説明

アズグロン人工水晶、アズグロン人工水晶の製造方法、治具、ランバード人工水晶及びランバード人工水晶の製造方法

【課題】結晶方位に沿って形成された主面及び側面が夫々Z面及びX面をなす板状または棒状の種子水晶から水熱合成法により育成したアズグロン人工水晶の製造後の後工程であるランバード加工を容易に行うことができるアズグロン人工水晶を提供する。
【解決手段】種子水晶2のY軸方向の端部にて2つのZ面及び2つのX面のうちの少なくとも1つの面に密着して当該面をオートクレーブ内の育成溶液の対流から遮蔽するための遮蔽面31Aを形成する本体3(3A),3(3B)と、この遮蔽面31Aに向かってその復元力が作用する弾性体33と、を備え、遮蔽面31Aと弾性体33との間に弾性体33の復元力に抗して種子水晶2の端部を位置させることにより、遮蔽面31Aを端部に密着させる治具3A,3Bを用いて育成する。弾性体33を利用することで確実に遮蔽面31A,32Aと種子水晶2を密着させることができ、種子水晶2の破損も抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は結晶方位に沿って形成された種子水晶から水熱合成法により製造したアズグロン人工水晶、アズグロン人工水晶の製造方法、当該アズグロン人工水晶の製造方法に用いられる治具、ランバード人工水晶及びランバード人工水晶の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学素子や水晶振動子などに用いられる水晶片の材料となる人工水晶を製造するにあたっては、例えば平板状や角棒状に形成された種子水晶をオートクレーブと呼ばれる圧力容器内に収容し、水酸化ナトリウム溶液等の高温・高圧の育成溶液に溶解させた原料クズ水晶を前記種子水晶の表面に析出させる水熱合成法と呼ばれる手法によって、アズグロン人工水晶と呼ばれる人工水晶を形成する工程が含まれる。
【0003】
前記種子水晶については、その主面であるZ面(結晶のZ軸と直交する2つのX−Y平面)、側面であるX面(結晶のX軸と直交する2つのY−Z平面)の夫々の方位及び厚みが所定の精度で規格化されており、各面の精度は所定角±15分程度の範囲に収まるように構成されている。図13は、水熱合成法を行うにあたりオートクレーブへ搬入された前記種子水晶の一例について示したものである。種子水晶11には超音波加工機などでその表裏方向に孔11aが形成されており、その孔11a及び例えば針金などからなる留め具13を介して種子水晶11が当該種子水晶11の上下に配置された育成枠12a,12bに対して固定されている。
【0004】
水熱合成法により種子水晶11から種子水晶11のアズグロン人工水晶を育成した後は、当該アズグロン人工水晶を所定の方向から研削することにより基準面を創生した後、この基準面の角度をX線回折により測定し、その測定結果に基づいてアズグロン人工水晶のX面、Z面について夫々角度調整及び研削を繰り返し行い、アズグロン人工水晶の大きさが所定の大きさとなると共に一般的にアズグロン人工水晶のX面、Z面の各面の角度の精度が上述の種子水晶のX面、Z面の角度の精度と夫々同程度になるように形状加工される。この研削加工処理はランバード加工と呼ばれており、当該ランバード加工を受けたアズグロン人工水晶はランバード人工水晶と呼ばれる。ランバード加工は、後工程でランバード人工水晶から精度高く水晶片を切り出すために、水晶の結晶軸及び結晶面を明確にするために行われる。
【0005】
しかしアズグロン人工水晶をランバード加工するにあたっては上記のようにX面、Z面夫々について角度調整及び寸法調整を繰り返し行うなどの多数の工程が必要になるため非常にコストや手間がかかるという問題があった。
【0006】
ところで、他のアズグロン人工水晶の育成方法として特許文献1には、種子水晶の上下に配置される育成枠に夫々孔(またはスリット)を形成し、種子水晶11の両端部を夫々前記孔に直接差し込み、前記育成枠に種子水晶を保持して水熱合成法を行い、アズグロン人工水晶の育成を行う手法が記載されている。
【0007】
この特許文献1の手法によれば、アズグロン人工水晶の育成中に種子水晶11の両端部における前記孔の周面との接触面には結晶が付着しないため、アズグロン人工水晶の育成後も種子水晶11の表面が露出しているとされている。従って、アズグロン人工水晶の育成後、当該アズグロン人工水晶から育成枠から取り外し、この露出した種子水晶のZ面及びX面を確認してランバード加工時の種子位置を容易にできるとしている。
【0008】
しかし、この特許文献1の手法において、種子水晶の両端部はこの育成枠に夫々密着して成長するため、アズグロン人工水晶が育成された後、当該人工水晶を育成枠から取り外す際に露出している種子水晶の表面が割れたり、クラックが入ったりすることで、ランバード加工を行う時までこの露出した種子水晶のX面及びZ面が維持されないおそれがある。
【0009】
また、現実に種子水晶の断面と全く同一のサイズを持った孔に種子水晶を差し込むことは種子水晶の破損を引き起こすおそれがあるため、図14(a)に示すようにその育成枠12a,12bに形成する各孔15は種子水晶11の端部より少なくとも若干大きく形成されていると考えられる。しかし、そのように育成枠12a,12bに形成した孔15に、種子水晶11の端部を夫々差し込んでアズグロン人工水晶1の育成を行うと、育成中に前記端部は孔15内を移動し、孔15と種子水晶11の端部との隙間に結晶が析出してしまい、図14(b)に示すようにアズグロン人工水晶1の端部に種子水晶11の表面が露出せず、人工水晶1の育成後に種子水晶のZ面及びX面の精度が反映された面が維持されないおそれがある。
【0010】
また、上記のように育成枠12a,12bの各孔15が種子水晶11の端部よりも大きく形成された場合、各育成枠12a,12bの互いの位置合わせの精度が悪いと、図14(c)に示すように種子水晶11が斜めに保持され、各孔15の周面に種子水晶11の端部がさらに密着し難くなった状態でアズグロン人工水晶1が育成される(図14(d))。このように各育成枠12a,12bを位置合わせの精度が、人工水晶1の育成後の当該人工水晶1の端部のZ面及びX面の精度に反映されることになるため、各育成枠12a,12bを精度高く位置合わせすることが必要になり、手間がかかるうえ、当該位置合わせは極めて困難である。
【0011】
以上のように特許文献1の手法においては種子水晶11のZ面及びX面をアズグロン人工水晶1の形成後も当該アズグロン人工水晶1のZ面及びX面として露出させると説明されているが、実際にはそのように種子水晶11のZ面及びX面を露出することは難しく、またアズグロン人工水晶1中における種子水晶11の位置もばらつくので、結果としてランバード加工時には上述のようにX線回折や各面の角度調整などの手間がかかってしまうと考えられる。
【特許文献1】昭54−60292
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上述の問題を解決するためになされたものであり、その課題は結晶方位に沿って形成された主面及び側面が夫々Z面及びX面をなす板状または棒状の種子水晶から水熱合成法により育成したアズグロン人工水晶の製造後の後工程であるランバード加工を容易に行うことができるアズグロン人工水晶、そのアズグロン人工水晶の製造方法、アズグロン人工水晶の製造に用いられる治具、前記アズグロン人工水晶から製造したランバード人工水晶及びそのランバード人工水晶の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のアズグロン人工水晶は、結晶方位に沿って形成された主面及び側面が夫々Z面及びX面をなす板状または棒状の種子水晶から水熱合成法により育成したアズグロン人工水晶において、
種子水晶のY軸方向の端部にて2つのZ面及び2つのX面のうちの少なくとも1つの面に密着して当該面をオートクレーブ内の育成溶液の対流から遮蔽するための遮蔽面を形成する本体と、この遮蔽面に向かってその復元力が作用する弾性体と、を備え、前記遮蔽面と弾性体との間に弾性体の復元力に抗して種子水晶の端部を位置させることにより、前記遮蔽面を当該端部に密着させる治具を用いて育成されたことを特徴とする。
【0014】
このアズグロン人工水晶は、例えば前記治具が密着したままであり、前記本体は遮蔽面とは反対側の面が前記結晶方位に沿ったランバード加工における基準面となる面状体であり、前記弾性体は例えば板ばねにより構成されている。前記本体は、例えば種子水晶のZ面及びこのZ面の両側のX面に密着する遮蔽面を形成するコ字型部材により構成され、前記弾性体は、Z面を遮蔽する遮蔽面と共に種子水晶の端部を挟持するように構成されている。
【0015】
前記冶具は、前記遮蔽面が前記Y軸方向における一端部、他端部にて種子水晶の前記Z面及びX面のうち同一面に夫々密着するように組として構成されてもよく、また、オートクレーブ内で種子水晶を保持するための保持部を備えていてもよい。
【0016】
本発明のアズグロン人工水晶の製造方法は、結晶方位に沿って形成された主面及び側面が夫々Z面及びX面をなす板状または棒状の種子水晶から水熱合成法によって製造されるアズグロン人工水晶の製造方法において、
遮蔽面を形成する本体と、当該遮蔽面に向かってその復元力が作用する弾性体と、を備えた治具の前記遮蔽面と弾性体との間に弾性体の復元力に抗して種子水晶の端部を位置させる工程と、
前記遮蔽面を種子水晶のY軸方向の端部にて2つのZ面及び2つのX面のうちの少なくとも1つの面に密着させる工程と、
遮蔽面により遮蔽された種子水晶の端部をオートクレーブ内の育成溶液の対流から遮蔽する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0017】
本発明の治具は、結晶方位に沿って形成された主面及び側面が夫々Z面及びX面をなす板状または棒状の種子水晶から水熱合成法により育成したアズグロン人工水晶の製造に用いられる治具において、
種子水晶のY軸方向の端部にて2つのZ面及び2つのX面のうちの少なくとも1つの面に密着して当該面をオートクレーブ内の育成溶液の対流から遮蔽するための遮蔽面を形成する本体と、
この遮蔽面に向かってその復元力が作用する弾性体と、
を備え、
前記遮蔽面と弾性体との間に弾性体の復元力に抗して種子水晶の端部を位置させることにより、前記遮蔽面を当該端部に密着させることを特徴とする。
【0018】
本発明のランバード人工水晶は、上述のアズグロン人工水晶について、前記治具の遮蔽面に密着された種子水晶の密着面に平行するように、当該アズグロン人工水晶の表面を研削することを特徴とする。また、本発明のランバード人工水晶の製造方法は、上述のアズグロン人工水晶について、前記治具の遮蔽面に密着された種子水晶の密着面に平行するように、当該アズグロン人工水晶の表面を研削する工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明のアズグロン人工水晶においては、治具の遮蔽面と当該遮蔽面に向かってその復元力が作用する弾性体との間に、その復元力に抗して種子水晶の端部を位置させ、当該種子水晶のZ面及びX面のうちの少なくとも1つの面に前記遮蔽面を密着させ、その遮蔽面が密着した種子水晶の端部をオートクレーブ内における結晶を成長させるための育成溶液の対流から遮蔽して、水熱合成法により育成している。従って、このアズグロン人工水晶の前記遮蔽面に密着された端部は結晶の成長が抑えられるため、この端部を基準にすることでランバード加工が容易になる。また、本発明によれば弾性体を用いて治具の遮蔽面を種子水晶に密着させることで、背景技術の欄に示したように種子水晶の端部を治具に設けられた孔に挿入して前記端部の成長を抑える方法に比べて、治具の装着時における種子水晶の破損を抑え、且つより確実に治具と種子水晶とを密着させて種子水晶の端部の成長を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
先ず本実施形態でアズグロン人工水晶を製造するために用いられる種子水晶2について図1を参照しながら説明する。種子水晶2は水晶原石から結晶軸(X、Y、Z軸)に沿ってブレードソーやワイヤソーなどにより切り出されており、例えばY軸方向に長い板状に形成され、その表裏2つの主面、両側面はZ軸と直交するX−Y平面(Z面)、X軸と直交するY−Z平面(X面)により夫々構成されている。また、背景技術の欄に示したように種子水晶2の厚さや各面の精度は所定の規格に適合するように構成されている。アズグロン人工水晶の育成速度は軸方向によって異なり、Z軸>X軸>Y軸の順に大きくなる(Y軸方向にはほとんど成長しない)。この実施の形態では種子水晶2の表裏2つのZ面及び左右2つのX面において結晶が成長して人工水晶が育成される。
【0021】
続いてアズグロン人工水晶を形成するために用いられる治具3についてそれを各方向から示した図2(a)〜図2(d)を参照しながら説明する。この治具3は後述するオートクレーブ5内で種子水晶2を保持すると共に種子水晶2のY軸方向の端部のZ面及びX面に密着することで、その密着部における人工水晶の成長を抑える役割を有する。治具3は面状体であるZ面遮蔽部31と、その両側に設けられた面状体であるX面遮蔽部32,32とにより構成されたコ字型の冶具本体30と、押圧部33,33と、後述するようにオートクレーブ5内の支持枠41,42に接続されるために用いられる保持部34,34とにより構成されている。
【0022】
治具3は例えば図3に示すような一体的に形成された、均一な厚さ例えば0.3mmの厚さを有する金属板36から製造されている。金属板36は帯状部37と、帯状部37の長さ方向に直交するように並行するように当該帯状部37から伸び出した爪部38,38と、を備えており、また前記保持部34,34が、帯状部37から爪部38,38の伸長方向と同じ方向に突出するように形成されている。金属板36の素材としては卑金属であっても貴金属であってもよいが、経済性、加工性などの性質を考慮すると、SUS430箔により構成することが好ましい。
【0023】
帯状部37の長さ方向における両端部を両端部間の中央部に対して直角に各々折り曲げて互いに対向させることにより、前記X面遮蔽部32,32が形成されている。また爪部38,38の基端側はそのX面遮蔽部32,32の先端が向かう方向へと折り曲げられ、そして爪部38,38の先端側は途中でZ面遮蔽部31に向かった後、Z面遮蔽部31から離れるように2度屈曲されて「く」の字に形成されることで押圧部33,33が形成されている。保持部34,34には夫々厚さ方向に穿孔された孔35,35が穿孔されている。
【0024】
後述のように種子水晶2の各面に密着できるように治具3は、種子水晶2の大きさに応じて構成されており、図2(a)に示すZ面遮蔽部31の長さ方向の大きさ、幅方向の大きさL1,L2は夫々例えば42.3mm、10mmである。また、図2(b)に示すZ面遮蔽部31と各X面遮蔽部32,32とのなす各θは90°であり、各X面遮蔽部32,32のZ面遮蔽部31に直交する長さ方向の大きさL3は例えば15mmである。また、図中L4で示す、種子水晶2を押圧する押圧部33の先端側と、Z面遮蔽部31との距離は0.7mmである。尚、種子水晶2の厚みは約1mmである。
【0025】
また、Z面遮蔽部31、X面遮蔽部32において、コ字型の治具本体30の内側を構成する面は種子水晶2のZ面、X面と夫々密着し、オートクレーブ内の育成溶液の対流から遮蔽するための遮蔽面31A,32Aとして構成されている。また、遮蔽面31A,32Aと夫々反対の面は、ランバード加工を行うときに使用される研削加工用基準面31B,32Bとして夫々構成されている。
【0026】
この治具3は二個を一組として使用される。図4は種子水晶2を2つの治具3に装着し、人工水晶を育成するために後述するオートクレーブ5に搬入した状態を示しており、種子水晶2の長さ方向(Y軸方向)の一端及び他端は、各治具3のZ面遮蔽部31と押圧部33,33との間に形成された各隙間33Aに、種子水晶2の一方側のZ面が各Z面遮蔽部31の遮蔽面31Aに被覆されるように差し込まれる。そして隙間33Aに種子水晶2が差し込まれた状態で、板ばねである押圧部33は遮蔽面31Aに向けてその復元力が作用し、種子水晶2の端部は遮蔽面31Aと押圧部33との間に押圧部33の復元力に抗して位置することになり、種子水晶2のZ面は遮蔽面31Aに密着する。また、このように種子水晶2の端部のZ面が遮蔽面31Aに密着した状態において、種子水晶2の端部のX面がX面遮蔽部32の遮蔽面31Bに密着した状態になる。
【0027】
以降は図4のように起立した状態の種子水晶2の上部側、下部側に装着されている治具3を夫々3A,3Bとして説明する。このように治具3A,3Bを種子水晶2に装着したときに各治具3A,3BのZ面遮蔽部31は種子水晶2の一方の主面における長さ方向の一端、他端に夫々密着し、且つ治具3A、治具3BのX面遮蔽部32,32は種子水晶2の両側面におけるY軸方向の一端、他端に夫々密着する。本実施形態においては種子水晶2の2つのZ面のうちZ面遮蔽部31が密着する側、その反対側を種子水晶2の夫々裏面、表面と呼び、また種子水晶2の表面に向かって右側、左側が夫々種子水晶2の-X面、+X面となるように各種子水晶2の固定が行われるものとする。
【0028】
図4中41,42は夫々治具3A,3Bを支持するための育成枠である。育成枠41はフック43を備えており、このフック43は治具3Aの保持部34の孔35に挿通され、治具3Aが懸垂されて育成枠41に取り付けられる。また、治具3Bの孔35には例えば針金からなる留め具44が通され、その留め具44が育成枠42に巻きつけられることにより、種子水晶2を保持した治具3Bが当該育成枠42に取り付けられる。
【0029】
このように各冶具3A,3Bの保持部34が育成枠41,42に取り付けられることで種子水晶2が育成枠41,42に例えば起立状態で保持される。図4では育成枠41,42は一部のみ示しているが、実際は、これら育成枠41,42は例えばリング状に形成されており、横方向に多数の種子水晶2を配置することができるようになっている。
【0030】
続いて本実施形態において使用するオートクレーブ5についてその縦断面の概要を示した図5を用いて説明する。このオートクレーブ5は、水熱合成法により人工水晶を育成するための装置であり、オートクレーブ5は、特殊鋼製の円筒容器であるオートクレーブ本体51と、このオートクレーブ本体51を密閉するための金属蓋52と、オートクレーブ本体51内を加熱するためのヒーター53とから構成されている。なお、図中に示した直交軸(X、Y、Z)は、オートクレーブ5の設置されている方向を示している。オートクレーブ5は円筒形状をなすオートクレーブ本体51の中心軸が設置面に対して垂直(Z軸方向)となるように設置されている。
【0031】
オートクレーブ本体51内部の空間は、バッフル板(対流制御板)52によって上部空間51aと下部空間51bとに仕切られている。上部空間51aには、上述のように種子水晶2を支持した複数の育成枠41,42を積層して収容できるようになっている。
【0032】
一方、下部空間51bには例えば円筒形でかご状のラスカ容器56を配置してあり、このラスカ容器56内に人工水晶の原料となるラスカ(屑水晶)50が格納されている。また上部空間51aと下部空間51bとは、バッフル板52に多数設けられた貫通孔52aによって連通しており、オートクレーブ本体51内の空間(上部空間51aと下部空間51bとの両空間)内に満たされた水酸化ナトリウム溶液等の育成溶液59を上部空間51aと下部空間51bとの間で対流させることができるようになっている。
【0033】
ヒーター54は、上部空間51a内を上部から下部へ向けて例えば300〜350℃の温度で加熱し、下部空間51b内を同じく例えば360〜400℃の温度で加熱するように構成されている。この他金属蓋52には、オートクレーブ本体51内の圧力を計測するための圧力計57が備えており、アズグロン人工水晶6の育成中、オートクレーブ本体51内は例えば1,000〜1,500kgf/cm2程度の圧力に維持されるようになっている。
【0034】
続いて上記の種子水晶2から水熱合成法によりアズグロン人工水晶6を育成する工程について説明する。先ず図6(a)に示すように上記の種子水晶2の一端、他端が夫々治具3(3A)、3(3B)のX面遮蔽部32に沿って押圧部33とZ面遮蔽部31との隙間33Aに挿入され、板ばねとして構成された押圧部33が外方へと撓み、その復元力により種子水晶2の表面(Z面)をZ面遮蔽部31へ向けて押圧する。そして、種子水晶2の裏面(Z面)がZ面遮蔽部31の遮蔽面31Aに密着し、種子水晶2の+X面、-X面に密着した各X面遮蔽部32の遮蔽面32A,32Aと共に種子水晶2を挟持する。
【0035】
続いて図6(c)及び図4に示すように治具3(3A)が育成枠41のフック43に懸垂され、続いて治具3(3B)が育成枠42に対して留め具44を介して固定されることにより図7(a)に示すように育成枠41,42に対して複数の種子水晶2が固定される。
【0036】
続いて種子水晶2が保持された育成枠41,42をオートクレーブ5の上部空間51aに収容すると共にオートクレーブ本体51内に育成溶液59を満たし、ヒーター53で加熱するとラスカ容器56内のラスカ50が育成溶液59に溶解する。ラスカ50を溶解した結晶を成長させるための育成溶液59は上部空間51aと下部空間51bとに形成されている温度勾配により対流を生じて、上部空間51aへと上昇する。
【0037】
図8、図9は夫々治具3Aに支持された種子水晶2の上端側におけるZ面、X面の結晶が夫々成長する様子を示している。図示は省略するが治具3Bに支持された種子水晶2の下端側においてもこの上端側と同様に成長する。矢印で示すように下部空間51bから上部空間51bに育成溶液59が流れ込むと、上部空間51aは下部空間51bと比較して温度が低く設定されているので、その育成溶液59は冷却されて過飽和状態となり、液中に含まれるSiO分子が種子水晶2の表面に析出して結晶が育成される。
【0038】
このとき図8(a)、図9(a)に示すように種子水晶2のZ面における遮蔽面31Aとの密着部及び種子水晶2のX面における遮蔽面31Bとの密着部では、SiO分子を含んだ前記育成溶液59の液流との接触が妨げられるため、結晶の成長が抑制される。その後、対流により育成溶液59は下部空間51bに流れ込む。このようにして図8(b)、(c)及び図9(b)、(c)に示すように種子水晶2において各治具3A,3Bの遮蔽面31A,31Bに被覆されておらず、露出している部分についてZ方向及びX方向に向かって夫々結晶が成長し、図7(b)に示すようにアズグロン人工水晶6が育成される。育成されたアズグロン人工水晶6はオートクレーブ5から取り出される。
【0039】
図10(a)、(b)、(c)には夫々−X方向側、Z方向側、Y方向側から見た前記アズグロン人工水晶6を示している。なお、オートクレーブ5から種子水晶2が搬出された後も治具3A,3Bは当該種子水晶2に取り付けられたままになっている。上述のように種子水晶2の端部にて治具3A、3BのZ面遮蔽部31の遮蔽面31Aとの密着部は、結晶が成長していないため種子水晶2の表面により構成される。従って各治具3A,3Bの前記遮蔽面31A,31Aの反対の面である研削加工用基準面31B,31Bは互いに同一平面上に存在し、種子水晶2のZ面に平行している。
【0040】
また、種子水晶2の+X面、−X面夫々において治具3A、3BのX面遮蔽部32との密着部についても上述のように結晶が成長していないため、種子水晶2の表面により構成される。従って各治具3A,3Bの前記遮蔽面32B,32Bの反対の面である研削加工用基準面32B,32Bは互いに同一平面上に存在し、種子水晶2のX面に平行している。
【0041】
続いてこのアズグロン人工水晶6を例えばロータリー研削盤7を用いてランバード加工し、所定の大きさに調整する工程について図を参照しながら説明する。図11(a)中71はロータリー研削盤7を構成する下盤であり、この下盤71上には研削用段部72,72が設けられている。研削用段部72の上側は水平な載置面73,73として構成されており、これら載置面73,73は互いに同一の高さとなるように構成されている。載置面73,73上には昇降自在に構成されたダイヤモンドホイールなどからなる昇降部74が設けられている。昇降部74は研削部75を備え、研削部75はアズグロン人工水晶6の各面を研削して、平坦化できるようになっている。
【0042】
先ず、図11(a)に示すように載置面73,73上に夫々治具3,3のZ面遮蔽部31,31の研削加工用基準面31B,31Bが載置され、各治具3が例えば不図示の固定具により各載置面73上に固定される。Z面遮蔽部31,31はアズグロン人工水晶6中の種子水晶2のZ面である主面密着部21,21に密着しているため、このように載置面73上にZ面遮蔽部31が載置されると、前記種子水晶2のZ面の角度はZ面遮蔽部31の厚み精度の範囲内で維持される。この場合、上述のようにZ面遮蔽部31の厚さは均一であるため、このようにアズグロン人工水晶6が載置面73,73に載置されたとき、アズグロン人工水晶6中の種子水晶2のZ面は載置面73,73と平行に保たれる。
【0043】
また、Z面遮蔽部31の厚みを考慮することで例えば載置面73に対する種子水晶2の載置面73に対する高さ位置を決定し、その高さ位置に基づいて昇降部75の下降量を設定する。そして、図11(b)に示すようにその設定した下降量に従って昇降部75を下降させて、アズグロン人工水晶6の表面(Z面)が種子水晶2の載置面73に平行すると共にそのアズグロン人工水晶6の表面(Z面)から種子水晶2までの距離が所定の大きさになるように当該アズグロン人工水晶6の表面の研削を行う。
【0044】
続いて図11(c)に示すように研削されたアズグロン人工水晶6の表面(ランバード面)を載置面73上に載置し、載置面73からの種子水晶2の高さ位置に応じて、昇降部75を下降させて、アズグロン人工水晶6の裏面(Z面)が載置面73,73に平行すると共にそのアズグロン人工水晶6の裏面(Z面)から種子水晶2までの距離が所定の大きさになるようにアズグロン人工水晶6の裏面の研削を行う(図11(d))。尚、研削されたアズグロン人工水晶の表面(ランバード面)のZ面を載置面73上に設置せず、直接下盤71に載置した後、アズグロン人工水晶6の裏面(Z面)から種子水晶2までの距離が所定の大きさになるよう、アズグロン人工水晶6の裏面の研削を行ってもよい。
【0045】
然る後、図12(a)に示すように載置面73,73に夫々種子水晶2の−X面側を被覆するX面遮蔽部32,32の研削加工用基準面32B,32Bが載置される。これらX面遮蔽部32,32の遮蔽面32B,32Bもアズグロン人工水晶6中の種子水晶2の−X面に密着し、X面遮蔽部32,32の厚さは均一であるため、載置面73上にX面遮蔽部32,32が載置されると、上述のように種子水晶2の−X面、+X面は載置面73,73と平行に保たれる。続いてX面遮蔽部32の厚みを考慮することで載置面73に対する種子水晶2の高さ位置を決定し、その高さ位置に基づいてZ面の研削時と同様に昇降部74の下降量を設定する。そしてその設定に基づいて昇降部74を下降させて、アズグロン人工水晶6の+X面が載置面73,73に平行すると共にそのアズグロン人工水晶6の+X面から種子水晶2までの距離が所定の大きさになるように当該アズグロン人工水晶6の+X面の研削を行う。
【0046】
その後、図11(b)に示すように載置面73,73に夫々種子水晶2の+X面側を被覆するX面遮蔽部32,32の研削加工用基準面32B,32Bが載置される。この場合もX面遮蔽部32,32の遮蔽面32B,32Bが種子水晶2の+X面に密着し、X面遮蔽部32,32の厚さは均一であることから種子水晶2の−X面、+X面は載置面73,73と平行に保たれる。続いてX面遮蔽部32の厚みを考慮することで載置面73に対する種子水晶2の高さ位置を決定し、その高さ位置に基づいて+X面の研削時と同様に昇降部74の下降量を設定する。そして、その設定に基づいて昇降部74を下降させて、アズグロン人工水晶6の−X面が載置面73,73に平行すると共にそのアズグロン人工水晶6の−X面から種子水晶2までの距離が所定の大きさになるように当該アズグロン人工水晶6の−X面の研削を行い、ランバード人工水晶70が形成される。尚、+X面と−X面の研削順は上記と逆でも良い。尚、研削された+X面を直接下盤71に載置して、種子水晶2の高さ位置を決定し、その高さ位置に基づいて+X面の研削時と同様に昇降部74の下降量を設定し、研削しても良い。
【0047】
このようにアズグロン人工水晶6の各X面及びZ面の研削が行われて形成された図12(c)に示すランバード人工水晶70は所定の方向からカットされることで、水晶振動子などを構成する水晶片が形成される。
【0048】
この実施形態によれば、治具3の遮蔽面31Aと当該遮蔽面31Aに向かってその復元力が作用する押圧部33との間に、その押圧部33の復元力に抗して種子水晶2の端部を位置させ、当該種子水晶2のZ面に前記遮蔽面31Aを密着させて、オートクレーブ5内の結晶を成長させるための対流を遮蔽した状態で水熱合成法によりアズグロン人工水晶6を育成しているので、種子水晶2において遮蔽面31Aが密着した密着部の結晶の成長が抑えられている。尚、種子水晶のX、Z面の各精度は背景技術の欄で示したように所定角±15分程度の範囲に収まるように加工されている。従って、アズグロン人工水晶6の育成後、遮蔽面31Aの反対の研削加工用基準面31Bは種子水晶2のZ面と平行になっており、またZ面遮蔽部31の厚さを考慮することで研削加工用基準面31Bからの種子水晶2の位置を算出することができるので、背景技術の欄に示したようなアズグロン人工水晶6のZ面の研削を行う前にX線回折による当該Z面の角度測定やその測定後の角度調整などの処理を行わなくても研削加工用基準面31Bを用いてアズグロン人工水晶6の表裏のZ面を研削することができる。従って、ランバード加工の手間が軽減され、ランバード加工に必要なコストを抑えることができる。
また、遮蔽面31AをZ面に密着させるにあたり、弾性体である押圧部33が撓み、そしてその復元力が種子水晶2を遮蔽面31Aに向けて作用し、Z面が当該遮蔽面31Aに密着することにより、背景技術の欄で説明したように種子水晶2を孔の中に挿入すること比べて当該種子水晶2の破損を抑え、且つより確実に種子水晶2の面を前記オートクレーブ5の対流から遮蔽することができる。
【0049】
また、この治具3は、種子水晶2のZ面をZ面遮蔽部31の遮蔽面31Aに密着させたときにX面遮蔽部32の遮蔽面32Aが種子水晶2のX面に密着し、アズグロン人工水晶6育成中において種子水晶2の端部のX面の結晶成長が抑えられる。従ってアズグロン人工水晶6育成後、遮蔽面32Aと反対の研削加工用基準面32Bは種子水晶2のX面と平行になっており、またX面遮蔽部31の厚さを考慮することで研削加工用基準面32Bからの種子水晶2の位置を算出することができるので、背景技術の欄に示したようなアズグロン人工水晶6のZ面の研削を行う前にX線回折による当該Z面の角度測定やその測定後の角度調整などの処理を行わなくてもアズグロン人工水晶6の+X面、−X面を研削することができる。従って、ランバード加工の手間が軽減され、ランバード加工に必要なコストをより抑えることができる。
【0050】
また、本実施形態によれば上述のようにアズグロン人工水晶6中の種子水晶2の位置が分かり、それに応じて研削部75を備えた昇降部74の下降量をセットすることでアズグロン人工水晶6の各X面及びZ面を平坦化させると共にランバード人工水晶の寸法を制御することができる。従ってアズグロン人工水晶6の各面を研削して平坦化した後、寸法調整を別途行うような場合に比べて処理工程を簡略化することができる。
【0051】
また、治具3は、オートクレーブ5の支持枠41,42に接続され、支持枠41,42に対して種子水晶2を保持するための保持部34を備えているので、背景技術の欄に示したように種子水晶2に超音波加工機などで支持枠41,42への固定用の孔などを設ける必要がないため、アズグロン人工水晶6の製造にかかる手間が抑えられる。
【0052】
また、上述の実施形態において、アズグロン人工水晶6を形成した後、ランバード加工を行う前に治具3をアズグロン人工水晶6の端部から取り外し、遮蔽面31A、31Bに被覆されていた各面を上述のように載置部72の載置面73に載置してランバード加工を行ってもよい。ただし、取り外す際にアズグロン人工水晶6の端部が破損するおそれがあるので上述のように治具3の研削加工用基準面31B,32Bを載置面73に載置して研削を行う方が好ましい。
【0053】
上記の手順に従って形成したランバード人工水晶の各加工面の角度偏差について測定した。表1はその測定結果を示したものであり、その角度偏差は規格の範囲内に収まっていた。従って背景技術の欄に示したようにアズグロン人工水晶6のX面及びZ面を研削する前にこれらの各面の角度調整などを行う必要がなくなるため、ランバード加工工程における手間やコストを抑えることができる。
(表1)

【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態のアズグロン人工水晶の育成に用いられる種子水晶の斜視図である。
【図2】前記種子水晶が装着されて保持される治具を各方向から示した説明図である。
【図3】前記治具を構成する金属板を示した平面図である。
【図4】前記治具に種子水晶が装着された状態を示す斜視図である。
【図5】種子水晶からアズグロン人工水晶を育成するオートクレーブの縦断側面図である。
【図6】種子水晶からアズグロン人工水晶の育成工程を示した工程図である。
【図7】種子水晶からアズグロン人工水晶の育成工程を示した工程図である。
【図8】種子水晶のX面側から見た、当該種子水晶の端部において結晶が成長する様子を示した説明図である。
【図9】種子水晶のX面側から見た、当該種子水晶の端部において結晶が成長する様子を示した説明図である。
【図10】育成されたアズグロン人工水晶の各面を示した説明図である。
【図11】前記アズグロン人工水晶からランバード人工水晶を形成する工程を示した工程図である。
【図12】前記アズグロン人工水晶からランバード人工水晶を形成する工程を示した工程図である。
【図13】従来の種子水晶の保持方法について説明した説明図である。
【図14】他の従来の種子水晶の保持方法について説明した説明図である。
【符号の説明】
【0055】
3(3A),(3B) 治具
31 主面遮蔽部
32 側面遮蔽部
33 クリップ部
41,42 育成枠
5 オートクレーブ
6 アズグロン人工水晶
70 ランバード人工水晶

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶方位に沿って形成された主面及び側面が夫々Z面及びX面をなす板状または棒状の種子水晶から水熱合成法により育成したアズグロン人工水晶において、
種子水晶のY軸方向の端部にて2つのZ面及び2つのX面のうちの少なくとも1つの面に密着して当該面をオートクレーブ内の育成溶液の対流から遮蔽するための遮蔽面を形成する本体と、この遮蔽面に向かってその復元力が作用する弾性体と、を備え、前記遮蔽面と弾性体との間に弾性体の復元力に抗して種子水晶の端部を位置させることにより、前記遮蔽面を当該端部に密着させる治具を用いて育成されたことを特徴とするアズグロン人工水晶。
【請求項2】
アズグロン人工水晶は前記治具が密着したままであり、前記本体は遮蔽面とは反対側の面が前記結晶方位に沿ったランバード加工における基準面となる面状体であることを特徴とする請求項1記載のアズグロン人工水晶。
【請求項3】
前記弾性体は板ばねにより構成されたことを特徴とする請求項1または2記載のアズグロン人工水晶。
【請求項4】
前記本体は、種子水晶のZ面及びこのZ面の両側のX面に密着する遮蔽面を形成するコ字型部材により構成され、
前記弾性体は、Z面を遮蔽する遮蔽面と共に種子水晶の端部を挟持するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一に記載のアズグロン人工水晶。
【請求項5】
前記冶具は、前記遮蔽面が前記Y軸方向における一端部、他端部にて種子水晶の前記Z面及びX面のうち同一面に夫々密着するように組として構成されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一に記載のアズグロン人工水晶。
【請求項6】
前記治具は、オートクレーブ内で種子水晶を保持するための保持部を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一に記載のアズグロン人工水晶。
【請求項7】
結晶方位に沿って形成された主面及び側面が夫々Z面及びX面をなす板状または棒状の種子水晶から水熱合成法によって製造されるアズグロン人工水晶の製造方法において、
遮蔽面を形成する本体と、当該遮蔽面に向かってその復元力が作用する弾性体と、を備えた治具の前記遮蔽面と弾性体との間に弾性体の復元力に抗して種子水晶の端部を位置させる工程と、
前記遮蔽面を種子水晶のY軸方向の端部にて2つのZ面及び2つのX面のうちの少なくとも1つの面に密着させる工程と、
遮蔽面により遮蔽された種子水晶の端部をオートクレーブ内の育成溶液の対流から遮蔽する工程と、
を備えたことを特徴とするアズグロン人工水晶の製造方法。
【請求項8】
結晶方位に沿って形成された主面及び側面が夫々Z面及びX面をなす板状または棒状の種子水晶から水熱合成法により育成したアズグロン人工水晶の製造に用いられる治具において、
種子水晶のY軸方向の端部にて2つのZ面及び2つのX面のうちの少なくとも1つの面に密着して当該面をオートクレーブ内の育成溶液の対流から遮蔽するための遮蔽面を形成する本体と、
この遮蔽面に向かってその復元力が作用する弾性体と、
を備え、
前記遮蔽面と弾性体との間に弾性体の復元力に抗して種子水晶の端部を位置させることにより、前記遮蔽面を当該端部に密着させることを特徴とする治具。
【請求項9】
請求項1ないし6のいずれか一に記載のアズグロン人工水晶について、前記治具の遮蔽面に密着された種子水晶の密着面に平行するように、当該アズグロン人工水晶の表面を研削することを特徴とするランバード人工水晶。
【請求項10】
請求項1ないし6のいずれか一に記載のアズグロン人工水晶について、前記治具の遮蔽面に密着された種子水晶の密着面に平行するように、当該アズグロン人工水晶の表面を研削する工程を含むことを特徴とするランバード人工水晶の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−161368(P2009−161368A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−339637(P2007−339637)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】