説明

アシルビピペリジニル化合物、そのような化合物を含む組成物、及び治療方法

2型糖尿病及び類縁疾患の治療又は予防に有用である、式:(I)のビピペリジル化合物を開示する。同様に、薬学的に許容される塩及び溶媒和物も含まれる。この化合物は、Gタンパク質共役受容体GPR−119のアゴニストとして有用である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明はGタンパク共役受容体アゴニストに関する。具体的には、本発明は、糖尿病、特に2型糖尿病、肥満、メタボリック症候群、及びそれに関連する疾患及び症状の治療に有用なGPR−119のアゴニストに関するものである。
【0002】
糖尿病は、複数の原因因子に由来の疾患であり、絶食状態又は経口グルコース負荷試験中のグルコース投与後における高い血漿グルコース濃度(高血糖症)を特徴とする。一般に認められている糖尿病の形態としては2種類ある。1型糖尿病、すなわちインスリン依存型糖尿病(IDDM)では、患者は、グルコース利用を調節するホルモンのインスリンの産生が少ないか全くない。2型糖尿病、すなわちインスリン非依存性糖尿病(T2DM)では、依然としてインスリンが体内で産生され、患者は、主たるインスリン感受性組織、すなわち、筋肉、肝臓、及び脂肪組織において、グルコース及び脂質代謝を刺激するインスリンの効果に抵抗性を示す。多くの場合、これらの患者のインスリンは正常値であり、また、インスリンの分泌量を増加することによってインスリンの効果の低下を補おうとするため、高インスリン血症(高い血漿中インスリン濃度)を示す場合がある。
【0003】
インスリン抵抗性は、主としてインスリン受容体の数の減少が原因で生じるのではなく、むしろ、未だ完全には解明されていないインスリン受容体結合後の欠陥に起因する。このインスリンに対する応答性の欠如により、筋肉におけるグルコースの取り込み、酸化、及び貯蔵のインスリン媒介活性が十分でなく、並びに脂肪組織における脂肪分解及び肝臓におけるグルコースの産生及び分泌のインスリン媒介抑制が適切でない。
【0004】
糖尿病に併発する持続的かつ制御不能な高血糖症は、罹患率及び死亡率の増加及び早期化に関連している。多くの場合、グルコース恒常性異常は、肥満、高血圧、脂質、リポタンパク質、及びアポリポタンパク質代謝の変調や、他の代謝及び血流疾患に直接的及び間接的の両方において関連している。2型糖尿病患者では、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈性心臓病、脳卒中、末梢血管疾患、高血圧、腎症、神経症、及び網膜症等の大血管及び微小血管合併症の危険性が非常に高い。したがって、糖尿病の臨床管理及び治療には、グルコース恒常性、脂質代謝、肥満、及び高血圧の治療的抑制が極めて重要である。
【0005】
多くの場合、インスリン抵抗性を有する患者は、X症候群又はメタボリック症候群と呼ばれる数種の症状を有する場合がある。広く用いられる定義の1つとして、このメタボリック症候群の患者は、以下の5つの症状:
(1)腹部肥満、(2)高トリグリセリド血症、(3)低い高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)、(4)高血圧、及び(5)絶食時の高グルコース(これは、患者が糖尿病でもある場合、2型糖尿病に特徴的な範囲内の場合もある)からなる群から選択される症状を3つ以上有するものとして特徴付けられる。これらの症状の各々は、Third Report of the National Cholesterol Education Program Expert Panel on Detection,Evaluation and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults(Adult Treatment Panel III,or ATP III),National Institutes of Health,2001,NIH Publication No.01−3670において臨床的に定義されている。メタボリック症候群の患者は、明白な糖尿病を罹患しているか否か、又は発症しているか否かに関わらず、2型糖尿病と共に生じる大血管合併症及び微小血管合併症、例えば、アテローム性動脈硬化症及び冠状動脈硬化性疾患を発症する危険性が高い。
【0006】
多因子性の病態生理学的状態である肥満は、体重に対する過剰な脂肪によって特徴付けられる。臨床的には、肥満は、肥満指数[BMI=体重(kg)/身長高さ(m)]により定義され、BMI値≧30に相当する。肥満及び体重過多は、高血圧、2型糖尿病、心臓病、脳卒中、骨関節炎、睡眠時無呼吸症、胆嚢疾患、並びに乳癌、前立腺癌、及び結腸癌などの症状の発病の危険性を増加させる。また、過剰な体重も、あらゆる原因による死亡率の増加に関連している。
【0007】
肥満の主な治療は、エネルギーを制限するダイエットと、運動の増加である。このような管理様式による肥満の管理のためのガイドラインが公開されている(例えば、Snow et al.,Ann.Intern.Med.142:525[2005])。このようなプログラムを忠実に実行するのは難しいが、そのようなプログラムにより、体重の平均〜8%減を達成することが可能である。対処がより困難な治療上の問題は、体重減少を維持することのようである。体重の10%以上の減量に成功した人に対する研究では、80〜95%の人が2〜5年以内に元の体重に戻ってしまうだろうとのことである。体重を調整する恒常的維持メカニズムは非常に堅牢で、減量に対して強力に防御されているようである。
【0008】
肥満を治療するためのいくつかの限られた薬理療法がある。すい臓リパーゼを抑制することによって腸の脂肪吸収を抑えるオーリスタット(Xenical(登録商標))、及び食欲減退薬シブトラミン(Reductil(登録商標)、Meridia(登録商標))(中枢モノアミン再取り込み阻害剤)は、肥満治療に用いられる主な薬剤であるが、それぞれ胃腸及び心臓血管の副作用に関連しており、また体重減少において有効性と持続性に限界がある。フェンテルミン、ブプロピオン、及びジエチルプロピオンなどの他の食欲抑制薬には、副作用のために使用が制限され、多くのこれらの薬剤は、シブトラミンのように、依存症危険性によりスケジュールIV規制物質である。最近、CB−1アンタゴニストであるリモナバン(アコンプリア)が発売されているが、長期間持続性及び有効性の評価が残っており、また、この薬剤は、神経不安などのCNS副作用を有している。
【0009】
体重減少を達成できず(薬物投与の有無にかかわらず)、肥満関連の合併症を併発しているBMI>40の患者では、肥満手術の照会が提示される場合があるが、他の外科的な処置と同様に、合併症を併発する危険性がある。
【0010】
2型糖尿病に対していくつかの治療法が利用できるが、それぞれに限界と潜在的な危険性がある。運動及び食事によるカロリー摂取の低減は、多くの場合、糖尿病の状態を劇的に改善するものであり、2型糖尿病及びインスリン抵抗性に関連する前糖尿病的な状態に対して通常推奨される一次治療である。しかし、体を動かすことが少ないライフスタイルや、過剰な食物の摂取、特に、脂肪と炭水化物を多く含む食物の摂取が確立されすぎているため、この治療はあまり忠実には実行されない。薬物治療は、(1)肝臓でのグルコース産生(ビグアナイド)、(2)インスリン抵抗性(PPARアゴニスト)、並びに(3)インスリン分泌、の病理生理学の3つの領域に焦点を合わせている。
【0011】
ビグアナイドは、2型糖尿病の治療に広く用いられている薬剤種である。最もよく知られている2種のビグアナイドであるフェンホルミンとメトホルミンでは、高血糖症をある程度改善することができる。ビグアナイドは、主に肝臓でのグルコース産生を阻害することにより機能し、また、それらはインスリン感受性をわずかながら改善するとも考えられている。ビグアナイドは、単独療法として、又はインスリン又はインスリン分泌促進薬のような他の抗糖尿病薬と組み合わせて、低血糖の危険性を増加させることなく使用することもできる。しかしながら、フェンホルミン及びメトホルミンは、乳酸アシドーシス及び吐き気/下痢を引き起こす可能性がある。メトホルミンは、フェンホルミンより副作用の危険性が低く、また、2型糖尿病の治療に広く処方されている。
【0012】
グリタゾン(すなわち、5−ベンジルチアゾリジン−2,4−ジオン)は、高血糖症及び2型糖尿病の他の症状を改善し得る新しい種類の化合物である。現在市販されているグリタゾン(ロシグリタゾン及びピオグリタゾン)は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)γサブタイプのアゴニストである。PPAR−γアゴニストは、実質的に、2型糖尿病の幾つかの動物モデルにおいて、筋肉、肝臓、及び脂肪組織でのインスリン感受性を増加させ、結果として、低血糖を引き起こすことなく高い血漿グルコース濃度を部分的又は完全に改善する。PPAR−γアゴニズムは、グリタゾンによる治療中のヒト患者において認められるインスリン感受性の改善に関与しているものと考えられている。現在、新しいPPARアゴニストが開発中である。新しいPPAR化合物の多くは、PPARのα、γ、及びδサブタイプの1種以上のアゴニストである。PPARα及びPPARγサブタイプの両方のアゴニストである化合物(PPARα/γデュアルアゴニスト)は、高血糖を低下させ、脂質代謝をも改善するため、将来有望である。現在市販されているPPAR−γアゴニストは、血漿中グルコース及びヘモグロビンA1Cを低下させるのにわずかに有効である。この現在市販されている化合物は、脂質代謝を大きくは改善せず、実際には脂質プロフィールに対しマイナスの影響を及ぼす場合もある。したがって、上記のPPAR化合物は、糖尿病治療において重要な進歩を表すものであるが、依然としてさらなる改善が必要とされている。
【0013】
別の広く用いられている薬物治療には、スルホニル尿素剤(例えば、トルブタミドとグリピジド)などのインスリン分泌促進剤の投与がある。これらの薬剤は、膵臓β細胞を刺激して、より多くのインスリンを分泌させることにより、インスリンの血漿中濃度を高める。膵臓β細胞におけるインスリン分泌は、グルコース及び、一連の代謝信号、神経信号、ホルモン信号により厳しく制御されている。グルコースは、代謝作用を介してインスリンの産生及び分泌を刺激し、ATP及び他の信号伝達分子を生成するが、他の細胞外信号は、細胞膜上に存在するGPCRを介してインスリン分泌の増強物質又は阻害剤として作用する。スルホニル尿素剤及び関連するインスリン分泌促進剤は、β細胞においてATP依存性K+チャンネルを遮断することによって作用し、それによって、インスリン放出が刺激され細胞の脱分極及び電圧依存性Ca2+チャンネルの開放が生じる。このメカニズムは、グルコース依存性ではなく、したがって、インスリン分泌は周囲のグルコース濃度に関係なく生じ得る。これは、グルコース濃度が低くてもインスリン分泌を引き起こすことができるので、低血糖症を引き起こし、重症の場合は命にかかわることがある。したがって、インスリン分泌促進剤の投与は、慎重に管理されなければならない。このインスリン分泌促進剤は、2型糖尿病に対する第1選択の薬物治療として用いられる場合が多い。
【0014】
グルコース依存性インスリン分泌によって制御される膵島細胞でのインスリン分泌が新たに注目されている。このアプローチは、β細胞の機能を安定化及び回復させる可能性を秘めている。この点に関して、幾つかのオーファンGタンパク質共役受容体(GPCR)が最近同定されており、これらはβ細胞で優先的に発現し、グルコース依存性インスリン分泌(GDIS)に関係している。GPR119は、インスリン分泌性細胞系と同様にヒト(及び齧歯動物)の膵島細胞でも高度に発現する細胞表面Gs共役型GPCRである。天然に存在する長鎖脂肪酸アミドのオレオイルエタノールアミド(OEA)、及びいくつかの飽和及び不飽和の長鎖リゾリン脂質(例えば、1−パルミトイル−リゾホスファチジルコリン及び2−オレオイル−リゾホスファチジルコリンなど)、並びに合成化合物も、GPR119のリガンドとして同定されている(Overton,H.A.et al.,Cell Metab.3:167[2006];Soga,T.et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.326:744[2005])。合成小分子GPR119アゴニストのラットへの急性投与では、自発運動を大きく変更しなくても、24時間累積食物摂取量が減少し、慢性試験においては、累積食物摂取量及び体重が減少する(Overton,H.A. et al.,Cell Metab.3:167[2006])。このことは、GPR119アゴニストが有効な抗肥満薬であることを示している。また、合成GPR119アゴニストも、高グルコースの条件下のみにおいて、単離し静置したマウスの膵島からのインスリン放出を増大させ、低血糖を起こさずに糖尿病マウス及び食餌誘発性肥満(DIO)C57/B6マウスのグルコース耐性を改善する。したがって、GPR119アゴニストは、体重を減少させる抗血糖上昇剤として機能する可能性を有している。2型糖尿病及び肥満の治療の際の潜在的な標的として、GPR119にはいくつかの潜在的な利点がある。第一に、GPR119媒介性インスリン分泌はグルコース依存性であり、低血糖の危険性が少ないか全くない。第二に、GPR119アゴニストの体重減少に対する有効性は、糖尿病患者及び糖尿病予備軍の肥満患者において、抗高血糖作用に寄与するはずであり、GPR119の活性化により、肥満及び耐糖能異常/糖尿病の一般的な併発症の同時治療が可能となり得る。第三に、ヒトにおけるGPR119の組織内分布(主に膵島及び胃腸管において)は限定されており、このことは、他の組織においてGPR119活性に関連した副作用が生じる可能性がより少ないことを示唆している。第四に、GPR119アゴニストは、齧歯動物においてGLP−1レベルを増大させることが報告されており(Chu,Z L.et al Abstract P1−19,ENDO 2005 87th Annual Meeting,San Diego,CA)、そのため、膵島の機能を回復又は保持する可能性がある。GLP−1は、インクレチンホルモンであり、GDISを促し、膵島において抗アポトーシス及び増殖促進効果を発揮させる。長期の糖尿病療法では、膵島活性が次第に低下する場合が多く、複数の経口高血糖治療薬による長期間の治療後、毎日のインスリン注射により2型糖尿病患者を治療することがしばしば必要となるため、GPR119アゴニズムにおける膵島への保護効果は、非常に有利であろう。GPR119アゴニストは、膵島機能を回復又は保持することにより、2型糖尿病患者における膵島機能の減退及び喪失を、遅らせるか又は防止する可能性がある。
【発明の概要】
【0015】
式I:
【0016】
【化1】

【0017】
[式中:
は、6〜10員のアリール基、又は1つ又は2つの環、少なくとも1の窒素原子、0〜2のさらなる窒素原子、及び0〜1の酸素原子もしくは硫黄原子を含む5〜10員のヘテロアリール基を表し、該アリール基又はヘテロアリール基は、1〜3のハロ基及び、
(1)CN又はOH;
(2)C1−6アルキル、OC1−6アルキル、又はC3−6シクロアルキル(該基は、1〜3のハロ基及び、
i)S(O)1−3アルキル(ここで、xは0、1、又は2であり、該アルキル部分は、1〜3のハロ原子で置換されていてもよい);
ii)1〜3のハロ原子又はC1−3アルキル基で置換されていてもよい5〜10員のヘテロアリール部分;
iii)Cアルコキシ又はハロC1−3アルコキシ;
iv)CN;
v)NH、NHC1−3アルキル、及びN(C1−3アルキル)(該アルキル部分は、1〜3のハロ基で置換されていてもよい);
vi)OH;
vii)C(O)C1−6アルキル(該アルキル部分は、1〜3のハロ原子で置換されていてもよい);
viii)1〜2のハロ原子又はC1−3アルキル基で置換されていてもよいフェニル;
ix)C(O)NR又はNRC(O)R、(ここで、Rは、H及びC1−3アルキルから選択され、Rは、H、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール基、及びフェニルから選択される);
x)C(O)(ここで、Rは上記で定義した通りである);
xi)1〜2のハロ基又はC1−3アルキル基で置換されていてもよいヘテロアリール;
からなる群から選択される1〜2の基で置換されていてもよい);
(3)S(O)1−6アルキル及びSONR(ここで、C1−6アルキル基は1〜3のハロ基で置換されていてもよく、x、R、及びRは上記で定義した通りである);
(4)NH、NH(C1−6アルキル)、又はN(C1−6アルキル)(ここで、該アルキル部分は、1〜3のハロ基及び上記のi)〜xi)から選択される1の基で置換されていてもよい);
(5)C(O)NR又はNRC(O)R(ここで、R及びRは、上記で定義した通りである);
(6)1〜3のハロ原子で置換されていてもよいC(O)C1−6アルキル
(7)CO(ここで、Rは上記で定義した通りである);
(8)フェニル、5〜10員のヘテロアリール、又は5〜10員の複素環部分(それぞれが、1〜3のハロ原子及び1〜2のC1−3アルキル基で置換されていてもよい);
からなる群から選択される1〜2の基で置換されていてもよく、
は、C1−8アルキル、C3−6シクロアルキル、OC1−8アルキル、及びO−フェニルからなる群から選択され、該フェニル部分は、1〜3のハロ基及び0〜1のC1−3アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、又はハロアルコキシ基で置換されていてもよく、また、該C1−8アルキル、C3−6シクロアルキル、及びOC1−8アルキルのそれぞれは、1〜3のハロ基及びOH、オキソ、CN、OC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシ、ピリジル、C(O)C1−3アルキル、フェニル、及びC(O)フェニルからなる群から選択される0〜1の基で置換されていてもよく、
該フェニル、ピリジル、及びC(O)フェニルのフェニル部分は、1〜3のハロ原子及び1〜2のC1−6アルキル又はOC1−6アルキル基で置換されていてもよい]
の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書では、特に指定のない限り、下記のように定義される用語を用いて、本発明を詳細に説明する。
【0019】
「アルキル」とは、アルコキシルなどの接頭語「alk」を有する他の基と同様に、示された数の炭素原子を有する直鎖状、分岐鎖状、又は環状、あるいはそれらの組み合わせの炭素鎖を意味する。原子数が指定されていない場合、直鎖状アルキル基に対しては1〜6の原子が意図され、分岐鎖状アルキル基に対しては3〜7の炭素原子が意図される。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどが挙げられる。シクロアルキルはアルキルのサブセットであり、よって、原子数が指定されていない場合、3〜7の炭素原子が意図され、縮合した1〜3の炭素環を形成する。また、「シクロアルキル」は、アリール基に縮合した単環を含み、その接合点は非芳香族部分にある。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロナフチル、デカヒドロナフチル、インダニルなどが挙げられる。ハロアルコキシ及びハロOアルキルは、同義語的に用いられ、酸素原子を介して結合したハロ置換アルキル基を意味する。ハロアルキル及びハロアルコキシは、一置換及び多置換のアルキル及びアルコキシ基、並びにパーハロ置換アルキル及びアルコキシまでも含む。例えば、トリフルオロメチル及びトリフルオロメトキシが含まれる。
【0020】
「アリール」(Ar)は、フェニル又はナフチルを意味し、好ましくはフェニルを意味する。
【0021】
特に指定のない限り、「ヘテロアリール」(HAR)は、5〜6の原子(少なくともその1個が、O、S、S(O)、SO、及びNから選択されるヘテロ原子である)を含む単環式芳香族環系を意味する。その例としては、ピロリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、ヘテロアリールは、このような基の荷電した形態(例えば、ピリジニウムなど)も含む。
【0022】
「ハロゲン」(ハロ)としては、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素などが挙げられる。
【0023】
興味深い本発明の態様は、式I:
【0024】
【化2】

【0025】
[式中:
は、6〜10員のアリール基、又は1つ又は2つの環、少なくとも1の窒素原子、0〜2のさらなる窒素原子、及び0〜1の酸素原子もしくは硫黄原子を含む5〜10員のヘテロアリール基を表し、該アリール基又はヘテロアリール基は、1〜3のハロ基及び、
(1)CN又はOH;
(2)C1−6アルキル、OC1−6アルキル、又はC3−6シクロアルキル(該基は、1〜3のハロ基及び、
i)S(O)1−3アルキル(ここで、xは0、1、又は2であり、アルキル部分は、1〜3のハロ原子で置換されていてもよい);
ii)1〜3のハロ原子又はC1−3アルキル基で置換されていてもよい5〜10員のヘテロアリール部分;
iii)Cアルコキシ又はハロC1−3アルコキシ;
iv)CN;
v)NH、NHC1−3アルキル、及びN(C1−3アルキル)(該アルキル部分は、1〜3のハロ基で置換されていてもよい);
vi)OH;
vii)C(O)C1−6アルキル(該アルキル部分は、1〜3のハロ原子で置換されていてもよい);
viii)1〜2のハロ原子又はC1−3アルキル基で置換されていてもよいフェニル;
ix)C(O)NR又はNRC(O)R、(ここで、Rは、H及びC1−3アルキルから選択され、Rは、H、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール基、及びフェニルから選択される);
x)C(O)(ここで、Rは上記で定義された通りである);
xi)1〜2のハロ基又はC1−3アルキル基で置換されていてもよいヘテロアリール;
からなる群から選択される1〜2の基で置換されていてもよい):
(3)S(O)1−6アルキル及びSONR(ここで、C1−6アルキル基は1〜3のハロ基で置換されていてもよく、x、R、及びRは上記で定義した通りである);
(4)NH、NH(C1−6アルキル)、又はN(C1−6アルキル)(ここで、該アルキル部分は、1〜3のハロ基及び上記のi)〜xi)から選択される1の基で置換されていてもよい);
(5)C(O)NR又はNRC(O)R(ここで、R及びRは、上記で定義した通りである);
(6)1〜3のハロ原子で置換されていてもよいC(O)C1−6アルキル;
(7)CO(ここで、Rは上記で定義した通りである);
(8)フェニル、5〜10員のヘテロアリール、又は5〜10員の複素環部分(それぞれは、1〜3のハロ原子及び1〜2のC1−3アルキル基で置換されていてもよい);
からなる群から選択される1〜2の基で置換されていてもよく、
は、C1−8アルキル、C3−6シクロアルキル、OC1−8アルキル、及びO−フェニルからなる群から選択され(該フェニル部分は、1〜3のハロ基及び0〜1のC1−3アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、又はハロアルコキシ基で置換されていてもよく、該C1−8アルキル、C3−6シクロアルキル、及びOC1−8アルキルのそれぞれは、1〜3のハロ基及びOH、オキソ、CN、OC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシ、ピリジル、C(O)C1−3アルキル、フェニル、及びC(O)フェニルからなる群から選択される0〜1の基で置換されていてもよく、
該フェニル、ピリジル、及びC(O)フェニルのフェニル部分は、1〜3のハロ原子及び1〜2のC1−6アルキル又はOC1−6アルキル基で置換されていてもよい]
で表される化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
【0026】
興味深い本発明の一態様は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(ただし、Rは、上記のように置換されていてもよい6〜10員のアリール基を表す)に関する。本発明のこのサブセット内では、他のすべての変数は最初に定義した通りである。
【0027】
より詳細には、興味深い本発明の一態様は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(ただし、Rは、上記のように置換されていてもよいフェニルを表す)に関する。本発明のこのサブセット内では、他のすべての変数は最初に定義した通りである。
【0028】
興味深い本発明の他の態様は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(ただし、Rは、上記で説明しているように置換されていてもよい5〜10員のヘテロアリール基を表す)に関する。本発明のこのサブセット内では、他のすべての変数は最初に定義した通りである。
【0029】
興味深い本発明の他の態様は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(ただし、Rは、チアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、及びベンゾピラジニルからなる群から選択される5〜10員のヘテロアリール基を表しており、該ヘテロアリール基は、上記で説明したように置換されていてもよい)に関する。本発明のこのサブセット内では、他のすべての変数は最初に定義した通りである。
【0030】
より詳細には、興味深い本発明の一態様は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(ただし、Rは、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、及びピラジニルからなる群から選択される基を表しており、該基は、上記で説明したように置換されていてもよい)に関する。本発明のこのサブセット内では、他のすべての変数は最初に定義した通りである。
【0031】
さらにより詳細には、興味深い本発明の一態様は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(ただし、Rは、フェニル又はピリミジニルを表しており、該基は、上記で説明しているように置換されていてもよい)に関する。本発明のこのサブセット内では、他のすべての変数は最初に定義した通りである。
【0032】
興味深い本発明の別の態様は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(ただし、Rは、上記の通りであり、フルオロ、クロロ、及びブロモからなる群から選択される1〜2のハロ原子、並びに
(1)CN又はOH;
(2)C1−3アルキル、OC1−3アルキル、又はC3−6シクロアルキル(該基は、フルオロ及びクロロから選択される1〜3のハロ原子、並びに
i)S(O)1−3アルキル(ここで、xは0、又は2であり、該アルキル部分は、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい);
ii)フッ素及び塩素から選択される1〜3のハロ原子あるいはC1−3アルキル基で置換されていてもよい5〜10員のヘテロアリール部分;
iii)C1−3アルコキシ又はハロC1−3アルコキシ;
iv)CN;
v)NH、NHC1−3アルキル、及びN(C1−3アルキル)(該アルキル部分は、1〜3のハロ基で置換されていてもよい);
vi)OH;
vii)1〜3のハロ原子で置換されていてもよいC(O)C1−3アルキル部分;
viii)フッ素及び塩素から選択される1〜2のハロ原子あるいはC1−3アルキル基で置換されていてもよいフェニル;
ix)C(O)NR又はNRC(O)R、(ここで、Rは、H及びメチルから選択され、Rは、H、メチル、C3−6シクロアルキル、フェニル、並びにチアゾール、イミダゾール、及びトリアゾールから選択される5〜6員のヘテロアリール基から選択される);
x)CO(ここで、Rは上記で定義した通りである);
xi)1〜2のハロ基又はC1−3アルキル基で置換されていてもよいヘテロアリール;
からなる群から選択される1の基で置換されていてもよい);
(3)S(O)1−3アルキル、及びSONR(ここで、x、R、及びRは、上記で定義した通りであり、該C1−3アルキル部分は、Cl及びFから選択される1〜3のハロ基で置換されていてもよい);
(4)NH、NHCH、又はN(CH(ここで、該アルキル部分は、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい);
(5)C(O)NR又はNRC(O)R(ここで、R及びRは、上記で定義した通りである);
(6)1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC(O)C1−3アルキル;
(7)CO(ここで、Rは上記で定義した通りである);並びに
(8)フェニル、5〜10員のヘテロアリール、又は5〜10員の複素環部分(それぞれが、1〜3のフッ素原子及び1〜2のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)
からなる群から選択される1〜2の基で置換されていてもよい)に関する。本発明のこのサブセット内では、他のすべての変数は最初に定義した通りである。
【0033】
より詳細には、興味深い本発明の一態様は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩(ただし、Rは、上記のようなフェニル又は5〜9員のヘテロアリール基であり、フルオロ及びクロロから選択される1〜2のハロ原子並びに
(1)CN又はOH;
(2)CH、OCH、又はシクロプロピル(これらは、フルオロ及びクロロから選択される1〜3のハロ原子並びに
i)S(O)1−3アルキル(ここで、該アルキル部分は、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい);
ii)トリアゾール、ピラゾール、チアジアゾール、イミダゾール、及びオキサゾールから選択される5〜6員のヘテロアリール部分(該部分は、フッ素及び塩素から選択される1〜2のハロ原子並びにCH基で置換されていてもよい);
iii)OCH又はOCF
iv)CN;
v)NH、NHCH、又はN(CH(該アルキル部分は、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい);
vi)OH;
vii)C(O)CH(該アルキル部分は、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい);
viii)1〜2のCH基又はフッ素及び塩素から選択されるハロ原子で置換されていてもよいフェニル;
ix)C(O)NR又はNRC(O)R、(ここで、Rは、H及びメチルから選択され、Rは、H、メチル、C3−6シクロアルキル、フェニル、並びにチアゾール、イミダゾール、及びトリアゾールから選択される5〜6員のヘテロアリール基から選択される);
x)CO(ここで、Rは上記で定義した通りである);
xi)1〜2のハロ基又はC1−3アルキル基で置換されていてもよいヘテロアリール;
からなる群から選択される1の基で置換されていてもよい);
(3)S(O)1−3アルキル、及びSONR(ここで、該x、R、及びRは、上記で定義したとおりであり、該C1−3アルキル部分は、Cl及びFから選択される1〜3のハロ基で置換されていてもよい);
(4)NH、NHCH、又はN(CH(ここで、該アルキル部分は、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい);
(5)C(O)NR又はNRC(O)R(ここで、R及びRは、上記で定義した通りである);
(6)1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC(O)CHアルキル;
(7)CO(ここで、Rは上記で定義した通りである);並びに
(8)フェニル、5〜10員のヘテロアリール、又は5〜10員の複素環部分(それぞれが、1〜3のフッ素原子及び1〜2のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)
からなる群から選択される1〜2の基で置換されていてもよい)に関する。本発明のこのサブセット内では、他のすべての変数は最初に定義した通りである。
【0034】
興味深い本発明の別の態様は、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩(ただし、
は、C1−7アルキル、C3−6シクロアルキル、OC1−6アルキル、及びO−フェニルからなる群から選択され、該フェニル部分は、クロロ及びフルオロから選択される1〜3のハロ基並びに0〜1のC1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、C1−3アルコキシ、又はハロC1−3アルコキシ基で置換されていてもよく、ここで、該ハロ原子はフッ素又は塩素であり、該C1−7アルキル、C3−6シクロアルキル、及びOC1−6アルキルのそれぞれが、1〜3のフルオロ又はクロロ基、並びにOH、オキソ、CN、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、C(O)C1−3アルキル、フェニル、及びC(O)フェニルからなる群から選択される0〜1の基で置換されていてもよく、
該フェニル及びC(O)フェニルのフェニル部分は、1〜3の塩素又はフッ素原子、並びに1〜2のC1−3アルキル又はOC1−3アルキル基で置換されていてもよい
)に関する。本発明のこのサブセット内では、他のすべての変数は最初に定義した通りである。
【0035】
さらにより詳細には、興味深い本発明の一態様は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(ただし、
は、C1−4アルキル、シクロプロピル、シクロヘキシル、OC1−6アルキル、及びO−フェニルからなる群から選択され、該フェニル部分は、クロロ及びフルオロから選択される1〜3のハロ基並びに0〜1のC1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、C1−3アルコキシ、又はハロC1−3アルコキシ基で置換されていてもよく、ここで、該ハロ原子は、フッ素又は塩素であり、該C1−4アルキル、シクロプロピル、シクロヘキシル、及びOC1−6アルキルのそれぞれが、1〜3のフルオロ又はクロロ基、並びにOH、オキソ、CN、OCH、OCF、C(O)CH、フェニル、及びC(O)フェニルからなる群から選択される0〜1の基で置換されていてもよく、
該フェニル及びC(O)フェニルのフェニル部分は、1〜3の塩素又はフッ素原子、並びに1〜2のCH又はOCH基で置換されていてもよい
)に関する。本発明のこのサブセット内では、他のすべての変数は最初に定義した通りである。
【0036】
より興味深い本発明の一態様は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(ただし、
は、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、及びピラジニルからなる群から選択される基を表し、該基は、フルオロ、クロロ、及びブロモから選択される1〜2のハロ原子、並びに
(1)CN又はOH;
(2)C1−3アルキル、OC1−3アルキル、又はC3−6シクロアルキル(該基は、フルオロ及びクロロから選択される1〜3のハロ原子、並びに
i)S(O)1−3アルキル(ここで、xは、0、又は2であり、該アルキル部分は、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい);
ii)フッ素及び塩素から選択される1〜3のハロ原子あるいはC1−3アルキル基で置換されていてもよい5〜10員のヘテロアリール部分;
iii)C1−3アルコキシ又はハロC1−3アルコキシ;
iv)CN;
v)NH、NHC1−3アルキル、及びN(C1−3アルキル)(該アルキル部分は、1〜3のハロ基で置換されていてもよい);
vi)OH;
vii)1〜3のハロ原子で置換されていてもよいC(O)C1−3アルキル部分;
viii)フッ素及び塩素から選択される1〜2のハロ原子あるいはC1−3アルキル基で置換されていてもよいフェニル;
ix)C(O)NR又はNRC(O)R(ここで、Rは、H及びメチルから選択され、Rは、H、メチル、C3−6シクロアルキル、フェニル、並びにチアゾール、イミダゾール、及びトリアゾールから選択される5〜6員のヘテロアリール基から選択される);
x)CO(ここで、Rは上記で定義した通りである);
xi)1〜2のハロ基又はC1−3アルキル基で置換されていてもよいヘテロアリール;
からなる群から選択される1の基で置換されていてもよい);
(3)S(O)1−3アルキル、及びSONR(ここで、x、R、及びRは、上記で定義した通りであり、該C1−3アルキル部分は、Cl及びFから選択される1〜3のハロ基で置換されていてもよい);
(4)NH、NHCH、又はN(CH(ここで、該アルキル部分は、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい);
(5)C(O)NR又はNRC(O)R(ここで、R及びRは、上記で定義した通りである);
(6)1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC(O)C1−3アルキル;
(7)CO(ここで、Rは上記で定義した通りである);並びに
(8)フェニル、5〜10員のヘテロアリール、又は5〜10員の複素環部分(それぞれが、1〜3のフッ素原子及び1〜2のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)
からなる群から選択される1〜2の基で置換されていてもよく、
は、C1−7アルキル、C3−6シクロアルキル、OC1−6アルキル、及びO−フェニルからなる群から選択され、該フェニル部分は、クロロ及びフルオロから選択される1〜3のハロ基並びに0〜1のC1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、C1−3アルコキシ、又はハロC1−3アルコキシ基で置換されていてもよく、ここで、該ハロ原子は、フッ素又は塩素であり、該C1−7アルキル、C3−6シクロアルキル、及びOC1−6アルキルのそれぞれが、1〜3のフルオロ又はクロロ基、並びにOH、オキソ、CN、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、C(O)C1−3アルキル、フェニル、及びC(O)フェニルからなる群から選択される0〜1の基で置換されていてもよく、
該フェニル及びC(O)フェニルのフェニル部分は、1〜3の塩素又はフッ素原子、並びに1〜2のC1−3アルキル又はOC1−3アルキル基で置換されていてもよい
)に関する。本発明のこのサブセット内では、他のすべての変数は最初に定義した通りである。
【0037】
より詳細には、興味深い本発明の一態様は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(ただし、
は、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、及びピラジニルからなる群から選択される基を表し、該基は、フルオロ及びクロロから選択される1〜2のハロ原子、並びに
(1)CN又はOH;
(2)CH、OCH、又はシクロプロピル(これらは、フルオロ及びクロロから選択される1〜3のハロ原子並びに
i)S(O)1−3アルキル(ここで、該アルキル部分は、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい);
ii)トリアゾール、ピラゾール、チアジアゾール、イミダゾール、及びオキサゾールから選択される5〜6員のヘテロアリール部分(該部分は、フッ素及び塩素から選択される1〜2のハロ原子並びにCH基で置換されていてもよい);
iii)OCH又はOCF
iv)CN;
v)NH、NHCH、又はN(CH(該アルキル部分は、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい);
vi)OH;
vii)C(O)CH(該アルキル部分は、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい);
viii)1〜2のCH基又はフッ素及び塩素から選択されるハロ原子で置換されていてもよいフェニル;
ix)C(O)NR又はNRC(O)R、(ここで、Rは、H及びメチルから選択され、Rは、H、メチル、C3−6シクロアルキル、フェニル、並びにチアゾール、イミダゾール、及びトリアゾールから選択される5〜6員のヘテロアリール基から選択される);
x)CO(ここで、Rは上記で定義した通りである);
xi)1〜2のハロ基又はC1−3アルキル基で置換されていてもよいヘテロアリール;
からなる群から選択される1の基で置換されていてもよい);
(3)S(O)1−3アルキル、及びSONR(ここで、該x、R、及びRは、上記で定義した通りであり、該C1−3アルキル部分は、Cl及びFから選択される1〜3のハロ基で置換されていてもよい);
(4)NH、NHCH、又はN(CH(ここで、該アルキル部分は、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい);
(5)C(O)NR又はNRC(O)R(ここで、R及びRは、上記で定義した通りである);
(6)1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC(O)CHアルキル;
(7)CO(ここで、Rは上記で定義した通りである);並びに
(8)フェニル、5〜10員のヘテロアリール、又は5〜10員の複素環部分(それぞれが、1〜3のフッ素原子及び1〜2のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)
からなる群から選択される1〜2の基で置換されていてもよく、
は、C1−4アルキル、シクロプロピル、シクロヘキシル、OC1−6アルキル、及びO−フェニルからなる群から選択され、該フェニル部分は、クロロ及びフルオロから選択される1〜3のハロ基並びに0〜1のC1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、C1−3アルコキシ、又はハロC1−3アルコキシ基で置換されていてもよく、ここで、該ハロ原子は、フッ素又は塩素であり、該C1−4アルキル、シクロプロピル、シクロヘキシル、及びOC1−6アルキルのそれぞれが、1〜3のフルオロ又はクロロ基、並びにOH、オキソ、CN、OCH、OCF、C(O)CH、フェニル、及びC(O)フェニルからなる群から選択される0〜1の基で置換されていてもよく、
該フェニル及びC(O)フェニルのフェニル部分は、1〜3の塩素又はフッ素原子、並びに1〜2のCH又はOCH基で置換されていてもよい
)に関する。本発明のこのサブセット内では、他のすべての変数は最初に定義した通りである。
【0038】
本発明の範囲内の種の例については、本明細書に含まれる実施例において説明する。
【0039】
用途
【0040】
本発明の化合物は、GPR119受容体の強力なアゴニストである。本発明の化合物及びその薬学的に許容される塩は、GPR119として知られる受容体のモジュレーターであり、したがって、GPR119リガンド及びアゴニストによってモジュレートされる疾患の治療に有用である。多くのこれらの疾患を以下に要約する。
【0041】
以下の疾患及び症状の治療及び予防は、本発明に含まれ、また、本発明の化合物は、以下の疾患又は症状:
(1)インスリン非依存型糖尿病(2型糖尿病)、
(2)高血糖、
(3)メタボリック症候群、
(4)肥満、
(5)虚血症と心筋梗塞、
(6)アルツハイマー病、統合失調症、及び認知障害などの神経障害、
(5)高コレステロール血症、
(6)高トリグリセリド血症(トリグリセリドが豊富なリポタンパク質の高値)、
(7)混合性又は糖尿病性脂質異常症、
(8)低HDLコレステロール、
(9)高LDLコレステロール、
(10)高アポBリポタンパク質血症、及び
(11)アテローム性動脈硬化症
の1種以上を治療する医薬品の製造において使用することができる。
【0042】
より詳しくは、以下に示すの疾患及び症状は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を用いて治療することができる。よって、この化合物は、以下の疾患又は症状:
(1)2型糖尿病、特に高血糖、
(2)メタボリック症候群、
(3)肥満、及び
(4)高コレステロール血症又は脂質異常症
の1種以上を治療又は予防する医薬品の製造に用いることができる。
【0043】
これらの化合物は、GPR119受容体のアゴニストであるため、糖尿病患者及び、耐糖能異常及び/又は前糖尿病的な状態である非糖尿病性患者において、グルコース、脂質、及びインスリン抵抗性を低下させるのに有用であろう。この化合物は、糖尿病患者又は前糖尿病性患者において生じることの多い血中グルコース濃度の変動をモジュレートすることにより、これらの患者において生じることの多い高インスリン血症の改善に有用である。この化合物は、インスリン抵抗性の治療又は低減に有用である。この化合物は、妊娠性糖尿病の治療又は予防に有用である。
【0044】
本明細書中で説明したような化合物、組成物、及び医薬品は、メタボリック症候群に関連する有害な後遺症の危険性の低下、アテローム性動脈硬化症を発病する危険性の低下、アテローム性動脈硬化症の発症の遅延、及び/又はアテローム性動脈硬化症の後遺症の危険性の低下のために有用である。アテローム性動脈硬化症の後遺症としては、狭心症、跛行、心臓発作、脳卒中などが挙げられる。
【0045】
これらの化合物は、高血糖を抑制するため、血管再狭窄及び糖尿病性網膜症の遅延又は予防に有用である。
【0046】
本発明の化合物は、β細胞機能の改善又は回復において有用であり、1型糖尿病の治療や、2型糖尿病患者がインスリン治療を必要とするのを遅延又は予防するために有用である。
【0047】
これらの化合物は、肥満患者において食欲及び体重を減らすために有用であり得、したがって、高血圧症、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、及び脂質異常症などの肥満に関連する併発症の危険性を減らすために有用であり得る。
【0048】
この化合物は、in vivoにおける活性GLP−1濃度を上げるため、アルツハイマー病、多発性硬化症、及び統合失調症などの神経障害の治療において有用である。
【0049】
一般的に、この化合物は以下の疾病及び状態:(1)2型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病又はT2DMとしても知られている);(2)高血糖、(3)低耐糖能、(4)インスリン抵抗性、(5)肥満、(6)脂質障害、(7)脂質異常症、(8)高脂血症、(9)高トリグリセリド血症、(10)高コレステロール血症、(11)低HDL濃度、(12)高LDL濃度、(13)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(14)血管再狭窄、(15)腹部肥満、(16)網膜症、(17)メタボリック症候群、(18)高血圧、(19)アルツハイマー病、(20)統合失調症、(21)多発性硬化症、及び(22)インスリン抵抗性の治療において有用である。
【0050】
本発明の一態様は、混合型脂質異常症もしくは糖尿病性脂質異常症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDL濃度、高LDL濃度、高脂血症及び/又は高トリグリセリド血症を治療又は抑制するための方法であって、そのような治療を必要とする患者に、治療有効量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を投与することを含む方法を提供する。この化合物は、単独で用いてもよく、あるいは、有利には、コレステロール生合成阻害剤、特に、HMG−CoA還元酵素阻害剤(例えば、ロバスタチン、シムバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、イタバスタチン、又はZD−4522)と共に投与してもよい。この化合物は、有利には、他の脂質低下剤、例えば、コレステロール吸収阻害剤(例えばスタノールエステル、チケシドのようなステロールグリコシド、エゼチミブのようなアゼチジノン)、ACAT阻害剤(例えば、アバシミベ)、CETP阻害剤(例えば、トルセトラピブ)、ナイアシン、胆汁酸抑制剤、ミクロソームトリグリセリド輸送阻害剤、及び胆汁酸再取込阻害剤など、と組み合わせて用いてもよい。これらの併用治療は、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、高脂血症、高トリグリセリド血症、脂質異常症、高LDL、及び低HDLからなる群から選択される症状の治療又は抑制に有用である。
【0051】
本発明の別の態様は、肥満又はメタボリック症候群を治療又は抑制するための方法であって、そのような治療を必要とする患者に、治療有効量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を投与することを含む方法を提供する。この化合物は、単独で用いてもよく、あるいは、有利には、抗肥満薬、特に、オーリスタットなどのリパーゼ阻害剤、又はシブトラミンやフェンテルミンなどのモノアミン神経伝達物質取込阻害剤と共に投与してもよい。また、この化合物は、有利には、リモナバンなどのCB−1インバースアゴニスト又はアンタゴニストと組み合わせて用いてもよい。
【0052】
用法及び用量範囲
【0053】
有効投与量の本発明の化合物を、哺乳類、特にヒトに提供するために、任意の好適な投与経路を用いてもよい。例えば、経口、直腸、局所、非経口、経眼、肺、経鼻などを用いてもよい。投与形態としては、錠剤、トローチ剤、分散剤、懸濁液剤、液剤、カプセル剤、クリーム剤、軟膏剤、エアゾル剤などが挙げられる。好ましくは、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を経口投与する。
【0054】
用いる活性成分の有効投与量は、用いる特定の化合物、投与様式、治療対象の状態、及び治療対象の症状の重症度に応じて変わり得る。そのような投与量は、当業者であれば容易に確定することができる。
【0055】
糖尿病及び/又は高血糖症あるいは高トリグリセリド血症あるいは式Iの化合物を必要とする他の疾患を治療又は抑制する場合、一般的に、本発明の化合物を、一日投与量として動物体重キログラム当たり約0.1ミリグラム〜約100ミリグラムを、好ましくは、一日一回の投与量にて、又は一日に2〜6回に分割した投与量にて、あるいは持続放出する形態において投与する場合に満足できる結果が得られる。ほとんどの大型哺乳類に対しては、一日投与量の合計は、約1.0ミリグラム〜約1,000ミリグラムである。70kgの成人の場合、1日投与量の合計は、一般的に約1ミリグラム〜約350ミリグラムである。特に強力な化合物については、成人用の投与量が0.1mgほどの少量であってもよい。投与計画は、最適な治療反応を得るために、上記の範囲内で、あるいはこの範囲外で調節してもよい。
【0056】
経口投与は、通常、錠剤又はカプセル剤を用いて実施される。錠剤及びカプセル剤での投与量の例は、0.1mg、0.25mg、0.5mg、1mg、2mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、200mg及び350mg、500mg、700mg、750mg、800mg、及び1,000mgである。他の経口形態も、これと同一又は同様の投与量であってもよい。
【0057】
医薬組成物
【0058】
本発明の別の態様は、式Iの化合物及び薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、活性成分としての式Iの化合物又は薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、並びに薬学的に許容される担体を含み、さらに他の治療用成分を含有してもよい。「薬学的に許容される塩」という語は、無機塩基又は無機酸並びに有機塩基又は有機酸を含む薬学的に許容される無毒の塩基又は酸から調製した塩を意味する。また、医薬組成物は、プロドラッグが投与される場合には、プロドラッグ又はその薬学的に許容される塩を含み得る。
【0059】
この組成物は、経口、直腸、局所、非経口(皮下、筋肉、及び静脈など)、経眼(眼科)、肺(経鼻又は口腔吸入)、あるいは経鼻による投与に好適である。ただし、任意の特定の状況において最も好適な経路は、治療対象の状態の性質及び重症度並びに選択された特定の有効成分によって決まる。それらは、都合良くは、単位投与形態にて提供することができ、製薬業界で公知の任意の方法によって調製され得る。
【0060】
実際の使用では、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を活性成分として、従来の医薬配合技術により医薬担体と緊密に混合して用いることができる。この担体は、投与経路(例えば、経口又は非経口(静脈投与を含む))に対して望ましい調製方法に応じて、多様な形態をとり得る。経口投与形態用の組成物の調製では、通常の医薬媒体を用いてもよく、懸濁液、エリキシール剤、及び溶液などの経口液体製剤の場合には、例えば、水、グリコール、オイル、アルコール、香味剤、保存剤、着色剤など、あるいは、粉剤、硬カプセル剤及び軟カプセル剤、並びに錠剤などの経口固体製剤の場合には、例えば、デンプン、糖類、微結晶セルロール、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの担体を用いることができるが、液体製剤より固体経口製剤の方が好ましい。
【0061】
投与が容易であるため、錠剤とカプセル剤が最も有利な経口投与形態である。そのため、通常、固体医薬担体が用いられる。所望する場合、錠剤を、標準的な水系又は非水系の技術によってコーティングしてもよい。そのような組成物及び調製物は、通常、少なくとも約0.1パーセントの活性化合物を含み、組成物の残りは担体である。これら組成物における活性化合物の割合は、当然のことながら変動し得るものであり、好都合には、投与剤形の約2重量%〜約60重量%の間である。そのような治療上有用な組成物中における活性化合物の量は、有効投与量が得られるような量である。
【0062】
あるいは、活性化合物は、例えば液滴形態又は噴霧形態において、経鼻によって投与することができる。
【0063】
また、錠剤、カプセル剤などは、通常、結合剤を含んでいる。好適な結合剤の例としては、トラガントガム、アカシア、ゼラチン、及び合成又は半合成のデンプン誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)など)、賦形剤(例えば、リン酸二カルシウムなど)、崩壊剤(例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモ澱粉、アルギン酸など)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムなど)、並びに、場合によっては、甘味剤(例えば、ショ糖、乳糖又はサッカリンなど)が挙げられる。用いられる投与剤形がカプセル剤の場合、上記の成分に加えて、脂肪油などの液体担体を含んでもよい。
【0064】
他の様々な材料が、コーティングとして、あるいは投与単位の物理的形態を変えるために存在してもよい。例えば、錠剤は、シェラック、糖、又はその両方でコーティングされていてもよい。シロップ剤及びエリキシル剤は、通常、活性成分に加えて、甘味剤としてショ糖、保存剤としてメチルパラベン又はプロピルパラベン、色素、並びにチェリー芳香又はオレンジ芳香などの芳香剤を含んでいる。
【0065】
また、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、非経口により投与してもよい。これらの活性化合物の溶液又は懸濁液は、水、塩水、又は他の生物適合性ビヒクル中において、界面活性剤及び緩衝剤などと好適に混合して調製できる。また、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びそれらのオイル中の混合物中において、分散液を調製することもできる。また、通常の保存条件及び使用条件の下では、これら製剤に保存剤を含有させて、微生物の成長を防止することができる。
【0066】
注射による使用に好適な医薬剤形としては、無菌の水溶液及び分散液、ならびに無菌注射液及び分散液の即時調製用の無菌粉末が挙げられる。この製剤は、無菌状態で調製しなければならず、容易に注射可能な程度に流動性でなければならない。この製剤は、製造条件及び保存条件の下で十分に安定でなければならず、細菌及び菌類などの微生物の繁殖を防げなければならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール)、それらの好適な混合物、及び好適なオイルなどを含む溶媒又は分散媒体であり得る。
【0067】
併用療法
【0068】
式Iの化合物は、本明細書に記載の疾患及び症状の治療又は改善において有用であり得る他の薬物と組み合わせて用いてもよい。そのような他の薬剤は、その薬剤について一般的に使用される経路及び量において、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と同時に又は順次に投与してもよい。2型糖尿病、インスリン耐性、肥満、メタボリック症候群、神経障害、及びこれらの疾患に伴う併存疾患の患者の治療では、通常、2種類以上の薬剤が投与される。本発明の化合物は、一般的に、これらの状態に対し1種類以上の他の薬剤が既に投与されている患者に対して投与してもよい。
【0069】
式Iの化合物を1種類以上の他の薬剤と同時に使用する場合、単位投与形態中にそのような他の薬物と式Iの化合物とを含む医薬組成物が好ましい。しかしながら、併用療法には、式Iの化合物と1種類以上の他剤を様々に重複するスケジュールで投与する療法も含まれる。また、1種類以上の他の活性成分と組み合わせて用いられる場合、本発明の化合物及びその他の活性成分は、各々が単独で用いられる場合よりも少ない投与量で用いてもよいことも意図される。したがって、本発明の医薬組成物には、式Iの化合物に加えて、1種類以上の他の有効成分を含むものも含まれる。
【0070】
式Iの化合物と組み合わせて、別々に又は同じ医薬組成物中でのいずれかによって投与してもよい他の活性成分の例としては、
(a)グリタゾン及び非グリタゾンの両方(例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾン、バラグリタゾン、ネトグリタゾン、T−131、LY−300512、LY−818)を含むPPARγアゴニスト及び部分アゴニスト;
(b)ビグアナイド剤(例えば、メトホルミンとフェンホルミンなど);
(c)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤;
(d)ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−4)阻害剤(例えば、シタグリプチン、サクサグリプチン、デナグリプチン、SYR−322、及びビルダグリプチンなど);
(e)インスリン又はインスリン模倣薬;
(f)スルホニル尿素(例えば、トルブタミド、グリメピリド、グリピジド、及び関連物質);
(g)α−グルコシダーゼ阻害薬(例えば、アカルボースなど);
(h)患者の脂質プロフィールを改善する薬剤(例えば、(i)HMG−CoA還元酵素阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、イタバスタチン、ZD−4522、及び他のスタチン)、(ii)胆汁酸抑制剤(コレスチルアミン、コレスチポール、及び架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸、又はそれらの塩、(iv)PPARαアゴニスト(例えば、フェノフィブル酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブレート、及びベザフィブレート)など)、(v)コレステロール吸収阻害剤(例えば、エゼチミブなど)、(vi)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤(例えば、アバシミブなど)、(vii)CETP阻害剤(例えば、トルセトラピブなど)、並びに(viii)フェノール性酸化防止剤(例えば、プロブコールなど)など);
(i)PPARα/γデュアルアゴニスト(例えば、ムラグリタザール、テサグリタザール、ファルグリタザール、及びJT−501など);
(j)PPARδアゴニスト(例えば、国際特許公開公報第97/28149号で開示されるものなど);
(k)抗肥満化合物(例えば、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンチラミン、シブトラミン、オーリスタット、神経ペプチドY5阻害剤、Mc4rアゴニスト、カンナビノイド受容体1(CB−1)アンタゴニスト/インバースアゴニスト及びβアドレナリン受容体作動薬など);
(l)回腸胆汁酸輸送体阻害剤;
(m)炎症状態における使用を意図した薬剤(例えば、アスピリン、非ステロイド性抗炎症剤、グルココルチコイド、アズフィジン、シクロオキシゲナーゼ2選択的阻害剤など);
(n)グルカゴン受容体アンタゴニスト;
(o)GLP−1、
(p)GIP−l、
(q)GLP−1類似薬(例えば、エキセンジン(例えば、エキセナチド(Byetta))、エキセナチド−LAR、及びリラグルチドなど);
(r)ヒドロキシステロールデヒドロゲナーゼ−1(HSD−1)阻害剤
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
上記の組み合わせには、本発明の化合物と、1種の他の有効化合物との組み合わせだけでなく2種以上の他の有効化合物との組み合わせも含まれる。非限定的な例としては、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、ビグアニド、スルホニル尿素、HMG−CoA還元酵素阻害薬、他のPPARアゴニスト、PTP−1B阻害薬、DPP−4阻害薬、及び抗肥満化合物から選択される2種類以上の活性化合物との組み合わせが挙げられる。
【0072】
興味深い本発明の別の態様は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物である。
【0073】
興味深い本発明の別の態様は、治療を必要とする哺乳動物患者において高血糖症、糖尿病、又はインスリン抵抗性を治療する方法であって、この患者に、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、高血糖症、糖尿病、又はインスリン抵抗性の治療に有効な量において投与することを含む方法に関する。
【0074】
より詳しくは、興味深い本発明の別の態様は、治療を必要とする哺乳動物患者において2型糖尿病を治療する方法であって、この患者に、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、2型糖尿病の治療に有効な量において投与することを含む方法に関する。
【0075】
興味深い本発明のさらに別の態様は、治療を必要とする哺乳動物患者においてインスリン非依存性糖尿病を治療する方法であって、この患者に、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、インスリン非依存性糖尿病の治療に有効な量において投与することを含む方法に関する。
【0076】
興味深い本発明のさらに別の態様は、治療を必要とする哺乳動物患者において肥満を治療する方法であって、この患者に、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、肥満の治療に有効な量において投与することを含む方法に関する。
【0077】
興味深い本発明のさらに別の態様は、治療を必要とする哺乳動物患者においてX症候群を治療する方法であって、この患者に、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、X症候群の治療に有効な量において投与することを含む方法に関する。
【0078】
興味深い本発明のさらに別の態様は、治療を必要とする哺乳動物患者において脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL、及び高LDLからなる群から選択される脂質障害を治療する方法であって、この患者に、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、このような脂質障害の治療に有効な量において投与することを含む方法に関する。
【0079】
興味深い本発明のさらに別の態様は、治療を必要とする哺乳動物患者においてアテローム性動脈硬化症を治療する方法であって、この患者に、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、アテローム性動脈硬化症の治療に有効な量において投与することを含む方法に関する。
【0080】
興味深い本発明のさらに別の態様は、治療を必要とする哺乳動物患者において、(1)高血糖症、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質異常、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDL濃度、(11)高LDL濃度、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵臓炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)X症候群、(21)高血圧、及びインスリン抵抗性が成因となっている他の症状及び疾患からなる群から選択される状態を治療する方法であって、この患者に、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、上記のような症状の治療に有効な量において投与することを含む方法に関する。
【0081】
興味深い本発明のさらに別の態様は、処置を必要とする哺乳動物患者において、(1)高血糖症、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質異常、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDL濃度、(11)高LDL濃度、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵臓炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)X症候群、(21)高血圧、及びインスリン抵抗性が成因となっている他の症状及び疾患からなる群から選択される状態の発症を遅延させる方法であって、この患者に、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、前記状態の発症を遅延させるのに有効な量において投与することを含む方法に関する。
【0082】
興味深い本発明のさらに別の態様は、処置を必要とする哺乳動物患者において、(1)高血糖症、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質異常、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDL濃度、(11)高LDL濃度、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵臓炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)X症候群、(21)高血圧、及びインスリン抵抗性が成因となっている他の症状及び疾患からなる群から選択される症状を発病する危険性を低減する方法であって、この患者に、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、上記のような症状を発病する危険性を低減するのに有効な量において投与することを含む方法に関する。
【0083】
興味深い本発明のさらに別の態様は、治療と必要とする哺乳動物患者において、(1)高血糖症、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質異常、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDL濃度、(11)高LDL濃度、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵臓炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)X症候群、(21)高血圧、及びインスリン抵抗性が成因となっている他の症状及び疾患からなる群から選択される症状を治療する方法であって、この患者に、上記のような症状を治療するのに有効な量において、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、並びに
(a)DP−IV阻害剤;
(b)(i)PPARアゴニスト及び(ii)ビグアナイドかからなる群から選択されるインスリン増感剤;
(c)インスリン及びインスリン模倣薬;
(d)スルホニル尿素及び他のインスリン分泌促進剤;
(e)α−グルコシダーゼ阻害薬
(f)グルカゴン受容体アンタゴニスト;
(g)GLP−1、GLP−1模倣薬、及びGLP−1受容体アゴニスト;
(h)GIP、GIP模倣薬、及びGIP受容体アゴニスト;
(i)PACAP、PACAP模倣薬、及びPACAP受容体3アゴニスト;
(j)以下からなる群から選択されるコレステロール低下剤
(i)HMG−CoA還元酵素阻害剤、(ii)抑制剤、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸及びその塩、(iv)PPARαアゴニスト、(v)PPARα/γデュアルアゴニスト、(vi)コレステロール吸収阻害剤、(vii)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、及び(viii)抗酸化剤;
(k)PPARδアゴニスト;
(l)抗肥満化合物;
(m)回腸胆汁酸輸送体阻害剤;
(n)グルココルチコイド以外の抗炎症剤;
(o)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤;及び
(p)アンジオテンシン又はレニン系に作用するものを含む降圧剤、例えば、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、又はレニン阻害物質など、例えば、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラミプリル、ゾフェノプリル、カンデサルタン、シレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、タソサルタン、テルミサルタン、バルサルタンなど;
(上記の化合物は、上記のような症状の治療に有効な量において上記の患者に投与される)
からなる群から選択される化合物を投与することを含む方法に関する。
【0084】
興味深い本発明のさらに別の態様は、治療を必要とする哺乳動物患者において高コレステロール血症、アテローマ性動脈硬化症、低HDL濃度、高LDL濃度、高脂血症、高トリグリセリド血症、及び脂質異常症からなる群から選択される状態を治療する方法であって、この患者に、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物並びにHMG−CoA還元酵素阻害剤を、上記のような症状を治療するのに有効な量において投与することを含む方法に関する。
【0085】
より詳細には、興味深い本発明のさらに別の態様は、治療を必要とする哺乳動物患者において高コレステロール血症、アテローマ性動脈硬化症、低HDL濃度、高LDL濃度、高脂血症、高トリグリセリド血症、及び脂質異常症からなる群から選択される症状を治療する方法であって、この患者に、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物並びにスタチン形態のHMG−CoA還元酵素阻害剤を、上記のような症状を治療するのに有効な量において投与することを含む方法に関する。この点で有用なスタチンとしては、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン、ZD−4522、及びリバスタチンからなる群が挙げられる。
【0086】
高コレステロール血症、アテローマ性動脈硬化症、低HDL濃度、高LDL濃度、高脂血症、高トリグリセリド血症、及び脂質異常症からなる群から選択される症状の発病、並びにそのような症状の後遺症の危険性を低減する方法であって、上記のような治療を必要とする哺乳動物患者に、治療有効量の請求項1で定義したような化合物及びHMG−CoA還元酵素阻害剤を投与することを含む方法。
【0087】
より詳細には、興味深い本発明の別の態様は、治療と必要とするヒト患者においてアテローム性動脈硬化症の発症を遅延させるか又は発病の危険性を低減する方法であって、この患者に、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物並びにスタチン形態のHMG−CoA還元酵素阻害剤を、上記のような状態の治療に有効な量において投与することを含む方法に関する。この点で有用なスタチンとしては、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン、ZD−4522、及びリバスタチンからなる群が挙げられる。
【0088】
より詳細には、興味深い本発明の別の態様は、治療と必要とするヒト患者においてアテローム性動脈硬化症を治療する、発症を遅延させる、又は発病の危険性を低減する方法であって、この患者に、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物並びにコレステロール吸収阻害剤を、アテローム性動脈硬化症の治療、発症の遅延、又は発病の危険性の低減に有効な量において投与することを含む方法に関する。
【0089】
さらにより詳細には、興味深い本発明の別の態様は、治療と必要とするヒト患者においてアテローム性動脈硬化症を治療する、発症を遅延させる、又は発病の危険性を低減する方法であって、この患者に、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物並びにコレステロール吸収阻害剤(ここで、このコレステロール吸収阻害剤はエゼチミブである)を、アテローム性動脈硬化症の治療、その発症の遅延、又は発病の危険性の低減に有効な量において投与することを含む方法に関する。
【0090】
興味深い本発明のさらに別の態様は、
(1)式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、
(2)以下からなる群より選択される化合物:
(a)DP−IV阻害剤;
(b)(i)PPAR作用薬と(ii)ビグアニドからなる群より選択されるインスリン増感剤;
(c)インスリン及びインスリン模倣薬;
(d)スルホニル尿素及び他のインスリン分泌促進剤;
(e)α−グルコシダーゼ阻害薬;
(f)グルカゴン受容体アンタゴニスト;
(g)GLP−1、GLP−1模倣薬、及びGLP−1受容体アゴニスト;
(h)GIP、GIP模倣薬、及びGIP受容体アゴニスト
(i)PACAP、PACAP模倣薬、及びPACAP受容体3アゴニスト;
(j)以下からなる群から選択されるコレステロール低下剤
(i)HMG−CoA還元酵素阻害剤、(ii)抑制剤、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸及びその塩、(iv)PPARαアゴニスト、(v)PPARα/γデュアルアゴニスト、(vi)コレステロール吸収阻害剤、(vii)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、及び(viii)抗酸化剤;
(k)PPARδアゴニスト;
(l)抗肥満化合物;
(m)回腸胆汁酸輸送体阻害剤;
(n)グルココルチコイド以外の抗炎症剤
(o)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤;及び
(p)アンジオテンシン又はレニン系に作用するものを含む降圧剤、例えば、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、又はレニン阻害物質など、例えば、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラミプリル、ゾフェノプリル、カンデサルタン、シレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、タソサルタン、テルミサルタン、バルサルタンなど;並びに
(3)薬学的に許容される担体
から構成される医薬組成物に関する。
【0091】
興味深い本発明の別の態様は、本明細書に記載の疾患又は症状の治療に使用する医薬品の製造における、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用に関する。
【0092】
本発明の化合物は、本明細書に記載の合成スキームを使用して調製できる。
【0093】
次に示す略語を合成スキームに用いる。
【0094】
Acはアセチル[CHC(O)−]であり、AcOは無水酢酸であり、AcAcはアセチルアセトネートであり、Arはアリールであり、ArXはハロゲン化アリールであり、9−BBNは9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンであり、Bnはベンジルであり、BOCはtert−ブチルオキシカルボニルであり、DBUはジアザビシクロウンデカンであり、DIADはジイソプロピルアゾジカルボキシレートであり、DIBALはジイソブチルアルミニウムヒドリドであり、DMFはN、N−ジメチルホルムアミドであり、DMSOはジメチルスルホキシドであり、EDAC(又はEDC)は1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−カルボジイミドHClであり、EtNはトリエチルアミンであり、Etはエチルであり、EtOAcは酢酸エチルであり、EtOHはエタノールであり、HClは塩酸であり、Het−Xは複素環式ハロゲン化物であり、HOBtは1−ヒドロキシベンゾトリアゾールであり、HPLCは高速液体クロマトグラフィーであり、LGは脱離基であり、Mはモル濃度であり、mmolはミリモルであり、Meはメチルであり、MeOHはメタノールであり、MsClはメタンスルホニルクロリドであり、Nは規定濃度であり、NaHMDSはナトリウムヘキサメチルジシラジドであり、NaOAcは酢酸ナトリウムであり、NaOtBuはナトリウムtert−ブトキシドであり、NMOはN−メチルモルホリン−N−オキシドであり、NMPはN−メチルピロリジノンであり、PGは保護基であり、Pd(dba)はトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムであり、PdCl(PhP)はジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムであり、PGは不特定の保護基であり、Phはフェニルであり、PhMeはトルエンであり、PPhはトリフェニルホスフィンであり、PMBはパラ−メトキシベンジルであり、RTは室温であり、TBAFはテトラブチルアンモニウムフルオリドであり、TBSはtert−ブチルジメチルシリルであり、tBuはtert−ブチルであり、Tfはトリフラートであり、TFAはトリフルオロ酢酸であり、THFはテトラヒドロフランであり、TLCは薄層クロマトグラフィーであり、TMEDAはテトラメチルエチレンジアミンであり、TMSはトリメチルシリルであり、TPAPは過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウムである。一般的スキームにおいて、記号表示R〜Rは、プレースホルダーとしての役目を果たす。下記に示すHを含んだ環は、複素環を意味する。スキーム4において、Eはエステルを形成する基、例えば、プロピル、ブチルなどである。
【0095】
一般スキーム
【0096】
本発明の置換ビピペリジンは、いくつかの方法のいずれかにより調製できる。下記で詳細に説明する具体例では、以下の基本手法のいくつかを用いてもよい。
【0097】
スキームで示された置換アリール及び置換ヘテロアリールカップリング中間体は、市販されているか、あるいは容易に入手し易いアリール、複素環、又は他の同種からいくつかの経路を介して調製してもよい。中間体は、予め形成されたヘテロアリール骨格を修飾するか又はデノボ環合成のいずれかにより入手可能である。
【0098】
本発明の調製に必要な多くのピペリジン中間体は、市販されているか、又は公知の手順により入手可能である。最も有用な合成手段の1つは、好適なピリジンの還元を利用している。水素並びに5〜10%パラジウム炭素又は同様の水素化触媒の酢酸中での低圧還元により、適切なピペリジンが得られる(スキーム1)。
【0099】
【化3】

【0100】
種々のアリール(ヘテロアリール)/アミンカップリング法が、これらの中間体の生成に非常に適している。基本的方法であるSnAr置換反応をスキーム2に示す。
【0101】
【化4】

【0102】
1つの有用な合成法としては、いくつかの文献レビューで説明されスキーム3で概説しているようなBuchwaldカップリング法が挙げられる。スキーム3に、必要なパートナーをカップリングさせるための便利な方法を示す。
【0103】
【化5】

【0104】
Arl又はHet断片のいずれかの複素環残基は、デノボ環合成により得ることができる。チアゾール及びピペリジンの場合のデノボ環合成の例をスキーム4に示す。いくつかの方法が使用可能である。


















【0105】
【化6】

【0106】
N−アリール又はN−ヘテロアリール残基がX基(ここで、X=Cl、Br、I、又はOTf)で置換される場合、その残基をパラジウム有機金属媒介カップリング反応を用いて、さらに官能基化することが可能である。非常に広い応用性のある方法は、スキーム5に概説したパラジウム媒介カップリング反応である。
【0107】
【化7】

【0108】
上記のN−官能基化された誘導体から保護基を除去することにより、さらに官能基化することが可能な化合物が生成する。スキーム6に調製方法を示す。
【0109】
【化8】

【0110】
一般手順1(芳香族求核置換反応)
【0111】
実施例1.1:tert−ブチル 1’−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0112】
【化9】

【0113】
DMF(5mL)中における市販の原料(Arch Chemical社又はABChem Inc.社)から得たtert−ブチル 4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート(100mg;0.373mmol)及び1−フルオロ−4(メチルスルホニル)ベンゼン(65mg;0.373)の溶液を、炭酸セシウム(182mg;0.559mmol)で処理して、60℃で18時間攪拌した。反応物を酢酸エチル(50mL)で希釈した。そして、有機層を水で2回洗浄した(150mLで2回)。有機層をNaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して残留物を得た。この粗生成物をシリカゲルによるクロマトグラフィーで精製し、酢酸エチルで溶離して、表題の化合物を単離した。
【0114】
500MHzNMR(CDCl):δ7.74(d、2H、J=9Hz)、6.93(d、2H、J=8.5Hz)、4.13(bs、2H)、3.91(d、2H、J=13Hz)、3.00(s、3H)、2.84(t、2H、J=11.5Hz)、2.64(t、2H、J=12.5Hz)、1.81(d、2H、J=10Hz)、1.68(d、2H、J=12.5Hz)、1.45(s、9H)、1.34(m、4H)、1.15(m、2H)。LCMS計算値:422.59、実測値:423.13(M+H)。
【0115】
一般手順2(Buchwaldカップリング)
【0116】
実施例1.2:tert−ブチル 1’−{4−[(トリフルオロメチル)スルホニル]フェニル}−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【0117】
【化10】

【0118】
臭化アリール(35mg、0.12mmol)、ピペリジン(HCl塩、44.3.mg、0.14mmol)、炭酸セシウム(118mg、0.36mmol)、酢酸パラジウム(1.36mg、0.006mmol)、2−(ジフェニルホスフィノ)−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル(4.6mg、0.012mmol)を入れたフラスコに対し、減圧してアルゴンで置換する作業を交互に3回行った。シリンジによりDMF(0.24mL)を加え、この混合物をさらに3回脱ガス処理した。反応混合物をアルゴン雰囲気下にて90℃で終夜攪拌し、冷却後、酢酸エチル(4mL)を加え、この混合物を水で洗浄し(0.5mLで2回)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。分取TLC(30/70の酢酸エチル/ヘキサン)により精製し、表題の化合物を得た。
LRMS計算値:476.2、実測値:377.1(M−99)、321.1(M−55)、499.1(M+23)。
【0119】
一般手順3
【0120】
実施例1.23(表1):tert−ブチル 1’−{4−[(メチルスルホニル)メチル]フェニル}−4,4’ビピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【0121】
【化11】

【0122】
工程1:4−ブロモベンジルメチルスルホン
【0123】
【化12】

【0124】
p−ブロモベンジルブロミド(500mg、2mmol)を、エタノール中でMeSONa(306mg、3mmol)と共に1時間還流した。この反応物を冷却し、濃縮して、フラッシュカラム(50%アセトン/ヘキサン)で精製して所望の生成物を得た。
【0125】
工程2:tert−ブチル 1’−{4−[(メチルスルホニル)メチル]フェニル}−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0126】
【化13】

【0127】
臭化アリール(50mg、0.2mmol)、ピペリジン(HCl塩、73mg、0.24mmol)、炭酸セシウム(163mg、0.5mmol)、酢酸パラジウム(2.24mg、0.01mmol)、ビス(トリ−tert−ブチル ホスホラニル)パラジウム(3.4mg、0.067mmol)を入れたフラスコに対し、減圧してアルゴンで置換する作業を交互に3回行った。シリンジによってジオキサン(0.5mL)を加え、この混合物をさらに3回脱ガス処理した。反応混合物をアルゴン雰囲気下にて80℃で3時間攪拌し、冷却後、酢酸エチル(4mL)を加え、この混合物を水で洗浄し(0.5mLで2回)、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。分取TLC(30%アセトン/ヘキサン)により精製し、表題の化合物を得た。LRMS計算値:436.2、実測値:437.2(M+1)。
【0128】
一般手順4
【0129】
実施例1.24(表1):tert−ブチル 1’−[4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【0130】
【化14】

【0131】
工程1:tert−ブチル 1’−(4−ヨードフェニル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0132】
【化15】

【0133】
メチレンクロライド(40mL)中におけるtert−ブチル 1’−フェニル−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート(実施例301において説明したのと同様にして合成した)(0.688g、2mmol)の溶液に、ビス(コリジン)ヨード(I)ヘキサフルオロホスファート(2.05g、4mmol)を加えた。この反応混合物を室温で10分間攪拌した後、その溶媒を減圧下で除去して、残留物をシリカゲルによるクロマトグラフィー(ヘキサン/エーテル)で精製した。
【0134】
工程2:tert−ブチル 1’−[4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0135】
【化16】

【0136】
工程1からのtert−ブチル 1’−(4−ヨードフェニル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート(17mg、0.036mmol)、1H−1,2,4−トリアゾール(7.5mg、0.108mmol)、CuI(0.7mg、0.0036mmol)、N,N’−ジメチルエタン−1,2−ジアミン(1mg、0.0072mmol)、KPO(16mg、0.0756mmol)を、1ドラムのバイアル中で混合し、続いてDMF(0.1mL)を加えた。反応容器を脱ガスしてアルゴンで再充填する作業を3回行った後、100℃で20時間加熱した。反応物を冷却し、水で希釈して、EtOAcで抽出し、濃縮して、PTLCで精製して表題の化合物を得た。
【0137】
500MHzNMR(CDCl3):δ8.49(s、1H)、8.12(s、1H)、7.53(d、2H、J=9Hz)、7.03(d、2H、J=9Hz)、4.17(bs、2H)、3.81(d、2H、J=12.5Hz)、2.75(dt、2H、J=12.3Hz、2.3Hz)、2.69(bs、2H)、1.85(d、2H、J=11.9Hz)、1.74(d、2H、J=12.1Hz)、1.49(s、9H)、1.44(m、2H)、1.29(m、2H)、1.20(m、2H)。
【0138】
【表1−1】

【0139】
【表1−2】

【0140】
【表1−3】

【0141】
【表1−4】

【0142】
【表1−5】

【0143】
【表1−6】

【0144】
【表1−7】

【0145】
一般手順2.1:(芳香族求核置換反応)
【0146】
実施例2.1:tert−ブチル 1’−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0147】
【化17】

【0148】
tert−ブチル 4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート(2.15g、8.0mmol)及び炭酸セシウム(7.8g、24mmol)をNMP(80ml)中でスラリー化し、2,6−ジクロロピラジン(1.25mg、8.4mmol)を加えた。この混合物を70℃で2時間攪拌した。そして、この反応混合物を室温まで冷却し、100mLの酢酸で希釈して、80mLの水(1回)及び80mLのブライン(1回)で洗浄した。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して、Rotavaporで濃縮した。この粗生成物を、シリカゲルによるクロマトグラフィー(25%アセトン:ヘキサン)で精製し、表題の化合物を得た。表2に示した実施例は、容易に入手可能な出発原料及びtert−ブチル 4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートから、上記で説明した操作手順2.1により調製した。
【0149】
【表2−1】

【0150】
【表2−2】

【0151】
【表2−3】

【0152】
【表2−4】

【0153】
【表2−5】

【0154】
【表2−6】

【0155】
一般手順3.1:
【0156】
tert−ブチル 1’−[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−イル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【0157】
工程1:4−ブロモ−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン
【0158】
【化18】

【0159】
2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−オール(328mg、2.0mmol)及びPBr(0.188mL、2.0mmol)を混合し、150℃で3時間加熱した。この反応物を冷却し、氷水で停止させ、DCMで抽出して(20mLで2回)、表題の化合物を得た。有機層を濃縮し、粗生成物を分取TLC(20%アセトン:ヘキサン)で精製して、表題の化合物を得た。
【0160】
工程2:tert−ブチル 1’−[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−イル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0161】
【化19】

【0162】
tert−ブチル 4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート(28.5mg、0.11mmol)及び炭酸セシウム(106mg、0.32mmol)をNMP(0.5ml)中で攪拌し、4−ブロモ−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン(12mg、0.053mmol)を加えた。この混合物を70℃で2時間加熱した。この反応物を室温まで冷却し、酢酸エチル(5mL)で希釈し、水2mL(1回)及びブライン2mL(1回)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して、Rotavaporで濃縮した。この粗生成物を分取TLC(30%アセトン:ヘキサン)で精製して、表題の化合物を得た。LC−MS:415.60(M+H)。
【0163】
表3に示した実施例は、上記で説明した手順3.1により調製できる。
【0164】
【表3−1】

【0165】
【表3−2】

【0166】
【表3−3】

【0167】
一般手順4.1:
【0168】
tert−ブチル 1’−(6−メチルピラジン−2−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【0169】
工程1:tert−ブチル 1’−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート:手順2.1と同様
【0170】
【化20】

【0171】
工程2:tert−ブチル 1’−(6−メチルピラジン−2−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0172】
【化21】

【0173】
tert−ブチル 1’−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート(100mg、0.26mmol)を室温でTHF及びNMP(5mL、1:1)に溶解させた。触媒である鉄(III)アセチルアセトネート(18.4mg、0.052mmol)をN雰囲気下で加えた。メチルマグネシウムブロミド(3M、0.19mL、0.57mmol)を滴下して加えた。この反応をさらに15分間攪拌し、氷冷した塩化アンモニア溶液(10mL)で停止させ、酢酸エチル(10mL)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し(10mLで1回)、硫酸マグネシウムで乾燥して、濾過し、Rrotavaporで濃縮した。この粗物質を分取TLC(30%アセトン:ヘキサン)により精製して、表題の化合物を得た。
LC−MS:361.63(M+H)。
【0174】
表4に示した実施例は、下に記載の手順4.1により調製できる。
【0175】
【表4−1】

【0176】
【表4−2】

【0177】
【表4−3】

【0178】
一般手順5.1:
【0179】
tert−ブチル 1’−(6−シアノピラジン−2−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【0180】
工程1:tert−ブチル 1’−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート:手順2.1と同様
【0181】
【化22】

【0182】
工程2:tert−ブチル 1’−(6−シアノピラジン−2−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0183】
【化23】

【0184】
tert−ブチル 1’−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート(500mg、1.3mmol)、酢酸パラジウム(II)(6mg、0.026mmol)、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(0.15mL、0.26mmol)、1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、シアン化カリウム(93mg、1.43mmol)を、無水トルエン13mLと共に密閉ボトルに入れた。この混合物をNで脱ガス処理し、密閉にして、160℃で終夜加熱した。この反応物を室温まで冷却し、酢酸エチル50mLで希釈し、セライトを通して濾過し、Rotavaporで濃縮した。粗物質を、シリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィー(30%アセトン:ヘキサン)で精製して、表題の化合物を得た。
LC−MS:394.11(M+23)。
【0185】
表5に示した実施例は、手順5.1により調製できる。
【0186】
【表5−1】

【0187】
【表5−2】

【0188】
一般手順6.1:
【0189】
tert−ブチル 1’−[6−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ピリミジン−4−イル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【0190】
工程1:tert−ブチル 1’−(6−クロロピリミジン−4−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート:(手順2.1と同様)
【0191】
【化24】

【0192】
工程2:tert−ブチル 1’−[6−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ピリミジン−4−イル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0193】
【化25】

【0194】
tert−ブチル 1’−(6−クロロピリミジン−4−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート(190mg、0.50mmol)、1,2,4−トリアゾール(69mg、1.0mmol)、炭酸セシウム(488mg、1.5mmol)をNMP(5mL)中に加え、140℃で1.5時間加熱した。この反応粗生成物を室温まで冷却し、酢酸エチル(10mL)で希釈して、水(5mL、1回)及びブライン(5mL、1回)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して、Rotavaporで濃縮した。この粗混合物を分取TLC(50%酢酸エチル:ヘキサン)で精製して、表題の化合物を得た。
LC−MS:414.13(M+H)。
【0195】
表6に示した実施例は、下に記載の手順6.1により調製できる。
【0196】
【表6−1】

【0197】
一般手順7.1:
【0198】
tert−ブチル 1’−[6−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【0199】
工程1:tert−ブチル 1’−(6−クロロピリミジン−4−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート:手順2.1と同様
【0200】
工程2:tert−ブチル 1’−[6−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0201】
【化26】

【0202】
tert−ブチル 1’−(6−クロロピリミジン−4−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート(19mg、0.05mmol)を、密閉ビンにおいて、MeOH(1N、2mL)中におけるメチルアミンに加え、50℃で2日間加熱した。この反応粗生成物を室温まで冷却し、rotavaporで濃縮した。この粗混合物を分取TLC(10%メタノール:ジクロロメタン)で精製して、表題の化合物を得た。
LC−MS:376.18(M+H)。
【0203】
表7に示した実施例は、下に記載の手順7.1により調製できる。
【0204】
【表7】

【0205】
一般手順8.1:
【0206】
tert−ブチル 1’−[6−(ベンジルオキシ)ピリミジン−4−イル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【0207】
工程1:tert−ブチル 1’−(6−クロロピリミジン−4−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート:手順2.1と同様
【0208】
工程2:tert−ブチル 1’−[6−(ベンジルオキシ)ピリミジン−4−イル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【0209】
【化27】

【0210】
tert−ブチル 1’−(6−クロロピリミジン−4−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート(100mg、0.26mmol)及びフェニルメタノール(0.031mL、0.29mmol)をDMF(2.6mL)に加え、次いでその混合物に水素化ナトリウム(7mg、0.29mmol)を加えた。この反応混合物を30℃で30分間加熱した。反応粗生成物を室温まで冷却し、氷冷した塩化アンモニア溶液(10mL)でクエンチし、酢酸エチル(10mL)で抽出した。この有機層をブラインで洗浄し(10mL、1回)、硫酸マグネシウムで乾燥して、濾過し、rotavaporで濃縮した。この粗混合物を分取TLC(30%酢酸エチル:ヘキサン)で精製して、表題の化合物を得た。
LC−MS:453.62(M+H)。
【0211】
表8に示した実施例は、下に記載の手順8.1により調製できる。
【0212】
【表8−1】

【0213】
一般手順9.1:
【0214】
tert−ブチル 1’−(5−フルオロ−2−メトキシピリミジン−4−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【0215】
工程1:tert−ブチル 1’−(2−クロロ−5−フルオロピリミジン−4−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート:手順2.1と同様
【0216】
工程2:tert−ブチル 1’−(5−フルオロ−2−メトキシピリミジン−4−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0217】
【化28】

【0218】
tert−ブチル 1’−(2−クロロ−5−フルオロピリミジン−4−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート(40mg、0.10mmol)をNMP(1mL)に加え、次いでこの混合物にカリウムメトキシド(8.1mg、0.11mmol)を加えた。この反応物を室温で30分間攪拌し、塩化アンモニウム溶液(5mL)でクエンチし、酢酸エチル(10mL)で抽出した。この有機層をブラインで洗浄し(10mL、1回)、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して、rotavaporで濃縮した。この粗混合物を分取TLC(30%アセトン:ヘキサン)で精製して、表題の化合物を得た。LC−MS:395.14(M+H)。
【0219】
一般手順10.1:
【0220】
tert−ブチル 1’−[6−(メチルスルホニル)ピリミジン−4−イル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【0221】
工程1:tert−ブチル 1’−(6−クロロピリミジン−4−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート:手順2.1と同様
【0222】
工程2:tert−ブチル 1’−[6−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0223】
【化29】

【0224】
tert−ブチル 1’−(6−クロロピリミジン−4−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート(100mg、0.26mmol)をNMP(2.6mL)中に溶解させ、ナトリウムメタンチオラート(18.2mg、0.26mmol)を加えた。この反応物を室温で30分間攪拌した。この反応粗生成物を酢酸エチル(10mL)で希釈し、水(10mL、1回)及びブライン(10mL、1回)、で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して、rotavaporで濃縮した。この粗混合物を分取TLC(30%酢酸エチル:ヘキサン)で精製して、表題の化合物を得た。
LC−MS:393.64(M+H)。
【0225】
工程3:tert−ブチル 1’−[6−(メチルスルホニル)ピリミジン−4−イル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0226】
【化30】

【0227】
tert−ブチル 1’−[6−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート(100mg、0.25mmol)をジクロロメタン(2.5mL)中に溶解させ、mCPBA(126mg、0.55mmol、最高77%)を加えた。この反応物を室温で1時間攪拌し、ジクロロメタン(10mL)で希釈した。この反応混合物をチオ硫酸ナトリウム溶液(10mL、1N、1回)及び飽和重炭酸ナトリウム溶液(10mL、1回)で洗浄した。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して、rotavaporで濃縮した。この粗混合物をシリカゲルカラムのフラッシュクロマトグラフィー(30%アセトン:ヘキサン)で精製して、表題の化合物を得た。
LCMS:447.58(M+23)。
【0228】
表10に示した実施例は、下に記載の手順10.1により調製できる。
【0229】
【表9】

【0230】
一般手順11.1:(芳香族求核置換反応)
【0231】
実施例11.1:tert−ブチル 1’−(6−クロロピラジン−2−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0232】
【化31】

【0233】
tert−ブチル 4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート(100mg、0.45mmol)及び炭酸セシウム(364mg、1.1mmol)をNMP(0.75ml)中でスラリー化し、2,6−ジクロロピラジン(67mg、0.45mmol)を加えた。この混合物を70℃で終夜攪拌した。このスラリーを15%の飽和重炭酸ナトリウム:水(40ml)で希釈して、DCMで抽出した(25mlで3回)。
合わせた有機画分を4:1の水:飽和重炭酸ナトリウム(2回)及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して、減圧下で揮発物を除去した。この粗生成物をシリカゲルによるクロマトグラフィー(20%アセトン:ヘキサン)で精製して、表題の化合物を得た。
LRMS計算値:380.2、実測値:403.0(M+Na)。
【0234】
一般手順11.2(塩素化)
【0235】
実施例11.2:tert−ブチル 1’−(5−クロロピラジン−2−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0236】
【化32】

【0237】
tert−ブチル 1’−ピラジン−2−イル−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート(64mg、0.19mmol、実施例8において説明したようにして調製)及びN−クロロスクシンイミド(27mg、0.20mmol)をDMF(0.9ml)に溶解させ、この溶液を50℃で終夜攪拌した。このスラリーを15%ブライン:水(40ml)で希釈して、酢酸エチルで抽出した(25mlで3回)。合わせた有機画分をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して、減圧下で揮発物を除去した。この粗生成物をシリカゲルによるクロマトグラフィー(10%アセトン:ヘキサン)で精製して、表題の化合物を得た。LRMS計算値:380.2、実測値:403.0(M+Na)。
【0238】
一般手順11.3(臭素化)
【0239】
実施例11.15:tert−ブチル 1’−(5−ブロモピラジン−2−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0240】
【化33】

【0241】
tert−ブチル 1’−ピラジン−2−イル−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート(16mg、0.046mmol、実施例8において説明したのと同様にして調製)及びN−ブロモスクシンイミド(8.2mg、0.046mmol)をDMF(0.2ml)に溶解させ、この溶液を50℃で終夜攪拌した。このスラリーを15%ブライン:水(40ml)で希釈して、酢酸エチルで抽出した(25mlで3回)。合わせた有機画分をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して、減圧下で揮発物を除去した。この粗生成物をシリカゲルによるクロマトグラフィー(20%アセトン:ヘキサン)で精製して、表題の化合物を得た。LRMS計算値:424.1、実測値:447.0(M+Na)。
【0242】
表11に示した実施例は、容易に入手可能な出発原料及びtert−ブチル 4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートから一般手順11.1を用いて調製した。
【0243】
【表10−1】

【0244】
【表10−2】

【0245】
【表10−3】

【0246】
一般手順11.6(脱塩素化)
【0247】
実施例11.16:tert−ブチル 1’−ピリミジン−4−イル−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0248】
【化34】

【0249】
tert−ブチル 1’−(6−クロロピリミジン−4−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート(50mg、0.13mmol、実施例13において説明したのと同様にして調製)及び酢酸ナトリウム(11mg、0.13mmol)をメタノール(1.3ml)に溶解させ、10%パラジウム炭素(14mg)を加え、この溶液を水素雰囲気下で終夜攪拌した。この溶液を4:1の水:飽和重炭酸ナトリウム(40ml)で希釈し、酢酸エチルで抽出した(25mlで3回)。合わせた有機画分を塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して、減圧にて揮発物を除去した。この粗生成物を、シリカゲルによるクロマトグラフィー(35%アセトン:ヘキサン)で精製し、表題の化合物を得た。
LRMS計算値:346.2、実測値:347.1(M+H)。
【0250】
一般手順12.1(芳香族求核置換反応)
【0251】
実施例12.1:tert−ブチル 1’−[4−(シアノ)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【0252】
【化35】

【0253】
DMF(3mL)中におけるtert−ブチル 4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート(181mg;0.674mmol)の溶液を、4−フルオロベンゾニトリル(98mg;0.809mmol)、及び炭酸セシウム(264mg;0.809mmol)で処理した。この混合物を70℃で18時間攪拌した。そして、酢酸イソプロピル(25mL)とpH7のリン酸塩緩衝液(10mL)との間で分配させた。この有機層をpH7のリン酸塩緩衝液でさらに2回洗浄し(10mLで2回)、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して、固化するまでエバポレートした。粗生成物をシリカゲルによりクロマトグラフィー分離した(PTLC; 2:1 ヘキサン/MTBE)。主要な溶出帯を回収し、表題の化合物を得た。
LRMS計算値:369.2、実測値:370.1(M+H)、270.1(M−BOC+H)。
【0254】
一般手順12.2(銅媒介N−アリール化)
【0255】
実施例12.2:tert−ブチル 1’−[4−(メチルチオ)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【0256】
【化36】

【0257】
ジクロロメタン(6mL)中における4−メチルチオフェニルボロン酸(240mg;1.431mmol)の懸濁液を、活性化されたパウダー状4Åモレキュラーシーブ(1.5g)、Cu(OAc)(87mg;0.477mmol)、tert−ブチル 4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート(128mg;0.477mmol)、及びトリエチルアミン(134μL;0.954mmol)で処理した。反応容器を酸素でパージし、この混合物を酸素雰囲気下にて周囲温度で18時間攪拌した。その時点で、その茶色の混合物をセライトを通して濾過した。この溶出液をシリカゲルに吸着させた。シリカゲルは分画しないで完全に溶出させた(1:1 hex/MTBE)。溶出液をエバポレートして黄色のオイルを得て、それをクロマトグラフィー分離した(PTLC;2:1 hex/MTBE)。主要な溶出帯を回収し、表題の化合物を得た。
LRMS計算値:390.2、実測値:391.1(M+H)、291.1(M−BOC+H)。
【0258】
一般手順12.3(パラジウム媒介N−アリール化)
【0259】
実施例12.3:tert−ブチル 1’−[4−(メトキシカルボニル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【0260】
【化37】

【0261】
100mLの反応フラスコにtert−ブチル 4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート(1.14g;4.25mmol)、メチル−4−ブロモベンゾアート(913mg;4.25mmol)、炭酸セシウム(4.15g;12.74mmol)、Pd(OAc)(48mg;0.212mmol)、及び2−(ジフェニルホスフィノ)−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル(162mg;0.425mmol)を充填した。NMP(窒素によるバブリングによって10分間脱ガス処理したもの;10mL)を加え、この混合物を90℃で18時間攪拌した。この混合物をジクロロメタン(100mL)で希釈し、セライトを通して濾過した。その濾液を水で洗浄した(25mLで4回)。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して、エバポレートして固体状物を得た。この固体を、還流(MTBE)で熟成させた。冷却後、濾過により白色固体を回収した。
濾液をエバポレートし、それをクロマトグラフィー分離した(水平;0%〜100%のEtOAc/hex;直線勾配)。所望の化合物を含む画分を回収し、先の固体と合わせて、表題の化合物を得た。LRMS計算値:402.3、実測値:403.2(M+H)、303.2(M−BOC+H)。
【0262】
一般手順12.4(エステル加水分解)
【0263】
実施例12.4:4−[1’−(tert−ブトキシカルボニル)−4,4’−ビピペリジン−1−イル]安息香酸の調製
【0264】
【化38】

【0265】
密封可能な管体中において、エタノール(5ml)に化合物12.3(305mg; 0.758mmol)を懸濁させた。水酸化カリウム(225mg;3.41mmol)を加えた。管体を密封し、105℃の浴で1時間加熱した。固体塊を水で洗浄し、1NのHClでpHを4.0に調整した。濾過により表題の化合物を回収した。
LRMS計算値:388.2、実測値:389.2(M+H)、289.1(M−BOC+H)。
【0266】
一般手順12.5(アミド形成)
【0267】
実施例12.5:tert−ブチル 1’−{4−[(1,2,4−チアジアゾール−5−イルアミノ)カルボニル]フェニル}−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【0268】
【化39】

【0269】
無水DMF(2ml)に化合物12.4(56mg;0.144mmol)を懸濁させた。2−アミノ−1,2,4−チアジアゾ−ル(29mg;0.288mmol)を加え、さらに、DMAP(35mg;0.288mmol)及びEDC(55mg;0.288mmol)を加えた。この混合物を周囲温度で24時間攪拌した。この反応物をiPrOAc(50mL)で希釈し、重炭酸ナトリウム水溶液(10mL)で1回洗浄し、続いて水でさらに2回洗浄した(10mLで2回)。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して、黄色固体になるまでエバポレートした。この固体を、MTBEを還流させながら熟成した。この混合物を冷却し、上澄みを除去した。残ったオフホワイトの固体を冷MTBEで洗浄し、表題の化合物を得た。
LRMS計算値:471.2、実測値:472.1(M+H)、372.1(M−BOC+H)。
【0270】
表12に示した実施例は、当業者であれば、容易に入手可能な出発物質及びtert−ブチル 4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートから、上で説明した1つ以上の手順(12.15)により調製できる(*=追加情報として表1以降を参照のこと)。すべてのBOC含有化合物のLRMSからは、M+1イオン及びM−100+1(M−BOC+1)イオンを得た。
【0271】
【表11−1】

【0272】
【表11−2】

【0273】
【表11−3】

【0274】
【表11−4】

【0275】
【表11−5】

【0276】
【表11−6】

【0277】
【表11−7】

【0278】
【表11−8】

【0279】
【表11−9】

【0280】
*=追加情報
【0281】
実施例12.2:tert−ブチル 1’−[4−(アミノカルボニル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【0282】
【化40】

【0283】
EtOH(2mL)中における化合物12.1(26mg;0.070mmol)の溶液を、NaOH(280μL;2M;0.56mmol)の水溶液で処理した。この混合物を18時間還流した。この反応物を、ジクロロメタンと水の間で分配させた。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥して、濾過し、エバポレートして、白色固体として表題の化合物を得た。
LRMS計算値:387.3、実測値:388.2(M+H)、288.3(M−BOC+H)。
【0284】
実施例12.4:tert−ブチル 1’−[4−(メチルスルフィニル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【0285】
【化41】

【0286】
ジクロロメタン(2mL)中における化合物12.3(76mg;0.195mmol)の溶液を、mCPBA(45mg;75wt%;0.195mmol)で処理した。この混合物を周囲温度で30分間攪拌した。
この反応物をiPrOAc(50mL)と重炭酸ナトリウム水溶液(10mL)の間で分配させた。この有機層を、重炭酸ナトリウム水溶液でさらに3回洗浄した(10mLで3回)。そして、硫酸マグネシウムで乾燥して、濾過し、固体になるまでエバポレートした。この固体をヘキサンを還流させながら熟成させた。この混合物を冷却し、濾過して、白色固体として表題の化合物を得た。LRMS計算値:406.2、実測値:407.1(M+H)、307.2(M−BOC+H)。
【0287】
実施例12.20:tert−ブチル 1’−[4−(2−アミノ−2−オキソエチル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−lカルボキシレートの調製
【0288】
【化42】

【0289】
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(53mg;0.388mmol)をアンモニアのメタノール溶液(5mL;7M)に溶解させた。この溶液を、白色固体になるまでエバポレートした。DMF(2mL)中における{4−[1’−(tert−ブトキシカルボニル)−4,4’−ビピペリジン−1−イル]フェニル}酢酸(52mg;0.129mmol)の溶液を加え、続いて、EDC(75mg;0.388mmol)を加えた。この混合物を周囲温度で1時間攪拌した。この反応物をiPrOAc(50mL)と重炭酸ナトリウム水溶液(10mL)の間で分配させた。有機層を水でさらに二回洗浄した(10mLで2回)。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して、固化するまでエバポレートした。この固体をクロマトグラフィー分離して(PTLC;40:1 CHCl/MeOH)、表題の化合物を得た。
LRMS計算値:401.3、実測値:402.3(M+H)、302.2(M−BOC+H)。
【0290】
実施例12.22:tert−ブチル 1’−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【0291】
【化43】

【0292】
EtOH(1mL)中におけるtert−ブチル 1’−(4−ホルミルフェニル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート(72mg;0.193mmol)の溶液をNaBH(8mg;0.213mmol)で処理した。この溶液を周囲温度で1時間攪拌した。この反応物を、iPrOAcと水の間で分配させた。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥して、濾過し、エバポレートして表題の化合物を得た。
LRMS計算値:374.3、実測値:375.3(M+H)、275.2(M−BOC+H)。
【0293】
実施例12.24:tert−ブチル 1’−[4−(1,3−チアゾ−ル−2−イル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【0294】
工程1:tert−ブチル 1’−[4−(アミノカルボノチオイル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0295】
【化44】

【0296】
ジオキサン(8ml)中における化合物12.2(227mg;0.586mmol)の懸濁液を、ローソン試薬(355mg;0.879mmol)で処理した。この混合物を周囲温度で56時間攪拌した。そして、濾過し、黄色固体になるまでエバポレートした。固体をシリカゲルに吸着させて、分画しないで完全に溶出させた(40:1 CHCl/メタノール)。この溶出液を、黄色固体になるまでエバポレートした。この固体をクロマトグラフィー分離した(水平;0%〜7%のMeOH/CHCl;直線勾配)。
黄色の画分を収集し、エバポレートして、表題の化合物を得た。
LRMS計算値:403.2、実測値:404.2(M+H)、304.1(M−BOC+H)。
【0297】
工程2:tert−ブチル 1’−[4−(1,3−チアゾ−ル−2−イル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0298】
【化45】

【0299】
DMF(3ml)中における上記の実施例12.24の工程1の生成物(151mg;0.374mmol)の溶液を、AcO(1ml)及びクロロアセトアルデヒド(587mg;50%水溶液;3.74mmol)で処理した。この溶液を80℃で1時間攪拌した。この反応物をiPrOAc(50mL)と重炭酸ナトリウム水溶液(20mL)の間で分配させた。この有機層を、重炭酸ナトリウム水溶液でさらに3回洗浄した(10mLで3回)そして、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、茶色の半固体になるまでエバポレートした。この固体を熟成させた(MTBEを還流させながら)。ほとんど均一な溶液を−10℃で1時間静置すると、黄褐色の固体が沈降した。上澄みを取り除き、この固体をMTBEで洗浄した。すべての揮発物を除去し、淡褐色の固体をクロマトグラフィー分離して(PTLC;40:1 CHCl/Me0H)、表題の化合物を得た。
LRMS計算値:427.2、実測値:428.1(M+H)、328.1(M−BOC+H)。
【0300】
実施例12.25:tert−ブチル 1’−{4−[2−(1,3−チアゾ−ル−2−イル)エチル]フェニル}−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0301】
工程1:tert−ブチル 1’−[4−(3−アミノ−3−オキソプロピル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0302】
【化46】

【0303】
この化合物は、上記の実施例12.20の方法を用いて調製した。
LRMS:計算値415.3、実測値416.2(M+H)、316.3(M−BOC+H)。
【0304】
工程2:tert−ブチル 1’−[4−(3−アミノ−3−チオキソプロピル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0305】
【化47】

【0306】
この化合物は、実施例12.24の工程1の方法を用いて調製した。LRMS:計算値431.3、実測値432.3(M+H)、332.3(M−BOC+H)。
【0307】
工程3:tert−ブチル 1’−{4−[2−(1,3−チアゾ−ル−2−イル)エチル]フェニル}−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0308】
【化48】

【0309】
この化合物は、実施例12.24の工程2の方法を用いて調製した。
LRMS:計算値455.3、実測値456.2(M+H)、356.2(M−BOC+H)。
【0310】
実施例12.26:tert−ブチル 1’−[4−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【0311】
工程1:tert−ブチル 1’−(4−ヨードフェニル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0312】
【化49】

【0313】
この化合物は、一般手順12.2の方法を用いて調製した。
LRMS:計算値470.1、実測値471.2(M+H)、371.3(M−BOC+H)。
【0314】
工程2:tert−ブチル 1’−[4−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0315】
【化50】

【0316】
THF(lmL)中におけるMgBr(37mg;0.202mmol)の−10℃の溶液をnBuLi(0.333mL;1.82M;0.606mmol)で処理した。この溶液を−10℃で1時間攪拌した。THF(0.5mL)中におけるオキサゾール(42mg;0.606mmol)の溶液を加え、その溶液を25℃で2時間攪拌した。この溶液を、THF(4mL)中におけるtert−ブチル 1’−(4−ヨードフェニル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート(285mg;0.606mmol)及びPdCl(dppf)(495mg;0.606mmol)の還流溶液に加えた。この混合物を1時間還流した。この反応物をCHClと水の間で分配させた。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して、固化するまでエバポレートした。この固体をクロマトグラフィー分離して(PTLC;40:1 CHCl/MeOH)、表題の化合物を得た。
LRMS:計算値411.3、実測値412.2(M+H)、312.3(M+H−BOC)。
【0317】
実施例12.27:tert−ブチル 1’−[4−(4,5−ジヒドロ−1,3−オキサゾール−2−イル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【0318】
工程1:tert−ブチル 1’−(4−{[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]カルボニル}フェニル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0319】
【化51】

【0320】
この化合物は、出発物質としてエタノールアミンを用いて、一般手順12.5の方法により調製した。
LRMS:計算値431.3、実測値432.2(M+H)、332.2(M−BOC+H)。
【0321】
工程2:tert−ブチル 1’−[4−(4,5−ジヒドロ−1,3−オキサゾール−2−イル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0322】
【化52】

【0323】
ジオキサン(5mL)中におけるtert−ブチル 1’−(4−{[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]カルボニル}フェニル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート(234mg;0.542mmol)の溶液を、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(68mg;0.084mmol)及びCu(OTf)(10mg;0.027mmol)で処理した。この混合物を5時間還流した。この反応物をクロマトグラフィー分離して(PTLC;40:1 CHCl/MeOH)、表題の化合物を得た。
LRMS:計算値413.3、実測値414.3(M+H)、314.2(M−BOC+H)。
【0324】
実施例12.29:tert−ブチル 1’−{4−[(1,3−チアゾ−ル−2−イルカルボニル)アミノ]フェニル}−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【0325】
工程1:tert−ブチル 1’−(4−ニトロフェニル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0326】
【化53】

【0327】
出発物質として4−フルオロ−ニトロベンゼンを用いて、一般手順12.1により表題の化合物を得た。
LRMS計算値:389.2、実測値:390.2(M+H)、290.1(M−BOC+H)。
【0328】
工程2:tert−ブチル 1’−(4−アミノフェニル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0329】
【化54】

【0330】
EtOH/EtOAc混合物(15mL;1:2容積比)中における上記の実施例12.29の工程1の生成物(640mg;1.643mmol)の懸濁液を、10%Pd/C触媒(150mg)の存在下で1時間水素添加(35psi)した。この混合物をセライトに通して濾過し、エバポレートして、灰色固体として表題の化合物を得た。
LRMS計算値:359.3、実測値:360.2(M+H)、260.3(M−BOC+H)。
【0331】
工程3:チアゾール−2−カルボン酸
【0332】
EtOH(10ml)中における文献(Helv.Chim Acta 1945,28,p.924)の方法を用いて得たエチルチアゾール−2−カルボキシレート(1.46g;9.29mmol)の溶液を密封可能な容器に入れ、KOH(3.07g;46.4mmol)で処理した。この容器を密封し、120℃で30分間加熱した。冷却後、この溶液を水(50mL)に注ぎ、濃HClによりpHを4.0に調整した。この濁った混合物をiPrOAc(50mL)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥して、濾過し、茶色のオイルになるまでエバポレートした。このオイルをCHClに溶解させ、濾過し、次いでエバポレートして、茶色の糊状固体として表題の化合物を得た。
【0333】
工程4:tert−ブチル 1’−{4−[(1,3−チアゾ−ル−2−イルカルボニル)アミノ]フェニル}−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0334】
【化55】

【0335】
DMF(1ml)中における上記の実施例12.29の工程2の生成物(50mg;0.139mmol)の溶液を、PyBOP(145mg;0.278mmol)で処理した。この反応物を周囲温度で4時間攪拌した。そして、iPrOAc(50mL)とpH7のリン酸塩緩衝液(10mL)の間で分配させた。この有機層をpH7の緩衝液でさらに2回洗浄した(10mLで2回)。湿った有機層をエバポレートし、CHと水の間で分配させた。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して、エバポレートした。得られた残渣を、MTBEを還流させながら熟成した。赤茶色の上澄みに表題の化合物が豊富に含まれていた。この溶液をオイル状になるまでエバポレートして、クロマトグラフィー分離(PTLC;20:1 CHCl/MeOH)した。表題の化合物は赤褐色をした固体であった。この物質を再びクロマトグラフィー分離(PTLC;MTBE)した。ベースラインの溶出帯を回収し、薄い赤褐色のパウダー状の固体として表題の化合物を得た。LRMS計算値:470.2、実測値:471.2(M+H)、371.3(M−BOC+H)。
【0336】
実施例12.30:tert−ブチル 1’−{4−[(1,3−チアゾ−ル−4−イルカルボニル)アミノ]フェニル}−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【0337】
【化56】

【0338】
この化合物は、実施例12.29の工程4の方法に従って調製した。
【0339】
実施例12.31:tert−ブチル 1’−{3−クロロ−4−[(1,3−チアゾ−ル−4−イルカルボニル)アミノ]フェニル}−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【0340】
工程1:tert−ブチル 1’−(3−クロロ−4−ニトロフェニル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0341】
【化57】

【0342】
出発物質として2−クロロ−4−フルオロ−ニトロベンゼンを用いて、実施例12.29の工程1の方法により、表題の化合物を得た。
LRMS計算値:423.2、実測値:424.1(M+H)、324.1(M−BOC+H)。
【0343】
工程2:tert−ブチル 1’−(3−クロロ−4−アミノフェニル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0344】
【化58】

【0345】
実施例12.29の工程2の方法により、表題の化合物を得た。
LRMS計算値:393.2、実測値:394.1(M+H)、294.2(M−BOC+H)。
【0346】
工程3:tert−ブチル 1’−{3−クロロ−4−[(1,3−チアゾ−ル−4−イルカルボニル)アミノ]フェニル}−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0347】
【化59】

【0348】
チアゾール−4−カルボン酸を用いて、実施例12.29の工程4の方法により、表題の化合物を得た。
LRMS計算値:504.2、実測値:505.1(M+H)、405.1(M−BOC+H)。
【0349】
ビス−N,N’−置換ビピペリジンの実施例形式
【0350】
一般手順13.1(BOC基の除去)
【0351】
【化60】

【0352】
CHCl(20mL)中におけるtert−ブチル 1’−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート(4.95g、11.71mmol)の溶液をトリフルオロ酢酸(4mL)で処理し、室温で3時間攪拌した。この反応物をCHCl(50mL)で希釈し、1NのHCl(50mL)で洗浄した。水層を合わせて、5NのNaOH(100ml)で洗浄した。この混合物をCHClで抽出し、NaSOで乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮して表題の化合物を得た。500MHzNMR(CD3OD):δ7.69(d、2H、J=9Hz)、7.02(d、2H、J=9.5Hz)、3.99(d、2H、J=13Hz)、3.02(m、5H)、2.83(t、2H、J=12Hz)、2.52(t、2H、J=12Hz)、1.83(d、2H、J=10Hz)、1.72(d、2H、J=11Hz)、1.24(m、6H)。LCMS計算値:322.47、実測値:323.17(M+H)。
【0353】
一般手順13.2(カルバメート)
【0354】
実施例13.1:イソブチル−1’−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート
【0355】
【化61】

【0356】
CHCl(2mL)中におけるtert−ブチル 4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート(15.00mg;0.047mmol、)及びイソブチルクロロホルメート(6.1μL;0.047mmol)の溶液をトリエチルアミン(200μL)で処理し、室温で18時間攪拌した。この反応物を酢酸エチル(50mL)で希釈した。次いで、有機層を水で2回洗浄した(150mLで2回)。有機層をNaSOで乾燥し、濾過して、減圧にて濃縮して残渣を得た。この粗生成物を分取HPLC(逆相、及びアセトニトリル/水+0.1%TFAで溶出させた)で精製して、表題の化合物を単離した。
500MHzNMR(CDCl3):δ7.80(d、2H、J=9Hz)、7.11(d、2H、J=9Hz)、4.19(d、2H、J=11.5Hz)、3.90(d、2H、J=12.5Hz)、3.86(d、2H、J=6.5Hz)、3.01(s、3H)、2.93(t、2H、J=11Hz)、2.727(t、2H、J=12.5Hz)、1.93(m、1H)、1.89(d、2H、J=13Hz)、1.47(dq、2H、J=9、9.5Hz)、1.40−1.32(m、2H)、1.95(dq、2H、J=12.5、8.5Hz)、0.928(d、6H、J=7Hz)。LCMS計算値:422.59、実測値:423.16(M+H)。
【0357】
一般手順13.3:(アシル化)
【0358】
実施例12.4:4−メチル−1−{1’−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−イル}−1−オキソペンタン−2−オン
【0359】
【化62】

【0360】
4−メチル−2−オキソ吉草酸(8.07mg;0.062mmol)の溶液を、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(11.4mg;0.0741mmol)、EDC(14.3mg;0.074mmol)、及び1−1−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン(20.0.0mg;0.062mmol)で続けて処理し、周囲温度で18時間攪拌した。反応物をCHCl(10mL)で希釈し、水(15mL)で洗浄した。次いで、有機層をNaSOで乾燥し、濾過して、減圧にて濃縮して残渣を得た。この粗生成物を分取HPLC(逆相、及びアセトニトリル/水+0.1%TFAで溶出させた)で精製して、表題の化合物を単離した。
500MHzNMR(CDCl3)δ:7.73(d、2H、J=9Hz)、6.91(d、2H、J=9Hz)、4.55(dt、1H、J=2Hz)、3.92(d、2H、J=12.5Hz)、3.77(dt、2H、J=2Hz)、3.01(s、3H)、2.83(t、2H、J=12Hz)、2.68−2.58(m、2H)、2.20(m、1H)、1.86−1.76(m、4H)、1.44−1.186H)、0.980(d、6H、J=6.5Hz)。
LCMS計算値:434.60、実測値:435.17(M+H)。
【0361】
表13に示した実施例は、容易に入手可能な出発原料及びtert−ブチル 4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートから上記で説明した手順により調製した。
【0362】
【表12−1】

【0363】
【表12−2】

【0364】
【表12−3】

【0365】
【表12−4】

【0366】
【表12−5】

【0367】
一般手順14.1:
1−(5−フルオロ−2−メチルピリミジン−4−イル)−1’−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4’−ビピペリジンの調製
【0368】
工程1:tert−ブチル 1’−(2−クロロ−5−フルオロピリミジン−4−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート:手順2.1と同様にして、ジクロロピラジンの代わりに下に示すジクロロフルオロピリミジンを使用
【0369】
【化63】

【0370】
工程2:tert−ブチル 1’−(5−フルオロ−2−メチルピリミジン−4−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート:手順4.1の工程2と同様
【0371】
【化64】

【0372】
一般手順15.1:
1−(5−フルオロ−2−メチルピリミジン−4−イル)−1’−ピリミジン−2−イル−4,4’−ビピペリジンの調製
【0373】
工程1:tert−ブチル 1’−(2−クロロ−5−フルオロピリミジン−4−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート:上記の手順14.1と同様
【0374】
【化65】

【0375】
工程2:tert−ブチル 1’−(5−フルオロ−2−メチルピリミジン−4−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート:手順4.1の工程2と同様
【0376】
【化66】

【0377】
一般手順16.1:
6−[1’−(5−クロロピリミジン−2−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−イル]ピリミジン−4−カルボニトリルの調製
【0378】
工程1:tert−ブチル 1’−(6−クロロピリミジン−4−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート:手順2.1と同様にして、ジクロロピラジンの代わりに下に示すジクロロピリミジンを使用)。
【0379】
【化67】

【0380】
工程2:tert−ブチル 1’−(6−シアノピリミジン−4−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート:手順5.1の工程2と同様
【0381】
【化68】

【0382】
一般手順17.1:
6−(1’−ピリミジン−2−イル−4,4’−ビピペリジン−1−イル)ピリミジン−4−カルボニトリルの調製
【0383】
工程1:tert−ブチル 1’−(6−クロロピリミジン−4−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート:手順2.1と同様
【0384】
工程2:tert−ブチル 1’−(6−シアノピリミジン−4−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート:手順5.1の工程2と同様
【0385】
【化69】

【0386】
一般手順19.1:(芳香族求核置換反応)terf−ブチル−1’−(3−クロロ−1,2,4−チアジアゾール−5−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【0387】
【化70】

【0388】
無水THF(10mL)中におけるtert−ブチル 4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート(537mg;2.00mmol)の溶液をトリエチルアミン(307μL;2.20mmol)で処理した。THF(5mL)中における3,5−ジクロロ−1,2,4−チアジアゾ−ル(341mg;2.20mmol)の溶液を、周囲温度で滴下しながら加えた。滴下と同時に、軽い発熱を伴って、沈殿物が生成した。この混合物を、周囲温度に戻るまで攪拌した。そして、濾過し、その濾液をエバポレートして、表題の化合物を得た。
LRMS計算値:386.2、実測値:387.2(M+H)、287.1(M−BOC+H)。
【0389】
一般手順19.2(ジメチルアミノ化)
【0390】
実施例19.2:tert−ブチル 1’−[3−(ジメチルアミノ)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【0391】
【化71】

【0392】
密封可能な容器にて、DMF(10mL)中における化合物19.1(755mg;1.95mmol)の−10℃の溶液を、初期容積が約15mLに増加するまで無水ジメチルアミンで含浸させた。この容器を密封し、その溶液を100℃の浴で4時間加熱した。冷却後、この溶液を周囲温度で窒素によって30分間脱ガス処理した。この反応物をiPrOAc(75mL)と水(20mL)の間で分配させた。この有機物を水でさらに3回洗浄し(20mLで3回)、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して、固体になるまでエバポレートした。この固体を、MTBEを還流させながら熟成させ、冷却して、周囲温度で72時間静置した。上澄みを除去し、この固体をMTBEで洗浄して、表題の化合物を得た。LRMS計算値:395.2、実測値:396.2(M+H)、296.2(M−BOC+H)。
【0393】
サイクリックAMP(cAMP)の均一時間分解蛍光(HTRF)アッセイを用いたGPR119シグナル伝達の測定
【0394】
許容グアニンヌクレオチド結合性タンパク質α15(Gα15)並びにGPR119又はネズミGPR119のヒトSNP変形によって安定してトランスフェクトしたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株を、FBS、ペニシリン−ストレプトマイシン、ピューロマイシン、及びG418を含むDMEM培地中で継代した。GPR119受容体活性に対する均一時間分解蛍光(HTRF)アッセイを用いて、製造元の使用説明書(CisBio社、Bedford、MA)に従って、本発明の化合物でインキュベーションしたトランスフェクション細胞中のcAMP蓄積を測定した。細胞を、化合物によって室温で60分間インキュベートし、続いてXL−665及び抗cAMPクリプタートによってさらに60分間インキュベートした。アッセイは、96ハーフウェルプレートにて行い、このプレートをPerkin Elmer Envisionプレートリーダーを用いて読み取った。本発明の化合物では、cAMPのHTRFアッセイにおけるGPR119受容体の”活性”が、細胞内におけるcAMP濃度の約5倍増加を示している。
【0395】
静置単離マウス膵島におけるグルコース依存性インスリン分泌(GDIS)の評価
【0396】
ランゲルハンス膵島細胞を、コラゲナーゼ消化及び不連続なフィコール濃度勾配による分離(Lacy及びKostianovskyのオリジナルの方法(Lacy & Kostianovsky,1967 Diabetes 16−35−39)の修正)により、10〜12週齢のC57BL/6マウスの膵臓から単離した。この膵島細胞は、実験処置の前にRPMI 1640培地(11mMグルコース、10%FCS)において終夜培養した。GDISに関する本発明の化合物の急性効果は、グレブス−リンガー重炭酸塩(KRB)培地中における膵島細胞の60分間静置インキュベーションにより決定した。このKRB培地は、2mg/mlのウシ血清アルブミン及び2mM(G2)もしくは16mM(G16)のいずれかのグルコース(pH7.4)に加えて、143.5mMのNa、5.8mMのK、2.5mMのCa2+、1.2mMのMg2+、124.1mMのCl、1.2mMのPO3−、1.2mMのSO42+、25mMのCO2−、及び10mMのHEPES(pH7.4)を含む。静置インキュベーションは、丸底の96−ウェルプレート(200μlのKRB培地と共に1ウェル当たり1膵島)により実施した。60分インキュベーションを開始する直前に、KRB培地に本発明の化合物を添加した。インキュベーション緩衝液のアリコート中のインスリン濃度は、ALPCO Diagnostics社(ウィンダム、NH)からの超高感度のラットインスリンEIAキットによって測定した。
【0397】
医薬製剤の例
【0398】
本発明の化合物の経口組成物の特定の実施形態として、任意の実施例の50mgを十分に微粉砕した乳糖と調合して総量を580〜590mgとして、それをO型硬ゼラチンカプセルに充填する。
【0399】
以上、本発明の特定の実施形態を参照しながら、本発明について説明及び例示したが、本発明から逸脱しない限りにおいて各種の変更、修正、及び置き換えを行うことが可能である。例えば、治療される患者の応答性に基づいて、代替の有効投与量が適切な場合もある。同様に、薬理反応は、選択された特定の活性化合物、製剤化、及び投与様式に応じて変わってもよい。そのようなすべての変形が、本発明中に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中:
は、6〜10員のアリール基、又は1つ又は2つの環、少なくとも1の窒素原子、0〜2のさらなる窒素原子、及び0〜1の酸素原子もしくは硫黄原子を含む5〜10員のヘテロアリール基を表し、該アリール基又はヘテロアリール基は、1〜3のハロ基及び、
(1)CN又はOH;
(2)C1−6アルキル、OC1−6アルキル、又はC3−6シクロアルキル(該基は、1〜3のハロ基、及び
i)S(O)1−3アルキル(ここで、xは0、1、又は2であり、該アルキル部分は、1〜3のハロ原子で置換されていてもよい);
ii)1〜3のハロ原子又はC1−3アルキル基で置換されていてもよい5〜10員のヘテロアリール部分;
iii)Cアルコキシ又はハロC1−3アルコキシ;
iv)CN;
v)NH、NHC1−3アルキル、及びN(C1−3アルキル)(該アルキル部分は、1〜3のハロ基で置換されていてもよい);
vi)OH;
vii)C(O)C1−6アルキル(該アルキル部分は、1〜3のハロ原子で置換されていてもよい);
viii)1〜2のハロ原子又はC1−3アルキル基で置換されていてもよいフェニル;
ix)C(O)NR又はNRC(O)R、(ここで、Rは、H及びC1−3アルキルから選択され、Rは、H、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール基、及びフェニルから選択される);
x)C(O)(ここで、Rは上記で定義された通りである);
xi)1〜2のハロ基又はC1−3アルキル基で置換されていてもよいヘテロアリール;
からなる群から選択される1〜2の基で置換されていてもよい):
(3)S(O)1−6アルキル及びSONR(ここで、C1−6アルキル基は1〜3のハロ基で置換されていてもよく、x、R、及びRは上記で定義した通りである);
(4)NH、NH(C1−6アルキル)、又はN(C1−6アルキル)(ここで、該アルキル部分は、1〜3のハロ基及び上記のi)〜xi)から選択される1の基で置換されていてもよい);
(5)C(O)NR又はNRC(O)R(ここで、R及びRは、上記で定義した通りである);
(6)1〜3のハロ原子で置換されていてもよいC(O)C1−6アルキル;
(7)CO2R(ここで、Rは上記で定義した通りである);
(8)フェニル、5〜10員のヘテロアリール、又は5〜10員の複素環部分(それぞれは、1〜3のハロ原子及び1〜2のC1−3アルキル基で置換されていてもよい);
からなる群から選択される1〜2の基で置換されていてもよく;
は、C1−8アルキル、C3−6シクロアルキル、OC1−8アルキル、及びO−フェニルからなる群から選択され、該フェニル部分は、1〜3のハロ基及び0〜1のC1−3アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、又はハロアルコキシ基で置換されていてもよく、該C1−8アルキル、C3−6シクロアルキル、及びOC1−8アルキルのそれぞれは、1〜3のハロ基及びOH、オキソ、CN、OC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシ、ピリジル、C(O)C1−3アルキル、フェニル、及びC(O)フェニルからなる群から選択される0〜1の基で置換されていてもよく、
該フェニル、ピリジル、及びC(O)フェニルのフェニル部分は、1〜3のハロ原子及び1〜2のC1−6アルキル又はOC1−6アルキル基で置換されていてもよい]
で表される化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
が、上記で説明されるように置換されていてもよい6〜10員のアリール基を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、上記で説明されるように置換されていてもよいフェニルを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、上記で説明されるように置換されていてもよい5〜10員のヘテロアリール基を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、チアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、及びベンゾピラジニルからなる群から選択される5〜10員のヘテロアリール基を表し、該ヘテロアリール基が上で説明されているように置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、及びピラジニルからなる群から選択される基を表し、該基が上記で説明されているように置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が、フェニル又はピリミジニルを表し、該基が上記で説明されているように置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が、上記のように説明され、かつフルオロ、クロロ、及びブロモから選択される1〜2のハロ原子、並びに
(1)CN又はOH;
(2)C1−3アルキル、OC1−3アルキル、又はC3−6シクロアルキル(該基は、フッ素及び塩素から選択される1〜3のハロ原子、並びに
i)S(O)1−3アルキル(ここで、xは0又は2であり、該アルキル部分は、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい);
ii)フッ素及び塩素から選択される1〜3のハロ原子又はC1−3アルキル基で置換されていてもよい5〜10員のヘテロアリール部分;
iii)Cアルコキシ又はハロC1−3アルコキシ;
iv)CN;
v)NH、NHC1−3アルキル、及びN(C1−3アルキル)(該アルキル部分は、1〜3のハロ基で置換されていてもよい);
vi)OH;
vii)C(O)C1−3アルキル部分(該アルキル部分は、1〜3のハロ原子で置換されていてもよい);
viii)フッ素及び塩素から選択される1〜2のハロ原子あるいはC1−3アルキル基で置換されていてもよいフェニル;
ix)C(O)NR又はNRC(O)R、(ここで、Rは、H及びメチルから選択され、Rは、H、メチル、C3−6シクロアルキル、フェニル、並びにチアゾール、イミダゾール、及びトリアゾールから選択される5〜6員のヘテロアリール基から選択される);
x)CO(ここで、Rは上記で定義した通りである);
xi)1〜2のハロ基又はC1−3アルキル基で置換されていてもよいヘテロアリール;
からなる群から選択される1の基で置換されていてもよい);
(3)S(O)1−3アルキル、及びSONR(ここで、x、R、及びRは、上記で定義した通りであり、該C1−3アルキル部分は、Cl及びFから選択される1〜3のハロ基で置換されていてもよい);
(4)NH、NHCH、又はN(CH(ここで、該アルキル部分は、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい);
(5)C(O)NR又はNRC(O)R(ここで、R及びRは、上記で定義した通りである);
(6)1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC(O)C1−3アルキル;
(7)CO(ここで、Rは上記で定義した通りである);並びに
(8)フェニル、5〜10員のヘテロアリール、又は5〜10員の複素環部分(それぞれは、1〜3のフッ素原子及び1〜2のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)
からなる群から選択される1〜2の基で置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
が、上記で説明されているようなフェニル又は5〜9員のヘテロアリール基であり、フッ素及び塩素から選択される1〜2のハロ原子、並びに
(1)CN又はOH;
(2)CH、OCH、又はシクロプロピル(これらは、フッ素及び塩素から選択される1〜3のハロ原子、並びに
i)S(O)1−3アルキル(ここで、該アルキル部分は、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい);
ii)トリアゾール、ピラゾール、チアジアゾール、イミダゾール、及びオキサゾールから選択される5〜6員のヘテロアリール部分(該部分は、フッ素及び塩素から選択される1〜2のハロ原子又はCH基で置換されていてもよい);
iii)OCH又はOCF
iv)CN;
v)NH、NHCH、又はN(CH(該アルキル部分は、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい);
vi)OH;
vii)C(O)CH(該アルキル部分は、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい);
viii)1〜2のCH基又はフッ素及び塩素から選択されるハロ原子で置換されていてもよいフェニル;
ix)C(O)NR又はNRC(O)R(ここで、Rは、H及びメチルから選択され、Rは、H、メチル、C3−6シクロアルキル、フェニル、並びにチアゾール、イミダゾール、及びトリアゾールから選択される5〜6員のヘテロアリール基から選択される);
x)CO(ここで、Rは上記で定義した通りである);
xi)1〜2のハロ基又はC1−3アルキル基で置換されていてもよいヘテロアリール;
からなる群から選択される1の基で置換されていてもよい);
(3)S(O)1−3アルキル、及びSONR(ここで、x、R、及びRは、上記で定義したとおりであり、該C1−3アルキル部分は、Cl及びFから選択される1〜3のハロ基で置換されていてもよい);
(4)NH、NHCH、又はN(CH(ここで、該アルキル部分は、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい);
(5)C(O)NR又はNRC(O)R(ここで、R及びRは、上記で定義した通りである);
(6)1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC(O)CHアルキル;
(7)CO(ここで、Rは上記で定義した通りである);並びに
(8)フェニル、5〜10員のヘテロアリール、又は5〜10員の複素環部分(それぞれが、1〜3のフッ素原子及び1〜2のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)
からなる群から選択される1〜2の基で置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
が、C1−7アルキル、C3−6シクロアルキル、OC1−6アルキル、及びO−フェニルからなる群から選択され、該フェニル部分が、クロロ及びフルオロから選択される1〜3のハロ基、並びに0〜1のC1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、C1−3アルコキシ、又はハロC1−3アルコキシ基で置換されていてもよく、ここで、該ハロ原子は、フッ素又は塩素であり、該C1−7アルキル、C3−6シクロアルキル、及びOC1−6アルキルのそれぞれは、1〜3のフルオロ又はクロロ基、並びにOH、オキソ、CN、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、C(O)C1−3アルキル、フェニル、及びC(O)フェニルからなる群から選択される0〜1の基で置換されていてもよく、
該フェニル及びC(O)フェニルのフェニル部分は、1〜3の塩素又はフッ素原子、並びに1〜2のC1−3アルキル又はOC1−3アルキル基で置換されていてもよい、
請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
が、C1−4アルキル、シクロプロピル、シクロヘキシル、OC1−6アルキル、及びO−フェニルからなる群から選択され、該フェニル部分は、クロロ及びフルオロから選択される1〜3のハロ基並びに0〜1のC1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、C1−3アルコキシ、又はハロC1−3アルコキシ基で置換されていてもよく、ここで、該ハロ原子は、フッ素又は塩素であり、該C1−4アルキル、シクロプロピル、シクロヘキシル、及びOC1−6アルキルのそれぞれが、1〜3のフルオロ又はクロロ基、並びにOH、オキソ、CN、OCH、OCF、C(O)CH、フェニル、及びC(O)フェニルからなる群から選択される0〜1の基で置換されていてもよく、
該フェニル及びC(O)フェニルのフェニル部分は、1〜3の塩素又はフッ素原子、並びに1〜2のCH又はOCH基で置換されていてもよい、
請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
が、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、及びピラジニルからなる群から選択される基を表し、該基は、フルオロ、クロロ、及びブロモから選択される1〜2のハロ原子、並びに
(1)CN又はOH;
(2)C1−3アルキル、OC1−3アルキル、又はC3−6シクロアルキル(該基は、フルオロ及びクロロから選択される1〜3のハロ原子、並びに
i)S(O)1−3アルキル(ここで、xは0、又は2であり、該アルキル部分は、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい);
ii)フッ素及び塩素から選択される1〜3のハロ原子あるいはC1−3アルキル基で置換されていてもよい5〜10員のヘテロアリール部分;
iii)C1−3アルコキシ又はハロC1−3アルコキシ;
iv)CN;
v)NH、NHC1−3アルキル、及びN(C1−3アルキル)(該アルキル部分は、1〜3のハロ基で置換されていてもよい);
vi)OH;
vii)1〜3のハロ原子で置換されていてもよいC(O)C1−3アルキル部分;
viii)フッ素及び塩素から選択される1〜2のハロ原子あるいはC1−3アルキル基で置換されていてもよいフェニル;
ix)C(O)NR又はNRC(O)R、(ここで、Rは、H及びメチルから選択され、Rは、H、メチル、C3−6シクロアルキル、フェニル、並びにチアゾール、イミダゾール、及びトリアゾールから選択される5〜6員のヘテロアリール基から選択される);
x)CO(ここで、Rは上記で定義した通りである);
xi)1〜2のハロ基又はC1−3アルキル基で置換されていてもよいヘテロアリール、
からなる群から選択される1の基で置換されていてもよい);
(3)S(O)1−3アルキル、及びSONR(ここで、x、R、及びRは、上記で定義したとおりであり、該C1−3アルキル部分は、Cl及びFから選択される1〜3のハロ基で置換されていてもよい);
(4)NH、NHCH、又はN(CH(ここで、該アルキル部分は、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい);
(5)C(O)NR又はNRC(O)R(ここで、R及びRは、上記で定義した通りである);
(6)1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC(O)C1−3アルキル;
(7)CO(ここで、Rは上記で定義した通りである);及び
(8)フェニル、5〜10員のヘテロアリール、又は5〜10員の複素環部分(それぞれは、1〜3のフッ素原子及び1〜2のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)、
からなる群から選択される1〜2の基で置換されていてもよく、
は、C1−7アルキル、C3−6シクロアルキル、OC1−6アルキル、及びO−フェニルからなる群から選択され、該フェニル部分は、クロロ及びフルオロから選択される1〜3のハロ基並びに0〜1のC1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、C1−3アルコキシ、又はハロC1−3アルコキシ基で置換されていてもよく、ここで、該ハロ原子は、フッ素又は塩素であり、該C1−7アルキル、C3−6シクロアルキル、及びOC1−6アルキルのそれぞれは、1〜3のフルオロ又はクロロ基、並びにOH、オキソ、CN、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、C(O)C1−3アルキル、フェニル、及びC(O)フェニルからなる群から選択される0〜1の基で置換されていてもよく、
該フェニル及びC(O)フェニルの該フェニル部分は、1〜3の塩素又はフッ素原子、並びに1〜2のC1−3アルキル又はOC1−3アルキル基で置換されていてもよい、
請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
が、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、及びピラジニルからなる群から選択される基を表し、フルオロ及びクロロから選択される1〜2のハロ原子、並びに
(1)CN又はOH;
(2)CH、OCH、又はシクロプロピル(これらは、フルオロ及びクロロから選択される1〜3のハロ原子、並びに
i)SO1−3アルキル(ここで、該アルキル部分は、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい);
ii)トリアゾール、ピラゾール、チアジアゾール、イミダゾール、及びオキサゾールから選択される5〜6員のヘテロアリール部分(該部分は、フッ素及び塩素から選択される1〜2のハロ原子又はCH基で置換されていてもよい);
iii)OCH又はOCF
iv)CN;
v)NH、NHCH、又はN(CH(該アルキル部分は、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい);
vi)OH;
vii)C(O)CH(該アルキル部分は、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい);
viii)1〜2のCH基又はフッ素及び塩素から選択されるハロ原子で置換されていてもよいフェニル;
ix)C(O)NR又はNRC(O)R、(ここで、Rは、H及びメチルから選択され、Rは、H、メチル、C3−6シクロアルキル、フェニル、並びにチアゾール、イミダゾール、及びトリアゾールから選択される5〜6員のヘテロアリール基から選択される);
x)CO(ここで、Rは上記で定義した通りである);
xi)1〜2のハロ基又はC1−3アルキル基で置換されていてもよいヘテロアリール、
からなる群から選択される1の基で置換されていてもよい);
(3)S(O)1−3アルキル、及びSONR(ここで、x、R、及びRは、上記で定義した通りであり、該C1−3アルキル部分は、Cl及びFから選択される1〜3のハロ基で置換されていてもよい);
(4)NH、NHCH、又はN(CH(ここで、該アルキル部分は、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい);
(5)C(O)NR又はNRC(O)R(ここで、R及びRは、上記で定義した通りである);
(6)1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC(O)CH
(7)CO(ここで、Rは上記で定義した通りである);及び
(8)フェニル、5〜10員のヘテロアリール、又は5〜10員の複素環部分(それぞれは、1〜3のフッ素原子及び1〜2のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)、
からなる群から選択される1〜2の基で置換されていてもよく、
が、C1−4アルキル、シクロプロピル、シクロヘキシル、OC1−6アルキル、及びO−フェニルからなる群から選択され、該フェニル部分は、クロロ及びフルオロから選択される1〜3のハロ基、並びに0〜1のC1−3アルキル、ハロC1−3アルキル、C1−3アルコキシ、又はハロC1−3アルコキシ基で置換されていてもよく、ここで、該ハロ原子は、フッ素又は塩素であり、該C1−4アルキル、シクロプロピル、シクロヘキシル、及びOC1−6アルキルのそれぞれが、1〜3のフルオロ又はクロロ基、並びにOH、オキソ、CN、OCH、OCF、C(O)CH、フェニル、及びC(O)フェニルからなる群から選択される0〜1の基で置換されていてもよく、
該フェニル及びC(O)フェニルのフェニル部分が、1〜3の塩素又はフッ素原子、並びに1〜2のCH又はOCH基で置換されていてもよい、
請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
tert−ブチル 1’−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−{4−[(トリフルオロメチル)スルホニル]フェニル}−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−{4−[(メチルスルホニル)メチル]フェニル}−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−[4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−イル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−(6−メチルピラジン−2−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−(6−シアノピラジン−2−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−[6−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ピリミジン−4−イル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−[6−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−[6−(ベンジルオキシ)ピリミジン−4−イル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−(5−フルオロ−2−メトキシピリミジン−4−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−[6−(メチルスルホニル)ピリミジン−4−イル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−(6−クロロピラジン−2−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−(5−クロロピラジン−2−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−(5−ブロモピラジン−2−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−ピリミジン−4−イル−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−[4−(シアノ)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−[4−(メチルチオ)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−[4−(メトキシカルボニル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
4−[1’−(tert−ブトキシカルボニル)−4,4’−ビピペリジン−1−イル]安息香酸;
tert−ブチル 1’−{4−[(1,2,4−チアジアゾール−5−イルアミノ)カルボニル]フェニル}−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−[4−(アミノカルボニル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−[4−(メチルスルフィニル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−[4−(2−アミノ−2−オキソエチル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−[4−(1,3−チアゾ−ル−2−イル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−{4−[2−(1,3−チアゾ−ル−2−イル)エチル]フェニル}−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−[4−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−[4−(4,5−ジヒドロ−1,3−オキサゾール−2−イル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−{4−[(1,3−チアゾ−ル−2−イルカルボニル)アミノ]フェニル}−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−{4−[(1,3−チアゾ−ル−4−イルカルボニル)アミノ]フェニル}−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−{3−クロロ−4−[(1,3−チアゾ−ル−4−イルカルボニル)アミノ]フェニル}−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
イソブチル−1’−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
4−メチル−1−{1’−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4’−ビピペリジン−1−イル}−1−オキソペンタン−2−オン;
1−(5−フルオロ−2−メチルピリミジン−4−イル)−1’−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4’−ビピペリジン;
1−(5−フルオロ−2−メチルピリミジン−4−イル)−1’−ピリミジン−2−イル−4,4’−ビピペリジン;
6−[1’−(5−クロロピリミジン−2−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−イル]ピリミジン−4−カルボニトリル;
6−(1’−ピリミジン−2−イル−4,4’−ビピペリジン−1−イル)ピリミジン−4−カルボニトリル;
tert−ブチル 1’−(3−クロロ−1,2,4−チアジアゾール−5−イル)−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;
tert−ブチル 1’−[3−(ジメチルアミノ)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]−4,4’−ビピペリジン−1−カルボキシレート;

【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【表1−6】

【表1−7】

【表1−8】

【表1−9】

【表1−10】

【表1−11】

【表1−12】

【表1−13】

【表1−14】

【表1−15】

【表1−16】

【表1−17】

からなる群から選択される請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項15】
請求項1に記載の化合物と薬学的に許容される担体とからなる医薬組成物。
【請求項16】
治療を必要とする哺乳動物患者において高血糖症、糖尿病、又はインスリン抵抗性を治療する方法であって、該患者に、請求項1に記載の化合物を、高血糖症、糖尿病、又はインスリン抵抗性の治療に有効な量を投与することを含む方法。
【請求項17】
治療を必要とする哺乳動物患者において2型糖尿病を治療する方法であって、該患者に請求項1に記載の化合物を、2型糖尿病の治療に有効な量を投与することを含む方法。
【請求項18】
治療を必要とする哺乳動物患者においてインスリン非依存性糖尿病を治療する方法であって、該患者に、請求項1に記載の化合物を、インスリン非依存性糖尿病の治療に有効な量を投与することを含む方法。
【請求項19】
治療を必要とする哺乳動物患者において肥満症を治療する方法であって、該患者に、請求項1に記載の化合物を、肥満症の治療に有効な量を投与することを含む方法。
【請求項20】
治療を必要とする哺乳動物患者においてX症候群を治療する方法であって、該患者に、請求項1に記載の化合物を、X症候群の治療に有効な量を投与することを含む方法。
【請求項21】
治療を必要とする哺乳動物患者において脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL、及び高LDLからなる群から選択される脂質障害を治療する方法であって、該患者に、請求項1に記載の化合物を、該脂質障害の治療に有効な量を投与することを含む方法。
【請求項22】
治療を必要とする哺乳動物患者においてアテローム性動脈硬化症を治療する方法であって、該患者に請求項1に記載の化合物を、アテローム性動脈硬化症の治療に有効な量を投与することを含む方法。
【請求項23】
治療と必要とする哺乳動物患者において(1)高血糖症、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質疾患、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDL濃度、(11)高LDL濃度、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵臓炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)X症候群、(21)高血圧、並びにインスリン抵抗性が成因となっている他の症状及び疾患からなる群から選択される症状を治療する方法であって、該患者に、請求項1に記載の化合物を、該症状の治療に有効な量を投与することを含む方法。
【請求項24】
治療を必要とする哺乳動物患者において、(1)高血糖症、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質疾患、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDL濃度、(11)高LDL濃度、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵臓炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)X症候群、(21)高血圧、並びにインスリン抵抗性が要因となっている他の症状及び疾患、からなる群から選択される症状の発症を遅延させる方法であって、該患者に、請求項1に記載の化合物を、該症状の発症を遅延させるのに有効な量を投与することを含む方法。
【請求項25】
治療を必要とする哺乳動物患者において(1)高血糖症、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質疾患、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDL濃度、(11)高LDL濃度、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵臓炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)X症候群、(21)高血圧、及びインスリン抵抗性が成因となっている他の症状及び疾患からなる群から選択される症状を発症する危険性を低減する方法であって、この患者に、請求項1に記載の化合物を、該症状を発症する危険性を低減するのに有効な量を投与することを含む方法。
【請求項26】
治療を必要とする哺乳動物患者において(1)高血糖症、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質疾患、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDL濃度、(11)高LDL濃度、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵臓炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)X症候群、(21)高血圧、及びインスリン抵抗性が成因となっている他の症状及び疾患からなる群から選択される症状を治療する方法であって、該患者に、請求項1に記載の化合物と、
(a)DP−IV阻害剤;
(b)(i)PPARアゴニスト及び(ii)ビグアナイドからなる群から選択されるインスリン増感剤;
(c)インスリン及びインスリン模倣薬;
(d)スルホニル尿素及び他のインスリン分泌促進剤;
(e)α−グルコシダーゼ阻害薬;
(f)グルカゴン受容体アンタゴニスト;
(g)GLP−1、GLP−1模倣薬、及びGLP−1受容体アゴニスト;
(h)GIP、GIP模倣薬、及びGIP受容体アゴニスト;
(i)PACAP、PACAP模倣薬、及びPACAP受容体3アゴニスト;
(j)(i)HMG−CoA還元酵素阻害剤、(ii)抑制剤、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸及びその塩、(iv)PPARαアゴニスト、(v)PPARα/γデュアルアゴニスト、(vi)コレステロール吸収阻害剤、(vii)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、及び(viii)抗酸化剤、
からなる群から選択されるコレステロール低下剤:
(k)PPARδアゴニスト;
(l)抗肥満化合物;
(m)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤;
(n)グルココルチコイド以外の抗炎症剤;
(o)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤;及び
(p)アンジオテンシン又はレニン系に作用するものを含む降圧剤、例えば、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、又はレニン阻害物質など、例えば、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラミプリル、ゾフェノプリル、カンデサルタン、シレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、タソサルタン、テルミサルタン、バルサルタンなど、
からなる群から選択される化合物とを、前記状態の治療に有効な量を投与することを含む方法。
【請求項27】
治療を必要とする哺乳動物患者において高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDL濃度、高LDL濃度、高脂血症、高トリグリセリド血症、及び脂質異常症からなる群から選択される症状を治療する方法であって、該患者に、請求項1に記載の化合物とHMG−CoA還元酵素阻害剤とを、該症状の治療に有効な量を投与することを含む方法。
【請求項28】
治療を必要とする哺乳動物患者において高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDL濃度、高LDL濃度、高脂血症、高トリグリセリド血症、及び脂質異常症からなる群から選択される症状を治療する方法であって、該患者に、請求項1に記載の化合物と、スタチン形態のHMG−CoA還元酵素阻害剤とを、該症状の治療に有効な量を該患者に投与することを含む方法。
【請求項29】
前記スタチンが、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン、ZD−4522、及びリバスタチンからなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDL濃度、高LDL濃度、高脂血症、高トリグリセリド血症と脂質異常症、及びそのような症状の後遺症、からなる群から選択される症状を発症する危険性を軽減する方法であって、そのような治療を必要とする哺乳動物患者に、治療有効量の請求項1に定義したような化合物とHMG−CoA還元酵素阻害剤とを投与することを含む方法。
【請求項31】
治療と必要とするヒト患者においてアテローム性動脈硬化症の発症を遅延させるか又は発症の危険性を低減する方法であって、該患者に、請求項1に記載の化合物と、スタチン形態のHMG−CoA還元酵素阻害剤とを、該症状の治療に有効な量を投与することを含む方法。
【請求項32】
前記スタチンが、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン、ZD−4522、及びリバスタチンからなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
治療と必要とするヒト患者においてアテローム性動脈硬化症を治療するか、発症を遅延するか、又は発症の危険性を低減する方法であって、該患者に、請求項1に記載の化合物と、コレステロール吸収阻害剤とを、アテローム性動脈硬化症の治療、発症の遅延、又は発症の危険性の低減に有効な量を投与することを含む方法。
【請求項34】
該コレステロール吸収阻害剤がエゼチミブである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
(1)請求項1に記載の化合物、
(2)以下からなる群から選択される化合物、
(a)DP−IV阻害剤;
(b)(i)PPARアゴニスト及び(ii)ビグアナイドかからなる群から選択されるインスリン増感剤;
(c)インスリン及びインスリン模倣薬;
(d)スルホニル尿素及び他のインスリン分泌促進剤;
(e)α−グルコシダーゼ阻害薬;
(f)グルカゴン受容体アンタゴニスト;
(g)GLP−1、GLP−1模倣薬、及びGLP−1受容体アゴニスト作用薬;
(h)GIP、GIP模倣薬、及びGIP受容体アゴニスト;
(i)PACAP、PACAP模倣薬、及びPACAP受容体3アゴニスト;
(j)以下からなる群から選択されるコレステロール低下剤:
(i)HMG−CoA還元酵素阻害剤、(ii)抑制剤、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸及びその塩、(iv)PPARαアゴニスト、(v)PPARα/γデュアルアゴニスト、(vi)コレステロール吸収阻害剤、(vii)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、及び(viii)抗酸化剤;
(k)PPARδアゴニスト;
(l)抗肥満化合物;
(m)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤;
(n)グルココルチコイド以外の抗炎症剤;
(o)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤;及び
(p)アンジオテンシン又はレニン系に作用するものを含む降圧剤、例えば、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、又はレニン阻害物質など、例えば、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラミプリル、ゾフェノプリル、カンデサルタン、シレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、タソサルタン、テルミサルタン、バルサルタンなど;及び
(3)薬学的に許容される担体と
を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2010−513272(P2010−513272A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541322(P2009−541322)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/025225
【国際公開番号】WO2008/076243
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】