説明

アミノピラゾール誘導体、その製造方法、およびそれを含有する虚血性疾患の予防または治療用組成物

本発明は、アミノピラゾール誘導体、その製造方法、およびそれを含有する虚血性疾患の予防または治療用組成物に関する。本発明のアミノピラゾール誘導体は、虚血性細胞死を有意に減少させることができるため、虚血性細胞死に起因する虚血性疾患の予防および治療、または臓器の保護に効果的に活用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノピラゾール誘導体、その製造方法、およびそれを含有する虚血性疾患の予防または治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
虚血(ischemia)とは、血管の収縮または閉塞により誘発される身体器官、組織または部位への血液供給の減少状態をいう。虚血発生後には、血液の再かん流(reperfusion)が起こっても神経細胞が損傷して様々な後遺症が引き起こされる。このような虚血は、しばしば、冠動脈疾患、心臓血管疾患、狭心症、頭痛またはその他の血管症状に関与し、究極的には非可逆的な損傷、すなわち細胞および組織の壊死につながる。
【0003】
このような虚血/再かん流時の細胞損傷および機能低下により発生する心筋梗塞、不整脈、心不全などの虚血性疾患は、発病率および死亡率が高く、完治が難しいため、去る50年間集中的な基礎研究および臨床研究が行われてきた(文献[Wang, Q. D. et al., Cardiovasc. Res. 55:25-37, 2002]参照)。虚血/再かん流損傷は、様々な生理学的メカニズム、代謝や免疫反応およびイオン恒常性の変化、酸素遊離基の生成などに関与するので、免疫調節物質、細胞死滅関連物質、イオン通路調節物質などの多様な分野で研究が行われている(文献[Hearse, D. J. et al., Mol. Cell. Biochem. 186:177-184, 1998]参照)。このようなメカニズムの研究結果に基づき、新しい作用点による治療剤の開発および外科的施術の開発などが盛んに行われたが、虚血/再かん流から心筋細胞を保護することが可能な技術は未だ実用化されていない。したがって、虚血による心筋細胞損傷の進行を遅延させ且つ再かん流損傷を緩和させることができる、虚血性心臓疾患の予防及び治療用の薬剤または心臓保護剤の開発が求められている。
【0004】
また、虚血が血流の回復によってなくなる場合、活性酸素種(ROS)の生成が加速化されるが、これは一層著しいグルタチオン(glutathione)の減少を引き起こし、さらに深刻な疾患の発生をもたらすということが明らかになっている。このような疾患は各種器官、心臓、肝、肺、膵臓、血管などの移植時の血流の停止または回復の際に観察され、器官の切開および除去の際に問題になる。前記疾病を引き起こすものと推定される活性酸素および反応性自由ラジカルは、組織を構成する細胞質細胞および細胞小器官、特に細胞の主エネルギー源として寄与するATPを生産するミトコンドリアから検出されている。ミトコンドリアでは、呼吸鎖が前記反応性分子の主排出源であり、その濃度が虚血および再かん流の間に著しく上昇することが観察されている。
【0005】
虚血性疾患の場合、虚血によって細胞死滅または細胞壊死が誘発され、特に再かん流の後に発生する細胞死滅が組織損傷の主な原因となるので、虚血性細胞死が、脳虚血、心臓虚血、糖尿病性血管心臓疾患、心不全、心筋肥大症、網膜虚血、虚血性大腸炎および虚血性急性腎不全などを含む様々な虚血性疾患の発病原因となる。
【0006】
脳虚血の場合、血液供給の減少によってエネルギー源が枯渇して虚血性細胞死が誘発され、虚血性細胞死は細胞膜受容体を過剰に活性化させ、細胞の外部にはグルタミン酸が蓄積し、細胞の内部にはカルシウムが蓄積して脂質、タンパク質および核酸を損傷させるなどの様々な生化学的変化を伴い、結果として脳組織の損傷をもたらす(文献[ Liu, P. K., J. Biomed. Sci. 10:4-13, 2003; Lipton, P., Physiol. Rev. 79:1431-1568, 1999; and Renolleau, S. et al., Stroke 29:1454-1460, 1998]参照)。
【0007】
虚血性心臓疾患である心筋梗塞、不整脈および心不全の場合には、脂質酵素活性化によって細胞膜が損傷し、pHの変化およびカルシウムの移動が誘発されて虚血性細胞死が発生すると報告されている(文献[Ferrari, R. Rev. Port. Cardiol. 5:7-20, 2000; Webster, K. A. et al., J. Clin. Invest. 104:239-252, 1999; Katz, A. M. et al., J. Mol Cell. Cardiol. 2:11-20, 1985; and Vandeplassche, G. et al., Basic Res. Cardiol. 85:384-391, 1990]参照)。網膜虚血の場合には、グルタミン酸塩によって惹起される網膜細胞死滅が虚血性細胞死と連関していることが知られており(文献[Napper, G. A. et al., Vis. Neurosci. 16:149-158, 1999]参照)、大腸への不十分な血流供給によっても虚血性細胞死が起こり、細胞壊死による動脈の閉鎖損傷と、体液異常による虚血性疾患である虚血性大腸炎が発生する(文献[Saegesser, F. et al., Pathobiol. Annu. 9:303-337, 1979])。
【0008】
また、虚血性細胞死を抑制するテトラサイクリン系の抗生剤であるミノサイクリンが、脳梗塞(文献[Yrjanheikki, J. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:13496-13500, 1999]参照)、心筋梗塞(文献[Scarabelli, T. M. et al., J. Am. Coll. Cardiol. 43:865-874, 2004]参照)、および虚血性急性腎不全(文献[Wang, J. et al., J. Biol. Chem. 279:19948-19954, 2004]参照)などの虚血性疾患の治療にも効果的なので、虚血性細胞死が前記疾病の原因になることが分かる。
【0009】
また、虚血により誘発された神経細胞の損傷または死滅は、様々な神経系疾患、脳卒中、脳外傷、アルツハイマー病、パーキンソン病、新生児低酸素症、緑内障または糖尿性神経障害などの主原因であることが知られている[G. J. Zoppo et al., Drugs 54, 9 (1997); I. Sziraki et al., Neurosci. 85, 1101 (1998)]。
【0010】
そこで、本発明者らは、前述したような虚血性疾患に対して薬理効果を示す化合物を開発するために努力した結果、新規のアミノピラゾール誘導体が、虚血性細胞死を抑制することによって、虚血性細胞死が誘発する脳虚血、心臓虚血、糖尿病性血管心臓疾患、心不全、心筋肥大症、網膜虚血、虚血性大腸炎、虚血性急性腎不全、脳卒中、脳外傷、アルツハイマー病、パーキンソン病、新生児低酸素症、緑内障および糖尿性神経障害などの虚血性疾患の予防および治療剤、または臓器保護剤として使用できることを確認し、本発明を完成するに至った。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Wang, Q. D. et al., Cardiovasc. Res. 55:25-37, 2002
【非特許文献2】Hearse, D. J. et al., Mol. Cell. Biochem. 186:177-184, 1998
【非特許文献3】Liu, P. K., J. Biomed. Sci. 10:4-13, 2003
【非特許文献4】Lipton, P., Physiol. Rev. 79:1431-1568, 1999
【非特許文献5】Renolleau, S. et al., Stroke 29:1454-1460, 1998
【非特許文献6】Ferrari, R. Rev. Port. Cardiol. 5:7-20, 2000
【非特許文献7】Webster, K. A. et al., J. Clin. Invest. 104:239-252, 1999
【非特許文献8】Katz, A. M. et al., J. Mol Cell. Cardiol. 2:11-20, 1985
【非特許文献9】Vandeplassche, G. et al., Basic Res. Cardiol. 85:384-391, 1990
【非特許文献10】Napper, G. A. et al., Vis. Neurosci. 16:149-158, 1999
【非特許文献11】Saegesser, F. et al., Pathobiol. Annu. 9:303-337, 1979
【非特許文献12】Yrjanheikki, J. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:13496-13500, 1999
【非特許文献13】Scarabelli, T. M. et al., J. Am. Coll. Cardiol. 43:865-874, 2004
【非特許文献14】Wang, J. et al., J. Biol. Chem. 279:19948-19954, 2004
【非特許文献15】G. J. Zoppo et al., Drugs 54, 9 (1997)
【非特許文献16】I. Sziraki et al., Neurosci. 85, 1101 (1998)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、虚血性疾患の予防及び治療に有効な新規のアミノピラゾール誘導体およびその製造方法を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、前記アミノピラゾール誘導体を含有する虚血性疾患の予防および治療用組成物を提供することにある。
【0014】
本発明の別の目的は、前記アミノピラゾール誘導体を有効成分として含有する臓器保護用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的に従って、本発明は、式(I)で表わされるアミノピラゾール誘導体、およびその薬学的に許容される塩を提供する:
【化1】

【0016】
前記式中、Rは、−CO、−CHOR、−CONRまたは
【化2】

【0017】

(ここで、RとRはそれぞれ独立にH、またはC〜Cの直鎖、側鎖または環状アルキル)であり;
は、−(CHAr、またはC〜Cの直鎖、側鎖または環状アルキル(ここで、mは1〜3の整数であり、Arはフェニル、C〜Cアルキルまたはハロゲンで置換されたフェニル)であり;
Bは、H、フェニル、C〜Cアルキルまたはハロゲンで置換されたフェニルであり;
nは、0〜2の整数であり;
Yは、S、O、C、SO、SOまたはNR(ここで、RとRはそれぞれ独立にH、またはC〜Cの直鎖、側鎖または環状アルキル)であり;
Zは、H、ハロゲン、OCH、NO、NH、またはC〜Cの直鎖、側鎖または環状アルキルであり;
Aは、CHまたはNである。
【0018】
前記他の目的に従って、本発明は、前記アミノピラゾール誘導体の製造方法を提供する。
【0019】
前記別の目的に従って、本発明は、前記アミノピラゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩を含有する虚血性疾患の予防または治療用組成物を提供する。
【0020】
前記別の目的に従って、本発明は、前記アミノピラゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩を含有する臓器保護用組成物を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明のアミノピラゾール誘導体は、虚血性細胞死を大きく減少させることができる。よって、本発明の化合物およびこれを有効成分として含有する組成物は、虚血性細胞死に起因する、例えば脳虚血、心臓虚血、糖尿病性血管心臓疾患、心不全、心筋肥大症、網膜虚血、虚血性大腸炎、虚血性急性腎不全症、脳卒中、脳外傷、アルツハイマー病、パーキンソン病、新生児低酸素症、緑内障および糖尿性神経障害などの虚血性疾患の予防及び治療剤、または臓器保護剤として有用に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のアミノピラゾール誘導体による低酸素誘導虚血性細胞死の抑制作用を細胞死滅の度合いによって測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、アミノピラゾール誘導体、その製造方法、およびそれを含有する虚血性疾患の予防または治療用組成物に関する。
【0024】
前記式(I)において、好ましくは、
は、−CO、−CHOR、−CONRまたは
【化3】

【0025】

(RとRはそれぞれ独立にH、メチルまたはエチル)であり;
は、−(CHAr(mは1〜3の整数、Arはフェニル、C〜Cアルキルまたはハロゲンで置換されたフェニル)であり;
Bは、H、フェニル、C〜Cアルキルまたはハロゲンで置換されたフェニルであり;
nは、0または1であり;
Yは、S、O、C、SO、SOまたはNR(RとRはそれぞれ独立にH、またはC〜Cの直鎖、側鎖または環状アルキルである)であり;
Zは、H、ハロゲン、OCH、NO、NH、またはC〜Cの直鎖または側鎖アルキルであり;
Aは、CHまたはNである。
【0026】
本発明のアミノピラゾール誘導体は、その薬学的に許容される塩だけでなく、これらから製造できる溶媒和物、水和物および立体異性体を全て含む。
【0027】
本発明のアミノピラゾール誘導体の薬学的に許容される塩としては、薬学的に許容可能な遊離酸によって形成された酸付加塩を例示することができる。前記遊離酸としては有機酸または無機酸を使用することができる。有機酸としてはマレイン酸、フマル酸、グルコン酸、メタンスルホン酸、酢酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、4−トルエンスルホン酸、ガラクツロン酸、エンボン酸、グルタミン酸、クエン酸、アスパラギン酸などを使用することができ、無機酸としては塩酸、臭化水素酸、硫酸、亜硫酸、リン酸などを使用することができ、好ましくはメタンスルホン酸、塩酸を使用することができる。
【0028】
本発明に係る酸付加塩は、通常の方法、例えば前記式(I)のアミノピラゾール誘導体をアセトン、メタノール、エタノール、アセトニトリルなどの水混和性有機溶媒に溶かした後、過量の有機酸または無機酸水溶液を加えて塩を沈殿または結晶化させ、この反応混合物から溶媒または過量の酸を蒸発させた後、乾燥させ、あるいは析出された塩を吸引ろ過することにより、製造することができる。
【0029】
本発明に係るさらに好ましいアミノピラゾール誘導体の例は、次のとおりであり、これに対するそれぞれの構造式が表1に示されている:
1)4−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
2)4−[2−(フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
3)4−[2−(3−メトキシ−フェニルスルファニル)アエチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
4)4−[2−(4−ニトロ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
5)4−[2−(2−アミノ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
6)4−[2−(4−メチル−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
7)4−[2−(4−フルオロ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
8)4−[2−(2−ピリジルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
9)4−[2−(2−ピリジルスルフィニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
10)4−[2−(2−ピリジルスルホニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
11)4−[2−(3,4−ジメチル−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
12)4−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−ベンジル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
13)4−[2−フェニルスルファニルアセチルアミノ]−1−ベンジル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
14)4−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
15)4−[2−フェニルスルファニルアセチルアミノ]−1−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
16)4−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−2−フェネチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
17)4−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
18)4−[3−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
19)5−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチル;
20)4−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)−2−フェニル−アセチルアミノ]−1−フェンチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
21)5−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
22)1−メチル−5−(2−フェニルスルファニルアセチルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
23)4−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸;
24)2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)−N−[3−(4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イル)−1−フェネチル−1H−ピラゾール−4−イル]−アセトアミド;
25)4−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸アミド;
26)2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)−N−(3−ヒドロキシメチル−1−フェネチル−1H−ピラゾール−4−イル)−アセトアミド;
27)4−[3−フェニル−プロピオニルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
28)4−[2−(4−ブロモ−フェノキシ)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
29)4−[2−(4−ブロモ−フェニルアミノ)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;および
30)2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)−N−(3−メトキシメチル−1−フェネチル−1H−ピラゾール−4−イル)−アセトアミド。
【表1a】

【表1b】

【0030】
また、本発明は、前記式(I)のアミノピラゾール誘導体の製造方法を提供する。
【0031】
本発明に係る式(I)で表わされるアミノピラゾール誘導体は、次式(II)のアミノピラゾール誘導体を次式(III)の化合物と反応させることにより製造することができる。
【化4】

【化5】

【化6】

【0032】
前記式中、R、R、B、n、Y、ZおよびAは前記式(I)で定義したとおりであり、Lは離脱基である。
【0033】
前記式(I)において、Rがエステルの場合、離脱基Lを有する式(IIa)の化合物と式(III)の化合物の親核性置換反応によって式(Ia)のアミノピラゾール誘導体を製造することができる。
【化7】

【化8】

【化9】

【0034】
前記式中、R、Z、n、AおよびBは式(I)で定義したとおりであり、YはS、OまたはNRであり、RはH、またはC〜Cの直鎖アルキルであり、Lは離脱基であって、ハライド基、メシラート基またはトシレート基である。
【0035】
これらの反応において、塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウンデ−7−セン(DBU)などの有機塩基、またはNaOH、NaCO、KCO、CsCOなどの無機塩基を当量または過量で使用することができる。
【0036】
反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド(DMF)、およびジメチルスルホキシドなどを単独でまたは混合して使用することができる。反応温度は0℃から溶媒の沸点までである。
【0037】
一方、反応式1で表わされるように、式(V)のニトロ−ピラゾール−カルボン酸アルキルを出発物質としてアルキル化反応、還元反応およびアミド形成反応を経て式(IIaa)の化合物(前記式(IIa)の化合物において、LがBrの場合)を製造することができる。この際、式(V)のニトロ−ピラゾール−カルボン酸アルキルは、商業的に市販されるものを使用し、あるは公知の方法によって製造して使用することができる。
【0038】
<反応式1>
【化10】

【0039】
式中、R、R、nおよびBは前記式Iaで定義したとおりであり、DはOH、BrまたはClであり、Xはハロゲンである。
【0040】
前記反応式1のアルキル化反応では、アルキル、フェネチルまたはベンジル、およびハロゲンを有する化合物RXを、塩基存在の下に式(V)のニトロ−ピラゾール−カルボン酸アルキルと反応させ、式(VI)の化合物を製造することができる。この際、塩基としては、水素化ナトリウム、カリウムt−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、KCO、NaOAc、KOAc、NaOH、KOH、Na2CO、BaCO、CsCOなどの無機塩基を当量または過量で使用することができ、反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル系溶媒、DMF、およびジメチルスルホキシドなどを単独でまたは混合して使用することができる。反応温度は0℃から溶媒の沸点までである。
【0041】
前記反応式1の還元反応では、式(VI)の化合物をパラジウム触媒(Pd/C)またはラネー(Raney)ニッケル触媒存在の下に水素ガスを用いて水素化反応させるか、あるいはヒドラジン水和物とラネーニッケル、SnCl・HCl、Fe・HClなどをメタノールなどのアルコール系溶媒で反応させることによって、式(VII)の化合物を製造することができる。この際、還元剤を当量または過量で使用することができ、反応温度は常温から溶媒の沸点までである。
【0042】
前記反応式1のアミド形成反応では、Dがブロミド基(Br)またはクロライド基(Cl)の場合、塩基存在の下に前記式(VII)の化合物から式(IIaa)のアミド化合物を製造することができる。この際、使用する塩基と反応条件は、前記式(Ia)の化合物製造時の置換反応と同様である。Dがヒドロキシ基の場合は、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDC)、1,1−カルボニルジイミダゾール(CDI)などの縮合剤を用いて式(IIaa)のアミド化合物を製造することができる。この際、反応溶媒はジクロロメタンやクロロホルム、テトラヒドロフラン、DMFなどを使用することができ、反応温度は常温から溶媒の沸点までである。
【0043】
一方、前記式(Ia)のアミノピラゾール誘導体のうち、nが1の場合は下記の方法によっても製造することができる。すなわち、二重結合を有する式(IV)の化合物を当量または過量の式(III)の化合物と1,4−付加反応させることによって、式(Iaa)のアミノピラゾール誘導体を得ることができる。この際、使用する塩基と反応条件は前記式(Ia)の化合物の製造時に使用したのと同様である。
【化11】

【化12】

【化13】

【0044】
前記式中、R、R、Y、Z、AおよびBは前記式(Ia)で定義したとおりである。
【0045】
前記式(IV)の化合物は、式(IIa)(nが1の場合)の化合物を当量または過量の塩基と反応させて離脱基Lを除去して製造するか、あるいは前記反応式1で式(VII)の化合物とアクリロイルハライドとをアミド形成反応させて製造することができる。
【0046】
また、反応式2に示すように、前記式(Ia)のアミノピラゾール誘導体からエステル基の変形によって下記の多様なアミノピラゾール誘導体を製造することができる。
【0047】
<反応式2>
【化14】

【0048】
前記式中、R、R、Y、Z、AおよびBは前記式(Ia)で定義したとおりであり、RはC〜Cの直鎖または側鎖アルキル基であり、Xはハロゲンである。
【0049】
前記反応式2に示すように、式(Ia)のアミノピラゾール誘導体のエステル基を塩基と反応させて加水分解させると、式(Ib)のカルボン酸誘導体を製造することができる。この際、溶媒はメタノールなどのアルコール系溶媒、またはテトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒を単独でまたは混合して使用することができ、塩基としては水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを1〜5当量の量で使用することができ、反応温度は0℃から溶媒の沸騰点までである。
【0050】
また、前記反応式2に示すように、式(Ia)のアミノピラゾール誘導体のエステル基をアルコール基に還元反応させた後、このアルコール化合物を、C〜Cの直鎖または側鎖アルコール基を有するハロゲン化合物と反応させ、式(Ic)のアミノピラゾール誘導体を製造することができる。前記還元反応において、メタノールなどのアルコール系溶媒中で水素化ホウ素ナトリウム、またはテトラヒドロフラン溶媒中で水素化ホウ素リチウムと反応させてアルコール誘導体を得ることができる。このような還元剤は当量または過量で使用することができ、反応温度は0℃から溶媒の沸点までである。
【0051】
前記アルキル化反応において、塩基としては、水素化ナトリウム、カリウムt−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、KCO、NaOAc、KOAc、NaOH、KOH、Na2CO、BaCO、CsCOなどの無機塩基を当量または過量で使用することができる。反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル系溶媒、DMF、およびジメチルスルホキシドなどを単独でまたは混合して使用することができる。反応温度は0℃から溶媒の沸点までである。
【0052】
前記反応式2のアミド形成反応では、式(Ib)のカルボン酸誘導体をDCC、DIC、EDC、CDIなどの縮合剤と反応させた後、2−クロロエチルアミン塩酸塩と過量の塩基下に反応させて式(Id)のアミノピラゾール誘導体を製造することができる。また、式(Ib)の化合物を過量のアンモニア水と反応させて、式(Ie)のアミノピラゾール誘導体を製造することができる。反応溶媒は、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル系溶媒、DMF、およびジメチルスルホキシドなどを単独であるいは混合して使用することができる。塩基は当量または過量で使用することができ、反応温度は0℃から沸点までである。
【0053】
また、前記反応式2において、式(Id)のアミノピラゾール誘導体を塩基存在の下にオキサゾリジンヘテロ環形成反応させて式(If)のアミノピラゾール誘導体を製造することができる。この際、DBUを塩基として使用することができ、溶媒としてはテトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエンなどを使用することができる。反応温度は常温から溶媒の沸点までである。
【0054】
一方、本発明は、アミノピラゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、虚血性疾患の予防または治療用組成物および臓器保護用組成物を提供する。
【0055】
本発明に係るアミノピラゾール誘導体およびその薬学的に許容される塩、並びにそれを含む薬学的組成物は、経口または非経口で投与可能であり、製剤化する場合には充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を用いて製造することができる。
【0056】
経口投与のための固形製剤は、本発明に係る少なくとも一つのアミノピラゾール誘導体に少なくとも一つの賦形剤、例えば澱粉、カルボン酸ナトリウム、スクロース、ラクトースまたはゼラチンなどを混合して製造することができる。この他にも、例えばステアリン酸マグネシウム、タルクなどの潤滑剤を使用することもできる。
【0057】
経口投与のための液状製剤には、懸濁剤、内溶液剤、乳剤またはシロップ剤などが含まれるが、一般に使用される単純希釈剤である水、液状パラフィン以外に様々な賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などを使用することができる。
【0058】
非経口投与のための製剤には、滅菌した水溶液、非水性溶剤、懸濁溶剤、乳剤、凍結乾燥製剤、および坐剤が含まれる。前記非水性溶剤または懸濁溶剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの注射可能な植物性油、オレイン酸エチルなどのエステルなどを使用することができる。前記坐剤の基本材料としてはハードファット(witepsol)、マクロゴール、トゥイーン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロール、ゼラチンなどを使用することができる。
【0059】
また、本発明のアミノピラゾール誘導体およびその薬学的に許容される塩、並びにそれを含む薬学的組成物の人体に対する投与量は、患者の年齢、体重、性別、投与形態、健康状態および疾患の度合によって異なり、体重70kgの成人患者を基準とするとき、一般には0.1〜1000mg/日、好ましくは1〜500mg/日であり、一定の時間間隔で1日1回〜数回で分割投与することもできる。
【実施例】
【0060】
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。これらの実施例は本発明を例示するもので、本発明の内容を限定するものではない。
【0061】
本発明では、赤外線分光法、核磁気共鳴スペクトル、質量分光法、液体クロマトグラフィー法、X線構造結晶法、旋光度測定法、または代表的な化合物の元素分析計算値と実測値の比較によって化合物の分子構造を確認した。
【0062】
製造例1:4−ニトロ−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル
4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル430mg(2.5mM)をN,N−ジメチルホルムアミド4mLに溶かし、(2−ブロモエチル)ベンゼン0.41mL(3mM)と炭酸セシウム1.6g(5.0mM)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で1日間攪拌した。溶媒を減圧蒸留して除去し、酢酸エチルと塩水で抽出した後、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、しかる後に、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製することにより、506mg(65.5%)の目的化合物と218mg(31.2%)の製造例10の化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.20(t, J = 7.0 Hz, 2H), 3.99(s, 3H), 4.39(t, J = 7.0 Hz, 2H), 7.03-7.08(m, 2H), 7.21-7.35(m, 3H), 7.78(s, 1H)。
【0063】
製造例2:4−アミノ−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル
製造例1で得た化合物27.9g(101.1mM)をメタノール150mLに溶かし、10%パラジウム/チャコール2.8gを添加した後、40気圧の水素加圧下で30分間攪拌した。反応が終結した後、反応液をセライトでろ過し、減圧蒸留して23.3g(94.2%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, DMSO) δ 2.92(t, 2H), 3.68(s, 3H), 4.16 (t, 2H), 6.99-7.16(m, 6H)。
【0064】
製造例3:4−(2−ブロモアセチルアミノ)−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル
製造例2で得た化合物23.3g(95.1mM)をテトラヒドロフラン150mLに溶かし、臭化ブロムアセチル9.1mL(114.0mM、1.2eq)とトリエチルアミン20.0mL(142.7mM、1.5eq)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で1日間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製して28.2g(81.3%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.17(t, 2H), 4.01(s, 5H), 4.36(t, 2H), 7.12(d, 2H), 7.15(m, 3H), 8.10(s, 1H), 9.95(br, NH)
Mass : 366(M+)。
【0065】
製造例4:4−ニトロ−1−ベンジル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル
4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル82mg(0.48mM)をN,N−ジメチルホルムアミド2mLに溶かし、(2−ブロモメチル)ベンゼン63μL(0.53mM)と炭酸セシウム313mg(0.96mM)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で30分間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=6:1)で精製して81mg(65%)の目的化合物と20mg(17%)の2−ベンジル化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 4.00(s, 3H), 5.34 (s, 2H), 7.30(m, 2H), 7.41(m, 3H), 8.00(s, 1H)
Mass : 261(M+)。
【0066】
製造例5:4−アミノ−1−ベンジル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル
製造例4で得た化合物335mg(1.28mM)をメタノール5mLに溶かし、ラネーニッケルを添加した後、30気圧の水素加圧下で2時間30分間攪拌した。反応が終結した後、反応液をセライトでろ過し、減圧蒸留して294mg(99%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.85(s, 3H), 5.21(s, 2H), 7.15(s, 3H), 7.26(s, 3H)。
【0067】
製造例6:4−(2−ブロモアセチルアミノ)−1−ベンジル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル
製造例5で得た化合物130mg(0.56mM)をテトラヒドロフラン3mLに溶かし、臭化ブロムアセチル59μL(0.67mM)とトリエチルアミン0.12mL(0.84mM)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で30分間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して140mg(71%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 4.00(s, 5H), 5.30 (s, 2H), 7.25(m, 2H), 7.32(m, 3H), 8.17(s, 1H), 9.97(br, NH)
Mass : 351(Br79+), 353(Br81)。
【0068】
製造例7:4−ニトロ−1−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル
4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル340mg(1.99mM)をN,N−ジメチルホルムアミド4mLに溶かし、ヨウ化メタン0.33mL(2.19mM)と炭酸セシウム1.3g(3.98mM)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で30分間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して195mg(53%)の目的化合物と110mg(30%)の製造例13の化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 4.00(s, 3H), 4.02(s, 3H), 8.15(s, 1H)
Mass : 185(M+)。
【0069】
製造例8:4−アミノ−1−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル
製造例7で得た化合物240mg(1.30mM)をメタノール5mLに溶かし、10%パラジウム/チャコール24mgを添加した後、40気圧の水素加圧下で30分間攪拌した。反応が終結した後、反応液をセライトでろ過し、減圧蒸留して191mg(95%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.86(s, 3H), 3.92(s, 3H), 6.91(s, 1H)
Mass : 155(M+)。
【0070】
製造例9:4−(2−ブロモアセチルアミノ)−1−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル
製造例8で得た化合物160mg(1.03mM)をテトラヒドロフラン3mLに溶かし、臭化ブロムアセチル0.11mL(1.24mM)とトリエチルアミン0.22mL(1.55mM)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で1日間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、有機溶媒を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製して100mg(69%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.79(s, 3H), 3.99(s, 3H), 4.03(s, 2H), 8.20(s, 1H), 9.95(br, NH)
Mass : 275(Br79+), 277(Br81)。
【0071】
製造例10:4−ニトロ−2−フェネチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル
4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル430mg(2.5mM)をN,N−ジメチルホルムアミド4mLに溶かし、(2−ブロモエチル)ベンゼン0.41mL(3mM)と炭酸セシウム1.6g(5.0mM)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で1日間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製して218mg(31.2%)の目的化合物と506mg(65.5%)の製造例1の化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.13(t, J = 7.1 Hz, 2H), 3.82(s, 3H), 4.52(t, J = 7.1 Hz, 2H), 7.00-7.05(m, 2H), 7.22-7.64(m, 3H), 8.05(s, 1H)。
【0072】
製造例11:4−アミノ−2−フェネチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル
製造例10で得た化合物51mg(0.19mM)をメタノール1mLに溶かし、10%パラジウム/チャコール5mgを添加した後、40気圧の水素加圧下で5時間攪拌した。反応が終結した後、反応液をセライトでろ過し、減圧蒸留して36mg(80.0%)の目的化合物を得た。
【0073】
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.05 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 3.89(s, 3H), 4.10(brs, 2H), 4.61(t, J = 6.9 Hz, 2H), 7.10(s, 1H), 7.18-7.31(m, 5H)。
【0074】
製造例12:4−(2−ブロモアセチルアミノ)−2−フェネチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル
製造例11で得た化合物82mg(0.3mM)をテトラヒドロフラン1mLに溶かし、臭化ブロムアセチル0.04mL(0.4mM、1.2eq)とトリエチルアミン0.07mL(0.5mM、1.5eq)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で5時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製して88mg(73.3%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.09 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 3.95(s, 3H), 4.04(s, 2H), 4.72(t, J = 7.2 Hz, 2H), 7.13-7.31(m, 5H), 8.31(s, 1H), 9.74(brs, 1H)。
【0075】
製造例13:4−ニトロ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル
4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル340mg(1.99mM)をN,N−ジメチルホルムアミド4mLに溶かし、ヨウ化メタン0.33mL(2.19mM)と炭酸セシウム1.3g(3.98mM)を滴下した後、反応混合物を窒素雰囲気下で30分間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して110mg(30%)の目的化合物と195mg(53%)の製造例7の化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 4.03(s, 3H), 4.04(s, 3H), 8.03(s, 1H)。
【0076】
製造例14:4−アミノ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル
製造例13で得た化合物127mg(0.69mM)をメタノール3mLに溶かし、10%パラジウム/チャコール13mgを添加した後、40気圧の水素加圧下で2時間攪拌した。反応が終結した後、反応液をセライトでろ過し、減圧蒸留して43mg(41%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.92(s, 3H), 4.04(s, 3H), 4.09(br, NH2), 7.08(s, 1H)
Mass : 155(M+)。
【0077】
製造例15:4−(2−ブロモアセチルアミノ)−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル
製造例14で得た化合物42mg(0.27mM)をテトラヒドロフラン1mLに溶かし、臭化ブロムアセチル28μL(0.32mM)とトリエチルアミン57μL(0.41mM)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で1時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して36mg(85%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 4.03(s, 3H), 4.11(s, 3H), 4.05(s, 2H), 8.37(s, 1H), 10.01(br, NH)。
【0078】
製造例16:4−(3−ブロモプロピオニルアミノ)−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル
3−ブロモプロピオン酸をテトラヒドロフラン50mLに溶かし、ジイソプロピルカルボジイミド1.64mL(10.6mM)を加えた後、30分間攪拌した。次いで、製造例2で得た化合物1.3g(5.3mM)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で3時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製して1.95g(96%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.03(t, 2H), 3.70(t, 2H), 3.98(s, 3H), 4.39(t, 2H), 7.15(d, 2H), 7.21-7.32(m, 3H), 8.16(s, 1H), 9.09(br, NH)。
【0079】
製造例17:4−アクリロイルアミノ−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル
製造例16で得た化合物1.95g(5.13mM)をジクロロメタン15mLに溶かし、トリエチルアミン1.08mL(12.82mL、2.5eq)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で5時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留して1.12g(72%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.22(t, 2H), 3.99(s, 3H), 4.40(t, 2H), 5.80(t, 1H), 6.23-6.43(m, 2H), 7.15(d, 2H), 7.20-7.32(m, 3H), 8.20(s, 1H), 9.14(br, NH)。
【0080】
製造例18:5−アミノ−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチル
3−アミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチル200mg(1.3mM)をN,N−ジメチルホルムアミド3mLに溶かし、2−ブロモエチルベンゼン0.21mL(1.6mM、1.2eq)と炭酸セシウム840mg(2.6mM,2.0eq)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で1日間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製して117mg(35.0%)の目的化合物を得た。
【0081】
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 1.30(t, J = 6.9 Hz, 3H), 3.14(t, J = 7.2 Hz, 2H), 4.10(t, J = 6.9 Hz, 2H), 4.23(t, J = 7.2 Hz, 2H), 4.64(brs, 2H), 7.08-7.11(m, 2H), 7.21-7.32(m, 3H), 7.38(s, 1H)。
【0082】
製造例19:5−(2−ブロモ−3−アセチルアミノ)−1−フェネチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチル
製造例18で得た化合物80mg(0.3mM)をテトラヒドロフラン2mLに溶かし、臭化ブロムアセチル0.03mL(0.4mM、1.3eq)とトリエチルアミン0.06mL(0.4mM、1.3eq)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で2時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製して110mg(94.0%)の目的化合物を得た。
【0083】
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 1.28-1.36(m, 3H), 3.19 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 4.07(s, 2H), 4.25-4.36(m, 4H), 7.09(d, J = 6.6 Hz, 2H), 7.21-7.32(m, 3H), 7.50(s, 1H), 10.12(brs, 1H)。
【0084】
製造例20:4−(2−ブロモ−2−フェニル−アセチルアミノ)−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル
2−ブロモフェニル酢酸264mg(1.23mM)をジクロロメタン4mLに溶かし、ジイソプロピルカルボジイミド0.19mL(1.23mM)を加えた後、30分間攪拌した。次いで、製造例2で得た化合物200mg(0.82mM)を添加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で1時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して280mg(77%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.15(t, 2H), 4.00(s, 3H), 4.34(t, 2H), 5.54(s, 1H), 7.12(d, 2H), 7.23-7.31(m, 3H), 7.35(m, 3H), 7.50(dd, 2H), 8.12(s, 1H), 10.08(s, NH)
Mass (m/e, M+) : 441, 443。
【0085】
製造例21:1−メチル−5−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル
5−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル500mg(2.93mM)をN,N−ジメチルホルムアミド5mLに溶かし、炭酸カリウム810mg(5.86mM、eq)を添加した後、0℃でヨウ化メタン0.49mL(3.22mM)を滴加し、しかる後に、反応混合物を窒素雰囲気下で1時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製して314mg(56%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 7.40(s, 1H, ArH), 4.29(s, 3H, OCH3), 3.96(s, 3H, N-CH3)
Mass (m/e, M+) : 185。
【0086】
製造例22:5−アミノ−1−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル
製造例21で得た化合物136mg(0.74mM)をメタノール2mLに溶解させ、10%パラジウム/チャコール14mgを添加した後、50気圧の水素加圧下で1時間攪拌した。反応が終結した後、反応液をセライトでろ過し、減圧蒸留して94mg(82%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 6.12(s, 1H, ArH), 3.99(s, 3H, OCH3), 3.84(s, 3H, N-CH3), 3.72(brs, 2H, NH2)。
【0087】
製造例23:5−(2−ブロモ−アセチルアミノ)−1−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル
製造例22で得た化合物200mg(1.29mM)をテトラヒドロフラン3mLに溶かし、臭化ブロムアセチル0.13mL(1.55mM)とトリエチルアミン0.27mL(1.94mM)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で30分間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製して349mg(98%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 8.67(brs, 1H, N-H), 7.22(s, 1H, ArH), 4.10(s, 3H, OCH3), 4.02(s, 2H, COCH2), 3.89(s, 3H, N-CH3)。
【0088】
製造例24:4−ニトロ−3−ヒドロキシメチル−1−フェネチル−1H−ピラゾール
4−ニトロ−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル495mg(1.8mM)をメチルアルコール5mLに溶かし、水素化ホウ素ナトリウム680mg(18mM、13eq)を0℃で添加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で1時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して295mg(66.4%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 2.89(brs, 1H), 3.19(t, J = 7.8 Hz, 2H), 4.33(t, J = 7.8 Hz, 2H), 4.92(s, 2H), 7.06-7.09(m, 2H), 7.28-7.34(m, 3H), 7.84(s, 1H)。
【0089】
製造例25:4−ニトロ−3−メトキシメチル−1−フェネチル−1H−ピラゾール
製造例24で得た化合物1.3g(5.3mM)をN,N−ジメチルホルムアミド10mLに溶かし、水素化ナトリウム253mg(6.3mM、1.2eq)とヨウ化メタン0.43mL(6.9mM、1.5eq)を0℃で滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で室温で1時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製して780mg(56.9%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.19(t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.52(s, 3H), 4.36(t, J = 7.8 Hz, 2H), 4.81(s, 2H), 7.07(dd, J = 7.8, 1.8 Hz, 2H), 7.25-7.33(m, 3H), 7.84(s, 1H)。
【0090】
製造例26:4−ニトロ−3−メトキシメチル−1−フェネチル−1H−ピラゾール
製造例25で得た化合物680mg(2.6mM)をメチルアルコール7mLに溶かし、酢酸銅7.23mL(2.6mM、1eq)と水素化ホウ素ナトリウム1180mg(31.3mM、12eq)を0℃で滴加した後、反応混合物を酸素雰囲気下で10分間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=1:2)で精製して456mg(75.9%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 2.89(brs, 2H), 3.11(t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.37(s, 3H), 4.17(t, J = 7.8 Hz, 2H), 4.50(s, 2H), 6.79(s, 1H), 7.10(dd, J = 7.8, 1.3 Hz, 2H), 7.18-7.30(m, 3H)。
【0091】
製造例27:4−(2−ブロモ−アセチルアミノ)−3−メトキシメチル−1−フェネチル−1H−ピラゾール
製造例26で得た化合物40mg(0.17mM)をテトラヒドロフラン2mLに溶かし、臭化ブロムアセチル0.02mL(0.23mM、1.3eq)とトリエチルアミン0.04mL(0.26mM、1.5eq)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で2時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製して52mg(86.7%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.13(t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.47(s, 3H), 3.99(s, 2H), 4.25(t, J = 7.8 Hz, 2H), 4.68(s, 2H), 7.13(d, J = 7.0 Hz, 2H), 7.19-7.31(m, 3H), 7.96(s, 1H), 9.07(brs, 1H)。
【0092】
実施例1:4−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルの製造
製造例3で得た化合物1.67g(4.56mM)をテトラヒドロフラン20mLに溶かし、4−ブロモベンゼンチオール1.03g(5.47mM)とトリエチルアミン0.82mL(5.93mM)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で1時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製して2.04g(94%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.18(t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.74(s, 2H), 3.99(s, 3H), 4.36(t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.12-7.15(m, 2H), 7.24-7.31(m, 5H), 7.39-7.43(m, 2H), 8.10(s, 1H), 10.14(brs, 1H)
Mass (m/e, M+) : 475, 473。
【0093】
実施例2:4−[2−(フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルの製造
製造例3で得た化合物1.0g(2.73mM)をテトラヒドロフラン10mLに溶かし、ベンゼンチオール0.34mL(3.28mM)とトリエチルアミン0.49mL(3.28mM)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で1日間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して971mg(90%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.15(t, 2H), 3.73(s, 2H), 3.98(s, 3H), 4.32(t, 2H), 7.12(d, 2H), 7.19(m, 6H), 7.39(d, 2H), 8.12(s, 1H), 10.23(br, NH)
Mass (m/e, M+) : 395。
【0094】
実施例3:4−[2−(3−メトキシ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルの製造
製造例3で得た化合物80mg(0.2mM)をテトラヒドロフラン2mLに溶かし、3−メトキシベンゼンチオール0.04mL(0.3mM、1.5eq)とトリエチルアミン0.05mL(0.3mM、1.5eq)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で30分間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して90mg(97.8%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.17(t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.75-3.76(m, 5H), 3.96(s, 3H), 3.99(s, 2H), 4.34(t, J = 7.8 Hz, 2H), 6.74(dt, J = 8.4, 1.2 Hz, 1H), 6.97(d, J = 6.6 Hz 2H), 7.11-7.25(m, 6H), 8.12(s, 1H), 10.21(brs, 1H)
Mass (m/e, M+) : 425, 394, 375, 321。
【0095】
実施例4:4−[2−(4−ニトロ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルの製造
製造例3で得た化合物148mg(0.4mM)をテトラヒドロフラン3mLに溶かし、4−ニトロチオフェノール87mg(0.6mM、1.5eq)とトリエチルアミン0.08mL(0.6mM、1.5eq)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で30分間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して51mg(26.4%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.17(t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.88(s, 3H), 3.95(s, 2H), 4.36(t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.12(d, J = 6.6 Hz, 2H), 7.23-7.28(m, 3H), 7.43-7.46(m, 2H), 8.09-8.16(m, 3H), 10.02(brs, 1H)
Mass (m/e, M+) : 440, 410, 366, 336, 317。
【0096】
実施例5:4−[2−(2−アミノ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルの製造
製造例3で得た化合物163mg(0.45mM)をテトラヒドロフラン4mLに溶かし、2−アミノチオフェノール0.07mL(0.6mM、1.5eq)とトリエチルアミン0.08mL(0.6mM、1.5eq)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で15分間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して168mg(92.3%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.18(t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.60(s, 2H), 4.00(s, 3H), 4.32-4.38(m, 4H), 6.61-6.71(m, 2H), 7.08-7.14(m, 3H), 7.25-7.29(m, 3H), 7.44(dd, J = 7.5, 1.2 Hz, 1H), 8.10(s, 1H), 9.96(brs, 1H)
Mass (m/e, M+) : 410, 377, 335, 245
実施例6:4−[2−(4−メチル−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルの製造
製造例3で得た化合物80mg(0.2mM)をテトラヒドロフラン2mLに溶かし、4−メチルベンゼンチオール38mg(0.3mM、1.5eq)とトリエチルアミン0.05mL(0.3mM、1.5eq)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で30分間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して87mg(97.8%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.17(t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.71(s, 2H), 4.00(s, 3H), 4.34(t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.08-7.14(m, 4H), 7.23-7.34(m, 5H), 8.12(s, 1H), 10.24(brs, 1H)
Mass (m/e, M+) : 409, 378, 335, 272。
【0097】
実施例7:4−[2−(4−フルオロ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルの製造
製造例3で得た化合物80mg(0.2mM)をテトラヒドロフラン2mLに溶かし、4−フルオロベンゼンチオール0.03mL(0.3mM、1.5eq)とトリエチルアミン0.05mL(0.3mM、1.5eq)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で30分間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して88mg(97.8%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.18(t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.70(s, 2H), 3.99(s, 3H), 4.35(t, J = 7.8 Hz, 2H), 6.99(t, J = 8.7 Hz, 2H), 7.12-7.14(m, 2H), 7.22-7.28(m, 3H), 7.42-7.46(m, 2H), 8.10(s, 1H), 10.16 (brs, 1H)
Mass (m/e, M+) : 413, 381, 363, 339。
【0098】
実施例8:4−[2−(2−ピリジルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルの製造
製造例3で得た化合物270mg(0.74mM)をテトラヒドロフラン4mLに溶かし、2−メルカプトピリジン123mL(1.1mM、1.5eq)とトリエチルアミン0.15mL(1.1mM、1.5eq)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で2時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して283mg(96.9%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.16(t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.93(s, 3H), 3.99(s, 2H), 4.34(t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.06(d, J = 5.1 Hz, 1H), 7.13(d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.22-7.28(m, 4H), 7.50(d, J = 5.1 Hz, 1H), 8.19(s, 1H), 8.63(d, J = 5.1 Hz, 1H), 10.41(brs, 1H)
Mass (m/e, M+) : 396, 365, 321。
【0099】
実施例9:4−[2−(2−ピリジルスルフィニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルの製造
実施例7で得た化合物100mg(0.25mM)を塩化メチレン2mLに溶かし、2−クロロ過安息香酸65mg(0.38mM、1.5eq)を添加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で1時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=1:2)で精製して63mg(60.6%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.16(t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.86(d, J = 14.4 Hz, 1H), 4.02(s, 3H), 4.26(d, J = 14.4 Hz, 1H), 4.33(t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.11(d, J = 7.2 Hz, 2H), 7.22-7.28(m, 3H), 7.39(t, J = 5.4 Hz, 1H), 7.92(td, J = 8.4 Hz, 1.5 Hz, 1H), 8.01(d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.03(s, 1H), 8.66(d, J = 4.2 Hz, 1H), 9.97(brs, 1H)
Mass (m/e, M+) : 412, 393, 364, 322。
【0100】
実施例10:4−[2−(2−ピリジルスルホニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルの製造
実施例8で得た化合物100mg(0.25mM)を塩化メチレン2mLに溶かし、3−クロロ過安息香酸130mg(0.75mM、3.0eq)を添加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で30分間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=1:2)で精製して96mg(88.9%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.16(t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.99(s, 3H), 4.33(t, J = 7.8 Hz, 2H), 4.55(s, 2H), 7.11(dd, J = 7.2, 1.5 Hz, 2H), 7.21-7.28(m, 3H), 7.60(dd, J = 4.8, 0.9 Hz, 1H), 7.97-8.10(m, 3H), 8.80(d, J = 4.8 Hz, 1H), 10.03(brs, 1H)
Mass (m/e, M+) : 428, 397, 364, 322。
【0101】
実施例11:4−[2−(3,4−ジメチル−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルの製造
実施例3で得た化合物80mg(0.2mM)をテトラヒドロフラン2mLに溶かし、3,4−ジメチルベンゼンチオール0.04mL(0.3mM、1.5eq)とトリエチルアミン0.05mL(0.3mM、1.5eq)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で30分間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して91mg(98.9%)の目的化合物を得た。
【0102】
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 2.20(s, 6H), 3.18(t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.72(s, 2H), 4.00(s, 3H), 4.35(t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.04(d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.12-7.29(m, 7H), 8.12(s, 1H), 10.24(brs, 1H)
Mass (m/e, M+) : 423, 319, 245。
【0103】
実施例12:4−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−ベンジル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルの製造
実施例6で得た化合物33mg(0.094mM)をテトラヒドロフラン1mLに溶かし、4−ブロモベンゼンチオール21mg(0.11mM)とトリエチルアミン17μL(0.12mM)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で1日間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して33mg(77%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.72(s, 2H), 3.98(s, 3H), 5.32(s, 2H), 7.28(m, 5H), 7.32(m, 4H), 8.16(s, 1H)
Mass (m/e, M+) : 461, 459。
【0104】
実施例13:4−[2−フェニルスルファニルアセチルアミノ]−1−ベンジル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルの製造
実施例6で得た化合物58mg(0.16mM)をテトラヒドロフラン2mLに溶かし、ベンゼンチオール20μL(0.19mM)とトリエチルアミン29μL(0.21mM)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で1日間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して59mg(94%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.75(s, 2H), 4.11(s, 3H), 5.31(s, 2H), 7.18(m, 10H), 8.17(s, 1H), 10.26(br, NH)
Mass (m/e, M+) : 381。
【0105】
実施例14:4−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルの製造
実施例9で得た化合物70mg(0.25mM)をテトラヒドロフラン2mLに溶かし、4−ブロモベンゼンチオール57mg(0.30mM)とトリエチルアミン45μL(0.33mM)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で1日間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製して76mg(80%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.75(s, 2H), 3.94(s, 3H), 3.97(s, 3H), 7.29(d, 2H), 7.40(dd, 2H), 8.18(s, 1H), 10.14(br, NH)
Mass (m/e, M+) : 384(Br79), 386(Br81)。
【0106】
実施例15:4−[2−フェニルスルファニルアセチルアミノ]−1−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルの製造
実施例9で得た化合物100mg(0.36mM)をテトラヒドロフラン5mLに溶かし、ベンゼンチオール44μL(0.43mM)とトリエチルアミン65μL(0.47mM)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で1日間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製して90mg(82%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.78(s, 2H), 3.93(s, 3H), 3.96(s, 3H), 7.22(m, 3H), 7.40(d, 2H), 8.20(s, 1H), 10.23(br, NH)
Mass (m/e, M+) : 306(M+1)。
【0107】
実施例16:4−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−2−フェネチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルの製造
製造例12で得た化合物24mg(0.07mM)をテトラヒドロフラン1mLに溶かし、4−ブロモベンゼンチオール16mg(0.09mM)とトリエチルアミン10μL(0.09mM)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で4時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して28mg(88.1%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.07(t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.76-3.87(m, 5H), 4.68(t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.11-7.43(m, 9H), 8.31(s, 1H), 9.98(brs, 1H)
Mass (m/e, M+) : 476, 371, 334。
【0108】
実施例17:4−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルの製造
製造例15で得た化合物50mg(0.18mM)をテトラヒドロフラン2mLに溶かし、4−ブロモベンゼンチオール41mg(0.22mM)とトリエチルアミン32μL(0.23mM)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で1日間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製して58mg(82%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.76(s, 2H), 3.94(s, 3H), 4.11(s, 3H), 7.20(dd, 2H), 7.40(dd, 2H), 8.25(s, 1H), 10.00(br, NH)
Mass (m/e, M+) : 306(M+1)。
【0109】
実施例18:4−[3−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルの製造
製造例17で得た化合物200mg(0.67mM)をテトラヒドロフラン7mLに溶かし、4−ブロモベンゼンチオール165mgとトリエチルアミン0.14mLを滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で1日間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製して271mg(82%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 2.70(t, 2H), 3.16-3.27(m, 4H), 3.97(s, 3H), 4.38(t, 2H), 7.15(d, 2H), 7.21-7.32(m, 5H), 7.42(d, 2H), 8.11(s, 1H), 9.01(br, NH)
Mass (m/e, M+) : 488, 419, 385。
【0110】
実施例19:5−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルの製造
製造例19で得た化合物30mg(0.08mM)をテトラヒドロフラン1mLに溶かし、4−ブロモベンゼンチオール18mg(0.096mM)とトリエチルアミン14μL(0.10mM)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で1日間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製して33mg(85%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 1.25-1.34(m, 3H), 3.17(t, J = 7.2 Hz, 2H), 3.80(s, 2H), 4.24-4.33(m, 4H), 7.10(d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.23-7.31(m, 5H), 7.38-7.42(m, 2H), 7.49(s, 1H), 10.39(brs, 1H)
Mass (m/e, M+) : 486。
【0111】
実施例20:4−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)−2−フェニル−アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルの製造
製造例20で得た化合物100mg(0.23mM)をテトラヒドロフラン3mLに溶かし、4−ブロモベンゼンチオール52mg(0.28mM)とトリエチルアミン48μL(0.35mM)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で1日間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して110mg(87%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.14(t, 2H), 3.99(s, 3H), 4.31(t, 2H), 5.00(s, 1H), 7.11(d, 1H), 7.23-7.45(m, 13H), 8.10(s, 1H), 10.14(s, NH)
Mass (m/e, M+) : 549, 551。
【0112】
実施例21:5−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルの製造
製造例23で得た化合物65mg(0.24mM)をテトラヒドロフラン5mLに溶かし、4−ブロモベンゼンチオール53mg(0.22mM)とトリエチルアミン39μL(0.22mM)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で1日間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製して77mg(83%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 9.02 (brs, 1H, N-H), 7.40(d, 2H, J = 8.7 Hz, ArH), 7.18-7.21(m, 3H, ArH), 4.06(s, 3H, OCH3), 3.87(s, 3H, N-CH3), 3.74(s, 2H, COCH2)
Mass (m/e, M+) : 384。
【0113】
実施例22:1−メチル−5−(2−フェニルスルファニル−アセチルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルの製造
製造例23で得た化合物50mg(0.18mM)をテトラヒドロフラン5mLに溶かし、ベンゼンチオール23μL(0.22mM)とトリエチルアミン31μL(0.22mM)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で1日間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製して52mg(95%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 9.07 (brs, 1H, N-H), 7.20-7.35(m, 6H, ArH), 4.05(s, 3H, OCH3), 3.86(s, 3H, N-CH3), 3.76(s, 2H, COCH2)
Mass (m/e, M+) : 305
実施例23:4−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸の製造
メタノール1mLに、実施例1で得た化合物100mg(0.2mM)を溶かし、1N水酸化ナトリウム溶液0.3mL(0.3mM、1.5eq)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で1時間加熱攪拌した。1N塩酸溶液で酸性化させた後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留して90mg(91.5%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, DMSO-d6) δ 3.21(t, J = 7.3 Hz, 2H), 3.98(s, 2H), 4.45(t, J = 7.3 Hz, 2H), 7.21-7.33(m, 5H), 7.40-7.42(m, 2H), 7.53-7.56(m, 2H), 8.18(s, 1H)
Mass (m/e, M+) : 460, 239, 231。
【0114】
実施例24:2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)−N−[3−(4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イル)−1−フェネチル−1H−ピラゾール−4−イル]−アセトアミドの製造
テトラヒドロフラン1mLに、実施例23で得た化合物380mg(0.83mM)を溶かし、ジ(2−ピリジル)カーボネート356mg(1.65mM)とジメチルアミノピリジン10mg(0.08mM、0.1eq)を添加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で30分間攪拌し、しかる後に、トリエチルアミン0.17mL(1.20mM)と2−クロロエチルアミン144mg(1.20mM)を添加し、反応混合物を窒素雰囲気下で1時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して426mg(99%)の目的化合物を得た。
【0115】
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.16(t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.70-3.82(m, 6H), 4.28(t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.11-7.41(m, 9H), 8.06(s, 1H), 10.49(brs, 1H).
Mass (m/e, M+) : 522, 486, 283, 105。
【0116】
上記で得た4−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(2−クロロ−エチル)−アミド化合物300mg(0.58mM)をテトラヒドロフラン3mLに溶かし、DBU0.15mL(0.99mM)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で3時間加熱還流させた。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製して258mg(92%)の目的化合物を得た。
【0117】
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.16(t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.70-3.82(m, 6H), 4.28(t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.11-7.41(m, 9H), 8.06(s, 1H), 10.49(brs, 1H)
Mass (m/e, M+) : 486, 283, 269。
【0118】
実施例25:4−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸アミドの製造
テトラヒドロフラン1mLに、実施例23で得た化合物113mg(0.3mM)を溶かし、塩化オキサリル60μL(0.7mM)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で30分間攪拌し、しかる後に、NHOH70μLを滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で1時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して21mg(19%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.15(t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.72(s, 2H), 4.28(t, J = 7.8 Hz, 2H), 5.50(brs, 1H), 6.67(brs, 1H), 7.11(d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.21-7.41(m, 7H), 8.06(s, 1H), 10.48(brs, 1H)
Mass (m/e, M+) : 459。
【0119】
実施例26:2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)−N−(3−ヒドロキシメチル−1−フェネチル−1H−ピラゾール−4−イル)−アセトアミドの製造
テトラヒドロフラン2mLに、実施例1で得た化合物150mg(0.3mM)を溶かし、水素化アルミニウムリチウム62mg(0.9mM)を0℃で添加した後、反応混合物を常温で窒素雰囲気下で1時間攪拌した。反応が終結した後、反応液を1N塩酸溶液で酸性化した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留することにより、96mg(68.1%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 2.04(t, J = 5.7 Hz, 1H), 3.11(t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.73(s, 2H), 4.19(t, J = 7.8 Hz, 2H), 4.75(d, J = 5.7 Hz, 2H), 7.12-7.32(m, 7H), 7.40-7.43(m, 2H), 7.86(s, 1H), 9.02(brs, 1H)
Mass (m/e, M+) : 446。
【0120】
実施例27:4−[3−フェニル−プロピオニルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルの製造
製造例2で得た化合物200mg(0.82mM)をテトラヒドロフラン8mLに溶かし、ヒドロシンナモイルクロリド0.16mL(1.06mM)とトリエチルアミン0.17mL(1.22mM)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で1時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製して270mg(87%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 2.73(t, 2H), 3.06(t, 2H), 3.21(t, 2H), 3.96(s, 3H), 4.38(t, 2H), 7.12-7.31(m, 10H), 8.15(s, 1H), 8.95(brs, 1H)
Mass (m/e, M+) : 377, 345, 318。
【0121】
実施例28:4−[2−(4−ブロモ−フェノキシ)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルの製造
製造例3で得た化合物120mg(0.33mM)をN,N−ジメチルホルムアミド10mLに溶かし、炭酸カリウム90mg(0.66mM)と4−ブロモフェノール68mg(0.39mM)を添加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で1日間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製して104mg(69%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.22(t, 2H), 3.99(s, 3H), 4.41(t, 2H), 4.60(s, 2H), 6.93(d, 2H), 7.14(d, 2H), 7.21-7.32(m, 3H), 7.46(d, 2H), 8.15(s, 1H), 10.04(br, NH)
Mass (m/e, M+) : 458, 425, 398。
【0122】
実施例29:4−[2−(4−ブロモ−フェニルアミノ)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルの製造
製造例3で得た化合物200mg(0.55mM)をN,N−ジメチルホルムアミド15mLに溶かし、炭酸カリウム151mg(1.1mM、2eq)と4−ブロモアニリン113mg(0.66mM、1.2eq)を添加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で1日間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製して30mg(12%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.21(t, 2H), 3.87(s, 3H), 3.93(d, 2H), 4.39(t, 2H), 4.41-4.44(d, 1H), 6.57(d, 2H), 7.15(d, 2H), 7.22-7.31(m, 5H), 8.16(s, 1H), 9.88(br, NH)
Mass (m/e, M+) : 456, 426, 397。
【0123】
実施例30:2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)−N−(3−メトキシメチル−1−フェネチル−1H−ピラゾール−4−イル)−アセトアミドの製造
製造例28で得た化合物41mg(0.12mM)をテトラヒドロフラン2mLに溶かし、4−ブロモベンゼンチオール28mg(0.15mM、1.3eq)とトリエチルアミン0.02mL(0.18mM、1.5eq)を滴加した後、反応混合物を窒素雰囲気下で1時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと塩水で抽出し、しかる後に、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、減圧蒸留した。得た化合物をカラムクロマトグラフィー法(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製して90mg(97.8%)の目的化合物を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 3.12(t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.32(s, 3H), 3.70(s, 2H), 4.22(t, J = 7.8 Hz, 2H), 4.56(s, 2H), 7.11-7.27(m, 7H), 7.40-7.43(m, 2H), 7.95(s, 1H), 9.19(brs, 1H)
Mass (m/e, M+) : 460。
【0124】
本発明に係るアミノピラゾール誘導体に対して次の実験を行い、様々な薬理効果について評価した。
【0125】
実験例1:虚血性細胞死抑制効果
本発明のアミノピラゾール誘導体の虚血性細胞死抑制効果を次の手順に従って評価した。
心筋細胞株H9c2細胞を10%牛胎仔血清と1%フェニシリン/ストレプトマイシン(100×溶液)が補充されたDMEM(Dulbecco’s modified Eagle’s medium)培地で培養した。直径35mmの培養皿に細胞数が1×10となるようにし、細胞を37℃、CO2培養器で48時間培養した後、0.1%DMSOのみで処理し(対照群)、あるいはDMSOに実施例1〜30の誘導体(10μM)をそれぞれ溶かした溶液で処理した。30分後、これをPBSで1回洗浄し、しかる後に、化学的低酸素溶液[chemical hypoxia solution(106mM NaCl、4.4mM KCl、1mM MgCl、38mM NaHCO、2.5mM CaCl、20mM 2−デオキシグルコース、1mM NaCN)]と共にDMSO(対照群)、またはDMSOに前記誘導体を溶かした溶液で1〜2時間処理し続けた。適正の損傷が観察される時点で1mLのPBSを用いて2回洗浄した後、1mLの3.7%ホルムアルデヒドで処理して細胞を固定した。これをさらに1mLのPBSで洗浄し、DAPIで染色した後、1mLのPBSで3回洗浄し、しかる後に、蛍光顕微鏡で細胞死を観察し、観察された細胞死を百分率に換算した。その結果を表2および図1に示した。
【表2】

【0126】
表2および図1に示すように、本発明のアミノピラゾール誘導体は虚血性細胞死に対する抑制効果を示した。
【0127】
本発明に係るアミノピラゾール誘導体を活性成分として含有する製剤の製造方法を下記に例示するが、本発明はこれらに限定されない。
【0128】
製剤例1:錠剤(直接圧縮)
本発明の化合物5.0mgを篩にかけた後、ラクトース14.1mg、クロスポビドンUSNF0.8mgおよびステアリン酸マグネシウム0.1mgを混合し、圧縮して錠剤として製造した。
【0129】
製剤例2:錠剤(湿式造粒)
本発明の化合物5.0mgを篩にかけた後、ラクトース16.0mgと澱粉4.0mgとを混合した。0.3mgのポリソルベート80を純水に溶かした溶液に前記混合物を添加した後、微粒化した。乾燥の後、微粒を篩にかけた後、コロイド状二酸化ケイ素2.7mgおよびステアリン酸マグネシウム2.0mgと混合し、圧縮して錠剤として製造した。
【0130】
製剤例3:粉剤とカプセル剤
本発明の化合物5.0mgを篩にかけた後、ラクトース14.8mg、ポリビニルピロリドン10.0mg、およびステアリン酸マグネシウム0.2mgと共に混合した。前記混合物を適切な装置を用いて硬質ゼラチンカプセル(No.5)に充填した。
【0131】
製剤例4:注射剤
本発明の化合物100mgを含有させ、その他にもマンニトール180mg、NaHPO・12HO26mgおよび蒸留水2974mgを含有させて注射剤を製造した。
【産業上の利用可能性】
【0132】
上述したように、本発明のアミノピラゾール誘導体は、虚血性細胞死を著しく減少させることができる。よって、本発明の化合物およびこれを有効成分として含有する組成物は、虚血性細胞死に起因する、例えば脳虚血、心臓虚血、糖尿病性血管心臓疾患、心不全、心筋肥大症、網膜虚血、虚血性大腸炎、虚血性急性腎不全症、脳卒中、脳外傷、アルツハイマー病、パーキンソン病、新生児低酸素症、緑内障および糖尿性神経障害などの虚血性疾患の予防及び治療剤、または臓器保護剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式(I)のアミノピラゾール誘導体、およびその薬学的に許容される塩:
【化1】

前記式中、Rは、−CO、−CHOR、−CONRまたは
【化2】

(ここで、RとRはそれぞれ独立にH、またはC〜Cの直鎖、側鎖または環状アルキル)であり;
は、−(CHAr、またはC〜Cの直鎖、側鎖または環状アルキル(ここで、mは1〜3の整数であり、Arはフェニル、C〜Cアルキルまたはハロゲンで置換されたフェニル)であり;
Bは、H、フェニル、C〜Cアルキルまたはハロゲンで置換されたフェニルであり;
nは、0〜2の整数であり;
Yは、S、O、C、SO、SOまたはNR(ここで、RとRはそれぞれ独立にH、またはC〜Cの直鎖、側鎖または環状アルキル)であり;
Zは、H、ハロゲン、OCH、NO、NH、またはC〜Cの直鎖、側鎖または環状アルキルであり、
Aは、CHまたはNである。
【請求項2】
が、−CO、−CHOR、−CONRまたは
【化3】

(ここで、RとRはそれぞれ独立にH、メチルまたはエチル)であり;
が、−(CHAr(ここで、mは1〜3の整数、Arはフェニル、C〜Cアルキルまたはハロゲンで置換されたフェニル)であり;
Bが、H、フェニル、C〜Cアルキルまたはハロゲンで置換されたフェニルであり;
nが、0または1であり;
Yが、S、O、C、SO、SOまたはNR(ここで、RとRはそれぞれ独立にH、またはC〜Cの直鎖、側鎖または環状アルキル)であり;
Zが、H、ハロゲン、OCH、NO、NH、またはC〜Cの直鎖または側鎖アルキルであり;
Aが、CHまたはNであることを特徴とする、請求項1に記載のアミノピラゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
下記化合物からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載のアミノピラゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩:
1)4−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
2)4−[2−(フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
3)4−[2−(3−メトキシ−フェニルスルファニル)アエチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
4)4−[2−(4−ニトロ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
5)4−[2−(2−アミノ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
6)4−[2−(4−メチル−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
7)4−[2−(4−フルオロ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
8)4−[2−(2−ピリジルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
9)4−[2−(2−ピリジルスルフィニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
10)4−[2−(2−ピリジルスルホニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
11)4−[2−(3,4−ジメチル−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
12)4−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−ベンジル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
13)4−[2−フェニルスルファニルアセチルアミノ]−1−ベンジル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
14)4−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
15)4−[2−フェニルスルファニルアセチルアミノ]−1−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
16)4−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−2−フェネチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
17)4−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
18)4−[3−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
19)5−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチル;
20)4−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)−2−フェニル−アセチルアミノ]−1−フェンチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
21)5−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
22)1−メチル−5−(2−フェニルスルファニルアセチルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
23)4−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸;
24)2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)−N−[3−(4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イル)−1−フェネチル−1H−ピラゾール−4−イル]−アセトアミド;
25)4−[2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸アミド;
26)2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)−N−(3−ヒドロキシメチル−1−フェネチル−1H−ピラゾール−4−イル)−アセトアミド;
27)4−[3−フェニル−プロピオニルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
28)4−[2−(4−ブロモ−フェノキシ)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;
29)4−[2−(4−ブロモ−フェニルアミノ)アセチルアミノ]−1−フェネチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル;および
30)2−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)−N−(3−メトキシメチル−1−フェネチル−1H−ピラゾール−4−イル)−アセトアミド。
【請求項4】
式(II)のアミノピラゾール誘導体と式(III)の化合物とを反応させる段階を含む、式(I)のアミノピラゾール誘導体の製造方法:
【化4】

【化5】

【化6】

前記式中、R、R、B、n、Y、ZおよびAは請求項1で定義したとおりであり、Lは離脱基である。
【請求項5】
請求項1のアミノピラゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩を含有する、虚血性疾患の予防または治療用組成物。
【請求項6】
前記虚血性疾患が、虚血性細胞死によって媒介される疾病であって、脳虚血、心臓虚血、糖尿病性血管心臓疾患、心不全、心筋肥大症、網膜虚血、虚血性大腸炎、虚血性急性腎不全、脳卒中、脳外傷、アルツハイマー病、パーキンソン病、新生児低酸素症、緑内障および糖尿性神経障害からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記虚血性細胞死が低酸素条件によって誘導されることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1のアミノピラゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩を含有する、臓器保護用組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2010−507653(P2010−507653A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−534498(P2009−534498)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【国際出願番号】PCT/KR2007/005311
【国際公開番号】WO2008/051047
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(595138328)コリア リサーチ インスティチュート オブ ケミカル テクノロジイ (2)
【Fターム(参考)】