説明

はんだ槽及びはんだ槽の加熱方法

【課題】はんだ槽内のはんだ温度をできる限り均一に保つと共にはんだ槽の寿命を延ばし、その上、運転コストの低下をも図ることのできるはんだ槽の開発。
【解決手段】はんだ槽の内部にはんだ送り室を有し、はんだ送り室は、液面レベルよりも下側に入口を設けると共に、液面レベルよりも上側に出口を設け、入口付近にポンプを備えるはんだ槽であって、はんだ槽の外周面のうち液面レベルの近傍よりも少なくとも下側全域、およびはんだ槽の底面全域を、ステンレスからなる熱伝導板、発熱する抵抗体を埋没させたセラミックボードの順番にそれぞれ覆う複層構造からなるはんだ槽。また、このはんだ槽を用い、抵抗体より発熱した熱が熱伝導板を介してはんだ槽に伝わるように、はんだ槽の外周面のうち液面レベルの近傍よりも少なくとも下側全域、およびはんだ槽の底面全域を加熱するはんだ槽の加熱方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだ槽内のはんだを加熱溶融する技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、はんだを加熱する手段としては、はんだ槽内にシーズヒーターを通す技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−136233号公報(第2頁、第7図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、はんだ槽内のはんだはシーズヒーターによって局部的に加熱されているので、シーズヒーターの付近と離れている箇所でははんだの温度バラツキが大きく、それ故、ノズルから流出するはんだの温度バラツキが生じ、ひいてははんだ不良を招くことになった。また、シーズヒーター付近が加熱されて局部的に膨張するため、はんだ槽の寿命が短くなる。さらに、はんだ槽の熱が外面から空気中に逃げるため、運転コストが高くなった。
【0005】
本発明は上記実情を考慮してなされたもので、はんだ槽内のはんだ温度をできる限り均一に保つと共にはんだ槽の寿命を延ばし、その上、運転コストの低下をも図ることのできるはんだ槽及びはんだ槽の加熱方法の開発を、解決しようとする課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうち請求項1の発明は、はんだ槽の内部にはんだ送り室を有し、はんだ送り室は、液面レベルよりも下側に入口を設けると共に、液面レベルよりも上側に出口を設け、入口付近にポンプを備えるはんだ槽であって、はんだ槽の外周面のうち液面レベルの近傍よりも少なくとも下側全域、およびはんだ槽の底面全域を、ステンレスからなる熱伝導板、発熱する抵抗体を埋没させたセラミックボードの順番にそれぞれ覆う複層構造からなる。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1記載のはんだ槽を用い、抵抗体より発熱した熱が熱伝導板を介してはんだ槽に伝わるように、はんだ槽の外周面のうち液面レベルの近傍よりも少なくとも下側全域、およびはんだ槽の底面全域を加熱するはんだ槽の加熱方法である。
【0008】
液面レベルの近傍としたのは、液面レベルよりも多少高かろうが、低かろうが、はんだ槽内のはんだを加熱する面積には殆ど影響を与えないためである。
【0009】
はんだ槽の底面全域をステンレスからなる熱伝導板等で覆うとしてあるが、厳密に全域を覆ってあるという意味ではなく、外観的に全域を覆ってあると判断できる程度であれば良いという意味である。詳しく言えば、はんだ槽にはリブが通常付いているので、リブは必ずしも覆わなくても良い。また、リブ以外の箇所は全域隙間無く覆ってあるという意味では必ずしもなく、例えば底面にリブが付いていると、複数枚の熱伝導板で底面を覆うことになり、取り付けの際には、リブと熱伝導板の間に通常、隙間をあけるので、このような隙間部分も熱伝導板で覆われない。なお、はんだ槽の外周面を熱伝導板で覆う場合も同様である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のはんだ槽は、はんだ槽のほぼ全域を覆ったステンレスからなる熱伝導板を介して抵抗体の熱がはんだ槽に伝わるので、はんだ槽の底面及び外周面が均一に加熱されることになり、はんだ槽内のはんだ温度が従来に比べて均一となる。従って、はんだ送り室の出口から流出するはんだの温度が均一となり、良品率が向上する。また、はんだ槽全体が均一に加熱されて膨張するので、製品寿命も延びる。さらに、はんだ槽の外面を熱伝導板、セラミックボードで順に覆って熱を逃げ難くしてあるので、運転コストが低下する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のはんだ槽としての噴流型はんだ槽は、図1に示すように、上向きに開口する四角形のはんだ槽1のほぼ外面全域を熱伝導板2、断熱材付きの面ヒーター3で順番に覆い、はんだ槽1、熱伝導板2、面ヒーター3、断熱材の四層構造としたものである。
【0012】
面ヒーター3はその外面を断熱材のパネルで覆ったもので、一例としてはセラミックヒーターを用いる。セラミックヒーターは、図2に示すように発熱する抵抗体4をセラミックボード5内に埋没させ、図示しない断熱材のパネルでセラミックボードの外面を覆ったものである。従って、セラミックボード5の加熱面である内面は、抵抗体4の付近では高温となり、抵抗体4から離れると低温となり、温度バラツキが生ずる。また、熱伝導板2の材料としては、面ヒーター3の熱で溶けないもの、例えばステンレスを用いる。
【0013】
はんだ槽1はその底面には、補強用のリブ6が間隔をあけて付いており、リブ6,6同士の間に熱伝導板2、面ヒーター3を順番に配置して底面全域を覆い、リブ6,6同士の間に複数本のロッド7を架設して面ヒーター3の下側を支えてある。また、はんだ槽1の外周面も同様に上下に延びるリブ8が付いていると共に、リブ8の上下に支持プレート9を突出しているので、リブ8の左右では上下の支持プレート9,9の間に熱伝導板2、面ヒーター3を順番に配置して外周面の液面レベルLとほぼ同じ高さよりも下側全域を覆い、ロッド10を上下の支持プレート9に固定して、面ヒーター3の外側を支えてある。
【0014】
また、はんだ槽1は、内部にはんだ送り室11を有する。はんだ送り室11は、液面レベルLよりも下側に入口12を設けると共に、液面レベルLよりも上側に出口13を設け、入口付近のポンプ14の駆動によって、入口12から内部にはんだが送り込まれ、最終的に出口13からはんだが流出する。はんだ送り室11の具体的な構造は、液面レベルLよりも下側ではんだ槽1内を仕切り15で上下に区画し、仕切り15に入口12をあけると共に、出口13に向かう抜穴16を入口12とは別の箇所にあけ、抜穴16にダクト17を固定し、ダクト17の上端にはノズル18を液面レベルLよりも上側まで起立して取り付けてある。ノズル18は上端が開口して出口13となっており、溶融はんだを流出可能としてある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(イ)(ロ)本発明のはんだ槽を示す縦断面図、A−A線断面図である。
【図2】面ヒーターを示す正面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 はんだ槽
2 熱伝導板
3 面ヒーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
はんだ槽の内部にはんだ送り室を有し、はんだ送り室は、液面レベルよりも下側に入口を設けると共に、液面レベルよりも上側に出口を設け、入口付近にポンプを備えるはんだ槽であって、
はんだ槽の外周面のうち液面レベルの近傍よりも少なくとも下側全域、およびはんだ槽の底面全域を、ステンレスからなる熱伝導板、発熱する抵抗体を埋没させたセラミックボードの順番にそれぞれ覆う複層構造からなるはんだ槽。
【請求項2】
請求項1記載のはんだ槽を用い、
抵抗体より発熱した熱が熱伝導板を介してはんだ槽に伝わるように、はんだ槽の外周面のうち液面レベルの近傍よりも少なくとも下側全域、およびはんだ槽の底面全域を加熱するはんだ槽の加熱方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−61506(P2009−61506A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299750(P2008−299750)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【分割の表示】特願2003−171719(P2003−171719)の分割
【原出願日】平成15年6月17日(2003.6.17)
【出願人】(598172158)千住システムテクノロジー株式会社 (7)
【Fターム(参考)】