラットフォームの蓄積に続いて、被験体に、工程2細胞殺傷剤75が任意に投与される。工程2細胞殺傷剤は標的がん細胞の一部または全てを殺滅することができ、ナノプラットフォーム1500が腫瘍の細胞外の空間に再配置され、保持される。いったん細胞外空間に出ると、ナノプラットフォーム1600の表面上の付加的分子構造1400は工程3二特異的試薬に接近して結合する。体の天然の免疫系による継続的ながん細胞の殺滅またはがん細胞が自発的に死滅することを引き起こすがん細胞の遺伝的な不安定さが、十分な細胞内ナノプラットフォームを腫瘍の細胞外空間に再配置させて全腫瘍を破壊するための十分な数のホットスポットを最終的に作るのに十分である場合、工程2殺細胞試薬は任意である。ホットスポットの位置のがん特異性は非常に低いレベルの工程2試薬の適用により高められるので、あるとしてもごく僅かの正常な細胞が殺されるだけで、全身毒性は避けられる。
【0035】
第4工程は、放射性同位元素が工程3二特異的試薬により捕捉され、保持される細胞外の腫瘍マトリックスに放射性同位元素を運ぶように適合させた放射標識水溶性工程4試薬の投与をともなう。これは、致死線量照射を周囲の腫瘍細胞に送達する微小領域の放射野を作る。
【0036】
多くの例では、工程間の24〜48時間の休息時間は、引き続く工程の試薬を投与する前に既に投与された試薬の広範なクリアランスを任意に可能とするだろうが、除去剤を投与して過剰な試薬の除去を促進する。例えば、工程2殺細胞試薬および工程3二特異的試薬の投与前に、除去剤を投与して、取り込まれていない工程1試薬の除去を促進する。同様に、工程4試薬の投与前に除去剤を投与して、細胞外ナノプラットフォームに結合しなかった工程3二特異的試薬の除去を促進する。除去剤は、被験体のマクロファージによる治療剤の認識を補助し、肝細胞によるプロセシングを増大する。除去剤は当該分野で公知である。除去剤として、工程1試薬か工程3試薬に結合するマンノシル化剤またはガラクトシル化剤が挙げられる。付加的な除去剤として、マクロファージまたは他のリンパ球による試薬のオプソニン化を増強する、工程1試薬か工程3試薬に対して作られた抗体が挙げられる。あるいは、これらの試薬を除去するためにアフィニティーカラムを用いて体外循環を確立する。
工程1試薬
工程1試薬は、プラットフォーム構築材料に連結された細胞標的剤を含む水溶性化合物である。
【0037】
細胞標的剤は、化合物中に存在して化合物を所望の細胞目標に向けさせる化合物である。細胞標的剤は細胞内に移行することができる。細胞標的剤は、腫瘍細胞上の飲食作用レセプターまたは他の内部移行性ユニットに特異的に結合する。例えば、細胞標的剤は、典型的には食作用性ではなく、架橋またはキャッピングのプロセスにより内部に移行する化合物である。よって、細胞標的剤は、化合物に原形質膜を通過するように指令し、例えば、細胞の外側から、原形質膜を通過させて細胞質に入るように指令する。もしくは、またはそれに加えて、細胞標的剤は化合物を、細胞内の所望の位置、例えば、核、リボソーム、小胞体、リソソームまたはペルオキシソームに方向付けることができる。細胞標的剤として、抗体等のポリペプチド;ヒト免疫不全ウイルス(HIV)1TATタンパク質またはVP22等のウイルスタンパク質:細胞表面リガンド;ペプチドホルモン等のペプチド;またはホルモンまたは葉酸等の小分子が挙げられる。細胞標的剤に対するレセプターは正常細胞に比較して腫瘍細胞上に高濃度で発現するのが最適である。例えば、レセプターは、非腫瘍細胞に比較して、腫瘍細胞上で2、3、4、5倍またはそれ以上の濃度で発現する。
【0038】
本明細書中において使用される「抗体」という用語は免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫活性のある部分、すなわち、抗原に特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含む分子をいう。そのような抗体としては、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、一本鎖、FabおよびF(ab’)2フラグメントおよびFab発現ライブラリーまたはそれらから設計されたポリペプチドが挙げられる。適当な抗体として、トランスフェリンレセプター(TfR)および上皮細胞増殖因子(EGFR)等のよく特性付けられたレセプターに対する抗体ならびに他のレセプター、例えばインターロイキン4レセプター(IL−4R)、インシュリンレセプター、CD30、CD34およびCCK−A、B、C/ガストリンレセプター等に対する抗体が挙げられる。さらに、抗体はムチンエピトープ;糖ペプチドおよび糖脂質、例えば(胸、結腸および肺のヒトのがんの多くに存在する)Le関連エピトープ;ヒアルロナンレセプター/CD44;BCGエピトープ;インテグリンレセプター;JL−1レセプター;GM1または他の脂質ラフト関連分子;および黒色腫上のGD2に対して特異的である。がん特異的内在化ヒト抗体はPoulらにより記載されたようにファージライブラリーからも選択される(J.Mol.Biol.301:1149−1161,2000)。
【0039】
細胞表面リガンドは、標的がん細胞上の内在化構造に対して特異的であるように適合した天然リガンドまたは一部の合成類似物である。例示的な細胞表面リガンドとして、トランスフェリン、上皮細胞増殖因子、インターロイキン類、インテグリン類、アンジオテンシンII、インシュリン、増殖因子アンタゴニスト、β−2−アドレナリン様リセプターリガンドまたはドーパミン放出タンパク質が挙げられる。例えば、上皮細胞増殖因子(EGF)は上皮増殖因子レセプター(EGFR)を標的とするのに使用され、またはトランスフェリン(Tf)はトランスフェリンレセプターを標的とするのに使用される(例えば、TfRおよびTfR2)。
【0040】
適当なペプチド細胞標的剤として、オキシトシン、成長ホルモン放出ホルモン、ソマトスタチン、グルカゴン、ガストリン、セクレチン、成長ホルモン(ソマトトロピン)、インシュリン、プロラクチン、卵胞刺激ホルモンまたはアルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)ペプチド等のペプチドホルモンが挙げられる。内面化レセプターに結合し、内在化するペプチドを同定する方法は当分野で知られている(Hart,et al.,J.Biol.Chem.269:12468−12474,1994)。
【0041】
細胞標的剤として小分子が挙げられる。ここで使用される「小分子」は、約5kD未満、最も好ましくは約4kD未満の分子量を有する組成を言及することとする。小分子は、例えば、核酸、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣物、炭水化物、脂質または他の有機または無機の分子である。例えば、小分子は、エストロゲン、テストステロンおよびカルシフェロール等のホルモン;葉酸、または葉酸レセプターに結合するアナログ;ニコチン性アセチルコリンレセプターアゴニスト;またはオリゴヌクレオチドレセプターアゴニストである。
【0042】
細胞標的剤は公知の膜転位配列から得られる。例えば、輸送ペプチドは、ヒト免疫不全ウイルス(HTV)1TATタンパク質からの配列を含む。このタンパク質は、例えば、それぞれが本明細書中に参考として援用される米国特許第5,804,604号および同第5,674,980号に説明されている。細胞標的剤はTATタンパク質を作る全86アミノ酸の一部または全てである。例えば、細胞への取り込み、および任意に細胞核への取り込みを示す86個未満のアミノ酸を有するTATタンパク質の機能的に効果的なフラグメントまたは部分が使用される。細胞への侵入と取り込みを仲介する領域を含むTATペプチドはさらに公知の技術を用いて定義することができる。例えば、Franked et al.,Proc.Natl.Acad.Sci,USA 86:7397−7401(1989)を参照されたい。
【0043】
天然に存在するHIV TATタンパク質のアミノ酸配列は、例えば、天然に存在するTATタンパク質に存在す少なくとも1つのアミノ酸の付加、欠失および/または置換により修飾して、修飾TATタンパク質(本明細書中においてTATタンパク質とも称する)を作ることができる。増加または減少した安定性を有する修飾TATタンパク質またはTATペプチドアナログは公知の技術を用いて作ることができる。一部の実施形態において、TATタンパク質またはペプチドは、天然に存在するTATタンパク質またはその一部と実質的に類似であるが、同一ではないアミノ酸配列を含む。さらに、コレステロールまたは他の脂質誘導体をTATタンパク質に付加して、増加した膜溶解性を有する修飾TATを作ることができる。
【0044】
TATタンパク質の変異体は工程1試薬の細胞内局在性を調節するために設計することができる。外から加えられる場合、そのような変異体を、TATが細胞に入る能力が保持される(すなわち、変異TATタンパク質またはペプチドの細胞への取り込みが天然に存在するHIV TATに実質的に類似する)ように設計する。例えば、核局在化に重要と思われる基本領域の変更(例えば、Dang and Lee, J.Biol.Chem.264:18019−18023(1989);Hauber et al.,J.Virol.63:1181−1187(1989);Ruben et al.,J.Virol.63:1−8(1989)を参照)はTATの、したがってプラットフォーム構築材料の細胞質配置または部分的に細胞質配置をもたらしうる。もしくは、TATを保持するために、細胞質または他の成分または分画(例えば、小胞体、ミトコンドリア、ゴルジ体、リソソーム小胞)に結合する配列をTATに導入することができ、プラットフォーム構築物質を細胞質または他の分画に導入して、TATとプラットフォーム構築物質の取り込みの際の調節を付与する。
【0045】
細胞標的部分の他の原料として、例えば、VP22(例えばWO97/05265; Elliott and O’Hare,Cell 88:223−233(1997)に記載)または非ウイルスタンパク質(Jackson et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10691−10695(1992))が挙げられる。
【0046】
プラットフォーム構築材料は、細胞標的剤により細胞中に取り入れられたときに、細胞標的剤から分離され、水不溶性となる化合物である。水不溶性とは、水溶液中のナノプラットフォームの濃度が室温で0.01mM未満であることを意味する。水溶液の濃度は、室温で、0.001mM、0.0001mM、0.00001mM、または0.000001mM未満である。プラットフォーム構築材料は水不溶性ナノプラットフォームを自発的に形成する。もしくは、プラットフォーム構築材料は、さらなる化学反応の後に水不溶性ナノプラットフォームを形成する。化学反応として、例えば、内因性リソソーム酵素の作用、リソソームの酸性pH、他の細胞内酵素、細胞内の他の適当な領域内の他の条件、または細胞内の生物学的マクロ構造物への付着または挿入等、細胞環境内に存在する酵素または他の条件により促進される反応が挙げられる。
【0047】
標的細胞内で細胞標的剤からいったん遊離されたプラットフォーム構築材料は、沈殿する分子状結合体を形成するか、または不溶性ポリマー、コロイド、蝋、オイル、または生物学的マクロ構造物に付着または挿入される物質等、他の水不溶性物質を形成する。例えば、ポリフィリン内でキレート化した適当な金属を有するか、有さないポルフィリン結合体は沈殿する分子結合体を自発的に形成する。さらに、インドキシルグリコシドは、水不溶性インジゴミクロ沈殿物を作り、ビス−インドキシルグリコシドは水不溶性ポリマーインジゴを作り、ポリ−インドキシルグリコシドは水不溶性インジゴイド格子を作る。
【0048】
適当なプラットフォーム構築材料として、例えば、置換インドキシル;ポリフィリン;HPMA誘導体等のポリマー;デキストラン、アラビアゴムおよびキチン等の多糖;デンドリマー;およびオピオメラミンが挙げられる。
【0049】
細胞標的剤はプラットフォーム構築材料に直接連結させる。もしくは、細胞標的剤を、例えば担体部分または架橋剤によりプラットフォーム構築材料に間接的に付着させる。この結合は共有性である。もしくは、この結合は非共有性である。この結合は、プラットフォーム構築材料が、細胞への内部移行後に細胞標的剤から引き離される(すなわち、分離される)ことを可能とするものである。例えば、結合は、(1)標的細胞内のリソソーム内に見られる細胞内酵素または酸性環境により切断されるか、(2)標的細胞内の他の環境内で酵素的または他の作用により放出されるか、および/または(3)標的細胞内の生物学的マクロ構造物に付着または挿入される。
【0050】
担体部分は、さらに多くのプラットフォーム構築材料が、各細胞標的剤とともに標的がん細胞内に運ばれることを可能とする。担体部分として、例えば、血清アルブミン等のタンパク質;多糖、特に官能基を有するように修飾された多糖;HPMA誘導体等の合成ポリマーおよび共重合体;デンドリマー;ポリリジン等のポリペプチドを含む他のバイオポリマー;リポソーム;ナノ粒子;および高分子ミセルが挙げられる。(a)生物学的に適合性があり、(b)複数のプラットフォーム構築材料が付着する多数の官能基(例えば、アミノ基、カルボキシル基、チオール基等)を有し;(c)細胞標的剤を連結するための場所を有するどのような物質も担体部分として有用である。
【0051】
任意に、得られた水不溶性ナノプラットフォームが続いて投与される工程3二特異的試薬に結合できる付加的分子構造を表すように、プラットフォーム構築材料は付加的分子構造を含有する。適当な付加的分子構造は、例えば、抗原エピトープ、新抗原エピトープ、タンパク質に結合するリガンド、ペプチドレクチン、またはコンビナトリアルケミストリーにより調製されたものを含む有機構造物が挙げられる。好ましくは、付加的分子構造は、ナノプラットフォーム上の付加的分子構造と、その後に投与される工程3二特異的試薬の標的部分との間で共有結合の形成を可能とする。
【0052】
付加的分子構造の例:工程3試薬標的部分システムは、ナノプラットフォーム上の付加的分子構造が酵素の非可逆的インヒビターである場合に生じ、工程3二特異的試薬の標的部分は該酵素であり、非可逆的インヒビターが該酵素のアミノ酸残基の一つと共有結合を形成するために、工程3二特異的試薬を水不溶性ナノプラットフォームに共有結合させる。
【0053】
もしくは、酵素は、酵素的反応が完了せず、基質が安定な結合体として修飾酵素に共有結合するようになるように特異的に修飾され、変更されているので、ナノプラットフォーム上の付加的分子構造は工程3二特異的試薬の標的部分である該酵素の非可逆的インヒビター基質である。そのような方法は当業者に知られている。記載される変異β−ラクタマーゼはそのような修飾酵素の一例である。
【0054】
最適には、工程1試薬のプラットフォーム構築材料上の付加的分子構造として有用な非可逆的酵素インヒビターは、(1)非可逆的酵素インヒビターをプラットフォーム構築材料に結合させるために用いることのできる活性結合部分から離れた官能基;(2)細胞内および細胞外での循環血液中での相対的安定性;(3)付加的分子構造による担体部分と細胞標的剤へのプラットフォーム構築材料の付着中に、プラットフォーム構築材料の合成を含む工程1試薬の化学合成を容易にする安定的性質等の特性の1つ以上を有する。
【0055】
例示的な酵素/非可逆的酵素インヒビターの対として、変異β−ラクタマーゼ/ペニシリンアナログまたはロラカルベフ;UDP−N−アセチルグルコサミンエノールピルボイルトランスフェラーゼ/ホスホマイシンまたはホスホエノールピルベート;オルニチンデカルボキシラーゼ/α−ジフルオロメチルアミノ酸;アルギニンデカルボキシラーゼ/α−ジフルオロメチルアミノ酸;酵母S−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ/1,1’−(メチルエタンジイリジデンジニトリロ)−ビス(3−アミノグアニジン);およびβ−ラクタマーゼPSE−4/クラブラン酸、スルバクタムおよびタゾバクタムが挙げられる。
【0056】
工程1試薬の多様な成分は、特定のタイプのがんに合う成分の範囲から選択される。工程1試薬の多様な成分の選択においてこの多様性を有することで、本発明はほとんどすべての種類のがんに適用することができる。特定の腫瘍タイプの細胞標的剤の例示的な標的を表1に示し、ここで「x」は、標的が特定の腫瘍上で同定されたことを示している。
【0057】
【表1】

工程2試薬
工程2試薬は殺細胞試薬である。殺細胞試薬または細胞毒性化合物は細胞死を引き起こすことができる物質である。好ましくは、細胞死はアポトーシスの結果であるか、または細胞溶解をもたらして、ナノプラットフォームを腫瘍細胞外の空間に再配置して、続いて、またはその前か、または同時に投与された試薬に対して細胞外ナノプラットフォームを露出させ、接近可能とさせる。
【0058】
細胞殺傷剤は細胞毒性化合物である。例えば、細胞殺傷剤は化学処置剤;毒素(例えば、細菌、真菌、植物または動物起源の酵素的活性のある毒素またはそのフラグメント);放射活性同位元素(すなわち、放射活性結合体);または体外照射療法、温熱または超音波等の外部にかけられるエネルギーである。
【0059】
もしくは、細胞殺傷剤は、ホルモン、抗ホルモン等の無毒剤、または被験体のホルモン状態の変更を導き、被験体のホルモン状態に感受性のある特定の細胞系統の細胞に向けられたアポトーシスと呼ばれる殺細胞プロセスをもたらす精巣摘除術等の操作である。例えば、精巣摘除術および/または抗アンドロゲンの投与は、多数の正常な前立腺細胞およびさまざまな数の前立腺がん細胞のアポトーシス死滅を引き起こす。
【0060】
例えば、化学療法剤化合物は、パクリタキセル、タキソール、ロバスタチン、ミノシン、タモキシフェン、ゲムシタビン、5−フルオロウラシル(5−FU)、メトトレキサート(MTX)、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、テニポシド、エトポシド、アドリアマイシン、エポチロン、ナベルビン、カンプトテシン、ダウノニビシン、ダクチノマイシン、ミトキサントロン、アムサクリン、エピルビシンまたはイダルビシンである。
【0061】
工程2試薬として用いることのできる酵素活性のある毒素およびそのフラグメントとして、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性フラグメント、外毒素A鎖(緑膿菌由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデッシンA鎖、α−サルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンチンタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP−S)、ニガウリインヒビター、クルシン、クロチン、サパオナリアオフィシナリスインヒビター、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、およびトリコテセン類が挙げられる。
【0062】
放射性複合抗体の生産のために多様な核種が利用可能である。実例として、212Bi,131I、111In、90Yおよび186Reが挙げられる。
【0063】
工程2細胞殺傷剤の何れを使用するかにかかわらず、殺細胞試薬は、殺細胞試薬による死滅に対して過敏な特徴を有する少なくとも標的細胞を選択的に死滅させることができる。
工程3試薬
本発明は、さらに、工程3二特異的試薬2000(図26)を被験体に導入することからなる。工程3試薬は標的部分2100および同位元素捕捉部分を含む化合物である。
【0064】
標的部分は、水不溶性ナノプラットフォーム1600上の付加的分子構造1400に対して特異性および親和性をもって結合することができる。
【0065】
同位元素捕捉部分2200は放射標識水溶性工程4試薬を捕捉できる。
【0066】
工程3試薬の標的部分は、例えば、ヒドラジド類、ケトン類、メルカプタン類、マレイミジル類等の有機官能基;抗体、そのフラグメントまたはその誘導体、または抗体結合部位のように挙動するように生物技術的に設計されたペプチド等のポリペプチド;ペプチド、酵素またはそのフラグメント;レクチン;または細胞外ナノプラットフォーム上の付加的分子構造に結合するように生物技術的に設計された分子である。
【0067】
標的部分の選択は、工程1試薬上の付加的分子構造およびその得られるナノプラットフォームの選択の関数である。例えば、ナノプラットフォーム上の付加的分子構造が新生抗原または他の抗原エピトープである場合、標的部分は抗体結合部位のように挙動するように生物技術的に設計され、特異性および親和性をもって新生抗原または他の抗原エピトープに結合するように適合させた抗体または抗体フラグメントまたはペプチドである。工程3二特異的試薬の標的部分が細胞外ナノプラットフォーム上の付加的分子構造を標的とすることは、工程3二特異的試薬の標的部分と、細胞外ナノプラットフォームの表面上の付加的分子構造としての抗原エピトープとの非共有高親和性および/または高親和力結合の結果でもありうる。図30は、表面上の付加的分子構造1400として多くの抗原エピトープ1404を有する細胞外ナノプラットフォーム1600を示す。工程3二親和性試薬2004の標的部分2100としてのこれらの抗原エピトープ1404に対する特異性を有する抗体2104は、細胞外ナノプラットフォーム1600の表面上の付加的分子構造1400としての抗原エピトープ1404に高親和性および/親和力2504をもって結合するので、工程3二特異的試薬2004を細胞外ナノプラットフォーム1600に結合する。
【0068】
あるいは、ナノプラットフォーム上の付加的分子構造が非可逆的酵素インヒビターである場合、標的部分は、非可逆的酵素インヒビターに結合する対応する酵素、変異酵素、タンパク質またはペプチドである。図29に示されるように、工程3試薬2003は標的部分2100として適当な酵素2103とともに導入され、ナノプラットフォーム1600上の付加的分子構造1400としての非可逆的酵素インヒビター1403と接触する。工程3二特異的試薬2003の酵素2103標的部分2100は非可逆的酵素インヒビター1403と相互作用して、非可逆的酵素インヒビターに対する共有結合により、酵素2103(および従って工程3二特異的試薬)を細胞外ナノプラットフォーム1600に共有結合2503させることができる。工程3二特異的試薬の標的部分に適する酵素として、例えば、β−ラクタマーゼ、変異β−ラクタマーゼ、アルギニンデカルボキシラーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、UDP−N−アセチルグルコサミンエノールピルボイルトランスフェラーゼ、またはナノプラットフォーム上の付加的分子構造としての基質が酵素に共有結合するが、基質を遊離させる触媒反応を完結させることができないようにその活性部位を修飾または変更させた特異的変異の酵素が挙げられる。
【0069】
ナノプラットフォーム上の付加的分子構造がアルデヒド基またはケトン基等の反応性有機官能基である場合、工程3試薬の標的部分はヒドラジド基等の反応性有機官能基であるので、アルデヒド基またはケトン基をヒドラジド基と反応させてヒドラゾンを形成することにより、工程3試薬をナノプラットフォームに共有結合させる。図27に示されるように、アルデヒド基は遊離アルデヒドとしてか、アセタールとして保護されてプラットフォーム構築材料に取り込まれる;後者が次に細胞内に存在する場合に、保護基がアセタールから除去され、遊離アルデヒド基を付加的分子構造1401として存在させるだろう。他の有機反応官能基として、図28に示されるようにメルカプタン基およびマレイミジル基が挙げられる。S−アセチル保護メルカプタン等の保護メルカプタンは工程1試薬上の付加的分子構造であり、プラットフォーム構築材料に付着する。細胞内に存在する間、アセチル基は加水分解性酵素により除去されるので、ナノプラットフォーム1600はその表面に遊離メルカプト基1402を有し得る(図28中を参照)。工程3試薬2002の対応する標的部分2100はマレイミジル基2102であり、ナノプラットフォーム1600上のメルカプト基1402に接触すると、チオエーテル結合2502を形成することによって、工程3試薬をナノプラットフォームに共有結合させる。
【0070】
工程3二特異的試薬の同位元素捕捉剤は放射標識工程4試薬に結合することができる。同位元素捕捉部分2200の化学組成物は放射標識工程4試薬により決まる。同位元素捕捉部分は、ナノプラットフォームの領域に隣接する腫瘍のマトリックス内の放射標識水溶性工程4試薬を捕捉するように適合させる。
【0071】
腫瘍内への放射標識水溶性工程4試薬の捕捉は、放射標識水溶性工程4試薬を、細胞外ナノプラットフォーム上の工程3二特異的試薬の同位元素捕捉部分に直接に結合させ、それを、ホットスポットを作るために必要な時間結合し続けることにより達成する。適当な時間は使用される放射同位元素に依存し、当業者に明らかである。例えば、131I等の放射標識ヨウ素に適当な時間は少なくとも5日間、6日間、7日間、8日間、9日間または10日間以上である。90Y等の放射標識イットリウムに適当な時間は3日間、4日間、5日間または6日間以上である。
【0072】
細胞外ナノプラットフォーム上の工程3試薬の同位元素捕捉部分に結合することのできる工程4試薬として、アルデヒド基と結合してヒドラゾンを形成するヒドラジド基等の工程3二特異的試薬の標的部分について既に述べた反応有機官能基が挙げられる。例えば、図31に示されるように、細胞外ナノプラットフォーム1600の表面に付着2500させた工程3二特異的試薬2005は同位体元素捕捉部分2200としてアルデヒド基2201を有することができ、放射標識水溶性工程4試薬8000は、分子構造に存在するヒドラジド基8001によりアルデヒド基2201に付着してヒドラゾン7000を形成することにより、放射標識水溶性工程4試薬を細胞外ナノプラットフォームに共有結合させることができるので、放射性同位元素(例えば、131I)を腫瘍内の細胞外ナノプラットフォームに、長期間、例えば、放射性同位元素が半径1〜2mm内の腫瘍細胞に致死線量照射を曝すホットスポットを作る5〜10日間保持させる。
【0073】
あるいは、工程3二特異的試薬の同位元素捕捉部分は酵素であり、放射標識水溶性工程4試薬は該酵素の放射標識非可逆的インヒビターである。例えば、図32に示すように、工程3二特異的試薬2006の同位元素捕捉部分2200は、工程3二特異的試薬の標的部分2100によりナノプラットフォーム1600上の付加的分子構造1400に付着2500させたβ−ラクタマーゼ酵素2002である。この例において、放射標識水溶性工程4試薬8002は、ペニシラン酸の131Iヨード誘導体またはリチウム131I−9−O−m−ヨードフェニルクラブラネートであり(J.Enzyme Inhibition,1:83−104,1986)、これらは循環血液中に導入されると、細胞外ナノプラットフォーム1600に付着したβ−ラクタマーゼ2202に接触し、β−ラクタマーゼ上の結合部位と相互作用し、非可逆的酵素インヒビター7001としてβ−ラクタマーゼに結合することにより、水溶性工程4試薬放射性同位元素を、周囲腫瘍細胞に致死線量照射を曝すホットスポットを作るために必要な期間、腫瘍中の細胞外ナノプラットフォーム1600に付着させる。
【0074】
あるいは、工程3二特異的試薬の同位元素捕捉部分は、高親和性および/または高親和力をもって放射標識水溶性工程4試薬と結合することのできる抗体または抗体フラグメントまたはその誘導体、レクチン、または他のタンパク質または構造でもある。図33に示されるように、工程3二特異的試薬2007の同位元素捕捉部分2200はストレプトアビジン2203であり、工程3二特異的試薬2007は工程3二特異的試薬の標的部分2100により細胞外ナノプラットフォーム1600に結合している。この例において、放射標識水溶性工程4試薬8003は、90Y−ビオチン誘導体等のビオチン誘導体であってよい(Weiden and Breitz,Crit.Rev.Oncol.Hematol.40:27−51,2001;Paganelli, et al.,Cancer Biother.Radiopharm.16:227−235,2001)。放射標識水溶性工程4試薬8003が循環血液中に入る場合、非常に親和性をもって腫瘍内の細胞外ナノプラットフォームに付着したストレプトアビジンに結合7003することにより、放射標識工程4試薬90Y放射性同位元素を、周囲腫瘍細胞に致死線量照射を曝すホットスポットを作るために必要な期間、腫瘍中の細胞外ナノプラットフォームに結合させて捕捉する。ストレプトアビジンはビオチンに対して4つの結合部位を有するので(Chalet and Wolf,Arch.Biochem.Biophys.106:1, 1964)、腫瘍内に捕捉された放射性同位元素の量の4倍増幅は、ストレプトアビジンを工程3二特異的試薬の同位元素捕捉部分として用いて放射標識ビオチン工程4試薬に結合し、それを捕捉することにより達成される。
【0075】
抗体は、細胞外ナノプラットフォーム上の付加的分子構造として抗原エピトープに結合する工程3試薬の標的部分として、および放射標識水溶性工程4試薬に結合する工程3試薬の同位元素捕捉部分として用いることができるので、2つの結合活性は、二特異的抗体である工程3試薬を用いることにより一分子中で達成することができる。二特異的抗体の二分の一は、細胞外ナノプラットフォーム上の付加的分子構造として抗原エピトープに対して特異的な抗体でありえ、二特異的抗体の別の半分は放射標識水溶性工程4試薬上のハプテン構造に対して特異的な抗体でありうる。
【0076】
あるいは、放射標識水溶性工程4試薬の腫瘍内への捕捉は、最も有利には工程3二特異的試薬の同位体元素捕捉部分である適当な酵素の触媒作用により、放射標識水溶性工程4試薬を放射標識水不溶性生成物に変換することにより達成される。この方法は腫瘍内に捕捉されうる放射性同位元素の量の大きな増幅を提供する。この増幅は、放射標識水溶性工程4試薬の濃度および放射標識水溶性工程4試薬基質の酵素のターンオーバー数により支配されるだろう。
【0077】
好ましくは、工程3二特異的試薬の同位元素捕捉部分は酵素であり、この酵素はその触媒作用により続いて投与される放射標識水溶性工程4試薬を、腫瘍マトリックス内に捕捉される放射標識水不溶性生成物に変換することができる。図34に示されるように、工程3二特異的試薬2008の同位元素捕捉部分2200としての酵素は、例えば、工程3二特異的試薬2008の標的部分2100により細胞外ナノプラットフォーム1600に結合させたβ−D−ガラクトシダーゼ2204等のグリコシダーゼであり、インドキシル部分からガラクトシド部分を切断する酵素の触媒作用により131I−5−ヨードインドキシル−3−ガラクトシド8004等の放射標識水溶性工程4試薬8004を131I−5,5’−ジヨードインジゴ8005等の放射標識水不溶性生成物に変換する。これは、自発的な酸化二量体化を受けて放射標識水不溶性インジゴ誘導体生成物8005を形成する放射標識水溶性インドキシル誘導体である中間体をもたらす。これらの化合物は、細胞外ナノプラットフォーム1600に結合した工程3二特異的試薬2008の同位元素捕捉部分2200として酵素の非常に近くで沈殿物を迅速に形成し(Holt,Nature 169:271−273,1952;Holt and Sadler,Proc.Roy.Soc.B,148:495−505,1958)、腫瘍内に放射性同位元素を捕捉して、致死線量照射を周囲の腫瘍細胞に供給するホットスポットを形成する。沈殿物は水不溶性であるため、および腫瘍内に見られる欠如または制限されたリンパ腺のために(Jain,Adv.Drug Deliv.Rev.26:71−90,1997;Jain,Cancer Res.50:814s−819s,1990;Butler,et al.,Cancer Res.35:3084−3088,1975)、および腫瘍内に見られる欠如または限定された数の、または効果のない(さもなければ食作用により沈殿物を除去する)マクロファージのために(Balm,et al.,Cancer 54:1010−1015,1984;Vaage,Int.J.Cancer 50:69−74,1992;Bingle,et al.,J.Pathol.196:254−265,2002)、沈殿物は長期間にわたって腫瘍マトリックス内に所定の位置に存続する。工程3二特異的試薬の同位元素捕捉部分として酵素をこの触媒方法で使用することは、腫瘍内に捕捉される放射性同位元素の量を増幅することができる点において、放射標識水溶性工程4試薬を直接結合する方法よりも利点があることによって、腫瘍細胞に供給できる致死線量照射の効果的用量を増加させ、腫瘍に対する効果的な処置の可能性を高めている。この触媒方法で工程3二特異的試薬の同位元素捕捉部分として用いられる酵素は、好ましくは、ヒトの血液循環に見られる類似の酵素反応が存在せず、ヒトの血液循環に見られる基質が存在しない非哺乳類の酵素である;これらの酵素として、例えば、β−ラクタマーゼ、ペニシリンアシラーゼ、アルギニンデカルボキシラーゼおよびシアリダーゼが挙げられる。しかし、ヒト酵素等の哺乳類の酵素でも、ヒト血液循環において顕著な量でホスト反応を触媒せず、かつ酵素に対して競合する天然基質が存在しない、またはその量が限定されており、かつ放射標識水溶性工程4試薬として用いられる基質と顕著な量で反応する循環酵素が存在しないのであればこの触媒方法に用いられる。哺乳類細胞に見られる特異性を示す幾つかの酵素は当分野で知られており、例えば、アルカリホスファターゼ、β−グルクロニダーゼおよびβ−ガラクトシダーゼが挙げられる。ヒト酵素は潜在的ホスト免疫学的反応を減少させるために、この触媒方法に使用される非哺乳類酵素によりも幾つかの利点があるだろう(Wolfe,et al.,Bioconjugate Chem.10:38−48,1999;Smith,et al.,J.Biol.Chem.272:15804−15816,1997;Laethem,et al.,Arch Biochem.Biophys.332:8−18,1996;Houba,et al.,Biochem.Pharm.52:455−463,1996)。この触媒方法で工程3二特異的試薬の同位元素捕捉部分としての使用に適する酵素の選択の最も重要な面は、触媒される工程4反応が、周囲腫瘍細胞を致死線量照射に曝すホットスポットを作るのに必要な期間(多くの場合、腫瘍マトリックスに巻き込まれる沈殿物または高い疎水性の産物の形にある)腫瘍のマトリックス内に捕捉されたままにある放射標識水不溶性産物の形成を引き起こすことを確実とすることである。本発明の工程3二特異的試薬の同位元素捕捉部分として適当な触媒酵素として、例えば、β−ラクタマーゼ;ペニシリン−Gおよびペニシリン−Vアミダーゼ;ニトロレダクターゼ;すべての種類のグリコシダーゼ、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、β−グルクロニダーゼ、シアリダーゼ等;カルボキシペプチダーゼA;カルボキシペプチダーゼG2;シトシンデアミナーゼ;アルカリホスファターゼ;スルファターゼ;またはそのような酵素の遺伝子操作された変異体が挙げられる。
【0078】
工程3二特異的試薬の標的部分および同位元素捕捉部分は共有結合している(図26を参照)。もしくは、標的部分および同位元素捕捉部分は非共有的に結合している。反応性有機官能基(例えば、アルデヒド基またはヒドラジド基)を標的部分か同位元素捕捉部分のいずれかに用いる場合、反応性官能基としての標的部分または同位元素捕捉部分は、ほとんどの場合で高分子、しばしばタンパク質である、工程3二特異的試薬の他の部分に反応性有機官能基を付着させるために適当な官能基をも必要とするだろう。この適切な官能基は、標的部分または同位元素捕捉部分としての反応性有機官能基を、タンパク質としての他の部分のアミノ酸残基の1つにタンパク質の結合または酵素活性に影響を与えずに付着させる(Hermanson,Bioconjugate Techniques,Part I、Academic Press、San Diego、1996)。工程3二特異的試薬のための他の選択の多くで、工程3二特異的試薬の形成は2つの異なる巨大分子の結合を伴い、ヘテロ結合体を作りだす。結合操作は当該分野で公知である(Hermanson,Bioconjugate Techniques,Part II、Academic Press、San Diego、1996)。発現および精製の際に、適当な工程3二特異的試薬を提供することができる融合タンパク質を作るためにバイオエンジニアリングおよび組換え生物学技術を使用することもできる。
工程4試薬
工程4試薬は放射標識分子を含む。放射性同位元素は、工程4試薬に直接的に、すなわち共有結合する。あるいは、放射性同位元素は、工程4試薬に間接的に、例えば、キレート剤を介して結合する。放射性同位元素として、例えば、ヨウ素−131(131I)、イットリウム−90(90Y)、銅−67(67Cu)、レニウム−186(186Re)、レニウム−188(188Re)、ルテチウム−177(177Lu)、アスタチン−211(211As)、ビスマス−212(212Bi)、ビスマス−213(213Bi)、ロジウム−103m(103mRh)、ヨウ素−125(125I)、およびインジウム−111(111In)(Carlsson,et al.,Radiother Oncol.66(2):107−117,2003)が挙げられる。
【0079】
好ましくは、放射標識工程4試薬は低分子量である。低分子量化合物は、良好な循環、体内分布、腫瘍侵入、および潜在的免疫原性の低下を提供する。さらに、腫瘍細胞外マトリックスに捕捉されない低分子量放射標識水溶性工程4試薬はさらに速く排泄されることにより全身毒性を減少させる。
【0080】
低分子量とは、化合物が25kD未満、好ましくは10kD未満、より好ましくは5kD未満、最も好ましくは1kD未満であることを意味する。
【0081】
工程4試薬は、工程3二特異的試薬の同位元素捕捉部分に直接的および特異的に結合することにより、工程3試薬の同位元素捕捉部分により捕捉されるように適合させる。もしくは、工程4試薬は、工程3試薬の同位元素捕捉部分により、ナノプラットフォームに隣接する腫瘍細胞外マトリックス内に捕捉される放射標識水不溶性産物に酵素的に変換される。工程4試薬放射性同位元素の腫瘍細胞外マトリックス内の固定化は、致死線量照射を周囲の腫瘍細胞に供給する微小領域の照射野(ホットスポット)を作る。
【0082】
工程4試薬は、工程3試薬の同位元素捕捉部分に結合することのできる活性反応基により、例えば、同位元素捕捉部分に直接結合する非可逆的酵素インヒビターとして、または同位元素捕捉部分に非常に高い親和性か高い親和力をもって結合するように適合させたハプテンまたはペプチド等の小分子として、同位元素捕捉部分に結合する。高親和力は少なくとも約1010モル−1以上のKaにより定義される。好ましくは、Kaは約1012モル−1である。さらに好ましくは、Kaは約1015モル−1である。
【0083】
反応性有機官能基として、例えば、他の試薬上の対応する有機反応官能基と反応するが、2つの試薬が通る経路上の被験体の循環内に存在する分子構造物とは容易に反応しないアルデヒド類、ケトン類、ヒドラジド類、メルカプタン類またはマレイミド基が挙げられる。例えば、工程3二特異的試薬の同位体捕捉部分がアルデヒド基である場合、放射標識水溶性工程4試薬はヒドラジド官能基を有する。放射標識水溶性工程4試薬上のヒドラジド基が、工程3試薬の同位元素捕捉部分としてのアルデヒド基と接触する場合、それはヒドラゾンを形成するために、放射標識水溶性工程4試薬をナノプラットフォームに共有結合させる。
【0084】
工程3試薬の同位元素捕捉部分としての適当な酵素および工程4試薬としての非可逆的な酵素インヒビターは上記のように当技術でよく知られている。好ましくは、酵素の特異性は、ホスト種の循環または細胞外マトリックス内または工程3二特異的試薬が本発明での使用中に通る経路上で顕著な量で見られない基質に対するものである。有利には、工程3二特異的試薬の同位元素捕捉部分は、ペニシリナーゼまたはペニシリンアミダーゼ等、ホスト種に一般的に見られない基質に対する特異性を有する非哺乳動物の酵素である。
【0085】
工程4試薬として、2−ニトロ−5−ヨード−フェノール(NIP)、4−(4’−ヨードフェニル)ベンゾエート、および4−(4’−ヨードフェニル)ベンゼンアルソネートが挙げられ、これら化合物中でヨード基は放射活性がある。あるいは、ペプチドは放射性同位元素を含むように放射標識する。放射標識された有機分子はペプチドに容易に結合させることができる。例えば、131I−p−ヨード安息香酸は、アミドの形成によりペプチド上のα−アミノ基に結合させることができ、90Yおよび他の金属放射性同位元素と非常に高い親和性により結合する1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’,N’’,N’’’−テトラ酢酸(DOTA)等のキレート剤はペプチドと結合体化させることができる。ペプチドはLアミノ酸、Dアミノ酸、または両者の組合せのポリマーである。例えば、ペプチドはDレトロ−インバーソペプチド(inverso peptide)である。「レトロ−インバーソ異性体(retro−inverso isomer)」との用語は直鎖ペプチドの配列の向きが逆である異性体をいう;「D−レトロ−インバーソ異性体」との用語は、配列の向きが逆であり、各アミノ酸残基のキラリティーが逆である直鎖ペプチドの異性体をいう。例えば、Jameson et al,Nature,368,744−746(1994);Brady et al.,Nature,368,692−693(1994)を参照されたい。D鏡像異性体と逆合成の組合せの最終結果として、各アミド結合のカルボニル基とアミノ基の位置が交換される一方で、各アルファ炭素の側鎖基の位置が保存される。例示的な工程4試薬/同位元素捕捉部分の対として、放射標識ビオチン/ストレプトアビジンまたは放射標識FITC/抗FITC抗体が挙げられる。
【0086】
工程4試薬として、同位元素捕捉部分により酵素的に変えられる付着した親水基を有する疎水性核からなる化合物が挙げられる。例えば、親水基が芳香族OH(ヒドロキシ)基に結合し、これはOH基が放射標識水溶性工程4試薬の別の部分のヘテロ原子に水素結合をする位置に存在する場合に最も有利であろう。さらに、この種類の放射標識水溶性工程4試薬は放射性同位体、最も好ましくは、工程3二特異的試薬の同位元素捕捉部分として酵素に対して放射標識水溶性工程4試薬基質が反応することにより作られる放射標識水不溶性産物の疎水性を維持するヨード基等の放射性同位元素を含む。
【0087】
このクラスの放射標識水溶性工程4試薬に対する潜在的な放射性同位元素含有分子構造の多くの(排他的であることは意味しない)共通する特徴は、例えば、ホスファターゼに対する基質グループとしてのホスフェート基、ガラクトシダーゼに対するガラクトース、グルコシダーゼに対するグルコース、グルクロニダーゼに対するグルクロニド2等を結合させることにより適切な酵素基質を調製するために用いられる芳香族核上のOH(ヒドロキシル)基である。OH基はいったん付着基質の酵素的切断によって遊離すると、分子構造の一部である適当に位置するヘテロ原子とともに内部水素結合を形成することができる。例えば、放射標識および適当な基質グループが付加されるこれらの核構造物として、アルキルサリチル酸塩の誘導体、N−ベンジルサリチルアミド、2−(2’’−ヒドロキシフェニル)ベンズイミダゾール、5,6,7,8−β−テトラロールカルボン酸−β−ナフチルアミド、2−ヒドロキシベンゾフェノン、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸アニリド、ジヒドロキノフタロン、メナヒドロキノン、2−(2’−ヒドロキシフェニル)−4(3H)−キナゾリノン、2−(2’ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、ポルフィリン誘導体等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
酵素として、工程3二特異的試薬の同位元素捕捉部分の触媒作用を利用する別の方法は、自発的に反応して放射標識水不溶性産物を形成する活性中間体への放射標識水溶性工程4試薬の酵素的変換であり、それにより微小領域の照射野(ホットスポット)を作って致死線量照射を周囲腫瘍細胞に供給するために必要とされる期間、腫瘍細胞外マトリックス内に捕捉されうる放射性同位元素の量を非常に増やす高い酵素ターンオーバー数の大きな増殖ポテンシャルを再び利用する。多くの分子構造は、酵素的切断が水不溶性ポリマーを形成するための活性中間体であるモノマーを作る酵素基質等、この種類の放射標識水溶性工程4試薬を作るために適する。そのような放射標識水溶性工程4試薬として用いることのできる適当な酵素基質の例として、1)ペンダント基の酵素的切断が酸化的二量体化を迅速に受ける反応性インドキシルを生じて、放射標識水不溶性インジゴ誘導体生成物を形成する放射標識水溶性インドキシル誘導体および2)ペニシリナーゼによる切断が、放射標識水不溶性生成物を放出する電子転位を導くペニシリンの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
試薬の調製
本発明の組成物は、当分野で公知の適当な方法での化学的結合により上記のそれぞれの基からの成分を結合させることにより調製される。多くの公知の化学的架橋方法は非特異的であり、すなわち、それら方法は結合点を標的部分上のいずれか特定の部位に向けることはない。その結果、非特異的架橋剤の使用は機能部位を攻撃するか、または立体的に活性部位をブロックして、複合タンパク質を生物学的に不活性にするだろう。
【0089】
結合特異性を高める一つの方法は、架橋すべきポリペプチドの片方もしくは両方に一回のみまたはわずかに見られる官能基に直接に化学結合させることである。例えば、多くのタンパク質では、チオール基を含む唯一のタンパク質アミノ酸であるシステインはわずかに数回存在する。また、例えば、ポリペプチドがリジン残基を含まない場合、一級アミンに特異的な架橋剤は、該ポリペプチドのアミノ末端に対して選択性があるであろう。結合特異性を高めるこのアプローチの成功した利用は、ポリペプチドが、分子の生物学的活性の損失なしに変更されない分子の領域に適度に稀な反応性残基を有することを必要とする。
【0090】
システイン残基は、架橋反応へのそれらの寄与がおそらく生物学的活性に干渉しないポリペプチド配列の一部に存在する場合に置き換えてよい。システイン残基が置き換わる場合、ポリペプチドの折り畳みの生じる変化を最小限にすることが典型的に望ましい。ポリペプチドの折り畳みの変化は、置換が化学的および立体的にシステインに類似である場合に最小化する。これらの理由から、セリンはシステインの置換として好ましい。下記の実施例に示されるように、システイン残基は、架橋の目的のためにポリペプチドのアミノ酸配列に導入してよい。システイン残基が導入される場合、アミノ末端またはカルボキシル末端での導入または該末端の近くの導入が好ましい。目的のポリペプチドが化学合成または組換えDNAの発現のいずれかにより作られようとも、そのようなアミノ酸配列修飾に慣用の方法を利用することができる。
【0091】
2構成成分の結合は、架橋剤または接合剤により達成することができる。利用することのできるいくつかの分子間架橋剤が存在する。例えば、Means and Feeney,CHEMICAL MODIFICATION OF PROTEINS,Holden−Day,1974,pp.39−43を参照されたい。これらの試薬の中には、例えば、スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)またはN,N’−(1,3−フェニレン)ビスマレイミド(両者共にスルヒドリル基に対して非常に特異的であり、非可逆的結合を形成する);N,N’−エチレン−ビス−(ヨードアセトアミド)または6〜11炭素メチレン架橋を有する他の相同体(これらはスルヒドリル基に対して比較的特異的である);および1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン(これはアミノ基とチロシン基とともに非可逆的結合を形成する)が存在する。この目的に有用な他の架橋剤として、p,p’−ジフルオロ−m,m’−ジニトロジフェニルスルホン(これはアミノ基およびフェノール基とともに非可逆的架橋を形成する);ジメチルアジピミデート(これはアミノ基に対して特異性がある);フェノール−1,4−ジスルホニルクロリド(これは主にアミノ基と反応する);ヘキサメチレンジイソシアネートまたはジイソチオシアネート、またはアゾフェニル−p−ジイソシアネート(これは主にアミノ基と反応する);グルタルアルデヒド(これはいくつかの異なる側鎖と反応する)およびビスジアゾベンジジン(これは主にチロシンおよびヒスチジンと反応する)が挙げられる。
【0092】
架橋剤はホモ二機能性、すなわち、同じ反応を受ける2つの官能基を有する。好ましいホモ二機能性架橋剤はビスマレイミドヘキサン(「BMH」)である。BMHは、温和な条件下(pH6.5〜7.7)でスルヒドリル含有化合物と特異的に反応する2つのマレイミド官能基を含む。2つのマレイミド基は炭化水素鎖により連結させる。したがって、BMHはシステイン残基を含むポリペプチドの非可逆的架橋に有用である。
【0093】
架橋剤はヘテロ二機能性であってもよい。ヘテロ二機能性架橋剤は、遊離のアミンとチオールをそれぞれ有する2つのタンパク質を架橋させる2つの異なる官能基、例えば、アミン反応基とチオール反応性基を有する。ヘテロ二官能性架橋剤の例はスクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(「SMCC」)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(「MBS」)、およびスクシンイミド4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート(「SMPB」)、MBSの延長鎖アナログである。これらの架橋剤のスクシンイミジル基は一級アミンと反応し、チオール反応性マレイミドはシステイン残基のチオールと共有結合を形成する。
【0094】
架橋剤はしばしば水に対する低い溶解性を有する。スルホネート基等の親水部分はその水溶性を向上させるために架橋剤に加えてよい。スルホMBSおよびスルホSMCCは水溶性のために修飾された架橋剤の例である。
【0095】
多くの架橋剤は、細胞条件下で基本的に非切断性である複合物を生じる。しかし、一部の架橋剤は、細胞条件下で切断可能なジスルフィド等の共有結合を含む。例えば、Trautの試薬、ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)(「DSP」)およびN−スクシンイミジル3−(2−ピリジルチオ)プロピオネート(「SPDP」)はよく知られた切断可能な架橋剤である。切断可能な架橋剤の使用により、標的細胞への輸送後に積荷部分を輸送ポリペプチドから分離することができる。直接のジスルヒド結合も有用であろう。
【0096】
上記した架橋剤等の多くの架橋剤が市販されている。それらの使用の詳細な説明は商業供給元から容易に入手可能である。タンパク質架橋および結合体調製物に関する一般的な参考文献は、Wong,CHEMISTRY OF PROTEIN CONJUGATION AND CROSS−LINKING,CRC Press(1991)である。
【0097】
化学的な架橋はスペーサーアームの使用を伴うだろう。スペーサーアームは細胞間柔軟性を提供し、複合部分間の細胞内距離を調節することにより生物学的活性を保存するのに役立つだろう。スペーサーアームは、スペーサーアミノ酸、例えば、プロリンを含むポリペプチド部分の形態にあってよい。もしくは、スペーサーアームは、「長鎖SPDP」等における架橋剤の一部であってよい(Pierce Chem.Co.,Rockford,IL.,cat.No.21651H)。
【0098】
もしくは、本発明の組成物は、公知の適当なホスト細胞で好都合に発現させることのできる融合タンパク質として作られる。ここに記載のように融合タンパク質を、標準的な組換えDNA技術に類似するか、またはそれから容易に適合できる方法で形成し、用いることができる。例えば、異なるポリペプチド配列をコードするDNAフラグメントを、従来の技術にしたがって、例えば、連結のために平滑末端またはジグザグ末端、適当な末端を提供するための制限酵素消化、必要に応じて付着末端を埋めること、望まれない結合を避けるためにアルカリホスファターゼ処理および酵素的連結を用いることにより、ともにインフレームで連結する。融合遺伝子は、自動化DNA合成装置等の慣用の技術により合成する。もしくは、遺伝子フラグメントのPCR増幅を、引き続いてキメラ遺伝子配列を作るようにアニールし、再増幅することのできる2つの連続した遺伝子フラグメント間の相補的突出を生じさせるアンカープライマーを用いて実施する(例えば、Ausubel et al.(eds.)CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley&Sons,1992を参照)。さらに、融合部分(例えば、免疫グロブリン重鎖のFc領域)をコードする多くの発現ベクターが利用可能である。
医薬組成物
本発明の組成物は投与に適する医薬組成物に配合することができる。そのような組成物は典型的には工程1試薬、工程2試薬、工程3試薬または工程4試薬および薬学的に許容される担体を含む。ここで用いられる「薬学的に許容される担体」は、医薬投与に適合するありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤、抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤等を含むことが意図される。適当な担体は、参照により本文に編入されるこの分野での標準的な参照教科書であるRemington’s Pharmaceutical Sciencesの最新版に記載されている。そのような担体または希釈液の好ましい例として、水、食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液および5%ヒト血清アルブミンが挙げられるが、これらに限定されない。リポソームおよび不揮発性油等の非水性ビヒクルを用いてもよい。薬学的に活性のある物質のためにそのような媒体および物質を使用することは当分野においてよく知られている。慣用の媒体または物質が活性化合物と非適合性でない限り、本組成物におけるそれらの利用が意図される。補助の活性化合物も本組成物に配合することができる。
【0099】
本発明の医薬組成物はその意図する投与経路に適合するように処方される。投与経路の例として、非経口、例えば、静脈内、皮内、筋内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、経皮(局所)、経粘膜的、直腸投与および経口経路が挙げられる。本発明の処置薬は、適切な経路、例えば、点滴または迅速投与により、上皮層または粘膜皮膚層(例えば、口粘膜、直腸および小腸粘膜、等)により投与してよく、他の生物学的に活性のある物質とともに投与してよい。投与は全身または局所であってよい。
【0100】
非経口、皮内または皮下適用に使用される溶液または懸濁液として、下記成分:注射用水、食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒等の滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベン等の抗菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウム等の抗酸化剤;エチレンジアミンテトラ酢酸等のキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩等の緩衝液、および塩化ナトリウムまたはデキストロース等の等張性調節剤が挙げられる。pHは、塩酸または水酸化ナトリウム等の酸または塩基により調節することができる。非経口調製物はアンプル、使い捨て注射器またはガラスかプラスチック製の複数回投与バイアルに同封できる。
【0101】
注射可能な使用のために適する医薬組成物として、滅菌水溶液(水溶性の場合)または滅菌注射可能な溶液または分散剤の即時調製用の分散物または滅菌粉末が挙げられる。静脈内投与に適当な担体として、生理学的食塩水、静菌性水、CremophorELTM(BASF、Parsippany、N.J.)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)が挙げられる。すべての場合で、組成物は無菌でなければならず、容易な注射針通過が存在する程度に流動的でなければならない。製造および保存条件下で安定でなければならず、細菌や真菌等の微生物の汚染作用から守る必要がある。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール等)およびそれらの適当な混合物を含む溶媒または分散媒であってよい。適当な流動性は、例えば、レシチン等のコーティングの利用により、分散液の場合は必要な粒子径の維持により、および界面活性剤の利用により維持することができる。微生物の作用の防止は、多様な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等により達成することができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖、多価アルコール、例えばマンニトール、ソルビトールまたは塩化ナトリウムを組成物に含ませるのが好ましいであろう。注射可能な組成物の持続的吸収は吸収を遅らせる物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物に含ませることにより達成できる。
【0102】
無菌の注射液は、必要に応じて、上記成分の1つまたはそれらの組合せと共に、適当な溶媒中で必要とされる量の活性化合物(例えば、PDXポリペプチドまたはPDXをコードする核酸)を配合し、次にろ過滅菌により調製することができる。一般的に、分散物は、基本分散媒および上記の必要とされる他の成分を含有する無菌ビヒクルに活性化合物を配合することにより調製される。無菌注射液の調製用の無菌粉末の場合、調製方法は、前もって無菌ろ過された溶液から有効成分と付加的な所望の成分の粉末を生じる真空乾燥および凍結乾燥である。
【0103】
経口組成物は通常、不活性の希釈剤または食用担体を含む。それらはゼラチンカプセルに封入するか、錠剤へと圧縮することができる。経口処置薬投与の目的から、活性化合物を賦形剤に配合し、錠剤、トローチまたはカプセルの形で用いることができる。経口組成物は液体担体中の化合物が経口で供給され、クチャクチャとさせて吐き出すか、もしくは飲み込むうがい薬として使用するために液体担体を用いて調製することもできる。薬学的に適合性のある結合剤および/または補助物質を組成物の一部として含むことができる。錠剤、丸剤、カプセル、トローチ等は、微結晶セルロース、トラガカントガムまたはゼラチン等の結合剤;デンプンまたはラクトース等の賦形剤;アルギン酸、Primogelまたはコーンスターチ等の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはSterotes等の滑剤;コロイド状二酸化シリコン等の流動促進剤;スクロースまたはサッカリン等の甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジ調味料等の矯味矯臭剤等の成分のいずれか、または類似の性質の化合物を含むことができる。
【0104】
吸入による投与のために、化合物は、適当な高圧ガス、例えば二酸化炭素等のガスを含む加圧容器またはディスペンサー、または噴霧器からのエアゾールスプレーの形で供給される。
【0105】
全身投与は経粘膜または経皮膚手段によってもよい。経粘膜的または経皮膚投与のために、透過すべきバリヤーに適当な浸透剤が製剤に用いられる。そのような浸透剤は一般的に知られ、例えば、経粘膜的投与のために、洗浄剤、胆汁酸およびフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜的投与は鼻内噴霧または座薬の使用により達成することができる。経皮的投与のために、活性化合物を当分野で一般的に知られているように軟膏、膏薬、ゲル、またはクリームに配合する。
【0106】
化合物は座薬(例えば、カカオ脂や他のグリセリド等の慣用の座薬基剤とともに)または直腸投与のために保持注腸剤の形で調製することもできる。一実施形態において、活性化合物は、移植物やマイクロカプセル化投与システムを含む制御放出製剤等、体からの速い排出に対して化合物を保護する担体とともに調製される。エチレンビニルアセテート、多無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸等の生分解性で生体適合性のあるポリマーを用いることができる。そのような製剤の調製方法は当業者に自明であろう。それら物質はAlza CorporationおよびNova Pharmaceuticalsからも市販され入手することができる。(モノクローナル抗体または他の細胞標的剤によりがん細胞を標的とするリポソームを含む)リポソーム懸濁液も薬学的に許容される担体として用いることができる。これらは、参照により本文に組み込まれる、例えば米国特許第4,522,811号に記載されているように当業者に公知の方法にしたがって調製することができる。
【0107】
投与のしやすさや投与量の均一性のために経口または非経口組成物を投与量単位形で処方することが特に有利である。ここで用いられる投与量単位形とは処置される被験体に対して単位投与量として適する物理的に分離した単位をいい、各単位が必要とされる薬学担体と関連して所望の治療効果を生むように計算された所定量の活性化合物を含んでいる。本発明の投与量単位形の明細は活性化合物の独自の特徴と達成されるべき特定の治療効果により決定され、またそれらに直接依存する。
【0108】
ここで用いられる「治療的有効量」との用語は、意義のある患者利益、すなわち、関連する医学的な病気の処置、治癒、予防または改善、またはそのような病気の処置、治癒、予防または改善の速度の増加を示すのに十分な医薬組成物または方法の各有効成分の総量を意味する。単独で投与される個々の有効成分に適用される場合、この用語は該成分のみをいう。組合せに適用される場合、この用語は、組合せて投与されようが、連続的または同時に投与されようが、治療効果をもたらす有効成分の組み合わせた量をいう。
【0109】
特定の疾患または病気の治療に効果的である本発明の治療薬の量は疾患または病気の性質に依存し、当分野内で平均的技量を有する者による標準的臨床技術により決定してよい。さらに、インビトロアッセイを任意に使用して、最適投与量範囲を同定するために役立ててよい。製剤に使用される正確な投与量は投与経路および病気または疾患の全体的な重症度にも依存し、開業医の判断および各患者の事情にしたがって決定しなければならない。最終的に、主治医は、各患者個人を処置する本発明のタンパク質剤の量を決定するだろう。最初に、主治医は低用量の本発明の試薬を投与し、患者の反応を観察する。さらに高い用量の本発明の試薬を、患者に対して最適治療効果が得られるまで投与し、その時の用量をさらに増加させない。しかし、本発明の治療薬の静脈内投与の適当な投与量範囲は、体重1キログラム(kg)あたり、通常、活性化合物の約0.020ミリグラム(mg)〜1グラムである。鼻腔内投与の適当な投与量範囲は、通常、約0.01pg/kg体重〜1mg/kg体重である。効果的な用量はインビトロまたは動物模型試験系から得られた用量反応曲線から外挿してもよい。座薬は一般的に0.5重量%〜10重量%の範囲の有効成分を含む;経口製剤は好ましくは10%〜95%の有効成分を含む。
【0110】
本発明の治療薬を用いる静脈内治療の期間は、処置される疾患の重症度および各患者個人の状態および潜在的な特異体質の反応に応じて変更する。本発明の試薬の各適用の期間は1〜2時間〜15日間の連続的な静脈内投与の範囲にあると考えられる。最終的に、主治医は、本発明の医薬組成物を用いる静脈内処置の適当な期間を決定するだろう。
【0111】
医薬組成物は、投与説明書とともにキット、容器、包みまたはディスペンサーに入れてよい。
【0112】
下記の非限定の実例で本発明をさらに詳しく説明する。
【実施例】
【0113】
実施例1:抗EGF抗体−デキストラン−3−インドキシルホスフェート−ホスホエノールピルベート結合体の合成
工程1試薬を図6に示す。細胞標的剤1110は、EGFレセプターに対するモノクローナル抗体であり;担体部分1210は多糖デキストランであり;そしてプラットフォーム構築材料1310は、ホスホエノールピルベート誘導体の付加的分子構造1410を結合させた置換された3−インドキシルホスフェート誘導体である。
【0114】
図6に示されるように、工程1試薬1010は、インジゴの会合体を結合させて微小沈殿物を形成することにより細胞内水不溶性ナノプラットフォーム1510を形成する。プラットフォーム構築材料の一部または全てとして、付加的分子構造1410が挙げられ、これは、工程3二特異的試薬の標的部分であるUDP−N−アセチルグルコサミンエノールピルボイルトランスフェラーゼ酵素の非可逆的インヒビターであるホスホエノールピルベートの誘導体である。インドキシルホスフェートプラットフォーム構築材料はデキストラン担体部分により標的部分に結合する。リンカー分子はインドキシルホスフェート誘導体プラットフォーム構築材料のホスフェート基に結合するので、インドキシル中間体の放出、およびインジゴ誘導体細胞内水不溶性ナノプラットフォームを形成するそれらの二量体化を干渉しない。
【0115】
工程1試薬の合成は次のように進む:図7に示されるように、2−シアノエチルジイソプロピルクロロホスホロアミデート5102を、ベンジル6−ヒドロキシヘキサノエート5101と、三級アミンの存在下、塩化メチレン中、0℃で1.5時間、次に室温で1/2時間反応させて、5103を得た。化合物5103上のジイソプロピルアミン基の1H−テトラゾールおよび水による加水分解後、亜リン酸塩5104をベンゼン中のN−クロロスクシンイミドにより15時間室温で酸化して、クロロホスフェート5105を作った。反応混合物をドライアイス/アセトン浴中で冷却した後、5105を加えながら、N−p−ニトロベンジルオキシカルボニル−5−ブロモ−3−ヒドロキシインドール5106のリチウム塩を得た。反応混合物をゆっくりと室温に戻して、5−ベンジルオキシカルボニルペンチル−2’−シアノエチル−N−p−ニトロベンジルオキシカルボニル−5’’−ブロモ−3’’−インドリルホスフェート5107を得た。ベンジル保護基とニトロベンジルカルバメート保護基は、活性炭担持10%パラジウムおよび大気圧下の水素を用いて1時間、室温で接触水素化することにより除去して、5−カルボキシペンチル2’−シアノエチル5’’−ブロモ−3’’−インドリルホスフェート5108を得た。
【0116】
プラットフォーム構築材料上の付加的分子構造であるホスホエノールピルベートの誘導体は、UDP−N−アセチルグルコサミンエノールピルボイルトランスフェラーゼ酵素とともに共有結合体を形成する非可逆的酵素インヒビターであり(Schonbrunn,et al.,Eur.J.Biochem.253:406−412,1998;Samland,et al.,Biochemistry 38:13162−13169,1999;Brown,et al.,Biochemistry 33:10638−10645,1994)、これは続いて投与される工程3二特異的試薬の標的部分である。図8に示されるように、上記のインドキシル化合物のアナログである5−ベンジルオキシカルボニルペンチル2’−シアノエチルN−p−ニトロベンジルオキシカルボニル−5’’−ヒドロキシ−3’’インドリルホスフェート5109を、リチウムジイソプロピルアミドとドライアイス/アセトン浴中で反応させる場合に、シアノエチル3−ブロモピルベートを加え、反応物をゆっくりと室温に戻して5110を作る。次に、この生成物5110をドライアイス/アセトン浴中でリチウムジイソプロピルアミドと反応させ、次にビスシアノエチルクロロホスフェートと反応させて、保護ホスホエノールピルベートインドキシルホスフェート誘導体5111を得る。次に、ニトロベンジルカルバメート保護基とベンジル保護基を活性炭担持10%パラジウムおよび大気圧での水素を用いる1時間、室温での触媒水素化により除去して、非可逆的酵素インヒビターが付着した5112を有する保護プラットフォーム構築材料を得る。
【0117】
アミノ−デキストランを、Kamizuraら(Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.42:2664−2672,2001)により記載された操作にしたがってデキストランから調製した。デキストラン(分子量64,000〜76,000、Sigma Chemical Co.、St.Louis、MO)を4N水酸化ナトリウムに溶解し、6−ブロモへキサン酸と80℃で3時間反応させた。低分子量試薬を透析により除去し、溶液を減圧下に濃縮した。カルボキシル基を、1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミドを加えて活性化し、次にデキストランに対して15M過剰のエチレンジアミンを滴下して、暗所にて12時間室温で反応を進めた。溶液のpHを、その操作中、0.1N塩酸で5.0〜5.5に維持した。溶液を0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)に対して透析し、限外ろ過により濃縮した。アミノデキストラン上のアミノ基の数を、トリニトロベンゼンスルホン酸を用いて測定した(Bubnis and Ofner,Anal.Biochem.207:129−133,1992;Sashidhar,et al.,J.Immunol.Methods 167:121−127,1994;Habeeb,Anal.Biochem.47:654−660,1966)。アミノ基の数に基づくと、80%が、インドキシルホスフェート化合物の結合のために用いることができる。図9に示されているように、4部の5−カルボキシペンチル2’−シアノエチル5’’−ブロモ−3’’−インドリルホスフェートと1部の5−カルボキシペンチル2’−シアノエチル5’’−ホスホエノールピルベート−3’’−インドリルホスフェートの混合物(すなわち、5つのプラットフォーム構築材料のうち1つが非可逆的酵素インヒビターである付加的分子構造を有する)をDMSOに溶解し、N−ヒドロキシスクシンイミドと1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミドを室温で2時間加えることによりN−ヒドロキシスクシンイミドエステル5113および5114にそれぞれ変換する。次に、活性エステルの溶液をアミノ−デキストランの溶液に滴下しつつ、反応混合物のpHを1N水酸化ナトリウムで1時間にわたって7〜8に維持して、5115を得る。低分子量副生成物をリン酸緩衝食塩水(pH7.2)に対する完全な透析により除去する。次に、溶液のpHを5N水酸化ナトリウムにより10まで上げてこのpHを1時間維持してシアノエチル基の除去を行なう。pHを7.5に下げ、アミノ−デキストラン結合体上の残りのアミノ基の一部をS−アセチルチオ酢酸のN−ヒドロキシスクシンイミドエステルと反応させる。100mgのN−ヒドロキシスクシンイミジルS−アセチルチオアセテートをDMSOに溶解し、これを1グラムの誘導体化アミノ−デキストランに滴下しながら、反応混合物のpHを7〜8に維持して、5116を生成する。反応後、試料をリン酸緩衝食塩水(pH7.2)に対して一晩透析する。図9bに示されているように、5mLのリン酸緩衝食塩水(pH7.2)中の50mgのデキストラン結合体を0.5mlのヒドロキシルアミン−EDTA溶液(pH7.4)に混合し、2時間反応させて、S−アセチルチオアセチル側鎖からアセチル基を除去して5117を得て、抗EGFRモノクローナル抗体標的剤上のヘテロ二機能剤に結合するための遊離スルヒドリル基を与える。8mLのリン酸緩衝食塩水(pH7.4)に溶解した100mgの抗EGFRモノクロナール抗体5118を5mgのN−[κ−マレイミドウンデカノイルオキシ]スルホスクシンイミドエステルと30分間室温で反応させながら、pHを0.1N水酸化ナトリウムで7〜7.5に維持して、5119を生成する。NAP25カラムを通すことによりタンパク質を反応物から分離する。5119の溶液を5117の溶液に加え、5117の濃度が3mg/mLになるまで希釈する。2時間室温で反応を進めて、工程1試薬である5120を得る。反応混合物を冷リン酸緩衝食塩水(pH7.2)に対して一晩透析する。結合体をセファクリル300クロマトグラフィーで評価する。同様な調製物は、280nmでの吸収単位に基づくタンパク質−デキストラン結合体5120として60〜95%を示す。
【0118】
実施例2:トランスフェリン−アルブミン−ビス−3−インドキシルグリコシド−ロラカルベフ結合体の合成
工程1試薬を図10に示す。細胞標的剤1120はヒトトランスフェリンであり;担体部分1220はヒト血清アルブミンであり;プラットフォーム構築材料1320は、カルバセフェムアナログであるロラカルベフの付加的分子構造1420を結合させた置換ビス−3−インドキシルグリコシド(例えば、グルコシドまたはガラクトシド)誘導体である。
【0119】
さらに図10にあるように、標的細胞内にいったん入ると、第二実施例における工程1試薬は、ポリインジゴの会合体を結合させて微小沈殿物を形成することにより細胞内水不溶性ナノプラットフォーム1520を形成する。プラットフォーム構築材料はビスインドキシルリジン誘導体である。プラットフォーム構築材料の一部または全てとして、付加的分子構造1420が挙げられ、これは、工程3二特異的試薬の標的部分である変異β−ラクタマーゼの非可逆的インヒビターであるロラカルベフの誘導体である。これらのビスインドキシルリジンプラットフォーム構築材料は、プラットフォーム構築材料のアミノ酸骨格(リジンまたはリシルグルタミン酸)中のカルボキシル基により、ヒト血清アルブミンである担体部分1220上のアミノ基に結合する。がん細胞100上のトランスフェリンレセプター101bに結合するヒトトランスフェリンである標的剤1120を、ヘテロ二機能リンカー分子によりヒト血清アルブミン担体複合物に結合させる。この例において、プラットフォーム構築材料の重合性基はインドキシルグリコシドであり、リジンに対する結合はインドキシル環上の5位の置換基による。工程1試薬のこの第2実施例の合成は下記のように進みうる:図11に示されるように、アセトニトリルに溶解したN−アセチル−5−ベンジルオキシ−1,2−ジヒドロ−3H−インドール−3−オン5201は0℃で1時間t−ブトキシドカリウムと反応させて、次にアセトニトリルに溶解したアセトブロモガラクトースまたはアセトブロモグルコースを加えて、4時間、0℃で反応させて、1−アセチル−3−(2’,3’,4’,6’−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトシドキシ)−5−ベンジルオキシインドール5202または1−アセチル−3−(2’,3’,4’,6’−テトラ−O−アセチル−β−ガラクトシドキシ)−5−ベンジルオキシインドールを得る。活性炭担持10%パラジウムおよび大気圧での水素を用いる接触水素化によりベンジル基を除去して5203を得た。5203上の遊離ヒドロキシル基をベンジルブロモアセテートと反応させて5204を得た。活性炭担持10%パラジウムを用いる接触水素化によりベンジル基を除去して5205を得て、次にカルボキシル基をN−ヒドロキシスクシンイミドおよびジシクロヘキシルカルボジイミドを有する活性エステルに変換して5206を得た。活性エステル化合物5206をベンジル−L−リジン上の各アミノ基と反応させて、ビスペンタアセチルインドキシルガラクトシド−L−リジンまたはビスペンタアセチルインドキシルグルコシド−L−リジンのベンジルエステルを得た。活性炭担持10%パラジウムおよび大気圧での水素を用いる接触水素化によりベンジル保護基を除去した。メタノール中のナトリウムエトキシドによるエステル交換によりアセチル保護基を除去して、ビスインドキシルガラクトシル−L−リジン5207またはビスインドキシルグルコシル−L−リジンを得た。
【0120】
図12に示されるように、プラットフォーム構築材料上の付加的分子構造として用いられる非可逆的酵素インヒビターは抗生物質ロラカルベフ5210である。最初に、ロラカルベフ5210を、保護グルタミン酸5208から調製されたNα−BOC−Oα−ベンジル−Oγ−N−ヒドロキシスクシンイミジルグルタメート5209と反応させて、ロラカルベフ−グルタメート結合体5211を得た。ロラカルベフ−グルタメート結合体5211上のカルボキシル基を、フェニルアセトキシメチルヨウ化物5212を用いてフェニルアセトキシメチルエステル5213として保護した。BOC保護基をトリフルオロ酢酸により除去して、フェニルアセトキシメチルエステル5214を得た。ロラカルベフの誘導体5214を、N−ヒドロキシスクシンイミドおよびジシクロへキシルカルボジイミドと(5207、図11)の反応から調製されたビスインドキシルガラクトシルリジン5215またはビスインドキシルグルコシル−L−リジンの活性エステルと反応させて、ロラカルベフ−ビスインドキシルガラクトシルリジン誘導体5216またはロラカルベフ−ビスインドキシルグルコシルリジン誘導体を得た。活性炭担持10%パラジウムおよび大気圧下での水素を用いる接触水素化によりベンジル基を除去して、担体部分に結合させるために調製された非可逆的酵素インヒビターを有するプラットフォーム構築材料である5217を得た。
【0121】
複数のプラットフォーム構築材料を、図13に示されるように担体部分(ヒト血清アルブミン)に付着させて、プラットフォーム構築材料の腫瘍への送達を高めた。わずかに1つのロラカルベフ結合部位が、得られるインジゴポリマー水不溶性ナノプラットフォーム上の5インジゴユニットごとに必要とされることが分かったので、プラットフォーム構築材料を、1(ロラカルベフ−ビスインドキシルガラクトシル−L−リジン誘導体)に対して4(ビスインドキシガラクトシル−L−リジン)の比率でアルブミン担体部分に付着させた。同様な結合体を、グリコシド誘導体を用いて調製した。図13に示されているように、ヒト血清アルブミン担体部分上の80%のアミノ基を修飾することができる量を合計した2プラットフォーム構築材料を、4対1の比率で混合し、DMSOに溶解し、N−ヒドロキシスクシンイミドと1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミドを加えて活性化し、これを2〜4時間室温で進めて5218および5219をそれぞれ得た。ヒト血清アルブミンの溶液(リン酸緩衝食塩水(pH7.4)中20mg/mL)を、2プラットフォーム構築材料5218および5219の活性エステル溶液の滴下中、1N水酸化ナトリウムによりpH7〜8に維持した。添加後、反応をさらに1時間室温で続けた。また、アルブミン上の80%のアミノ基を修飾するためにロラカルベフ−リシル−ビスインドキシルガラクトシル−L−リジン誘導体の活性エステルを用いて結合体を調製した。反応副産物はリン酸緩衝食塩水(pH7.2)に対する完全な透析により除去して、ヒト血清アルブミン担体部分−プラットフォーム構築材料結合体5220の溶液を得た。類似の担体結合体をロラカルベフ−リシル−ビスインドキシルグルコシル−L−リジン誘導体を用いて作った。0.5N水酸化ナトリウムを用いてpHを7〜8に維持しながら、25mgのN−ヒドロキシスクシンイミジルS−アセチルチオアセテートをDMSOに溶解し、これをアルブミン結合体の溶液に滴下した。反応後、溶液をリン酸緩衝食塩水(pH7.2)に対して一晩透析して、5221の溶液を得た。
【0122】
透析後、1000ユニットのペニシリンGアシラーゼを加え、溶液を37℃で一晩インキュベートし、ロラカルベフ側鎖(付加的分子構造)からフェニルアセチルメチル保護基を除去した。ヒドロキシルアミンを室温で加えることによりアセチル基をS−アセチルチオアセチル側鎖から除去して5222を得て、ヒトトランスフェリン細胞標的剤上のヘテロ二機能性剤に結合するための遊離スルヒドリル基を与える。pHを7.0〜7.5に維持しながら、ヒトトランスフェリン(200mg)を8mLのリン酸緩衝食塩水(pH7.2)に溶解し、N−(ε−マレイミドカプロイルオキシ)スルホスクシンイミドエステル(12mg)に反応させた。30分間後、修飾ヒトトランスフェリン5223を、NAP25カラムを用いて反応物から分離した。マレイミジル基5223を有するヒトトランスフェリンを、アルブミン−プラットフォーム構築材料結合体5222と、各タンパク質に対して3mg/mLの最終希釈で混合した。タンパク質から、工程1試薬である結合体5224を2時間、室温で形成させ、タンパク質溶液をリン酸緩衝塩溶液に対して4℃で一晩透析した。工程1試薬5224はセファクリル200(Pharmacia、Piscataway,NJ)により特性付けた。典型的には、90〜95%のトランスフェリンおよびアルブミンは280nmでのピーク吸収から予想されるように結合体化していた。インドキシルグリコシド誘導体を有する工程1試薬も調製した。
【0123】
実施例3:フォレート−免疫グロブリン−ポルフィリン−α−ジフルオロメチルオルニチン結合体の合成
工程1試薬を図14に示す。この例において、工程1試薬1030は、葉酸誘導体である細胞標的剤1130;ヒト免疫グロブリンである担体部分1230;オルニチンデカルボキシラーゼ酵素の非可逆的インヒビターであるα−ジフルオロメチルオルニチンアナログ(Metcalf,et al.,J.Am.Chem.Soc.100:2551−2553,1978)である付加的分子構造1430を付着させた適当なポルフィリン誘導体であるプラットフォーム構築材料1330から構成される。あるいは、類似するシステムは、アルギニンデカルボキシラーゼ酵素の非可逆的インヒビターであるα−ジフルオロメチルアルギニンである付加的分子構造を使用し得る。
【0124】
図14に示されるように、工程1試薬は、工程1試薬から遊離したポルフィリンプラットフォーム構築材料の凝集により細胞内水不溶性ナノプラットフォーム1530を形成する。プラットフォーム構築材料はポルフィリン誘導体である。プラットフォーム構築材料の一部または全ては、工程3二特異的試薬の標的部分であるオルニチンデカルボキシラーゼ酵素の非可逆的インヒビターであるα−ジフルオロメチルオルニチンアナログ(Metcalf,et al.,J.Am.Chem.Soc.100:2551−2553,1978)である付加的分子構造1430を含む。これらのポルフィリン誘導体プラットフォーム構築材料は、葉酸である細胞標的剤に付着させた担体部分であるヒト免疫グロブリンに付着させる。
【0125】
工程1試薬の合成は以下のように進む:図15に示されるように、ポルフィリン誘導体の合成は、J.Lindseyと彼の同僚により概説された操作に従う(Littler,et al.,J.Org.Chem.64:1391−1396,1999;Rao,et al.,J.Org.Chem.65:7323−7344,2000)。ピロールおよび4−メチルベンズアルデヒドの混合物はアルゴン雰囲気下でトリフルオロ酢酸と反応して、5−(4−メチルフェニル)ジピロメタン5301を生成しうることが経験的に分かっている。臭化マグネシウムエチルの溶液をトルエン中の5−(4−メチルフェニル)ジピロメタン5301の冷却溶液にゆっくりと加え、さらに30分間の反応後に、トルエン中の塩化p−トルオイルの溶液を10分間にわたって加えて、1,9−ビス(4−メチルベンゾイル)−5−(4−メチルフェニル)ジピロメタン5302を得る。上記と類似する反応を用いて、ピロールおよび4−カルボキシベンズアルデヒドの混合物をトリフルオロ酢酸と反応させて5−(4−カルボキシルフェニル)ジピロメタン5303を得ることができる。少量の水素化ホウ素ナトリウムを、テトラヒドロフラン/メタノール(3:1)中の1,9−ビス(4−メチルベンゾイル)−5−(4−メチルフェニル)ジピロメタン5302の溶液に滴下して、ジカルビノール5304を作る。ジカルビノール5304および5−(4−カルボキシフェニル)ジピロメタン5303を等モル量でアセトニトリルに溶解し、トリフルオロ酢酸と5分間反応させた後に2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)による酸化を行って、5−(4−カルボキシフェニル)−10,15,20−トリス(4−メチルフェニル)ポルフィリン5305を得る。
【0126】
第2ポルフィリン誘導体を、工程3二特異的試薬に結合するための付加的分子構造として非可逆的酵素インヒビターを結合するための付加的官能基を用いて構築する。図16に示されるように、ピロールおよび4−アセトアミドベンズアルデヒドの混合物をアルゴン雰囲気下でトリフルオロ酢酸と反応させて5−(4−アセトアミドフェニル)ジピロメタン5306を得る。臭化マグネシウムエチルの溶液を、トルエン中の5−(4−アセトアミドフェニル)ジピロメタン5306の冷却溶液にゆっくりと加え、さらに30分間の反応後に、トルエン中の塩化p−トルオイルの溶液を10分間にわたって加えて、1,9−ビス(4−メチルベンゾイル)−5−(4−アセトアミドフェニル)ジピロメタン5307を得る。少量の水素化ホウ素ナトリウムを、テトラヒドロフラン/メタノール(3:1)中の1,9−ビス(4−メチルベンゾイル)−5−(4−アセトアミドフェニル)ジピロメタン5307の溶液に滴下して、ジカルビノール5308を作る。ジカルビノール5308および5−(4−カルボキシフェニル)ジピロメタン5303(その合成は上記の通りである)を等モル量でアセトニトリルに溶解し、トリフルオロ酢酸と5分間反応させた後にDDQによる酸化を行って、5−(4−アセトアミドフェニル)−10,20−ビス(4−メチルフェニル)−15−(4−カルボキシフェニル)ポルフィリン5309を得る。アセチル保護基をメタノール中のナトリウムメトキシドにより除去して5310を得て、これをm−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステルと反応させて、マレイミジル置換ポルフィリン5311を得て、葉酸−ヒト免疫グロブリン−ポルフィリン結合体が調製された後に、α−ジフルオロメチルオルニチンアナログである非可逆的酵素インヒビターを結合するための適当な側鎖を提供する。
【0127】
図17に示されるように、ポリフィリン誘導体、4部の5−(4−カルボキシフェニル)−10,15,20−トリス(4−メチルフェニル)ポリフィリン5305(図15)および1部のマレイミジルポルフィリン誘導体5311(図16)の混合物をDMSOに溶解し、N−ヒドロキシスクシンイミドおよび1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミドを用いてそれぞれの活性エステル5312および5313に変換する。1N水酸化ナトリウムによりpHを7〜8に維持しながら、ヒト免疫グロブリンをリン酸緩衝食塩水(10mg/mL)に溶解し、次にタンパク質1モルあたり全56モルの活性エステルを用いて、5312および5313の活性エステル溶液を1時間にわたって滴下して、ポルフィリン−免疫グロブリン結合体5314を得る。葉酸を、ジメチルスルホキシドに溶解し、N−ヒドロキシスクシンイミドおよび1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミドと1時間室温でインキュベートすることにより活性エステルに変換する。30倍モル過剰の活性エステル溶液(Laemon and Low,Proc.Natl.Sci.USA88:5572−5576,1991)を、ポルフィリン−免疫グロブリン結合体5314に滴下しながら、1N水酸化ナトリウムを用いて1時間、室温でpHを7〜8に維持して、葉酸−免疫グロブリン−ポルフィリン結合体5315を得る。非複合材料および試薬をリン酸緩衝食塩水(pH6.0)に対する透析により除去する。葉酸−免疫グロブリン−ポルフィリン結合体5315のポルフィリン上のマレイミド基をα−ジフルオロメチルオルニチン5325のメルカプト誘導体(図18)(その合成は下記に示す)と反応させて、腫瘍を有するホストに注入する準備のできた工程1試薬である付着非可逆的酵素インヒビター(付加的分子構造)5316を有し、葉酸標的ポルフィリンを有する免疫グロブリンを得る。
【0128】
α−ジフルオロメチルオルニチンのメルカプト誘導体を図18に示されるように下記の通り調製する:アリルアルコール5317のテトラヒドロピラニルエーテルを、m−クロロ過安息香酸を用いてエポキシド5318に酸化することができる。エポキシド環を水酸化アンモニウムで開環して、アミノアルコール誘導体5319を得て、その誘導体上のアミノ基を次にベンズアルデヒドによりシッフ塩基を形成することにより保護して、5320を得る。5320上のヒドロキシル基をリチウムジイソプロピルアミドと反応させながら、ドライアイス/アセトン浴で冷却した後、S−ベンジル−n−プロピル臭化物を加えて、5321を得る。テトラヒドロピラニル基を酢酸と水で加水分解して5322を得て、次にヒドロキシル基を、塩化トシルを用いてトシル誘導体5323に変換する。メチルグリシン5326上のアミノ基を、ベンズアルデヒドを用いてシッフ塩基として保護して5327を得て、これを次にドライアイス/アセトン浴で冷却されたリチウムジイソプロピルアミドで処理した後にクロロジフルオロメタンと反応させて、グリシンの保護ジフルオロメチル誘導体5328を得る。ジフルオロメチル誘導体5328をリチウムジイソプロピルアミドと反応させながら、ドライアイス/アセトン浴で冷却した後、トシル誘導体5323を加えて保護オルニチン誘導体5324を得る。保護α−ジフルオロメチルオルニチン5324を1N塩酸による加水分解により脱保護して、メルカプト側鎖を有するオルニチン誘導体5325を得る。
【0129】
実施例4:フォルメート−ビス−3−インドキシルガラクトシド−ロラカルベフ結合体の合成
工程1試薬の例を図19に示す。工程1試薬1040は、フォルメート誘導体である細胞標的剤1140、および変異β−ラクタマーゼの非可逆的インヒビターであるカルバセフェムアナログロラカルベフである付加的分子構造1440を付着させた置換ビス−3−インドキシルガラクトシド誘導体であるプラットフォーム構築材料1340から構成される。プラットフォーム構築材料を細胞標的剤に直接に付着させて、体内分布、循環および腫瘍侵入を向上させ、かつ潜在的な免疫原性を低減するのに十分に小さい低分子量工程1試薬を与える。
【0130】
図19に示されるように、工程1試薬は、ポリインジゴの会合体を結合させて微小沈殿物を形成することにより細胞内水不溶性ナノプラットフォーム1540を形成する。プラットフォーム構築材料はビスインドキシルガラクトシル−L−リジンである。プラットフォーム構築材料の一部または全ては、付加的分子構造1440であるロラカルベル−L−リシル基を含み、これは、工程3二特異的試薬の標的部分である変異β−ラクタマーゼの非可逆的インヒビターである。工程1試薬のこの第4実施例には、担体部分は存在せず、細胞標的剤1140は、プラットフォーム構築材料に直接付着させた葉酸誘導体である。葉酸結合体の適度な血漿レベルの4時間の維持は、1細胞あたり約7千万の結合体化分子を、1細胞あたり百万未満のレセプターを発現するがん細胞100に送達することができ(Reddy and Low,Crit.Rev.Therapeut.Drug Deliver.Sys.15:587−627,1998)、葉酸レセプター101の迅速なターンオーバーが存在することを示す(図1)。
【0131】
工程1試薬の合成は下記の通り進む:図20に示されるように、ビスインドキシルガラクトシル−L−リジン5207は上記のように調製され、ジメチルスルホキシドに溶解し、N−ヒドロキシスルシンイミドおよび1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミドを用いて活性エステル5215に変換する。活性エステル5215は過剰なエチレンジアミンと反応して、アミノ誘導体5401を作る。プテロイン酸5402は、そのカルボキシル基を、N−ヒドロキシスルシンイミドおよびジシクロヘキシルカルボジイミドを用いて活性エステルに変換させることができ、その後のグリシルグリシンのベンジルエステルの付加によりグリシルグリシル付加物5403を得る。活性炭担持10%パラジウムおよび水素を用いた接触水素化によるベンジル保護基の除去後に、カルボキシル基を、N−ヒドロキシスクシンイミドおよび1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミドにより活性エステル5404に変換する。次に、活性エステル5404を5401と反応させて、腫瘍細胞上の標的葉酸レセプターのために付着させたプテロイル標的剤を有するビスインドキシルガラクトシル誘導体5405を得る。
【0132】
図21は、付加的分子構造ロラカルベフが付着したビスインドキシルガラクトシルプラットフォーム構築材料を調製する合成を示す。Nα−FMOC−O−ベンジル−L−リジン5406はプテロイル−グリシル−グリシンN−ヒドロキシスクシンイミドエステル5404と反応して、5407が得られる。FMOC保護基を塩基により5407から除去して5408を得て、ビスインドキシルガラクトシル−L−リジンN−ヒドロキシスクシンイミドエステル5215(図20)と反応してL−リシル−L−リシル−グリシル−グリシル誘導体5409を得ることができる。ベンジル保護基を、活性炭担持10%パラジウムと大気圧下での水素を用いる接触水素化により除去して、5410を得る。次に、5410上のカルボキシル基を、N−ヒドロキシスクシンイミドおよび1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミドを用いて活性エステル5411に変換する。
【0133】
図22に示されるように、ロラカルベフ5210上のカルボキシル基を、(ベンジルフェノンヒドラジンおよび酸化第二水銀)から調製されたビフェニルジアゾメタンを用いてベンズヒドリル基により保護して5412を得る。カルボキシル保護5412は活性エステル(5411、図21)と反応して、5413が得られる。活性炭担持10%パラジウムおよび水素を用いる接触水素化によるベンズヒドリル基の除去は、(付加的分子構造として)ロラカルベフを有するプテロイル標的プラットフォーム構築材料5414が得られる。5405(図20)および5414(図22)の混合物の注入により、フォルメートレセプターが2つの誘導体を腫瘍細胞に大量に内部移行することを可能とし(Reddy and Low,Crit.Rev.Therapeut.Drug Deliver.Sys.15:587−627,1998)、細胞内で、ガラクトシル基は酵素により加水分解され、得られたインドキシルは二量体化して、インジゴ誘導体を形成する。よって、ビスインドキシルガラクトシルプラットフォーム構築材料はポリインジゴ細胞内水不溶性ナノプラットフォームをもたらし、そのナノプラットフォーム上で、ロラカルベフ側鎖は工程3二特異的試薬の結合のための付加的分子構造として付着し、ロラカルベフ側鎖は5414から生じたプラットフォーム構築材料の1つが成長ポリマーに取り込まれるときはいつでも取り込まれる。
【0134】
実施例5:EGF−HPMA−インドキシルガラクトシド−ロラカルベフ結合体の合成
工程1試薬を図23に示す。工程1試薬1050は、上皮細胞増殖因子(EGF)である細胞標的剤1150、および置換インドキシルインドキシルガラクトシド誘導体1355をその表面に付着させたHPMAの合成ポリマーであるプラットフォーム構築材料1350から構成され、さらにその表面に変異β−ラクタマーゼの非可逆的インヒビターであるカルバセフェムアナログのロラカルベフである付加的分子構造1450を有する。図23に示されるように、工程1試薬は標的細胞100に内部移行し、HPMAプラットフォーム構築材料1350の表面上のインドキシル置換基1355はインジゴを形成し、その結果として、HPMAプラットフォフォーム構築材料を架橋して細胞内水不溶性ナノプラットフォーム1550を形成する。
【0135】
工程1試薬は、HPMAの表面に付着したインドキシル側鎖の二量体化により形成したインジゴ基を用いて、プラットフォーム構築材料であるN−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA)ポリマーを架橋することにより細胞内水不溶性ナノプラットフォームを形成する。HPMAプラットフォーム構築材料として、工程3二特異的試薬の標的部分である変異β−ラクタマーゼの非可逆的インヒビターである付加的分子構造(ロラカルベフの誘導体)が挙げられる。ロラカルベフは、HPMAの表面に付着させたインドキシルガラクトシド側鎖から分離側鎖としてHPMAの表面に付着する。付着インドキシルガラクトシド側鎖および付着ロラカルベフ側鎖を有するHPMAポリマーを、細胞標的剤上皮細胞増殖因子(EGF)を付着させることにより標的として、完全な工程1試薬を得る。
【0136】
図24に示されるように、HPMAポリマーは、インドキシルガラクトシド5503を含むモノマー単位およびアクリル酸のp−ニトロフェニルエステル5504であるモノマー単位を共重合することにより調製する。アクリル酸−インドキシルガラクトシドモノマー単位に関して、アクリル酸をジクロロへキシルカルボジイミドによりN−ヒドロキシスクシンイミドエステル5501に変換し、2−(3−β−D−ガラクトシドキシ−インドール−5−オキシ)酢酸のエチレンジアミン誘導体5502と反応させて、インドキシルガラクトシドアクリレートモノマー単位5503を得る。アクリル酸を、p−ニトロフェノールおよびジシクロへキシルカルボジイミドを用いてアクリル酸−p−ニトロフェニルエステル5504に変換する。インドキシルガラクトシドおよび反応性p−ニトロフェニルエステル基を含むポリマー前駆体をKopecekおよび彼の同僚(Omelyanenko,et al.,J.Control.Rel.52:25−37,1998)により記載されたように、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を開始剤として用いて、10モル%のアクリル酸−インドキシルガラクトシドモノマー単位5503、20モル%アクリル酸p−ニトロフェニルエステルモノマー単位5504およびN−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA)をアセトン/ジメチルスルホキシド中で、50℃、24時間を共重合することにより調製し、ポリマー中間体5505を得る。ロラカルベフはポリマー中間体5505のp−ニトロフェニルエステル基の一部と反応して、5506が得られる。5506上の残りのp−ニトロフェニルエステルはEGFと反応して、ロラカルベフ付加分子構造5507を有するEGF標的ポリマーが得られる。
【0137】
実施例6:UDP−N−アセチルグルコサミンエノールピルボイルトランスフェラーゼ−ストレプトアビジン結合体の合成
工程3二特異的試薬の標的部分はUDP−N−アセチルグルコサミンエノールピルボイルトランスフェラーゼ酵素である。同位元素捕捉部分は、工程4試薬である放射標識ビオチン誘導体に結合するストレプトアビジンである。
【0138】
図35に概要を示すように、大腸菌株JLM16から容易に単離される酵素UDP−N−アセチルグルコサミンエノールピルボイルトランスフェラーゼ5130(Brown,et al.,Biochem.33:10638−10645,1994)はS−アセチルチオ酢酸のN−ヒドロキシスクシンイミドエステルと反応する。0.5N水酸化ナトリウムを用いてpHを7〜7.5に維持しながら、チオ酢酸エステルをDMSOに溶解し、一定分量ずつリン酸緩衝液(pH7.2)中のタンパク質に加える。反応を1時間進行させた後、修飾タンパク質5131を冷リン酸緩衝液に対して一晩透析する。0.5N水酸化ナトリウムを用いてpHを7〜7.5に維持しながら、ストレプトアビジン5133をマレイミドカプロン酸N−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステルにより30分間活性化する。修飾タンパク質5134を、NAP25カラムを用いるクロマトグラフィーにより反応物から分離する。S−アセチルチオアセテート修飾UDP−N−アセチルグルコサミンエノールピルボイルトランスフェラーゼ5131をヒドロキシルアミンに2時間曝してアセチル保護基を除去して5132を得て、次にカラムからのストレプトアビジン溶液5134を反応混合物に加えて、タンパク質からチオエーテル結合による結合体を形成させる。タンパク質を2時間反応させた後、溶液を冷リン酸緩衝塩溶液(pH7.2)に対して透析する。結合体をセファクリルS−300に通して、未結合タンパク質から結合体を分離して、UDP−N−アセチルグルコサミンエノールピルボイルトランスフェラーゼ−ストレプトアビジン工程3二特異的試薬5135を得る。
【0139】
実施例7:変異β−ラクタマーゼ−β−D−ガラクトシダーゼ結合体の合成
工程3二特異的試薬の標的部分は変異β−ラクタマーゼである。工程3二特異的試薬の適当な同位元素捕捉部分を図26に概略する(例えば、酵素的触媒作用により放射標識水溶性工程4試薬131I−5−ヨード−3−インドキシルガラクトシドを放射標識水不溶性生成物131I−5,5’−ジヨードインジゴに変換することのできるβ−D−ガラクトシダーゼ)。
【0140】
工程3二特異的試薬を、組換え生物学を用いて融合タンパク質として調製した。タンパク質発現ベクターは、β−ラクタマーゼE166AおよびE166N変異体とのβ−D−ガラクトシダーゼ融合物の生成のために構築した。E166AおよびE166N β−ラクタマーゼ変異体は、ung−dut−突然変異誘発法(Kunkel,et al.,Methods Enzymol.154:367−382,1987)を用いて構築した一方で、E166N変異体はオーバーラップ伸長PCR(Ho,et al.,Gene 77:51−59,1989)を用いて構築した。
【0141】
2つの異なるベクターを用いて、β−D−ガラクトシダーゼとβ−ラクタマーゼ変異体との融合物を作り出した。1つの系はファージディスプレイプラスミドpTP145を用いて構築した(Huang,et al.,Gene 251:187−197,2000)(図36)。このプラスミドの重要な特徴は、独自のSalI制限エンドヌクレアーゼ部位が、シグナル配列の下流にあるβ−ラクタマーゼ遺伝子(bla)中に前もって設計されたということである(Huang,et al.,J.MoI.Biol.258:688−703,1996)。このことにより、SalI部位での挿入遺伝子により遺伝子融合物を構築することができる。しかし、このプラスミドはタンパク質の発現のためには設計されていないので、幾つかの付加的な変化が必要とされた。バクテリオファージ遺伝子III配列を、BamHIおよびXbaIによる制限エンドヌクレアーゼ消化によりpTP145から除去して、1365塩基対(bp)DNAフラグメントを遊離させた。酵素により作られた5’突出を、dNTPおよびクレノウDNAポリメラーゼによる処理により平滑末端とした。図36に見られるように、プラスミドをDNAリガーゼにより再環状化してプラスミドpC3を作り出した。次に、lacZ遺伝子をPCRにより増幅し、bla遺伝子に存在するSalI部位に挿入して、プラスミドpLacC3中に遺伝子融合を作り出した。このプラスミドを大腸菌に導入し、これらの細胞における発現融合タンパク質の存在を、抗β−ラクタマーゼ抗体を用いる免疫ブロット法により確認した。最後に、bla変異を導入して、E166A置換とE166N置換を作り出して、pLacZblaE166プラスミドを作り出した(図36)。DNA配列決定を実施して、DNA配列が正しいことを裏付けた。
【0142】
第2の発現系は、市販のプラスミドpAX4a+(MoBiTec,Inc.)を用いて開発した。図37に見られるように、このプラスミドは目的のタンパク質をlacZ遺伝子に特異的に融合させるために開発された。lacZ遺伝子を、β−Galタンパク質と目的の融合タンパク質との間のスペーサーとしてコラーゲン領域をコードする配列に融合させる。E166N変異体をコードするbla遺伝子はPCRで増幅し、EcoRI−XbaI制限酵素フラグメントとして挿入してblaE166−pAX4a+プラスミドを作り出した。DNA配列決定を実施して、bla遺伝子が他の変異を含まないこと、および融合配列が正確であることを裏付けた。このプラスミドを大腸菌に導入し、タンパク質の発現を抗β−ラクタマーゼ抗体を用いる免疫ブロット法により実証した。これらの大腸菌の調製用増殖により変異β−ラクタマーゼ−β−D−ガラクトシダーゼ工程3二特異的試薬をアフィニティークロマトグラフィーにより単離することが可能となった。
【0143】
実施例8:4−カルボキシベンズアルデヒドにより修飾されたオルニチンデカルボキシラーゼの合成
工程3二特異的試薬の標的部分はオルニチンデカルボキシラーゼ酵素である。同位元素標的部分は、ヒドラジド誘導体である放射標識水溶性工程4試薬およびヒドラゾンの形成により共有結合することのできる反応性有機官能基(アルデヒド基)を有する小有機分子の4−カルボキシベンズアルデヒドである。
【0144】
工程3二特異的試薬の調製(図38)は、反応性有機官能基(アルデヒド基)を有する小有機分子の4−カルボキシベンズアルデヒド5330を、工程3二特異的試薬の標的部分であるオルニチンデカルボキシラーゼ5332酵素上のアミノ酸残基の一部に、酵素の酵素活性に影響を与えることなく、工程3二特異的試薬の同位元素捕捉部分として付加させることをともなう。テレフタルアルデヒド酸(4−カルボキシベンズアルデヒド5330)をジメチルスルホキシドに溶解し、これを、N−ヒドロキシスクシンイミドおよび1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミドにより2時間活性化して5331を得る。1N水酸化ナトリウムを用いて反応物のpHを7〜7.5に維持しながら、オルニチンデカルボキシラーゼをリン酸緩衝液(pH7.2)に溶解し、活性化4−カルボキシベンズアルデヒド5331を含む反応混合物を100μLずつ加える。反応後、タンパク質溶液を4℃にてリン酸緩衝食塩水(pH6.5)中で透析して、低分子量試薬を除去する。
【0145】
実施例9:変異β−ラクタマーゼ−抗NIP抗体結合体の合成
工程3二特異的試薬の標的部分は変異β−ラクタマーゼである。同位元素捕捉部分は、抗NIPモノクローナル抗体の結合部位により認識されるハプテン構造131I−6−ニトロ−2−ヨードフェノール(131I−NIP)を含有する放射標識水溶性工程4試薬に結合することのできる抗NIPモノクローナル抗体である。
【0146】
NIP等の構造に対する適当なモノクローナル抗体は最先端のモノクローナル抗体技術により容易に調製される。そのような抗体からの一本鎖結合領域に対応する遺伝子を調製し、それらを上記の実施例7で論じたように融合タンパク質の産生において変異β−ラクタマーゼ遺伝子とともに使用する操作が開発された。ヒト化抗体を調製し、処置に使用されるそのようなタンパク質に対する免疫応答を低減するマウス抗体で開発された高い親和結合部位を用いることができる技術も開発された。さらに、配列技術を用いて、特定の抗原に対して高い特異性を有するヒト抗体を単離するための方法が実施された。したがって、工程3二特異的試薬に用いられる適切な抗体を作る多数の方法が存在する。図39に示されるように、0.5N水酸化ナトリウムで30分間pHを7〜7.5に維持しながら、抗NIPモノクローナル抗体5433がマレイミドカプロン酸N−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステルと反応できることが経験的に分かっている。修飾タンパク質5434を、NAP25カラムを通すことにより試薬から分離する。0.5N水酸化ナトリウムによりpHを7〜7.5に維持しながら、DMSO中のN−ヒドロキシスクシンイミジルS−アセチルチオアセテートの溶液を、リン酸緩衝液(pH7.2)中の変異β−ラクタマーゼ5430の溶液に少しずつ加える。タンパク質溶液5431をリン酸緩衝液(pH7.2)に対して4℃で透析する。ヒドロキシルアミンの溶液をラクタマーゼ溶液5431に加え、2時間反応させて、アセチル保護基を除去して5432を得て、次にマレイミジル修飾抗NIP抗体溶液5434を加えて、2タンパク質を2時間反応させる。溶液を冷リン酸緩衝液(pH7.2)に対して4℃で一晩透析する。セファクリルS−300クロマトグラフィーを用いてラクタマーゼ−抗体結合体5435をモノマータンパク質から分離して、変異β−ラクタマーゼ−抗NIP抗体工程3二特異的試薬5435を得る。
【0147】
実施例10:変異β−ラクタマーゼ−アルカリホスファターゼ結合体の合成
工程3二特異的試薬の標的部分は変異β−ラクタマーゼである。工程3二特異的試薬の同位体元素捕捉部分は、酵素触媒反応により、放射標識水溶性工程4試薬131I−5−ヨード−3−インドキシルホスフェートを放射標識水不溶性生成物131I−5,5’−ジヨードインジゴに変換するアルカリホスファターゼ酵素である。
【0148】
図40に示されるように、0.5N水酸化ナトリウムによりpHを7〜7.5に30分間維持しながら、変異β−ラクタマーゼ5533はマレイミドカプロン酸N−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステルと反応する。修飾タンパク質5534をNAP25カラムに通すことにより試薬から分離する。0.5N水酸化ナトリウムによりpHを7〜7.5に維持しながら、DMSO中のN−ヒドロキシスクシンイミジルS−アセチルチオアセテートの溶液を、リン酸緩衝液(pH7.2)中のアルカリホスファターゼ5530の溶液に少しずつ加える。タンパク質溶液5531をリン酸緩衝液(pH7.2)に対して4℃で透析する。ヒドロキシルアミンの溶液をアルカリホスファターゼ溶液5531に加え、2時間反応させてアセチル保護基を除去して5532を得て、次にマレイミジル修飾変異β−ラクタマーゼ溶液5534を加えて、2タンパク質を2時間反応させる。溶液を冷リン酸緩衝液(pH7.2)に対して4℃で一晩透析する。ラクタマーゼ−アルカリホスファターゼ結合体5535を、セファクリルS−300を用いてモノマータンパク質から分離して、工程3二特異的試薬5535である変異β−ラクタマーゼ−アルカリホスファターゼを得る。
【0149】
実施例11:90Y−ビオチン−ペンチル−DOTAの合成
放射標識水溶性工程4試薬の合成の概要を図41に示す。既に、抗EGF抗体−デキストラン−3−インドキシルホスフェート−ホスホエノールピルベート工程1試薬を用いて、付加的分子構造1400としてインジゴの会合体からなる細胞内ナノプラットフォームを、それらの表面上のホスホエノールピルベート誘導体1413とともに作った。この細胞内ナノプラットフォームは、細胞外ナノプラットフォーム1600を形成する工程2殺細胞試薬および/または天然のがん細胞死滅の作用によりがんの細胞外空間に再配置された。工程3二特異的試薬2010であるUDP−N−アセチルグルコサミンエノールピルボイルトランスフェラーゼ2113−ストレプトアビジン2213結合体の投与により、UDP−N−アセチルグルコサミンエノールピルボイルトランスフェラーゼ標的部分2113を、細胞外ナノプラットフォーム1600上の付加的分子構造1400としてその非可逆的酵素インヒビターホスホエノールピルベート誘導体1413に共有結合させることにより細胞外ナノプラットフォームに共有結合させることが可能であり、これによってストレプトアビジン同位元素捕捉部分2213を細胞外ナノプラットフォーム1600に付着させた。放射標識水溶性工程4試薬90Y−ビオチン−ペンチル−DOTA8003の投与により、細胞外ナノプラットフォーム1600に付着させたストレプトアビジン同位元素捕捉部分2213上の4結合部位の幾つかに対するビオチン部分の結合を介して非常に高い親和性を有する結合ができるようになるので、致死線量照射を周囲の腫瘍細胞に送達するための微小領域照射野(ホットスポット)を作るために必要とされる時間、腫瘍細胞外マトリックス内に放射標識水溶性工程4試薬90Y放射同位元素を捕捉する。
【0150】
90Y−ビオチン−ペンチル−DOTA5143の合成の概略を図42に示す。DOTA5140(1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’,N’’,N’’’−テトラ酢酸)上のカルボキシル基の1つを、N−(5−アミノペンチル)ビオチンアミド5141と反応してビオチン−ペンチル−DOTA5142(Karacay, et al.,Bioconjugate Chem.8:585−594,1997)を形成することのできるN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル(Lewis,et al.,Bioconjugate Chem.12:320−324,2001)として活性化する。90YClに曝すことにより、分子に90Y放射性同位元素を固く結合したキレートとして積み込んで、放射標識水溶性工程4試薬90Y−ビオチン−ペンチル−DOTA5143を得る。
【0151】
実施例12:131I−5−ヨード−3−インドキシルガラクトシドの合成
放射標識水溶性工程4試薬の合成の概略を図43に示す。既に、トランスフェリン−ヒト血清アルブミン−ビス−3−インドキシルグリコシド−ロラカルベフ工程1試薬を用いて、付加的分子構造としてポリインジゴの会合体からなる細胞内ナノプラットフォームを、それらの表面上のロラカルベフ基とともに作った。この細胞内ナノプラットフォームは、細胞外ナノプラットフォーム1600を形成する工程2殺細胞試薬および/または天然のがん細胞死滅の作用によりがんの細胞外空間に再配置された。工程3二特異的試薬変異β−ラクタマーゼ−β−D−ガラクトシダーゼ2020の投与により、変異β−ラクタマーゼ標的部分2123を、細胞外ナノプラットフォーム1600上の付加的分子構造1400としてその非可逆的インヒビターロラカルベフ1423に共有結合させることにより、β−D−ガラクトシダーゼ同位体捕捉部分2224を細胞外ナノプラットフォーム1600に結合させる。放射標識水溶性工程4試薬131I−5−ヨード−3−インドキシルガラクトシド8004の投与により、細胞外ナノプラットフォーム1600に付着させたβ−D−ガラクトシダーゼ同位元素捕捉部分2224に接触させ、β−D−ガラクトシダーゼ同位体元素捕捉部分2224の触媒作用により、放射標識水溶性工程4試薬131I−5−ヨード−3−インドキシルガラクトシド8004からガラクトシジル基を切断して131I−5−ヨード−3−インドキシルを遊離させ、これは迅速に酸化二量体化を受けて、致死線量照射を周囲の腫瘍細胞に送達するための微小領域照射野(ホットスポット)を作るために必要とされる時間、腫瘍細胞外マトリックス内に捕捉される放射標識水不溶性生成物131I−5,5’−ジヨードインジゴ8005を形成する。
【0152】
131I−5−ヨード−3−インドキシルガラクトシド5243の合成の概略を図44に示す。アセチル保護5−ブロモ−3−インドキシルガラクトシド5240を、還流トルエン中でビス(トリブチルスズ)およびパラジウムテトラキストリフェニルホスフィンで処理して、トリブチルスズ誘導体5241を得て、これをNa131IおよびN−クロロスクシンイミドで処理して、アセチル保護放射標識131I−5−ヨード−3−インドキシルガラクトシド5242を得た。メタノール中のナトリウムメトキシドによるアセチル保護基の除去により、放射標識水溶性工程4試薬131I−5−ヨード−3−インドキシルガラクトシド5243を得る。
【0153】
実施例13:131I−p−ヨード安息香酸ヒドラジドの合成
放射標識水溶性工程4試薬の合成の概要を図45に示す。既に、葉酸−ヒト免疫アルブミン−ポリフィリン−α−ジフルオロメチルオルニチン工程1試薬を用いて、付加的分子構造としてポルフィリンの会合体からなる細胞内ナノプラットフォームを、それらの表面上のα−ジフルオロメチルオルニチン基とともに作った。続いて、この細胞内ナノプラットフォームを、細胞外ナノプラットフォーム1600を形成する工程2殺細胞試薬および/または天然のがん細胞死滅の作用によりがんの細胞外空間に再配置させた。付着ベンズアルデヒド基2231を有するオリニチンデカルボキシラーゼ2133である工程3二特異的試薬2030の投与により、オルニチンデカルボキシラーゼ標的部分2133を、細胞外ナノプラットフォーム1600上の付加的分子構造1400としてその非可逆的インヒビターα−ジフルオロメチルオルニチン1433と共有結合することにより細胞外ナノプラットフォーム1600と共有結合することが可能であるので、ベンズアルデヒド基同位体元素捕捉部分2231を細胞外ナノプラットフォーム1600に付着させた。放射標識水溶性工程4試薬131I−p−ヨード安息香酸ヒドラジド8000の投与により、ヒドラゾン7000として、ヒドラジド基8001を介して細胞外水不溶性ナノプラットフォーム1600に付着したベンズアルデヒド基同位元素捕捉部分2231と共有結合するので、致死線量照射を周囲の腫瘍細胞に送達するための微小領域照射野(ホットスポット)を作るために必要とされる時間、腫瘍細胞外マトリックス内に放射標識水溶性工程4試薬放射同位元素を捕捉する。
【0154】
131I−p−ヨード安息香酸ヒドラジド5345の合成の概略を図46に示す。メチル−p−ヨードベンゾエート5340はヒドラジンと反応してp−ヨード安息香酸ヒドラジド5341を得る。次に、ヒドラジドを、ジ−tert−ブチルカルボネートを用いてt−Boc誘導体5342として保護する。ヨード基を、還流トルエン中でビス(トリブチルスズ)およびパラジウムテトラキストリフェニルホスフィンを用いて置換して、トリブチルスズ誘導体5343を得て、これをNa131IおよびN−クロロスクシンイミドで処理してt−Boc保護放射標識131I−p−ヨード安息香酸ヒドラジド5344を得る。トリフルオロ酢酸によるt−Boc保護基の除去により、放射標識水溶性工程4試薬131I−p−ヨード安息香酸ヒドラジド5345を得ることができる。
【0155】
実施例14:131I−4−ヒドロキシ−3−ヨード−5−ニトロフェニル酢酸の合成
放射標識水溶性工程4試薬の合成の概要を図47に示す。既に、フォルメート−ビス−3−インドキシルガラクトシド−ロラカルベフ工程1試薬を用いて、付加的分子構造としてポリインジゴの会合体から構成される細胞内ナノプラットフォームを、それらの表面上のロラカルベフ基とともに作った。続いて、この細胞内ナノプラットフォームを、細胞外ナノプラットフォーム1600を形成する工程2殺細胞試薬および/または天然のがん細胞死滅の作用によりがんの細胞外空間に再配置させた。工程3二特異的試薬2040変異β−ラクタマーゼ−抗NIP抗体の投与により、細胞外ナノプラットフォーム1600上の付加的分子構造1400として変異β−ラクタマーゼ標的部分2143をその非可逆的インヒビターロラカルベフ1443により共有結合させることにより細胞外ナノプラットフォーム1600に共有結合させて、抗NIP抗体同位元素捕捉部分2245を細胞外ナノプラットフォーム1600に結合させる。抗NIP抗体に対する放射標識ハプテンである放射標識水溶性工程4試薬131I−4−ヒドロキシ−3−ヨード−5−ニトロフェニル酢酸8005(131I−NIP酸)の投与により、抗NIP抗体同位元素捕捉部分2245と高親和性をもって結合するので、致死線量照射を周囲の腫瘍細胞に送達するための微小領域照射野(ホットスポット)を作るために必要とされる時間、腫瘍細胞外マトリックス内に放射標識水溶性工程4試薬放射同位元素を捕捉させる。
【0156】
131I−4−ヒドロキシ−3−ヨード−5−ニトロフェニル酢酸5444(131I−NIP酸)の合成の概略を図48に示す。当然のことながら、4−ヒドロキシ−3−ヨード−5−ニトロフェニル酢酸5440(NIP酸)上のカルボキシ基とフェノール基は、塩化メチレン中のイソブチレンおよび硫酸を用いるt−ブチル基の結合により保護して5441を生じる。ヨード基を、還流トルエン中でビス(トリブチルスズ)およびパラジウムテトラキストリフェニルホスフィンを用いて置換して、トリブチルスズ誘導体5442を得て、これをNa131IおよびN−クロロスクシンイミドで処理してt−ブチル保護放射標識131I−放射標識NIP酸5443を得る。トリフルオロ酢酸による保護基の除去により、放射標識水溶性工程4試薬131I−4−ヒドロキシ−3−ヨード−5−ニトロフェニル酢酸(131I−NIP酸)5444を得ることができる。
【0157】
実施例15:131I−5−ヨード−3−インドキシルホスフェートの合成
放射標識水溶性工程4試薬の合成の概要を図49に示す。既に、EGF−HPMA−3−インドキシルガラクトシド−ロラカルベフ工程1試薬を用いて、付加的分子構造として、(ジッパーのような)インジゴ基により架橋されたHPMAポリマーからなる細胞内ナノプラットフォームを、それらの表面上のロラカルベフ基とともに作った。続いて、この細胞内ナノプラットフォームを、細胞外ナノプラットフォーム1600を形成する工程2殺細胞試薬および/または天然のがん細胞死滅の作用によりがんの細胞外空間に再配置させた。工程3二特異的試薬2050変異β−ラクタマーゼ−アルカリホスファターゼの投与により、細胞外ナノプラットフォーム1600上の付加的分子構造1400として変異β−ラクタマーゼ標的部分2153をその非可逆的インヒビターロラカルベフ1453へ共有結合させることにより細胞外ナノプラットフォーム1600に共有結合させて、アルカリホスファターゼ同位元素捕捉部分2256を細胞外ナノプラットフォーム1600に結合させる。放射標識水溶性工程4試薬131I−5−ヨード−3−インドキシルホスフェート8006の投与により、細胞外水不溶性ナノプラットフォーム1600に付着するアルカリホスファターゼ同位元素捕捉部分2256に接触させ、アルカリホスファターゼ同位元素捕捉部分2256の触媒作用により、放射標識水溶性工程4試薬131I−5−ヨード−3−インドキシルホスフェート8006からリン酸基を切断して131I−5−ヨード−3−インドキシルを遊離し、これは迅速に酸化二量体化を受けて、致死線量照射を周囲の腫瘍細胞に送達するための微小領域照射野(ホットスポット)を作るために必要とされる時間、腫瘍細胞外マトリックス内に捕捉される放射標識水不溶性生成物131I−5,5’−ジヨードインジゴ8005を形成する。
【0158】
131I−5−ヨード−3−インドキシルホスフェート5543の合成の概略を図50に示す。ベンジル保護5−ブロモ−3−インドキシルホスフェート5540を、還流トルエン中でビス(トリブチルスズ)およびパラジウムテトラキストリフェニルホスフィンで処理して、トリブチルスズ誘導体5541を得て、これをNa131IおよびN−クロロスクシンイミドで処理して、ベンジル保護放射標識131I−5−ヨード−3−インドキシルホスフェート5542を得た。トリフルオロ酢酸によるベンジル保護基の除去により、放射標識水溶性工程4試薬131I−5−ヨード−3−インドキシルホスフェート5543を得た。
等価物
本発明の特定の実施形態の前記の詳細な説明から、独自の組成物が記載されてきたことが明らかであるに違いない。特定の実施形態が本明細書中において詳細に開示してきたが、これは例示のみの目的のために一例としてなされたものであり、添付の下記請求の範囲に関する限定を意図するものではない。特に、多様な置換、変更および改良が、請求の範囲に定義される発明の精神と範囲から逸脱することなく本発明に対して行なってよいことが本発明により意図される。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】図1は、レセプターを有するがん細胞を表す説明図である。
【図2】図2は、工程1試薬を表す説明図である。
【図3】図3は、がん細胞におけるステップ1試薬の蓄積を表す説明図である。
【図4】図4は、がん細胞における水不溶性ナノプラットフォームの形成を表す説明図である。
【図5】図5は、がん細胞におけるナノプラットフォームの継続的な蓄積を表す説明図である。
【図6】図6は、工程1試薬の第1実施例についての工程1試薬を表す説明図である。
【図7】図7は、リンカー分子によるブロモ−インドキシルホスフェートの合成を表す説明図である。
【図8】図8は、工程1試薬の第1実施例についての非可逆的酵素インヒビターによるプラットフォーム構築材料の合成を表す説明図である。
【図9】図9は、工程1試薬の第1実施例についてのプラットフォーム構築材料の結合体化を表す説明図である。
【図9b】図9は、工程1試薬の第1実施例についてのプラットフォーム構築材料の結合体化を表す説明図である。図9b:工程1試薬の第1実施例に関する工程1試薬。
【図10】図10は、第2実施例に関する工程1試薬を表す説明図である。
【図11】図11は、工程1試薬の第2実施例についてのプラットフォーム構築材料に対するビス−インドキシルの合成を表す説明図である。
【図12】図12は、工程1試薬の第2実施例についての非可逆的酵素インヒビターを有するプラットフォーム構築材料の合成を表す説明図である。
【図13】図13は、工程1試薬の第2実施例についてのプラットフォーム構築材料の結合体化を表す説明図である。図13b:工程1試薬の第2実施例に関する工程1試薬。
【図13b】図13は、工程1試薬の第2実施例についてのプラットフォーム構築材料の結合体化を表す説明図である。図13b:工程1試薬の第2実施例に関する工程1試薬。
【図14】図14は、工程1試薬の第3実施例についての工程1試薬を表す説明図である。
【図15】図15は、工程1試薬の第3実施例についてのプラットフォーム構築材料に対するポルフィリン誘導体の合成を表す説明図である。
【図16】図16は、工程1試薬の第3実施例についての非可逆的酵素インヒビターによるプラットフォーム構築材料の合成を表す説明図である。
【図17】図17は、工程1試薬の第3実施例についての工程1試薬を表す説明図である。
【図18】図18は、工程1試薬の第3実施例についての非可逆的酵素インヒビター誘導体の合成を表す説明図である。
【図19】図19は、工程1試薬の第4実施例についての工程1試薬を表す説明図である。
【図20】図20は、工程1試薬の第4実施例についての、細胞標的剤によるプラットフォーム構築材料の合成を示す説明図である。
【図21】図21は、工程1試薬の第4実施例についての、細胞標的剤によるプラットフォーム構築材料の合成および非可逆的酵素インヒビターに対する位置を表す説明図である。
【図22】図22は、工程1試薬の第4実施例についての工程1試薬の合成を表す説明図である。
【図23】図23は、工程1試薬の第5実施例についての工程1試薬を表す説明図である。
【図24】図24は、工程1試薬の第5実施例についての工程1試薬の合成を表す説明図である。
【図25】図25は、工程2細胞殺滅プロセス表す説明図である。
【図26】図26は、工程3二特異的試薬を表す説明図である。
【図27】図27は、工程3二特異的試薬をナノプラットフォームに固定するヒドラゾンの形成を表す説明図である。
【図28】図28は、工程3二特異的試薬をナノプラットフォームに固定するチオエーテルの形成を表す説明図である。
【図29】図29は、非可逆的酵素インヒビターに共有結合した工程3二特異的試薬を表す説明図である。
【図30】図30は、特異的抗体を介してナノプラットフォームに結合した工程3二特異的試薬を表す説明図である。
【図31】図31は、ヒドラジドである工程4試薬を結合する工程3二特異的試薬を表す説明図である。
【図32】図32は、非可逆的酵素インヒビターである工程4試薬を結合する工程3二特異的試薬を表す説明図である。
【図33】図33は、高親和性レセプターを介して工程4試薬を結合する工程3二特異的試薬を表す説明図である。
【図34】図34は、インドキシルガラクトシドをインジゴ誘導体に変換する酵素を同位体捕捉部分として有する工程3二特異的試薬を表す説明図である。
【図35】図35は、UDP−N−アセチルグルコサミンエノールピルボイルトランスフェラーゼおよびストレプトアビジンから構成される工程3二特異的試薬の合成を表す説明図である。
【図36】図36は、β−ラクタマーゼ変異体についてのプラスミドの調製を表す説明図である。
【図37】図37は、工程3試薬である変異β−ラクタマーゼ−β−D−ガラクトシダーゼについてのプラスミドの調製を表す説明図である。
【図38】図38は、工程3二特異的試薬であるアルデヒド側鎖を有するオルニチンデカルボキシラーゼ(すなわち、オルニチンデカルボキシラーゼ−4−カルボキシベンズアルデヒド)の調製を表す説明図である。
【図39】図39は、工程3二特異的試薬である変異β−ラクタマーゼ−抗NIP抗体の調製を表す説明図である。
【図40】図40は、工程3二特異的試薬である変異β−ラクタマーゼ−アルカリホスファターゼの調製を表す説明図である。
【図41】図41は、工程4試薬の第1実施例の調製を表す説明図である。
【図42】図42は、工程4試薬として用いられる90Y−ビオチン−ペンチル−DOTAの調製を表す説明図である。
【図43】図43は、工程4試薬の第2実施例の調製を表す説明図である。
【図44】図44は、工程4試薬として用いられる131I−5−ヨード−3−インドキシルガラクトシドの調製を表す説明図である。
【図45】図45は、工程4試薬の第3実施例の調製を表す説明図である。
【図46】図46は、工程4試薬として用いられる131I−p−ヨード安息香酸ヒドラジドの調製を表す説明図である。
【図47】図47は、工程4試薬の第4実施例の調製を表す説明図である。
【図48】図48は、工程4試薬として用いられる131I−4−ヒドロキシ−3−ヨード−5−ニトロフェニル酢酸(131I−NIP酸)の調製を表す説明図である。
【図49】図49は、工程4試薬の第5実施例の調製を表す説明図である。
【図50】図50は、工程4試薬として用いられる131I−5−ヨード−3−インドキシルホスフェートの調製を表す説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
置換された3−インドキシルホスフェート誘導体に連結された、抗EGFレセプター抗体、その誘導体またはそのフラグメントを含む組成物。
【請求項2】
前記抗体が前記3−インドキシルホスフェート誘導体に担体部分により連結された、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記担体部分がデキストランである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
さらに、前記3−インドキシルホスフェート誘導体に連結されたUDP−N−アセチルグルコサミンエノールピルボイルトランスフェラーゼインヒビターを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記UDP−N−アセチルグルコサミンエノールピルボイルトランスフェラーゼインヒビターがホスホノエノールピルベート誘導体である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
グリコシドまたはその誘導体に連結されたトランスフェリンポリペプチドまたはそのフラグメントを含む組成物。
【請求項7】
前記グリコシドがガラクトシド、グルコシドまたはグルクロニドである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記グリコシドが置換ビス−3−インドキシルグリコシド誘導体である、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記トランスフェリンポリペプチドが前記グルコシドに担体部分により連結された、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
前記担体部分がアルブミンポリペプチドまたはそのフラグメントである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
さらに、前記ビス−3−インドキシルグリコシド誘導体に連結された変異β−ラクタマーゼインヒビターを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
前記変異β−ラクタマーゼインヒビターがラクタム誘導体である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記ラクタム誘導体がカルバセフェムアナログである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記カルバセフェムアナログがロラカルベフである、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
ポルフィリン誘導体に連結されたフォレート誘導体を含む組成物。
【請求項16】
前記フォレート誘導体が前記ポルフィリン誘導体に担体部分により連結された、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記担体部分が免疫グロブリンポリペプチドまたはそのフラグメントである、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
さらに、前記ポルフィリン誘導体に連結されたオルニチンデカルボキシラーゼインヒビターまたはアルギニンデカルボキシラーゼインヒビターを含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
前記オルニチンデカルボキシラーゼインヒビターがα−ジフルオロメチルオルニチンである、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記アルギニンデカルボキシラーゼインヒビターがα−ジフルオロメチルアルギニンである、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
置換ビス−3−インドキシルグリコシド誘導体に連結されたフォレート誘導体を含む組成物。
【請求項22】
さらに、前記置換ビス−3−インドキシルグリコシド誘導体に連結された変異β−ラクタマーゼインヒビターを含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
HPMAに連結された上皮細胞増殖因子ポリペプチドを含む組成物。
【請求項24】
さらに、前記HPMAに連結された置換されたインドキシルグリコシド誘導体を含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
さらに、前記HPMAに連結された変異β−ラクタマーゼインヒビターを含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項26】
ストレプトアビジンに連結されたUDP−N−アセチルグルコサミンエノールピルボイルトランスフェラーゼを含む組成物。
【請求項27】
β−D−ガラクトシダーゼに連結された変異β−ラクタマーゼを含む組成物。
【請求項28】
4−カルボキシベンズアルデヒドに連結された、オルニチンデカルボキシラーゼまたはアルギニンデカルボキシラーゼを含む組成物。
【請求項29】
抗NIP抗体に連結された変異β−ラクタマーゼを含む組成物。
【請求項30】
アルカリホスファターゼに連結された変異β−ラクタマーゼを含む組成物。
【請求項31】
請求項1に記載の組成物および請求項26に記載の組成物を備えるキット。
【請求項32】
さらに、90Y−ビオチン−ペンチル−DOTAを備える、請求項31に記載のキット。
【請求項33】
さらに、細胞殺傷剤を備える、請求項31に記載のキット。
【請求項34】
請求項6に記載の組成物および請求項27に記載の組成物を備えるキット。
【請求項35】
さらに、131I−5−ヨード−3−インドキシルガラクトシドを備える、請求項34に記載のキット。
【請求項36】
さらに、細胞殺傷剤を備える請求項34に記載のキット。
【請求項37】
請求項15に記載の組成物および請求項28に記載の組成物を備えるキット。
【請求項38】
さらに、131I−p−ヨード安息香酸ヒドラジドを備える、請求項37に記載のキット。
【請求項39】
さらに、細胞殺傷剤を備える請求項37に記載のキット。
【請求項40】
請求項21に記載の組成物および請求項29に記載の組成物を備えるキット。
【請求項41】
さらに、131I−4−ヒドロキシ−3−ヨード−5−ニトロフェニル酢酸を備える、請求項40に記載のキット。
【請求項42】
さらに、細胞殺傷剤を備える請求項40に記載のキット。
【請求項43】
請求項23に記載の組成物および請求項30に記載の組成物を備えるキット。
【請求項44】
さらに、131I−5−ヨード−3−インドキシルホスフェートを備える、請求項43に記載のキット。
【請求項45】
さらに、細胞殺傷剤を備える請求項43に記載のキット。
【請求項46】
がんの症状を緩和する方法であって、該がんに罹患した被験体に、
a.置換ビス−3−インドキシルグリコシド誘導体に連結された、トランスフェリンポリペプチドまたはそのフラグメントを含む組成物、ここで、変異β−ラクタマーゼインヒビターがビス−3−インドキシルグリコシド誘導体に連結されている、組成物;
b.β−D−ガラクトシダーゼに連結された変異β−ラクタマーゼを含む組成物;および
c.131I−5−ヨード−3−インドキシルガラクトシドを含む組成物
を投与する工程を包含する、方法。
【請求項47】
さらに、前記(b)の投与前に細胞殺傷剤を投与する工程を包含する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
さらに、前記(b)の投与後に細胞殺傷剤を投与する工程を包含する、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
さらに、前記(b)の投与と同時に細胞殺傷剤を投与する工程を包含する、請求項46に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図9b】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図13b】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【公表番号】特表2008−507562(P2008−507562A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522832(P2007−522832)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/026248
【国際公開番号】WO2006/010165
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(507019983)オンコロジック, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】