説明

しわ改善組成物

【課題】
しわを予防または改善する組成物を提供すること。
【解決手段】
(A)アスタキサンチンと、(B)真皮マトリックス成分安定作用を有する化合物または抽出物を含有することを特徴とするしわ改善組成物を提供する。また、そのしわ改善組成物を含有する医薬品、皮膚外用剤または飲食物を提供する。さらには、アスタキサンチンまたは、(A)アスタキサンチンと、(B)真皮マトリックス成分安定作用を有する化合物または抽出物を含有することを特徴とするしわ改善組成物からなる化粧品と、効用性成分からなる食品を摂取するしわ改善方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスタキサンチンと従来の真皮マトリックス成分安定作用を有する化合物または抽出物を含有する優れたしわ改善組成物に関する。さらに詳しくは、光老化の条件下において、従来の真皮マトリックス成分安定作用を有する化合物または抽出物単独ではしわ改善効果を発揮しないが、それにアスタキサンチンを組合せることにより優れたしわ改善効果を発揮するしわ改善組成物に関する。また、しわ改善組成物を含有する医薬品、皮膚外用剤および飲食物に関する。
【背景技術】
【0002】
みずみずしく、きめ細かく、弾力のある肌は、次第に衰え、皮膚表面形態異常、皮膚粘弾性の低下によりしわが形成されてくる。これは主に、真皮線維芽細胞の活性が低下してコラーゲン等の真皮マトリックス成分が著しく減少することによる。また、光老化によってその進行はさらに加速される。
【0003】
太陽光線を浴びる肌に生じるしわは“光老化”と呼ばれ、太陽光線、特に紫外線によって発生する活性酸素がコラーゲンなどの真皮マトリックス成分を破壊・変性して引き起こされる。活性酸素の中でも一重項酸素が光老化に深く関係していると言われている(M. Wlaschek et al、Journal of Investigative
Dermatology、104、194、1995)。また、光老化は紫外線を浴びた時間と強さに比例するといわれている。
【0004】
しわを改善するために、これまで真皮マトリックス成分安定作用を有する化合物または抽出物として、ビタミンC類や、ビタミンA類、低分子コラーゲン、アミノ酸類や植物抽出物等が用いられてきた。しかし、実生活において免れることのできない条件、すなわち紫外線下で生存する限り、光老化の進行を抑止できない条件下では期待するしわ改善効果が得られないという問題があった。
【0005】
アスタキサンチンはβ−カロテンと同じカロテノイドの一種で、エビ、カニ等の甲殻類、サケ、タイ等の魚類、緑藻ヘマトコッカス等の藻類、赤色酵母ファフィア等の酵母類等、天然、特に海洋に広く分布する食経験豊かな赤色色素である。アスタキサンチンは強い一重項酸素消去作用を示し、光老化抑制効果を有することが知られている(特許文献1、非特許文献1および2)。しかし、アスタキサンチンと真皮マトリックス成分安定作用を有する化合物または抽出物との併用効果に関しては知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−128651
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】日本香粧品学会誌、29、9、2005年
【非特許文献2】Carotenoid Science、11、16、2007年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、優れたしわ改善効果を有するしわ改善組成物、並びにそのしわ改善組成物を含有する医薬品、皮膚外用剤および飲食物とそれらの使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、従来の真皮マトリックス成分安定作用を有する化合物または抽出物にアスタキサンチンを組合せることにより、光老化の条件下においても優れたしわ改善効果が得られることを見出した。本発明は係る知見に基づくものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のしわ改善組成物を医薬品、皮膚外用剤や飲食物などの形態で使用することによって、有効なしわ改善効果を発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の組成物は、成分(A)としてアスタキサンチンを含有する。アスタキサンチンとは、天然物由来のものまたは合成により得られるものを意味する。天然物由来のものとしては、例えば、緑藻ヘマトコッカスなどの微細藻類、赤色酵母ファフィアなどの酵母類、エビ、オキアミ、カニなどの甲殻類の甲殻、イカ、タコなどの頭足類の内臓、種々の魚介類の皮やヒレ、ナツザキフクジュソウなどのAdonis属植物の花弁、Paracoccus sp. N81106、Brevundimonas sp. SD212、Erythrobacter sp.
PC6などのα−プロテオバクテリア類、Gordonia sp. KANMONKAZ-1129などの放線菌、Schizochytriuym sp. KH105などのラビリンチュラ類(特にヤブレツボカビ科)やアスタキサンチン産生遺伝子組み換え生物体などから得られるものをあげることができる。天然からの抽出物および化学合成品は市販されており、入手は容易である。
【0012】
アスタキサンチンは、3,3'−ジヒドロキシ−β,β−カロテン−4,4'−ジオンであり、立体異性体を有する。具体的には、(3R,3'R)−アスタキサンチン、(3R,3'S)−アスタキサンチンおよび(3S,3'S)−アスタキサンチンの3種の立体異性体が知られているが、本発明にはそのいずれも用いることができる。本発明はこれらアスタキサンチン異性体のモノエステルおよびジエステルを含む。
【0013】
本発明において、アスタキサンチンの脂肪酸エステルは、天然物由来のものまたは合成により得られるもののいずれも用いることができるが、体内での吸収からアスタキサンチンエステルが各種の油脂に溶解した天然物由来が好ましい。天然物由来には、例えば、オキアミ抽出物、ファフィア酵母抽出物、ヘマトコッカス藻抽出物があるが、特に好ましいのはアスタキサンチンの安定性とアスタキサンチンのエステルの種類によりヘマトコッカス藻抽出物である。
【0014】
アスタキサンチンの脂肪酸エステルは突然変異原性が観察されず、安全性が高い化合物であることが知られて、食品添加物として広く用いられている(高橋二郎ほか:ヘマトコッカス藻アスタキサンチンの毒性試験―Ames試験、ラット単回投与毒性試験、ラット90日反復経口投与性毒性試験―,臨床医薬,20:867−881,2004)。
【0015】
ヘマトコッカス藻は、ボルボックス目クラミドモナス科に属する緑藻類であり、通常は緑藻であるためクロロフィル含量が高く緑色であり、2本の鞭毛によって水中を遊泳しているが、栄養源欠乏や温度変化等の飢餓条件では休眠胞子を形成し、アスタキサンチン含量が高くなり赤い球形となる。本発明においては、いずれの状態でのヘマトコッカスを用いることができるが、アスタキサンチンを多く含有した休眠胞子となったヘマトコッカスを用いるのが好ましい。また、ヘマトコッカス属に属する緑藻類では、例えば、ヘマトコッカス・プルビイアリス(Haematococcus pluvialis)が好ましい。
【0016】
ヘマトコッカス緑藻類の培養方法としては、異種微生物の混入・繁殖がなく、その他の夾雑物の混入が少ない密閉型の培養方法が好ましく、例えば、一部解放型のドーム形状、円錐形状または円筒形状の培養装置と装置内で移動自在のガス吐出装置を有する培養基を用いて培養する方法(国際公開第99/50384号公報)や、密閉型の培養装置に光源を入れ内部から光を照射して培養する方法、平板状の培養槽やチューブ型の培養層を用いる方法が適している。
【0017】
本発明のヘマトコッカス藻から抽出物を得る方法としては、ヘマトコッカス藻を乾燥粉砕した後アセトンやアルコールなどの有機溶媒で抽出する方法、ヘマトコッカス藻を有機溶媒に懸濁させて粉砕し同時に抽出する方法、二酸化炭素などを用いる超臨界抽出する方法などで行うことができる。
【0018】
超臨界抽出法は、常法によって行うことができ、例えば、広瀬(Ind Eng Chem Res、2006、45(10)、3652-3657、Extraction
of Astaxanthin from Haematococcus pluvialis Using Supercritical CO2
and Ethanol as Entrainer)らの方法で行うことができる。
【0019】
前記培養物または前記甲殻類から有機溶媒を用いて抽出および精製する方法については種々の方法が知られている。例えば、アスタキサンチンおよびそのエステルは油溶性物質であることから、アスタキサンチンを含有する天然物からアセトン、アルコール、酢酸エチル、ベンゼン、クロロホルムなどの油溶性有機溶媒でアスタキサンチン含有成分を抽出することができる。また、二酸化炭素や水などを用い超臨界抽出を行うこともできる。抽出後、常法に従って溶媒を除去してモノエステル型のアスタキサンチンとジエステル型のアスタキサンチンの混合濃縮物を得ることができる。得られた濃縮物は、所望により分離カラムやリパーゼ分解によりさらに精製することができる。
【0020】
前記のドーム型培養装置や密閉型の培養装置で培養したヘマトコッカス藻を乾燥させ、粉砕後にアセトンで抽出または、アセトン中で粉砕と抽出を同時に行ったのち、アセトンを除去してアスタキサンチン抽出する製法(特開2006−70114)が、空気に触れることがないことからアスタキサンチンの酸化がほとんどなく、夾雑物が少なく、すなわち本発明の効果を阻害する物質が少なく、アスタキサンチンとトリグリセリドを純度良く多く含むことができ好適である。
【0021】
本発明において成分(A)アスタキサンチンと組合せる成分(B)真皮マトリックス成分安定作用を有する化合物または抽出物としては、真皮コラーゲン産生促進作用、真皮ヒアルロン酸産生促進作用、真皮エラスターゼ活性阻害作用、真皮コラーゲンAGE(Advanced Glycation End Products)化阻害作用、コラーゲン代謝促進作用、コラーゲン線維安定化作用、コラゲナーゼ活性阻害作用、細胞賦活作用等の作用を有するものが挙げられる。なお、真皮コラーゲンAGE化阻害作用とは、真皮コラーゲンが、Advanced Glycation End Productsと呼ばれる化合物による架橋を阻害する作用を意味する。
【0022】
真皮マトリックス成分安定作用を有する化合物または抽出物としては、以下に示す剤から選ばれる1種または2種以上である。なお、以下の具体例中、「誘導体」にはエステルや塩、配糖体が含まれる。
すなわち、ビタミンAおよびその誘導体(レチノール、レチノールパルミチン酸エステル、レチノイン酸等)、ビタミンCおよびその誘導体(リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルアミノプロピル、リン酸アスコルビルナトリウム、アスコルビン酸グルコシド、アスコルビン酸硫酸エステル、パルミチン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、ジステアリン酸アスコルビル、テトライソパルミチン酸アスコルビル等)、低分子プロテインおよびその誘導体(コラーゲンペプチド、シルクプロテインペプチド等)、アプリコット抽出物、ライム抽出物、ラズベリー抽出物、アスパラガス抽出物、アーモンド抽出物、大豆抽出物、ツボクサ抽出物、トマト抽出物、麦芽根抽出物、海藻抽出物、ベンケイソウ科紅景天属植物抽出物、胎盤抽出物、幼牛血液抽出物、血清除蛋白抽出物、脾臓抽出物、卵成分、鶏冠抽出物、貝殻抽出物、貝肉抽出物、ローヤルゼリー、ニンジン抽出物、センブリ抽出物、ローズマリー抽出物、オウバク抽出物、スギナ抽出物、ウコン抽出物、ボタンピ抽出物、藤茶抽出物、マロニエ抽出物、ボダイジュ抽出物、バーチ抽出物、ニンニク抽出物、ヒノキチオール、セファランチン、酵母抽出物、微生物醗酵代謝産物(乳酸菌抽出物、ビフィズス菌抽出物、霊芝抽出物等)、デオキシリボ核酸およびその塩、アデニル酸誘導体およびそれらの塩(アデノシン三リン酸、アデノシン二リン酸アデノシン一リン酸等)、リボ核酸およびその塩、核酸関連物質(サイクリックAMP、サイクリックGMP、フラビンアデニンヌクレオチド、グアニン、アデニン、シトシン、チミン、キサンチンおよびそれらの誘導体であるカフェイン、テオフィリンから選ばれる核酸関連物質等)、有機酸(グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、サリチル酸等)およびその誘導体、アミノ酸およびその誘導体(N−メチル−L−セリン等)、高度不飽和脂肪酸(α−またはγ−リノレン酸、エイコサペンタエン酸等)およびその誘導体、エストラジオールおよびその誘導体(エテニルエストラジオール等)、ジイソプロピルアミンジクロロ酢酸、メタケイ酸、ウルソール酸およびその誘導体等が挙げられる。
【0023】
本発明のしわ改善組成物におけるアスタキサンチンの配合量は、1日あたり、内用では0.01〜100mg、好ましくは0.1〜30mgで、外用では0.001〜10mg、好ましくは0.01〜1mgである。投与量は、投与される患者の年齢、体重、症状の程度、投与形態によって異なる。
【0024】
本発明のしわ改善組成物におけるアスタキサンチンと成分(B)の配合割合は、アタキサンチンが親油性のため、成分(B)が親水性か親油性によって相違するが、一般的には1:0.01〜1000の割合で配合することができ、好ましくは1:0.1〜100である。本発明の美白用組成物は、配合対象の全量に対して、0.001〜99.9重量%の範囲で配合することができ、好ましくは0.01〜90重量%である。
【0025】
本発明のしわ改善組成物を用いる場合は、通常の飲食物、皮膚外用剤または医薬品の形態で用いることができる。
【0026】
本発明のしわ改善組成物を含む医薬品は、経口または非経口で投与することができる。経口用の剤形としては、例えば、錠剤、口腔内速崩壊錠、カプセル、顆粒、細粒などの固形投薬形態、シロップおよび懸濁液のような液体投薬形態で投与される。非経口の剤形としては、注射剤、点眼剤、点鼻剤、貼付剤、軟膏剤、坐剤の形態で投与される。リピッド分散型の製剤は血中濃度の増加に有効である。なお、医薬品には医薬部外品も含まれる。
【0027】
本発明のしわ改善組成物を含む医薬品は、一般製剤の製造に用いられる種々の添加剤を適当量含んでいてもよい。このような添加剤として、例えば賦形剤、結合剤、酸味料、発泡剤、人工甘味料、香料、滑沢剤、着色剤、安定化剤、pH調整剤、界面活性剤などが挙げられる。賦形剤としては、例えばトウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギコデンプン、コメデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、有孔デンプン等のデンプン類、乳糖、ショ糖、ブドウ糖などの糖、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マルチトールなどの糖アルコール、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸などの無機化合物などがあげられる。結合剤としては、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム末、ゼラチン、プルランなどが挙げられる。崩壊剤としては、例えばデンプン、寒天、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、結晶セルロース、F−MELT(商標、富士化学工業(株)製)などがあげられる。酸味剤としては、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸などがあげられる。発泡剤としては、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。甘味料としては、例えばサッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチンなどが挙げられる。香料としては、例えばレモン油、オレンジ油、メントールなどが挙げられる。滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウムなどが挙げられる。着色剤としては、例えば食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号などの食用色素、食用レーキ色素、三二酸化鉄などが挙げられる。安定化剤としては、エデト酸ナトリウム、トコフェロール、シクロデキストリン等が挙げられる。pH調整剤としては、クエン酸塩、リン酸塩、炭酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、酢酸塩、アミノ酸塩などが挙げられる。界面活性剤として、ポリソルベート80、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロース、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、アラビアガム、粉末トラガントなどがあげられる。アスタキサンチンやトコトリエノールの吸収や製剤化を良くするためには粉末状態にすることができる。
【0028】
シロップ、ドリンク剤、懸濁液、点眼剤、注射剤などの液剤は、有効成分を必要に応じてpH調製剤、緩衝剤、溶解剤、懸濁剤等、張化剤、安定化剤、防腐剤などの存在下、常法により製剤化することができる。懸濁剤としては、例えば、ポリソルベート80、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロース、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、アラビアガム、粉末トラガントなどを挙げることができる。溶解剤としては、例えば、ポリソルベート80、水添ポリオキシエチレンヒマシ油、ニコチン酸アミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、マクロゴール、ヒマシ油脂肪酸エチルエステルなどを挙げることができる。安定化剤としては、例えば亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウムなどを挙げることができる。防腐剤としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、ソルビン酸、フェノール、クレゾール、クロロクレゾールなどを挙げることができる。
【0029】
皮膚外用剤の形態には、特に限定されず、例えば、乳液、クリーム、化粧水、パック、分散液、洗浄料、メーキャップ化粧料、頭皮・毛髪用品等の化粧品や、軟膏剤、クリーム剤、外用液剤等の医薬品などとすることができる。上記成分以外に、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、美白剤、保湿剤、各種皮膚栄養成分、紫外線吸収剤、酸化防止剤、油性成分、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、色剤、水、防腐剤、香料等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0030】
本発明の組成物は、飲食物に配合して用いることができ、同様の効果を得ることができる。
【0031】
飲食物としては、サプリメント、保健機能食、特別用途食品、一般食品として用いることができ、摂取のしやすさや摂取量が決めやすいことから、サプリメント、保健機能食、特別用途食品が好ましく、前述医薬品と同様の形態、錠剤、口腔内速崩壊錠、カプセル、顆粒、細粒などの固形投与形態、シロップおよび懸濁液のような液体投与形態で摂取することができる。上記医薬品用製剤で用いる成分のうち、食品で使用可能なものを選択でき、その他に乳蛋白質、大豆蛋白質、卵アルブミン蛋白質など、または、これらの分解物である卵白オリゴペプチド、大豆加水分解物、アミノ酸単体の混合物を併用することもできる。また、ドリンク形態で提供する場合は、栄養バランス、摂取時の風味を良くするためにアミノ酸、ビタミン類、ミネラル類などの栄養的添加物、甘味料、香辛料、香料および色素などを配合してもよい。本発明の飲食物の形態は、これらに限定されるものではない。
【0032】
一般食品、すなわち飲食物の形態例としては、マーガリン、バター、バターソース、チーズ、生クリーム、ショートニング、ラード、アイスクリーム、ヨーグルト、乳製品、ソース肉製品、魚製品、漬け物、フライドポテト、ポテトチップス、スナック菓子、かきもち、ポップコーン、ふりかけ、チューインガム、チョコレート、プリン、ゼリー、グミキャンディー、キャンディー、ドロップ、キャラメル、パン、カステラ、ケーキ、ドーナッツ、ビスケット、クッキー、クラッカー、マカロニ、パスタ、ラーメン、蕎麦、うどん、サラダ油、インスタントスープ、ドレッシング、卵、マヨネーズ、みそなど、または果汁飲料、清涼飲料、スポーツ飲料などの炭酸系飲料または非炭酸系飲料など、茶、コーヒー、ココアなどの非アルコールまたはリキュール、薬用酒などのアルコール飲料などの一般食品への添加例を挙げることができる。
【0033】
飲食物では、本発明のしわ改善組成物を一般食品の原料と共に配合し、常法に従って加工製造することにより製造される。その配合量は食品の形態などにより異なり特に限定されるものではないが、一般には本発明のしわ改善組成物は当業者が飲食物の種類に応じて適宜選択でき、前述の量を配合することができる。
【実施例】
【0034】
本発明をさらに詳細に説明にするために以下に実施例をあげるが、本発明がこの実施例のみに限定されないことはいうまでもない。
【0035】
[実験1] 皮膚線維芽細胞の光老化モデルにおけるコラーゲン合成能
表1に示す被験物質を含有したα-MEM培地で、96ウェルプレート上にヒト由来皮膚繊維芽細胞を、37℃、5%CO2条件下で24時間培養した。その後、培養液を除去し、ローズベンガルを含む培地を加えて、可視光を照射することで一重項酸素を発生させ、細胞に光老化を惹起させた。この細胞に、α-MEM培地を加えて72時間、上記条件下で培養した後、培養上清中のI型プロコラーゲン量をELISA(Procollagen typeI C-Peptide EIA Kit:宝酒造社製)にて測定した。I型プロコラーゲンは、I型コラーゲンの前駆体であることから、コラーゲン合成量の生化学的指標とされている。
それぞれのウェルに対し、光老化未惹起条件培養上清中のI型プロコラーゲン量を対照として、コラーゲン合成指数を算出した。(式1)
コラーゲン合成指数=(各条件におけるコラーゲン合成量/各条件の対照におけるコラーゲン合成量)×100・・・式1
【0036】
[表1]被験物質条件

【0037】
[表2]結果

【0038】
表2の結果から明らかなように、コラーゲン合成指数は、比較例1の被験物質無処置群では0.88まで低下するが、比較例2のビタミンE添加により31.9に留まり、さらにアスタキサンチン添加群(実施例1)においては87.2まで回復した。したがって、光老化条件下においては、コラーゲン合成指数は著しく低下するが、アスタキサンチンを添加することにより回復し、その効果が優れている、つまり、アスタキサンチンに光老化の進行を有意に阻止する効果が確認された。
【0039】
[実験2]コラーゲン合成促進成分との併用効果
上記実験1の方法にて、比較例として既にコラーゲン合成促進効果のあることが知られているビタミンC及びレチノイン酸およびそれとの併用におけるコラーゲン合成能を調べた。
表3に示す被験物質および光老化惹起条件において、I型プロコラーゲン量を測定した。つまり、96ウェルプレート上で、ヒト皮膚線維芽細胞を、アスタキサンチン添加/無添加で24時間、37℃、5%CO2条件下で24時間培養し、光老化惹起/未惹起させ、コラーゲン合成促進成分を配合したα−MEM培地で72時間培養した培養上清中のI型プロコラーゲン量をELISAにて測定した。それぞれのウェルに対し、コラーゲン合成促進成分を含まない培地で培養した培養上清中のI型プロコラーゲン量を対照として、コラーゲン合成促進指数を算出した。(式2)
コラーゲン合成促進指数=(各条件におけるコラーゲン合成量/各条件の対照におけるコラーゲン合成量−1)×100・・・式2
【0040】
[表3]被験物質及び光老化惹起条件

【0041】
[表4]結果

【0042】
表4の結果から明らかなように、光老化未惹起条件においては、ビタミンC及びレチノイン酸はそれぞれ32及び96のコラーゲン合成促進指数を示したが(比較例3及び4)、光老化を惹起することによって、その値は0および11と著しく減退した(比較例5及び6)。しかし、アスタキサンチンを光老化惹起前に適用することで、その値は28及び60(実施例2及び3)と、光老化未惹起条件下とほぼ同等の値を示した。したがって、光老化条件下では従来のコラーゲン合成促進成分はその効果を発揮しないが、アスタキサンチンを組み合わせることにより、優れたコラーゲン合成促進効果を発揮し、シワ改善効果が得られることがわかる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アスタキサンチンと、(B)真皮マトリックス成分安定作用を有する化合物または抽出物を含有することを特徴とするしわ改善組成物。
【請求項2】
(B)の真皮マトリックス成分安定作用が、真皮コラーゲン産生促進作用、真皮ヒアルロン酸産生促進作用、真皮エラスターゼ活性阻害作用、真皮コラーゲンAGE化阻害作用、コラーゲン代謝促進作用、コラーゲン線維安定化作用、コラゲナーゼ活性阻害作用、細胞賦活作用から選ばれる1種または2種以上である請求項1に記載のしわ改善組成物。
【請求項3】
(B)の真皮マトリックス成分安定作用を有する化合物または抽出物が、ビタミンAおよびその誘導体、ビタミンCおよびその誘導体、低分子プロテインおよびその誘導体、アプリコット抽出物、ライム抽出物、ラズベリー抽出物、アスパラガス抽出物、アーモンド抽出物、大豆抽出物、ツボクサ抽出物、トマト抽出物、麦芽根抽出物、海藻抽出物、ベンケイソウ科紅景天属植物抽出物、胎盤抽出物、幼牛血液抽出物、血清除蛋白抽出物、脾臓抽出物、卵成分、鶏冠抽出物、貝殻抽出物、貝肉抽出物、ローヤルゼリー、ニンジン抽出物、センブリ抽出物、ローズマリー抽出物、オウバク抽出物、スギナ抽出物、ウコン抽出物、ボタンピ抽出物、藤茶抽出物、マロニエ抽出物、ボダイジュ抽出物、バーチ抽出物、ニンニク抽出物、ヒノキチオール、セファランチン、酵母抽出物、微生物醗酵代謝産物、デオキシリボ核酸およびその塩、アデニル酸誘導体およびそれらの塩、リボ核酸およびその塩、核酸関連物質、有機酸およびその誘導体、アミノ酸およびその誘導体、高度不飽和脂肪酸およびその誘導体、エストラジオールおよびその誘導体、ジイソプロピルアミンジクロロ酢酸、メタケイ酸、ウルソール酸およびその誘導体等から選ばれる1種または2種以上である請求項1に記載のしわ改善組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のしわ改善組成物を含有してなる医薬品。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のしわ改善組成物を含有してなる皮膚外用剤。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のしわ改善組成物を含有してなる飲食物。
【請求項7】
アスタキサンチンまたは請求項1〜3のいずれか1項に記載のしわ改善組成物を含有してなる皮膚外用剤、並びにビタミンAおよびその誘導体、ビタミンCおよびその誘導体、低分子プロテインおよびその誘導体、アプリコット抽出物、ライム抽出物、ラズベリー抽出物、アスパラガス抽出物、アーモンド抽出物、大豆抽出物、ツボクサ抽出物、トマト抽出物、麦芽根抽出物、海藻抽出物、ベンケイソウ科紅景天属植物抽出物、胎盤抽出物、幼牛血液抽出物、血清除蛋白抽出物、脾臓抽出物、卵成分、鶏冠抽出物、貝殻抽出物、貝肉抽出物、ローヤルゼリー、ニンジン抽出物、センブリ抽出物、ローズマリー抽出物、オウバク抽出物、スギナ抽出物、ウコン抽出物、ボタンピ抽出物、藤茶抽出物、マロニエ抽出物、ボダイジュ抽出物、バーチ抽出物、ニンニク抽出物、ヒノキチオール、セファランチン、酵母抽出物、微生物醗酵代謝産物、デオキシリボ核酸およびその塩、アデニル酸誘導体およびそれらの塩、リボ核酸およびその塩、核酸関連物質、有機酸およびその誘導体、アミノ酸およびその誘導体、高度不飽和脂肪酸およびその誘導体、エストラジオールおよびその誘導体、ジイソプロピルアミンジクロロ酢酸、メタケイ酸、ウルソール酸およびその誘導体等から選ばれる1種または2種以上を含有してなる飲食物の両方を合わせて使用する皮膚のしわ改善方法。
【請求項8】
アスタキサンチンまたは請求項1〜3のいずれか1項に記載のしわ改善組成物を含有してなる飲食物、並びにビタミンAおよびその誘導体、ビタミンCおよびその誘導体、低分子プロテインおよびその誘導体、アプリコット抽出物、ライム抽出物、ラズベリー抽出物、アスパラガス抽出物、アーモンド抽出物、大豆抽出物、ツボクサ抽出物、トマト抽出物、麦芽根抽出物、海藻抽出物、ベンケイソウ科紅景天属植物抽出物、胎盤抽出物、幼牛血液抽出物、血清除蛋白抽出物、脾臓抽出物、卵成分、鶏冠抽出物、貝殻抽出物、貝肉抽出物、ローヤルゼリー、ニンジン抽出物、センブリ抽出物、ローズマリー抽出物、オウバク抽出物、スギナ抽出物、ウコン抽出物、ボタンピ抽出物、藤茶抽出物、マロニエ抽出物、ボダイジュ抽出物、バーチ抽出物、ニンニク抽出物、ヒノキチオール、セファランチン、酵母抽出物、微生物醗酵代謝産物、デオキシリボ核酸およびその塩、アデニル酸誘導体およびそれらの塩、リボ核酸およびその塩、核酸関連物質、有機酸およびその誘導体、アミノ酸およびその誘導体、高度不飽和脂肪酸およびその誘導体、エストラジオールおよびその誘導体、ジイソプロピルアミンジクロロ酢酸、メタケイ酸、ウルソール酸およびその誘導体等から選ばれる1種または2種以上を含有してなる皮膚外用剤の両方を合わせて使用する皮膚のしわ改善方法。


【公開番号】特開2011−63563(P2011−63563A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217369(P2009−217369)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(390011877)富士化学工業株式会社 (53)
【Fターム(参考)】