説明

アクリル系粘着剤組成物および該組成物を用いた粘着シート又は粘着テープ

【課題】アクリル系粘着剤の特徴である優れた耐候性、透明性有し、かつ低エネルギー表面に対する接着性、固定性、耐熱性に優れたアクリル系粘着剤組成物および粘着シートまたは粘着テープを提供する。
【解決手段】アクリル系粘着剤組成物の単量体成分として少なくともアクリル酸ブチルを原点としたハンセン(Hansen)の溶解度パラメーターの寄与率差が11.0以上であり、(メタ)アクリル酸と炭素数12〜26の脂環族基含有アルコールとのエステルから誘導される成分であるテルペン系(メタ)アクリル酸エステルを必須の構成単位とするアクリル系粘着剤組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた耐候性、透明性を有し、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、自動車の塗装面などの低エネルギー表面に対して良好な粘着特性を示し、更に優れた耐熱性、固定性を発現するアクリル系粘着剤組成物に関するものである。
また、このアクリル系粘着剤組成物を支持体の片面または両面に塗付した粘着シートまたは粘着テープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
アクリル系粘着剤は耐候性や透明性に優れ、また粘着3物性のバランスが良好なことから、多くの粘・接着製品に応用されているが、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、シクロオレフィンポリマーやシクロオレフィンコポリマーなど環状ポリオレフィン、自動車の塗装面などの低エネルギー表面に対する接着力が弱いという欠点がある。
また、近年のエレクトロニクス分野の伸長に伴い液晶ディスプレーやプラズマディスプレーを構成する光学部材の貼り合わせ、半導体製造工程に使用される特殊テープ、携帯電話の部品の接着用の両面テープなど新たな粘接着用途が生まれてきている。これらの粘着剤製品には、粘着3物性に加え、更なる高い耐熱性と固定性の要求が高まってきている。
【0003】
これらの欠点を解消し、また新たな要求特性を満足させるために、粘着付与樹脂を配合して改質する方法等が知られている(文献1)。
しかしアクリル系粘着剤に粘着付与樹脂を添加すると、低エネルギー表面に対する粘着性、耐熱性、固定性の改質には有効であるが、粘着付与樹脂は一般的にアクリル系粘着剤と比較すると耐候性に劣るため、アクリル系粘着剤の特徴である耐候性を低下させる弊害が生じる。また、アクリル系粘着剤と粘着付与樹脂の相溶性が劣る場合には、経時に粘着付与樹脂が粘着剤表面にブリードアウトし、粘着性の低下や白濁などの問題点が生じる。
【0004】
一方、アクリル系粘着剤を構成する(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数が15〜20の長鎖アルキルのアクリル系モノマーを共重合することによって低エネルギー表面の被着体に対する密着性を上げる方法が開示されている(文献2)。
しかしながらこれらの長鎖アルキル基を有するアクリル系モノマーは、一般的にガラス転移温度(Tg)が低く、耐熱性、固定性を満足させることはできない。
【0005】
また、粘着付与樹脂として、重量平均分子量が10,000未満、溶解性パラメーターが20.0(MPa)0.5以下、ガラス転移温度(Tg)が40℃以上の(メタ)アクリル酸エステル重合体を含むアクリル系粘着剤組成物が開示されている(文献3)。本文献に記載されている溶解性パラメーターは、必ずしも(メタ)アクリル酸エステル類の極性とは一致しておらず、特に脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステル類については相関性が低い。よって、溶解性パラメーターの低いモノマーを構成単位とする粘着剤組成であっても、低エネルギー表面に対する接着力が十分でない。
以上のことから、アクリル系粘着剤の耐候性、透明性を維持し、低エネルギー表面に対する接着性に優れ、かつ耐熱性、固定性に優れた粘着剤組成物は見いだされていない。
【特許文献1】特開2004−143420号公報
【特許文献2】特開平1−261479号公報
【特許文献3】特開2006−045474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたもので、アクリル系粘着剤の特徴である優れた耐候性、透明性を有し、かつ低エネルギー表面に対する接着性に優れ、さらに固定性、耐熱性に優れたアクリル系粘着剤組成物を提供することを目的とする。
本発明はまた上記アクリル系粘着剤組成物を塗布して得られる耐候性、透明性、低エネルギー表面に対する接着性、固定性、耐熱性に優れる粘着シートまたは粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するために鋭意検討した結果、アクリル系粘着剤組成物の単量体成分として少なくともアクリル酸ブチルを原点としたハンセン(Hansen)の溶解度パラメーターの寄与率差が11.0以上であり、(メタ)アクリル酸と炭素数12〜26の脂環族基含有アルコールとのエステルから誘導される成分であるテルペン系(メタ)アクリル酸エステルを必須の構成単位とすることによって、耐候性、透明性を損なわずに、低エネルギー表面に対する接着性に優れ、さらに固定性、耐熱性に優れる粘着剤組成物が得られることが見いだされた。
【0008】
さらに本発明のアクリル系粘着剤組成物は、下記式(1)および/または式(2)に示すテルペン系(メタ)アクリル酸エステルを必須の構成単位とすることが好ましい。
【0009】
【化1】

【0010】
上記式中、R1は水素原子またはメチル基を表す。
【0011】
【化2】

【0012】
上記式中、R2は水素原子またはメチル基を表す。
【0013】
このアクリル系粘着剤組成物は、溶剤型、エマルジョン型、UV硬化型、ホットメルト型いずれの形態の製品化も可能であり、あらゆる支持体や塗布プロセスにも対応できるものである。
【0014】
本発明は、上記アクリル系粘着剤組成物を支持体の片面または両面に塗布してなる粘着シートまたは粘着テープも含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、耐候性、透明性に優れ、ポリエチレンやポリプロピレンといったポリオレフィン、環状ポリオレフィン、自動車の塗装面に対して良好な粘着力を示し、かつ、耐熱性、固定性に優れたものである。また、本発明のアクリル系粘着剤組成物を塗布して得られる粘着シートまたは粘着テープは、耐熱性、固定性に優れるためエレクトロニクス分野の用途に最適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のアクリル系粘着剤組成物および該組成物を用いた粘着シートまたは粘着テープについて説明する。アクリル系粘着剤組成物は、少なくとも単量体成分としてアクリル酸ブチルを原点としたハンセン(Hansen)の溶解度パラメーターの寄与率差が11.0以上であり、(メタ)アクリル酸と炭素数12〜26の脂環族基含有アルコールとのエステルから誘導される成分であるテルペン系(メタ)アクリル酸エステルを必須の構成単位とする。
【0017】
上記テルペン系(メタ)アクリル酸エステルは、特に式(1)または式(2)のテルペン系(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
【0018】
【化3】

【0019】
上記式中、R1は水素原子またはメチル基を表す。
【0020】
【化4】


【0021】
上記式中、R2は水素原子またはメチル基を表す。
【0022】
寄与率差の計算方法は、2005年3月31日株式会社情報機構発行、山本秀樹著「SP値基礎・応用と計算方法」第2刷(第81頁〜第84頁)に記載されている。
まずHansenがHildebrandの溶解度パラメーター(δ)に関与している分散力、双極子相互作用、水素結合の効果を考慮して提案した数式1に示される溶解度パラメーターを用いて、アクリル酸ブチルやテルペン系(メタ)アクリル酸エステルのδ(分散力による寄与)、δ(極性相互作用による寄与)、δ(水素結合による寄与)を計算し、さらに数式2〜数式4を用いてHansenの溶解度パラメーターの寄与率を算出した。これらの値からアクリル酸ブチルを原点とした距離(寄与率差)を求めた。
【0023】
【数1】

【0024】
δは分散力による寄与、δは極性相互作用による寄与、δは水素結合による寄与を表す。
【0025】
【数2】

【0026】
【数3】

【0027】
【数4】

【0028】
上記式(1)または式(2)に示すテルペン系(メタ)アクリル酸エステルのアクリル酸ブチルを原点とした寄与率差は、式(1)のR1が水素原子を表す際は14.55、R1がメチル基を表す際は15.55であり、式(2)のR2が水素原子を表す際は14.65、R2がメチル基を表す際は15.47といずれも11.0以上の値となっている。
【0029】
例えば、アクリル酸ブチルの寄与率が、f=61.05%、f=11.55%、f=27.40%に対し、式(1)に示されるR1が水素原子を表す際のテルペン系(メタ)アクリル酸エステルの寄与率は、f=72.91%、f=6.26%、f=20.83%であることから、式(1)に示されるR1が水素原子を表す際のテルペン系(メタ)アクリル酸エステルとアクリル酸ブチルの距離(寄与率差)は((72.91−61.05)+(6.26−11.55)+(20.83−27.40))の平方根が14.55となる。
【0030】
アクリル酸ブチルに対する寄与率差が11.0未満の場合は極性が高いことを示すため、低エネルギー表面に対する接着力が十分に得られない。アクリル酸ブチルに対する寄与率差が11.0未満のものには、アクリル酸イソボルニルの8.92がある。
【0031】
さらに、テルペン系(メタ)アクリル酸エステルは(メタ)アクリル酸と炭素数12〜26の脂環族基含有アルコールとのエステルから誘導される成分であり、上記式(1)と(2)以外に、具体例として下記式(3)〜(5)などがあげられる。
【0032】
【化5】

【0033】
上記式中、R3は水素原子またはメチル基を表す。
【0034】
【化6】

【0035】
上記式中、R4は水素原子またはメチル基を表す。
【0036】
【化7】

【0037】
上記式中、R5は水素原子またはメチル基を表す。
【0038】
テルペン系(メタ)アクリル酸エステルが、(メタ)アクリル酸と炭素数12〜26以外の脂環族基含有アルコールとのエステルから誘導される成分であると、アクリル系粘着剤組成物の主成分単位である(メタ)アクリル酸アルキルエステルへの相溶性が低下したり、低エネルギー表面に対する接着力が十分に得らなかったりする。
【0039】
本発明の式(1)または式(2)のテルペン系(メタ)アクリル酸エステルは、脂環族基含有アルコールと(メタ)アクリル酸とをエステル化することによって得られ、特開平10−330315号公報に出発物質、合成方法、合成レートが記載されているが、特に限定しない。
【0040】
なお本発明の式(1)のテルペン系(メタ)アクリル酸エステルは、例えば下記の式(6)〜(8)などの構造異性体を示すが、特に限定しない。
【0041】
【化8】

【0042】
上記式中、R6は水素原子またはメチル基を表す。
【0043】
【化9】

【0044】
上記式中、R7は水素原子またはメチル基を表す。
【0045】
【化10】

【0046】
上記式中、R8は水素原子またはメチル基を表す。
【0047】
脂環族基含有アルコールには、例えば下記の式(9)または式(10)に示すものが挙げられ、特開平10−330315号公報に出発物質、合成方法、合成レートが記載されているが、特に限定しない。
【0048】
【化11】

【0049】
【化12】

【0050】
なお本発明の式(9)の脂環族基含有アルコールは、例えば下記の式(11)〜(13)などの構造異性体を示すが、特に限定しない。
【0051】
【化13】

【0052】
【化14】

【0053】
【化15】

【0054】
脂環族基含有アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化方法は、例えば上記式(9)または式(10)の脂環族基含有アルコールと(メタ)アクリル酸を共存させる直接エステル化法、(メタ)アクリル酸エステルを使用するエステル交換法、(メタ)アクリル酸クロリドを使用する酸クロ法など、通常行われているエステル化方法により行うことができ、製造方法としては特に限定しない。
【0055】
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、単量体成分として少なくともアクリル酸ブチルを原点としたハンセン(Hansen)の溶解度パラメーターの寄与率差が11.0以上であり、(メタ)アクリル酸と炭素数12〜26の脂環族基含有アルコールとのエステルから誘導される成分であるテルペン系(メタ)アクリル酸エステルを必須の構成単位とし、テルペン系(メタ)アクリル酸エステルの粘着剤組成物への導入方法は特に限定しない。例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルであるアクリル酸ブチルやアクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル系粘着剤組成物の主成分モノマーと共重合する方法、テルペン系(メタ)アクリル酸エステルを単独重合させたり、テルペン系(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な(メタ)アクリル系モノマーと共重合させたりして得られる(メタ)アクリル系樹脂を粘着付与樹脂として混合させる方法などがある。
【0056】
アクリル系粘着剤組成物は(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分単位とするアクリル系ポリマーからなり、例えばアクリル系モノマーやテルペン系(メタ)アクリル酸エステルを(共)重合することによって得られるアクリル系ポリマーや(メタ)アクリル系樹脂の混合物などからなる。
【0057】
ここで(メタ)アクリル系モノマーについて述べるが、特に限定はないが具体的な例として次のようなものが挙げられる。
【0058】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニルなどが挙げられ、単独若しくは2種類以上が併用されてもよい。
【0059】
(メタ)アクリル酸エステルとして(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニルエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシジエチレングリコールエステルなどが挙げられ、(メタ)アクリル酸アリールエステル類として、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸メチルフェニルなどが挙げられる。
【0060】
カルボキシル基含有モノマーとして(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸β−カルボキシエチル、こはく酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレートなどが挙げられ、水酸基含有モノマーとして、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロピル、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレートなどが挙げられる。
【0061】
エーテル基含有モノマーとして(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、1,3−ブチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール#400(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、クレジルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0062】
その他にグリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマーとしてN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレートなど、有機ケイ素基含有モノマーとしてトリメチルシロキシエチル(メタ)アクリレート、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランなど、リン含有モノマーとしてジフェニル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、カプロラクトン変性−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートなど、イソシアネート基含有モノマーとして(メタ)アクリロイルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどが挙げられる。
【0063】
なお、(共)重合方法には、上記した本発明の必須重合成分であるテルペン系(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル系モノマー以外に、任意の(共)重合成分を用いることもできる。かかる任意の(共)重合成分としては、スチレン類としてスチレン、ヒドロキシスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、メチルスチレン、メトキシスチレン、tert−ブトキシスチレン、tert−ブトキシカルボニルスチレン、tert−ブトキシカルボニルオキシスチレン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、α−メチルスチレン等、ビニル化合物として酢酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバル酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、アジピン酸ジビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドンなど、アリル化合物として酢酸アリル、アリルグリシジルエーテルなど、カルボキシル基含有モノマーとしてイタコン酸、クロトン酸、フマル酸など、酸無水物残基含有モノマーとして無水マレイン酸など、有機ケイ素基含有モノマーとしてビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルアリルアミン、2−メトキシエトキシトリメトキシシランなど、酸アミド化合物としてアクリルアミドなどが挙げられる。
【0064】
アクリル系ポリマーや(メタ)アクリル系樹脂の(共)重合方法は、溶液重合、エマルジョン重合、UV重合等いずれでもよく、特に限定されない。また形態として溶剤型、エマルジョン型、ホットメルト型、UV硬化型いずれでもよい。
【0065】
ここで電子材料用途に広く使用されている溶剤型アクリル系粘着剤組成物を例にとって、さらに詳しく説明する。溶剤型アクリル系粘着剤の製造方法としては、重合開始剤を用いて(メタ)アクリル系モノマーを有機溶剤中で重合させる工程を含む。その際用いる有機溶剤には、酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール系溶液、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素系溶液、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤などがある。これらの有機溶剤は、その1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合使用してもよい。
【0066】
重合開始剤としては、所望の重合率と重合度が得られるものならば特に限定はなく、汎用のものが好適に使用できる。例えばベンゾイルパーオキシド、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。重合開始剤は単独でも、複数種類を併用してもよい。さらに、必要に応じて、汎用の連鎖移動剤も使用することができる。また、重合温度、窒素置換等の重合条件も所望の重合率と重合度が得られるものならば特に限定はなく、通常の重合条件が用いられる。ここで、本発明における「共重合」とは、ポリマー鎖中に取り込まれている状態のみならず、ポリマー末端に結合している状態をも指す。
【0067】
本発明のテルペン系(メタ)アクリル酸エステルの構成単位の割合は、通常、(メタ)アクリル系モノマーを含めた全量に対して1〜80モル%、好ましくは3〜40モル%である。テルペン系(メタ)アクリル酸エステルの構成単位の割合が1モル%未満では、ポリオレフィンに対する接着性が不充分となり、好ましくなく、一方、80モル%を超えると粘着3物性のバランスが崩れやすく、より好ましくない。
【0068】
またアクリル系ポリマーをゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、5,000〜2,000,000、好ましくは5,000〜1,000,000である。重量平均分子量(Mw)が5,000未満では凝集力が不足する場合があり、粘着3物性の粘着力や保持力が劣るという問題が生じる。一方、2,000,000を超えると粘度が上がるために塗工性が低下し、粘着3物性のタックが劣るという問題が生じる。また、(共)重合体の分散度(Mw/ポリスチレン換算数平均分子量)は、好ましくは1〜20、さらに好ましくは5〜20、特に好ましくは5〜10である。
【0069】
(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10,000未満、好ましくは3,000〜7,000である。この(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)が10,000以上になると、本発明の組成物を用いて得られる粘着剤における粘着性能の向上効果が十分には発現しない。
【0070】
本発明のアクリル系粘着剤組成物には、架橋剤を配合することが好ましい。架橋剤を配合したアクリル系粘着剤組成物は凝集力が増大し、高温や低温下での感温性も増大する。
アクリル系ポリマーを架橋するための架橋剤としては、上記した官能基含有アクリル系モノマーの有する官能基であってアクリル系ポリマーに導入された官能基との反応性を有する官能基を1分子中に2個以上有する化合物を用いることができる。このような官能基としては、イソシアネート基、エポキシ基、アミノ基、メチロール基、アルコキシメチル基、イミノ基、金属キレート基、アジリジニル基などが挙げられる。
具体的な化合物としては、多官能イソシアネート化合物、多官能エポキシ化合物、多官能メラミン化合物、金属架橋剤、アジリジン化合物などが挙げられる。
【0071】
イソシアネート基を2個以上有する多官能イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物;「スミジュールN」(住友バイエルウレタン(株)製)などのビュレットポリイソシアネート化合物;「デスモジュールIL」、「デスモジュールHL」(いずれもバイエルA.G.社製)、「コロネートEH」(日本ポリウレタン工業(株)製)などとして知られるイソシアヌレート環を有するポリイソシアネート化合物;「スミジュールL」(住友バイエルウレタン(株)製)などのアダクトポリイソシアネート化合物;「コロネートL」および「コロネートL−55E」(いずれも日本ポリウレタン工業(株)製)などのアダクトポリイソシアネート化合物などを挙げることができる。これらは、単独で使用し得るほか、2種以上を併用することもできる。また、これらの化合物のイソシアネート基を、活性水素を有するマスク剤と反応させて不活性化したいわゆるブロックイソシアネートも使用可能である。
【0072】
多官能エポキシ化合物としては、1分子当たりエポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に限定されるものではない。具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型エポキシ樹脂、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジンなどが挙げられる。
【0073】
多官能メラミン化合物としては、メチロール基またはアルコキシメチル基またはイミノ基を合計で1分子当たり2個以上有する化合物であれば、特に限定されるものではない。具体例としては、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミンなどが挙げられる。
【0074】
金属架橋剤としては、特に限定されるものではない。具体例としては、アルミニウム、亜鉛、カドミウム、ニッケル、コバルト、銅、カルシウム、バリウム、チタン、マンガン、鉄、鉛、ジルコニウム、クロム、錫などの金属に、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、乳酸エチル、サリチル酸メチルなどが配位した金属キレート化合物などが挙げられる。
【0075】
アジリジン化合物としては、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリ−1−アジリジニルホスフォンオキサイド、N,N’−ジフェニルエタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)などが挙げられる。
【0076】
架橋剤の使用量は特に限定されないが、アクリル系ポリマー(固形分)に対し、架橋剤を0.05〜15質量%とすることが好ましい。0.05質量%よりも少ないと、架橋が不充分となって架橋密度が低く、凝集力不足となることがある。15質量%を超えると、架橋密度が高くなり過ぎて、粘着力が低くなることがある。より好ましい下限は0.1質量%、上限は10質量%である。
【0077】
アクリル系粘着剤組成物には、特徴である耐候性、透明性を低下させない程度に、必要により、他のアクリル系(共)重合体、粘着付与剤を配合してもよい。粘着付与剤としては、(重合)ロジン系、(重合)ロジンエステル系、テルペン系、テルペンフェノール系、クマロン系、クマロンインデン系、スチレン樹脂系、キシレン樹脂系、フェノール樹脂系、石油樹脂系などが挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用できる。
【0078】
粘着付与剤の量は特に限定されないが、アクリル系ポリマー100質量部に対して、通常、5〜100質量部とするのが好ましい。粘着付与剤の添加量が5質量部より少ないと、粘着付与剤による粘着力向上効果が発揮されないことがある。一方、上記粘着付与剤の添加量が100質量部より多いと、逆にタックが減少して粘着力が低下するおそれがある。10〜50質量部の範囲内がさらに好ましい。
【0079】
さらにアクリル系粘着剤組成物には、必要に応じて、通常配合される充填剤、顔料、希釈剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、静電防止剤などの従来公知の添加剤を添加してもよい。これらの添加剤は、1種類または2種以上使用可能である。
【0080】
本発明のアクリル系粘着剤組成物を支持体の片面または両面に塗布して層を設けることにより、粘着シートまたは粘着テープを得ることができる。ここで使用される支持体は特に制限されず、例えば、プラスチックフィルム、紙、不織布のほか、金属箔やプラスチック製あるいはゴム製の発泡体などのシートあるいはテープ状のものなどが適用できる。
【0081】
アクリル系粘着剤組成物を上記支持体へ加工する方法としては特に限定されないが、溶剤型アクリル系粘着剤の製造方法を例として次に挙げる。有機溶剤、例えばトルエンと酢酸エチル、アクリル系ポリマーや(メタ)アクリル系樹脂などの混合液を撹拌溶解させ、固形分含有量10〜70重量%の粘着液として調製する。このように調製したアクリル系粘着剤組成物を、例えばロールコーターやリバースコーターなどで支持体に塗布し、加熱して溶剤を揮発させることにより本発明の粘着テープまたは粘着シートが得られる。粘着剤層の厚みは特に制限されないが、通常0.01〜1.0mm程度である。
【0082】
本発明のアクリル系粘着剤組成物を支持体に塗布して得られる粘着シートまたは粘着テープは、耐候性、透明性を損なわずに、低エネルギー表面に対する接着性に優れ、さらに固定性、耐熱性に優れている。
【実施例】
【0083】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の部および%は、特に断らない限り、重量基準である。
【0084】
下記実施例における分析は、下記の機器を使用した。
1.純度…ガスクロマトグラフィー質量分析装置(GC−MS)により求めた。装置;Hewlett Packard社製、HP6890 GC System、カラム;HP−5MS(Crosslinked 5% Ph Me Siloxane)径0.25mm×30m、イオン化モード;EI
2.分子量…ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により重量平均分子量(Mw)を求めた。装置;Waters社製、モデル510、カラム;Waters社製、Styragel (HR5+HR4)×2、溶媒;テトラヒドロフラン、標準物質;ポリスチレン
【0085】
合成例1
(式(1)に示すテルペン系(メタ)アクリル酸エステル(R1=水素原子)の合成)
温度計、撹拌装置、滴下ロート及び冷却管を備えた4つ口フラスコに、フェノール11.3g(0.12モル)、強酸性陽イオン交換樹脂2g仕込んだ後、80℃の温度に保持しながら、カンフェン13.6g(0.1モル)を3時間かけて滴下し、その後3時間撹拌し反応させた。次いで、該混合液から、ろ過によって陽イオン交換樹脂を除き、得られた反応液にトルエン30gを加えて溶解させ、蒸留水で2回洗浄したのち、5mmHgの減圧条件下蒸留を行い、沸点138℃〜148℃の留分19.5gを得た。次に、500mlのステンレス製オートクレーブ中に上記留分と、2−プロパノール200ml、及び粉末状の5%ルテニウム担持アルミナ触媒1.0gを仕込んだ。次いで、これを密封し、雰囲気を窒素ガスで置換した後、水素ガス10kg/cm2の圧力をかけながら導入した。そして撹拌しながら加熱し150℃となったところで、水素の圧力を40kg/cm2とし、吸収された水素を補うことで圧力を40kg/cm2に保ちながら10時間反応させた。その後、室温まで冷却し、得られた懸濁液にエタノール300mlを追加し、ブフナーロートで吸引ろ過を行い、触媒を濾別した。濾液を、最終的に130℃、真空度1mmHg以下で30分間かけて蒸留濃縮し、式(9)に示す脂環族基含有アルコール17.6g、ガスクロマトグラフィーによる純度が95%である透明な粘ちょう体を得た。
次に還流装置付き油水分離器を装着した反応器に上記で得られた式(9)に示す脂環族基含有アルコール11.8gとトルエン50g、アクリル酸3.9g、濃硫酸0.08g、ハイドロキノン0.05g仕込み、加熱撹拌しながら、110℃で還流した。生成してくる水を油水分離器で除去しながら、10時間反応した。次に反応油を水洗し、減圧下蒸留を行い、トルエン、未反応物を留去させ、釜残として微黄色液状物を得た。次にカラムクロマトグラフィーにより微黄色液状物を精製し、式(1)に示すテルペン系アクリル酸エステル(式(1)のR1は水素原子を表す)の透明液状物9.6gを得た。
【0086】
合成例2
(式(2)に示すテルペン系(メタ)アクリル酸エステル(R2=水素原子)の合成)
合成例1において、カンフェンをパラメンテンー1 13.8g(0.1モル)に変えた以外は同様に操作し、式(10)に示す脂環族基含有アルコール19.4g、ガスクロマトグラフィーによる純度が92%である白色結晶物を得た。
さらに合成例1において、式(9)に示す脂環族基含有アルコールを上記で得られた式(10)の脂環族基含有アルコールに変えた以外は同様に操作を行い、式(2)に示すテルペン系アクリル酸エステル(式(2)のR2は水素原子を表す)の無色半固形状9.4gを得た。
【0087】
(メタ)アクリル系樹脂の調整例1
(式(2)に示すテルペン系アクリル酸エステル(R2=水素原子)の(メタ)アクリル系樹脂の合成)
撹拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた4つ口フラスコに式(2)に示すテルペン系アクリル酸エステル(式(2)のR2は水素原子を表す)100部、チオグリコール酸(堺化学工業(株)製、メルカプト酢酸)3部、ジ−tert−ヘキシルパーオキサイド(日本油脂(株)製、商品名「パーヘキシルD」)0.05部を仕込み、室温で撹拌しながら1時間窒素封入した。次いでこの混合物に緩やかに窒素ガスを吹き込みながら撹拌し、70℃になるまで昇温し、重合反応を開始させた。発生する反応熱によって上昇する装置内温度を70℃〜80℃に保つように第1段階目の重合反応を約2時間行なった。ここにジ−tert−ヘキシルパーオキサイド0.05部を添加して、自己発生熱により生じる反応系内の温度上昇が緩やかになった後、反応系内温度を170℃にまで緩やかに昇温させ、第2段階目の重合反応を4〜6時間行ない、転化率が約95%、重量平均分子量(Mw)が4,000である式(2)に示すテルペン系アクリル酸エステル(式(2)のR2は水素原子を表す)の(メタ)アクリル系樹脂を得た。
【0088】
(メタ)アクリル系樹脂の調整例2
(アクリル酸イソボルニルの(メタ)アクリル系樹脂の合成)
式(2)に示すテルペン系アクリル酸エステルの代わりにアクリル酸イソボルニルを用いた以外は(メタ)アクリル系樹脂の調整例1と同様の操作を行い、転化率が約97%、重量平均分子量(Mw)が3,800であるアクリル酸イソボルニルのアクリル系樹脂を得た。
【0089】
実施例1
アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、式(1)に示すテルペン系アクリル酸エステル(式(1)のR1は水素原子を表す)を、100:6.0:0.4:20の重量比率で100g調製し、重合開始剤としてα,α′−アゾビスイソブチロニトリル0.2g、溶媒にトルエン/酢酸エチル400mlを温度計、撹拌機、不活性ガス導入管、還流冷却器を備えた4つ口フラスコに仕込んだ。窒素気流下でフラスコ内を60℃まで昇温しながら撹拌を行い、12時間反応を行った。得られたアクリル系ポリマー464.2gの重量平均分子量(Mw)は420,000であった。(試料A)
上記試料A100部に対してイソシアネート系架橋剤であるコロネートL(日本ポリウレタン工業(株)製)を0.5部添加し、均一に混合してアクリル系粘着剤組成物を調整した。この粘着剤組成物を基材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)製:厚さ38μm)に乾燥後の厚さが20〜25μmとなるように塗布した後、100℃で3分間乾燥させた。その後、粘着剤組成物からなる層の表面に離型紙(サンエー化研(株)製「K−80HS」)を貼着して保護したのち、温度50℃、相対湿度65%の雰囲気下で3日間養生させて本発明の粘着シートを製造した。
【0090】
実施例2
式(1)に示すテルペン系アクリル酸エステル(式(1)のR1は水素原子を表す)を配合しない以外は実施例1と同様の操作を行い、重量平均分子量(Mw)40,000のアクリル系ポリマー457.7gを得た。(試料B)
さらに試料Aの代わりに上記試料Bを用い、(メタ)アクリル系樹脂の調整例1で得られた式(2)に示すテルペン系アクリル酸エステル(式(2)のR2は水素原子を表す)のアクリル系樹脂を試料Bに対して20部配合した以外は実施例1と同様の操作を行い、粘着シートを作成した。
【0091】
比較例1
式(2)に示すテルペン系アクリル酸エステル(式(2)のYは水素原子を表す)のアクリル系樹脂を20部配合しない以外は実施例2と同様の操作を行い、粘着シートを作成した。
【0092】
比較例2
アクリル系樹脂を(メタ)アクリル系樹脂の調整例2で得られたアクリル酸イソボルニルとした以外は、実施例2と同様に操作を行い、粘着シートを作成した。
【0093】
<評価方法>
実施例及び比較例で得た粘着シートに対し、下記の評価を行った。評価結果を表1に示す。
1.粘着力…ポリエチレン板(PE)またはシクロオレフィンポリマー板(COP)を被着体とし、該被着体に粘着テープ試料(初期試料)を貼り付け、温度23℃、相対湿度65%の雰囲気下で2kgのゴムローラを3往復させて圧着したのち、30分間放置した。その後、23℃、相対湿度65%の雰囲気下、引張試験機を用い、被着体と粘着テープのフィルム部分(粘着剤組成物が塗布されていない部分)をそれぞれ把持し、速度300mm/分で試料を180°方向に引っ張って、被着体から剥離させたときの強度を測定した。
2.保持力…ポリエチレン板(PE)、シクロオレフィンポリマー板(COP)、SUS304ステンレス鋼板(SUS)を被着体とし、該被着体に粘着テープ試料(初期試料または経時試料)を面積25mm×25mmで貼り付け、温度23℃、相対湿度65%の雰囲気下で2kgのゴムローラを3往復させて圧着したのち、30分間放置した。その後、40℃、70℃(70℃についてはSUS304ステンレス鋼板のみ評価)に設定した保持力試験機中の鉛直に吊り下げた状態として、さらに30分間放置した。その後、粘着テープに1kgの荷重を均一に掛け、1時間後に粘着テープがずれた距離(1時間後に被着体に貼り付いている粘着テープの位置と当初の貼り付け位置とのずれ;以下「ずれ距離」と称する)および落下時間を測定した。
3.定荷重…シクロオレフィンポリマー板(COP)を被着体とし、該被着体に粘着テープ試料(初期試料または経時試料)を面積10mm×50mmで貼り付け、温度23℃、相対湿度65%の雰囲気下で2kgのゴムローラを3往復させて圧着したのち、30分間放置した。その後、23℃に設定した保持力試験機中に粘着テープを貼り合わせた被着体を水平に保持し、粘着テープを鉛直に吊り下げた状態として、さらに30分間放置した。その後、粘着テープに100gの荷重を均一に掛け、評価を行った(○:良好、△:やや良好、×:不良)。
4.透明性…日本電色工業(株)製COH−300Aで試料の曇り度(Haze)を測定した。
5.耐候性…スガ試験機(株)製テーブルサンXT750に試料を入れ、照度48,0001x、照射100時間、温度50℃にて照射後、日本電色工業(株)製COH−300Aで黄色度(ΔYI値)を測定した。
【0094】
【表1】

【産業上の利用の可能性】
【0095】
本発明であるアクリル系粘着剤組成物の単量体成分として少なくとも式(1)および/または式(2)のテルペン系(メタ)アクリル酸エステルを必須の構成単位とするアクリル系粘着剤組成物は、クラフトテープやOPPテープなどの一般包装用テープ、両面テープ、医療用テープ、保護フィルム、ラベル、タック紙などはもとより、エレクトロニクス分野で使用される粘着シート、保護フィルムなどにも使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分単位とするアクリル系粘着剤組成物において、単量体成分として少なくともアクリル酸ブチルを原点としたハンセン(Hansen)の溶解度パラメーターの寄与率差が11.0以上であり、(メタ)アクリル酸と炭素数12〜26の脂環族基含有アルコールとのエステルから誘導される成分であるテルペン系(メタ)アクリル酸エステルを必須の構成単位とするアクリル系粘着剤組成物。
【請求項2】
テルペン系(メタ)アクリル酸エステルを下記式(1)および/または式(2)とする請求項1記載のアクリル系粘着剤組成物。
【化1】

上記式中、R1は水素原子またはメチル基を表す。
【化2】

上記式中、R2は水素原子またはメチル基を表す。
【請求項3】
請求項1または2いずれか記載のアクリル系粘着剤組成物を、支持体の片面または両面に塗布してなる粘着シートまたは粘着テープ。

【公開番号】特開2008−133408(P2008−133408A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−357453(P2006−357453)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000117319)ヤスハラケミカル株式会社 (85)
【Fターム(参考)】