説明

アルカリ可溶性樹脂重合体およびこれを含むネガ型感光性樹脂組成物

【課題】再溶解性、微細パターンの実現能力に優れ、基板との密着力および分散安定性が改善されたアルカリ可溶性バインダー樹脂の提供。
【解決手段】不飽和二重結合を含んだモノマー、カルボン酸を含んだ不飽和二重結合性モノマー、およびアリル基を含む不飽和二重結合性モノマーを繰り返し単位として含み、分子量分布(Mw/Mn)が2.0〜3.5であることを特徴とするアルカリ可溶性バインダー樹脂およびこれを含むネガ型感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ可溶性樹脂重合体およびこれを含むネガ型感光性樹脂組成物に関し、特に再溶解性、分散安定性、および基板との密着力に優れたアルカリ可溶性バインダー樹脂、およびこれを含むネガ型感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラーフィルタの製造工程は、費用の低減のために、材料の高信頼性を要求しているが、耐化学性が劣る材料を用いる場合に、カラーフィルタの上部に形成される種々の膜の再加工(rework)工程際に用いられる有機溶剤によって顔料の溶出およびパターンの膨張(swelling)などの問題が発生する恐れがあり、又、感度が劣る材料を用いる場合には、少ない露光量によっては所望のパターンを形成できないという問題が発生し得る。このような問題点を同時に解決するために、通常はメタクリル系或いはアクリル系反応性基を多数個含んだアルカリ可溶性樹脂を使用して、露光時に樹脂を多官能性モノマーと共に反応させることにより、組成物を高感度化させると同時に橋かけ密度(cross linking density)を高め、顔料の溶出やパターンの膨張(swelling)のような問題を解決した。
【0003】
しかしながら、近年、LCD TV分野では、既存よりも高いコントラストおよび輝度が要求されるにつれ、顔料濃度が高まり微粒化されると同時に、顔料の種類も既存のものと異なる形態が導入されている。このような状況でメタクリル系或いはアクリル系反応性基を多数個含む既存のシステム下では、分散安定性が阻害され顔料分散液の粘度の上昇や突起問題が発生し、且つ再溶解性も悪くなる結果をもたらした。
【0004】
しかしながら、近年、カラーフィルタの形成に利用される基板のサイズが大型化されるに伴い、カラーフィルタ用組成物の塗布方法が中央滴下型スピンコーターを用いる方式から液突出部がさらに小さい直径からなるスリットノズルを用いる方式に変わっている。
【0005】
後者のスリットノズル方式では、液出口部のノズルが小さいので、塗布終了後のノズル先端部の周辺に着色感放射線性樹脂組成物が残ってしまう場合が多く、これが乾燥すると次回の塗布時に乾燥異質物としてカラーフィルタ上に落下してカラーフィルタの品質を顕著に低下させるため、このような問題を回避するために、洗浄溶剤に対する洗浄性、すなわち、乾燥後にも洗浄溶剤に対する溶解性(以下"再溶解性"とする。)の高い樹脂組成物が要求されている。
【0006】
従来、再溶解性の改善のための反応性基を含むアルカリ可溶性バインダー樹脂の例を挙げると、通常、不飽和二重結合を含んだアクリル系モノマーとカルボン酸を含んだ不飽和アクリル系モノマーを共重合させた後に、エポキシ基を含んだ不飽和二重結合性アクリル系モノマーをカルボン酸と反応させて製造する。
【0007】
また、不飽和二重結合を含んだアクリル系モノマーとエポキシ基を含んだ不飽和アクリル系モノマーの共重合体を形成した後に、ここにカルボン酸を含んだ不飽和二重結合性アクリル系モノマーを上記エポキシ基と反応させて反応性基のアルコールを形成させた後、上記アルコールに酸無水物を反応させて酸基を導入することになる。
【0008】
本発明者らの実験結果により、上記のような反応性基を含んだ樹脂を使用した場合、反応性基がない樹脂を使用した時に比べて突起特性や再溶解性が悪くなるという問題点を見出した。その中でも、アクリル系反応性基がメタクリル系反応性基に比べて再溶解性においてさらに不利であるという結果を得た。しかし、反応性基のない樹脂を含んだ組成物の場合、所望の耐化学性や感度およびパターン特性を得ることができないため、問題となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国特開第2008-0084635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためのものであり、本発明の目的は、既存のものと異なる構造の反応性基のアリル基を樹脂に導入することにより、既存のアルカリ可溶性樹脂が有する耐化学性、感度およびパターン特性は維持しつつ、分散安定性、突起特性および再溶解性が改善されるネガ型感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0011】
これに対して、特許文献1には、アリル(メタ)アクリレートを用いた着色層形成用感放射線性組成物が開示されているが、上記特許文献1に開示されている組成物には酸価が明確に開示されていなく、本発明で得ようとする分散安定性、突起特性および再溶解性に限界がある。
【0012】
なお、実験から新しく得られた結果として、微細パターンの実現能力に優れるという点を挙げることができる。一般に、微細パターンの場合、マスクの開口率が小さいので、露光部が少なくなり、現像工程時に現像液の侵食現象によりパターンの多くの部分に脱落が起きるが、本発明に係る樹脂を導入するとパターンの脱落を防ぐことができるという利点がある。
【0013】
これにより、本発明の目的は、再溶解性に優れたアルカリ可溶性バインダー樹脂を提供することにある。
【0014】
なお、本発明の他の目的は、上記アルカリ可溶性バインダー樹脂を含んで耐化学性、および感度は維持しつつ、微細パターンの実現能力に優れたネガ型感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0015】
なお、本発明のまた他の目的は、上記アルカリ可溶性バインダー樹脂を含んで分散安定性に優れた感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0016】
なお、本発明のまた他の目的は、上記アルカリ可溶性バインダー樹脂を用いて基板との密着力に優れた感光性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
従来の反応性基を含んだ樹脂重合体は、通常、不飽和二重結合を含んだアクリル系モノマーとカルボン酸を含んだ不飽和二重結合性アクリル系モノマーの共重合体を形成した後に、エポキシ基を含んだ不飽和二重結合性アクリル系モノマーをカルボン酸と反応させて製造することになる。
【0018】
又は、不飽和二重結合を含んだアクリル系モノマーとエポキシ基を含んだ不飽和二重結合性アクリル系モノマーの共重合体を形成した後に、カルボン酸を含んだ不飽和二重結合性アクリル系モノマーをエポキシ基と反応させて反応性基を形成し、また、その時に生成されたアルコールに酸無水物を反応させて酸基を導入することになる。このような樹脂重合体は全て上で言及した物性が低下するという問題がある。
【0019】
これに反して、本発明は、不飽和二重結合を含んだアクリル系モノマーとカルボン酸を含んだ不飽和二重結合性アクリル系モノマー、そしてアリル基を含む不飽和二重結合性アクリル系モノマーを共重合させてアルカリ可溶性バインダー樹脂を得ることにより、上記のような従来技術の問題を解決することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るアルカリ可溶性バインダー樹脂は、再溶解性、分散安定性、基板との密着力などに優れた効果を有する。
【0021】
具体的には、上記アルカリ可溶性バインダー樹脂を含む感光性樹脂組成物を透明カラーフィルタに用いる場合、再溶解性に優れた効果を有する。
【0022】
また、本発明に係るアルカリ可溶性バインダー樹脂は、感光性樹脂組成物のミルベース(mill base)での分散安定性に優れた効果を有する。これは、従来PR組成物に用いられたバインダー樹脂は、メタクリルやアクリル系反応性基の反応性および親水性により分散安定性が低下するのに対して、本発明に係るバインダー樹脂は、アリル基を含んでメタクリルやアクリル系反応性基に比べ相対的に低い反応性および疎水性(hydrophobic)により顔料および分散剤と混合する場合分散安定性に優れる。
【0023】
なお、本発明に係るアルカリ可溶性バインダー樹脂は、カラムスペーサーのような透明材料に用いる場合、基板との接着力に優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態をより詳細に説明する。
【0025】
本実施形態に係るアルカリ可溶性バインダー樹脂は、不飽和二重結合を含んだモノマー、カルボン酸を含んだ不飽和二重結合性モノマー、およびアリル基を含む不飽和二重結合性アクリル系モノマーを共重合させて製造することができ、MwとMnの比(Mw/Mn)が2.0〜3.5であることを特徴とする。
【0026】
上記不飽和二重結合を含むモノマーは、アルカリ可溶性バインダー樹脂内で相溶性、耐化学性、耐熱性などのような物性向上のためのものであり、芳香族ビニル化合物、N-置換マレイミド、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル、不飽和カルボン酸グリシジルエステル、カルボン酸ビニルエステル、不飽和エーテル、不飽和アミドおよび脂肪族共役ジエンの中から選ばれる1種以上のものが望ましいが、これに限定されるのではない。
【0027】
これらの中で、上記芳香族ビニル化合物の例を挙げると、スチレン、α-メチルスチレン、p-スチレンスルホン酸、o-ビニルトルエン、m-ビニルトルエン、p-ビニルトルエン、p-クロロスチレン、o-メトキシスチレン、m-メトキシスチレン、p-メトキシスチレン、o-ビニルベンジルメチルエーテル、m-ビニルベンジルメチルエーテル、p-ビニルベンジルメチルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、およびp-ビニルベンジルグリシジルエーテルからなる群より選ばれる1種以上であり;
上記N-置換マレイミドの例を挙げると、N-フェニルマレイミド、N-o-ヒドロキシフェニルマレイミド、N-m-ヒドロキシフェニルマレイミド、N-p-ヒドロキシフェニルマレイミド、N-o-メチルフェニルマレイミド、N-m-メチルフェニルマレイミド、N-p-メチルフェニルマレイミド、N-o-メトキシフェニルマレイミド、N-m-メトキシフェニルマレイミド、およびN-p-メトキシフェニルマレイミドからなる群より選ばれる1種以上であり、
上記不飽和カルボン酸エステルの例を挙げると、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、i-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、およびグリセロール(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上であり;
上記不飽和カルボン酸アミノアルキルエステルの具体的な例を挙げると、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-アミノプロピル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノプロピルアクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、および3-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上であり;
上記不飽和カルボン酸グリシジルエステルの例としては、グリシジル(メタ)アクリレートがあり;
上記カルボン酸ビニルエステルの例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニルなどがあり;
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどの他の不飽和エーテルがあり;
ビニルシアン化化合物としては、(メタ)アクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどがあり;
不飽和アミドとしては、(メタ)アクリルアミド、α-クロロアクリルアミド、N-2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどがあり;
脂肪族共役ジエンとしては、1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、イソプレンスルホン酸などがある。
【0028】
これらの不飽和二重結合を含むモノマーの中、スチレン、N-置換マレイミド、メチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレートなどが望ましく、単独で若しくは2種以上を混合して用いることができる。
【0029】
上記不飽和二重結合を含むモノマーは、全アルカリ可溶性バインダー樹脂に対し30〜89モル%含まれることが、現像性、相溶性、耐熱性、耐化学性の面で望ましい。特に望ましくは40〜60モル%である。
【0030】
なお、本実施形態に係るアルカリ可溶性バインダー樹脂を構成する他の成分は、カルボン酸を含んだ不飽和二重結合性モノマーとして、これは、アルカリ可溶性バインダー樹脂内でアルカリ現像液に対する現像性を付与するものであり、具体的な例を挙げると、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、モノメチルマレイン酸、イソプレンスルホン酸、スチレンスルホン酸、5-ノルボルネン-2-カルボン酸、モノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]フタレート、モノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]琥珀酸、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートおよびこれらの混合物からなる群より選ばれる1種以上であり、この中でもメタ(アクリル酸)が特に望ましい。
【0031】
上記カルボン酸を含んだ不飽和二重結合性モノマーは、全アルカリ可溶性バインダー樹脂に対し8〜67モル%で含まれることが、アルカリ現像液に対する好適な溶解度を有するという面で望ましく、特に望ましくは13〜25モル%である。
【0032】
なお、本実施形態に係るアルカリ可溶性バインダー樹脂が様々な用途の感光性樹脂組成物に含まれる場合、再溶解性、分散安定性、および基板との密着力の向上などのために、次の一般式(1)で表されるアリル基を含む不飽和二重結合性モノマーを繰り返し単位として含む。
【化1】

【0033】
式中、Rは(メタ)アクリレート、α-ヒドロキシメチルメタクリル酸、α-クロロアクリル酸、フマル酸モノアリル、マレイン酸モノアリル、安息香酸モノアリル、又は、フタル酸モノアリルである。
【0034】
上記アリル基を含む不飽和二重結合性モノマーの具体例を挙げると、アリル(メタ)アクリレート、α-クロロアクリル酸アリル、α-ヒドロキシメチルメタクリル酸アリル、マレイン酸ジアリル、フマル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、および安息香酸ジアリルからなる群より選ばれる1種以上であるが、これに限定されるのではない。
【0035】
上記アリル基を含む不飽和二重結合性モノマーは、全アルカリ可溶性バインダー樹脂に対し3〜62モル%含まれることが、効能および安定性の面で望ましい。特に望ましくは10〜40モル%である。
【0036】
本実施形態に係るアルカリ可溶性バインダー樹脂は、MwとMnの比(Mw/Mn)が2.0〜3.5であることに特徴があり、望ましくは2.0〜3.0であり、上記MwとMnの比(分子量分布、Mw/Mn)が2.0未満である場合、分子量が充分でなく、パターンの信頼性が低下するという問題があり、3.5を超える場合、再現性や、基板との密着力が低下するという問題がある。
【0037】
本実施形態でアルカリ可溶性バインダー樹脂に、既存のものと異なる構造の反応性基のアリル基を樹脂に導入することにより、既存のアルカリ可溶性樹脂が有する耐化学性、感度およびパターン特性は維持しつつ、分散安定性、突起特性および再溶解性も改善させることができる。
【0038】
通常、顔料と分散剤およびバインダー樹脂を含むミルベース(mill base)組成物において、従来のようなアルカリ可溶性樹脂は、メタクリルやアクリル系反応性基の反応性および親水性により分散安定性が低下するのに対し、本実施形態に係るバインダー樹脂は、アリル基を含んでメタクリルやアクリル系反応性基に比べて相対的に低い反応性および疎水性により顔料および分散剤と混合する場合、分散安定性に優れる。
【0039】
なお、一般に、微細パターンの場合、マスクの開口率が小さいので、露光部が少なくなり、現像工程時に現像液の侵食現象によりパターンの多くの部分に脱落が起きる場合が多いが、本実施形態に係る樹脂を導入するとパターンの脱落を防ぐことができるという利点がある。これにより、耐化学性、感度は維持しつつ、微細パターンの実現能力に優れた効果がある。
【0040】
なお、上記アルカリ可溶性バインダー樹脂を用いてカラムスペーサーなどの透明材料に用いる場合、基板との密着力に優れた効果を有する。
【0041】
次に、本実施形態に係るアルカリ可溶性バインダー樹脂の製造方法を説明する。
【0042】
本実施形態に係るアルカリ可溶性バインダー樹脂を構成する各単量体、例えば、不飽和二重結合を含んだモノマー、カルボン酸を含んだ不飽和二重結合性モノマー、およびアリル基を含む不飽和二重結合性モノマーを共重合させて製造する。
【0043】
本実施形態に係るアルカリ可溶性バインダー樹脂の製造方法は、上記言及した通り、狭い分子量分布を有する必要がないため、リビングラジカル重合でない、一般的なラジカル重合、陽イオン重合、陰イオン重合、縮合重合のうちいずれか一つによって製造できるが、製造の容易性や経済性を考慮するとラジカル重合を用いることが望ましい。
【0044】
ラジカル重合法で本実施形態によるアルカリ可溶性樹脂を製造する場合、通常の公知された各種開始剤を使用でき 、特に限定されない。また、重合時間は1〜48時間、重合温度は50〜150℃であることが望ましい。
【0045】
上記のような方法で製造されたアルカリ可溶性樹脂は、酸価が30〜150mgKOH/gであることが望ましい。酸価が30mgKOH/g未満であると現像が円滑に起きなく、酸価が150mgKOH/gを超えると現像が過剰になるという問題がある。本実施形態によるアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は3,000〜50,000g/molの範囲を有することが望ましいが、3,000未満であると現像工程時にパターンが脱落する場合が多く、耐化学性が低下し、50,000を超えると現像が円滑に起きない場合が多い。
【0046】
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、上記アルカリ可溶性バインダー樹脂にエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物、光開始剤および溶媒を含むことをその特徴とする。
【0047】
上記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の具体的な例を挙げると、ペンタエリトリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートの中から選ばれるが、これに限定されるのではない。
【0048】
上記光開始剤は、2,4-トリクロロメチル-(4'-メトキシフェニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(4'-メトキシスチリル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(フィプロニル)-6-トリアジンなどのトリアジン化合物と1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル(2-ヒドロキシ)プロピルケトンからなるアセトフェノン系化合物と、ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルアミノベンゾフェノンからなるベンゾフェノン系化合物の中から選ばれる1種以上の化合物であり、これに限定されるのではない。
【0049】
また、上記溶媒は、メチルエチルケトン、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、イソブチルアセテート、イソプロピルブチレート、3-メトキシブチルアセテートの中から選ばれる1種以上であり、これに限定されるのではない。
【0050】
全感光性樹脂組成物に対し、例えば、上記アルカリ可溶性樹脂は1〜20重量%、上記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物は1〜10重量%、上記光開始剤は0.1〜5重量%、上記溶媒は10〜95重量%である。
【0051】
ネガ型カラーフィルタ用感光材とブラックマトリックス用感光材の場合、着色剤をさらに含むことができる。この時、着色剤としては、黒色顔料、レッド顔料、イエロー顔料、ブルー顔料、バイオレット顔料の中から1種以上を使用できる。黒色顔料としては、カーボンブラック、チタンブラックなどがあり、カラー顔料としてはフタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、ペリレンブルー、リノールイエロー、ビクトリアピュアブルーなどがある。また、上記着色剤は全樹脂組成物に対して1〜20重量%含むことができる。
【0052】
本実施形態に係るアルカリ可溶性バインダー樹脂は、カラーフィルタに用いられ、再溶解性、耐化学性、感度に優れ、かつ微細パターンの形成が可能であるという効果を有する。
【0053】
本実施形態に係るアルカリ可溶性バインダー樹脂は、カラムスペーサーのような透明材料に用いられ、基板との密着力を向上させることができる効果を有する。
【0054】
しかしながら、本実施形態に係るアルカリ可溶性バインダー樹脂と感光性樹脂組成物の用途がこれに限定されるのではない。
【0055】
以下、本発明の実施例により本発明をより詳細に説明する。次の実施例は、本発明を説明するためのものであって、本発明は下記の実施例により限定されるものではない。
【0056】
<合成例1:アルカリ可溶性樹脂の合成>
500mlの三つ口フラスコにメタクリル酸10.31gとベンジルメタクリレート65.96g、アリルメタクリレート15.74g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶媒308gを添加した後、還流窒素雰囲気下で撹拌させながら、鎖移動剤の3-メルカプトプロピオン酸2.76gを添加し、反応開始剤としてAIBNを添加して反応を開始させた。70℃で9時間反応させて本実施例に係るアルカリ可溶性樹脂を製造した。
【0057】
上記アルカリ可溶性樹脂のGPCにて測定したポリスチレン換算重量平均分子量は11,000g/mol、酸価は81MgKOH/g、分子量分布(Mw/Mn)は2.7であった。
<合成例2:アルカリ可溶性樹脂の合成>
【0058】
500mlの三つ口フラスコにメタクリル酸10.31gとベンジルメタクリレート39.50g、スチレン23.34g、アリルメタクリレート18.85g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶媒308gを添加した後、還流窒素雰囲気下で撹拌させながら、鎖移動剤の3-メルカプトプロピオン酸2.76gを添加し、反応開始剤としてAIBNを添加して反応を開始させた。70℃で9時間反応させて本実施例に係るアルカリ可溶性樹脂を製造した。
【0059】
上記アルカリ可溶性樹脂のGPCにて測定したポリスチレン換算重量平均分子量は10,500g/mol、酸価は83mgKOH/g、分子量分布(Mw/Mn)は2.6であった。
【0060】
<合成例3:アルカリ可溶性樹脂の合成>
500mlの三つ口フラスコにメタクリル酸10.31gとメチルメタクリレート32.11g、スチレン33.40g、アリルメタクリレート16.18g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶媒308gを添加した後、還流窒素雰囲気下で撹拌させながら、鎖移動剤の3-メルカプトプロピオン酸3.22gを添加し、反応開始剤としてAIBNを添加して反応を開始させた。70℃で9時間反応させて本実施例に係るアルカリ可溶性樹脂を製造した。
【0061】
上記アルカリ可溶性樹脂のGPCにて測定したポリスチレン換算重量平均分子量は10,000g/mol、酸価は90mgKOH/g、分子量分布(Mw/Mn)は2.6であった。
【0062】
<合成例4:アルカリ可溶性樹脂の合成>
500mlの三つ口フラスコにメタクリル酸4.24gとスチレン25.08g、アリルメタクリレート20.25g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶媒308gを添加した後、還流窒素雰囲気下で撹拌させながら、鎖移動剤の3-メルカプトプロピオン酸2.76gを添加し、反応開始剤としてAIBNを添加して反応を開始させた。70℃で9時間反応させて本実施例に係るアルカリ可溶性樹脂を製造した。
【0063】
上記アルカリ可溶性樹脂のGPCにて測定したポリスチレン換算重量平均分子量は10,000g/mol、酸価は30mgKOH/g、分子量分布(Mw/Mn)は2.6であった。
【0064】
<合成例5:アルカリ可溶性樹脂の合成>
500mlの三つ口フラスコにメタクリル酸21.18gとメチルメタクリレート27.84g、スチレン28.96g、アリルメタクリレート14.03g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶媒308gを添加した後、還流窒素雰囲気下で撹拌させながら、鎖移動剤の3-メルカプトプロピオン酸3.22gを添加し、反応開始剤としてAIBNを添加して反応を開始させた。70℃で9時間反応させて本実施例に係るアルカリ可溶性樹脂を製造した。
【0065】
上記アルカリ可溶性樹脂のGPCにて測定したポリスチレン換算重量平均分子量は11,500g/mol、酸価は150mgKOH/g、分子量分布(Mw/Mn)は3.1であった。
【0066】
<比較合成例1:アルカリ可溶性樹脂の合成>
メタクリル酸26.08gとベンジルメタクリレート41.43g、スチレン24.49g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶媒308gを添加した後、還流窒素雰囲気下で撹拌させながら、鎖移動剤の3-メルカプトプロピオン酸2.76gを添加し、反応開始剤としてAIBNを添加して反応を開始させた。70℃で9時間反応させた。その後、熱重合禁止剤の4-メトキシヒドロキノン(MEHQ)0.07gを添加し、反応温度を110℃に昇温させて触媒下でグリシジルメタクリレート21.98gを添加した後10時間反応させてアルカリ可溶性樹脂を製造した。
【0067】
上記アルカリ可溶性樹脂のGPCにて測定したポリスチレン換算重量平均分子量は10,000g/mol、酸価は80mgKOH/g、分子量分布(Mw/Mn)は2.3であった。
【0068】
<比較合成例2:アルカリ可溶性樹脂の合成>
500mlの三つ口フラスコにメタクリル酸10.31gとメチルメタクリレート32.11g、スチレン33.40g、アリルメタクリレート16.18g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶媒308gを添加した後、還流窒素雰囲気下で撹拌させながら、鎖移動剤の3-メルカプトプロピオン酸5.52gを添加し、反応開始剤としてAIBNを添加して反応を開始させた。70℃で9時間反応させてアルカリ可溶性樹脂を製造した。
【0069】
上記アルカリ可溶性樹脂のGPCにて測定したポリスチレン換算重量平均分子量は6,500g/mol、酸価は100mgKOH/g、分子量分布(Mw/Mn)は1.7であった。
【0070】
<比較合成例3:アルカリ可溶性樹脂の合成>
500mlの三つ口フラスコにメタクリル酸25.41gとベンジルメタクリレート35.47g、スチレン20.96g、アリルメタクリレート10.16g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶媒308gを添加した後、還流窒素雰囲気下で撹拌させながら、鎖移動剤の3-メルカプトプロピオン酸2.76gを添加し、反応開始剤としてAIBNを添加して反応を開始させた。70℃で9時間反応させてアルカリ可溶性樹脂を製造した。
【0071】
上記アルカリ可溶性樹脂のGPCにて測定したポリスチレン換算重量平均分子量は11,200g/mol、酸価は180mgKOH/g、分子量分布(Mw/Mn)は2.8であった。
【0072】
<実施例1:顔料分散液の製造>
顔料としてZn系Green顔料のG58 40重量部、分散剤としてDIC社製の分散剤12重量部、分散用バインダーとして合成例1で得られたアルカリ可溶性バインダー樹脂40重量部および溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート136重量部を含む混合液をBead Millにより12時間混合および分散して顔料分散液を製造した。
【0073】
<実施例2:顔料分散液の製造>
上記合成例2で得られた樹脂を使用することを除いては、上記実施例1と同様の方法で顔料分散液を製造した。
【0074】
<実施例3:顔料分散液の製造>
上記合成例3で得られた樹脂を使用することを除いては、上記実施例1と同様の方法で顔料分散液を製造した。
【0075】
<実施例4:顔料分散液の製造>
上記合成例4で得られた樹脂を使用することを除いては、上記実施例1と同様の方法で顔料分散液を製造した。
【0076】
<実施例5:顔料分散液の製造>
上記合成例5で得られた樹脂を使用することを除いては、上記実施例1と同様の方法で顔料分散液を製造した。
【0077】
<比較例1:顔料分散液の製造>
上記比較合成例1で得られた樹脂を使用することを除いては、上記実施例1と同様の方法で顔料分散液を製造した。
【0078】
<比較例2:顔料分散液の製造>
上記比較合成例2で得られた樹脂を使用することを除いては、上記実施例1と同様の方法で顔料分散液を製造した。
【0079】
<比較例3:顔料分散液の製造>
上記比較合成例3で得られた樹脂を使用することを除いては、上記実施例1と同様の方法で顔料分散液を製造した。
【0080】
<実施例6:カラムスペーサー組成物の製造>
カラムスペーサーを形成するために次のような感光性樹脂組成物を使用した。アルカリ可溶性樹脂バインダーとして、合成例1で得られたアルカリ可溶性樹脂8重量部、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物のジペンタエリトリトールヘキサアクリレート16重量部、光重合開始剤として、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン(商品名Irgacure-369、Ciba Geigy社製)1重量部と有機溶媒としてPGMEA79重量部をシェイカーを用いて3時間混合させた。
【0081】
<実施例7:カラムスペーサー組成物の製造>
アルカリ可溶性樹脂バインダーとして、合成例2で得られたアルカリ可溶性樹脂8重量部を使用することを除いては実施例6と同様に組成物を製造した。
【0082】
<実施例8:カラムスペーサー組成物の製造>
アルカリ可溶性樹脂バインダーとして、合成例3で得られたアルカリ可溶性樹脂8重量部を使用することを除いては実施例6と同様に組成物を製造した。
【0083】
<実施例9:カラムスペーサー組成物の製造>
アルカリ可溶性樹脂バインダーとして、合成例4で得られたアルカリ可溶性樹脂8重量部を使用することを除いては実施例6と同様に組成物を製造した。
【0084】
<実施例10:カラムスペーサー組成物の製造>
アルカリ可溶性樹脂バインダーとして、合成例5で得られたアルカリ可溶性樹脂8重量部を使用することを除いては実施例6と同様に組成物を製造した。
【0085】
<比較例3:カラムスペーサー組成物の製造>
アルカリ可溶性樹脂バインダーとして、比較合成例1で得られたアルカリ可溶性樹脂8重量部を使用することを除いては実施例4と同様に組成物を製造した。
【0086】
<比較例4:カラムスペーサー組成物の製造>
アルカリ可溶性樹脂バインダーとして、比較合成例2で得られたアルカリ可溶性樹脂8重量部を使用することを除いては実施例4と同様に組成物を製造した。
【0087】
<比較例5:カラムスペーサー組成物の製造>
アルカリ可溶性樹脂バインダーとして、比較合成例3で得られたアルカリ可溶性樹脂8重量部を使用することを除いては実施例6と同様に組成物を製造した。
【0088】
<実験例1> 顔料分散液の再溶解性および突起特性の評価
上記実施例および比較例の顔料分散液を各々5cm×5cmのガラスにスピンコーティング(spin coating)し、約100℃で2分、10分間前熱処理(prebake)を行ってフィルムを形成させた。形成された各フィルムをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶媒20mlに5分間浸漬させた後、膜が溶媒に円滑に溶出するかどうかにより再溶解性を測定し、その結果を次の表1に示す。
【0089】
なお、上記実施例および比較例の顔料分散液を各々5cm×5cmのガラスにスピンコーティングし、約100℃で2分間前熱処理を行ってフィルムを形成させた。形成された各フィルムをフォトマスク(photomask)を用いて高圧水銀ランプ(highpressure mercury lamp)下で40mJ/cmのエネルギーで露光させた後、220℃で約20分間後熱処理(postbake)を行い、ガラス表面とパターンの状態を光学顕微鏡で観察し、その結果を次の表1に示す。
【表1】

【0090】
上記表1の結果から確認できるように、本実施例に係るアリル基を反応性基として含む不飽和二重結合性モノマーを含むアルカリ可溶性樹脂を用いて製造された顔料分散液(実施例1〜5)の再溶解性及び分散安定性(突起)の両方に優れたものと示した。しかしながら、アリル基を含む不飽和二重結合性モノマーを含まないアルカリ可溶性樹脂を用いて製造された顔料分散液(比較例1)、又はアリル基を含む不飽和二重結合性モノマーを含むアルカリ可溶性樹脂を用いても分子量分布値が本実施例の範疇に属しない顔料分散液(比較例2)の場合、そしてアリル基を含む不飽和二重結合性モノマーを含みながら、分子量の分布値が本実施例の範疇に属しても酸価が本発明の範疇から外れた顔料分散液(比較例3)の場合は、再溶解性が低下し、突起発生が多量発生するので、要求されるパターンの形成が不可能であることを確認することができた。
【0091】
<実験例2>カラムスペーサーパターンの基板との密着力の評価
実施例6〜10と比較例3〜4で得られた混合感光性溶液を各々5マイクロンサイズのフィルタを用いてろ過し、ガラスにスピンコーティングして約100℃で2分間前熱処理を行うと、厚さ約3.0μmの均等なフィルムが形成される。上記フィルムを、透過率が100%であり、一つのフォトマスク内に線幅が1〜50μmまで様々にパターン化されているマスクを利用し、高圧水銀ランプ下で40mJ/cmで露光させた後、パターンをpH11.3〜11.7のKOHアルカリ水溶液で現像し脱イオン水で洗浄した。これを200℃で約50分間後熱処理を行ってカラムスペーサーパターンを形成した。
【0092】
このようにして形成されたパターンの最小線幅を測定して基板密着力を次の表2に示す。最小線幅が狭いほど基板密着力に優れたものと判断される。
【表2】

【0093】
上記表2の結果から、本実施例に係るアリル基を反応性基として含んだアルカリ可溶性樹脂を用いて製造された感光性樹脂組成物(実施例6〜10)の現像工程後に残っている最小パターンの線幅が比較例3〜4の組成物に比べてさらに狭いものと測定された。これにより、本実施例に係る組成物を用いる場合、基板密着力が既存の組成物(比較例3〜4)に比べ改善された特性を示すことが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不飽和二重結合を含んだモノマー、カルボン酸を含んだ不飽和二重結合性モノマーおよび次の一般式(1)で表されるアリル基を含む不飽和二重結合性モノマーを繰り返し単位として含み、
分子量分布(Mw/Mn)が2.0〜3.5であることを特徴とするアルカリ可溶性バインダー樹脂。
【化1】

式中、Rは(メタ)アクリレート、α-ヒドロキシメチルメタクリル酸、α-クロロアクリル酸、フマル酸モノアリル、マレイン酸モノアリル、安息香酸モノアリル、又は、フタル酸モノアリルからなる群より選ばれるいずれか一つである。
【請求項2】
上記アルカリ可溶性バインダー樹脂の酸価は30〜150mgKOH/gであることを特徴とする請求項1に記載のアルカリ可溶性バインダー樹脂。
【請求項3】
上記アルカリ可溶性バインダー樹脂の重量平均分子量は3,000〜50,000であることを特徴とする請求項1または2に記載のアルカリ可溶性バインダー樹脂。
【請求項4】
上記不飽和二重結合を含んだモノマーは、芳香族ビニル化合物、N-置換マレイミド、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル、不飽和カルボン酸グリシジルエステル、カルボン酸ビニルエステル、不飽和エーテル、不飽和アミド、ビニルシアン化化合物および脂肪族共役ジエンからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のアルカリ可溶性バインダー樹脂。
【請求項5】
上記芳香族ビニル化合物は、スチレン、α-メチルスチレン、p-スチレンスルホン酸、o-ビニルトルエン、m-ビニルトルエン、p-ビニルトルエン、p-クロロスチレン、o-メトキシスチレン、m-メトキシスチレン、p-メトキシスチレン、o-ビニルベンジルメチルエーテル、m-ビニルベンジルメチルエーテル、p-ビニルベンジルメチルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、およびp-ビニルベンジルグリシジルエーテルからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項4に記載のアルカリ可溶性バインダー樹脂。
【請求項6】
上記N-置換マレイミドは、N-フェニルマレイミド、N-o-ヒドロキシフェニルマレイミド、N-m-ヒドロキシフェニルマレイミド、N-p-ヒドロキシフェニルマレイミド、N-o-メチルフェニルマレイミド、N-m-メチルフェニルマレイミド、N-p-メチルフェニルマレイミド、N-o-メトキシフェニルマレイミド、N-m-メトキシフェニルマレイミド、およびN-p-メトキシフェニルマレイミドからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項4または5に記載のアルカリ可溶性バインダー樹脂。
【請求項7】
上記不飽和カルボン酸エステルは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、i-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、およびグリセロール(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項4から6の何れか1項に記載のアルカリ可溶性バインダー樹脂。
【請求項8】
上記不飽和カルボン酸アミノアルキルエステルは、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-アミノプロピル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノプロピルアクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、および3-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項4から7の何れか1項に記載のアルカリ可溶性バインダー樹脂。
【請求項9】
上記不飽和カルボン酸グリシジルエステルは、グリシジル(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項4から8の何れか1項に記載のアルカリ可溶性バインダー樹脂。
【請求項10】
上記カルボン酸ビニルエステルは、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニルからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項4から9の何れか1項に記載のアルカリ可溶性バインダー樹脂。
【請求項11】
上記不飽和エーテルは、ビニルメチルエーテル又はビニルエチルエーテルのうちいずれか一つであることを特徴とする請求項4から10の何れか1項に記載のアルカリ可溶性バインダー樹脂。
【請求項12】
上記ビニルシアン化化合物としては、(メタ)アクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデンからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項4から11の何れか1項に記載のアルカリ可溶性バインダー樹脂。
【請求項13】
上記不飽和アミドとしては、(メタ)アクリルアミド、α-クロロアクリルアミド、N-2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項4から12の何れか1項に記載のアルカリ可溶性バインダー樹脂。
【請求項14】
上記脂肪族共役ジエンとしては、1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、イソプレンスルホン酸からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項4から13の何れか1項に記載のアルカリ可溶性バインダー樹脂。
【請求項15】
上記カルボン酸を含んだ不飽和二重結合性モノマーは、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、モノメチルマレイン酸、イソプレン スルホン酸、スチレンスルホン酸、5-ノルボルネン-2-カルボン酸、モノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]フタレート、モノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]琥珀酸、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートおよびこれらの混合物からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1から14の何れか1項に記載のアルカリ可溶性バインダー樹脂。
【請求項16】
上記アリル基を含んだ不飽和二重結合性モノマーは、アリル(メタ)アクリレート、α-クロロアクリル酸アリル、α-ヒドロキシメチルメタクリル酸アリル、マレイン酸ジアリル、フマル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、および安息香酸ジアリルからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1から15の何れか1項に記載のアルカリ可溶性バインダー樹脂。
【請求項17】
上記アルカリ可溶性バインダー樹脂は、不飽和二重結合を含んだモノマー30〜89モル%、カルボン酸を含んだ不飽和二重結合性モノマー8〜67モル%およびアリル基を含む不飽和二重結合性モノマー3〜62モル%が含まれることを特徴とする請求項1から16の何れか1項に記載のアルカリ可溶性バインダー樹脂。
【請求項18】
上記アルカリ可溶性バインダー樹脂は、不飽和二重結合を含んだモノマー、カルボン酸を含んだ不飽和二重結合性モノマーおよびアリル基を含む不飽和二重結合性モノマーをラジカル重合して製造されることを特徴とする請求項1から17の何れか1項に記載のアルカリ可溶性バインダー樹脂。
【請求項19】
請求項1から18の何れか1項に記載のアルカリ可溶性バインダー樹脂を含む感光性樹脂組成物。
【請求項20】
上記感光性樹脂組成物は、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物、光開始剤および溶媒をさらに含むことを特徴とする請求項19に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項21】
上記感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂1〜20重量%、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物1〜10重量%、光開始剤0.1〜5重量%、および残量の溶媒を含むことを特徴とする請求項20に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項22】
上記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物は、ペンタエリトリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項20または21に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項23】
請求項19から22の何れか1項に記載の感光性樹脂組成物を含んで製造される有機発光ダイオード(OLED)、発光ダイオード(LCD)又は半導体絶縁膜。

【公開番号】特開2012−12602(P2012−12602A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148135(P2011−148135)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(504111015)エルジー ケム. エルティーディ. (38)
【Fターム(参考)】