説明

アクチュエータ

【課題】新規な発想に基づくアクチュエータにおいて、ガタや衝撃音を発生させずに加工コストを低減する。
【解決手段】特定方向に運動する出力板104と、出力板104の運動方向と非平行に往復運動する2以上のキャリア106と、出力板104に形成された所定の繰り返し数で振幅する形状の段差部105と、段差部105に付勢されつつキャリア106と共に往復運動するローラ108と、キャリア106の各々を独立して所定の一方向にのみ駆動する電磁石112を有し、キャリア106の往復運動のうち、いずれか一方の運動は電磁石112により直接駆動され、他方の運動は段差部105から受ける反力により駆動されるようにアクチュエータを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ、より詳しくは入力部材の往復運動を特定の運動へと変換して出力可能な運動変換装置一体型のアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクチュエータの一部として機能する様々な種類の運動変換装置が開発され、市場で使用されている。例えば、回転運動を直線運動へと変換する運動変換装置として、ボールネジやラックピニオンが存在する。
【0003】
一方、直線運動を回転方向の運動へと変換するものとして、特許文献1に記載の運動変換装置が知られている。特許文献1に記載される運動変換装置を図12乃至図14に示す。図12は公知の運動変換装置1の斜視図である。この運動変換装置1は、ケーシングである支持部材2と、該支持部材の長手方向に貫通する形で往復運動する溝カム板6と、該溝カム板6に設けられた溝5と、この溝カム板6が往復運動(直線運動)するに伴って回転運動する回転軸4とを有している。
【0004】
図13に、この運動変換装置1の回転軸4に沿う断面図を示す。
【0005】
溝カム板6に設けられた溝5には、ボール8が嵌合しており、該ボール8を介して回転軸4の底面と接触している。このボール8は溝カム板6に設けられた溝5の本数と同じ数だけ存在している。
【0006】
図14に示すように、溝カム板6には、所定の曲線を描いた溝5が複数本設けられている。ここでは溝5は6本設けられている。このそれぞれの溝5に対応するようにボール8も6つ設けられている。このボール8は溝カム板6が往復運動することによって、溝5内を移動することが可能である。一方、このボール8は回転軸4との関係においてはその位置は固定されている。即ち、この運動変換装置1においては、溝カム板6が往復運動することによって、曲線を描いた溝5に沿って移動するボール8と共に、回転軸4が回転するように構成されている。
【0007】
【特許文献1】特開平7−224918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したボールネジの場合には、変換後の運動(出力される運動)が直線運動のみに限定され、例えば円弧に沿って揺動するような運動を出力することはできず、又、長ストローク化を図る場合には、ネジ部の撓み等によって精度が悪化してしまう。一方、ラックピニオンの場合には、歯車を使用するという機構上、ガタの問題が発生し、高精度の駆動には適していない。更に、ボールネジ及びラックピニオンいずれの場合にも、運動の変換比率(例えば減速比)を場所により変えることは不可能である。更に、上記で説明した運動変換装置1においては、確かに溝カム板6の往復運動を、回転軸4の回転運動に変換することはできても、その回転は、最大でも約360°までしか回転することができず、連続した回転を出力し続けることはできない。又、出力軸として機能する回転軸4の軸方向の一方には、溝カム板6が位置して往復運動していることから、この回転軸4を中空とした場合でも、その中空部分に配線等を貫通して通すことは不可能である。
【0009】
出願人はこれらの問題点を解消するべく、既に新規な発想のアクチュエータを出願済みである(特願2005−281414号)。
【0010】
本件出願人が既に出願したアクチュエータは、回転運動する出力部材と、前記出力部材の回転軸と平行に往復運動する2以上の入力部材と、前記出力部材の周方向に形成された所定の繰り返し数で振幅するガイド溝と、前記入力部材と共に往復運動しながら前記ガイド溝内を移動する移動体と、前記入力部材の各々を独立して駆動する動力源を有してなる回転アクチュエータである。この既出願のアクチュエータは、出力部材に所定のガイド溝が形成されており、当該ガイド溝内に嵌合する移動体(例えばボール)を溝の振幅方向の双方向に入力部材を介して駆動することで、出力部材の出力を得ているものである。
【0011】
更に、既出願のアクチュエータにおいては、ガイド溝と移動体の形状(大きさ)を調整することで、ガタなく運動を変換して出力することが可能であるが、調整には熟練した技術も必要であり、かかる側面においても、時間やコストが増大する要因となることが考えられる。
【0012】
本発明は、このような問題点を解決したアクチュエータを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、特定方向に運動する出力部材と、前記出力部材の運動方向と非平行に往復運動する2以上の入力部材と、前記出力部材に形成された所定の繰り返し数で振幅する形状の段差部と、前記段差部に付勢されつつ前記入力部材と共に往復運動する移動体と、前記入力部材の各々を独立して所定の一方向にのみ駆動する動力源を有し、前記入力部材の往復運動のうち、いずれか一方の運動は前記動力源により直接駆動され、他方の運動は前記段差部から受ける反力により駆動されるようにアクチュエータを構成することで、上記課題を解決するものである。
【0014】
本発明においては、入力部材を往復方向の双方に駆動するのではなく、常に一方向(移動体が段差部に付勢される方向)にのみ駆動することとし、常に移動体を段差部に付勢させ、移動体と段差部の接触・離反を防止している。又、入力部材の駆動力を場所によって変化させることによって出力部材も運動可能である。この構成は、2以上の入力部材を独立して駆動することによって初めて可能となるものである。
【0015】
なお、段差部の所定の「繰り返し数」とは、サイン波等の周期的に振幅するラインに沿った段差が、出力部材の運動方向(出力部材が円柱体や円筒体のような場合には、一周、即ち360度の間)に、繰り返される回数(最大値又は最小値の回数)のことを意味している。
【0016】
又、本発明では、段差部に常に移動体を付勢させているため、段差のような所謂「片溝」で十分であるが、通常の溝(両溝)を排除する趣旨のものではない。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、ガタや衝撃音を発生させることなく、新規な発想のアクチュエータの製造コストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下添付図面を用いて、本発明に係る実施形態の一例を詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態の一例であるアクチュエータ100の主要部分のみを模式的に示した全体斜視図である。このアクチュエータ100は、ベースとなるフレーム102と、直線運動する出力部材としての出力板104と、この出力板104の運動方向と非平行(本実施形態においては出力板の運動方向と直交する方向)に往復運動する複数のキャリア(入力部材)106と、この複数のキャリア106を駆動させるための電磁石(図1においては図示していない。)を有している。
【0020】
アクチュエータ100においては、キャリア106は、出力板104の側面に出力板104の運動方向に沿って3つ設けられている。この3つのキャリア106はそれぞれが、独立した電磁石112によって駆動され、出力板104の運動方向と非平行(図1においては上下方向)に往復運動可能とされている。
【0021】
又、出力板104はキャリア106の往復運動方向と平行な平面を有する板状体であって、当該平面(側面)には、一定の幅且つ所定の繰り返し数で振幅する形状の段差部105が形成されている。当該段差部は、見方を変えれば、片方のみ壁面を有する「片溝」である。このような片溝として構成することによって、出力部材の加工が容易となり、出力部材の加工に要する時間・コストが低減できる(図1においてはこの段差部105を図示していない)。
【0022】
次に図2及び図3を用いて説明する。
【0023】
図2は、アクチュエータ100の構造図である。又、図3(A)は、図2におけるIIIA−IIIA線に沿う断面図、図3(B)は、電磁石112の構成をより詳細に示した図である。
【0024】
出力板104は、ガイド116を介してフレーム102に支持されており、この出力板104はフレーム102に対して左右方向(図2における左右方向)にスライド可能とされている。なお、本実施形態においては、出力板104の一方の側面側にのみガイド116が設けられて支持されているが、他方側からも支持するように構成してもよく、そのようにすれば出力板104の支持剛性を向上させることができる。
【0025】
フレーム102には、1つのキャリア106に対して、2本の固定ヨーク114Lが立設されている。それぞれの固定ヨーク114Lには、導電性を有する材料が巻かれており、コイル113が形成されている。又、2本の固定ヨーク114Lを架橋するように、永久磁石115が架設されている。又、各キャリア106の底部には、導電性を有する材料によって可動ヨーク114Hが一体的に付設されている。これらコイル113、固定ヨーク114L、可動ヨーク114H、永久磁石115によって、電磁石112が形成されている。
【0026】
一方、出力板104の運動方向に沿って、位置を異ならせて配置される各キャリア106A、106B、106Cのそれぞれの間には、フレーム102と一体的に形成されたガイドバー103が配置されている。又、このガイドバー103と、各キャリア106A、106B、106Cとの間には、それぞれ、複数のころ110が備わっており、当該ころ110は、各キャリアが出力板104と非平行に往復運動する際の、往復運動方向のガイドとして機能している。
【0027】
各キャリア106には、移動体であるローラ108が備わっている。このローラ108は、キャリア106に対して回転自由とされている。このローラ108は、キャリア106と共に往復運動するように構成されている。又、このローラ108は、出力板104の側面に形成されている段差部105側に配置されており、当該ローラ108の転動面が段差部105に接触可能とされている。
【0028】
なお、図示はしないが、アクチュエータ100には、出力板104の位置(突出量)を検出可能なエンコーダが備わっている。
【0029】
続いて、アクチュエータ100の作用について説明する。
【0030】
アクチュエータ100の電源が入れられると、図示せぬドライバによって制御された電磁石112のコイル113に電流が流れる。これによりコイル113に磁界(磁力)が発生し、可動ヨーク114Hを吸引する。即ち、可動ヨーク114H、キャリア106を介してローラ108をコイル113側へと引き付ける力が発生する。各キャリア106に対応するそれぞれの電磁石112のコイル113に流れる電流の大きさ(交流電源の場合は電流の方向も変化する)は、出力板104の位置を監視するエンコーダからの情報を基にドライバにより適宜切り替えられる。その切り替えに応じてコイル113が発生する磁界の強さは変化する。なお、本実施形態におけるアクチュエータ100は、電源として交流電源を用いるものであるが、駆動源である電磁石112は、その一部に永久磁石115を備えていることから、電流の方向が反転する際にも、常に可動ヨーク114Hに対する吸引力が作用している。
【0031】
次に、上記各電磁石112の発生する磁界が変化することによって、出力板104が運動(スライド)する作用について図4を用いて説明する。図4は、出力板104の側面に形成された段差部105と、各ローラ108の位置関係を示したものである。
【0032】
第1ローラ108Aは第1キャリア106Aと一体化しており、第2ローラ108Bは第2キャリア106Bと一体化しており、第3ローラ108Cは第3キャリア106Cと一体化している(図2参照)。各キャリア106がコイル113側へと引き寄せられることによって、各キャリア106に備わっている各ローラ108もそれに伴い引き寄せられる。このとき各ローラ108の転動面は、出力板104の側面に形成された段差部105に当接するため、結果としてコイル113の磁界によって段差部105に付勢される。各コイル113の発生する磁界の大きさは適宜コントロールされて一様ではないため、例えば図4のように、第2ローラ108Bが段差部105に押し付けられる力F2が、第3ローラ108Cが段差部105に押し付けられる力F3よりも大きくなるように制御すれば、力F2によって出力板104を矢示した運動方向に作用する分力Fr2が、力F3によって出力板104を反運動方向に作用する分力Fr3に打ち勝って、結果として出力板104を矢示した運動方向に動かすこととなる。なお、図4の状態において、本実施形態における第3ローラ108Cに生じている力F3は、永久磁石115に起因する力のみであり、当該永久磁石115の磁力は、ローラ108が段差部105から離反しない程度の最小限の磁力に適宜調整されている。これをキャリア(入力部材)106の動きを中心にして換言すると、キャリア106の往復運動のうち、コイル113側へと引き寄せられる運動(いずれか一方の運動)は電磁石(動力源)112により直接駆動され、コイル113側から離れる方向の運動(他方の運動)は段差部105から受ける反力により駆動されている。又、上記では説明していないが、第1ローラ108Aにも、第3ローラ108Cと同様に、永久磁石115に起因する力(吸引力)が働いている。しかし、第1ローラ108Aが、ちょうど振幅する段差部の頂点に位置しているため、第1ローラ108Aが図4における下方向に駆動されたとしても、出力板104に対する運動方向への分力は発生し得ない。
【0033】
このようにして出力板104が運動(スライド)すると、その直後には第2ローラ108Bが段差部105のちょうど底辺のところに位置することになる。このときは、第2ローラ108Bに働く力F2が小さくなるようにコイル113に流れる電流を制御し、一方で、第1ローラ108Aに作用する力F1を大きくすることで、出力板104は運動し続けることが可能である。
【0034】
即ち、この実施形態におけるアクチュエータ100においては、常に全てのローラ108が出力板104の段差部105に付勢され、その付勢される力の大きさを変化させることによって、出力板104を運動させている。このように作用させることによって、アクチュエータ100の作動時において、ローラ108が段差部105から離反することはなく、ガタも生じない。又、離反後に再接触することもないため、衝撃音の発生もない。加えて、全てのローラ108が段差部105に接触していることによって、出力板104のトルク特性も向上する。なお、アクチュエータ100においては、運転時にローラを段差部に常時付勢させる目的で永久磁石115が利用されているが、この他にも、例えばコイルバネなどの機構的な作用によって、同様の効果を得ることも可能である。
【0035】
なお、前記説明した段差部105は、説明等の便宜上、出力板104の側面にわたって繰り返し数1又は2の振幅として説明している。しかし実際には、図5に示す例のような段差部105が形成される。図5における符号Wは、段差部105の振幅幅を示しており、符号Mは段差部105の1繰り返し単位(例えば最小値から次の最小値まで)に必要な運動方向の距離を示している。実際に出力板104に形成される段差部105は、振幅幅Wの値が1繰り返し単位に要する運動方向の距離Mの1/2(即ち、M/2)よりも大きくなるように設計される。これは、段差部105内を移動するローラ108が出力板104の運動方向と非平行に駆動された際に、この段差部105との接触角αが45度以下になることによって、出力板104の運動トルクを増幅させる作用が発揮できるからである。即ち、摩擦等の損失を考慮しなければ、キャリア106の駆動されるトルクよりも、出力板104の運動トルクを大きくして出力することができる。よって、この振幅幅Wの値は、段差部105の1繰り返し単位に要する運動方向の距離Mの1/2よりも大きいのが好ましい。この比率は、アクチュエータ100の用途等により適宜変更して構成可能である。
【0036】
なお、本実施形態においては、それぞれのキャリア106は、各々が独立した電磁石112によって直接駆動され、出力板104の運動方向と非平行に往復運動可能とされている。これにより、間接的に駆動された場合に比べて(例えば回転部材を介して駆動されるような場合に比べて)損失が少なく、装置全体としての伝達効率を向上させることができる。
【0037】
次に、図6に示す例のように、1つのキャリア106に対して、複数のローラ108を設けるような構成としても良い。このようにすれば、個々のローラ108に係る負荷が分散されることによって、ローラ108や段差部105の耐久性を向上させることが可能であると共に、伝達容量を増大することが可能となる。図6における実施例においては、各キャリア106に対して2つのローラ108を設けているが、これに限られる趣旨のものではなく、3つ以上であれば更に上述のメリットは大きくなる。
【0038】
なお、段差部105の振幅形状は、図4乃至図6で説明したような形状のものに限られるものではない。例えば、図7に示すように、波形の一部が直線状に形成されていても良い。このような形状の段差部とすれば、段差部自体の加工も更に容易となり、駆動時におけるローラに対する負荷変動を少なく抑えることが可能となる。又、キャリアの往復運動を制御しやすいというメリットもある。
【0039】
又、移動体としてローラ108を例にして説明しているが、装置の使用目的や規模によっては、例えば球体や、回転しない円柱状(円筒状)のものを一体的に設けてもよい。
【0040】
又、アクチュエータ100のように、キャリア106の数を3の整数倍の数設けるようにすれば、広く一般に利用される三相モータドライバにより駆動源となる電磁石の電流制御を行なうことが可能となるため、別途ドライバを専用に用意する必要が無い。又、交流電源でなく、直流電源によって電磁石を駆動してもよい。
【0041】
前述したアクチュエータ100のようにキャリアの駆動源として電磁石を用いた場合には、単位体積当りの推力を大きくとることができる。
【0042】
なお、出力板の形状は、上述した実施形態のように直線状のものに限定されるものではなく、図8に示したように、所定の半径を有する円弧に沿って湾曲している板状体を出力板304として構成してもよい。このように構成することにより、揺動運動(円弧に沿った運動)を出力することが可能となる。
【0043】
又、図9に示すように、出力部材を回転する円筒状の部材として構成してもよい。このような構成を採れば、連続回転を出力でき、更に出力部材のホロー部分に配線等を通して使用することが可能となる。
【0044】
更に、完全な円筒の出力部材ではなく、図10に示したように、円筒の一部が出力板604となるように構成してもよい。即ち、当該出力板604を、所定の半径を有する円弧に沿って湾曲した板状体として構成し、当該板状体の湾曲面に段差部を形成することによって、所定の半径を有する円弧に沿って出力(揺動)するアクチュエータ600を構成することができる。この実施形態を更に発展させて、図11に示すように、アクチュエータ600を対向に組み合わせ、それぞれの出力板604を連結部材630で連結すれば、連結部材630上に種々の物を配置して回転させることが可能となる。
【0045】
なお、図示はしないが、上述の各実施形態の応用例として、電磁石の代わりに、電気的入力を機械的往復振動に直接変換可能な磁石可動形リニア振動運動変換装置(Moving-Magnet-Type Linear Oscillatory Actuator,LOA)を動力源として用いれば、汎用ドライバを利用して制御性が良好となる。
【0046】
又、各アクチュエータは、連続した運動(スライド運動、回転運動)を出力し続けるだけでなく、キャリアを制御することによって、例えばステッピングモータのように機能させることも可能である。このとき、出力部材に形成される段差部の繰り返し数を多くとることで、1繰り返し単位当りの運動方向(周方向)の距離を短くすることができ、より細かなステップで位置を制御することが可能となる。
【0047】
なお、本明細書において今までに説明した各アクチュエータにおいては、キャリアは3つ設けられ、それに伴いローラ(移動体)も3つ設けられて構成されていたが、最低限2つずつ設けられていることによって、本発明の目的は達成し得る。即ち、常時最低限1つのローラ(移動体)が段差部を介して出力部材を運動(スライド運動、回転運動)させるための力(その他のローラが発生する反運動方向の分力に打ち勝つことができる分力)を発生している限りにおいて、出力部材の運動(回転運動)を維持しつつけることができるからである。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、アクチュエータとして広く一般に利用でき、特に、ロボットの関節部等への利用が適している。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係るアクチュエータの主要部品を示した全体斜視図
【図2】アクチュエータ100の構造図
【図3】(A)は、図2におけるIIIA−IIIA線に沿う断面図、図3(B)は、電磁石の構成をより詳細に示した図
【図4】図2における出力板、段差部、ローラの位置関係を示す図
【図5】現実的な段差部の構成例
【図6】1つのキャリアに対して複数のローラを配置した場合の出力板、段差部、ローラの関係図
【図7】段差部の一部を直線とした場合の構成例
【図8】本発明の他の実施形態(出力部材が所定の半径を有する円弧に沿って湾曲している板状体の実施形態その1)にかかるアクチュエータの主要部品を示した全体斜視図
【図9】本発明の更に他の実施形態(出力部材が回転する円筒体の実施形態)にかかるアクチュエータの主要部品を示した全体斜視図
【図10】本発明の更に他の実施形態(出力部材が所定の半径を有する円弧に沿って湾曲している板状体の実施形態その2)にかかるアクチュエータの主要部品を示した全体斜視図
【図11】図10におけるアクチュエータの発展使用例
【図12】特許文献1に記載される運動変換装置の全体斜視図
【図13】図12における回転軸に沿う断面図
【図14】特許文献1記載の運動変換装置における溝カム板と回転軸との関係図
【符号の説明】
【0050】
100…アクチュエータ
102…フレーム
103…ガイドバー
104…出力板
105…段差部
106…キャリア
108…ローラ(移動体)
110…ころ
112…電磁石(駆動源)
113…コイル
114H…可動ヨーク
114L…固定ヨーク
115…永久磁石
116…ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定方向に運動する出力部材と、
前記出力部材の運動方向と非平行に往復運動する2以上の入力部材と、
前記出力部材に形成された所定の繰り返し数で振幅する形状の段差部と、
前記段差部に付勢されつつ前記入力部材と共に往復運動する移動体と、
前記入力部材の各々を独立して所定の一方向にのみ駆動する動力源を有し、
前記入力部材の往復運動のうち、いずれか一方の運動は前記動力源により直接駆動され、他方の運動は前記段差部から受ける反力により駆動される
ことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
請求項1において、
前記移動体がローラである
ことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記出力部材が前記入力部材の往復運動方向と平行な平面を有する板状体であって、
前記段差部が前記平面に形成されている
ことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項4】
請求項3において、
前記板状体が所定の半径を有する円弧に沿って湾曲している
ことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項5】
請求項1又は2において、
前記出力部材が前記入力部材の往復運動方向と平行な回転軸を中心に回転運動する円筒体であって、
前記段差部が前記円筒体の周方向に形成されている
ことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項6】
請求項1又は2において、
前記出力部材が所定の半径を有する円弧に沿って湾曲した板状体であって、
前記段差部が前記板状体の湾曲面に形成されている
ことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記段差部の振幅が前記所定の繰り返し数における1/2単位の繰り返しに必要な前記出力部材の運動方向の距離よりも大である
ことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記段差部の少なくとも一部が直線状である
ことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかにおいて、
前記動力源が電磁石であって、その構成要素の一部が永久磁石である
ことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれかにおいて、
前記動力源がリニア振動アクチュエータである
ことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかにおいて、
前記入力部材が3の整数倍の数設けられており、
前記動力源が3相モータドライバにより電流制御されている
ことを特徴とするアクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−120750(P2007−120750A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−214978(P2006−214978)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】