説明

アタッチメントレンズ及びそれを装着した蛍光測定装置

【課題】少ないレンズ枚数で軽量小型化を達成しながら、周辺光量の低下抑制、カラーシェーディングの発生抑制、及び広い面積の撮影を可能とする高性能のアタッチメントレンズと、それを備えた蛍光測定装置を提供する。
【解決手段】光学性能補正用のアタッチメントレンズPAは、マスターレンズPBと組み合わされた状態で試料Sの蛍光像を形成する。アタッチメントレンズPAは、試料S側にテレセントリックであり、射出瞳をマスターレンズPBの入射瞳付近に有する。アタッチメントレンズPAは、光学的なパワーを有するレンズ群として、試料S側から順に、正パワーの第1群Gr1と、負パワーの第2群Gr2と、正パワーの第3群Gr3と、の3群を有し、第1群Gr1が1枚のフレネルレンズ又は同じ硝材から成る2枚以上のレンズで構成されており、第2群Gr2と第3群Gr3がそれぞれ1枚の単レンズで構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアタッチメントレンズ及びそれを装着した蛍光測定装置に関するものであり、例えば、蛍光撮影装置,蛍光光度測定装置等の蛍光測定装置、及びそれに搭載される撮像光学系において光学性能を補正するためのアタッチメントレンズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
生化学・分子生物学の分野では、励起光により自ら蛍光発光する試料や蛍光試薬で染色された試料を撮影して、その濃度,形状,色等を測定する蛍光測定装置が使用されている。蛍光測定装置を用いた測定では、試料(例えば培養細胞)が多数のウェルに収容されたマイクロプレート(細胞培養容器)の全体をカメラユニットで一時に撮影し、その撮影画像に基づいて各ウェルに収容されている試料の濃度,形状,色,化学発光・蛍光発光の強度等を定量することが一般に行われている。
【0003】
蛍光測定装置による撮影を普通の撮影レンズで行うと、マイクロプレートの周辺部(容器内のウェルで容器外縁付近)に位置する試料から撮影レンズに入る主光線が、撮影レンズの光軸に対して斜めになる。このため、ウェルの壁面が写り込んでしまって、ウェルの底面が撮影できなくなる。これを防ぐために、マイクロプレートの近傍にフレネルレンズ等のアタッチメントレンズを設置して、物体側にテレセントリックにする補正が一般的に行われている(例えば、特許文献1,2参照。)。また、既存の撮像レンズをマスターレンズとしてその補正をアタッチメントレンズで行うのではなく、撮像光学系全体として新規に設計したものも従来より提案されている(例えば、特許文献3,4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−74837号公報
【特許文献2】特開2004−151565号公報
【特許文献3】米国特許第6,198,577号明細書
【特許文献4】特開2003−195166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2で提案されているような構成は簡便であるが、アタッチメントレンズのレンズ枚数が少ないため、後続のマスターレンズとの瞳のマッチングを良好に行うことができない。つまり、マスターレンズの入射位置付近での瞳の球面収差を補正することができず、マイクロプレートの周辺部に位置する試料からの主光線が強く曲げられてしまう。このため、マスターレンズに対する入射光量が減って、像面での周辺光量の低下が生じることになる。
【0006】
また、落射照明(同軸照明)で励起光を照射するタイプの蛍光測定装置には、励起フィルタ,ダイクロイックミラー及び吸収フィルタを1つにユニット化した蛍光キューブを備えたものが知られているが、特許文献1,2で提案されているような構成において、マスターレンズの直前に蛍光キューブを配置すると、ダイクロイックミラーに対する主光線の入射角が物高により異なるため、カラーシェーディングが大きく発生することになる。つまり、マイクロプレートの中心部と周辺部とでダイクロイックミラーへの光線の入射角が大きく異なるため、マイクロプレートの中心部から離れた試料ほど光のスペクトルが短波長側にシフトしてしまうのである。
【0007】
特許文献3で提案されている構成では、光束がレンズ枠でケラレないように撮像光学系全体を専用レンズとして構成しているが、寸法が大きく(全長1.6m)、レンズ枚数が多くて重量が重いという問題がある。また、複雑な構成をとっているため組み立てが困難であり、蛍光キューブを配置するためのスペースの確保も困難である。
【0008】
特許文献4で提案されている構成では、試料側のコリメータ部を構成している第1〜第3レンズ群がそれぞれ独立に収差補正されているため、レンズ枚数が多くて重量が重いという問題がある。また、レンズ枚数が多い分だけ空気との接触面数が多いため、表面反射に起因する迷光の発生量も多く、微弱蛍光撮影には不利な構成となっている。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、少ないレンズ枚数で軽量小型化を達成しながら、周辺光量の低下抑制、カラーシェーディングの発生抑制、及び広い面積の撮影を可能とする高性能のアタッチメントレンズと、それを備えた蛍光測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のアタッチメントレンズは、マスターレンズと組み合わされた状態で測定対象物の蛍光像を形成する光学性能補正用のアタッチメントレンズであって、測定対象物側にテレセントリックであり、射出瞳を前記マスターレンズの入射瞳付近に有し、光学的なパワーを有するレンズ群として、測定対象物側から順に、正パワーの第1群と、負パワーの第2群と、正パワーの第3群と、の3群を有し、前記第1群が1枚のフレネルレンズ又は同じ硝材から成る2枚以上のレンズで構成されており、前記第2群及び第3群がそれぞれ1枚の単レンズで構成されていることを特徴とする。
【0011】
この構成によると、測定対象物側にテレセントリックであり、射出瞳がマスターレンズの入射瞳付近に位置しているため、大きい面積に広がって位置する測定対象物の全体を一度に撮影することができる。正負正のパワー配置を有しているため、少ないレンズ枚数で倍率の色消しを行うことができ、また、撮影画像の周辺光量の低下やカラーシェーディングの発生を抑えることができる。第1群が1枚のフレネルレンズ又は同じ硝材から成る2枚以上のレンズで構成されており、第2群及び第3群がそれぞれ1枚の単レンズで構成されているため、レンズ枚数の削減が可能になるとともに、ガラスと空気との境界面による不要な表面反射が低減されて、より微弱な蛍光を発生する測定対象物の撮影が可能となる。
【0012】
本発明のアタッチメントレンズは、測定対象物を照明する励起光と、測定対象物で発生した蛍光と、の光路分離を行う蛍光キューブを、前記第3群とマスターレンズとの間に有する構成であってもよい。
【0013】
本発明のアタッチメントレンズでは蛍光キューブを配置するためのスペースの確保が容易であるため、この構成によると、カラーシェーディングの発生量を低下させることができ、マスターレンズのレンズ枠のケラレによる周辺光量低下も抑えることができる。
【0014】
本発明のアタッチメントレンズは、以下の条件式(1)を満足することが好ましい。
|φ1+φ2+φ3|<0.002 …(1)
ただし、
φ1:第1群のパワー(mm-1)、
φ2:第2群のパワー(mm-1)、
φ3:第3群のパワー(mm-1)、
である。
【0015】
この構成によると、像面湾曲の良好な補正が可能となる。
【0016】
本発明のアタッチメントレンズは、以下の条件式(2)を満足することが好ましい。
d3>40 …(2)
ただし、
d3:第3群からアタッチメントレンズの射出瞳までの間隔(mm)、
である。
【0017】
この構成によると、励起光と蛍光との光路分離を良好に行うためのスペースを確保することができる。
【0018】
本発明のアタッチメントレンズは、以下の条件式(3)〜(6)を満足することが好ましい。
ν1≧55 …(3)
ν2≧55 …(4)
ν3≧55 …(5)
|ν2−ν3|≦20 …(6)
ただし、
ν1:第1群のアッベ数、
ν2:第2群のアッベ数、
ν3:第3群のアッベ数、
である。
【0019】
この構成によると、倍率色収差を良好に補正することが可能となる。
【0020】
本発明の蛍光測定装置は、本発明に係るアタッチメントレンズと、そのアタッチメントレンズをコリメータ光学系として瞳がマッチングするように配置されたマスターレンズと、マスターレンズによって結像した蛍光像を記録する撮像装置と、蛍光試料を励起するための照明装置と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
この構成によると、高画質の蛍光像や正確な測定結果を得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、少ないレンズ枚数で軽量小型化を達成しながら、周辺光量の低下抑制、カラーシェーディングの発生抑制、及び広い面積の撮影を可能とする高性能のアタッチメントレンズを実現することができる。そして、本発明に係るアタッチメントレンズを備えることにより、高画質の蛍光像や正確な測定結果が得られる蛍光測定装置を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る蛍光測定装置の概略構成例を模式的に示す斜視図。
【図2】本発明に係る蛍光測定装置の概略構成例を模式的に示す水平断面図。
【図3】本発明に係る蛍光測定装置の概略構成例を模式的に示す垂直断面図。
【図4】第1の実施の形態(実施例1)の光学構成を示す光路図。
【図5】第2の実施の形態(実施例2)の光学構成を示す光路図。
【図6】実施例1の球面収差,非点収差,歪曲収差及び倍率色収差を示す収差図。
【図7】実施例2の球面収差,非点収差,歪曲収差及び倍率色収差を示す収差図。
【図8】実施例1の横収差図。
【図9】実施例2の横収差図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るアタッチメントレンズ,蛍光測定装置等を説明する。本発明に係るアタッチメントレンズは、マスターレンズと組み合わされた状態で測定対象物の蛍光像を形成する光学性能補正用のアタッチメントレンズであって、測定対象物側にテレセントリックであり、射出瞳を前記マスターレンズの入射瞳付近に有している。そして、光学的なパワーを有するレンズ群として、測定対象物側から順に、正パワーの第1群と、負パワーの第2群と、正パワーの第3群と、の3群を有し(パワー:焦点距離の逆数で定義される量)、前記第1群が1枚のフレネルレンズ又は同じ硝材から成る2枚以上のレンズで構成されており、前記第2群及び第3群がそれぞれ1枚の単レンズで構成されている。
【0025】
測定対象物側にテレセントリックなアタッチメントレンズを、その射出瞳がマスターレンズの入射瞳付近に位置するように配置すると、測定対象物(マイクロプレート全域の試料)のどの部分に位置する試料についても、アタッチメントレンズに入る主光線が光軸に対して平行になるため、マイクロプレートのウェル底面の撮影を画面全体について良好に行うことが可能となる。したがって、大きい面積に広がって位置する測定対象物の全体を一度に撮影することができる。
【0026】
正負正のパワー配置を採用することにより、マスターレンズとの組み合わせ状態で効果的な光学性能の補正が可能なコリメータ光学系を構成することができる。物体側にテレセントリックなアタッチメントレンズが、測定対象物から発生する蛍光を集光して射出瞳から略平行光として射出するように、コリメータ光学系として作用する構成にすれば、マスターレンズと組み合わせたときの光学系全体の結像倍率βは、β=−fm/fa(fm:マスターレンズの焦点距離、fa:アタッチメントレンズの焦点距離)となる。したがって、マスターレンズと組み合わせたときの総合倍率をβ=−fm/faで決定することが可能となるため、タンデム系の構成をとることも可能となる。例えば、撮影対象物を一般的な大きさのマイクロプレート128mm×85mmとし、撮像素子を2/3インチCCD素子(受光面サイズ8.8mm×6.6mm)とすると、光学系全体の結像倍率を0.069倍(=8.8mm/128mm)より小さくすれば、容器全体の撮影が可能となる。このことから、後述する実施例ではマスターレンズの焦点距離fm=28mm、アタッチメントレンズの焦点距離fa≒500mmとして、結像倍率を約−0.056倍としている。
【0027】
また、正負正のパワー配置を有するアタッチメントレンズでは、測定対象物からの近軸光線の高さが第1群,第2群及び第3群のすべてについて正の値となり、瞳からの近軸光線の高さが第1群,第2群及び第3群のすべてについて負の値となるため、パワー配置が正負正であることと合わせて、倍率の色収差の発生の符号が負正負となることにより、3つのレンズ群で倍率色収差を打ち消し合う作用が発生する。この作用により、貼り合わせレンズを使用しなくても、パワーとアッベ数の条件から3群全体で倍率の色消しを行うことが可能となる。したがって、それぞれのレンズ群で色消しを行う必要がないので、使用するレンズの枚数を減らすことができる。
【0028】
倍率色収差を補正するために、第2,第3レンズ群に正負の組み合わせレンズを用いると、レンズ枚数が増えてガラスと空気との境界面での表面反射量が大きくなる。このため、微弱蛍光(照明エネルギーの数千分の1〜数万分の1)の撮影に正負の組み合わせレンズは適していない。しかも、コリメータ部には有効径が大きなレンズが必要とされるため、正負の組み合わせレンズや正負の貼り合わせレンズはレンズ部及び鏡筒部の重量増加を招く。それに対し、第1群を1枚のフレネルレンズ又は同じ硝材から成る2枚以上のレンズで構成し、第2群及び第3群をそれぞれ1枚の単レンズで構成すると、レンズ枚数の削減が可能になるとともに、ガラスと空気との境界面による不要な表面反射を低減することができるため、より微弱な蛍光を発生する測定対象物の撮影が可能となる。
【0029】
アタッチメントレンズによる補正を正パワーのみで行おうとすると、画面周辺部ほど光束が強く曲げられるため(瞳の球面収差)、画面中心部に比べて画面周辺部ほどマスターレンズに入射する光量が減ってしまう。それに対し、正負正のパワー配置を有するアタッチメントレンズでは、正パワーのレンズ群で発生する瞳の球面収差を負パワーの第2群で補正することができるので、マスターレンズとの瞳のマッチングが良くなり、測定対象物からの光束が蛍光キューブの開口部やマスターレンズの鏡筒等でケラレて周辺光量の低下が起こるのを防ぐことができる。したがって、撮影画像の周辺光量の低下を抑えた蛍光撮影が可能となる。
【0030】
落射照明で励起光を照射するタイプの蛍光測定装置には、励起フィルタ,ダイクロイックミラー及び吸収フィルタを1つにユニット化した蛍光キューブを備えたものが知られているが、マスターレンズの直前に蛍光キューブを配置すると、前述したように、ダイクロイックミラーに対する主光線の入射角が物高により異なるため、カラーシェーディングが大きく発生することになる。それに対し、正負正のパワー配置を有するアタッチメントレンズでは、蛍光キューブ設置位置を光束が通過する前に、第1群で折り曲げた軸外光束の角度を第2群の負パワーで小さくすることができるので、ダイクロイックミラーへの光線入射角度を小さくした状態に揃えることができる。したがって、カラーシェーディングの発生量を低下させることができる。マスターレンズへの光線入射角も小さくなるので、マスターレンズのレンズ枠のケラレによる周辺光量低下も抑えることができる。
【0031】
上述した特徴的構成によると、少ないレンズ枚数で軽量小型化を達成しながら、周辺光量の低下抑制、カラーシェーディングの発生抑制、及び広い面積の撮影を可能とする高性能のアタッチメントレンズを実現することができる。また、既存の撮影レンズ(例えば、一般的なライカ判等の写真撮影用レンズ)をマスターレンズ(主レンズ系)としてそのまま使用することができ、マスターレンズと組み合わされた状態で測定対象物の蛍光像を形成する光学性能補正用アタッチメントレンズとして、充分な光学性能を維持しながら枚数削減による光量低下の防止,コンパクト化,低コスト化等を達成することができる。そして、本発明に係るアタッチメントレンズを備えることにより、高画質の蛍光像や正確な測定結果が得られる蛍光測定装置を実現することが可能となる。こういった効果をバランス良く得るとともに、更に高い光学性能,軽量小型化等を達成するための条件等を以下に説明する。
【0032】
アタッチメントレンズは、測定対象物を照明する励起光と、測定対象物で発生した蛍光と、の光路分離を行う蛍光キューブを、前記第3群とマスターレンズとの間に有することが望ましい。前述したアタッチメントレンズの構成によると、蛍光キューブを配置するためのスペースの確保が容易であり、第3群とマスターレンズとの間に蛍光キューブを配置しても、前述したように、カラーシェーディングの発生量を低下させることができ、マスターレンズのレンズ枠のケラレによる周辺光量低下も抑えることができる。したがって、励起光と蛍光との光路分離の位置を第3群とマスターレンズとの間に設定することが好ましい。
【0033】
以下の条件式(1)を満足することが望ましい。
|φ1+φ2+φ3|<0.002 …(1)
ただし、
φ1:第1群のパワー(mm-1)、
φ2:第2群のパワー(mm-1)、
φ3:第3群のパワー(mm-1)、
である。
【0034】
条件式(1)は、アタッチメントレンズのペッツバール和を0に近い値にする上で好ましい条件範囲を規定している。撮像素子の大きさ:10mm(受光面の対角サイズ)とし、マスターレンズとして焦点距離28mmのダブルガウス又はレトロフォーカスタイプの結像レンズを使用すると仮定した場合、マスターレンズが持つペッツバール和はおよそ0.005〜0.008の値である。また、アタッチメントレンズのペッツバール和:Pzは、Pz=φ1/n1+φ2/n2+φ3/n3(n1:第1群の屈折率、n2:第2群の屈折率、n3:第3群の屈折率)であるが、ガラスの屈折率をn1=n2=n3=n=1.5と近似すると、Pz=0となる条件は、n(φ1+φ2+φ3)=φ1+φ2+φ3=0と表現できる。条件式(1)が成り立っていれば、アタッチメントレンズのペッツバール和はおよそPz<0.002/n(=1.5)=0.0013となり、マスターレンズのペッツバール和に大きな影響を与えることは無い。逆に、この条件範囲から外れるにしたがって、アタッチメントレンズ部のペッツバール和が正又は負で大きくなり、マスターレンズのペッツバール和に与える影響が大きくなってきてマスターレンズの収差補正のバランスを崩してしまう。したがって、条件式(1)を満たすことにより、像面湾曲の良好な補正が可能となる。
【0035】
以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
d3>40 …(2)
ただし、
d3:第3群からアタッチメントレンズの射出瞳までの間隔(mm)、
である。
【0036】
条件式(2)は、開口絞り位置付近に蛍光キューブを設置するためのスペースを確保する上で好ましい条件範囲を規定している。既存のマスターレンズに前置するアタッチメントレンズを想定した場合、条件式(2)を満たすスペースを確保すれば、蛍光キューブで励起光と蛍光との光路分離を良好に行うことができる。また、90>d3>60を満たすことが更に好ましい。
【0037】
以下の条件式(3)〜(6)を満足することが望ましい。
ν1≧55 …(3)
ν2≧55 …(4)
ν3≧55 …(5)
|ν2−ν3|≦20 …(6)
ただし、
ν1:第1群のアッベ数、
ν2:第2群のアッベ数、
ν3:第3群のアッベ数、
である。
【0038】
例えば、測定対象物が細胞を蛍光試薬で染色した試料である場合、蛍光試薬は励起光を受けると離散的な点光源の集合として撮影されるので、倍率色収差があるとRGB合成時に点像のズレが目立つことになる。つまり、複数の蛍光試薬で染色した画像(単色画像)をRGB合成し、重ね合わせて細胞の分布の様子を見る等の画像処理操作を行った際、色ズレが生じてしまう。これを主として補正する必要がある。条件式(3)〜(6)は、第2群及び第3群がそれぞれ1枚の単レンズから成る構成において、倍率色消しを効果的に行う上で好ましい条件範囲を規定している。条件式(3)〜(5)を満たすことにより、各レンズ群を紫外光の透過率の良いクラウン系や合成石英の光学ガラスで構成することが可能になる。条件式(6)は、条件式(3)〜(5)を満たすときに、第2群と第3群により倍率の色収差が打ち消しされる条件を規定している。この条件式(6)の条件範囲を外れると、倍率の色収差が大きくなってしまうため、簡単なレンズ構成では収差補正が困難になる。したがって、条件式(3)〜(6)を満たすことにより、倍率色収差を良好に補正することが可能となる。
【0039】
上記と同様の観点から、ν1>60,ν2>50,ν3>60を満たすことが好ましく、58<ν1<70,56<ν2<70,58<ν3<70を満たすことが更に好ましい。また、上記アッベ数の条件式(3)〜(6)を満たす硝材の一般性を考慮した場合、各レンズ群に用いるレンズの屈折率nは、n<1.55を満たすことが好ましい。
【0040】
例えば、利用が容易なマスターレンズの焦点距離fm=28mmと、2/3インチ及び1/2インチのCCD素子での撮像に好適な結像倍率となる範囲と、を考慮すると、以下の条件式(7)を満足することが望ましく、条件式(3)〜(7)を満足することが更に望ましい。
400≦fa≦600 …(7)
ただし、
fa:アタッチメントレンズの焦点距離(mm)、
である。
【0041】
蛍光試薬には、Tryptophan,DAPI,FURA2,テトラサイクリン等、紫外励起を必要とするものがある。このため、同軸落射照明を行うように蛍光キューブを絞り位置付近に配置する場合、アタッチメントレンズを構成するガラス材料として、紫外光で透過率が低下しない材料を用いる必要がある。そのようなガラス材料の具体例としては、例えば、第1群に合成石英、第2群にK10、第3群にBK7が挙げられる。ランタンやバリウム等を含む高屈折率のガラスは、紫外光領域で透過率が悪い傾向があるので、紫外励起を必要とする蛍光撮影用には望ましくない。
【0042】
上述したアタッチメントレンズと、そのアタッチメントレンズをコリメータ光学系として瞳がマッチングするように配置されたマスターレンズと、を備えることにより、高画質の蛍光像や正確な測定結果が得られる蛍光測定装置を実現することが可能となる。その蛍光測定装置の概略構成例を図1〜図3に模式的に示す。図1は蛍光測定装置10の主要部の外観を模式的に示しており、図2は蛍光測定装置10の水平断面構造を模式的に示しており、図3は蛍光測定装置10の垂直断面構造を模式的に示している。
【0043】
蛍光測定装置10は、光源ユニット1,カメラユニット2,撮像光学系OP等を備えており、撮像光学系OPはアタッチメントレンズPA(補正レンズ系)とマスターレンズ(主レンズ系)PBとで構成されている。アタッチメントレンズPAは、マイクロプレート3側から順に、第1群Gr1,折り返しミラーMR,第2群Gr2,第3群Gr3及び蛍光キューブCUを有しており、光源ユニット1は、ランプ1a,ライトパイプ1b及び集光レンズ1cを有している。
【0044】
蛍光測定装置10は、図1に示すように、光源ユニット1からの白色光L1を蛍光キューブCUで励起光L2に分光変換し、マイクロプレート3上にセットされた試料Sを励起光L2(照明光)で落射照明して蛍光L3(観察光)を発生させる構成になっている。また、蛍光キューブCUを複数装備しており、ターレット式の交換機構(図2,図3中、X:ターレット軸)により複数の蛍光キューブCUのうちの1つを選択して所定位置に交換配置することが可能になっている。
【0045】
蛍光キューブCUは、励起フィルタ,ダイクロイックミラー,吸収フィルタ等を内蔵しており、試料Sから発せられた蛍光L3をダイクロイックミラーで励起光L2から光路分離する。また、複数の蛍光キューブCUは、射出する励起光L2の波長が互いに異なるように、内蔵されている励起フィルタ等がそれぞれ異なっている。したがって、前記交換機構で蛍光キューブCUを交換配置することにより、励起光L2及び蛍光L3の波長を切り替えることが可能である。
【0046】
光源ユニット1からの白色光L1が蛍光キューブCUに入射して励起フィルタに照射されると、所定波長の励起光L2(例えば青色光)が励起フィルタを透過する。その励起光L2はダイクロイックミラーで反射した後(光軸AXの折り曲げ角度:90°)、蛍光キューブCUから射出し、アタッチメントレンズPAで試料Sに照射される。試料Sには、例えば、青色光の照明光で励起すると緑色光の蛍光が発生するように(短波長励起・長波長発光)、人工骨上に培養した骨芽細胞のカルシウムに結合する蛍光試薬が用いられている。試料Sから発生した蛍光L3(例えば緑色光)は、アタッチメントレンズPAを再び通過した後、蛍光キューブCUに入射してダイクロイックミラーを透過する。そして、S/N比を向上させるための吸収フィルタを透過して、蛍光キューブCUから射出する。蛍光キューブCUを射出した蛍光L3は、マスターレンズPBを通過し、蛍光測定用のカメラユニット2に入射して、撮像素子SRの受光面上に蛍光像IMを形成する。蛍光像IMは撮像素子SRで電気的な信号に変換され、蛍光像IMの撮影,測定,観察等が行われる。
【0047】
図4,図5に、撮像光学系OPの具体的な光学構成として、アタッチメントレンズPAの第1,第2の実施の形態を有する撮像光学系OPをそれぞれ光学断面で示す。第1,第2の実施の形態のアタッチメントレンズPAはいずれも、マスターレンズPBと組み合わされた状態で試料Sの蛍光像IMを形成する光学性能補正用のアタッチメントレンズであって、物面OB側にテレセントリックであり、射出瞳をマスターレンズPBの入射瞳付近に有している。また、光学的なパワーを有するレンズ群として、物面OB側から順に、正パワーの第1群Gr1と、負パワーの第2群Gr2と、正パワーの第3群Gr3と、の3群を有し、第1群Gr1が同じ硝材から成る2枚のレンズで構成されており、第2群Gr2及び第3群Gr3がそれぞれ1枚の単レンズで構成されている。
【0048】
マスターレンズPBは、例えば一般的なライカ判等の写真撮影用レンズであり、図4,図5では理想レンズとして示してある。マスターレンズPBに前置されているアタッチメントレンズPAは、いずれの実施の形態においても、第1群Gr1が両凸の正レンズと物体側に凸の正メニスカスレンズから成っており、第2群Gr2が像側に凹の負メニスカスレンズから成っており、第3群Gr3が像側に凸の正メニスカスレンズから成っている。また、第1の実施の形態では球面のみで構成されており、第2の実施の形態では第2群Gr2の像側面と第3群Gr3の像側面が非球面で構成されている。第2の実施の形態では、第2群Gr2の位置が歪曲収差の補正に適した位置からズレるので、それを補正するために、第2群Gr2と第3群Gr3の各単レンズの像側面を非球面としている。また、第1群Gr1と第2群Gr2との間隔をあけて、その空間に90度の折り返しミラーMRを容易に配置できるように構成している。
【0049】
アタッチメントレンズPAは、測定対象物S側にテレセントリックであり、射出瞳がマスターレンズPBの入射瞳付近に位置しているため、大きい面積に広がって位置する測定対象物Sの全体を一度に撮影することができる。正負正のパワー配置を有しているため、少ないレンズ枚数で倍率の色消しを行うことができ、また、撮影画像の周辺光量の低下やカラーシェーディングの発生を抑えることができる。第1群Gr1が同じ硝材から成る2枚のレンズで構成されており、第2群Gr2及び第3群Gr3がそれぞれ1枚の単レンズで構成されているため、レンズ枚数の削減が可能になるとともに、ガラスと空気との境界面による不要な表面反射が低減されて、より微弱な蛍光を発生する測定対象物の撮影が可能となる。したがって、少ないレンズ枚数で軽量小型化を達成しながら、周辺光量の低下抑制、カラーシェーディングの発生抑制、及び広い面積の撮影を可能とする高性能のアタッチメントレンズPAが実現される。
【0050】
アタッチメントレンズPAでは、蛍光キューブCUを配置するためのスペースの確保が容易であるため、蛍光キューブCUを第3群Gr3とマスターレンズPBとの間に有する構成によると、カラーシェーディングの発生量を低下させることができ、マスターレンズのレンズ枠のケラレによる周辺光量低下も抑えることができる。
【0051】
アタッチメントレンズPAでは、前記条件式(1)を満たすことにより、像面湾曲の良好な補正が可能となる。前記条件式(2)を満たすことにより、励起光と蛍光との光路分離を良好に行うためのスペースを確保することが可能となる。また、前記条件式(3)〜(6)を満たすことにより、倍率色収差を良好に補正することが可能となる。
【0052】
蛍光測定装置10は、アタッチメントレンズPAと、そのアタッチメントレンズPAをコリメータ光学系として瞳がマッチングするように配置されたマスターレンズPBと、マスターレンズPBによって結像した蛍光像IMを記録するカメラユニット2と、蛍光試料Sを励起するための光源ユニット1と、を備えた構成になっているので、高画質の蛍光像や正確な測定結果を得ることが可能である。
【実施例】
【0053】
以下、本発明を実施したアタッチメントレンズPA,マスターレンズPB及びそれらを有する撮像光学系OPの構成等を、実施例のコンストラクションデータ等を挙げて更に具体的に説明する。ここで挙げる実施例1,2(ex1,2)は、前述した第1,第2の実施の形態にそれぞれ対応する数値実施例であり、第1,第2の実施の形態の光学構成を表す光路図(図4,図5)は、対応する実施例1,2の光学配置,光路等をそれぞれ示している。
【0054】
各実施例のコンストラクションデータでは、面データとして、左側の欄から順に、面番号i,曲率半径r(mm),軸上での面間隔d(mm),d線(波長587.56nm)に関する屈折率nd,d線に関するアッベ数vd,及び有効直径Deを示す。実施例2では、面番号に*が付された面が非球面であり、その面形状は面頂点を原点とするローカルな直交座標系(x,y,z)を用いた以下の式(AS)で定義される。非球面データとして円錐定数を示す(表記の無い項の係数は0である。)。
z=(c・h2)/[1+√{1−(1+K)・c2・h2}]+Σ(Aj・hj) …(AS)
ただし、
h:z軸(光軸AX)に対して垂直な方向の高さ(h2=x2+y2)、
z:高さhの位置での光軸AX方向のサグ量(面頂点基準)、
c:面頂点での曲率(曲率半径rの逆数)、
K:円錐定数、
Aj:j次の非球面係数、
である。
【0055】
各種データとして、撮像光学系OP全体の焦点距離(f,mm),Fナンバー(Fno.),物体側の開口数(NA),物高yobの最大値(mm),像高yimの最大値(mm),レンズ全長(TL,mm),バックフォーカス(BF,mm),像倍率(β)等を示す。バックフォーカスBFは、レンズ最終面から近軸像面までの距離を空気換算長により表記しており、レンズ全長TLは、レンズ最前面からレンズ最終面までの距離にバックフォーカスBFを加えたものである。また、各条件式に対応する実施例の値を表1に示す。
【0056】
図6,図7は、実施例1,2(ex1,2)にそれぞれ対応する収差図であり、(A)は球面収差図(mm)、(B)は非点収差図(μm)、(C)は歪曲収差図(%)、(D)は倍率色収差図(μm)である。図6,図7中、縦軸prは入射瞳半径(実施例1:167.4380mm,実施例2:348.7123mm)、縦軸yimは撮像素子SRの受光面上での像高(物高yobの最大値80mmに対応する。)であり、破線はF線(波長486.130nm)、実線はd線(波長587.560nm)、一点鎖線はC線(波長656.280nm)に対する各収差量(mm)を表している。また、非点収差図では、Tがタンジェンシャル像面(メリディオナル像面)、Sがサジタル像面を表している。
【0057】
図8,図9は、実施例1,2(ex1,2)にそれぞれ対応する横収差図である。図8,図9中、(A),(B)は物高yob=0.00mm、(C),(D)は物高yob=−40.00mm、(E),(F)は物高yob=−56.00mm、(G),(H)は物高yob=−80.00mmでの横収差をそれぞれ示しており、(A),(C),(E),(G)はメリディオナル像の横収差(EYの最大スケール:±5μm、PYの最大スケール:±入射瞳半径)、(B),(D),(F),(H)はサジタル像の横収差(EXの最大スケール:±5μm、PXの最大スケール:±入射瞳半径)をそれぞれ示している。また、破線はF線、実線はd線、一点鎖線はC線に対する各横収差を表している。
【0058】
実施例1
単位:mm
面データ
i r d nd vd De
物面 ∞ 46.500 160.00
1 496.153 22.000 1.45844 67.830 172.00
2 -513.044 1.000 172.00
3 170.640 24.000 1.45844 67.830 172.00
4 516.895 138.000 172.00
5 155.187 4.000 1.50137 56.409 70.00
6 59.513 130.100 70.00
7 -92.413 5.000 1.51680 64.167 40.00
8 -70.335 70.600 40.00
9(絞りST) ∞ 28.000 14.84
10(PB:理想レンズ)- 29.487 24.70
像面 ∞ 9.07
【0059】
各種データ
f = 631.841
Fno.= 1.95
NA(物体側) = 0.015
yob(最大値)=80
yim(最大値)= 4.529
TL=452.187
BF= 29.487
β= -0.0566
入射瞳位置:11114.78mm
射出瞳位置:1×1010mm
アタッチメントレンズPA(i=1〜9:第1面から絞りまでのコリメータ部)の焦点距離:516.1mm
マスターレンズPB(i=10:理想レンズ設定)の焦点距離:28mm
物点位置(物面との面間隔):-46.5mm
第1面から絞りまでの長さ:394.7mm
【0060】
実施例2
単位:mm
面データ
i r d nd vd De
物面 ∞ 46.500 160.00
1 603.444 19.000 1.45844 67.830 172.00
2 -694.837 1.000 172.00
3 221.810 20.000 1.45844 67.830 172.00
4 856.288 222.600 172.00
5 103.272 4.000 1.50137 56.409 56.00
6* 49.542 69.500 56.00
7 -80.116 5.000 1.51680 64.167 44.00
8* -57.565 71.600 44.00
9(絞りST) ∞ 28.000 14.91
10(PB:理想レンズ)- 29.594 24.79
像面 ∞ 9.03
【0061】
第6面の非球面データ
K= 0.2549332
【0062】
第8面の非球面データ
K= 0.2115807
【0063】
各種データ
f =1374.341
Fno.= 1.94
NA(物体側) = 0.015
yob(最大値)=80
yim(最大値)= 4.507
TL=470.294
BF= 29.594
β= -0.0563
入射瞳位置:24350.31mm
射出瞳位置:1×1010mm
アタッチメントレンズPA(i=1〜9:第1面から絞りまでのコリメータ部)の焦点距離:507.5mm
マスターレンズPB(i=10:理想レンズ設定)の焦点距離:28mm
物点位置(物面との面間隔):-46.5mm
第1面から絞りまでの長さ:412.7mm
【0064】
【表1】

【0065】
なお、前述の実施例1及び実施例2では第1群、第2群、第3群のそれぞれに異なる光学ガラスを用いているが、これに限られず、前記条件式を満たす光学ガラスであれば三つのレンズ群にすべて同じ光学ガラスを使用してアタッチメントレンズを構成することも可能である。例えば、第1群、第2群、第3群のガラス材料として合成石英を用いれば、効率の良い紫外光の同軸落射照明が可能な蛍光撮影用アタッチメントレンズが構成できる。
【0066】
本発明の実施の形態や実施例は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施の形態や実施例は、あくまでも、本発明の一つの実施の形態等であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施の形態や実施例に記載されたものに制限されるものではない。
【符号の説明】
【0067】
1 光源ユニット(照明装置)
1a ランプ
1b ライトパイプ
1c 集光レンズ
2 カメラユニット(撮像装置)
3 マイクロプレート
10 蛍光測定装置
OP 撮像光学系
PA アタッチメントレンズ(コリメータ光学系)
PB マスターレンズ
CU 蛍光キューブ
Gr1 第1群
Gr2 第2群
Gr3 第3群
MR 折り返しミラー
ST 絞り
S 試料(測定対象物)
SR 撮像素子
OB 物面(測定対象物)
IM 像面(蛍光像)
L1 白色光
L2 励起光
L3 蛍光
X ターレット軸
AX 光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスターレンズと組み合わされた状態で測定対象物の蛍光像を形成する光学性能補正用のアタッチメントレンズであって、測定対象物側にテレセントリックであり、射出瞳を前記マスターレンズの入射瞳付近に有し、光学的なパワーを有するレンズ群として、測定対象物側から順に、正パワーの第1群と、負パワーの第2群と、正パワーの第3群と、の3群を有し、前記第1群が1枚のフレネルレンズ又は同じ硝材から成る2枚以上のレンズで構成されており、前記第2群及び第3群がそれぞれ1枚の単レンズで構成されていることを特徴とするアタッチメントレンズ。
【請求項2】
測定対象物を照明する励起光と、測定対象物で発生した蛍光と、の光路分離を行う蛍光キューブを、前記第3群とマスターレンズとの間に有することを特徴とする請求項1記載のアタッチメントレンズ。
【請求項3】
以下の条件式(1)を満足することを特徴とする請求項1又は2記載のアタッチメントレンズ;
|φ1+φ2+φ3|<0.002 …(1)
ただし、
φ1:第1群のパワー(mm-1)、
φ2:第2群のパワー(mm-1)、
φ3:第3群のパワー(mm-1)、
である。
【請求項4】
以下の条件式(2)を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のアタッチメントレンズ;
d3>40 …(2)
ただし、
d3:第3群からアタッチメントレンズの射出瞳までの間隔(mm)、
である。
【請求項5】
以下の条件式(3)〜(6)を満足することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のアタッチメントレンズ;
ν1≧55 …(3)
ν2≧55 …(4)
ν3≧55 …(5)
|ν2−ν3|≦20 …(6)
ただし、
ν1:第1群のアッベ数、
ν2:第2群のアッベ数、
ν3:第3群のアッベ数、
である。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のアタッチメントレンズと、そのアタッチメントレンズをコリメータ光学系として瞳がマッチングするように配置されたマスターレンズと、マスターレンズによって結像した蛍光像を記録する撮像装置と、蛍光試料を励起するための照明装置と、を備えたことを特徴とする蛍光測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−170074(P2011−170074A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33394(P2010−33394)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成21年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構健康安心イノベーションプログラム/再生医療評価研究開発事業/再生医療の早期実用化を目指した再生評価技術開発委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】