説明

アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤として有用な2−アミノチアゾール化合物

本発明はアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤であり、βセクレターゼ酵素とHIVプロテアーゼの両者の阻害剤であり、アルツハイマー病、HIV感染及びエイズ等のβセクレターゼ酵素及びHIVが関与する疾患の治療に有用な2−アミノチアゾール化合物に関する。本発明は更にこれらの化合物を含有する医薬組成物と、βセクレターゼ酵素及びHIVプロテアーゼが関与する前記疾患の治療におけるこれらの化合物及び組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤として有用な2−アミノチアゾール化合物、医薬的に許容可能なその塩、並びにβセクレターゼプロテアーゼ及びHIVプロテアーゼの阻害剤としてのその使用に関する。本発明の化合物はアルツハイマー病の治療、HIV感染の治療、及びエイズの治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
プロテアーゼ即ち蛋白分解酵素は血漿、精子及び各種哺乳動物組織に存在する一般的な生体制御物質である。アスパラギン酸プロテアーゼであるβセクレターゼプロテアーゼやHIVプロテアーゼ等の所定のプロテアーゼはヒト疾患の病態生理に関与している。例えば、βセクレターゼはアルツハイマー病の特徴であるアミロイドβ(Aβ)蛋白質の脳内生産を誘発する。また、HIVプロテアーゼはHIVゲノムに存在するウイルス酵素であり、HIVの複製に必要である(Kohlら,Proc.Nat’l Acad.Sci.1988,85:4686)。
【0003】
本発明の化合物はβセクレターゼとHIVプロテアーゼの両者の阻害剤として有用であるため、アルツハイマー病、HIV感染及びエイズ等のβセクレターゼ及びHIVプロテアーゼが関与する疾患の治療に有用である。
【0004】
アルツハイマー病はアミロイドが細胞外プラーク及び細胞内神経原線維変化として脳に異常沈着することを特徴とする。アミロイド蓄積速度は形成速度、凝集速度及び脳からの排出速度の総計である。アミロイドプラークの主成分は4kDアミロイド蛋白質(βA4、別称Aβ、β蛋白質及びβAP)であり、ずっと大きな寸法の前駆体蛋白質の蛋白分解物であることが一般に認められている。アミロイド前駆体蛋白質(APP又はAβPP)は大きな細胞外ドメインと、膜貫通領域と、短い細胞質テールからなる受容体様構造をもつ。AβドメインはAPPの細胞外ドメインと膜貫通ドメインの両者の一部を占めるので、Aβドメインの遊離はそのNH末端とCOOH末端を生成するために2つの別個の蛋白分解イベントが存在することを意味する。APPを膜から遊離し、APPの可溶性COOH切断形(APP)を生成する分泌メカニズムは少なくとも2種類ある。APPとそのフラグメントを膜から遊離するプロテアーゼは「セクレターゼ」と呼ばれる。殆どのAPPはAβ蛋白質の内部で切断してα−APPを遊離し、無傷のAβを遊離させない推定αセクレターゼにより遊離される。一部のAPPはAPPのNH末端付近で切断して完全Aβドメインを含むCOOH末端フラグメント(CTF)を生成するβセクレターゼ(「βセクレターゼ」)により遊離される。
【0005】
こうして、βセクレターゼないしβアミロイド前駆体蛋白分解酵素(「BACE」)の活性はアルツハイマー病の特徴であるAPPの異常切断、Aβ生成、及びβアミロイドプラークの脳内蓄積を引き起こす(R.N.Rosenberg,Arch.Neurol.,vol.59,Sep 2002,pp.1367−1368;H.Fukumotoら,Arch.Neurol.,vol.59,Sep 2002,pp.1381−1389;J.T.Huseら,J.Biol.Chem.,vol 277,No.18,issue of May 3,2002,pp.16278−16284;K.C.Chen and W.J.Howe,Biochem.Biophys.Res.Comm,vol.292,pp 702−708,2002参照)。従って、βセクレターゼないしBACEを阻害することができる治療剤はアルツハイマー病の治療に有用であると思われる。
【0006】
本発明の化合物はHIVプロテアーゼの阻害剤でもあるため、HIV感染とエイズの治療に有用である。
【0007】
HIVは免疫系の進行性破壊(後天性免疫不全症候群;エイズ)と中枢及び末梢神経系の変性を含む複合疾患の病因物質である。レトロウイルス複製の一般的な特徴は前駆体ポリプロテインがウイルスにコードされるプロテアーゼにより高度な翻訳後プロセシングを受け、ウイルス集合及び機能に必要な成熟ウイルス蛋白質を生成する点にある。このプロセシングを阻害すると、通常感染性のウイルスの生産が阻止される。例えば、Kohlら,Proc.Nat’l Acad.Sci.1988、85:4686はHIVにコードされるプロテアーゼの遺伝子不活性化の結果、未成熟の非感染性ウイルス粒子が生産されることを立証した。これらの結果から、HIVプロテアーゼの阻害はエイズの治療とHIV感染の予防又は治療に有効な方法であることが示唆された。
【0008】
HIVのヌクレオチドシーケンシングによると、1個のオープンリーディングフレームにpol遺伝子が存在する[Ratnerら,Nature 1985,313:277]。アミノ酸配列相同によると、pol配列は逆転写酵素、エンドヌクレアーゼ及びHIVプロテアーゼをコードすることが明らかである[Tohら,EMBO J.1985,4:1267;Powerら,Science 1986,231:1567;Pearlら,Nature 1987,329:351]。
【0009】
現在、インジナビル(米国特許第5,413,999号参照)、ネルフィナビル(米国特許第5,484,926号)、サキナビル(米国特許第5,196,438号)、及びリトナビル(米国特許第5,484,801号)等の数種のHIVプロテアーゼ阻害剤がエイズ及びHIV感染の治療に臨床使用されている。これらのプロテアーゼ阻害剤は各々HIV gag−polポリプロテイン前駆体の切断を阻止するウイルスプロテアーゼのペプチド模倣型競合的阻害剤である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はβセクレターゼ酵素の阻害剤及びHIVプロテアーゼの阻害剤として有用な2−アミノチアゾール化合物に関する。本発明は更にこれらの化合物を含有する医薬組成物と、βセクレターゼ酵素及びHIVプロテアーゼが関与する前記疾患の治療におけるこれらの化合物及び組成物の使用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は式(I):
【0012】
【化16】

{式中、R
(1)−C1−6アルキル、
(2)−C2−6アルケニル、
(3)−C0−6アルキル−C3−6シクロアルキル、
(4)
【0013】
【化17】

(5)フリル、ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、チエニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリル及びイソキノリルから構成される群から選択されるヘテロアリールから構成される群から選択され、
(a)前記アルキル、アルケニル又はシクロアルキルは置換されていないか又は1個以上のハロゲン、−C1−6アルキル、−C1−6アルコキシ、ヒドロキシもしくはシアノで置換されており、
(b)前記ヘテロアリールは置換されていないか又は1個以上のハロゲン、−C1−6アルキル、−C1−6アルコキシ、フェニル、ヒドロキシもしくはシアノで置換されており、
1a、R1b、R1c、R1d及びR1e
(a)水素、
(b)ハロゲン、
(c)シアノ、
(d)ヒドロキシル、
(e)−C1−6アルコキシ、
(f)−C(=O)−O−R7a
(g)−O−C0−6アルキル−C(=O)−R7a
(h)−N−R7a−S(O)−R7bから構成される群から選択されるか、
あるいはR1bとR1cは一緒になって−O−CH−O−又は−CH=CH−CH=CH−を形成し;
前記アリールは置換されていないか又は1個以上のハロゲン、−C1−6アルキル、−C1−6アルコキシ、ヒドロキシルもしくはシアノで置換されており;

(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)−C0−6アルキル−Q−C1−6アルキル(式中、QはO又はSである)、
(4)−C1−6アルキル、及び
(5)ヒドロキシルから構成される群から選択され;

(1)水素、
(2)−C1−6アルキル、
(3)−C0−6アルキル−C3−6シクロアルキル、
(4)−C0−6アルキル−Q−C1−6アルキル[式中、QはO、S又は−C(=O)−O−である]、
(5)
【0014】
【化18】

(6)−CH−ヘテロアリール[前記ヘテロアリールはフリル、ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、チエニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリル及びイソキノリルから構成される群から選択される]から構成される群から選択され、
前記アルキル又はシクロアルキルは置換されていないか又は1個以上の
(a)ハロゲン、
(b)−C1−6アルキル、
(c)−C2−6アルケニル、
(d)−C1−6アルコキシ、
(e)−C6−10アリール、
(f)ヒドロキシル、もしくは
(g)シアノで置換されており、
前記ヘテロアリールは置換されていないか又は1個以上の
(a)−C1−6アルキル、
(b)−NR3f3gで置換されており、
前記式中、R3f及びR3g
(i)水素、
(ii)−C1−6アルキル、
(iii)−C1−6アルキルC6−10アリール(前記アリールは置換されていなくてもよいし、ハロゲン、シアノ、C1−6アルキル、又はC1−6アルコキシで置換されていてもよい)、又は
(iv)−C1−6アルキル−NR7a7bから構成される群から選択されるか、
あるいはN、R3f及びR3gは一緒になってR3f及びR3gに結合したN原子以外に場合によりN、S又はO原子を含む5又は6員複素環を形成し;
3a、R3b、R3c、R3d及びR3e
(i)水素、
(ii)ハロゲン、
(iii)シアノ、
(iv)ヒドロキシル、
(v)−C1−6アルキル、
(vi)−O−R7a
(vii)−(C=O)−O−R
(viii)−NR7a−S(O)OR7b
(ix)−NR7a−S(O)7b
(x)−C0−6アルキル−S(O)7a
(xi)−C(=O)−NR7a7b
(xii)−C(=O)−R
(xiii)−NH−C(=O)−R7a
(xiv)−C0−6アルキル−NR7a7b
(xv)−N
(xvi)−NO
(xvii)C6−10アリール[前記アリールは置換されていなくてもよいし、1個以上の
(A)ハロゲン、
(B)シアノ、
(C)−C1−6アルキル、
(D)−C1−6アルコキシ、
(E)−C(=O)−O−R7a
(F)−C(=O)−R7a
(G)−NR7a7b
(H)−NR7a−S(O)−R7b
(I)−NR7a−C(=O)−R7b
(J)−NOで置換されていてもよい]
(xviii)フリル、ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、チエニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリル及びイソキノリルから構成される群から選択されるヘテロアリール[前記ヘテロアリールは置換されていないか又は1個以上の
(A)−C1−6アルキル、もしくは
(B)−C1−6アルコキシで置換されている]から構成される群から選択されるか;
あるいはR3cとR3dは一緒になってフェニル又は−O−CH−O−基又は−CH=CH−CH=CH−基を形成するか;
あるいはRとRは一緒になって炭素環(A):
【0015】
【化19】

[式中、Q
(1)−CR7a7b−、
(2)−CR7a7bCR7c7d−、
(3)−CR7a=CR7b−、
(4)−CR7a7bCR7c7dCR7e7f−、
(5)−CR7a=CR7bCR7c7d−、及び
(6)−CR7a7bCR7d=CR7e−から構成される群から選択される]を形成し;

(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)−C1−6アルキル、
(4)−C2−6アルケニル、
(5)−C2−6アルキニル、
(6)フェニル、
(7)ベンジル、並びに
(8)フリル、ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、チエニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリル及びイソキノリルから構成される群から選択されるヘテロアリールから構成される群から選択され、
前記アルキル、アルケニル、アルキニル及びフェニルは置換されていないか又は1個以上の
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)ヒドロキシル、
(d)フェニル、
(e)−C1−6アルキル、
(f)−C1−6アルコキシ、
(g)−C(=O)−O−R7a
(h)−C(=O)−R7a
(i)−NR7a7b
(j)−NR7a−S(O)−R7b
(k)−NR7a−C(=O)−R7b
(l)−NOで置換されており;
前記ヘテロアリールは置換されていないか又は1個以上の
(a)−C1−6アルキル、
(b)−C(=O)−O−R7a
(c)−C(=O)−R7a
(d)−NR3f3gで置換されており、
前記式中、R3f及びR3g
(i)水素、
(ii)−C1−6アルキル、
(iii)−C1−6アルキル−C6−10アリール[前記アリールは置換されていなくてもよいし、ハロゲン、シアノ、C1−6アルキルもしくはC1−6アルコキシで置換されていてもよい]、又は
(iv)−C1−6アルキル−NR7a7bから構成される群から選択されるか;
あるいはRとRは一緒になって6員炭素環(B):
【0016】
【化20】

を形成し、但し、RとRが一緒になって(B)を形成する場合には、RとRは水素又はC1−6アルキルから構成される群から選択され、X、X、X、X、X及びXは水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、シアノ、アルキルアリール又はフェニルから構成される群から選択されるか、
あるいはRとRは一緒になって7員炭素環(C):
【0017】
【化21】

を形成し、但し、RとRが一緒になって(C)を形成する場合には、RとRは水素、C1−6アルキル又はフェニルから構成される群から選択されるか、あるいはRとRは一緒になって−CHCHCHCH−基と結合することができ;Y、Y、Y、Y、Y、Y、Y及びYは水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、シアノ、アルキルアリール又はフェニルから構成される群から選択されるか、
あるいはRとY、又はRとYは一緒になって−CH−と結合するか、
あるいはRとY、又はYとYは一緒になってフェニル又はシクロペンチル環を形成し;
7a、R7b、R7c、R7d、R7e及びR7f
(1)水素、
(2)C1−6アルキル、及び
(3)C6−10アリールから構成される群から選択され;
前記アルキル又はアリールは置換されていないか又は1個以上のハロゲン、−C1−6アルキル、−C1−6アルコキシ、ヒドロキシルもしくはシアノで置換されており;

(1)水素、
(2)C1−6アルキル、及び
(3)C6−10アリールから構成される群から選択され、前記アリールは置換されていないか又は1個以上のハロゲン、−C1−6アルキル、−C1−6アルコキシ、ヒドロキシもしくはシアノで置換されており;
nは0、1、2又は3であり;
mは0又は1であり;
pは1又は2である}の化合物及び医薬的に許容可能なその塩、並びにその個々のエナンチオマー及びジアステレオマーに関する。
【0018】
1態様において、本発明はRとRが一緒になって環状基を形成せず、R、R及びRが各々上記基のいずれかであり得る式(I)の化合物に関する。好ましい群では、R
(1)−C1−6アルキル、
(2)−C0−6アルキル−C3−6シクロアルキル、
(3)
【0019】
【化22】

及び
(4)−CH−ヘテロアリールから構成される群から選択される。
【0020】
より好ましい群では、R
【0021】
【化23】

であり、nは1である。Rは下式:
【0022】
【化24】

(式中、nは1である)に示すような(S)配置である。更に好ましい群ではRは上記式に示すような(S)配置であり、nは1であり、R3a、R3b、R3c、R3d及びR3e
(i)水素、
(ii)ハロゲン、
(iii)シアノ、
(iv)ヒドロキシル、
(v)−C1−6アルキル、
(vi)−O−R7a、及び
(vii)−NO
から構成される群から選択される。
【0023】
好ましい態様において、R
【0024】
【化25】

であり、mは0である。好ましくは、R1a、R1b、R1d及びR1eは水素であり、R1cはハロゲン、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから構成される群から選択される。
【0025】
従って、好ましい群の化合物は式(II):
【0026】
【化26】

(式中、R1a、R1b、R1c、R1d、R1e、R3a、R3b、R3c、R3d、R3e、R及びnは上記に定義した通りである)の化合物である。
【0027】
別の好ましい態様において、Rは水素である。他の好ましい態様において、Rは水素である。
【0028】
別の態様において、本発明は式(III)
【0029】
【化27】

(式中、R、R及びQは上記に定義した通りである)の化合物に関する。
【0030】
好ましい態様において、Q
(1)−CR7a7b−、
(2)−CR7a7bCR7c7d−、及び
(3)−CR7a7bCR7c7dCR7e7f−から構成される群から選択される。好ましくは、Qは−CHCH−及び−CHCHCH−から構成される群から選択される。
【0031】
別の態様において、R
【0032】
【化28】

であり、mは0である。より好ましい態様において、R1dはハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ及びシアノから構成される群から選択され、R1a、R1b、R1c及びR1eは水素である。他の好ましい態様において、R1b及びR1dはハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ及びシアノから構成される群から選択され、R1a、R1c及びR1eは水素である。
【0033】
別の態様において、本発明は式(IV)
【0034】
【化29】

(式中、R、R、X、X、X、X、X及びXは上記に定義した通りである)の化合物に関する。
【0035】
好ましくは、RとRは水素であり、X、X、X、X、X及びXは水素、C1−6アルキル、シアノ及びフェニルから構成される群から選択される。
【0036】
別の態様において、本発明は式(V)
【0037】
【化30】

(式中、R、R、Y、Y、Y、Y、Y、Y、Y及びYは上記に定義した通りである)の化合物に関する。
【0038】
好ましくは、RとRは水素及びフェニルから構成される群から選択され、Y、Y、Y、Y、Y、Y、Y及びYは水素、C1−6アルキル、シアノ及びフェニルから構成される群から選択される。
【0039】
本発明の別の態様は下記実施例の標題化合物と医薬的に許容可能なその塩から選択される化合物を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
単独又は別の置換基の一部として本明細書で使用する「アルキル」なる用語は指定炭素原子数の飽和直鎖又は分岐鎖炭化水素基を意味する(例えばC1−10アルキルとは炭素原子数1〜10のアルキル基を意味する)。本発明で使用するのに好ましいアルキル基は炭素原子数1〜6のC1−6アルキル基である。アルキル基の例としてはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
【0041】
別の部分(例えばC0−6アルキル−C3−6シクロアルキル)の一部として使用するCアルキル基は結合を表す。従って、本明細書でRをCアルキル−C3−6シクロアルキルと定義する場合には、Rは−C3−6シクロアルキル基である。
【0042】
単独又は別の置換基の一部として本明細書で使用する「アルコキシ」なる用語は指定炭素原子数の−O−アルキル基(式中、アルキルは上記に定義した通りである)を意味する(例えばC1−10アルコキシとは炭素原子数1〜10のアルコキシ基を意味する)。本発明で使用するのに好ましいアルコキシ基はC1−6アルコキシ基である。好ましいアルコキシ基の例としてはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、sec−ブトキシ及びペントキシが挙げられる。
【0043】
単独又は別の置換基の一部として本明細書で使用する「アルケニル」なる用語は単一炭素−炭素二重結合をもつ指定炭素原子数の直鎖又は分岐鎖炭化水素基を意味する(例えばC2−10アルケニルとは炭素原子数2〜10のアルケニル基を意味する)。本発明で使用するのに好ましいアルケニル基は炭素原子数2〜6のC2−6アルケニル基である。アルケニル基の例としてはエテニルとプロペニルが挙げられる。
【0044】
単独又は別の置換基の一部として本明細書で使用する「シクロアルキル」なる用語は指定炭素原子数の飽和環状炭化水素基を意味する(例えばC3−6シクロアルキルとは炭素原子数3〜8のシクロアルキル基を意味する)。シクロアルキル基の例としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。
【0045】
単独又は別の置換基の一部として本明細書で使用する「アリール」なる用語は指定炭素原子数の芳香族又は環状基を意味する(例えばC6−10アリールとは炭素原子数6〜10のアリール基を意味する)。本発明で使用するのに好ましいアリール基としてはフェニルとナフチルが挙げられる。
【0046】
「ハロ」又は「ハロゲン」なる用語はフルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを意味する。
【0047】
単独又は別の置換基の一部として本明細書で使用する「ヘテロアリール」なる用語は少なくとも1個のヘテロ原子(O、N又はS)をもつ芳香族環状基を意味する。本発明で使用するヘテロアリール基の例としてはフリル、ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、チエニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリル及びイソキノリルが挙げられる。
【0048】
本明細書に定義するヘテロアリール基が置換されている場合には、置換基はヘテロアリール基の環炭素原子に結合していてもよいし、置換が可能な原子価をもつ環ヘテロ原子(即ち、窒素、酸素又は硫黄)に結合していてもよい。置換基は環炭素原子に結合していることが好ましい。
【0049】
本発明の化合物は少なくとも1個の不斉中心をもつ場合がある。分子上の各種置換基の種類に応じて2個以上の不斉中心が存在する場合もある。不斉中心をもつ化合物はエナンチオマー(光学異性体)、ジアステレオマー(立体異性体)又はその両者を形成し、混合物及び純化合物又は部分精製化合物としての可能な全エナンチオマー及びジアステレオマーを本発明の範囲に含むものとする。本発明はこれらの化合物のこのような全異性形を含むものとする。
【0050】
エナンチオマーもしくはジアステレオマーの含有率の高い化合物の個々の合成、又はそのクロマトグラフィー分離は本明細書に開示する方法を適切に変更することにより当分野で公知の通りに実施することができる。その絶対立体化学は公知絶対配置の不斉中心を含む試薬で必要に応じて誘導体化した結晶生成物又は結晶中間体のX線結晶解析により決定することができる。
【0051】
所望により、個々のエナンチオマーを単離するように化合物のラセミ混合物を分離してもよい。分離は化合物のラセミ混合物を純エナンチオマー化合物とカップリングしてジアステレオマー混合物を形成した後に分別結晶法やクロマトグラフィー等の標準方法により個々のジアステレオマーを分離する等の当分野で周知の方法により実施することができる。カップリング反応は多くの場合には純エナンチオマー酸又は塩基を使用する塩形成である。その後、付加キラル残基の開裂によりジアステレオマー誘導体を純エナンチオマーに変換することができる。キラル固定相を使用するクロマトグラフィー法により化合物のラセミ混合物を直接分離することもでき、このような方法は当分野で周知である。
【0052】
あるいは、当分野で周知の方法により公知配置の光学的に純粋な出発材料又は試薬を使用して立体選択的合成により化合物の任意エナンチオマーを得ることもできる。
【0053】
本発明の化合物は下記一般手順A〜Dと実施例1〜6に従って製造することができる。
【0054】
【化31】

【0055】
方法A及びBは、RとRが一緒になって式(B)のC炭素環を形成する式(I)の化合物(qが2の場合)、又はRとRが一緒になって式(C)のC炭素環を形成する式(I)の化合物(qが3の場合)を得るために使用することができる。方法Aのアミノチアゾール環系はα−メチレン基を含む適切に置換されたケトンのニート混合物を密閉管でチオ尿素及びヨウ素の存在下に加熱することにより1段階で形成することができる。方法Bに概要を示す代替2段階法では、適切な溶媒中で出発ケトンとN−ブロモスクシンイミド又は臭素等のハロゲン化剤からα−ハロケトンを形成する。
【0056】
【化32】

【0057】
方法CはRとRがRと一緒になって環状基をせず、R、R及びRが各々上記基のいずれかであり得る化合物を形成する。方法C及びDはRとRが一緒になって炭素環を形成する化合物を形成するために使用することもできる。方法Cは出発材料として適切に置換されたカルボン酸が必要である。カルボキシル基を公知方法により酸ハロゲン化物又は混合酸無水物等の活性化カルボキシ官能基に変換する。活性化基を周囲温度で72時間までジアゾメタンエーテル溶液で置換した後、形成されたα−ジアゾケトンをHClガス溶液又は臭化水素酸水溶液に暴露することによりα−ハロケトンに変換する。ハロケトンをメタノール又はエタノール等の溶媒中で少なくとも1当量のチオ尿素の存在下で重炭酸ナトリウム等の酸スカベンジャーの存在下又は不在下に撹拌することによりチアゾール環系を形成することができる。アセトニトリル中でN−ヨードスクシンイミド等のハロゲン化剤と反応させることにより5位ハロゲン化によりチアゾール環を更に官能化することができる。ハロチアゾールを適切な有機金属剤とパラジウム触媒カップリング反応させることにより炭素−炭素二重結合を形成することができる。
【0058】
【化33】

【0059】
あるいは、方法Dでは、カルボン酸から出発して公知方法により対応するワインレブアミドに変換することによりR基を導入することができる。THF又はエーテル等の溶媒中、−70℃〜室温で上記アミドを有機リチウムやグリニャール試薬等の有機金属剤と反応させることによりケトンを形成することができる。クロロホルム中、約50℃で臭素等の試薬を使用してハロゲン化を実施することができる。ハロケトンをメタノール又はエタノール等の溶媒中で少なくとも1当量のチオ尿素の存在下で重炭酸ナトリウム等の酸スカベンジャーの存在下又は不在下に撹拌することによりチアゾール環系を形成することができる。
【0060】
「実質的に純粋」なる用語は当分野で公知の分析技術によりアッセイした場合に単離物が少なくとも90%純粋、好ましくは95%純粋、より好ましくは99%純粋であることを意味する。
【0061】
「医薬的に許容可能な塩」なる用語は無機又は有機塩基と無機又は有機酸を含む医薬的に許容可能な非毒性塩基又は酸から製造される塩を意味する。本発明の化合物は化合物の遊離塩基形態に存在する酸官能基の数に応じてモノ、ジ又はトリス塩とすることができる。無機塩基に由来する遊離塩基及び塩としてはアルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、三価鉄、二価鉄、リチウム、マグネシウム、三価マンガン、二価マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛等が挙げられる。アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩が特に好ましい。固体形態の塩は2種以上の結晶構造で存在してもよいし、水和物形態でもよい。医薬的に許容可能な非毒性有機塩基から誘導される塩としては第一、第二、及び第三アミン、置換アミン(天然置換アミンを含む)、環状アミン、並びに塩基性イオン交換樹脂(例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等)の塩が挙げられる。本発明の化合物が塩基性である場合には、無機酸や有機酸等の医薬的に許容可能な非毒性酸から塩を製造することができる。このような酸としては酢酸、トリフルオロ酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、樟脳スルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、琥珀酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。クエン酸、臭化水素酸、塩酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、フマル酸、及び酒石酸が特に好ましい。
【0062】
本発明はβセクレターゼ酵素活性ないしβアミロイド前駆体蛋白質分解酵素(「BACE」)活性の阻害を必要とする哺乳動物等の患者又は対象における前記活性の阻害剤としての本発明の化合物の使用に関し、有効量の本発明の化合物を投与することを含む。本発明の化合物はβセクレターゼないしBACEの活性を阻害して不溶性Aβの形成を防ぎ、Aβの生産を阻止することによりアルツハイマー病を治療するために有用である。「βセクレターゼ酵素」、「βアミロイド前駆体蛋白質分解酵素」、及び「BACE」なる用語は本明細書では同義に使用する。ヒト以外にも多様な他の哺乳動物を本発明の方法により治療することができる。
【0063】
本発明は更にヒト及び動物におけるβセクレターゼ酵素活性の阻害用医薬又は組成物の製造方法として、本発明の化合物を医薬的キャリヤー又は希釈剤と配合する方法に関する。
【0064】
本発明の化合物はアルツハイマー病の治療、改善、防止又は危険低減に有用である。例えば、前記化合物はアルツハイマー型痴呆の予防と、アルツハイマー型初期、中期又は後期痴呆の治療に有用であると思われる。前記化合物はアミロイド前駆体蛋白質(別称APP)の異常切断により媒介される疾患、及びβセクレターゼの阻害により治療又は予防することができる他の病態の治療、改善、防止又は危険低減にも有用であると思われる。このような病態としては軽度認知傷害、トリソミー21(ダウン症候群)、脳アミロイド血管症、変性痴呆、オランダ型遺伝性アミロイド性脳卒中(HCHWA−D)、クロイツェルフェルト・ヤコブ病、プリオン疾患、筋萎縮性測索硬化症、進行性核上麻痺、頭部外傷、卒中、ダウン症候群、膵炎、封入体筋炎、他の末梢アミロイド症、糖尿病及びアテローム硬化症が挙げられる。
【0065】
本発明の化合物は場合により他のHIVプロテアーゼ阻害剤、抗ウイルス薬、抗感染薬、免疫調節剤、抗生物質又はワクチンと共に場合により医薬組成物成分として化合物又は(適宜)医薬的に許容可能なその塩もしくは水和物として使用した場合にHIVプロテアーゼの阻害、HIV感染の予防、HIV感染の治療並びにエイズ及び/又はARCの治療にも有用である。
【0066】
本発明は更にヒト及び動物におけるHIVプロテアーゼ活性の阻害用医薬又は組成物の製造方法として、本発明の化合物を医薬キャリヤー又は希釈剤と配合する段階を含む方法に関する。
【0067】
本発明の化合物は薬剤を併用したほうが薬剤単独よりも安全又は有効である場合には、本発明の化合物が有用である疾患又は病態の治療に1種以上の他の薬剤と併用することができる。更に、本発明の化合物は本発明の化合物の副作用又は毒性を治療、予防、防止、改善、又は危険低減する1種以上の他の薬剤と併用することもできる。このような他の薬剤はこのような用途に通常使用されている経路と量で本発明の化合物と同時又は順次投与することができる。従って、本発明の医薬組成物としては、本発明の化合物以外に1種以上の他の活性成分を含有するものが挙げられる。併用剤は単位剤形併用製剤の一部として投与してもよいし、1種以上の付加薬剤を治療レジメンの一部として別個の剤形で投与するキット又は治療プロトコールとして投与してもよい。
【0068】
単位用量又はキット形態の本発明の化合物と他の薬剤の併用剤の例としては例えば他のβセクレターゼ阻害剤又はγセクレターゼ阻害剤;HMG−CoAレダクターゼ阻害剤;NSAID(例えばイブプロフェン);ビタミンE;抗アミロイド抗体(例えば抗アミロイドヒト化モノクローナル抗体);CB−1受容体アンタゴニスト又はCB−1受容体逆アゴニスト;抗生物質(例えばドキシサイクリン及びリファムピン);N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体アンタゴニスト(例えばメマンチン);コリンエステラーゼ阻害剤(例えばガランタミン、リバスチグミン、ドネペジル及びタクリン);成長ホルモン分泌促進薬(例えばイブタモレン、メシル酸イブタモレン、及びカプロモレリン);ヒスタミンHアンタゴニスト;AMPAアゴニスト;PDE IV阻害剤;GABA逆アゴニスト;ニューロンニコチン性アゴニスト;あるいは本発明の化合物の効力、安全性、利便性を増すか又は望ましくない副作用もしくは毒性を低減する受容体又は酵素に作用する他の薬剤等の抗アルツハイマー薬との併用剤が挙げられる。併用剤に適した抗アルツハイマー薬の上記例は例証に過ぎず、限定的ではない。
【0069】
本発明は更にエイズの治療に有用な1種以上の物質と本発明の化合物の併用剤にも関する。例えば、本発明の化合物は暴露前及び/又は暴露後に有効量のエイズ抗ウイルス薬、免疫調節剤、抗感染薬、又はワクチンと有効に併用投与することができる。本発明の化合物と併用することができる適切な抗ウイルス薬としては非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、CCR5受容体アンタゴニスト、HIVインテグラーゼ阻害剤及びチトクロムP450モノオキシゲナナーゼ阻害剤(例えばインジナビル又はリトナビル又は医薬的に許容可能なその塩)が挙げられる。
【0070】
併用に適した特定抗エイズ又は抗HIV剤(抗ウイルス薬、免疫調節剤、抗感染薬等を含む)を下表1〜4に示す。
【0071】
【表1】



【0072】
【表2】


【0073】
【表3】

【0074】
【表4】

AIDS=後天性免疫不全症候群
ARC=AIDS関連合併症
PI=プロテアーゼ阻害剤
RTI=逆転写酵素阻害剤
nRTI=ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤
nnRTI=非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤
PGL=持続性全身性リンパ節腫
PCP=ニューモシスティス・カリニ肺炎
CMV=サイトメガロウイルス。
【0075】
当然のことながら、本発明の化合物とエイズ抗ウイルス薬、免疫調節剤、抗感染薬又はワクチンの併用の範囲は上記表1〜4に限定されず、原則としてエイズの治療に有用な任意医薬組成物との任意併用を含む。
【0076】
適切な併用の1例は本発明の化合物とAZT、3TC、ddC、又はddI等のHIV逆転写酵素のヌクレオシド阻害剤である。別の適切な併用は本発明の化合物と、エファビレンツ等のHIV逆転写酵素の非ヌクレオシド阻害剤と、場合によりAZT、3TC、ddC又はddI等のHIV逆転写酵素のヌクレオシド阻害剤である。
【0077】
更に別の適切な併用は前段落の併用の任意1種に更に、インジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、アンプレナビル、又はアバカビル等の付加的HIVプロテアーゼ阻害剤を加えたものである。この併用の1側面は付加的HIVプロテアーゼ阻害剤がインジナビルの硫酸塩である併用である。この併用の別の側面は付加的プロテアーゼ阻害剤がネルフィナビルとリトナビルから選択される併用である。この併用の更に別の側面は付加的HIVプロテアーゼ阻害剤がサキナビルであり、一般に600又は1200mgを1日3回投与する併用である。
【0078】
他の適切な併用としては本発明の化合物と(1)エファビレンツと、場合によりAZT及び/又は3TC及び/又はddI及び/又はddCと、場合によりインジナビル;(2)AZT及び/又はddI及び/又はddC及び/又は3TCのいずれかと、場合によりインジナビル;(3)d4Tと3TC及び/又はAZT;(4)AZTと3TC;並びに(5)AZTとd4Tが挙げられる。
【0079】
本発明の別の側面は本発明の化合物の薬物動態を改善するために有効な量のチトクロムP450モノオキシゲナナーゼ阻害剤と本発明の化合物の併用投与である。本発明の化合物はチトクロムP450(CYP3A4)により少なくとも部分的に代謝される可能性がある。本発明の化合物とチトクロムP450阻害剤を併用投与すると、対象(例えばヒト)における薬物動態プロフィルを改善することができ、即ち、併用投与することにより、Cmax(化合物の最高血漿濃度)、AUC(時間に対する化合物の血漿濃度曲線の下の面積)、及び/又は化合物の半減期を増加することができる。適切なP450阻害剤としては限定されないが、インジナビルとリトナビルが挙げられる。当然のことながら、この場合のインジナビルとリトナビルの主な役割はプロテアーゼ阻害剤ではなく薬物動態調節剤としての役割であり、即ち化合物の薬物動態を改善するために有効な量のインジナビル又はリトナビルは抗ウイルス効果については二次的に作用すればよく、ほとんど作用しなくてもよい。本発明の化合物をP450阻害量のリトナビル又はインジナビルと併用投与すると、薬物動態プロフィルの改善が認められた。
【0080】
本発明の組成物はWO99/62520、WO99/62513、又はWO99/62897に記載されている化合物等のHIVインテグラーゼ阻害剤と併用投与することもできる。本発明の組成物はWO00/59502又はWO00/59503に記載されている化合物等のCCR5受容体アンタゴニストと併用投与することもできる。
【0081】
上記併用において、本発明の化合物と他の化合物は一緒に投与してもよいし、別々に投与してもよい。更に、一方の薬剤を他方の薬剤の前に投与してもよいし、同時に投与してもよいし、後から投与してもよい。これらの併用はHIV感染の拡大と程度を制限するのに予想外の効果又は相乗効果をもつと思われる。
【0082】
本発明の化合物を投与する対象又は患者は一般にβセクレターゼ酵素又はHIVプロテアーゼ活性の阻害が所望される男性又は女性であるが、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害(特にβセクレターゼ酵素活性の阻害及び/又はHIVプロテアーゼの阻害)又は上記疾患の治療が所望される他の哺乳動物(例えばイヌ、ネコ、マウス、ラット、ウシ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、サル、チンパンジー又は他の類人猿ないし霊長類)でもよい。
【0083】
本明細書において使用する「組成物」なる用語は所定量又は比率の特定成分を含有する製剤と、特定量の特定成分の併用により直接又は間接的に得られる任意製剤を意味する。医薬組成物に関してこの用語は1種以上の活性成分と場合により不活性成分を含むキャリヤーを含有する製剤と、成分の任意2種以上の配合、錯化もしくは凝集、成分の1種以上の解離、又は成分の1種以上の他の型の反応もしくは相互作用により直接又は間接的に得られる任意製剤を含むものとする。一般に、医薬組成物は活性成分を液体キャリヤー又は微粉状固体キャリヤー又は両者と均質混和した後に必要に応じて生成物を所望製剤に成形することにより製造される。医薬組成物には、疾患の過程又は病態に所望効果を与えるために十分な量の目的活性化合物が含有される。従って、本発明の医薬組成物は本発明の化合物と医薬的に許容可能なキャリヤーを混合することにより製造される任意組成物を含む。
【0084】
経口用医薬組成物は医薬組成物の製造に当分野で公知の任意方法により製造することができ、このような組成物は医薬的にエレガントで口当たりのよい製剤にするために甘味剤、香味剤、着色剤及び防腐剤から構成される群から選択される1種以上の添加剤を添加することができる。タブレットはタブレットの製造に適した医薬的に許容可能な非毒性賦形剤と混合した活性成分を含有する。これらの賦形剤としては例えば不活性希釈剤(例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム);顆粒化剤及び崩壊剤(例えばコーンスターチ又はアルギン酸);結合剤(例えば澱粉、ゼラチン又はアラビアガム)及び滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルク)が挙げられる。タブレットはコーティングしなくてもよいし、胃腸管での崩壊と吸収を遅らせることにより長時間持続作用を提供するように公知技術によりコーティングしてもよい。
【0085】
経口用組成物は活性成分を不活性固体希釈剤(例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリン)と混合したハードゼラチンカプセルの形態でもよいし、活性成分を水又は油性媒体(例えば落花生油、流動パラフィン、又はオリーブ油)と混合したソフトゼラチンカプセルの形態でもよい。
【0086】
他の医薬組成物としては、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物として活性材料を含有する水性懸濁液が挙げられる。更に、植物油(例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油又はココナツ油)又は鉱油(例えば流動パラフィン)に活性成分を懸濁することにより油性懸濁液を製剤化することもできる。本発明の医薬組成物は水中油エマルションの形態でもよく、更に甘味剤や香味剤等の賦形剤を添加してもよい。
【0087】
医薬組成物は公知技術に従って製剤化することが可能な注射用滅菌水性又は油性懸濁液の形態でもよいし、薬剤の直腸投与用座剤形態で投与することもできる。
【0088】
本発明の化合物は当業者に公知の吸入装置を使用して吸入投与してもよいし、経皮パッチにより投与してもよい。
【0089】
「医薬的に許容可能」とはキャリヤー、希釈剤又は賦形剤が製剤の他の成分と適合可能でなければならず且つそのレシピエントに有害であってはならないことを意味する。
【0090】
化合物「の投与」及び「を投与する」なる用語は治療に有用な形態と治療に有用な量で個体の体内に導入可能な形態で治療を必要とする個体に本発明の化合物を提供することを意味し、限定されないが、経口剤形(例えばタブレット、カプセル、シロップ、懸濁液等);注射剤形(例えばIV、IM、又はIP等);経皮剤形(例えばクリーム、ゼリー、散剤、又はパッチ);バッカル剤形;吸入用散剤、スプレー、懸濁液等;及び直腸座剤が挙げられる。
【0091】
「有効量」又は「治療有効量」なる用語は研究者、獣医、医師又は他の臨床医により求められる組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を誘発する該当化合物の量を意味する。本明細書で使用する「治療」なる用語は特に該当疾患又は疾病の症状を示す患者における上記病態の治療を意味する。
【0092】
本明細書で使用する「治療」又は「治療する」なる用語は本発明の化合物の任意投与を意味し、(1)疾患の症状又は症候をもつか又は示す動物において疾患を抑制する(即ち症状及び/又は症候の更なる進行を抑える)か、あるいは(2)疾患の症状又は症候をもつか又は示す動物において疾患を改善する(即ち症状及び/又は症候を逆行させる)ことを含む。「防止」なる用語は防止する病態を予防、治療、根絶、改善又は他の方法でその重篤度を低減することを含む。
【0093】
本発明の化合物を含有する組成物は単位剤形の形態とすると簡便であり、製薬分野で周知の任意方法により製造することができる。「単位剤形」なる用語は患者又は薬剤を患者に投与する者が全用量を収容した単一容器又はパッケージを開封することができ、2個以上の容器又はパッケージからの成分を混合する必要がないように、全活性成分及び不活性成分を適切なシステムに一体にした単一用量を意味する。単位剤形の典型例は経口投与用タブレットもしくはカプセル、注射用単一用量バイアル、又は直腸投与用座剤である。単位剤形の前記具体例は限定的ではなく、単位剤形製薬分野における典型例に過ぎない。
【0094】
本発明の化合物を含有する組成物はキット形態とし、活性成分、不活性成分、キャリヤー、希釈剤等の2種以上の成分に加え、患者又は薬剤を患者に投与する者が実際の剤形を調製するための説明書を添付すると簡便である。このようなキットは必要な全材料及び成分をキットに梱包してもよいし、材料又は成分を使用又は調製するための説明書は患者又は薬剤を患者に投与する者が別に入手するようにしてもよい。
【0095】
アルツハイマー病、エイズ又は本発明の化合物の適応症である他の疾患を治療、改善、防止、又は危険低減する場合には、1日用量約0.1mg〜約100mg/kg動物体重の本発明の化合物を好ましくは1日1回又は1日2〜6回に分けるか又は持続放出形態で投与すると一般に満足な結果が得られる。合計1日用量は約1.0mg〜約2000mg、好ましくは約0.1mg〜約20mg/kg体重である。体重70kgの成人の場合、合計1日用量は一般に約7mg〜約1,400mgである。最適治療応答が得られるようにこの投与レジメンを調節することができる。1日1〜4回、好ましくは1日1回又は2回のレジメンで化合物を投与することができる。
【0096】
本発明の化合物又は医薬的に許容可能なその塩の特定投与用量としては1mg、5mg、10mg、30mg、80mg、100mg、150mg、300mg及び500mgが挙げられる。本発明の医薬組成物は活性成分約0.5mg〜1000mg;より好ましくは活性成分約0.5mg〜500mg;又は活性成分0.5mg〜250mg;又は活性成分1mg〜100mgを含有する製剤として提供することができる。治療に有用な特定医薬組成物は活性成分約1mg、5mg、10mg、30mg、80mg、100mg、150mg、300mg及び500mgを含有する。
【0097】
しかし、当然のことながら、任意特定患者の特定用量レベル及び投与頻度は使用する特定化合物の活性、この化合物の代謝安定性と作用期間、年齢、体重、一般健康状態、性別、食事、投与方法及び時間、排泄速度、薬剤併用、特定病態の重篤度、及び宿主の施療中の治療等の種々の因子によって異なる。
【0098】
βセクレターゼ酵素活性阻害剤としての本発明の化合物の有用性は当分野で公知の方法により立証することができる。βセクレターゼ酵素阻害は以下のように測定する。
【0099】
ECLアッセイ:ビオチン化BACE基質と共に均質終点電気化学発光(ECL)アッセイを使用した。基質のKmは100μMを上回り、基質の溶解限度により測定できない。典型的反応は約0.1nM酵素、0.25μM基質、及び緩衝液(50mM NaOAc,pH4.5,0.1mg/ml BSA,0.2%CHAPS,15mM EDTA及び1mMデフェロキサミン)で総反応容量100μLとした。反応は30分間進行した後、1M Tris−HCl(pH8.0)25μLを加えることにより停止した。得られた酵素生成物のC末端残基を特異的に認識するルテニル化抗体を加えることにより、生成物をアッセイした。ストレプトアビジンをコーティングした磁性ビーズを溶液に加え、サンプルをM−384(Igen Inc.,Gaithersburg,MD)分析にかけた。これらの条件下で、基質の10%未満がBACE1によりプロセシングされた。これらの試験で使用した酵素はバキュロウイルス発現システムで産生された可溶性(膜貫通ドメインと細胞質延長部を除く)ヒト蛋白質とした。化合物の阻害効力を測定するために、阻害剤のDMSO溶液(100μMから出発して3倍系列の希釈倍率で12種の阻害剤濃度を調製)を反応混合物に加えた(最終DMSO濃度は10%とする)。全実験は上記標準反応条件を使用して室温で実施した。化合物のIC50を測定するために、4パラメーター式を曲線フィットに使用する。解離定数の再現誤差は一般に2倍未満である。
【0100】
HPLCアッセイ:BACE1により分解され、クマリンと結合したN末端フラグメントを遊離する基質(クマリン−CO−REVNFEVEFR)と共に均質終点HPLCアッセイを使用した。基質のKmは100μMを上回り、基質の溶解限度により測定できない。典型的反応は約2nM酵素、1.0μM基質、及び緩衝液(50mM NaOAc,pH4.5,0.1mg/ml BSA,0.2%CHAPS,15mM EDTA及び1mMデフェロキサミン)で総反応容量100μLとする。反応は30分間進行し、1M Tris−HCl(pH8.0)25μLを加えることにより停止した。得られた反応混合物をHPLCにロードし、5分間直線勾配を使用して生成物を基質から分離した。これらの条件下で、基質の10%未満がBACE1によりプロセシングされた。これらの試験で使用した酵素はバキュロウイルス発現システムで産生された可溶性(膜貫通ドメインと細胞質延長部を除く)ヒト蛋白質とした。化合物の阻害効力を測定するために、阻害剤のDMSO溶液(ECLにより予測された効力に応じた濃度範囲で12種の阻害剤濃度を調製)を反応混合物に加えた(最終DMSO濃度は10%とする)。全実験は上記標準反応条件を使用して室温で実施した。化合物のIC50を測定するために、4パラメーター式を曲線フィットに使用する。解離定数の再現誤差は一般に2倍未満である。
【0101】
特に、下記実施例の化合物は上記アッセイでβセクレターゼ酵素を阻害する活性をもち、一般にIC50は約1nM〜100μMであった。このような結果はこれらの化合物がβセクレターゼ酵素活性の阻害剤として使用する場合に固有活性をもつことを示している。
【0102】
HIVプロテアーゼ阻害剤としての本発明の化合物の有用性は当分野で公知の方法により立証することができる。HIVプロテアーゼ阻害は以下のように測定する。
【0103】
HIVプロテアーゼアッセイ:全酵素触媒反応は初速度及び定常状態条件下で実施した。具体的には、時間及び酵素濃度に対してMA/CA切断部位ペプチドVSQN−(ナフチルアラニン)−PIVの酵素触媒加水分解条件を設定し、線形初速度データを得た。アッセイで使用した酵素濃度は野生型5pM;A−44及びA−44r、200pM;V−18、K−60、及びK−60r、10pM;V−18r、20pM(r=活性部位復帰突然変異体)とした。12種の阻害剤濃度でIC50値を測定し、式Ki=IC50×KM/(KM+[S])を使用して推定Ki値を求めることにより先ず各競合阻害剤の結合定数を推定した。次に推定Ki値の0.5、1、2、及び3倍に等しい阻害剤濃度系列を使用して別のアッセイでKi値を再決定した。各阻害剤濃度に50〜600μMの6種類の基質濃度を使用した。二重逆数プロットからの阻害剤濃度に対するKM/Vmaxの再プロットから最終Ki値を求めた。野生型酵素と他の選択酵素(例えばK−60とサキナビルの対)に対する各阻害剤のKi値を複数回測定した処、4.2%(n=14)の平均S.D.が得られた。他のアッセイ条件は生成物の検出を蛍光(励起=270nm、発光=330nm)でモニターした以外は従来の記載(Schock,H.ら(1996)J.Biol.Chem.271、31957−31963)通りとした。
【0104】
特に、下記実施例の化合物は上記アッセイでHIVプロテアーゼを阻害する活性をもち、一般にIC50は約1nM〜100μMであった。このような結果はこれらの化合物がHIVプロテアーゼ活性の阻害剤として使用する場合に固有活性をもつことを示している。
【0105】
本発明の化合物の数種の製造方法を下記スキーム及び実施例に例証する。出発材料は当分野で公知の手順又は本明細書に例証する手順により製造する。下記実施例は本発明を更に十分に理解できるようにすることを目的とする。これらの実施例は例証に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0106】
実施例1は方法Aによる合成を例証する。実施例2は方法Bによる合成を例証する。実施例3〜5及び7は方法Cによる合成を例証する。実施例6は方法Dによる合成を例証する。
【0107】
明細書全体を通して以下の略語を使用する。
Me:メチル
Et:エチル
Ar:アリール
Ph:フェニル
Ac:アセチル
DMF:N,N’−ジメチルホルムアミド
THF:テトラヒドロフラン
DMSO:ジメチルスルホキシド
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
Boc:tert−ブチルオキシカルボニル
BOP:ヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム
BSA:ウシ血清アルブミン
CHAPS:3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート
TEA:トリエチルアミン
TFA:トリフルオロ酢酸
NIS:N−ヨードスクシンイミド
NaHMDS:ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
DCM:ジクロロメタン
Nu:求核試薬
AIBN:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル
MNNG:1−メチル−3−ニトロ−1−ニトロソグアニジン
rt:室温
HPLC:高性能液体クロマトグラフィー
LCMS:液体クロマトグラフィー質量分析。
【実施例1】
【0108】
(+/−)5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−4,7−メタノシクロヘプタ[d][1,3]−チアゾール−2−アミン
【0109】
【化34】

【0110】
ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−オン124mg(1.0mmol)、ヨウ素253mg(1.0mmol)及びチオ尿素152mg(2.0mmol)を含有する混合物を密閉管で110℃に17時間加熱した。暗色反応混合物を冷却し、メタノール2mLに溶かし、逆相クロマトグラフィーにかけると、所望アミノチアゾールのTFA塩が白色個体として得られた。H NMR(CDOD)δ 8.65(bs,2H),3.15(t,1H),2.79(dd,1H),2.64(bt,1H),2.22(d,1H),2.1−1.7(m,5H),1.45(dq,1H)。LCMS(M+H)=181.24。
【実施例2】
【0111】
(+/−)6−フェニル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−2−アミン
【0112】
【化35】

【0113】
ステップA:4−フェニルシクロヘキサノン6.0g(34.4mmol)のCCl(75mL)溶液にN−ブロモスクシンイミド5.51g(39.9mmol)とAIBN83mg(0.34mmol)を加えた。混合物を20分間撹拌還流させた後、冷却し、濾過した。濾液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(9:1ヘキサン/EtOAc)にかけると、2−ブロモ−4−フェニルシクロヘキサノンが得られた。
【0114】
ステップB:ステップAからのブロモケトン6.0g(23.7mmol)を含有する溶液をチオ尿素1.8g(23.7mmol)で処理し、得られた混合物を周囲温度で48時間撹拌した。混合物を濃縮し、エーテルを加えて研和すると、所望化合物がHBr塩として得られた。H NMR(DMSO−d)δ 9.21(bs,2H),7.42−7.21(m,5H),3.05(m,1H),2.79(m,1H),2.6−2.4(m,4H),2.0−1.8(m,2H)。LCMS(M+H)=231.23。
【実施例3】
【0115】
4−[1−(3−フルオロフェニル)シクロペンチル]−1,3−チアゾール−2−アミン
【0116】
【化36】

【0117】
ステップA:エーテル25mL中に1−(3−フルオロフェニル)−1−シクロペンタンカルボン酸1.04g(5.00mmol)を含有する−70℃溶液にN−メチルモルホリン530mg(5.24mmol)とクロロギ酸イソブチル716mg(5.24mmol)を加えた。反応混合物を1時間撹拌した後、微孔性フリットファンネルで濾過した。濾液を0℃まで冷却し、混合酸無水物を入れたフラスコに過剰のCH(エーテル50mL/40%KOH 15mLとMNNG 4.4gから調製したジアゾメタン40mL)をピペット注入した。得られた混合物をLCMSがジアゾケトンへの完全な変換を示すまで(14時間)撹拌した後、過剰のCHを蒸発させた。得られた黄色油状物をエーテルに溶かし、0℃まで冷却し、48%HBr(1.5mL)で処理した。10秒以内に発泡が生じ、LCMSは1時間後に新しいピークへの完全な変換を検出した。反応混合物をエーテル50mLで希釈し、飽和重炭酸塩2×10mL、水(10mL)及びブライン(10mL)で洗浄した。溶媒を蒸発させるとブロモケトンが得られ、それ以上精製せずに使用した。
【0118】
ステップB:EtOH 25mL中にステップ3−Aからのブロモケトン1.3g(4.56mmol)とNaHCO 383mg(4.56mmol)とチオ尿素347mg(4.56mmol)を含有する混合物を撹拌下に1時間加熱還流した。反応混合物を冷却し、濃縮し、逆相クロマトグラフィーにかけると、所望化合物のTFA塩が白色固体として得られた。H NMR(CDOD)δ 7.38(q,IH),7.17(d,IH),7.09(d,1H),7.01(t,IH),6.76(s,IH),2.4−2.2(m,4H)。LCMS(M+H)=263.16。
【実施例4】
【0119】
N’−{5−[2−(アミノ−1,3−チアゾール−4−イル)−2−(4−メトキシフェニル)エチル]ピリジン−2−イル},N−N−ジメチルエタン−1,2−ジアミン
【0120】
【化37】

【0121】
ステップA:4−メトキシフェニル酢酸エチル(1.55g,8.0mmol)と2−クロロ−5−クロロメチルピリジン(1.29g,8.0mmol)の−70℃THF(25mL)溶液にNaHMDS(8.0mL,8.0mmol)を加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌した後、溶媒を蒸発させ、残渣をEtOAc 20mLと飽和塩化アンモニウム20mLに分配した。水相をEtOAc 2×25mLで洗浄し、有機抽出液を合わせてブライン(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒を蒸発させると、モノアルキル化目的化合物が無色油状物として得られた。
【0122】
ステップB:ジオキサン20mL中にステップ4−Aからのエステル851mg(2.66mmol)を含有する溶液に1M LiOH 8mL(8mmol)を加えた。反応混合物を16時間撹拌し、溶媒を蒸発させ、残渣を3N HClでpH=6まで処理した。水性混合物をEtOAc(3×20mL)で抽出し、有機洗浄液を合わせてMgSOで乾燥すると、所望カルボン酸が得られた。
【0123】
ステップC:エーテル15mL中にステップ4−Bからのカルボン酸760mg(2.61mmol)を含有する−70℃溶液にN−メチルモルホリン0.30mL(2.74mmol)とクロロギ酸イソブチル374mg(2.74mmol)を加えた。反応混合物を15分間撹拌した後、水5mLでクエンチした。相分離し、エーテル層を乾燥し、蒸発させた。室温の混合酸無水物を入れたフラスコに過剰のCH(エーテル50mL/40%KOH 15mLとMNNG 4.4gから調製したジアゾメタン40mL)をピペット注入し、得られた混合物をLCMSがジアゾケトンへの完全な変換を示すまで(30分間〜24時間)撹拌した。過剰のCHを蒸発させ、得られた黄色油状物をエーテルに再溶解し、0℃まで冷却し、48%HBr(1.5mL)で処理した。10秒以内に発泡が生じ、LCMSは1時間後に新しいピークへの完全な変換を検出した。反応混合物をエーテル50mLで希釈し、飽和重炭酸塩2×10mL、水(10mL)及びブライン(10mL)で洗浄した。溶媒を蒸発させるとブロモケトンが白色固体として得られ、それ以上精製せずに使用した。
【0124】
ステップD:MeOH 10mL中にステップ4−Cからのブロモケトン790mg(2.14mmol)を含有する溶液をNaHCO 180mg(2.14mmol)とチオ尿素163mg(2.14mmol)で処理し、50℃に1時間加熱した。次に混合物を濃縮し、水とEtOAcで抽出した。有機相を乾燥し、濃縮し、クロマトグラフィー(EtOAc)にかけると、所望2−アミノチアゾールがオフホワイト固体として得られた。H NMR(CDCl)δ 8.05(d,J=2.2Hz,IH),7.24(dd,J=2.4,8.2Hz,IH),7.14(m,2H),6.80(d,J=8.6Hz,1H),6.06(s,1H),4.80(s,2H),4.00(t,J=7.5Hz,IH),3.77(s,3H),3.45(dd,J=7.0,13.7Hz,IH),3.08(dd,J=8.6,13.7Hz,1H)。LCMS(M+H)=346.03。
【0125】
ステップE:ステップ4−Dからのクロロピリジン56mg(0.16mmol)とN,N−ジメチルエチレンジアミン301mg(3.40mmol)を含有するニート混合物を密閉管で140℃に17時間加熱した。反応混合物を冷却し、メタノール2mLに溶かし、逆相クロマトグラフィーにかけた。溶媒を蒸発させ、残渣をメタノールに溶かし、HClガスで処理した。溶媒を蒸発させると、所望アミノチアゾールのトリスHCl塩が黄褐色固体として得られた。H NMR(CDOD)δ 8.90(d,J=8.9Hz,1H),7.61(s,1H),7.12(d,J=8.7Hz,2H),7.01(d,J=9.2Hz,1H),6.89(d,J=8.9Hz,2H),6.71(s,1H),4.15(t,J=7.5Hz,1H),3.77(m,2H),3.75(s,3H),3.41(m,3H),3.28(s,3H),3.05(m,1H),2.97(s,3H)。LCMS(M+H)=398.12.
【実施例5】
【0126】
4−[(1S)−2−(4−ヨードフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)エチル]−1,3−チアゾール−2−アミン
【0127】
【化38】

【0128】
ステップA.(S)−4−ベンジル−2−オキサゾリジノン(8.00g,45.1mmol)とp−メトキシフェニル酢酸(15.0g,90.3mmol)をトルエン90mLに溶かし、TEA 18.2g(180.5mmol)で処理した。トルエン50mL中の塩化ピバロイル(10.9g,90.2mmol)を滴下し、得られた溶液を17時間加熱還流した。反応混合物を冷却し、有機相を1N HCl(2×50mL)、水、飽和NaHCO(2×50mL)、及びブラインで洗浄した。乾燥(MgSO)後、溶液を濃縮し、クロマトグラフィー(20%→30%EtOAc/ヘキサン)にかけると、所望化合物が得られた。H NMR(CDCl)δ 7.4−7.2(m,5H),7.17(d,J=7.8Hz,2H),6.84(d,J=7.8Hz,2H),4.64(m,1H),4.3−4.1(m,2H),3.81(s,3H),3.22(dd,J=3.1,13.3Hz,1H),2.65(dd,J=9.5,13.6Hz,1H)。LCMS(M+H)=326.14。
【0129】
ステップB.NaHMDS(40.5mL,40.5mmol)をステップ5−Aからのオキサゾリジノン(10.99g,33.77mmol)と臭化4−ヨードベンジル(20.0g,67.5mmol)の−70℃THF(100mL)溶液に加えた。反応混合物をこの温度で5時間撹拌した後、飽和NHCl溶液90mLを加えてクエンチした。混合物をEtOAcで3回抽出し、有機相を合わせてブライン20mLで洗浄した。蒸発させ、クロマトグラフィー(10%→30%EtOAc/ヘキサン)にかけると、所望化合物が単独ジアステレオマーとして得られた。H NMR(CDCl)δ 7.60(d,J=7.8Hz,2H),7.33(d,J=7.8Hz,2H),7.25(m,4H),6.99(m,3H),6.84(d,J=7.8Hz,2H),5.32(dd,J=6.2,9.3Hz,1H),4.58(m,1H),4.11(m,2H),3.76(s,3H),3.42(dd,J=9.4,13.6Hz,1H),3.08(dd,J=3.1,13.3Hz,1H)2.96(dd,J=6.2,13.5Hz,1H),2.60(dd,J=9.0,13.6Hz,1H)。LCMS(M+H)=542.20。
【0130】
ステップC.3:1 THF/水(8mL)中のステップ5−Bからのオキサゾリジノン(514mg,0.949mmol)を0℃まで冷却し、水1.5mLに溶かしたLiOH・1水和物45mgで処理した後、過酸化水素0.38mLで処理した。混合物を45分間撹拌した後、飽和NaSO 20mLを加えてクエンチした。反応混合物をジクロロメタン3×25mLで抽出し、有機抽出液を合わせて捨てた。水相を1N HCl 4mLで酸性化し、DCMで5回洗浄した後、MgSOで乾燥した。溶媒を蒸発させると、所望カルボン酸が得られた。H NMR(CDCl)δ 7.58(d,J=7.8Hz,2H),7.33(d,J=7.8Hz,2H),7.25(d,J=7.6Hz,4H),6.84(d,J=7.8Hz,2H),3.76(s,3H),3.75(m,1H),3.24(dd,J=8.2,13.9Hz,1H),2.91(dd,J=7.3,13.9Hz,1H)。
【0131】
ステップD.THF 3mL中にステップ5−Cからのカルボン酸253mg(0.66mmol)を含有する0℃溶液にN−メチルモルホリン70mg(0.69mmol)とクロロギ酸イソブチル95mg(0.69mmol)を加えた。反応混合物を15分間撹拌した後、固体NMM塩を濾別し、濾液を蒸発させた。室温の混合酸無水物を入れたフラスコに過剰のCH(エーテル11mL/40%KOH 3.5mLとMNNG 976mgから調製)をピペット注入し、得られた混合物をLCMSがジアゾケトンへの完全な変換を示すまで(16時間)撹拌した。過剰のCHを蒸発させ、得られた黄色油状物をエーテルに再溶解し、0℃まで冷却し、48%HBr(107mg)で処理した。10秒以内に発泡が生じ、LCMSは1時間後に新しいピークへの完全な変換を検出した。反応混合物をエーテル10mLで希釈し、飽和重炭酸塩2×3mL、水(3mL)及びブライン(3mL)で洗浄した。溶媒を蒸発させるとブロモケトンが油状物として得られ、それ以上精製せずに使用した。
【0132】
ステップE.MeOH 3mL中にステップ5−Dからのブロモケトン307mg(0.669mmol)を含有する溶液をNaHCO 56mg(0.669mmol)とチオ尿素51mg(0.669mmol)で処理し、50℃に15分間加熱した。次に混合物を濃縮し、水とEtOAcで抽出した。有機相を乾燥し、濃縮し、クロマトグラフィー(逆相LC)にかけると、所望2−アミノチアゾールのTFA塩がオフホワイト固体として得られた。H NMR(CDOD)δ 7.48(d,J=7.8Hz,2H),7.11(d,J=7.8Hz,2H),6.88(d,J=7.6Hz,4H),6.15(s,1H),3.99(t,J=8.5Hz,1H),3.70(s,3H),3.74(m,1H),3.03(dd,J=7.3,13.9Hz,1H)。LCMS(M+H)=437.1。
【実施例6】
【0133】
4−[1−(4−クロロフェニル)シクロペンチル]−5−フェニル−1,3−チアゾール−2−アミン
【0134】
【化39】

【0135】
ステップA:DCM 20mL中に塩化1−(4−クロロフェニル)−1−シクロペンタカルボニル486mg(2.0mmol)とN,O−ジメチルヒドロキシルアミンHCL 196mg(2.0mmol)を含有する0℃溶液にTEA 1.4mL(10.0mmol)を加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌した後、水(2×5mL)、1N HCl(2×5mL)、及びブラインで洗浄した。有機抽出液を乾燥し、クロマトグラフィー(1:ヘキサン/EtOAc)にかけると、所望アミドが得られた。
【0136】
ステップB:THF 10mL中にステップ6−Aからのワインレブアミド358mg(1.38mmol)を含有する0℃溶液に臭化ベンジルマグネシウム1.4mL(2.8mmol)を加えた。反応混合物を室温で17時間撹拌した後、エーテル20mLで希釈し、飽和塩化アンモニウム5mLでクエンチした。有機相を単離し、ブラインで洗浄した。カラムクロマトグラフィー(4:1ヘキサン/EtOAc)にかけると、所望ケトンが得られ、次段階で使用した。LCMS(M+H)=299.10。
【0137】
ステップC:クロロホルム10mL中にステップ6−Bからのケトン320mg(1.0mmol)を含有する溶液を臭素171mg(1.0mmol)で処理し、50℃に30分間加熱した。反応混合物を冷却し、飽和重炭酸塩溶液(2×5mL)、水、次いでブラインで洗浄した。有機相をMgSOで乾燥し、蒸発させると、所望α−ブロモケトンが得られ、それ以上精製せずに使用した。
【0138】
ステップD:メタノール10mL中にステップ6−Cからのブロモケトン377mg(1.0mmol)とNaHCO 84mg(1.0mmol)とチオ尿素76mg(1.0mmol)を含有する溶液を50℃に16時間加熱した。反応混合物を冷却し、1/4容量まで濃縮し、逆相LCを使用してクロマトグラフィーにかけると、所望阻害剤がモノTFA塩として得られた。H NMR(CDCl)δ 9.02(bs,2H),7.42−7.17(m,9H),2.22(m,1H),2.01(m,1H),1.65(m,1H),1.45(m,1H)。LCMS(M+H)=355.01。
【実施例7】
【0139】
5−(2−フリル)−4−[2−(2−メトキシ−5−ニトロフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)エチル−1,3−チアゾール−2−アミン
【0140】
【化40】

【0141】
ステップA:4−メトキシフェニル酢酸エチル(5.83g,30.0mmol)と臭化2−メトキシ−5−ニトロベンジル(7.38g,30.0mmol)の−70℃THF(200mL)溶液にNaHMDS(30.0mL,30.0mmol)を加えた。反応混合物を室温まで16時間撹拌した後、溶媒を蒸発させ、残渣をEtOAc 150mLと飽和塩化アンモニウム20mLに分配した。水相をEtOAc 2×25mLで洗浄し、有機抽出液を合わせてブライン(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥した。有機相を乾燥し、濃縮し、クロマトグラフィー(0−50%EtOAc/ヘキサン)にかけると、モノアルキル化目的化合物が得られた。
【0142】
ステップB:メタノール100mLとTHF 100mL中にステップ1からのエステル6.67g(18.6mmol)を含有する溶液に1M LiOH 37mL(37mmol)を加えた。反応混合物を16時間撹拌し、溶媒を蒸発させ、残渣を3N HClでpH=6まで処理した。水性混合物をEtOAc(3×20mL)で抽出し、有機洗浄液を合わせてMgSOで乾燥し、蒸発させると、所望カルボン酸が得られた。
【0143】
ステップC:エーテル100mL中にステップBからのカルボン酸2.5g(7.54mmol)を含有する−70℃溶液にN−メチルモルホリン0.87mL(7.92mmol)とクロロギ酸イソブチル1.08g(7.92mmol)を加えた。反応混合物を15分間撹拌した後、微孔性フリットファンネルで濾過した。室温の混合酸無水物を入れたフラスコに過剰のCH(エーテル75mL/40%KOH 23mLとMNNG 6.64gから調製したジアゾメタン75mL)をピペット注入し、得られた混合物をLCMSがジアゾケトンへの完全な変換を示すまで(30分間〜24時間)撹拌した。過剰のCHを蒸発させ、得られた黄色油状物をエーテルに再溶解し、0℃まで冷却し、48%HBr(2.0mL)で処理した。10秒以内に発泡が生じ、LCMSは1時間後に新しいピークへの完全な変換を検出した。反応混合物をエーテル50mLで希釈し、飽和重炭酸塩2×10mL、水(10mL)及びブライン(10mL)で洗浄した。溶媒を蒸発させると、ブロモケトンが白色固体として得られ、それ以上精製せずに使用した。
【0144】
ステップD:MeOH 10mL中にステップCからのブロモケトン3.1g(7.54mmol)を含有する溶液をNaHCO 634mg(7.54mmol)とチオ尿素574mg(7.54mmol)で処理し、50℃に1時間加熱した。次に混合物を濃縮し、水とCHClで抽出した。有機相を乾燥し、濃縮し、クロマトグラフィー(EtOAc)にかけると、所望アミノチアゾールが得られた。LCMS(M+H)=386.0。
【0145】
ステップE:CHCl 3mL中にステップDからのアミノチアゾール710mg(1.84mmol)を含有する0℃溶液にヨウ素608mg(2.39mmol)を加えた。溶液を室温まで昇温させ、16時間撹拌した。溶液をCHCl 10mLで希釈し、飽和NaHCOで洗浄した。有機層を濃縮し、クロマトグラフィー(20−100%EtOAc/ヘキサン)にかけると、5−ヨウ素化アミノチアゾールが得られた。LCMS(M+H)=511.9。
【0146】
ステップF:DMF 2mL中にステップEからの5−ヨウ素化アミノチアゾール59.8mg(0.12mmol)を含有する溶液にトリブチル(2−フリル)錫41.8mg(0.12mmol)を加えた。溶液を脱気し、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)4.1mg(0.01mmol)を加えた。溶液を90℃に16時間加熱した。溶液を冷却し、クロマトグラフィー(RPLC)にかけると、所望アミノチアゾールが得られた。H NMR(CDOD)δ 8.01(m,1H),7.89(d,J=2.74Hz,1H),7.45(s,1H),7.34(d,J=8.70Hz,2H),7.00(m,1H),6.95(m,2H),6.45(m,1H),6.31(d,J=3.4Hz,1H),3.86(s,3H),3.81(s,3H),3.47(m,1H),3.35(m,1H)。LCMS(M+H)=451.97。
【0147】
上記方法A〜Dを使用して上記実施例に記載したと同様に下記実施例の化合物を製造した。
【0148】
【表5】
























【0149】
上記表に示した化合物のうちにはその酸形態で表したものもあるが、本発明は上記化合物の塩形態と遊離塩基形態を含むものとする。
【0150】
以上、所定特定態様に関して本発明を記載及び例証したが、当業者に自明の通り、発明の精神と範囲から逸脱せずに手順とプロトコールの種々の応用、変更、変形、置換、削除及び追加が可能である。従って、本発明は特許請求の範囲により定義され、特許請求の範囲は妥当な範囲で広義に解釈すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

{式中、R
(1)−C1−6アルキル、
(2)−C2−6アルケニル、
(3)−C0−6アルキル−C3−6シクロアルキル、
(4)
【化2】

(5)フリル、ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、チエニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリル及びイソキノリルから構成される群から選択されるヘテロアリールから構成される群から選択され、
(a)前記アルキル、アルケニル又はシクロアルキルは置換されていないか又は1個以上のハロゲン、−C1−6アルキル、−C1−6アルコキシ、ヒドロキシもしくはシアノで置換されており、
(b)前記ヘテロアリールは置換されていないか又は1個以上のハロゲン、−C1−6アルキル、−C1−6アルコキシ、フェニル、ヒドロキシもしくはシアノで置換されており、
1a、R1b、R1c、R1d及びR1e
(a)水素、
(b)ハロゲン、
(c)シアノ、
(d)ヒドロキシル、
(e)−C1−6アルコキシ、
(f)−C(=O)−O−R7a
(g)−O−C0−6アルキル−C(=O)−R7a
(h)−N−R7a−S(O)−R7bから構成される群から選択されるか、
あるいはR1bとR1cは一緒になって−O−CH−O−又は−CH=CH−CH=CH−を形成し;
前記アリールは置換されていないか又は1個以上のハロゲン、−C1−6アルキル、−C1−6アルコキシ、ヒドロキシルもしくはシアノで置換されており;

(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)−C0−6アルキル−Q−C1−6アルキル(式中、QはO又はSである)、
(4)−C1−6アルキル、及び
(5)ヒドロキシルから構成される群から選択され;

(1)水素、
(2)−C1−6アルキル、
(3)−C0−6アルキル−C3−6シクロアルキル、
(4)−C0−6アルキル−Q−C1−6アルキル[式中、QはO、S又は−C(=O)−O−である]、
(5)
【化3】

(6)−CH−ヘテロアリール[前記ヘテロアリールはフリル、ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、チエニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリル及びイソキノリルから構成される群から選択される]から構成される群から選択され、
前記アルキル又はシクロアルキルは置換されていないか又は1個以上の
(a)ハロゲン、
(b)−C1−6アルキル、
(c)−C2−6アルケニル、
(d)−C1−6アルコキシ、
(e)−C6−10アリール、
(f)ヒドロキシル、もしくは
(g)シアノで置換されており、
前記ヘテロアリールは置換されていないか又は1個以上の
(a)−C1−6アルキル、
(b)−NR3f3gで置換されており、
前記式中、R3f及びR3g
(i)水素、
(ii)−C1−6アルキル、
(iii)−C1−6アルキルC6−10アリール(前記アリールは置換されていなくてもよいし、ハロゲン、シアノ、C1−6アルキル、又はC1−6アルコキシで置換されていてもよい)、又は
(iv)−C1−6アルキル−NR7a7bから構成される群から選択されるか、
あるいはN、R3f及びR3gは一緒になってR3f及びR3gに結合したN原子以外に場合によりN、S又はO原子を含む5又は6員複素環を形成し;
3a、R3b、R3c、R3d及びR3e
(i)水素、
(ii)ハロゲン、
(iii)シアノ、
(iv)ヒドロキシル、
(v)−C1−6アルキル、
(vi)−O−R7a
(vii)−(C=O)−O−R
(viii)−NR7a−S(O)OR7b
(ix)−NR7a−S(O)7b
(x)−C0−6アルキル−S(O)7a
(xi)−C(=O)−NR7a7b
(xii)−C(=O)−R
(xiii)−NH−C(=O)−R7a
(xiv)−C0−6アルキル−NR7a7b
(xv)−N
(xvi)−NO
(xvii)C6−10アリール[前記アリールは置換されていなくてもよいし、1個以上の
(A)ハロゲン、
(B)シアノ、
(C)−C1−6アルキル、
(D)−C1−6アルコキシ、
(E)−C(=O)−O−R7a
(F)−C(=O)−R7a
(G)−NR7a7b
(H)−NR7a−S(O)−R7b
(I)−NR7a−C(=O)−R7b
(J)−NOで置換されていてもよい]
(xviii)フリル、ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、チエニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリル及びイソキノリルから構成される群から選択されるヘテロアリール[前記ヘテロアリールは置換されていないか又は1個以上の
(A)−C1−6アルキル、もしくは
(B)−C1−6アルコキシで置換されている]から構成される群から選択されるか;
あるいはR3cとR3dは一緒になってフェニル又は−O−CH−O−基又は−CH=CH−CH=CH−基を形成するか;
あるいはRとRは一緒になって炭素環(A):
【化4】

[式中、Q
(1)−CR7a7b−、
(2)−CR7a7bCR7c7d−、
(3)−CR7a=CR7b−、
(4)−CR7a7bCR7c7dCR7e7f−、
(5)−CR7a=CR7bCR7c7d−、及び
(6)−CR7a7bCR7d=CR7e−から構成される群から選択される]を形成し;

(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)−C1−6アルキル、
(4)−C2−6アルケニル、
(5)−C2−6アルキニル、
(6)フェニル、
(7)ベンジル、並びに
(8)フリル、ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、チエニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリル及びイソキノリルから構成される群から選択されるヘテロアリールから構成される群から選択され、
前記アルキル、アルケニル、アルキニル及びフェニルは置換されていないか又は1個以上の
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)ヒドロキシル、
(d)フェニル、
(e)−C1−6アルキル、
(f)−C1−6アルコキシ、
(g)−C(=O)−O−R7a
(h)−C(=O)−R7a
(i)−NR7a7b
(j)−NR7a−S(O)−R7b
(k)−NR7a−C(=O)−R7b
(l)−NOで置換されており;
前記ヘテロアリールは置換されていないか又は1個以上の
(a)−C1−6アルキル、
(b)−C(=O)−O−R7a
(c)−C(=O)−R7a
(d)−NR3f3gで置換されており、
前記式中、R3f及びR3g
(i)水素、
(ii)−C1−6アルキル、
(iii)−C1−6アルキル−C6−10アリール[前記アリールは置換されていなくてもよいし、ハロゲン、シアノ、C1−6アルキルもしくはC1−6アルコキシで置換されていてもよい]、又は
(iv)−C1−6アルキル−NR7a7bから構成される群から選択されるか;
あるいはRとRは一緒になって6員炭素環(B):
【化5】

を形成してもよく、但し、RとRが一緒になって(B)を形成する場合には、RとRは水素又はC1−6アルキルから構成される群から選択され、X、X、X、X、X及びXは水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、シアノ、アルキルアリール又はフェニルから構成される群から選択されるか、
あるいはRとRは一緒になって7員炭素環(C):
【化6】

を形成してもよく、但し、RとRが一緒になって(C)を形成する場合には、RとRは水素、C1−6アルキル又はフェニルから構成される群から選択されるか、あるいはRとRは一緒になって−CHCHCHCH−基と結合することができ;Y、Y、Y、Y、Y、Y、Y及びYは水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、シアノ、アルキルアリール又はフェニルから構成される群から選択されるか、
あるいはRとY、又はRとYは一緒になって−CH−と結合するか、
あるいはRとY、又はYとYは一緒になってフェニル又はシクロペンチル環を形成し;
7a、R7b、R7c、R7d、R7e及びR7f
(1)水素、
(2)C1−6アルキル、及び
(3)C6−10アリールから構成される群から選択され;
前記アルキル又はアリールは置換されていないか又は1個以上のハロゲン、−C1−6アルキル、−C1−6アルコキシ、ヒドロキシルもしくはシアノで置換されており;

(1)水素、
(2)C1−6アルキル、及び
(3)C6−10アリールから構成される群から選択され、前記アリールは置換されていないか又は1個以上のハロゲン、−C1−6アルキル、−C1−6アルコキシ、ヒドロキシもしくはシアノで置換されており;
nは0、1、2又は3であり;
mは0又は1であり;
pは1又は2である}の化合物及び医薬的に許容可能なその塩、並びにその個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項2】

(1)−C1−6アルキル、
(2)−C0−6アルキル−C3−6シクロアルキル、
(3)
【化7】

及び
(4)−CH−ヘテロアリール(前記ヘテロアリールはフリル、ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、チエニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリル及びイソキノリルから構成される群から選択される)から構成される群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項3】

【化8】

であり、nが1である請求項2に記載の化合物。
【請求項4】

【化9】

であり、mが0である請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
1a、R1b、R1d及びR1eが水素であり、R1cがハロゲン、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから構成される群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が水素である請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
が水素である請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
式(III):
【化10】

の化合物である請求項1に記載の化合物。
【請求項9】

【化11】

であり、mが0である請求項8に記載の化合物。
【請求項10】

(1)−CR7a7b−、
(2)−CR7a7bCR7c7d−、及び
(3)−CR7a7bCR7c7dCR7e7f−から構成される群から選択される請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
1dがハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ及びシアノから構成される群から選択され、R1a、R1b、R1c及びR1eが水素である請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
1b及びR1dがハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ及びシアノから構成される群から選択され、R1a、R1c及びR1eが水素である請求項9に記載の化合物。
【請求項13】
が−CHCH−及び−CHCHCH−から構成される群から選択される請求項8に記載の化合物。
【請求項14】
式(IV):
【化12】

の化合物である請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
とRが水素である請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
式(V):
【化13】

の化合物である請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
【化14】


から構成される群から選択される請求項1に記載の化合物及び医薬的に許容可能なその塩。
【請求項18】
【化15】
























から構成される群から選択される請求項1に記載の化合物及び医薬的に許容可能なその塩。
【請求項19】
治療有効量の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩と医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する医薬組成物。
【請求項20】
治療有効量の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を患者に投与することを含む治療を必要とする患者におけるアルツハイマー病の治療方法。
【請求項21】
治療有効量の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を対象に投与することを含む阻害を必要とする対象におけるHIVプロテアーゼの阻害方法。
【請求項22】
治療有効量の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を対象に投与することを含む治療を必要とする対象におけるHIV感染の治療方法。
【請求項23】
治療有効量の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を対象に投与することを含む治療を必要とする対象におけるエイズの治療方法。

【公表番号】特表2007−530696(P2007−530696A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506409(P2007−506409)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/010224
【国際公開番号】WO2005/097767
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】