説明

アイドリングストップ装置

【課題】赤信号により交差点の手前でエンジンを停止させた後のエンジンの始動遅れを低減できるようにする。
【解決手段】自車のエンジンを停止させた状態で、走行先の交差点へ他の進入路より進入する車両用に設置された信号機の各ランプを含む画像を外部カメラ21で撮影し、この外部カメラ21により撮影された画像に画像認識処理を施して信号機が赤信号に変化するか否かを判定し(S250)、信号機が赤信号に変化すると判定した場合、自車のエンジンを始動させる(S350)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一時停車時に自車のエンジンを自動で停止させるアイドリングストップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、ミリ波レーダを用いて自車両の前方の先行車のさらに前方の先々行車の動きを検出するように構成し、ミリ波レーダによって検出された先々行車の動きに応じて自車のエンジンを停止させアイドルストップ状態に制御し、また、ミリ波レーダによって検出された先々行車の動きに応じて自車のエンジンを始動してアイドルスタート状態に制御するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3793091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に記載された装置は、先々行車の動きに応じて自車のエンジンの停止、始動を行うようになっているため、渋滞で停車と発進を頻繁に繰り返すような状況では自車のエンジンの始動遅れを低減することができ効果的であるが、自車の前方に車両が存在しないような場合にはエンジンの停止、始動は行われない。例えば、赤信号により交差点の手前の先頭位置で自車のエンジンを停止させた場合、自車の前方に車両が存在しないため、信号機が青信号になってもエンジンは始動されない。
【0004】
したがって、運転者によるエンジンの始動操作が必要となり、エンジンの始動遅れが比較的頻繁に発生するといった問題がある。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みたもので、赤信号により交差点の手前でエンジンを停止させた後のエンジンの始動遅れを低減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、一時停車時に自車のエンジンを自動で停止させるアイドリングストップ装置であって、自車のエンジンを停止させた状態で、走行先の交差点へ他の進入路より進入する車両用に設置された信号機が赤信号に変化するか否かを判定する信号変化判定手段と、信号変化判定手段により信号機が赤信号に変化することが判定された場合、自車のエンジンを始動させる始動制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
このような構成では、自車のエンジンを停止させた状態で、走行先の交差点へ他の進入路より進入する車両用に設置された信号機が赤信号に変化すると判定された場合、自車のエンジンが始動するので、赤信号により交差点の手前でエンジンを停止させた後のエンジンの始動遅れを低減することができる。
【0008】
信号変化判定手段としては、請求項2に記載の発明のように、信号機の各ランプを含む画像を撮影する撮影手段により撮影された画像に画像認識処理を施して信号機の変化を検出し、この信号機の変化に基づいて信号機が赤信号に変化するか否かを判定することができ、また、請求項3に記載の発明のように、信号機より各ランプの点灯状態を示す信号情報を受信する受信装置を介して受信した信号情報に基づいて信号機が赤信号に変化するか否かを判定することもできる。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、撮影手段は、自車の前方を含む画像を撮影し、画像認識処理手段は、撮影手段により撮影された画像に画像認識処理を施して自車の前方に先行車両が存在する場合に該先行車両のブレーキランプの点灯から消灯への変化を検出し、画像認識処理手段により検出された先行車両のブレーキランプの点灯から消灯への変化に基づいて先行車両のブレーキランプが点灯から消灯に変化したか否かを判定するブレーキ状態判定手段を備え、始動制御手段は、信号変化判定手段により信号機が赤信号に変化すると判定されない場合であっても、ブレーキ状態判定手段により先行車両のブレーキランプが点灯から消灯に変化したと判定された場合、自車のエンジンを始動させることを特徴としている。
【0010】
このように、信号機が赤信号に変化すると判定されない場合であっても、先行車両のブレーキランプが点灯から消灯に変化したと判定された場合には、自車のエンジンを始動させることができる。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、始動制御手段による自車のエンジンの始動前に、自車のエンジンを始動させることを乗員に報知する第1の報知手段を備えたことを特徴としている。
【0012】
このような構成では、自車のエンジンの始動前に、自車のエンジンを始動させることが報知されるので、乗員は自車のエンジンが始動することを事前に認識することができる。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、画像認識処理手段により信号機の各ランプが検出されたか否かを判定する信号機認識判定手段と、信号機認識判定手段により信号機の各ランプが検出されたと判定された場合、自車のエンジンを停止させる停止制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0014】
撮影手段により撮影された画像を画像認識して信号機の各ランプを認識していないにもかかわらず、自車のエンジンを停止させてしまうと、後で、その信号機が赤信号に変化することを判定して自車のエンジンを自動で始動させることができなくなってしまうことになるが、撮影手段により撮影された画像を画像認識して信号機の各ランプを認識したと判定された場合に、自車のエンジンを停止させるようになっているので、後で、その信号機が赤信号に変化するか否かを判定して自車のエンジンを自動で始動させることができ、自車のエンジンを自動で始動させることができなくなるようなことをなくすことが可能である。
【0015】
また、請求項7に記載の発明は、自車が停車中で、かつ、画像認識処理手段により自車の前方に先行車両が検出されたか否かを判定する先行車両判定手段を備え、停止制御手段は、信号機認識判定手段により信号機の各ランプが検出されないと判定された場合であっても、自車が停車中で、かつ、先行車両判定手段により自車の前方に先行車両が検出されたと判定された場合、自車のエンジンを停止させることを特徴としている。
【0016】
このように、信号機の各ランプが検出されないと判定された場合であっても、自車が停車中で、かつ、自車の前方に先行車両が検出されたと判定された場合、自車のエンジンを停止させることができる。
【0017】
また、請求項8に記載の発明は、停止制御手段が自車のエンジンを停止させる前に、自車のエンジンを停止させることを乗員に報知する第2の報知手段を備えたことを特徴としている。
【0018】
このような構成では、自車のエンジンの停止前に、自車のエンジンを停止させることが報知されるので、乗員は自車のエンジンが停止することを事前に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の一実施形態に係るアイドリングストップ装置の全体構成を図1に示す。本アイドリングストップ装置1は、ナビゲーション装置10、周辺監視装置20およびエンジンECU30によって構成されている。
【0020】
ナビゲーション装置10は、位置検出器11、表示装置12、操作スイッチ13、VICS装置14、音声入出力装置15、地図データ取得部16、車両通信部17およびナビゲーションECU18を備えている。
【0021】
位置検出器11は、いずれも周知のGPS受信機11a、ジャイロスコープ11b、距離センサ11c、加速度センサ11d等を備え、これらセンサの各々の性質に基づいた、自車の現在位置、向き、車速、加速度を特定するための情報をナビゲーションECU18に出力する。
【0022】
表示装置12は、液晶等のディスプレイを有し、ナビゲーションECU18から入力される映像信号に応じた映像をディスプレイに表示させる。
【0023】
操作スイッチ13は、表示装置12のディスプレイの前面に重ねて設けられたタッチスイッチ、表示装置12のディスプレイの周囲等に設けられたメカニカルスイッチ等を有し、ユーザのスイッチ操作に応じた信号をナビゲーションECU18へ出力する。
【0024】
VICS装置14は、路側に設置された路側機等から道路交通情報(渋滞の有無、信号機の状態等)を受信するための装置である。
【0025】
音声入出力装置15は、ナビゲーションECU18から入力される音声信号に応じた音声を出力するスピーカおよび音声を集音してナビゲーションECU18へ音声信号を入力するマイク(いずれも図示せず)から成る。
【0026】
地図データ取得部16は、地図データを記憶したメモリカード、DVD、CD、HDD等の記憶媒体から地図データを取得する装置から成る。
【0027】
地図データは、道路データおよび背景データを有している。道路データは、リンクの位置情報、種別情報、ノードの位置情報、種別情報、ノードとリンクとの接続関係を表す情報等を含んでいる。背景データは、川、湖、海、鉄道、施設などの位置、形状、名称を表す情報等を含んでいる。また、地図データには、信号機、建物、歩道橋などのランドマークやレストラン、駐車場、観光情報などのサービス情報をデータベース化したものも含まれている。
【0028】
車両通信部17は、車内LAN2を介して接続されたエンジンECU30、ボデーECU等と通信を行うための装置である。
【0029】
ナビゲーションECU18は、CPU、メモリ、I/O等を備えたコンピュータとして構成されており、CPUはメモリに記憶されたプログラムに従って各種処理を実施する。
【0030】
なお、ナビゲーションECU18は、イグニッションスイッチがACC状態になると低消費電力モードとなりスリープ状態で動作し、イグニッションスイッチがオン状態になると通常モードとなり通常状態で動作する。
【0031】
ナビゲーションECU18の処理としては、位置検出器11から入力される情報に基づいて自車位置とともに自車の向き、車速、加速度を特定する自車位置特定処理、自車位置周辺の地図上に自車位置メークを重ねた画像を表示装置12のディスプレイに表示させる地図表示処理、自車位置から目的地に至る案内経路を探索する経路探索処理、案内経路に従って経路案内を行う経路案内処理、VICS装置14を介して受信される道路交通情報に基づいて渋滞状況等の案内を行う道路交通情報案内処理等がある。
【0032】
周辺監視装置20は、外部カメラ21および周辺監視ECU22によって構成されている。
【0033】
外部カメラ21は、自車の前方を撮影する前方カメラと、自車の左側前方を撮影する左前方カメラと、自車の右側前方を撮影する右前方カメラ(いずれも図示せず)により構成されている。左前方カメラおよび右前方カメラは、赤信号により自車が交差点の手前で停車したときにその交差点へ他の進入路より進入する車両用に設置された信号機を撮影するために設けられている。
【0034】
図2に、赤信号により交差点の手前の先頭位置で自車が停車した場合の各カメラの撮影範囲を示す。左前方カメラの撮影範囲には、自車から見て交差点の右側の進入路より進入する車両用に設置された信号機S1の各ランプ(青信号、黄信号、赤信号)が含まれるようになっている。また、右前方カメラの撮影範囲には、自車から見て交差点の左側の進入路より進入する車両用に設置された信号機S2の各ランプ(青信号、黄信号、赤信号)が含まれるようになっている。
【0035】
図3に、自車の前方に先行車両C1が存在する場合の各カメラの撮影範囲を示す。このように、自車の前方に先行車両C1が存在する場合には、前方カメラの撮影範囲に前方車両C1が含まれるようになっている。また、左前方カメラの撮影範囲には、信号機S1の各ランプ(青信号、黄信号、赤信号)が含まれ、右前方カメラの撮影範囲には、信号機S2の各ランプ(青信号、黄信号、赤信号)が含まれるようになっている。
【0036】
周辺監視ECU22は、CPU、メモリ、I/O等を備えたコンピュータとして構成されており、CPUはメモリに記憶されたプログラムに従って各種処理を行う。
【0037】
周辺監視ECU22は、外部カメラ21により撮影された画像に画像認識処理を施して信号機の変化の検出や、先行車両のブレーキランプの状態の変化の検出等を行い自車周辺の状況を監視する。
【0038】
エンジンECU30は、自車のエンジンの始動および停止を制御するもので、イグニッションスイッチがオン状態になっており、ブレーキが踏み込まれた状態でエンジンの始動を指示するスタートボタン(図示せず)よりエンジン始動を指示する信号が入力されると、セルモータを回転させてエンジンを始動させ、イグニッションスイッチがACC状態またはオフ状態になると自車のエンジンを停止させる。また、エンジンECU30は、ナビゲーションECU18からのエンジンの始動および停止を指示する通知を受信した場合にも、これらの通知に応じて自車のエンジンの始動および停止を制御する。
【0039】
なお、周辺監視ECU22およびエンジンECU30は、イグニッションスイッチの状態と関係なく、車両のバッテリから常時供給される常時電源(+B)により動作する。
【0040】
次に、エンジンストップ時の処理について説明する。図4に、自車が走行状態から停車してエンジンを自動停止させてアイドルストップ状態になるまでのナビゲーションECU18、周辺監視ECU22およびエンジンECU30の処理を示す。自車のエンジンが動作状態になると、ナビゲーションECU18および周辺監視ECU22は、図4に示す処理を実施する。
【0041】
まず、ナビゲーションECU18は、位置検出器11から入力される情報に基づいて自車位置および車速を特定するとともに地図データ取得部16より自車位置周辺の地図データを取得して自車が特定の交差点で一定時間(例えば、5秒)以上停止しているか否かを判定する(S100)。具体的には、自車位置が交差点の中心から一定距離(例えば5メートル)の範囲内にあり、かつ、車速が時速0キロメートルになった場合、タイマをスタートさせ、一定時間以上車速が変化しないことを判定すると、自車が交差点で一定時間以上停止していると判定する。
【0042】
自車が特定の交差点で一定時間以上停止した状態が継続すると、ナビゲーションECU18は、「エンジンストップ準備通知」を周辺監視ECU22へ送出する。
【0043】
周辺監視ECU22は、この「エンジンストップ準備通知」を受信すると、信号機認識判定を実施する(S200)。具体的には、外部カメラ21により撮影された画像に画像認識処理を施して、走行先の交差点へ他の進入路より進入する車両用に設置された信号機の各ランプを認識したか否かを判定する。
【0044】
次に、周辺監視ECU22は、先行車両判定を実施する(S202)。具体的には、外部カメラ21により撮影された画像に画像認識処理を施して自車の前方に先行車両が存在するか否かを判定する。
【0045】
周辺監視ECU22は、S200にて走行先の交差点へ他の進入路より進入する車両用に設置された信号機の各ランプを認識したと判定した場合、または、S202にて自車の前方に先行車両が存在すると判定した場合には、エンジンストップを許可する「エンジンストップ許可通知(OK)」をナビゲーションECU18へ送出し、S200にて走行先の交差点へ他の進入路より進入する車両用に設置された信号機の各ランプを認識していないと判定し、かつ、S202にて自車の前方に先行車両が存在しないと判定した場合には、エンジンストップを不許可とする「エンジンストップ許可通知(NG)」をナビゲーションECU18へ送出する。
【0046】
ナビゲーションECU18は、周辺監視ECU22より「エンジンストップ許可通知(OK)」を受信すると、自車のエンジンを停止させることを表示装置12のディスプレイに表示させるとともに音声出力装置15のスピーカから音声出力させて乗員に報知する(S102)。
【0047】
その後、ナビゲーションECU18は、自車のエンジンの停止を指示する「エンジンストップ指示通知」をエンジンECU30へ送出する。
【0048】
そして、エンジンECU30は、この「エンジンストップ指示通知」を受信すると、エンジンを停止させる(S300)。
【0049】
これによりエンジンは停止状態(アイドルストップ状態)になる。なお、このようにエンジンが停止状態になると、常時電源(+B)はオン、ACC電源およびIG電源はオフとなり、ナビゲーションECU18はスリープ状態となる。
【0050】
なお、周辺監視ECU22より「エンジンストップ許可通知(NG)」が送信された場合には、ナビゲーションECU18は、S102における乗員への報知や「エンジンストップ指示通知」の送出を行うことなく、本処理を終了する。したがって、自車のエンジンは動作したままの状態となる。
【0051】
次に、エンジンスタート時の処理について説明する。図5に、自車のエンジンが停止した状態からエンジンを自動始動させてアイドル状態になるまでのナビゲーションECU18、周辺監視ECU22およびエンジンECU30の処理を示す。エンジンが停止した状態(アイドルストップ状態)では、常時電源(+B)はオン、ACC電源およびIG電源はオフとなっており、ナビゲーションECU18はスリープ状態となっている。自車のエンジンが停止状態になると、ナビゲーションECU18および周辺監視ECU22は、図5に示す処理を実施する。
【0052】
まず、周辺監視ECU22は、信号機変化の判定を行う(S250)。具体的には、外部カメラ21により撮影された画像に画像認識処理を施して、走行先の交差点へ他の進入路より進入する車両用に設置された信号機の赤信号への変化を検出し、この信号機の赤信号への変化の有無を判定する。なお、信号機に右折矢印信号が設けられてない場合には、黄信号から赤信号への変化を検出することにより信号機の赤信号への変化の有無を判定し、信号機に右折矢印信号が設けられている場合には、右折矢印信号から赤信号への変化を判定することにより、信号機の赤信号への変化の有無を判定する。
【0053】
次に、先行車ブレーキ状態の判定を行う(S252)。具体的には、外部カメラ21により撮影された画像に画像認識処理を施して自車の前方に先行車両が存在する場合に該先行車両のブレーキランプが点灯から消灯に変化したか否かを判定する。
【0054】
周辺監視ECU22は、S250にて上記信号機の赤信号への変化があると判定した場合、または、S252にて先行車両のブレーキランプが点灯から消灯に変化したと判定した場合、ナビゲーションECU18へ「ナビゲーションECU起動トリガ」を送出する。
【0055】
ナビゲーションECU18は、この「ナビゲーションECU起動トリガ」を受信すると、ナビゲーション装置10の各部およびソフトを起動して通常モードとなり通常状態で動作する(S150)。
【0056】
次に、ナビゲーションECU18は、自車のエンジンを始動させることを表示装置12のディスプレイに表示させるとともに音声出力装置15のスピーカから音声出力させて乗員に報知する(S152)。
【0057】
その後、ナビゲーションECU18は、自車のエンジンの始動を指示する「エンジンスタート指示通知」をエンジンECU30へ送出する。
【0058】
そして、エンジンECU30は、この「エンジンスタート指示通知」を受信すると、エンジンを始動させる(S350)。
【0059】
これによりエンジンは動作状態(アイドル状態)になる。なお、このようにエンジンが動作状態になると、常時電源(+B)、ACC電源およびIG電源は全てオンになる。
【0060】
また、周辺監視ECU22は、S250にて上記信号機の赤信号への変化がないと判定し、かつ、S252にて先行車両のブレーキランプが点灯から消灯に変化していないと判定した場合、ナビゲーションECU18への「ナビゲーションECU起動トリガ」の送出は行わない。したがって、自車のエンジンは停止したままの状態となる。
【0061】
上記した構成によれば、自車のエンジンを停止させた状態で、走行先の交差点へ他の進入路より進入する車両用に設置された信号機が赤信号に変化すると判定された場合、自車のエンジンが始動する。
ので、赤信号により交差点の手前でエンジンを停止させた後のエンジンの始動遅れを低減することができる。したがって、自車の進入路より進入する車両用に設置された信号機が青信号に変化する前に自車のエンジンを始動することができ、赤信号により交差点の手前でエンジンを停止させた後のエンジンの始動遅れを低減することができる。
【0062】
また、信号機が赤信号に変化すると判定されない場合であっても、先行車両のブレーキランプが点灯から消灯に変化したと判定された場合には、自車のエンジンを始動させることができる。
【0063】
また、自車のエンジンの始動前に、自車のエンジンを始動させることが報知されるので、乗員は自車のエンジンが始動することを事前に認識することができる。
【0064】
また、外部カメラにより撮影された画像を画像認識して信号機の各ランプを認識していないにもかかわらず、自車のエンジンを停止させてしまうと、後で、その信号機が赤信号に変化することを判定して自車のエンジンを自動で始動させることができなくなってしまうことになるが、外部カメラにより撮影された画像を画像認識して信号機の各ランプを認識したと判定された場合に、自車のエンジンを停止させるようになっているので、後で、その信号機が赤信号に変化するか否かを判定して自車のエンジンを自動で始動させることができ、自車のエンジンを自動で始動させることができなくなるようなことをなくすことが可能である。
【0065】
また、信号機の各ランプが認識されないと判定された場合であっても、自車が停車中で、かつ、自車の前方に先行車両が存在すると判定された場合、自車のエンジンを停止させることができる。
【0066】
また、自車のエンジンの停止前に、自車のエンジンを停止させることが報知されるので、乗員は自車のエンジンが停止することを事前に認識することができる。
【0067】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0068】
上記実施形態では、S200において、外部カメラ21により走行先の交差点へ他の進入路より進入する車両用に設置された信号機を撮影し、この撮影画像に画像認識処理を施して信号機が赤信号に変化するか否かを判定する例を示したが、例えば、交差点に設置された各信号機から各ランプの点灯状態を示す信号情報を送信させ、VICS装置14等の受信装置を用いてこの信号情報を受信し、この信号情報に基づいて走行先の交差点へ他の進入路より進入する車両用に設置された信号機が赤信号に変化するか否かを判定するようにしてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、前方カメラ、左前方カメラおよび右前方カメラにより、先行車両と、走行先の交差点へ他の進入路より進入する車両用に設置された各信号機を撮影する例を示したが、例えば、1つのカメラにより、先行車両と、走行先の交差点へ他の進入路より進入する車両用に設置された各信号機を撮影するように構成してもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、外部カメラ20(前方カメラ、左前方カメラおよび右前方カメラ)の撮影方向を固定して車両周辺の画像を撮影する例を示したが、カメラの撮影方向を変化させて車両周辺の画像を撮影するようにしてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、ナビゲーション装置10、周辺監視装置20およびエンジンECU30によりアイドリングストップ装置1を構成した例を示したが、例えば、ナビゲーション装置10と周辺監視装置20を一体で構成するようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、信号機に右折矢印信号が設けられてない場合、黄信号から赤信号への変化を検出することにより信号機の赤信号への変化の有無を判定する例を示したが、このような例に限定されるものではなく、例えば、黄信号の時間は比較的短い点に着目し、青信号から黄信号への変化を検出することにより信号機の赤信号への変化を判定するようにしてもよい。また、信号機に右折矢印信号が設けられている場合、右折矢印信号から赤信号への変化を検出することにより信号機の赤信号への変化の有無を判定する例を示したが、例えば、黄信号から右折矢印信号への変化を検出することにより信号機の赤信号への変化を判定するようにしてもよい。
【0073】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、S250が信号変化判定手段に相当し、S350が始動制御手段に相当し、外部カメラ21が撮影手段に相当し、周辺監視ECU22が画像認識処理手段に相当し、VICS装置14が受信装置に相当し、S252がブレーキ状態判定手段に相当し、S152が第1の報知手段に相当し、S200が信号機認識判定手段に相当し、S300が停止制御手段に相当し、S202が先行車両判定手段に相当し、S102が第2の報知手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の一実施形態に係るアイドリングストップ装置の全体構成を示す図である。
【図2】赤信号により交差点の手前の先頭位置で自車が停車した場合の各カメラの撮影範囲について説明するための図である。
【図3】自車の前方に先行車両が存在する場合の各カメラの撮影範囲について説明するための図である。
【図4】エンジンを自動停止させる場合におけるナビゲーションECU、周辺監視ECUおよびエンジンECUの処理を示す図である。
【図5】エンジンを自動始動させる場合におけるナビゲーションECU、周辺監視ECUおよびエンジンECUの処理を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
1 アイドリングストップ装置
10 ナビゲーション装置
18 ナビゲーションECU
20 周辺監視装置
21 外部カメラ
22 周辺監視ECU
30 エンジンECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一時停車時に自車のエンジンを自動で停止させるアイドリングストップ装置であって、
前記自車のエンジンを停止させた状態で、走行先の交差点へ他の進入路より進入する車両用に設置された信号機が赤信号に変化するか否かを判定する信号変化判定手段と、
前記信号変化判定手段により前記信号機が赤信号に変化することが判定された場合、前記自車のエンジンを始動させる始動制御手段と、を備えたことを特徴とするアイドリングストップ装置。
【請求項2】
前記信号機の各ランプを含む画像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により撮影された前記画像に画像認識処理を施して前記信号機の変化を検出する画像認識処理手段と、を備え、
前記信号変化判定手段は、前記画像認識処理手段により検出された前記信号機の変化に基づいて前記信号機が赤信号に変化するか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載のアイドリングストップ装置。
【請求項3】
前記信号機より各ランプの点灯状態を示す信号情報を受信する受信装置を備え、
前記信号変化判定手段は、前記受信装置を介して受信した前記信号情報に基づいて前記信号機が赤信号に変化するか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載のアイドリングストップ装置。
【請求項4】
前記撮影手段は、前記自車の前方を含む画像を撮影し、
前記画像認識処理手段は、前記撮影手段により撮影された前記画像に画像認識処理を施して前記自車の前方に先行車両が存在する場合に該先行車両のブレーキランプの点灯から消灯への変化を検出し、
前記画像認識処理手段により検出された前記先行車両のブレーキランプの点灯から消灯への変化に基づいて前記先行車両のブレーキランプが点灯から消灯に変化したか否かを判定するブレーキ状態判定手段を備え、
前記始動制御手段は、前記信号変化判定手段により前記信号機が赤信号に変化すると判定されない場合であっても、前記ブレーキ状態判定手段により前記先行車両のブレーキランプが点灯から消灯に変化したと判定された場合、前記自車のエンジンを始動させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のアイドリングストップ装置。
【請求項5】
前記始動制御手段による前記自車のエンジンの始動前に、前記自車のエンジンを始動させることを乗員に報知する第1の報知手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のアイドリングストップ装置。
【請求項6】
前記画像認識処理手段により前記信号機の各ランプが検出されたか否かを判定する信号機認識判定手段と、
前記信号機認識判定手段により前記信号機の各ランプが検出されたと判定された場合、前記自車のエンジンを停止させる停止制御手段と、を備えたことを特徴とする請求項2、4および5のいずれか1つに記載のアイドリングストップ装置。
【請求項7】
前記自車が停車中で、かつ、前記画像認識処理手段により前記自車の前方に先行車両が検出されたか否かを判定する先行車両判定手段を備え、
前記停止制御手段は、前記信号機認識判定手段により前記信号機の各ランプが検出されないと判定された場合であっても、前記自車が停車中で、かつ、前記先行車両判定手段により前記自車の前方に先行車両が検出されたと判定された場合、前記自車のエンジンを停止させることを特徴とする請求項6に記載のアイドリングストップ装置。
【請求項8】
前記停止制御手段が前記自車のエンジンを停止させる前に、前記自車のエンジンを停止させることを乗員に報知する第2の報知手段を備えたことを特徴とする請求項6または7に記載のアイドリングストップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−156202(P2009−156202A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336770(P2007−336770)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】