説明

アクセス管理装置を備えたマシン・ツール

【課題】本発明の目的はマシン・ツールへのアクセス管理の改善を可能にするマシン・ツールを提供することである。
【解決手段】本発明は複数の操作機能、およびユーザーによって一つ以上の操作機能を選択するための選択装置113a−113dを備えたマシン・ツール101に関する。マシン・ツール101は受信装置112を介して携帯用データ・キャリア311からデータを受信し、それに基づき、どの操作機能がユーザーによって実行されてよいかが判定される。この過程において、アクセス管理装置130は、ユーザーが実行するのを許可されている、選択された操作機能のみにアクセスするのをユーザーに対して許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマシン・ツールへのアクセスを管理するよう設定されたアクセス管理装置を備えたマシン・ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
一つ以上のキースイッチを用いてマシン・ツールへのアクセスを管理することが従来技術により知られている。ヨーロッパのガイドラインおよび標準に沿ったマシン・ツールの各操作モードは、それらのキースイッチを介して選択的に駆動される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術から始めて、本発明の目的はマシン・ツールへのアクセス管理の改善を可能にするマシン・ツールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この目的は独立の請求範囲の主題により達成される。本発明の有利な構成および好適な実施例は従属の請求範囲に記載される。
【0005】
本発明によるマシン・ツールは複数の操作機能、およびユーザーによって一つ以上の操作機能を選択するための選択装置を備えている。さらに、本発明によるマシン・ツールは、携帯用データ・キャリアからのデータを受信する受信装置と、前記受信データに基づいて、どの操作機能が前記ユーザーによって実行されてよいかを判定する判定装置と、前記選択された少なくとも一つの操作機能に関し、前記マシン・ツールへのアクセスを管理するとともに、前記ユーザーが実行するのを許可されている、それらの選択された操作機能のみにアクセスするのを前記ユーザーに対して認めるよう設定されたアクセス管理装置とを備えている。
【0006】
本発明によると、前記マシン・ツールは、アクセス管理に関するデータが携帯用データ・キャリアから提供されるという利点を有している。こうすると、携帯用データ・キャリアに用いられている技術により、データは十分に大きいので、複数の許可レベルが可能になるとともに、そのデータを用いることによって、どのユーザーが、どの操作機能を、どのマシン・ツールによって実行してよいか正確に指定することが可能になる。したがって、携帯用データ・キャリアはアクセス管理の改善の実現に寄与する。
【0007】
前記受信装置は、携帯用データ・キャリアのトランスポンダーに対応するよう設定された読取り装置を備えているのが好ましい。読取り装置はトランスポンダーと同様に、RFID技術(無線周波数識別)を利用していることが好ましい。しかしながら、受信装置は他の技術を利用していてもよい。例えば、受信装置はバーコードに対応したバーコード・リーダーを備えていてもよい。また、受信装置は、チップ・カード、および磁気ストリップ・カードを読み取るようにそれぞれ設定されたチップ・カード読取り装置および磁気ストリップ・カード読取り装置を備えることも可能である。そのようなチップ・カードは、例えば、メモリー・カードまたはマイクロプロセッサ・カード形式のものでもよい。USBメモリー・ステイックに対応したUSBポートによって実現することも可能である。
【0008】
有利な実施例では、受信装置によって受信されたデータは、ユーザーはどの操作機能をマシン・ツールで実行してよいかを示す許可データを備えている。これには、許可内容をデータから直接取得してもよいという利点がある。
【0009】
しかしながら、受信装置によって受信されたデータによりユーザーを識別し、判定装置はその識別されたユーザーの許可データにつき照会する手段を備えることも可能である。例えば、携帯用データ・キャリアを用いて、単にユーザーの識別データを送信するだけでもよい。
【0010】
そのような携帯用データ・キャリアは、例えば、ひょっとすると製造工場において、作業者の作業時間を入手するのに用いられているかも知れない。そのようなシステムでは、作業者は、工場の建物に入る場合、自身の携帯用データ・キャリアをタイム・レコーダーに似た読取り装置に対して通過させる。携帯用データ・キャリアはユーザーの識別データをマシン・ツールに送信し、マシン・ツールはその識別データに基づき、ユーザーが有している許可内容を判定する。例えば、ユーザーの識別データはローカル・データ・ネットワークを介して、マシン・ツールからサーバーに送信され、サーバーは、ユーザーの識別データと、ユーザーが参加したマシン・ツール研修に関する情報を提供するデータ・ベースとに基づいて、ユーザーがそれぞれのマシン・ツールでどの操作機能を実行してよいかを判定する。
【0011】
好適な実施例では、前記選択された一つ以上の操作機能は、ヨーロッパのガイドラインおよび標準(DIN EN 12417「マシン・ツール − 安全性 − マシニング・センター」、およびDIN EN 13128「マシン・ツール − 安全性 − フライス盤ならびに中ぐり盤」)に従ったマシン・ツールの操作モードに対応している。可能な操作モードとして、例えば、自動モード、設定モード、拡張設定モード、プロセス監視およびサービス・モードがある。しかしながら、本発明はこれらの操作モードに限定されない。ある操作機能は、例えば、マシン・ツールにインストールされているソウフトェアの更新、あるいは、マシン・ツールにインストールされている各種ソフトウェア・コンポーネントの管理を備えていてもよい。
【0012】
マシン・ツールは、一つ以上の操作機能を複数の許可レベルに割り当てる割当て装置を備えていることが好ましい。これは、マシン・ツールの操作機能を、許可レベルに割り当てられたグループ毎にまとめられるという利点がある。許可レベルに割り当てられた操作機能をもとにして、許可レベルを、例えば、操作機能を実行する際の危険度、ユーザーの資格、あるいは、操作機能の他の分類に応じて割り当ててもよい。さらに、操作機能を許可レベルに割り当てる割当て装置は、操作機能を許可レベルに割り当てる割当て装置を操作することによって、割当て変更を可能にする。このように、割当ては変更可能で、要求事項に適応することができる。
【0013】
受信装置からの受信データはユーザーの許可レベルに関する情報を含み、また、ユーザーは特定の許可レベルを有し、その許可レベルに割り当てられた一つ以上の操作機能を実行するのを許可されていることが好ましい。これは、ユーザーの許可レベルと、どの操作機能がこの許可レベルに割り当てられているかを示す情報とに基づいて、どの操作機能をそのユーザーが実行してよいかを判断することができるという利点がある。
【0014】
マシン・ツールの特別な実施例では、許可レベルは階層順に構成されており、特定の許可レベルを有するユーザーは、ユーザーの許可レベル、あるいは、それよりランクの低い許可レベルに割り当てられた操作機能を実行することが許可される。
【0015】
さらに他の実施例では、最高ランクの許可レベルを有するユーザーだけが、操作機能を許可レベルに割り当てる割当て装置を操作することが許可される。
【0016】
好適な実施例では、マシン・ツールはユーザーをログオンするログオン装置を備えており、ログオンされたユーザーだけがマシンの操作機能を実行することが許可される。ここで、ログオンというのは、それぞれのマシンにユーザーを登録するという意味である。まだ登録していないユーザーが所有する携帯用データ・キャリアのデータが受信装置によって受信されると、そのユーザーはマシン・ツールの操作機能を実行することが許可されていないと判定される。
【0017】
これは、携帯用データ・キャリアを幾つかのマシン・ツールで使用してもよいという利点がある。ユーザーが特定の許可レベル、あるいは、特定の許可レベル付の携帯用データ・キャリアを有していても、それぞれのマシンの操作機能をマシン・ツールで実行するのが自動的に許可されることはない。先ず、ユーザーは登録しなければならないのである。この場合でも、最高ランクの許可レベルを有するユーザーだけは、ユーザーを登録するログオン装置を操作することが許可される。
【0018】
ユーザー登録用のログオン装置は変更可能な研修データの入力を可能にし、変更可能な研修データは、登録されるユーザーがどのマシン・ツール研修に参加したかを示し、また、ユーザーは研修データに基づいて、そのマシン・ツールの一つ以上の操作機能を実行するのを許可されることが好ましい。
【0019】
これは、マシン・ツールの特定の操作機能に関する実行許可は、対象になっている操作機能の研修にユーザーが参加していれば、そのユーザーに対して与えられるという利点がある。研修データは変更できるので、ユーザーが研修に参加すれば、ユーザー登録用のログオン装置は、すでに登録済みのユーザーの研修データを変更するのを可能にする。このように、すでに研修に参加したことのあるユーザーについては、新たに登録する必要はない。
【0020】
研修データは決められたアルゴリズムによって暗号化され、ユーザー登録用のログオン装置は研修データを解読する手段を備えていることが好ましい。
【0021】
こうすると、ユーザーの誤使用、あるいは、捏造された研修データの入力が不可能であるという利点がある。これは、研修データが正確に暗号化されていれば、アルゴリズムは解読する際に、有効に解読された研修データに行き着くからである。
【0022】
好適な実施例では、マシン・ツールは、どのユーザーがそのマシン・ツールに登録しているかを示す登録データを記憶するデータ記憶手段を備えている。
【0023】
これは、どのユーザーがマシン・ツールに登録されているかが記憶されるので、有利である。こうすると、繰り返して登録する必要がなくなる。
【0024】
特に有利な実施例では、マシン・ツールは、さらに、データ記憶手段に記憶された登録データを外部記憶手段に送信するとともに、外部記憶手段に記憶された登録データをマシン・ツールのデータ記憶手段に送信する手段を備えている。外部記憶手段がUSBメモリー・ステイックであれば、特別な利点が得られる。この場合、データ記憶手段に記憶されたデータを送信する手段はUSBポートを備えていなければならない。しかしながら、外部記憶手段の他の実施例として、デイスク、磁気ストリップ・カード、チップ・カード、携帯型または非携帯型ハード・ディスク、およびマシン・ツールに接続されたサーバー等も可能である。
【0025】
これは、マシン・ツールの登録データを外部記憶手段に送信し、その後、その外部記憶手段から他のマシン・ツールに送信できるという利点がある。こうすると、登録すべき各ユーザーの携帯用データ・キャリアを必要とすることなく、他のマシン・ツールに複数のユーザーを登録することが可能となる。また、データ・メモリーに記憶された登録データを送信する手段がデータの送受信を無線で行う装置を備え、これにより、外部記憶手段を不要にし、登録データをあるマシン・ツールから他のマシン・ツールに直接送信できるようにすることが可能である。
【0026】
マシン・ツールのデータ記憶手段は、さらに、マシン・ツールがどの操作機能を実行しているか、どのユーザーによって、そのマシン・ツールの操作機能が実行されているか、およびユーザーが操作機能を実行しているのは何時であるかを示す操作データを記憶することが好ましい。
【0027】
これは、ある時間経過後、どのユーザーが、どの操作機能を、何時マシン・ツールで実行したかを追跡できるという利点を有する。こうすると、電子管理ログがマシン・ツールに内蔵され、これによって、時間経過、ならびに識別されたユーザーによる操作機能へのアクセス管理の種類を自動的に把握することができる。
【0028】
本発明によるマシン・ツールは、実行するのが許可されていない操作機能をユーザーが選択した場合、ユーザーが、その選択した少なくとも一つの操作機能を実行することが許可されていないことを表示する表示手段を備えていることが好ましい。この表示手段は、例えば、音声信号を出力してもよいし、あるいは、マシン・ツールの表示にウインドウが現われるようにしてもよい。好適な実施例では、表示手段は、選択装置のすぐ近くに発光ダイオードを配置することによって実現してもよい。
【0029】
受信装置は塵から保護されたハウジング内に配置されるのが好ましい。特に、初期のキー・ソルーションは、冷却潤滑油や塵に対する遮断性に欠けるという問題があり、このため、徹底的な保守を必要とし、また、故障しやすかった。本発明によれば、受信装置は好ましくは無線でデータを受信することができるので、冷却潤滑油や塵の影響から受信装置を保護するハウジング内に受信装置を組み込んでもよい。これにより、保守作業およびアクセス管理の不具合の発生度が軽減される。
【0030】
予め決められた操作機能を実行するために、好ましくは選択装置のキーは、その操作機能の実行中ユーザーによってしっかりと押し続けていなければならない。こうすると、キーから手を離すことによって、操作機能はただちに停止され、キーを押していた手がマシン・ツールの動いている部分に、確実に巻き込まれないようにすることできる。
【0031】
基本的に、携帯用データ・キャリアを外した後も、選択した操作機能によるマシン・ツールでの作業を続けることができる。例えば、一旦起動したプログラムは、携帯用データ・キャリアが外されても、処理は続行される。
【0032】
しかしながら、好適な実施例では、マシン・ツールは、受信装置がいかなるデータも受信しない場合、選択装置をロックする手段を備えている。これにより、そのマシン・ツールのユーザーは、自身の携帯用データ・キャリアをマシン・ツールから単に取り外すことになるとともに、受信装置が新たにデータを受信しない場合、現在選択されている操作機能が再開されることのないようにすることが可能になる。これは、5軸加工およびそれに関連するプログラミングのような特定の機能が、それ相当に許可を受けており、対応する研修を受けたスタッフのみによって実行されるのを保証すべき特殊な機能の場合には、特に、理にかなったものである。
【0033】
マシン・ツールは携帯用データ・キャリアを装着できる管理デスクを備えていることが好ましい。装着は、例えば、携帯用データ・キャリアを支持する磁石によって実現してもよい。ユーザーは自身の携帯用データ・キャリアを磁石に装着し、その後、自身の許可内容に応じて、マシン・ツールを使用する。磁力による支持に加えて、または、その代わりとして、管理デスクの形状によって支持を行ってもよい。例えば、保持器を管理デスクの横に配置し、その中に携帯用データ・キャリアを挿入して、その位置で機械的および/または磁気的に支持する。
【0034】
特に有利な実施例によるマシン・ツールは、受信データに応じて実行してもよい操作機能、選択された操作機能、およびマシン・ツールの現在の状態を示すデータ群の少なくとも一つの要素を表示する表示装置を備えている。この表示装置は、操作室の現在の様子、およびマシン・ツールを操作するための必要事項をユーザーに示す。特に有利な実施例では、この表示装置は選択装置と一体になっている。これは、例えば選択装置のすぐ近くに発光ダイオードを配置することによって実現してもよい。
【0035】
選択装置はキーから成ることが好ましく、この場合、各操作機能は各キーによって選択されるのが好ましい。ユーザーによって選択されると、キーによって選択された操作機能を実行するための許可をユーザーが有している場合にのみ、各キーは応答するのが好ましい。このため、このキーは許可キーと呼んでもよい。
【0036】
受信装置が携帯用データ・キャリアからのデータを完全には受信しない場合、マシン・ツールの表示装置は警告表示を行い、そのユーザーの携帯用データ・キャリアからのデータが完全には受信できないという事実にユーザーの注意を向けさせることが好ましい。これは、警告テキストを表示するか、または、シンボルを表示するかによって、選択的に行うことができる。
【0037】
これは、データ・キャリアに、例えば、欠陥があるか、または、間違った使い方、例えば、マシン・ツールに正しく載置されていないことが原因で、ユーザーの携帯用データ・キャリアからのデータの受信がきっちりと行なわれないことにユーザーの注意が向けられるという利点を有している。しかしながら、何回か受信を試みて失敗した後にのみ、受信装置が警告表示を行うことも可能である。
【0038】
マシン・ツールの表示装置は、さらに、変更可能な表示テキストを表示するよう設定され、マシン・ツールは変更可能な表示テキストを設定するとともに、ユーザーに割り当てる設定装置を備え、判定装置は受信データに基づいて、どの変更可能な表示テキストを表示装置によって表示すべきかを判定することが好ましい。
【0039】
これは、各ユーザーに対して個々の表示テキストが設定できるという利点がある。こうすると、例えば、異なる言語を話すユーザーによってマシンが操作される場合、そのユーザーの言語で表示テキストを設定することができる。さらに、表示テキストを設定するとともに、ユーザーに割り当てる前記設定装置は、最高ランクの許可を有するユーザーによってのみ操作されるようにしてもよい。
【0040】
さらに、本発明は、本発明によるマシン・ツールで受信するためのデータを提供する許可データ提供装置を備えている。この許可データ提供装置は、本発明によるマシン・ツールに対応するように設定された携帯用データ・キャリアを備えていることが好ましい。携帯用データ・キャリアはデータを記憶する記憶手段を備え、このデータを用いて、どの操作機能が、そのユーザーによって実行されてよいかが判定される。
【0041】
この許可データ提供装置は、マシン・ツールのアクセス管理装置がマシン・ツールへのアクセス管理を可能にするためのデータを提供できるという利点がある。
【0042】
携帯用データ・キャリアはトランスポンダーであることが好ましい。このトランスポンダーがRFID技術により実現されると、特別な利点が得られる。しかしながら、携帯用データ・キャリアは、磁気ストリップ・カード、チップ・カード、バーコード、USBメモリー・ステイックなどでもよい。
【0043】
許可データ提供装置は、ユーザー識別データと、そのユーザー識別データによって識別されるユーザーが、どのマシン・ツール研修に参加したかを示すデータとに基づいて、許可データを取得する手段を有していることが好ましい。
【0044】
一方では、この手段により、管理者はユーザー識別データを入力して、そのユーザーの許可データを取得するのが可能となる。他方では、この手段を使用することにより、その受信装置が単にユーザー識別データを受信するマシン・ツールでは、例えば、ローカル・データ・ネットワークを介して、そのユーザーはどの操作機能をマシン・ツールで操作してよいかを知ることが可能である。
【0045】
許可データ提供装置は、携帯用データ・キャリアの記憶手段に許可データを記憶する手段を備えていることが好ましい。こうすると、携帯用データ・キャリアは許可データを受信装置に直接送信することができ、さらなる照会は行わなくてもよい。
【0046】
許可データは、そのユーザーがどの操作機能をそれぞれのマシン・ツールで操作してよいかを、一つ以上のマシン・ツールに示すのが好ましい。こうすると、ユーザーはそれぞれ一つの携帯用データ・キャリアを持っていれば十分で、これを用いることにより、工場内で多くの異なるマシン・ツールを使用する場合であっても、ユーザーは、例えば修了したマシン・ツール研修に応じて、実行するのが許可された、すべてのマシン・ツール機能へアクセスすることができる。
【0047】
すでに、以上に説明したように、ユーザーが実行するのを許可された操作機能は、ヨーロッパのガイドラインおよび標準に沿った一つ以上の操作モードに対応していてもよい。
【0048】
携帯用データ・キャリアは、どの許可データがその携帯用データ・キャリアに記憶されたデータに対応するかを表示する表示手段を備えていることが好ましい。これは、例えば、インプリント、または、発光ダイオードによって実現してよい。特に、データを記憶する記憶手段が変更不可能なデータを含んでいる場合は、携帯用データ・キャリアが、その変更不可能なデータに関する情報を、ユーザーに対して提供するインプリントを備えるというアイデアは打って付けである。
【0049】
携帯用データ・キャリアの記憶手段に記憶された変更不可能なデータによって、そのユーザーを一義的に識別できることが好ましい。このように、変更不可能なデータはユーザーに対して一義的に割り当てられ、マシン・ツールの操作機能を実行しているユーザーは、マシン・ツールの受信装置がその変更不可能なデータを受信した後、一義的に識別される。
【0050】
変更不可能なデータは、ユーザーがどの許可レベルを有しているかを示す情報を含んでいることが好ましい。こうすると、判定装置は、受信装置に受信されたその変更不可能なデータのみに基づいて、そのユーザーはどの操作機能を実行してよいか、あるいは、実行してはいけないかを判定することができる。その後、他のユーザー特定の、あるいは、一般的に記憶されたデータとさらに比較することは不要になる。
【0051】
データを記憶する記憶手段が変更可能なデータを含んでいる場合、携帯用データ・キャリアは、その記憶手段に現在記憶されているデータに関する情報を、ユーザーに対して提供するデータ表示を備えることが好ましい。このデータ表示は、例えば、複数の発光ダイオードで実現してもよい。このように、携帯用データ・キャリアを調べることによって、ユーザーは自身の許可内容に関する情報を容易に取得することができる。
【0052】
本発明の一実施例では、許可データ提供装置は、前記記憶手段にユーザー識別データを記憶する手段を備えている。
【0053】
携帯用データ・キャリアは、携帯用データ・キャリアを本発明によるマシン・ツールに装着するための磁石を備えていることが好ましい。こうすると、携帯用データ・キャリアを、マシン・ツールの受信装置の近くに容易に保持することができる。
【0054】
好適な実施例では、許可データ提供装置は、さらに、携帯用データ・キャリアをキーホルダーに装着する装置を備えている。こうすると、ユーザーは簡単で安全な方法で、自身のキーの束といっしょに携帯用データ・キャリアを携帯することができる。
【0055】
上記の実施例は、本発明を実施するために、当業者によっていか様にも組み合わせてよい。本発明の有利な構成、およびさらなる詳細については、図面を参照しつつ様々な実施例を用いて以下に説明する。
【発明の効果】
【0056】
本発明によれば、マシン・ツールへのアクセス管理の改善を可能にするマシン・ツールを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
図1はこの発明によるマシン・ツール101の一実施例を概略的に示している。マシン・ツ−ル101は管理デスク110を備える。管理デスク110は、磁石111、受信装置112、選択装置113a〜113d、および表示装置114a〜114dを有している。磁石111は携帯用データ・キャリアを装着するのに使用することができる。携帯用データ・キャリアは受信装置112にデータを送る。ユーザーは選択装置の一部を成すキー113a〜113dを用いて一つ以上の操作機能を選択することができる。それぞれの操作機能を適切に選択することができる各個別キー113a〜113は、受信装置112によって受信されたデータに応じて、そのキーによって選択された操作機能を実行するための許可をユーザーが得ている場合にのみ応答するのが好ましい。この限りにおいて、このキーは許可キーと呼んでも良い。実施例に示しているように、キーは発光ダイオード114a〜114dによってそれぞれ区分けされている。これらの発光ダイオードを用いて、どの操作機能がそのユーザーによって実行されてよいか(例えば、緑色)、どの操作機能が選択されたか(例えば、点滅させる)、およびマシン・ツールが現在どのような状態であるか(例えば、対応するキーを囲む異なった色を点灯させる)をユーザーに示すことができる。
【0058】
さらに、マシン・ツール101は判定装置120およびアクセス管理装置130を備えている。受信装置112が受信したデータに基づき、判定装置120はどの操作機能がユーザーによって実行されてよいかを判定する。この判定に基づき、アクセス管理装置130は、ユーザーによる実行が許可され、選択された操作機能だけにアクセスするのをユーザーに対して許可することによって、マシン・ツールへのアクセスを管理する。許可内容を判定するために、判定装置120はインターフェースA、例えば、ローカル・データ・ネットワークを介してサーバーにアクセスし、そこで、ユーザー識別データを用いて、その識別されたユーザーに関する許可内容につき照会することができる。
【0059】
図2は本発明による表示装置の他の実施例を示し、例えばウインドウとして、マシン・ツールのスクリーン上に表示してもよい。表示装置201は4列、つまり、操作機能を示す列211、ユーザーによってどの操作機能が実行されてよいかを示す列212、ユーザーによってどの操作機能が選択されたかを示す列213、およびマシン・ツールの現在の状態を示す列214を備えている。図2に示している例では、ユーザーは操作機能1、2、および3を実行することが許可されている。操作機能1はたった今選択されたところで、マシン・ツールは現在この状態にある。
【0060】
図3は本発明による許可データ提供装置の一実施例を示している。許可データ提供装置301は記憶用手段321と、携帯用データ・キャリア311とを備え、携帯用データ・キャリア311は記憶手段312および磁石313を有している。インターフェースCを介してユーザー識別データを記憶用手段321に送信することが可能で、その後、この手段は、ユーザー識別データを携帯用データ・キャリア311の記憶手段312に記憶する。このように、携帯用データ・キャリアはユーザー識別データを送出するように構成されている。携帯用データ・キャリア311は磁石313によってマシン・ツールに装着することが可能で、これにより、携帯用データ・キャリアは記憶されたユーザー識別データをマシン・ツールの受信装置に送ることができる。
【0061】
さらに、許可データ提供装置301の図示実施例では、研修データを記憶したデータ・ベース330と許可データ取得手段340とを備えている。携帯用データ・キャリアよりユーザー識別データを受け取ったマシン・ツールは、インターフェースBを介して許可データ取得手段340に照会を行うことができる。この照会は、例えば、ローカル・データ・ネットワークを介して許可データ提供装置301に送られ、ユーザー識別データを有している。許可データ取得手段340はユーザー識別データを用いて、対応するデータの有無につきデータ・ベース330に照会し、研修データ・ベース330内のデータから対応する許可データを取得し、そのデータをインターフェースBを介してマシン・ツールに返す。このようにして、マシン・ツールはユーザー識別データのみに基づき、対応する許可データにつき照会を行うことができる。変形例として、許可データを携帯用データ・キャリア311に直接記憶し、マシン・ツールがその許可データを直接受信することにより、上記の照会処理を省略することももちろん可能である。
【0062】
図4は本発明の一実施例による携帯用データ・キャリアの平面図を示している。携帯用データ・キャリア401は受信装置112と無線通信を行うトランスポンダを有している。この無線通信により、外観形状を簡略化することが可能になっている。
【0063】
図5は携帯用データ・キャリア401の側面図を示している。実施例に示すように、ユーザーがどの許可を得ているかをそのユーザーに示す4個の発光ダイオード501a〜501dが、携帯用データ・キャリア401上において水平方向に配置されている。
【0064】
図6は本発明の他の実施例によるマシン・ツール101を概略的に示している。マシン・ツール101は、管理デスク110、インターフェースAに接続された判定装置120、アクセス管理装置130、データ記憶手段620、およびそのデータ記憶手段に記憶されたデータを外部記憶手段に送信する送信手段630を備えている。この端部には、インターフェースDがマシン・ツール内に設けられている。
【0065】
管理デスク110は、磁石11と受信装置112と表示装置201とを有している。さらに、管理デスク110は割当て装置611を有しており、これは、操作されると、許可レベルに対して操作機能を割り当てるための操作機能を実行するのをユーザーに許可する許可レベルをそのユーザーが有している場合に、そのユーザーが許可レベルに対して操作機能を割り当てるのを可能にする。また、管理デスク110はログオン装置612を有しており、これは、操作されると、ユーザーが他のユーザーをマシン・ツール101に登録するのを可能にする。ログオン装置612を操作するには、そのユーザーが他のユーザーをマシン・ツ−ルに登録する操作機能を実行するための許可を得ている必要がある。マシン・ツールの判定装置120は、ユーザーの携帯用データ・キャリア311からのデータが受信装置112によって受信された場合に、そのユーザーがマシン・ツールに登録されているか否かを判定するように設定される。もし、ユーザーがマシン・ツールに登録されていなければ、そのユーザーはマシン・ツールの操作機能を実行するための許可を得ていないと判定される。さらに、管理デスク110は設定装置630を有しており、ユーザーはこの設定装置613を操作することにより、変更可能な表示テキストを設定し、マシン・ツールに登録しているユーザーに対してその表示テキストを割り当てることが可能になっている。マシン・ツールに登録されたユーザーが自身の携帯用データ・キャリア311を磁石111に装着し、携帯用データ・キャリア311からのデータが受信装置112によって受信されると、その設定された表示テキストは表示装置201に自動的に表示される。
【0066】
本発明の他の実施例では、変更不可能なデータは、携帯用データ・キャリア311の記憶手段312に2進形式で記憶される。ここで、変更不可能なデータの最初の4ビットは携帯用データ・キャリア311のユーザーの持つ許可レベルに関する情報を示している。許可レベルにはオプションとして、マスター許可レベル、サービス許可レベル、および他の複数の許可レベルがある。マスター許可レベルは最高ランクの許可レベル、つまり、許可レベルの階層順位における最高ランクの許可レベルを示している。マシン・ツール101の各種の操作機能を実行するための特定の許可レベルを有するユーザーについては、ユーザーが所有する携帯用データ・キャリア311に、そのユーザーの許可レベルに関する情報を最初の4ビットに含む変更不可能なデータが記憶されている。特定の許可レベルが記憶された携帯用データ・キャリア311を用いて、ユーザーはその許可レベル、およびそれより低いランクの許可レベルの操作機能を実行することが許可されている。このように、マスター許可レベルのユーザーは、マシン・ツール101のすべての操作機能を実行することが許可される。このユーザーをマスターと呼ぶ。例えば、マスターはユーザーをマシン・ツール101に登録するログオン装置612を用いてユーザーを登録し、許可レベルに操作機能を割り当てるという操作機能を実行してもよい。サービス許可レベルのユーザーは他のユーザーを登録し、マシン・ツールのサービス操作を実行することが許可されている。このマシン・ツ−ル101のサービス操作には、例えば、マシン・ツール101の安全装置を開放した状態で、マシン・ツール101の作業機能を速度を落として制御することが含まれる。
【0067】
携帯用データ・キャリア311に2進形式で記憶された変更不可能なデータの他のビットは、一義的で、特定の変更不可能なデータを表しており、以降、特定ナンバーと呼ぶ。変更不可能なデータのこの部分は一義的で、特定的であるので、この発明の本実施例によれば、各携帯用データ・キャリア311は、携帯用データ・キャリア311内に記憶された特定ナンバーによって一義的に識別することができる。このように、各特定ナンバーは特定の携帯用データ・キャリア311に対して互いに一義的に割り当てられている。
【0068】
この代わりに、本発明の他の実施例では、許可レベルを示す最初の4ビットを含む変更不可能なデータの全ビットにより特定ナンバーを表してもよい。このように、この実施例では、特定ナンバーはユーザーの許可レベルに関する情報を備えている。
【0069】
携帯用データ・キャリア311の一実施例では、その特定ナンバーは携帯用データ・キャリア311の外部に、目視できるように十進表記で印刷される。
【0070】
携帯用データ・キャリア311の他の実施例では、携帯用データ・キャリア311はトランスポンダーを備えている。携帯用データ・キャリア311がマシン・ツール101に載置されるとすぐに、その携帯用データ・キャリア311に記憶されている変更不可能なデータの全ビットが、トランスポンダーからマシン・ツール101の受信装置112に送信される。この過程で、変更不可能なデータの全ビットがいつも完全に送信される。全ビットの送信が完全におこなわれないと、全ビットの送信、つまり、変更不可能なデータの全データの送信が完全に送信されるまで繰り返される。全ビットが完全に送信された場合のみ、判定手段120はどの操作機能がそのユーザーによって実行され得るかが判定できる。
【0071】
マシン・ツール101の他の実施例では、送信の繰り返し回数が制限される。或る定められた通信の繰り返し回数を超えても、携帯用データ・キャリア311の変更不可能なデータの全ビットが完全に送信されない場合、送信が上手く行かないことが表示装置201を介してユーザーに報知される。これを目的として、警告通知が表示装置201に表示され、ユーザーの携帯用データ・キャリア311から変更不可能なデータを受信することができないことがユーザーに対して報知される。これにより、ユーザーはその携帯用データ・キャリア311に欠陥があるか、あるいは、正確に載置していないかを判断することができる。
【0072】
マシン・ツール101のさらに他の実施例では、携帯用データ・キャリアが載置され、変更不可能なデータが受信装置112によって完全に受信された後、携帯用データ・キャリアのユーザーに対する許可レベルが表示装置201に表示される。
【0073】
マシン・ツール101の変形例では、表示装置201は、マシン・ツール101の操作機能、つまり、許可レベルの場合と同様に、アクセス・レベルに対して割り当てられた一つ以上の操作機能に対するユーザーのアクセス・レベルを表示する。この場合、ユーザーは自身のアクセス・レベル、あるいは、自身のアクセス・レベルよりランクの低いアクセス・レベルに割り当てられた操作機能を実行してもよい。ここで、許可レベルおよびアクセス・レベルに対する操作機能の割当ては同じではない。操作機能を割り当てるための第2のオプションを導入することによって、異なる局面に応じて割当てを行うことが可能である。例えば、操作機能を実行する際の危険態様に応じた許可レベルへの割当て、およびユーザーの資格に応じたアクセス・レベルへの割当てを行うことが可能であり、逆も可能である。
【0074】
マシン・ツール101の一実施例では、マシン・ツール101はログオン装置612を備えている。ログオン装置612の操作はマスター許可レベル、または、サービス許可レベルのユーザーにのみ許可される。低いランクのみの許可レベルを有するユーザーは、予めマシン・ツールに登録されていれば、マシン・ツール101の操作機能を実行する許可を有している。或るユーザーをマシン・ツールに登録する場合、マスターはユーザーを登録するためのログオン装置612を操作する。その後、ユーザーは、先ず、自身の携帯用データ・キャリア311をマシン・ツール101に載置しなければならないが、これにより、判定装置120はそのユーザーが、ユーザーを登録するためのログオン装置612の操作が許可されているか否か判定することができる。ユーザー登録用のログオン装置612が操作されると、表示装置201に表が表示される。この表は、登録されたユーザーの特定ナンバーを表中に入力することによって、どのユーザーがマシン・ツール101にすでに登録されているかを示す情報を含んでいる。今、マスターの携帯用データ・キャリア311が取り除かれた後に、まだ登録されていないユーザーの携帯用データ・キャリア311がマシン・ツール101に載置されると、受信装置112がその携帯用データ・キャリア311から特定ナンバーを受信した後、表示装置201は、そのまだ登録されていないユーザーの携帯用データ・キャリア311の特定ナンバーを表示装置201内の表に自動的に表示するように設定される。
【0075】
マシン・ツール101のさらに他の実施例では、上記の操作ステップに加えて、ユーザー登録用のログオン装置612が、特定ナンバーの表示箇所の隣にある表の表示内に、変更可能なデータの入力を可能にするように設定される。これらの変更可能なデータは研修データを含んでおり、以降、クリアリング・コードと呼ぶ。このクリアリング・コードはユーザーがどの研修に参加したかを示す暗号化データを含んでいる。このクリアリング・コードにより、ユーザーの資格に応じた操作機能を明確化することが可能になる。クリアリング・コードは予め決められた暗号アルゴリズムによって暗号化されており、その暗号アルゴリズムを解析することによって、判定装置120は、ユーザーが参加したツール研修に基づいて、どの操作機能をユーザーに対して明確化すべきかを判定することができる。さらに、ユーザー登録用のログオン装置612は、古いクリアリング・コードが表中にすでに表示されているユーザーに対して、ログオン装置612を操作することにより、新しいクリアリング・コードを入力することを可能にしている。このように、暗号アルゴリズムを新たに解析することによって、さらなる操作機能が明確にされる。特定ナンバーは暗号アルゴリズムに追加されるとともに、クリアリング・コードによって一義的に解読することができる。表示装置201の表中のログオン装置612を操作することによって、特定ナンバーをクリアリング・コード内に追加入力することができるので、入力中にエラーが発生するのを防止することが可能で、また、特定ナンバーとクリアリング・コードがマッチするかを判定することができる。ユーザーの許可レベルは、ユーザーの携帯用データ・キャリア311の変更不可能なデータの最初の4ビットによって判定されるので、この許可レベル、または、それよりランクの低い許可レベルの他の操作機能のみ明確化することができる。
【0076】
本発明のさらに他の実施例では、マシン・ツール101は、複数の許可レベルに一つ以上の操作機能を割り当てる割当て装置611を備えている。マスターはこの割当て装置611の操作が許可されている。この過程では、マスターは許可レベルに対する操作機能の割当てを変更することができる。
【0077】
本発明のさらに他の実施例では、マシン・ツール101は、どのユーザーがマスターによって登録されたかを示す登録データを記憶するデータ記憶手段620を備えている。マスターがユーザーを登録する際にクリアリング・コードを入力すると、そのクリアリング・コードもデータ記憶手段620に記憶される。データ記憶手段620に記憶されたデータは表示装置201内の表に表示してもよい。さらに、マシン・ツールは、データ記憶手段620に記憶された登録データを外部USBメモリー・ステイックに送信し、USBメモリー・ステイックに記憶された登録データをマシン・ツールのデータ記憶手段620に送信する送信手段630を備えている。このように、マスターは、マシン・ツールのデータ記憶手段620に記憶されたすべての登録データを、USBメモリー・ステイックを用いて他のマシン・ツールに送信することができる。これにより、マスターは、マシン・ツールに登録したすべてのユーザーを他のマシン・ツールに個別に再度登録する必要はなく、USBメモリー・ステイックからの登録データをマシン・ツールのデータ記憶手段620に送信することにより、ユーザーを登録することができる。本実施例では、図6のインターフェースDはUSBポートである。
【0078】
本発明によるマシン・ツールのさらに他の実施例では、データ記憶手段620は、マシン・ツールによりどの操作機能が実行されたか、どのユーザーがマシン・ツールのこれらの操作機能を実行したか、およびそのユーザーがこれらの操作機能を何時実行したかを示す操作データを記憶することができる。このように、誰が、マシン・ツールのどの操作機能を、何時操作したかを、管理日誌のように記録することができる。
【0079】
本発明によるマシン・ツールのさらに他の実施例では、マシン・ツールは、変更可能な表示テキストを設定し、表示テキストをユーザーに割り当てる設定装置613を備えている。この設定装置613はマスターだけが操作できるようにしてもよい。設定装置613を操作することにより、マスターは、個別の変更可能な表示テキストを、マシン・ツールに登録された各ユーザーのために設定することができる。その後、ユーザーが自身の携帯用データ・キャリア311をマシン・ツール101に載置すると、判定装置120は受信したデータに基づいて、どの表示テキストがそのユーザーに割り当てられているかを判定することができ、その後、この表示テキストは表示装置201に表示される。これにより、ユーザーの言語による挨拶の言葉、操作指示やヒントといったユーザー用の個々の表示テキストが可能になる。
【0080】
以上に示した実施例は単なる例示に過ぎず、限定的なものではないと解釈すべきである。さまざまな変形例が請求の範囲を逸脱することなく可能である。例えば、許可データを携帯用データ・キャリアに直接記憶することはもちろん可能である。これらおよび他の変形例は当業者にとって明らかであり、上記の実施例と、特許明細書ならびに請求範囲との組み合わせによって当業者に開示されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】は、本発明によるマシン・ツールの一実施例を概略的に示している。
【図2】は、本発明による表示装置の一実施例を示している。
【図3】は、許可データ提供装置の一実施例を示している。
【図4】は、携帯用データ・キャリアの一実施例を示す平面図である。
【図5】は、携帯用データ・キャリアの一実施例を示す側面図である。
【図6】は、本発明によるマシン・ツールの他の実施例を概略的に示している。
【符号の説明】
【0082】
101 マシン・ツール
110 管理デスク
111 磁石
112 受信装置
113a〜113d 選択装置
114a〜114d 表示装置
120 判定装置
130 アクセス管理装置
201 表示装置
211〜214 列
301 許可データ提供装置
311 携帯用データ・キャリア
312 記憶手段
313 磁石
321 記憶用手段
330 研修データ
340 許可データ取得手段
401 携帯用データ・キャリア
501a〜501d 発光ダイオード
611 割当て装置
612 ログオン装置
613 設定装置
620 データ記憶手段
630 送信手段
A,B,C,D インターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のものを備えるマシン・ツール:
複数の操作機能、
ユーザーにより一つ以上の操作機能を選択するための選択装置(113a−113d)、
携帯用データ・キャリア(311)からのデータを受信する受信装置(112)、
受信した前記データに基づき、どの操作機能が前記ユーザーによって実行されてよいかを判定する判定装置(120)、および
選択された少なくとも一つの操作機能につき前記マシン・ツールへのアクセスを管理するとともに、前記ユーザーが実行するのが許可されている、それらの選択された操作機能のみにアクセスするのを前記ユーザーに対して許可するアクセス管理装置(130)。
【請求項2】
前記受信装置(112)は携帯用データ・キャリア(311)としてのトランスポンダーに対応するように設定されている読取り装置を備えていることを特徴とする請求項1に記載のマシン・ツール。
【請求項3】
前記データは、前記ユーザーがどの操作機能を前記マシン・ツールで実行してよいかを示すデータを含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載のマシン・ツール。
【請求項4】
前記データはユーザーを識別し、前記判定装置(120)は識別されたユーザーの許可データにつき照会する手段を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のマシン・ツール。
【請求項5】
前記マシン・ツールは、一つ以上の操作機能を、複数の許可レベルに割り当てる割当て装置(611)を備えていることを特徴とする請求項1から4までの少なくとも一つに記載のマシン・ツール。
【請求項6】
前記データは前記ユーザーの前記許可レベルに関する情報を備えており、前記ユーザーは前記許可レベルに割り当てられた一つ以上の操作機能を実行するために許可された特定の許可レベルを有していることを特徴とする請求項5に記載のマシン・ツール。
【請求項7】
前記マシン・ツールはユーザーを登録するログオン装置(612)を備え、登録されたユーザーだけが前記マシン・ツールの操作機能を実行するのを許可されることを特徴とする請求項1から6までの少なくとも一つに記載のマシン・ツール。
【請求項8】
ユーザーを登録するための前記ログオン装置(612)は変更可能な研修データの入力を可能にし、前記変更可能な研修データは、登録されるべきユーザーがどのマシン・ツールの研修に参加したかを示し、前記ユーザーは前記研修データに基づき、前記マシン・ツールの一つ以上の操作機能を実行することが許可されることを特徴とする請求項7に記載のマシン・ツール。
【請求項9】
前記マシン・ツールは、どのユーザーが登録されているかを示す登録データを記憶するデータ記憶手段(620)を備えていることを特徴とする請求項7から8までの少なくとも一つに記載のマシン・ツール。
【請求項10】
前記マシン・ツールは、前記データ記憶手段(620)に記憶された登録データを、外部記憶手段に送信するとともに、外部記憶手段に記憶された登録データを、前記マシン・ツールの前記データ記憶手段(620)に送信する送信手段(630)を備えていることを特徴とする請求項9に記載のマシン・ツール。
【請求項11】
前記データ記憶手段(620)は、前記マシン・ツールがどの操作機能を実行しているか、どのユーザーによって、前記マシン・ツールの前記操作機能が実行されているか、および前記ユーザーが前記操作機能を何時実行するかを示す操作データをさらに記憶することを特徴とする請求項9または10に記載のマシン・ツール。
【請求項12】
前記受信されたデータに応じて実行してもよい操作機能、選択された操作機能、および前記マシン・ツールの現在の状態を含むデータ群の少なくとも一つの要素を表示する表示装置(201)を備えていることを特徴とする先行する請求項の少なくとも一つに記載のマシン・ツール。
【請求項13】
先行する請求項の少なくとも一つに記載のマシン・ツール(101)で受信するためのデータを提供する許可データ提供装置(301)であって、
前記先行する請求項の少なくとも一つに記載のマシン・ツールに対応するように設定された携帯用データ・キャリア(311)、および
どの操作機能が前記ユーザーによって実行してよいかを判定するためのデータを記憶する記憶手段(312)を備えている許可データ提供装置(301)。
【請求項14】
データを記憶する前記記憶手段(312)は変更不可能なデータを含み、前記携帯用データ・キャリア(311)は前記変更不可能なデータに関する情報を前記ユーザーに提供するインプリントを備えていることを特徴とする請求項13に記載の許可データ提供装置。
【請求項15】
前記変更不可能なデータは前記ユーザーがどの許可レベルを有しているかを示す情報を含んでいることを特徴とする請求項14に記載の許可データ提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−123194(P2009−123194A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−227037(P2008−227037)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(508268090)
【氏名又は名称原語表記】DECKEL MAHO Pfronten GmbH
【住所又は居所原語表記】DECKEL−MAHO−Strasse 1, 87459 Pfronten, Germany
【Fターム(参考)】