説明

アゼパン又はアゾカンで置換されたピラゾリン誘導体、それらの製造及び薬剤としての使用

本発明はアゼパン又はアゾカンで置換された置換ピラゾリン化合物、それらの製造法、これらの化合物を含む薬剤、並びにヒト及び動物の治療用薬剤の製造へのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアゼパン又はアゾカンで置換されたピラゾリン化合物、それらの製造法、これらの化合物を含む薬剤、並びにヒト及び動物の治療用薬剤の製造へのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
カンナビノイドは、通常マリファナとして知られる大麻植物から誘導される化合物である。天然のカンナビノイドの最も活性な化合物はテトラヒドロカンナビノール(THC)、特に△−THCである。
【0003】
これらの天然のカンナビノイド並びにそれらの合成類似体は、特定のG−結合受容体、いわゆるカンナビノイド受容体、への結合を介してそれらの生理学的効果を促進する。
【0004】
現在、天然カンナビノイド及び合成カンナビノイドの両方に結合する2つの相違するタイプの受容体が同定され、そしてクローン化された。CB1及びCB2で示されるこれらの受容体は、例えば非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4に記載されたように、ヒト及び動物における多様の生理学的及び病態生理学的過程、例えば中枢神経系、免疫系、心臓血管系、内分泌系、呼吸系、胃腸管又は生殖に関する過程に関係する。
【0005】
従って、これらのカンナビノイド受容体に高い結合親和性を有し、そしてこれらの受容体を調節するのに適する化合物は、カンナビノイド受容体関連障害の予防及び/又は治療に有用である。
【0006】
特に、CB1-受容体は、過食症、又はII型糖尿病(非インスリン依存性糖尿病)に関連する肥満を含む肥満のような多くの食物摂取関連障害に関係するので、この受容体を調節するのに適した化合物はこれらの障害の予防及び/又は治療に使用し得る。
【非特許文献1】Hollister, Pharm. Rev. 38, 1986, 1-20
【非特許文献2】Reny及びSingha, Prog. Drug. Res., 36, 71-114, 1991
【非特許文献3】Consroe及びSandyk, Marijuana/Cannabinoids, Neurobiology and Neurophysiology, 459
【非特許文献4】Murphy L. 及びBarthe A. Eds., CRC Press, 1992
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、薬剤に活性物質として使用するための新規な化合物を提供することである。特にこれらの活性物質はカンナビノイド受容体、更に特定的にはカンナビノイド1(CB1)受容体の調節に適さなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、以下に示す式Iのアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリン化合物、それらの立体異性体、それらの対応する塩及び対応する溶媒和物を提供することにより達成された。
【0009】
これらの化合物はカンナビノイド受容体、特にCB1-受容体に対して高い親和性を有し、そして調節剤、例えばこれらの受容体に対する拮抗剤、逆作用薬または作用薬として作用することが見出された。従って、該化合物は、ヒト及び/又は動物、好ましくは幼児、子供及び成人を含むヒトにおける中枢神経系、免疫系、心臓血管系、内分泌系、呼吸系、胃腸管又は生殖に関する種々の障害の予防及び/又は治療に適する。
【0010】
従って、本発明の側面の一つは、一般式Iのアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリン化合物:
【0011】
【化1】


I
〔式中、
Zは、置換された若しくは非置換の、分岐鎖若しくは直鎖の、飽和若しくは不飽和のC1-4-アルキルから選ばれ;
X及びYは、独立して、フェニル、チエニル、ナフチル又はピリジルを示し、これらの基は、分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、SH、トリフルオロメチル、CHF2、CH2F、OCHF2、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメトキシ、メチルスルホニル、カルボキシル、トリフルオロメチルスルホニル、シアノ、カルバモイル、スルファモイル及びアセチル;O-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグ基を示す)から選ばれる、同じ又は異なることができる1、2又は3個の置換基Wで置換されていてもよく;
R8は、水素原子、又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル基を示し、一方、R9は:
【0012】
【化2】


(R5、R6及びR7は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれ;そしてnは1又は2である)を示すか;
或いは、
R8及びR9は、結合する窒素原子と共に、
【0013】
【化3】


(R5、R6及びR7は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれ;そしてnは1又は2である)を示す〕
場合によってはラセミ体、純粋な立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマー、の形態、又は立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマー、の適当な割合の混合物の形態;示した形態又は酸若しくは塩基の形態、又は塩、特に生理学的許容塩、の形態、又は溶媒和物、特に水和物、の形態、又はその対応するN-オキシドの形態にある上記化合物に関する。
【0014】
本発明の文脈において、アルキル基とは、飽和及び不飽和の、直鎖若しくは分岐鎖の炭化水素であって、非置換であるか又はモノ-若しくはポリ置換されていることができるものを意味すると理解される。従って、不飽和アルキルとは、例えば-CH=CH-CH3又は-C=C-CH3のようなアルケニル又はアルキニル基を包含すると理解され、一方、飽和アルキルは、例えば-CH3 and -CH2-CH3を包含する。これらの基で、C1-2-アルキルはC1-又はC2-アルキルを示し、C1-3-アルキルはC1-、C2-又はC3-アルキルを示し、C1-4-アルキルはC1-、C2-、C3-又はC4-アルキルを示し、C1-5-アルキルはC1-、C2-、C3-、C4-、又はC5-アルキルを示し、C1-6-アルキルはC1-、C2-、C3-、C4-、C5-又はC6-アルキルを示し、C1-7-アルキルはC1-、C2-、C3-、C4-、C5-、C6-又はC7-アルキルを示し、C1-8-アルキルはC1-、C2-、C3-、C4-、C5-、C6-、C7-又はC8-アルキルを示し、C1-10-アルキルはC1-、C2-、C3-、C4-、C5-、C6-、C7-、C8-、C9-又はC10-アルキルを示し、そしてC1-18-アルキルはC1-、C2-、C3-、C4-、C5-、C6-、C7-、C8-、C9-、C10-、C11-、C12-、C13-、C14-、C15-、C16-、C17-又はC18-アルキルを示す。該アルキル基は、好ましくはメチル、エチル、ビニル(エテニル)、プロピル、アリール(2-プロペニル)、1-プロピニル、メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、ペンチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、ヘキシル、1-メチルペンチルであり、置換されている場合はCHF2、CF3又はCH2OH等でもある。
【0015】
本発明の文脈において、シクロアルキル基とは、飽和及び不飽和の(しかし芳香族ではない)環式炭化水素(環中にヘテロ原子を含まない)であって、非置換でも又はモノ-若しくはポリ置換されていてもよいものを意味すると理解される。更に、C3-4-シクロアルキルはC3-又はC4-シクロアルキルを示し、C3-5-シクロアルキルはC3-、C4-又はC5-シクロアルキルを示し、C3-6-シクロアルキルはC3-、C4-、C5-又はC6-シクロアルキルを示し、C3-7-シクロアルキルはC3-、C4-、C5-、C6-又はC7-シクロアルキルを示し、C3-8-シクロアルキルはC3-、C4-、C5-、C6-、C7-又はC8-シクロアルキルを示し、C4-5-シクロアルキルはC4-又はC5-シクロアルキルを示し、C4-6-シクロアルキルはC4-、C5-又はC6-シクロアルキルを示し、C4-7-シクロアルキルはC4-、C5-、C6-又はC7-シクロアルキルを示し、C4-8-シクロアルキルはC4-、C5-、C6-、C7-又はC8-シクロアルキルを示し、C5-6-シクロアルキルはC5-又はC6-シクロアルキルを示し、そしてC5-7-シクロアルキルはC5-、C6-又はC7-シクロアルキルを示す。しかしながら、モノ-又はポリ不飽和、好ましくはモノ不飽和のシクロアルキルもまた特に、該シクロアルキルが芳香族系でない限り、シクロアルキルに該当する。該アルキル及びシクロアルキル基は、好ましくはメチル、エチル、ビニル(エテニル)、プロピル、アリール(2-プロペニル)、1-プロピニル、メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、ペンチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、ヘキシル、1-メチルペンチル、シクロプロピル、2-メチルシクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、及び更にアダマンチルである。
【0016】
アルキル又は脂肪族基については、他に定義がない限り、本発明で「置換された」の用語は、少なくとも1個の水素基がF、Cl、Br、I、NH2、SH又はOHで置き換えられたことを意味し、"ポリ置換された"基とは、置換が同じ原子及び異なる原子のいずれかに数回、同じ又は異なる置換基で置換が起こること、例えばCF3の場合のように同じC原子に3回、又は例えば-CH(OH)-CH=CH-CHCl2の場合のように異なる位置で3回置換が起こること、を意味すると理解される。
【0017】
用語(CH2)3-6とは、-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-及び-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-を意味すると理解され、(CH2)1-4とは-CH2-、-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-及び-CH2-CH2-CH2-CH2-を意味すると理解され、(CH2)4-5とは-CH2-CH2-CH2-CH2-及び-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-を意味する等と理解される。
【0018】
アリール基とは、少なくとも1個の芳香族環を有するが、環の一つにでもヘテロ原子を含まない環系を意味すると理解される。その例はフェニル、ナフチル、フルオアンテニル、フルオレニル、テトラニル又はインダニルであり、特に9H-フルオレニル又はアントラセニル基であり、それらは非置換でも、又はモノ置換若しくはポリ置換されていてもよい。
【0019】
本発明の文脈において、アルキル-アリールとは、アルキル基(前を参照)(好ましくはC1-4-アルキル)を介して別の原子に結合されたアリール基(前を参照)を意味すると理解され、ここで該アルキルは常に飽和されており、そして直鎖若しくは分岐鎖のものを該アルキルという。その例にはベンジル基が含まれる。
【0020】
ヘテロ環式基とは、ヘテロ環式環系、即ち、飽和若しくは不飽和の環であって、窒素、酸素及び/又はイオウから成る群から選ばれる1個又はそれ以上のヘテロ原子を該環中に含み、そしてモノ-若しくはポリ置換されていることができる上記環を意味すると理解される。ヘテロ環式基から述べることができる例は、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピロール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ベンゾ-1,2,5-チアジアゾール、ベンゾチアゾール、インドール、ベンゾトリアゾール、ベンゾジオキソラン、ベンゾジオキサン、カルバゾール及びキナゾリンである。
【0021】
本発明の文脈において、アルキル-ヘテロ環式とは、アルキル基(前を参照)(好ましくはC1-4-アルキル)を介して別の原子に結合されたヘテロ環式基(前を参照)を意味すると理解され、ここで該アルキルは常に飽和されており、そして直鎖若しくは分岐鎖のものを該アルキルという。
【0022】
アリール又はアルキル-アリール、シクロアルキル又はアルキル-シクロアルキル、ヘテロ環式基(heterocyclyl)又はアルキル-ヘテロ環式基に関しては、置換されたとは、他に定義がない限り、アリール又はアルキル-アリール、シクロアルキル又はアルキル-シクロアルキル、ヘテロ環式基又はアルキル-ヘテロ環式基を、OH、SH、=O、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、CN、NO2、COOH;NRxRy(Rx及びRyは、独立してHであるか、又は飽和若しくは不飽和の、直鎖若しくは分岐鎖の、置換された若しくは非置換のC1-6-アルキルである);飽和若しくは不飽和の、直鎖若しくは分岐鎖の、置換された若しくは非置換のC1-6-アルキル;飽和若しくは不飽和の、直鎖若しくは分岐鎖の、置換された若しくは非置換のO-C1-6-アルキル(アルコキシ);飽和若しくは不飽和の、直鎖若しくは分岐鎖の、置換された若しくは非置換のS-C1-6-アルキル;飽和若しくは不飽和の、直鎖若しくは分岐鎖の、置換された若しくは非置換の-C(O)-C1-6-アルキル基;飽和若しくは不飽和の、直鎖若しくは分岐鎖の、置換された若しくは非置換の-C(O)-O-C1-6-アルキル基;置換された若しくは非置換のアリール又はアルキル-アリール;置換された若しくは非置換のシクロアルキル又はアルキル-シクロアルキル;置換された若しくは非置換のヘテロ環式基又はアルキル-ヘテロ環式基で置換することを意味すると理解される。
【0023】
用語“塩”とは、本発明に従って使用される活性化合物のあらゆる形態を意味すると理解され、それはイオン形をとるか、又は荷電されそして対イオン(カチオン又はアニオン)と結合されているか、又は溶解している。該活性化合物と他の分子又はイオンとの複合体、特にイオン相互作用を介して複合された複合体もまた、これに含まれると理解されたい。
【0024】
用語“生理学的許容塩”とは、本発明の文脈において、治療に適当に使用した場合、特にヒト及び/又は哺乳類に使用又は適用した場合、生理学的に許容される(殆どの場合、毒性でない、−特に対イオンによって引き起こされない)あらゆる塩を意味する。
【0025】
これらの生理学的許容塩は、カチオン又は塩基を用いて形成することができ、本発明の文脈においては、本発明に従って使用される少なくとも1種の化合物−通常は(脱プロトン)酸−をアニオンとして、これと少なくとも1種の、好ましくは無機の、生理学的に許容される−特にヒト及び/又は哺乳類に使用した場合に生理学的に許容される−カチオンとの塩を意味すると理解される。アルカリ金属及びアルカリ土類金属の塩が特に好ましく、そしてNH4との塩も好ましいが、特に(モノ)-又は(ジ)ナトリウム、(モノ)-又は(ジ)カリウム、マグネシウム又はカルシウム塩が好ましい。
【0026】
これらの生理学的許容塩はアニオン又は酸を用いて形成することもでき、本発明の文脈においては、本発明に従って使用される少なくとも1種の化合物−通常はプロトン化された、例えば窒素上でプロトン化された−化合物をカチオンとして、これと少なくとも1種の生理学的に許容される−特にヒト及び/又は哺乳類に使用した場合に生理学的に許容される−アニオンとの塩を意味すると理解される。これは特に、本発明の文脈で、生理学的に許容される酸と形成される塩、即ち、特定の活性化合物と生理学的に許容される無機酸又は有機酸との塩−特にヒト及び/又は哺乳類に使用した場合に生理学的に許容される無機酸又は有機酸との塩と理解される。特定の酸との生理学的に許容される塩の例には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデリン酸、フマル酸、乳酸又はクエン酸の塩が含まれる。
【0027】
本発明の化合物は結晶形でも、或いは遊離化合物又は溶媒和物としてでもよく、これらの形態は本発明の範囲内にあることが意図される。溶媒和する方法は当業界で一般に知られている。適当な溶媒和物は薬学的に許容される溶媒和物である。本発明で用語“溶媒和物”とは、あらゆる形態の本発明の活性化合物であって、この化合物が非共有結合を介して別の分子(たいてい極性溶媒)に付いたものを意味し、特に水和物及びアルコール和物、例えばメタノレート、を含むと理解されたい。
【0028】
他に記載がない限り、本発明の化合物はまた、1種又はそれ以上の同位体に富んだ原子が存在する点のみで相違する化合物を含むことを意味する。例えば、水素を重水素又はトリチウムで置き換えたか、又は炭素を13C-又は14C-に富む炭素で置き換えたか、又は15Nに富んだ窒素で置き換えた以外は本願の構造を有する化合物は本発明の範囲内である。
【0029】
式(I)の化合物又はそれらの塩又は溶媒和物は、薬学的に許容されるか又は実質的に純粋な形態であるのが好ましい。薬学的に許容される形態とは、とりわけ、通常の薬学的添加剤、例えば希釈剤及び担体、を含まずそして通常の投与レベルで毒性と考えられる物質を含まない、薬学的に許容されるレベルの純度を有することを意味する。薬物物質の純度レベルは、好ましくは50%を超え、更に好ましくは70%を超え、最も好ましくは90%を超える。好ましい態様では、それは式(I)の化合物、又はその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグの95%を超える。
【0030】
本発明の好ましい態様において、本発明のアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリン化合物は一般式Ia又はIb:
【0031】
【化4】


Ia Ib
〔式中、
Zは、置換された若しくは非置換の、分岐鎖若しくは直鎖の、飽和若しくは不飽和のC1-4-アルキルから選ばれ;
X及びYは、独立して、フェニル、チエニル、ナフチル又はピリジルを示し、これらの基は、分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、SH、トリフルオロメチル、CHF2、CH2F、OCHF2、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメトキシ、メチルスルホニル、カルボキシル、トリフルオロメチルスルホニル、シアノ、カルバモイル、スルファモイル及びアセチル;O-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグ基を示す)から選ばれる、同じ又は異なることができる1、2又は3個の置換基Wで置換されていてもよく;
R8は、水素原子、又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル基を示し、一方、R9は:
【0032】
【化5】


(R5、R6及びR7は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれ;そしてnは1又は2である)を示すか;
或いは、
R8及びR9は、結合する窒素原子と共に、
【0033】
【化6】


(R5、R6及びR7は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれ;そしてnは1又は2である)を示す〕
の化合物、場合によっては示した形態又は酸若しくは塩基の形態、又は塩、特に生理学的許容塩、の形態、又は溶媒和物、特に水和物、の形態、又はその対応するN-オキシドの形態にある上記化合物である。
【0034】
上記分子中には2つの立体認識(stereogenic)中心があるので、一般式Ia及びIbの化合物は実際には下記の相対的構造を示す:
【0035】
【化7】


本発明の好ましい態様では、本発明のアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリンは一般式II:
【0036】
【化8】


II
〔式中、
Z’は、置換された若しくは非置換の、分岐鎖若しくは直鎖の、飽和若しくは不飽和のC1-4-アルキルから選ばれ;好ましくはCH3又はC2H5のいずれかであり;
R11、R12、R13及びR14は、互いに独立して、H;分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル、又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、SH、トリフルオロメチル、CHF2、CH2F、OCHF2、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメトキシ、メチルスルホニル、カルボキシル、トリフルオロメチルスルホニル、シアノ、カルバモイル、スルファモイル及びアセチル;O-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグ基を示す)を示し;
R18は、水素原子又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル基を示し、一方、R19は:
【0037】
【化9】


(R15、R16及びR17は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれ、そしてmは1又は2である)示すか;
或いは、
R18及びR19は、結合する窒素原子と共に、
【0038】
【化10】


(R15、R16及びR17は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれ、そしてmは1又は2である)示す〕
の化合物、場合によってはラセミ体、純粋な立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマー、の形態、又は立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマー、の適当な割合の混合物の形態;示した形態又は酸若しくは塩基の形態、又は塩、特に生理学的許容塩、の形態、又は溶媒和物、特に水和物、の形態、又はその対応するN-オキシドの形態にある上記化合物である。
【0039】
本発明の好ましい態様では、本発明のアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリンは一般式 IIa又はIIb:
【0040】
【化11】


IIa IIb
〔式中、
Z’は、置換された若しくは非置換の、分岐鎖若しくは直鎖の、飽和若しくは不飽和のC1-4-アルキルから選ばれ;好ましくはCH3又はC2H5のいずれかであり;
R11、R12、R13及びR14は、互いに独立して、H;分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル、又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、SH、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメトキシ、CHF2、CH2F、OCHF2、メチルスルホニル、カルボキシル、トリフルオロメチルスルホニル、シアノ、カルバモイル、スルファモイル及びアセチル;O-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグ基を示す)を示し;
R18は、水素原子又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル基を示し、一方、R19は:
【0041】
【化12】


(R15、R16及びR17は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれ、そしてmは1又は2である)示すか;
或いは、
R18及びR19は、結合する窒素原子と共に、
【0042】
【化13】

(R15、R16及びR17は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれ、そしてmは1又は2である)示す〕
の化合物、場合によっては示した形態又は酸若しくは塩基の形態、又は塩、特に生理学的許容塩、の形態、又は溶媒和物、特に水和物、の形態、又はその対応するN-オキシドの形態にある上記化合物である。
【0043】
本発明の好ましい態様では、本発明の一般式II、IIa又はIIbのアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリンは、下記を特徴とする:
R11、R12、R13及びR14は、互いに独立して、H、CH3、C2H5、C3H7、OCH3、OC2H5、OH、SH、F、Cl、Br、I、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、OCHF2を示し;
好ましくは
R11、R12、R13及びR14は、互いに独立して、H、OH、OCH3、F、Cl、Br、I、CF3、CHF2又はOCF3を示す。
【0044】
本発明の好ましい態様では、本発明の一般式II、IIa又はIIbのアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリンは、下記を特徴とする:
R18はHを示す。
【0045】
本発明の好ましい態様では、本発明の一般式II、IIa又はIIbのアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリンは、下記を特徴とする:
R15、R16及びR17は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、CH3、C2H5、OCH3、OCF3、又はCF3から選ばれる。
【0046】
本発明の好ましい態様で、本発明のアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリンは一般式III:
【0047】
【化14】


III
〔式中、
Z’’は、CH3又はC2H5から選ばれ;
R21、R22、R23及びR24は、互いに独立して、H;分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル、又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、SH、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメトキシ、メチルスルホニル、カルボキシル、トリフルオロメチルスルホニル、シアノ、カルバモイル、スルファモイル及びアセチル;O-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグ基を示す)を示し;
R28は、水素原子又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル基を示し、一方、R29は:
【0048】
【化15】


(R25、R26及びR27は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれ;pは1又は2である)を示すか;
或いは、
R28及びR29は、結合する窒素原子と共に、
【0049】
【化16】


(R25、R26及びR27は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれ;pは1又は2である)を示す〕
の化合物、場合によってはラセミ体、純粋な立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマー、の形態、又は立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマー、の適当な割合の混合物の形態;示した形態又は酸若しくは塩基の形態、又は塩、特に生理学的許容塩、の形態、又は溶媒和物、特に水和物、の形態、又はその対応するN-オキシドの形態にある上記化合物である。
【0050】
本発明の好ましい態様では、本発明のアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリンは一般式IIIa又はIIIb:
【0051】
【化17】


IIIa IIIb
〔式中、
Z’’は、CH3又はC2H5から選ばれ;
R21、R22、R23及びR24は、互いに独立して、H;分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル、又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、SH、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメトキシ、メチルスルホニル、カルボキシル、トリフルオロメチルスルホニル、シアノ、カルバモイル、スルファモイル及びアセチル;O-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグ基を示す)を示し;
R28は、水素原子又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル基を示し、一方、R29は:
【0052】
【化18】


(R25、R26及びR27は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれ;pは1又は2である)を示すか;
或いは、
R28及びR29は、結合する窒素原子と共に、
【0053】
【化19】


(R25、R26及びR27は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれ;pは1又は2である)を示す〕
の化合物、場合によっては示した形態又は酸若しくは塩基の形態、又は塩、特に生理学的許容塩、の形態、又は溶媒和物、特に水和物、の形態、又はその対応するN-オキシドの形態にある上記化合物である。
【0054】
本発明の好ましい態様では、本発明の一般式III、IIIa又はIIIbのアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリンは、下記を特徴とする:
R21がO-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグを示す)を示し、一方、
R22、R23及びR24は、互いに独立して、H、CH3、C2H5、C3H7、OCH3、OC2H5、OH、SH、F、Cl、Br、I、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、OCHF2を示す。
好ましくは、R21はO-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグを示す)を示し、一方、R22、R23及びR24は、互いに独立して、H、OH、OCH3、F、Cl、Br、I、CF3、CHF2又はOCF3を示す。
最も好ましくは、R21はO-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグを示す)を示し、一方、R22、R23及びR24は、互いに独立して、OH、OCH3、F、Cl、Br、I又はOCF3を示す。
【0055】
本発明の好ましい態様では、本発明の一般式III、IIIa又はIIIbのアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリンは、下記を特徴とする:
R21、R22、R23及びR24は、互いに独立して、H、CH3、C2H5、C3H7、OCH3、OC2H5、OH、SH、F、Cl、Br、I、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、OCHF2を示し;
好ましくはR21、R22、R23及びR24は、互いに独立して、H、OH、OCH3、F、Cl、Br、I、CF3、CHF2又はOCF3を示し;
最も好ましくは、R21はHを示し、一方、R22、R23及びR24は、互いに独立して、OH、OCH3、F、Cl、Br、I又はOCF3を示す。
【0056】
本発明の好ましい態様では、本発明の一般式III、IIIa又はIIIbのアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリンは、下記を特徴とする:
R28はHを示す。
【0057】
本発明の好ましい態様では、本発明の一般式III、IIIa又はIIIbのアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリンは、下記を特徴とする:
R25、R26及びR27は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、CH3、C2H5、OCH3、OCF3、又はCF3から選ばれる。
【0058】
本発明の好ましい態様では、本発明のアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリンは、一般式IV、IVa又はIVb:
【0059】
【化20】


IV IVa IVb
〔式中、
Z’’’はCH3又はC2H5から選ばれ;
R31、R32、R33及びR34は、互いに独立して、H;分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、SH、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメトキシ、メチルスルホニル、カルボキシル、トリフルオロメチルスルホニル、シアノ、カルバモイル、スルファモイル及びアセチル;O-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグを示す)を示し;
R35、R36及びR37は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれ;
R38は水素原子、又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル基を示す〕
の化合物、場合によっては示した形態又は酸若しくは塩基の形態、又は塩、特に生理学的許容塩、の形態、又は溶媒和物、特に水和物、の形態、又はその対応するN-オキシドの形態にある上記化合物である。
【0060】
本発明の好ましい態様では、本発明のアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリンは、一般式IVc、IVd又はIVe:
【0061】
【化21】


IVc IVd IVe
〔式中、
Z’’’はCH3又はC2H5から選ばれ;
R31、R32、R33及びR34は、互いに独立して、H;分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、SH、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメトキシ、メチルスルホニル、カルボキシル、トリフルオロメチルスルホニル、シアノ、カルバモイル、スルファモイル及びアセチル;O-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグを示す)を示し;
R35、R36及びR37は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれる〕
の化合物、場合によっては示した形態又は酸若しくは塩基の形態、又は塩、特に生理学的許容塩、の形態、又は溶媒和物、特に水和物、の形態、又はその対応するN-オキシドの形態にある上記化合物である。
【0062】
本発明の好ましい態様では、本発明の一般式IV、IVa、IVb、IVc、IVd又はIVeのアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリンは、下記を特徴とする:
R31はO-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグを示す)を示し、一方、
R32、R33及びR34は、互いに独立して、H、CH3、C2H5、C3H7、OCH3、OC2H5、OH、SH、F、Cl、Br、I、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、OCHF2を示す。
好ましくは、R31はO-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグを示す)を示し、一方、R32、R33及びR34は、互いに独立して、H、OH、OCH3、F、Cl、Br、I、CF3、CHF2又はOCF3を示す。
最も好ましくは、R31はO-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグを示す)を示し、一方、R32、R33及びR34は、互いに独立して、OH、OCH3、F、Cl、Br、I又はOCF3を示す。
【0063】
本発明の好ましい態様では、本発明の一般式IV、IVa、IVb、IVc、IVd又はIVeのアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリンは、下記を特徴とする:
R31、R32、R33及びR34は、互いに独立して、H、CH3、C2H5、C3H7、OCH3、OC2H5、OH、SH、F、Cl、Br、I、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、OCHF2を示し;
好ましくは、R31、R32、R33及びR34は、互いに独立して、H、OH、OCH3、F、Cl、Br、I、CF3、CHF2又はOCF3を示し;
最も好ましくは、R31はHを示し、一方、R32、R33及びR34は、互いに独立して、OH、OCH3、F、Cl、Br、I又はOCF3を示す。
【0064】
本発明の好ましい態様では、本発明の一般式IV、IVa、IVb、IVc、IVd又はIVeのアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリンは、下記を特徴とする:
R38はHを示す。
【0065】
本発明の好ましい態様では、本発明の一般式IV、IVa、IVb、IVc、IVd又はIVeのアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリンは、下記を特徴とする:
R35、R36及びR37は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、CH3、C2H5、OCH3、OCF3、又はCF3から選ばれる。
【0066】
本発明の好ましい態様では、本発明の一般式IV、IVa、IVbのアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリンは、場合によってはラセミ体、純粋な立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマー、の形態、又は立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマー、の適当な割合の混合物の形態;場合によっては対応するN-オキシド、対応する塩、又は対応する溶媒和物の形態にある化合物から選ばれる。
【0067】
本発明の好ましい態様では、本発明の一般式IVc、IVd、又はIVeのアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリンは、場合によってはラセミ体、純粋な立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマー、の形態、又は立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマー、の適当な割合の混合物の形態;場合によっては対応するN-オキシド、対応する塩、又は対応する溶媒和物の形態にある化合物から選ばれる。
【0068】
別の側面では、本発明はまた、本発明の一般式Iの置換ピラゾリン化合物の製造法を提供し、該製造法は、一般式Vの少なくとも1種のベンズアルデヒド化合物:
【0069】
【化22】


(V)

(式中、Xは上記の意味を有する)を、一般式(VI)のピルビン酸化合物:
【0070】
【化23】


(VI),
(式中、Zは上記の意味を有し、そしてGはOR基を示し、RはH又は分岐鎖若しくは非分岐鎖のC1-6アルキル基であるか、或いはGはO-K基を示し、Kはカチオンである)と反応させて、一般式(VII)の化合物:
【0071】
【化24】


(VII)
(式中、X及びZは上記の意味を有する)を生成し、それを場合によっては単離しそして/又は場合によっては精製し、そしてそれを一般式(VIII)の場合によっては置換されたフェニルヒドラジン:
【0072】
【化25】


(VII)
又はその対応する塩(式中、Yは上記の意味を有する)と不活性雰囲気中で反応させて、一般式(IX)の化合物:
【0073】
【化26】


(IX)

(式中、X、Z及びYは上記の意味を有する)を生成し、それを場合によっては単離しそして/又は場合によっては精製し、そして場合によっては不活性雰囲気中で活性化剤との反応により一般式(XI)の化合物:
【0074】
【化27】


(XI)

(式中、置換基X、Z及びYは上記の意味を有し、そしてAは脱離基を示す)に変換し、該化合物を場合によっては単離しそして/又は場合によっては精製し、そして一般式(XI)の少なくとも1種の化合物を、一般式XII又はXIIaの化合物:
【0075】
【化28】


(XII) (XIIa)
(式中、n、R5、R6、R7及びR8は前に定義した通りである)と不活性雰囲気中で反応させて、一般式Iの置換ピラゾリン化合物を生成し、それを場合によっては単離しそして/又は場合によっては精製することを特徴とする。
【0076】
本発明の工程を以下のスキームIにも示す:
スキーム I:
【0077】
【化29】


一般式Vのベンズアルデヒド化合物と一般式VIのピルビン酸化合物との反応は、例えばSynthetic communications, 26(11), 2229-33, (1996)に記載されたように、好ましくは少なくとも1種の塩基の存在下、更に好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物、又はナトリウムメトキシドのようなアルカリ金属メトキシドの存在下で実施される。その記載は本願に参照用に含められ、そして開示の一部を形成する。好ましくはピルビン酸 ナトリウムを該ピルビン酸化合物として使用し得る。好ましくは該反応はプロトン性反応媒体、例えばC1-4アルキルアルコール又はこれらの混合物、中で実施される。かかるアルコールと水の混合物、例えばエタノール/水、もまた使用し得る。
【0078】
反応温度、並びに反応持続時間は広い範囲で変化し得る。好ましい反応温度は10℃から反応媒体の沸点に亘る。適した反応時間は、例えば数分から数時間に変化し得る。
【0079】
また好ましくは、一般式Vのベンズアルデヒド化合物と一般式VIのピルビン酸化合物との反応を酸触媒条件下で、更に好ましくは、例えばSynlett, (1), 147-149, 2001に記載されたように、該混合物をジクロロメタン中で、銅(II)トリフルオロメタンスルホネートの存在下で還流することにより実施する。その記載は本願に参照用に含められ、そして開示の一部を形成する。
【0080】
一般式(VII)の化合物と一般式(VIII)の場合によっては置換されたフェニルヒドラジンとの反応は、好ましくは適当な反応媒体、例えばC1-4-アルコール、又はジオキサン若しくはテトラヒドロフランのようなエーテル、又は前述の化合物の少なくとも2種の混合物、中で実施される。また好ましくは、該反応を酸の存在下で実施することができ、ここで該酸は、酢酸のような有機酸及び/または塩酸のような無機酸であることができる。更に、反応は塩基、例えばピペリジン、ピペラジン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド又はナトリウムエトキシド、の存在下でも実施し得、或いはこれらの塩基の少なくとも2種の混合物もまた使用し得る。
【0081】
反応温度、並びに反応持続時間は広い範囲で変化し得る。適当な反応温度は室温、即ちほぼ25℃、から反応媒体の沸点に亘る。適当な反応時間は、例えば数分から数時間に変化し得る。
【0082】
一般式(IX)の化合物のカルボキシル基は更なる反応のために、当業者によく知られた慣用法に従って適当な脱離基を導入することにより活性化してもよい。好ましくは一般式(IX)の化合物は酸クロリド、酸無水物、混合無水物、C1-4アルキルエステル、活性化エステル、例えばp-ニトロフェニルエステル、に変換される。酸の活性化のための他のよく知られた方法には、N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミド又はベンゾトリアゾール-N-オキソトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)を用いた活性化が含まれる。
【0083】
一般式(XI)の上記活性化化合物が酸クロリドの場合、それは好ましくは一般式(IX)の対応する酸と塩化チオニル又は塩化オキサリルとの反応により調製され、ここで該塩化薬剤は溶媒としても使用される。また好ましくは追加の溶媒を使用してもよい。適当な溶媒には、炭化水素、例えばベンゼン、トルエン又はキシレン、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、クロロホルム又は四塩化炭素、エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン又はジメトキシエタン、が含まれる。同じ種類からの溶媒の2種以上、又は異なる種類からの溶媒の2種以上の混合物もまた使用し得る。好ましい反応温度は0℃から溶媒の沸点に亘り、そして反応時間は数分から数時間に亘る。
【0084】
一般式(XI)の上記活性化化合物が混合無水物の場合、該無水物は、好ましくは、例えば一般式(IX)の対応する酸とクロロギ酸エチルとを、塩基、例えばトリエチルアミン又はピリジンの存在下で、適当な溶媒中で反応させることにより調製し得る。
【0085】
4,5-ジヒドロ-ピラゾール環の合成を含む上記の反応、又は該環を含む化合物の反応は、不活性雰囲気、好ましくは窒素又はアルゴン、中で実施して、環系の酸化を回避する。
【0086】
上記の工程中、感応性又は反応性基の保護は必要及び/または望ましいであろう。慣用の保護基の導入並びにそれらの除去は、当業者によく知られた方法で行うことができる。
【0087】
一般式Iの置換ピラゾリン化合物が立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマー、の混合物の形態で得られた場合は、該混合物は当業者に知られた標準的手順、例えばクロマトグラフィー法又はキラル試薬を用いた分別(fractunalized)結晶化、により分離し得る。立体選択的合成により純粋な立体異性体を得ることも可能である。
【0088】
別の側面では、本発明は一般式(I)の置換ピラゾリン化合物の塩およびその立体異性体の製造法をも提供し、ここで、少なくとも1種の塩基性基を有する一般式(I)の少なくとも1種の化合物を少なくとも1種の無機酸及び/又は有機酸と、好ましくは適当な反応媒体の存在下で反応させる。適当な反応媒体には、例えば上記のいずれかが含まれる。適した無機酸には、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸が含まれ、適した有機酸は、例えばクエン酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、又はそれらの誘導体、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、又はカンファースルホン酸がある。
【0089】
さらに別の側面では、本発明は一般式(I)の置換ピラゾリン化合物の塩又はその立体異性体の製造法をも提供し、ここで、少なくとも1種の酸性基を有する一般式(I)の少なくとも1種の化合物を1種又はそれ以上の適当な塩基と、好ましくは適当な反応媒体の存在下で反応させる。適当な塩基は、例えば水酸化物、炭酸塩又はアルコキシドであって、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属から誘導された適当なカチオン、又は有機カチオン、例えば[NHnR4-n]+(式中、nは0、1、2、3又は4、そしてRは分岐鎖若しくは非分岐鎖C1-4-アルキル基を示す)を含むものである。適当な反応媒体は、例えば上記の媒体のいずれかである。
【0090】
一般式(I)の置換ピラゾリン化合物の溶媒和物、好ましくは水和物、その対応する立体異性体、対応するN-オキシド又は対応する塩もまた、当業者に知られた標準的手順により得ることができる。
【0091】
一般式(I)の置換ピラゾリン化合物であって、窒素原子含有飽和、不飽和又は芳香族環を含むものもまた、当業者に知られた方法によりそれらのN-オキシドの形体で得ることができる。
【0092】
当業者は、本願で使用される用語「置換ピラゾリン化合物」は、エーテル、エステル及びこれらの化合物の複合体のような誘導体もまた包含すると理解されたい。本願で使用される用語「誘導体」は、作用(活性)化合物から出発して化学的誘導を受けてその物理化学的性質のいずれかが変化(薬学的用途のために改良)した薬品化合物、特にいわゆるプロドラッグ、例えばそれらのエステル及びエーテル、を意味すると定義される。所定の作用性化合物のプロドラッグを製造するためのよく知られた方法の例は当業者に知られており、例えば Krogsgaard-Larsen外、Textbook of Drugdesign and Discovery, Taylor & Francis (April 2002)に見られる。その記載は本願に参照用に含められ、そして開示の一部を形成する。
【0093】
一般式(I)の本発明の置換ピラゾリン化合物、対応する立体異性体、又は塩、又はN-オキシド、又は溶媒和物、又はそれらの中間体の精製及び単離は、必要であれば、当業者に知られた慣用法、例えばクロマトグラフィー法又は再結晶、により実施することができる。
【0094】
上記一般式Iのアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリン化合物、それらの立体異性体、対応するN-オキシド、その対応する塩及び対応する溶媒和物は毒物学的に許容され、従って薬剤を製造するための薬学的活性物質として適する。
上記一般式Iのアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリン化合物、その立体異性体、そのN-オキシド、対応するその塩及び対応する溶媒和物は、カンナビノイド受容体、特にカンナビノイド1(CB1)-受容体に対して高い親和性を有すること、即ち、それらはCB1-受容体に対して選択的リガンドであり、そしてこれらの受容体に対して調節剤、例えば拮抗薬、逆作用薬(inverse agonists)または作用薬(agonists)、として作用することが見出された。特にこれらのピラゾリン化合物は治療中、特に食物摂取についての治療中、耐薬性の発現が僅かしかないか又はない。即ち、治療を所定の期間中断し、その後続行した場合、本発明で使用されるピラゾリン化合物は再び所望の効果を示すであろう。該ピラゾリン化合物を用いた治療を終えた後、体重に対する肯定的な影響が続くことが見出される。
【0095】
更に、これらのアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリン化合物は比較的弱いヘルグチャンネル親和性(Herg channel affinity)しか示さないので、これらの化合物はQT-間隔(QT-interval)の延長の危険性が低いと予想される。
【0096】
要約すると、本発明で使用される4-置換ピラゾリン化合物は、広範囲の有利な効果と、同時に望ましくない作用、即ち、患者の健康に積極的に貢献しないか又は患者の健康を妨害さえする作用、が相対的に少ないことにより特徴づけられる。
【0097】
従って、本発明の他の側面は、少なくとも1種の一般式Iのアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリン化合物、場合によってはその立体異性体の1つの形態、好ましくはエナンチオマー又はジアステレオマー、ラセミ体又はその立体異性体、好ましくはエナンチオマー及び/又はジアステレオマー、の少なくとも2種のあらゆる混合比の混合物の形態、又はその対応するN-オキシド、又はその生理学的許容塩、又はその対応する溶媒和物、及び場合によっては少なくとも1種の生理学的に許容される補助剤を含む薬剤に関する。
【0098】
好ましくは該薬剤は、中枢神経系の障害、免疫系の障害、心血管系の障害、内分泌系の障害、呼吸器系の障害、消化管の障害あるいは生殖器障害の予防および/又は治療のために、カンナビノイド-受容体、好ましくはカンナビノイド1(CB1)受容体を調節(制御)するのに適している。
【0099】
特に好ましくは該薬剤は、精神病の予防および/又は治療に適している。
【0100】
また特に好ましくは該薬剤は、食物摂取障害(food intake disorders)、好ましくは過食症、拒食症、悪液質、肥満症および/またはII型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)、より好ましくは肥満症の予防および/又は治療に適している。本発明薬剤は欲求障害の予防および/又は治療に有効であるとも考えられる。例えば、一般式Iで表わされるピラゾリン化合物は甘いものに対する欲求も減らす。
【0101】
更に特に好ましくは該薬剤は、癌の予防および/又は治療に、好ましくは脳腫瘍、骨肉腫、口唇癌(lip cancer)、口腔癌(mouth cancer)、食道癌、胃癌、肝臓癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌、乳癌、皮膚癌、結腸癌、腸癌および前立腺癌からなる群より選択される一種以上の癌の予防および/又は治療に、より好ましくは結腸癌、腸癌および前立腺癌からなる群より選択される一種以上の癌の予防および/あるいは治療に適している。
【0102】
特に好ましくは該薬剤は、アルコール乱用および/又はアルコール嗜癖、ニコチン乱用および/若しくはニコチン嗜癖、薬物(drug)乱用および/若しくは薬物嗜癖、ならびに/または薬剤乱用および/若しくは薬剤嗜癖、好ましくは薬物乱用および/若しくは薬物嗜癖および/またはニコチン乱用および/若しくはニコチン嗜癖の予防および/あるいは治療に適している。
【0103】
しばしば誤用の対象となる薬剤及び/又は薬物には、オピオイド、バルビツール酸塩、大麻、コカイン、アンフェタミン、フェンシクリジン、幻覚剤及びベンゾジアゼピンが含まれる。
【0104】
該薬剤は、骨障害、好ましくは骨粗鬆症(例えば、遺伝的素因、性ホルモン欠乏、もしくは加齢に関連する骨粗鬆症)、癌関連骨疾患または骨ページェット病;統合失調症、不安症、うつ病、てんかん、神経変性障害、小脳障害、脊髄小脳障害、認識力障害、頭蓋外傷、頭部外傷、発作、パニック発作、末梢神経障害(peripheric neuropathy)、炎症、緑内障、片頭痛、パーキンソン病(Morbus Parkinson)、ハンチントン病(Morbus Huntington)、アルツハイマー病(Morbus Alzheimer)、レイノー病、振戦疾患、強迫障害、老年痴呆、胸腺疾患、遅発性ジスキネジー、躁鬱病、薬剤誘発性(medicament-induced)運動障害、失調症、内毒素血症性ショック(endotoxemic shock)、出血性ショック、低血圧症、不眠症、免疫障害、硬化性プラーク(sclerotic plaques)、嘔吐、下痢、ぜんそく、記憶障害、そう痒症、痛みからなる群より選択される一つ以上の障害の予防および/または治療に、あるいは麻薬性および非麻薬性鎮痛薬の鎮痛効果の増強に、あるいは腸管通過に影響を与えるのに適している。
【0105】
本発明の別の側面は、中枢神経系の障害、免疫系の障害、心血管系の障害、内分泌系の障害、呼吸器系の障害、消化管の障害あるいは生殖器障害の予防および/あるいは治療のためにカンナビノイド受容体、好ましくはカンナビノイド1(CB1)受容体の調節用の薬剤の製造のために、適切な有効物質としての一般式Iで表わされる少なくとも1種のアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリン化合物、場合によっては立体異性体の1種、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ体、又はこれらの立体異性体の少なくとも2種、好ましくはエナンチオマー及び/もしくはジアステレオマー、の任意の混合比の混合物の形態、あるいは対応するそれらのN−オキシド、あるいは対応するそれらの塩、あるいは対応するそれらの溶媒和物の形態であってもよいそれぞれのアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリン化合物と、場合により1種以上の薬学的に許容される賦形剤とを使用することである。
【0106】
特に好ましいのは、精神病の予防および/あるいは治療用の薬剤の製造のための、アゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリン化合物の少なくとも1つ、場合によっては立体異性体の1種、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ体、又はこれらの立体異性体の少なくとも2種、好ましくはエナンチオマー及び/もしくはジアステレオマー、の任意の混合比の混合物の形態、あるいは対応するそれらのN−オキシド、あるいは対応するそれらの塩、あるいは対応するそれらの溶媒和物の形態の少なくとも1つと、場合により1種以上の薬学的に許容される賦形剤との使用である。
【0107】
また特に好ましいのは、食物摂取障害、好ましくは過食症、拒食症、悪液質、肥満症、および/またはII型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)、より好ましくは肥満症の予防および/あるいは治療用の薬剤の製造のための、アゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリン化合物の少なくとも1つ、場合によっては立体異性体の1種、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ体、又はこれらの立体異性体の少なくとも2種、好ましくはエナンチオマー及び/もしくはジアステレオマー、の任意の混合比の混合物の形態、あるいは対応するそれらのN−オキシド、あるいは対応するそれらの塩、あるいは対応するそれらの溶媒和物の形態であってもよいそれぞれの4-置換ピラゾリン化合物の少なくとも1つと、場合により1種以上の薬学的に許容される賦形剤との使用である。
【0108】
また特に好ましいのは、メタボリックシンドロームの治療用薬剤の製造のための、本願に定義した少なくとも1種のピラゾリン化合物と、場合によっては1種以上の薬学的に許容される賦形剤との使用である。
【0109】
メタボリックシンドローム及びその定義はEckel外, The Lancet, Vol. 365 (2005), 1415-1428に詳細に記載され、本願に参照用に含ませる。それぞれの定義の1つはWHOにより1998年に確立された(Alberti et al., Diabet. Med. 1998, 15, 539-53頁に記載されたように。上記記述のそれぞれの部分は参照用に本願に含められ、そして本願開示の一部を形成する)。他の更に広く受け入れられたメタボリックシンドロームの定義は、JAMA 2001; 285; 2486-97に記載されたように、US National Cholesterol Education Program (NCEP)のAdult Treatment Panel (ATP III)により2001年に確立された。上記記述のそれぞれの部分は参照用に本願に含められ、そして本願開示の一部を形成する。
【0110】
メタボリックシンドロームは、トリグリセリド、脂質、血圧、血糖値及びインスリン値のような生理学的パラメータの相互作用により特徴付けられる。
【0111】
肥満はメタボリックシンドロームの発症に重大な役割を果たすが、その側面の多くは体重に依存しない、特にいくつかの脂質パラメータである。特に、メタボリックシンドロームの体重非依存性側面に対する肯定的影響(例えば、本願に参照用に含めるPagotto and Pasquali, The Lancet, Vol. 365 (2005), 1363, 1364を参照)は、いくつかの血液パラメータ、特に脂質パラメータのように、本願で使用される置換ピラゾリン化合物の主な且つ驚異的な利点の一つである。
【0112】
本発明の他の側面は、1種又はそれ以上の本願に定義したピラゾリン化合物を、心臓血管及び/又はメタボリック危険因子、例えば下記の因子の1つ又はそれ以上、の改良用薬剤の製造に使用することである:
上昇したトリグリセリド、ここで、トリグリセリドの上昇した値は好ましくは>150 mg/dlであると理解される。
低HDLコレステロール、ここで、低HDLコレステロール値は好ましくは男性で<40 mg/dlそして婦人で<50 mg/dlであると理解される。
高血圧、ここで高血圧は好ましくは>130/85 mmHgであると理解される。
断食グルコース障害、ここで断食グルコース障害値は好ましくは>110 mg/dlであると理解される。
インスリン抵抗性
異常脂質血症。
【0113】
本発明の他の側面は、本願に定義したピラゾリン化合物の1種又はそれ以上を、メタボリックシンドロームの体重非依存性側面の治療用薬剤の製造に使用することである。
【0114】
本発明の他の側面は、被験者、好ましくはヒトにおける心臓血管及び/又はメタボリック危険因子、例えば下記の因子の1つ又はそれ以上、を改良する方法である:
上昇したトリグリセリド、ここで、トリグリセリドの上昇した値は好ましくは>150 mg/dlであると理解される、
低HDLコレステロール、ここで、低HDLコレステロール値は好ましくは男性で<40 mg/dlそして婦人で<50 mg/dlであると理解される、
高血圧、ここで高血圧は好ましくは>130/85 mmHgであると理解される、
断食グルコース障害、ここで断食グルコース障害値は好ましくは>110 mg/dlであると理解される、
インスリン抵抗性、
異常脂質血症。
【0115】
本発明の別の側面は、メタボリックシンドロームの体重非依存性側面の治療方法である。
【0116】
また特に好ましいのは、アゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリン化合物の少なくとも1種、場合によっては立体異性体の1種、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ体、又はこれらの立体異性体の少なくとも2種、好ましくはエナンチオマー及び/もしくはジアステレオマー、の任意の混合比の混合物の形態、あるいは対応するそれらのN−オキシド、あるいは対応するそれらの塩、あるいは対応するそれらの溶媒和物の形態であってもよいそれぞれのアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリン化合物の少なくとも1つと、場合により1種以上の薬学的に許容される賦形剤を、癌の予防および/又は治療用の薬剤の製造のために、好ましくは脳腫瘍、骨肉腫、口唇癌(lip cancer)、口腔癌(mouth cancer)、食道癌、胃癌、肝臓癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌、乳癌、皮膚癌、結腸癌、腸癌および前立腺癌からなる群より選択される一種以上の癌の予防および/又は治療用の薬剤の製造のために、より好ましくは結腸癌、腸癌および前立腺癌からなる群より選択される一種以上の癌の予防および/又は治療用の薬剤の製造のために使用することである。
【0117】
また特に好ましいのは、アゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリン化合物の少なくとも1種、場合によっては立体異性体の1種、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ体、又はこれらの立体異性体の少なくとも2種、好ましくはエナンチオマー及び/もしくはジアステレオマー、の任意の混合比の混合物の形態、あるいは対応するそれらのN−オキシド、あるいは対応するそれらの塩、あるいは対応するそれらの溶媒和物の形態であってもよいそれぞれのアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリン化合物の少なくとも1種と、場合により1種以上の薬学的に許容される賦形剤を、アルコール乱用および/若しくはアルコール嗜癖、ニコチン乱用および/若しくはニコチン嗜癖、薬物(drug)乱用および/若しくは薬物嗜癖、ならびに/または薬剤乱用および/若しくは薬剤嗜癖、好ましくは薬物乱用および/若しくは薬物嗜癖、および/またはニコチン乱用および/若しくはニコチン嗜癖の予防および/あるいは治療用の薬剤の製造のために使用することである。
【0118】
しばしば誤用の対象となる薬剤及び/又は薬物には、オピオイド、バルビツール酸塩、大麻、コカイン、アンフェタミン、フェンシクリジン、幻覚剤及びベンゾジアゼピンが含まれる。
【0119】
また好ましいのは、アゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリン化合物の少なくとも1種、場合によっては立体異性体の1種、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ体、又はこれらの立体異性体の少なくとも2種、好ましくはエナンチオマー及び/もしくはジアステレオマー、の任意の混合比の混合物の形態、あるいは対応するそれらのN−オキシド、あるいは対応するそれらの塩、あるいは対応するそれらの溶媒和物の形態であってもよいそれぞれのアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリン化合物の少なくとも1種と、場合により1種以上の薬学的に許容される賦形剤とを、骨障害、好ましくは骨粗鬆症(例えば、遺伝的素因、性ホルモン欠乏、もしくは加齢と結び付けられる骨粗鬆症)、癌関連骨疾患または骨ページェット病;統合失調症、不安症、うつ病、てんかん、神経変性障害、小脳障害、脊髄小脳障害、認識力障害、頭蓋外傷、頭部外傷、発作、パニック発作、末梢神経障害、炎症、緑内障、片頭痛、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、レイノー病、振戦疾患、強迫障害、老年痴呆、胸腺疾患、遅発性ジスキネジー、躁鬱病、薬剤誘発性運動障害、失調症、内毒素血症性ショック、出血性ショック、低血圧症、不眠症、免疫障害、硬化性プラーク、嘔吐、下痢、ぜんそく、記憶障害、そう痒症、痛みからなる群より選択される一つ以上の障害の予防および/または治療用の薬剤、あるいは麻薬性および非麻薬性鎮痛薬の鎮痛効果の増強用の、あるいは腸管通過に影響を与えるための薬剤の製造に使用することである。
【0120】
本発明による薬剤は、ヒトおよび/または動物、好ましくは幼児、子供および成人を含むヒトに適用するのに適したいかなる形態であってもよく、当業者に公知の標準的な手順によって製造することができる。該薬剤は当業者に公知の標準的な手順、例えば、“Pharmaceutics: The Science of Dosage Forms”, Second Edition, Aulton, M.E. (ED. Churchill Livingstone, Edinburgh (2002)の目次;“Encyclopedia of Pharmaceutical Technology”, Second Edition, Swarbrick, J. and Boylan J.C. (Eds.), Marcel Dekker, Inc. New York (2002); “Modern Pharmaceutics”, Fourth Edition, Banker G.S. and Rhodes C.T. (Eds.) Marcel Dekker, Inc. New York 2002;“The Theory and Practice of Industrial Pharmacy”, Lachman L., Lieberman H. And Kanig J. (Eds.), Lea & Febiger, Philadelphia (1986)から公知の手順により製造することができる。上記それぞれの記述は参照用に本願に含められ、そして本願開示の一部を形成する。薬剤の組成は投与経路に依存して変わり得る。
本発明の薬剤は、例えば、水あるいは適当なアルコールなどの、従来の注射可能な液状担体と組み合わせて非経口投与してもよい。安定化剤、可溶化剤、およびバッファのような注射のための従来の薬学的賦形剤を、このような注射可能な組成物に含めてもよい。これらの薬剤は、例えば、筋肉内に、腹腔内に、あるいは静脈内に注射してもよい。
【0121】
本発明による薬剤を調合して、固体あるいは液体の形態で、1種以上の生理的に適合しうる担体あるいは賦形剤を含む経口投与可能な組成物としてもよい。これらの組成物は、結着剤、充填剤、潤滑剤及び許容できる加湿剤のような従来成分を含んでもよい。組成物は、即座のまたは遅延した放出のために、錠剤、ペレット、顆粒、カプセル、薬用ドロップ、水性または油性溶液、懸濁液、乳濁液などの都合が良い全ての形態、あるいは水または他の適当な液状媒体を用いて使用前に再構成するのに適した乾燥粉末の形態をとってもよい。ペレット又は顆粒のような多粒子状形態を例えばカプセルに充填、又は錠剤に圧縮するか、又は適当な液体に懸濁させてもよい。
【0122】
適当な制御放出配合物、材料及びそれらの調製法は従来技術、例えば“Modified-Release Drug Delivery Technology”, Rathbone, M.J. Hadgraft, J. 及びRoberts, M.S. (Eds.), Marcel Dekker, Inc., New York (2002)の目次;“Handbook of Pharmaceutical Controlled Release Technology”, Wise, D.L. (Ed.), Marcel Dekker, Inc. New York, (2000);“Controlled Drug Delivery”, Vol, I, Basic Concepts, Bruck, S.D. (Ed.), CRD Press Inc., Boca Raton (1983) y de Takada, K. 及びYoshikawa, H., “Oral Drug Delivery”, Encyclodia of Controlled Drug Delivery, Mathiowitz, E. (Ed.), John Wiley & Sons, Inc., New York (1999), Vol. 2, 728-742;Fix, J., “Oral drug delivery, small intestine and colon”, Encyclopedia of Controlled Drug Delivery, Mathiowitz, E. (Ed.), John Wiley & Sons, Inc., New York (1999), Vol. 2, 698-728から知られている。上記それぞれの記述は参n照用に本願に含められ、そして本願開示の一部を形成する。
【0123】
本発明の薬剤はまた腸溶性皮膜を含んでもよく、該薬剤の溶解はpH値に依存する。該皮膜により薬剤は溶解しないで胃を通過することができ、そしてそれぞれのニトロ−置換フェニル−ピラゾリン化合物は腸管で放出される。好ましくは腸溶性皮膜は5〜7.5のpH値で溶解性である。調製に適した材料及び方法は従来技術で知られている。
【0124】
典型的には本発明の薬剤は、1-60重量%の1種又はそれ以上の本願に規定したアゼパン−又はアゾカン−置換ピラゾリン化合物及び40-99重量%の1種又はそれ以上の補助物質(添加剤)を含んでもよい。
【0125】
液体経口投与形はまた、甘味料、風味料、保存剤、及び乳化剤のようなある種の添加剤を含み得る。非水性液体経口投与用組成物はまた、食用油を含むように配合してもよい。かかる液体組成物は、例えばゼラチンカプセルに単位投与量で便利に封入し得る。
【0126】
本発明の組成物はまた、局所的に又は座薬により投与し得る。
【0127】
ヒトおよび動物のための毎日の服用量は、それぞれの種に基礎を有する要因あるいは年齢、性別、体重または病気の程度などの他の要因によって変わり得る。ヒトのための1日の服用量は、1日当たり1回又は数回の摂取の間に投与される有効成分が1〜2000ミリグラム、好ましくは1〜1500ミリグラム、より好ましくは1〜1000ミリグラム、更により好ましくは1〜150ミリグラムの範囲内であることが好ましい。
【0128】
本発明を以下に実施例の助けにより例示する。これらの例示は例としてのみ与えたもので、本発明の一般的精神を限定するものではない。
【実施例】
【0129】
下記の化合物を、上記の一般的工程に従って調製した。当業者は該化合物を得るのに必要な出発材料に精通している。
a) 一般式(E)-4-(4-置換フェニル)-3-メチル(又は3-エチル)-2-オキソブト-3-エノイック酸の化合物の調製
【0130】
【化30】


(式中、Wは上記の意味を有する)
0.5M NaOH (1.5当量)の水溶液に、N2下、室温で、2-オキソ酪酸(1.1当量)を部分に分けて加える。次に反応物を5分間攪拌し、そして4-置換ベンズアルデヒド(1当量)の無水EtOH(0.9M)溶液を次にゆっくり加える(10mL/h)。反応物を25℃で一晩攪拌する。
【0131】
水を加え、そして溶液を減圧下で蒸発させて過剰のEtOHを除去する。次に溶液をトルエンで洗浄し、そして(この溶媒の微量を除去するために)蒸発させる。次に水溶液を氷浴中で冷却し、そして濃HCl(塩基1mL当たり濃HClを0.2mL)を磁気攪拌下でゆっくり加える。該溶液から白色固体が沈殿し、それを0℃に更に1時間保持する。該固体を減圧下で焼結濾斗(多孔率3)を通してろ過し、そして40℃で減圧下で乾燥する。
【0132】
このアルドール縮合物の収率範囲は60-86%である。
【0133】
出発材料が2-オキソ酪酸の代わりに2-オキソペンタン酸(オキソバレリアン酸)である場合は、この反応で(E)-4-(4-置換フェニル)-3-エチル-2-オキソブト-3-エノイック酸が生成する。この場合、反応の収率は僅かにより低い(ほぼ40-50%)。
(E)-4-(4-クロロフェニル)-3-メチル-2-オキソブト-3-エノイック酸。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 2.17 (3H, s, CH3), 7.44 (4H, ap d, J= 3.28 Hz, ArH), 8.41 (1H, s, CH)。
【0134】
(E)-4-(4-ブロモフェニル)-3-メチル-2-オキソブト-3-エノイック酸
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 1.99 (3H, s, CH3), 7.36 (2H, d, J= 8.5 Hz, ArH), 7.40 (1H, s, CH), 7.53 (2H, d, J= 8.5 Hz, ArH)。
【0135】
(E)-4-(4-フルオロフェニル)-3-メチル-2-オキソブト-3-エノイック酸
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 2.18 (3H, s, CH3), 7.20 (2H, m), 7.53 (2H, m), 8.26 (1H, s, CH);
【0136】
(E)-4-(4-メトキシフェニル)-3-メチル-2-オキソブト-3-エノイック酸
この化合物を上記の方法で、しかし1.5当量の代わりに3当量のNaOHを使用して調製する。
1H NMR (200 MHz, CDCl3): δ 2.09 (3H, s, CH3), 3.84 (3H, s, OCH3), 7.01 (2H, d, J= 8.8 Hz, ArH), 7.50 (1H, s, CH), 7.52 (2H, d, J= 8.8 Hz, ArH)。
【0137】
(E)-4-(4-ブロモフェニル)-3-エチル-2-オキソブト-3-エノイック酸
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.16 (3H, t, J 7.5 Hz, CH3), 2.62 (2H, q, J 7.5 Hz, CH2), 7.35 (2H, d, J 8.4 Hz, ArH), 7.59 (2H, d, J 8.4 Hz, ArH), 8.23 (1H, s, CH)。
【0138】
b)一般式 シス又はトランス5-(4-置換フェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル(又は4-エチル)-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の化合物の調製
【0139】
【化31】


(式中、Wは上記の意味を有する。)
2,4-ジクロロフェニルヒドラジン・塩酸塩(1当量)の氷酢酸(40当量)懸濁液を80℃に窒素雰囲気中で加熱する。懸濁液が溶液になった時、(E)-4-(4-置換フェニル-3-メチル-2-オキソ-3-ブテン酸(1当量)の酢酸(20当量)溶液を加え、そして該溶液を80℃で2時間攪拌する。
【0140】
次に、酢酸をいくらか濃縮させた後、混合物を0-4℃で一晩結晶させる。その後形成したベージュ色の固体を減圧下で焼結漏斗(多孔率4)を通してろ過し、そして数回水で洗う。この結晶過程で主にジアステレオマー酸シスが生じる。
【0141】
ヒドラジンで環化して主にジアステレオマーのシスを得る収率範囲はほぼ46-60%である。
【0142】
出発材料が(E)-4-(4-置換フェニル)-3-エチル-2-オキソブト-3-エノイック酸である場合は、シス-5-(4-置換フェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-エチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボン酸が得られる。この場合、環化物の収率はほぼ40%である。
【0143】
該反応混合物を室温に冷却し、そして添加漏斗を通して水に注ぎ、氷浴中で磁気攪拌しながら冷却することもできる。添加はゆっくりでなければならず、そして酢酸1容量当り水を少なくとも2倍の容量必要である。沈殿物が形成するはずであるが、ゴム状物が形成し始めた場合は、それをろ過し、そして材料の残りを別の多量の水に注がなければならない。得られた固体を水中に数回懸濁させ、そして水のpHが3を超えるまでろ過する。この固体もまた、シス形に相当する。
【0144】
或いは、暗色混合物をジクロロメタンで抽出し、H2Oで充分洗い、Na2SO4で乾燥し、そして蒸発乾固することが出来る。粗製物質をトルエン(物質1g当りトルエン3〜4mL)で再結晶させると、主要ジアステレオマーであるシスが回収できる。
【0145】
メチルエステルを形成し、次いでカラムクロマトグラフィーで精製すると、2つのジアステレオ異性体形の分離が可能となる。次に、純粋なエステルの加水分解で対応する酸のシス及びトランスが得られる。例:ヨウ化メチル(0.16ml, 2.25ミリモル)を、無水ジメチルホルムアミド(10ml)中の5-(4-クロロフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボン酸(0.47g, 1.27ミリモル)とKHCO3(0.19g, 1.9ミリモル)の混合物に窒素雰囲気中で滴下した。混合物を室温で窒素下で一晩(約16時間)攪拌した。水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出し、そして合わせた有機層を水性NaClで充分洗った。Na2SO4で乾燥しそして減圧下で蒸発した後、0.5gの粗製生成物が得られた。カラムクロマトグラフィーで精製(SiO2, 40:1 SiO2、100%ヘキサンを充填し、そして1%〜5%の酢酸エチル勾配で溶出)して0.045g(収率9%)の少量の異性体(トランスラセミ混合物)及び0.23g(収率48%)の主要異性体(シスラセミ混合物)が得られた。NaOHの存在下でのエステルの加水分解により、対応する酸が得られた。
【0146】
酸トランスへの別の方法を以下に記載する:
【0147】
【化32】


氷(1.5ml)中の2,4-ジクロロアニリン(1g, 6.17ミリモル)及び濃塩酸(1.5ml)の攪拌溶液に、NaNO2(0.460mg, 6.68ミリモル)の水(0.8 ml)溶液をゆっくり加え、そして混合物を1時間0-5℃で攪拌する。次にこの溶液を、NaOAc(1.64g, 19.6ミリモル)、エタノール(26ml)及びエチル-2-クロロ-3-オキソブタン酸エステル(1.0g, 6.06ミリモル)の冷混合物に加え、形成した沈殿物をろ過により収集するまで1時間攪拌し、エタノール及びジクロロメタンで洗い、そして減圧下で乾燥して、黄色固体2-クロロ-2-(2-(2,4-ジクロロフェニル)ヒドラゾノ)酢酸エチル(収率70-80%)を得、それを次のステップで更に精製することなく使用する。
【0148】
次にトリエチルアミン(2.8当量)を、2-クロロ-2-(2-(2,4-ジクロロフェニル)ヒドラゾノ)酢酸エステル(1当量)及び4-置換トランス-β-メチルスチレン(3当量)のトルエン溶液に加え、混合物を還流温度で1時間攪拌する。形成した沈殿物を、室温に冷却後、ろ過により除く。ろ液を濃縮し、そしてIscoからのCombiflahシステムを使用して、シクロヘキサン及び酢酸エチル(30%AcOEtまで勾配プログラムで)で溶出して精製して、純粋なトランス-5-(4-置換フェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチル(収率約40%)を得る。別の化合物を精製により単離し、それは位置異性体トランス-4-(4-置換フェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチル(収率約10%)と確認される。
【0149】
【化33】


トランス-4-(4-置換フェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチル
1H NMR (300 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.00 (d, J=6.6 Hz, 3 H) 1.18 (t, J=7.2 Hz, 3 H) 4.06 (d, J=3.3 Hz, 1 H) 4.16 (m, 2 H) 4. 91 (m, 1 H) 7.10-7.45 (m, 8 H)。
【0150】
トランス-5-(4-置換フェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチルを水性2M NaOH(2当量)及びテトラヒドロフランの存在下で4時間加水分解する。次にテトラヒドロフランを蒸発により部分的に除き、pHが3未満になるまで1M HClを加え、そして水性混合物を酢酸エチルで抽出し、Na2SO4で乾燥し、ろ過しそして減圧して濃縮して、トランス-5-(4-置換フェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボン酸(収率85%)と確認される白色固体を生成する。位置異性体トランス-4-(4-置換フェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチルを同様にして加水分解することができる。
【0151】
各酸(シス又はトランス)の2つのエナンチオマーを、キラルHPLC又はキラルアミンを用いて形成されたジアステレオマー塩の結晶化により分離することができる。
【0152】
シス-5-(4-クロロフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボン酸
IR (KBr, cm-1 ) : 2976, 1682, 1566, 1542, 1490, 1270, 1242, 1117.
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 0.96 (d, J=7.42 Hz, 3 H) 3.82 (td, J=11.72, 7.42 Hz, 1 H) 5.91 (d, J=11.72 Hz, 1 H) 7.04 (d, J=8.60 Hz, 2 H) 7.11 (dd, J=8.60, 2.34 Hz, 1 H) 7.21 - 7.30 (m, 4 H)
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 13.6 (CH3), 43.5 (CH), 72.0 (CH), 124.9 (CH), 127.6 (CH), 129.1 (CH), 129.6 (CH), 130.9 (CH), 131.3 (C), 132.7 (C), 134.5 (C), 138.7 (C), 144.6 (C), 165.9 (CO)。
【0153】
シス-5-(4-ブロモフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボン酸
IR (KBr, cm-1 ) : 2976, 1683, 1541, 1486, 1385, 1270, 1242, 1116。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.96 (3H, d, J= 7.3 Hz, CH3), 3.82 (1H, qd, J= 11.9, 7.3, 7.3, 7.3 Hz, 1H), 5.88 (1H, d, J= 11.9 Hz, CH), 6.99 (2H, ap d, J= 8.4 Hz, ArH), 7.12 (1H, dd, J= 8.7, 2.3 Hz, 1H), 7.17 (1H, m, ArH), 7.27 (1H, m, ArH), 7.39 (2H, d, J= 8.4 Hz, ArH)。
【0154】
シス-5-(4-フルオロフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)- 4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボン酸
IR (KBr, cm-1 ) : 2978, 1682, 1486, 1471, 1264, 1117。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 0.97 (d, J= 7.42 Hz, 3 H) 3.82 (td, J= 11.72, 7.42 Hz, 1 H) 5.91 (d, J=12.0 Hz, 1 H), 6.95 (m, 2 H), 7.10 (m, 3 H), 7.20 (d, J=9.0 Hz, 1 H), 7.30 (d, J= 3.0 Hz, 1 H)。
【0155】
シス-5-(4-メトキシフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボン酸
IR (KBr, cm-1 ) : 2936, 2836, 1681, 1612, 1512, 1480, 1460, 1248, 1113。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.97 (3H, d, J= 7.3 Hz, CH3), 3.74 (3H, s, OCH3), 3.80 (1H, m, 1H), 5.88 (1H, d, J= 11.8 Hz, CH), 6.76 (2H, ap d, J= 8.6 Hz, ArH), 7.00 (2H, d, J= 8.6, ArH), 7. 09 (1H, dd, J= 8.6, 2.3 Hz, ArH), 7.16-7.28 (2H, m, ArH)。
【0156】
シス-5-(4-ブロモフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-エチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボン酸
IR (KBr, cm-1 ) : 2969, 1682, 1480, 1452, 1270, 1236, 1151, 1106。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.69 (3H, t, J 7.4 Hz, CH3), 1.28-1.34 (1H, m, CHH), 1.95-2.00 (1H, m, CHH), 3.68 (1H, ddd, J = 11.5, 9.7, 4.0 Hz, CH), 5.92 (1H, d, J 11.5 Hz, CH), 7.02 (2H, ap d, J 8.4 Hz, ArH), 7.09 (1H, dd, J = 8.7, 2.4 Hz, ArH), 7.20 (1H, d, J 8.7 Hz, ArH), 7.28 (1H, d, J 2.4 Hz, ArH), 7.36 (2H, ap d, J 8.4 Hz, ArH);
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 12.4 (CH3), 20.0 (CH2), 50.5 (CH3), 52.3 (OCH3), 72.0 (CH), 122.5 (C), 124.8 (CH), 127.4 (C), 127.5 (CH), 129.9 (CH), 130.4 (CH), 131.1 (C), 131.7 (CH), 132.7 (C), 138.5 (C), 143.8 (C), 165.4 (CO)。
【0157】
トランス-5-(4-クロロフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボン酸
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.52 (d, J=7.03 Hz, 3 H) 3.52 (m, 1 H) 5.39 (d, J=5.47 Hz, 1 H) 7.08 (ddd, J=13.92, 5.62, 5.28 Hz, 3 H) 7.14 - 7.34 (m, 4 H)
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 18.4 (CH3), 48.9 (CH), 76.2 (CH), 126.4 (CH), 126.7 (C), 127.8 (CH), 128.0 (CH), 129.5 (CH), 130.5 (CH), 131.5 (C), 134.7 (C), 137.6 (C), 138.6 (C), 144.2 (C), 166.5 (CO)。
【0158】
トランス-5-(4-ブロモフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボン酸
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.52 (3H, d, J= 7.1 Hz, CH3), 3.52 (1H, m, 1H), 5.35(1H, d, J= 5.8 Hz, CH), 7.00 (2H, ap d, J= 8.4 Hz, ArH), 7.10 (1H, dd, J= 8.7, 2.3 Hz, 1H), 7.22 (1H, d, J= 8.7, ArH), 7.27 (1H, d, J= 2.3 Hz, ArH), 7.37 (2H, d, J= 8.4 Hz, ArH)。
【0159】
(c) シス又はトランス5-(4-置換フェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル(又は4-エチル)-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボニルクロリド
【0160】
【化34】


(式中、Wは前と同じ意味を有する)
ステップ(b)に従って得たシス又はトランス 5-(4-置換フェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル(又は4-エチル)-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボン酸(15ミリモル)を120mLの乾燥トルエン中に溶解させ、そして塩化チオニル(18ミリモル)を加えた。混合物を80℃に2.5時間加熱する。溶媒を減圧下で除去し、そして得られた粗製残留物を更に精製することなく使用する。
【0161】
シス-5-(4-クロロフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボニルクロリド
IR (KBr, cm-1) : 1732, 1700, 1533, 1478, 1212, 826。
【0162】
シス-5-(4-ブロモフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボニルクロリド
IR (KBr, cm-1) : 1731, 1527, 1477, 1204, 1153, 1132, 825, 802。
【0163】
シス-5-(4-フルオロフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボニルクロリド
IR (KBr, cm-1) : 1731, 1509, 1478, 1227, 1153, 1132, 853, 803。
【0164】
シス-5-(4-メトキシフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボニルクロリド
IR (KBr, cm-1) : 1730, 1611, 1512, 1477, 1271, 1250, 1034, 831, 800。
【0165】
シス-5-(4-ブロモフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-エチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボニルクロリド
IR (KBr, cm-1) : 1728, 1526, 1478, 1227, 1200, 1153, 1129, 834, 801。
【0166】
d) N-(アゼパン-1-イル)-5-(4-置換フェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル(又はエチル)-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド又はアゼパン-1-イル(5-(4-置換フェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル(又はエチル)-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-イル)メタノン及びN-(アゾカン-1-イル)-5-(4-置換フェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル(又はエチル)-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド又はアゾカン-1-イル(5-(4-置換フェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル(又はエチル)-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-イル)メタノン
【0167】
【化35】


(式中、W, R5, R6 及びR7は前と同じ意味を有する)
窒素雰囲気中で、アゼパン、アゾカン、アゼパン-1-アミン又はアゾカン-1-アミン(5.6ミリモル)及びトリエチルアミン(4mL)を塩化メチレン(25mL)に溶解した。得られた混合物を0℃まで氷冷し、そしてステップ(c)で得られたシス又はトランス5-(4-置換フェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル(又はエチル)-4,5-ジヒドロ-ピラゾール-3-カルボン酸クロリド(4.6ミリモル)の塩化メチレン(15mL)溶液を滴下した。得られた反応混合物を室温(ほぼ25℃)で一晩攪拌した。その後、反応混合物を水、次いで飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗い、次に再び水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そして回転蒸発器(rotavapor)中で蒸発乾固した。2N HClジエチルエーテル溶液 又は2.8N HClエタノール溶液を得られた粗製物に加え、そしてエタノール又は酢酸エチルから結晶させた。得られた結晶個体をろ過により除き、そして母液を濃縮して、結晶生成物の第2のフラクションを生成した。2つのフラクションを合わせて、所望の生成物(収率範囲:60-80 %)を得た。
【0168】
ステップc)での出発材料がキラル酸であると、出発物の構造及びeeが最終化合物にも維持される。
【0169】
W=OHである化合物は、W=OMeである対応する化合物から、2M三臭化ホウ素を用いたジクロロメタン中での分裂により調製される(収率約75%)。
【0170】
実施例1:
シス-N-(アゼパン-1-イル)-5-(4-クロロフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド ヒドロクロリド(1)
【0171】
【化36】


1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ ppm 0.78 (d, J=7.18 Hz, 3 H) 1.58 (br. s., 4 H) 1.76 (br. s., 4 H) 3.32 (br. s, 4 H) 3.85 (m, 1 H) 5.95 (d, J=11.28 Hz, 1 H) 7.15 (d, J=8.50 Hz, 2 H) 7.23 - 7.36 (m, 3 H) 7.51 (d, J=2.34 Hz, 1 H) 7.61 (d, J=8.79 Hz, 1 H) 10.89 (br. s., 1 H)。
【0172】
実施例2:
シス-N-(アゼパン-1-イル)-5-(4-ブロモフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド ヒドロクロリド(5)
【0173】
【化37】


1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ ppm 0.78 (d, J=7.18 Hz, 3 H) 1.58 (br. s., 4 H) 1.77 (br. s., 4 H) 3.33 (br. s., 4 H) 3.85 (dd, J=11.28, 7.18 Hz, 1 H) 5.94 (d, J=11.28 Hz, 1 H) 7.08 (d, J=8.35 Hz, 2 H) 7.34 (dd, J=8.72, 2.27 Hz, 1 H) 7.46 (d, J=8.35 Hz, 2 H) 7.52 (d, J=2.34 Hz, 1 H) 7.61 (d, J=8.64 Hz, 1 H) 10.98 (br. s., 1 H)。
【0174】
実施例3:
シス-N-(アゼパン-1-イル)-5-(4-フルオロフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド ヒドロクロリド(7)
【0175】
【化38】


1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ ppm 0.78 (d, J=7.32 Hz, 3 H) 1.59 (br. s., 4 H) 1.78 (br. s., 4 H) 3.36 (br. s., 4 H) 3.84 (dd, J=11.43, 7.32 Hz, 1 H) 5.96 (d, J=11.43 Hz, 1 H) 6.99 - 7.21 (m, 4 H) 7.33 (dd, J=8.79, 2.20 Hz, 1 H) 7.51 (d, J= 2.34 Hz, 1 H) 7.63 (d, J=8.79 Hz, 1 H), 11.06 (br. s., 1 H)。
【0176】
実施例4:
シス-N-(アゼパン-1-イル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-5-(4-メトキシフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド ヒドロクロリド(9)
【0177】
【化39】


1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ ppm 0.80 (d, J=7.18 Hz, 3 H) 1.59 (br. s., 4 H) 1.79 (br. s., 4 H) 3.38 (d, J=4.54 Hz, 4 H) 3.66 (s, 3 H) 3.80 (dd, J=11.28, 7.32 Hz, 1 H) 5.89 (d, J=11.28 Hz, 1 H) 6.78 (d, J=8.50 Hz, 2 H) 7.03 (d, J=8.50 Hz, 2 H) 7.32 (dd, J=8.79, 2.34 Hz, 1 H) 7.49 (d, J= 2.34 Hz, 1 H) 7.63 (d, J=8.79 Hz, 1 H) 11.12 (br. s., 1 H)。
【0178】
【表1】












【0179】
薬理学的データ:
薬理学的方法
I. CB1/CB2 - 受容体に対する親和性の試験管内測定
CB1/CB2 - 受容体に対する本発明の置換ピラゾリン化合物の第4級アンモニウム塩の親和性の試験管内測定を、ルース・エー・ロス、ヘザー・シー・ブロッキー他(Ruth A. Ross, Heather C. Brockie et al.)の刊行物「Agonist-inverse agonist characterization at CB1 and CB2 cannabinoid receptors of L-759633, L759656 and AM630」 British Journal of Pharmacology, 126, 665-672, (1999)に記載のとおりに実行する。ここでは、Receptor Biology, Inc.のトランスフェクトされたヒトCB1およびCB2受容体が使われる。両方の受容体のために使われた放射性リガンドは[3H]-CP55940 である。前記記載のそれぞれの部分は、ここに参考文献として導入され、本開示内容の一部を形成する。
結果:
CB1/CB2 - 受容体に対する本発明の置換ピラゾリン化合物の親和性を上記のようにして測定した。得られたEC50値のいくつかを以下の第3表に示す。
【0180】
第3表に示した値から分かるように、本発明の置換ピラゾリン化合物はCB1- 受容体を調節するのに特に適する。
【0181】
II. カンナビノイド活性の測定のための生体内バイオアッセイシステム
マウス4つ組(tetrad)モデル
カンナビノイド受容体に対する親和性を有する物質が広範囲の薬理学的効果を生じることは公知である。マウスにおいてカンナビノイド受容体に対する親和性を有する物質を静脈内投与することにより、痛覚消失症、低体温症、鎮静作用および強硬症が引き起こされることも公知である。これらの効果すべてが種々のクラスの中枢作用剤について共通しているので、これらの効果のいずれも個々には、被験物質がカンナビノイド−受容体に対して親和性を有することの証明であるとみなすことはできない。しかしながら、これらすべての効果を示す物質、すなわち、このいわゆる4つ組モデルで活性な物質は、カンナビノイド受容体に対する親和性を有すると考えられる。カンナビノイド受容体拮抗薬がマウス4つ組モデルでカンナビノイド作用薬の効果を阻止することに大いに効果があることがさらに示された。
【0182】
4つ組モデルについては、例えば、エー・シー・ハウレット外(A. C. Howlett et al)の刊行物「International Union of Pharmacology XXVII. Classification of Cannabinoid Receptors, Pharmacol Rev 54, 161-202 , 2002」、およびデイビッド・アール・コンプトン外(David R. Compton et al.)の「In-vivo Characterization of a Specific Cannabinoid Receptor Antagonist (SR141716A) :Inhibition of Tetrahydrocannbinol- induced Responses and Apparent Agonist Activity」J. Pharmacol. Exp. Ther. 277 , 2, 586-594, 1996」に記載されている。該記載の対応部分は、ここに参考文献として導入される。
【0183】
材料と方法
体重20-30gのオスのNMRIマウス(ハーラン、バルセロナ、スペイン(Harlan, Barcelona, Spain))が以下の全ての実験で使われる。
【0184】
下記の行動手順で試験をする前に、マウスを実験的設定に順応させる。処理前の対照値(Pre-Treatment control values)を痛覚消失症ホットプレート潜伏期(analgesia hot plate latency)(秒にて)、直腸温度、鎮静作用および強硬症について測定する。
【0185】
試験すべき物質の作用薬活性を測定するために、マウスに試験すべき物質又はベヒクル単独を静脈注射する。注射から15分後、ホットプレート痛覚消失症の潜伏期を測定する。直腸温度、鎮静作用および強硬症を注射から20分後に測定する。
【0186】
拮抗薬活性を測定するために、作用薬効果の測定についてと同一の手順が使われるが、1.25 mg/kgのWin-55,212(公知のカンナビノイド−受容体作用薬)を静脈注射する5分前に、拮抗薬活性について評価される物質を注射するという相違点がある。
【0187】
ホットプレート痛覚消失症
ホットプレート痛覚消失症は、ウールフ・ディー他(Woolfe D. et al.)「The evaluation of analgesic action of pethidine hydrochloride (Demerol)」J. Pharmacol. Exp. Ther. 80, 300-307,1944に記載された方法によって測定される。それぞれの記載は、ここに参考文献として導入され、本開示内容の一部を形成する。
【0188】
マウスを、足をなめたりジャンプしたりすることによって痛みの感覚を示すまで、55±0.5℃のホットプレート(ハーバード無痛覚計(Harvard Analgesimeter))の上に置き、これらの感覚が起こるまでの時間を記録する。この示数を基礎的な値(B)であるとみなす。マウスがいかなる痛みの反応もなくホットプレートの上にとどまったままでいられる最大の制限時間は、皮膚の損傷を防ぐため、40秒である。この時間は打ち切り時間(PC)と呼ばれる。
【0189】
被験物質投与の15分後に、マウスを再びホットプレートの上に置き、前述の手順を繰り返す。この時間は処理後示数(PT)と呼ばれる。
【0190】
痛覚消失症の程度は式:
痛覚消失症の% MPE = ( PT- B) / (PC-B) x 100
(MPE = 最大可能作用(Maximum possible effect))
から計算される。
【0191】
鎮静作用および運動失調の測定
鎮静作用と運動失調は、デスメット・エル・ケー・シー外(Desmet L. K. C. et al.)「Anticonvulsive properties of Cinarizine and Flunarizine in Rats and Mice」Arzneim. -Forsch. (Frug Res) 25, 9, 1975に記載された方法によって測定される。それぞれの記載は、ここに参考文献として導入され、本開示内容の一部を形成する。
【0192】
選ばれた評価システムは、処理の前および後において
0:運動失調なし;
1:疑わしい;
2:明白な沈静および静止;
3:顕著な運動失調;
である。
【0193】
鎮静作用の百分率は式:
鎮静作用の% = 算数平均 / 3 × 100
に従って決定される。
【0194】
低体温症:
低体温症は、デイビッド・アール・コンプトン外(David R. Compton et al.)「In-vivo Characterization of a Specific Cannabinoid Receptor Antagonist (SR141716A) Inhibition of Tetrahydrocannbinol- induced Responses and Apparent Agonist Activity」J. Pharmacol Exp Ther. 277 , 2, 586-594, 1996に記載された方法によって測定される。それぞれの記載は、ここに参考文献として導入され、本開示内容の一部を形成する。
【0195】
被験物質を投与する前に、基準直腸温度を温度計(Yello Springs Instruments Co., Panlabs)と25mmまで差し込まれたサーミスタープローブとで測定する。直腸温度を被験物質の投与の20分後に再び測定する。温度差は動物ごとに計算され、-2℃以上の差は活性を表すと考える。
【0196】
強硬症:
強硬症は、アルパーマン・エイチ・ジー外(Alpermann H. G. et al.)「Pharmacological effets of Hoe 249: A new potential antidepressant」Drugs Dev. Res. 25, 267-282. 1992に記載された方法によって測定される。それぞれの記載は、ここに参考文献として導入され、本開示内容の一部を形成する。
【0197】
被験物質の強硬症効果(cataleptic effect)は、強硬症の持続時間に応じて評価される。ここで、動物は、それらの近い足(kinlegs)を木製ブロックの先端に載せて、頭を下にして置かれる。
【0198】
選ばれた評価システムは、
60秒間を超える強硬症 = 6;50−60秒間の強硬症 = 5;40−50秒間の強硬症 = 4;30−40秒間の強硬症 = 3;20−30秒間の強硬症 = 2;5−10秒間の強硬症 = 1;5秒間未満の強硬症 = 0
である。
【0199】
強硬症のパーセンテージは次の式:
%強硬症 = 算数平均 / 6 × 100
に従って決定される。
【0200】
拮抗作用検定:
材料及び方法
膜の調製:
組換えヒトカンナビノイド1受容体(CB1)を安定に発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を、10%の熱不活性化ウシ胎児血清、2mMのL-グルタミン、50U/mlのペニシリン、50U/mlのストレプトマイシン及び0.5mg/mlのゲネチシン(geneticin)を補充した栄養混合物であるハムの(Ham’s)F 12中で培養した。細胞を得るために、培養フラスコをリン酸塩緩衝食塩水で2回洗浄し、そしてすくい取った。次に細胞を遠心分離(200 x g,10分)により集め、そして乾燥状態で-80℃で保存した。細胞を氷冷20mM HEPES、10mM EDTA (pH 7.5)中で均質化し、そして40,000 x gで15分間4℃で遠心分離した。ペレットを20mM HEPES、0.1mM EDTA(pH 7.5)中に再懸濁し、そして15分間4℃で遠心分離した。最終ペレットを20mM HEPES、0.1mM EDTA (pH 7.5)中に再懸濁し、そしてアリコートに分割し、そして使用するまで-80℃で保存した。
【0201】
[35S]GTPγS結合検定:
反応を96穴プレート中で行った。膜(15μg蛋白質/穴)を60分間、30℃でバッファ(50mMのHEPES, 100mMのKCl, 5mMのMgCl2,1mMのEDTA, 0.1% wt/volのウシ血清アルブミン, 5μMのGDP, サポニン(10μg/ml), 0.5nMの[35S]GTPγS, pH7.4)中で、最終濃度1μMの化合物を用いて、3nM〜3μMの作用薬WIN 55,212-2の用量反応曲線の不存在下又は存在下のいずれかでインキュベートした。インキュベーションを、ミリポア多重スクリ−ン(Millipore Multiscreen)ガラス繊維FBを通す急速ろ過により停止し、氷冷検定バッファで2回濯いだ。フィルタープレートを乾燥し、シンチレーション液30μlを加えた。放射活性を、Wallac Microbeta Triluxを用いて測定した。各実験は少なくとも2回行った。WIN 55,212-2用量反応を系統的に行った。
計算:
基礎[35S]GTPγS結合性の平均を全結合性データから差し引いた。1つのスクリーニングキャンペーンから生じた拮抗作用を他の拮抗作用と比較するために、WIN 55,2122単独の最大作用薬効果と、内部標準CB1-拮抗薬を有するWIN 55,212-2による最大拮抗作用効果との差を100%と規定した。
結果:
生体内におけるカンナビノイド活性の測定を、上記のようにして測定した。(WIN 55,212-2に対する)拮抗薬効果を以下の第3表に示すいくつかの化合物について測定した。
【0202】
上記の実施例のいくつかの結合性及び拮抗作用についての試験の結果を一緒に下記の第3表に示す:
【0203】
【表2】

【0204】
III. 抗肥満活性の生体内試験
a)緊急治療
正常に取り扱ったラットを反転サイクル12/12時間に慣らし、そして化合物並びに食塩水を緊急に経口投与した。投与後、集積食物摂取量(g)を6時間目及び23時間目に測定した。その後、対照と化合物処理動物の体重の差を測定した。
実施例1、5及び9の化合物(HCl塩)はこのモデルで活性で、体重を減少させる。
【0205】
b)長期治療
本発明のピラゾリン化合物の抗肥満活性の生体内試験は、ジー・コロンボ外(G. Colombo et al.)の刊行物「Appetite Suppression and Weight Loss after the Cannabinoid Antagonist SR 141716」Life Sciences, 63 (8), 113-117, (1998)に記載されたとおりに実施する。前記記載のそれぞれの部分は、ここに参考文献として導入され、本開示内容の一部を形成する。
【0206】
IV. 抗うつ活性の生体内試験
水絶望試験(water despair test)における本発明のピラゾリン化合物の抗うつ活性の生体内試験は、イー・ティー・ツァヴァラ他(E.T. Tzavara et al.)の刊行物「The CB1 receptor antagonist SR141716A selectively increases monoaminergic neurotransmission in the medial prefrontal cortex: implications for therapeutic actions」Br. J. Pharmacol. 2003, 138(4):544:53に記載されたとおりに実施する。前記記載のそれぞれの部分は、ここに参考文献として導入され、本開示内容の一部を形成する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iのアゼパン−又はアゾカン置換ピラゾリン化合物:
【化1】


I
〔式中、
Zは、置換された若しくは非置換の、分岐鎖若しくは直鎖の、飽和若しくは不飽和のC1-4-アルキルから選ばれ;
X及びYは、独立して、フェニル、チエニル、ナフチル又はピリジルを示し、これらの基は、分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、SH、トリフルオロメチル、CHF2、CH2F、OCHF2、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメトキシ、メチルスルホニル、カルボキシル、トリフルオロメチルスルホニル、シアノ、カルバモイル、スルファモイル及びアセチル;O-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグ基を示す)から選ばれる、同じ又は異なることができる1、2又は3個の置換基Wで置換されていてもよく;
R8は、水素原子、又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル基を示し、一方、R9は:
【化2】


(R5、R6及びR7は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれ;そしてnは1又は2である)を示すか;
或いは、
R8及びR9は、結合する窒素原子と共に、
【化3】


(R5、R6及びR7は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれ;そしてnは1又は2である)を示す〕
であって、場合によってはラセミ体、純粋な立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマー、の形態、又は立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマー、の適当な割合の混合物の形態;示した形態又は酸若しくは塩基の形態、又は塩、特に生理学的許容塩、の形態、又は溶媒和物、特に水和物、の形態、又はその対応するN-オキシドの形態にある上記化合物。
【請求項2】
一般式Ia又はIb:
【化4】


Ia Ib
〔式中、
Zは、置換された若しくは非置換の、分岐鎖若しくは直鎖の、飽和若しくは不飽和のC1-4-アルキルから選ばれ;
X及びYは、独立して、フェニル、チエニル、ナフチル又はピリジルを示し、これらの基は、分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、SH、トリフルオロメチル、CHF2、CH2F、OCHF2、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメトキシ、メチルスルホニル、カルボキシル、トリフルオロメチルスルホニル、シアノ、カルバモイル、スルファモイル及びアセチル;O-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグ基を示す)から選ばれる、同じ又は異なることができる1、2又は3個の置換基Wで置換されていてもよく;
R8は、水素原子、又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル基を示し、一方、R9は:
【化5】


(R5、R6及びR7は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれ;そしてnは1又は2である)を示すか;
或いは、
R8及びR9は、結合する窒素原子と共に、
【化6】


(R5、R6及びR7は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれ;そしてnは1又は2である)を示す〕
で表され、場合によっては示した形態又は酸若しくは塩基の形態、又は塩、特に生理学的許容塩、の形態、又は溶媒和物、特に水和物、の形態、又はその対応するN-オキシドの形態にある、請求項1記載のアゼパン−又はアゾカン置換ピラゾリン化合物。
【請求項3】
一般式II:
【化7】


II
〔式中、
Z'は、置換された若しくは非置換の、分岐鎖若しくは直鎖の、飽和若しくは不飽和のC1-4-アルキルから選ばれ;好ましくはCH3又はC2H5のいずれかであり;
R11、R12、R13及びR14は、互いに独立して、H;分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル、又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、SH、トリフルオロメチル、CHF2、CH2F、OCHF2、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメトキシ、メチルスルホニル、カルボキシル、トリフルオロメチルスルホニル、シアノ、カルバモイル、スルファモイル及びアセチル;O-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグ基を示す)を示し;
R18は、水素原子又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル基を示し、一方、R19は:
【化8】


(R15、R16及びR17は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれ、そしてmは1又は2である)示すか;
或いは、
R18及びR19は、結合する窒素原子と共に、
【化9】


(R15、R16及びR17は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれ、そしてmは1又は2である)示す〕
で表され、場合によってはラセミ体、純粋な立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマー、の形態、又は立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマー、の適当な割合の混合物の形態;示した形態又は酸若しくは塩基の形態、又は塩、特に生理学的許容塩、の形態、又は溶媒和物、特に水和物、の形態、又はその対応するN-オキシドの形態にある、請求項1記載のアゼパン−又はアゾカン置換ピラゾリン化合物。
【請求項4】
一般式 IIa又はIIb:
【化10】


IIa IIb
〔式中、
Z’は、置換された若しくは非置換の、分岐鎖若しくは直鎖の、飽和若しくは不飽和のC1-4-アルキルから選ばれ;好ましくはCH3又はC2H5のいずれかであり;
R11、R12、R13及びR14は、互いに独立して、H;分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル、又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、SH、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメトキシ、CHF2、CH2F、OCHF2、メチルスルホニル、カルボキシル、トリフルオロメチルスルホニル、シアノ、カルバモイル、スルファモイル及びアセチル;O-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグ基を示す)を示し;
R18は、水素原子又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル基を示し、一方、R19は:
【化11】


(R15、R16及びR17は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれ、そしてmは1又は2である)示すか;
或いは、
R18及びR19は、結合する窒素原子と共に、
【化12】


(R15、R16及びR17は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれ、そしてmは1又は2である)示す〕
で表され、場合によっては示した形態又は酸若しくは塩基の形態、又は塩、特に生理学的許容塩、の形態、又は溶媒和物、特に水和物、の形態、又はその対応するN-オキシドの形態にある、請求項3記載のアゼパン−又はアゾカン置換ピラゾリン化合物。
【請求項5】
R11、R12、R13及びR14が、互いに独立して、H、CH3、C2H5、C3H7、OCH3、OC2H5、OH、SH、F、Cl、Br、I、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、OCHF2;好ましくはR11、R12、R13及びR14が、互いに独立して、H、OH、OCH3、F、Cl、Br、I、CF3、CHF2又はOCF3を示すことを特徴とする、請求項3又は4のいずれかに記載のアゼパン−又はアゾカン置換ピラゾリン化合物。
【請求項6】
R18がHを示すことを特徴とする、請求項3〜5のいずれか1項に記載のアゼパン−又はアゾカン置換ピラゾリン化合物。
【請求項7】
R15、R16及びR17が、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、CH3、C2H5、OCH3、OCF3、又はCF3から選ばれることを特徴とする、請求項3〜6のいずれか1項に記載のアゼパン−又はアゾカン置換ピラゾリン化合物。
【請求項8】
一般式III:
【化13】


III
〔式中、
Z’’は、CH3又はC2H5から選ばれ;
R21、R22、R23及びR24は、互いに独立して、H;分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル、又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、SH、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメトキシ、メチルスルホニル、カルボキシル、トリフルオロメチルスルホニル、シアノ、カルバモイル、スルファモイル及びアセチル;O-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグ基を示す)を示し;
R28は、水素原子又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル基を示し、一方、R29は:
【化14】


(R25、R26及びR27は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれ;pは1又は2である)を示すか;
或いは、
R28及びR29は、結合する窒素原子と共に、
【化15】


(R25、R26及びR27は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれ;pは1又は2である)を示す〕
で表され、場合によってはラセミ体、純粋な立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマー、の形態、又は立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマー、の適当な割合の混合物の形態;示した形態又は酸若しくは塩基の形態、又は塩、特に生理学的許容塩、の形態、又は溶媒和物、特に水和物、の形態、又はその対応するN-オキシドの形態にある、請求項1又は3に記載のアゼパン−又はアゾカン置換ピラゾリン化合物。
【請求項9】
一般式IIIa又はIIIb:
【化16】


IIIa IIIb
〔式中、
Z’’は、CH3又はC2H5から選ばれ;
R21、R22、R23及びR24は、互いに独立して、H;分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル、又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、SH、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメトキシ、メチルスルホニル、カルボキシル、トリフルオロメチルスルホニル、シアノ、カルバモイル、スルファモイル及びアセチル;O-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグ基を示す)を示し;
R28は、水素原子又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル基を示し、一方、R29は:
【化17】

(R25、R26及びR27は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれ;pは1又は2である)を示すか;
或いは、
R28及びR29は、結合する窒素原子と共に、
【化18】


(R25、R26及びR27は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれ;pは1又は2である)を示す〕
で表され、場合によっては示した形態又は酸若しくは塩基の形態、又は塩、特に生理学的許容塩、の形態、又は溶媒和物、特に水和物、の形態、又はその対応するN-オキシドの形態にある、請求項8に記載のアゼパン−又はアゾカン置換ピラゾリン化合物。
【請求項10】
R21がO-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグを示す)を示し、一方、R22、R23及びR24は、互いに独立して、H、CH3、C2H5、C3H7、OCH3、OC2H5、OH、SH、F、Cl、Br、I、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、OCHF2を示し;好ましくは、R21がO-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグを示す)を示し、一方、R22、R23及びR24は、互いに独立して、H、OH、OCH3、F、Cl、Br、I、CF3、CHF2又はOCF3を示し;最も好ましくは、R21がO-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグを示す)を示し、一方、R22、R23及びR24は、互いに独立して、OH、OCH3、F、Cl、Br、I又はOCF3を示すことを特徴とする、請求項8又は9に記載のアゼパン−又はアゾカン置換ピラゾリン化合物。
【請求項11】
R21、R22、R23及びR24が、互いに独立して、H、CH3、C2H5、C3H7、OCH3、OC2H5、OH、SH、F、Cl、Br、I、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、OCHF2を示し;好ましくはR21、R22、R23及びR24が、互いに独立して、H、OH、OCH3、F、Cl、Br、I、CF3、CHF2又はOCF3を示し;最も好ましくは、R21がHを示し、一方、R22、R23及びR24が、互いに独立して、OH、OCH3、F、Cl、Br、I又はOCF3を示すことを特徴とする、請求項8又は9に記載のアゼパン−又はアゾカン置換ピラゾリン化合物。
【請求項12】
R28がHを示すことを特徴とする、請求項8〜11のいずれか1項に記載のアゼパン−又はアゾカン置換ピラゾリン化合物。
【請求項13】
R25、R26及びR27が、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、CH3、C2H5、OCH3、OCF3、又はCF3から選ばれることを特徴とする、請求項8〜12のいずれか1項に記載のアゼパン−又はアゾカン置換ピラゾリン化合物。
【請求項14】
一般式IV、IVa又はIVb:
【化19】

IV IVa IVb
〔式中、
Z’’’はCH3又はC2H5から選ばれ;
R31、R32、R33及びR34は、互いに独立して、H;分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、SH、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメトキシ、メチルスルホニル、カルボキシル、トリフルオロメチルスルホニル、シアノ、カルバモイル、スルファモイル及びアセチル;O-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグを示す)を示し;
R35、R36及びR37は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれ;
R38は水素原子、又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル基を示す〕
で表され、場合によっては示した形態又は酸若しくは塩基の形態、又は塩、特に生理学的許容塩、の形態、又は溶媒和物、特に水和物、の形態、又はその対応するN-オキシドの形態にある、請求項8に記載のアゼパン置換ピラゾリン化合物。
【請求項15】
一般式IVc、IVd又はIVe:
【化20】

IVc IVd IVe
〔式中、
Z’’’はCH3又はC2H5から選ばれ;
R31、R32、R33及びR34は、互いに独立して、H;分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルキル又は分岐鎖若しくは直鎖のC1-3-アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、SH、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメトキシ、メチルスルホニル、カルボキシル、トリフルオロメチルスルホニル、シアノ、カルバモイル、スルファモイル及びアセチル;O-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグを示す)を示し;
R35、R36及びR37は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、SH、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、ケト基、NO2又はNH2から選ばれる〕
で表され、場合によっては示した形態又は酸若しくは塩基の形態、又は塩、特に生理学的許容塩、の形態、又は溶媒和物、特に水和物、の形態、又はその対応するN-オキシドの形態にある、請求項8に記載のアゼパン置換ピラゾリン化合物。
【請求項16】
R31がO-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグを示す)を示し、一方、R32、R33及びR34が、互いに独立して、H、CH3、C2H5、C3H7、OCH3、OC2H5、OH、SH、F、Cl、Br、I、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、OCHF2を示し;好ましくは、R31がO-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグを示す)を示し、一方、R32、R33及びR34が、互いに独立して、H、OH、OCH3、F、Cl、Br、I、CF3、CHF2又はOCF3を示し;最も好ましくは、R31がO-P(Pは、アリール、C8-20-アルキル、ヘテロアリール、C(O)-アリール、C(O)-ヘテロアリール、C(O)-C1-20-アルキルから成るプロドラッグを示す)を示し、一方、R32、R33及びR34は、互いに独立して、OH、OCH3、F、Cl、Br、I又はOCF3を示すことを特徴とする、請求項14又は15に記載のアゼパン置換ピラゾリン化合物。
【請求項17】
R31、R32、R33及びR34が、互いに独立して、H、CH3、C2H5、C3H7、OCH3、OC2H5、OH、SH、F、Cl、Br、I、CF3、CHF2、CH2F、OCF3、OCHF2を示し;好ましくは、R31、R32、R33及びR34が、互いに独立して、H、OH、OCH3、F、Cl、Br、I、CF3、CHF2又はOCF3を示し;最も好ましくは、R31がHを示し、一方、R32、R33及びR34が、互いに独立して、OH、OCH3、F、Cl、Br、I又はOCF3を示すことを特徴とする、請求項14又は15に記載のアゼパン置換ピラゾリン化合物。
【請求項18】
R38がHを示すことを特徴とする、請求項14〜17のいずれか1項に記載のアゼパン置換ピラゾリン化合物。
【請求項19】
R35、R36及びR37が、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、CH3、C2H5、OCH3、OCF3、又はCF3から選ばれることを特徴とする、請求項14〜18のいずれか1項に記載のアゼパン置換ピラゾリン化合物。
【請求項20】
下記から成る群から選ばれる、請求項14に記載の化合物:
シス-N-(アゼパン-1-イル)-5-(4-クロロフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド ヒドロクロリド、
トランス-N-(アゼパン-1-イル)-5-(4-クロロフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド ヒドロクロリド、
(4R,5R)-N-(アゼパン-1-イル)-5-(4-クロロフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド ヒドロクロリド、
(4S,5S)-N-(アゼパン-1-イル)-5-(4-クロロフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド ヒドロクロリド、
シス-N-(アゼパン-1-イル)-5-(4-ブロモフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド ヒドロクロリド、
トランス-N-(アゼパン-1-イル)-5-(4-ブロモフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド ヒドロクロリド、
シス-N-(アゼパン-1-イル)-5-(4-フルオロフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド ヒドロクロリド、
トランス-N-(アゼパン-1-イル)-5-(4-フルオロフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド ヒドロクロリド、
シス-N-(アゼパン-1-イル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-5-(4-メトキシフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド ヒドロクロリド、
トランス-N-(アゼパン-1-イル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-5-(4-メトキシフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド ヒドロクロリド、
シス-N-(アゼパン-1-イル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-5-(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド ヒドロクロリド、
トランス-N-(アゼパン-1-イル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-5-(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド ヒドロクロリド、
シス-N-(アゼパン-1-イル)-5-(4-クロロフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-エチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド ヒドロクロリド、
トランス-N-(アゼパン-1-イル)-5-(4-クロロフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-エチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド ヒドロクロリド、
シス-N-(アゼパン-1-イル)-5-(4-ブロモフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-エチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド ヒドロクロリド、
トランス-N-(アゼパン-1-イル)-5-(4-ブロモフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-エチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド ヒドロクロリド、
場合によってはそのラセミ体、純粋な立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマー、の形態、又は立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマー、の適当な割合の混合物の形態;場合によっては対応するN-オキシド、対応する塩、又は対応する溶媒和物の形態にある上記の化合物。
【請求項21】
下記から成る群から選ばれる、請求項15に記載の化合物:
アゼパン-1-イル-シス-5-(4-クロロフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-イル)メタノン、
アゼパン-1-イル-トランス-5-(4-クロロフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-3-イル)メタノン、
場合によってはそのラセミ体、純粋な立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマー、の形態、又は立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマー、の適当な割合の混合物の形態;場合によっては対応するN-オキシド、対応する塩、又は対応する溶媒和物の形態にある上記の化合物。
【請求項22】
請求項1〜2の1つ以上に記載の一般式Iの置換ピラゾリン化合物の製造法において、一般式Vの少なくとも1種のベンズアルデヒド化合物:
【化21】


(V)
(式中、Xは請求項1又は2の1つ以上に記載の意味を有する)を、一般式(VI)のピルビン酸化合物:
【化22】

(VI),
(式中、Zは請求項1又は2に記載の意味を有し、そしてGはOR基を示し、RはH又は分岐鎖若しくは非分岐鎖のC1-6アルキル基であるか、或いはGはO-K基を示し、Kはカチオンである)と反応させて、一般式(VII)の化合物:
【化23】


(VII)
(式中、X及びZは上記の意味を有する)を生成し、それを場合によっては単離しそして/又は場合によっては精製し、そしてそれを一般式(VIII)の場合によっては置換されたフェニルヒドラジン:
【化24】


(VII)
又はその対応する塩(式中、Yは請求項1又は2の1つ以上に記載の意味を有する)と不活性雰囲気中で反応させて、一般式(IX)の化合物:
【化25】


(IX)
(式中、X、Z及びYは上記の意味を有する)を生成し、それを場合によっては単離しそして/又は場合によっては精製し、そして場合によっては不活性雰囲気中で活性化剤との反応により一般式(XI)の化合物:
【化26】


(XI)
(式中、置換基X、Z及びYは上記の意味を有し、そしてAは脱離基を示す)に変換し、該化合物を場合によっては単離しそして/又は場合によっては精製し、そして一般式(XI)の少なくとも1種の化合物を、一般式XII又はXIIaの化合物:
【化27】


(XII) (XIIa)
(式中、n、R5、R6、R7及びR8は請求項1又は2のいずれかに定義した通りである)と不活性雰囲気中で反応させて、一般式Iの置換ピラゾリン化合物を生成し、それを場合によっては単離しそして/又は場合によっては精製することを特徴とする、上記の製造法。
【請求項23】
請求項1〜21に記載の少なくとも1種の一般式Iの置換ピラゾリン化合物、及び場合によっては1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む薬剤。
【請求項24】
中枢神経系の障害、免疫系の障害、心血管系の障害、内分泌系の障害、呼吸器系の障害、消化管の障害あるいは生殖器障害の予防および/又は治療のためにカンナビノイド受容体、好ましくはカンナビノイド1(CB1)受容体の調節用の薬剤の製造への、請求項1〜21の1つ以上に記載の少なくとも1種の置換ピラゾリン化合物、及び場合によっては1種以上の薬学的に許容される賦形剤の使用。
【請求項25】
食物摂取障害、好ましくは過食症、拒食症、悪液質、肥満症、および/またはII型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)、より好ましくは肥満症の予防および/又は治療用の薬剤の製造のための、請求項1〜21の1つ以上に記載の少なくとも1種の置換ピラゾリン化合物、及び場合によっては1種以上の薬学的に許容される賦形剤の使用。
【請求項26】
精神病の予防および/又は治療用の薬剤の製造のための、請求項1〜21の1つ以上に記載の少なくとも1種の置換ピラゾリン化合物、及び場合によっては1種以上の薬学的に許容される賦形剤の使用。
【請求項27】
アルコール乱用および/若しくはアルコール嗜癖、ニコチン乱用および/若しくはニコチン嗜癖、薬物(drug)乱用および/若しくは薬物嗜癖、ならびに/または薬剤乱用および/若しくは薬剤嗜癖、好ましくは薬物乱用および/若しくは薬物嗜癖、および/またはニコチン乱用および/若しくはニコチン嗜癖の予防および/又は治療用の薬剤の製造のための、請求項1〜21の1つ以上に記載の少なくとも1種の置換ピラゾリン化合物、及び場合によっては1種以上の薬学的に許容される賦形剤の使用。
【請求項28】
癌の予防および/又は治療用の薬剤の製造のための、好ましくは脳腫瘍、骨肉腫、口唇癌、口腔癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌、乳癌、皮膚癌、結腸癌、腸癌および前立腺癌からなる群より選択される一種以上の癌の予防および/又は治療用の薬剤の製造のための、より好ましくは結腸癌、腸癌および前立腺癌からなる群より選択される一種以上の癌の予防および/又は治療用の薬剤の製造のための、請求項1〜21の1つ以上に記載の少なくとも1種の置換ピラゾリン化合物、及び場合によっては1種以上の薬学的に許容される賦形剤の使用。
【請求項29】
骨障害、好ましくは骨粗鬆症(例えば、遺伝的素因、性ホルモン欠乏、もしくは加齢と結び付けられる骨粗鬆症)、癌関連骨疾患または骨ページェット病;統合失調症、不安症、うつ病、てんかん、神経変性障害、小脳障害、脊髄小脳障害、認識力障害、頭蓋外傷、頭部外傷、発作、パニック発作、末梢神経障害、緑内障、片頭痛、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、レイノー病、振戦疾患、強迫障害、老年痴呆、胸腺疾患、遅発性ジスキネジー、躁鬱病、薬剤誘発性運動障害、失調症、内毒素血症性ショック、出血性ショック、低血圧症、不眠症、免疫障害、硬化性プラーク、嘔吐、下痢、ぜんそく、記憶障害、そう痒症、痛みからなる群より選択される一つ以上の障害の予防および/または治療用の薬剤、あるいは麻薬性および非麻薬性鎮痛薬の鎮痛効果の増強用の、あるいは腸管通過に影響を与えるための薬剤の製造のための、請求項1〜21の1つ以上に記載の少なくとも1種の置換ピラゾリン化合物、及び場合によっては1種以上の薬学的に許容される賦形剤の使用。

【公表番号】特表2009−501183(P2009−501183A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520813(P2008−520813)
【出願日】平成18年7月17日(2006.7.17)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007013
【国際公開番号】WO2007/009723
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(504379198)ラボラトリオス・デル・デエレ・エステベ・エセ・ア (19)
【Fターム(参考)】