説明

アルカリ土類又は希土類金属アルミン酸塩前駆体化合物、それらの製造方法及びそれらの特に発光体前駆体としての使用

本発明は、式a(M1O)・b(MgO)・c(Al23)又はa(M21.5)・b(MgO)・c(Al23)のアルカリ土類又は希土類金属アルミン酸塩前駆体化合物であって、本質的に球状であり且つ化学的に均質の粒子から成る遷移アルミナの形で結晶化された前記前駆体化合物に関する。ここで、M1はアルカリ土類金属であり、M2はイットリウム、又はセリウムとテルビウムとの組合せ物であり、a、b及びcは次の関係:0.25≦a≦4;0≦b≦2;及び0.5≦c≦9を満たす整数又は非整数である。この粒子は、平均直径が10nm未満である孔を有する。この化合物は、アルミニウム化合物と前記前駆体の組成中に存在するその他の元素の化合物との液状混合物を形成させ、この混合物を噴霧乾燥させ、乾燥生成物を700℃〜950℃の範囲の温度においてか焼することから成る方法によって得られる。得られた物質を次いでか焼することによって、アルカリ土類金属又は希土類金属アルミン酸塩が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ土類又は希土類金属アルミン酸塩前駆体化合物、それらの製造方法及びそれらの特に発光体(luminophore)前駆体としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
製造の際に発光体が添加される製品はたくさんある。これらの発光体は光を放出することができ、その色及び強度はそれらに対して行う励起に依存する。これらはまた、様々なタイプのカラーディスプレイ及びランプにおいて広く用いられている。
【0003】
これらの製品は一般的に、様々な成分の塩又は酸化物の混合物を融剤の存在下で高温に加熱することによって得られる。有効な発光体を得るためには、この調製方法は一般的に高い温度、特に1400℃超、例えば1600℃付近の温度を必要とし、それによって得られる製品は、粒子寸法が大きく、時には粒子寸法分布が非常に広い。粒子寸法がより小さい製品を得るためには、次いで追加のミル粉砕や解凝集の操作が必要となる。
【0004】
また、例えば1400℃〜1500℃の範囲のか焼温度におけるエアロゾル熱分解によって発光体をもたらす方法もある。これらの方法は、低温において製品を提供するが、しかし明確に規定された特徴の発光体を直接与える。ここに、最終製品及び/又は発光体を比較的低温において得ることを可能にする初期又は前駆体物質であって、転化条件に応じて(特に融剤を存在させたか否かに応じて)特徴(例えば形態に関する特徴)を変えたり調節したりすることができる製品又は発光体を、融剤以外の原料を添加することなく単純な加熱処理工程によってもたらす可能性を提供する前記初期又は前駆体物質を得ることができれば、有益であろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、かかる前駆体物質を開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的で、本発明のアルカリ土類又は希土類金属アルミン酸塩前駆体化合物は、次の特徴を有する:
・次式によって与えられる組成を有すること:
a(M1O)・b(MgO)・c(Al23) (1)
又は
a(M21.5)・b(MgO)・c(Al23) (2)
(ここで、M1はアルカリ土類金属を表わし、
2はイットリウム、又はセリウムとテルビウムとの組合せ物を表わし、
a、b及びcは次の関係:
0.25≦a≦4、
0≦b≦2 及び
0.5≦c≦9
を満たす整数又は非整数である);
・本質的に遷移アルミナの形で結晶化されること;
・実質的に球状で化学的に均質の粒子の形にあること;及び
・前記粒子が平均直径が少なくとも10nmである孔を含むこと。
【0007】
本発明はまた、かかるアルミン酸塩前駆体を調製する方法にも関し、この方法は、次の工程:
・アルミニウム化合物と前記前駆体の組成中に含まれるその他の元素の化合物との液状混合物を形成させる工程;
・前記混合物を噴霧乾燥させる工程;及び
・乾燥生成物を700℃〜950℃の範囲の温度においてか焼する工程:
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の前駆体化合物は、1200℃以上におけるか焼の後に、その組成に応じて結晶化生成物、特に発光体をもたらすことができる。
【0009】
本発明のその他の特徴、詳細及び利点は、添付した図面を参照して以下の説明を読めばより一層はっきりわかるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下の説明において、用語「希土類金属」とは、イットリウム及び元素周期表の原子番号57〜71の元素により形成される群の元素を意味するものとする。
【0011】
用語「比表面積」とは、「Journal of the American Chemical Society」、第60巻、第309頁(1938年)に記載されたBrunauer-Emmett-Teller法に基づいて作成されたASTM規格D3663−78に従って窒素吸着によって測定されるBET比表面積を意味するものとする。
【0012】
用語「発光体」とは、励起した後に光を発することができる任意の物質を意味するものとする。
【0013】
以下の説明においては、別途記載がない限り、所定の数値範囲においては境界値が含まれるものとする。
【0014】
本発明の前駆体は、上記の式(1)及び(2)で与えられる組成を有する。
【0015】
式(1)の物質において、アルカリ土類金属はより特定的にはバリウム、カルシウム又はストロンチウムであることができる。
【0016】
式(1)の前駆体化合物はさらに、「置換物」と称される追加の元素を既知の態様で含有していてもよく、これらの元素は構成元素M1、Mg及びAlの一部を置換するものと見なされる。これらの置換物は、特に本発明の化合物から得られる物質の光学特性を変性することができる。
【0017】
これらの置換物の例をそれぞれの構成元素について以下に与える。なお、これらは、これまでに当技術分野において一般的に受け入れられていることに基づくものである。これは、もしもある構成元素について記載した置換物が実際には本説明において推定された構成元素以外の構成元素についての置換物であることがその後に明らかになったからといって、本発明の範囲外とはならないということを意味する。
【0018】
かくして、アルカリ土類金属の一部が少なくとも1種の希土類金属で置換されていてもよく、この希土類金属は特にユーロピウム、ネオジム及びジスプロシウムであってよく、これらの元素は単独で用いても組合せとして用いてもよい。同様に、マグネシウムの一部が亜鉛、マンガン及びコバルトから選択される少なくとも1種の元素で置換されていてもよい。最後に、アルミニウムの一部もまたガリウム、スカンジウム、ホウ素、ゲルマニウム及びケイ素から選択される少なくとも1種の元素で置換されていてもよい。
【0019】
これらの置換物の量は既知の態様で広い範囲内で変化し得るが、しかしこれらは、最大値については、前駆体化合物の遷移アルミナの結晶構造(この結晶構造はこの前駆体の別の特徴を構成するものであり、後に説明する)が保たれるようなものでなければならない。さらに、置換物の最小量は、それ以下では置換物がもはや効果を何らもたらさない量である。
【0020】
しかしながら、M1及びマグネシウムについての置換物の量は一般的にせいぜい30%、より特定的にはせいぜい20%、さらにより一層特定的にはせいぜい10%である。この量はat%{置換物/(置換物+M1又はMg)の原子比}で表わされたものである。アルミニウムについては、この量は同じ態様で表わして一般的にせいぜい15%である。置換物の最小量は例えば少なくとも0.1%であることができる。
【0021】
式(1)のアルミン酸塩前駆体化合物の例としては、特にa=1、b=0且つc=1、6又は7であるもの、特に次の式の物質を挙げることができる:
Sr0.99Eu0.01Al24
Sr0.98Eu0.01Dy0.01Al24
Ba0.98Eu0.02Al24
Ca0.99Eu0.01Al24
Ca0.98Eu0.01Nd0.01Al24
Ba0.98Eu0.02Al1219
Ba0.98Mn0.02Al1219
Sr3.9Eu0.1Al1425及び
Sr3.98Eu0.01Dy0.01Al1425
【0022】
また、特に特定的には、アルミン酸マグネシウム前駆体、即ち式(1)においてbが0ではないもの、特にa=b=1且つc=5又は7のもの、さらにより一層特定的にはアルカリ土類金属がバリウムである、即ちアルミン酸バリウムマグネシウム前駆体を挙げることもできる。また、式(3)の物質を挙げることもできる。
a(Ba1-dEudO)・b(MgO)・c(Al23) (3)
(ここで、a、b及びcは上で定義した通りであって次の関係:
0.25≦a≦2、
0≦b≦2 及び
3≦c≦9
を満たし、
dは
0.01≦d≦0.3
を満たす。)
【0023】
かくして、このタイプの物質の例としては、次式:
Ba0.9Eu0.1MgAl1017
Ba0.9Eu0.1Mg0.8Mn0.2Al1017;及び
BaMgAl1423
のものを挙げることができる。また、式(I)においてa=1、b=2且つc=8の物質、特に
Ba0.8Eu0.2Mg1.93Mn0.07Al1627
を挙げることもできる。
【0024】
式(2)のアルミン酸塩前駆体に関しては、これらは希土類金属に基づく物質であり、ここで、イットリウム、セリウム及びテルビウムもまた少なくとも1種の他の希土類金属で置換されていてもよい。置換物について上に記載したこと(特に量に関すること)は、ここでも当てはまる。
【0025】
イットリウムはより特定的にはセリウム、ネオジム又はテルビウムで置換されていてもよく、ここでもまた、これらの元素は単独で用いても組合せとして用いてもよい。
【0026】
本発明は特に式(2)においてa=3、b=0且つc=2.5であり且つ希土類金属がイットリウムである物質、例えば
2.95Tb0.05Al512
2.99Ce0.01Al512
2.99Nd0.01Al512
並びに式(2)においてa=b=1且つc=5.5のもの、例えば
Ce067Tb033MgAl1119
に適用される。また、式
0.99Ce0.01AlO3
の物質を挙げることもできる。
【0027】
本発明の前駆体化合物は、本質的に遷移アルミナの形で結晶化されたものであり、これは例えばγタイプのものであってよい。この結晶化は、X線分析によって示される。「本質的に」という語句は、X線図が主要な遷移アルミナ相に加えて不純物に相当する1つ又はそれより多くの小さい相を有していてもよいということを意味するものとする。本発明の好ましい具体例に従えば、X線図は遷移アルミナ相のみが存在することを示す。
【0028】
本発明の前駆体化合物は、実質的に球状粒子の形を採るので、特異的な形態を有する。この形態は、走査型電子顕微鏡(SEM)によって示すことができる。
【0029】
これらの粒子はよく分離され、個別化されている。粒子の凝集は全く又はほとんどない。
【0030】
これらの粒子はまた、広く変化する寸法を有することもできる。本発明の好ましい具体例に従えば、後に定義するような平均粒子直径(d50)は1.5μm〜20μmの範囲である。この平均直径は、より特定的には2μm〜10μmの範囲、さらにより一層特定的には2μm〜5μmの範囲であることができる。
【0031】
本発明の前駆体化合物はまた、狭い粒子寸法分布を有することもできる。かくして、分散指数σ/mはせいぜい0.8であり、より特定的にはせいぜい0.6であることができる。
【0032】
用語「分散指数」とは、次式:
σ/m=(d84−d16)/2d50
(ここで、d84は全粒子の84体積%がこのd84値よりも小さい直径を有する粒子によって構成されることになる粒子直径であり、
16は全粒子の16体積%がこのd16値よりも小さい直径を有する粒子によって構成されることになる粒子直径であり、
50は全粒子の50体積%がこのd50値よりも小さい直径を有する粒子によって構成されることになる粒子直径である)
の比を意味するものとする。本明細書を通じて、平均寸法及び分散指数は、レーザー回折技術を採用し、Coulter粒子寸法分析機を用いて得られた値である。
【0033】
また、本発明に従うアルミン酸塩の粒子は化学的に均質でもある。これは、少なくとも構成元素が化合物中に単純な物理的混合物(例えば酸化物の混合物)の形では存在するのではなくて、これら元素間に化学タイプの結合があることを意味する。
【0034】
さらに、この化学的均質性は、不均質領域の寸法を測定することによって数量化することができる。これらは60nm2未満である。これは、面積60nm2の領域中に本発明の前駆体の粒子の化学組成に相違がないことを意味する。
【0035】
この均質性特徴は、EDS−TEM分析によって測定される。より正確には、不均質領域は、透過型電子顕微鏡法(TEM)ナノプローブを用いたエネルギー分散分光法(EDS)により測定される。
【0036】
上でわかったように、本発明の前駆体化合物の粒子は球状である。これらの球は一般的に中実球である。この特徴は、透過型電子顕微鏡(TEM)による顕微鏡切片作製法(microtomie)によって示すことができる。
【0037】
しかしながら、これらの粒子は特異的な多孔性を有する。実際、この多孔性は、平均直径が少なくとも10nmである孔によってもたらされる。この直径は、より特定的には10nm〜200nmの範囲、さらにより一層特定的には10nm〜100nmの範囲であることができる。この多孔性は、既知の窒素及び水銀技術によって測定される。
【0038】
本発明の前駆体化合物は、数多くの追加の特徴を有することができる。
【0039】
かくして、本発明の前駆体化合物の別の特徴は、その窒素純度である。この化合物の窒素含有率はせいぜい1%であることができる。この含有率は、該化合物の総質量に対する窒素の質量として表わされる。この含有率は、より特定的にはせいぜい0.6%であることができる。窒素含有率は、抵抗加熱オーブン中で試験片を融解させ、熱伝導度を計ることによって測定される。
【0040】
別の具体例に従えば、本発明の前駆体化合物はまた、他の元素に関しても高い純度を有することができる。
【0041】
かくして、本発明の前駆体化合物は、せいぜい0.5%、より特定的にはせいぜい0.2%の炭素含有率を有することができる。
【0042】
別の具体例に従えば、本発明の前駆体化合物はまた、せいぜい10%、より特定的にはせいぜい5%の塩素含有率を有することもできる。
【0043】
最後に、別の特徴に従えば、本発明の前駆体化合物は、せいぜい0.05%、より特定的にはせいぜい0.01%の硫黄含有率を有することもできる。
【0044】
炭素含有率及び硫黄含有率は、抵抗加熱オーブン中で試験片を燃焼させ、赤外線システムを用いて検出することによって測定される。塩素含有率は、X線蛍光技術によって測定される。
【0045】
上記の値に関しては、前記含有率はすべて化合物の総重量に対する当該元素の重量による%として表わされる。
【0046】
もちろん、本発明の前駆体化合物は、上記の窒素含有率に加えて、上記の炭素、塩素及び硫黄含有率を同時に有することができる。
【0047】
この前駆体化合物は一般的に、少なくとも75m2/gのBET比表面積を有し、これは例えば75m2/g〜200m2/gの範囲であることができる。
【0048】
本発明の前駆体化合物はさらに、そのか焼挙動によって特徴付けることもできる。かくして、その結晶構造はか焼の結果として変化する。一般的に、その遷移アルミナ構造は、比較的低温において別の構造に変化し、この構造及びこの温度は本発明の前駆体の組成に依存する。
【0049】
かくして、式(1)又は(2)の化合物について及びb=0の場合において、か焼後に得られるアルミン酸塩の構造は、トリディマイト(リンケイ石)タイプのものである。式(2)においてb=1又はb=0の化合物については、か焼から得られるアルミン酸塩の構造はそれぞれ磁鉛鉱(magnetoplombite)タイプ又はガーネット(ざくろ石)タイプのものである。
【0050】
式(1)においてアルカリ土類金属がバリウムであり且つa=b=1且つc=5若しくは7又はa=1、b=2且つc=8であるアルミン酸マグネシウム前駆体及び式(3)においてb>0である前駆体という特別な場合、例えば式
Ba0.9Eu0.1MgAl1017
Ba0.9Eu0.1Mg0.8Mn0.2Al1017、及び
BaMgAl1423
の物質においては、か焼から得られる生成物はβ−アルミナ構造又はこれから誘導される構造を有し、この構造は1200℃又はその付近の温度において得られる。
【0051】
本発明の前駆体化合物から得られるアルミン酸塩は、純粋な結晶相の形を有する。
【0052】
用語「純粋な」とは、X線分析によって単一の相のみを検出することができるだけであり、例えばトリディマイト、磁鉛鉱、ガーネット又はβ−アルミナ相以外の相の存在を検出することができないことを意味するものとする。
【0053】
本発明の前駆体の有利な特性として、本発明の化合物はか焼の際にその球状形態を維持することもわかった。球状粒子間での焼結はない。また、粒子の分散指数も維持される。最後に、粒子寸法は僅かしか変化しない。例えば、d50はせいぜい2μm又は1μm増加するだけであることができる。
【0054】
1つの理論に縛りつけられることは望まないが、この特性は粒子内にある程度の多孔性が存在することの結果であると信じられる。この多孔性は、上記した少なくとも10nmの平均直径を有する孔が存在することによってもたらされる。粒子の焼結が存在しないことは、顕微鏡写真によって示すことができるが、しかし特に特定的にはこれはか焼後の生成物中にマクロ孔性が何ら観察されないという事実によって確認される。実際、従来技術の製品の場合には、50000nm周辺の平均直径又は25000〜90000nmの範囲の直径を有する孔からもたらされる多孔性が存在することが多孔度測定によって示され、これは実際、凝集粒子間のスペースに相当する。
【0055】
本発明はまた、アルカリ土類又は希土類金属アルミン酸塩、特にアルミン酸バリウムマグネシウムにも関し、これらは適宜にルミネセンス特性を示すことができるものである。これらのアルミン酸塩は、本発明の化合物をβ−アルミナ相を得るのに充分高い温度(例えばアルミン酸バリウムマグネシウムの場合には少なくとも1200℃)において、そして発光体を得ることが望まれる場合及び置換物が還元された形になければならない場合には還元性雰囲気中で、か焼することによって得られる。
【0056】
このか焼後に得られるアルミン酸塩は、か焼条件に応じて、前駆体化合物について上記したものと同じ形態特徴(球状粒子、粒子寸法、分散指数)、同じ組成並びに窒素、炭素、塩素及び硫黄に関して同じ純度を有することができる。従って、形態、組成及び純度に関して並びに前駆体化合物に関して上に与えた値は、ここでアルミン酸塩にも当てはまる。このアルミン酸塩は、純粋なβ−アルミナ相の形にある。ユーロピウムを含有する物質の場合、ユーロピウムはEu2+の形で存在することができる。この場合及び約380nmの波長より低い励起下において、このアルミン酸塩は青色に発光することができる(450nm)。
【0057】
次に、本発明の前駆体化合物の調製方法を説明する。
【0058】
上に示したように、この方法は、液状混合物を形成させる第1工程を含み、この混合物は、アルミニウムの化合物及び前記前駆体化合物の組成中に含まれるその他の元素の化合物の溶液若しくは懸濁液又はゲルである。
【0059】
これらの元素の化合物としては、無機塩又は水酸化物を用いるのが一般的である。塩としては、好ましくは硝酸塩を、特にバリウム、アルミニウム、ユーロピウム及びマグネシウムの場合に、挙げることができる。場合によっては、硫酸塩(特にアルミニウムの場合)、塩化物又は有機酸塩(例えば酢酸塩)を用いることもできる。
【0060】
また、アルミニウム化合物としてアルミニウムのコロイド分散体又はゾルを用いることもできる。かかるコロイド状アルミニウム分散体は、寸法が1nm〜300nmの範囲である粒子又はコロイドを有することができる。ゾル中においてはアルミニウムはベーマイトの形で存在することができる。
【0061】
次の工程は、前もって調製した混合物を乾燥させることから成る。この乾燥は、噴霧によって行われる。
【0062】
「噴霧乾燥」という表現は、混合物を熱い雰囲気中に噴霧することによる乾燥(スプレードライ)を意味するものとする。噴霧は、それ自体周知の任意の噴霧器(例えばじょうろの口金タイプ又は他のタイプの噴霧ノズル)によって行うことができる。また、タービン噴霧器と称される噴霧器を用いることもできる。本方法において用いることができる様々な噴霧技術に関しては、特に「Spray drying」という標題のMastersによる基本書(第2版、1976年、ロンドン所在のGeorge Godwin社発行)を参照することができる。
【0063】
また、「フラッシュ」反応器、例えばフランス国特許第2257326号、同第2419754号及び同第2431321号の各明細書に記載されたタイプのものによって噴霧乾燥操作を実施することもできるということに留意されたい。このタイプの噴霧乾燥器は、特に粒子寸法が小さい製品を調製するために用いることができる。この場合、処理用ガス(熱いガス)は螺旋動作で駆動され、渦を巻いた形で流れ込む。乾燥させるべき混合物は、ガスの螺旋軌道の対称軸に沿った軌道で射出され、これによって、ガスの運動量を処理されるべき混合物に完全に伝えることができる。従って、ガスは、初期混合物をスプレーする働き、即ち初期混合物を微細な液滴に変換する働きと、得られた液滴を乾燥させる働きとの2つの働きをする。さらに、粒子が反応器内に滞在する時間が極めて短い(一般的には約0.1秒未満)ので、他にも利点はあるが特に、熱いガスと過度に長時間接触させた場合の結果としての過熱の危険性が少なくなるという利点がある。
【0064】
上記のフラッシュ反応器に関しては、特にフランス国特許第2431321号明細書の図1を参照することができる。
【0065】
この反応器は、燃焼室と、ダブル円錐又は上部が分かれた切り取られた円錐から成る接触室とから成る。燃焼室は狭められた通路を介して接触室に通じる。
【0066】
燃焼室の上部には、可燃性相の供給を可能にする開口が設けられる。
【0067】
さらに、燃焼室は内部同軸筒状体を含み、この筒状体は燃焼室内部の中央帯域と周辺側の環状帯域との境界を定め、小穴(大抵の場合装置の上方部分に配置される)を有する。この室は、少なくとも1つの円周上、好ましくは軸に沿って間隔を置いたいくつかの円周上に分布された少なくとも6個の小穴を有する。この室の下方部分に配置される小穴の総表面積は非常に小さく、即ち、前記内部同軸筒状体中の小穴の総表面積の約1/10〜1/100であることができる。
【0068】
小穴は通常円形であり、非常に薄い。好ましくは小穴の直径対壁の厚さの比は少なくとも5であり、壁の最小厚さは機械的要件によってのみ制限される。
【0069】
最後に、狭められた通路に屈曲管が設けられる。この管の先端は前記中央帯域の軸に通じる。
【0070】
螺旋動作で駆動されるガス相(以下、螺旋相と言う)は、ガス、一般的には空気から成り、これは環状帯域内のオリフィスに供給される。このオリフィスは、該帯域の下方部分に配置されるのが好ましい。
【0071】
狭められた通路において螺旋相を得るためには、前記のオリフィスに低圧下、即ち1バールより低い圧力下、より特定的には接触室内に存在する圧力より上の0.2〜0.5バールの範囲の圧力下においてガス相を供給するのが好ましい。この螺旋相の速度は通常10〜100m/秒の範囲、好ましくは30〜60m/秒の範囲である。
【0072】
さらに、前記の開口から中心帯域に軸方向に沿って可燃性相(これは特にメタンであることができる)が約100〜150m/秒の速度で射出される。
【0073】
可燃性相は、燃料と螺旋相とが接触される領域において任意の既知の手段によって点火される。
【0074】
その後に、狭められた通路において、双曲面の母線群と一致した多くの軌道に沿って、ガスに課された流れが起こる。これらの母線は、狭められた通路の付近及びその下に位置する小さい寸法の円又はリング群の上を通り、その後に全ての方向に分散する。
【0075】
次に、処理されるべき混合物が液体の形で前記の管(屈曲管)から供給される。この時、液体は多数の液滴に分かれ、それぞれの液滴が一定容量のガスによって移送され、遠心分離効果を生じる動作に付される。通常、液体の流量は0.03〜10m/秒の範囲である。
【0076】
螺旋相の固有の運動量対液体混合物の運動量の比は高くなければならず、特に少なくとも100であり、1000〜10000の範囲であるのが好ましい。狭められた通路付近での運動量は、ガス及び処理されるべき混合物の入口流量並びにこの通路の断面積に基づいて計算される。流量が大きくなると液滴の寸法が大きくなる。
【0077】
これらの条件下で、ガスの固有の運動の方向及び強さが処理されるべき混合物の液滴に伝えられ、これらは2つの流れが収束する領域で互いに分散する。さらに、液体混合物の速度は、連続流を得るのに必要とされる最小値に低減される。
【0078】
噴霧乾燥は一般的に100℃〜300℃の範囲の固体出口温度で実施される。
【0079】
本方法の最終工程は、乾燥から得られた生成物をか焼することから成る。
【0080】
か焼は、700℃〜950℃の範囲、より特定的には700℃〜900℃の範囲の温度において実施される。700℃より低い温度では本発明の化合物を本質的に遷移アルミナの結晶化した形で製造することができない。950℃より上では寄生相が現れる恐れがあり、この寄生相が前駆体から得られるアルミン酸中にも残る可能性がある。
【0081】
か焼時間は、本質的に遷移アルミナの結晶化した形にあり且つ上に与えた窒素含有率並びにその他の元素(C、S及びCl)の含有率を有する生成物を得るのに充分長いように選択される。例えば、この時間は10分〜5時間の範囲であってよく、か焼温度が高いほど短くなる。
【0082】
か焼は一般的に空気中で実施される。
【0083】
このか焼から、本発明の前駆体化合物が得られる。
【0084】
上記のように、この化合物をか焼することによってアルミン酸塩が得られる。このか焼は、得られる生成物が特に所望の構造にあるのに充分高い温度において実施しなければならない。アルミン酸バリウムマグネシウムの場合には、この温度は少なくとも1200℃である。このか焼は、空気中で実施してもよく、また、好ましくは発光体を得ることが望まれる場合には還元性雰囲気中で、例えば窒素と混合された水素中で実施してもよい。ユーロピウムを置換物とする場合には、これは酸化状態2に変化する。このか焼の時間は、例えば約2時間である。
【0085】
このか焼は、融剤と共に実施することも融剤なしで実施することもできる。好適な融剤の例としては、特にフッ化リチウム、フッ化アルミニウム、フッ化マグネシウム、塩化リチウム、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム及び酸化ホウ素を挙げることができるが、このリストはもちろん網羅的なものではない。融剤は生成物と混合され、次いでこの混合物が選択された温度に加熱される。
【0086】
融剤なしでか焼することによって本発明の前駆体化合物と同じ形態を有するアルミン酸塩を得ることができ、また、β−アルミナ構造を有する物質の場合には融剤と共にか焼することによって小板の形の物質を得ることができる。
【0087】
こうして得られるアルミン酸塩は、発光体として用いることができる。かくして、これらは、発光体を組み込まれる任意の装置、例えばプラズマディスプレイスクリーン、三原色ランプ及び発光ダイオードの製造に用いることができる。
【0088】
上記の物質の例として、ランプ中には次式のものを用いることが可能である:
Ba0.9Eu0.1MgAl1017
Ba0.9Eu0.1Mg0.8Mn0.2Al1017
Ba0.8Eu0.2Mg1.93Mn0.07Al1627
Ce0.67Tb0.33MgAl1119及び
Sr3.9Eu0.1Al1425
プラズマディスプレイスクリーンについては、特に次のものが有用である:
Ba0.9Eu0.1MgAl1017
Sr0.99Eu0.01Al24
Ca0.99Eu0.01Al24;及び
Ba0.98Mn0.02Al1219
次式の化合物は、それらのリン光特性のために、用いることができる:
Sr0.98Eu0.01Dy0.01Al24
Ca0.98Eu0.01Nd0.01Al24及び
Sr3.98Eu0.01Dy0.01Al1425
また、発光ダイオードについても、次の物質が有用である:
Ba0.9Eu0.1MgAl1017及び
2.99Ce0.01Al512
レーザーにおいては
2.99Nd0.01Al512
用いることができ、映写スクリーンにおいてはシンチレーターとして
2.99Tb0.01Al512
が用いることができる。
【0089】
最後に、本発明は、これらのアルミン酸塩を発光体として含有するプラズマディスプレイスクリーン又は電界放出(マイクロチップ)ディスプレイスクリーン、発光ダイオード及び三原色ランプに関する。
【0090】
上記の装置の製造においては、よく知られた技術を用いて、例えばスクリーン印刷、電気泳動又は堆積によって、これらの発光体を塗布することができる。
【実施例】
【0091】
以下、実施例を与える。
【0092】
この実施例については、以下の測定方法を採用した。
【0093】
炭素及び硫黄含有率の分析
LECO CS 444分析機を用い、誘導炉中での酸素中における燃焼及び赤外線システムによる検出を伴う技術によって、総炭素含有率及び全硫黄含有率を同時に測定した。
【0094】
LECOCELタイプの促進剤及びIRONタイプの融剤(未知試験片の分析のため)が添加されたセラミックるつぼ中に試験片(標準試験片及び未知試験片)を入れる。試験片を炉中で高温において融解させ、燃焼ガスを金網上で濾過して次いでそれらを一連の反応成分上に通す。水分トラップの出口の後に、第1の赤外セルによってSO2を検出する。次いで触媒(白金シリカゲル)を通してガスを流し、これによってCOがCO2に、SO2がSO3に転化する。後者はセルロースによって捕捉され、CO2は2つの赤外セルによって検出する。
【0095】
窒素含有率の分析
LECO TC-436分析機を用い、抵抗加熱炉中での融解を伴う技術によって、窒素含有率を測定した。窒素含有率は、熱伝導度によって測定される。
【0096】
この分析は、次の2つの工程で実施される:
・空のるつぼの脱ガス:空のグラファイトるつぼを炉の2つの電極の間に置く。ヘリウム流によってるつぼから雰囲気ガスを取り除いて隔離する。るつぼを通して大電流をかける。これは、るつぼを非常に高温に加熱する効果を有する;
・試験片の分析:試験片を計量して装入ヘッド中に導入し、脱ガスされた空のるつぼ中に落とす。るつぼを通して新たな大電流をかけると、この時に試験片が融解する。次いで熱伝導度セルによって窒素を検出する。
【0097】
レーザー散乱粒子寸法分析
この測定は、Coulter LS 230光散乱分析機(標準モジュール)を450W(パワー7)超音波プローブと組み合わせたものを用いて行う。試験片は次の態様で調製される:各試験片0.3gを純水50ml中に分散させる。こうして調製された懸濁液に超音波を3分間当てる。そのまま及び解凝集した懸濁液の1アリコートを、的確な暗闇が得られるように容器中に入れる。測定のために用いた光学模型は、n=1.7、k=0.01である。
【0098】
多孔度測定
2つの技術を用いて、2nm〜数百μmの範囲の孔領域を測定することができる。
【0099】
第1のものは、140°のHg接触角度に設定されたMicromeritics社製のAutopore 9420多孔度測定器を装置として用いた水銀多孔度測定である。多孔度測定の前に粉末をオーブン中で200℃において2時間脱ガスする。
【0100】
また、Micromeritics社製のTristar 3000多孔度測定器及びMicromeritics社製のVAC PREP脱ガス機を装置として用いた窒素技術も用いられる。多孔度測定の前に粉末を200℃において4時間脱ガスする。
【0101】
例1
この例は、式Ba0.9Eu0.1MgAl1017のアルミン酸バリウム前駆体の合成に関する。
【0102】
用いた原料は、ベーマイトゾル(比表面積265m2/g)(ゲル100g当たりにAlを0.157モル含有するもの)、99.5%硝酸バリウム、99%硝酸マグネシウム及びEuを2.102モル/リットル含有する硝酸ユーロピウム溶液(d=1.5621g/ml)だった。ベーマイトゾルを200ml作った(即ちAlが0.3モル)。さらに、塩溶液(150ml)には、7.0565gのBa(NO3)2、7.9260gのMg(NO3)2及び2.2294gのEu(NO3)3溶液を含有させた。最終容量は405mlになった(即ちAlが2%)。前記ゾルを前記塩溶液と混合した後に、最終pHは3.5だった。得られた混合物をAPV(登録商標)噴霧乾燥器を用いて145℃の出口温度において噴霧乾燥させた。乾燥粉末を空気中で900℃において2時間か焼した。
【0103】
こうして得られた粉末は白色だった。これはBa0.9Eu0.1MgAl1017の化学組成を満たすものだった。
【0104】
この粒子は、10.4μmのd50を有する球状であり、分散指数は0.6だった(レーザーCoulterカウンター)。
【0105】
この生成物はγ−アルミナ構造を有していた(XRD)。この生成物は赤色に発光した。発光体はEu3+である。XD図は図1のものに相当する。図3の写真は、この生成物を構成する粒子の球状外観をはっきり示している。
【0106】
この生成物は、0.39%の窒素含有率(LECO TC 436分析機で測定)、0.01%未満の硫黄含有率及び0.09%の炭素含有率(後者の2つの含有率はLECO CS 444分析機で測定)を有していた。多孔度測定によって得られた多孔度図から、10nmの平均孔直径が得られた。
【0107】
粉末をアルゴン中で1200℃において2時間か焼した後に、再び白色粉末の形の生成物が得られた。この粉末は9.7μmのd50を0.5の分散指数(レーザーCoulterカウンター)と共に有する球状粒子から成っていた。
【0108】
この生成物はβ−アルミナ構造を有していた(XRD)。そのX線図は図2のものに相当する。図4の写真は、この生成物を構成する粒子の球状外観をはっきり示している。
【0109】
この生成物は青色に発光した。発光体はEu2+である(450nmにおいて発光)。
【0110】
発光効率は少なくとも固体−固体反応(シャモット化)によって得られる生成物のものに等しく、エアロゾル熱分解によって得られた生成物のものより少なくとも20%高く、少なくとも30%高いことさえあった。
【0111】
例2
この例は、様々な物質の調製に関する。
【0112】
この調製は、例1の操作方法に従い、特に同じベーマイトゾルに基づいて実施した。物質の組成を構成する各種元素(希土類金属及びアルカリ土類金属)を硝酸塩の形で、所望の組成の化学量論を得るのに必要な量で供給した。例1におけるように、塩溶液及びゾルを互いに混合し、この混合物に、塩が完全に溶解するのに必要な容量の水をつぎ足した。
【0113】
この混合物をBUCHI噴霧乾燥器を用いて120℃の出口温度で噴霧乾燥させた。乾燥粉末を空気中で900℃において2時間か焼した。
【0114】
この前駆体を次いで対応する発光体を得るために様々な温度においてか焼した。
【0115】
下記の表に、調製された組成、前駆体の粒子寸法特徴、対応発光体を得るための前駆体のか焼温度及び示した波長における発光体の発光色を与える。
【0116】

【0117】
物質Ce0.67Tb0.33Al1119は発光性(蛍光性)であるのに対して、他の2つはリン光性である。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明に従う前駆体組成物のX線図である。
【図2】本発明に従う前駆体化合物をか焼することによって得られるアルミン酸塩のX線図である。
【図3】本発明の前駆体化合物のSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。
【図4】本発明に従うアルミン酸塩のSEM写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の特徴:
・次式によって与えられる組成を有すること:
a(M1O)・b(MgO)・c(Al23) (1)
又は
a(M21.5)・b(MgO)・c(Al23) (2)
(ここで、M1はアルカリ土類金属を表わし、
2はイットリウム、又はセリウムとテルビウムとの組合せ物を表わし、
a、b及びcは次の関係:
0.25≦a≦4;
0≦b≦2 及び
0.5≦c≦9
を満たす整数又は非整数である);
・本質的に遷移アルミナの形で結晶化されること;
・実質的に球状で化学的に均質の粒子の形にあること;及び
・前記粒子が平均直径が少なくとも10nmである孔を含むこと:
を有することを特徴とする、アルカリ土類又はアルカリ金属アルミン酸塩前駆体化合物。
【請求項2】
窒素含有率がせいぜい1%であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(1)においてM1がバリウム、ストロンチウム又はカルシウムであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
式(1)においてa=1、b=0且つc=1、6又は7であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
次式(3):
a(Ba1-dEudO)・b(MgO)・c(Al23) (3)
(ここで、a、b及びcは上で定義した通りであって次の関係:
0.25≦a≦2、
0≦b≦2 及び
3≦c≦9
を満たし、
dは
0.01≦d≦0.3
を満たす)
を満たすことを特徴とする、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項6】
式(1)においてa=b=1且つc=5又は7であり且つM1が特にバリウムを表わすことを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の化合物。
【請求項7】
式(1)においてa=1、b=2且つc=8であり且つM1が特にバリウムを表わすことを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の化合物。
【請求項8】
式(2)においてa=3、b=0且つc=2.5であり且つM2がイットリウムであることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の化合物。
【請求項9】
式(2)においてa=b=1且つc=5.5であることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の化合物。
【請求項10】
1の一部が特にユーロピウム、ネオジム又はジスプロシウムであってよい少なくとも1種の希土類で置換されていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
前記マグネシウムの一部が亜鉛及びマンガンから選択される少なくとも1種の元素で置換されていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
前記アルミニウムの一部がガリウム、スカンジウム、ホウ素、ゲルマニウム及びケイ素から選択される少なくとも1種の元素で置換されていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
前記粒子が1.5μm〜20μmの範囲の平均直径を有することを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
前記粒子がせいぜい0.8の分散指数を有することを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の化合物。
【請求項15】
窒素含有率がせいぜい0.6%であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
炭素含有率がせいぜい0.5%、より特定的にはせいぜい0.2%であることを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の化合物。
【請求項17】
塩素含有率がせいぜい10%、より特定的にはせいぜい5%であることを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の化合物。
【請求項18】
硫黄含有率がせいぜい0.05%、より特定的にはせいぜい0.01%であることを特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載の化合物。
【請求項19】
式(1)においてアルカリ土類金属がバリウムであり且つa=b=1且つc=5若しくは7又はa=1、b=2且つc=8であること或は式(3)を満たすこと、及び1200℃以上の温度においてか焼することによって純粋なβ−アルミナ構造を有することを特徴とする、請求項1〜18のいずれかに記載の化合物。
【請求項20】
前記粒子の平均孔直径が10nm〜100nmの範囲であることを特徴とする、請求項1〜19のいずれかに記載の化合物。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれかに記載の化合物をか焼することによって得られることを特徴とする、アルカリ土類又は希土類金属アルミン酸塩。
【請求項22】
アルミニウム化合物と前記前駆体の組成中に含まれるその他の元素の化合物との液状混合物を形成させる工程;
前記混合物を噴霧乾燥させる工程;及び
乾燥生成物を700℃〜950℃の範囲の温度においてか焼する工程:
を含むことを特徴とする、請求項1〜20のいずれかに記載の前駆体化合物の製造方法。
【請求項23】
アルミニウム化合物としてこの元素のゾルを用いることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
アルミニウム化合物として及び前記元素の化合物として硝酸塩を用いることを特徴とする、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
請求項21に記載のアルミン酸塩を発光体として含有することを特徴とする、プラズマディスプレイパネル。
【請求項26】
請求項21に記載のアルミン酸塩を発光体として含有することを特徴とする、三原色ランプ。
【請求項27】
請求項21に記載のアルミン酸塩を発光体として含有することを特徴とする、発光ダイオード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−513038(P2007−513038A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530370(P2006−530370)
【出願日】平成16年5月19日(2004.5.19)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001240
【国際公開番号】WO2004/106263
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(503124252)ロディア エレクトロニクス アンド カタリシス (13)
【Fターム(参考)】