アクティブ制御キャパシタ装置
【課題】容量の小さなキャパシタを能動的に制御することにより、等価的に大きなキャパシタと同等の平滑作用をさせるアクティブ制御キャパシタ装置を提供する。
【解決手段】直流負荷の両端に接続された第1のキャパシタと、第1のスイッチ回路と、第1のスイッチ回路に直列接続された第2のスイッチ回路と、第1のスイッチ回路と第2のスイッチ回路が直列接続された回路の両端に接続された第2のキャパシタと、第1のスイッチ回路と第2のスイッチ回路との接続点と、第1のキャパシタの正側端子との間に接続された第1のリアクトルと、を含み、第1のキャパシタの負側端子と第2のキャパシタの負側端子とが共通接続される昇圧型の電流可逆チョッパ回路を含み、前記キャパシタ電流を能動的に制御することを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置。
【解決手段】直流負荷の両端に接続された第1のキャパシタと、第1のスイッチ回路と、第1のスイッチ回路に直列接続された第2のスイッチ回路と、第1のスイッチ回路と第2のスイッチ回路が直列接続された回路の両端に接続された第2のキャパシタと、第1のスイッチ回路と第2のスイッチ回路との接続点と、第1のキャパシタの正側端子との間に接続された第1のリアクトルと、を含み、第1のキャパシタの負側端子と第2のキャパシタの負側端子とが共通接続される昇圧型の電流可逆チョッパ回路を含み、前記キャパシタ電流を能動的に制御することを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容量の小さなキャパシタを能動的に制御することにより、等価的に大きなキャパシタと同等の平滑作用をさせるアクティブ制御キャパシタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、整流回路等に用いられるキャパシタは、その平滑作用を向上させるために容量を増やす手段がとられていた。しかしながら、キャパシタの容量を増大するためには、寿命の点で問題のある電解コンデンサを用いる必要があり、装置の大型化とコストの上昇を招くなどの問題点があった。
【0003】
このため、本発明者らは、過去の研究において、電流可逆チョッパ回路と平滑キャパシタを組み合わせ、平滑キャパシタの充放電制御をするアクティブ制御法を提案した(非特許文献1参照。)。図14に、非特許文献1にて提案した制御システムの概略図を示す。これは、平滑キャパシタの端子電圧を検出して、電圧脈動が抑制できるように電流可逆チョッパ回路をスイッチ制御することにより平滑動作をさせる。
【0004】
【非特許文献1】浅井、北條、大西「平滑用キャパシタのアクティブ制御」平成15年電気学会全国講演論文集4−078
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、非特許文献1に提案の技術から派生して、より有効な制御法を研究した結果、本発明に到達した。即ち、本発明の目的は、容量の小さなキャパシタを能動的に制御することにより、等価的に大きなキャパシタと同等の平滑作用をさせるアクティブ制御キャパシタ装置において、より有効な装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点では、本発明は、エネルギー蓄積要素としてのキャパシタを有する電流可逆チョッパ回路を含み、前記キャパシタ電流を能動的に制御することを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置を提供する。
上記第1の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置では、電流可逆チョッパ回路が有するキャパシタに流れる電流を電流可逆チョッパ回路のスイッチングにより能動的に制御することにより、キャパシタの充放電の制御、すなわちキャパシタ容量の有効活用を可能とする。
【0007】
第2の観点では、本発明は、第1の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置において、電流可逆チョッパ回路は、直流負荷の両端に接続された第1のキャパシタと、第1のスイッチ回路と、第1のスイッチ回路に直列接続された第2のスイッチ回路と、第1のスイッチ回路と第2のスイッチ回路が直列接続された回路の両端に接続された第2のキャパシタと、第1のスイッチ回路と第2のスイッチ回路との接続点と、第1のキャパシタの正側端子との間に接続された第1のリアクトルと、を含み、第1のキャパシタの負側端子と第2のキャパシタの負側端子とが共通接続される昇圧型の電流可逆チョッパ回路であることを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置を提供する。
上記第2の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置では、電流可逆チョッパ回路が昇圧型であり、例えば、図1に示す回路構成とすることができる。なお、各スイッチ回路(11、12)は、方向性を有するスイッチング素子(たとえば、IGBTであり、図中の11aと12a。)と、このスイッチング素子(11a、12a)に逆並列接続されたダイオード(11b、12b)を用いて実現できる。ここで、図1の回路は、各スイッチ回路(11、12)の各スイッチング素子(11a、12a)のオンオフ切り替えにより、いくつかの接続状態が可能であり、例えば、図2(a)、(b)に示す2種類の接続状態が可能である。図2(a)は、第1のスイッチ回路(11)がオフ、第2のスイッチ回路(12)がオン、図2(b)は、第1のスイッチ回路(11)がオンで第2のスイッチ回路(12)がオフ時の接続状態を示す。
次に、図2を用いて、第2のキャパシタ(14)の充放電の原理を説明する。なお、図2には、点線にて代表的な電流の流れを示す。まず、図2(a)では、第2のスイッチ回路(12)が短絡状態のため、点線で示すように、第1のリアクトル(15)を流れる電流が第2のスイッチ回路(12)を経て直流負荷(30)端へスルーする。次に、図2(b)で示すように、第2のスイッチ回路(12)をオフとすると、第1のリアクトル(15)に流れる電流は、第1のスイッチ回路(11)のダイオードを通過し、点線の経路にて第2のキャパシタ(14)を充電する。また、図2(b)では、第2のキャパシタ(14)に十分な電荷が充電されると、第1のスイッチ回路(11)がオンであるため、第1のスイッチ回路(11)と第1のリアクトル(15)を経て点線の経路にて放電が可能となる。よって、これらの接続状態を切り替えることにより、第2のキャパシタ(14)の充放電を制御することができる。
【0008】
第3の観点では、本発明は、第2の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置において、電流可逆チョッパ回路は、第1のキャパシタに流れる電流量を零に近づけるスイッチングを行うことを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置を提供する。
上記第3の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置では、電流可逆チョッパ回路にて、第1のキャパシタに流れる電流量が零に近づくスイッチングを行うことにより、直流負荷電圧の変動を小さく抑えることを特徴とする。
【0009】
第4の観点では、本発明は、第2または第3の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置において、電流可逆チョッパ回路は、第1のリアクトルに流れる電流量が、第1のキャパシタに流れる電流量のゲイン倍となるスイッチングを行うことを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置を提供する。
上記第4の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置では、電流可逆チョッパ回路のスイッチングにて、第1のリアクトルに流れる電流量を第1のキャパシタに流れる電流量のゲイン倍とすることで、第2のキャパシタを、第1のキャパシタにとっておよそゲイン倍のミラー的なキャパシタとして動作させることを特徴とする。
【0010】
第5の観点では、本発明は、第2〜4のいずれかの観点によるアクティブ制御キャパシタ装置において、電流可逆チョッパ回路は、第1のリアクトルに流れる電流量および/または第2のキャパシタにかかる電圧量が許容値を超えないスイッチングを行うことを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置を提供する。
上記第5の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置では、第1のリアクトルに流れる電流量および/または第2のキャパシタにかかる電圧量を検知し、それらの量が、素子の耐圧や回路の仕様等により定まる許容値内におさまるように電流可逆チョッパ回路のスイッチングを行う。
【0011】
第6の観点では、本発明は、第1の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置において、電流可逆チョッパ回路は、第3のスイッチ回路と、第3のスイッチ回路に直列接続された第4のスイッチ回路と、第3のスイッチ回路と第4のスイッチ回路が直列接続された回路の両端に接続された第3のキャパシタと、負側端子が第3のキャパシタの負側端子と共通接続される第4のキャパシタと、第3のスイッチ回路と第4のスイッチ回路との接続点と、第4のキャパシタの正側端子との間に接続された第2のリアクトルと、を含み、第3のキャパシタの両端が直流負荷に接続される降圧型の電流可逆チョッパ回路であることを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置を提供する。
上記第6の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置では、電流可逆チョッパ回路が降圧型であり、例えば、図3に示す回路構成とすることができる。なお、各スイッチ回路(21、22)は、方向性を有するスイッチング素子(たとえば、IGBTであり、図中の21aと22a。)と、このスイッチング素子(21a、22a)に逆並列接続されたダイオード(21b、22b)を用いて実現できる。ここで、図3の回路は、各スイッチ回路(21、22)の各スイッチング素子(21a、22a)のオンオフ切り替えにより、いくつかの接続状態が可能であり、例えば、図4(a)、(b)に示す2種類の接続状態が可能である。図4(a)は、第3のスイッチ回路(21)がオン、第4のスイッチ回路(22)がオフ、図4(b)は、第3のスイッチ回路(21)がオフで第4のスイッチ回路(22)がオン時の接続状態を示す。
次に、図4を用いて、第4のキャパシタ(24)の充放電の原理を説明する。なお、図4には、点線にて代表的な電流の流れを示す。まず、図4(a)では、第3のスイッチ回路(21)が短絡状態のため、点線で示すように、直流負荷(30)の正側端子からの電流が、第3のスイッチ回路(21)と第2のリアクトル(25)を経て、第4のキャパシタ(24)を充電する。次に、図4(b)で示すように、第3のスイッチ回路(21)をオフとすると、第4のキャパシタ(24)への充電は止まり、また、同時に第4のスイッチ回路(22)を短絡とするため、第2のリアクトル(25)に流れる電流が第4のキャパシタ(24)と第4のスイッチ回路(22)を経て点線の経路にて循環する。そして、第2のリアクトル(25)から第4のキャパシタ(24)にエネルギーが蓄積されてから、再び第4のスイッチ回路(22)をオフとすると、第2のリアクトル(25)と第3のスイッチ回路(21)のダイオードを経て、図4(a)に示す点線の経路にて第4のキャパシタ(24)の放電が可能となる。よって、これらの接続状態を切り替えることにより、第4のキャパシタ(24)の充放電を制御することができる。
【0012】
第7の観点では、本発明は、第6の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置において、電流可逆チョッパ回路は、第3のキャパシタに流れる電流量を零に近づけるスイッチングを行うことを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置を提供する。
上記第7の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置では、電流可逆チョッパ回路にて、第3のキャパシタに流れる電流量が零に近づくスイッチングを行うことにより、直流負荷電圧の変動を小さく抑えることを特徴とする。
【0013】
第8の観点では、本発明は、第6または第7の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置において、電流可逆チョッパ回路は、第3のスイッチ回路に流れる電流の平均量が、第3のキャパシタに流れる電流量のゲイン倍となるスイッチングを行うことを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置を提供する。
上記第8の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置では、電流可逆チョッパ回路のスイッチングにて、第3のスイッチ回路に流れる電流の平均量を第3のキャパシタに流れる電流量のゲイン倍とすることで、第4のキャパシタを、第3のキャパシタにとっておよそゲイン倍のミラー的なキャパシタとして動作させることを特徴とする。
【0014】
第9の観点では、本発明は、第6〜8のいずれかの観点によるアクティブ制御キャパシタ装置において、電流可逆チョッパ回路は、第3のスイッチ回路に流れる電流の平均量および/または第4のキャパシタにかかる電圧量が許容値を超えないスイッチングを行うことを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置を提供する。
上記第9の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置では、第3のスイッチ回路に流れる電流の平均量および/または第4のキャパシタにかかる電圧量を検知し、それらの量が、素子の耐圧や回路の仕様等により定まる許容値内におさまるように電流可逆チョッパ回路のスイッチングを行う。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、容量の小さなキャパシタの充放電を能動的に制御することにより、容量の小さなキャパシタの並列合成容量よりも大きな容量のキャパシタとして平滑作用を実現できる。このため、例えば、平滑用キャパシタを有する電源装置であれば、コンデンサの小型化による装置の小型化が可能であり、また、コンデンサを小型化せずに同容量のコンデンサを用いるのであれば、平滑作用を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0017】
(第1の実施の形態)
商用交流電源からAC−DC変換器により直流電源を取り出す直流電源装置において、直流負荷端に接続される平滑用コンデンサのかわりに本発明のアクティブ制御キャパシタ装置を接続する。これにより、例えば、本発明のアクティブ制御キャパシタ装置に備わるキャパシタの静電容量の合計が、平滑用コンデンサを単体で用いる場合の静電容量と同じである場合、直流負荷端の電圧変動を、平滑用コンデンサを単体で用いる場合に比べ、より抑えることができる。すなわち、平滑用コンデンサを単体で用いる場合と同等の平滑動作であれば、静電容量の低いコンデンサの組み合わせにより実現することができる。
【0018】
(第2の実施の形態)
商用交流電源からAC−DC変換器により直流に変換される電力系統において、本発明のアクティブ制御キャパシタ装置を直流負荷端に接続することにより、瞬時停電補償装置として用いることができる。
【0019】
(第3の実施の形態)
本発明のアクティブ制御キャパシタ装置において、電流可逆チョッパ回路が昇圧型である場合、第2のキャパシタのかわりに、回路の使用条件範囲内の起電力を有する直流電圧源を用いることができる。
【0020】
(第4の実施の形態)
本発明のアクティブ制御キャパシタ装置において、電流可逆チョッパ回路が降圧型である場合、第4のキャパシタのかわりに、回路の使用条件範囲内の起電力を有する直流電圧源を用いることができる。
【0021】
以下、本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0022】
本発明のアクティブ制御キャパシタ装置において、電流可逆チョッパ回路が昇圧型であり、チョッパ回路をPWM制御する場合に、第1のキャパシタに流れる電流値を通流幅の演算にフィードバックし、場合によっては、過電圧、過電流保護や通流幅の演算のために、第1のリアクトルに流れる電流値および/または第2のキャパシタにかかる電圧値をPWM制御にフィードバックした場合の装置構成概略図を図5に示す。図5にて、40は、PWM信号を演算して各スイッチング素子(11a、12a)にスイッチング信号を出力するPWM制御部、41は、第1のキャパシタ(13)に流れる電流値を検出する第1の電流検出器、42は、第1のリアクトル(15)に流れる電流値を検出する第2の電流検出器、43は、第2のキャパシタ(14)にかかる電圧値を検出する第1の電圧検出器である。PWM制御部(40)は、スイッチング信号を演算する際、第1の電流検出器(41)からの検出値を用い、場合によっては、第2の電流検出器(42)および/または第1の電圧検出器(43)からの検出値を演算に用いる。
【0023】
図5の装置構成において、交流電源電圧の実行値が100[V]、交流電源周波数が60[Hz]、直流負荷の抵抗値が100[Ω]、負荷側のインダクタンスが0.5[mH]、第1のキャパシタ容量が50[μF]、第2のキャパシタ容量が200[μF]、第1のリアクトルのインダクタンスが0.2[mH]、第1のリアクトルに流れる電流の許容値が10[A]、第2のキャパシタにかかる電圧の許容値が400[V]、PWM制御のスイッチング周波数が15[kHz]の条件にて、第1の電流検出器(41)の電流値が零に近づくようにPWM制御部(40)にて通流幅を制御した場合のシミュレーション結果を図6に示す。図6中のVdは、負荷端での電圧、VHは、第2のキャパシタ端での電圧の時間経過である。また、比較のため、本発明のアクティブ制御キャパシタ装置のかわりに、キャパシタ容量250[μF]のコンデンサを単体で直流負荷端に接続した場合の負荷端での電圧のシミュレーション結果を図7のVd1にて示す。これより、Vd1に比べ、Vdの変動が抑えられていることがわかる。
【実施例2】
【0024】
実施例1と同じ図5の装置構成において、交流電源電圧の実行値が100[V]、交流電源周波数が60[Hz]、直流負荷の抵抗値が200[Ω]、負荷側のインダクタンスが0.5[mH]、第1のキャパシタ容量が50[μF]、第2のキャパシタ容量が200[μF]、第1のリアクトルのインダクタンスが0.2[mH]、PWM制御のスイッチング周波数が15[kHz]の条件にて、第2の電流検出器(42)の電流値が第1の電流検出器(41)の電流値のゲイン倍となるようにPWM制御部(40)にて通流幅を制御した場合のシミュレーション結果を図8に示す。図8中のVdは、負荷端での電圧、VHは、第2のキャパシタ端での電圧の時間経過である。また、比較のため、本発明のアクティブ制御キャパシタ装置のかわりに、キャパシタ容量250[μF]のコンデンサを単体で直流負荷端に接続した場合の負荷端での電圧のシミュレーション結果を図9のVd2にて示す。これより、Vd2に比べ、Vdの変動が抑えられていることがわかる。また、本発明のアクティブ制御キャパシタ装置のかわりに、キャパシタ容量10000[μF]のコンデンサを単体で直流負荷端に接続した場合の負荷端での電圧のシミュレーション結果を図10のVd3にて示す。これより、Vdは、Vd3と同等の変動に抑えられていることがわかる。
【実施例3】
【0025】
実施例1と同じ図5の装置構成において、直流基準電圧が50[V]、交流電源周波数が60[Hz]、直流負荷の抵抗値が100[W]時に25[Ω]、負荷側のインダクタンスが0.5[mH]、第1のキャパシタ容量が100[μF]、第2のキャパシタ容量が220[μF]、第1のリアクトルのインダクタンスが0.5[mH]、PWM制御のスイッチング周波数が20[kHz]の条件にて、第1の電流検出器(41)の電流値が零に近づくようにPWM制御部(40)にて通流幅を制御した場合の実験結果を図11に示す。図11中のVdは、負荷端での電圧、VHは、第2のキャパシタ端での電圧の時間経過である。また、比較のため、本発明のアクティブ制御キャパシタ装置のかわりに、キャパシタ容量320[μF]のコンデンサを単体で直流負荷端に接続した場合の負荷端での電圧の実験結果を図12のVd4にて示す。これより、Vd4に比べ、Vdの変動が抑えられていることがわかる。また、本発明のアクティブ制御キャパシタ装置のかわりに、キャパシタ容量2300[μF]のコンデンサを単体で直流負荷端に接続した場合の負荷端での電圧の実験結果を図13のVd5にて示す。これより、Vdは、Vd5と同等の変動に抑えられていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第2の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置の回路構成例である。
【図2】図1の回路構成例のスイッチングによる接続状態例である。
【図3】第6の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置の回路構成例である。
【図4】図3の回路構成例のスイッチングによる接続状態例である。
【図5】実施例1に係る装置構成概略図である。
【図6】実施例1に係る装置のシミュレーション結果例である。
【図7】図6の結果例の比較例である。
【図8】実施例2に係る装置のシミュレーション結果例である。
【図9】図8の結果例の比較例である。
【図10】図8の結果例の比較例である。
【図11】実施例3に係る装置の実験結果例である。
【図12】図11の結果例の比較例である。
【図13】図11の結果例の比較例である。
【図14】非特許文献1にて提案した制御システムの概略図である。
【符号の説明】
【0027】
10…昇圧型電流可逆チョッパ回路
11…第1のスイッチ回路
11a…IGBT
11b…ダイオード
12…第2のスイッチ回路
12a…IGBT
12b…ダイオード
13…第1のキャパシタ
14…第2のキャパシタ
15…第1のリアクトル
20…降圧型電流可逆チョッパ回路
21…第3のスイッチ回路
21a…IGBT
21b…ダイオード
22…第4のスイッチ回路
22a…IGBT
22b…ダイオード
23…第3のキャパシタ
24…第4のキャパシタ
25…第2のリアクトル
30…直流負荷
40…PWM制御部
41…第1の電流検出器
42…第2の電流検出器
43…第1の電圧検出器
100…アクティブ制御キャパシタ装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、容量の小さなキャパシタを能動的に制御することにより、等価的に大きなキャパシタと同等の平滑作用をさせるアクティブ制御キャパシタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、整流回路等に用いられるキャパシタは、その平滑作用を向上させるために容量を増やす手段がとられていた。しかしながら、キャパシタの容量を増大するためには、寿命の点で問題のある電解コンデンサを用いる必要があり、装置の大型化とコストの上昇を招くなどの問題点があった。
【0003】
このため、本発明者らは、過去の研究において、電流可逆チョッパ回路と平滑キャパシタを組み合わせ、平滑キャパシタの充放電制御をするアクティブ制御法を提案した(非特許文献1参照。)。図14に、非特許文献1にて提案した制御システムの概略図を示す。これは、平滑キャパシタの端子電圧を検出して、電圧脈動が抑制できるように電流可逆チョッパ回路をスイッチ制御することにより平滑動作をさせる。
【0004】
【非特許文献1】浅井、北條、大西「平滑用キャパシタのアクティブ制御」平成15年電気学会全国講演論文集4−078
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、非特許文献1に提案の技術から派生して、より有効な制御法を研究した結果、本発明に到達した。即ち、本発明の目的は、容量の小さなキャパシタを能動的に制御することにより、等価的に大きなキャパシタと同等の平滑作用をさせるアクティブ制御キャパシタ装置において、より有効な装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点では、本発明は、エネルギー蓄積要素としてのキャパシタを有する電流可逆チョッパ回路を含み、前記キャパシタ電流を能動的に制御することを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置を提供する。
上記第1の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置では、電流可逆チョッパ回路が有するキャパシタに流れる電流を電流可逆チョッパ回路のスイッチングにより能動的に制御することにより、キャパシタの充放電の制御、すなわちキャパシタ容量の有効活用を可能とする。
【0007】
第2の観点では、本発明は、第1の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置において、電流可逆チョッパ回路は、直流負荷の両端に接続された第1のキャパシタと、第1のスイッチ回路と、第1のスイッチ回路に直列接続された第2のスイッチ回路と、第1のスイッチ回路と第2のスイッチ回路が直列接続された回路の両端に接続された第2のキャパシタと、第1のスイッチ回路と第2のスイッチ回路との接続点と、第1のキャパシタの正側端子との間に接続された第1のリアクトルと、を含み、第1のキャパシタの負側端子と第2のキャパシタの負側端子とが共通接続される昇圧型の電流可逆チョッパ回路であることを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置を提供する。
上記第2の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置では、電流可逆チョッパ回路が昇圧型であり、例えば、図1に示す回路構成とすることができる。なお、各スイッチ回路(11、12)は、方向性を有するスイッチング素子(たとえば、IGBTであり、図中の11aと12a。)と、このスイッチング素子(11a、12a)に逆並列接続されたダイオード(11b、12b)を用いて実現できる。ここで、図1の回路は、各スイッチ回路(11、12)の各スイッチング素子(11a、12a)のオンオフ切り替えにより、いくつかの接続状態が可能であり、例えば、図2(a)、(b)に示す2種類の接続状態が可能である。図2(a)は、第1のスイッチ回路(11)がオフ、第2のスイッチ回路(12)がオン、図2(b)は、第1のスイッチ回路(11)がオンで第2のスイッチ回路(12)がオフ時の接続状態を示す。
次に、図2を用いて、第2のキャパシタ(14)の充放電の原理を説明する。なお、図2には、点線にて代表的な電流の流れを示す。まず、図2(a)では、第2のスイッチ回路(12)が短絡状態のため、点線で示すように、第1のリアクトル(15)を流れる電流が第2のスイッチ回路(12)を経て直流負荷(30)端へスルーする。次に、図2(b)で示すように、第2のスイッチ回路(12)をオフとすると、第1のリアクトル(15)に流れる電流は、第1のスイッチ回路(11)のダイオードを通過し、点線の経路にて第2のキャパシタ(14)を充電する。また、図2(b)では、第2のキャパシタ(14)に十分な電荷が充電されると、第1のスイッチ回路(11)がオンであるため、第1のスイッチ回路(11)と第1のリアクトル(15)を経て点線の経路にて放電が可能となる。よって、これらの接続状態を切り替えることにより、第2のキャパシタ(14)の充放電を制御することができる。
【0008】
第3の観点では、本発明は、第2の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置において、電流可逆チョッパ回路は、第1のキャパシタに流れる電流量を零に近づけるスイッチングを行うことを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置を提供する。
上記第3の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置では、電流可逆チョッパ回路にて、第1のキャパシタに流れる電流量が零に近づくスイッチングを行うことにより、直流負荷電圧の変動を小さく抑えることを特徴とする。
【0009】
第4の観点では、本発明は、第2または第3の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置において、電流可逆チョッパ回路は、第1のリアクトルに流れる電流量が、第1のキャパシタに流れる電流量のゲイン倍となるスイッチングを行うことを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置を提供する。
上記第4の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置では、電流可逆チョッパ回路のスイッチングにて、第1のリアクトルに流れる電流量を第1のキャパシタに流れる電流量のゲイン倍とすることで、第2のキャパシタを、第1のキャパシタにとっておよそゲイン倍のミラー的なキャパシタとして動作させることを特徴とする。
【0010】
第5の観点では、本発明は、第2〜4のいずれかの観点によるアクティブ制御キャパシタ装置において、電流可逆チョッパ回路は、第1のリアクトルに流れる電流量および/または第2のキャパシタにかかる電圧量が許容値を超えないスイッチングを行うことを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置を提供する。
上記第5の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置では、第1のリアクトルに流れる電流量および/または第2のキャパシタにかかる電圧量を検知し、それらの量が、素子の耐圧や回路の仕様等により定まる許容値内におさまるように電流可逆チョッパ回路のスイッチングを行う。
【0011】
第6の観点では、本発明は、第1の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置において、電流可逆チョッパ回路は、第3のスイッチ回路と、第3のスイッチ回路に直列接続された第4のスイッチ回路と、第3のスイッチ回路と第4のスイッチ回路が直列接続された回路の両端に接続された第3のキャパシタと、負側端子が第3のキャパシタの負側端子と共通接続される第4のキャパシタと、第3のスイッチ回路と第4のスイッチ回路との接続点と、第4のキャパシタの正側端子との間に接続された第2のリアクトルと、を含み、第3のキャパシタの両端が直流負荷に接続される降圧型の電流可逆チョッパ回路であることを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置を提供する。
上記第6の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置では、電流可逆チョッパ回路が降圧型であり、例えば、図3に示す回路構成とすることができる。なお、各スイッチ回路(21、22)は、方向性を有するスイッチング素子(たとえば、IGBTであり、図中の21aと22a。)と、このスイッチング素子(21a、22a)に逆並列接続されたダイオード(21b、22b)を用いて実現できる。ここで、図3の回路は、各スイッチ回路(21、22)の各スイッチング素子(21a、22a)のオンオフ切り替えにより、いくつかの接続状態が可能であり、例えば、図4(a)、(b)に示す2種類の接続状態が可能である。図4(a)は、第3のスイッチ回路(21)がオン、第4のスイッチ回路(22)がオフ、図4(b)は、第3のスイッチ回路(21)がオフで第4のスイッチ回路(22)がオン時の接続状態を示す。
次に、図4を用いて、第4のキャパシタ(24)の充放電の原理を説明する。なお、図4には、点線にて代表的な電流の流れを示す。まず、図4(a)では、第3のスイッチ回路(21)が短絡状態のため、点線で示すように、直流負荷(30)の正側端子からの電流が、第3のスイッチ回路(21)と第2のリアクトル(25)を経て、第4のキャパシタ(24)を充電する。次に、図4(b)で示すように、第3のスイッチ回路(21)をオフとすると、第4のキャパシタ(24)への充電は止まり、また、同時に第4のスイッチ回路(22)を短絡とするため、第2のリアクトル(25)に流れる電流が第4のキャパシタ(24)と第4のスイッチ回路(22)を経て点線の経路にて循環する。そして、第2のリアクトル(25)から第4のキャパシタ(24)にエネルギーが蓄積されてから、再び第4のスイッチ回路(22)をオフとすると、第2のリアクトル(25)と第3のスイッチ回路(21)のダイオードを経て、図4(a)に示す点線の経路にて第4のキャパシタ(24)の放電が可能となる。よって、これらの接続状態を切り替えることにより、第4のキャパシタ(24)の充放電を制御することができる。
【0012】
第7の観点では、本発明は、第6の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置において、電流可逆チョッパ回路は、第3のキャパシタに流れる電流量を零に近づけるスイッチングを行うことを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置を提供する。
上記第7の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置では、電流可逆チョッパ回路にて、第3のキャパシタに流れる電流量が零に近づくスイッチングを行うことにより、直流負荷電圧の変動を小さく抑えることを特徴とする。
【0013】
第8の観点では、本発明は、第6または第7の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置において、電流可逆チョッパ回路は、第3のスイッチ回路に流れる電流の平均量が、第3のキャパシタに流れる電流量のゲイン倍となるスイッチングを行うことを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置を提供する。
上記第8の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置では、電流可逆チョッパ回路のスイッチングにて、第3のスイッチ回路に流れる電流の平均量を第3のキャパシタに流れる電流量のゲイン倍とすることで、第4のキャパシタを、第3のキャパシタにとっておよそゲイン倍のミラー的なキャパシタとして動作させることを特徴とする。
【0014】
第9の観点では、本発明は、第6〜8のいずれかの観点によるアクティブ制御キャパシタ装置において、電流可逆チョッパ回路は、第3のスイッチ回路に流れる電流の平均量および/または第4のキャパシタにかかる電圧量が許容値を超えないスイッチングを行うことを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置を提供する。
上記第9の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置では、第3のスイッチ回路に流れる電流の平均量および/または第4のキャパシタにかかる電圧量を検知し、それらの量が、素子の耐圧や回路の仕様等により定まる許容値内におさまるように電流可逆チョッパ回路のスイッチングを行う。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、容量の小さなキャパシタの充放電を能動的に制御することにより、容量の小さなキャパシタの並列合成容量よりも大きな容量のキャパシタとして平滑作用を実現できる。このため、例えば、平滑用キャパシタを有する電源装置であれば、コンデンサの小型化による装置の小型化が可能であり、また、コンデンサを小型化せずに同容量のコンデンサを用いるのであれば、平滑作用を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0017】
(第1の実施の形態)
商用交流電源からAC−DC変換器により直流電源を取り出す直流電源装置において、直流負荷端に接続される平滑用コンデンサのかわりに本発明のアクティブ制御キャパシタ装置を接続する。これにより、例えば、本発明のアクティブ制御キャパシタ装置に備わるキャパシタの静電容量の合計が、平滑用コンデンサを単体で用いる場合の静電容量と同じである場合、直流負荷端の電圧変動を、平滑用コンデンサを単体で用いる場合に比べ、より抑えることができる。すなわち、平滑用コンデンサを単体で用いる場合と同等の平滑動作であれば、静電容量の低いコンデンサの組み合わせにより実現することができる。
【0018】
(第2の実施の形態)
商用交流電源からAC−DC変換器により直流に変換される電力系統において、本発明のアクティブ制御キャパシタ装置を直流負荷端に接続することにより、瞬時停電補償装置として用いることができる。
【0019】
(第3の実施の形態)
本発明のアクティブ制御キャパシタ装置において、電流可逆チョッパ回路が昇圧型である場合、第2のキャパシタのかわりに、回路の使用条件範囲内の起電力を有する直流電圧源を用いることができる。
【0020】
(第4の実施の形態)
本発明のアクティブ制御キャパシタ装置において、電流可逆チョッパ回路が降圧型である場合、第4のキャパシタのかわりに、回路の使用条件範囲内の起電力を有する直流電圧源を用いることができる。
【0021】
以下、本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0022】
本発明のアクティブ制御キャパシタ装置において、電流可逆チョッパ回路が昇圧型であり、チョッパ回路をPWM制御する場合に、第1のキャパシタに流れる電流値を通流幅の演算にフィードバックし、場合によっては、過電圧、過電流保護や通流幅の演算のために、第1のリアクトルに流れる電流値および/または第2のキャパシタにかかる電圧値をPWM制御にフィードバックした場合の装置構成概略図を図5に示す。図5にて、40は、PWM信号を演算して各スイッチング素子(11a、12a)にスイッチング信号を出力するPWM制御部、41は、第1のキャパシタ(13)に流れる電流値を検出する第1の電流検出器、42は、第1のリアクトル(15)に流れる電流値を検出する第2の電流検出器、43は、第2のキャパシタ(14)にかかる電圧値を検出する第1の電圧検出器である。PWM制御部(40)は、スイッチング信号を演算する際、第1の電流検出器(41)からの検出値を用い、場合によっては、第2の電流検出器(42)および/または第1の電圧検出器(43)からの検出値を演算に用いる。
【0023】
図5の装置構成において、交流電源電圧の実行値が100[V]、交流電源周波数が60[Hz]、直流負荷の抵抗値が100[Ω]、負荷側のインダクタンスが0.5[mH]、第1のキャパシタ容量が50[μF]、第2のキャパシタ容量が200[μF]、第1のリアクトルのインダクタンスが0.2[mH]、第1のリアクトルに流れる電流の許容値が10[A]、第2のキャパシタにかかる電圧の許容値が400[V]、PWM制御のスイッチング周波数が15[kHz]の条件にて、第1の電流検出器(41)の電流値が零に近づくようにPWM制御部(40)にて通流幅を制御した場合のシミュレーション結果を図6に示す。図6中のVdは、負荷端での電圧、VHは、第2のキャパシタ端での電圧の時間経過である。また、比較のため、本発明のアクティブ制御キャパシタ装置のかわりに、キャパシタ容量250[μF]のコンデンサを単体で直流負荷端に接続した場合の負荷端での電圧のシミュレーション結果を図7のVd1にて示す。これより、Vd1に比べ、Vdの変動が抑えられていることがわかる。
【実施例2】
【0024】
実施例1と同じ図5の装置構成において、交流電源電圧の実行値が100[V]、交流電源周波数が60[Hz]、直流負荷の抵抗値が200[Ω]、負荷側のインダクタンスが0.5[mH]、第1のキャパシタ容量が50[μF]、第2のキャパシタ容量が200[μF]、第1のリアクトルのインダクタンスが0.2[mH]、PWM制御のスイッチング周波数が15[kHz]の条件にて、第2の電流検出器(42)の電流値が第1の電流検出器(41)の電流値のゲイン倍となるようにPWM制御部(40)にて通流幅を制御した場合のシミュレーション結果を図8に示す。図8中のVdは、負荷端での電圧、VHは、第2のキャパシタ端での電圧の時間経過である。また、比較のため、本発明のアクティブ制御キャパシタ装置のかわりに、キャパシタ容量250[μF]のコンデンサを単体で直流負荷端に接続した場合の負荷端での電圧のシミュレーション結果を図9のVd2にて示す。これより、Vd2に比べ、Vdの変動が抑えられていることがわかる。また、本発明のアクティブ制御キャパシタ装置のかわりに、キャパシタ容量10000[μF]のコンデンサを単体で直流負荷端に接続した場合の負荷端での電圧のシミュレーション結果を図10のVd3にて示す。これより、Vdは、Vd3と同等の変動に抑えられていることがわかる。
【実施例3】
【0025】
実施例1と同じ図5の装置構成において、直流基準電圧が50[V]、交流電源周波数が60[Hz]、直流負荷の抵抗値が100[W]時に25[Ω]、負荷側のインダクタンスが0.5[mH]、第1のキャパシタ容量が100[μF]、第2のキャパシタ容量が220[μF]、第1のリアクトルのインダクタンスが0.5[mH]、PWM制御のスイッチング周波数が20[kHz]の条件にて、第1の電流検出器(41)の電流値が零に近づくようにPWM制御部(40)にて通流幅を制御した場合の実験結果を図11に示す。図11中のVdは、負荷端での電圧、VHは、第2のキャパシタ端での電圧の時間経過である。また、比較のため、本発明のアクティブ制御キャパシタ装置のかわりに、キャパシタ容量320[μF]のコンデンサを単体で直流負荷端に接続した場合の負荷端での電圧の実験結果を図12のVd4にて示す。これより、Vd4に比べ、Vdの変動が抑えられていることがわかる。また、本発明のアクティブ制御キャパシタ装置のかわりに、キャパシタ容量2300[μF]のコンデンサを単体で直流負荷端に接続した場合の負荷端での電圧の実験結果を図13のVd5にて示す。これより、Vdは、Vd5と同等の変動に抑えられていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第2の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置の回路構成例である。
【図2】図1の回路構成例のスイッチングによる接続状態例である。
【図3】第6の観点によるアクティブ制御キャパシタ装置の回路構成例である。
【図4】図3の回路構成例のスイッチングによる接続状態例である。
【図5】実施例1に係る装置構成概略図である。
【図6】実施例1に係る装置のシミュレーション結果例である。
【図7】図6の結果例の比較例である。
【図8】実施例2に係る装置のシミュレーション結果例である。
【図9】図8の結果例の比較例である。
【図10】図8の結果例の比較例である。
【図11】実施例3に係る装置の実験結果例である。
【図12】図11の結果例の比較例である。
【図13】図11の結果例の比較例である。
【図14】非特許文献1にて提案した制御システムの概略図である。
【符号の説明】
【0027】
10…昇圧型電流可逆チョッパ回路
11…第1のスイッチ回路
11a…IGBT
11b…ダイオード
12…第2のスイッチ回路
12a…IGBT
12b…ダイオード
13…第1のキャパシタ
14…第2のキャパシタ
15…第1のリアクトル
20…降圧型電流可逆チョッパ回路
21…第3のスイッチ回路
21a…IGBT
21b…ダイオード
22…第4のスイッチ回路
22a…IGBT
22b…ダイオード
23…第3のキャパシタ
24…第4のキャパシタ
25…第2のリアクトル
30…直流負荷
40…PWM制御部
41…第1の電流検出器
42…第2の電流検出器
43…第1の電圧検出器
100…アクティブ制御キャパシタ装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー蓄積要素としてのキャパシタを有する電流可逆チョッパ回路を含み、前記キャパシタ電流を能動的に制御することを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアクティブ制御キャパシタ装置において、
電流可逆チョッパ回路は、
直流負荷の両端に接続された第1のキャパシタと、
第1のスイッチ回路と、
第1のスイッチ回路に直列接続された第2のスイッチ回路と、
第1のスイッチ回路と第2のスイッチ回路が直列接続された回路の両端に接続された第2のキャパシタと、
第1のスイッチ回路と第2のスイッチ回路との接続点と、第1のキャパシタの正側端子との間に接続された第1のリアクトルと、
を含み、
第1のキャパシタの負側端子と第2のキャパシタの負側端子とが共通接続される昇圧型の電流可逆チョッパ回路であることを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のアクティブ制御キャパシタ装置において、
電流可逆チョッパ回路は、第1のキャパシタに流れる電流量を零に近づけるスイッチングを行うことを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のアクティブ制御キャパシタ装置において、
電流可逆チョッパ回路は、第1のリアクトルに流れる電流量が、第1のキャパシタに流れる電流量のゲイン倍となるスイッチングを行うことを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれかに記載のアクティブ制御キャパシタ装置において、
電流可逆チョッパ回路は、第1のリアクトルに流れる電流量および/または第2のキャパシタにかかる電圧量が許容値を超えないスイッチングを行うことを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置。
【請求項6】
請求項1に記載のアクティブ制御キャパシタ装置において、
電流可逆チョッパ回路は、
第3のスイッチ回路と、
第3のスイッチ回路に直列接続された第4のスイッチ回路と、
第3のスイッチ回路と第4のスイッチ回路が直列接続された回路の両端に接続された第3のキャパシタと、
負側端子が第3のキャパシタの負側端子と共通接続される第4のキャパシタと、
第3のスイッチ回路と第4のスイッチ回路との接続点と、第4のキャパシタの正側端子との間に接続された第2のリアクトルと、
を含み、
第3のキャパシタの両端が直流負荷に接続される降圧型の電流可逆チョッパ回路であることを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のアクティブ制御キャパシタ装置において、
電流可逆チョッパ回路は、第3のキャパシタに流れる電流量を零に近づけるスイッチングを行うことを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載のアクティブ制御キャパシタ装置において、
電流可逆チョッパ回路は、第3のスイッチ回路に流れる電流の平均量が、第3のキャパシタに流れる電流量のゲイン倍となるスイッチングを行うことを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載のアクティブ制御キャパシタ装置において、
電流可逆チョッパ回路は、第3のスイッチ回路に流れる電流の平均量および/または第4のキャパシタにかかる電圧量が許容値を超えないスイッチングを行うことを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置。
【請求項1】
エネルギー蓄積要素としてのキャパシタを有する電流可逆チョッパ回路を含み、前記キャパシタ電流を能動的に制御することを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアクティブ制御キャパシタ装置において、
電流可逆チョッパ回路は、
直流負荷の両端に接続された第1のキャパシタと、
第1のスイッチ回路と、
第1のスイッチ回路に直列接続された第2のスイッチ回路と、
第1のスイッチ回路と第2のスイッチ回路が直列接続された回路の両端に接続された第2のキャパシタと、
第1のスイッチ回路と第2のスイッチ回路との接続点と、第1のキャパシタの正側端子との間に接続された第1のリアクトルと、
を含み、
第1のキャパシタの負側端子と第2のキャパシタの負側端子とが共通接続される昇圧型の電流可逆チョッパ回路であることを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のアクティブ制御キャパシタ装置において、
電流可逆チョッパ回路は、第1のキャパシタに流れる電流量を零に近づけるスイッチングを行うことを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のアクティブ制御キャパシタ装置において、
電流可逆チョッパ回路は、第1のリアクトルに流れる電流量が、第1のキャパシタに流れる電流量のゲイン倍となるスイッチングを行うことを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれかに記載のアクティブ制御キャパシタ装置において、
電流可逆チョッパ回路は、第1のリアクトルに流れる電流量および/または第2のキャパシタにかかる電圧量が許容値を超えないスイッチングを行うことを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置。
【請求項6】
請求項1に記載のアクティブ制御キャパシタ装置において、
電流可逆チョッパ回路は、
第3のスイッチ回路と、
第3のスイッチ回路に直列接続された第4のスイッチ回路と、
第3のスイッチ回路と第4のスイッチ回路が直列接続された回路の両端に接続された第3のキャパシタと、
負側端子が第3のキャパシタの負側端子と共通接続される第4のキャパシタと、
第3のスイッチ回路と第4のスイッチ回路との接続点と、第4のキャパシタの正側端子との間に接続された第2のリアクトルと、
を含み、
第3のキャパシタの両端が直流負荷に接続される降圧型の電流可逆チョッパ回路であることを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のアクティブ制御キャパシタ装置において、
電流可逆チョッパ回路は、第3のキャパシタに流れる電流量を零に近づけるスイッチングを行うことを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載のアクティブ制御キャパシタ装置において、
電流可逆チョッパ回路は、第3のスイッチ回路に流れる電流の平均量が、第3のキャパシタに流れる電流量のゲイン倍となるスイッチングを行うことを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載のアクティブ制御キャパシタ装置において、
電流可逆チョッパ回路は、第3のスイッチ回路に流れる電流の平均量および/または第4のキャパシタにかかる電圧量が許容値を超えないスイッチングを行うことを特徴とするアクティブ制御キャパシタ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−97258(P2007−97258A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−280100(P2005−280100)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(304020292)国立大学法人徳島大学 (307)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(304020292)国立大学法人徳島大学 (307)
【Fターム(参考)】
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