説明

アクリル系共重合体および感放射線性樹脂組成物

【課題】特定の構造を有するアクリル系共重合体、およびこの共重合体を用いることにより、放射線に対する透明性が高く、しかも感度、解像度、ドライエッチング耐性、パターン形状等のレジストとしての基本物性を有する樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記式で表される繰り返し単位を含むアクリル系共重合体およびこの共重合体を用いた感放射線性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアクリル系共重合体および感放射線性樹脂組成物に関し、特にKrFエキシマレーザーあるいはArFエキシマレーザー等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線の如き各種の放射線を使用する微細加工に有用な化学増幅型レジストとして好適に使用できる感放射線性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路素子の製造に代表される微細加工の分野においては、より高い集積度を得るために、最近ではArFエキシマレーザー(波長193nm)、F2エキシマレーザ(波長157nm)等を用いた200nm程度以下のレベルでの微細加工が可能なリソグラフィー技術が必要とされている。このようなエキシマレーザーによる照射に適した感放射線性樹脂組成物として、酸解離性官能基を有する成分と放射線の照射により酸を発生する成分である酸発生剤とによる化学増幅効果を利用した化学増幅型感放射線性組成物が数多く提案されている。
例えば、感放射線性樹脂組成物に使用できる重合体として、ラクトン構造を有する(メタ)アクリレート重合体(特許文献1参照)、特定の構造で表される脂環式基を有しかつその環骨格を構成する炭素原子の1個が適当な低級アルキル基で置換された部分を有する脱保護基あるいはその環骨格が他原子を1個以上経由してエステル結合している脱保護基を備えた化合物(特許文献2参照)、2−アルキル−2−アダマンチル基、または 1−アダマンタン−1−アルキルアダマンチル基で保護されたアルカリ可溶性を有し、それ自身ではアルカリに不溶または難溶であるが、酸の作用でアルカリに可溶となる樹脂と特定のスルホニウム塩系酸発生剤を含有する化学増幅型ポジ型レジスト組成物(特許文献3参照)。特定の基板密着性脂環式エステルと特定の脂環式骨格を有する酸脱離性のエステルに、第3成分として上記2成分の中間の極性を持つ特定の脂環式エステルを加えて3元共重合させたフォトレジスト用高分子化合物(特許文献4参照)、同じく脂環式骨格を有する特定構造の3種の単量体ユニットを特定の割合で含む樹脂(特許文献5参照)等が知られている。
【0003】
しかしながら、半導体分野において、従来より高い集積度が求められるようになると、レジストである感放射線性樹脂組成物はより優れた解像度が必要とされるようになってきた。解像度を向上させ、形成されるパターン形状をより正確に描画するために、感放射線性樹脂組成物は種々組み合わせて使用されるようになる。例えば、コンタクトホールの形成とライン描画とを別々の感放射線性樹脂組成物を使用する場合がある。あるいは製造工程数を少なくするために一つの感放射線性樹脂組成物を使用する場合がある。また、より狭い径のコンタクトホールを形成するために、現像後のポストベークによりコンタクトホールパターンサイズを縮小させるサーマルフロー技術が用いられているが、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、F2エキシマレーザ(波長157nm)等を用いた200nm程度以下で使用される感放射線性樹脂組成物では、サーマルフロー技術に適した感放射線性樹脂組成物がないという問題がある。特に、コンタクトホールがより狭くなり、ラインスペースが狭くなると僅かなエッチング時の荒れが解像度に悪影響を及ぼすという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3042618号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開平9−73173号公報(段落[0137])
【特許文献3】特開2002−156750号公報(段落[0008])
【特許文献4】特開2002−145955号公報(段落[0008]および[0009])
【特許文献5】特開2002−201232号公報(段落[0009]および[0010])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、特定の構造を有するアクリル系共重合体、およびこの共重合体を用いることにより、放射線に対する透明性が高く、しかも感度、解像度、ドライエッチング耐性、パターン形状等のレジストとしての基本物性に優れ、特に、コンタクトホールおよびラインスペース形成に優れる感放射線性樹脂組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のアクリル系共重合体は、下記式(1)、式(2)および式(3)で表される繰り返し単位を含み、かつ式(1)の繰り返し単位が全繰り返し単位に対して30モル%〜60モル%含み、式(3)で表される繰り返し単位を構成する、−C(R23が下記式(3−3)で表されることを特徴とする。
【化1】

式(2)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、R1は相互に独立に水素原子、水酸基、または−COOR3基を表し、少なくとも一つのR1が水素原子ではなく、R3が水素原子あるいは炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または炭素数3〜20の脂環式のアルキル基を表す。
【化2】

式(3−3)において、R2は炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表し、qは0〜2の整数を表す。
また、上記式(2)において、R1が相互に独立に水素原子または水酸基を表し、少なくとも一つのR1が水素原子ではないことを特徴とする。
【0007】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、アルカリ不溶性またはアルカリ難溶性であって酸の作用によりアルカリ可溶性となる酸解離性基含有樹脂と、感放射線性酸発生剤とを含有し、該酸解離性基含有樹脂が上記式(1)、式(2)および式(3)で表される繰り返し単位を含むアクリル系共重合体であることを特徴とする。
【0008】
微細加工を必要とするリソグラフィー技術において、代表的なリソグラフィー工程としてラインアンドスペースおよびコンタクトホール形成工程がある。微細加工が必要になるにつれ、必ずしも両者を同一の感放射線性樹脂組成物でまかなえない状況になってきている。レジストとしての解像性能を追求した場合に、ラインアンドスペースはパターン全体の形状を重視し、コンタクトホールはパターン上部の形状を重視するためであると考えられている。これらの問題を克服するために種々検討した結果、メタアクリル酸系繰り返し単位とアクリル酸系繰り返し単位との両方を含有することにより、ラインアンドスペースおよびコンタクトホール形成において同一の感放射線性樹脂組成物にて良好なパターン形状が得られることが分かり、かつ広いプロセスマージンが得られることを見出した。また、繰り返し単位(3)として、−C(R23を特定の官能基側鎖に選択することで、今後微細化が進んだ場合に問題となる放射線処理後の加熱処理温度依存性も良好となることを見出した。本発明はこのような知見に基づくものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のアクリル系共重合体を用いた感放射線性樹脂組成物は、活性放射線、特に、ArFエキシマレーザー(波長193nm)に代表される遠紫外線に感応する化学増幅型レジストとして、放射線に対する透明性、解像度、感度等が高くかつレジストパターン形状も良好であるレジストとしての基本的性能を有しているだけでなく、第一に、エッチング耐性、エッチングの表面荒れ耐性が極めて高く、第二に、ポストベークによるコンタクトホールサイズの調整をすることが可能である。また、ポストベーク温度変動による線幅変動を少なくできる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
重合体主鎖を形成する式(1)で表される繰り返し単位を生じさせる単量体としては、式(1−1)で表されるメタアクリル酸エステルが挙げられる。
【化3】

【0011】
式(2)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、R1は相互に独立に水素原子、水酸基、または−COOR3基を表す。ただし、少なくとも一つのR1が水素原子ではない。また、少なくとも一つのR1が水酸基であることが好ましい。
−COOR3基におけるR3としては、水素原子あるいは炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または炭素数3〜20の脂環式のアルキル基を表す。
炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基を例示できる。
炭素数3〜20の脂環式のアルキル基としては、−Cn2n-1( n は3〜20の整数)で表されるシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が、また、多環型脂環式アルキル基、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカニル基、アダマンチル基等、または、直鎖状、分岐状または環状のアルキル基の1種以上あるいは1個以上でシクロアルキル基または多環型脂環式アルキル基の一部を置換した基等が挙げられる。
【0012】
重合体主鎖を形成する式(2)で表される繰り返し単位を生じさせる単量体の中で好ましい単量体を以下に挙げる。
(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシアダマンタン−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸3,5−ジヒドロキシアダマンタン−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−5−カルボキシアダマンタン−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−5−メトキシカルボニルアダマンタン−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸3−カルボキシアダマンタン−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸3,5−ジカルボキシアダマンタン−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸3−カルボキシル−5−ヒドロキシアダマンタン−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸3−カルボキシル−5−メトキシカルボニルアダマンタン−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸3−メトキシカルボニルアダマンタン−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸3,5−ジメトキシカルボニルアダマンタン−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸3−メトキシカルボニル−5−ヒドロキシアダマンタン−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸3−メトキシカルボニル−5−カルボキシアダマンタン−1−イルエステル等が挙げられる。
【0013】
重合体主鎖を形成する式(2)で表される繰り返し単位を生じさせる単量体の中で特に好適な単量体としては、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシアダマンタン−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸3,5−ジヒドロキシアダマンタン−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸3−カルボキシアダマンタン−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸3,5−ジカルボキシアダマンタン−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸3−カルボキシル−5−ヒドロキシアダマンタン−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸3−メトキシカルボニル−5−ヒドロキシアダマンタン−1−イルエステル等が挙げられる。
【0014】
式(3)において、R2の炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。これらのアルキル基のうち、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基が好ましい。
【0015】
2つのR2が相互に結合して、それぞれが結合している炭素原子とともに炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体を形成している基の中で好ましい基としては、例えば下記式(3−1)〜(3−4)の中で式(3−3)で表される基が挙げられる。なお、式中のR2は、脂環式炭化水素基もしくはその誘導体を形成する同一炭素に結合して、該炭素が主鎖あるいは側鎖の酸素に結合している形態を表している。qおよびrは0〜2の整数を表す。
【化4】

これら、R2が形成する1価の官能基側鎖としては、例えば以下の基が挙げられる。但し、以下に挙げる例示は、エステル結合の酸素に結合する−C(R23を表したものである。
1−メチル−1−シクロペンチル基、1−エチル−1−シクロペンチル基、1−n−プロピル−1−シクロペンチル基、1−i−プロピル−1−シクロペンチル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基、1−エチル−1−シクロヘキシル基、1−n−プロピル−1−シクロヘキシル基、1−i−プロピル−1−シクロヘキシル基等が挙げられる。
また、上記の中で特に好ましい官能基側鎖−C(R23としては、1−メチルシクロペンチル基、1−エチル−1−シクロペンチル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基、1−エチル−1−シクロヘキシル基が挙げられる。
【0016】
また、重合体主鎖を形成する式(3)で表される繰り返し単位を与える単量体として好適な例を以下に挙げる。
アクリル酸1−メチル−1−シクロペンチルエステル、アクリル酸1−エチル−1−シクロペンチルエステル、アクリル酸1−n−プロピル−1−シクロペンチルエステル、アクリル酸1−i−プロピル−1−シクロペンチルエステル、アクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシルエステル、アクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシルエステル、アクリル酸1−n−プロピル−1−シクロヘキシルエステル、アクリル酸1−i−プロピル−1−シクロヘキシルエステルが挙げられる。
【0017】
上記重合体主鎖を形成する式(3)で表される繰り返し単位を与える単量体の中で、特に好適な単量体としては、アクリル酸1−メチル−1−シクロペンチルエステル、アクリル酸1−エチル−1−シクロペンチルエステル、アクリル酸1−n−プロピル−1−シクロペンチルエステル、アクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシルエステル、アクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシルエステルが挙げられる。これらは単独でも混合しても使用できる。
【0018】
本発明のアクリル系共重合体は、上記繰り返し単位(1)、繰り返し単位(2)および繰り返し単位(3)以外にさらに他の繰り返し単位を含むことができる。他の繰り返し単位を与える単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、クロトンアミド、マレインアミド、フマルアミド、メサコンアミド、シトラコンアミド、イタコンアミド等の不飽和アミド化合物;メチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニルジメチロールジ(メタ)アクリレート等の多官能性単量体が挙げられる。
【0019】
本発明のアクリル系共重合体は、上記繰り返し単位(1)、繰り返し単位(2)および繰り返し単位(3)で構成することが好ましく、その配合割合は、全繰り返し単位に対して、繰り返し単位(1)が20〜70モル%、好ましくは30〜60モル%;繰り返し単位(2)が5〜40モル%、好ましくは5〜25モル%;繰り返し単位(3)が20〜50モル%、好ましくは30〜45モル%である。
繰り返し単位(1)の含有率が20モル%未満では、レジストとしての現像性が悪化する傾向にあり、繰り返し単位(1)の含有率が70モル%をこえると解像性の劣化およびレジスト溶媒への溶解性が低下する傾向にある。
繰り返し単位(2)の含有率が5モル%未満では、レジストとしての解像性が低下する傾向にあり、繰り返し単位(2)の含有率が40モル%をこえるとレジストとしての現像性が悪化する傾向にある。
繰り返し単位(3)の含有率が20モル%未満では、解像性が低下する傾向にあり、繰り返し単位(3)の含有率が50モル%をこえると現像性が悪化する傾向にある。
【0020】
本発明のアクリル系共重合体は、例えば、各繰り返し単位に対応する単量体の混合物を、ヒドロパーオキシド類、ジアルキルパーオキシド類、ジアシルパーオキシド類、アゾ化合物等のラジカル重合開始剤を使用し、必要に応じて連鎖移動剤の存在下、適当な溶媒中で重合することにより製造できる。
上記重合に使用される溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の飽和カルボン酸エステル類;γ−ブチロラクトン等のアルキルラクトン類;2−ブタノン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン等のアルキルケトン類;シクロヘキサノン等のシクロアルキルケトン類;2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類等が挙げられる。
これらの溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。
また、上記重合における反応温度は、通常、40〜120℃、好ましくは50〜100℃であり、反応時間は、通常、1〜48時間、好ましくは1〜24時間である。
【0021】
本発明のアクリル系共重合体は、ハロゲン、金属等の不純物が少ないのは当然のことながら、残留単量体やオリゴマー成分が既定値以下、例えばHPLCで0.1重量%等であることが好ましく、それにより、レジストとしての感度、解像度、プロセス安定性、パターン形状等をさらに改善できるだけでなく、液中異物や感度等の経時変化がないレジストが得られる。
アクリル系共重合体の精製法としては、例えば以下の方法が挙げられる。金属等の不純物を除去する方法としては、ゼータ電位フィルターを用いて樹脂溶液中の金属を吸着させる方法や蓚酸やスルホン酸等の酸性水溶液で樹脂溶液を洗浄することで金属をキレート状態にして除去する方法等が挙げられる。また、残留単量体やオリゴマー成分を規定値以下に除去する方法としては、水洗や適切な溶媒を組み合わせることにより残留単量体やオリゴマー成分を除去する液々抽出法、特定の分子量以下のもののみを抽出除去する限外ロ過等の溶液状態での精製方法や、アクリル系共重合体溶液を貧溶媒へ滴下することで重合体を貧溶媒中に凝固させることにより残留単量体等を除去する再沈澱法やろ別した重合体スラリーを貧溶媒で洗浄する等の固体状態での精製方法がある。また、これらの方法を組み合わせることもできる。上記再沈澱法に用いられる貧溶媒としては、精製するアクリル系共重合体の物性等に左右され一概には例示することはできない。適宜、貧溶媒は選定されるものである。
【0022】
アクリル系共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、通常、1,000〜300,000、好ましくは2,000〜200,000、さらに好ましくは3,000〜100,000である。この場合、アクリル系共重合体のMwが1,000未満では、レジストとしての耐熱性が低下する傾向があり、一方300,000をこえると、レジストとしての現像性が低下する傾向がある。
また、アクリル系共重合体のMwとゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という。)との比(Mw/Mn)は、通常、1〜5、好ましくは1〜3である。
本発明において、MwおよびMnは東ソー(株)製GPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を用い、流量1.0ml/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。
【0023】
本発明において、アクリル系共重合体は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。
また、このアクリル系共重合体はアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性であるが、酸の作用によりアルカリ可溶性となる。そのため、感放射線性樹脂組成物に用いられる酸解離性基含有樹脂として好適である。
【0024】
上記アクリル系共重合体を酸解離性基含有樹脂として用い、放射線の照射により酸を発生する成分である酸発生剤と組み合わせることにより感放射線性樹脂組成物が得られる。
酸発生剤としては、スルホニウム塩やヨードニウム塩等のオニウム塩、有機ハロゲン化合物、ジスルホン類やジアゾメタンスルホン類等のスルホン化合物を挙げることができる。
酸発生剤として好ましいものとしては、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート等のトリフェニルスルホニウム塩化合物;
【0025】
4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート等の4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム塩化合物;
【0026】
4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート等の4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム塩化合物;
【0027】
トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムカンファースルホネート等のトリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム塩化合物;
【0028】
ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート等のジフェニルヨードニウム塩化合物;
【0029】
ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホネート等のビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩化合物;
【0030】
1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等の1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩化合物;
【0031】
1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等の1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム塩化合物;
【0032】
N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド等のスクシンイミド類化合物;
【0033】
N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等のビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド類化合物等が挙げられる。
これらの中で、さらに好ましくはトリフェニルスルホニウム塩化合物、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム塩化合物、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム塩化合物およびトリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム塩化合物である。
【0034】
本発明において、酸発生剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。
酸発生剤の使用量は、レジストとしての感度および現像性を確保する観点から、アクリル系共重合体100重量部に対して、通常、0.1〜20重量部、好ましくは0.1〜7重量部である。この場合、酸発生剤の使用量が0.1重量部未満では、感度および現像性が低下する傾向があり、一方20重量部をこえると、放射線に対する透明性が低下して、矩形のレジストパターンを得られ難くなる傾向がある。
【0035】
本発明の感放射線性樹脂組成物には、必要に応じて、酸拡散制御剤、酸解離性基を有する脂環族添加剤、酸解離性基を有しない脂環族添加剤、界面活性剤、増感剤等の各種の添加剤を配合できる。
上記酸拡散制御剤は、照射により酸発生剤から生じる酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御し、非照射領域における好ましくない化学反応を抑制する作用を有する成分である。
このような酸拡散制御剤を配合することにより、得られる感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性が向上し、またレジストとしての解像度がさらに向上するとともに、照射から現像処理までの引き置き時間(PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物が得られる。
上記酸拡散制御剤としては、レジストパターンの形成工程中の照射や加熱処理により塩基性が変化しない含窒素有機化合物が好ましい。
【0036】
このような含窒素有機化合物としては、「3級アミン化合物」、「アミド基含有化合物」、「4級アンモニウムヒドロキシド化合物」、「含窒素複素環化合物」等が挙げられる。
「3級アミン化合物」としては、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、2,6−ジメチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族アミン類;トリエタノールアミン、ジエタノールアニリンなどのアルカノールアミン類;N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼンテトラメチレンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル等が挙げられる。
【0037】
「アミド基含有化合物」としては、例えば、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−ノニルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−デシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、N,N'−ジ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N'−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N'−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N'−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N'−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N'−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、N,N'−ジ−t−ブトキシカルボニル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等のN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物のほか、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0038】
「4級アンモニウムヒドロキシド化合物」としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
「含窒素複素環化合物」としては、例えば、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類;ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のピペラジン類のほか、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
【0039】
上記含窒素複素環化合物のうち、3級アミン化合物、アミド基含有化合物、含窒素複素環化合物が好ましく、また、アミド基含有化合物の中ではN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物が好ましく、含窒素複素環化合物の中ではイミダゾール類が好ましい。
【0040】
上記酸拡散制御剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。酸拡散制御剤の配合量は、アクリル系共重合体100重量部に対して、通常、15重量部以下、好ましくは10重量部以下、さらに好ましくは0.001〜5重量部である。この場合、酸拡散制御剤の配合量が15重量部をこえると、レジストとしての感度および放射線照射部の現像性が低下する傾向がある。なお、酸拡散制御剤の配合量が0.001重量部未満であると、プロセス条件によってはレジストとしてのパターン形状や寸法忠実度が低下するおそれがある。
【0041】
また、酸解離性基を有する脂環族添加剤、または酸解離性基を有しない脂環族添加剤は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等をさらに改善する作用を示す成分である。
このような脂環族添加剤としては、例えば、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル、1−アダマンタンカルボン酸t−ブトキシカルボニルメチル、1−アダマンタンカルボン酸αブチロラクトンエステル、1,3−アダマンタンジカルボン酸ジ−t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブトキシカルボニルメチル、1,3−アダマンタンジ酢酸ジ−t−ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(アダマンチルカルボニルオキシ)ヘキサン等のアダマンタン誘導体類;デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル、デオキシコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、デオキシコール酸3−オキソシクロヘキシル、デオキシコール酸テトラヒドロピラニル、デオキシコール酸メバロノラクトンエステル等のデオキシコール酸エステル類;リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル、リトコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、リトコール酸3−オキソシクロヘキシル、リトコール酸テトラヒドロピラニル、リトコール酸メバロノラクトンエステル等のリトコール酸エステル類;アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジn−ブチル、アジピン酸ジt−ブチル等のアルキルカルボン酸エステル類等が挙げられる。
これらの脂環族添加剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。脂環族添加剤の配合量は、アクリル系共重合体100重量部に対して、通常、50重量部以下、好ましくは30重量部以下である。この場合、酸拡散制御剤の配合量が50重量部をこえると、レジストとしての耐熱性が低下する傾向がある。
【0042】
また、上記界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する作用を示す成分である。
このような界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤のほか、以下商品名で、KP341(信越化学工業(株)製)、ポリフローNo.75,同No.95(共栄社化学(株)製)、エフトップEF301,同EF303,同EF352(トーケムプロダクツ(株)製)、メガファックスF171,同F173(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC430,同FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710,サーフロンS−382,同SC−101,同SC−102,同SC−103,同SC−104,同SC−105,同SC−106(旭硝子(株)製)等が挙げられる。
これらの界面活性剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。界面活性剤の配合量は、アクリル系共重合体100重量部に対して、通常、2重量部以下である。
【0043】
また、上記増感剤は、放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを酸発生剤に伝達し、それにより酸の生成量を増加する作用を示すもので、感放射線性樹脂組成物のみかけの感度を向上させる効果を有する。
このような増感剤としては、例えば、カルバゾール類、ベンゾフェノン類、ローズベンガル類、アントラセン類、フェノール類等が挙げられる。
これらの増感剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。増感剤の配合量は、アクリル系共重合体100重量部に対して、好ましくは50重量部以下である。
さらに、上記以外の添加剤としては、ハレーション防止剤、接着助剤、保存安定化剤、消泡剤等が挙げられる。
【0044】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、普通、その使用に際して、全固形分濃度が、通常、3〜50重量%、好ましくは5〜25重量%となるように、アクリル系共重合体および酸発生剤等を溶剤に溶解したのち、例えば孔径200nm程度のフィルターでろ過し組成物溶液として調製される。
上記組成物溶液の調製に使用される溶剤としては、例えば、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン等の直鎖状もしくは分岐状のケトン類;シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の環状のケトン類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等の3−アルコキシプロピオン酸アルキル類のほか、
【0045】
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
【0046】
これらの溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用できるが、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチルから選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0047】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、特に化学増幅型レジストとして有用である。特にコンタクトホールを形成するためのレジストとして有用である。
化学増幅型レジストにおいては、放射線照射により酸発生剤から発生した酸の作用によって、樹脂中の酸解離性基が解離して、カルボキシル基を生じ、その結果、レジストの照射部のアルカリ現像液に対する溶解性が高くなり、該照射部がアルカリ現像液によって溶解、除去され、ポジ型のレジストパターンが得られる。
本発明の感放射線性樹脂組成物からレジストパターンを形成する際には、組成物溶液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、例えば、シリコンウエハー、アルミニウムで被覆されたウエハー等の基板上に塗布することにより、レジスト被膜を形成し、場合により予め加熱処理(以下、「PB」という。)を行なったのち、所定のレジストパターンを形成するように該レジスト被膜に照射する。その際に使用される放射線としては、例えば、紫外線、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、F2エキシマレーザー(波長157nm)、EUV(極紫外線、波長13nm等)等の遠紫外線、電子線等の荷電粒子線、シンクロトロン放射線等のX線等を適宜選択して使用できるが、これらのうち遠紫外線、電子線が好ましい。また、照射量等の照射条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成、各添加剤の種類等に応じて、適宜選定される。
本発明においては、高精度の微細パターンを安定して形成するために、照射後に加熱処理(以下、「PEB」という。)を行なうことが好ましい。このPEBにより、樹脂(A)中の酸解離性有機基の解離反応が円滑に進行する。PEBの加熱条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成によって変わるが、通常、30〜200℃、好ましくは50〜170℃である。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、PEB、現像後さらにポストベークすることにより、コンタクトホールパターンサイズを精度良く縮小させることができる。
【0048】
本発明においては、感放射線性樹脂組成物の潜在能力を最大限に引き出すため、例えば特公平6−12452号公報等に開示されているように、使用される基板上に有機系あるいは無機系の反射防止膜を形成しておくこともでき、また環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するため、例えば特開平5−188598号公報等に開示されているように、レジスト被膜上に保護膜を設けることもでき、あるいはこれらの技術を併用することもできる。
次いで、照射されたレジスト被膜をアルカリ現像液を用いて現像することにより、所定のレジストパターンを形成する。
上記アルカリ現像液としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドを溶解したアルカリ性水溶液が好ましい。
上記アルカリ性水溶液の濃度は、通常、10重量%以下である。この場合、アルカリ性水溶液の濃度が10重量%をこえると、非照射部も現像液に溶解するおそれがあり好ましくない。
また、上記アルカリ性水溶液には、界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像液で現像したのちは、一般に、水で洗浄して乾燥する。
【実施例】
【0049】
実施例1
【化5】

化合物(4−1)55.00g(50モル%)、化合物(4−2)11.70g(10モル%)、化合物(4−3)33.31g(40モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、さらにジメチルアゾビスイソブチレート4.56gを投入した単量体溶液を準備し、100gの2−ブタノンを投入した1000ml の三口フラスコを30分窒素パージする。窒素パージの後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて4時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却し、2−プロパノール/n−ヘプタン=1/2の混合溶媒2000gへ投入し、析出した白色粉末をろ別する。ろ別された白色粉末を2度2−プロパノール/n−ヘプタン=1/2の混合溶媒400gにてスラリー上で洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の重合体を得た(72g、収率72%)。この重合体はMwが8500であり、化合物(4−1)、化合物(4−2)、化合物(4−3)で表される繰り返し単位、各繰り返し単位の含有率が13C NMRで測定した結果、53.7:11.1:35.2(モル%)の共重合体であった。この共重合体をアクリル系共重合体(A−1)とする。
【0050】
実施例2
【化6】

化合物(5−1)54.57g(50モル%)、化合物(5−2)12.39g(10モル%)、化合物(5−3)33.04g(40モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、さらにジメチルアゾビスイソブチレート4.52gを投入した単量体溶液を準備し、100gの2−ブタノンを投入した1000ml の三口フラスコを30分窒素パージする。窒素パージの後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて4時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却し、2−プロパノール/n−ヘプタン=1/2の混合溶媒2000gへ投入し、析出した白色粉末をろ別する。ろ別された白色粉末を2度2−プロパノール/n−ヘプタン=1/2の混合溶媒400gにてスラリー上で洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の重合体を得た(69g、収率69%)。この重合体はMwが8900であり、化合物(5−1)、化合物(5−2)、化合物(5−3)で表される繰り返し単位、各繰り返し単位の含有率が13C NMRで測定した結果、53.3:10.8:35.9(モル%)の共重合体であった。この共重合体をアクリル系共重合体(A−2)とする。
【0051】
実施例3
【化7】

化合物(6−1)55.38g(50モル%)、化合物(6−2)11.08g(10モル%)、化合物(6−3)33.54g(40モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、さらにジメチルアゾビスイソブチレート4.59gを投入した単量体溶液を準備し、100gの2−ブタノンを投入した1000ml の三口フラスコを30分窒素パージする。窒素パージの後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて4時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却し、2−プロパノール/n−ヘプタン=1/2の混合溶媒2000gへ投入し、析出した白色粉末をろ別する。ろ別された白色粉末を2度2−プロパノール/n−ヘプタン=1/2の混合溶媒400gにてスラリー上で洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の重合体を得た(65g、収率65%)。この重合体はMwが8200であり、化合物(6−1)、化合物(6−2)、化合物(6−3)で表される繰り返し単位、各繰り返し単位の含有率が13C NMRで測定した結果、53.6:11.0:35.4(モル%)の共重合体であった。この共重合体をアクリル系共重合体(A−3)とする。
【0052】
比較例1
【化8】

化合物(7−1)23.97g(25モル%)、化合物(7−2)50.55g(50モル%)、化合物(7−3)25.49g(25モル%)とを2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチルアゾビスイソブチレート3.97gを投入した単量体溶液を準備し、100gの2−ブタノンを投入した1000ml の三口フラスコを30分窒素パージする。窒素パージの後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を5時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却し、2000gのメタノールへ投入し、析出した白色粉末をろ別する。ろ別された白色粉末を2度400gのメタノールにてスラリー上で洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の重合体を得た(74g、収率74%)。この重合体はMwが9800であり、化合物(7−1)、化合物(7−2)、化合物(7−3)で表される繰り返し単位、各繰り返し単位の含有率が13C NMRで測定した結果、29.2:45.2:25.6(モル%)の共重合体であった。この共重合体をメタアクリル系共重合体(A−4)とする。
【0053】
実施例4〜実施例10、比較例2〜比較例3
実施例1〜実施例3、および比較例1で得られた各重合体と、以下に示す酸発生剤と、他の成分とを表1に示す割合で配合して各感放射線性樹脂組成物溶液を得た。得られた感放射線性樹脂組成物溶液について各種評価を行なった。評価結果を表2に示す。
酸発生剤(B)
(B−1):トリフェニルスルホニウム・ノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
(B−2):トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート
酸拡散制御剤(C)
(C−1):トリエタノールアミン
(C−2):2−フェニルベンズイミダゾール
(C−3):2,6−ジイソプロピルアニリン
溶剤(D)
(D−1):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(D−2):シクロヘキサノン
(D−3):γ−ブチロラクトン
【0054】
評価方法
(1)感度1:
実施例4〜6および比較例2に関して、ArF光源にて露光を行なう場合、ウエハー表面に膜厚78nmのARC29((Brewer Science)社製)膜を形成したシリコーンウエハー(ARC29)を用い、各組成物溶液を、基板上にスピンコートにより塗布し、ホットプレート上にて、表2に示す条件でPBを行なって形成した膜厚340nmのレジスト被膜に、ニコン社製ArFエキシマレーザー露光装置(開口数0.55)を用い、マスクパターンを介して露光した。その後、表2に示す条件でPEBを行なったのち、2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、25℃で60秒間現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。このとき、線幅160nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を1対1の線幅に形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量を「感度1」とした。
(2)解像度1:
上記最適露光量で解像される最小のライン・アンド・スペースパターンの寸法を「解像度1」とした。
(3)感度2:
実施例4〜6および比較例2に関して、ArF光源にて露光を行なう場合、ウエハー表面に膜厚78nmのARC29((Brewer Science)社製)膜を形成したシリコーンウエハー(ARC29)を用い、各組成物溶液を、基板上にスピンコートにより塗布し、ホットプレート上にて、表2に示す条件でPBを行なって形成した膜厚340nmのレジスト被膜に、ニコン社製ArFエキシマレーザー露光装置(開口数0.55)を用い、マスクパターン(6%ハーフトーンマスクを使用)を介して露光した。その後、表2に示す条件でPEBを行なったのち、2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、25℃で60秒間現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。このとき、マスクにおいて直径200nmのコンタクトホールパターン(1H1S)が直径160nmのサイズになるような露光量(マスクバイアス:−40nm)を最適露光量とし、この最適露光量を「感度2」とした。
(4)解像度2:
上記最適露光量で解像される最小のコンタクトホールパターンの寸法を「解像度2」とした。
(5)感度3:
実施例7〜10および比較例3に関して、ウエハー表面に77nmのARC29A(日産化学社製)膜を形成した基板を用い、組成物を基板上にスピンコートにより塗布し、ホットプレート上にて、表2に示す条件でPBを行なって形成した膜厚200nmのレジスト被膜に、ニコン社製フルフィールド縮小投影露光装置S306C(開口数0.75)を用い、マスクパターン(6%ハーフトーンマスクを使用)を介して露光した。その後に、表2に示す条件でPEBを行なった後、2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、25℃で40秒間現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型レジストパターンを形成した。このとき、マスク寸法直径120nmのホールサイズでピッチ220nmのマスクパターンを介して形成したホールパターンが、直径100nmのホールパターンで形成される露光量を最適露光量とし、この最適露光量を「感度3」とした。
(6)感度4およびフロー温度:
実施例7〜10および比較例3に関して、ウエハー表面に77nmのARC29A(日産化学社製)膜を形成した基板を用い、組成物を基板上にスピンコートにより塗布し、ホットプレート上にて、表2に示す条件でPBを行なって形成した膜厚200nmのレジスト被膜に、ニコン社製フルフィールド縮小投影露光装置S306C(開口数0.75)を用い、マスクパターン(6%ハーフトーンマスクを使用)を介して露光した。その後に、表2に示す条件でPEBを行なった後、2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、25℃で40秒間現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型レジストパターンを形成した。この作成したウエハーを更に、140〜180℃の範囲で90秒間のポストベークを実施した。このとき、マスク寸法直径120nmのホールサイズでピッチ220nm、および、ピッチ840nmのマスクパターンを介して形成したホールパターンが、共に、直径100nmのホールパターンで形成される露光量を最適露光量とし、この最適露光量を「感度4」とした。また、このときのポストベークの温度を最適リフロー温度とし、この最適リフロー温度を「フロー温度」とした。
(7)フロー速度1およびフロー速度2:
実施例7〜10および比較例3に関して、上記フロー温度に対して、前後10℃の範囲で同様の「感度4」におけるホールパターン直径を測定し、以下の式によりフロー速度を算出した。
フロー速度(nm/℃)=(A−B)/20℃
ここで、Aは「フロー温度」より10℃高い温度でのホールパターン寸法(nm)であり、Bは「フロー温度」より10℃低い温度でのホールパターン寸法(nm)である。
ピッチ220nmに対するフロー速度を「フロー速度1」とし、ピッチ840nmに対するフロー速度を「フロー速度2」とした。
(8)放射線透過率:
実施例4〜6および比較例2に関して、組成物溶液を石英ガラス上にスピンコートにより塗布し、表2に示した温度条件に保持したホットプレート上で表2に示した条件の間PBを行なって形成した膜厚340nmのレジスト被膜について、波長193nmにおける吸光度から、放射線透過率を算出して、遠紫外線領域における透明性の尺度とした。
(9)PEB温度依存性1:
実施例4〜6および比較例2に関して、表2の温度条件で感度1において160nmのライン・アンド・スペースを解像する場合、その表2のPEB温度を+2℃および−2℃変化させた場合の線幅変動の平均値をD1とする。その場合のD1が10nm/℃以上の場合を不良とし、それ未満の場合を良好とした。
(10)PEB温度依存性2:
実施例7〜10および比較例3に関して、表2の温度条件で感度3において直径120nmのホールパターンを形成する際に、その表2のPEB温度を+2℃及び−2℃変化させた場合の線幅変動の平均値をD2とする。その場合のD2が10nm/℃以上の場合を不良とし、それ未満の場合を良好とした。
【表1】

【表2】

【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明のアクリル系共重合体を用いた感放射線性樹脂組成物は、エッチング耐性、エッチングの表面荒れ耐性が極めて高く、ポストベークによるコンタクトホールサイズの調整できるとともに、ポストベーク温度変動による線幅変動を少なくできるので、今後さらに微細化が進むと予想される半導体デバイスの製造に極めて好適に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)、式(2)および式(3)で表される繰り返し単位を含み、かつ式(1)の繰り返し単位が全繰り返し単位に対して30モル%〜60モル%含み、前記式(3)で表される繰り返し単位を構成する、−C(R23が下記式(3−3)で表されることを特徴とするアクリル系共重合体。
【化1】

(式(2)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、R1は相互に独立に水素原子、水酸基、または−COOR3基を表し、少なくとも一つのR1が水素原子ではなく、R3が水素原子あるいは炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または炭素数3〜20の脂環式のアルキル基を表す。)
【化2】

(式(3−3)において、R2は炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表し、qは0〜2の整数を表す。)
【請求項2】
前記式(2)において、R1が相互に独立に水素原子または水酸基を表し、少なくとも一つのR1が水素原子ではないことを特徴とする請求項1記載のアクリル系共重合体。
【請求項3】
アルカリ不溶性またはアルカリ難溶性であって酸の作用によりアルカリ可溶性となる酸解離性基含有樹脂と、感放射線性酸発生剤とを含有する感放射線性樹脂組成物であって、前記酸解離性基含有樹脂が請求項1または請求項2記載のアクリル系共重合体であることを特徴とする感放射線性樹脂組成物。

【公開番号】特開2013−32540(P2013−32540A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−232273(P2012−232273)
【出願日】平成24年10月19日(2012.10.19)
【分割の表示】特願2008−196475(P2008−196475)の分割
【原出願日】平成15年11月5日(2003.11.5)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】