説明

アシル−CoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害用組成物

本発明は胡椒(Piper nigrum L.)抽出物、前記抽出物から分離されたractamideRetrof A、pipercide、piperrolein B、piperchabamide D、pellitorine、またはその組み合わせ、またはその薬学的に許容される塩を含む、アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害活性を有する組成物を開示する。前記組成物は、例えば高脂血症、動脈硬化などの血管疾患に対する予防および治療効果を持つ。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、アシル−CoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害活性を有する組成物に係り、より具体的には、胡椒(Piper nigrum L.)抽出物、前記抽出物から分離された特定の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、アシル−CoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害用組成物に関する。
【0002】
〔背景技術〕
血管疾患は主に高脂血症によって発病される。この疾患の死亡率は全体死亡率の上位を占めている。よって、血管疾患の治療および予防のための医薬品の開発が求められている。
【0003】
Heiderの研究によれば、生体が必要とするコレステロールは、飲食物の摂取による外因性コレステロールと生体内肝臓での合成による内因性コレステロールがあると知られている[Heider J.G. 1986. Agents which inhibit cholesterol esterification in the intestine and their potential value in the treatment of hypercholesterolaemia., J.R. Prous Science Publishers, 423-438]。ところが、中性脂肪とコレステロールの過度な体内流入は高脂血症を引き起こし、この高脂血症は血中にコレステロールまたはトリグリセリドが過多に高い症状であって、動脈硬化症を引き起こす主要因としても知られている。このような症状は、ししつたんぱくしつ(lipoprotein)の形成、運搬、および/または分解過程中に異常が生じてししつたんぱくしつの代謝が非正常的に行われるためである。力学的調査によれば、虚血性心臓疾患の大部分は冠状動脈のアテローム性動脈硬化症が主な原因であり、血清コレステロールの上昇が病気の発生と進展に重要な因子として知られている。Goldstein等とKomaiの報告によれば、血清コレステロールを低下させるために、小腸におけるコレステロールの吸収を阻害し、肝におけるコレステロールの生合成を阻害し、胆汁酸の排泄を促進させる方法が提示されている[Goldstein J.L. and S.M. Brown 1990. Regulation of the mevalonate pathway : Nature 33 425-430, Komai T. and Y. Tsujita 1994. Hepatocyte selectivity of HMG-CoA reductase inhibitors: DN & P, 7: 279-288]。現在、血清コレステロール濃度を低めるために用いられている医薬品としては、日本の三共、米国のMerck社によって製造された、肝臓で生合成されるコレステロールの合成を阻害するコンパクチン(compactin)の生物学的変形誘導体であるプラバスタチン(pravastatin)とシムバスタチン(simvastatin)が、最も高い占有率と伸長率を示している。これらの医薬品の作用メカニズムは、肝臓におけるコレステロールの生合成過程の合成中間段階に関与する3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCo−A還元酵素を阻害することである。ところが、Grunlerの研究によれば、作用メカニズム上、HMG Co−A還元酵素阻害剤を長期間使用すると、メバロン酸塩の形成後のコレステロール合成中間段階の副経路で生成されるべき人体の必要なユビキノン(ubiquinone)、ドリコール(dolichol)、haem A、ファルネシル化タンパク質(farnesylated protein)およびコレステロールから生成されるステロイドホルモン、ビタミンD、胆汁酸、ししつたんぱくしつの生産に影響を与えると報告された[Grunler J., J. Ericsson and G. Dalloner 1994. Branch-point reactions in the biosynthesis of cholesterol, dolichol, ubiquinone and prenylated proteins: Biochim. Biophys, Acta 1212, 259-277]。Willisの研究によれば、HMG Co−A還元酵素阻害剤を持続的に使用すると、心臓機能と免疫機能に重要な役割を果たすコエンザイムQの合成を減少させるが、動脈硬化症患者または心臓疾患患者には悪影響を与えるおそれがあると報告された[Willis R.A., K., Folkers. J.L. Tucker, C. Q. Ye, L. J. Xia, and H. Tamagawa. 1990. Lovastatin decreases coenzyme Q levels in rats: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, 8928-8930]。
【0004】
現在、高脂血症治療剤としては、肝臓で合成されるコレステロールの生合成を阻害する阻害剤、および肝臓で分泌されて飲食物を消化させ、大腸で再吸収される胆汁酸に結合する陰イオン交換体が、コレステロール再吸収阻害剤として臨床的に使用されているが、より使用に制限事項がなく、作用メカニズムが確実であるうえ、副作用が少ない新規の高脂血症治療剤の開発が要求されている。Sliskovicの報告によれば、高脂血症の予防および治療にACAT活性阻害剤が有効であると報告されており[Sliskovic D. R. and A. D. White 1991. Therapeutic potential of ACAT inhibitors as lipid lowering and antiatherosclerotic agents: Trends in Pharmacol. Sci. 12:194-199]、特に、動脈硬化発生メカニズムに直接関連している新しい作用メカニズムを持つ高脂血症治療剤の開発の一環として、ACAT阻害剤の開発が推薦されている。ACATは、コレステロールのアシル化に関与して小腸におけるコレステロールの吸収、肝臓におけるVLDL(very low density lipoprotein)の合成、脂肪細胞と血管内壁への貯蔵型コレステロールの蓄積に関与する酵素として知られている。
【0005】
外国の場合、研究所、大学、製薬会社で高脂血症治療剤を開発するために、数種の探索体系が開発、運用されており、その中の幾つかは開発に成功して大きい成果を上げているものもあるが、より安全且つ確実な作用メカニズムを持つ次世代の高脂血症予防治療剤を開発するために、ACAT阻害剤が探索されている。これまで研究されてきたACAT阻害剤は、化学合成品が主に研究対象であった。Warner Lambert、Pfizer、Yamanouchi等ではウレア、アミド、フェノール系の合成化合物が主種を成している[Matsuda K. 1994. ACAT inhibitors as antiatherosclerosis agent: compounds and mechanisms. 14, John Wiley & Son, Inc., 271-305]。新しい構造を持つACAT阻害先駆物質を開発するために、微生物資源を対象として探索研究が行われており、日本の北里研究所のpurpactin[Tomoda H., H. Nishida, R. Masuma, J. Cao, S. Okuda and S. Omura 1991. Purpactins, new inhibitor of acyl-CoA: cholesterol acyltransferase produced by Penicillium purpurogenum I. Production, isolation and physico-chemical and biological properties: J. Antibiotics 44:136-143]の構造が解明されたことを始めとして、日本の三共社のepi−cohliquinone A(日本特開平4−334388、1992)、東京農工大のacatelin[Naganuma S., K Sakai, K. Hasumi and A. Endo 1992. Acaterin, a novel inhibitor of acyl-CoA: cholesterol acyltransferase produced by Pseudomonas sp. A92: J. Antibiotics 45:1216-1221]、helmintosporol[Park J.K., K. Hasumi and A Endo 1993. Inhibitors of acyl-CoA:cholesterol acyltransferase by Helminthosporol and its related compounds: J. Antibiotics 46:1303-1305]、lateritin[Hasumi K., C. Shinohara, T. Iwanaga and A. Endo 1993. Lateritin, A new inhibitors of acyl-CoA:cholesterol acyltransferase produced by Gibberella lateritium IFO 7188: J. Antibiotics 46:1782-1787]、gypsetin[Shinohara C., K. Hasumi , Y. Takei and A. Endo 1994. Gypsetin, a new inhibitor of acyl-CoA: cholesterol acyltransferase produced by Nannizzia gypsea var. incurvata IFO 9228., I. Fermentation, isolation physico-chemical properties and biological activity: J. Antibiotics 47:163-167]、日本の北里研究所のenniatins[Nishida H., X.H Huang, R. Masuma, Y. K. Kim and S. Omura 1992. New cyclodepsipeptides, enniatins D. E. and F produced by Fusarium sp. FO-1305: J. Antibiotics 45:1207-1214]、glisoprenins[Tomoda, H. X.H, Huang, H. Nishida, R Masuma, Y. K. Kim and S. Omura 1992. Glisoprenins, new inhibitors of acyl-CoA: cholesterol acyltransferase produced by Gliocladium sp., I. Production. Isolation and physico-chemical and biological properties: J. Antibiotics, 45:1202-1206]、pyripyropenes[Omura S., H. Tomoda, Y. K. Kim and H. Nishida 1993. Pyripyropenes, highly potent inhibitors of acyl-CoA: cholesterol acyltransferase produced by Aspergillus fumigatus: J. Antibiotics 46:1168-1169; Kim Y.K, H Tomoda, H. Nishida, T. Sunazuka, R. Obata, S. Omura 1994. Pyripyropenes, novel inhibitors of acyl-CoA: cholesterol acyltransferase produced by Aspergillus fumigatus., II. Structure elucidation of pyripyropenes A, B, C and D: J. Antibiotics 47:154-162]、terpendols[Huang X.H, H. Tomoda, H. Nishida, R, Masuma and S. Omura 1995. Novel ACAT inhibitors produced by Albophoma yamanashiensis: J. Antibiotics 48:1-4]、日本協和発酵社のAS−183[Kuroda K., M. Yoshida, Y. Uosaki, K. Ando, I. Kawamoto, E. Oishi, H. Onuma, K. Yamada and Y. Matsuda 1993. AS-183, a novel inhibitor of acyl-CoA: cholesterol acyltransferase produced by Scedosporium sp. SPC-15549: J. Antibiotics 46:1196-1202]、AS−186[Kuroda K., Y. Morishita, Y. Saito, Y. Ikuina, K. Ando, I. Kawamoto and Y. Matsuda 1994. AS-186, New inhibitor of acyl-CoA: cholesterol acyltransferase from Penicillium asperosporium KY1635: J. Antibiotics 47:16-22]、韓国生命工学研究院のGERI−BP−001[Jeong T. S., S. U. Kim, K. H Son , B. M Kwon, Y. K. Kim ,M. U. Choi and S. H. Bok 1995. GERI-BP001 compounds, New inhibitors of acyl-CoA: cholesterol acyltransferase produced by Aspergillus fumigatus F37: J. Antibiotics 48:751-756]、GERI−BP−002[Kim Y. K, H. W. Lee, K. H Son, B. M Kwon, T. S Jeong, D. H Lee, J H Shin, Y W. Seo , S. U. Kim, S. H. Bok 1996. GERI-BP002-A, Novel inhibitors of acyl-CoA:cholesterol acyltransferase produced by Aspergillus fumigatus F93: J. Antibiotics 49:31-36]、PfizerのavasimibeなどがACAT阻害による新規の高脂血症治療剤として関心を集めている[Heinonen TM., 2002. Acyl coenzyme A:cholesterol acyltransferase inhibition: potential atherosclerosis therapy or springboard for other discoveries: Expert Opin Investig Drugs. 11:1519-1527]。
【0006】
前述した既存のアシル−CoAコレステロールアシルトランスフェラーぜACAT)阻害剤の他にも、より優れたACAT阻害活性を有する物質を天然物から獲得しようとする研究の一環として、本発明者らは、ACATを阻害する活性物質を探索する過程で胡椒抽出物、およびそれから分離したractamideRetrof A、pipercide、piperrolein B、piperchabamide Dおよび pellitorine等のアミド系化合物がACATに対する優れた阻害活性を有することを確認し、前記抽出物と化合物が高コレステロール血症に起因する高脂血症や動脈硬化などの血管疾患に対する予防および治療効果を持つことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
〔発明の開示〕
そこで、本発明の目的は、胡椒抽出物、それから分離したractamideRetrof A、pipercide、piperrolein B、piperchabamide D、pellitorineおよびこれらの組み合わせから選ばれる化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む、アシル−CoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害活性を有する組成物を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、アシル−CoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害活性を有する胡椒抽出物を分離する方法を提供することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、前記胡椒抽出物から、アシル−CoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害活性を有するアミド系化合物を分離する方法を提供することにある。
【0010】
〔発明を実施するための最良の形態〕
一つの様態として、本発明は、アシル−CoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害活性を有する胡椒抽出物(Piper nigrum L.)、およびこれを含む組成物に関する。
【0011】
他の様態として、本発明は、ractamideRetrof A、pipercide、piperrolein B、piperchabamide Dおよびpellitorineよりなる群から選ばれる化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、アシル−CoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害活性を有する組成物に関する。好ましくは、前記ractamideRetrof A、pipercide、piperrolein B、piperchabamide Dおよびpellitorineは、前記胡椒抽出物から分離されたものであるが、これらの化合物は、好ましくは化学的合成法によって合成されることも可能である。
【0012】
本発明者らは、胡椒抽出物がアシル−CoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害活性を有することを見出し、そのような抽出物の中でも、特にACAT阻害活性を示す有効成分を解明しようとした。このために、本発明者らは、胡椒をアルコールなどの有機溶媒で抽出して粗抽出物を得た後、これを水および多様な有機溶媒で再び分画して各分画物のACAT阻害活性を測定した。水および多様な有機溶媒で抽出したそれぞれの分画物全てがACAT活性を示したが、それから最も高いACAT活性を示すクロロホルム抽出物を選択し、これから多段階のクロマトグラフィーを行うことにより、活性を示す化合物を分離した。分離された化合物の構造および化学的特性を分析するために、電子衝撃質量分析、水素核磁気共鳴スペクトル、炭素核磁気共鳴スペクトルなどの分析を行った。
【0013】
その結果、ACAT活性を有する有効成分が下記化学式1のractamideRetrof A、化学式2のpipercide、化学式3のpiperrolein B、化学式4のpiperchabamide D、および化学式5のpellitorineであることが分かった。本発明の前にはこれら化合物のACAT阻害活性について解明されたことがない。
【0014】
【化1】

【0015】
【化2】

【0016】
【化3】

【0017】
【化4】

【0018】
【化5】

【0019】
アシル−CoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(Acyl-CoA:cholesterol acryltransferase:ACAT)は、コレステロールおよび脂肪酸アシル−コエンザイムA(fatty acyl-coenzyme A)からコレステリルエステル(cholesteryl ester)の形成を触媒する酵素である。
【0020】
本発明において、用語「アシル−CoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害」とは、コレステリルエステルを形成させる前記酵素触媒反応が遮断または非効率になることを意味する。ACATによって触媒される反応は、腸におけるコレステロール吸収、ししつたんぱくしつ含有アポししつたんぱくしつB(apoB)の合成および分泌、並びにコレステロールの細胞内貯蔵に必須的であり、ACAT抑制は、飲食物からのコレステロール吸収を遮断し、肝臓のVLDL吸収を減少させて血液内のコレステロール水準を減少させる。
【0021】
ACATとコレステロール調節との直接的な関連性が解明されることにより、ACATはコレステロールの調節が正常に行われなくて誘発される疾患の治療ターゲットとして研究されてきた。ACATの選択的阻害によって血液内のコレステロール水準が減少するという事実に基づき、血管内の高い脂肪水準によって誘導される脳血管疾患や心臓血管疾患、抹消血管疾患などを含む血管疾患を効果的に治療することができる。例えば、高コレステロール血症 (hypercholesterolemia)(Raal FJ et al., Atherosclerosis. 2003 Dec; 171(2):273-279)、高脂血症(hyperlipidemia)(kusunoki J., Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2000 Jan; 20(1):171-178)、アテローム性動脈硬化症(atherosclerosis)(Heinonen TM., Curr Atheroscler Rep. 2002 Jan;4(1):65-70)、動脈硬化症(arteriosclerosis)(Heinonen TM., Expert Opin Investig Drugs. 2002 Nov;11(11):1519-1527)、冠状動脈硬化症(coronary arteriosclerosis)(Meynier A., Br J Nutr. 2002 May;87(5):447-458)、大動脈瘤(aortic aneurysms)(Hiatt WR et al., Vasc Med. 2004 Nov;9(4):271-277)などの疾患を予防および治療することができる。また、ACTCを抑制すると、アルツハイマー疾患でプラーク(plaque)を形成するアミロイド−βの生成が抑制されるので、ATCT抑制剤を用いてアルツハイマー疾患を治療することができると明らかになった(Hutter-Paier B et al., Neuron. 2004 Oct 14; 44(2): 227-238; Puglielli L et al., J Mol Neurosci, 2004; 24(1):93-96)。ACATの選択的阻害剤を用いて、前記疾患だけでなく、これにより誘発される症状または合併症を予防および治療することができる。
【0022】
本発明において、用語「予防」とは、本発明に係る胡椒抽出物、またはそれから分離された前記化合物、またはその薬学的塩を含む組成物の投与によって前記疾患の発病を抑制または遅延させる全ての行為を意味する。本発明において、用語「治療」とは、本発明に係る抽出物または前記組成物の投与によって前記疾患の症状を好転させまたは有利に変更させる全ての行為を意味する。
【0023】
上述したように、本発明に係るACTA阻害活性を有する前記化合物は、天然物質、好ましくは胡椒から分離することができる。天然、雑種、変種植物の多様な器官、例えば根、茎、葉、花、実だけでなく、植物組織培養物から分離可能である。また、当分野の公知の方法で化学的合成によっても製造できる。
【0024】
本発明において、用語「薬学的に許容される塩」とは、薬理学的または生理学的に許容される無機酸、有機酸および塩基から誘導された塩を意味する。適した酸の例としては、塩酸、臭素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、琥珀酸、トルエン−p−スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、ベンゾ酸、マロン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ベンゼンスルホン酸などを含むことができる。適合な塩基から誘導された塩は、例えばナトリウムなどのアルカリ金属、例えばマグネシウム、アンモニウムなどのアルカリ土金属などを含むことができる。
【0025】
別の様態として、本発明は、前記胡椒抽出物、およびそれから前記特定の化合物を分離する方法を提供する。
【0026】
本発明に係る胡椒抽出物は、胡椒を水、有機溶媒またはそれらの混合溶媒を用いて抽出することにより得ることができ、好ましくは一定の時間乾燥させて粉砕した胡椒を当分野で公知の冷浸抽出、加熱抽出、超音波抽出、冷却抽出などの多様な抽出法によって抽出することができる。抽出方法は、特に制限されず、有効成分が破壊されないまたは最小化された条件で室温でまたは加温して抽出することができる。これから抽出された胡椒抽出物から活性が高い分画を得、これをクロマトグラフィーなどの方法によってさらに分離することにより、本発明に係るACAT活性を有する前記化合物を分離することができる。
【0027】
したがって、好ましくは、前記化合物は胡椒を水、有機溶媒またはそれらの混合溶媒を用いて抽出する段階と、前記抽出物を非極性有機溶媒で分画する段階と、前記非極性溶媒可溶層をクロマトグラフィーする段階とを含む方法によって分離することができる。
【0028】
胡椒の抽出に使用できる有機溶媒には、メタノール、エタノール、イソプロパタノール、ブタノール、エチレン、アセトン、ヘキサン、エーテル、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコールまたはこれらの混合溶媒がある。好ましくはアルコール、より好ましくはメタノール、エタノールなどの低級アルコールを用いて抽出することができる。
【0029】
1次抽出された胡椒抽出物から活性の高い分画物を得るために、水および有機溶媒を用いて分画物を得た。前記有機溶媒としては、非極性有機溶媒が好ましく、特に好ましくはヘキサン、エーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチルまたはこれらの混合溶媒などを用いることができる。本発明の具体的な実施例では、n−ヘキサン、クロロホルム、酢酸エチルおよび水を用いてそれぞれの分画物を得た。この中のクロロホルム分画物が最も高い活性(89%)を示し、水分画物が最も低い活性(15%)を示した。
【0030】
このように得て非極性溶媒分画物、すなわち非極性溶媒可溶層に対してクロマトグラフィーを少なくとも1回順次行うことにより、活性成分を分離することができ、クロマトグラフィーのカラムの種類と展開溶媒は多様に調節できる。
【0031】
一つの具体的な実施例において、本発明者らは、胡椒抽出物から、前記化学式1〜5に該当する化合物を分離した。粉末化された胡椒の乾燥質量3倍に該当するメタノールを加えて室温で7日間抽出し、濾過した後、減圧濃縮して粗抽出物を得た。前記粗抽出物をn−ヘキサン、クロロホルム、酢酸エチルまたは水を用いてそれぞれ分画した。これを減圧濃縮し、4回にわたってクロマトグラフィーを行った。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=(50/1〜0/100)からなる段階濃度勾配溶媒の使用)、逆相カラムクロマトグラフィー(reversed-phase column chromatography)(ODS gel、メタノールを溶媒として使用)、低圧液体クロマトグラフィー(low pressure liquid chromatography)(LPLC、LKB、メタノールを溶媒として使用)を行い、最後に高速液体クロマトグラフィー(high performance liquid chromatography)(HPLC、YMC Jsphere ODS H−80(250×20mm))を行うことにより、総5種の純粋化合物(mg)を分離した。
【0032】
前記方法によって分離された化合物を電子衝撃質量分析、水素核磁気共鳴スペクトル、炭素核磁気共鳴スペクトルなどで分析した結果、前記化合物はいずれもアミド系化合物であって、化学式1の構造式を持つractamideRetrof A、化学式2の構造式を持つpipercide、化学式3の構造式を持つpiperrolein B、化学式4の構造式を持つpiperchabamide D、または化学式5の構造式を持つpellitorineであると明らかになった。化学式1〜5に該当する化合物はいずれもACAT阻害活性を有し、それぞれのIC50値は24.5、3.7、87.5、11.5、40.4μMである。特に、化学式2のpipercideはobovatolより12倍程度の高い活性を示す。
【0033】
前述したように、化学式1〜化学式5の化合物は優れたACAT阻害活性を有し、これらの化合物を全て含む胡椒抽出物も同一の活性を有するだろうと十分予測することができる。したがって、これらの化合物または胡椒抽出物は、前述した理由によって脳、心臓、抹消血管疾患を含む血管疾患に対する優れた予防および治療活性を有する。また、アルツハイマー疾患に対する優れた予防および治療活性を有することが分かる。前記化合物は、人工的に合成された化合物ではなく、天然抽出物から獲得した成分を有効成分として含有するため、安全で毒性、副作用が殆どないので、長期間の服用が可能であるという利点を持つ。また、前記組成物は、ヒトだけでなく、脳、心臓、抹消血管疾患が発生し得る牛、馬、羊、豚、山羊、駱駝、アンテロープ、犬などの動物に使用できる。
【0034】
したがって、本発明は、別の様態として、胡椒抽出物、またはそれから分離された化学式1〜5の化合物、またはその薬学的に許容される塩を少なくとも一つ含む前記疾病の予防または治療のための薬学的組成物を提供する。
【0035】
本発明の血管疾患予防および治療用薬学組成物は、組成物の総重量に対して少なくとも一つ選択される全体化合物を0.1〜50重量%で含む。また、前記組成物は、薬効を増加させないが、薬材組成物に通常用いられて匂い、味、視覚などを向上させることが可能な追加成分を含むことができる。また、前記組成物は、ビタミンB、B、B、C、E、ナイアシン、カルニチン、ベタイン、葉酸、パントテン酸、ビオチン、亜鉛、鉄、カルシウム、クロム、マグネシウム、およびこれらの混合物などの無機・有機添加物をさらに含むことができる。また、前記組成物は、単独で使用し、或いは既存から使用されてきた治療活性を有する物質を含むことができる。
【0036】
前記組成物は、薬学的に許容される担体を含んで経口または非経口用の人体または獣医用製剤として剤形化できる。
【0037】
本発明の組成物を製剤化する場合には、充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤および界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を用いて調製する。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸薬、散剤、顆粒剤およびカプセル剤などが含まれる。このような固形製剤は、本発明の抽出物または化合物を含む組成物に少なくとも一つの賦形剤、例えば澱粉、炭酸カルシウム、スクロースまたはラクトースおよびゼラチンなどを混ぜて調製する。また、単純な賦形剤以外にマグネシウム、ステアリン酸、タルクなどの潤滑剤も使用される。経口のための液状製剤としては、懸濁剤、内溶液剤、乳剤およびシロップ剤などがあるが、よく使用される単純希釈剤としての水および流動パラフィン以外に各種賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤および保存剤などが含まれ得る。非経口投与のための製剤には、滅菌した水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤および坐剤が含まれる。非水性溶剤および懸濁溶剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびオーリブ油などの植物性油、またはオレイン酸エチルなどの注射可能なエステルが使用できる。
【0038】
このような組成物は、単位−用量(1回分)または多重−用量(数回分)容器、例えば密封したアンプルおよびバイアルに提示でき、使用直前に滅菌性液状担体、例えば注射用水の付加のみを要求する凍結−乾燥条件の下に貯蔵することができる。即席の注射溶剤および懸濁剤は、滅菌性散剤、顆粒剤および錠剤から製造することができる。
【0039】
別の様態として、本発明は、胡椒抽出物、または化学式1〜化学式5の化合物よりなる群から選ばれる化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む組成物を患者に投与して血管疾患を予防および治療する方法に関する。
【0040】
本発明において、用語「患者」は、細胞内でACAT活性を抑制する本発明の組成物の投与によって症状が好転できる疾患を持ったヒトと馬、羊、豚、山羊、駱駝、アンテロープ、犬などの動物を意味する。胡椒抽出物または前記化学式1〜5の化合物から選ばれる少なくとも一つの化合物を含む組成物を患者に投与することにより、前述した高コレステロール血症、高脂血症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、冠状動脈硬化症および大動脈瘤を含む血管疾患を効果的に予防および治療することができる。本発明の組成物を既存の前記疾患治療剤と併行して投与することができる。
【0041】
本発明において、用語「投与」はある適切な方法で患者に所定の物質を導入することを意味する。本発明の組成物は、目的の組織に到達することができる限り、ある一般な経路を介して経口または非経口投与できる。また、組成物は、活性物質が標的細胞に移動することが可能な任意の装置によって投与できる。
【0042】
本発明の組成物は、薬学的に有効な量で投与する。
【0043】
本発明において、用語「薬学的に有効な量」は、医学的治療に適用可能な合理的な効用/危険の割合で疾患を治療することに十分な量を意味し、有効用量水準は、患者の性別、年齢、病気の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路および排出割合、治療期間、同時に使用される薬物を含んだ要素、並びにその他の医薬分野によく知られている要素によって決定できる。本発明の組成物は、個別治療剤として投与し、或いは他の治療剤と併用して投与し、従来の治療剤とは順次または同時に投与することができる。単一投与または多重投与が可能である。前記要素を全て考慮して副作用なしで最小限の量で最大効果を得ることが可能な量を投与することが重要であり、当業者によって容易に決定できる。具体的に、本発明の組成物は経口投与または静脈投与が好ましく、一般にその有効用量は経口投与の場合には普通成人を基準として1回に1〜10mg/kgが好ましく、静脈投与の場合には1〜5mg/kgが好ましい。
【0044】
本発明の別の様態では、胡椒抽出物またはそれから分離された分画物を含む健康食品組成物を提供する。前述したようなACAT活性を有する胡椒抽出物およびそれから分離された分画物は、薬学的組成物だけでなく、日常生活で簡便に服用して血管疾患またはアルツハイマー疾患などを予防することができるという効果を持つ。
【0045】
好ましい健康食品の形態は、当分野でよく知られていることによって製造でき、錠剤、顆粒、粉末、飲料などの多様な形に製造されて摂取できる。
【0046】
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。
【0047】
但し、下記実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容を限定するものではない。
【0048】
実施例1:酵素阻害活性物質の分離および精製
発明で使用した胡椒は、大田生薬市場から購入して水できれいに洗浄した後、陰で乾燥させた後、刃付き粉砕機で粉末化させた。粉末化された胡椒5kgに3倍のメタノール(乾燥した胡椒の重量に対して)を加えて7日間室温で放置抽出した後、濾過した。前記濾過液を減圧濃縮して粗抽出物を得た。前記粗抽出物から活性物質を分離および精製するために、n−ヘキサン、クロロホルム、酢酸エチルおよび水を用いてそれぞれの分画物に分離し、下記ACAT阻害活性を測定した。各分画物の一部を乾燥させて1mg/mLで試料を調製してACAT阻害活性を測定した結果、n−ヘキサン25%、クロロホルム89%、酢酸エチル55%、水15%であって、クロロホルム層で最も優れたACAT阻害活性を示した。前記クロロホルム層を減圧濃縮し(157.7g)、n−ヘキサン:酢酸エチル=(50/1〜0/100)からなる段階濃度勾配溶媒システムを用いてシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって活性分画を分離した。前記分離された活性分画のACAT阻害活性を測定し、その中でも最も阻害活性の高い分画を集め、溶出溶媒として50%、60%、70%、80%、90%、100%のメタノールを用いて逆相カラムクロマトグラフィー(reversed-phase column chromatography)(ODSゲル)で活性分画を分離した。前記分離された活性分画のACAT阻害活性を測定し、その中でも最も阻害活性の高い4番目および5番目の分画を75%よび80%のメタノールを用いてそれぞれ6mL/分、8mL/分で流しながら低圧液体クロマトグラフィー(LKB)で分離した。それらの中でも、ACAT阻害活性の高い4番目の3番分画と5番目の2、4番分画は75%および80%のメタノールを用いてそれぞれ4mL/分、6mL/分および4mL/分で流しながら、高速液体クロマトグラフィー(HPLC、YMC Jsphere ODS H−80(250×20mm))を行ってそれぞれ1種および4種の純粋化合物(mg)を得た。活性物質の検出はUV254nmおよび210nmで行い、ACAT阻害活性物質は4番目の3番分画では35分、5番目の2番分画では31分、4番分画ではそれぞれ43、45、53分に溶出された。
【0049】
実施例2:活性物質の構造決定
胡椒から分離した化合物1〜5の理化学的特性は次の通りである。
【0050】
化合物1
(1)物質の性状:白色の粉末状
(2)物質の分子式および分子量:C2025NO、327
(3)電子衝撃質量分析(70eV):m/z(rel.int)=360[M+Na]+
(4)水素核磁気共鳴スペクトル[300MHz、クロロホルム−d、δ(ppm)]:7.19 (1H, dd, J=15, 15.3 Hz, H-3), 6.87 (1H, br s, H-2'), 6.73 (1H, m, H-5' and 6'), 6.30 (1H, d, J=15.3 Hz, H-9), 6.17 (1H, dd, J=9.9, 15.3 Hz, H-4), 6.10 (1H, m, H-5), 5.98 (1H, m, H-8), 5.93 (2H, s, H-7'), 5.77 (1H, d, J=14.7 Hz, H-2), 5.59 (NH, br s), 3.16 (2H, t, J=6.6 Hz, H-1"), 2.30 (4H, m, H-6 and 7), 1.79 (1H, m, H-2"), 0.93 and 0.91 (3H, s, H-3" and 4")
(5)炭素核磁気共鳴スペクトル[75MHz、クロロホルム−d、δ(ppm)]:20.10 (q, C-3" and 4"), 28.59 (d, C-2"), 32.15 (t, C-7), 32.81 (t, C-6), 46.90 (t, C-2"), 100.92 (t, C-7'), 105.39 (d, C-2'), 108.20 (d, C-5'), 120.36 (d, C-6'), 122.23 (d, C-2), 127.66 (d, C-8), 128.77 (d, C-4), 130.15 (d, C-9), 132.04 (s, C-1'), 140.94 (d, C-3), 141.69 (d, C-5), 146.71 (s, C-3'), 147.91 (s, C-4'), 166.27 (s, C-1)
化合物2
(1)物質の性状:白色の粉末状
(2)物質の分子式および分子量:C2229NO、355
(3)電子衝撃質量分析(70eV):m/z(rel.int)=354[M−H]+
(4)水素核磁気共鳴スペクトル[300MHz、クロロホルム−d、δ(ppm)]:7.19 (1H, dd, J=14.4, 14.7 Hz, H-3), 6.88 (1H, br s, H-2'), 6.74 (1H, m, H-5'), 6.73 (1H, br s, H-6'), 6.28 (1H, d, J=15.6 Hz, H-11), 6.13 (1H, dd, J=15.3, 15.3 Hz, H-4), 6.05 (1H, d, J=15 Hz, H-5), 6.02 (1H, d, J=15.9 Hz, H-10), 5.92 (2H, s, H-7'), 5.75 (1H, d, J=15.3 Hz, H-2), 5.56 (NH, br s), 3.16 (2H, t, J=6.6 Hz, H-1"), 2.17 (4H, m, H-6 and 9), 1.79 (1H, m, H-2"), 1.46 (4H, m, H-7 and 8),0.93 and 0.91 (3H, s, H-3" and 4")
(5)炭素核磁気共鳴スペクトル[75MHz、クロロホルム−d、δ(ppm)]:20.09 (q, C-3" and 4"), 28.27 (t, C-7), 28.60 (d, C-2"),28.90 (t, C-8), 32.64 (t, C-9), 32.75 (t, C-6), 46.89 (t, C-1"), 100.88 (t, C-7'), 105.35 (d, C-2'), 108.18 (d, C-5'), 120.20 (d, C-6'), 121.89 (d, C-2), 128.38 (d, C-4), 128.92 (d, C-10), 129.52 (d, C-11), 132.32 (s, C-1'), 141.12 (d, C-3), 142.69 (d, C-5), 146.55 (s, C-4'), 147.90 (s, C-3'), 166.31 (s, C-1)
化合物3
(1)物質の性状:無色のオイル状
(2)物質の分子式および分子量:C2129NO、343
(3)電子衝撃質量分析(70eV):m/z(rel.int)=366[M+Na]+
(4)水素核磁気共鳴スペクトル[300MHz、クロロホルム−d、δ(ppm)]:6.88 (1H, br s, H-2'), 6.74 (1H, m, H-5'), 6.73 (1H, br s, H-6'), 6.27 (1H, d, J=15.3 Hz, H-9), 6.03 (1H, dt, J=15.9, 6.9 Hz, H-8), 5.92 (2H, s, H-7'), 5.75 (1H, d, J=15.3 Hz, H-2), 3.54 (2H, t, J=5.4 Hz, H-1"), 3.38 (2H, t, J=5.5 Hz, H-5"), 2.30 (2H, t, J=7.5 Hz, H-2), 2.16 (2H, q, J=6.6 Hz, H-7), 1.61 (4H, m, H-2" and 4"), 1.54 (4H, m, H-4 and 3"), 1.45 (2H, m, H-6), 1.35 (4H, m, H-3 and 5)
(5)炭素核磁気共鳴スペクトル[75MHz、クロロホルム−d、δ(ppm)]:24.57 (t, C-3"), 25.37 (t, C-4"), 25.56 (t, C-4), 26.55 (t, C-2), 28.95 (t, C-5), 29.24 (t, C-6), 29.34 (t, C-3), 32.80 (t, C-7), 33.39 (t, C-2), 42.54 (t, C-1"), 46.67 (t, C-5"), 100.85 (t, C-7'), 105.34 (d, C-2'), 108.15 (d, C-5'), 120.14 (d, C-6'), 129.27 (d, C-8), 129.30 (d, C-9), 132.42 (s, C-1'), 146.48 (s, C-3'), 147.87 (s, C-4'), 171.37 (s, C-1)
化合物4
(1)物質の性状:白色の粉末状
(2)物質の分子式および分子量:C2231NO、357
(3)電子衝撃質量分析(70eV):m/z(rel.int)=380[M+Na]+
(4)水素核磁気共鳴スペクトル[300MHz、クロロホルム−d、δ(ppm)]:6.89 (1H, br s, H-2'), 6.83 (1H, dt, J=15.3, 7.5 Hz, H-3), 6.75 (1H, m, H-5'), 6.74 (1H, br s, H-6'), 6.28 (1H, d, J=15.9 Hz, H-11), 6.03 (1H, dt, J=15.3, 7.5 Hz, H-10), 5.93 (2H, s, H-7'), 5.75 (1H, d, J=15.3 Hz, H-2), 5.43 (NH, br s), 3.14 (2H, t, J=6 Hz, H-1"), 2.17 (4H, m, H-4 and H-9), 1.80 (1H, m, H-2"), 1.44 (4H, m, H-5 and H-8), 1.33 (4H, m, H-6 and H-7), 0.93 and 0.91 (3H, s, H-3" and H-4")
(5)炭素核磁気共鳴スペクトル[75MHz、クロロホルム−d、δ(ppm)]:20.11 (q, C-3" and 4"), 28.19 (t, C-5), 28.59 (d, C-2"), 28.93 (t, C-6), 29.02 (t, C-7), 29.30 (t, C-8), 31.97 (t, C-4), 32.84 (t, C-9), 46.81 (t, C-1"), 100.89 (t, C-7'), 105.37 (d, C-2'), 108.20 (d, C-5'), 120.18 (d, C-6'), 123.60 (d, C-2), 129.32 (d, C-10 and C-11), 132.45 (s, C-1'), 144.69 (d, C-3), 146.53(s, C-4'), 147.91(s, C-3'), 166.06(s, C-1)
化合物5
(1)物質の性状:黄色の粉末状
(2)物質の分子式および分子量:C1425NO、223
(3)電子衝撃質量分析(70eV):m/z(rel.int)=222[M−H]+
(4)水素核磁気共鳴スペクトル[300MHz、クロロホルム−d、δ(ppm)]:7.17 (1H, dd, J=14.7, 14.7 Hz, H-3), 6.08 (1H, m, H-4 and H-5), 5.76 (1H, d, J=14.7 Hz, H-2), 5.67 (NH, br s), 3.15 (2H, t, J=6.6 Hz, H-1"), 2.13 (2H, m, H-6), 1.88 (1H, m, H-2"), 1.40 (2H, m, H-7), 1.29 (4H, m, H-8 and H-9), 0.92 and 0.90 (3H, s, H-3" and H-4"), 0.87 (3H, s, H-10)
(5)炭素核磁気共鳴スペクトル[75MHz、クロロホルム−d、δ(ppm)]:13.96 (q, C-10), 20.09 (q, C-3' and C-4'), 22.43 (t, C-9), 28.44 (t, C-7), 28.59 (d, C-2'), 31.32 (t, C-8), 32.87 (t, C-6), 46.89 (t, C-1'), 121.76 (t, C-2), 128.18 (t, C-4), 141.19 (d, C-3), 143.10 (d, C-5), 166.40 (s, C-1)
完全に分離および精製された化合物1は、無色の結晶性粉末であって、分子量を測定した結果、[M+Na]がm/z350であり、高分解FAB−MSで分子式がC2025NOと推定された。化合物の紫外線吸光度を測定した結果、最大吸収値が260nmで現われ、shoulder吸収が295〜305nmで現われたので、化合物の構造中に、コンジュゲートされたジエンアミド(dienamide)が存在するものと推定された。化合物の構造を決定するためのNMR試験中に、H−NMRスペクトルでは1つのメチレンジオキシプロトン(methylenedioxy proton)(5.93、s)が観察され、δ5.7〜7.3の間で9つのオレフィンプロトンが観察された。一方、δ5.59では−NH−のプロトン(br s)が観察され、δ2.30では2つのメチレンプロトンが観察された。また、δ3.15では−NH−に結合するメチレンプロトン、δ1.79ではメチンプロトン、δ0.93とδ0.91ではメチルプロトンが観察された。これらのプロトンからイソブチル基の存在を推定することができた(図1、図2および図3)。前記測定結果は、アミド結合を構造中に含むractamideRetrof Aの構造と非常に類似なので、発表された文献(Park, I. K., Lee, S. G., Shin, S. C., Park, J. D. and Ahn, Y. J. 2002. Larvicidal activity of isobutylamides identified in Piper nigrum fruits against three mosquito species: J Agric Food Chem 50, 1866-1870)のデータと比較分析した結果、化合物1の化合物はractamideRetrof Aと判明された。
【0051】
完全に分離および精製された化合物2は、無色の結晶性粉末であって、分子量を測定した結果、[M−H]がm/z354であり、高分解FAB−MSで分子式がC2229NOと推定された。化合物の紫外線吸光度を測定した結果は、化合物1と類似であって、コンジュゲートされたジエンアミドが存在するものと推定された。H−NMRスペクトルでは、δ1.46で2つのメチレンプロトン観察を除いては化合物1のNMRスペクトルと類似している。前記測定結果は、アミド結合を構造中に含むpipercideの構造と非常に類似するので、発表された文献(Park, I.K., Lee, S.G., Shin, S.C., Park, J.D. and Ahn, Y.J. 2002. Larvicidal activity of isobuthylamides identified in Piper nigrum fruits against three mosquito species: J Agric Food Chem 50, 1866-1870)のデータと比較分析した結果、化学式2の化合物はpipercideと判明された。
【0052】
完全に分離および精製された化合物3は、無色のオイル状であって、分子量を測定した結果、[M+Na]がm/z366であり、高分解FAB−MSで分子式がC2129NOと推定された。化合物の紫外線吸光度を測定した結果、最大吸収値が260nmで現われ、化合物の構造中にジエンアミドが存在するものと推定された。化合物の構造を決定するためのNMR試験中に、H−NMRスペクトルでは1つのメチレンジオキシプロトン(δ5.92、s)が観察され、δ6.0〜7.0の間で5つのオレフィンプロトンが観察された。一方、δ3.54、δ3.38で−N−に結合するメチレンプロトンが観察され、δ2.30、δ2.15では2つのメチレンプロトンが、δ1.31〜1.67の間では14個のメチレンプロトンが観察された(図2、図3および図4)。前記測定結果より、構造のうちpiperidineを含むpiperrolein Bの構造と非常に類似するので、発表された文献(Kiuchi, F., Nakamura, N., Tusda, Y., Kondo, K. and Yoshimura, H. 1988. Studies on crude drugs effective on visceral larva migrans. IV. isolation and identification of larvicidal principles in pepper: Chem Pharm Bull 36(7), 2452-2465)のデータと比較分析した結果、化学式3の化合物はpiperrolein Bと判明された。
【0053】
完全に分離および精製された化合物4は、無色の結晶性粉末であって、分子量を測定した結果、[M+Na]がm/z380であり、高分解FAB−MSで分子式がC2231NOと推定された。化合物の紫外線吸光度を測定した結果、最大吸収値が260nmで現われ、shoulder吸収が295〜305nmで現われたので、化合物の構造中に、コンジュゲートされたジエンアミドが存在するものと推定された。化合物の構造を決定するためのNMR試験中に、H−NMRスペクトルでは1つのメチレンジオキシプロトン(5.93、s)が観察され、δ5.7〜7.3の間で7つのオレフィンプロトンが観察された。また、δ1.30〜1.50の間で4つのメチレンプロトンが観察され、化合物1のNMRスペクトルと類似している(図2、図3および図4)。前記測定結果は、イソブチル基を有し、アミド結合を構造中に含むpiperchabamide Dの構造と非常に類似するので、発表された文献(Morikawa, T., Matsuda, H., Yamaguchi, I., Pongpiriyadacha, Y. and Yishikawa, M. 2004. New amides and gastro protective constituents from the fruit of Piper chaba: Planta Med 70, 152-159)のデータと比較分析した結果、化学式4の化合物はpiperchabamide Dと判明された。
【0054】
完全に分離および精製された化合物5は、黄色の結晶性粉末であって、分子量を測定した結果、[M−H]がm/z222であり、高分解FAB−MSで分子式がC1425NOと推定された。化合物の紫外線吸光度を測定した結果、最大吸収値が260nmで現われ、shoulder吸収が295〜305nmで現われたので、化合物の構造中に、コンジュゲートされたジエンアミドが存在するものと推定された。化合物の構造を決定するためのNMR試験中に、H−NMRスペクトルではδ5.7〜7.3の間で4つのオレフィンプロトンが観察され、δ5.67で−NH−のプロトン(br s)が観察された。一方、δ3.15とδ2.13でそれぞれ1つずつのメチレンプロトン、δ1.20〜1.45の間では3つのメチレンプロトン、δ1.88ではメチンプロトンが観察された。また、δ0.87、δ0.90、およびδ0.92では3つのメチルプロトンが観察された。前記測定結果より、化合物5はイソブチル基を持っているが、メチレンジオキシベンジル基は持っていないpellitorineと推定され、発表された文献(Park, I.K., Lee, S.G., Shin, S.C., Park, J.D. and Ahn, Y.J. 2002. Larvicidal activity of isobutylamides identified in Piper nigrum fruits against three mosquito species: J Agric Food Chem 50, 1866-1870)のデータと比較分析した結果、化学式5の化合物は pellitorine と判明された。
【0055】
実施例3:ACAT酵素源の製造
製造源としては、白いマウス(Male Sprague−Dawley rats 250〜300g)の肝を分離してミクロソームバッファA(0.25M スクロース、1mM EDTA、0.01M Tris−HCl、pH7.4)で洗浄し、ハサミで適当に細切し、テフロン(登録商標)−ガラスホモジナイザー(teflon-glass homogenizer)で均質化した。均質液を14,000×gで15分間遠心分離して上澄み液を集め、この上澄み液を再び100,000×gで1時間遠心分離した。ACATの含まれたミクロソーム分離のために遠心分離した沈殿物をミクロソームバッファB(0.25Mスクロース、0.01M Tris−HCl、pH7.4)を加えて100,000×gで1時間再び遠心分離した。試験の際に酵素源のタンパク質濃度の均一化のために、遠心分離された沈殿物にミクロソームバッファBを適当に加えて溶解させ、タンパク質標準物質としてBSA(bovine serum albumin)を用いてLowry方法によってタンパク質濃度を決定した。その後、酵素源はミクロソームバッファBで希釈してタンパク質濃度を10mg/mLに調整し、1mLバイアルに分注して−70℃で保管しながら試験に使用した。
【0056】
実施例4:ACAT酵素活性の測定
ACAT酵素活性の測定には、[1−14C]オレオイル−CoAを基質としてKim等の方法を一部修正して使用した[Kim Y. K, H. W. Lee, K. H Son, B. M Kwon, T. S Jeong, D. H. Lee, J. H. Shin, Y. W. Seo, S. U. Kim, and S. H. Bok 1996. GERI-BP002-A, Novel inhibitors of acyl-CoA:cholesterol acyltransferase produced by Aspergillus fumigatus F93: J. Antibiotics 49:31-36]。反応溶液としては10.0μLの試料液、4.0μLのマウスの肝組織のミクロソーム酵素、20.0μLの反応緩衝液[0.5M KHPO、10mM DTT、pH7.4]、濃度40mg/mLの牛血清アルブミン15.0μL、濃度20mg/mLのコレステロール2.0μL、蒸留水41.0μLを加えて37℃で20分間予備反応させ、この酵素反応液に[1−14C]オレオイル−CoA(0.05μCi、最終濃度10μM)8.0μLを添加して酵素本反応のために37℃で25分間反応させた後、イソプロパノール−ヘプタン(4:1;v/v)1mLを加えて酵素反応を停止させ、ヘプタン0.6mLと5倍で希釈したアッセイバッファ0.4mLを添加した後、有機溶媒の分離が容易であるように遠心分離を行った。酵素活性の測定は、遠心分離して得た上澄み液100μLにリポルマシンチレーションカクテル(Lipoluma scintillation cocktail)3mLを加えた後、よく混ぜてリキッドシンチレーションカウンタ(liquid scintillation counter)を用いて放射能を測定した。
ACAT阻害度は、放射能で標識した基質と酵素に検索試料を入れて反応された生成物の量を放射能測定装置を用いて測定し、下記数式1で活性阻害度を計算した。
【0057】
【数1】

【0058】
この際、空試験は0℃で反応させた。陽性対照群としてはobovatolを使用した。ACAT阻害活性を測定した結果、IC50値は44μMであり、化学式1、2、3、4、5で表されるアミド系化合物のIC50値は24.5、3.7、87.5、11.5、40.4μMであり、化合物は酵素に濃度依存的な阻害活性を示した(図6、図7)。
【0059】
ACAT阻害活性物質は、小腸におけるコレステロールの体内吸収を阻害して血中コレステロール濃度を低下させるのに有効であり、肝臓におけるVLDLの合成を阻害して血中のLDLコレステロールを低下させ、血管内の動脈硬化病変における動脈硬化の進展に関与するコレステロールアシル化を阻害することにより、高コレステロール血症に起因する高脂血症や動脈硬化などの各種心血管疾患の予防および治療用医薬品として有用に使用できる。
【0060】
実施例5:錠剤の製造
ピパーサイド(pipercide)−1g
ラクトース−7g
結晶性セルロース−1.5g
ステアリン酸マグネシウム−0.5g
総量−10g
前記羅列した成分をよく混合した後、直打法(direct tableting method)によって錠剤を製造した。各錠剤の総量は100mgであり、その中の有効成分の含量は10mgである。
【0061】
実施例6:粉末剤の製造
ピパーサイド−1g
トウモロコシ澱粉−5g
カルボキシセルロース−4g
総量−10g
前記羅列した成分をよく混合して粉末を製造した。硬質カプセルに粉末100mgを入れてカプセル剤を製造した。
【0062】
〔産業上の利用可能性〕
上述したように、ractamideRetrof A、pipercide、piperrolein B、piperchabamide Dおよびpellitorineよりなる群から選ばれる化合物またはその薬学的に許容される塩は、優れたアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)を効果的に阻害するので、例えば高脂血症や動脈硬化などの血管疾患の予防および治療に効果的に利用できる。
【0063】
また、前記化合物を分離および精製する前に、これらの化合物を全て含む胡椒抽出物とそれから分離された分画物も前記と同一の活性を有することは当たり前であり、このような抽出物の場合、ACAT阻害活性を有する薬学的組成物だけでなく、日常生活で簡便に服用することが可能な健康食品の形でも効果的に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】H−NMR(CDCl、500.13MHz)、C−NMR(CDCl、125.75MHz)、およびFAB−Massを含む、本発明の化学式1で表される化合物のスペクトルデータを示す。
【図2】H−NMR(CDCl、500.13MHz)、C−NMR(CDCl、125.75MHz)、およびFAB−Massを含む、本発明の化学式2で表される化合物のスペクトルデータを示す。
【図3】H−NMR(CDCl、500.13MHz)、C−NMR(CDCl、125.75MHz)、およびFAB−Massを含む、本発明の化学式3で表される化合物のスペクトルデータを示す。
【図4】H−NMR(CDCl、500.13MHz)、C−NMR(CDCl、125.75MHz)、およびFAB−Massを含む、本発明の化学式4で表される化合物のスペクトルデータを示す。
【図5】H−NMR(CDCl、500.13MHz)、C−NMR(CDCl、125.75MHz)、およびFAB−Massを含む、本発明の化学式5で表される化合物のスペクトルデータを示す。
【図6】本発明の化学式1〜5の化合物のACAT酵素阻害活性を示す。
【図7】本発明の化学式1〜5の化合物のHepG−2細胞における酵素阻害活性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胡椒抽出物またはその非極性有機溶媒分画物を含む、アシル−CoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害活性を有する組成物。
【請求項2】
胡椒抽出物が、胡椒を水、有機溶媒またはこれらの混合溶媒を用いて抽出したものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記有機溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレン、アセトン、ヘキサン、エーテル、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコールまたはこれらの混合溶媒である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記有機溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパタノール、ブタノールまたはこれらの混合物である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
非極性有機溶媒分画物が、胡椒抽出物をヘキサン、エーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチルまたはこれらの混合溶媒で分画したものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
胡椒を水、有機溶媒またはこれらの混合溶媒を用いて冷浸または加温抽出して抽出物を得ることを含む、アシル−CoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ活性を有する胡椒抽出物の製造方法。
【請求項7】
得られた抽出物を、ヘキサン、エーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチルまたはこれらの混合溶媒を用いて分画したことをさらに含む、請求項6に記載の胡椒抽出物の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項の組成物を含む、血管疾患またはアルツハイマー疾患の予防または治療用組成物。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか1項の組成物を含む、健康食品組成物。
【請求項10】
化学式1〜5の化合物よりなる群から選ばれる化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、アシル−CoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害活性を有する組成物。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【請求項11】
血管疾患の予防または治療に用いられる、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
血管疾患が心臓血管疾患または抹消血管疾患である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
心臓血管疾患または抹消血管疾患が高コレステロール血症(hypercholesterolemia)、高脂血症(hyperlipidemia)、アテローム性動脈硬化症(atherosclerosis)、動脈硬化症(arteriosclerosis)、冠状動脈硬化症(coronary arteriosclerosis)、または大動脈瘤(aortic aneurysm)である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
アルツハイマー疾患の予防または治療に用いられる、請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
a)胡椒を水、有機溶媒またはこれらの混合溶媒で抽出して抽出物を得る段階と、
b)得られた抽出物から水または非極性有機溶媒を用いて分画物を得る段階と、
c)前記分画物を分離および精製する段階を含む、胡椒から請求項10に記載の化学式1〜5で表される化合物の少なくとも一つを分離する方法。
【請求項16】
段階a)の有機溶媒がメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレン、アセトン、ヘキサン、エーテル、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコールまたはこれらの混合溶媒である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記有機溶媒がメタノール、エタノール、イソプロパタノール、ブタノールまたはこれらの混合物である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
段階b)の非極性有機溶媒がヘキサン、エーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチルまたはこれらの混合溶媒である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記非極性有機溶媒がクロロホルムまたは酢酸エチルである、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
段階c)の分離および精製はクロマトグラフィー過程を含む、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−502744(P2009−502744A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520192(P2008−520192)
【出願日】平成18年7月8日(2006.7.8)
【国際出願番号】PCT/KR2006/002673
【国際公開番号】WO2007/007997
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(505093367)コリア リサーチ インスティチュート オブ バイオサイエンス アンド バイオテクノロジー (13)
【Fターム(参考)】