説明

アルコキシポリエステル化合物、組成物およびその使用方法

【課題】
【解決手段】 本明細書中開示されるのは、化学式(I)の化合物と、化学式(I)の化合物を有する組成物と、組成物中の光分解性ポリマーまたは化合物を安定化させる方法とである。ここで、R、R、およびRは同一であるかまたは異なり、C−C30アルキル、C−Cシクロアルキル、置換アルキル、置換シクロアルキル、エステル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換ヘテロシクロアルキル、およびアミノからなる群から選択され、R、R、R、およびRはそれぞれ、独立して水素およびアルコキシからなる群から選択され、RおよびRは両方とも水素というわけではなく、RおよびRは両方とも水素というわけではなく、a、b、cおよびdはそれぞれ独立して、1〜4の整数であり、nは1〜100の整数であり、sは0〜100の整数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーを含むUV分解性光活性化合物の光安定性を増加させる化合物および方法に関する。より詳細には、本明細書中開示される化合物は、化学式(I)を有し、当該化合物の光安定性を増加させる光分解性UV吸収化合物と組み合わせることができる。

式中、R、R、およびRは同一であるかまたは異なり、C−C30アルキル、C−Cシクロアルキル、置換アルキル、置換シクロアルキル、エステル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換ヘテロシクロアルキル、およびアミノからなる群から選択され、R、R、R、およびRはそれぞれ、独立して水素およびC1−30アルコキシからなる群から選択され、ここで、RおよびRは両方とも水素というわけではなく、RおよびRは両方とも水素というわけではなく、a、b、cおよびdはそれぞれ独立して、0〜4の整数であり、好適には0または1であり、nは1〜100の整数であり、mは0〜100の整数である。化学式(I)の化合物は、励起状態エネルギー(一重項および時には三重項状態)を受け入れることにより発色団の励起状態をクエンチし、これによりUV吸収分子をその基底状態に戻し、これにより前記発色団が例えば紫外線(UV)光からより多くの光子を吸収できるようにし、これにより、光活性組成物中のUV吸収発色団含有有機分子(特に、アヴォベンゾン、オクチルメトキシシンナマート(オクチノキサート)、およびサリチル酸オクチル(オクチサレート))を光安定化させることが分かっている。
【背景技術】
【0002】
発色団含有有機分子によって紫外線光が吸収されると、発色団部分中の電子が励起して、初期に占有されている低エネルギー軌道から、以前は占有されていない軌道のより高いエネルギーへと変わる。前記吸収された光子のエネルギーにより、電子が活性化され、前記電子はより高いエネルギー軌道に「ジャンプ」する(Turro、Modern Molecular Photochemistry、1991を参照)。2個の励起電子状態は、UV光吸収によって生成される電子軌道構成から導出される。1つの状態においては、電子スピンが対をなし(逆平行)、他方の状態においては、電子スピンは不対化される(平行)。対を成したスピン状態ではスピン磁気モーメントは発生しないが、不対スピンの状態ではネットスピン磁気モーメントが発生する。対を成したスピン状態は、磁界の存在下で単一状態のままであり、これは一重項状態と呼ばれる。不対スピンの状態は磁界と相互作用して3つの量子化状態に分裂し、これは三重項状態と呼ばれる。
【0003】
このような電子的励起状態において、発色団含有有機分子は、多数の公知の経路を介して劣化し易く、そのため、これ以上UV光をほとんどあるいは全く吸収できなくなる。十分なUV保護を得るために、電子的に励起された発色団含有有機分子を光安定化するために、前記発色団含有有機分子を基底状態に戻す必要がある。公知の光安定化日焼け止め添加剤がある(例えば、本譲受人の米国特許第6113931号、6284916号、6518451号、および6551605号(これら全てをここに参考のため援用する)のオクトクリレンおよびナフタレンジカルボン酸のエステルまたはポリエステル)。これらは、励起三重項状態エネルギーをクエンチすることができる。驚くべきことに、アルコキシクリレン(特にメトキシクリレン)は、発色団含有有機分子(特に、アヴォベンゾン、メトキシケイ皮酸オクチル(オクチノキサート)およびサリチル酸オクチル(オクチサレート))を、電子的励起一重項状態および励起三重項状態からその基底状態へと戻し、これにより前記UV吸収有機分子を光安定化させることが分かっている。
【0004】
Deflandreの米国第5576354号は、主にα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸を少なくとも1重量%含む化粧品用日焼け止め組成物を開示している。α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸は、ジベンゾイルメタン誘導体(例えば、Parsol1789(アヴォベンゾン))を光安定化させる(ただし、前記組成物が脂肪相(例えば、グリセロールステアレート、ミリスチン酸イソプロピル等)を含み、かつ、前記ジベンゾイルメタン誘導体に対する前記α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸のモル比が少なくとも0.8である場合)。前記’354特許において好適でありかつ例中に開示されている化合物はオクトクリレンであり、オクトクリレンは、アルコキシラジカル(単数または複数)(UVINULN539)、β,β−bis(4−メトキシフェニル)アクリレート(シアノラジカルは含まない)、および前記α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸(これらは、アルコキシラジカル(単数または複数)を含まない)を含まない。
【0005】
本譲受人の米国特許第7235587号、6919473号、6962692号および6800274号において、光分解性UV吸収化合物を光安定化させるクリレン成分を含むジエステルおよびポリエステルが開示されている。しかし、これらの特許中、1つ以上のアルコキシクリレン成分を含むジエステルまたはポリエステルは開示されていない。
【0006】
本譲受人の係属中の出願(シリアル番号10/241,388号、10/361,223号および10/7865,793号)中に記載されているように、α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸化合物(例えば、オクトクリレン)は、励起光活性化合物の励起三重項状態エネルギーに対し、高速異性化の形態で前記エネルギーを動力学的に散逸させることにより前記エネルギーをクエンチする(受け入れる)ことが知られている。このプロセスを以下に示す。


式中、前記α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸化合物(構造Aとして上記に示すオクトクリレン)は、光活性化合物からの三重項励起状態エネルギーを受け入れ、前記アクリレートのαおよびβ位置においてジラジカル(上記において構造A*として示す)を形成し、その結果二重結合が単一結合に変換され、フェニル基の自由回転が可能となる。この回転は高速に発生し、前記光活性化合物からの前記α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸化合物によって受け入れられた、励起三重項状態エネルギーを全て効率的に散逸させる。
【0007】
オクトクリレンは光活性化合物からの三重項励起状態エネルギーをクエンチする(受け入れる)ことで、ジベンゾイルメタン誘導体をある程度まで光安定化させる(Deflandreらの米国特許第5576354号の例1、4、6および8に示すような、ここに参考のため援用する)が、光活性組成物の分野において、光活性化合物からの一重項励起状態エネルギーをそして好適には三重項励起状態エネルギーもクエンチする(受け入れる)1つ以上の化合物を発見する必要が存在している。
【0008】
極めて驚くべきことに、化学式(I)のアルコキシ置換α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸ポリエステルは、UV吸収化合物の量と比較してローディングが低い場合でも、UV吸収有機分子(例えば、米国特許第5576354号のジベンゾイルメタン誘導体)の電子的励起一重項状態エネルギーをクエンチすることが分かっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6113931号
【特許文献2】米国特許第6284916号
【特許文献3】米国特許第6518451号
【特許文献4】米国特許第6551605号
【特許文献5】米国特許第5576354号
【特許文献6】米国特許第7235587号
【特許文献7】米国特許第6919473号
【特許文献8】米国特許第6962692号
【特許文献9】米国特許第6800274号
【発明の概要】
【0010】
(要旨)
【0011】
本発明は、化学式(I)の化合物と、光分解性化合物および光分解性ポリマーの光安定性を増加させるためのこれらの化合物の使用とに関する。
【0012】
よって、本発明の1つの局面は、化学式(I)の化合物を提供する。


式中、R、R、およびRは、同一であるかまたは異なり、C−C30アルキル、C−Cシクロアルキル、置換アルキル、置換シクロアルキル、エステル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換ヘテロシクロアルキルおよびアミノからなる群から選択され、R、R、RおよびRはそれぞれ、独立して水素およびC1−30アルコキシからなる群から選択され、ここで、RおよびRは両方とも水素というわけではなく、RおよびRは両方とも水素というわけではなく、a、b、cおよびdはそれぞれ独立して0または1の整数であり、nは1〜100の整数であり、mは0〜100の整数である。化学式(I)の曲線は、シアノ基がフェニル環のいずれかに対してシスであり得ることを示す。具体的な実施形態において、R、R、R、およびRはそれぞれ、独立して水素およびC−C10アルコキシからなる群から選択され、より具体的な実施形態において、R、R、RおよびRはそれぞれ、独立して水素およびメトキシからなる群から選択される。具体的なクラスの実施形態において、a、b、cおよびdはそれぞれ1であり、RまたはRのうちの一方はメトキシであり他方は水素であり、RおよびRのうち一方はメトキシであり他方は水素であり、ここで、前記メトキシは前記フェニル環のパラ配位である。具体的な実施形態において、前記化学式(I)の化合物は化学式(II)である。

式中、mは4〜6である。
【0013】
別の局面は、光分解性UV吸収化合物または光分解性ポリマーの重量に基づいて化学式(I)の化合物の有効量(例えば、0.05%〜25%)(好適には0.1〜10%)を前記UV吸収化合物または光分解性ポリマーに付加することにより、前記UV吸収化合物または光分解性ポリマーの光分解性を低減させる方法を提供する。
【0014】
本発明のさらに別の局面は、化学式(I)の化合物の付加により、光分解性UV吸収化合物またはUV光光分解性光活性化合物(例えば、ジベンゾイルメタン誘導体)を含まない光分解性UV吸収化合物または光分解性ポリマーを光安定化させる方法を提供する。
【0015】
本発明のさらに別の局面は、化学式(I)の化合物の付加により、さらなる光分解性UV吸収化合物(特に、4−(l,l−ジメチルエチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタン(PARSOL(R)1789))を含まないポリマー組成物を光安定化させる方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、5%の化学式(II)の化合物、5%のメトキシケイ皮酸オクチル、2%のアヴォベンゾン、および1.8%のオクトクリレンを有する組成物のUV安定性を示すグラフであり、35最小紅斑量(MED)単位での照射前後における前記組成物のUV安定性を示す。ここで、1MEDは、21ミリジュール/平方センチメートル(mJ/cm)である。
【図2】図2は、5%の化学式(II)の化合物、5%のメトキシケイ皮酸オクチル、3%のアヴォベンゾン、5%のオクチサレート、5%のホモサレート、4%のオキシベンゾン、および2.75%のオクトクリレンを有する組成物のUV安定性を示すグラフであり、35MED単位での照射前後における前記組成物のUV安定性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(定義)
「アルキル」という用語は、本明細書中用いられるように、直鎖および分枝鎖炭化水素基を指し、好適には1〜30個の炭素原子を含む。アルキル基の例を挙げると、C−Cアルキル基がある。本明細書中用いられるように、C−Cという表示(xおよびyは整数)は、x〜yの炭素原子を有する基を示す(例えば、C−Cアルキル基は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である)。アルキル基の非限定的例を挙げると、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル(2−メチルプロピル)、およびt−ブチル(1,1−ジメチルエチル)がある。
【0018】
「シクロアルキル」という用語は、本明細書中用いられるように、脂肪族環状炭化水素基を指し、好適には3〜8個の炭素原子を含む。シクロアルキル基の非限定的例を挙げると、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルがある。
【0019】
「置換アルキル」および「置換シクロアルキル」という用語は、本明細書中用いられるように、1つ以上の置換基を有するアルキルまたはシクロアルキル基を指す。これらの置換基の例を挙げると、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、および置換ヘテロシクロアルキルがある(ただし、これらに限定されない)。好適な置換アルキル基は、1〜20個の炭素原子を有する(前記置換基の炭素原子を含まない)。好適には、置換アルキル基は、1個、2個または3個の炭素原子において一置換または二置換される。前記置換基は、同一炭素または異なる炭素原子に結合され得る。
【0020】
「アリール」という用語は、本明細書中用いられるように、単環、溶融二環、および溶融三環炭素環状芳香環系(例えば、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、フェナントレニル、ビフェニレニル、インダニル、インデニル、アンスラセニル、およびフルオレニル(ただし、これらに限定されない))を指す。
【0021】
「ヘテロアリール」という用語は、本明細書中用いられるように、単環、溶融二環、および溶融三環芳香環系を指し、1〜4個の環原子は、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択され、残りの環原子は炭素であり、前記環系は、前記環原子のうちのいずれかにより、前記分子の残部に結合される。ヘテロアリール基の非限定的例を挙げると、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、およびベンゾチアゾリルがある。アリールおよびヘテロアリール基は、必要に応じて多様な置換基と置換してよい。企図される置換基の例を挙げると、ハロ、OR、N(R)、C(=O)N(R)、CN、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、O(CH1−3N(R)、O(CH1−3COH、およびトリフルオロメチル(ただし、これらに限定されない)がある。
【0022】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、本明細書中用いられるように、脂肪族の部分的に不飽和または完全飽和した3〜14員環系(3〜8原子の単一環および二環および三環環系を含む)を指す。ヘテロシクロアルキル環系は、酸素、窒素、および硫黄から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む。ここで、窒素および硫黄ヘテロ原子は、必要に応じて酸化され得、窒素ヘテロ原子は必要に応じて置換され得る。代表的なヘテロシクロアルキル基を挙げると、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、およびテトラヒドロフリルがある(ただし、これらに限定されない)。
【0023】
「アミノ」という用語は、本明細書中用いられるように、−NHまたは−NH−基を指す。ここで、各化学式中の各水素は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、置換アルキル、置換シクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、または置換ヘテロシクロアルキル基(すなわち、N(R))と交換することができる。−NHの場合、水素原子を置換基と交換して、共に5員または6員芳香または非芳香環を形成することができる。ここで、前記環の1個または2個の炭素を、硫黄、酸素および窒素からなる群から選択されたヘテロ原子と必要に応じて交換する。前記環を必要に応じてアルキル基と置換してもよい。置換基が前記窒素原子と共に形成する環の例を挙げると、モルホリニル、フェニルピペラジニル、イミダゾリル、ピロリジニル、(N−メチル)ピペラジニル、およびピペリジニルがある。
【0024】
「置換ジフェニルメチレン」という用語は、本明細書中用いられるように、以下に示す一般的化学式の化合物を指す。


式中、前記化合物は、各芳香環上に常在する水素原子のうちの1つ、2つまたは3つをハロ、OR、N(R)、C(=O)N(R)、CN、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、O(CH1−3N(R)、O(CH2)1−3CO=H、およびトリフルオロメチルからなる群から選択された置換体と置換することにより、置換される。式中、R=C−C30直鎖または分枝鎖である。
(詳細な説明)
【0025】
1つ以上の光活性化合物(例えば、ジベンゾイルメタン誘導体UV−Aフィルタ化合物)と、メトキシクリレンの誘導体を含む日焼け止め組成物について、本明細書中説明する。本明細書中説明する前記日焼け止め組成物の1つの局面は、ジベンゾイルメタン誘導体(例えば、4−(1,1−ジメチルエチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタン(PARSOL(R)1789))を含む日焼け止め組成物を光安定化させる方法である。この方法において、日焼け止め組成物(例えば、アヴォベンゾン)中に存在する1つ以上の光活性化合物が、化学式(I)の化合物の付加により、より高く光安定化される。本明細書中、化学式(I)の化合物をヒトの皮膚に付加する工程を含む、紫外線光をヒトの皮膚からフィルタリング除去する方法も開示される。
【0026】
よって、本明細書中開示されるのは、化学式(I)の化合物である。


式中、R、R、およびRは同一であるかまたは異なり、C−C30アルキル、C−Cシクロアルキル、置換アルキル、置換シクロアルキル、エステル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換ヘテロシクロアルキル、およびアミノからなる群から選択され、R、R、RおよびRはそれぞれ、独立して水素およびC−C30アルコキシからなる群から選択され、式中、RおよびRは両方とも水素というわけではなく、RおよびRは両方とも水素というわけではなく、a、b、cおよびdはそれぞれ、独立して0または1の整数であり、nは1〜100の整数であり、mは0〜100の整数である。化学式(I)のいくつかの具体的なクラスの化合物は以下である。(1)RおよびRはそれぞれ水素であり、RおよびRはそれぞれパラ配位のアルコキシであり、および(2)R、RおよびRはそれぞれ水素であり、Rはパラ配位のアルコキシである。特定の場合において、前記アルコキシはメトキシである。特定の場合において、Rはブチル(−CHCHCHCH−)であり、RおよびRはそれぞれ、ネオペンチル(−CHC(CHCH−)である。特定の場合において、前記化学式(I)の化合物は、それぞれの末端ジフェニルアクリレート部分(ポリエステル−8、CAS#862993−96−2、商標名ポリクリレン(R))におけるフェニル基の1つにおけるパラメトキシ基で修飾されたポリエステル−8である。
【0027】
1つの企図される化学式(I)の化合物は、化学式(II)である。


式中、mは4〜8であり、前記化学式(II)の化合物において、平均分子量は約1900Daであり、分子量範囲は約500〜約5000Daであり、5%未満の分子の分子量は500Da未満であり、25%未満の分子の分子量は1000Da未満である。
【0028】
光活性化合物が安定しているとみなすことができるのは、例えば、30MED照射後に当該光活性化合物が、対象となる波長または波長範囲(例えば、光活性化合物がピーク吸光度(例えば、アヴォベンゾンの場合は350〜370nm)を持つ波長またはその近隣)においてその元々の吸光度の少なくとも約90%を保持している状態を指す。同様に、日焼け止め組成物は、複数の光活性化合物を含み得、日焼け止め組成物は、以下の場合において、全体として安定しているとみなすことができる。すなわち、例えば、30MED照射後に当該日焼け止め組成物がその1つ以上の対象波長において(例えば、主要光活性化合物のピーク吸光度波長またはその近隣において)元々の吸光度の少なくとも約90%を保持している場合、当該組成物が安定しているとみなすことができる。本明細書中記載される化学式(I)のアルコキシポリエステルは、Shaath,Nadim,Encyclopedia of UV filters、(c)2007(ここに参考のため援用する)中に記載されている任意の単一のまたは組み合わされた光活性化合物と組み合わされると、有用な光安定化剤および/または光活性化合物となる。
【0029】
驚くべきことに、化学式(I)の化合物を1つ以上付加すると、日焼け止め組成物および/または前記組成物中の光不安定性成分の光安定性が大幅に増加することが分かっている。この安定性の増加を達成するための任意の特定の機構に限定されることを意図すること無く、化学式(I)の化合物は、光分解性UV吸収化合物が紫外線光を吸収した結果、その一重項励起状態に達すると、前記光分解性UV吸収化合物の電子的一重項励起状態エネルギーおよび時には前記光分解性UV吸収化合物の三重項励起状態エネルギーも受け入れることにより、光分解性UV吸収化合物(例えば、ジベンゾイルメタン誘導体)を安定化させると考えられる。光分解性UV吸収化合物は、励起されると、複数の経路に応じて劣化し易くなる。しかし、化学式(I)の化合物を用いて、励起分子中に存在する一重項または一重項および三重項の励起状態エネルギーをクエンチする(受け入れる)ことにより、前記光分解性UV吸収化合物の劣化を実質的に低減または回避することができる。よって、1つの劣化経路において、光分解性UV吸収化合物はその一重項状態に励起された後、三重項励起状態への系間交差へと進み、ここから光化学反応を経験し、これにより、光分解性UV吸収化合物がこれ以上紫外線放射を吸収するのを回避する。化学式(I)の化合物は、励起された光分解性UV吸収化合物を紫外線放射を再度受け入れることが可能な基底状態に変換して戻す(エネルギー移動)ような様態で前記励起された光分解性UV吸収化合物の一重項または一重項および三重項励起状態エネルギーを受け入れることにより、光分解性UV吸収化合物を安定させる。
【0030】
このプロセスが継続的に機能できるよう、化学式(I)の化合物は、前記励起された光分解性UV吸収化合物から受け入れられたエネルギーを移動または変換しなければならない。特定の機構に限定されることを意図すること無く、化学式(I)の化合物が、光分解性UV吸収化合物またはポリマーからの一重項状態の励起エネルギーを受け入れることにより、その一重項および/または三重項状態に励起されると、前記化合物はその2つのフェニル環の非破壊的異性化を通じて前記一重項励起状態エネルギーを動力学的に散逸させる、と考えられる。極めて驚くべきことに、化学式(I)の化合物の付加により、このような化合物は、励起されかつ光不安定性のUV吸収化合物またはポリマーからの一重項または一重項および三重項の励起状態エネルギーを受け入れることができることが分かっている。よって、1つの可能な機構によれば、一重項励起状態化合物またはポリマーから化学式(I)の化合物へのエネルギー移動と、前記化学式(I)の化合物による当該エネルギーの散逸とにより、励起された化合物またはポリマーにおける励起状態エネルギーの散逸の効率が大幅に向上し、前記化合物が前記光不安定性のUV吸収化合物またはポリマーからの一重項または一重項および三重項状態の励起エネルギーを継続的に受け入れることができるようになる。
【0031】
よって、本明細書中開示される日焼け止め組成物は、化学式(I)の化合物を含む。本明細書中開示される日焼け止め組成物は、化粧品用として受け入れ可能なキャリア(これは、必要に応じて皮膚軟化剤、安定剤、乳化剤(例えば、当該分野において公知のもの)およびこれらの組み合わせを含む)に組み合わせることができる。これらの添加剤は、水溶液系と、1つ以上の光活性化合物を含むフィルタ系と、1つ以上の有機溶媒を含む溶媒系の混合物とからエマルジョンを作製する際に、用いることができる。出来上がりの状態では、前記エマルジョンは好適には水中油型エマルジョンであり、このエマルジョンにおいて、油相は主にフィルタ系および溶媒系の混合物から形成される。
【0032】
典型的な日焼け止め組成物は1つ以上の光活性化合物を含む。これらの光活性化合物において、1つの光活性化合物はUV放射を吸収することで、基質(例えば、ヒトの皮膚)をUV放射の有害な影響から保護する機能を持つ。この吸収プロセスに起因して、光活性化合物は励起状態となる。前記励起状態は、前記光活性化合物の基底状態と比較したとき、励起エネルギー(例えば、一重項エネルギーまたは三重項エネルギー)が存在することによって特徴付けられる。光活性化合物が励起状態に達すると、前記励起された光活性化合物がその過剰なエネルギー(例えば、一重項または一重項および三重項状態のエネルギー)を散逸させることが可能な複数の経路が存在する。しかし、これらの経路のうちのいくつかは、前記光活性化合物がさらにUV放射を吸収する能力に対して悪影響を与える。
【0033】
光活性化合物は、光に対して光電的に反応するものである。本明細書中開示される組成物において、光活性化合物は、UV放射に光電的に反応するものである。例えば、高速光分解性によってUV放射に光電的に反応する光活性化合物は、本明細書中開示される組成物および方法から多くの恩恵を受けることができる。しかし、本明細書中開示される組成物および方法の恩恵は、このような化合物に限定されない。UVフィルタは意図的にUV吸収分子として選択されているため、光安定性は、全てのUVフィルタにおいて潜在的な問題である。他の適用において、光活性化合物は、色素または染料(例えば、疎水性染料)であり得る。
【0034】
以下のUVフィルタは化学式(I)の化合物によって光安定化されると理論化され、以下のもの全てを含み、以下のうち任意の2つ以上の組み合わせを含み、以下のカテゴリから(具体例と共に)選択された化合物を含む:p−アミノ安息香酸、その塩およびその誘導体(エチル、イソブチル、グリセリルエステル;p−ジメチルアミノ安息香酸);アントラニル酸塩(o−アミノ安息香酸エステル;メチル、メンチル、フェニル、ベンジル、フェニルエチル、リナリル、テルピニル、およびシクロヘキセニルエステル);サリチル酸塩(オクチル、アミル、フェニル、ベンジル、メンチル(ホモサレート)、グリセリル、およびジプロピルエネグリコールエステル);ケイ皮酸誘導体(メンチルおよびベンジルエステル、アルファ−フェニルケイ皮酸ニトリル;ブチルシンナモイルピルベート);フェルラ酸およびその誘導体;ジヒドロキシケイ皮酸誘導体(ウンベリフェロン、メチルウンベリフェロン、メチルアセト−ウンベリフェロン);カンファー誘導体(3ベンジルイデン、4メチルベンジルイデン、ポリアクリルアミドメチルベンジルイデン、ベンザルコニウムメトサルフェート、ベンジルイデンカンファースルホン酸、およびテレフタリルイデンジカンフルスルホン酸);トリヒドロキシケイ皮酸誘導体(エスクレチン、メチルエスクレチン、ダフネチン、およびグルコシド、エスクリンおよびダフニン);炭化水素(ジフェニルブタジエン、スチルベン);ジベンザールアセトン;ベンザルアセトフェノン;ナフトールスルホネート(2−ナフトール−3,6−ジスルホンのナトリウム塩および2−ナフトール−6,8−ジスルホン酸のナトリウム塩);ジヒドロキシ−ナフトエ酸およびその塩;o−およびp−ヒドロキシジフェニルジスルホネート;クマリン誘導体(7−ヒドロキシ、7−メチル、3−フェニル);ジアゾール(2−アセチル−3−ブロモインダゾール、フェニルベンゾオキサゾール、メチルナフトオキサゾール、多様なアリールベンゾチアゾール);キニーネ塩(重硫酸塩、硫酸塩、塩化物、オレイン酸塩、およびタンニン酸塩);キノリン誘導体(8−ヒドロキシキノリン塩、2−フェニルキノリン);ヒドロキシ−またはメトキシ−置換ベンゾフェノン;尿酸誘導体;ビロ尿酸誘導体;タンニン酸およびその誘導体;ハイドロキノン;およびベンゾフェノン(オキシベンゾン、スリソベンゾン、ジオキシベンゾン、ベンゾレソルシノール、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、オクタベンゾン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、エトクリレン、および4−イソプロピルジベンゾイルメタン)。
【0035】
以下のUVフィルタは、化学式(I)の化合物によって特に光安定化されるべきである:2−エチルヘキシルp−メトキシケイ皮酸オクチル、イソアミルメトキシケイ皮酸オクチル、4,4’−t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクチルジメチルp−アミノ安息香酸、エチル4−[bis(ヒドロキシプロピル)]アミノ安息香酸エステル、2−エチルヘキシルサリチル酸塩、グリセロールp−アミノ安息香酸エステル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルサリチル酸塩、メチルアントラニル酸塩、p−ジメチルアミノ安息香酸またはアミノ安息香酸エステル、2−エチルヘキシルp−ジメチルアミノ安息香酸エステル、およびその組み合わせ。
【0036】
米国において市販されている製品の場合、好適な化粧品用として受け入れることが可能な光活性化合物および濃度(これは、化粧品用日焼け止め組成物全量に対する重量パーセントとして報告される)を以下に挙げる:アミノ安息香酸(パラアミノ安息香酸およびPABAとも呼ばれる;15%以下)、アヴォベンゾン(ブチルメトキシジベンゾイルメタンとも呼ばれる;3%以下)、シノキサート(2エトキシエチルpメトキシケイ皮酸オクチルとも呼ばれる;3%以下)、ジオキシベンゾン(ベンゾフェノン8とも呼ばれる;3%以下)、ホモサレート(15%以下)、メンチルアントラニル酸塩(メンチル2アミノ安息香酸エステルとも呼ばれる;5%以下)、オクトクリレン(2エチルヘキシル2シアノ3,3ジフェニルアクリル酸とも呼ばれる;10%以下)、メトキシケイ皮酸オクチル(7.5%以下)、サリチル酸オクチル(2エチルヘキシルサリチル酸塩とも呼ばれる;5%以下)、オキシベンゾン(ベンゾフェノン3とも呼ばれる;6%以下)、パジマートO(オクチルジメチルPABAとも呼ばれる;8%以下)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(水溶性;4%以下)、スリソベンゾン(ベンゾフェノン4とも呼ばれる;10%以下)、二酸化チタン(25%以下)、トロラミンサリチル酸塩(トリエタノールアミンサリチル酸塩とも呼ばれる;12%以下)、および酸化亜鉛(25%以下)。
【0037】
他の好適な化粧品用として受け入れることが可能な光活性化合物および好適な濃度(化粧品用日焼け止め組成物全量に対する重量パーセント)を挙げると、ジエタノールアミンメトキシケイ皮酸オクチル(10%以下)、エチル−[bis(ヒドロキシプロピル)]アミノ安息香酸エステル(5%以下)、グリセリルアミノ安息香酸エステル(3%以下)、4イソプロピルジベンゾイルメタン(5%以下)、4メチルベンジルイデンカンファー(6%以下)、テレフタリルイデンジカンフルスルホン酸(10%以下)、およびスリソベンゾン(ベンゾフェノン4とも呼ばれる、10%以下)がある。
【0038】
欧州連合において市販されている製品の場合、好適な化粧品用として受け入れることが可能な光活性化合物および好適な濃度(これは、化粧品用日焼け止め組成物全量に対する重量パーセントとして報告される)を以下に挙げる:PABA(5%以下)、カンファーベンザルコニウムメトサルフェート(6%以下)、ホモサレート(10%以下)、ベンゾフェノン3(10%以下)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(8%以下、酸として表される)、テレフタルイデンジカンフルスルホン酸(10%以下、酸として表される)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(5%以下)、ベンジルイデンカンファースルホン酸(6%以下、酸として表される)、オクトクリレン(10%以下、酸として表される)、ポリアクリルアミドメチルベンジルイデンカンファー(6%以下)、エチルヘキシルメトキシケイ皮酸オクチル(10%以下)、PEG25PABA(10%以下)、イソアミルpメトキシケイ皮酸オクチル(10%以下)、エチルヘキシルトリアゾン(5%以下)、ドロメトリゾールトリシロキサン(15%以下)、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(10%以下)、4メチルベンジルイデンカンファー(4%以下)、3ベンジルイデンカンファー(2%以下)、エチルヘキシルサリチル酸塩(5%以下)、エチルヘキシルジメチルPABA(8%以下)、ベンゾフェノン4(5%、酸として表される)、メチレンbisベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(10%以下)、2ナトリウムフェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸塩(10%以下、酸として表される)、bisエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェノールトリアジン(10%以下)、メチレンbisベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(10%以下、TINOSORB Mとも呼ばれる)、bisエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(10%以下、TINOSORB Sとも呼ばれる)、およびジエチルアミノヒドロキシルベンゾイルヘキシル安息香酸エステル。
【0039】
上記したUVフィルタは全て、市販されている。例えば、適切な市販されている有機UVフィルターの商標名および供給業者を以下の表1中に示す。

(表1)

【0040】
本明細書中開示される日焼け止め組成物は、1つ以上のUV−A光活性化合物および1つ以上のUV−B光活性化合物を含む多様な光活性化合物を含み得る。好適には、日焼け止め組成物は、p−アミノ安息香酸および塩およびその誘導体;アントラニル酸塩およびその誘導体;ジベンゾイルメタンおよびその誘導体;サリチル酸塩およびその誘導体;ケイ皮酸およびその誘導体;ジヒドロキシケイ皮酸およびその誘導体;カンファーおよび塩およびその誘導体;トリヒドロキシケイ皮酸およびその誘導体;ジベンザールアセトンナフトールスルホネートおよび塩およびその誘導体;ベンザルアセトフェノンナフトールスルホネートおよび塩およびその誘導体;ジヒドロキシ−ナフトエ酸およびその塩;o−ヒドロキシジフェニルジスルホネートおよび塩およびその誘導体;p−ヒドロキシジフェニルジスルホネートおよび塩およびその誘導体;クマリンおよびその誘導体;ジアゾール誘導体;キニーネ誘導体およびその塩;キノリン誘導体;ヒドロキシ−置換ベンゾフェノン誘導体;メトキシ−置換ベンゾフェノン誘導体;尿酸誘導体;ビロ尿酸誘導体;タンニン酸およびその誘導体;ハイドロキノン;ベンゾフェノン誘導体;1,3,5−トリアジン誘導体、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸塩および塩およびその誘導体;テレフタリルイデンジカンフルスルホン酸および塩およびその誘導体;メチレンbis−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールおよび塩およびその誘導体;bis−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンおよび塩およびその誘導体;ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシル安息香酸エステルおよび塩およびその誘導体;フェルラ酸およびその誘導体;および上記の組み合わせからなる群から選択された光活性化合物を含む。
【0041】
UVA放射(約320nm〜約400nm)は、皮膚(特に色白の皮膚または敏感な皮膚)へのダメージを引き起こす一因として認識されている。本明細書中開示される日焼け止め組成物は好適には、UV−A光活性化合物を含む。好適には、本明細書中開示される日焼け止め組成物は、ジベンゾイルメタン誘導体UV−A光活性化合物を含む。好適なジベンゾイルメタン誘導体を挙げると、2−メチルジベンゾイルメタン;4−メチルジベンゾイルメタン;4−イソプロピルジベンゾイルメタン;4−tert−ブチルジベンゾイルメタン;2,4−ジメチルジベンゾイルメタン;2,5−ジメチルジベンゾイルメタン;4,4’−ジイソプロピルジベンゾイルメタン;4,4’−ジメトキシジベンゾイルメタン;4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;2−メチル−5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;2−メチル−5−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;2,4−ジメチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、およびその組み合わせである。
【0042】
日焼け止め組成物中の光活性化合物の好適な組み合わせは、UV−AおよびUV−B光活性化合物を含む。しかし、2−エチルヘキシル−p−メトキシケイ皮酸オクチルがジベンゾイルメタン誘導体とともに混合物中に含まれている場合、前記ジベンゾイルメタン誘導体は特に不安定になり得る。任意の特定の機構に限定されることを意図すること無く、ケイ皮酸エステルは二分子経路中の励起状態ジベンゾイルメタン誘導体と反応し、その結果、ジベンゾイルメタン誘導体およびケイ皮酸エステル双方がUV放射を吸収できなくなると考えられる。極めて驚くべきことに、化学式(I)の化合物を1つ以上用いると、1つまたは両方のUV吸収剤からの電子的一重項状態または一重項および三重項状態励起エネルギーをクエンチすることにより、2−エチルヘキシル−p−メトキシケイ皮酸オクチルおよびジベンゾイルメタン誘導体を含む日焼け止め組成物の安定性が増加することが分かっている。よって、日焼け止め組成物の一実施形態は、2−エチルヘキシル−p−メトキシケイ皮酸オクチル、ジベンゾイルメタン誘導体、および1つ以上の化学式(I)の化合物を含む。
【0043】
化学式(I)の化合物を日焼け止め組成物中において当該組成物の総重量の0.1重量%〜約25重量%、より好適には約0.1%〜約10%存在させると好適である。
(例1)
【0044】
以下の例は、本発明を例示するために示すものであり、本発明の範囲を限定するためのものではない。
例1−化学式(I)の化合物の調製

【0045】
1の合成:4−メトキシベンゾフェノン(MW=182.22g/モル;500g;2.74モル;1モル当量)およびメチルシアノアセテート(MW=99.09g/モル;367.06g;3.70モル;1.35モル当量)を、メカニカルスターラーおよび窒素注入口を取り付けた1−L三ツ口フラスコ内に配置した。窒素注入口は、反応混合物を通じて窒素の連続流を提供した(窒素が反応混合物を通じてバブリングされる)。次に、トルエン(1200ml)および酢酸(240ml;トルエン/酢酸比=5/1)を前記フラスコに付加し、その後アンモニウムアセテートを付加した(MW=77.09g/モル;21.12g;0.274モル、0.1モル当量;反応時間中、触媒をこの量だけ4回付加する)。その後、前記フラスコにディーン−スタルク受器を取り付ける。このディーン−スタルク受器を通じて、反応水を連続的に除去する。
【0046】
アリコートの反応混合物を取り出して、反応完了率を確認する。この反応から予測される水の量は49.5mlである。しかし、120mlの水相が収集された。これは、前記水が水/酢酸/トルエンの混合物として蒸留されたからである。前記反応混合物から前記メチルアセテートが失われるのを回避するために、ディーン−スタルク受器と前記フラスコとの間に短尺充填カラムを設けると有用である。
【0047】
前記反応混合物を室温まで冷却し、エチルアセテートを付加して全ての固体を溶解させた後、粗混合物を水で数回洗浄して、酢酸および塩を除去する。その後、蒸留によって前記反応混合物から溶媒を除去する。前記粗固体生成物を熱メタノール(またはトルエン/メタノール混合物(ただし、これが好適な場合))から再結晶させる。
【0048】
最終生成物は、冷却された反応混合物から結晶化し始め、よってフィルタリング除去することができるものの、未だに極めて酸性であり、そのため、前記結晶を水/メタノール混合物で洗浄して、酢酸および塩残留物を全て洗い落とすべきである。よって、得られた生成物を再結晶させることができ、母液を水で洗浄し、乾燥させ、第2の収穫物の生成物を得ることができる。

【0049】
3の合成:メチル/エチル2−シアノ−3−(4’−メトキシフェニル)−3−ジフェニルアクリル酸(1モル当量)を、三ツ口丸底フラスコ内に配置されたNPG(5〜6モル当量)を越えて溶解させ、炭酸ナトリウム(0.3モル当量)を付加する。次に、反応混合物を135℃(最適温度は、エステルの種類に応じて130℃〜140℃の間で変化し得る)で連続的に加熱する。反応時間中ずっと、連続的蒸留により前記反応混合物からメタノール/エタノールを除去する。反応が(1〜2時間で)完了すると、トルエンを付加して前記粗生成物混合物の固形化を回避し、その後、前記溶液がまだ熱いうちに炭酸ナトリウムをフィルタリング除去する(注記1)。前記トルエン溶液を水で3回洗浄して、余分なグリコールを完全に除去する(注記2)。その後、蒸留によってトルエンを除去し、前記生成物をトルエンまたはメタノール/トルエン混合物から再結晶させる(注記3)。
【0050】
注記1:必要なトルエンの量は、粗生成物の量を推定し、その量を係数1.5で乗算することにより、計算される(V溶媒=V粗生成物x1.5)。ワークアップ完了後、用いられる余分な溶媒を回復させることができる。
【0051】
注記2:第1回洗浄において用いられた水の量は、有機溶媒の量と等しかった。第2回洗浄および第3回洗浄の水の量は、第1回洗浄時の水の量の3/4に等しかった。
【0052】
注記3:NPGがエステル交換反応に用いられた際、生成物が最高収率で得られる。(生成物の重量に対して)等しい量のトルエンを溶融生成物に付加する。冷却すると、攪拌が維持されている状態で、生成物は粉末様態できれいに沈殿する。前記生成物をフィルタリングし、真空下で乾燥させる。
【0053】
化学式(I)の化合物の合成:ポリマーA(NA)A(1モル当量;Aはアジピン酸を示し、NはNPG(ネオペンチルグリコール)を意味する、注記4)、2−シアノ−3−(4’−メトキシフェニル−3−フェニル−2−プロペン酸のNPGエステル(本明細書中以下NPGメトキシクリレンと呼ぶ(1.5モル当量))、ジブチルエーテル(注記5)、メタンスルホン酸触媒(全バッチ重量の0.3%、注記6)、および酸化防止剤(次亜リン酸ナトリウム;全バッチ重量の0.03%、注記7)を三ツ口丸底フラスコ内に配置した。前記反応フラスコは、メカニカルスターラー、温度計および窒素注入口、ディーン−スタルクアダプタおよび凝縮器を取り付けた。溶媒が還流する温度まで前記反応混合物を加熱し(注記5)、前記還流を2時間維持し、水を連続的に除去した。2時間後、2−オクチルドデカノール(0.4モル当量、注記8)を付加し、前記反応物をさらに2〜4時間還流させた。前記反応物の酸価が十分に低くなった(10未満)とき、重炭酸ナトリウム(全バッチ重量の0.5%)を反応槽に付加し、生成物を30分間撹拌した後、濾過した(注記9)。生成物はより高い温度で濾過助剤(Celite)を通じてフィルタリングした(注記10)。濾過後、真空蒸留を通じて、溶媒を除去した。
【0054】
注記4:ポリマー骨格A(NA)Aの酸価に基づいて、ポリマーの分子量を計算した。この分子量は、NPGメトキシクリレンおよび2−オクチルドデカノールの必要量を計算する際の基本として用いた。1.5モル当量のNPGクリレンが、停止剤の化学量論量の75モル%に関連する。
【0055】
注記5:理想的な還流温度は、140〜150℃内に収まるはずである。ジブチルエーテルは、沸点が141℃であり、好適な反応溶媒として選択した。バッチ重量[A(NA)Aポリマー+NPGメトキシクリレン+2−オクチルドデカノール]の20%をとることにより、前記溶媒の推奨量を計算した。
【0056】
注記6:前記触媒の量は、全バッチ重量(ポリマーA(NA)A+NPGメトキシクリレン+2−オクチルドデカノール+溶媒)を0.3%で乗算することにより、計算した。前記触媒の計算量の2/3を反応開始時に付加し、残りの量を2−オクチルドデカノールと共に付加した。
【0057】
注記7:酸化防止剤の量は、前記触媒の量の場合と同様に計算した(注記5を参照)。計算された量の酸化防止剤をローディング時に反応物に付加した。
【0058】
注記8:0.4モル当量とは、2−オクチルドデカノールの20モル%(最終生成物の約8%w/w)がポリマーの停止に用いられたことを意味する。2−オクチルドデカノールは、常にNPGクリレンが前記ポリマーと完全に反応した後に付加される。
【0059】
注記9:MSA触媒を除去するために、重炭酸ナトリウム(バッチ重量の0.5%)を付加した後、濾過を行った。
【0060】
注記10:最終生成物であるメトキシクリレン停止ポリエステルは、より高い粘度を示すが、蒸気温度まで加熱されたブフナー漏斗で効率的にフィルタリングすることができる。濾過前ではなく濾過後に溶媒を除去した場合、濾過は容易になる。
(例2)
以下の表2に示すような成分を混合することにより、一連の日焼け止め組成物を調製した。以下の全ての例の処方において用いられる化学式(I)の化合物を例1と同様に調製し、得られた化合物において、平均分子量は約1900Daであり、分子量範囲は約1500〜約2500Daである。また、化学式(II)の化合物に対して、約5wt%〜約10wt%(典型的には約8wt%)の化学式(III)の化合物(ここで、mは4〜6である)も付加して、化学式(II)の化合物の粘度を減少させ、取り扱いを容易にした。


(表2)

【0061】
槽内に水および2ナトリウムEDTAを注入した。前記溶液を85℃まで加熱した。セチルヒドロキシエチルセルロースを付加し、混合物を熱から外し、セルロースが全て溶解するまで攪拌した。第2の槽において、前記アヴォベンゾンを除いた全ての油相成分を前記ラウリン酸ソルビタンと共に混合した。その後、前記アヴォベンゾンを付加し、その結果得られた混合物を45℃まで加熱した。溶液が透明になるまで、この混合物を撹拌した。前記溶液が透明になった後、アクリレート/C10−20アルキルアクリレートクロスポリマーを付加し、完全に均質混合するように攪拌した。次に、水相および油相を45℃にし、温度を45℃で維持および攪拌しつつ前記油相を前記水相に付加した。その結果得られた混合物を熱から外し、グリセリンおよびトリエタノールアミンの混合物を付加した。前記混合物が高粘度になるよう、攪拌を強めた。その後、残りの成分の混合物を付加した。必要に応じて水を追加し、前記混合物の温度が35℃未満となったときに、前記組成物をパッケージした。
【0062】
その結果得られた日焼け止めにおいて、Solar Light Companyモデル16S太陽シミュレータでの35MEDの照射前後のラブスフェアUV1000S紫外線透過分析器(ソフトウェアバージョン1.27)上の吸光度を測定することにより、光安定性について試験した。出力をPMA 2105 UV B DCS 検出器(これは、生物学的に重み付けされている)によってモニタリングし、PMA 2100自動線量コントローラ(Solar Light Co.)によって制御した。組成物Bを光安定性について測定したところ、組成物BはUVA/UVB比が0.88であり、平均SPFが23.83であることが分かった。35MEDでの照射後、組成物AはそのUVA保護の80.47%を失い、そのUVB保護の52.01%を失い、そのSPFの70.42%を失った。組成物BはそのUVA保護の44.51%を失い、そのUVB保護の15.81%を失い、そのSPFの23.41%を失った。
【0063】
安定性を試験するため、登録マークを用いてスライドを前記UV透過分析器上に配置し、前記スライド上の1cmスポットの走査を行った。その後、前記スライドを前記太陽シミュレータに隣接して配置されたホルダに移動させ、前記太陽シミュレータから出て行くUV放射ビームが前記スライド上の同一の1cmスポットを照射するように、キャリパーを用いて前記スライドを配置した。以下のソフトウェア設定を用いた:UVB=290−320nm;UVA=320−400nm。5MEDの照射後、前記スライドを再度前記UV透過分析器上の位置に配置し、露出スポットの走査を行った。放射線量の全量が所望になるまで、この手順を前記スライド上の同一の1cmスポット上で繰り返した。組成物Bについてのこの分析の結果を図1に示す。
(例3)
【0064】
表3中に示すような成分により、以下に概要を示すような別の組成物を調製した。

(表3)

【0065】
槽中に水および2ナトリウムEDTAを注入した。この溶液を85℃まで加熱した。セチルヒドロキシエチルセルロースを付加し、混合物を熱から外し、セルロースが全て溶解するまで攪拌した。第2の槽において、前記シリカおよびVP/エイコセンコポリマーを除く全ての油相成分を前記ラウリン酸ソルビタンと混合した。その後、前記VP/エイコセンコポリマーを付加し、前記混合物が透明な溶液になるまで、その結果得られた混合物を攪拌した。次に、アクリレート/C10−20アルキルアクリレートクロスポリマーを前記油相溶液に付加し、完全に均質混合されるまで攪拌した。次に、前記シリカを付加し、前記混合物が完全に湿潤するまで前記混合物を攪拌した。次に、前記水相および油相双方を45℃にし、温度を45℃で維持および攪拌しつつ、前記油相を前記水相に付加した。その結果得られた混合物を熱から外し、グリセリンおよびトリエタノールアミンの混合物を付加した。前記混合物が高粘度になるよう、攪拌を強めた。その後、残りの成分の混合物を付加した。必要に応じて水を追加し、前記混合物の温度が35℃未満となったときに、前記組成物をパッケージした。
【0066】
組成物Cについても安定性を評価した。35MEDに照射後、組成物Cは、そのUVA保護の8.46%を失い、そのUVB保護の1.18%を失い、そのSPFの0.32を失った。さらに、その安定性を図2に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式(I)の化合物であって、


式中、R、R、およびRは同一であるかまたは異なり、C−C30アルキル、C−Cシクロアルキル、置換アルキル、置換シクロアルキル、エステル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換ヘテロシクロアルキル、およびアミノからなる群から選択され、R、R、R、およびRはそれぞれ、独立して水素およびC1−30アルコキシからなる群から選択され、RおよびRは両方とも水素というわけではなく、RおよびRは両方とも水素というわけではなく、a、b、cおよびdはそれぞれ、独立して0または1であり、nは1〜100の整数であり、mは0〜100の整数である、
化合物。
【請求項2】
a、b、cおよびdはそれぞれ1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
、R、RおよびRはそれぞれ、独立して、水素およびC−Cアルコキシからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
、R、RおよびRはそれぞれ、独立して水素およびメトキシからなる群から選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
各メトキシはパラ配位にある、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
およびRはそれぞれネオペンチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
はブチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
以下の化学式を有する請求項1に記載の化合物であって、


mは4〜8の整数である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
請求項1に記載の化合物を含む組成物。
【請求項10】
化粧品用として受け入れることが可能な皮膚軟化剤、安定剤、乳化剤、増粘剤、保湿剤、界面活性剤、防腐剤、ビタミン、消泡剤、香料、抗刺激剤、有機変性シリコーン、キレート剤、乳白剤、極性油、非極性油、ワックス、アルコール、ポリオール、推進剤、着色剤、色素およびその組み合わせからなる群から選択される添加剤をさらに含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
ジベンゾイルメタン誘導体をさらに含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記ジベンゾイルメタン誘導体は、2−メチルジベンゾイルメタン;4−メチルジベンゾイルメタン;4−イソプロピルジベンゾイルメタン;4−tert−ブチルジベンゾイルメタン;2,4−ジメチルジベンゾイルメタン;2,5−ジメチルジベンゾイルメタン;4,4’−ジイソプロピルジベンゾイルメタン;4,4’−ジメトキシジベンゾイルメタン;4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;2−メチル−5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;2−メチル−5−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;2,4−ジメチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
p−アミノ安息香酸および塩およびその誘導体;アントラニル酸塩およびその誘導体;サリチル酸塩およびその誘導体;ケイ皮酸およびその誘導体;ジヒドロキシケイ皮酸およびその誘導体;カンファーおよび塩およびその誘導体;トリヒドロキシケイ皮酸およびその誘導体;ジベンザールアセトンナフトールスルホネートおよび塩およびその誘導体;ベンザルアセトフェノンナフトールスルホネートおよび塩およびその誘導体;ジヒドロキシ−ナフトエ酸およびその塩;ナフタレンジカルボン酸、誘導体、二量体、オリゴマー、ポリマーおよび塩およびその組み合わせ;o−ヒドロキシジフェニルジスルホネートおよび塩およびその誘導体;p−ヒドロキシジフェニルジスルホネートおよび塩およびその誘導体;クマリンおよびその誘導体;ジアゾール誘導体;キニーネ誘導体およびその塩;キノリン誘導体;ヒドロキシ−置換ベンゾフェノン誘導体;メトキシ−置換ベンゾフェノン誘導体;尿酸誘導体;ビロ尿酸誘導体;タンニン酸およびその誘導体;ハイドロキノン;ベンゾフェノン誘導体;1,3,5−トリアジン誘導体、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸塩および塩およびその誘導体;テレフタリルイデンジカンフルスルホン酸および塩およびその誘導体;メチレンbis−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールおよび塩およびその誘導体;bis−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンおよび塩およびその誘導体;ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシル安息香酸エステルおよび塩およびその誘導体;およびその組み合わせからなる群から選択される光活性化合物をさらに含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
光分解性UV吸収化合物またはポリマーを光安定化させる方法であって、光安定化量の請求項1に記載の化合物を前記光分解性UV吸収化合物またはポリマーに付加する工程を含む、方法。
【請求項15】
前記光分解性UV吸収化合物またはポリマーは、2−メチルジベンゾイルメタン;4−メチルジベンゾイルメタン;4−イソプロピルジベンゾイルメタン;4−tert−ブチルジベンゾイルメタン;2,4−ジメチルジベンゾイルメタン;2,5−ジメチルジベンゾイルメタン;4,4’−ジイソプロピルジベンゾイルメタン;4,4’−ジメトキシジベンゾイルメタン;4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;2−メチル−5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;2−メチル−5−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;2,4−ジメチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、およびその組み合わせからなる群から選択されたジベンゾイルメタン誘導体である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
オクトクリレン、メチルベンジルイデンカンファー、ジエチルヘキシル2,6−ナフタレート、ジエチルヘキシルシリンギルイデンマロン酸、およびその組み合わせからなる群から選択された三重項クエンチャーを付加する工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ベンゾフェノン−3を付加する工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
サリチル酸オクチルを付加する工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
ケイ皮酸エステルを付加する工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記ケイ皮酸エステルは2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナマートである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
bis−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシルフェニルトリアジンを付加する工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
表面を紫外線放射から保護する方法であって、請求項1に記載の化合物およびキャリアを含む組成物を前記表面に局所的に塗布する工程を含む、
方法
【請求項23】
前記キャリアは、化粧品用として受け入れることが可能なキャリアである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
光子励起された光活性化合物からの電子的一重項状態の励起エネルギーを受け入れ、これにより前記光活性化合物を安定化させる方法であって、前記光活性化合物を化学式(I)の化合物と混合する工程を含み、


、R、およびRは同一であるかまたは異なり、C−C30アルキル、C−Cシクロアルキル、置換アルキル、置換シクロアルキル、エステル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換ヘテロシクロアルキル、およびアミノからなる群から選択され、R、R、R、およびRはそれぞれ、独立して水素およびC1−30アルコキシからなる群から選択され、RおよびRは両方とも水素というわけではなく、RおよびRは両方とも水素というわけではなく、a、b、cおよびdはそれぞれ独立して、0または1であり、nは1〜100の整数であり、mは0〜100の整数であり、前記光活性化合物が電子的一重項励起状態に達するのに十分な量で前記混合物をUV放射に露出させ、前記化学式(I)の化合物が前記励起された光活性化合物からの前記一重項励起状態エネルギーを受け入れ、これにより前記光活性化合物をその基底状態に戻し、これにより前記光活性化合物がさらなるUV放射を吸収できるようにする工程を含む、
方法。
【請求項25】
a、b、cおよびdはそれぞれ1である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
、R、R、およびRはそれぞれ、独立して水素およびC−Cアルコキシからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
、R、R、およびRはそれぞれ、独立して水素およびメトキシからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
各メトキシはパラ配位にある、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
およびRはそれぞれネオペンチルである、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
はブチルである、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記化学式(I)の化合物は以下の構造を有し、


mは4〜8の整数である、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記化学式(I)の化合物は、前記組成物の総重量に基づいて、0.1重量%〜20重量%の範囲の量で存在する、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
前記化学式(I)の化合物は、前記組成物の総重量に基づいて、0.1重量%〜10重量%の範囲の量で存在する、請求項24に記載の方法。
【請求項34】
前記化学式(I)の化合物は、前記組成物の総重量に基づいて、0.1重量%〜5重量%の範囲の量で存在する、請求項24に記載の方法。
【請求項35】
前記光活性化合物に対する前記化学式(I)の化合物のモル比は0.8未満である、請求項24に記載の方法。
【請求項36】
前記光活性化合物に対する前記化学式(I)の化合物のモル比は約0.1〜約0.6である、請求項24に記載の方法。
【請求項37】
前記化学式(I)の化合物は、前記組成物の総重量に基づいて、3重量%〜8重量%の範囲の量で存在する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記光活性化合物は、p−アミノ安息香酸および塩およびその誘導体;アントラニル酸塩およびその誘導体;ジベンゾイルメタンおよびその誘導体;サリチル酸塩およびその誘導体;ケイ皮酸およびその誘導体;ジヒドロキシケイ皮酸およびその誘導体;カンファーおよび塩およびその誘導体;トリヒドロキシケイ皮酸およびその誘導体;ジベンザールアセトンナフトールスルホン酸塩および塩およびその誘導体;ベンザルアセトフェノンナフトールスルホネートおよび塩およびその誘導体;ジヒドロキシ−ナフトエ酸およびその塩;o−ヒドロキシジフェニルジスルホネートおよび塩およびその誘導体;p−ヒドロキシジフェニルジスルホネートおよび塩およびその誘導体;クマリンおよびその誘導体;ジアゾール誘導体;キニーネ誘導体およびその塩;キノリン誘導体;ヒドロキシル−置換ベンゾフェノン誘導体;メトキシ−置換ベンゾフェノン誘導体;尿酸誘導体;ビロ尿酸誘導体;タンニン酸およびその誘導体;ハイドロキノン;ベンゾフェノン誘導体;1,3,5−トリアジン誘導体;フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸塩および塩およびその誘導体;テレフタルイデンジカンフルスルホン酸および塩およびその誘導体;メチレンbis−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールおよび塩およびその誘導体;bis−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンおよび塩およびその誘導体;およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項39】
前記光活性化合物はジベンゾイルメタン誘導体を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記光活性化合物は、2−メチルジベンゾイルメタン;4−メチルジベンゾイルメタン;4−イソプロピルジベンゾイルメタン;4−tert−ブチルジベンゾイルメタン;2,4−ジメチルジベンゾイルメタン;2−5−ジメチルジベンゾイルメタン;4,4’−ジイソプロピルジベンゾイルメタン;4,4’−ジメトキシジベンゾイルメタン;4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;2−メチル−5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;2−メチル−5−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;2,4−ジメチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、およびその組み合わせからなる群から選択されるジベンゾイルメタン誘導体を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記光活性化合物は、ケイ皮酸の誘導体を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記光活性化合物は、2−エチルヘキシル−p−メトキシケイ皮酸を含む、請求項38に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−535777(P2010−535777A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520003(P2010−520003)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/058456
【国際公開番号】WO2009/020674
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(305048082)ホールスター イノベーションズ コーポレイション (9)
【Fターム(参考)】