説明

アクリル系化合物を含む組成物及び成形体

【課題】透明性が高く、臭気が少ないアクリル系成形体及びその原料を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表される化合物を含み、下記式(2)で表される化合物の含有量が3重量%以下である組成物。式中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。ここで、式(1)及び(2)の全てのRは同一の基である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリル系化合物及びそれを含む組成物、アクリル系重合体及びそれを含む重合体組成物、並びにそれらから得られる成形体及び積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
アクリル系重合体の典型例であるポリメタクリル酸メチルは、透明性に優れると共に、加工性に優れることから、フィルム、シート、パイプ等を得るための成形材料として、多種多様な分野に使用されている。
このフィルム等の用途においては、透明性に加えて、さらに軟質性や耐熱性が求められる場合がある。そのため、透明性及び耐熱性に優れるアクリル樹脂、並びに、透明性及び軟質性に優れるアクリル樹脂が開発された(特許文献1)。また、特許文献2には透明性及び耐熱性に優れるアクリル樹脂が開示されている。
しかし、特許文献1及び2に開示されているアクリル樹脂を用いた成形品は、透明性を有するが、色が黄色く、臭気を有するという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−328012号公報
【特許文献2】英国特許出願公告第919324号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、透明性が高く、臭気が少ないアクリル系成形体及びその原料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、特許文献1で得られたアクリル樹脂には副生成物が混在し、この副生成物の含有量を減らすことにより成形体の臭気を低減できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下の組成物等が提供される。
1.下記式(1)で表される化合物を含み、
下記式(2)で表される化合物の含有量が約3重量%以下である組成物。
【化1】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。ここで、式(1)及び(2)の全てのRは同一の基である。)
2.下記式(A)で表される化合物が約100ppm以下であり、
下記式(B)で表される化合物が約1000ppm以下であり、かつ
下記式(C)で表される化合物が約100ppm以下である、
1に記載の組成物。
(A)CH=CH−OCO−R
(B)CH=CR−COOH
(C)酢酸
(式中、Rは前記式(1)のRと同一の基であり、Rは前記式(1)のRと同一の基である。)
3.式(3)で表される化合物を含む1又は2に記載の組成物。
【化2】

(式中、Rはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。)
4.前記式(1)で表される化合物、及び
前記式(2)で表される化合物を合わせた含有量が約99.9重量%以上である、
1又は2に記載の組成物。
5.式(1)で表される化合物、
式(2)で表される化合物、及び
式(3)で表される化合物を合わせた含有量が約99.9重量%以上である、
3に記載の組成物。
6.揮発性有機化合物(VOC)成分が約2000ppm以下である、
1〜5のいずれかに記載の組成物。
7.下記式(1)で表される化合物を含み、
下記式(1)で表される化合物の含有量と下記式(2)で表される化合物の含有量との重量比が下記式(X)を満たす組成物。
【化3】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。ここで、式(1)及び(2)の全てのRは同一の基である。)
0<M1/M2≦約0.03 (X)
(式中、M1は式(2)で表される化合物の含有量であり、M2は式(1)で表される化合物の含有量及び式(2)で表される化合物の含有量の和である。)
8.不純物として下記式(2)で表される化合物を含まない、下記式(1)で表される化合物。
【化4】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。ここで、式(1)及び(2)の全てのRは同一の基である。)
9.1〜7のいずれかに記載の組成物又は8に記載の化合物、及び
重合禁止剤を含む組成物。
10.1〜7のいずれかに記載の組成物又は8に記載の化合物、及び
酸化防止剤を含む組成物。
11.1〜7のいずれかに記載の組成物又は8に記載の化合物、及び
重合禁止剤を合わせた含有量が約99.9重量%以上である
9に記載の組成物。
12.1〜7のいずれかに記載の組成物又は8に記載の化合物、及び
酸化防止剤を合わせた含有量が約99.9重量%以上である
10に記載の組成物。
13.不純物として下記式(2)で表される化合物を含まない、下記式(6)で表される繰り返し単位を含む重合体。
【化5】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。ここで、式(6)、(2)中の全てのRは同一の基である。)
14.前記式(6)で表される繰り返し単位とは異なる、少なくとも1つの繰り返し単位を含む13記載の重合体。
15.8に記載の化合物から得られる重合体。
16.下記式(6)で表される繰り返し単位を含む重合体を含み、
下記式(2)で表される化合物の含有量が約3重量%以下である重合体組成物。
【化6】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。ここで、式(6)、(2)中の全てのRは同一の基である。)
17.前記重合体が、さらに、前記式(6)で表される繰り返し単位とは異なる、少なくとも1つの繰り返し単位を含む共重合体である16記載の重合体組成物。
18.1〜7のいずれかに記載の組成物から得られる重合体組成物。
19.下記式(6)で表される繰り返し単位を含む重合体を含み、
下記式(2)で表される化合物の含有量が約3重量%以下である成形体。
【化7】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。ここで、式(6)、(2)中の全てのRは同一の基である。)
20.前記重合体が、さらに、前記式(6)で表される繰り返し単位とは異なる、少なくとも1つの繰り返し単位を含む共重合体である19記載の成形体。
21.13〜15のいずれかに記載の重合体、又は16〜18のいずれかに記載の重合体組成物から得られる成形体。
22.基板と、
13〜15のいずれかに記載の重合体、又は16〜18のいずれかに記載の重合体組成物を用いて、前記基板上に形成される層と、
を含む積層体。
【0006】
また、以下の組成物等が提供される。
1.下記式(1)で表される化合物を含み、
下記式(2)で表される化合物の含有量が3重量%以下である組成物。
【化8】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。ここで、式(1)及び(2)の全てのRは同一の基である。)
2.下記式(A)で表される化合物が100ppm以下であり、
下記式(B)で表される化合物が1000ppm以下であり、かつ
下記式(C)で表される化合物が100ppm以下である、
1に記載の組成物。
(A)CH=CH−OCO−R
(B)CH=CR−COOH
(C)酢酸
(式中、Rは前記式(1)のRと同一の基であり、Rは前記式(1)のRと同一の基である。)
3.式(3)で表される化合物を含む1又は2に記載の組成物。
【化9】

(式中、Rはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。)
4.前記式(1)で表される化合物、及び
前記式(2)で表される化合物を合わせた含有量が99.9重量%以上である、
1又は2に記載の組成物。
5.式(1)で表される化合物、
式(2)で表される化合物、及び
式(3)で表される化合物を合わせた含有量が99.9重量%以上である、
3に記載の組成物。
6.揮発性有機化合物(VOC)成分が2000ppm以下である、
1〜5のいずれかに記載の組成物。
7.下記式(1)で表される化合物を含み、
下記式(1)で表される化合物の含有量と下記式(2)で表される化合物の含有量との重量比が下記式(X)を満たす組成物。
【化10】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。ここで、式(1)及び(2)の全てのRは同一の基である。)
0<M1/M2≦0.03 (X)
(式中、M1は式(2)で表される化合物の含有量であり、M2は式(1)で表される化合物の含有量及び式(2)で表される化合物の含有量の和である。)
8.不純物として下記式(2)で表される化合物を含まない、下記式(1)で表される化合物。
【化11】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。ここで、式(1)及び(2)の全てのRは同一の基である。)
9.1〜7のいずれかに記載の組成物又は8に記載の化合物、及び
重合禁止剤を含む組成物。
10.1〜7のいずれかに記載の組成物又は8に記載の化合物、及び
酸化防止剤を含む組成物。
11.1〜7のいずれかに記載の組成物又は8に記載の化合物、及び
重合禁止剤を合わせた含有量が99.9重量%以上である
9に記載の組成物。
12.1〜7のいずれかに記載の組成物又は8に記載の化合物、及び
酸化防止剤を合わせた含有量が99.9重量%以上である
10に記載の組成物。
13.不純物として下記式(2)で表される化合物を含まない、下記式(6)で表される繰り返し単位を含む重合体。
【化12】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。ここで、式(6)、(2)中の全てのRは同一の基である。)
14.前記式(6)で表される繰り返し単位とは異なる、少なくとも1つの繰り返し単位を含む13記載の重合体。
15.8に記載の化合物から得られる重合体。
16.下記式(6)で表される繰り返し単位を含む重合体を含み、
下記式(2)で表される化合物の含有量が3重量%以下である重合体組成物。
【化13】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。ここで、式(6)、(2)中の全てのRは同一の基である。)
17.前記重合体が、さらに、前記式(6)で表される繰り返し単位とは異なる、少なくとも1つの繰り返し単位を含む共重合体である16記載の重合体組成物。
18.1〜7のいずれかに記載の組成物から得られる重合体組成物。
19.下記式(6)で表される繰り返し単位を含む重合体を含み、
下記式(2)で表される化合物の含有量が3重量%以下である成形体。
【化14】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。ここで、式(6)、(2)中の全てのRは同一の基である。)
20.前記重合体が、さらに、前記式(6)で表される繰り返し単位とは異なる、少なくとも1つの繰り返し単位を含む共重合体である19記載の成形体。
21.13〜15のいずれかに記載の重合体、又は16〜18のいずれかに記載の重合体組成物から得られる成形体。
22.基板と、
13〜15のいずれかに記載の重合体、又は16〜18のいずれかに記載の重合体組成物を用いて、前記基板上に形成される層と、
を含む積層体。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、透明性が高く、臭気が少ないアクリル系成形体及びその原料が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1で用いた精留装置を示す図である。
【図2】評価例1の評価結果(不純物含量とYI値の関係)を示すグラフである。
【図3】評価例1の評価結果(不純物含量と全光線透過量の関係)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の組成物は、下記式(2)で表される化合物の含有量が3重量%以下の、下記式(1)で表されるアクリル系化合物を含む組成物である。即ち、本発明の組成物は、下記式(1)の化合物と式(2)の化合物の混合物、下記式(1)の化合物、式(2)の化合物及び他の化合物の混合物、又は下記式(1)の化合物と式(2)以外の他の化合物の混合物である。また、本発明の化合物は、式(2)の化合物が不純物として混在しない式(1)の化合物である。
【化15】

式中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。ここで、式(1)及び(2)の全てのRは同一の基である。また、アルキル基は直鎖であっても分岐していてもよい。
式(2)で表される化合物の含有量が3重量%を超えると、その成形体は臭気が強くなる。
【0010】
は、好ましくは炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜3の直鎖のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1又は2の直鎖のアルキル基である。最も好ましくは、メチル基である。
【0011】
式(2)の化合物は、式(1)の化合物の製造時に副生成する。特許文献1及び2に記載の製造方法のいずれによっても、式(1)の化合物に併せて式(2)の化合物が生成する。
例えばRがメチル基である式(1)の化合物を製造する場合、Rがメチル基である式(2)の化合物が副生成する。
従って、本発明の式(1)及び(2)の全てのRは同一の基である。
【0012】
本発明の組成物において、式(2)で表される化合物の含有量は、好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%未満である。式(2)の化合物の定量はガスクロマトグラフィーにより行う。
【0013】
また、本発明の組成物は、上記式(1)で表される化合物、及び式(2)で表される化合物を含み、式(1)で表される化合物の含有量と上記式(2)で表される化合物の含有量との重量比が下記式(X)を満たす。
0<M1/M2≦0.03 (X)
M1:式(2)で表される化合物の含有量
M2:式(1)で表される化合物の含有量及び式(2)で表される化合物の含有量の和
【0014】
式(1)で表わされる化合物の具体例としては、アクリル酸1−アセチルオキシエチル、アクリル酸1−プロピオニルオキシエチル、アクリル酸1−ブチリルオキシエチル、アクリル酸1−イソブチリルオキシエチル、アクリル酸1−バレリルオキシエチル、アクリル酸1−イソバレリルオキシエチル、アクリル酸1−ヘキサノイルオキシエチル、アクリル酸1−ヘプタノイルオキシエチル、メタクリル酸1−アセチルオキシエチル、メタクリル酸1−プロピオニルオキシエチル、メタクリル酸1−ブチリルオキシエチル、メタクリル酸1−イソブチリルオキシエチル、メタクリル酸1−バレリルオキシエチル、メタクリル酸1−イソバレリルオキシエチル、メタクリル酸1−ヘキサノイルオキシエチル、メタクリル酸1−ヘプタノイルオキシエチル等を挙げることができる。
【0015】
式(1)で表わされる化合物は、例えば、無色透明の液状化合物である、アクリル酸1−アセチルオキシエチルの場合、沸点は30〜35℃/0.7kPa、メタクリル酸1−アセチルオキシエチルの場合、沸点は47〜53℃/0.7kPaである。
【0016】
式(2)で表わされる化合物としては、エチリデンジアセテート、エチリデンジプロピオネート、エチリデンジブチレート、エチリデンジペンタノエート、エチリデンジヘキサノエート、エチリデンジヘプタノエート等を挙げることができる。
【0017】
式(2)で表わされる化合物は、例えば、無色透明の液状化合物であるエチリデンジアセテートの場合、沸点は167−169℃であり(Chemical.Abstract.;vol.91;nb.140551)、屈折率は1.40であり(Journal of Chemical and Engineering Data;vol.14;(1969);p.503)、密度は1.07である(Trans.electroch.Soc.;vol.63;(1933);p.443)。
【0018】
本発明の組成物又は化合物は、種々の化成品を製造するための原料として用いることができるが、特に、アクリル系成形体を与える原料として有用である。この原料は、重合反応を行うことによって、アクリル系成形体を与えることができる。
【0019】
本発明の組成物は、好ましくは下記式(A)で表される化合物の含有量は100ppm以下であり、より好ましくは10ppm以下である。下記式(B)で表される化合物の含有量は好ましくは1000ppm以下であり、より好ましくは100ppm以下であり、さらに好ましくは10ppmである。下記式(C)で表される化合物の含有量は好ましくは100ppm以下であり、より好ましくは10ppm以下である。
本発明の組成物は、例えば、下記式(A)で表される化合物の含有量が100ppm以下であり、下記式(B)で表される化合物の含有量が1000ppm以下であり、下記式(C)で表される化合物の含有量が100ppm以下である。また例えば、下記式(A)で表される化合物の含有量が10ppm以下であり、下記式(B)で表される化合物の含有量が100ppm以下であり、下記式(C)で表される化合物の含有量が10ppmである。また例えば、下記式(A)で表される化合物の含有量が10ppm以下であり、下記式(B)で表される化合物の含有量が10ppm以下であり、下記式(C)で表される化合物の含有量が10ppmである。
(A)CH=CH−OCO−R
(B)CH=CR−COOH
(C)酢酸
式中、Rは、前記式(1)のRと同一の基であり、Rは、前記式(1)のRと同一の基である。
【0020】
式(A)の化合物の含有量が100ppmを超えると、YI値がわずかに高くなる恐れがある。
式(B)の化合物の含有量が1000ppmを超えると、YI値がわずかに高くなる恐れがある。
式(C)の化合物の含有量が100ppmを超えると、YI値がわずかに高くなる恐れがある。
【0021】
式(A)及び(B)の化合物は、上記式(1)の化合物の原料であり、式(C)の化合物は式(1)の化合物の製造で生じる副生成物である。
例えば、Rが水素であり、Rがメチル基である式(1)の化合物を製造する場合、Rがメチル基である式(A)の化合物、及びRが水素である式(B)の化合物が原料である。
従って、式(B)のRは前記式(1)のRと同一の基であり、式(A)のRは前記式(1)のRと同一の基である。
【0022】
本発明の組成物は、下記式(3)で表される化合物を含んでもよい。
また、本発明の化合物と式(3)の化合物を混合して組成物としてもよい。
【化16】

式中、Rは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。
【0023】
式(3)の化合物は、式(1)の化合物の製造において副生成するものをそのまま組成物中に残して用いてもよい。また、副生成するものを精製により組成物中から除き、別途式(3)の化合物を用意して組成物に加えてもよい。別途式(3)の化合物を用意して組成物に加えることにより、組成物から得られる成形体の硬さを容易に調整することができる。
副生成物をそのまま用いる場合、式(3)のRは、上記式(1)のRと同一の基である。
【0024】
式(3)の化合物は、好ましくは30重量%以下含まれる。式(3)の化合物を含むことにより、本発明の組成物から得られる成形体の全光線透過率を維持したまま、耐熱性を向上でき、硬さを調整でき、及び/又は耐溶剤性を向上できる。30重量%を超えると、成形体が脆くなって良好な板を成形できない場合がある。
【0025】
式(3)で表される化合物としては、アセチリデンジアクリレート、アセチリデンジメタクリレート等を挙げることができる。
これらはいずれも無色透明の液体であって、アセチリデンジアクリレートは、沸点は61−62℃であり(4 Torr)(Zhurnal Obshchei Khimii;vol.26;(1956);p.1127;engl.Ausg.S.1279)、屈折率は1.42であり(Zhurnal Obshchei Khimii;vol.26;(1956);p.1127;engl.Ausg.S.1279)、密度は1.05である(Zhurnal Obshchei Khimii;vol.26;(1956);p.1127;engl.Ausg.S.1279)。
【0026】
アセチリデンジメタクリレートは、沸点は74℃(6Torr)であり(Zhurnal Obshchei Khimii;vol.26;(1956);p.1127;engl.Ausg.S.1279)、屈折率は1.44であり(Zhurnal Obshchei Khimii;vol.26;(1956);p.1127;engl.Ausg.S.1279)、密度は1.023である(ZhurnalObshcheiKhimii;vol.26;(1956);p.1127;engl.Ausg.S.1279)。
【0027】
本発明の組成物は、重合禁止剤及び/又は酸化防止剤を含んでいてもよい。
また、本発明の化合物に重合禁止剤及び/又は酸化防止剤を混合して組成物としてもよい。
重合禁止剤は、モノマーが重合するのを阻害する添加剤である。組成物内のラジカルを捕捉して、消去・安定化することにより重合反応を防止・抑制する。
酸化防止剤は、モノマーやその重合体が酸化劣化しないようにする機能を有する。酸化防止の機構は種類によるが、ラジカルを捕捉したり、過酸化物を分解する等して、酸化劣化を防ぐ。
従って、組成物を保存するとき、これらを添加することが好ましい。
酸化防止剤の含有量は、組成物に対して5000〜20ppmが好ましい。また、重合禁止剤の含有量は、組成物に対して5000〜20ppmが好ましい。
【0028】
重合禁止剤としては、ヒドロキノン系、及びジブチルジチオカルバミン酸金属系等が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。
(1)Hydroquinone系:
ヒドロキノン、4-Methoxyphenol(4−メトキシフェノール)
(2)ジブチルジチオカルバミン酸金属系:
Sodium dimethyldithiocarbamate(ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム)、Sodium diethyldithiocarbamate(ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム)、Sodium dibutyldithiocarbamate(ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム)、Copper dibutyldithiocarbamate(ジブチルジチオカルバミン酸銅)
(3)その他:
Phenothiazine (フェノチアジン)
【0029】
酸化防止剤としては、ヒンダードアミン(HALS)系、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系、ベンゾフェノン系等が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。
【0030】
(1)ヒンダードアミン(HALS)系:
Diphenylamine derivative(ジフェニルアミン誘導体)、Polymerized 2,2,4-trimethyl-1,2-dihydroquinoline(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒロドキノン重合体)、N-Isopropyl-N'-phenyl-p-phenylenediamine(N−イソプロピル−N’−p−フェニレンジアミン)、N-(1,3-Dimethylbutyl)-N'-phenyl-p-phenylenedamine(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−p−フェニレンダミン)、6-Ethoxy-2,2,4-trimethyl-1,2-dihydroquinoline(6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、チヌビン765、チヌビン770
【0031】
(2)ヒンダードフェノール系:
2,6-Di-tert-butyl-p-cresol(2,6−ジターシャリーブチル−p−クレゾール)、2,5-Di-tert-amylhydroquinone(2,5−ジターシャリーアミルヒドロキノン)、2,5-Di-tert-butyl-hydroquinone(2,5−ジターシャリーブチルヒドロキノン)、4,4'-Butylidene-bis(3-methyl-6-tert-butylphenol) (4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール))、2,2'-Methylene-bis(4-methyl-6-tert-butylphenol)(2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール))、2,2'-Methylene-bis(4-ethyl-6-tert-butylphenol) (2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−ターシャリーブチルフェノール))、4,4'-Thio-bis(6-tert-butyl-m-cresol)(4,4’−チオ−ビス(6−ターシャリーブチル−m−クレゾール))、Styrenated phenol (スチレン化フェノール)、BHT (ジブチルヒドロキシトルエン)IrganoX1076、Irgano3114、GA-80、スミライザーGS
【0032】
(3)リン系:
Irgafos38, Irgafos168
(4)硫黄系:
TP-D
【0033】
(5)ベンゾフェノン系:
2,4-dihydroxybenzophenone (2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン)、
2-hydroxy-4-methoxy-benzophenone (2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)、
2-hydroxy-4-n-octoxybenzophenone (2−ヒドロキシ−4−ノルマル−オクトキシベンゾフェノン)
【0034】
(6)その他:
Nickel dibutyldithiocarbamate(ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル)、Zinc dimethyldithiocarbamate(ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛)、Zinc diethyldithiocarbamate(ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛)、Zinc dibutyldithiocarbamate(ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛)、2-Mercaptobenzimidazole(2−メルカプトベンズイミダゾール)、Alkylated arylphosphite(アルキル化アリールホスフィン)、Diauryl thiodipropionate (チオジプロピオン酸ジアウリル)
【0035】
本発明の組成物は、好ましくは以下の組成のいずれかを有する:
・上記式(A)〜(C)で表わされる化合物、上記式(1)で表される化合物、及び式(2)で表される化合物を合わせた含有量、あるいは上記式(1)で表される化合物、及び式(2)で表される化合物を合わせた含有量が99重量%以上、好ましくは99.9重量%以上;
・上記式(A)〜(C)で表わされる化合物、式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物、及び式(3)で表される化合物を合わせた含有量、あるいは式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物、及び式(3)で表される化合物を合わせた含有量が99重量%以上、好ましくは99.9重量%以上;
・上記式(A)〜(C)で表わされる化合物、式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物、式(3)で表される化合物、及び重合禁止剤を合わせた含有量、あるいは式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物、式(3)で表される化合物、及び重合禁止剤を合わせた含有量が99重量%以上、好ましくは99.9重量%以上;及び
・上記式(A)〜(C)で表わされる化合物、式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物、式(3)で表される化合物、及び酸化防止剤を合わせた含有量、あるいは式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物、式(3)で表される化合物、及び酸化防止剤を合わせた含有量が99重量%以上、好ましくは99.9重量%以上。
【0036】
また、本発明の化合物に他の化合物等を混合して組成物とする場合、以下の組成とすることが好ましい:
・上記式(A)〜(C)で表わされる化合物、式(1)で表される化合物、及び式(3)で表される化合物を合わせた含有量、あるいは式(1)で表される化合物、及び式(3)で表される化合物を合わせた含有量が99重量%以上、好ましくは99.9重量%以上;
・上記式(A)〜(C)で表わされる化合物、式(1)で表される化合物、式(3)で表される化合物、及び重合禁止剤を合わせた含有量、あるいは式(1)で表される化合物、式(3)で表される化合物、及び重合禁止剤を合わせた含有量が99重量%以上、好ましくは99.9重量%以上;及び
・上記式(A)〜(C)で表わされる化合物、式(1)で表される化合物、式(3)で表される化合物、及び酸化防止剤を合わせた含有量、あるいは式(1)で表される化合物、式(3)で表される化合物、及び酸化防止剤を合わせた含有量が99重量%以上、好ましくは99.9重量%以上。
【0037】
また、本発明の組成物は、例えば揮発性有機化合物(VOC)成分が2000ppm以下、1900ppm以下、1600ppm以下である。
ここで揮発性有機化合物(VOC)とは,常圧で沸点50〜260℃のものを意味する。例えばガスクロマトグラフィ分析において、保持時間がノルマル−ヘキサン〜ノルマル−ヘキサデカン(n−C〜n−C16)の範囲内にあるものである。
【0038】
本発明の組成物及び化合物は、触媒の存在下、式(B)で表される(メタ)アクリル酸と式(A)で表される脂肪族カルボン酸ビニルエステルとを反応させ、洗浄、精製を経て製造することができる。
【0039】
上記式(B)で表される(メタ)アクリル酸としては、アクリル酸及びメタクリル酸を挙げることができる。
上記式(A)で表される脂肪族カルボン酸ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、吉草酸ビニル、イソ吉草酸ビニル、ヘキサン酸ビニル及びヘプタン酸ビニル等を挙げることができる。
【0040】
上記式(B)の(メタ)アクリル酸と、上記式(A)の脂肪族カルボン酸ビニルエステルとの反応に特に制限はないが、通常はこれらを混合し、ブレンステッド酸又はルイス酸等の酸触媒を用い、通常20〜70℃、通常0.5〜20時間、好ましくは3〜10時間攪拌することによって行うことができる。
反応温度が20〜70℃の範囲にあれば、適度の反応速度を有し、かつ重合反応の生起を防止又は抑制することができる。
反応温度は、原料にアクリル酸を使う場合、例えば40〜50℃である。原料にメタクリル酸を使う場合、例えば55℃〜60℃である。
【0041】
上記式(B)で表される(メタ)アクリル酸と、上記式(A)で表される脂肪族カルボン酸ビニルエステルとの混合割合にも制限はないが、反応性及び経済性を考慮すると、上記式(B)で表される(メタ)アクリル酸1モルに対し、上記式(A)で表される脂肪族カルボン酸ビニルエステルを、通常は1.0〜1.5モル、好ましくは1.1〜1.5モルとする。脂肪族カルボン酸ビニルエステルの当量が(メタ)アクリル酸に比べて少ないと、分解反応が起きる場合がある。
【0042】
酸触媒としては、ブレンステッド酸の触媒、ルイス酸の触媒が挙げられる。
ブレンステッド酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸、酢酸、安息香酸、蟻酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸を挙げることができる。
【0043】
また、ルイス酸としては、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化ホウ素化合物、塩化第二錫、フッ化アンチモン、塩化亜鉛、チタン化合物、ゼオライト類、Amberlyst15(登録商標)やNafion(登録商標)等のイオン交換樹脂等を挙げることができる。
これらの触媒を2種以上用いてもよい。これら触媒の中でも、反応性に優れ、かつ経済的な点から硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体、ゼオライト、Amberlyst15、Nafionが好ましく、さらには硫酸、p−トルエンスルホン酸及びAmberlyst15が特に好ましい。
【0044】
上記触媒は、上記式(B)で表される(メタ)アクリル酸に対し、通常は0.1〜10mol%、好ましくは0.1〜3mol%の割合で用いられる。
【0045】
上記式(B)で表される(メタ)アクリル酸と上記式(A)で表される脂肪族カルボン酸ビニルエステルとの反応は、溶媒を用いることなく行うことができるが、所望により、溶媒を用いて行ってもよい。
この溶媒としては、ヘキサン、石油エーテル、シクロヘキサン、トルエン、混合キシレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン,テトラヒドロフラン,ジクロロメタン、ヘプタン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等を挙げることができ、これら溶媒は、二種以上を混合して用いてもよい。
【0046】
反応終了後、溶媒を用いたときは溶媒を除去し、反応生成物を洗浄、乾燥、精製することによって、目的物である、前記式(1)で表されるアクリル系化合物を含む組成物を得ることができる。
このようなアクリル系化合物の製造方法においては、その反応時及び洗浄、乾燥、精製時に、上記式(B)で表される(メタ)アクリル酸又は上記式(A)で表される脂肪族カルボン酸ビニルエステルが重合反応を生起することのないよう、p−メトキシフェノール等の重合禁止剤を添加しておくことが好ましい。
【0047】
下記の条件(i)〜(v)を満たす精製方法によらなければ、本発明の組成物又は本発明の化合物を得ることができない。
プロセス全体を通して連続系でもバッチ系でもよい。
【0048】
(i)精製は、単蒸留及び精留の2工程で行う。
1工程で行なうと、式(2)の化合物の含有量が3.0%以下とならない。また、原料である(メタ)アクリル酸が各フラクション(留分)に混ざりこむ。これは、洗浄で微量に残った酸触媒と水が、精留中にモノマーの分解反応を促進させてしまうことに起因すると考えられる。
尚、単蒸留とは、いったん液体から蒸発した気体が、蒸留塔内で凝縮して液体となることなく留出する蒸留のことである。
【0049】
(ii)精留時に、以下の4種の重合禁止剤を用いる:p−メトキシフェノール、ジブチルジチオカルバミン酸銅、フェノチアジン、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキアミンアンモニウム塩
重合禁止剤が1種のみ(例えば、p−メトキシフェノールのみ)の場合、式(2)の化合物の含有量が3.0%以下とならない。また、精留途中で重合反応が発生し、モノマーを含む組成物が得られない。
【0050】
(iii)精留時に、上記4種の重合禁止剤を希釈した溶液(希釈に用いる溶媒はテトラエチレングリコール)を、蒸留塔の塔頂又は塔中から0.2cc/min程度の速度で滴下して重合反応を抑制する。
蒸留塔の塔頂又は塔中から重合禁止剤を滴下しないと、蒸留塔の塔内で重合反応が起こり、精留ができない。
【0051】
(iv)精留時に、減圧度を高くする。
株式会社日立製作所製の真空ポンプYTFOの装置能力の上限、又はこれと同等の装置能力を有する真空ポンプの装置能力の上限で減圧する。内部圧力は内部の粗精製物の気化によって大きく上下するが、2kPa以下が好ましく、1kPa以下がより好ましく、0.5kPa以下がさらに好ましい。
(v)還流比をR/D=5程度とする。
(Rは還流液量、Dは留出液量であり、単位は同一である。)
【0052】
上記本発明の組成物又は化合物を用いて重合させて、本発明の重合体、重合体組成物、及び成形体が得られる。
具体的には、本発明の組成物又は化合物、又はこの組成物又は化合物と他のエチレン系不飽和化合物との混合物に重合開始剤を添加し、通常30〜120℃、好ましくは30〜100℃、より好ましくは35〜80℃で、通常1〜20時間、好ましくは2〜10時間、重合させることによって重合体、重合体組成物又は成形体が得られる。
また、本発明の組成物又は化合物、又はこの組成物又は化合物と他のエチレン系不飽和化合物との混合物に重合開始剤を添加し、波長400nm以下のUV照射源を有するUV硬化装置を用いて、通常20〜3000mJ/cm、好ましくは50〜2500mJ/cmの光量を照射することによっても重合体を得ることができる。
【0053】
尚、本発明における重合体組成物とは、式(1)の化合物から得られる重合体又は式(6)の繰り返し単位を含む重合体と、式(2)の化合物等の他の化合物、重合体との混合物を意味する。重合体組成物には、室温において液体のもの、室温において固体のものがある。
また、本発明における成形体とは、本発明の重合体のうち室温において固体のもの、又は重合体組成物のうち室温において固体のものを意味する。
【0054】
エチレン系不飽和化合物に特に制限はないが、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等のエチレン系不飽和カルボン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル、さらには、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等を挙げることができる。
これらエチレン系不飽和化合物は、1種用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0055】
エチレン系不飽和化合物の使用量は、前記式(1)で表されるアクリル系化合物1モルに対し、通常は0.05〜0.95モル、好ましくは0.1〜0.8モルである。
【0056】
重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス−2−メチル−N−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチルプロピオアミド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物;イソブチリルパーオキサイド、2,4−ジ−クロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5’−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド系;ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジ−カーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジ−カーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシジ−カーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジ−カーボネート、ジ(2−エチルエチルパーオキシ)ジ−カーボネート、ジ−メトキシブチルパーオキシジ−カーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジ−カーボネート等のパーオキシジ−カーボネート類;(α,α−ビス−ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1’,3,3’−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、メチルエチルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、アセチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、アセトフェノン、p−アニシル、ベンジル、ジフェニルグリオキサール、2−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、ベンゾイン、2−ヒドロキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾフェノン、2−ベンゾイル安息香酸、4−ベンゾイル安息香酸、4−ベンゾイル4’−メチルジフェニルスルフィド、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、(±)−カンファーキノン、4−クロロベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、ジベンゾスベロン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−(3,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホン酸、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2−エチルアントラキノン、9−フルオレノン、2−[2−(フラン−2−イル)ビニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−イソニトロソプロピオフェノン、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、2−イソプロピルチオキサントン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、N−メチルアクリドン、2−ベンゾイル安息香酸メチル、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)ビニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン、ニフェジピン、2−フェニル−2−(p−トルエンスルホニルオキシ)アセトフェノン、2−ピリジルトリブロモメチルスルホン、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、トリブロモメチルフェニルスルホン、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、トリ−p−トリルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート等を挙げることができる。
【0057】
この重合開始剤は、単量体全量に対し、通常は0.01〜3質量%、好ましくは0.01〜2質量%、より好ましくは0.03〜1質量%の割合で用いられる。
【0058】
重合温度が30℃以上であると、適度の重合速度を有し、また、120℃以下であれば、重合反応の暴走を抑制することができる。反応が暴走すると,透明な成形体が得られない恐れがある。また、発砲状(ポップコーン状)になったり,成形体に亀裂が入ってしまう恐れがある。
また重合して成形体が得られた後、例えば60〜130℃でアニールしてもよい。これにより、より完全に重合反応させることができる。
【0059】
上記重合は、溶媒を用いることなく行うことができるが、所望により、溶媒を用いて行ってもよい。
この溶媒としては、水及び/又は有機溶媒を用いることができ、有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロパノール、ターシャリーブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、ベンゾニトリル、クロロホルム、ジクロロメタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、シクロペンタン等を挙げることができる。
上記の重合においては、架橋剤を用いることを要しない。
【0060】
また、本発明の重合体組成物は、下記式(6)で表される繰り返し単位を含む重合体を含み、下記式(2)で表される化合物の含有量が3重量%以下である。
また、本発明の重合体は、下記式(6)で表される繰り返し単位を含み、不純物として下記式(2)で表される化合物を含まない。
【化17】

式中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数1〜6のアルキル基を示す。ここで、式(6)、(2)中の全てのRは同一の基である。
【0061】
本発明の重合体組成物は、例えば上記式(6)で表される繰り返し単位を含む重合体、及び上記式(2)で表される化合物を合わせた含有量が90重量%以上、99重量%以上である。
【0062】
本発明の成形体は、下記式(6)で表される繰り返し単位を含む重合体を含み、下記式(2)で表される化合物の含有量が3重量%以下0重量%以上である成形体である。
【化18】

式中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数1〜6のアルキル基を示す。ここで、式(6)、(2)中の全てのRは同一の基である。
ここで、特定の繰り返し単位を「含む」とは、特定の繰り返し単位の構造を重合体の分子中に含むということを意味する。
【0063】
本発明の成形体は、例えば上記式(6)で表される繰り返し単位を含む重合体、及び上記式(2)で表される化合物を合わせた含有量が90重量%以上、99重量%以上である。
【0064】
本発明の重合体、あるいは重合体組成物及び成形体に含まれる重合体は、単独重合体であっても共重合体であってもよい。単独重合体は、例えば本発明の組成物又は化合物を用いて、式(1)の化合物を重合させることにより得られる。
また共重合体は、例えば本発明の組成物又は化合物、及び他の化合物を用いて、それらを重合させることにより得られる。ここで他の化合物としては、例えば上記のエチレン系不飽和化合物が挙げられる。
また、他の化合物としては、上記式(3)の化合物が挙げられる。尚、上記式(3)の化合物は、共重合体の主鎖の構造に組み込まれると同時に、主鎖に対して架橋機能を有し、共重合体同士を架橋すると考えられる。このことは、上記式(3)の化合物が二官能性の化合物であることから予想される。
【0065】
本発明の成形体の耐熱性及び軟質性は、式(1)の化合物の構造によって異なる。
式(1)においてRが水素原子の場合、成形体は軟質性を備える。成形体は、例えばデュロメータ硬さが50以上85以下である。また、例えばDMA(動的粘弾性測定装置)による軟化温度が25℃以上45℃以下である。
また式(1)においてRがメチル基の場合、成形体のガラス転移温度は室温に比べて相当高く、成形体の強度は例えば曲げ強度の測定が可能な硬さである。
【0066】
本発明の成形体は、臭気が少なく、透明性に優れる。尚、ここでいう「透明性に優れる」とは、全光線透過率が高いことを意味する。全光線透過率は実施例記載の方法で測定できる。
全光線透過率は、式(1)の化合物の構造や組成物中の他の成分によっても異なるが、真空で130℃、2時間のアニール処理後において、例えば90%以上である。上限は特に規定されないが、例えば98%である。
尚、架橋成分(式(3)で表わされる化合物)を含んでいても透明性は変化しない。
【0067】
また、本発明の成形体は、真空で130℃、2時間のアニール処理後において、YI値が2.5以下となることが好ましい。YI値は実施例記載の方法で測定できる。
【0068】
本発明の成形体は、式(3)で表わされる化合物を含む本発明の組成物を用いて重合することによって,優れた耐溶剤性を有する成形体とすることができる。具体的には、アセトン、ヘキサン等への耐溶剤性が高い成形体とすることができる。
【0069】
本発明の成形体は、VOCが1800ppm以下であることが好ましい。より好ましくは1600ppm以下であることが好ましい。VOCはガスクロマトグラフィーにより測定することができる。
【0070】
本発明の成形体は、透明性を活かした板材(導光板・低反射板・集光板・偏光板・拡散板・ミラー板・紫外線カット板・帯電防止板等)に好適に用いることができる。これら板材を用いることにより、光導波路・光ファイバー等の情報用光学素子、LEDやモスアイ構造が形成された導光板・液晶用導光板、携帯電話や液晶、看板等のディスプレイ用部材、メガネ・内視鏡をはじめとする光学レンズ等の光学用部材、建築用窓、太陽電池用透明部材、その他家電用品・日用雑貨・玩具・医療用機器等に用いることができる。
【0071】
また、本発明の組成物や成形体等は、上記以外の用途にも用いることができる。
本発明の組成物等は、塗料、接着剤、粘着剤、インキ用レジン、バインダー、レジスト、成形材料、電子素子における絶縁体及び絶縁膜材料、光学材料等の構成成分樹脂原料等に用いることができる。
本発明の成形体は、発泡成形体とすることで、レンジ対応食品容器、自動車用内装材、ユニットバス又は配管用断熱材等に使うことができる。
さらに、フィルムやシートに加工することで,食品包装シート、デスクマット等の文具用途、土木シート、防水シート、窓枠シーリング材、建築物用シーリング材等の土木建築用途,AV機器用途、家電機器用途等に用いることができる。
【実施例】
【0072】
実験例1
[反応工程]
2L三つ口フラスコに、アクリル酸(和光純薬工業株式会社製、製品コード:011-00776、和光特級)(531g,7.37mol)、酢酸ビニル(和光純薬工業株式会社製、製品コード:224-00246、和光特級)(937g,10.9mol,1.5eq.)、p−メトキシフェノール(和光純薬工業株式会社製、製品コード:088-01285、和光特級)(14.6g,0.118mol,1.6mol%)を秤りとり、硫酸(純正化学株式会社製、製品コード:83010-0330、特級)(6.30mL,0.118mol,1.6mol%)をゆっくり加え、50℃で8時間攪拌した。
【0073】
[洗浄工程]
室温に冷却した後、水(1.5L)を用いて洗浄し、有機層をさらに0.6M炭酸ナトリウム水溶液(1.5L)で洗浄した。この際、炭酸ガスの発生が止まるまで脱圧しながら振とうを行なった。得られた有機層をバス温度30℃、50hPaの条件下1時間エバポレーターで減圧濃縮した。
【0074】
[単蒸留工程]
2Lナス型フラスコに濃縮した反応液を入れ、p−メトキシフェノール2.0gを添加した後、バス温度40℃,7hPaの条件下、単蒸留を行ない,粗精製物(800g)を得た。
【0075】
[精留工程]
得られた粗精製物を一部(356g)秤りとり、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール(0.356g,1000ppm)、ジブチルジチオカルバミン酸銅(0.356g,1000ppm)、フェノチアジン(東京化成工業株式会社製、製品コード:P0106)(0.356g,1000ppm)、N−ニトソロ−N−フェニルヒドロキシアミンアンモニウム塩(東京化成工業株式会社製、製品コード:C0646)(0.356g,1000ppm)を加えた。
【0076】
図1の精留装置1を組んだ。
精留装置1は、粗精製物用のフラスコ10、蒸留塔20、冷却管30及び40、滴下ロート50、留分回収用フラスコ60からなっている。蒸留塔20の塔頂部には、重合禁止剤溶液用の容器100、及びポンプ110が経路112を介して設けられ、重合禁止剤溶液を投入できるようになっている。
冷却管30と蒸留塔20は経路22で接続され、冷却管30と冷却管40は経路26で接続されている。また、冷却管30内の経路26の開口部には、経路26の開閉を行う電磁弁24が設けられている。電磁弁24は、冷却管30の上部に設けられた電磁石25によって上下に動かすことができる。
図中、電磁弁24の動きを示す矢印及び経路112に示される矢印以外の矢印は、蒸気ガス又は凝縮液の進行方向を示す。
加熱手段12によりフラスコ10内の粗精製物を加熱すると、その蒸気は蒸留塔20及び経路22を経て冷却管30に達し、凝縮する。電磁弁24が開いている場合、凝縮液は経路26に流れ、冷却管40及び滴下ロート50を経てフラスコ60へ達する。また、電磁弁24が閉じている場合、凝縮液は経路22へ流れて蒸留塔20、フラスコ10へ戻り、再度蒸留操作を受ける。
【0077】
尚、本実施例においては、加熱手段12はオイルバス、蒸留塔20はマクマホン充填蒸留塔、冷却管30はジムロート冷却管、冷却管40はリービッヒ冷却管とした。
【0078】
蒸留塔20の塔頂から4種の重合禁止剤のテトラエチレングリコール溶液を滴下して重合を抑制しながら、バス(加熱手段12)温度を57〜232℃,真空ポンプ32により系内の圧力を0.50〜0.28kPaとし、精留を行ない、約25gずつフラクション(Fr.1〜Fr.15)に分画することで表1に示す留分(合計271g)を得た。
具体的には、精留開始後、捕集容器(フラスコ60)を交換しながら一定量ずつ留分を捕集した。最初に捕集した留分をFr.1、次の留分をFr.2、以降Fr.3〜15とした。
【0079】
Fr.6〜15の各留分がそれぞれ本発明の組成物又は化合物である。組成は下記のGC(ガスクロマトグラフィー)により確認した。
【0080】
[ガスクロマトグラフィー]
アジレントテクトノロジー社製ガスクロマトグラフィー
カラム:HP1 長さ30m×内径320μm×膜厚0.25μm
試料注入条件:He 1.5mL/min
試料注入量:1μL
昇温条件:50℃(1min)→10℃/min昇温→250℃(3min保持)
【0081】
【表1】

【0082】
実験例2
実験例1で得られたFr.1〜15を適宜選択、混合して、表2に示す組成物A、B、D、Eを調製した。組成物Cは、実験例1の単蒸留工程で得られた粗精製物である。尚、表中の組成は重量%である。
【表2】

【0083】
実験例3
組成物A 7mL、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン 37.2mg(組成物Aに対して0.5wt%)を秤りとり、ガラス型枠(52×76mm、厚さ1mm)に流し込んだ。UV硬化装置を用いて254mJ/cmのUV照射を行ない、成形体Aを得た。尚、IR(赤外分光法)を用いてオレフィン由来のピークが消失したことを確認し、硬化反応の終点とした。
【0084】
組成物Aをそれぞれ組成物B〜Eとした他は、実験例3と同様の方法を用いて成形体B〜Eを得た。
【0085】
評価例1
成形体AについてHS−GC(ヘッドスペース・ガスクロマトグラフィー)を測定したところ、以下のデータが得られた。揮発性有機化合物の濃度を計算すると、1540ppmとなった。この成形体は,無臭であった。
同様の方法で成形体B,C,D,Eについて、揮発性有機化合物の濃度と成形体のにおいを確認した。結果を表3に示す。
【0086】
HS条件 :
サンプリングモード:ループモード
加圧圧力 :100kPa
抽出回数 :1回
注入量:1ml
サンプル加熱温度 :150℃
サンプル加熱時間 :30min
インターフェース温度:200℃
GC条件:
カラム:BPX−5 内径0.32mm×長さ30m×膜厚1.0um
昇温条件 :50℃(1min)→10℃/min→300℃(5min)
キャリアガス:Constant flow 1.8ml/min 線速度 30cm/s
検出器:FID 320℃
【0087】
【表3】

【0088】
評価例2
成形体A、B、D、Eをアニール(真空で130℃、2時間)して未反応のモノマーを完全に反応させ、YI値及び全光線透過率を測定した。結果を表4、図2,3に示す。
結果から、YI値は、式(2)で表される化合物の含量が7.5重量%前後で急激に低下し、7.5重量%以下であればYI値が低いことが分かる。
また、成形体A、Bは成形体D、Eと同程度に全光線透過率が高く、式(2)で表される化合物の量が少なくても全光線透過率に影響は無く、高い透明性を有していることが分かる。
【0089】
YI値及び全光線透過率の測定方法を以下に示す。
全光線透過率:日本電色工業株式会社製NDH2000にて、JIS K 7361−1に基づき測定した(光源:JISに規定のものを使用した。)
YI値:株式会社日立ハイテクノロジーズ製 U4100にて、JIS K 7105に基づき測定した。
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の組成物は、塗料、接着剤、粘着剤、インキ用レジン、バインダー、レジスト、成形材料、電子素子における絶縁体及び絶縁膜材料、光学材料等の構成成分樹脂原料等に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される化合物を含み、
下記式(2)で表される化合物の含有量が3重量%以下である組成物。
【化19】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。ここで、式(1)及び(2)の全てのRは同一の基である。)
【請求項2】
下記式(A)で表される化合物が100ppm以下であり、
下記式(B)で表される化合物が1000ppm以下であり、かつ
下記式(C)で表される化合物が100ppm以下である、
請求項1に記載の組成物。
(A)CH=CH−OCO−R
(B)CH=CR−COOH
(C)酢酸
(式中、Rは前記式(1)のRと同一の基であり、Rは前記式(1)のRと同一の基である。)
【請求項3】
式(3)で表される化合物を含む請求項1又は2に記載の組成物。
【化20】

(式中、Rはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。)
【請求項4】
前記式(1)で表される化合物、及び
前記式(2)で表される化合物を合わせた含有量が99.9重量%以上である、
請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
式(1)で表される化合物、
式(2)で表される化合物、及び
式(3)で表される化合物を合わせた含有量が99.9重量%以上である、
請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
揮発性有機化合物(VOC)成分が2000ppm以下である、
請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
下記式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物を含み、
下記式(1)で表される化合物の含有量と下記式(2)で表される化合物の含有量との重量比が下記式(X)を満たす組成物。
【化21】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。ここで、式(1)及び(2)の全てのRは同一の基である。)
0<M1/M2≦0.03 (X)
(式中、M1は式(2)で表される化合物の含有量であり、M2は式(1)で表される化合物の含有量及び式(2)で表される化合物の含有量の和である。)
【請求項8】
不純物として下記式(2)で表される化合物を含まない、下記式(1)で表される化合物。
【化22】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。ここで、式(1)及び(2)の全てのRは同一の基である。)
【請求項9】
不純物として下記式(2)で表される化合物を含まない、下記式(6)で表される繰り返し単位を含む重合体。
【化23】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。ここで、式(6)、(2)中の全てのRは同一の基である。)
【請求項10】
前記式(6)で表される繰り返し単位とは異なる、少なくとも1つの繰り返し単位を含む請求項9記載の重合体。
【請求項11】
請求項8に記載の化合物から得られる重合体。
【請求項12】
下記式(6)で表される繰り返し単位を含む重合体を含み、
下記式(2)で表される化合物の含有量が3重量%以下である重合体組成物。
【化24】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。ここで、式(6)、(2)中の全てのRは同一の基である。)
【請求項13】
前記重合体が、さらに、前記式(6)で表される繰り返し単位とは異なる、少なくとも1つの繰り返し単位を含む共重合体である請求項12記載の重合体組成物。
【請求項14】
請求項1〜7のいずれかに記載の組成物から得られる重合体組成物。
【請求項15】
下記式(6)で表される繰り返し単位を含む重合体を含み、
下記式(2)で表される化合物の含有量が3重量%以下である成形体。
【化25】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。ここで、式(6)、(2)中の全てのRは同一の基である。)
【請求項16】
前記重合体が、さらに、前記式(6)で表される繰り返し単位とは異なる、少なくとも1つの繰り返し単位を含む共重合体である請求項15記載の成形体。
【請求項17】
請求項9〜11のいずれかに記載の重合体、又は請求項12〜14のいずれかに記載の重合体組成物から得られる成形体。
【請求項18】
基板と、
請求項9〜11のいずれかに記載の重合体、又は請求項12〜14のいずれかに記載の重合体組成物を用いて、前記基板上に形成される層と、
を含む積層体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−207003(P2012−207003A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75825(P2011−75825)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】