説明

アリールホスホン酸で置換されたオリゴマー状およびポリマー状のシロキサン

アリールホスホン酸で置換されたオリゴマー状およびポリマー状のシロキサン
本発明は、ホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン、その製造方法、シリルホスホネート基及び/又はアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン、ポリ−ホスホン酸基及び/又は少なくとも一種のシリルホスホネート基及び/又はアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンを含む少なくとも一種の本発明のオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンと、少なくとも一種の他のポリマーを含む混合物、少なくとも一種の本発明のホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン及び/又は少なくとも一種の本発明のシリルポリホスホネート基及び/又はアルキルポリホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンまたは本発明に係る混合物を含む膜、フィルムまたは複合化物、ホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン及び/又はシリルホスホネート基及び/又はアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン、または本発明の混合物のいろいろな利用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン、その製造方法、シリルホスホネート基及び/又はアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン、ポリ−ホスホン酸基及び/又は少なくとも一種のシリルホスホネート基及び/又はアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンを含む少なくとも一種の本発明のオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンと、少なくとも一種の他のポリマーを含む混合物、少なくとも一種の本発明のホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン及び/又は少なくとも一種の本発明のシリルポリホスホネート基及び/又はアルキルポリホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンまたは本発明に係る混合物を含む膜、フィルムまたは複合化物、ホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン及び/又はシリルホスホネート基及び/又はアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン、または本発明の混合物を膜、フィルムまたは複合化物中で使用する方法、本発明の膜を燃料電池中でまたは分離膜として使用する方法、少なくとも一種の膜、本発明に係るまたは少なくとも一種のホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン及び/又は少なくとも一種のシリルホスホネート基及び/又はアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンまたは本発明の混合物を含む燃料電池、本発明のホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン及び/又はシリルホスホネート及び/又はアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンまたは本発明の混合物を、イオン架橋による多価金属ポリホスホネートのその場形成により、芳香族ポリホスホン酸膜および高分子電解質ポリホスホン酸ブレンド膜の膨潤の抑制に使用する方法、上記の金属ポリホスホネートを含む膜、および本発明のホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン及び/又はシリルホスホネート及び/又はアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンまたは本発明の混合物を、腐食防止金属塗料中で或いは同塗料としてあるいは酸触媒として、以下の物質:金属類、プラスチックや他の材料なる群から選ばれる材料、例えばアパタイト類の接触の促進または向上に使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホスホン酸基またはホスホン酸エステル基含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンは、多くの分野で使用可能である。これらは、例えば、金属や織物のスリップ塗装や、難燃添加物、接着剤、化粧品または洗濯洗剤の添加物、消泡剤、剥離剤、給湿液体、伝熱液体、静電防止剤、研磨剤、塗料、及び膜、フィルムまたは複合化物の一部あるいは全部として、特に燃料電池の膜または分離膜や金属イオンの結合用に利用できる。
特許文献1は、ホスホン酸エステルで修飾されたシリコーンの製造方法に関する。ホスホン酸エステルで修飾されたシリコーン類は、ホスホン酸エステル基を含むシランと反応性ケイ素化合物との反応で製造される。
【0003】
特許文献2は、イオン交換膜の性能の改善に用いられる水不溶性添加物に関するもので、これらの添加物はホスホン酸基で変性されたシロキサンマトリックスからできている。このシロキサンマトリックスは、リンカーを経由してホスホン酸基が共有的に結合している架橋型のシロキサンマトリックスであることが好ましい。特許文献2によれば、これらのリンカー経由でホスホン酸基により修飾された架橋シロキサンは、触媒量の濃酸の存在下に水中で、シランと、リンカーを経由してシランに結合しているホスフォナト基を有する他のシランとを反応させて製造される。この反応混合物を加熱すると、ゲルが形成され、さらに加熱すると固体状となり、架橋したホスホネートエステルを中間体として形成する。この架橋ホスホネートエステルを酸加水分解すると、所望のホスホン酸基で修飾されたシロキサンが得られる。
【0004】
上述の文書によると、脂肪族単位を持つリンカーを経由してホスホン酸基がシロキサン骨格に結合している。オリゴシロキサンとポリシロキサンは、ホスホン酸誘導体を含むシロキサン化合物の重縮合により得られるが、溶解度や機械的性質の調整のために、ホスホン酸誘導体を持たない化合物との共重縮合を行うことも可能である。
【0005】
【特許文献1】WO2005/005519
【特許文献2】WO2005/036687
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ホスホン酸基を含み、ホスホン酸基含量が一定で、実施が容易な方法で得られるオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンを提供することである。このホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンは、特に燃料電池用の膜中で、例えば添加物として好適に利用できる必要がある。また、このホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンは、このような官能化シロキサンが通常用いられている用途で好適に使用できる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本目的は、ホスホン酸基を含み、且つ一般式(I)
【0008】
【化1】

【0009】
[式中、
Y及びY’は、それぞれ相互に独立して、次式で表され、
【0010】
【化2】

【0011】
AとA1、A2、A3は、それぞれ相互に独立して、次式で表され、
【0012】
【化3】

【0013】
BとB1、B2、B3は、それぞれ相互に独立して、次式で表され、
【0014】
【化4】

【0015】
x、y、
x’、y’
x’’、y’’、
x’’’、y’’’は、それぞれ相互に独立して、0、1または2であり(ただし、(x+y)、(x’+y’)、(x’’+y’’)、(x’’’+y’’’)の合計は、それぞれ3以下である)、
mとnは、それぞれ相互に独立して、0、1または2であり(ただし、同時に0ではなく)、
kは2以上の整数であり、
k’、k’’、k’’’は、それぞれ0〜4、好ましくは0〜2、特に好ましくは0であり、
1は、任意に一個以上の(P(=O)(OH)2)基とは別に、1個以上の他の置換基を有し及び/又は一個以上のヘテロ原子を含んでいてもよい二価または多価の芳香族基であり、
2は、任意に一個以上の(P(=O)(OH)2)基とは別に、一個以上の他の置換基を有し及び/又は一個以上のヘテロ原子を含んでいてもよいアリールまたはアルキル基であり、
Y及びY’は、Si原子、A3基又はO原子を介して、及びSi原子またはA2基を介して、それぞれ一般式Iの化合物のSi原子に結合していてもよい]
で示される単位を1個以上含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンにより達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
ホスホン酸基を含む本発明のオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンは、複数のジシロキシ結合(Si−O−Si)で架橋したケイ素原子を有する、線状の、線状はしご状、かご状、または架橋したシロキサンマトリックスを有している。少なくともケイ素原子のいくつかは、ホスホン酸基を含む基に共有的に結合している。
【0017】
ホスホン酸基を含む本発明のオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンは、原理的には有機または無機の複合オリゴ(シロキサン)、ポリ(シロキサン)、オリゴシルセスキシロキサンまたはポリシルセスキシロキサンおよび多価シルセスキシロキサンである。ある好ましい実施形態においては、オリゴマー状またはポリマー状のシロキサン骨格はシルセスキシロキサンであり、本発明のシロキサンはホスホン酸基を有するシルセスキシロキサンである。シルセスキシロキサンは、通常一般式Si2n3n2nの組成を持つシロキサンに特異的な基である。なお式中、Rは通常Cl、H、または他の置換基、例えば炭化水素基である。シルセスキシロキサン中では、個々のSi原子は一個のO原子を経由して3個の他のケイ素原子と結合している。このシルセスキシロキサンは、非構造化されたマトリックス状であっても、はしご状の構造、または完全にまたは部分的に閉じられたかご状多面体の構造をとっていてもよい。
【0018】
本願特許の目的において、「アルキル」基とは、一般的には炭素数が1〜20、好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜6、極めて好ましくは1〜4である直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、式(I)のR2の場合は、さらに一個以上の(P(=O)(OH)2)基を有していてもよい。本願特許の目的のアルキル基においては、アルキル基の炭素鎖がヘテロ原子またはヘテロ原子含有基で分断されていてもよく、例えばOまたはNR3(式中R3はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示す)で分断されていてもよい。好適なアルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、1−ペンチル、t−ペンチル、1−ヘキシル、1−オクチル、i−オクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、1,4−テトラメチレンがあげられ、式(I)のR2の場合、アルキル基は、さらに一個以上の上(P(=O)(OH)2)基で置換されていてもよい。これらのアルキル基は、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基、あるいはヘテロ原子またはヘテロ原子含有基、例えばハロゲンまたはハロゲン含有基で置換されていてもよい。
【0019】
本願特許の目的において、「アルケニル」基は、直鎖又は分岐鎖であり、炭素原子数が2〜20、好ましくは2〜8、特に好ましくは2〜6、極めて好ましくは2〜4である基をさす。アルケニル基の炭素鎖は、ヘテロ原子で、例えばOまたはNR3(式中、R3は上記の通りである)で分断されていてもよい。このアルケニル基は、アルキル基に対して述べた基により置換されていてもよい。
【0020】
好適なアルケニル基の例としては、あらゆる異性体のブテニル基や、ヘキセニル基、オクテニル基があげられる。
【0021】
本願特許の目的において、シクロアルキレンは、炭素数が3〜20、好ましくは3〜12、特に好ましくは3〜6である環状骨格を持つ置換または無置換のシクロアルキル基である。シクロアルキル基の好適な置換基は、アルキル基に対して述べた上記の置換基である。環状骨格の炭素原子のうちの一つ以上が、ヘテロ原子またはヘテロ原子含有基、例えばOまたはNR3(ただし、R3は上に定義したとおりである)で置換されていてもよい。好適なシクロアルキル基の例としては、1−シクロオクチルや、1−シクロヘプチル、1−シクロヘキシル、1−シクロペンチル、1−メチルシクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−メチル−4−i−プロピルシクロヘキシルがあげられ、1−シクロペンチルや、1−シクロヘキシル、1−シクロオクチルが好ましい。
【0022】
本願特許の目的においては、アリール基は置換または無置換のアリール基であり、その場合、R2は、一個以上の(P(=O)(OH)2)基を有していてもよい。このアリール基の基本骨格の炭素原子数は、6〜20であり、特に好ましくは6〜12である。アリール基は、二個以上のアリール基が一個以上の一重結合で、例えばビフェニルを経由して連結した基をも含んでいる。必要に応じて存在する一個以上の基(式(I)のR2の場合、(P(=O)(OH2))以外の適当な置換基)は、すでにアルキル基について述べたものである。その骨格の一個以上の炭素原子が、ヘテロ原子、例えばO、SまたはNで置換されていてもよい。好ましいアリール基の例としては、フェニルや、ナフチル、ビフェニル、フェノキシフェニルがあげられ、その場合、R2は、一個以上の(P(=O)(OH)2)基を有していてもよい。
【0023】
本願特許の目的において好適なアラルキル基は、アラルキル基の炭素数が7〜20、好ましくは7〜18、特に好ましくは7〜14、炭素原子である置換又は非置換のアラルキル基である。アラルキル基のアリール基またはアラルキル基のアルキル基中の一個以上の炭素原子が、ヘテロ原子またはヘテロ原子含有基、例えばOまたはNR3(ただし、R3は上に定義したとおりである)で置換されていてもよい。さらに、このアラルキル基は、アルキル基について述べた置換基で置換されていてもよい。好適なアラルキル基としては、m/p−フェニルエチルや、ベンジル、m/p−トリル、i−キシリルがあげられる。
【0024】
本願特許の目的において、二価または多価の芳香族基は、置換又は非置換の基であり、その場合、式(I)のR1は、必要に応じて一個以上の(P(=O)(OH)2)基で置換されていてもよい。この二価または多価の芳香族基は、さらにN、OまたはSなどのヘテロ原子を含有していてもよい。式(I)中の基R1に必要に応じて含まれる(P(=O)(OH)2)基とは別に、この二価または多価の芳香族基は、他の置換基を有していてもよく、その好適な置換基は、アルキル基に対して述べた上記の置換基である。好ましい基は、二価の芳香族基であり、式(I)のR1の場合はさらに一個以上の(P(=O)(OH)2)基を有していてもよい。好適な二価の基の例としては、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、1,6−ナフチレン、2,4−ナフチレン、2,6−カルバゾール、3−フェニル−1,4−アリーレン、3−アルキル−1,4−アリーレン、2−アルキル−1,4−アリーレン、2−アルコキシ−1,4−アリーレン、3−アルコキシ−1,4−アリーレン、2,4−ジメチル−1,4−フェニレン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレン、4,4’−ビフェニレン、3,3’−ジフェニル−4,4’−ビフェニレン等のアリーレン基や、2,2’−イソプロピリデンビス(1,4−フェニレン)などのアリーレンアルキル基があげられる。式(I)中のR1の場合、これらの基は、必要に応じて一個以上の(P(=O)(OH)2)基で置換されていてもよい。本願特許の目的に好適なアルキル基は、上述の通りである。本願特許の目的に好適なアルコキシ基は、上述のアルキル基を含む基である。極めて好ましい二価の芳香族基は、必要に応じて一個以上の(P(=O)(OH)2)基で置換された式(I)中のR1以外に、その無置換の基である。特に好ましい基は、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、2,2’−イソプロピリデンビス(1,4−フェニレン)、4,4’−ビフェニレン、または3,3’−ジフェニル−4,4’−ビフェニレンであり、これらの基は、上述のように、式(I)中のR1の場合、(P(=O)(OH)2)基で置換されていてもよい。
【0025】
ホスホン酸基を含みさらに一般式(I)の単位を一個以上含む本発明のオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンにおいて、一般式(I)のkは、2以上の整数である。ある好ましい実施形態においては、完全にまたは部分的に閉じられたかご状の多面体のシルセスキシロキサンの場合には、kは、特に好ましくは6、8、10、または12である。
【0026】
ホスホン酸基を含み一般式(I)の単位を一個以上含む本発明のオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン中のk’と、k’’、k’’’は、本発明の化合物の溶解度に悪影響がないかぎり、それぞれ0〜4、好ましくは0〜2、特に好ましくは0である。
【0027】
一般式(I)の単位中のxとyは、それぞれ0、1または2であるが、(x+y)の合計は3以下であり、xとyは同時に0ではない。(x+y)の合計は、好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。(x+y)の合計が3の場合、xは1でyが2であることが好ましく、xが2でyが1であることがさらに好ましい。(x+y)の合計が2の場合、xとyは、それぞれ1であることが好ましい。一般式Iの単位中のx’とx’’、x’’’およびy’とy’’、y’’’は、それぞれ0、1または2であり、ただし、(x’+y’)と(x’’+y’’)と(x’’’+y’’’)の合計は、それぞれ3以下である。
【0028】
また、本発明のシロキサンは、xとyがそれぞれ0である混合構造を有していてもよい。
【0029】
一般式(I)の単位の基Aと基Bの中のmとnは、それぞれ相互に独立して、0、1または2であり、式(I)のk単位のうち少なくとも一単位において、少なくともmまたはnが0でない。一般に凝集により溶解度または分散性に悪影響がでない限り、nとmは、それぞれ相互に独立して1または2であることが好ましい。
【0030】
したがって本発明のある好ましい実施形態において、本発明のホスホン酸基を含むシロキサンは、シルセスキシロキサン骨格を有し、このシルセスキシロキサンは、完全にまたは部分的に閉じられたかご状の多面体のシルセスキシロキサンであって、一般式(I)中のkが、特に好ましくは6、8、10または12である。
【0031】
ある好ましい実施形態においては、基R2が、必要に応じて有する一個以上の(P(=O)(OH)2)基とは別に、一個以上の他の置換基及び/又は一個以上のヘテロ原子を有していてもよいアリール基であり、好ましいアリール基R2は、上述の通りである。
【0032】
特に好ましくは、ホスホン酸基を含み一般式(I)の単位を一個以上含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンであり、単位kの少なくとも一種の基中の基R1は、一個以上の(P(=O)(OH)2)基を有する。
【0033】
他の好ましい実施形態においては、本発明のホスホン酸基を含むシロキサンは、はしご状または非構造化のシルセスキシロキサンであり、そのxは1で、yは0である。後者のようなまたは非構造化のシルセスキシロキサン中の基R1は、
特に好ましくはフェニレンである。
【0034】
ある非常に好ましい実施形態においては、本発明は、ホスホン酸基を含み一般式I(式中、k’とk”とk’’’はそれぞれ0である)で示されるオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンを、即ち下記一般式(Ia)
【0035】
【化5】

【0036】
(式Iaの化合物中の記号や数字は上に定義したとおりである)
で示される単位を一個以上有する重合型のシロキサンを提供する。
【0037】
一般式Iaの化合物中の記号や数字は、好ましくは次の意味を有する:
【0038】
【化6】

【0039】
xとyは、それぞれ0、1または2であり、その(x+y)の合計は3以下である;
mとnは、それぞれ相互に独立して、次式で表され、0、1または2であり、同時に0ではない;
kは、6、8、10または12である;
1は、フェニレン、ビフェニレン、フェノキシフェニレンまたはナフチレンである;
2は、フェニレン、ビフェニレン、フェノキシフェニレンまたはナフチレンである。
【0040】
ホスホン酸基を含み一般式(I)の単位を一個以上含む本発明のオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンの分子量は、一般的には400〜5000であり、好ましくは1000〜3000、特に好ましくは1200〜2600である。また、一般式(I)の単位を一個以上含み、上述のものより大きな分子量を持つ比較的高分子量のはしご状の構造物が、本発明で使用される。
【0041】
本発明の他の実施形態においては、このホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンは、一般式(I)の単位のみかからなる。この場合、一般式(I)の単位のうち少なくとも一つが、A、B、A1、B1、A2及び/又はB2の基を有し、好ましくは少なくとも一種のA基またはB基を有し、式(I)において、n及び/又はmは0ではない。ある好ましい実施形態においては、このホスホン酸基を含み一般式(I)の単位を一個以上含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンが式(I)の単位のみからなる本発明のシロキサンである場合、その(P(=O)(OH)2)基での官能化度は、一般的には少なくとも25%であり、好ましくは少なくとも35%、特に好ましくは少なくとも45%、極めて好ましくは少なくとも50%である。
【0042】
ここで、少なくとも50%の官能化度とは、繰返単位kの少なくとも50%がホスホン酸基(P(=O)(OH)2)で置換されることを意味する。
【0043】
このホスホニル化度は、従来の方法により、例えば重量測定、NMRスペクトロスコピーまたは元素分析により求めることができる。これらの方法は、当業者には公知である。
【0044】
ホスホン酸基を含み且つ一般式(I)の単位を一個以上含む本発明のオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンは、通常ハロゲンを含まない。本願特許の目的において、ハロゲン非含有とは、ホスホン酸基を含み一般式(I)の単位を一個以上含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン中のハロゲン含有量が、ホスホン酸基を含み且つ一般式(I)の単位を一個以上含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンの質量に対して、10重量%未満、好ましくは5重量%未満、特に好ましくは3重量%未満であることを意味する。
【0045】
ホスホン酸基を含みまた一般式(I)の単位を一個以上含む本発明のオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンは、一般的には相当するオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンをホスホニル化して製造される。
【0046】
本発明はしたがって、ホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンの製造方法であって、
(i)下記式(II)
【0047】
【化7】

【0048】
[式中、
y及びy’は、それぞれ相互に独立して、次式で表され、
【0049】
【化8】

【0050】
A’、A1、A2、Aは、それぞれ相互に独立して、次式で表され、
【0051】
【化9】

【0052】
B’とB1、B2、Bは、それぞれ相互に独立して、次式で表され、
【0053】
【化10】

【0054】
x、y、
x’、y’、
x’’、y’’、
x’’’、y’’’は、それぞれ相互に独立して、0、1または2であり(但し、(x’+y’)、(x’’+y’’)、及び(x’’’+y’’’)の合計は、それぞれ3以下である)、
m、nは、それぞれ相互に独立して、0、1または2であり、同時に0ではなく、
kは、2より大きな整数であり、xとyは、式(II)の単位の少なくとも一つにおいて同時に0ではなく、
k’、k’’、k’’’は、それぞれ0〜4、好ましくは0〜2、特に好ましくは0であり、
1は、必要に応じて一個以上の他の置換基及び/又は一個以上のヘテロ原子を有していてもよい二価または多価の芳香族基であり、
2は、必要に応じて一個以上の他の置換基及び/又は一個以上のヘテロ原子を有していてもよいアリールまたはアルキル基であり、
x、x’は、それぞれハロゲン、好ましくはBr又はI、特に好ましくはBrであり、
y及びy’は、Si原子、A3基またはO原子を経由して、またSi原子またはA2基を経由して、それぞれ一般式Iの化合物類のSi原子に結合していてもよい]
で示される単位を一個以上有するハロゲン化オリゴマー状またはポリマー状のシロキサンをホスホニル化する工程を含む方法を提供する:
ホスホニル化は、触媒の存在下で、シリルホスファイト及び/又はアルキルホスファイトにより、窒素を含まない溶媒中で、150℃を超える温度で行われる。
【0055】
好ましい実施形態においては、ホスホン酸基を含み且つ一般式(I)の単位を一個以上含む本発明のオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンは、本発明の方法により製造される。その際のxや、x’、x’’、x’’、y、y’、y’’、y’’、m、n、k、k’、k’’、k’’、R1、R2などの基や指数は、ホスホン酸基を含み一般式(I)の単位を一個以上含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンに対して述べられた実施形態に準じる。
【0056】
相当するオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンのハロゲン化物をシリルホスファイト及び/又はアルキルホスファイトにより続いてホスホニル化することを特徴とする、このホスホン酸基を含み一般式(I)の単位を一個以上含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンの製造方法は、これまでの先行技術に記載されていない。本発明の方法によりオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンのホスホニル化度を目標値に設定することが可能となり、アリールシロキサン官能化が可能となる、即ち、本発明のある好ましい実施形態において、これらのホスホン酸基は、シロキサン骨格の一個以上のケイ素原子に、脂肪族の単位からなるリンカーを経由して結合しているのでなく、芳香族の単位を含む基を経由して結合している。
【0057】
驚くべきことに、ハロゲン化され適当に構造化されたシロキサンを続いて触媒的にホスホニル化することにより、構造の明確なホスホン酸基を含み一般式(I)の単位を一個以上含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンが容易に得られることが明らかとなった。本発明のホスホニル化方法では、シロキサンマトリックスが破壊されたり損傷を受けたりすることはない。
【0058】
本発明の方法のある実施形態においては、シリルホスファイトがホスホニル化に用いられる。これらは、好ましくは下記一般式(III)または(IV)で表される;
P(OSiR456)(OSiR789)(OSiR101112) (III)
または
P(OSiR456)OSiR789)(OH) (IV)
(式中、
4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、およびR12は、それぞれ相互に独立して、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アラルキル基、またはアリール基であり、上記の基は置換されていてもよく及び/又はヘテロ原子を含んでいてもよい)。
【0059】
あるいは、このシリルホスファイトは、一種以上のアミノシラン、ハロシラン及び/又はアルコキシシランにより亜リン酸をシリル化して得られるO−シリル化亜リン酸エステルであってもよい。
【0060】
本発明の方法の他の実施形態においては、ホスホニル化は、下記一般式(V)または(VI)で表されるホスファイトを用いて行われる;
P(OR13)(OR14)(OR15) (V)
または
P(OR13)(OR14)(OH) (VI)
(式中、
13とR14とR15とは、それぞれ相互に独立して、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、またはアラルキル基であり、上記の基は置換されていてもよく及び/又はヘテロ原子を含んでいてもよい)。
【0061】
上述の一般式(III)または(IV)で表されるシリルホスファイトおよび上述の一般式(V)または(VI)で表されるホスファイトの混合物をホスホニル化に用いることも可能である。
【0062】
本発明のある好ましい実施形態においては、一般式P(OSiR4563及び/又はP(OSiR4562(OH)で表されるシリルホスファイトが、本発明の方法で使用される。この好ましい実施形態における一般式(III)と(IV)において、R7とR10は、R4と同一である。R8とR11は、R5とR9と同一であり、R12はR6と同一である。
【0063】
好適なアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アラルキル基、およびアリール基は上述の通りである。
【0064】
4や、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12の基は、それぞれ独立して、直鎖又は分岐鎖のC1−C20のアルキル基、アルケニル基、およびアリール基から選ばれ、好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、1−(ブテ−3−ニル)、s−ブチル、t−ブチル、1−ペンチル、t−ペンチル、1−ヘキシル、1−オクチル、i−オクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、1−シクロオクチル、1−シクロヘプチル、1−シクロヘキシル、1−シクロペンチル、1−メチルシクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−メチル−4−i−プロピルシクロヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、フェニル、ビフェニル、1,3−テトラメチレン、−(CH2CH2nOCH3(式中、nは1〜100、好ましくは1〜10の整数である)から選ばれる。
【0065】
本発明の方法のある実施形態で使用されるシリルホスファイトは、当業者には公知の方法、例えば一種以上のアミノシラン、ハロシランまたはアルコキシシランを用いて、亜リン酸をシリル化して得られる。なお、このような試薬は市販されている。
【0066】
特に好ましい実施形態においては、トリス(トリメチルシリル)ホスファイトがシリルホスファイトとして使用される。
【0067】
本発明の方法の他の実施形態において用いられる式(V)または(VI)のホスファイト中のR13とR14とR15の基は、好ましくは同様に、上記の基、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、およびR12について述べた基の中からから選ばれる。特に好ましい実施形態においては、このホスファイトのR13とR14とR15とは、同じ意味を持つ。トリエチルホスファイトとトリブチルホスファイト、あるいはジエチルホスファイトをアルキルホスファイトとして使用することが極めて好ましい。
【0068】
本発明の方法のある実施形態で用いることのできるアルキルホスファイトは、当業者には公知の方法で調整でき、このようなアルキルホスファイトのいくつかは市販されている。
【0069】
本発明のホスホン酸基を含む本発明のオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンを製造する方法は、触媒の存在下で実施される。ある好ましい実施形態においては、この触媒が、Ni、Pd、Pt、Rh、Ru、Os、およびIrからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属を含み、好ましくはNiとPdを含む。また、この触媒が上記金属の二種以上の混合物を含んでいてもよい。ニッケルとパラジウムは、0〜+2の酸化状態で存在できる。即ち、ある好ましい実施形態においては、ニッケル及び/又はパラジウム塩、またはニッケル及び/又はパラジウムの複合体が使用される。パラジウムを含有する触媒を使用する場合では、式(IV)のシリルホスファイトまたは式(VI)のアルキルホスファイトが一般に用いられる。ニッケル含有触媒を使用する場合には、式(III)のシリルホスファイトまたは式(V)のアルキルホスファイトが一般に使用される。
【0070】
好適なニッケル及び/又はパラジウムの塩としては、ハロゲン化物、好ましくは塩化物、臭化物またはヨウ化物、特に好ましくは塩化物や擬ハライド、好ましくはシアン化物、OCN、SCN、特に好ましくはシアン化物およびp−ジケトナート、好ましくはアセチルアセトナートがあげられる。好ましいニッケルの塩は、ニッケル(II)塩である。ニッケル(O)複合体が使用される場合には、例えばJ. Org. Chem. 1980, 45, 5426~5429に開示のように、Ni[CO]4あるいはNi[P(OR)34が好ましい。なお式中、Rは、直鎖又は分岐鎖のC1−C20−アルキル基、好ましくはエチルである。
【0071】
好適なPd(0)複合体は、例えば、トリフェニルフォスフィン複合体またはジベンジリデンアセトナートである。具体例としては、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウムやトリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムがあげられる。
【0072】
本発明の方法のある好ましい実施形態においては、ニッケルを、好ましくはNi(0)またはNi(II)を含む触媒、特にニッケル(II)塩の形のニッケルを含む触媒が使用される。好適な塩は上述の通りである。ニッケル(II)ハロゲン化物、特にNiCl2を、本発明の方法の触媒とし使用することが特に好ましい。
【0073】
これらの触媒は、それぞれ使用する金属量として、式(II)の単位を一個以上含むハロゲン化オリゴマー状またはポリマー状のシロキサン中のハロゲンのモル当量の0.01〜1モル当量の量で使用される。
【0074】
本発明の方法においては、使用触媒が少量でも、式(II)の単位を一個以上有するハロゲン化オリゴマー状またはポリマー状のシロキサンの相当するホスホン酸基を含み式(I)の単位を一個以上含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンへの変換はほぼ完全に進行し、通常、ホスホン酸基で修飾されたオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンが得られる。
【0075】
使用する触媒の正確な量は、特にホスホニル化をシリルホスファイトで行うかアルキルホスファイトで行うかにより、または触媒中で用いられる金属により変動する。
【0076】
ホスホニル化をシリルホスファイトを用いる本発明の方法で行う場合、もしニッケル含有触媒を使用するなら、使用触媒の量は、式(II)の単位を一個以上含むハロゲン化オリゴマー状またはポリマー状のシロキサン中のハロゲンのモル当量に対して、好ましくは0.01〜0.2モル当量、特に好ましくは0.01〜0.1モル当量である。
【0077】
シリルホスファイトをホスホニル化に用いてパラジウム含有触媒を使用する場合には、使用する触媒量は、式(II)の単位を一個以上含むハロゲン化オリゴマー状またはポリマー状のシロキサン中のハロゲンのモル当量に対して、0.025〜0.5モル当量である。
【0078】
本発明の方法においてアルキルホスファイトがホスホニル化に使用される場合、好ましいニッケル触媒の量は、好ましくは式(II)の単位を一個以上含むハロゲン化オリゴマー状またはポリマー状のシロキサン中のハロゲンのモル当量に対して0.05〜0.5モル当量であり、特に好ましくは0.05〜0.2モル当量である。
【0079】
本発明の方法において、窒素非含有の溶媒が溶媒として使用される。単一溶媒を使用しても、混合溶媒を使用してもよい。上記の窒素非含有溶媒または窒素非含有溶媒の混合物の沸点は、好ましくは150℃を超える。適当な溶媒は、ジフェニルエーテル類、ベンゾフェノン、ジフェニルスルホン、スルホラン、これらの化合物のアルキルあるいはアルコキシ置換体、特にメチル−、エチル−、プロピル−、ブチル−、メトキシ−、エトキシ−、プロポキシ−、ブトキシ置換体;脂肪族の、部分的に芳香族の、芳香族のオリゴエーテル類及びポリエーテル類;脂肪族の、部分的に芳香族の、芳香族のp−ジケトン、例えばアセチルアセトンやアセチルベンゾフェノン−1,3、H−ジフェニルプロパン−1,3−ジオン、およびこれらの化合物のアルキル−、アルコキシ−、アリールおよびアリーロキシ置換体;脂肪族の、部分的に芳香族の、芳香族のケトエーテル類、およびこれらの化合物のアルキル−、アルコキシ−、アリール−、アリーロキシ置換体;脂肪族の、部分的に芳香族の、芳香族カルボン酸エステル類、脂肪族の、部分的に芳香族の、芳香族のカーボネート類、およびこれらの化合物のアルキル−、アルコキシ−、アリールおよびアリーロキシ置換体;および上述の溶媒の混合物からなる群から選ばれる。好ましい溶媒としては、ベンゾフェノン、ジフェニルエーテルとジフェニルスルホン、および、これらの化合物のジメチル−、エチル−、プロピル−、ブチル−、メトキシ−、エトキシ−、プロポキシ−、ブトキシ置換体があげられる。ジフェニルエーテルとベンゾフェノンが極めて好ましい。
【0080】
本発明によれば、本発明の方法の反応温度は150℃を超える。本発明の方法は、好ましくは150〜250℃の温度で、特に好ましくは170〜250℃、極めて好ましくは190〜250℃の温度で実施される。
【0081】
この溶媒の、本発明の方法で用いられる式(II)の単位を一個以上有するハロゲン化オリゴマー状またはポリマー状のシロキサンに対する比率は、通常5〜300重量%であり、好ましくは5〜200重量%、より好ましくは5〜100重量%、より好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは5〜25重量%である。
【0082】
式(II)の単位を一個以上有するハロゲン化オリゴマー状またはポリマー状のシロキサンをホスホニル化する本発明の方法の好ましい実施形態を、下に例示する。ホスホニル化を行うに当たり、式(II)の単位を一個以上有するハロゲン化オリゴマー状またはポリマー状のシロキサンと、触媒、好ましくは上述の触媒の一つ、特に好ましくはニッケル又はパラジウム含有触媒とを、上述の量で、十分に大きな反応器、好ましくはガラス反応器に投入し、上述の温度で長時間、例えば2〜4時間、混合物上に窒素を流ながら水分を除く。このガス流は、好ましくは反応期間を通して流すことが好ましく、結果として揮発性反応生成物の除去ができる。所望量の溶媒を添加後(好適な量と溶媒については上述のとおりである)、上述の温度で混合して溶液を得る。次いで、リン成分を、即ちシリルホスファイト及び/又はアルキルホスファイト(好ましいシリルホスファイトとアルキルホスファイトは上述の通りであり、トリス(トリメチルシリル)ホスファイトまたはトリエチルホスファイトが極めて有用である)を上記の均一な混合物に滴加する。その速度は、混合物の全量が、15〜60分間で、特に好ましくは30〜45分間で添加される速度である。滴加開始後に加熱なしで色変化が見られないなら、適当なら、色変化が現れるまで上述の温度範囲で、反応温度をさらに上げてもよい。一般に、外観上の色変化は、激しい発泡と、N2流により反応容器から排出される無色の液体を伴う。通常1〜12時間、好ましくは1〜8時間、特に好ましくは1〜4時間の反応の後に、反応混合物を少し(上述の温度範囲内で)冷却し、その温度で、通常4〜24時間、好ましくは4〜12時間、特に好ましくは4〜8時間維持する。
【0083】
反応の終了後、混合物を適当な低沸点溶媒、例えばテトラヒドロフランにより抽出し、溶媒を除去し、反応残渣と触媒をアルコール、好ましくはメタノール中で沈殿させる。シリルホスファイトをホスホニル化に用いる場合、このシリルエステルは、一般にアルコール分解により同時に分解されてホスホン酸を与える。この目的に使用されるアルコールの量は、一般的には混合物の重量の3〜20倍である。例えば、アルコール分解浴を、0.1〜5体積%の強い鉱酸、好ましくは濃塩酸、HBrまたは希硝酸で酸性化することで、触媒の除去効率を上げることができる。通常15〜240分間後、好ましくは30〜180分間後、特に好ましくは30〜120分間後に、このアルコールを交換し、この操作を数回、例えば3〜10回繰り返す。超音波の同時処置で、この精製及びアルコール分解工程の効率を上げることができ、あるいは0.1〜5体積%の強鉱酸、好ましくは上記の強鉱酸を含む弱酸性のアルコールで、通常4〜96時間、好ましくは12〜48時間、混合物をソックスレー抽出することでこの効率を上げることができる。シリルホスファイトによるホスホニル化の場合には、上記の精製とエステル切断の同時プロセス以外に、他の精製およびエステル切断の可能性もある。例えば、反応生成物を適当な溶媒と酸性の沈殿剤中で溶解と沈澱を繰返すことで、精製とエステル切断を同時に行うことが可能である。
【0084】
式(II)の単位を一個以上有するハロゲン化オリゴマー状またはポリマー状のシロキサンは、一般的には、相当るオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンをハロゲン化剤と反応させることにより製造される。好ましいオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンは、一般式(VII)
【0085】
【化11】

【0086】
(式中、
y及びy’は、それぞれ相互に独立して、次式で表され、
【0087】
【化12】

【0088】
A’’と、A1’’、A2’’、A3’’は、それぞれ相互に独立して、次式で表され、
【0089】
【化13】

【0090】
B’’と、B1’’、B2’’、B3’’は、それぞれ相互に独立して、次式で表され、
【0091】
【化14】

【0092】
x、y、
x’、y’、
x’’、y’’、
x’’’、y’’’は、それぞれ相互に独立して、次式で表され、0、1または2であり(但し、(x’+y’)、(x’’+y’’)、(x’’’+y’’’)の合計は、それぞれ3以下である)、
kは、2より大きな整数であり、
k’とk’’とk’’’、それぞれ0〜4、好ましくは0〜2、特に好ましくは0であり、
1は、必要に応じて一個以上の他の置換基及び/又は一個以上のヘテロ原子を有していてもよい二価または多価の芳香族基であり、
2は、必要に応じて一個以上の他の置換基及び/又は一個以上のヘテロ原子を有していてもよいアリールまたはアルキル基であり、
y及びy’は、Si原子、A3基、又はO原子を経由して、又はSi原子またはA2基を経由して、それぞれ一般式Iの化合物類のSi原子に結合していてもよい)
で表される単位を有している。
【0093】
好ましい指数、x、x’、x’’、x’’、y、y’、y’’、y’’’およびk、k’、k’’、k’’’、また好ましい基R1とR2は、前述の通りである。
【0094】
一般式(VII)の化合物のハロゲン化は、一般的には−20〜140℃の温度で、好ましくは20〜140℃、特に好ましくは25〜100℃の温度で実施される。このハロゲン化は、通常不活性溶媒中で実施される。好適な不活性溶媒としては、例えばアルキルカルボン酸、塩素化炭化水素類、および硫酸やアルキルスルホン酸またはこれらの混合物などの無機酸である。
【0095】
好適なハロゲン化剤は、当業者には公知である。臭素化またはヨウ素化を行うことが好ましい。好ましい臭素化剤としては、元素状臭素や、N−ブロモスクシイミドまたはジブロモイソシアヌル酸などのN−臭素化合物が上げられる。
【0096】
ハロゲン化剤を作用させる時間、ハロゲン化剤のオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンとのモル比及び温度により、好ましいハロゲン化度にコントロールすることができる。一般に、ハロゲン化度は、25〜150%、好ましくは50〜125%、特に好ましくは50〜100%に設定される。
【0097】
ハロゲン化度、特に臭素化度は、従来法、例えば重量法、NMRスペクトロスコピーまたは元素分析により決めることができる。これらの方法は当業者には公知である。
【0098】
得られる反応混合物中の臭素化シロキサンと溶媒の量は、一般的には0.1〜99.9重量%のシロキサンで、0.1〜99.9重量%の溶媒である。
【0099】
反応混合物中のシロキサンの比率は、好ましくは3〜95重量%であり、通常少なくとも80重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%の、高シロキサン含有率が特に好ましい。
【0100】
出発化合物として用いられるオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン、好ましくは一般式(VII)の単位を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンは、当業者には公知の方法により、反応性ケイ素化合物の縮合により製造される。得られるオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン、特に得られる一般式(VII)の単位を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンの構造、重合度、及び均質性は、使用する溶媒や、出発原料として使用する反応性ケイ素化合物、温度や濃度、使用する触媒、縮合対象物の種類とモル比により大きな影響を受ける。オリゴマー状またはポリマー状のシロキサンの製造に適当な方法が、例えば、J. Inorg. Organomet. Poly., 2001, 11 (3), 123 to 154; J. Inorg. Organomet. Poly., 1998, 8(1), 1 to 21; Inorg. Chem., 30, 5, 1991, 881 to 882; J. Mater. Chem., 2000, 10, 1811 to 1818; Chem. Commun., 1999, 81 to 82; US 3,000,858; J. Organomet. Chem. 1989, 379, 33 to 40; J. Chem. Soc, Dalton Trans., 2003, 2945 to 2949; Poly. J., 1997, 29(8), 678 to 684; J. Chem. Soc. Dalton Trans., 1999, 1491 to 1497; J. Am. Chem. Soc., 1964, 86, 1120 to 1125に開示されている。
【0101】
[フェニル−SiO1.58 (J. Am. Chem. Soc. 1994, 86, 1120-1125に準じて調整)の臭素化方法を、以下に例示する。テトラクロロエタンに分散したあるいは高温で1,2,4−トリクロロベンゼンに溶解したオリゴマー状のシロキサン[フェニル−SiO1.58に、不活性の溶媒で希釈した元素状臭素を、室温から還流温度の温度で撹拌しながら添加して、臭素化させた。臭素化度は、特定の臭素/シロキサンモル比への設定や温度及び反応時間により調整できる。反応を停止するのに、冷たい、アセトン、メタノールまたはi−ヘキサンまたはこれらの混合物などの非溶媒中でこの混合物を沈殿させ、減圧濾過し、少量の炭素原子数が1〜6の脂肪族アルコール、好ましくはメタノールを用いて、好ましくは臭素がなくなるまで洗浄し、乾燥させた。
【0102】
上述の方法による臭素化度は、当業者には公知の方法で、例えば1H−NMRや、CまたはBr含量の元素分析、MALDI−TOFなどの質量分析により決めることができる。
【0103】
本発明の方法の工程(i)において、式(II)の単位を一個以上有するハロゲン化オリゴマー状またはポリマー状のシロキサンはシリルホスファイト及び/又はアルキルホスファイトによりホスホニル化され、相当するシリルホスホネート及び/又はアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンを与える。したがって、本発明は、本発明の方法により製造されるシリルホスホネート及び/又はアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンを提供する。
【0104】
本発明のホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンの製造において、得られるシリルホスホネート基及び/又はアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンは、エステル切断により相当するホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンに変換される。このエステル切断は、当業者には公知の方法により行われ、シリルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンは、通常、相当するアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンよりは温和な条件下で、相当するホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンに変換される。シリルホスホネート基を切断する方法は、上述の通りである。
【0105】
したがって、本発明はさらに、ホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンの製造方法であって、以下の工程;
(i)式(II)で示される単位を一個以上含むハロゲン化オリゴマー状またはポリマー状のシロキサンのホスホニル化する工程、
(工程(i)は上述の通りである)
(ii)相当するホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンを
(iia)シリルエステルからアルコール分解により、
または、
(iib)アルキルエステルからエステル切断/熱分解/高温加熱分解または濃酸
による酸分解により、
遊離する工程、
を含む方法を提供する。
【0106】
工程(iia)アルコール分解後の相当するシリルエステルからの相当するホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンの遊離
シリルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンのアルコール分解は、当業者に公知の方法で行われる。相当するシリルエステルからの相当するホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンの遊離は、アルコールだけではなく、酸性水素原子を持つ他の有機化合物、あるいは水によっても実施可能である。しかしながら、ある好ましい実施形態においては、この遊離を、アルコール、好ましくはメタノールを用いて行なう。
【0107】
ある好ましい実施形態においては、工程(iia)におけるアルコール分解での相当するシリルエステルからの相当するホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンの遊離を、ホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンの精製と同時に行うことができる。アルコール分解による相当するシリルエステルからのホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンの遊離と相当するホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンの精製とを同時に行う工程(iia)のある好ましい実施形態を以下に述べる。
【0108】
本発明の方法ホスホニル化(工程(i))の終了後、シリルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンを含む反応混合物を、通常、適当な低沸点溶媒、例えばテトラヒドロフランで抽出し、溶媒を除去し、反応残渣と触媒を水または酸性水素原子を有する有機化合物、例えばアルコール、好ましくはメタノールで沈殿させる。この間に、シリルエステルは同時に切断されて相当するホスホン酸を与える。この目的で使用されるアルコールの量は通常、反応に用いるシリルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンの重量の3〜20倍である。0.1〜5体積%の強鉱酸、好ましくは濃HCl、HBrまたは希HNO3を使用して反応混合物を酸性化させることで、触媒の除去効率を改善することができる。この酸性水素原子を有する有機化合物、好ましくはアルコール、特に好ましくはメタノールを、通常30〜120分間後に交換し、上記のプロセスを好ましくは3〜10回繰り返す。超音波の併用により、あるいはメタノールなどの弱酸性のアルコールとHCl、HBrまたはHNO3の併用しながらの、通常12〜48時間の反応混合物をのソックスレー抽出の併用により、この精製・アルコール分解工程を強化することも可能である。本発明の方法の同時精製・エステル切断工程(iia)を行う他の可能性のある方法は、反応生成物を、適当な溶媒と酸性の沈殿剤を用いて溶解・沈澱を繰り返すことである。好適な溶媒の例としては、ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)およびこれらの混合物があげられ、適当な沈殿剤としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびこれらの混合物があげられる。得られた精製後のホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンは、通常50〜100℃で減圧下で乾燥して、抽出剤から分離される。
【0109】
工程(iib)エステル切断/熱分解/高温加熱分解によるまたは濃酸による酸分解による、アルキルエステルから相当するホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンの遊離
このアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンのエステル切断は、当業者により公知の方法で行われる。アルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンを、通常、保護用ガス(例えば窒素)下で酸素を排除しながら、250−400℃、好ましくは270−375℃、極めて好ましくは275−330℃で加熱する。アルキルエステルのエステル切断の反応時間は、通常10分間〜4時間、好ましくは15分間〜3時間、特に好ましくは30分間〜1時間である。
【0110】
通常エステル切断に続いて、本発明のホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンの精製が行われる。精製は、当業者には公知の方法で、例えばオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンのTHFなどの低沸点溶媒ヘの溶解と水またはメタノール中での再沈殿で行われる。精製の後、得られた精製後の本発明のホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンは、通常50〜100℃の温度で減圧下で乾燥される。
【0111】
高温でのエステル切断に代えて、濃酸による酸分解により、相当するアルキルエステルからホスホン酸基を含む本発明のオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンを遊離させてもよい。好適な濃酸は、好ましくは濃いハロゲン化水素である。酸分解を行うには、相当するアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンを溶媒に溶解する。次いで、濃酸、好ましくは濃いハロゲン化水素を添加する。濃酸の量は35〜48重量%である。酸分解は還流温度で実施される。酸分解の反応時間は、通常2〜48時間、好ましくは4〜24時間である。酸分解後に得られた本発明のホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンは、酸分解後に精製される。好適な精製方法は、当業者には公知である。
【0112】
得られた精製後の本発明のホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンは、通常50〜100℃の温度で減圧下で乾燥される。
【0113】
一般に、相当するシリルエステルまたはアルキルエステルの60%超が、好ましくは70%超、特に好ましくは80%超、極めて好ましくは90%超が、本発明の方法の工程(II)において切断される。工程(II)後の反応生成物は、したがって、一般的には60%を超える、好ましくは70%を超える、特に好ましくは80%を超える、極めて好ましくは90%を超えるホスホン酸基を含み一般式(I)の単位を一個以上含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンを有している。
【0114】
したがって、本発明は、さらに、本発明の方法で製造されるホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンを提供する。
【0115】
本発明のホスホン酸基を含み式Iの単位を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン及び/又は本発明のシリルホスホネート基またはアルキルホスホネート基を含むシロキサンは、膜、フィルムまたは複合物の製造に利用できる。本発明のホスホン酸基を含み式Iの単位を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン及び/又は本発明のシリルホスホネート基またはアルキルホスホネート基を含むシロキサンは、好ましくは膜の製造に使用される。これらのプロトン伝導膜は、燃料電池の膜または分離膜、例えば選択的透過膜として、水の脱塩、排水処理、透析またはイオン抽出または保持、または電解または電気化学電池のセパレーターに使用可能である。
【0116】
したがって、本発明はさらに、本発明の少なくとも一種のホスホン酸基を含むシロキサン及び/又は少なくとも一種の本発明のシリルホスホネート基またはアルキルホスホネート基を含むシロキサンを含む膜、フィルム、および複合化物を提供する。
【0117】
本発明のホスホン酸基を含み式Iの単位を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン及び/又は本発明のシリルホスホネート基またはアルキルホスホネート基を含むシロキサンは、例えばポリマー混合物の形で、他の化合物とともに使用することもできる。これらのポリマー混合物は、上述のように、膜やフィルムまたは複合化物の製造に好適である。本発明のホスホン酸基を含み式Iの単位を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン及び/又は本発明のシリルホスホネート基またはアルキルホスホネート基を含むシロキサンは、プロトン伝導性や水保持性の向上や動作温度の上昇のための膜添加物として特に有用であり、これは特に燃料電池膜用として興味がある。
【0118】
ポリマー混合物用の好適な材料は、未官能ポリマーである。本発明の目的において、「未官能ポリマー」とは、ナフィオン(登録商標)またはフレミオン(登録商標)(カルボン酸高分子電解質)などのパースルホン化やスルホン化、カルボキシル化されている(イオン性の)ポリマー、あるいは適当な基、例えば−SO3H基または−COOH基で官能化した、十分なプロトン伝導性を持つポリマーではないポリマーをさす。本発明の目的に使用可能なこれらの未官能ポリマーは、本発明のポリマー系が使用される用途において安定である限り、特に限定されない。燃料電池での利用が望ましい場合、最高100℃まで、好ましくは200℃以上まで熱的に安定であり非常に高い化学安定性を持つポリマーを使用すべきである。
【0119】
使用が好ましいのは、以下のポリマーである。
【0120】
−ポリイミド、ポリスルホン、ウルトラソン(登録商標)などのポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリベンゾチアゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリアミド、ポリ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキシドなどのポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフイド、ポリフェニレンなどの、芳香族の主鎖含有ポリマー;
−テフロン(登録商標)やPVDFなどのフッ素化された主鎖を持つポリマー;
−ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、ポリブタジエンカーボネートまたはポリビニリデンカーボネートなどのポリカーボネート、または、特にWO98/44576に記載されているポリウレタンなどの熱可塑性ポリマー類またはコポリマー;
−架橋ポリビニルアルコール;
−以下のビニルポリマー
−−スチレンまたはメチルスチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、N−メチルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、酢酸ビニル、フッ化ビニリデンなどのポリマー及びコポリマー
−−塩化ビニルと塩化ビニリデン、塩化ビニルとアクリロニトリル、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー;
−−フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンと、
フッ化ビニルとテトラフルオロエチレンとトリフルオロエチレンからなる基から選ばれる化合物の3元重合体、
(このようなポリマーが、例えば、US5,540,741に開示され、その開示内容は引用により本出願特許に援用される);
−フェノールホルムアルデヒド樹脂、ポリトリフルオロスチレン、ポリ−2,6−ジフェニル−1,4−フェニレンオキシド、ポリアリールエーテルスルホン、ポリアリーレンエーテルスルホン、ホスホン化されたポリ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキシド;
−以下の化合物のホモポリマーやブロックポリマーやコポリマー:
−−エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブテン、プロペン、ヘキセンまたはこれらの高級同族体、ブタジエン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン、ビニルシクロヘキサンなどのオレフィン系の炭化水素
−−アクリル酸またはメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル、ベンジル、トリフルオロメチルまたはヘキサフルオロプロピルエステルなどのエステル、またはテトラフルオロプロピルアクリレートまたはテトラフルオロプロピルメタクリレート、
−−メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル、ベンジル、トリフルオロメチルのビニルエーテル、またはヘキサフルオロプロピルまたはテトラフルオロプロピルビニルエーテル;
−ポリ(p−フェニルキノキサリン)やポリ(ベンズイミダゾール)などの塩基性の窒素含有ポリマー。
【0121】
原則的には、これらの未官能ポリマーはすべて架橋状ででも未架橋状ででも使用できる。また、上記のポリマーを混合して用いることもできる。混合物の対象として特に好ましい未官能ポリマーは、例えばポリイミド、ポリスルホン、ウルトラソン(登録商標)などのポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン類(PEEK)などのポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリベンゾチアゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリアミド、ポリ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキシドなどのポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフイド、ポリフェニレンなどの芳香族の主鎖をもつポリマー類である。極めて好ましいのは、ポリスルホン類とポリエーテルスルホン類である。
【0122】
本発明のシロキサンホスホン酸基を含む及び/又はシリルホスホネート基またはアルキルホスホネート基を含むシロキサンを、一種以上の他の官能化ポリマーとともに用いてもよい。この目的のためには、官能化ポリマーは、イオン伝導性の、特にプロトン伝導性のポリマーである。これらのポリマーは、塩基性ポリマーであっても酸性ポリマーであってもよい。好ましい酸基を有するプロトン伝導性ポリマーは、スルホン酸基、ホスホン酸基及び/又はカルボン酸基を含むポリマーである。本目的のためには、スルホン酸、カルボン酸及び/又はホスホン酸基は、以下の式で表される基である:−SO3X、−COOX、および−PO32。式中、Xは、H、NH4+、NH3+、NH23+、NHR3+またはNR4+であり、Rはいかなる基であってもよく、好ましくはアルキル基であり、この基は、燃料電池で通常使用される条件下でプロトンを放出可能な一種以上の他の基をさらに有していてもよい。これらのポリマーは、当業者には公知であり、市販されているか当業者より公知の方法で製造できる。好適な官能化ポリマーが、例えば、WO2004/076530、EP−A0574791、EP−A0008895、EP−A0575807、WO02/077068、WO03/054991、JP2000294033A2、JP2001233974A2、およびJP2002025580に開示されている。好ましい塩基性のポリマーは、ポリ(ベンズイミダゾール)、ポリ(p−フェニルキノキサリン)またはこれらの混合物である。これらのポリマーは、当業者には公知であり、市販されているか、当業者より公知の方法で製造できる。
【0123】
好ましい官能化ポリマーは、例えば、デュポンのナフィオン(登録商標)などのパーフルオロ化スルホン化炭化水素類や、ポリエーテルエーテルケトン類(SPEEK)などのスルホン化ポリアリールエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルケトン(SPEK)、スルホン化ポリエーテルケトンケトン(SPEKK)、スルホン化ポリエーテルエーテルケトンケトン(SPEEKK)、スルホン化ポリアリーレンエーテルスルホン、スルホン化ポリベンゾビスベンズアゾール、スルホン化ポリベンゾチアゾール、スルホン化ポリベンズイミダゾール、スルホン化ポリアミド、スルホン化ポリエーテルイミド、ポリ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキシドなどのスルホン化ポリフェニレンオキシド、スルホン化ポリフェニレンスルフイド、スルホン化フェノールホルムアルデヒド樹脂(直鎖又は分岐鎖)、スルホン化ポリスチレン(直鎖又は分岐鎖)、スルホン化ポリフェニレンなどのスルホン化芳香族ポリマー類、および他のスルホン化芳香族のポリマー類からなる群から選ばれるスルホン酸基含有ポリマーである。
【0124】
上記のスルホン化芳香族のポリマー類は、部分的にフッ素化されたりパーフルオロ化されたりしていてもよい。他のスルホン化ポリマー類としては、ポリビニルスルホン酸類や、アクリロニトリルと2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、アクリロニトリルとビニルスルホン酸、アクリロニトリルとスチレンスルホン酸、アクリロニトリルとメタクリルオキシエチレンオキシプロパンスルホン酸、アクリロニトリルとメタクリルオキシエチレンオキシテトラフルオロエチレンスルホン酸などのコポリマーなどがあげられる。これらのポリマーも、部分的にフッ素化されていてもパーフルオロ化されていてもよい。他の好適なスルホン化ポリマーとしては、ポリ(スルホフェノキシ)ホスファゼンまたはポリ(スルホエトキシ)ホスファゼンなどのスルホン化ポリフォスファゼンがあげられる。これらのポリフォスファゼンポリマーも、部分的にフッ素化されていてもパーフルオロ化されていてもよい。スルホン化ポリフェニルシロキサン類およびこれらのコポリマー類や、ポリ(スルホアルコキシ)ホスファゼン類、ポリ(スルホテトラフルオロエトキシプロポキシ)シロキサン類も好適である。
【0125】
好適なカルボン酸基を有するポリマーの例としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、およびこれらのコポリマーがあげられる。好適なポリマーは、例えば、ビニルイミダゾールまたはアクリロニトリルとのコポリマーである。これらのポリマーもまた、部分的にフッ素化されていてもパーフルオロ化されていてもよい。
【0126】
好適なホスホン酸基を含むポリマーとしては、例えば、ポリビニルホスホン酸、ポリベンズイミダゾールホスホン酸、ポリ−2,6−ジメチルフェニレンオキシドなどのポリフェニレンオキシドのホスホン化物があげられる。これらのポリマーは、部分的にフッ素化されていてもパーフルオロ化されていてもよい。
【0127】
また、本発明のホスホン酸基を含み式Iの単位を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン及び/又は本発明のシリルホスホネート基またはアルキルホスホネート基を含むシロキサンを、例えばWO99/54389とWO00/09588に開示されているように、酸/塩基混合物とともに使用してもよい。これらは通常、WO99/54389に開示のようなスルホン酸基を含むポリマーと第一級、第二級または第三級のアミノ基を有するポリマーとからなるポリマー混合物か、側鎖に塩基性基を含むポリマーと、スルホネート基、ホスホネート基またはカルボキシレート基(酸または塩)を含むポリマーとを混合して得られるポリマー混合物である。好適なスルホネート基、ホスホネート基またはカルボキシレート基を含むポリマーは、上述の通りである(スルホン酸基、カルボン酸基またはホスホン酸基を含むポリマーを参照)。側鎖に塩基性基を含むポリマーは、有機金属化合物類により脱プロトン化可能なアリール主鎖のエンジニアリングポリマーを、アリーレン含有N−塩基性基で側鎖修飾することのより得られるポリマーであり、第三級の塩基性N基を含有する芳香族ケトンあるいはアルデヒド(例えば、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、チアゾール、オキサゾールなどの三級アミンまたは塩基性のN含有複素芳香族化合物)が、メタル化されたポリマーにより結合する。なお、中間体としてできる金属アルコキシドは、他の工程で、水でプロトン化されるか、ハロアルカンでエーテル化される(WO00/09588)。
【0128】
本発明のホスホン酸基を含み式Iの単位を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン及び/又は本発明のシリルホスホネート基またはアルキルホスホネート基を含むシロキサンを、複数の上述の官能化ポリマーとともに使用することもできる。また、これらの混合物は、さらに一種以上の未官能ポリマーを含んでいてもよい。好適な未官能ポリマーは上述した。
【0129】
混合物の対象物として特に好ましい官能化ポリマーは、スルホン酸基を含むポリマーであり、その好適なポリマーは上述のスルホン酸基を含んでいる。極めて好ましいのは、本発明の少なくとも一種のホスホン酸基を含むシロキサン、及び/又は少なくとも一種のシリルホスホネート基またはアルキルホスホネート基を含むシロキサン、および少なくとも一種の官能化ポリマー、好ましくはスルホン化ポリマーを含む混合物である。極めて好ましいスルホン化ポリマーは、スルホン化ポリ(エーテルエーテルケトン)、ポリ(フェニルスルホン)、ポリ(スルホン)、およびポリ(エーテルスルホン)からなる群から選ばれる。他の混合物対象物として好ましく使用される官能化ポリマーとしては、塩基性ポリマー類、ポリ(ベンズイミダゾール)、ポリ(p−フェニルキノキサリン)またはこれらの混合物や誘導体類があげられる。これらは、本発明のホスホン酸基を含み式(I)の単位を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン及び/又は本発明のシリルホスホネート基またはアルキルホスホネート基を含むシロキサンとともに、酸/塩基混合物を形成する。
【0130】
これらのポリマー混合物は、一般的には、0.1〜95重量%の、好ましくは1〜25重量%の本発明のホスホン酸基を含み式Iの単位を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン及び/又は本発明のシリルホスホネート基またはアルキルホスホネート基を含むシロキサンを含み、一般的には99.9〜5重量%、好ましくは75〜99重量%の他の少なくとも一種のポリマーを含む。
【0131】
本出願は、したがってさらに、本発明の少なくとも一種のホスホン酸基を含むシロキサン及び/又は少なくとも一種のシリルホスホネート基またはアルキルホスホネート基を含むシロキサン、および少なくとも一種の他のポリマー、好ましくは少なくとも一種の他の官能化ポリマーを含む混合物を提供する。
【0132】
好ましいホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン、シリルホスホネート基またはアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン、および好ましい他のポリマー類は、上述の通りである。
【0133】
驚くべきことに、少なくとも一種のホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンまたは少なくとも一種のシリルホスホネート基またはアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンと、少なくとも一種の他の官能化ポリマーとの混合物を使用することで、優れたイオン伝導性を持つ膜や、上記の官能化ポリマー類の個々の性能の合計を超える優れた性能をもつ燃料電池が得られることが明らかとなった。
【0134】
本発明の少なくとも一種のホスホン酸基を含むシロキサン及び/又は少なくとも一種のシリルホスホネート基またはアルキルホスホネート基を含むシロキサンを含む膜は、当業者には公知の方法で生産できる。好適な製造方法が、例えばUS6,828,407B2に記載されている。
【0135】
本発明の少なくとも一種のホスホン酸基を含むシロキサン及び/又は少なくとも一種のシリルホスホネート基またはアルキルホスホネート基を含むシロキサンを含む膜の好ましい製造方法を以下に述べる。
【0136】
本発明のホスホン酸基を含み式Iの単位を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン及び/又は本発明のシリルホスホネート基またはアルキルホスホネート基を含むシロキサンを含むホスホン酸高分子電解質膜、または添加物の形で本発明のシロキサンを含むホスホン酸高分子電解質膜は、一般的には、ホスホン酸シロキサンを有機溶媒中に溶解又は分散し、好ましくは濾過した溶液または混合物を適当な表面に塗布するか担体材料をそれに含浸させ、次いで、溶媒を部分的あるいは完全に蒸発させて生産される。可溶性のまたは均一分散性の添加物を、例えば他の高分子電解質や、安定剤、充填剤、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)などのポロゲン(空孔の鋳型)を、好ましくは濾過されたポリマー溶液に添加し、続いて膜に加工することも可能である。溶媒は、溶解力とホスホン酸系芳香族ポリマーに対する活性の低さにより選択され、例えば、ジクロロメタンやクロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの塩素化炭化水素類、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、エチレングリコールメチルエーテルや、エチレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルなどのアルキレングリコールアルキルエーテル類、メタノールやエタノール、プロパノールなどのアルコール類、および好ましくはN−ジメチルホルムアミドや、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド型の非プロトン性極性溶媒が上げられ、特に好ましくはN−メチルピロリドン及びこれらの溶媒の混合物があげられる。
【0137】
有機溶媒中での溶解度の改善、特に高度に官能化したホスホン酸シロキサンの溶解度の改善は、例えば、均一な溶液の形成を妨げない限り、0.05〜2体積%の強酸を溶媒に添加して行われる。使用する酸は、濃いハロゲン化水素、例えばHClまたはHBrの水溶液、または濃硫酸または濃硝酸、またはアルキルスルホン酸やトリフルオロ酢酸などの強い有機酸である。
【0138】
ポリマー溶液が塗布可能な表面としては、例えば、ガラス、シラン化により疎水化したガラスやプラスチックフィルム、担体材料としてのプラスチックメッシュ、多孔性のポリマー膜、他の適当な強化用、柔軟化用、靭性強化用基材などがあげられる。
【0139】
上述のようにポリマー溶液を表面上に塗布後あるいは基材を上述のように含浸させた後に、溶媒を通常0〜150℃の温度で蒸発させて完全にまたは部分的に除去する。通常、乾燥温度と時間を十分にとり溶媒をほとんど除去すると、形態的に構造化されていない均質な膜が得られる。
【0140】
フィルム内の溶媒の残存量は、選ばれる乾燥温度と時間により影響を受ける。残留溶媒を含むフィルムまたは複合化物を、溶媒と混合可能で高分子電解質を溶解しない沈澱浴に浸漬することにより、表面多孔性で非対称な膜の形態を形成することができる。このようにして得られる多孔性構造物の特徴や形態は、残留溶媒の含量や沈殿浴とその温度の選択により影響を受ける。
【0141】
耐化学薬品性や機械的強度、柔軟性、膜の分離能に悪影響を及ぼさない限り、得られる膜構造は、イオンの捕捉のためにあるいは膜の電極層との接触のために必要な表面積の増加に、またプロトン伝導性に正の影響を持つ高分子/低分子物質の、例えば酸性の高分子電解質、多価金属ホスフェート、金属ホスホネート、多価金属スルホンホスホネート、高温での水保持を促進するシリケートまたは酸官能化シリケートなどの物質の沈殿のための微細な中空空間として利用できる。
【0142】
生産された膜の厚みは、用いるポリマー電解液の濃度、塗布すうポリマー溶液の厚み、また用いる担体材料の厚みに影響を受けるが、非常に薄い膜がプロトン伝導性の増加のために好ましい。燃料電池膜に用いる膜の厚みは1〜200μmが好ましく、適当な機械的強度と拡散バリア活性を保持したまま、非常に高いプロトン伝導を持つように選択される。
【0143】
したがって、本発明はまた、本発明の少なくとも一種のホスホン酸基を含むシロキサン及び/又は少なくとも一種のシリルホスホネート基またはアルキルホスホネート基を含むシロキサンを含む膜、フィルムまたは複合化物、あるいは本発明に係る本発明の少なくとも一種のホスホン酸基を含むシロキサン、及び/又は少なくとも一種のシリルホスホネート基またはアルキルホスホネート基を含むシロキサン、及び少なくとも一種の他のポリマーを含む混合物からなる膜、フィルムまたは複合化物を提供する。
【0144】
好ましいホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン、シリルホスホネート基またはアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン、および好ましい他のポリマー類は、前述のとおりである。
【0145】
これらの膜は、燃料電池に使用でき、また、分離膜、好ましくは選択的透過膜として水の脱塩や排水処理、透析、イオンの抽出や保持に使用できる。
【0146】
本発明はまた、少なくとも一種の膜または本発明の少なくとも一種のホスホン酸基を含むシロキサン及び/又は少なくとも一種のシリルホスホネート基またはアルキルホスホネート基を含むシロキサンまたは本発明の混合物を含む燃料電池を提供する。
【0147】
また、本発明は、本発明の膜の燃料電池中での利用を可能とする。
【0148】
ホスホン酸高分子電解質(即ち本発明のホスホン酸基を含み式Iの単位を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン及び/又は本発明のシリルホスホネート基またはアルキルホスホネート基を含むシロキサンまたは他のポリマーとの混合物)の他の用途は、多価金属の金属塩溶液、例えば水性塩化ジルコニルのZr(IV)塩溶液をこのような膜にその場でイオン架橋により作用させて、多価金属ポリホスホネート、例えばジルコニウム(IV)ポリホスホネートの形成させ、芳香族ポリホスホン酸膜や高分子電解質−ポリホスホン酸ブレンド膜の膨潤を抑制することである。
【0149】
驚くべきことに、本発明のホスホン酸高分子電解質膜(即ち、ホスホン酸基を含み式Iの単位を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン及び/又は本発明のシリルホスホネート基またはアルキルホスホネート基を含むシロキサン、または他のポリマーとの混合物)、特にブレンド膜(上述の混合物を含む)を、多価金属の塩水溶液、例えばZr(IV)塩溶液、特にZrOCl2溶液で処理することにより、この膜の膨潤をかなり大幅に抑制でき、また同時に伝導性を保持できることが、明らかとなった。
【0150】
したがって、本発明はさらに、本発明のホスホン酸基を含み式Iの単位を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン及び/又は本発明のシリルホスホネート基またはアルキルホスホネート基を含むシロキサンをその場でイオン的に架橋により作用させて芳香族のポリホスホン酸膜及び高分子電解質−ポリホスホン酸ブレンド膜の膨潤を抑制して、多価金属ポリホスホネート、例えばジルコニウム(IV)ポリホスホネート、芳香族のポリホスホン酸膜、多価金属ポリホスホネート、例えばジルコニウム(IV)ポリホスホネートを含む高分子電解質ポリホスホン酸ブレンド膜を形成することを可能とする。
【0151】
同様に、本発明の高分子電解質は、ポリ(ベンズイミダゾール)またはポリ(p−フェニルキノキサリン)などの塩基性窒素含有芳香族ポリマーを含むブレンド膜中の非移動性のポリホスホン酸成分となりうる。
【0152】
また、本発明のホスホン酸基を有するシロキサン及び/又はシリルホスホネート及び/又はアルキルホスホネート基を含むシロキサンは、金属イオン、好ましくはチタン、亜鉛、スズ、マグネシウム、ゲルマニウム、ジルコニウム、アルミニウム、ハフニウム、アルカリ土類金属、ロジウム、パラジウム、白金、金、銀、アクチニドなどから選ばれる金属イオンに結合することができる。
【0153】
したがって、本発明のシロキサンは、上述の金属イオンの抽出及び/又は結合のための耐熱性・耐酸化性のカチオン交換体として利用できる。また、本発明のシロキサンは、本発明のシロキサンのホスホン酸基を経由してまたはシロキサン骨格を経由して、金属イオンと複合体を形成でき、例えば有機合成において、触媒活性を持つ金属誘導体の担体として使用できる。本発明のホスホン酸基を含むシロキサンの他の利用分野は、有機合成における酸触媒としての利用である。本発明の好ましいアリールホスホン酸シロキサン型は、その芳香族性のため、耐熱性、フリーラジカル耐性、耐酸化性において、従来法により製造されるアルキルホスホン酸シロキサン型より優れている。
【0154】
本発明ではまた、本発明のホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン及び/又は本発明のシリルホスホネート基及び/又はアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンまたは本発明の混合物を、次の種類の物質、即ち金属やプラスチックやその他の材料、例えばアパタイトからなる群から選ばれる材料間の接触を促進・改善させるために使用することができ(なお、この接触の促進・改善は、単一種類の物質の複数の材料間でも及び/又は複数の種類の物質の材料間でも起こりうる)、また、例えば歯や骨のアパタイト表面や、プラスチックまたは金属性の移植片間の接触を促進・改善するのに使用できる。
【0155】
本発明はまた、本発明のホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン及び/又は本発明のシリルホスホネート及び/又はアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンまたは本発明の混合物の腐食防止金属塗料または金属表面と他の材料間の接着層としての用途での利用を可能とする。
【実施例】
【0156】
以下、本発明を実施例により説明する。
【0157】
実施例1:多面体オクタフェニルシルセスキシロキサンPOSS系ホスホン酸複合電解質の調製
多面体オクタフェニルシルセスキシロキサンphT8の調製(J.F. Brown, L.H. Vogt, andP.I. Prescott、JACS, 86, 1120-1125, 1964)
1000mlの蒸留水を、精密ガラス攪拌器と還流冷却器を備え、ガス洗浄瓶に連結された2lの三口フラスコに投入する。500mlのモレキュラーシーブ上で乾燥したベンゼンに溶解した105.8g(0.5mol)のフェニルトリクロロシラン(PTCS)を、滴下ロートより激しく攪拌しながら約15分間かけて添加する。これら二相を室温で2時間混合後、混合物を分液ロートに移し、水相を分離する。水相のpHが中性となるまで、200mlの蒸留水での水洗と水相の除去を繰返す。ベンゼン相を、1lの一口フラスコに移し、16.6mlの40%濃度のメタノール性トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシドと混合すると、直ちに透明な溶液から結晶性の白色固体の沈殿が見られる。90℃の温度のオイルバスで還流することで、沈殿物の量が肉眼でわかるほど増加する。4時間後、オイルバスを除き、混合物を室温で96時間静置し、次いでもう一度90℃で24時間還流させる。
【0158】
室温に冷却後、混合物をG3の磁性フリットでろ過し、多量の冷メタノールで洗浄する。得られる白色結晶は、特徴的なシリケート塩の形状を有し、100℃、減圧下で24時間乾燥する。
【0159】
得られる生成物を、以下phT8と称する。これは、テトラヒドロフラン、アセトン、ジメチルスルホキシド、メタノール、i−プロパノール、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタン、およびアセトニトリルに不溶である。この生成物は、約75℃に暖めるとN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、およびN,N−ジメチルホルムアミドに可溶であり、150℃に暖めると1,3,5−トリクロロベンゼン、ベンゾフェノン、ジフェニルスルホン、およびジフェニルエーテルに可溶である。
【0160】
収量:57.19g
(0.443molのフェニル−SiO1.5単位、理論値の88.5%に相当)
元素分析:
C:55.78%(計算値) 56.85%(測定値)
H:3.90%(計算値) 4.76%(測定値)
【0161】
臭素化多面体オクタフェニルシルセスキシロキサンbr−phT8−1の調製
20gのphT8(154.8mmolのフェニル単位)と40mlの1,1,2,2−テトラクロロエタン(TCE)を磁気攪拌器と滴下ロートと還流冷却器とを備え、ガス洗浄瓶に連結された、250mlの三口フラスコに投入する。混合物を、110℃に加熱されたオイルバスに入れ、40mlのTCE中に溶解した37.14g(232.3mmol)の元素状臭素を激しく攪拌しながら約15分間かけて添加する。臭化水素が速やかに発生し、臭素添加終了後約30分間で徐々に弱まる。初めの30分間で、当初白色である懸濁液が赤みがかった褐色の均一な溶液に変化する。臭素添加終了後、混合物を110℃でさらに90分間加熱する。
【0162】
室温に冷却後、残存する臭素を250mlのアセトンを添加して分解し、この混合物をロータリーエバボレータで蒸発乾固させる。得られる黄色みを帯びた粘稠な物質を、超音波浴中で15分間それぞれ100mlのシクロヘキサンを用いて三回洗浄し、減圧下で乾燥し、約100mlのテトラヒドロフランに溶解する。約1lの水を添加すると、淡黄色の粘稠なペースト状物質が沈殿し、これからロータリーエバボレータでTHFを除去すると、硬い塊となる。固形分を濾過し、乾燥し、乳鉢で粉砕し、最後に100mlのシクロヘキサンで洗浄する。
【0163】
120℃、減圧下で乾燥して得られる薄黄色の粉末は、テトラヒドロフラン、クロロホルム、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、およびN,N−ジメチルホルムアミドに室温で可溶で、またジメチルスルホキシドに160℃で可溶である。br−phT8−1は、アセトン、メタノール、およびアセトニトリルに不溶である。
【0164】
得られた生成物(以降br−phT8−1と称す)の1H−NMRスペクトルと29Si−NMRスペクトルを記録する。
【0165】
br−phT8−1の元素分析:
C:34.63%(計算値) 35.02%(測定値)
H:1.94% (計算値) 1.96%(測定値)
フェニル単位あたりの臭素化度、ds(Br)=0.125*(7.2995/w(C)−13.0975)。これは、フェニル単位の96.8%のモノ臭素化に相当する。
【0166】
br−phT8−1の臭素含量の測定
KNO3/NaO2を用いるbr−phT8−1の酸化分解とAgNO3溶液での滴定とFeSCN溶液での逆滴定の結果、臭素含量w(Br)=37.86重量%であり、フェニル単位当たりの臭素化度ds(Br)=129.19*(w(Br)/100)/(79.91−78.91*(w(Br)/100)=97.8mol%、フェニル単位の97.8%のモノ臭素化に相当する。
【0167】
br−phT8−1の1H−NMRスペクトル(300MHz、d1−クロロホルム):
7.14〜7.27ppm、積分値1.00 (アリール−H)
7.27〜7.42ppm、積分値0.34 (アリール−H)
7.42〜7.54ppm、積分値0.78 (アリール−H)
7.60〜7.68ppm、積分値0.27 (アリール−H)
7.68〜7.83ppm、積分値0.61 (アリール−H)
7.90〜7.96ppm、積分値0.06 (アリール−H)
7.97〜8.03ppm、積分値0.04 (アリール−H)
【0168】
br−phT8−1の29Si−NMRスペクトル(60MHz、300MHz、1Hブロードバンドデカップル、d1−クロロホルム):
−81.9ppm
シグナルの位置と求めた化学シフトの全範囲(−100ppm〜+50ppm)において他のシグナルが存在しないことから、シルセスキシロキサン骨格に対してパラの位置の芳香族の置換基に劣化のないモノ臭素化が起こっていることがわかる。
【0169】
ホスホン酸多面体オクタフェニルシルセスキシロキサンphophT8−1の調製
5gのbr−phT8−1(24.02mmolの臭素)と623.1mg(4.81mmol、臭素含量の0.2モル当量に相当)の無水Ni(II)塩化物とを、磁気攪拌器と、コールドトラップに連結された空気凝縮器、セプタムで封をした滴下ロートと窒素導入口を備えた50mlの三口フラスコに入れる。190℃に加熱したオイルバス上で、窒素流を供給しながら混合物から残留水分を除く。向流に流れる窒素下で、5mlのジフェニルエーテルをこの乾燥混合物に加え、混合物を撹拌下に30分間処理し、粘度の低いベージュかがった溶液を得る。セプタムを通して滴下ロートに、4.99g(30.03mmol)のチリエチルホスファイトを投入し、撹拌しながら混合物に30分間かけて添加する。添加開始後約15秒間で、濃赤から紫色への色の変化が認められ、揮発性化合物は、発泡性混合物から窒素流により排出される(NMR分析でブロモエタンと同定)。反応期間中、約3.5mlのこの液体がコールドトラップ中に凝縮する。約3分後に、激しい発泡が起こり、濃黄色に色が変化し、粘度上昇が認められる。反応時間8時間の残りの期間、この混合物を180℃で加熱すると、黒いゲル状物質が得られる。
【0170】
200℃でその上に窒素流を激しく流して、ここから溶媒と揮発性の反応残渣を除き、少量のテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、撹拌下で温度が80℃の蒸留水中に投入する。THFを蒸発後、数ミリリットルの30%ペルヒドロールを添加すると、急速に黒色の凝集物が脱色されて白色となり、緑がかった水相が得られる。この固体成分を吸引濾過し、有機反応残渣をシクロヘキサンで除き、多量の水で洗浄する。
【0171】
乾燥により、緻密なややベージュがかった粉末が得られ、これは、暖かいN−メチルピロリドンに易溶であり、数滴の1%濃度(m/m)のジルコニウム(IV)アセチルアセトナート/N−メチルピロリドン溶液の添加によりジルコニウム(IV)−ポリホスホン酸の不溶性沈殿物を与えることがわかる。
【0172】
得られる生成物(以下、pho−phT8−1と称す)の1Hスペクトルを記録する。
【0173】
pho−phT8−1の収量:5.4g
臭素含量の測定:
KNO3/NaO2を用いるpho−phT8−1の酸化分解、AgNO3溶液での滴定、およびFeSCN溶液での逆滴定により得られる臭素含量は、5.4重量%である。
【0174】
pho−phT8−1の1H−NMRスペクトル(300MHz、d6−ジメチルスルホキシド):
0.15〜1.63ppm、積分値1.00 (エステル−CH3
1.05〜1.08ppm、積分値0.67 (エステル−CH2
6.81〜8.70ppm、積分値1.2 (アリール−H)
ホスホニル化度ds(P)=5x/(6+x)とx=A(CH3)/A(アリール−H)より、エチル−CH3のアリール−Hに対する積分比Aからds(P)は61mol%となり、これは、フェニル単位当たり0.61ジエチルホスホネート基、即ちオクタフェニルシルセスキシロキサンケージ当たり4.9ジエチルホスホネート基に相当する。
【0175】
pho−phT8−1の熱重量分析(Netzsch STA 409、熱速度10K/min、空気雰囲気):
296℃で5%重量減少
467℃で25%重量減少
600℃で61.5%重量減少
285〜373℃の範囲での16.1重量%のエテンの脱離を伴うホスホン酸エステル熱分解による段階状の質量減少は、ホスホニル化度ds(P)=129.19/((56.106/(質量減少/100)−136.1)では、ds(P)の60.8mol%に相当し、フェニル単位当たり0.61ジエチルホスホネート基に相当し、即ちオクタフェニルシルセスキシロキサンケージ当たり4.9ジエチルホスホネート基に相当する。
【0176】
リン含量の測定:
KNO3/NaO2を用いるpho−phT8−1の酸化分解、AgNO3溶液での滴定、およびFeSCN溶液での逆滴定の結果、リン含量は9.2重量%であり、ホスホニル化度ds(P)=129.19*(w(P)/100)/(31−w(P)/100136.1))100であり、フェニル単位当たり0.64ジエチルホスホネート基に相当し、オクタフェニルシルセスキシロキサンケージ当たり5.1ジエチルホスホネート基に相当する。
【0177】
実施例1.1:
多面体オクタフェニルシルセスキシロキサンPOSS系のホスホン酸複合電解質の調製
ホスホン酸ポリマーpho−phT8−1.1の調製
pho−phT8−1と同様に、1.5gのbr−phT8−1(7.22mmolの臭素)を、93.6mg(0.72mmol;臭素含量の0.1モル当量に相当)の無水Ni(II)塩化物と2.59g(8.66mmol)のトリス(トリメチルシリル)ホスファイトとに反応させる。反応期間中に混合物は青空色となり大気下に飛散する約3mlの液体(分光学的にトリメチルブロモシランと同定)は、窒素流によりコールドトラップに捕集する。約2時間後、明確な粘度上昇が認められる。反応時間8時間の残りの期間、混合物を180℃に加熱する。この青空色のゲル状物質をpho−phT8−1と同様に処理し、最後に水中での沈澱により、同時にシリルエステル基を切断する。
【0178】
乾燥すると緻密なややベージュかがった粉末を与え、これは、暖かい数滴の濃臭化水素溶液を含むN−メチルピロリドンに易溶で、1%濃度(m/m)のジルコニウム(IV)アセチルアセトナート/N−メチルピロリドン溶液の数滴を添加すると、ジルコニウム(IV)ポリホスホン酸の不溶性の沈殿物を与えることがわかる。
【0179】
得られた生成物の臭素含量を滴定で求め、リン含量は重量法で求め、これを、以下pho−phT8−1.1と称する。
【0180】
pho−phT8−1.1の収量:1.4g
pho−phT8−1.1の臭素含量の測定:
KNO3/NaO2によるphophT8−1.1の酸化分解、AgNO3溶液での滴定、FeSCN溶液での逆滴定により得られる臭素含量は、3.4重量%である。
【0181】
pho−phT8−1.1のリン含量の測定:
KNO3/NaO2を用いるpho−phT8−1の酸化分解、AgNO3溶液での滴定、およびFeSCN溶液での逆滴定の結果、リン含量は8.24重量%であり、ホスホニル化度ds(P)は129.19*(w(P)/100)/(31−w(P)/10081))100であり、フェニル単位当たり0.44ホスホン酸基、即ちオクタフェニルシルセスキシロキサンケージ当たり3.5ホスホン酸基に相当する。
【0182】
実施例1.2:
多面体オクタフェニルシルセスキシロキサンPOSS系のホスホン酸複合電解質の調製
ホスホン酸ポリマーpho−phT8−1.2の調製
pho−phT8−1と同様に、2.0gのbr−phT8−1(9.61mmolの臭素)を、125mg(0.96mmol、臭素含量の0.1モル当量に相当)の無水Ni(II)塩化物の2.0mlのジフェニルエーテル溶液および2.89g(11.54mmol)のトリブチルホスファイトと反応させる。反応開始後2時間で混合物は明らかに粘稠となる。8時間の反応後に得られた暗黒色のゲル状物質を、pho−phT8−1と同様に処理する。
【0183】
乾燥により、緻密なベージュ色がかった粉末が得られ、これは、暖かい数滴のf濃臭化水素溶液を含むN−メチルピロリドンに易溶であり、数滴の1%濃度(m/m)のジルコニウム(IV)アセチルアセトナート/N−メチルピロリドン溶液を添加するとジルコニウム(IV)ポリホスホン酸不溶性の沈殿物与えることがわかる。
【0184】
得られた生成物の臭素含量を滴定で求め、リン含量は重量法で求め、これを、以下pho−phT8−1.2と称する。
【0185】
pho−phT8−1.2の収量:1.7g
pho−phT8−1.2の臭素含量の測定:
KNO3/NaO2を用いるpho−phT8−1の酸化分解、AgNO3溶液での滴定、およびFeSCN溶液での逆滴定の結果、臭素含量は3.8重量%である。
【0186】
pho−phT8−1.2のリン含量の測定:
KNO3/NaO2を用いるpho−phT8−1の酸化分解、AgNO3溶液での滴定、およびFeSCN溶液での逆滴定の結果、リン含量は7.67重量%であり、ホスホニル化度ds(P)は129.19*(w(P/100)/(31−w(P)/100193.2))100であり、フェニル単位当たり0.61ジブチルホスホネート基、即ちオクタフェニルシルセスキシロキサンケージ当たり4.9ジブチルホスホネート基に相当する。
【0187】
実施例2:
多面体オクタフェニルシルセスキシロキサンPOSS系のホスホン酸複合電解質の調製
臭素化前駆体br−P2の調製
臭素化オクタフェニルシルセスキシロキサンbr−phT8−2の調製
20gのphT8(154.8mmolのフェニル単位)、40mlの1,1,2,2−テトラクロロエタン(TCE)及び62g(387.7mmol)の元素状臭素を、br−phT8−1と同様に、140℃で2時間、反応させる。
【0188】
75℃、減圧下の乾燥で、黄色がかった粉末が得られる。これは、室温でテトラヒドロフラン、クロロホルム、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド及びN,N−ジメチルホルムアミドに易溶で、160℃でジメチルスルホキシドに易溶であることがわかる。br−phT8−1は、アセトン、メタノール、およびアセトニトリルに不溶である。
【0189】
得られる生成物の1H−NMRスペクトルとMALDI−TOFスペクトルを記録する。これを、以下br−phT8−2と称する。
【0190】
元素分析:
C:34.63%(計算値) 30.79%(測定値)
H:1.94%(計算値) 1.36% (測定値)
フェニル単位当たりの臭素化度ds(Br)は、0.125*(7.2995/w(C)−13.0975)、であり、これは、フェニル単位当たりのモノ臭素化で133%に相当する。
【0191】
br−phT8−2の1H−NMRスペクトル(300MHz、d6−ジメチルスルホキシド):
7.3〜7.55ppm、積分値1.00 (アリール−H)
7.56〜7.84ppm、積分値1.23 (アリール−H)
7.85〜7.97ppm、積分値0.19 (アリール−H)
8.07〜8.12ppm、積分値0.04 (アリール−H)
【0192】
br−phT8−2のMALDI−TOFスペクトル
MALDI−TOF試料は、br−phT8−2をアルファシアノヒドロキシケイ皮酸と塩化リチウムのテトラヒドロフラン溶液に溶解して得た。
【0193】
1669.71m/z;相対強度1500
1749.58m/z;相対強度3750
1827.58m/z;相対強度5250
1907.34m/z;相対強度3000
1987.27m/z;相対強度1000
シグナル間隔が一定の79.9m/e(臭素原子のモル質量)であること、比較的に低いm/e値で幅広い飛散したシグナルがないことから、劣化のないオクタフェニルシルセスキシロキサンケージの臭素化が起こっていることがわかる。1033.5g/molのケージのモル質量では、br−phT8−2の臭素化度の分布が1.00〜1.50の範囲であることがわかる。
【0194】
ホスホン酸多面体オクタフェニルシルセスキシロキサンpho−phT8−2の調製
pho−phT8−1と同様に、50mlの三口フラスコ内で、9gのbr−phT8−2(50.5mmolの臭素)を、655mg(5.05mmol、臭素含量で0.1モル当量に相当)の無水Ni(II)塩化物の1.5gのベンゾフェノン溶液と、18.84g(63.1mmol)のトリス(トリメチルシリル)ホスファイトと反応させる。反応期間中に混合物は青空色となり大気下に飛散する約3mlの液体(分光学的にトリメチルブロモシランと同定)は、窒素流によりコールドトラップに捕集する。約2時間後、明確な粘度上昇が認められる。反応時間8時間の残りの期間、混合物を180℃に加熱する。この青空色のゲル状物質をpho−phT8−1と同様に処理し、最後に水中での沈澱により、同時にシリルエステル基を切断する。
【0195】
乾燥すると緻密なややベージュかがった粉末を与え、これは、暖かい数的の濃臭化水素溶液を含むN−メチルピロリドンに易溶で、1%濃度(m/m)のジルコニウム(IV)アセチルアセトナート/N−メチルピロリドン溶液の数滴を添加すると、ジルコニウム(IV)ポリホスホン酸の不溶性の沈殿物を与えることがわかる。
【0196】
pho−phT8−2の収量:8.26g
pho−phT8−2の臭素含量の測定:
KNO3/NaO2を用いるpho−phT8−2の酸化分解、AgNO3溶液での滴定、およびFeSCN溶液での逆滴定の結果、臭素含量は2.8重量%である。
【0197】
pho−phT8−2のリン含量の測定:
KNO3/NaO2を用いるpho−phT8−2の酸化分解、AgNO3溶液での滴定、およびFeSCN溶液での逆滴定の結果、リン含量は10.92重量%であり、ホスホニル化度ds(P)は、129.19*(w(P)/100)/(31−w(P)/10081))100であり、フェニル単位当たり0.64ホスホン酸基、即ちオクタフェニルシルセスキシロキサンケージ当たり5.1ホスホン酸基に相当する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスホン酸基を含み、且つ一般式(I)
【化1】

[式中、
y及びy’は、それぞれ相互に独立して、次式で表され、
【化2】

A、A1、A2、A3は、それぞれ相互に独立して、次式で表され、
【化3】

B、B1、B2、B3は、それぞれ相互に独立して、次式で表され、
【化4】

x、y、
x’、y’、
x’’、y’’、
x’’’、y’’’は、それぞれ相互に独立して、0、1または2であり(但し、(x+y)、(x’+y’)、(x’’+y’’)、および(x’’’+y’’’)の合計はそれぞれ3以下である)、
m、nは、それぞれ相互に独立して、0、1または2であり(但し、同時に0ではない)、
kは2以上の整数であり、
k’、k’’、k’’’は、それぞれ0〜4であり、
1は、任意に一個以上の(P(=O)(OH)2)基とは別に、1個以上の他の置換基を有し及び/又は一個以上のヘテロ原子を含んでいてもよい二価または多価の芳香族基であり、
2は、任意に一個以上の(P(=O)(OH)2)基とは別に、一個以上の他の置換基を有し及び/又は一個以上のヘテロ原子を含んでいてもよいアリールまたはアルキル基であり;
y及びy’は、Si原子、A3基又はO原子を介して、及びSi原子又はA2基を介して、それぞれ一般式Iの化合物のSi原子に結合していてもよい]
で示される単位を一個以上含むことを特徴とするオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン。
【請求項2】
前記シロキサンがホスホン酸基を含むシルセスキシロキサンである請求項1に記載のシロキサン。
【請求項3】
前記ホスホン酸基を含むシルセスキシロキサンが、部分的又は完全に閉じられたかご状の多面体シルセスキシロキサン(kが6、8、10又は12である)である請求項2に記載のシロキサン。
【請求項4】
前記ホスホン酸基を含むシルセスキシロキサンが、はしご状の又は非構造化シルセスキシロキサン(x=1、y=0)である請求項2に記載のシロキサン。
【請求項5】
1が、はしご状の又は非構造化シルセスキシロキサン中のフェニレンである請求項4に記載のシロキサン。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンの製造方法であって、
(i)下記式(II)
【化5】

[式中、
y及びy’は、それぞれ相互に独立して、次式で表され、
【化6】

A’、A1’、A2’、A3’は、それぞれ相互に独立して、次式で表され、
【化7】

B’、B1’、B2’、B3’は、それぞれ相互に独立して、次式で表され、
【化8】

x、y、
x’、y’、
x’’、y’’、
x’’’、y’は、それぞれ相互に独立して、0、1または2であり(但し、(x+y)、(x’+y’)、(x’’+y’’)、および(x’’’+y’’’)の合計はそれぞれ3以下である)、
m、nは、それぞれ相互に独立して、0、1または2であり、同時に0ではなく、
kは2以上の整数であり、xとyは、式(II)で示される少なくとも一個の単位において同時に0ではなく、
k’、k’’、k’’’は、それぞれ0〜4、好ましくは0〜2、特に好ましくは0であり、
1は、任意に一個以上の他の置換基及び/又は一個以上のヘテロ原子を含んでいてもよい二価または多価の芳香族基であり、
2は、任意に一個以上の他の置換基及び/又は一個以上のヘテロ原子を含んでいてもよいアリール基またはアルキル基であり、
x、x’は、それぞれ、ハロゲン、好ましくはBr又はI、特に好ましくはBrであり、
y及びy’は、Si原子、A3基、又はO原子を介して、及びSi原子又はA2基を介して、それぞれ一般式Iで示される化合物のSi原子に結合していてもよい]
で示される単位を一個以上有するハロゲン化オリゴマー状又はポリマー状の相当するシロキサンを、触媒の存在下で、シリルホスファイト及び/又はアルキルホスファイトを用いてホスホニル化する工程を含み、
ホスホニル化を、窒素を含まない溶媒中で150℃以上の温度で行うことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記シリルホスファイトが、下記一般式(III)又は一般式(IV)
P(OSiR345)(OSiR678)(OSiR91011) (III)
P(OSiR345)(OSiR678)(OH) (IV)
(式中
3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11は、それぞれ相互に独立して、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アラルキル、又はアリールであり、前記基は置換されていてもよく及び/又はヘテロ原子を含んでいてもよい)、
で示されるか、又は
亜リン酸を一種以上のアミノシラン、ハロシラン及び/又はアルコキシシランによりシリル化することにより得られるO−シリル化亜リン酸エステルの混合物である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アルキルホスファイトが、下記一般式(V)又は一般式(VI)
P(OR12)(OR13)(OR14) (V)
P(OR12)(OR13)(OH) (VI)
(式中、
12、R13、R14は、それぞれ相互に独立して、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、またはアラルキル基であり、前記基は置換されていてもよく及び/又はヘテロ原子を含んでいてもよい)
で示される請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記触媒が、Ni、Pd、Pt、Rh、Ru、Os、及びIrよりなる群から選択される少なくとも一種の金属、好ましくはNi又はPdを含む請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法
【請求項10】
前記触媒が、一個以上の式IIの単位を含むハロゲン化オリゴマー状またはポリマー状のシロキサン中のハロゲンのモル当量数に対して、0.01〜1モル当量の量で使用される請求項6〜9のいずれか一項に記載の方法
【請求項11】
前記窒素を含まない溶媒が、ジフェニルエーテル、ベンゾフェノン、ジフェニルスルホン、スルホラン、これらの化合物のアルキル又はアルコキシ置換誘導体、脂肪族の、部分的に芳香族の、芳香族のオリゴエーテル及びポリエーテル、脂肪族の、部分的に芳香族の、芳香族のβ−ジケトン、これらの化合物のアルキル−、アリール−、アルコキシ又はアリールオキシ置換誘導体、脂肪族の、部分的に芳香族の、芳香族のケトンエーテル、脂肪族の、部分的に芳香族の、芳香族のカルボン酸、脂肪族の、部分的に芳香族の、芳香族のカーボネート類、および前記化合物の混合物よりなる群から選択される、好ましくはベンゾフェノン、ジフェニルエーテル及びジフェニルスルホン及びこれらの化合物の混合物よりなる群から選択される、特に好ましくはジフェニルエーテルである請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
下記工程
(i)請求項6〜11のいずれか一項に記載の式IIで示される単位を一個以上含むハロゲン化オリゴマー状またはポリマー状のシロキサンをホスホニル化して、相当するシリルエステル及び/又はアルキルエステルを得る工程;
(ii)ホスホン酸基を含む相当するオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンを
(iia)シリルエステルからアルコール分解により、
または
(iib)アルキルエステルからエステル切断/熱分解/高温加熱分解または濃酸
による酸分解により、
遊離する工程:
を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサンの製造方法。
【請求項13】
シリルホスホネート基及び/又はアルキルホスホネート基を含み、請求項6〜11のいずれか一項に記載の方法により製造されることを特徴とするオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン。
【請求項14】
ホスホン酸基を含み、請求項6〜12のいずれか一項に記載の方法により製造されることを特徴とするオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン。
【請求項15】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の、又は請求項6〜12若しくは請求項14に記載の方法により製造されたホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のすくなくとも一種のシロキサン、及び/又は請求項13に記載の少なくとも一種のシリルホスホネート基及び/又はアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状の少なくとも一種のシロキサンと、少なくとも一種の他のポリマーとを含むことを特徴とする混合物。
【請求項16】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の、又は請求項6〜12若しくは請求項14に記載の方法により製造された少なくとも一個のホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状の少なくとも一種のシロキサン、及び/又は請求項13に記載のシリルホスホネート基及び/又はアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状の少なくとも一種のシロキサン、又は請求項15に記載の混合物を含むことを特徴とする膜、フィルムまたは複合化物。
【請求項17】
請求項1〜5のいずか一項に記載の、又は請求項6〜12若しくは請求項14に記載の方法により製造されたホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン、及び/又は請求項13に記載のシリルホスホネート基及び/又はアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状の少なくとも一種のシロキサン、又は請求項15に記載の混合物を、膜、フィルムまたは複合化物として使用する方法。
【請求項18】
燃料電池において、分離技術における膜として、又は電解若しくは電気化学セルにおけるセパレータとして、請求項16に記載の膜を使用する方法。
【請求項19】
請求項16に記載の少なくとも一種の膜、又は請求項1〜5のいずれか一項に記載の又は請求項6〜12若しくは請求項14に記載の方法により製造されたホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状の少なくとも一種のシロキサン、及び/又は請求項13に記載の少なくとも一種のシリルホスホネート基及び/又はアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン、又は請求項15に記載の混合物を含むことを特徴とする燃料電池。
【請求項20】
請求項1〜5のいずか一項に記載の又は請求項6〜12若しくは請求項14に記載の方法により製造されたホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン、及び/又は請求項13に記載の少なくとも一種のシリルホスホネート基及び/又はアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン、又は請求項15に記載の混合物を、イオン架橋による多価金属ポリホスホネートのその場形成により、芳香族ポリホスホン酸膜及び高分子電解質型ポリホスホン酸ブレンド膜の膨潤を抑制するために使用する方法。
【請求項21】
請求項1〜5のいずか一項に記載の又は請求項6〜12若しくは請求項14に記載の方法により製造されたホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン、及び多価金属の塩または適当な溶媒を含む前記塩の溶液から製造された多価金属ポリホスホネートを含むことを特徴とする膜。
【請求項22】
請求項1〜5のいずか一項に記載の又は請求項6〜12若しくは請求項14に記載の方法により製造されたホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン、及び/又は請求項13に記載のシリルホスホネート及び/又はアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン、又は請求項15に記載の混合物を、金属イオン、好ましくはチタン、亜鉛、スズ、マグネシウム、ゲルマニウム、ジルコニウム、アルミニウム、ハフニウム、アルカリ土類金属類、ロジウム、パラジウム、白金、金、銀、およびアクチニドの金属イオンよりなる群から選択される金属イオンを結合させるために使用する方法。
【請求項23】
請求項1〜5のいずか一項に記載の又は請求項6〜12若しくは請求項14に記載の方法により製造されたホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン、及び/又は請求項13に記載のシリルホスホネート及び/又はアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン、又は請求項15に記載の混合物を、次の種類の物質、即ち金属、プラスチック及びその他の材料、例えばアパタイトからなる群から選ばれる材料間の接触を促進又は向上させるために、又は単一種類の物質の複数の材料間及び/又は複数の種類の上記物質の材料間で生じる接触を促進又は向上させるために使用する方法。
【請求項24】
請求項1〜5のいずか一項に記載の又は請求項6〜12若しくは請求項14に記載の方法により製造されたホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン、及び/又は請求項13に記載の少なくとも一種のシリルホスホネート基及び/又はアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン、又は請求項15に記載の混合物を、腐食防止金属塗料中で又は腐食防止金属塗料として使用する方法。
【請求項25】
請求項1〜5のいずか一項に記載の又は請求項6〜12若しくは請求項14に記載の方法により製造されたホスホン酸基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン、及び/又は請求項13に記載の少なくとも一種のシリルホスホネート基及び/又はアルキルホスホネート基を含むオリゴマー状またはポリマー状のシロキサン、又は請求項15に記載の混合物を、酸触媒として使用する方法。

【公表番号】特表2009−526888(P2009−526888A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554759(P2008−554759)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/051381
【国際公開番号】WO2007/093588
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】