説明

アクセスコントロール装置

【課題】識別情報の読取り機能を利用して簡単にマスタ識別情報や利用者識別情報の登録を可能とする。
【解決手段】アクセスコントロール装置10は、電気錠を備えた扉に対応して設置され、リーダによるカードの読取り認証により電気錠を解錠又は施錠すると共に、利用者情報、設備設定情報、運用履歴情報及び入退出情報を管理する。マスタカード登録部114は装置に1枚のみ有効なマスタカードの識別情報を読取って登録する。利用者カード登録部116は、マスタカードの読取り認証に基づきカード登録モードを設定し、カード登録モードの設定中の未登録カードの読取りを認識して有効カードとして登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードなどの識別情報を用いた認証により電気錠を解錠又は施錠すると共に入退出情報を管理するアクセスコントロール装置に関し、特に、電気錠を備えた扉に対応して設置可能なスタンドアローン型のアクセスコントロール装置に関する。

【背景技術】
【0002】
従来、オフィスビル等の各種施設において、セキュリティを確保するため、室内への人の出入りを管理する入退室管理システムが利用されている。この入退室管理システムは、一般に、管理室等に配置されるウェブサーバ機能を備えたコントロール装置、各部屋の近傍等に配置される制御盤、各部屋の扉の近傍に配置されるカードリーダ、および、各扉に配置される電気錠等で構成されている。
【0003】
システムの運用に際しては、各部屋に出入りすることが許される利用者の識別情報をアクセスコントロール装置に設定し、この識別情報を制御盤にアップロードする。利用者が各部屋に出入りする際、自己の識別情報を記録したカードをカードリーダに通すと、カードリーダで読み取られた識別情報が制御盤に送信され、この制御盤で識別情報の照合が行われる。識別情報が合致した場合には、電気錠が解錠されて利用者が入退室することができ、識別情報が合致しない場合には、電気錠が施錠状態のまま保持されて利用者の入退室が拒否される。
【0004】
また入退出管理情報の参照や閲覧については、イーサネット(R)などにより接続したクライアントマシンからウェブサーバにアクセスしてできるようにしている。
【0005】
また入退出管理システムにあっては、運用履歴の日付情報や時間帯による解錠施錠管理などのために年月日時分秒の時刻情報を生成する時計機能を備えている。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−298182号公報
【特許文献2】特開2001−020574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の入退出管理システムにあっては、大型のオフィスビルなどを対象とした部屋数の多い規模の大きな施設を対象としており、上位に設置したウェブ機能を備えたアクセスコントロール装置からネットワークを介して各部屋に設置された制御盤及びカードリーダのデータ管理を行っており、部屋数の比較的少ない小規模の施設に設置するにはコストが嵩み、サポートすることができない問題がある。
【0008】
そこで、小規模な施設を対象に簡易的な入出退管理をサポートするため、従来のネットワークによるデータ管理に加え、可搬型メモリデバイスを使用したオフラインでのデータ授受などのデータ管理機能を採用するスタンドアローン型のアクセスコントロール装置が考えられている。
【0009】
可搬型メモリデバイスを使用したオフラインによるデータ管理は、装置運用における各種設定時に設定権限を有するマスタカードや、複数の利用者カードの情報などの運用に必要な情報を可搬型メモリデバイスに格納し、アクセスコントロール装置に接続してカード情報の登録などを行うことになる。
【0010】
このような可搬型メモリデバイスを使用したオフラインによるカード情報の登録は、多数のカード情報を一括してアクセスコントロール装置に登録できることからシステムを立ち上げる際の登録作業として便利ではある。しかしながら、利用者カード枚数が少ない場合や、運用中に利用者カードを追加したり削除したりする場合には、その都度、管理用にパーソナルコンピュータに可搬型メモリデバイスをセットしてカード情報を格納し、アクセスコントロール装置のカバーを外して可搬型メモリデバイスを接続して登録することとなり、カード枚数が少ない場合には手間と時間がかかるという問題がある。
【0011】
本発明は、カードの読取り機能を利用して簡単にマスタカードや利用者カードの登録を可能とするアクセスコントロール装置を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、電気錠を備えた扉に対応して設置され、利用者の識別情報の認証により電気錠を解錠又は施錠すると共に、利用者情報を含む入退出情報を管理するアクセスコントロール装置に於いて、
装置に利用者情報等の登録権限を有するマスタ識別情報の読取りを認識して登録するマスタ識別情報登録部と、
マスタ識別情報の読取り認証に基づき利用者情報登録モードを設定し、利用者情報登録モードの設定中の未登録の識別情報の読取りを認識して有効識別情報として登録する利用者識別情報登録部と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
ここで、マスタ識別情報登録部は、
カバーを外し、スイッチの操作を検出してマスタ識別情報登録モードを設定し、
マスタ識別情報登録モードの設定開始から所定時間以内に読取った識別情報をマスタ識別情報として登録する。
マスタ識別情報登録部は、マスタ識別情報として一つの識別情報のみ登録が可能で、既にマスタ識別情報が登録されている場合は、新しく読取った識別情報に更新して登録する。
【0014】
利用者識別情報登録部は、
識別情報登録モードの設定操作の検出と設定操作から所定時間以内のマスタ識別情報の読取り認識に基づいて識別情報登録モードを設定し、
識別情報登録モードの設定中に読取った識別情報が未登録か否かを判別して報知し、未登録の場合に所定時間以内の登録操作を検出して有効識別情報として登録する。
【0015】
利用者識別情報登録部は、読取った識別情報が登録済みの場合、所定時間以内の削除操作を検出して登録情報を削除する。
【0016】
利用者識別情報登録部は、識別情報登録モードの設定開始から所定時間以内の一括削除操作を検出して全ての利用者識別情報の登録を削除する。

【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、装置にマスタカードを登録した後、モード設定操作とマスタ識別情報の読取り認証に基づいて利用者情報登録モードが設定され、利用者情報登録モードの設定中に、利用者識別情報を読み込むと、未登録の有無が表示灯などで報知され、未登録の場合には登録スイッチにより登録操作を行うと有効識別情報として登録され、マスタ識別情報と利用者識別情報を読込んで登録操作をするだけで、簡単且つ容易に利用者識別情報を登録することができる。
【0018】
また、利用者識別情報を削除したい場合も、マスタ識別情報と利用者識別情報の認証で削除操作を行うと読取った利用者識別情報の登録情報を簡単且つ容易に削除することができる。
【0019】
また、利用者識別情報の削除は例えば削除スイッチを長押しすることにより、全ての利用者識別情報の登録情報を一括して削除することもできる。
【0020】
また利用者識別情報の読取りによる登録と削除は、必ずマスタ識別情報の読取り認証を前提としているため、不正行為による利用者識別情報の登録や削除を確実に防止することができる。

【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明によるアクセスコントロール装置の外観を示した説明図
【図2】本発明によるアクセスコントロール装置の正面、断面及び底面を示した説明図
【図3】図1のカバーを外して本体内部の構造を示した説明図
【図4】本発明によるアクセスコントロール装置の回路構成を示したブロック図
【図5】カード簡易登録を行う本発明によるアクセスコントロール装置の実施形態を示した機能ブロック図
【図6】図5の実施形態における制御処理を示したフローチャート
【図7】図6のステップS12におけるカード簡易登録処理の詳細を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は本発明によるアクセスコントロール装置の外観を示した説明図である。図1において、アクセスコントロール装置10は、電気錠を備えた各部屋の扉に対応して扉近傍の壁面などに設置されている。
【0023】
アクセスコントロール装置10はカバー12の上部に非接触カードリーダ部18を設けており、ここにユーザが保有している非接触カードをかざすことで、カードに格納されている利用者情報が読み取られ、予め登録している利用者情報との比較照合により照合一致が得られたとき電気錠を開錠し、ドアを開いて入室し、ドアを閉じたことを検出した時に電気錠を施錠する。
【0024】
非接触カードリーダ部18の下側にはアクセスコントロールに必要な各種の表示及びスイッチが配置されている。カバー12のパネル面には表示灯として、カード読取状態表示灯20、電気錠開表示灯22、戸締表示灯24、警戒表示灯26、火災表示灯32、警報表示灯34、障害表示灯36及び電源灯40が設けられ、また操作スイッチとして、警戒モード設定スイッチ28、警戒モード解除スイッチ30及び復旧スイッチ38が設けられている。
【0025】
カード読取状態表示灯20はカードを読み取って、有効なカードであれば緑で点灯し、無効なカードであれば赤で点滅する。電気錠開表示灯22は電気錠が解錠されているときに点灯する。戸締表示灯24はアクセスコントロール装置10に接続している人感センサやシャッターセンサにより侵入者を検出したときや戸締まりが完了していないときに、その状態を表示する。警戒表示灯26はアクセスコントロール装置10に接続されている防犯設備(防犯センサ)の警戒状態を表示する。
【0026】
警戒モード設定スイッチ28は防犯センサを警戒モードに移行するときに操作する。
【0027】
警戒モード解除スイッチ30は防犯センサの警戒モードを解除するときに操作する。
【0028】
火災表示灯32は火災受信機から火災代表移報としての火災信号を受けたときに点灯する。
【0029】
警報表示灯34は侵入者、火災、接点情報など各種警報状態が発生した際に点灯する。障害表示灯36は装置自体、システム状態あるいは通信状態などで障害が発生した場合に点灯する。復旧スイッチ38は火災、警戒、障害など警報状態が発生した場合の警報停止、警報状態ラッチの解除を行うために操作する。
【0030】
また本実施形態にあっては、例えば警戒モード設定スイッチ28と警戒モード解除スイッチ30を利用してカード簡易登録モードの設定、カード簡易登録モードの設定中における利用者カードの登録と削除を行うようにしている。
【0031】
図2は図1に示したアクセスコントロール装置10の正面、断面及び底面を示した説明図である。即ち図2(A)が正面、図2(B)が断面、図2(C)が底面を示している。
【0032】
図2において、本実施形態のアクセスコントロール装置10は、本体14と、本体14の表側に着脱自在に設けられたカバー12で構成されている。本体14の底部にはシリンダー錠16が設けられ、鍵を使用してシリンダー錠16を開錠することで、カバー12を本体14から外すことができる。
【0033】
図3は図1のカバーを外して本体内部の構造を示した説明図である。図3において、アクセスコントロール装置10の本体14の内部には回路基板42が配置されており、回路基板42の下側に操作スイッチとして、USBメモリ取外スイッチ50、履歴データ書出スイッチ52、設備データ読込スイッチ54及び日付設定スイッチ56を設けている。
【0034】
本実施形態にあっては、内部スイッチとして例えば設備データ読込スイッチ54を利用してマスタカード登録モードを設定するようにしている。
【0035】
また回路基板42には、ブザー48、カバー12の開放を検出するタンパースイッチ46を設けている。回路基板42上の右側にはUSBコネクタ60が配置され、ここにデータ管理をオフラインで行うため可搬型メモリデバイスである例えばUSBメモリを本体14の右側面から接続して、入退室履歴情報、利用者情報、設備管理情報などの読出し及び書込みを行うことになる。
【0036】
回路基板42の左側には破線で示すように、必要に応じてLANコネクタを接続することができ、必要に応じて本発明のアクセスコントロール装置10をネットワークを介して上位装置に接続することができる。
【0037】
USBコネクタ60の下側にはメモリカードとして知られたCFカード(コンパクトフラッシュ(R)カード)64が配置され、アクセスコントロール装置10の動作に必要なOSイメージ、および必要な各種のデータを事前に格納した上で、図示のように本体14の回路基板42にセットすることで、アクセスコントロール装置の制御処理が行えるようにしている。
【0038】
図2及び図3に示したアクセスコントロール装置10の構造から明らかなように、USBメモリを挿入接続するUSBコネクタ60は、カバー12により閉鎖された本体14内の回路基板42上に設けられており、USBコネクタ60にUSBメモリを接続するためにはシリンダー錠16を開錠してカバー12を外さなければならず、このようなシリンダー錠16による施錠により鍵を持たない関係者以外の人が不正にUSBメモリを使用して、アクセスコントロール装置10のデータ取得、閲覧、改竄、更には時刻設定などができないようにしている。
【0039】
また、USBコネクタ60を本体14の右側面付近に設け、USBメモリを本体14の右側面から接続する構成にしたことで、USBメモリを差し込んだとき、USBメモリが本体14の右側面より外側にはみ出すように接続される。これによりUSBメモリを取り外さないとカバー12を本体14に閉めることができず、USBメモリの取り忘れを防止している。
【0040】
図4は本発明によるアクセスコントロール装置の回路構成を示したブロック図である。図4において、アクセスコントロール装置10にはCPU70が設けられ、CPU70に対しては時計回路部として機能するリアルタイムクロック回路部(RTC回路部)72が設けられる。
【0041】
リアルタイムクロック回路部72はカレンダークロックとも呼ばれており、年月日時分秒の時刻データを生成し、時刻情報を付加した履歴情報の記憶や設定した時間帯に対応した電気錠108の解錠施錠制御ができるようにしている。
【0042】
また、リアルタイムクロック回路部72に対しては釦型電池やスーパーキャパシタなどの専用電源74がバックアップ電源として設けられており、アクセスコントロール装置10の電源が落ちても時計機能は継続して動作できるようにしている。
【0043】
またCPU70に対しては、RS485インタフェース80を介して外付けカードリーダ82を取り付けることができる。またCPU70に対しては内蔵カードリーダモジュール84が設けられており、非接触カードをかざすことで、内部カードリーダモジュール84により、利用者の保有するカードの利用者情報を取得して電気錠108の開錠や施錠などを制御できる。
【0044】
USBインタフェース86は、USBコネクタ60に対するUSBメモリ11の接続に対し、後の説明で明らかにするUSBメモリ11の認証処理に基づいて入退室情報のデータ処理を可能とする。
【0045】
CPU70の外部バスインタフェース71に対しては、揮発メモリとして使用されるSDRAM76、一時バックアップメモリとして使用されるSRAM78、CFカードインタフェース88、LANコントローラ90、更に状態表示や電気錠の施解錠などを行う制御回路部94が設けられている。
【0046】
ここでSRAM78に対してはリアルタイムクロック回路部72と同じく専用電源74からバックアップ電源の供給を受けている。
【0047】
CFカードインタフェース88は、図3に示したように、CFカード64の接続に対する入出力インタフェースを実行する。LANコントローラ90は必要に応じてネットワーク92に接続し、例えば上位のウェブサーバによるアクセスコントロール装置10で管理しているデータの取得や閲覧などを可能とする。
【0048】
制御回路部94に対しては操作部96が設けられ、ここにはUSBメモリ取出スイッチ50、履歴データ書出しスイッチ52、設備データ読込スイッチ54、日時設定スイッチ56が設けられている。また制御回路部94に対しては、表示灯98、ブザー100、タンパースイッチ46が設けられている。
【0049】
更に制御回路部94に対しては電気錠駆動回路106が設けられ、近傍に設置されたドアの電気錠108の施錠と解錠を制御する。更にまた、制御回路部94に対し接点信号入出力回路部110が設けられ、接点信号の入出力により外部機器112に対する移報出力や外部機器112からの移報入力が行われる。外部機器112としては例えば火災報知設備による火災検出接点信号、防犯監視システムによる侵入者検出接点信号の入力などが行われる。
【0050】
図5はカード簡易登録を行う本発明によるアクセスコントロール装置の実施形態を示した機能ブロック図である。
【0051】
図5において、アクセスコントロール装置10に設けたCPU70は、プログラムの実行により実現される機能として、マスタカード登録部114、利用者カード登録部116及び入退室制御処理部118を備えている。
【0052】
またCPU70に対しては、図4に示したSRAM78などのメモリ領域及びCFカード64を使用して利用者情報ファイル120が設けられ、マスタカード情報122、利用者カード情報124、更にUSBメモリ11の認証に使用する管理用シリアルID126などが格納されている。
【0053】
また図4に示したように、内部スイッチとして設けている設備データ読込スイッチ54がマスタカード登録モードの設定スイッチとして利用され、更に図1のカバーに設けている警戒モード設定スイッチ28と警戒モード解除スイッチ30が、カード登録モードの設定における登録と削除のためのスイッチとして利用される。
【0054】
一方、アクセスコントロール装置10に対しては、USBメモリ11を使用して入退室管理に必要な各種の情報をやり取りすることができる。USBメモリ11にはメモリ固有のシリアルID128が設けられており、更に暗号化ファイル130にアクセスコントロール装置10側に転送する認証用の暗号化シリアルID132と例えば利用者情報134を格納している。
【0055】
USBメモリ11を使用して例えば利用者カードを認証するための利用者情報134をアクセスコントロール装置10に設定する場合には、管理用のパーソナルコンピュータを使用して利用者情報を暗号化した暗号化ファイル130に書き込み、アクセスコントロール装置10にUSBメモリ11を接続した状態で、CPU70によるUSBメモリ11の認証成功に基づき暗号化ファイル130の利用者情報134を復号して利用者情報ファイル20に格納するようになる。
【0056】
アクセスコントロール装置10におけるUSBメモリ11の認証は、シリアルID128を読み込んで暗号化ファイルの暗号化シリアルID132を復号したシリアルIDと照合して一致し、更に利用者情報ファイル120に格納している管理用シリアルID126にUSBメモリ11のシリアルID128が一致したときに、照合成功としてUSBメモリ11との間のアクセスを許可する。
【0057】
ここでCPU70に設けた各部の機能を説明すると次のようになる。まずマスタカード登録部114は、アクセスコントロール装置10の電源を投入して使用を開始する際に、アクセスコントロール装置10に1枚のみ有効なマスタカードを読み取って、利用者情報ファイル120にマスタカード情報122を登録する。特許請求の範囲のマスタ識別情報登録部に相当する。
【0058】
このマスタカード登録部114による登録処理は、アクセスコントロール装置10のカバーを開いて、本体に設けた内部スイッチとしての設備データ読込スイッチ54を例えば3秒間長押しすると、マスタカード登録モードに入り、マスタカード登録モードに入ってから所定時間内に、図1に示す非接触カードリーダ部18に登録しようとするマスタカードをかざすと、マスタカードの識別情報の読取りが行われ、マスタカードから読み取ったマスタカード情報122を利用者情報ファイル120に登録する。
【0059】
利用者カード登録部116は、特許請求の範囲の利用者識別情報登録部に相当するもので、例えばアクセスコントロール装置10のカバー12に設けている警戒モード設定スイッチ28と警戒モード解除スイッチ30の同時操作した後に、登録の済んだマスタカードを非接触カードリーダ部18にかざすとマスタカードの読取り認証が行われ、カード簡易登録(利用者情報登録モード)モードになり、利用者カードの登録もしくは削除待ち状態となる。なおマスタカードを読み取った際には、カード読取状態表示灯20が点灯する。
【0060】
カード簡易登録モードで利用者カードの登録設定待ち状態になったならば、所定時間内に登録しようとする利用者のカードを非接触カードリーダ部18にかざすと、利用者カードの読取りが行われる。この読取りの際にブザー48が鳴動する。利用者カードから読み取られた利用者カード情報は、利用者情報ファイル120に既に登録している利用者カード情報124と照合され、未登録か否か判別される。
【0061】
未登録であった場合にはカード読取状態表示灯20が緑色に点滅し、所定時間内に登録スイッチとして機能する警戒モード設定スイッチ28を操作するとブザーが鳴動し、利用者情報ファイル120に読み取った利用者カード情報が有効カードとして登録される。
【0062】
この初期登録される利用者カード情報は、組織情報、発行回数、レベル情報などはすべてデフォルトの情報とし、名前情報はアクセスコントロール装置10における現在日時の時刻情報により登録される。
【0063】
また利用者カードの登録は、利用者カードを非接触カードリーダ部18にかざすごとにモード設定時間を設定しているタイマがリスタートされるため、連続して複数枚の利用者カードの登録を行うことができる。
【0064】
一方、利用者カードの読取りに対し、既に登録済みであることが判別された場合には、カード読取状態表示灯20が赤色で所定時間点滅し、その間に削除スイッチとして機能する警戒モード設定スイッチ28を操作するとブザーが鳴動し、該当する利用者カード情報が削除される。
【0065】
カード読取り後に登録スイッチとしての警戒モード設定スイッチ28あるいは削除スイッチとしての警戒モード解除スイッチ30を押さずに所定時間が経過すると、元のカード簡易登録モードの待ち状態に戻り、カード読取状態表示灯20が橙色に点灯し、次の利用者カードの読取りを待つ。
【0066】
このような利用者カードの登録は、マスタカードについても同様にして利用者カードとしての有効カードとして登録することができる。
【0067】
更に利用者カード登録部116にあっては、カード簡易登録モードの設定中に削除スイッチとして機能する警戒モード解除スイッチ30を所定時間以上長押しするとブザーが鳴動し、カード一括削除待機状態となり、このときカード読取状態表示灯20が赤色で所定時間点滅し、その間に削除スイッチとして機能する警戒モード解除スイッチ30を押すとブザーが鳴動し、利用者情報ファイル120に登録している利用者カード情報124がすべて一括削除されることになる。
【0068】
入退室制御処理部118は、登録の済んだ利用者が保有するカードを読み取ることにより得られる利用者カード情報と、利用者情報ファイル120に格納している利用者カード情報124との照合を行い、照合一致が得られると電気錠を開錠し、利用者の入室を可能とし、利用者がドアを開いて入室したときのドアの開検出と、その後の閉検出に基づき、電気錠を再び施錠する。この際に、図示しない運用履歴に利用者の入室時刻を格納し、これに基づき在室利用者の情報が管理できるようにする。
【0069】
図6は図5の実施形態における制御処理を示したフローチャートであり、図5を参照して説明すると次のようになる。
【0070】
図6において、アクセスコントロール装置10の電源を投入すると、ステップS1で初期化及び自己診断処理が実行される。続いてステップS2に進み、マスタカード登録モードの設定スイッチとして定められた例えば装置内に設置された内部スイッチである設備データ読込スイッチ54のスイッチ操作の有無を判別しており、このスイッチ操作を判別するとステップS3に進み、マスタカード登録モードを設定して、カード読取状態表示灯20及び電気錠開表示灯22を点滅する。
【0071】
このようにマスタカード登録モードが設定されてからステップS4で所定時間の経過を判別するまでに、ステップS5で登録しようとするマスタカードを非接触カードリーダ部18にかざすことによりカードに格納された識別情報の読取りが判別されると、ステップS6に進み、利用者情報ファイル120にマスタカード情報122が登録される。なお、マスタカードは一枚のみ登録が可能としており、既にマスタカード情報が登録されている場合は、新しく読み込んだ識別情報をマスタカードとして更新する。
【0072】
続いてステップS7でカード簡易登録モードを設定するスイッチ操作の有無を判別しており、例えば図5に示した警戒モード設定スイッチ28と警戒モード解除スイッチ30の同時操作を判別すると、ステップS8に進み、カード簡易登録モード設定待ち状態となる。
【0073】
この待ち状態で、ステップS9で所定時間を経過する前に非接触カードリーダ部18にステップS2〜S6を通じて既に登録されたマスタカードをかざすと、ステップS10のカード読取りが判別され、ステップS11でマスタカードであることが判別されると、ステップS12に進み、カード簡易登録モードに入ってカード簡易登録処理が実行される。
【0074】
そしてステップS12のカード簡易登録処理が済むか、ステップS9でカード簡易登録モードを設定してから所定時間経過した場合には、ステップS13で入退室制御処理部118による運用モード処理に入ることになる。
【0075】
図7は図6のステップS12に示したカード簡易登録処理の詳細を示したフローチャートである。
【0076】
図7のカード簡易登録処理にあっては、カード簡易登録モードに入ると、ステップS21でタイマをスタートし、ステップS22でカード読取状態表示灯20のLEDを橙色に点灯する。続いてステップS23で所定時間経過を判別する前に利用者カードを非接触カードリーダ部18にかざすと、ステップS24でカード読取りが判別され、ステップS24でブザーを鳴動した後、更にステップS26でタイマをリスタートし、ステップS24で読み取った利用者カード情報と利用者情報ファイル120に格納している利用者カード情報124を照合し、未登録か否か判別する。
【0077】
ステップS27で利用者カード情報が未登録であることが判別された場合は、ステップS28に進み、カード読取状態表示灯20のLEDを緑色で点滅し、ステップS29で所定時間を経過する前にステップS30で登録スイッチとしての警戒モード設定スイッチ28の操作を判別すると、ステップS31に進み、ブザーを鳴動し、そのとき取得している利用者カード情報を利用者情報ファイル120に有効カードとして登録する。
【0078】
一方、ステップS27でカードが登録済みであった場合には、ステップS32に進み、カード読取状態表示灯20のLEDを赤色で点滅し、ステップS33で所定時間の経過を判別する前にステップS34で削除スイッチとしての警戒モード解除スイッチ30のスイッチ操作を判別すると、ステップS35に進み、ブザーを鳴動して、該当する利用者カード情報を利用者情報ファイル120から削除する。
【0079】
このようなカード簡易登録処理によれば、登録したい利用者カードまたは削除したい利用者カードを、スイッチ操作とマスタカードをかざすことによるカード簡易登録モードの設定状態で、利用者カードを非接触カードリーダ部18にかざして登録スイッチもしくは削除スイッチを押すことで、簡単に利用者カードの有効カードとしての登録、あるいは既に登録済の利用者カードの削除を行うことができる。
【0080】
なお、上記の実施形態にあっては、マスタカード登録モードを設定する内部スイッチとして設備データ読込スイッチ54を利用しているが、他の内部スイッチであってもよい。カード簡易登録モードの設定を警戒モード設定スイッチ28と警戒モード解除スイッチ30の同時操作により行っているが、これに限らず、他のスイッチでもよいし、あるスイッチを操作しながらマスタカードの読み取りによりモード設定するようにしても良い。
【0081】
同様にカード簡易登録モードの設定及びその設定状態における登録と削除のスイッチとして、カバーに設けている警戒モード設定スイッチ28と警戒モード解除スイッチ30を利用しているが、他のスイッチを利用してもよいことはもちろんである。利用者カードの登録作業効率を向上させるため、装置外部に露出したスイッチを利用して登録や削除ができる方が好ましい。
【0082】
また、各利用者の識別情報としては、カードに格納された識別情報に限らず、携帯電話などに格納したり、人体の特定部位によって利用者が識別できるものを利用してもよい。
【0083】
また本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。

【符号の説明】
【0084】
10:アクセスコントロール装置
11:USBメモリ
12:カバー
14:本体
16:シリンダー錠
18:非接触カードリーダ部
50:USBメモリ取出スイッチ
60:USBコネクタ
70:CPU
72:RTCクロック回路部
74:専用電源
78:SRAM
94:制御回路部
106:電気錠駆動回路
108:電気錠
114:マスタカード登録部
116:利用者カード登録部
118:入退出制御部
120:利用者情報ファイル
122:マスタカード情報
124:利用者カード情報
126:管理用シリアルID
128:シリアルID

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気錠を備えた扉に対応して設置され、利用者の識別情報の認証により前記電気錠を解錠又は施錠すると共に、利用者情報を含む入退出情報を管理するアクセスコントロール装置に於いて、
装置に利用者情報等の登録権限を有するマスタ識別情報の読取りを認識して登録するマスタ識別情報登録部と、
前記マスタ識別情報の読取り認証に基づき利用者情報登録モードを設定し、前記利用者情報登録モードの設定中に未登録の識別情報の読取りを認識して有効識別情報として登録する利用者識別情報登録部と、
を備えたことを特徴とするアクセスコントロール装置。

【請求項2】
請求項1記載のアクセスコントロール装置に於いて、
前記マスタ識別情報登録部は、
カバーを外し、スイッチの操作を検出してマスタ識別情報登録モードを設定し、
前記マスタ識別情報登録モードの設定開始から所定時間以内に読取った識別情報をマスタ識別情報として登録する、
ことを特徴とするアクセスコントロール装置。

【請求項3】
請求項1記載のアクセスコントロール装置に於いて、
前記マスタ識別情報登録部は、マスタ識別情報として一つの識別情報のみ登録が可能であり、既にマスタ識別情報が登録されている場合は、新しく読取った識別情報に更新して登録することを特徴とするアクセスコントロール装置。
【請求項4】
請求項1記載のアクセスコントロール装置に於いて、
前記利用者識別情報登録部は、
識別情報登録モードの設定操作の検出と前記設定操作から所定時間以内の前記マスタ識別情報の読取り認識に基づいて識別情報登録モードを設定し、
前記識別情報登録モードの設定中に読取った識別情報が未登録か否かを判別して報知し、未登録の場合に所定時間以内の登録操作を検出して有効識別情報として登録することを特徴とするアクセスコントロール装置。

【請求項5】
請求項1記載のアクセスコントロール装置に於いて、前記利用者識別情報登録部は、読取った識別情報が登録済みの場合、所定時間以内の削除操作を検出して登録情報を削除することを特徴とするアクセスコントロール装置。

【請求項6】
請求項1記載のアクセスコントロール装置に於いて、前記利用者識別情報登録部は、前記識別情報登録モードの設定開始から所定時間以内の一括削除操作を検出して全ての利用者識別情報の登録を削除することを特徴とするアクセスコントロール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−160730(P2010−160730A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3411(P2009−3411)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】