説明

アディポネクチン産生増進剤

【課題】アディポネクチン産生増強作用の強い化合物を有効成分とする薬剤の提供。
【解決手段】一般式(1)で示される化合物を活性成分として含有する薬剤。


[式中、R1とR2は水素原子、水酸基又はアルコキシ基、Xは炭素数1〜6のアルキレンなど、Yはアミド基、エステル基など、Zは炭素数1〜20のアルキレンなど、Qは水素原子、芳香族炭化水素基などを示す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬品及び健康食品において有用な、アディポネクチン産生を増強もしくは促進する薬剤に関する。
【背景技術】
【0002】
最近我が国では2型糖尿病等生活習慣病が急増し社会問題にもなっている。ところで、
これら生活習慣病の多くはアディポネクチンというホルモンの不足が密接に関係しており、これを増加させれば改善できることが医学的に示された(前田法一他、モレキュラー・メディシン、Vol. 42, No.1, 11 - 21 (2005))。アディポネクチンは主として脂肪組織
の脂肪細胞により産生され、脂肪細胞は中胚葉由来の前駆脂肪細胞からさまざまなホルモンの影響下で分化して生じる。従って、前駆脂肪細胞の分化誘導剤や成熟脂肪細胞のアディポネクチン産生促進剤は生体においても血中アディポネクチンレベルの維持、向上に有効である。このような薬剤としてピオグリタゾン等の合成チアゾリジンジオン類がある[US Patent 6153432; N. Maeda et al., Diabetes, 50, 2094 - 2099 (2001)]。しかし、この薬剤は副作用も強いため、予防や軽い段階の治療に簡単に用いることはできない。一方、天然化合物では大豆蛋白[Nagasawa et al., Horm. Metab.Res., 34, 635-639 (2002)]
やアントシアニン[Tsuda et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 316, 149-157 (2004)]にアディポネクチン産生増強作用のあることが知られているが活性は弱い。
【0003】
本発明者等は最近、ウコン根茎に含まれるクルクミンや、それに類似の部分構造を有するN-フェルロイルトリプタミンやβ-フェネチルフェルレート等フェルラ酸誘導体が培養
脂肪細胞のアディポネクチン産生を促進、増強し、さらに2型糖尿病のモデルマウスを用いた実験においても血糖降下に有効であることを見出した(特願2003-292718、特願2004-345134、特願2004-007491、特願2005-004942)。クルクミンはカレー粉に含まれ、N-フェルロイルトリプタミンやβ-フェネチルフェルレート等もトウモロコシ(A. Ehmann, Phytochem., 13, 1979-1983 (1974))、プロポリス(P. Georgieva et al., Z. Naturforsch.,
52c, 60 - 64 (1997))、漢方薬用植物(S. Zschocke et al., Planta Med., 63, 203 - 206 (1997))等に含まれ経口摂取されてきたため、これらの化合物の安全性は高く、日常的に利用可能と考えられ、アディポネクチン産生増強活性も上述のように動物試験で有効性が示される程度に強い。しかし、実用化を念頭においた場合この活性がさらに強いことが望まれる。
【0004】
【特許文献1】米国特許明細書第6,153,432号
【非特許文献1】前田法一他、モレキュラー・メディシン、Vol. 42, No.1, 11 - 21 (2005)
【非特許文献2】N. Maeda et al., Diabetes, 50, 2094 - 2099 (2001)
【非特許文献3】Nagasawa et al., Horm. Metab.Res., 34, 635-639 (2002)
【非特許文献4】Tsuda et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 316, 149-157 (2004)
【非特許文献5】A. Ehmann, Phytochem., 13, 1979-1983 (1974)
【非特許文献6】P. Georgieva et al., Z. Naturforsch., 52c, 60 - 64 (1997)
【非特許文献7】S. Zschocke et al., Planta Med., 63, 203 - 206 (1997)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記フェルラ酸誘導体と同様に食用の植物や天然資源に含まれていて安全性が高く、構造的にはより単純で製造上有利であり、かつアディポネクチン産生増強作用の十分に強い
新規な化合物を開発する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる状況において、本発明者らは鋭意検討の結果、ホモバニリン酸やバニリン酸のアミド、バニリン酸のエステル、カプサイシンやバニリルアミンの3-フェニル-2-プロペン
アミド等が培養脂肪細胞のアディポネクチン産生増強作用を持ち、さらに2型糖尿病モデ
ルマウスにおいて血糖値や血中脂質濃度を低下させることを見出し本発明を完成するに至った。すなわち、当該活性は4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル核ともう1つの芳香核が原子数4〜6の直鎖のアミドもしくはエステルで連結された構造の化合物において最も顕著である。しかし、そればかりでなく4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸n-ブチルエステルの
ように芳香核が1つの場合や、N-(3-フェニルプロピル)-4-ヒドロキシベンズアミドのよ
うにフェノール性水酸基に隣接するメトキシ基を欠く場合も弱い当該活性を示す。従って、当該活性を持つ化合物は一般式1としてまとめられる。
【0007】
式1に包括される化合物がアディポネクチン産生増強作用を持つことは今まで全く知られていない。また、アディポネクチン産生増強の結果として期待される2型糖尿病等生活
習慣病の予防、治療効果についても、ほとんど知られていない。例えば、本出願において最も当該活性の強力なN-(β-フェネチル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミドや4-ヒ
ドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニル-2-プロペニルは文献未載の新規化合物である。バニリン酸のアミドとしては抗アレルギー作用を持つN-イソブチル-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミド [高瀬ら、特開60163812;S. Terada et al., Chem. Pharm. Bull., 35(6), 2437 - 2442 (1987)]、去たん剤として有用な2,4-ジブロモアニリド誘導体[E. Koshinaka et al., Ger. Offen. DE 3209970] が知られ、またバニリン酸エステルとしては4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸エチルが酒類に含まれている他[大場ら, 日本醸造協会誌、79(4),271-273(1984)]、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸メチル等が香料として[I. Storet et al., Fr. Demande FR 2721508]、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸シクロヘキシルが抗凝血剤として[H.S. Yun-Choi et al., Arch. Pharmacal. Res., 19(1), 66-70 (1996)]、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸ヘキシル等が歯科用セメントとして[G. Brauer, U.S. PatentAppl. US 329590]用いられているが、アディポネクチンの産生増強・促進はもとより生活習慣病抑制関連の生理活性については何ら知られていない。これはシナピン酸、p-クマル酸、ホモバニリン酸のエステルやアミドについても同様である。シナピン酸の低級アルキルエステルが脳機能改善剤として用いられ[特開平7-179338]、p-クマル酸の長鎖アルキルアミドがメラニンの阻害剤として[I.Montegiら、Ger.Offen.DE 3415413]
、ヒスタミンとのアミドが降圧薬として[特開59-155367]、チラミンとのアミドが血小板
凝集阻害剤として[T. Okuyama et al., Planta Med., (3), 171 - 175 (1986)]、低級ア
ルコールとのエステルグルコシドが紫外線防御剤として[特開平4‐270298]、あるいは(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド誘導体がバニロイド受容体のアゴニスト・アンタゴニストとして[J. Lee et al., Bioorg. Med. Chem., 10, 1171 - 1179 (2002)]
用いられるが、アディポネクチン産生増強への応用は未だ知られていない。一方、バニリルアミンのアミドの方では唐辛子に含まれるカプサイシンやその類縁体は鎮痛剤として開発されているが[T. Lahann et al., U.S. US 4493848]、抗肥満剤[K. Iwai, Ger. Offen.
DE 3520761]、鎮痛消炎剤[J.M. Janusz et al., Brit. UK Pat. Appl. GB 2168975; K.J. Masdin et al., Ger. Offen DE 3821317]、抗腫瘍剤[特開2004-182674]としても応用され、さらにホモバニリルアミンのフェルロイルアミドが甜菜の種子に見出され植物性抗酸化剤、胃潰瘍等治療剤として[特開2000-129257]発表されている。しかし、いずれの化合
物についてもアディポネクチンの産生促進・増強作用は知られていないし、糖尿病性血糖抑制作用等も知られていない。このように、本発明は式1で示される1群の化合物にアデ
ィポネクチンの産生促進・増強という秘められた機能を見出し、これに基づき生活習慣病の新たな予防、治療剤を提供するものである。
【0008】
本発明の化合物の培養脂肪細胞におけるアディポネクチン産生増強作用は、化合物によって違いはあるが、N-(3-フェニルプロピル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミドや4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニル-2-プロペニル等は先の特願2004-007491にお
けるN-(β-フェネチル)フェルラミドに匹敵するほど強力である。本発明の化合物のうち
カプサイシンは唐辛子に含まれている。また、バニリン酸やp-クマル酸の低級アルキルエステルはワイン[R. Schneider et al., J. Agric. Food Chem., 46(8), 3230 - 3237 (1998)]、オリーブ油[M. Esti et al., Riv. Ital. Sostanze Grasse, 73(4), 147 - 150 (1996)]、ブルーベリー[F. Kader et al., Food Chem., Volume Date 1996, 55(1), 35 - 40 (1995)]、プロポリス[W. Greenaway et al., Proc. R. Soc. London, B, 232(1268), 249 - 272 (1987)]等に含まれており、高級アルキルエステルも漢方薬用植物等に含まれている[U. Koetter et al., Planta Med., 59(3), 279 - 280 (1993); M. Li et al., Zhongcaoyao, 23(5), 227 - 228 (1992)]。p-クマル酸のチラミンアミドやベンジルエステル
など芳香核を持つアミン、アルコールの誘導体も漢方薬[T. Okuyama et al., Planta Med., (3), 171 - 175 (1986)]やプロポリス[P. Georgieva et al., Z. Naturforsch., 52c,
60 - 64 (1997)]に含まれ、従来からヒトにおいて経口摂取されている。従って、本発明の化合物の安全性は高いと言える。なお、N-(3-フェニルプロピル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミドや4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニル-2-プロペニル等はヒト前駆脂肪細胞の培養に添加した時、クルクミンでは細胞に障害を与える100μMの濃度でもネクロシスを起こさず正常な脂肪蓄積と分化を起こしたことから考えても安全性は高いと判断される。このような本発明における式1で示される化合物のアディポネクチン産生増強作用はテオフィリン、カフェイン、テオブロミン等、茶やコーヒーに通常含まれるキサンチン誘導体を併用することにより一層増大する。これはキサンチン誘導体が生体内のホスホジエステラーゼを阻害しセカンドメッセンジャーであるcAMPのレベルを上昇させるためと考えられるが、カフェイン等も広く飲用され安全性が高いため、それと本発明の化合物の併用は薬効増強と用量節減の両面において実用上有意義である。
【0009】
すなわち本発明は以下の発明を包含する。
1)下記一般式(1)で示される化合物を活性成分として含有することを特徴とする、動物脂肪細胞におけるアディポネクチン産生を増強もしくは促進する薬剤。
【0010】
【化1】

【0011】
(ただし、式1中においてR1とR2は水素原子(H)、水酸基又はアルコキシ基を表し、Xは炭素数1〜6である2価の脂肪族炭化水素基、又はカルボニル基(-CO-)を表し、Yはアミド
基(-CO-NH‐もしくは‐NH-CO-)、エステル基(−CO-O-もしくは-O-CO-)、イミノ基(-NH-)、又は酸素原子(-O-)を表し、Zは炭素数1〜20の2価脂肪族炭化水素基又はカルボニ
ル基(-CO-)を表し、Qは水素原子(H)、芳香族炭化水素基、又は複素環基を表し、これらの環は水酸基、アルコキシ基、又はアミノ基により置換されていてもよい。ただし、式1においてR1がアルコキシ基であり、かつR2が水素原子であり、かつXがビニレン基(-CH=CH-)であり、かつYが-CO-NH-であるアミド基又は-CO-O-であるエステル基である場合を除く。)
【0012】
2)活性成分が、N-(β-フェネチル)-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド
であることを特徴とする、1)に記載の薬剤。
3)活性成分が、N-(3-フェニルプロピル)-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミドであることを特徴とする、1)に記載の薬剤。
4)活性成分が、N-(β-フェネチル)-3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロパンア
ミドであることを特徴とする、1)に記載の薬剤。
5)活性成分が、N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル-3-フェニル-2-プロペン
アミドであることを特徴とする、1)に記載の薬剤。
6)活性成分が、N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル-2-フェニルアセトアミドであることを特徴とする、1)に記載の薬剤。
7)活性成分が、N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル-3-フェニルプロパンアミドであることを特徴とする、1)に記載の薬剤。
8)活性成分が、N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチルベンズアミドであること
を特徴とする、1)に記載の薬剤。
9)活性成分が、N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-3-フェニル-2-プロ
ペンアミドであることを特徴とする、1)に記載の薬剤。
10)活性成分が、3-フェニル-2-プロペン酸3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-2-
プロペニルであることを特徴とする、1)に記載の薬剤。
【0013】
11)活性成分が、N-(3-フェニルプロピル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミドであることを特徴とする、1)に記載の薬剤。
12)活性成分が、N-(β-フェネチル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミドであるこ
とを特徴とする、1)に記載の薬剤。
13)活性成分が、N-ベンジル-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミドであることを特徴とする、1)に記載の薬剤。
14)活性成分が、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニル-2-プロペニルであることを特徴とする、1)に記載の薬剤。
15)活性成分が、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニルプロピルであることを
特徴とする、1)に記載の薬剤。
16)活性成分が、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸β-フェネチルであることを特徴とする、1)に記載の薬剤。
17)活性成分が、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸n-ブチルであることを特徴とする
、1)に記載の薬剤。
18)活性成分が、N-(3-フェニルプロピル)-4-ヒドロキシベンズアミドであることを特
徴とする、1)に記載の薬剤。
19)活性成分が、N-(β-フェネチル)-4-ヒドロキシベンズアミドであることを特徴とする、1)に記載の薬剤。
20)活性成分が、N-ベンジル-4-ヒドロキシベンズアミドであることを特徴とする、1
)に記載の薬剤。
【0014】
21)活性成分が、N-(β-フェネチル)-3-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシフェニル)-2-プロペンアミドであることを特徴とする、1)に記載の薬剤。
22)活性成分が、N-(3-フェニルプロピル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロペンアミドであることを特徴とする、1)に記載の薬剤。
23)活性成分が、4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシ安息香酸3-フェニル-2-プロペニルであることを特徴とする、1)に記載の薬剤。
24)活性成分が、カプサイシンであることを特徴とする、1)に記載の薬剤。
25)活性成分が、N-バニリルノナンアミドであることを特徴とする、1)に記載の薬剤。
26)さらに、テオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つ以上を
含有することを特徴とする、1)〜25)のいずれかに記載の薬剤。
27)テオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンからなる、1)〜25)のいずれかに記載の薬剤の活性増強剤。
28)N-(3-フェニルプロピル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミド。
29)4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニル-2-プロペニル。
30)N-(β-フェネチル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミド。
【0015】
31)4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニルプロピル。
32)上記一般式(1)で表される化合物を活性成分として含有することを特徴とする、2型糖尿病の予防又は治療剤。
33)上記一般式(1)で表される化合物を活性成分として含有することを特徴とする、高血糖症(特に、2型糖尿病に伴う高血糖症)の予防又は治療剤。
34)上記一般式(1)で表される化合物を活性成分として含有することを特徴とする、高脂血症(特に、2型糖尿病に伴う高脂血症)の予防又は治療剤。
35)活性成分が、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸のエステルであることを特徴とす
る、32)〜34)のいずれかに記載の薬剤。
36)活性成分が、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸と芳香核を有するアルコールとが
結合してなるエステルであることを特徴とする、32)〜34)のいずれかに記載の薬剤。
37)活性成分が、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニル-2-プロペニルであることを特徴とする、32)〜34)のいずれかに記載の薬剤。
38)活性成分が、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸のアミドであることを特徴とする
、32)〜34)のいずれかに記載の薬剤。
39)活性成分が、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸と芳香核を有するアミンとが結合
してなるアミドであることを特徴とする、32)〜34)のいずれかに記載の薬剤。
40)活性成分が、N-(3-フェニルプロピル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミドであることを特徴とする、32)〜34)のいずれかに記載の薬剤。
41)活性成分が、(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチルアミンと芳香核を有する
カルボン酸とが結合してなるアミドであることを特徴とする、32)〜34)のいずれかに記載の薬剤。
42)活性成分が、N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル-3-フェニル-2-プロペ
ンアミドであることを特徴とする、32)〜34)のいずれかに記載の薬剤。
【0016】
上記35)における「4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸のエステル」としては、4-ヒ
ドロキシ-3-メトキシ安息香酸と芳香核を有するアルコールとが結合してなるエステルが
好ましいが、他には炭素数が3〜15程度の直鎖あるいは分岐脂肪族アルコールや脂環式アルコールと結合してなるエステルが挙げられる。ここで「芳香核を有するアルコール」としては、β-フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、3-フェニルプロパノール、4-フェニルブタノール、α-フェネチルアルコール、マンデル酸メチルエステル、桂皮アルコール、1-インダノ-ル、フルフリルアルコール、2-(3-インドリル)エタノール、アトロ
ラクチン酸等が挙げられるがこれらには限定されない。
【0017】
上記38)における「4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸のアミド」としては、4-ヒド
ロキシ-3-メトキシ安息香酸と芳香核を有するアミンとが結合してなるアミドが好ましい
が、他には炭素数が3〜15程度の直鎖あるいは分岐脂肪族アミンや脂環式アミンと結合してなるアミドが挙げられる。ここで「芳香核を有するアミン」としては、β-フェネチ
ルアミン、ベンジルアミン、3-フェニルプロピルアミン、4-フェニルブチルアミン、α-
メチルベンジルアミン、フェニルアラニン及びそのメチルエステル、フェニルアラニノール、チラミン、トリプタミン、1-ナフチルエチルアミン、フルフリルアミン、1-アミノインダン、N-メチルフェネチルアミン等が挙げられるがこれらには限定されない。
【0018】
上記41)における「芳香核を有するカルボン酸」としては、安息香酸、フェニル酢酸、桂皮酸、p-ヒドロキシ桂皮酸、p-メトキシ桂皮酸、3-フェニルプロピオン酸、N-アセチルフェニルアラニン、O-メチルマンデル酸、2-フェノキシ酢酸、2-ナフトキシ酢酸、2-ナフトイン酸、インダン-2-カルボン酸、2-フロイン酸、ニコチン酸等が挙げられるがこれ
らには限定されない。
【0019】
本発明に係る薬剤は2型糖尿病血糖降下剤又は高脂血症治療剤としても有用である。
【発明の効果】
【0020】
本発明のホモバニリン酸、バニリン酸、バニリルアミン等の誘導体(一般式(1)で表される化合物)は、動物脂肪細胞におけるアディポネクチンの産生を増強ないし促進する。その結果、個体レベルでは2型糖尿病における高血糖値を低下させたり血中の中性脂肪
濃度を減少させる作用を有する。
【0021】
一方、アディポネクチンの産生増強物質として知られている前記したチアゾリジンジオン等の物質は、安全性、副作用の問題を抱えているのに対し、本発明のバニリン酸等の誘導体は、従来から、園芸作物やプロポリス等健康増進剤の成分として、喫食あるいは服用されていたものが多く、本発明の薬剤は安全性が高いものといえる。
【0022】
さらに、上記したように、アディポネクチンは、インスリンが産生されているにもかかわらず血糖値が低下しないいわゆる生活習慣病の2型糖尿病を予防、治療する効果を有するが、これのみでなく動脈硬化につながる血管病変の抑制、肥満改善、抗炎症、単球系細胞の増殖抑制、肝繊維化抑制等、多くの重要な生理作用を有するものであり、本発明により提供される薬剤は、これらの疾患の予防又は治療のための薬剤として安全で極めて有用な薬剤である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明において使用する化合物は、以下の一般式で表される。
【0024】
【化2】

【0025】
(ただし、式1中においてR1とR2は水素原子(H)、水酸基、又はアルコキシ基を表し、Xは炭素数1〜6である2価の脂肪族炭化水素基、又はカルボニル基(-CO-)を表し、Yはアミ
ド基(-CO-NH‐もしくは‐NH-CO-)、エステル基(−CO-O-もしくは-O-CO-)、イミノ基(-NH-)、又は酸素原子(-O-)を表し、Zは炭素数1〜20の2価脂肪族炭化水素基又はカルボ
ニル基(-CO-)を表し、Qは水素原子(H)、芳香族炭化水素基、又は複素環基を表し、これらの環は水酸基、アルコキシ基、又はアミノ基により置換されていてもよい。ただし、式1においてR1がアルコキシ基であり、かつR2が水素原子であり、かつXがビニレン基(-CH=CH-)であり、かつYが-CO-NH-であるアミド基又は-CO-O-であるエステル基である場合を除く。)なお、この除外した化合物は先願(特願2004-007491)に含まれるものである。
【0026】
上記一般式1で示される化合物はそれぞれ単独で、又はテオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンとの共存下において、ヒトやマウスの前駆脂肪細胞の脂肪細胞への分
化を促進し、それに伴いこれらの細胞におけるアディポネクチンの産生も促進・増強する。この活性は化合物の構造と濃度によっては先願(特願2004-007491)における最強の化合
物(N-(β-フェネチル)フェルラミド)に匹敵するほど強い。
【0027】
さらに、本発明の化合物のうち、好ましいものの化学構造を具体的に例示すると、以下の2〜27の化合物が挙げられる。併せてN-(β-フェネチル)フェルラミド(FAPA)の化学
構造を示す。
【0028】
【化3】

【0029】
これら化合物の置換基を、一般式(1)の置換基に対応させて以下に説明する。
【0030】
2の化合物(N-(β-フェネチル)-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド)
;一般式(1)中、R1=OMe,R2=H, X=CH2, Y=-CO-NH-基、Z=CH2CH2, Q=C6H5である化合
物。
【0031】
3の化合物(N-(3-フェニルプロピル)-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミ
ド); 一般式(1)中、R1=OMe,R2=H, X=CH2, Y=-CO-NH-基、Z=CH2CH2CH2, Q=C6H5である化合物。
【0032】
4の化合物(N-(β-フェネチル)-3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロパンアミド); 一般式(1)中、R1=OMe,R2=H, X=CH2CH2, Y=-CO-NH-基、Z=CH2CH2, Q=C6H5である化合物。
【0033】
5の化合物(N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル-3-フェニル-2-プロペンアミド); 一般式(1)中、R1=OMe,R2=H, X=CH2, Y=-NH-CO-基、Z=CH2CH=CH, Q=C6H5である化合物。
【0034】
6の化合物(N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル-2-フェニルアセトアミド);
一般式(1)中、R1=OMe,R2=H, X=CH2, Y=-NH-CO-基、Z=CH2, Q=C6H5である化合物。
【0035】
7の化合物(N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル-3-フェニルプロパンアミド); 一般式(1)中、R1=OMe,R2=H, X=CH2, Y=-NH-CO-基、Z=CH2CH2, Q=C6H5である化合物。
【0036】
8の化合物(N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチルベンズアミド); 一般式(1)中、R1=OMe,R2=H, X=CH2, Y=-NH-基、Z=-CO-基, Q=C6H5である化合物。
【0037】
9の化合物(N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-3-フェニル-2-プロペンアミド); 一般式(1)中、R1=OMe,R2=H, X=CH2CH2, Y=-NH-CO-基、Z=CH2CH=CH, Q=C6H5である化合物。
【0038】
10の化合物[3-フェニル-2-プロペン酸3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-2-プロペニル]; 一般式(1)中、R1=OMe,R2=H, X=CH=CHCH2, Y=-O-CO-基、Z=CH2CH=CH, Q=C6H5である化合物。
【0039】
11の化合物(N-(3-フェニルプロピル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミド); 一
般式(1)中、R1=OMe,R2=H, X=-CO-基, Y=-NH-基、Z=CH2CH2CH2, Q=C6H5である化合物。
【0040】
12の化合物(N-(β-フェネチル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミド); 一般式(1)中、R1=OMe,R2=H, X=-CO-基, Y=-NH-基、Z=CH2CH2, Q=C6H5である化合物。
【0041】
13の化合物(N-ベンジル-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミド); 一般式(1)中
、R1=OMe,R2=H, X=-CO-基, Y=-NH-基、Z=CH2, Q=C6H5である化合物。
【0042】
14の化合物(4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニル-2-プロペニル); 一般式
(1)中、R1=OMe,R2=H, X=-CO-基, Y=酸素原子(-O-)、Z=CH2CH=CH, Q=C6H5である
化合物。
【0043】
15の化合物(4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニルプロピル); 一般式(1)中、R1=OMe,R2=H, X=-CO-基, Y=酸素原子(-O-)、Z=CH2CH2CH2, Q=C6H5である化合物

【0044】
16の化合物(4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸β-フェネチル); 一般式(1)中、R1=OMe,R2=H, X=-CO-基, Y=酸素原子(-O-)、Z=CH2CH2, Q=C6H5である化合物。
【0045】
17の化合物(4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸n-ブチル); 一般式(1)中、R1=OMe,R2=H, X=-CO-基, Y=酸素原子(-O-)、Z=CH2CH2CH2CH2, Q=水素原子(H)である化合物

【0046】
18の化合物(N-(3-フェニルプロピル)-4-ヒドロキシベンズアミド); 一般式(1)中、R1=R2=H, X=-CO-基, Y=イミノ基(-NH-)、Z=CH2CH2CH2, Q=C6H5である化合物。
【0047】
19の化合物(N-(β-フェネチル)-4-ヒドロキシベンズアミド); 一般式(1)中、R1=R2=H, X=-CO-基, Y=イミノ基(-NH-)、Z=CH2CH2, Q=C6H5である化合物。
【0048】
20の化合物(N-ベンジル-4-ヒドロキシベンズアミド); 一般式(1)中、R1=R2=H, X=-CO-基, Y=イミノ基(-NH-)、Z=CH2, Q=C6H5である化合物。
【0049】
21の化合物[N-(β-フェネチル)-3-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシフェニル)-2-プロ
ペンアミド]; 一般式(1)中、R1=R2=OMe, X=ビニレン基(-CH=CH-), Y=-CO-NH-、Z=CH2CH2, Q=C6H5である化合物。
【0050】
22の化合物[N-(3-フェニルプロピル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロペンアミド]; 一般式(1)中、R1=R2=H, X=ビニレン基(-CH=CH-), Y=-CO-NH-、Z=CH2CH2CH2, Q=C6H5である化合物。
【0051】
23の化合物[4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシ安息香酸3-フェニル-2-プロペニル]; 一
般式(1)中、R1=R2= OMe, X=-CO-基, Y=酸素原子(-O-)、Z=CH2CH=CH, Q=C6H5
ある化合物。
【0052】
24の化合物[N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-フェニルアセトア
ミド]; 一般式(1)中、R1= OMe,R2= H, X= CH2CH2, Y= -NH-CO-基,Z= CH2, Q=C6H5である化合物。
【0053】
25の化合物[N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-3-フェニルプロパン
アミド];一般式(1)中、R1= OMe,R2= H, X= CH2CH2, Y= -NH-CO-基,Z= CH2CH2, Q=C6H5である化合物。
【0054】
26の化合物(カプサイシン); 一般式(1)中、R1=OMe,R2=H, X=CH2, Y=-NH-CO-基、Z=(CH2)4CH=C(CH3)CH2, Q=水素原子(H)である化合物。
【0055】
27の化合物(バニリルノナンアミド); 一般式(1)中、R1=OMe,R2=H, X=CH2, Y=-NH-CO-基、Z=(CH2)8, Q=水素原子(H)である化合物。
【0056】
本発明の原料となる式1で示される化合物は対応するカルボン酸とアミンまたはアルコールをジシクロヘキシルカルボジイミド等でカップリングさせる公知の方法で合成される。また、水酸基をアセチル基等で保護すれば酸クロライド等を経由する公知の方法で合成できる。この場合、保護基はヒドラジン処理など温和な条件で除去できる。さらに、上述したように食用作物等の植物に含まれている場合には、そこから製取することもできる。この場合、不都合な夾雑物がない限り、粗抽出物や部分精製品として用いることもできる。抽出は水やエタノールで容易に行なえる。一方、これらの式1で示される化合物やそれ
を含む抽出物と組み合わせてアディポネクチンの産生をさらに増強するために使用するキサンチン誘導体はテオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つまた
は2つ以上の混合物である。これらは茶葉やコーヒー豆、カカオ豆等から抽出できるし、
公知の方法で容易に合成もできる。本発明に用いる場合、これらは純品として、あるいは茶・コーヒー等の粗抽出物の形で式1の化合物に混合してもよい。本発明に用いる場合、式1の化合物の添加量は化合物の種類、精製の方法や程度、求められる効果の程度により、生理的に安全な範囲で加減する。例えば式5の化合物の添加量は飲用水の1mlもしくは食物の1gあたり数mg以下とする。キサンチン誘導体の添加量については常用されるコ
ーヒーや緑茶に含まれる濃度に準ずるものとする。すなわち、カフェインは飲用水の1mlもしくは食物の1gあたり0.1mgから0.5mg(約3 mM)、テオフィリンは飲用水の1mlもしくは食物の1gあたり0.01mgから0.05mg(約0.3 mM)、テオブロミンは飲用水の1mlもしくは食物の1gあたり0.1mgから2mg(約10mM)等を目安にするが、総摂取量や摂取形態に応じて、生理的に安全な範囲内で適宜増減する。次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0057】
DCC法による合成
50mgのホモバニリン酸(Sigma社製)を0.5 mlの乾燥テトラヒドロフラン (THF) に溶かした溶液を氷冷し、これに57 mgのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を含む0.2 mlのTHF溶液を添加した。10分後にβ-フェネチルアミンの30μlを添加し、よく混合後4℃に
静置した。2時間後、上記と同濃度のDCC/THF液の30μlとβ-フェネチルアミンの20μlを
添加、混合し、さらに上記DCC溶液の20μlを加えてから一夜冷蔵庫に放置後、3 mlの酢酸エチルを加え、析出した結晶を濾別した。濾液をエバポレータで濃縮し、分取の薄層クロマトグラフィー(20x20cm、0.5 mm厚、ヘキサンとアセトンの1:1混液で展開)で
精製し、N-(β-フェネチル)-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド(2)を
ガム状物質として得た(30 mg、収率38%)。マススペクトル [m/z: 285.1350 (M+) (calcd. C17H19NO3=285.1363)]と1H-NMR(表1)の測定結果から、得られた化合物の構造が2
であることを確認した。
【0058】
上記と同様の方法でホモバニリン酸と3-フェニルプロピルアミンを縮合させ、ベンゼン/酢酸エチル/へキサンの混液から結晶させてN-(3-フェニルプロピル)-(4-ヒドロキシ-3-
メトキシフェニル)アセトアミド(3)を得た。融点63〜67℃。マススペクトル[m/z:
299.1536(M+)(calcd. C18H21NO3=299.1521)]と1H-NMRの測定結果から3の化合物の構造
を確認した。
【0059】
一方、先願(特願2004-007491)の方法で得た(β-フェネチル)フェルラミドをエタノール中で酸化白金を触媒として水素ガスで還元し、N-(β-フェネチル)-3-(4-ヒドロキシ-
3-メトキシフェニル)プロパンアミド(4)を合成した。ベンゼンから結晶化、融点115
〜116℃。マススペクトル[m/z: 299.1527 (M+)(calcd. C18H21NO3=299.1520)]と1H-NMRから構造を確認した。
【0060】
54mgのバニリルアミン塩酸塩(Aldrich社製)と100μlのピリジンを0.5mlのメタノールに溶かした。一方、45mgの安息香酸を含む0.2mlのメタノール溶液に150mgのDCCを含む0.1mlのTHF溶液を添加し、この混合物を上記バニリルアミン溶液に添加した。氷冷下で1時間攪拌後、上記DCC溶液を30μl添加し、室温に約3時間放置した。次いで、前記したところ
と同様に処理、精製し、ベンゼンから結晶化させて19mgのN-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチルベンズアミド(8)を得た(収率26%)。融点139〜141℃。マススペクト
ル[m/z: 257.1031 (M+)(calcd. C15H15NO3=257.1050)]と1H-NMRの測定結果から8の構造
を確認した。
【0061】
同様に、バニリン酸(和光純薬工業株式会社製)と3-フェニルプロピルアミンをDCCで
縮合させ、分取薄層クロマトグラフィーで精製、ベンゼン/アセトン/へキサン混液から結晶させN-(3-フェニルプロピル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミド(11)を得た。融点101〜102℃。マススペクトル[m/z: 285.1344 (M+)(calcd. C17H19NO3=285.1364)]と1H-NMR(表1)の測定結果から11の構造を確認した。同様にしてバニリン酸とβ-フェネ
チルアミンから化合物N-(β-フェネチル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミド(12
) {融点131〜133℃。マススペクトル[m/z: 271.1233 (M+)(calcd. C16H17NO3=271.1207)]}を合成し、シナピン酸とβ-フェネチルアミンからN-(β-フェネチル)-3-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシフェニル)-2-プロペンアミド(21){融点133〜135℃、マススペクトル[m/z: 327.1517 (M+)(calcd. C19H21NO4=327.1469)]}を合成し、マススペクトルと1H-NMRの測定結果からそれぞれの構造を確認した。
【実施例2】
【0062】
バニリルアミン誘導体の酸クロライド法による合成
バニリルアミン塩酸塩の0.2gをクロロホルムの1mlとピリジン0.6mlの混液に懸濁した。この混合物に氷冷、攪拌しつつ桂皮酸クロライドの0.3gをクロロホルム1mlに溶かした溶
液を少量づつ添加した。全量添加後、室温で2時間攪拌した。酢酸エチル10mlを加え、分
液ロート中で10%クエン酸水溶液の3ml、10%NaHCO3水溶液の3ml、飽和食塩水3mlで順次
洗浄後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、エバポレータで濃縮した。分取の薄層クロマトグラフィーで精製し、ヘキサンから結晶させ4.6mgのN-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニ
ル)メチル-3-フェニル-2-プロペンアミド(5)を微細針状晶として得た。融点145〜147
℃。マススペクトル[m/z: 283.1150 (M+)(calcd. C17H17NO3=283.1207)]と1H-NMR(表1)から5の構造を確認した。
【0063】
バニリルアミン塩酸塩の0.1gを5N 水酸化ナトリウム水溶液の0.3mlに溶かした。氷冷
、撹拌下にフェニルアセチルクロライド150μlを滴下した。次いで水0.3mlを加えてから
、フェニルアセチルクロライドを50μl追加し、よく撹拌後1時間室温に放置した。10%NaHCO3水溶液の5mlと酢酸エチルの10mlを加え、分液ロート中で振り、有機層を10%クエン
酸水溶液の5ml、10%NaHCO3水溶液の5ml、飽和食塩水5mlで順次洗浄後、エバポレータで
濃縮した。残渣を3.5mlのエタノールに溶かし、ヒドラジン一水和物を0.1ml加え、室温に2時間放置した。0.12mlの酢酸を加えてからエバポレータで濃縮し、分取薄層クロマトグ
ラフィーで精製、ヘキサンから結晶化させ90mgのN-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)
メチル-2-フェニルアセトアミド(6)(融点110〜111℃)を得、マススペクトル[m/z: 271.1188 (M+)(calcd. C16H17NO3=271.1207)]と1H-NMRにより構造を確認した。同様にして、バニリルアミン塩酸塩に3-フェニルプロピオニルクロライドを反応させN-(4-ヒドロキ
シ-3-メトキシフェニル)メチル-3-フェニルプロパンアミド(7)をガム状物として得、また3-O -メチルドパミン塩酸塩(Aldrich社製)に桂皮酸クロライド、フェニル酢酸クロライド、または3-フェニルプロピオニルクロライドを反応させ、N-[2-(4-ヒドロキシ-3-
メトキシフェニル)エチル]-3-フェニル-2-プロペンアミド(9)(ベンゼン/へキサンか
ら結晶化、融点171〜172℃)、N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-フェニルアセトアミド(24)(融点74〜76℃)、及びN-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェ
ニル)エチル]-3-フェニルプロパンアミド(25)(融点100〜101℃)を合成し、いずれ
もマススペクトルと1H-NMRにより構造を確認した。
【実施例3】
【0064】
アセトキシ誘導体を経由する合成
バニリン酸からピリジンと無水酢酸を用いる公知の方法で合成した4-O-アセチルバニリン酸の0.5gを5mlのベンゼン及び0.6mlの塩化チオニルと混合し、2時間加熱還流させた。溶媒と未反応の塩化チオニルを減圧で除去し、生成したアセチルバニリン酸クロライドを5mlのトルエンに溶かした。この溶液の1mlを桂皮アルコールの0.12gとピリジン0.2mlを含
むトルエン1ml(氷冷)に加え、室温で2時間攪拌後、水5mlを加え酢酸エチルの20mlで抽
出した。上層を5mlの10%NaHCO3水溶液と飽和NaCl水溶液で洗浄後、エバポレーターで蒸
発乾固させ、残渣をエタノール4mlに溶かした。この溶液にヒドラジン一水和物の0.15ml
を加え室温に1時間放置後、酢酸0.16mlを加えてから濃縮した。酢酸エチル10mlに溶かし、分液ロート中で10%クエン酸水溶液の3ml、10%NaHCO3水溶液の3ml、飽和NaCl水3mlで
順次洗浄後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、エバポレータで濃縮した。分取の薄層クロマトグラフィーで精製し、ベンゼン/ヘキサンから結晶化させ72mgの4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニル-2-プロペニル(14)を微細針状晶として得た。融点71〜72℃
。マススペクトル[m/z: 284.1039 (M+)(calcd. C17H16O4=284.1048)]と1H-NMR(表1)か
ら14の構造を確認した。同様に、アセチルバニリン酸クロライドを3-フェニルプロパノール、β-フェネチルアルコール、n-ブタノール、又はベンジルアミンと反応させ、4-ヒ
ドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニルプロピル(15){油状物、マススペクトル[m/z: 286.1189 (M+)(calcd. C17H18O4=286.1204)]}、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸β-
フェネチル(16){油状物、マススペクトル[m/z: 272.0991 (M+)(calcd. C16H16O4=272.1048)]}、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸n-ブチル(17)、N-ベンジル-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミド(13){融点167〜168℃、マススペクトル[m/z: 257.1034 (M+)(calcd. C15H15NO3=257.1051)]}を合成し、マススペクトル及び/又は1H-NMRにより構
造を確認した。また、p-クマル酸(Sigma社製)とシリンガ酸(Sigma社製)を上記と同様にアセチル化後、チオニルクロライドでアセトキシ桂皮酸クロライド、4-アセトキシ-3,5-ジメトキシ安息香酸クロライドとし、さらに4-アセトキシ安息香酸(東京化成工業株式
会社製)を同様に4-アセトキシ安息香酸クロライドとし、これらを以下の化合物に対応するアルコール又はアミンと反応させ、N-(3-フェニルプロピル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロペンアミド(22){融点143-145℃、マススペクトル[m/z: 287.1419 (M+)(calcd. C18H19NO2=281.1415)]}、4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシ安息香酸3-フェニル-2-プロペニル(23){融点115〜128℃、マススペクトル[m/z: 314.1147 (M+)(calcd. C18H18O5=314.1153)]}、N-(3-フェニルプロピル)-4-ヒドロキシベンズアミド(18)、N-(β-フェ
ネチル)-4-ヒドロキシベンズアミド(19)、及びN-ベンジル-4-ヒドロキシベンズアミ
ド(20)を合成し、さらに、コニフェリルアルコール(和光純薬工業株式会社製)に桂皮酸クロライドを作用させ、3-フェニル-2-プロペン酸3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェ
ニル)-2-プロペニル(10)を合成し、いずれもマススペクトルと1H-NMRから構造を確認した。
【0065】
【表1】

【実施例4】
【0066】
マウス3T3-L1前駆脂肪細胞株(大日本製薬株式会社より購入)を10%の牛胎仔血清(FBS)を含むDMEM培地で3日間前培養後、EDTA-トリプシン液で回収し、3.8 x 104 cells/ml
の懸濁液とし、あらかじめコラーゲンコーティングを施した24-wellのマルチウェルプレ
ートに1ウェルあたり1 ml植え込んだ。3日間培養後、培地を新鮮培地(1ml)に交換し
、次いで上記のN-(β-フェネチル)-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド(
2)、N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチルベンズアミド(8)、N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル-3-フェニル-2-プロペンアミド(5)のエタノール溶液(10 mM)を5、7.5、10 μlづつ添加した。コントロールを含む全ウェルに純エタ
ノールが最終的に同量(10μl)になるよう添加した。10日間培養後、位相差顕微鏡で細
胞内脂肪球の蓄積を確認してから培地を除去し、PBS(1 ml/well)で2回洗浄後、各ウェ
ルの細胞を1%のTween 20を含むlysis緩衝液の0.1 mlと共にセルスクレーパーで剥がし
、細胞懸濁液をボルテックス処理後、遠心分離(12000 rpm、10分)した。回収した上清
の蛋白濃度を測定後、上清の一定量を取り1mg/mlの蛋白濃度においてSDS処理した。このサンプルについてポリアクリルアミドゲルによる電気泳動を行ない、常法によるウェスタンブロッティングでアディポネクチンを検出した。用いた1次抗体はケミコン社製のmouse
anti-adiponectin, mouse monoclonal antibody (Catalog No. MAB3608)であり、2次抗
体はZymed社製のrabbit anti-mouse Ig G1-HRP conjugate (Catalog No. 61-0120)である。バンドの検出にはAmersham Biosciences 社製ECL Plus測定キットを用いた。さらに、
比較のためβ-アクチンもウェスタンブロッティングで検出したが、用いた1次抗体はSanta Cruz社製のanti-β-actin (C-11, sc-1615)であり、2次抗体はZymed社製のrabbit anti-goat IgG(H+L)-HRP conjugate (Catalog No. 81-1620)である。結果を図1に示す。この結果から供試化合物2、5、8にマウス3T3-L1前駆脂肪細胞より分化した脂肪細胞のア
ディポネクチン産生を増強する作用のあることがわかる。
【実施例5】
【0067】
正常ヒト前駆脂肪細胞(三光純薬製)を10 %のFBSと2 mMグルタミンを添加したPBM培地(PBM増殖培地、PBMは三光純薬製)で4日間前培養後、細胞をEDTA-トリプシン液で回収し、PBM増殖培地に4 x 104 cells/mlの割合で懸濁し、あらかじめコラーゲンでコートした12-wellプレートに2 mlづつ植え込んだ。5%のCO2存在下、37℃で3日間培養後、培地
をPBM基本分化培地[PBM増殖培地にインスリン(10μg/ml)とデキサメタソン(0.1μM)を添加したもの]に、さらに100μMのテオフィリンまたは500μMのカフェインを添加、もしくは添加していない培地に交換した(2 ml/well)。これらの各ウェルに実施例1と2
で得たバニリルアミン誘導体5、7、8のエタノール溶液(30mM)を6.7μlづつ添加した。コントロールには6.7μlのエタノールのみを添加した。14日間インキュベート後、培地を吸引除去し、PBSで2回洗浄後、実施例4と同様にして細胞を回収し、lysis緩衝液(1サンプルあたり20 μl)で抽出処理した。抽出液は蛋白質を定量後、総蛋白濃度0.5 mg/mlにおいてSDS処理し、ポリアクリルアミドゲルによる電気泳動を行ない、ウェスタンブロッ
ティングでアディポネクチンとβ-アクチンを検出した。1次抗体としてケミコン社製のhuman anti-adiponectin, mouse monoclonal antibody (Catalog No. MAB3604)を用いた以
外は実施例4と同じ抗体を用いた。結果を図2に示すが、バニリルアミン誘導体5、7、又は8の添加でアディポネクチンの産生が増強されることがわかる。また、これらの化合物に加えてテオフィリン又はカフェインを加えるとアディポネクチンの産生が一層促進されることを確認した。
【実施例6】
【0068】
実施例1〜3で合成した化合物及び市販のカプサイシンとバニリルノナンアミドを用い
実施例5と同様の実験を行なった。ただし、今回はテオフィリンもカフェインも添加しなかった。ウェスタンブロットによるアディポネクチン検出の結果を図3.1及び3.2に
示す。サンプルの濃度は図中に特に記載がなければ100μMである。この結果から図中に表示した試験化合物(及び、図は省略したが化合物13と16)のいずれもコントロールに比べてアディポネクチンの産生を増強していることが確認された。
【実施例7】
【0069】
前記実施例で合成した化合物12と14を用い実施例5と同様の実験を行なった。ただし両化合物の培養液中の濃度は33μMとした。ウェスタンブロットによるアディポネクチ
ン検出の結果を図4に示す。この結果から14によるアディポネクチン産生はテオフィリン又はカフェインの共存により、また12によるアディポネクチン産生もテオフィリンの共存により一層強化されることがわかる。
【実施例8】
【0070】
4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニル-2-プロペニル(14)、N-(3-フェニルプ
ロピル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミド(11)、N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシ
フェニル)メチル-3-フェニル-2-プロペンアミド(5)の大量調製
公知の方法で合成したO-アセチルバニリン酸の12gを塩化チオニルで酸クロライドとし、その全量をトルエン30mlに溶かした。この溶液を、6.3gの桂皮アルコールと15mlのピリジンを含む50mlのトルエン溶液に氷冷、攪拌下添加した。次いで、室温において一晩攪拌した。この反応液を分液ロートに入れ50mlの水と200mlの酢酸エチルを加え、振とうした
。上層を50 mlの10%NaHCO3水溶液で洗浄後、ロータリーエバポレータで濃縮して得た油
状物の全量を50mlのエタノールに溶かし、ヒドラジン一水和物の5mlを入れ、室温に1時間放置した。次いで酢酸を5.2ml加え、ロータリーエバポレータで濃縮した残渣に酢酸エチ
ルの350mlと水60mlを加え、分液ロート中で激しく振とうした。上層を10%のクエン酸水
溶液の50mlと25ml、10%NaHCO3水溶液の50mlと25ml、及び飽和塩化ナトリウム水の50mlと25mlで順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、ロータリーエバポレータで濃縮した油状物をベンゼンとヘキサンの混液から結晶化させ、13.2gの化合物14を得た。薄層クロマト
グラフィー(シリカゲル、ベンゼン:酢酸エチル=9:1)とNMRスペクトルから実施例
3で得た標品と同一物質であることを確認した。
【0071】
次に、上記と同様にして桂皮アルコールの代わりに7gの3-フェニルプロピルアミンをO-アセチルバニリン酸クロライドと反応させ、N-(3-フェニルプロピル)-O-アセチルバニリ
ン酸アミドを得、これをヒドラジンで処理後、上記と同様に精製しアセトンとヘキサンの混液から結晶化させ14gの化合物11を得た。薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、ベ
ンゼン:酢酸エチル=1:1)とNMRスペクトルから実施例1で得た標品と同一物質であ
ることを確認した。
【0072】
さらに、バニリルアミン塩酸塩の10gを5N 水酸化ナトリウム水溶液の25mlに溶かし、
水150mlを加え氷冷し、激しく撹拌しながら桂皮酸クロライド11gとトルエン2mlの混合物
を滴下した。次いで2時間室温で攪拌した。6N 塩酸で中和後、800mlの酢酸エチルで抽出
した。有機層を10%NaHCO3水溶液で洗浄後、エバポレータで濃縮し、残渣を500mlのエタ
ノールに溶かし、ヒドラジン一水和物を10ml加え、室温に2時間放置した。10.2mlの酢酸
を加えてからエバポレータで濃縮し、残渣を酢酸エチルの900mlに溶かした。この溶液を
前記と同様に洗浄、乾燥後、濃縮すると15.6gの化合物5が晶出した。薄層クロマトグラ
フィー(シリカゲル、ベンゼン:酢酸エチル=1:1)とNMRスペクトルから実施例2で
得た標品と同一物質であることを確認した。
【実施例9】
【0073】
遺伝的に2型糖尿病を発症するKK-Ay/Ta Jc1マウス(オス、5週令、12匹、日本クレア社製)を、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニル-2-プロペニル(化合物14)を0.3%または1%(w/w)の割合で添加し、もしくは添加しないで調製した飼料で5週間にわたり
飼育し、体重と摂餌量を定期的に測定し、また1週間に1度採血して血糖値、血中アディポネクチンレベル、血漿トリグリセリド濃度を測定した。マウスの数は各群4匹。飼料は日本クレア社製のCE-2粉末飼料の120 gあたり実施例8で合成した化合物14のエタノール
溶液(0.2 g/ml)の1.8ml又は6 ml、ないしはエタノールの6 mlを加え、さらに2.4 gの馬
鈴薯澱粉を水48 mlと混合・加熱して調製したゲルを加え全体を乳鉢と乳棒でよく混和後
、直径15 cmのシャーレに固く充填し、その状態で3、4日風乾して調製した固形飼料を自
由摂取させた。水は水道水をオートクレーブで滅菌したものを自由摂取させた。血糖やアディポネクチン測定のためのプラズマ(血漿)は、血液をマウス尾部先端から1回あたり9μl採取し、これを直ちに3μlのヘパリン溶液(50 mg/ml)と混合、遠心分離(12000 rpm、12分)で血球を除いて調製した。このプラズマ中のグルコースとトリグリセリド濃度をそれぞれグルコースCII-テストワコーとトリグリセリドE-テストワコー(和光純薬工業株式会社製)で測定した。一方、プラズマの2μlを水8μl及び2x SDS緩衝液の10μlと混合
後、95℃で5分加熱処理し、電気泳動の試料とした。ポリアクリルアミドゲルによる電気
泳動(各レーン2μlをアプライ)とウェスタンブロッティングによるアディポネクチンの検出は定法によって行った。用いた1次抗体はケミコン社製のmouse anti-adiponectin, mouse monoclonal antibody (Catalog No. MAB3608)であり、2次抗体はZymed社製のrabbit
anti-mouse Ig G1-HRP conjugate (Catalog No. 61-0120)である。バンドの検出にはPharmacia社製ECL Plus測定キットを用いた。また泳動後のゲルについて、分子量8万前後の
部分をCBB試薬で染色し血清アルブミンを検出した。これらのバンドをスキャナーで画像
としてパソコンに取り込み、ゲル・プロ・アナライザー(ソフトウェア)でバンドの濃さを数値化した。これらの値から血清アルブミンを基準にした血中アディポネクチンの相対的なレベルを求めた。
【0074】
結果を表2、図5〜7に示す。
【0075】
【表2】

【0076】
表2は、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニル-2-プロペニル(化合物14)の0.3%または1%添加飼料で飼育したKK-Ay/Ta Jc1マウスの飼育期間中における体重増加
と1日1匹あたりの平均摂餌量を示す。平均摂餌量は各群の1週間における総摂餌量から
計算した。マウスの数は各群4匹、数値は平均値(av)と標準偏差(sd)である。表中の*印はコントロールに比べて有意に低いことを表す(*はp<0.05、**はp<0.01)。体重についてn = 4、摂餌量についてn = 21〜28。
【0077】
表2に示すように、コントロール群に比べて化合物14群のマウスでは摂餌量はやや抑
制されていたが体重増加には有意差はなかった。
【0078】
図5は化合物14(1%)群マウスの血漿グルコース濃度は7〜11週令の間コントロー
ル群より有意に低く、また、化合物14(0.3%)群でも8〜9週令の間はコントロール群より低く、糖尿病発症による血糖増加が化合物14で抑制されることを示している。
【0079】
図6は血中アディポネクチンの測定結果であり、コントロール群に比べ化合物14の飼料添加により8〜11週令にわたり血中アディポネクチンレベルが上昇傾向を示した。この場合、10週令目における化合物14(1%)群の値はコントロール群より有意に大きかった(p<0.05)。さらに、KK-Ay/Taマウスは糖尿病の進行と肥満に伴い血中脂肪も増加するので高脂血症のモデルにもなっている(特開2004-168720)。
【0080】
図7は本実験で血漿トリグリセリドを測定した結果を示す。化合物14により血中脂肪の増加が強力に抑制されることが示された。
【実施例10】
【0081】
KK-Ay/Ta Jc1マウス(オス、5週令、13匹)を、N-(3-フェニルプロピル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミド(化合物11)を0.3%または1%(w/w)の割合で添加し、もしく
は添加しないで調製した飼料を用い4週間にわたり飼育し、体重、摂餌量、血糖値を定期
的に測定した。マウスの数はコントロールと0.3%化合物11群各4匹、1%化合物11群5匹。諸操作は実施例9と同様にして行なった。
【0082】
結果を表3、4に示す。
【0083】
【表3】

【0084】
表3は、N-(3-フェニルプロピル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミド(化合物11)の0.3%または1%添加飼料で飼育したKK-Ay/Ta Jc1マウスの飼育期間中における体重
増加と1日1匹あたりの平均摂餌量を示す。平均摂餌量は各群の1週間における総摂餌量から計算した。マウスの数はコントロールと0.3%化合物11群各4匹、1%化合物11群5
匹、数値は平均値(av)と標準偏差(sd)である。体重についてn = 4又は5、摂餌量についてn = 28〜35。
【0085】
【表4】

【0086】
表4は、化合物11添加飼料で飼育したKK-Ay/Ta Jc1マウスの8週令目から10週令目における血漿中のグルコースとトリグリセリドの濃度(mg/dL)、及びアディポネクチン
レベルを示す。アディポネクチンレベルはアディポネクチンと血清アルブミンの電気泳動/ウェスタンブロットにおけるバンドの濃さ(デンシトメトリーによるカウント)の比の
平均をコントロール群についての値を1として比較したデータである。表の数値は平均値(av)と標準偏差(sd)である。表中の*印はコントロールに比べて有意に低い又は高いことを表す(*はp<0.05、**はp<0.01)。n = 10〜15。
【0087】
表3に示すように、体重増加と摂餌量は各群で大きな違いはなかった。
表4に示すように、血漿中のグルコース濃度とトリグリセリド濃度は化合物11の投与でコントロール群より抑制され、逆にアディポネクチンレベルは上昇する傾向が示された。
【実施例11】
【0088】
KK-Ay/Ta Jc1マウス(オス、5週令、8匹)を、N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル-3-フェニル-2-プロペンアミド(化合物5)を0.5%(w/w)添加し、もしくは添加しないで調製した飼料を用いて5週間にわたり飼育し、体重、摂餌量、血糖値を定期的に測定した。マウスの数は各群4匹。諸操作は実施例9と同様にして行なった。結果を表5と図8に示す。
【0089】
【表5】

【0090】
表5は、N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル-3-フェニル-2-プロペンアミド
(化合物5)の0.5%添加飼料で飼育したKK-Ay/Ta Jc1マウスの飼育期間中における体重
増加と1日1匹あたりの平均摂餌量を示す。平均摂餌量は各群の1週間における総摂餌量から計算した。マウスの数は各群4匹、数値は平均値(av)と標準偏差(sd)である。表中の*印はコントロールに比べて有意に低いことを表す(*はp<0.05、**はp<0.01)。体重についてn = 4、摂餌量についてn = 20〜28。
【0091】
表5に示すように、体重増加と摂餌量は飼育3週目以後、化合物5添加群とコントロール群で有意差はなかった。
【0092】
図8に示すように、血漿中のグルコース濃度とトリグリセリド濃度は化合物5の投与でコントロール群より抑制され、逆にアディポネクチンレベルは上昇する傾向が示された。これらのデータの*又は**を付した箇所ではp<0.05又はp<0.01で統計的により小さい(アディポネクチンレベルの場合はより大きい)値になることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】マウス3T3-L1前駆脂肪細胞に実施例1と2で得た化合物(各100μM)を添加、14日間培養した時のアディポネクチンの産生をウェスタンブロット法で検出した結果を示す写真である。各誘導体について2つづつのウェルを使用して実験した。ただし、コントロールにはエタノールのみ(6.7μl)を添加した。各ウェルのサンプルについてβ−アクチンを検出した結果を上段に、アディポネクチンの検出結果を下段に示してある。
【図2】正常ヒト前駆脂肪細胞にインスリン(10μg/ml)と0.1μMのデキサメタソンの存在下において、100μMのテオフィリン又は500μMのカフェインを添加し、もしくは添加せず、その上に実施例1と2で合成した化合物5、7、又は8(100μM)を添加して14日間培養後、細胞を回収しアディポネクチンの生成をウェスタンブロット法で検出した結果を示す写真である。図中に記載した化合物とテオフィリンまたはカフェインの組み合せのそれぞれにつき2つのウェルを用いて実験した。各ウェルの細胞についてβ−アクチンを検出した結果を上段に、アディポネクチンの検出結果を下段に示してある。
【図3−1】正常ヒト前駆脂肪細胞にインスリン(10μg/ml)と0.1μMのデキサメタソンの存在下において、図中に表示した化合物(通常100μM)を添加し14日間培養した時のアディポネクチンの生成をウェスタンブロット法で検出した結果を示す写真である。各々の場合につき2つのウェルを用いて実験した。各ウェルの細胞についてβ−アクチンを検出した結果を上段に、アディポネクチンの検出結果を下段に示してある。
【図3−2】正常ヒト前駆脂肪細胞にインスリン(10μg/ml)と0.1μMのデキサメタソンの存在下において、図中に表示した化合物(通常100μM)を添加し14日間培養した時のアディポネクチンの生成をウェスタンブロット法で検出した結果を示す写真である。各々の場合につき2つのウェルを用いて実験した。各ウェルの細胞についてβ−アクチンを検出した結果を上段に、アディポネクチンの検出結果を下段に示してある。
【図4】正常ヒト前駆脂肪細胞にインスリン(10μg/ml)と0.1μMのデキサメタソンの存在下において、100μMのテオフィリン又は500μMのカフェインを添加し、もしくは添加せず、その上に化合物12又は14を33μMの濃度で添加して14日間培養後、細胞を回収しアディポネクチンの生成をウェスタンブロット法で検出した結果を示す写真である。図中に記載した化合物とテオフィリンまたはカフェインの組み合せのそれぞれにつき2つのウェルを用いて実験した。各ウェルの細胞についてβ−アクチンを検出した結果を上段に、アディポネクチンの検出結果を下段に示してある。
【図5】4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニル-2-プロペニル(化合物14)を添加した飼料で飼育したKK-Ay/Ta Jc1マウスの各週令における血漿中グルコース濃度(mg/dL)を示す図である。白い棒はコントロール群、斜線の棒は0.3%化合物14添加群、二重斜線の棒は1%化合物14添加群の平均値であり、エラーバーは標準偏差。表中の*印はコントロールに比べて有意に低いことを表す(*はp<0.05、**はp<0.01)。n = 8〜12。
【図6】化合物14を添加した飼料で飼育したKK-Ay/Ta Jc1マウスの各週令における血漿中アディポネクチンレベルを示す図である。白い棒はコントロール群、斜線の棒は0.3%化合物14添加群、二重斜線の棒は1%化合物14添加群の平均値であり、エラーバーは標準偏差。表中の*印はコントロールに比べて有意に高いことを表す(p<0.05)。n = 9〜22。
【図7】化合物14を添加した飼料で飼育したKK-Ay/Ta Jc1マウスの各週令における血漿中トリグリセリド濃度(mg/dL)を示す図である。白い棒はコントロール群、斜線の棒は0.3%化合物14添加群、二重斜線の棒は1%化合物14添加群の平均値であり、エラーバーは標準偏差。表中の*印はコントロールに比べて有意に低いことを表す(*はp<0.05、**はp<0.01)。n = 8〜12。
【図8】(A)N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル-3-フェニル-2-プロペンアミド(化合物5)を0.5%添加した飼料で飼育したKK-Ay/Ta Jc1マウスの各週令における血漿中グルコース濃度(mg/dL)を示す図である。(B)同上マウスの血漿トリグリセリド濃度(mg/dL)を示す図である。(C)同上マウスの血漿中アディポネクチンレベルの相対値を示す図である。コントロール群の示す値の平均値を1とした。各図とも白い棒はコントロール群、斜線の棒は化合物5添加群についての平均値、エラーバーは標準偏差。表中の*印はコントロールに比べて有意に低い(A,B)または有意に高い(C)ことを表す(*はp<0.05、**はp<0.01)。(A)についてn = 12、(B)についてn = 8〜12、(C)についてn = 12〜17。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される化合物を活性成分として含有することを特徴とする、動物脂肪細胞におけるアディポネクチン産生を増強もしくは促進する薬剤。
【化1】

(ただし、式1中においてR1とR2は水素原子(H)、水酸基又はアルコキシ基を表し、Xは炭素数1〜6である2価の脂肪族炭化水素基、又はカルボニル基(-CO-)を表し、Yはアミド
基(-CO-NH‐もしくは‐NH-CO-)、エステル基(−CO-O-もしくは-O-CO-)、イミノ基(-NH-)、又は酸素原子(-O-)を表し、Zは炭素数1〜20の2価脂肪族炭化水素基又はカルボニ
ル基(-CO-)を表し、Qは水素原子(H)、芳香族炭化水素基、又は複素環基を表し、これらの環は水酸基、アルコキシ基、又はアミノ基により置換されていてもよい。ただし、式1においてR1がアルコキシ基であり、かつR2が水素原子であり、かつXがビニレン基(-CH=CH-)であり、かつYが-CO-NH-であるアミド基又は-CO-O-であるエステル基である場合を除く。)
【請求項2】
活性成分が、N-(β-フェネチル)-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミドで
あることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤。
【請求項3】
活性成分が、N-(3-フェニルプロピル)-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミドであることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤。
【請求項4】
活性成分が、N-(β-フェネチル)-3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロパンアミドであることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤。
【請求項5】
活性成分が、N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル-3-フェニル-2-プロペンア
ミドであることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤。
【請求項6】
活性成分が、N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル-2-フェニルアセトアミドであることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤。
【請求項7】
活性成分が、N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル-3-フェニルプロパンアミドであることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤。
【請求項8】
活性成分が、N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチルベンズアミドであることを
特徴とする、請求項1に記載の薬剤。
【請求項9】
活性成分が、N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-3-フェニル-2-プロペ
ンアミドであることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤。
【請求項10】
活性成分が、3-フェニル-2-プロペン酸3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-2-プロ
ペニルであることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤。
【請求項11】
活性成分が、N-(3-フェニルプロピル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミドであるこ
とを特徴とする、請求項1に記載の薬剤。
【請求項12】
活性成分が、N-(β-フェネチル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミドであることを
特徴とする、請求項1に記載の薬剤。
【請求項13】
活性成分が、N-ベンジル-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミドであることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤。
【請求項14】
活性成分が、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニル-2-プロペニルであることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤。
【請求項15】
活性成分が、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニルプロピルであることを特徴
とする、請求項1に記載の薬剤。
【請求項16】
活性成分が、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸β-フェネチルであることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤。
【請求項17】
活性成分が、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸n-ブチルであることを特徴とする、請
求項1に記載の薬剤。
【請求項18】
活性成分が、N-(3-フェニルプロピル)-4-ヒドロキシベンズアミドであることを特徴と
する、請求項1に記載の薬剤。
【請求項19】
活性成分が、N-(β-フェネチル)-4-ヒドロキシベンズアミドであることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤。
【請求項20】
活性成分が、N-ベンジル-4-ヒドロキシベンズアミドであることを特徴とする、請求項
1に記載の薬剤。
【請求項21】
活性成分が、N-(β-フェネチル)-3-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシフェニル)-2-プロペンアミドであることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤。
【請求項22】
活性成分が、N-(3-フェニルプロピル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロペンアミドであることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤。
【請求項23】
活性成分が、4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシ安息香酸3-フェニル-2-プロペニルであることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤。
【請求項24】
活性成分が、カプサイシンであることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤。
【請求項25】
活性成分が、N-バニリルノナンアミドであることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤。
【請求項26】
さらに、テオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つ以上を含有
することを特徴とする、請求項1〜25のいずれかに記載の薬剤。
【請求項27】
テオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンからなる、請求項1〜25のいずれかに記載の薬剤の活性増強剤。
【請求項28】
N-(3-フェニルプロピル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミド。
【請求項29】
4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニル-2-プロペニル。
【請求項30】
N-(β-フェネチル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミド。
【請求項31】
4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニルプロピル。
【請求項32】
請求項1に記載の一般式(1)で表される化合物を活性成分として含有することを特徴とする、2型糖尿病の予防又は治療剤。
【請求項33】
請求項1に記載の一般式(1)で表される化合物を活性成分として含有することを特徴とする、高血糖症の予防又は治療剤。
【請求項34】
請求項1に記載の一般式(1)で表される化合物を活性成分として含有することを特徴とする、高脂血症の予防又は治療剤。
【請求項35】
活性成分が、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸のエステルであることを特徴とする、
請求項32〜34のいずれかに記載の薬剤。
【請求項36】
活性成分が、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸と芳香核を有するアルコールとが結合
してなるエステルであることを特徴とする、請求項32〜34のいずれかに記載の薬剤。
【請求項37】
活性成分が、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニル-2-プロペニルであることを特徴とする、請求項32〜34のいずれかに記載の薬剤。
【請求項38】
活性成分が、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸のアミドであることを特徴とする、請
求項32〜34のいずれかに記載の薬剤。
【請求項39】
活性成分が、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸と芳香核を有するアミンとが結合して
なるアミドであることを特徴とする、請求項32〜34のいずれかに記載の薬剤。
【請求項40】
活性成分が、N-(3-フェニルプロピル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミドであることを特徴とする、請求項32〜34のいずれかに記載の薬剤。
【請求項41】
活性成分が、(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチルアミンと芳香核を有するカル
ボン酸とが結合してなるアミドであることを特徴とする、請求項32〜34のいずれかに記載の薬剤。
【請求項42】
活性成分が、N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル-3-フェニル-2-プロペンア
ミドであることを特徴とする、請求項32〜34のいずれかに記載の薬剤。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−273839(P2006−273839A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−218519(P2005−218519)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】