アクチュエータおよびアクチュエータのロワーカバーの成形型
【課題】ダイアフラムを駆動源とし、該ダイアフラムに接続された駆動部材の変位により被駆動部材を駆動するアクチュエータの駆動部材を全方向において支承することなく駆動部材の振動を防止し、かつ、製造が容易なアクチュエータを提供する。
【解決手段】ケーシング2と、該ケーシング2内を区画するダイアフラム6と、該ダイアフラム6に連結され、他端が前記ケーシング2を挿通して外部へ突出した駆動部材15と、該駆動部材15の他端に、該駆動部材15より大きい部分を有する連結部15aとを有し、更に、前記ケーシング2における駆動部材15が挿通する部分に、前記駆動部材15と前記連結部15aが挿通可能な挿通穴12と、前記駆動部材の所定方向への振動を規制する規制手段とを有するアクチュエータ1であって、該アクチュエータ1をエンジンに搭載した際の前記駆動部材15の振動方向を定めて、該振動方向と、前記規制手段による前記駆動部材15の振動規制方向とが一致するように前記アクチュエータ1をエンジンに組付ける。
【解決手段】ケーシング2と、該ケーシング2内を区画するダイアフラム6と、該ダイアフラム6に連結され、他端が前記ケーシング2を挿通して外部へ突出した駆動部材15と、該駆動部材15の他端に、該駆動部材15より大きい部分を有する連結部15aとを有し、更に、前記ケーシング2における駆動部材15が挿通する部分に、前記駆動部材15と前記連結部15aが挿通可能な挿通穴12と、前記駆動部材の所定方向への振動を規制する規制手段とを有するアクチュエータ1であって、該アクチュエータ1をエンジンに搭載した際の前記駆動部材15の振動方向を定めて、該振動方向と、前記規制手段による前記駆動部材15の振動規制方向とが一致するように前記アクチュエータ1をエンジンに組付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイアフラムを駆動源とし、該ダイアフラムに接続された駆動部材の変位により被駆動部材を駆動するアクチュエータ、およびそのアクチュエータのロワーカバーの成形型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のアクチュエータは、例えば、車両の過給機(ターボチャージャー)や、可変吸気装置のアクチュエータとして用いられている。
【0003】
このアクチュエータは、ケーシング内をダイアフラムにより2室に区画し、その一方の作動圧室にタービンへの入口圧や負圧タンク内の負圧を導き、外部に開放した他方の大気室との圧力差が所定値に達したときに、ダイアフラムおよびこれに連結された駆動部材(作動ロッド)を変位させて、駆動部材の他方に連結された弁等の被駆動部材を作動させるようになっている。
【0004】
このようなアクチュエータは、エンジンの振動により駆動部材の位置ずれが生じるとダイアフラムが過度に変形することがある。この変形防止のために、ケーシングに設けた軸受により駆動部材の全周を支承して、駆動部材の全方向の振動を防止したものが知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−210707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来技術では、ケーシングに設けた軸受の軸受穴を、駆動部材であるロッドの全周に略密着する穴としているために、図3に示すような、駆動部材の両端部に、駆動部材より大径のダイヤフラムと連結するためのつば部と、弁等と連動させる連結部材を連結するために駆動部材よりも大きな部分を有する連結部とを有する場合には、軸受の軸受穴に挿通することができないという問題点がある。
【0006】
また、前記従来技術のような軸受を用いることは、製造コストが高くなるという問題もある。
【0007】
そこで、本発明は、上記の問題点を解決するアクチュエータ、及びそのアクチュエータのロワーカバーの成形型を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、 ケーシングと、該ケーシング内を区画するダイアフラムと、該ダイアフラムに連結され、他端が前記ケーシングを挿通して外部へ突出した駆動部材と、該駆動部材の他端に、該駆動部材より大きい部分を有する連結部とを有し、更に、前記ケーシングにおける駆動部材が挿通する部分に、前記駆動部材と前記連結部が挿通可能な挿通穴と、前記駆動部材の所定方向への振動を規制する規制手段とを有するアクチュエータであって、
該アクチュエータをエンジンに搭載した際の前記駆動部材の振動方向を定めて、
該振動方向と、前記規制手段による前記駆動部材の振動規制方向とが一致するように前記アクチュエータをエンジンに組付けることを特徴とするアクチュエータである。
【0009】
請求項2記載の発明は、ケーシングと、該ケーシング内を区画するダイアフラムと、該ダイアフラムに連結され、他端が前記ケーシングを挿通して外部へ突出した駆動部材と、該駆動部材の他端に、該駆動部材より大きい部分を有する連結部と、該連結部に連結した連結部材とを有し、更に、前記ケーシングにおける駆動部材が挿通する部分に、前記駆動部材と前記連結部と前記連結部材が挿通可能な挿通穴と、前記駆動部材の所定方向への振動を規制する規制手段とを有するアクチュエータであって、
該アクチュエータをエンジンに搭載した際の前記駆動部材の振動方向を定めて、
該振動方向と、前記規制手段による前記駆動部材の振動規制方向とが一致するように前記アクチュエータをエンジンに組付けることを特徴とするアクチュエータである。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のアクチュエータにおいて、前記挿通穴を、前記駆動部材の軸方向における該駆動部材と前記連結部の投影形状より大きな形状に形成したことを特徴とするものである。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項2記載のアクチュエータにおいて、前記挿通穴を、前記駆動部材の軸方向における該駆動部材と前記連結部と前記連結部材の投影形状より大きな形状に形成したことを特徴とするものである。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のアクチュエータにおいて、前記規制手段は、前記挿通穴の一部により構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のアクチュエータにおいて、前記規制手段は、前記ケーシングとは別に設けた規制部材で構成されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載のアクチュエータにおいて、前記振動規制方向における前記規制手段と前記駆動部材との間隔を、前記駆動部材の振動振幅巾よりも小さくしたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項8記載の発明は、ケーシングと、該ケーシング内を区画するダイアフラムと、該ダイアフラムに連結され、他端が前記ケーシングを挿通して外部へ突出した駆動部材と、該駆動部材の他端に、該駆動部材より大きい部分を有する連結部とを有し、更に、前記ケーシングにおける駆動部材が挿通する部分に、前記駆動部材と前記連結部が挿通可能な挿通穴と、前記駆動部材の所定方向への振動を規制する規制手段とを有するアクチュエータのロワーカバーを成形するための成形型であって、
前記挿通穴を形成するための成形型と、前記ロワーカバーを形成するための成形型を別体で形成したことを特徴とするアクチュエータのロワーカバーの成形型である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、駆動部材及び該駆動部材より大きい部分を有する連結部が挿通可能な挿通穴をケーシングに設けたことで、駆動部材の他端に連結部を設けるとともに一端にダイアフラムを連結した後に、駆動部材をケーシングに挿通することが可能になる。つまり、駆動部材の両端部に、駆動部材より大径のダイヤフラムと連結するためのつば部と、弁等と連動させる連結部材を連結するために駆動部材よりも大きな部分を有する連結部とを有する場合においても、挿通穴に挿通することができる。
【0017】
また、通常、エンジンの振動方向は、略1つの方向に決まるため、従来技術のように、駆動部材の全方向を軸受により支承する必要はなく、エンジンの振動による駆動部材の振動方向を推定したりして特定し、該振動方向と規制手段による駆動部材の規制方向を一致させて振動を抑制することにより駆動部材の振動を抑制できる。これにより、前記従来技術のような軸受を省略することができ、コスト低減を図ることができる。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、連結部に弁等と連動させる連結部材を連結させた後においても、挿通穴に挿通することができ、組付け治具は小さくて済み、挿通穴に挿通させた後に連結部材を連結するものよりも製造コストを低減できる。
【0019】
請求項3、4記載の発明においても前記請求項1、2と同様の効果を発揮できる。
請求項5記載の発明によれば、さらに、挿通穴の一部により規制手段を構成したことにより、従来技術の高価な軸受が不要となり、製造コストを削減することが出来る。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、さらに、規制手段をケーシングとは別の規制部材により構成したことで、エンジンの設計変更等により、エンジンの振動方向が変化した場合にも、規制部材のみを変更するだけで、エンジンの振動方向の変化に容易に対応することが出来る。したがって、変更時においてもケーシングを共通化でき、変更時のコスト低減を図ることができる。
【0021】
請求項8記載の発明によれば、さらに、挿入穴を成形する成形型と、ロワーカバーを成形するため成形型とが別に形成されているために、エンジンの設計変更等により、エンジンの振動方向が変化した場合にも、挿入穴を成形する成形型のみを製造しなおせばよく、全体の型枠を製造するよりも、成形型の製造費用を削減することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明のアクチュエータの実施形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0023】
図1乃至図9は、本発明の実施例1を示す。
図1は、アクチュエータの後面図、図2は側面図、図3は図2におけるA−A線断面図、図4は図1におけるB−B線断面図を示すものである。
【0024】
アクチュエータ1は、ケーシング2と本体部3を有し、ケーシング2はアッパーカバー4とロワーカバー5より構成されている。ロワーカバー5と本体部3とは一体に成形されている。前記アッパーカバー4とロワーカバー5との間に、ダイアフラム6の周縁部6aが挟着固定されている。なお、アッパカバー4とロワーカバー5は樹脂で形成され、これらが、ダイアフラム6を挟持した状態で振動溶着などにより一体に連結されている。
【0025】
前記ケーシング2内は、ダイアフラム6により、アッパーカバー4側の作動圧室7と、ロワーカバー5側の大気室8とに区画されている。アッパーカバー4には、作動圧を導く導管10が設けられ、該導管10は図示しない負圧切替弁を介して、例えば自動車用エンジンの可変吸気装置の負圧タンクに連通している。ロワーカバー5の中心部には、挿通穴12が設けられ、該挿通穴12により、大気室8は外部と連通している。
【0026】
また、作動圧室7内には、付勢手段9であるスプリングが配設され、該付勢手段9によりダイアフラム6は大気圧室8側へ付勢されている。
【0027】
ダイアフラム6の中央部の表裏には、第1シェル13と第2シェル14が配設され、該第1シェル13と第2シェル14及びダイアフラム6は、駆動部材15の一端部に一体に形成した鍔状のシェル受け15cにカシメ、ねじ締め等の周知の固定手段により固定されている。したがって、駆動部材15は、ダイアフラム6と一体に変位するようになっている。また、前記シェル受け15cは、駆動部材15の主体部15bよりも大径に形成されている。
【0028】
駆動部材15は、横断面が円形のロッドで形成され、その他端側は、前記挿通穴12を挿通(貫通)して、ケーシング2のロワーカバー5より外部へ突出している。更に、該駆動部材15の他端には、偏平状の連結部15aが一体形成され、該連結部15aは駆動部材15の主体部15bの側方に突出した形状に形成されている。したがって、連結部15aは、駆動部材15の主体部15bより大きな部分を有する。該連結部15aには、カシメ等の周知の固定手段により連結部材20である連結ピンが駆動部材15の軸方向と直交する方向に突出して固定されている。該連結ピン20には、作動レバー40が連結され、該操作レバー40に図示しない制御弁等の被駆動部材が接続されるようになっている。なお、連結部15aと連結ピン20を一体に形成してもよい。
【0029】
前記連結部15aのみ、又は連結部15aに連結部材20を取付けた状態のものを連結手段15Aとする。したがって、該連結手段15Aは、駆動部材15の主体部15bの外形より側方に突出した突出部(主体部15bより大きな部分)を有する形状に形成されている。
【0030】
次に、前記挿通穴12について詳述する。
前記挿通穴12は、図7に示すように、駆動部材15の軸方向における、駆動部材15及び連結部15a及び連結部材(連結ピン)20の投影形状、つまり、駆動部材15及び駆動手段15Aよりも大きな形状に形成されている。
【0031】
本実施例においては、駆動部材15と、該駆動部材15の直径L1よりも長い寸法L2で形成された連結部15aが挿通する第1穴12bと、駆動部材15の直径L1よりも若干幅広L3の第2穴12cとでT字状に形成して、挿通穴12が鍵状に形成されている。なお、連結部材20の直径は駆動部材15の主体部15bよりも小径に形成されている。
【0032】
また、前記第2穴12cは、その長手方向の中央部がロワーカバー5の中心部に位置するように形成され、駆動部材15の組付け状態において、図8に示すように、挿通穴12における駆動部材15の振動を規制する規制手段である規制部12aが、駆動部材15の両側に位置するように形成されている。つまり、規制部12aがロワーカバー5の中心部に位置するように挿通穴12が形成されている。該規制部12aの形成位置は、アクチュエータ1をエンジンに搭載した際の、駆動部材15の振動方向を、コンピュータによる解析により推定したり、実際に測定したりして特定して定め、この定めた振動方向に規制部12aが位置するように形成する。また、振動の規制方向における規制部12aと駆動部材15との間隙D1は、規制部材15の振動振幅巾よりも小さく設定されている。
【0033】
次に、ロワーカバー5と本体部3の成形方法について説明する。
ロワーカバー5を成形する成形型は、図9に示すように、挿通穴12を形成するための第1型枠41と、ロワーカバー5の図1の上面形状を成形するための第2型枠42と、ロワーカバー5と本体部3の図1の側面形状を成形するための第3型枠43、44と、ロワーカバー5の下面と、本体部3のリブ3a、3bを成形する第4型枠45からなる。第3型枠43、44は左右方向に2つに分割されている。
【0034】
前記第1型枠〜第4型枠を、図9に示すように、所定の位置に配置した後に、溶融した樹脂を成形型内に射出する。樹脂が固化した後に、第1型枠41と第2型枠42は図の上方向に、第3型枠43、44は左右方向に型抜きを行なう。これにより、ロワーカバー5及び本体部3が一体に成形される。
【0035】
次に、ダイアフラム6及び駆動部材15等の組付け方法について説明する。
先ず、駆動部材15の他端に形成した連結部15aに連結部材20である連結ピンをカシメ等により固定するとともに、駆動部材15の一端と一体に形成したシェル受け15cに、ダイアフラム6と、第1シェル13と、第2シェル14をカシメ等により固定する。
【0036】
次に、図7に示すように、前記の駆動部材15と連結部15aを第1穴12bに位置させ、連結部材20(連結ピン)を第2穴12cに位置させて、これら駆動部材15等を、図1の上方から、ロワーカバー5の挿通穴12に挿入する。駆動部材15を挿通穴12に挿通した後に、図8に示すように、駆動部材15を組付け完了位置であるロワーカバー5の中心部に移動させる。これにより、駆動部材15は、規制部12aの位置まで移動する。次に、ダイアフラム6の周縁部6aをロワーカバー5の所定の位置にセットする。
【0037】
その後、アッパーカバー4を取付けるとともに、連動部材(連結ピン)20に作動レバー40等を取り付けてアクチュエータ1を構成させる。
【0038】
次に、アクチュエータ1の使用例について説明する。
自動車用エンジンの可変吸気装置として、自動車の運転条件に応じて制御弁を開閉作動し、吸気管の通路面積を段階的に変化させることにより、吸気の脈動エネルギーを利用して吸入効率を高めるものがある。
【0039】
本発明のアクチュエータ1は、例えば、前記のような制御弁を開閉制御するものとし用いることができる。そして、次のように作動させることができる。
【0040】
ダイアフラム6は、付勢手段9により図3の下方向に付勢されているため、エンジンが低回転域であると、作動圧室7内が常圧となり、ダイアフラム6は図3の下方向に位置し、駆動部材15も図3の下方向に位置する。この状態では、前記制御弁は閉弁状態にある。
【0041】
次に、エンジンの高回転域において負圧切替弁を開けると、負圧タンク内の負圧が導管10を通じて作動圧室7に導入されて、作動圧室7内が次第に減圧され、ダイアフラム6が付勢手段9の付勢力に抗して、次第に上方向に移動する。これにともない、駆動部材15も上方向に移動し、駆動部材15の他端に連結された操作レバー40を介して前記制御弁が段階的に開制御される。
【0042】
本発明のアクチュエータ1は前記の構造を有するので次のような作用、効果を奏する。
エンジンの振動方向は、略1つの方向に決まるため、従来技術のように、駆動部材の全方向を軸受により支承する必要はなく、本実施例のように、エンジンの振動方向を推定等して、振動方向を特定し、該振動方向Xと規制部12aによる駆動部材15の規制方向を一致させてアクチュエータ1をエンジンに取付けることにより、従来技術のように駆動部材の全方向を支承することなく、駆動部材15を最低2点で支承するのみで、駆動部材15の振動を規制(抑制)することが出来る。
【0043】
また、前記挿通穴12を、駆動部材15と連結手段15Aが挿通する形状に、すなわち、挿入穴12を、図7に示すように、駆動部材15と連結部15aと連結部材20である連結ピンの、駆動部材15の軸方向における投影形状よりも大きな形状に形成したことで、駆動部材の他端に前記の連結部材20等からなる連結手段15Aを設け、一端にダイアフラムを連結した後に、駆動部材15をロワーカバー5に挿通することが可能となり、組付け治具は小さくて済み製造コストを低減できる。
【0044】
また、挿通穴12の一部で、規制手段(規制部12a)を構成したことにより、高価な軸受が不要となり、製造コストを低減することが出来る。
【0045】
ロワーカバー5を成形する成形型は、挿通穴12を形成するための第1型枠41と、ロワーカバー5の図1の上面形状を成形するための第2型枠42とを別にして構成されているために、エンジンの設計変更や、アクチュエータ1のエンジンに対する取付け位置の変更等により、アクチュエータ1に対するエンジンの振動方向が変化した場合にも、第1型枠41のみを製造しなおせばよく、型枠の製造費用を削減することが出来る。また、第1形枠41を回転可能にすることにより、挿通穴12の向きや、後述する図10に示す位置決め部24aの位置を容易に変更できる。
【実施例2】
【0046】
図10は、本発明の実施例2を示す。
前記実施例1においては、挿通穴12を駆動部材15の軸方向における、駆動部材15及び連結部15a及び連結部材(連結ピン)20の投影形状よりも大きな形状に形成したが、挿通穴を駆動部材15の軸方向における、駆動部材15及び連結部15aの投影形状よりも大きな形状に形成してもよい。
【0047】
図10に示すように、挿通穴22は、駆動部材15と、該駆動部材15の直径L1よりも長い寸法L2で形成された連結部15aが挿通する長穴22aのみで形成されている。
【0048】
また、前記挿通穴22は、その長手方向の中央部がロワーカバー5の中心部に位置するように形成され、駆動部材15の組付け状態において、挿通穴22における駆動部材15の振動を規制する規制手段である規制部22bが、駆動部材15の両側に位置するように形成されている。つまり、規制部22bがロワーカバー5の中心部に位置するように挿通穴22が形成されている。該規制部22bの形成位置は、アクチュエータ1をエンジンに搭載した際の、駆動部材15の振動方向を、コンピュータによる解析により推定したり、実際に測定したりして特定して定め、この定めた振動方向Xに規制部22bが位置するように形成する。また、振動の規制方向における規制部22bと駆動部材15との間隙D1は、規制部材15の振動振幅巾よりも小さく設定されている。
【0049】
上記以外の構造は、前記実施例1と同様であるので、前記と同様の符号を付して説明を省略する。
【0050】
次に、ダイアフラム6及び駆動部材15等の組付け方法について説明する。
先ず、駆動部材15の一端のシェル受け15cにダイアフラム6と、第1シェル13と、第2シェル14をカシメ等により固定する。
【0051】
次に、図10に示すように、前記の駆動部材15と連結部15aを挿通穴22(長穴22a)に位置させ、これら駆動部材15等を、図1の上方から、ロワーカバー5の挿通穴22に挿入する。駆動部材15を挿通穴22に挿通した後に、図10に示すように、駆動部材15を組付け完了位置であるロワーカバー5の中心部に移動させる。次に、ダイアフラム6の周縁部6aをロワーカバー5の所定の位置にセットする。
【0052】
その後、駆動部材15の他端に形成した連結部15aに連結部材20である連結ピンをカシメ等により固定する。
【0053】
その後、アッパーカバー4を取付けるとともに、連動部材(連結ピン)20に作動レバー40等を取り付けてアクチュエータ1を構成させる。
【0054】
また、本実施例2においても前記実施例1と同様の作用、効果を奏する。
【実施例3】
【0055】
前記実施例1においては、付勢手段9を作動圧室7内に設けたが、付勢手段を大気室8内、つまり、ロワーカバー5とダイアフラム6間に設けて、作動圧室内7に正圧を導入することにより、正圧と付勢手段9の付勢力とのバランスでダイアフラムを駆動するようにしても良い。
【0056】
上記以外の構造は、前記実施例1又は2と同様であり、本実施例3においても前記実施例1、2と同様の作用、効果を奏する。
【実施例4】
【0057】
図11乃至図13は、本発明の実施例4を示す。
本実施例4は、前記実施例1、2の規制手段を構成する規制部12a、22bを、ロワ―カバー5とは別体の部品で構成したものである。
【0058】
図11に示すように、ロワーカバー5の中心部には、駆動部材15及び前記連結部材20等からなる連結手段15Aを挿通可能な挿通穴24が形成され、該挿通穴24の内周面形状は、図11に示すように、一部に直線からなる位置決め部24aを有する円形状に形成されている。
【0059】
また、ロワーカバー5とは別体で図12に示すような規制部材25を用意する。
この規制部材25は、樹脂で形成され、前記挿通穴24より大径に形成され、その裏面(上面)には、ロワーカバー5の図1の下側から、挿通穴24に嵌合可能な突出部25aを有し、該突出部25aは前記挿通穴24と略同形に形成されている。したがって、突出部25aにも前記位置決め部24aに合致する位置決め部25bが形成されている。また、規制部材25の中央部には、駆動部材15の直径に対して前記実施例1の間隙D1分大径の規制穴25cが形成されており、該穴25cの内面が前記実施例1の規制部12aと同様の規制部25dとなっている。更に、前記規制穴25cの一部には径方向に開口する組付け用穴25eが一連に形成されている。
【0060】
以上のようであるから、前記と同様に駆動部材15に、連結手段15Aとダイアフラム6を組付けた後、その駆動部材15をロワーカバー5の挿通穴24に挿通し、その後、規制部材25を、その組付け用穴25eを通じて駆動部材15に嵌合する。そして、その規制部材25を、その突出部25aを挿通穴24に圧入したり、接着したりして固定する。
【0061】
突出部25aには、挿通穴24の位置決め部24aに対応する位置決め部25bが設けられているため、該位置決め部25bの位置により、アクチュエータ1に装着した際の規制部材25の方向が決まるようになっている。位置決め部25bの位置は、規制部25dによる駆動部材15の振動の規制方向がエンジンの振動方向と一致するように形成されている。
【0062】
上記以外の構造は、前記実施例1乃至3と同様であるので、前記と同様の符号を付して説明を省略する。
【0063】
また、本実施例4においても前記実施例1乃至3と同様の作用、効果を奏する。
また、本実施例4においては、さらに、規制部材25により規制手段を構成したことで、エンジンの設計変更やアクチュエータ1の取付け位置の変更等により、アクチュエータ1に対するエンジンの振動方向が変化した場合にも、規制部材25のみを変更するだけで、エンジンの振動方向の変化に容易に対応することが出来る。
【実施例5】
【0064】
図14、図15は、本発明の実施例5を示す。
本実施例4は、前記実施例5の規制部材25の別例を示すものである。
【0065】
図14に示すように、ロワーカバー5の中心部には、駆動部材15及び前記連結動部20等からなる連結手段15Aが挿通可能な挿通穴28が形成され、該挿通穴28の内周面形状は、図14に示すように、円形状に形成されている。
【0066】
また、ロワーカバー5とは別で図15に示すような規制部材29を用意する。
この規制部材29は、前記挿通穴28より大径に形成され、その裏面(上面)には、ロワーカバー5の図1の下側から、挿通穴28に嵌合可能な突出部29aを有し、該突出部29aは前記挿通穴28と略同形に形成されている。また、前記実施例3の前記規制穴25cと同様の規制穴29cと、前記規制部25dと同様の規制部29dと、前記組付け用穴25eと同様の組付け用穴29eを有する。
【0067】
また、規制部材29には、同一平面方向に突出するストッパ部30a、30bが設けられ、該ストッパ部30a、30bが、図1に示すように、本体部3の上下方向に設けられたリブ3a、3bに当接することにより、規制部材29をアクチュエータ1に装着した際の規制部材29の方向が決まるようになっている。ストッパ部30a、30bの方向は、規制部25dによる駆動部材15の規制方向と、エンジンの振動方向とが一致するように形成されている。
【0068】
また、規制部材29は樹脂で形成され、その裏面には爪部31が樹脂で一体に設けられており、該爪部31をロワーカバー5の挿通穴28の周縁部にスナップフットで嵌合係止させることにより、規制部材29をロワーカバー5に固定するようになっている。
【0069】
なお、爪部31を設けずに、規制部材29の突出部29aを挿通穴28に圧入したり、接着したりして固定しても良い。
【0070】
上記以外の構造は、前記実施例1乃至4と同様であるので、前記と同様の符号を付して説明を省略する。
【0071】
本実施例における駆動部材15等の組付け工程は、前記実施例4と同様である。
また、本実施例5においても前記実施例1乃至4と同様の作用、効果を奏する。
【実施例6】
【0072】
図16は本発明の実施例6を示す。
本実施例6は、前記実施例4、5の規制部材25、29の別例を示すものである。
【0073】
本実施例6においても、ロワーカバー5の中心部には、図14に示すように、駆動部材15及び前記連結部材20等からなる連結手段15Aが挿通可能な挿通穴28が形成され、該挿通穴28の内周面形状は、円形状に形成されている。
【0074】
また、ロワーカバー5とは別に図16に示すような規制部材32を用意する。
この規制部材32の裏面(上面)には、ロワーカバー5の図1の下側から、前記挿通穴28に嵌合可能な突出部32aを有し、該突出部32aは前記挿通穴28と略同形に形成されている。また、前記実施例4の前記規制穴25cと同様の規制穴32cと、前記規制部25dと同様の規制部32dと、前記組付け用穴25eと同様の組付け用穴32eを有する。
【0075】
また、規制部材32の裏面には前記と同様の爪部33が設けられ、ロワーカバー5の挿通穴28の周縁部で、前記爪部33が嵌合する位置には、該爪部33が嵌まる径方向の凹部が形成されている。該凹部に該爪部をスナップフットで嵌合係止させることにより、規制部材32をロワーカバー5に周方向に回転させることなく固定するようになっている。この固定によって、規制部32dの位置を決めることができる。
【0076】
この爪部33と凹部の位置により、規制部材32をアクチュエータ1に装着した際の規制部材32の方向を決めることができ、規制部32dによる駆動部材15の規制方向と、エンジンの振動方向を一致させることができる。
【0077】
上記以外の構造は、前記実施例1乃至5と同様であるので、前記と同様の符号を付して説明を省略する。
【0078】
本実施例における駆動部材15等の組付け工程は、前記実施例4と同様である。
また、本実施例6においても前記実施例1乃至5と同様の作用、効果を奏する。
【0079】
なお、前記実施例における挿通穴12、24、28の形状は、前記の形状に限るものではなく、連結手段15Aの構造により、長円形など所望に設定するものである。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明のアクチュエータは、前記の自動車用エンジンの可変吸気装置のみならず、自動車のエンジンに用いる他の装置の制御や、更には自動車以外のエンジンの装置の制御にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施例1におけるアクチュエータの後面図。
【図2】本発明の実施例1におけるアクチュエータの側面図。
【図3】図2におけるA−A線断面図。
【図4】図1におけるB−B線断面図。
【図5】本発明の実施例1におけるアクチュエータの下面図。
【図6】図5における駆動部材と挿通穴の関係を示す図。
【図7】図5において、挿通穴に駆動部材及び連結ピンを挿通させた状態の拡大下面図。
【図8】図7の状態の後に、駆動部材を所定の位置に移動させた状態の拡大下面図。
【図9】本発明の実施例1に用いるロワーカバーと本体部を成形するための成形型を示す略断面図。
【図10】本発明の実施例2における挿通穴と駆動部材及び連結部との関係を示す図。
【図11】本発明の実施例4に用いるロワーカバーと本体部の下面図。
【図12】本発明の実施例4に用いる規制部材で、(a)は上面図、(b)は下面図、(c)は前面図、(d)は側面図。
【図13】本発明の実施例4におけるアクチュエータの下面図。
【図14】本発明の実施例5におけるアクチュエータから規制部材を除いた状態の下面図。
【図15】本発明の実施例5に用いる規制部材で、(a)は上面図、(b)は下面図、(c)は前面図、(d)は側面図。
【図16】本発明の実施例6に用いる規制部材で、(a)は上面図、(b)は下面図、(c)は前面図、(d)は側面図。
【符号の説明】
【0082】
1 アクチュエータ
2 ケーシング
5 ロワーカバー
6 ダイアフラム
12、22、24、28 挿通穴
12a、22b、25d、29d、32d 規制部(規制手段)
15 駆動部材
15a 連結部
20 連結部材(連結ピン)
25、29、32 規制部材(規制手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイアフラムを駆動源とし、該ダイアフラムに接続された駆動部材の変位により被駆動部材を駆動するアクチュエータ、およびそのアクチュエータのロワーカバーの成形型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のアクチュエータは、例えば、車両の過給機(ターボチャージャー)や、可変吸気装置のアクチュエータとして用いられている。
【0003】
このアクチュエータは、ケーシング内をダイアフラムにより2室に区画し、その一方の作動圧室にタービンへの入口圧や負圧タンク内の負圧を導き、外部に開放した他方の大気室との圧力差が所定値に達したときに、ダイアフラムおよびこれに連結された駆動部材(作動ロッド)を変位させて、駆動部材の他方に連結された弁等の被駆動部材を作動させるようになっている。
【0004】
このようなアクチュエータは、エンジンの振動により駆動部材の位置ずれが生じるとダイアフラムが過度に変形することがある。この変形防止のために、ケーシングに設けた軸受により駆動部材の全周を支承して、駆動部材の全方向の振動を防止したものが知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−210707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来技術では、ケーシングに設けた軸受の軸受穴を、駆動部材であるロッドの全周に略密着する穴としているために、図3に示すような、駆動部材の両端部に、駆動部材より大径のダイヤフラムと連結するためのつば部と、弁等と連動させる連結部材を連結するために駆動部材よりも大きな部分を有する連結部とを有する場合には、軸受の軸受穴に挿通することができないという問題点がある。
【0006】
また、前記従来技術のような軸受を用いることは、製造コストが高くなるという問題もある。
【0007】
そこで、本発明は、上記の問題点を解決するアクチュエータ、及びそのアクチュエータのロワーカバーの成形型を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、 ケーシングと、該ケーシング内を区画するダイアフラムと、該ダイアフラムに連結され、他端が前記ケーシングを挿通して外部へ突出した駆動部材と、該駆動部材の他端に、該駆動部材より大きい部分を有する連結部とを有し、更に、前記ケーシングにおける駆動部材が挿通する部分に、前記駆動部材と前記連結部が挿通可能な挿通穴と、前記駆動部材の所定方向への振動を規制する規制手段とを有するアクチュエータであって、
該アクチュエータをエンジンに搭載した際の前記駆動部材の振動方向を定めて、
該振動方向と、前記規制手段による前記駆動部材の振動規制方向とが一致するように前記アクチュエータをエンジンに組付けることを特徴とするアクチュエータである。
【0009】
請求項2記載の発明は、ケーシングと、該ケーシング内を区画するダイアフラムと、該ダイアフラムに連結され、他端が前記ケーシングを挿通して外部へ突出した駆動部材と、該駆動部材の他端に、該駆動部材より大きい部分を有する連結部と、該連結部に連結した連結部材とを有し、更に、前記ケーシングにおける駆動部材が挿通する部分に、前記駆動部材と前記連結部と前記連結部材が挿通可能な挿通穴と、前記駆動部材の所定方向への振動を規制する規制手段とを有するアクチュエータであって、
該アクチュエータをエンジンに搭載した際の前記駆動部材の振動方向を定めて、
該振動方向と、前記規制手段による前記駆動部材の振動規制方向とが一致するように前記アクチュエータをエンジンに組付けることを特徴とするアクチュエータである。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のアクチュエータにおいて、前記挿通穴を、前記駆動部材の軸方向における該駆動部材と前記連結部の投影形状より大きな形状に形成したことを特徴とするものである。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項2記載のアクチュエータにおいて、前記挿通穴を、前記駆動部材の軸方向における該駆動部材と前記連結部と前記連結部材の投影形状より大きな形状に形成したことを特徴とするものである。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のアクチュエータにおいて、前記規制手段は、前記挿通穴の一部により構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のアクチュエータにおいて、前記規制手段は、前記ケーシングとは別に設けた規制部材で構成されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載のアクチュエータにおいて、前記振動規制方向における前記規制手段と前記駆動部材との間隔を、前記駆動部材の振動振幅巾よりも小さくしたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項8記載の発明は、ケーシングと、該ケーシング内を区画するダイアフラムと、該ダイアフラムに連結され、他端が前記ケーシングを挿通して外部へ突出した駆動部材と、該駆動部材の他端に、該駆動部材より大きい部分を有する連結部とを有し、更に、前記ケーシングにおける駆動部材が挿通する部分に、前記駆動部材と前記連結部が挿通可能な挿通穴と、前記駆動部材の所定方向への振動を規制する規制手段とを有するアクチュエータのロワーカバーを成形するための成形型であって、
前記挿通穴を形成するための成形型と、前記ロワーカバーを形成するための成形型を別体で形成したことを特徴とするアクチュエータのロワーカバーの成形型である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、駆動部材及び該駆動部材より大きい部分を有する連結部が挿通可能な挿通穴をケーシングに設けたことで、駆動部材の他端に連結部を設けるとともに一端にダイアフラムを連結した後に、駆動部材をケーシングに挿通することが可能になる。つまり、駆動部材の両端部に、駆動部材より大径のダイヤフラムと連結するためのつば部と、弁等と連動させる連結部材を連結するために駆動部材よりも大きな部分を有する連結部とを有する場合においても、挿通穴に挿通することができる。
【0017】
また、通常、エンジンの振動方向は、略1つの方向に決まるため、従来技術のように、駆動部材の全方向を軸受により支承する必要はなく、エンジンの振動による駆動部材の振動方向を推定したりして特定し、該振動方向と規制手段による駆動部材の規制方向を一致させて振動を抑制することにより駆動部材の振動を抑制できる。これにより、前記従来技術のような軸受を省略することができ、コスト低減を図ることができる。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、連結部に弁等と連動させる連結部材を連結させた後においても、挿通穴に挿通することができ、組付け治具は小さくて済み、挿通穴に挿通させた後に連結部材を連結するものよりも製造コストを低減できる。
【0019】
請求項3、4記載の発明においても前記請求項1、2と同様の効果を発揮できる。
請求項5記載の発明によれば、さらに、挿通穴の一部により規制手段を構成したことにより、従来技術の高価な軸受が不要となり、製造コストを削減することが出来る。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、さらに、規制手段をケーシングとは別の規制部材により構成したことで、エンジンの設計変更等により、エンジンの振動方向が変化した場合にも、規制部材のみを変更するだけで、エンジンの振動方向の変化に容易に対応することが出来る。したがって、変更時においてもケーシングを共通化でき、変更時のコスト低減を図ることができる。
【0021】
請求項8記載の発明によれば、さらに、挿入穴を成形する成形型と、ロワーカバーを成形するため成形型とが別に形成されているために、エンジンの設計変更等により、エンジンの振動方向が変化した場合にも、挿入穴を成形する成形型のみを製造しなおせばよく、全体の型枠を製造するよりも、成形型の製造費用を削減することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明のアクチュエータの実施形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0023】
図1乃至図9は、本発明の実施例1を示す。
図1は、アクチュエータの後面図、図2は側面図、図3は図2におけるA−A線断面図、図4は図1におけるB−B線断面図を示すものである。
【0024】
アクチュエータ1は、ケーシング2と本体部3を有し、ケーシング2はアッパーカバー4とロワーカバー5より構成されている。ロワーカバー5と本体部3とは一体に成形されている。前記アッパーカバー4とロワーカバー5との間に、ダイアフラム6の周縁部6aが挟着固定されている。なお、アッパカバー4とロワーカバー5は樹脂で形成され、これらが、ダイアフラム6を挟持した状態で振動溶着などにより一体に連結されている。
【0025】
前記ケーシング2内は、ダイアフラム6により、アッパーカバー4側の作動圧室7と、ロワーカバー5側の大気室8とに区画されている。アッパーカバー4には、作動圧を導く導管10が設けられ、該導管10は図示しない負圧切替弁を介して、例えば自動車用エンジンの可変吸気装置の負圧タンクに連通している。ロワーカバー5の中心部には、挿通穴12が設けられ、該挿通穴12により、大気室8は外部と連通している。
【0026】
また、作動圧室7内には、付勢手段9であるスプリングが配設され、該付勢手段9によりダイアフラム6は大気圧室8側へ付勢されている。
【0027】
ダイアフラム6の中央部の表裏には、第1シェル13と第2シェル14が配設され、該第1シェル13と第2シェル14及びダイアフラム6は、駆動部材15の一端部に一体に形成した鍔状のシェル受け15cにカシメ、ねじ締め等の周知の固定手段により固定されている。したがって、駆動部材15は、ダイアフラム6と一体に変位するようになっている。また、前記シェル受け15cは、駆動部材15の主体部15bよりも大径に形成されている。
【0028】
駆動部材15は、横断面が円形のロッドで形成され、その他端側は、前記挿通穴12を挿通(貫通)して、ケーシング2のロワーカバー5より外部へ突出している。更に、該駆動部材15の他端には、偏平状の連結部15aが一体形成され、該連結部15aは駆動部材15の主体部15bの側方に突出した形状に形成されている。したがって、連結部15aは、駆動部材15の主体部15bより大きな部分を有する。該連結部15aには、カシメ等の周知の固定手段により連結部材20である連結ピンが駆動部材15の軸方向と直交する方向に突出して固定されている。該連結ピン20には、作動レバー40が連結され、該操作レバー40に図示しない制御弁等の被駆動部材が接続されるようになっている。なお、連結部15aと連結ピン20を一体に形成してもよい。
【0029】
前記連結部15aのみ、又は連結部15aに連結部材20を取付けた状態のものを連結手段15Aとする。したがって、該連結手段15Aは、駆動部材15の主体部15bの外形より側方に突出した突出部(主体部15bより大きな部分)を有する形状に形成されている。
【0030】
次に、前記挿通穴12について詳述する。
前記挿通穴12は、図7に示すように、駆動部材15の軸方向における、駆動部材15及び連結部15a及び連結部材(連結ピン)20の投影形状、つまり、駆動部材15及び駆動手段15Aよりも大きな形状に形成されている。
【0031】
本実施例においては、駆動部材15と、該駆動部材15の直径L1よりも長い寸法L2で形成された連結部15aが挿通する第1穴12bと、駆動部材15の直径L1よりも若干幅広L3の第2穴12cとでT字状に形成して、挿通穴12が鍵状に形成されている。なお、連結部材20の直径は駆動部材15の主体部15bよりも小径に形成されている。
【0032】
また、前記第2穴12cは、その長手方向の中央部がロワーカバー5の中心部に位置するように形成され、駆動部材15の組付け状態において、図8に示すように、挿通穴12における駆動部材15の振動を規制する規制手段である規制部12aが、駆動部材15の両側に位置するように形成されている。つまり、規制部12aがロワーカバー5の中心部に位置するように挿通穴12が形成されている。該規制部12aの形成位置は、アクチュエータ1をエンジンに搭載した際の、駆動部材15の振動方向を、コンピュータによる解析により推定したり、実際に測定したりして特定して定め、この定めた振動方向に規制部12aが位置するように形成する。また、振動の規制方向における規制部12aと駆動部材15との間隙D1は、規制部材15の振動振幅巾よりも小さく設定されている。
【0033】
次に、ロワーカバー5と本体部3の成形方法について説明する。
ロワーカバー5を成形する成形型は、図9に示すように、挿通穴12を形成するための第1型枠41と、ロワーカバー5の図1の上面形状を成形するための第2型枠42と、ロワーカバー5と本体部3の図1の側面形状を成形するための第3型枠43、44と、ロワーカバー5の下面と、本体部3のリブ3a、3bを成形する第4型枠45からなる。第3型枠43、44は左右方向に2つに分割されている。
【0034】
前記第1型枠〜第4型枠を、図9に示すように、所定の位置に配置した後に、溶融した樹脂を成形型内に射出する。樹脂が固化した後に、第1型枠41と第2型枠42は図の上方向に、第3型枠43、44は左右方向に型抜きを行なう。これにより、ロワーカバー5及び本体部3が一体に成形される。
【0035】
次に、ダイアフラム6及び駆動部材15等の組付け方法について説明する。
先ず、駆動部材15の他端に形成した連結部15aに連結部材20である連結ピンをカシメ等により固定するとともに、駆動部材15の一端と一体に形成したシェル受け15cに、ダイアフラム6と、第1シェル13と、第2シェル14をカシメ等により固定する。
【0036】
次に、図7に示すように、前記の駆動部材15と連結部15aを第1穴12bに位置させ、連結部材20(連結ピン)を第2穴12cに位置させて、これら駆動部材15等を、図1の上方から、ロワーカバー5の挿通穴12に挿入する。駆動部材15を挿通穴12に挿通した後に、図8に示すように、駆動部材15を組付け完了位置であるロワーカバー5の中心部に移動させる。これにより、駆動部材15は、規制部12aの位置まで移動する。次に、ダイアフラム6の周縁部6aをロワーカバー5の所定の位置にセットする。
【0037】
その後、アッパーカバー4を取付けるとともに、連動部材(連結ピン)20に作動レバー40等を取り付けてアクチュエータ1を構成させる。
【0038】
次に、アクチュエータ1の使用例について説明する。
自動車用エンジンの可変吸気装置として、自動車の運転条件に応じて制御弁を開閉作動し、吸気管の通路面積を段階的に変化させることにより、吸気の脈動エネルギーを利用して吸入効率を高めるものがある。
【0039】
本発明のアクチュエータ1は、例えば、前記のような制御弁を開閉制御するものとし用いることができる。そして、次のように作動させることができる。
【0040】
ダイアフラム6は、付勢手段9により図3の下方向に付勢されているため、エンジンが低回転域であると、作動圧室7内が常圧となり、ダイアフラム6は図3の下方向に位置し、駆動部材15も図3の下方向に位置する。この状態では、前記制御弁は閉弁状態にある。
【0041】
次に、エンジンの高回転域において負圧切替弁を開けると、負圧タンク内の負圧が導管10を通じて作動圧室7に導入されて、作動圧室7内が次第に減圧され、ダイアフラム6が付勢手段9の付勢力に抗して、次第に上方向に移動する。これにともない、駆動部材15も上方向に移動し、駆動部材15の他端に連結された操作レバー40を介して前記制御弁が段階的に開制御される。
【0042】
本発明のアクチュエータ1は前記の構造を有するので次のような作用、効果を奏する。
エンジンの振動方向は、略1つの方向に決まるため、従来技術のように、駆動部材の全方向を軸受により支承する必要はなく、本実施例のように、エンジンの振動方向を推定等して、振動方向を特定し、該振動方向Xと規制部12aによる駆動部材15の規制方向を一致させてアクチュエータ1をエンジンに取付けることにより、従来技術のように駆動部材の全方向を支承することなく、駆動部材15を最低2点で支承するのみで、駆動部材15の振動を規制(抑制)することが出来る。
【0043】
また、前記挿通穴12を、駆動部材15と連結手段15Aが挿通する形状に、すなわち、挿入穴12を、図7に示すように、駆動部材15と連結部15aと連結部材20である連結ピンの、駆動部材15の軸方向における投影形状よりも大きな形状に形成したことで、駆動部材の他端に前記の連結部材20等からなる連結手段15Aを設け、一端にダイアフラムを連結した後に、駆動部材15をロワーカバー5に挿通することが可能となり、組付け治具は小さくて済み製造コストを低減できる。
【0044】
また、挿通穴12の一部で、規制手段(規制部12a)を構成したことにより、高価な軸受が不要となり、製造コストを低減することが出来る。
【0045】
ロワーカバー5を成形する成形型は、挿通穴12を形成するための第1型枠41と、ロワーカバー5の図1の上面形状を成形するための第2型枠42とを別にして構成されているために、エンジンの設計変更や、アクチュエータ1のエンジンに対する取付け位置の変更等により、アクチュエータ1に対するエンジンの振動方向が変化した場合にも、第1型枠41のみを製造しなおせばよく、型枠の製造費用を削減することが出来る。また、第1形枠41を回転可能にすることにより、挿通穴12の向きや、後述する図10に示す位置決め部24aの位置を容易に変更できる。
【実施例2】
【0046】
図10は、本発明の実施例2を示す。
前記実施例1においては、挿通穴12を駆動部材15の軸方向における、駆動部材15及び連結部15a及び連結部材(連結ピン)20の投影形状よりも大きな形状に形成したが、挿通穴を駆動部材15の軸方向における、駆動部材15及び連結部15aの投影形状よりも大きな形状に形成してもよい。
【0047】
図10に示すように、挿通穴22は、駆動部材15と、該駆動部材15の直径L1よりも長い寸法L2で形成された連結部15aが挿通する長穴22aのみで形成されている。
【0048】
また、前記挿通穴22は、その長手方向の中央部がロワーカバー5の中心部に位置するように形成され、駆動部材15の組付け状態において、挿通穴22における駆動部材15の振動を規制する規制手段である規制部22bが、駆動部材15の両側に位置するように形成されている。つまり、規制部22bがロワーカバー5の中心部に位置するように挿通穴22が形成されている。該規制部22bの形成位置は、アクチュエータ1をエンジンに搭載した際の、駆動部材15の振動方向を、コンピュータによる解析により推定したり、実際に測定したりして特定して定め、この定めた振動方向Xに規制部22bが位置するように形成する。また、振動の規制方向における規制部22bと駆動部材15との間隙D1は、規制部材15の振動振幅巾よりも小さく設定されている。
【0049】
上記以外の構造は、前記実施例1と同様であるので、前記と同様の符号を付して説明を省略する。
【0050】
次に、ダイアフラム6及び駆動部材15等の組付け方法について説明する。
先ず、駆動部材15の一端のシェル受け15cにダイアフラム6と、第1シェル13と、第2シェル14をカシメ等により固定する。
【0051】
次に、図10に示すように、前記の駆動部材15と連結部15aを挿通穴22(長穴22a)に位置させ、これら駆動部材15等を、図1の上方から、ロワーカバー5の挿通穴22に挿入する。駆動部材15を挿通穴22に挿通した後に、図10に示すように、駆動部材15を組付け完了位置であるロワーカバー5の中心部に移動させる。次に、ダイアフラム6の周縁部6aをロワーカバー5の所定の位置にセットする。
【0052】
その後、駆動部材15の他端に形成した連結部15aに連結部材20である連結ピンをカシメ等により固定する。
【0053】
その後、アッパーカバー4を取付けるとともに、連動部材(連結ピン)20に作動レバー40等を取り付けてアクチュエータ1を構成させる。
【0054】
また、本実施例2においても前記実施例1と同様の作用、効果を奏する。
【実施例3】
【0055】
前記実施例1においては、付勢手段9を作動圧室7内に設けたが、付勢手段を大気室8内、つまり、ロワーカバー5とダイアフラム6間に設けて、作動圧室内7に正圧を導入することにより、正圧と付勢手段9の付勢力とのバランスでダイアフラムを駆動するようにしても良い。
【0056】
上記以外の構造は、前記実施例1又は2と同様であり、本実施例3においても前記実施例1、2と同様の作用、効果を奏する。
【実施例4】
【0057】
図11乃至図13は、本発明の実施例4を示す。
本実施例4は、前記実施例1、2の規制手段を構成する規制部12a、22bを、ロワ―カバー5とは別体の部品で構成したものである。
【0058】
図11に示すように、ロワーカバー5の中心部には、駆動部材15及び前記連結部材20等からなる連結手段15Aを挿通可能な挿通穴24が形成され、該挿通穴24の内周面形状は、図11に示すように、一部に直線からなる位置決め部24aを有する円形状に形成されている。
【0059】
また、ロワーカバー5とは別体で図12に示すような規制部材25を用意する。
この規制部材25は、樹脂で形成され、前記挿通穴24より大径に形成され、その裏面(上面)には、ロワーカバー5の図1の下側から、挿通穴24に嵌合可能な突出部25aを有し、該突出部25aは前記挿通穴24と略同形に形成されている。したがって、突出部25aにも前記位置決め部24aに合致する位置決め部25bが形成されている。また、規制部材25の中央部には、駆動部材15の直径に対して前記実施例1の間隙D1分大径の規制穴25cが形成されており、該穴25cの内面が前記実施例1の規制部12aと同様の規制部25dとなっている。更に、前記規制穴25cの一部には径方向に開口する組付け用穴25eが一連に形成されている。
【0060】
以上のようであるから、前記と同様に駆動部材15に、連結手段15Aとダイアフラム6を組付けた後、その駆動部材15をロワーカバー5の挿通穴24に挿通し、その後、規制部材25を、その組付け用穴25eを通じて駆動部材15に嵌合する。そして、その規制部材25を、その突出部25aを挿通穴24に圧入したり、接着したりして固定する。
【0061】
突出部25aには、挿通穴24の位置決め部24aに対応する位置決め部25bが設けられているため、該位置決め部25bの位置により、アクチュエータ1に装着した際の規制部材25の方向が決まるようになっている。位置決め部25bの位置は、規制部25dによる駆動部材15の振動の規制方向がエンジンの振動方向と一致するように形成されている。
【0062】
上記以外の構造は、前記実施例1乃至3と同様であるので、前記と同様の符号を付して説明を省略する。
【0063】
また、本実施例4においても前記実施例1乃至3と同様の作用、効果を奏する。
また、本実施例4においては、さらに、規制部材25により規制手段を構成したことで、エンジンの設計変更やアクチュエータ1の取付け位置の変更等により、アクチュエータ1に対するエンジンの振動方向が変化した場合にも、規制部材25のみを変更するだけで、エンジンの振動方向の変化に容易に対応することが出来る。
【実施例5】
【0064】
図14、図15は、本発明の実施例5を示す。
本実施例4は、前記実施例5の規制部材25の別例を示すものである。
【0065】
図14に示すように、ロワーカバー5の中心部には、駆動部材15及び前記連結動部20等からなる連結手段15Aが挿通可能な挿通穴28が形成され、該挿通穴28の内周面形状は、図14に示すように、円形状に形成されている。
【0066】
また、ロワーカバー5とは別で図15に示すような規制部材29を用意する。
この規制部材29は、前記挿通穴28より大径に形成され、その裏面(上面)には、ロワーカバー5の図1の下側から、挿通穴28に嵌合可能な突出部29aを有し、該突出部29aは前記挿通穴28と略同形に形成されている。また、前記実施例3の前記規制穴25cと同様の規制穴29cと、前記規制部25dと同様の規制部29dと、前記組付け用穴25eと同様の組付け用穴29eを有する。
【0067】
また、規制部材29には、同一平面方向に突出するストッパ部30a、30bが設けられ、該ストッパ部30a、30bが、図1に示すように、本体部3の上下方向に設けられたリブ3a、3bに当接することにより、規制部材29をアクチュエータ1に装着した際の規制部材29の方向が決まるようになっている。ストッパ部30a、30bの方向は、規制部25dによる駆動部材15の規制方向と、エンジンの振動方向とが一致するように形成されている。
【0068】
また、規制部材29は樹脂で形成され、その裏面には爪部31が樹脂で一体に設けられており、該爪部31をロワーカバー5の挿通穴28の周縁部にスナップフットで嵌合係止させることにより、規制部材29をロワーカバー5に固定するようになっている。
【0069】
なお、爪部31を設けずに、規制部材29の突出部29aを挿通穴28に圧入したり、接着したりして固定しても良い。
【0070】
上記以外の構造は、前記実施例1乃至4と同様であるので、前記と同様の符号を付して説明を省略する。
【0071】
本実施例における駆動部材15等の組付け工程は、前記実施例4と同様である。
また、本実施例5においても前記実施例1乃至4と同様の作用、効果を奏する。
【実施例6】
【0072】
図16は本発明の実施例6を示す。
本実施例6は、前記実施例4、5の規制部材25、29の別例を示すものである。
【0073】
本実施例6においても、ロワーカバー5の中心部には、図14に示すように、駆動部材15及び前記連結部材20等からなる連結手段15Aが挿通可能な挿通穴28が形成され、該挿通穴28の内周面形状は、円形状に形成されている。
【0074】
また、ロワーカバー5とは別に図16に示すような規制部材32を用意する。
この規制部材32の裏面(上面)には、ロワーカバー5の図1の下側から、前記挿通穴28に嵌合可能な突出部32aを有し、該突出部32aは前記挿通穴28と略同形に形成されている。また、前記実施例4の前記規制穴25cと同様の規制穴32cと、前記規制部25dと同様の規制部32dと、前記組付け用穴25eと同様の組付け用穴32eを有する。
【0075】
また、規制部材32の裏面には前記と同様の爪部33が設けられ、ロワーカバー5の挿通穴28の周縁部で、前記爪部33が嵌合する位置には、該爪部33が嵌まる径方向の凹部が形成されている。該凹部に該爪部をスナップフットで嵌合係止させることにより、規制部材32をロワーカバー5に周方向に回転させることなく固定するようになっている。この固定によって、規制部32dの位置を決めることができる。
【0076】
この爪部33と凹部の位置により、規制部材32をアクチュエータ1に装着した際の規制部材32の方向を決めることができ、規制部32dによる駆動部材15の規制方向と、エンジンの振動方向を一致させることができる。
【0077】
上記以外の構造は、前記実施例1乃至5と同様であるので、前記と同様の符号を付して説明を省略する。
【0078】
本実施例における駆動部材15等の組付け工程は、前記実施例4と同様である。
また、本実施例6においても前記実施例1乃至5と同様の作用、効果を奏する。
【0079】
なお、前記実施例における挿通穴12、24、28の形状は、前記の形状に限るものではなく、連結手段15Aの構造により、長円形など所望に設定するものである。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明のアクチュエータは、前記の自動車用エンジンの可変吸気装置のみならず、自動車のエンジンに用いる他の装置の制御や、更には自動車以外のエンジンの装置の制御にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施例1におけるアクチュエータの後面図。
【図2】本発明の実施例1におけるアクチュエータの側面図。
【図3】図2におけるA−A線断面図。
【図4】図1におけるB−B線断面図。
【図5】本発明の実施例1におけるアクチュエータの下面図。
【図6】図5における駆動部材と挿通穴の関係を示す図。
【図7】図5において、挿通穴に駆動部材及び連結ピンを挿通させた状態の拡大下面図。
【図8】図7の状態の後に、駆動部材を所定の位置に移動させた状態の拡大下面図。
【図9】本発明の実施例1に用いるロワーカバーと本体部を成形するための成形型を示す略断面図。
【図10】本発明の実施例2における挿通穴と駆動部材及び連結部との関係を示す図。
【図11】本発明の実施例4に用いるロワーカバーと本体部の下面図。
【図12】本発明の実施例4に用いる規制部材で、(a)は上面図、(b)は下面図、(c)は前面図、(d)は側面図。
【図13】本発明の実施例4におけるアクチュエータの下面図。
【図14】本発明の実施例5におけるアクチュエータから規制部材を除いた状態の下面図。
【図15】本発明の実施例5に用いる規制部材で、(a)は上面図、(b)は下面図、(c)は前面図、(d)は側面図。
【図16】本発明の実施例6に用いる規制部材で、(a)は上面図、(b)は下面図、(c)は前面図、(d)は側面図。
【符号の説明】
【0082】
1 アクチュエータ
2 ケーシング
5 ロワーカバー
6 ダイアフラム
12、22、24、28 挿通穴
12a、22b、25d、29d、32d 規制部(規制手段)
15 駆動部材
15a 連結部
20 連結部材(連結ピン)
25、29、32 規制部材(規制手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、該ケーシング内を区画するダイアフラムと、該ダイアフラムに連結され、他端が前記ケーシングを挿通して外部へ突出した駆動部材と、該駆動部材の他端に、該駆動部材より大きい部分を有する連結部とを有し、更に、前記ケーシングにおける駆動部材が挿通する部分に、前記駆動部材と前記連結部が挿通可能な挿通穴と、前記駆動部材の所定方向への振動を規制する規制手段とを有するアクチュエータであって、
該アクチュエータをエンジンに搭載した際の前記駆動部材の振動方向を定めて、
該振動方向と、前記規制手段による前記駆動部材の振動規制方向とが一致するように前記アクチュエータをエンジンに組付けることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
ケーシングと、該ケーシング内を区画するダイアフラムと、該ダイアフラムに連結され、他端が前記ケーシングを挿通して外部へ突出した駆動部材と、該駆動部材の他端に、該駆動部材より大きい部分を有する連結部と、該連結部に連結した連結部材とを有し、更に、前記ケーシングにおける駆動部材が挿通する部分に、前記駆動部材と前記連結部と前記連結部材が挿通可能な挿通穴と、前記駆動部材の所定方向への振動を規制する規制手段とを有するアクチュエータであって、
該アクチュエータをエンジンに搭載した際の前記駆動部材の振動方向を定めて、
該振動方向と、前記規制手段による前記駆動部材の振動規制方向とが一致するように前記アクチュエータをエンジンに組付けることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項3】
前記挿通穴を、前記駆動部材の軸方向における該駆動部材と前記連結部の投影形状より大きな形状に形成したことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記挿通穴を、前記駆動部材の軸方向における該駆動部材と前記連結部と前記連結部材の投影形状より大きな形状に形成したことを特徴とする請求項2記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記規制手段は、前記挿通穴の一部により構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記規制手段は、前記ケーシングとは別に設けた規制部材で構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記振動規制方向における前記規制手段と前記駆動部材との間隔を、前記駆動部材の振動振幅巾よりも小さくしたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項8】
ケーシングと、該ケーシング内を区画するダイアフラムと、該ダイアフラムに連結され、他端が前記ケーシングを挿通して外部へ突出した駆動部材と、該駆動部材の他端に、該駆動部材より大きい部分を有する連結部とを有し、更に、前記ケーシングにおける駆動部材が挿通する部分に、前記駆動部材と前記連結部が挿通可能な挿通穴と、前記駆動部材の所定方向への振動を規制する規制手段とを有するアクチュエータのロワーカバーを成形するための成形型であって、
前記挿通穴を形成するための成形型と、前記ロワーカバーを形成するための成形型を別体で形成したことを特徴とするアクチュエータのロワーカバーの成形型。
【請求項1】
ケーシングと、該ケーシング内を区画するダイアフラムと、該ダイアフラムに連結され、他端が前記ケーシングを挿通して外部へ突出した駆動部材と、該駆動部材の他端に、該駆動部材より大きい部分を有する連結部とを有し、更に、前記ケーシングにおける駆動部材が挿通する部分に、前記駆動部材と前記連結部が挿通可能な挿通穴と、前記駆動部材の所定方向への振動を規制する規制手段とを有するアクチュエータであって、
該アクチュエータをエンジンに搭載した際の前記駆動部材の振動方向を定めて、
該振動方向と、前記規制手段による前記駆動部材の振動規制方向とが一致するように前記アクチュエータをエンジンに組付けることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
ケーシングと、該ケーシング内を区画するダイアフラムと、該ダイアフラムに連結され、他端が前記ケーシングを挿通して外部へ突出した駆動部材と、該駆動部材の他端に、該駆動部材より大きい部分を有する連結部と、該連結部に連結した連結部材とを有し、更に、前記ケーシングにおける駆動部材が挿通する部分に、前記駆動部材と前記連結部と前記連結部材が挿通可能な挿通穴と、前記駆動部材の所定方向への振動を規制する規制手段とを有するアクチュエータであって、
該アクチュエータをエンジンに搭載した際の前記駆動部材の振動方向を定めて、
該振動方向と、前記規制手段による前記駆動部材の振動規制方向とが一致するように前記アクチュエータをエンジンに組付けることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項3】
前記挿通穴を、前記駆動部材の軸方向における該駆動部材と前記連結部の投影形状より大きな形状に形成したことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記挿通穴を、前記駆動部材の軸方向における該駆動部材と前記連結部と前記連結部材の投影形状より大きな形状に形成したことを特徴とする請求項2記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記規制手段は、前記挿通穴の一部により構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記規制手段は、前記ケーシングとは別に設けた規制部材で構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記振動規制方向における前記規制手段と前記駆動部材との間隔を、前記駆動部材の振動振幅巾よりも小さくしたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項8】
ケーシングと、該ケーシング内を区画するダイアフラムと、該ダイアフラムに連結され、他端が前記ケーシングを挿通して外部へ突出した駆動部材と、該駆動部材の他端に、該駆動部材より大きい部分を有する連結部とを有し、更に、前記ケーシングにおける駆動部材が挿通する部分に、前記駆動部材と前記連結部が挿通可能な挿通穴と、前記駆動部材の所定方向への振動を規制する規制手段とを有するアクチュエータのロワーカバーを成形するための成形型であって、
前記挿通穴を形成するための成形型と、前記ロワーカバーを形成するための成形型を別体で形成したことを特徴とするアクチュエータのロワーカバーの成形型。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−307969(P2006−307969A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−131207(P2005−131207)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)
【Fターム(参考)】
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