説明

アルファ−2−デルタタンパク質に親和性を有するベータ−アミノ酸の製造

【課題】カルシウムチャネルのアルファ−2−デルタ(α2δ)サブユニットに結合する光学活性なβ−アミノ酸の新規な製造方法及び材料の提供。
【解決手段】式1
【化1】


の化合物を製造するための方法であって:
式2
【化2】


又は、式4
【化3】


の化合物を、キラル触媒存在下、Hと反応させて、式3
【化4】


の化合物を得ること;及び
場合により、式3の化合物を、式1の化合物へ変換すること;
を含んでなる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルシウムチャネルのアルファ−2−デルタ(α2δ)サブユニットに結合する、光学活性β−アミノ酸を製造するための材料及び方法に関する。薬学的に許容できる錯体、塩、溶媒和物又は水和物を含んだこれらの化合物は、疼痛、線維筋痛症及び多様な精神医学及び睡眠障害を治療するために有用である。
【背景技術】
【0002】
Barta et al. による米国特許出願番号2003/0195251A1 号(’251 出願)は、カルシウムチャネルのα2δサブユニットに結合するβ−アミノ酸を記載している。薬学的に許容できる錯体、塩、溶媒和物又は水和物を包含するこれら化合物は、多数の障害、状態及び疾患を治療するために使用することができる。これらには、中でも、不眠症のような睡眠障害;線維筋痛症;てんかん;急性及び慢性疼痛を含む神経障害性疼痛;片頭痛;のぼせ;過敏性腸症候群に関連した疼痛;不穏下肢症候群;拒食症;パニック障害;うつ病;季節性情動障害;及び一般的な不安障害を含んだ不安、強迫性障害及び注意欠陥多動性障害が含まれるが、これらに限定されない。
【0003】
’251出願に記載されている多くのβ−アミノ酸は、光学的に活性である。下記の式1により表される化合物のようないくつかの化合物は、二つ又はそれより多くの不斉(キラル)中心を有しており、そのためそれらの製造を難しいものにしている。’251出願は、実験室スケールで光学活性β−アミノ酸を製造するには有用な方法を記載しているが、その方法の多くは、効率又は費用の関係のため、パイロット又は本格的規模の生産には問題を含んでいる。従って、式1により与えられているような、光学活性β−アミノ酸を製造するための改良された方法が望まれている。
【発明の開示】
【0004】
【発明の要旨】
【0005】
本発明は、式1
【0006】
【化1】

【0007】
の化合物、又はそのジアステレオマー、又はその薬学的に許容できる錯体、塩、溶媒和物又は水和物を製造するための、比較的効率的で及び対費用効果の高い方法を提供するものであり、式中:
及びRは、独立して、水素原子、又は1〜5のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルキルであり、但し、Rが水素原子であるとき、Rは水素原子ではなく;そして
は、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜6アルキル、アリール、アリール−C1〜3アルキル、又はアリールアミノであり、ここで、Rの各アルキルは、1〜5のフッ素原子で置換されていてもよく、そして、Rの各アリールは、クロロ、フルオロ、アミノ、ニトロ、シアノ、C1〜3アルキルアミノ、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルキル、及び1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルコキシから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよい。
【0008】
本発明の一つの側面は、式2
【0009】
【化2】

【0010】
又は、式4
【0011】
【化3】

【0012】
の化合物を、キラル触媒存在下、Hと反応させて、式3
【0013】
【化4】

【0014】
の化合物又はそのジアステレオマーを得ること、ここで:
式2、式3及び式4のR、R及びRは、式1で定義した通りであり;
式2、式3及び式4のRは、水素原子、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C3〜7シクロアルケニル、ハロ−C1〜7アルキル、ハロ−C2〜7アルケニル、ハロ−C2〜7アルキニル、アリール−C1〜6アルキル、アリール−C2〜6アルケニル、又はアリール−C2〜6アルキニル、又は1族金属イオン、2族金属イオン、第一アンモニウムイオン又は第二アンモニウムイオンから選択されるカチオンであり;
式2のR及び式3のR19は、独立して、水素原子、カルボキシ、C1〜7アルカノイル、C2〜7アルケノイル、C2〜7アルキノイル、C3〜7シクロアルカノイル、C3〜7シクロアルケノイル、ハロ−C1〜7アルカノイル、ハロ−C2〜7アルケノイル、ハロ−C2〜7アルキノイル、C1〜6アルコキシカルボニル、ハロ−C1〜6アルコキシカルボニル、C3〜7シクロアルコキシカルボニル、アリール−C1〜7アルカノイル、アリール−C2〜7アルケノイル、アリール−C2〜7アルキノイル、アリールオキシカルボニル、又はアリール−C1〜6アルコキシカルボニルであるが、但し、Rは水素原子ではない;及び
場合により、式3の化合物又はそのジアステレオマーを、式1の化合物又はそのジアステレオマー、又は式1の化合物又はそのジアステレオマーの薬学的に許容できる錯体、塩、溶媒和物又は水和物へ変換すること
を含んでいる。
【0015】
式2又は式4の化合物の不斉水素添加に有用なキラル触媒には、一つ又はそれより多くのリン原子を介して遷移金属に結合されたキラルなリガンドが含まれる。こうした触媒には、ロジウムに結合した(R、R、S、S)−TANGPhos、(R)−BINAPINE、(R)−eTCFP又は(R)−mTCFP、又はその立体異性体が含まれる。不斉水素添加は、典型的には、単一のキラル触媒を使用して実施する。しかしながら、本方法はまた、プロキラル基質(式2又は式4)を第一及び第二のキラル触媒(例えば、各々、(R)−BINAPINE及び(R)−mTCFP、又はその鏡像異性体)と連続的に反応させるところの、多キラル触媒を用いることもできる。こうした場合において、第一のキラル触媒は、同一条件下では第二のキラル触媒よりも大きな立体選択性を有しており、そして第二のキラル触媒は、同一条件下では第一のキラル触媒よりも速い反応速度を有している。
【0016】
式2の化合物は、式4
【0017】
【化5】

【0018】
の化合物又はその塩を、式5
【0019】
【化6】

【0020】
の化合物と反応させることにより製造することができ、ここで、式5中のRは、式2で定義した通りであり、そして、式5中のXは、ヒドロキシ、又はハロゲノ、アリールオキシ又はヘテロアリールオキシ、又は−OC(O)R15(式中、R15は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜12シクロアルキル、ハロ−C1〜6アルキル、ハロ−C2〜6アルケニル、ハロ−C2〜6アルキニル、アリール、アリール−C1〜6アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール又はヘテロアリール−C1〜6アルキルである)のような脱離基である。
【0021】
式4の化合物は、式6
【0022】
【化7】

【0023】
の化合物を、アンモニア源(例えば、アンモニア又は酢酸アンモニウムと酢酸の混合物)と反応させることにより製造することができ、ここで、式6中のR、R及びRは、式1で定義した通りであり、そして、Rは、式2で定義した通りである。
【0024】
本発明の別の側面は、式7
【0025】
【化8】

【0026】
の化合物又はそのジアステレオマー、又はその塩のアミノ部分を還元して、式1の化合物を得ること、ここで、式7中のR、R及びRは、式1で定義した通りであり、そして、Rは、C1〜6アルキル、(例えば、メチル)、C2〜6アルケニル(例えば、アリル)又はアリール−C1〜3アルキル(例えば、ベンジル)である;及び
場合により、式1の化合物又はそのジアステレオマーを、薬学的に許容できる錯体、塩、溶媒和物又は水和物に変換することを含む。
【0027】
アミノ部分は、式7の化合物を、触媒存在下、Hと反応させることにより還元することができる。有用な触媒には、Pd/C及びラネーニッケルのような遷移金属触媒が含まれる。
【0028】
式7の化合物は、式8
【0029】
【化9】

【0030】
の化合物又はそのジアステレオマーを、酸又は塩基と反応させることにより製造することができ、ここで、式8中のR、R及びRは、式1で定義した通りであり、そして、Rは、式7で定義した通りである。
【0031】
式8の化合物は、式9
【0032】
【化10】

【0033】
の化合物又はそのジアステレオマーを、環化させることにより製造することができ、ここで、式9中のR、R及びRは、式1で定義した通りであり、そして、Rは、式7で定義した通りである。例えば、式9中のヒドロキシ部分は(例えば、スルホナートエステルへの変換により)活性化されて活性化アルコールを与え、それは、引き続いて、塩基(例えば、カルボナート)での処理により環化される。
【0034】
式9の化合物は、式10
【0035】
【化11】

【0036】
の化合物又はそのジアステレオマーを、式11
【0037】
【化12】

【0038】
の化合物と反応させることにより製造することができ、ここで、式10中のR、R及びRは、式1で定義した通りであり、そして、式11中のRは、式7で定義した通りである。反応を容易にするため、式10の化合物のカルボン酸部分は、DMT−MMのようなカップリング剤を使用して活性化することができる。
【0039】
式10の化合物は、上記式6の化合物を、キラル触媒存在下、Hと反応させて式12
【0040】
【化13】

【0041】
の化合物又はそのジアステレオマーを得ること、ここで式12中のR、R、R及びRは、式1及び式2で定義した通りである;及び
場合により、式12の化合物又はそのジアステレオマーを、式10の化合物へ変換することにより製造することができる。
【0042】
本発明の追加の側面は、式13
【0043】
【化14】

【0044】
の化合物又はそのジアステレオマーのアミン部分を還元して、式37
【0045】
【化15】

【0046】
の化合物又はそのジアステレオマーを得ること、ここで、式37及び式13中のR、R、R及びRは、各々、式1及び式2で定義した通りであり、及び式13中のRは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル(例えば、アリル)又はアリール−C1〜3アルキル(例えば、ベンジル)である;及び
場合により、式37の化合物又はそのジアステレオマーを、式1の化合物又はそのジアステレオマー、又は式1の化合物又はそのジアステレオマーの薬学的に許容できる錯体、塩、溶媒和物又は水和物に変換することを含む。
【0047】
式13の化合物のアミノ部分は、式13の化合物を、触媒存在下、Hと反応させることにより還元することができる。有用な触媒には、Pd/C及びラネーニッケルのような遷移金属触媒が含まれる。
【0048】
式13の化合物は、式14
【0049】
【化16】

【0050】
の化合物又はその反対の鏡像異性体を、塩基で処理することにより脱プロトン化キラルなアミンを得、そして、その脱プロトン化されたキラルなアミンを、式15
【0051】
【化17】

【0052】
の化合物と反応させることにより製造することができ、ここで、式15中のR、R及びRは、式1で定義した通りであり、式15中のRは、式2で定義した通りであり、そして、式14中のRは、式13で定義した通りである。
【0053】
式15の化合物は、式16
【0054】
【化18】

【0055】
の化合物を塩基と反応させることにより製造することができ、ここで、式16中のR、R及びRは、式1で定義した通りであり、式16中のRは、式2で定義した通りであり、そして、Rは脱離基である。
【0056】
式16の化合物は、式17
【0057】
【化19】

【0058】
の化合物を、式18
【0059】
【化20】

【0060】
の化合物と反応させて、式16(式中、RはRO−である)の化合物を得ることにより製造することができ、ここで式17中のR、R及びRは、式1で定義した通りであり、式17中のRは、式2で定義した通りであり、Rはトシル、メシル、ブロシル、クロシル、ノシル、又はトリフリルであり、そして、Xはハロゲン又はRO−である。
【0061】
式17の化合物は、上記式6の化合物のβ−カルボニル部分を還元することにより製造することができる。例えば、式6の化合物を、触媒存在下、Hと反応させて、式17の化合物を得ることができる。有用な触媒には、白金及びルテニウムをベースとする触媒のような、遷移金属触媒が含まれる。
【0062】
また、式15の化合物は、式39
【0063】
【化21】

【0064】
の化合物を塩基と反応させることにより製造することができ、ここで、式39中のR、R及びRは、式1で定義した通りであり、そして、式39中のRは、式2で定義した通りである。
【0065】
式39の化合物は、式38
【0066】
【化22】

【0067】
の化合物を、銅及びキラル触媒存在下、式29
【0068】
【化23】

【0069】
の化合物と反応させることにより製造することができ、ここで、式29及び38中のR、R及びRは、式1で定義した通りであり、式38中のRは、式2で定義した通りであり、そして、式29中のXは、ハロゲノである。
【0070】
本発明はまた、上記式6の化合物を製造するための方法も提供する。かくして、本発明の別の側面は、式19
【0071】
【化24】

【0072】
の化合物又はその塩を、酸で処理することを含んでおり、ここで、式19中のR、R、R及びRは、式1及び式2で定義した通りである。
【0073】
式19の化合物は、式20
【0074】
【化25】

【0075】
の化合物を、塩基及び場合により金属イオン存在下、式21
【0076】
【化26】

【0077】
の化合物又はその塩と反応させることにより製造することができ、ここで、式20中のR、R及びR及び式21中のRは、式1及び式2で定義した通りであり、そして、式20中のR10は、キラルなオキサゾリジン−2−オン−3−イル又はイミダゾール−1−イルのような脱離基である。有用なキラルなオキサゾリジン−2−オン−3−イルには、(S)−4−イソプロピルオキサゾリジン−2−オン−3−イル、(R)−4−イソプロピルオキサゾリジン−2−オン−3−イル、(S)−4−ベンジルオキサゾリジン−2−オン−3−イル、(R)−4−ベンジルオキサゾリジン−2−オン−3−イル、(S)−4−フェニルオキサゾリジン−2−オン−3−イル、(R)−4−フェニルオキサゾリジン−2−オン−3−イル、(4S,5R)−4−メチル−5−フェニルオキサゾリジン−2−オン−3−イル又は(4R,5S)−4−メチル−5−フェニルオキサゾリジン−2−オン−3−イル、又はその立体異性体が含まれる。
【0078】
式20の化合物は、式22
【0079】
【化27】

【0080】
の化合物又はその塩を、カップリング剤と反応させることにより製造することができる。有用なカップリング剤には、CDI、DCC、DMT−MM、FDPP、TATU、BOP、PyBOP、EDCI、ジイソプロピルカルボジイミド、クロロギ酸イソプロペニル、クロロギ酸イソブチル、N,N−ビス−(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)−ホスフィン酸クロリド、ジフェニルホスホリルアジド、ジフェニルホスフィン酸クロリド又はジフェニルホスホリルシアニドが含まれる。
【0081】
式22の化合物は、酸存在下、式23
【0082】
【化28】

【0083】
の化合物を加水分解することにより製造することができ、ここで、式23中のR、R及びRは、式1で定義した通りである。
【0084】
式23の化合物は、式24
【0085】
【化29】

【0086】
の化合物を、シアニドイオン源と反応させることにより製造することができ、ここで、式24中のR、R及びRは、式1で定義した通りであり、そして、R11は脱離基である。有用なシアニドイオン源には、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化亜鉛、シアン化水素又はアセトンシアノヒドリン(単独で又は組み合わせて)が含まれる。
【0087】
式24の化合物は、式25
【0088】
【化30】

【0089】
の化合物を、式26
【0090】
【化31】

【0091】
の化合物と反応させて、式24(式中、R11はR12O−である)の化合物を得ることにより製造することができ、ここで、式25中のR、R及びRは、式1で定義した通りであり、式26中のR12は、トシル、メシル、ブロシル、クロシル、ノシル又はトリフリルであり、そしてXはハロゲンである。
【0092】
もしくは、式22の化合物は、式27
【0093】
【化32】

【0094】
の化合物を加水分解することにより製造することができ、ここで、式27中のR、R及びRは、式1で定義した通りであり、R13、R14、R15及びR16は、独立して、水素原子、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜6アルキル、アリール、又はアリール−C1〜3アルキルであり、但し、R15及びR16は異なっており、両方が水素原子であることはない。
【0095】
本発明の追加の側面は、式33
【0096】
【化33】

【0097】
の化合物を塩基で処理してジアニオンを生成させ;
該ジアニオンと式32
【0098】
【化34】

【0099】
の化合物を反応させて中間体を得ること;及び
該中間体を酸で処理して、式6の化合物を得ることを含んでおり、ここで、式32中のR、R及びR及び式33中のRは、式1及び式2で定義した通りであり、そして、式32中のR18は脱離基である。
【0100】
式32の化合物は、式34
【0101】
【化35】

【0102】
の化合物を上記の式26の化合物と反応させて、式32(式中R18はR12O−である)の化合物を得ることにより製造することができ、ここで、式34中のR、R及びRは、式1で定義した通りである。
【0103】
本発明は、また、上に与えられている式2〜4、6〜10、12、13、15〜17、19、20、22及び39により表される化合物も提供し、その錯体、塩、溶媒和物、水和物、反対の鏡像異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、及びそれらの混合物を含む。
【0104】
従って、本発明の別の側面は、式40
【0105】
【化36】

【0106】
の化合物、その錯体、塩、溶媒和物、水和物、反対の鏡像異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、及びそれらの混合物を提供するものであり、式中:
式40のR、R及びRは、式1で上に定義した通りであり;
20は、水素原子、ヒドロキシ、R−O−NH−、RO−又はR19−NH−、又は
【0107】
【化37】

【0108】
であり;
21は、水素原子、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C3〜7シクロアルケニル、ハロ−C1〜7アルキル、ハロ−C2〜7アルケニル、ハロ−C2〜7アルキニル、アリール−C1〜6アルキル、アリール−C2〜6アルケニル、又はアリール−C2〜6アルキニル、又は1族金属イオン、2族金属イオン、第一アンモニウムイオン、第二アンモニウムイオン又はR−O−NH−から選択されるカチオンであり;そして
、R、R及びR19は、各々、式7、式13、式18及び式3で定義した通りである。
【0109】
本発明のさらなる側面は、式39
【0110】
【化38】

【0111】
の化合物、その錯体、塩、溶媒和物、水和物、反対の鏡像異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、及びそれらの混合物を提供し、式39中のR、R及びRは、式1で上に定義した通りであり、Rは、式2で上に定義した通りである。
【0112】
本発明の追加の側面は、式41
【0113】
【化39】

【0114】
の化合物、その錯体、塩、溶媒和物、水和物、反対の鏡像異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、及びそれらの混合物を提供し、式中、式41のR、R及びRは、式1で上に定義した通りであり、Rは、式2で上に定義した通りであり、そして、R22は水素原子又はカルボキシである。
【0115】
本発明のさらに別の側面は、式42
【0116】
【化40】

【0117】
の化合物、その錯体、塩、溶媒和物、水和物、反対の鏡像異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、及びそれらの混合物を提供し、式中、式42のR、R及びRは、式1で上に定義した通りであり、そして、R23は水素原子又はキラルなオキサゾリジン−2−オン−3−イルである。
【0118】
本発明はまた、以下の化合物、ならびにそれらの薬学的に許容できる錯体、塩、溶媒和物、水和物、反対の鏡像異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、及び混合物も含んでいる:
(R)−5−メチル−3−オキソ−ヘプタン酸エチルエステル;
(R)−5−メチル−3−オキソ−オクタン酸エチルエステル;
(R)−5−メチル−3−オキソ−ノナン酸エチルエステル;
(R,Z)−3−アミノ−5−メチル−ヘプタ−2−エン酸エチルエステル;
(R,Z)−3−アミノ−5−メチル−オクタ−2−エン酸エチルエステル;
(R,Z)−3−アミノ−5−メチル−ノナ−2−エン酸エチルエステル;
(R,Z)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ヘプタ−2−エン酸エチルエステル;
(R,Z)−3−アセチルアミノ−5−メチル−オクタ−2−エン酸エチルエステル;
(R,Z)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ノナ−2−エン酸エチルエステル;
(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ヘプタン酸エチルエステル;
(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸エチルエステル;
(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸エチルエステル;
(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ヘプタン酸エチルエステル;
(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−オクタン酸エチルエステル;
(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ノナン酸エチルエステル;
(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ヘプタン酸;
(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−オクタン酸;
(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ノナン酸;
(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ヘプタン酸;
(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−オクタン酸;
(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ノナン酸;
(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ヘプタン酸ベンジルオキシ−アミド;
(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−オクタン酸ベンジルオキシ−アミド;
(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ノナン酸ベンジルオキシ−アミド;
(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ヘプタン酸エチルエステル;
(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−オクタン酸エチルエステル;
(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ノナン酸エチルエステル;
(2R,4S)−1−ベンジルオキシ−4−(2−メチル−ブチル)−アゼチジン−2−オン;
(2R,4S)−1−ベンジルオキシ−4−(2−メチル−ペンチル)−アゼチジン−2−オン;
(2R,4S)−1−ベンジルオキシ−4−(2−メチル−ヘキシル)−アゼチジン−2−オン;
(3S,5R)−3−ベンジルオキシアミノ−5−メチル−ヘプタン酸;
(3S,5R)−3−ベンジルオキシアミノ−5−メチル−オクタン酸;
(3S,5R)−3−ベンジルオキシアミノ−5−メチル−ノナン酸;
(1S,3S,5R)−3−[ベンジル−(1−フェニル−エチル)−アミノ]−5−メチル−ヘプタン酸エチルエステル;
(1S,3S,5R)−3−[ベンジル−(1−フェニル−エチル)−アミノ]−5−メチル−オクタン酸エチルエステル;
(1S,3S,5R)−3−[ベンジル−(1−フェニル−エチル)−アミノ]−5−メチル−ノナン酸エチルエステル;
(5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ヘプタン酸エチルエステル;
(5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−オクタン酸エチルエステル;
(5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ノナン酸エチルエステル;
(R,E)−5−メチル−ヘプタ−2−エン酸エチルエステル;
(R,E)−5−メチル−オクタ−2−エン酸エチルエステル;
(R,E)−5−メチル−ノナ−2−エン酸エチルエステル;
(R,E)−5−メチル−ヘプタ−3−エン酸エチルエステル;
(R,E)−5−メチル−オクタ−3−エン酸エチルエステル;
(R,E)−5−メチル−ノナ−3−エン酸エチルエステル;
(5R)−5−メチル−3−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−ヘプタン酸エチルエステル;
(5R)−5−メチル−3−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−オクタン酸エチルエステル;
(5R)−5−メチル−3−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−ノナン酸エチルエステル;
(5R)−3−メタンスルホニルオキシ−5−メチル−ヘプタン酸エチルエステル;
(5R)−3−メタンスルホニルオキシ−5−メチル−オクタン酸エチルエステル;
(5R)−3−メタンスルホニルオキシ−5−メチル−ノナン酸エチルエステル;
(R)−1−イミダゾール−1−イル−3−メチル−ペンタン−1−オン;
(R)−1−イミダゾール−1−イル−3−メチル−ヘキサン−1−オン;及び
(R)−1−イミダゾール−1−イル−3−メチル−ヘプタン−1−オン。
【0119】
本発明は、開示された化合物の、すべての錯体及び塩、薬学的に許容できる又はできないに関わらず、溶媒和物、水和物及び多形形態を含む。特定の化合物は、アルケニル又は環状基を含むことができ、そのためシス/トランス(又はZ/E)立体異性体が可能であり、又はケト又はオキシム基を含むことができ、そのため互変異性が生じてもよい。こうした場合において、本発明は一般に、それらが純粋、実質的に純粋又は混合物であるかどうかに関わらず、すべてのZ/E異性体及び互変異性形態を含む。
【発明の詳細な説明】
【0120】
定義及び略語
特に示さない限り、本開示は以下に提供される定義を使用する。いくつかの定義及び式は、原子間の結合、及び名称を付けた又は付けていない原子又は原子のグループへの連結点を示すためのダッシュ(「−」)を含むことができる。他の定義及び式は、二重結合又は三重結合を示すために、各々、等号(「=」)又は同一性記号(「≡」)を含むことができる。特定の式はまた、不斉(非対称又はキラル)中心を示すための、一つ又はそれより多くのアステリスク(「*」)も含むことができるが、アステリスクが存在しないことは、化合物が一つ又はそれより多くの立体中心を欠くことを示しているわけではない。こうした式は、ラセミ化合物又は個々の鏡像異性体又はジアステレオマーを指すことができ、それらは純粋又は実質的に純粋であっても、又はなくてもよい。他の式は、一つ又はそれより多くの波線結合(「〜〜〜」)を含むことができる。不斉中心に結合されている場合、波線結合は、両方の立体異性体(個々に又は混合物として)を指す。同様に、二重結合に結合されている場合、波線結合は、Z異性体、E異性体、又はZ及びE異性体の混合物を示す。いくつかの式は、単又は二重結合を示すために、点線付き結合
【0121】
【化41】

【0122】
を含むことができる。
【0123】
「置換された」基とは、原子価要求性を満たし、そして置換により化学的に安定な化合物を生じるとの条件で、一つ又はそれより多くの水素原子が、一つ又はそれより多くの非水素原子又は基により置き換えられたものである。
【0124】
「約」又は「およそ」とは、測定可能な数変数に関連して使用される場合、変数の示された値及び示された値の実験誤差範囲にある全ての値(例えば、平均についての95%信頼区間内の)、又は大きいにしても示された値の±10パーセント以内を指す。
【0125】
「アルキル」とは、直鎖及び分枝鎖飽和炭化水素基を指し、一般に、特定された数の炭素原子を有している(即ち、C1〜6アルキルとは、1、2、3、4、5又は6炭素原子を有しているアルキル基を指す)。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ペンタ−1−イル、ペンタ−2−イル、ペンタ−3−イル、3−メチルブタ−1−イル、3−メチルブタ−2−イル、2−メチルブタ−2−イル、2,2,2−トリメチルエタ−1−イル、n−ヘキシルなどが含まれ、これらに限定されない。
【0126】
「アルケニル」とは、一つ又はそれより多くの不飽和炭素−炭素結合を有する、直鎖及び分枝鎖炭化水素基を指し、一般に、特定された数の炭素原子を有している。アルケニル基の例には、エテニル、1−プロペン−1−イル、1−プロペン−2−イル、2−プロペン−1−イル、1−ブテン−1−イル、1−ブテン−2−イル、3−ブテン−1−イル、3−ブテン−2−イル、2−ブテン−1−イル、2−ブテン−2−イル、2−メチル−1−プロペン−1−イル、2−メチル−2−プロペン−1−イル、1,3−ブタジエン−1−イル、1,3−ブタジエン−2−イルなどが含まれ、これらに限定されない。
【0127】
「アルキニル」とは、一つ又はそれより多くの三重炭素−炭素結合を有する、直鎖及び分枝鎖炭化水素基を指し、一般に、特定された数の炭素原子を有している。アルキニル基の例には、エチニル、1−プロピン−1−イル、2−プロピン−1−イル、1−ブチン−1−イル、3−ブチン−1−イル、3−ブチン−2−イル、2−ブチン−1−イルなどが含まれ、これらに限定されない。
【0128】
「アルカノイル」とは、アルキル−C(O)−を指し(式中、アルキルは上で定義した通りである)、そして一般に、カルボニル炭素を含んだ特定された数の炭素原子を含む。アルカノイルの例には、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ペンタノイル、ヘキサノイルなどが含まれ、これらに限定されない。
【0129】
「アルケノイル」及び「アルキノイル」とは、各々、アルケニル−C(O)−及びアルキニル−C(O)−を指し、アルケニル及びアルキニルは上で定義した通りである。アルケノイル及びアルキノイルが表すものは、一般に、カルボニル炭素を除外した特定された数の炭素原子を含む。アルケノイル基の例には、プロペノイル、2−メチルプロペノイル、2−ブテノイル、3−ブテノイル、2−メチル−2−ブテノイル、2−メチル−3−ブテノイル、3−メチル−3−ブテノイル、2−ペンテノイル、3−ペンテノイル、4−ペンテノイルなどが含まれ、これらに限定されない。アルキノイル基の例には、プロピノイル、2−ブチノイル、3−ブチノイル、2−ペンチノイル、3−ペンチノイル、4−ペンチノイルなどが含まれ、これらに限定されない。
【0130】
「アルコキシ」及び「アルコキシカルボニル」とは、各々、アルキル−O−、アルケニル−O及びアルキニル−O、及びアルキル−O−C(O)−、アルケニル−O−C(O)−、アルキニル−O−C(O)−を指し、アルキル、アルケニル及びアルキニルは上で定義した通りである。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、s−ペントキシなどが含まれ、これらに限定されない。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、i−プロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、s−ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−ペントキシカルボニル、s−ペントキシカルボニルなどが含まれ、これらに限定されない。
【0131】
「ハロ」、「ハロゲン」及び「ハロゲノ」は、相互交換的に使用することができ、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを指す。
【0132】
「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、「ハロアルキニル」、「ハロアルカノイル」、「ハロアルケノイル」、「ハロアルキノイル」、「ハロアルコキシ」及び「ハロアルコキシカルボニル」とは、各々、一つ又はそれより多くのハロゲン原子で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルカノイル、アルケノイル、アルキノイル、アルコキシ及びアルコキシカルボニル基を指し、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカノイル、アルケノイル、アルキノイル、アルコキシ及びアルコキシカルボニルは上で定義した通りである。ハロアルキル基の例には、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロメチル、ペンタクロロエチルなどが含まれ、これらに限定されない。
【0133】
「シクロアルキル」とは、飽和単環式及び二環式炭化水素環を指し、環を含んでなる特定された数の炭素原子を有している(即ち、C3〜7シクロアルキルとは、環メンバーとして3、4、5、6又は7炭素原子を有しているシクロアルキル基を指す)。シクロアルキルは、その結合が原子価要求性を犯さないであろう限り、いずれの環原子でも、親基又は基質へ結合することができる。同様に、シクロアルキル基は、その置換が原子価要求性を犯さないであろう限り、一つ又はそれより多くの非水素置換基を含むことができる。有用な置換基には、上で定義したアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカノイル及びハロ、及びヒドロキシ、メルカプト、ニトロ及びアミノが含まれ、これらに限定されない。
【0134】
単環式シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれ、これらに限定されない。二環式シクロアルキル基の例には、ビシクロ[1.1.0]ブチル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.1.0]ペンチル、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル、ビシクロ[3.1.0]ヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[3.2.0]ヘプチル、ビシクロ[3.1.1]ヘプチル、ビシクロ[4.1.0]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[4.1.1]オクチル、ビシクロ[3.3.0]オクチル、ビシクロ[4.2.0]オクチル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[4.2.1]ノニル、ビシクロ[4.3.0]ノニル、ビシクロ[3.3.2]デシル、ビシクロ[4.2.2]デシル、ビシクロ[4.3.1]デシル、ビシクロ[4.4.0]デシル、ビシクロ[3.3.3]ウンデシル、ビシクロ[4.3.2]ウンデシル、ビシクロ[4.3.3]ドデシルなどが含まれ、これらに限定されない。
【0135】
「シクロアルケニル」とは、一つ又はそれより多くの不飽和炭素−炭素結合を有する単環式及び二環式炭化水素環を指し、そして環を含んでなる、特定された数の炭素原子を有している(即ち、C3〜7シクロアルケニルとは、環メンバーとして3、4、5、6又は7炭素原子を有しているシクロアルケニル基を指す)。シクロアルケニルは、その結合が原子価要求性を犯さないであろう限り、いずれの環原子でも、親基又は基質へ結合することができる。同様に、シクロアルケニル基は、その置換が原子価要求性を犯さないであろう限り、一つ又はそれより多くの非水素置換基を含むことができる。有用な置換基には、上で定義したアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカノイル及びハロ、及びヒドロキシ、メルカプト、ニトロ及びアミノが含まれ、これらに限定されない。
【0136】
「シクロアルカノイル」及び「シクロアルケノイル」とは、各々、シクロアルキル−C(O)−及びシクロアルケニル−C(O)−を指し、シクロアルキル及びシクロアルケニルは上で定義した通りである。シクロアルカノイル及びシクロアルケノイルが表すものは、一般に、カルボニル炭素を除外した特定された数の炭素原子を含む。シクロアルカノイルの例には、シクロプロパノイル、シクロブタノイル、シクロペンタノイル、シクロヘキサノイル、シクロヘプタノイル、1−シクロブテノイル、2−シクロブテノイル、1−シクロペンテノイル、2−シクロペンテノイル、3−シクロペンテノイル、1−シクロヘキサノイル、2−シクロヘキサノイル、3−シクロヘキサノイルなどが含まれ、これらに限定されない。
【0137】
「シクロアルコキシ」及び「シクロアルコキシカルボニル」とは、各々、シクロアルキル−O−及びシクロアルケニル−O、及びシクロアルキル−O−C(O)−及びシクロアルケニル−O−C(O)−を指し、シクロアルキル及びシクロアルケニルは上で定義した通りである。シクロアルコキシ及びシクロアルコキシカルボニルが表すものは、一般に、カルボニル炭素を除外した特定された数の炭素原子を含む。シクロアルコキシ基の例には、シクロプロポキシ、シクロブトキシ、シクロペントキシ、シクロヘキソキシ、1−シクロブテノキシ、2−シクロブテノキシ、1−シクロペンテノキシ、2−シクロペンテノキシ、3−シクロペンテノキシ、1−シクロヘキセノキシ、2−シクロヘキセノキシ、3−シクロヘキセノキシなどが含まれ、これらに限定されない。シクロアルコキシカルボニル基の例には、シクロプロポキシカルボニル、シクロブトキシカルボニル、シクロペントキシカルボニル、シクロヘキソキシカルボニル、1−シクロブテノキシカルボニル、2−シクロブテノキシカルボニル、1−シクロペンテノキシカルボニル、2−シクロペンテノキシカルボニル、3−シクロペンテノキシカルボニル、1−シクロヘキセノキシカルボニル、2−シクロヘキセノキシカルボニル、3−シクロヘキセノキシカルボニルなどが含まれ、これらに限定されない。
【0138】
「アリール」及び「アリーレン」とは、各々、窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される、0〜4ヘテロ原子を含む5−及び6−員の単環式芳香族基を含んでいる、一価及び二価の芳香族基を指す。単環式アリール基の例には、フェニル、ピロリル、フラニル、チオフェニル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニルなどが含まれ、これらに限定されない。アリール及びアリーレン基はまた、上記の縮合5及び6員環を含む、二環式基、三環式基、その他を含む。多環式アリール基の例には、ナフチル、ビフェニル、アントラセニル、ピレニル、カルバゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンゾフラニル、プリニル、インドリジニルなどが含まれ、これらに限定されない。アリール及びアリーレン基は、その結合が原子価要求性を犯さないであろう限り、いずれの環原子でも、親基又は基質へ結合することができる。同様に、アリール及びアリーレン基は、その置換が原子価要求性を犯さないであろう限り、一つ又はそれより多くの非水素置換基を含むことができる。有用な置換基には、上で定義したアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルカノイル、シクロアルカノイル、シクロアルケノイル、アルコキシカルボニル、シクロアルコキシカルボニル及びハロ、及びヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、アミノ及びアルキルアミノが含まれ、これらに限定されない。
【0139】
「ヘテロ環」及び「ヘテロシクリル」とは、各々、5〜7又は7〜11の環メンバーを有する、飽和、部分的不飽和又は不飽和、単環式又は二環式環を指す。これらの基は、炭素原子及び、独立して窒素、酸素又は硫黄である、1〜4のヘテロ原子から作り上げられた環メンバーを有し、そして上記の単環式ヘテロ環がベンゼン環に縮合した、いずれかの二環式基を含むことができる。窒素及び硫黄ヘテロ原子は、場合により、酸化されていてもよい。ヘテロ環式環は、結合が原子価要求性を犯さないであろう限り、いずれのヘテロ原子又は炭素原子でも、親基又は基質へ結合されることができる。同様に、いずれの炭素又は窒素環メンバーも、その置換が原子価要求性を犯さないであろう限り、非水素置換基を含むことができる。有用な置換基には、上で定義したアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルカノイル、シクロアルカノイル、シクロアルケノイル、アルコキシカルボニル、シクロアルコキシカルボニル及びハロ、及びヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、アミノ、及びアルキルアミノが含まれ、これらに限定されない。
【0140】
ヘテロ環の例には、アクリジニル、アゾシニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダゾリニル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピロドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル及びキサンテニルが含まれ、これらに限定されない。
【0141】
「ヘテロアリール」及び「ヘテロアリーレン」とは、各々、芳香族である、上で定義した一価及び二価ヘテロ環又はヘテロシクリル基を指す。ヘテロアリール及びヘテロアリーレン基は、各々、アリール及びアリーレン基の下位集団を意味する。
【0142】
「アリールアルキル」及び「ヘテロアリールアルキル」とは、各々、アリール−アルキル及びヘテロアリール−アルキルを指し、アリール、ヘテロアリール及びアルキルは上で定義した通りである。例には、ベンジル、フルオレニルメチル、イミダゾール−2−イル−メチルなどが含まれ、これらに限定されない。
【0143】
「アリールアルカノイル」、「ヘテロアリールアルカノイル」、「アリールアルケノイル」、「ヘテロアリールアルケノイル」、「アリールアルキノイル」及び「ヘテロアリールアルキノイル」とは、各々、アリール−アルカノイル、ヘテロアリール−アルカノイル、アリール−アルケノイル、ヘテロアリール−アルケノイル、アリール−アルキノイル、及びヘテロアリール−アルキノイルを指し、アリール、ヘテロアリール、アルカノイル、アルケノイル及びアルキノイルは上で定義した通りである。例には、ベンゾイル、ベンジルカルボニル、フルオレノイル、フルオレニルメチルカルボニル、イミダゾール−2−油状物、イミダゾール−2−イル−メチルカルボニル、フェニルエテンカルボニル、1−フェニルエテンカルボニル、1−フェニル−プロペンカルボニル、2−フェニル−プロペンカルボニル、3−フェニル−プロペンカルボニル、イミダゾール−2−イル−エテンカルボニル、1−(イミダゾール−2−イル)−エテンカルボニル、1−(イミダゾール−2−イル)−プロペンカルボニル、2−(イミダゾール−2−イル)−プロペンカルボニル、3−(イミダゾール−2−イル)−プロペンカルボニル、フェニルエチンカルボニル、フェニルプロピンカルボニル、(イミダゾール−2−イル)−エチンカルボニル、(イミダゾール−2−イル)−プロピンカルボニルなどが含まれ、これらに限定されない。
【0144】
「アリールアルコキシ」及び「ヘテロアリールアルコキシ」とは、各々、アリール−アルコキシ及びヘテロアリール−アルコキシを指し、アリール、ヘテロアリール及びアルコキシは上で定義した通りである。例には、ベンジルオキシ、フルオレニルメチルオキシ、イミダゾール−2−イル−メチルオキシなどが含まれ、これらに限定されない。
【0145】
「アリールオキシ」及び「ヘテロアリールオキシ」とは、各々、アリール−O−及びヘテロアリール−O−を指し、アリール及びヘテロアリールは上で定義した通りである。例には、フェノキシ、イミダゾール−2−イルオキシなどが含まれ、これらに限定されない。
【0146】
「アリールオキシカルボニル」、「ヘテロアリールオキシカルボニル」、「アリールアルコキシカルボニル」及び「ヘテロアリールアルコキシカルボニル」とは、各々、アリールオキシ−C(O)−、ヘテロアリールオキシ−C(O)−、アリ−ルアルコキシ−C(O)−及びヘテロアリールアルコキシ−C(O)−を指し、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルコキシ及びヘテロアリールアルコキシは上で定義した通りである。例には、フェノキシカルボニル、イミダゾール−2−イルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、フルオレニルメチルオキシカルボニル、イミダゾール−2−イル−メチルオキシカルボニルなどが含まれ、これらに限定されない。
【0147】
「脱離基」とは、置換反応、脱離反応及び付加−脱離反応を含む、フラグメンテーションプロセス間に、分子を離れるいずれかの基を指す。脱離基は、脱離基と分子間の結合として以前は働いていた電子対とともに基が離れる、離核性であってもよく、又は電子対なしで基が離れる、離電子性であってもよい。離れるための離核性脱離基の能力は、その塩基強度に依存し、最も強い塩基が最も不十分な脱離基である。通常の離核性脱離基には、窒素(例えば、ジアゾニウム塩からの);アルキルスルホナート(例えば、メシラート)フルオロアルキルスルホナート(例えば、トリフラート、ヘキサフラート、ノナフラート及びトレシラート)及びアリールスルホナート(例えば、トシラート、ブロシラート、クロシラート及びノシラート)を含むスルホナートが含まれる。他には、カルボナート、ハライドイオン、カルボキシラートアニオン、フェノラートイオン及びアルコキシドが含まれる。スルホナート、NH及びOHのような、いくつかのより強い塩基は、酸による処理により、より良好な脱離基とすることが可能である。通常の離電子性脱離基には、プロトン、CO及び金属が含まれる。
【0148】
「鏡像体過剰率」又は「ee」とは、所与の試料について、キラル化合物のラセミ体試料に対する、一つの鏡像異性体の過剰率の指標であり、パーセンテージとして表現される。鏡像体過剰率は、100x(er−1)/(er+1)(式中、「er」はより少ない鏡像異性体に対するより豊富な鏡像異性体の比である)として定義される。
【0149】
「ジアステレオマー過剰率」又は「de」とは、所与の試料について、等量のジアステレオマーを有する試料に対する一つのジアステレオマーの過剰率の指標であり、パーセンテージとして表現される。ジアステレオマー過剰率は、100x(dr−1)/(dr+1)(式中、「dr」はより少ないジアステレオマーに対するより豊富なジアステレオマーの比である)として定義される。
【0150】
「立体選択的」、「エナンチオ選択的」、「ジアステレオ選択的」及びその変異形は、各々、別のものよりも多い一つの立体異性体、鏡像異性体又はジアステレオマーを生成する所与のプロセス(例えば、水素添加)を指す。
【0151】
「高レベルの立体選択性」、「高レベルのエナンチオ選択性」、「高レベルのジアステレオ選択性」及びその変異形は、生成物の少なくとも約90%を含んでなる、一つの立体異性体、鏡像異性体又はジアステレオマーを過剰に有する生成物を生成する所与のプロセスを指す。鏡像異性体及びジアステレオマーの組については、高レベルのエナンチオ選択性又はジアステレオ選択性は、少なくとも約80%のee又はdeに相当するであろう。
【0152】
「立体異性体的に富化された」、「鏡像異性体的に富化された」、「ジアステレオマー的に富化された」及びその変異形は、各々、一つの立体異性体、鏡像異性体又はジアステレオマーを別のものよりもより多く含む、化合物の試料を指す。富化の程度は、全生成物の%により、鏡像異性体及びジアステレオマーの組については、ee又はdeにより、測定することができる。
【0153】
「実質的に純粋な立体異性体」、「実質的に純粋な鏡像異性体」、「実質的に純粋なジアステレオマー」及びその変異形は、各々、試料の少なくとも約95%を含んでなる、立体異性体、鏡像異性体又はジアステレオマーを含有する試料を指す。鏡像異性体及びジアステレオマーの組については、実質的に純粋な鏡像異性体又はジアステレオマーは、約95%又はそれ以上のee又はdeを有する試料に相当するであろう。
【0154】
「純粋な立体異性体」、「純粋な鏡像異性体」、「純粋なジアステレオマー」及びその変異形は、各々、試料の少なくとも約99.5%を含んでなる、立体異性体、鏡像異性体又はジアステレオマーを含んでいる試料を指す。鏡像異性体及びジアステレオマーの組については、純粋な鏡像異性体又はジアステレオマーは、約99%又はそれ以上のee又はdeを有する試料に相当するであろう。
【0155】
「反対の鏡像異性体」とは、重ね合わすことが出来ない、参照分子の鏡像である分子を指し、それは、参照分子の立体中心の全てを反転することにより得ることが出来る。例えば、もし参照分子がS絶対立体化学配置を有していたら、反対の鏡像異性体はR絶対立体化学配置を有する。同様に、もし参照分子がS,S絶対立体化学配置を有していたら、反対の鏡像異性体はR,R絶対立体化学配置を有するなどである。
【0156】
特定の化合物の「立体異性体」は、化合物の反対の鏡像異性体、及び化合物のいずれかのジアステレオ異性体又は幾何異性体(Z/E)を指す。例えば、もし特定の化合物がS,R,Z立体化学的コンフィグレーションを有していたら、その立体異性体には、R,S,Zコンフィグレーションを有するその反対の鏡像異性体、S,S,Zコンフィグレーション及びR,R,Zコンフィグレーションを有するそのジアステレオマー、及びS,R,Eコンフィグレーション、R,S,Eコンフィグレーション、S,S,Eコンフィグレーション及びR,R,Eコンフィグレーションを有するその幾何異性体を含むであろう。
【0157】
「溶媒和物」とは、開示された又は特許請求された化合物及び化学量論又は非化学量論量の一つ又はそれより多くの薬学的に許容できる溶媒分子(例えば、EtOH)を含んでなる、分子錯体を指す。
【0158】
「水和物」とは、開示された又は特許請求された化合物及び化学量論又は非化学量論量の水を含んでなる、溶媒和物を指す。
【0159】
「薬学的に許容できる錯体、塩、溶媒和物又は水和物」とは、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激作用、アレルギー応答などがなく、患者の組織との接触における使用に適し、合理的利益対危険比が釣り合っており、及びその意図される使用に有益である、開示された又は特許請求された化合物の錯体、酸又は塩基付加塩、溶媒和物又は水和物を指す。
【0160】
「プレ触媒」又は「触媒前駆体」とは、使用に先だって、触媒へ変換される化合物又は化合物の組を指す。
【0161】
「治療する」とは、こうした用語が適用される障害又は状態を、逆行させる、緩和する、進行を抑制する、又は予防すること、又はこうした障害又は状態の一つ又はそれより多くの症状を予防することを指す。
【0162】
「治療」とは、直前に定義した「治療する」ことの行為を指す。
【0163】
表1は、本明細書を通して使用される略語を列挙している。
【0164】
【表1】

【0165】
【表2】

【0166】
【表3】

【0167】
【表4】

【0168】
【表5】

【0169】
以下のいくつかのスキーム及び実施例では、有機化学の当業者には周知である、酸化、還元などを含む、ありふれた反応の詳細は省略されている。こうした反応の詳細は、Richard Larock, Comprehensive Organic Transformations (1999) 及びMichael B. Smith 他により監修された、複数巻より成るCompendium of Organic Synthetic Methods (1974-2003) を含む、多数の学術論文に見ることが可能である。出発材料及び試薬は、商業的供給元から得ることができるか、又は文献により製造することができる。
【0170】
以下のいくつかの反応スキーム及び実施例において、特定の化合物を、反応部位以外での望まれない化学反応を防止する、保護基を使用して製造することが可能である。保護基はまた、溶解度を増強するため、さもなければ化合物の物理的性質を修飾するためにも使用することが出来る。保護基戦略、保護基を取り付けるまたは除去するための材料及び方法の記述、及びアミン、カルボン酸、アルコール、ケトン、アルデヒドなどを含む通常の官能基に有用な保護基のコンピレーション(compilation )についての議論については、全ての目的について、その全体が参照により本明細書に取り込まれる、T. W. Greene and P.G. Wuts, Protecting Groups in Organic Chemistry (1999) and P. Kocienski, Protective Groups (2000) を参照されたい。
【0171】
一般に、本明細書を通して記述されている化学変換は、実質的に化学量論量の反応体を使用して実行できるが、特定の反応は、過剰の一つ又はそれより多くの反応体を使用することにより利益を得ることができる。追加として、本明細書を通して開示されている反応の多くは、RT近辺で実施することができるが、反応速度論、収率などに依存して、特定の反応は、より高い温度(例えば、還流条件)又はより低い温度の使用を必要としてもよい。多くの化学変換はまた、反応速度及び収率に影響することができる、一つ又はそれより多くの適合した溶媒を用いることができる。反応の性質に依存して、一つ又はそれより多くの溶媒は、極性プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒、非極性溶媒、又はいくつかの組み合わせであることができる。化学量論範囲、温度範囲、pH範囲その他に関する本開示中のいずれの基準も、示された一端を含んでいる。
【0172】
この開示は、上記の式1により表される光学活性なβ−アミノ酸、そのジアステレオマー、及び、その薬学的に許容できる錯体、塩、溶媒和物、及び水和物を製造するための材料及び方法に関する。特許請求され開示される方法は、立体異性体的に富化された式1の化合物であって、多くの場合、純粋であるか又は実質的に純粋である立体異性体提供する。
【0173】
式1の化合物は、少なくとも二つの不斉中心を有し、置換基R、R及びRを含む。置換基R及びRは独立して、水素原子、又は1〜5のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルキルであり、但し、Rが水素原子である場合、Rは水素原子ではない。置換基Rは、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜6アルキル、アリール、アリール−C1〜3アルキル、又はアリールアミノであり、ここでRの各アルキルは、1〜5のフッ素原子で置換されていてもよく、そして、Rの各アリールは、クロロ、フルオロ、アミノ、ニトロ、シアノ、C1〜3アルキルアミノ、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルキル、及び1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルコキシ、から独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよい。
【0174】
式1の化合物には、それ故、R及びRが独立して水素又はC1〜3アルキルであるが但しR及びRが両方とも水素であることはない化合物、及びRがC1〜6アルキルである化合物が含まれる。式1の代表的な化合物には、また、Rが水素であり、Rがメチルであり、及びRがメチル、エチル又はn−プロピルである化合物、即ち、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ヘプタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸、及び(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸、が含まれる。
【0175】
スキームIは、式1の化合物の所望の立体異性体を製造する方法を例示している。立体選択的合成は、光学活性β−ジカルボニル(式6)とアンモニア源を反応させて、光学活性エナミン(式4)を得、それは場合により、アシル化剤(式5)と反応させて、光学活性エナミド(式2)を得ることを含む。エナミン(式4)又はエナミド(式2)を、キラル触媒存在下で水素と反応させて式3の化合物を生成し、それは場合により、酸又は塩基での処理により、式1の化合物へ加水分解する。式2、3、4及び6中の置換基R、R及びRは、式1で定義した通りであり;式2、3、4及び6中の置換基Rは、水素原子、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C3〜7シクロアルケニル、ハロ−C1〜7アルキル、ハロ−C2〜7アルケニル、ハロ−C2〜7アルキニル、アリール−C1〜6アルキル、アリール−C2〜6アルケニル、又はアリール−C2〜6アルキニル、又は1族金属イオン、2族金属イオン、第一アンモニウムイオン又は第二アンモニウムイオンから選択されるカチオンであり;式2及び式5中の置換基R、及び式3中のR19は、独立して、水素原子、カルボキシ、C1〜7アルカノイル、C2〜7アルケノイル、C2〜7アルキノイル、C3〜7シクロアルカノイル、C3〜7シクロアルケノイル、ハロ−C1〜7アルカノイル、ハロ−C2〜7アルケノイル、ハロ−C2〜7アルキノイル、C1〜6アルコキシカルボニル、ハロ−C1〜6アルコキシカルボニル、C3〜7シクロアルコキシカルボニル、アリール−C1〜7アルカノイル、アリール−C2〜7アルケノイル、アリール−C2〜7アルキノイル、アリールオキシカルボニル、又はアリール−C1〜6アルコキシカルボニルであり、但し、Rは水素原子ではない。
【0176】
一般に的に、そして他のやり方で述べられていない限り、特定の置換基特定記号(R、R、Rその他)は、式に関連して最初に定義され、続いての式で使用される同一の置換基特定記号は、より早い式のものと同一の意味を有するであろう。従って、例えば、最初の式においてR30が水素原子、ハロゲノ又はC1〜6アルキルであれば、異なって述べられていないかぎり、又はさもなければ本文の文脈から明白でなければ、第二の式中のR30もまた水素原子、ハロゲノ又はC1〜6アルキルである。
【0177】
β−ジカルボニル(式6)は、下記スキームIV及びスキームVに例示されている方法を使用して製造することができ、そしてアンモニア源での処理を介して、エナミン(式4)へ変換する。代表的なβ−ジカルボニル化合物(式6)には、(R)−5−メチル−3−オキソ−ヘプタン酸、(R)−5−メチル−3−オキソ−オクタン酸及び(R)−5−メチル−3−オキソ−ノナン酸の多様なC1〜6アルキルエステルが含まれる。β−ジカルボニルの例には、従って、(R)−5−メチル−3−オキソ−ヘプタン酸エチルエステル、(R)−5−メチル−3−オキソ−オクタン酸エチルエステル及び(R)−5−メチル−3−オキソ−ノナン酸エチルエステルが含まれる。有用なアンモニア源には、中でも、アンモニア及び酢酸アンモニウムが含まれる。例えば、P.G.Baraldi et al., Synthesis (11):902-903 (1983) を参照されたい。反応は典型的には、EtOH又はHOAcのようなプロトン性溶媒中、RT又はより高い温度(還流温度まで)で、過剰の酢酸アンモニウム(例えば1.2当量又はより多く)を用いて実施する。
【0178】
スキームIに示したように、エナミン(式4)は場合により、アシル化剤(式5)との接触を経て、エナミド(式2)へ変換してもよい。代表的なエナミンには、(R)−3−アミノ−5−メチル−ヘプタ−2−エン酸、(R)−3−アミノ−5−メチル−オクタ−2−エン酸及び(R)−3−アミノ−5−メチル−ノナ−2−エン酸のZ−及びE−異性体のC1〜6アルキルエステルが含まれる。エナミンの例には、従って、(R)−3−アミノ−5−メチル−ヘプタ−2−エン酸エチルエステル、(R)−3−アミノ−5−メチル−オクタ−2−エン酸エチルエステル及び(R)−3−アミノ−5−メチル−ノナ−2−エン酸エチルエステルのZ−及びE−異性体が含まれる。有用なアシル化剤には、エナミン(式4)と接触させることに先だって又はインサイツで(即ち、エナミンの存在下、適切なカップリング剤を使用して)活性化されたカルボン酸が含まれる。代表的な活性化カルボン酸(式5)には、酸ハライド、無水物、混合カーボネートその他が含まれ、式中、Xは、ハロゲノ、アリールオキシ(例えば、フェノキシ、3,5−ジメトキシフェノキシその他)及びヘテロアリールオキシ(例えば、イミダゾリルオキシ)、又は−OC(O)R15(式中、R15は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜12シクロアルキル、ハロ−C1〜6アルキル、ハロ−C2〜6アルケニル、ハロ−C2〜6アルキニル、アリール、アリール−C1〜6アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール又はヘテロアリール−C1〜6アルキルである)のような脱離基である。
【0179】
【化42】

【0180】
他の適したアシル化剤には、カップリング剤を使用して、インサイツで活性化されるカルボン酸が含まれる。典型的には、反応は、ACN、DMF、DMSO、トルエン、MeCl、NMP、THFその他のような非プロトン性溶媒中で実施し、触媒を用いることもできる。カップリング剤には、限定されるわけではないが、DCC、DMT−MM、FDPP、TATU、BOP、PyBOP、EDCI、ジイソプロピルカルボジイミド、クロロギ酸イソプロペニル、クロロギ酸イソブチル、N,N−ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)−ホスフィン酸クロリド、ジフェニルホスホリルアジド、ジフェニルホスフィン酸クロリド及びジフェニルホスホリルシアニドが含まれる。カップリング反応のために有用な触媒には、DMAP、HODhbt、HOBt及びHOAtが含まれる。
【0181】
光学活性エナミン(式4)又はエナミド(式2)は、キラル触媒存在下で不斉水素添加をうけ、式3の化合物を与える。スキームIに示したように、有用なエナミド水素添加基質(式2)には、個々のZ−又はE−異性体又はZ−及びE−異性体の混合物が含まれ、(R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ヘプタ−2−エン酸、(R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−オクタ−2−エン酸、及び(R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ノナ−2−エン酸のZ−及びE−異性体のC1〜6アルキルエステルが含まれる。有用なエナミドの例には、従って、(R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ヘプタ−2−エン酸エチルエステル、(R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−オクタ−2−エン酸エチルエステル及び(R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ノナ−2−エン酸エチルエステルのZ−及びE−異性体が含まれる。
【0182】
式2又は4中の置換基Rが、水素原子である場合、本方法は場合により、第一アミン(例えば、t−BuNH)、第二アミン(DIPEA)などのような適した塩基との接触により、不斉水素添加に先だって、カルボン酸を1族、2族又はアンモニウム塩へ変換することを含むことができる。いくつかの例において、エナミド(式2)又はエナミン(式4)の塩の使用は、変換を増加する、立体選択性を改良する、又は他の利点を提供することができる。場合により、本方法は、NaOH、NaCO、LiOH、Ca(OH)などのような、適した塩基との接触を介して得られる、カルボン酸の無機塩を用いてもよい。
【0183】
キラル触媒のどちらの鏡像異性体を使用するかに依存して、不斉水素添加は、式3のジアステレオ異性体の過剰(de)を生成する。生成される所望のジアステレオ異性体の量は、中でも、キラル触媒の選択に依存するであろうけれども、約50%又はそれより大きな所望のジアステレオ異性体のdeが望ましい;約70%又はそれより大きな所望のジアステレオ異性体のdeがより望ましい;そして約85%又はそれより大きな所望のジアステレオ異性体のdeがさらにより望ましい。特に有用な不斉水素添加は、所望のジアステレオ異性体のdeが、約90%又はそれより大きな水素添加である。本開示の目的には、所望のジアステレオ異性体又は鏡像異性体が、もし95%又はそれより大きなde又はeeを有していれば、実質的に純粋であると考えられる。
【0184】
上で示したように、エナミド(式2)又はエナミン(式4)の不斉水素添加は、必要とされる立体化学を有するキラル触媒を用いる。有用なキラル触媒には、環式又は非環式の、キラルなホスフィンリガンド(例えば、モノホスフィン、ビスホスフィン、ビスホスホラン(bisphospholane)その他)又はルテニウム、ロジウム、イリジウム又はパラジウムのような遷移金属に結合されたホスフィナイトリガンドが含まれ、これらに限定されない。Ru−、Rh−、Ir−又はPd−ホスフィン、ホスフィナイト又はホスフィノオキサゾリン錯体は、それらがキラルなリン原子又はリン原子へ連結されたキラル基を所有するので、又はBINAP及び類似のアトロプ異性リガンドの場合は、それらが軸キラリティーを所有するので、光学活性である。有用なキラルなリガンドには、BisP;(R)−BINAPINE;(S)−Me−フェロセン−Ketalphos、(R,R)−DIOP;(R,R)−DIPAMP;(R)−(S)−BPPFA;(S,S)−BPPM;(+)−CAMP;(S,S)−CHIRAPHOS;(R)−PROPHOS;(R,R)−NORPHOS;(R)−BINAP;(R)−CYCPHOS;(R,R)−BDPP;(R,R)−DEGUPHOS;(R,R)−Me−DUPHOS;(R,R)−Et−DUPHOS;(R,R)−i−Pr−DUPHOS;(R,R)−Me−BPE;(R,R)−Et−BPE(R)−PNNP;(R)−BICHEP;(R,S,R,S)−Me−PENNPHOS;(S,S)−BICP;(R,R)−Et−FerroTANE;(R,R)−t−butyl−miniPHOS;(R)−Tol−BINAP;(R)−MOP;(R)−QUINAP;CARBOPHOS;(R)−(S)−JOSIPHOS;(R)−PHANEPHOS;BIPHEP;(R)−Cl−MeO−BIPHEP;(R)−MeO−BIPHEP;(R)−MonoPhos;BIFUP;(R)−SpirOP;(+)−TMBTP;(+)−tetraMeBITIANP;(R,R,S,S)TANGPhos;(R)−PPh−PhOx−Ph;(S,S)MandyPhos;(R)−eTCFP;(R)−mTCFP;及び(R)−CnTunaPHOS(式中、nは1〜6である)、が含まれ、これらに限定されない。
【0185】
他の有用なキラルなリガンドには、(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジ(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシル−ホスフィン;(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジ(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(R)−N−[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]−N−メチル−1−[(S)−1’,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルアミン;(R)−(+)−2−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェニル]−4−(1−メチルエチル)−4,5−ジヒドロオキサゾール;{1−[((R,R)−2−ベンジル−ホスホラニル)−フェン−2−イル]−(R,R)−ホスホラン−2−イル}−フェニル−メタン;及び{1−[((R,R)−2−ベンジル−ホスホラニル)−エチル]−(R,R)−ホスホラン−2−イル}−フェニル−メタンが含まれ、これらに限定されない。
【0186】
有用なリガンドはまた、前の段落で記載したキラルなリガンドの立体異性体(鏡像体及びジアステレオ異性体)も含み、それらは、所与のリガンドの不斉中心の全て又はいくつかを反転させることにより、又はアトロプ異性リガンド不斉軸を反転させることにより、得ることができる。従って、例えば、有用なキラルなリガンドにはまた、(S)−Cl−MeO−BIPHEP;(S)−PHANEPHOS;(S,S)−Me−DUPHOS;(S,S)−Et−DUPHOS;(S)−BINAP;(S)−Tol−BINAP;(R)−(R)−JOSIPHOS;(S)−(S)−JOSIPHOS;(S)−eTCFP;(S)−mTCFPなども含まれる。
【0187】
キラル触媒、触媒先駆物質又はキラルなリガンドの多くは、商業的供給元から得ることができるか、又は既知の方法を使用して製造することができる。触媒前駆物質又はプレ触媒は、一つの化合物又は化合物の組であり、それらは、使用に先だってキラル触媒へ変換される。触媒前駆物質は典型的には、X-、OTf-、PF-、BF-、SbF-、ClO-、その他のような対イオン存在下、ホスフィンリガンド、及びジエン(例えば、ノルボラジエン、COD、(2−メチルアリル)、その他)又はハロゲン化物(Cl又はBr)、か又はジエン及びハロゲン化物と錯体形成したRu、rh、Ir又はPdを含んでなる。従って、例えば、錯体[(ビスフォスフィンリガンド)Rh(COD)] -を含んでなる触媒前駆物質は、MeOH中でジエン(COD)を水素添加することによりキラル触媒へ変換することができ、[(ビスフォスフィンリガンド)Rh(MeOH) -を得る。MeOHは次ぎにエナミド(式2)又はエナミン(式4)で置き換えられ、それは、所望のキラルな化合物(式3)へのエナンチオ選択的水素添加を受ける。キラル触媒又は触媒前駆物質の例には、(+)−TMBTP−ルテニウム(II)クロリドアセトン錯体;(S)−Cl−MeO−BIPHEP−ルテニウム(II)クロリドEtN錯体;(S)−BINAP−ルテニウム(II)Br錯体;(S)−tol−BINAP−ルテニウム(II)Br錯体;[((3R,4R)−3,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1−メチルピロリジン)−ロジウム−(1,5−シクロオクタジエン)]−テトラフルオロボラート錯体;[((R,R,S,S)−TANGPhos)−ロジウム(I)−ビス(1,5−シクロオクタジエン)]−トリフルオロメタンスルホナート錯体;[(R)−BINAPINE−ロジウム−(1,5−シクロオクタジエン)]−テトラフルオロボラート錯体;[(S)−eTCFP−(1,5−シクロオクタジエン)−ロジウム(I)]−テトラフルオロボラート錯体;及び[(S)−mTCFP−(1,5−シクロオクタジエン)−ロジウム(I)]−テトラフルオロボラート錯体、が含まれる。
【0188】
所与のキラル触媒及び水素添加基質(式2又は4)について、基質及び触媒のモル比(s/c)は、中でも、H圧力、反応温度及び溶媒(もしあれば)に依存することができる。通常、基質対触媒比は、約100:1又は200:1を上回り、約1000:1又は2000:1の基質対触媒比が普通である。キラル触媒はリサイクルすることができるけれども、より高い基質対触媒比がより有用である。例えば、約1000:1、10,000:1及び20,000:1、又はそれより大きな基質対触媒比が有用であろう。不斉水素添加は、典型的には、およそRT又はそれより高い温度で、そして約10kPa(0.1気圧)又はそれ以上のH圧下で実施する。反応混合物の温度は、約20℃〜約80℃の範囲であることができ、H圧は、約10kPa〜約5000kPa又はそれ以上の範囲であることができるが、より典型的には、約10kPa〜約100kPaの範囲である。温度、H圧及び基質対触媒比の組み合わせは、一般に、約24時間以内に、基質(式2又は4)の実質的に完全な変換(即ち、約95wt%)を提供するように選択する。多くのキラル触媒に関して、H圧を減少させると、エナンチオ選択性が増加する。
【0189】
水、MeOH、EtOH、及びi−PrOHのようなプロトン性溶媒を含む種々の溶媒を、不斉水素添加で使用することができる。他の有用な溶媒には、THF、酢酸エチル及びアセトンのような非プロトン性極性溶媒が含まれる。立体選択的水素添加は、単一溶媒を用いることができ、又はTHF及びMeOH、THF及び水、EtOH及び水、MeOH及び水などのような溶媒の混合物を用いることもできる。
【0190】
いくつかの場合において、基質(式2又は4)の不斉水素添加を実施するために、一つより多くのキラル触媒を、都合よく用いることができる。例えば、本方法は、第一の(又は第二の)キラル触媒の比較的より高い立体選択性、しかしより遅い反応速度を活用するため、エナミド又はエナミンを第一及び第二のキラル触媒と連続的に反応させることを提供することができる。従って、例えば、本方法は、(R)−BINAPINE又はその反対の鏡像異性体を含んでなるキラル触媒の存在下で基質と水素を反応させ、続いて(R)−mTCFP又はその反対の鏡像異性体を含んでなるキラル触媒の存在下での反応を提供する。
【0191】
スキームIに示したように、本方法は場合により、水素添加生成物(式3)の光学活性β−アミノ酸(式1)への変換を提供する。例えば、RがC1〜6アルキルであり、及びR19が非水素である場合、エステル及びアミド部分は、酸又は塩基での処理により、又は塩基(又は酸)での処理、続いての酸(又は塩基)での処理により、加水分解することができる。例えば、式3の化合物を、過剰のHOとともにHCl、HSOなどで処理することにより、β−アミノ酸(式1)又は酸付加塩が生成する。式3の化合物を、存在してもよい極性溶媒(例えば、THF、MeOH、EtOH、アセトン、ACNその他)中で、LiOH、KOH、NaOH、CsOH、NaCO、KCO、CsCOなどのような無機塩基の水性溶液で処理すると、β−アミノ酸の塩基付加塩を得、それは酸で処置することができて、β−アミノ酸(式1)又は酸付加塩を生成する。同様に、式3中のR19が水素である場合、エステル部分は、酸又は塩基での処理により加水分解できて、β−アミノ酸(式1)又は酸又は塩基付加塩を得る。エステル及びアミド加水分解は、RTで又は還流温度までの温度で実施することができ、そして必要に応じ、適切な塩基(例えばNaOH)又は酸(例えばHCl)による酸又は塩基付加塩の処理により、遊離アミノ酸(両性イオン)を得る。
【0192】
式3により表される有用な化合物には、R及びRは独立して、水素又はC1〜3アルキルであるが但しR及びRが両方とも水素であることはないβ−アミノ及びβ−アミドC1〜6アルキルエステル、及びRがC1〜6アルキルであるものが含まれる。式3の有用な化合物にはまた、Rが水素であり、Rがメチルであり、及びRがメチル、エチル又はn−プロピルである化合物、即ち、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ヘプタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸、(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ヘプタン酸、(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−オクタン酸、及び(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ノナン酸のC1〜6アルキルエステル、が含まれる。有用なβ−アミノC1〜6アルキルエステルには、従って、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ヘプタン酸エチルエステル、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸エチルエステル、及び(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸エチルエステルが含まれる。同様に、有用なβ−アミドC1〜6アルキルエステルには、(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ヘプタン酸エチルエステル、(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−オクタン酸エチルエステル、及び(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ノナン酸エチルエステルが含まれる。
【0193】
式3の化合物にはまた、R及びRは独立して、水素又はC1〜3アルキルであるが但しR及びRが両方とも水素であることはないはβ−アミド酸、及びRがC1〜6アルキルであるものが含まれる。式3の有用なβ−アミド酸にはまた、Rが水素であり、Rがメチルであり、及びRがメチル、エチル又はn−プロピルである化合物、即ち、(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ヘプタン酸、(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−オクタン酸、及び(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ノナン酸が含まれる。
【0194】
式1の化合物又はそのジアステレオ異性体は、例えば、分別再結晶又はクロマトグラフィーを介して、又は適した溶媒からの再結晶によりさらに富化することができる。加えて、式1又は3の化合物は、リパーゼ又はアミダーゼのような酵素での処理を介して富化することができる。
【0195】
スキームIIは、式1の化合物の所望の立体異性体を製造するための別の方法を例示している。立体選択的合成は、キラル触媒存在下、光学活性β−ジカルボニル(式6)と水素を反応させて、光学活性β−ヒドロキシカルボン酸誘導体(式12)を生成させ、それを続いて加水分解して対応するβ−ヒドロキシ酸(式10)を得ることを含む。活性化酸とアミン(式11)を反応させて光学活性アミド(式9)を得、それを、光延条件下(例えば、PhP、DEAD、乾燥THF)で環化し、不斉中心が反転したキラルなラクタム(式8)を得る。DEADの他に、他の有用なアゾジカルボキシラートには、DBAD、DIAD、及び1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジンが含まれる。光延条件に加え、アルコール(式9)は、スルホナートエステルへ変換することにより(例えば、MsCl及びピリジンとの反応)活性化することができ、それを続いて、塩基(例えば、カルボナート)での処理により環化する。酸又は塩基でのラクタム(式8)の処理は第二アミン(式7)を与え、それを続いて、例えば、触媒水素化分解により還元すると、式1の化合物を得る。式7〜10及び式12中の置換基R、R及びRは、式1で定義した通りであり;式12中の置換基Rは、式6で定義した通りであり;及び式7〜9及び式11中の置換基Rは、アリール−C1〜3アルキル(例えば、ベンジル、3,5−ジメトキシベンジルその他)、C1〜6アルキル(例えば、メチル)又はC2〜6アルケニル(例えば、アリル)である。
【0196】
スキームIIに示した方法論は、スキームIに記載したものと同一の多くの試薬及び条件を用いることができる。例えば、β−ヒドロキシカルボン酸誘導体(式12)を与えるβ−ジカルボニル(式6)の立体選択的水素添加のために有用な試薬(基質、キラル触媒、溶媒その他)及び条件(温度、圧力その他)には、エナミド(式2)の不斉水素添加についてスキームIに記載した試薬及び条件が含まれる。しかしながら、ラクタム(式8)の形成はβ−炭素立体中心を反転させるので、キラル触媒は、最終生成物(式1)のβ−炭素の立体化学コンフィギュレーションとは反対のものを有するヒドロキシ−置換立体中心(式12)の形成を促進する。
【0197】
同様に、キラルなアミド(式9)を与えるβ−ヒドロキシカルボン酸(式10)と第一アミン(式11)のカップリングのための試薬及び条件には、エナミン(式4)のアシル化についてスキームIで記載した試薬及び条件が含まれる。例えば、β−ヒドロキシカルボン酸(式10)は、インサイツにてカップリング剤(例えば、DMT−MM)で活性化し、第一アミン(例えば、BnONH又はBnONHCl-)と反応させて、キラルなアミド(式9,式中、RはBnである)を得ることができる。有用なβ−ヒドロキシカルボン酸(式10)には、(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ヘプタン酸、(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−オクタン酸及び(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ノナン酸が含まれる。代表的β−ヒドロキシアミド(式9)には、(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ヘプタン酸ベンジルオキシ−アミド、(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−オクタン酸ベンジルオキシ−アミド及び(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ノナン酸ベンジルオキシ−アミドを含む、前述のカルボン酸から誘導されたアリール−C1〜3アルキルアミドが含まれる。
【0198】
同様に、β−ヒドロキシカルボン酸誘導体(式12)又はラクタム(式8)を加水分解するための試薬及び条件には、アミノ酸エステル(式3)の加水分解についてスキームIで記載した試薬及び条件が含まれる。有用なβ−ヒドロキシカルボン酸誘導体(式12)には、(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ヘプタン酸、(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−オクタン酸及び(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ノナン酸のC1〜6アルキルエステルが含まれる。有用なβ−ヒドロキシC1〜6アルキルエステルの例には、(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ヘプタン酸エチルエステル、(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−オクタン酸エチルエステル及び(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ノナン酸エチルエステルが含まれる。代表的ラクタム(式8)には、(2R,4S)−1−(アリール−C1〜3アルキルオキシ)−4−(2−メチル−ブチル)−アゼチジン−2−オン、(2R,4S)−1−(アリール−C1〜3アルキルオキシ)−4−(2−メチル−ブチル)−アゼチジン−2−オン及び(2R,4S)−1−(アリール−C1〜3アルキルオキシ)−4−(2−メチル−ブチル)−アゼチジン−2−オンが含まれる。これらには、例えば、(2R,4S)−1−ベンジルオキシ−4−(2−メチル−ブチル)−アゼチジン−2−オン、(2R,4S)−1−ベンジルオキシ−4−(2−メチル−ペンチル)−アゼチジン−2−オン及び(2R,4S)−1−ベンジルオキシ−4−(2−メチル−ヘキシル)−アゼチジン−2−オンが含まれる。
【0199】
水素化分解は、触媒、及び、限定ではないが、MeOH、EtOH、IPA、THF、EtOAc及びHOAcのようなアルコール、エーテル、エステル及び酸を含む、一つ又はそれより多くの極性溶媒の存在下で実施する。反応は、約5°C〜約100°Cの範囲の温度で実施することができるが、室温での反応が普通である。一般に、基質対触媒比は、重量に基づいて約1:1〜約1000:1の範囲であることができ、そしてH圧は、ほとんど大気圧、0 psig、から約1500psigの範囲であることができる。より典型的には、基質対触媒比は、約4:1〜約20:1の範囲であり、そしてH圧は、約25psig〜約150psigの範囲である。
【0200】
有用な基質(式7)には、R及びRが独立して、水素又はC1〜3アルキルであるが但しR及びRが両方とも水素であることはない基質、及びRがC1〜6アルキルである基質が含まれる。式7の代表的化合物には、Rが水素であり、Rがメチルであり、Rがメチル、エチル又はn−プロピルであり、そして、Rがベンジルである化合物、即ち、(3S,5R)−3−ベンジルオキシアミノ−5−メチル−ヘプタン酸、(3S,5R)−3−ベンジルオキシアミノ−5−メチル−オクタン酸及び(3S,5R)−3−ベンジルオキシアミノ−5−メチル−ノナン酸が含まれる。
【0201】
有用な触媒には、Al、C、CaCO、SrCO、BaSO、MgO、SiO、TiO、ZrOなどを含む多様な材料上に典型的には支持された、酸化物を含むNi、Pd、Pt、Rh、Re、Ru及びIrのような遷移金属を、重量で、約0.1%〜約20%、そしてより典型的には約1%〜約5%を含有する不均一触媒が含まれ、これらに限定されない。Pdを含むこれらの金属の多くは、アミン、スルフィド又はPb、Cu又はZnのような第二の金属にドープされていてもよい。それ故、有用な金属には、重量に基づいて約1%〜約5%を含有する、Pd/C、Pd/SrCO、Pd/Al、Pd/MgO、Pd/CaCO、Pd/BaSO、PdO、Pd黒、PdClなどのようなパラジウム触媒が含まれる。他の有用な触媒には、ラネーニッケル、Rh/C、Ru/C、Re/C、PtO、Rh/C、RuOなどが含まれる。水素化分解触媒の議論については、本明細書において参照として組み入れられる、Hasegawa et al.による米国特許第6,624,112 号を参照されたい。
【0202】
スキームIIIは、式1の化合物の所望の立体異性体を製造するための追加の方法を例示している。立体選択的合成は、例えば、金属触媒存在下で水素と反応させることにより、光学活性β−ジカルボニル(式6)を還元して、光学活性β−ヒドロキシカルボン酸誘導体(式17)を得ることを含んでいる。例えば、式18の化合物との反応を経たβ−ヒドロキシ部分の活性化は、中間体(式16)を与え、それは、塩基での処理により脱離をうける。生じた不飽和酸誘導体(式15)をキラルなアミン(式14)のアニオンと反応させることで、プロトン化後、光学活性第二又は第三アミン(式13)を得、それを続いて触媒的水素化分解により脱保護すると、式37の化合物を得る。スキームIに示したように、式37の化合物は、場合により、酸又は塩基での処理により、式1の化合物へ加水分解する。式13、15〜17及び37中の置換基R、R及びR及び置換基Rは、各々、式1及び式6で定義した通りであり;式13及び14中の置換基Rは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、又はアリール−C1〜3アルキルであり;式16中の置換基Rは、脱離基(例えば、RO−)であり;式18中の置換基Rは、トシル、メシル、ブロシル、クロシル(p−クロロ−ベンゼンスルホニル)、ノシル又はトリフリルであり;そして、式18中の置換基Xは、ハロゲノ又はRO−である。
【0203】
【化43】

【0204】
スキームIIIに示した方法論は、スキームIIに記載したものと多くの同一の試薬及び条件を用いることができる。例えば、式6及び式13の化合物のβ−カルボニル及び置換アミノ部分の触媒還元について有用な試薬(触媒、溶媒その他)及び条件(温度、圧力その他)には、各々、第二アミン(式7)の触媒水素化分解についてスキームIIで記載した試薬及び条件が含まれる。代表的な光学活性第二又は第三アミン(式13)には、(1S,3S,5R)−3−[ベンジル−(1−フェニル−エチル)−アミノ]−5−メチル−ヘプタン酸、(1S,3S,5R)−3−[ベンジル−(1−フェニル−エチル)−アミノ]−5−メチル−オクタン酸及び(1S,3S,5R)−3−[ベンジル−(1−フェニル−エチル)−アミノ]−5−メチル−ノナン酸のβ−アミノC1〜6アルキルエステルが含まれる。有用なβ−アミノC1〜6アルキルエステルの例には、それ故、(1S,3S,5R)−3−[ベンジル−(1−フェニル−エチル)−アミノ]−5−メチル−ヘプタン酸エチルエステル、(1S,3S,5R)−3−[ベンジル−(1−フェニル−エチル)−アミノ]−5−メチル−オクタン酸エチルエステル及び(1S,3S,5R)−3−[ベンジル−(1−フェニル−エチル)−アミノ]−5−メチル−ノナン酸エチルエステルが含まれる。
【0205】
スキームIIIに示したように、式17の化合物のβ−ヒドロキシ部分を、式18の化合物との反応により活性化する。有用なβ−ヒドロキシカルボン酸誘導体(式17)には、(5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ヘプタン酸、(5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−オクタン酸及び(5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ノナン酸のC1〜6アルキルエステルが含まれる。代表的なβ−ヒドロキシC1〜6アルキルエステルには、それ故、(5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ヘプタン酸エチルエステル、(5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−オクタン酸エチルエステル及び(5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ノナン酸エチルエステルが含まれる。
【0206】
有用な式18の化合物には、TsCl、MsCl、BsCl、NsCl、TfClなど、及びその対応する無水物(例えば、p−トルエンスルホン酸無水物)のようなスルホニル化剤が含まれる。それ故、例えば、式17の化合物を、ピリジン、及び酢酸エチル、MeCl、ACN、THFなどのようなプロトン性溶媒の存在下で、TsClと反応させることができ、(5R)−5−メチル−3−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−ヘプタン酸、(5R)−5−メチル−3−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−オクタン酸及び(5R)−5−メチル−3−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−ノナン酸のC1〜6アルキルエステルを得る。同様に、式17の化合物を、非プロトン性溶媒、及びEtNのような強い又はヒンダード(hindered)塩基の存在下でMsTsClと反応させることができ、(5R)−3−メタンスルホニルオキシ−5−メチル−ヘプタン酸、(5R)−3−メタンスルホニルオキシ−5−メチル−オクタン酸及び(5R)−3−メタンスルホニルオキシ−5−メチル−ノナン酸のC1〜6アルキルエステルを得る。
【0207】
β−ヒドロキシ部分の活性化で生じる中間体(式16)を、塩基と反応させると、不飽和カルボン酸誘導体(式15)を得る。反応は、典型的には、室温又はそれより高い温度にて、酢酸エチル、THF、MeCl、ACNなどのような非プロトン性溶媒の存在下で実施する。有用な塩基には、EtN、t−BuOK、DBN、DBUなどのような、強い又はヒンダード塩基(即ち、非求核性塩基)が含まれる。
【0208】
上に示したように、キラルなアミン(式14)の不飽和カルボン酸誘導体(式15)への共役付加は、光学活性第二又は第三アミン(式13)を与える。キラルなアミン(式14)の立体化学は、アミノ置換の立体中心の立体化学的コンフィギュレーション(式13)を決定する。共役付加のために有用な基質には、不飽和カルボン酸誘導体(式15)のZ−又はE−異性体又はZ−及びE−異性体の混合物が含まれ、(R)−5−メチル−ヘプタ−2−エン酸、(R)−5−メチル−オクタ−2−エン酸及び(R)−5−メチル−ノナ−2−エン酸のZ−及びE−異性体のC1〜6アルキルエステルが含まれる。例には、(R)−5−メチル−ヘプタ−2−エン酸エチルエステル、(R)−5−メチル−オクタ−2−エン酸エチルエステル、及び(R)−5−メチル−ノナ−2−エン酸エチルエステルのZ−及びE−異性体が含まれる。有用なキラルなアミン(式14)には、(R)−(+)−N−ベンジル−α−メチルベンジルアミン、(S)−(−)−N−ベンジル−α−メチルベンジルアミンなどが含まれる。S. G. Davies and O. Ichihara, Tetrahedron: Asymmetry 2(3):183-186 (1991); 及びJ. Chem. Soc., Perkins Trans. 1 2931-2938 (2001) を参照されたい。
【0209】
【化44】

【0210】
共役付加を実施するためには、キラルなアミン(式14)を、典型的には、EtO、THFその他のようなエーテル性溶媒中、約−78℃からRTの温度で、n−BuLiなどのような強塩基で処理する。生じた脱プロトン化アミンを引き続いて不飽和カルボン酸誘導体(式15)と反応させると、所望の立体化学コンフィギュレーションを有する、光学活性第二又は第三アミン(式13)を得る。
【0211】
スキームIIIは、式15の化合物を製造するための別の方法を示している。本方法は、ソルビン酸エステル(式38)又はアミドとグリニャール試薬(式29)及び触媒量の別の金属(例えば、銅塩)そして存在してもよいキラル触媒を反応させることを含む。生じた鏡像異性的に富化された化合物(式39)を引き続いて、極性溶媒(例えば、THF)中、塩基(例えば、トリエチルアミン)で処理して異性化すると、式15の化合物を得る。もしくは、式39の化合物を、ハロゲンアニオン、CODなどのような対イオンと錯体形成した、Ru、Rh又はPd塩を含む金属触媒での処理により、異性化することができる。式15及び39の化合物はまた、標準条件下、リパーゼでの処理により鏡像異性的に富化することもできる。存在してもよいキラル触媒には、スキームIにおいて、エナミド(式2)及びエナミン(式4)の不斉水素化分解に関連して上で記載されたものが含まれる。
【0212】
式28、38及び39中の置換基R、R及びR及び置換基Rは、各々、式1及び式6で定義した通りであり、式29の置換基Xはハロゲノである。有用な式39の化合物には、それ故、(R)−5−メチル−ヘプタ−3−エン酸、(R)−5−メチル−オクタ−3−エン酸、及び(R)−5−メチル−ノナ−3−エン酸のZ−及びE−異性体のC1〜6アルキルエステルが含まれ、これらに限定されない。例には、(R)−5−メチル−ヘプタ−3−エン酸エチルエステル、(R)−5−メチル−オクタ−3−エン酸エチルエステル、及び(R)−5−メチル−ノナ−3−エン酸エチルエステルのZ−及びE−異性体が含まれる。
【0213】
スキームIIIに示した方法論に加え、式37の化合物は、アミンの触媒不斉共役付加により、式15の化合物から製造することができる。例えば、その全体が参照により本明細書に取り込まれる、Hamashima et al., Organic Letters 6:1861-1864 (2004) を参照されたい。
【0214】
スキームIVは、スキームI、II及びIIIで使用されるβ−ジカルボニル(式6)を製造するための方法を例示している。本方法は、例えば、スルホニル化剤(式26)との反応を経て、キラルなアルコール(式25)を活性化し、中間体(式24)を得、それを引き続いてシアニドイオン源で処理して、光学活性ニトリル(式23)を生成させることを含む。酸との接触を介してニトリル(式23)を加水分解してキラルなカルボン酸(式22又は塩)を得、それを引き続いて、例えば、CDIのようなカップリング剤との反応を介して活性化する。活性化カルボン酸誘導体(式20)、塩基存在下、マロン酸塩又はエステル(式21)と反応させるとα−置換マロン酸中間体(式19)を得、それを、酸での処理により脱カルボキシ化すると、所望のβ−ジカルボニル(式6)を得る。有用なスルホン化剤には、式18に関連して記載されたものが含まれ;有用なシアニドイオン源には、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化亜鉛、シアン化水素、アセトンシアノヒドリンなど(単独で又は組み合わせて)が含まれ、これらに限定されない。
【0215】
キラルなアルコール(式25)の代わりに、本方法は、活性化プロキラルエノアート(式30)を用いることができ、それを、脱プロトン化されたキラルなオキサゾリジノンと反応させて、N−アセチル化オキサゾリジノン(式28)を得る。脱プロトン化オキサゾリジノンは、強塩基(例えば、n−BuLi)での別途の処理により、又はヒンダード塩基(例えば、EtN)でのインサイツ処理により、キラルなオキサゾリジノン(式31)から調製することができる。N−アセチル化オキサゾリジノン(式28)は引き続いて、銅塩(例えば、CuBrDMS)存在下、グリニャール試薬(式29)と反応させて、共役付加生成物(式27)を得る。スキームIVに示したように、共役付加生成物(式27又は式20、式中、R10はキラルなオキサゾリジン−2−オン−3−イルである)を、マロン酸誘導体(式21)と反応させ、α−置換マロン酸中間体(式19)を得ることができる。もしくは、キラル側鎖を不斉合成後に、例えば、例えばTHF水性溶液中のLiOOHのようなアルカリ金属水酸化物又はペルオキシドを使用した酸又は塩基加水分解により切断することができ、続いて還元して、式22又はその塩を得、そしてキラル助剤(式31)を再生する。キラル側鎖を切断する追加の方法については、本明細書において参照として引用される、Davies et al. による米国特許第5,801,249 号を参照されたい。
【0216】
スキームIVにおいて、式19、20、22〜25、及び27、28及び30中の置換基R、R及びRは、式1で定義した通りであり;式19及び21中のRは、式2で定義した通りであり;式20、24及び30中のR10、R11及びR17は脱離基であり、それらは同一でも異なっていてもよい;式26中のR12は、トシル、メシル、ブロシル、クロシル、ノシル又はトリフリルであり;式26中のXは、ハロゲノであり;及び式27、28及び31中のR13、R14、R15及びR16は、独立して、水素原子、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜6アルキル、アリール、又はアリール−C1〜3アルキルであるが、但し、R15及びR16の両方ともが水素原子であることはない。
【0217】
スキームIVに示した方法論について、代表的なキラルなアルコール(式25)及び対応する活性化形(式24)には、(R)−2−メチル−ブタノール、(R)−2−メチル−ペンタノール、(R)−2−メチル−ヘキサノール、(R)−2−メチル−1−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−ブタン、(R)−2−メチル−1−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−ペンタン、(R)−2−メチル−1−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−ヘキサン、(R)−1−メタンスルホニルオキシ−2−メチル−ブタン、(R)−1−メタンスルホニルオキシ−2−メチル−ペンタン及び(R)−1−メタンスルホニルオキシ−2−メチル−ヘキサンが含まれる。代表的なニトリル(式23)、キラルなカルボン酸(式22)及び対応する活性化形(式20)には、限定ではなく、(R)−3−メチル−ペンタンニトリル、(R)−3−メチル−ヘキサンニトリル、(R)−3−メチル−ヘプタンニトリル、(R)−1−イミダゾール−1−イル−3−メチル−ペンタン−1−オン、(R)−1−イミダゾール−1−イル−3−メチル−ヘキサン−1−オン及び(R)−1−イミダゾール−1−イル−3−メチル−ヘプタン−1−オンが含まれ、これらに限定されない。
【0218】
【化45】

【0219】
加えて、代表的な活性化プロキラルエノアート(式30)には、ブタ−2−エノイルクロリドのような、ブタ−2−エン酸のZ−及びE−異性体の酸ハロゲン化物が含まれ、これらに限定されない。代表的なキラルなオキサゾリジノン(式31)には、(R)−4−イソプロピル−オキサゾリジン−2−オン、(R)−4−フェニル−オキサゾリジン−2−オン、(R)−4−ベンジル−オキサゾリジン−2−オン及び(4R,5S)−4−メチル−5−フェニル−オキサゾリジン−2−オンが含まれる。それ故、代表的なN−アシル化オキサゾリジノン(式28)には、限定ではなく、(R)−3−(ブタ−2−エノイル)−4−イソプロピル−オキサゾリジン−2−オン、(R)−3−(ブタ−2−エノイル)−4−フェニル−オキサゾリジン−2−オン、(R)−4−ベンジル−3−(ブタ−2−エノイル)−オキサゾリジン−2−オン及び(4R,5S)−3−(ブタ−2−エノイル)−4−メチル−5−フェニル−オキサゾリジン−2−オンが含まれ、これらに限定されない。同様に、代表的なマイケル付加体(式27又は式20)には、(R,R)−4−イソプロピル−3−(3−メチル−ペンタノイル)−オキサゾリジン−2−オン、(R,R)−4−イソプロピル−3−(3−メチル−ヘキサノイル)−オキサゾリジン−2−オン、(R,R)−4−イソプロピル−3−(3−メチル−ヘプタノイル)−オキサゾリジン−2−オン、(R,R)−3−(3−メチル−ペンタノイル)−4−フェニル−オキサゾリジン−2−オン、(R,R)−3−(3−メチル−ヘキサノイル)−4−フェニル−オキサゾリジン−2−オン、(R,R)−3−(3−メチル−ヘプタノイル)−4−フェニル−オキサゾリジン−2−オン、(R,R)−4−ベンジル−3−(3−メチル−ペンタノイル)−オキサゾリジン−2−オン、(R,R)−4−ベンジル−3−(3−メチル−ヘキサノイル)−オキサゾリジン−2−オン、(R,R)−4−ベンジル−3−(3−メチル−ヘプタノイル)−オキサゾリジン−2−オン、(3R,4R,5S)−4−メチル−3−(3−メチル−ペンタノイル)−5−フェニル−オキサゾリジン−2−オン、(3R,4R,5S)−4−メチル−3−(3−メチル−ヘキサノイル)−5−フェニル−オキサゾリジン−2−オン及び(3R,4R,5S)−4−メチル−3−(3−メチル−ヘプタノイル)−5−フェニル−オキサゾリジン−2−オンが含まれ、これらに限定されない。
【0220】
スキームVは、スキームI、II及びIIIで使用されるβ−ジカルボニル(式6)を製造するための別の方法を例示している。本方法は、例えば、スルホニル化剤(式26)との反応を経て、キラルなアルコール(式34)を活性化し、中間体(式32)を得ること、それを引き続いて、脱プロトン化アセトアセタート誘導体(式36)と反応させることを含んでいる。生じたキラルなアニオン(式35)又は対応する塩を酸で処理すると、互変異性を経て、所望のβ−ジカルボニル(式6)が生成する。スキームVに示したように、置換基R18(式32)の置換は、不斉中心の反転を生じ、そしてジアニオン中間体(式36又は対応する塩)による攻撃を経て起こる。ジアニオン(式36)は、アセトアセタート誘導体(式33)を、各々、中心メチレン及び末端メチルを脱プロトン化するために十分に強い、1又はそれより多い当量の第一の塩基(例えば、LiH、NaHその他)及び第二塩基(例えば、BuLi)で連続的に処理することにより製造することができる。もしくは、アセトアセタート誘導体を、末端メチルを脱プロトン化することが可能な、2又はそれより多い当量の単一塩基で処理することができる。スキームVにおいて、式32及び34中の置換基R、R及びRは、式1で上に定義した通りであり;式33及び36中のRは式2で上に定義した通りであり;及びR18は脱離基である。
【0221】
【化46】

【0222】
スキームVに示した方法論について、代表的なキラルなアルコール(式34)及び対応する活性化形(式32)には、(S)−ブタン−2−オール、(S)−ペンタン−2−オール、(S)−ヘキサ−2−オール、(S)−2−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−ブタン、(S)−2−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−ペンタン、(S)−2−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−ヘキサン、(S)−2−(クロロベンゼン−4−スルホニルオキシ)−ブタン、(S)−2−(クロロベンゼン−4−スルホニルオキシ)−ペンタン、(S)−2−(クロロベンゼン−4−スルホニルオキシ)−ヘキサン、(S)−2−メタンスルホニルオキシ−ブタン、(S)−2−メタンスルホニルオキシ−ペンタン及び(S)−2−メタンスルホニルオキシ−ヘキサンが含まれ、これらに限定されない。代表的なアセトアセタート誘導体(式33)には、アセト酢酸エチルエステルを含む、アセトアセタートのC1〜6アルキルエステルが含まれ、これらに限定されない。代表的なジアニオン(式36)には、(Z)−及び(E)−1−エトキシ−ブタ−1,3−ジエン−1,3−ジオールジアニオンのような、1−C1〜6アルコキシ−ブタ−1,3−ジエン−1,3−ジオールジアニオンのZ−及びE−異性体が含まれ、これらに限定されない。同様に、代表的なキラルなアニオン(式35)には、(R)−1−エトキシカルボニル−4−メチル−ヘキサ−1−エン−2−オールアニオン、(R)−1−エトキシカルボニル−4−メチル−ヘプタ−1−エン−2−オールアニオン及び(R)−1−エトキシカルボニル−4−メチル−オクタ−1−エン−2−オールアニオンのZ−及びE−異性体を含む、(R)−1−C1〜6アルコキシ−4−メチル−ヘキサ−1−エン−2−オールアニオン、(R)−1−C1〜6アルコキシ−4−メチル−ヘプタ−1−エン−2−オールアニオン及び(R)−1−C1〜6アルコキシ−4−メチル−オクタ−1−エン−2−オールアニオンのZ−及びE−異性体が含まれ、これらに限定されない。
【0223】
キラルなアルコール(式34)の活性化、引き続いてのR18(式32)の置換、そして酸によるキラルなアニオン(式35)の処理は、約−50℃から還流温度で実施することができ、一方、ジアニオン(式36)の製造は、通常、約0℃未満の温度、そしてより典型的には、約−30℃未満であるが、約−80℃よりは高い温度で起こる。
【0224】
本明細書に記載した化合物の多くは、薬学的に許容できる塩を形成することができる。これらの塩には、酸付加塩(二酸を含む)及び塩基塩が含まれる。薬学的に許容できる酸付加塩には、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、亜リン酸などのような無機酸から誘導された無毒性塩、ならびに、脂肪族モノ−及びジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカン二酸、芳香族酸、脂肪族及び芳香族スルホン酸その他のような有機酸から誘導された無毒性塩が含まれ、これらに限定されない。それ故、こうした塩には、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタ燐酸塩、ピロ燐酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、イソ酪酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩などが含まれる。
【0225】
薬学的に許容できる塩基塩には、アルカリ又はアルカリ土類金属カチオンのような金属カチオン、ならびにアミンを含む塩基から誘導された無毒性塩が含まれる。適した金属カチオンの例には、ナトリウムカチオン(Na)、カリウムカチオン(K)、マグネシウムカチオン(Mg2+)、カルシウムカチオン(Ca2+)などが含まれる。適したアミンの例には、限定ではなく、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン及びプロカインが含まれ、これらに限定されない。有用な酸付加及び塩基塩の議論については、S. M. Berge et al., "Pharmaceutical Salts," 66 J. of Pharm. Sci., 1-19 (1977); see also Stahl and Wermuth, Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use (2002) を参照されたい。
【0226】
化合物の遊離塩基(又は遊離酸)と十分な量の所望の酸(又は塩基)を接触させて、無毒性塩を生成させることにより、酸付加塩(又は塩基塩)を製造することができる。次ぎに、もし塩が溶液から沈殿するならば濾過により、又は塩を回収するための蒸発により、塩を単離することができる。また、酸付加塩と塩基(又は塩基塩と酸)を接触させることにより、遊離塩基(又は遊離酸)を再生することもできる。化合物の遊離塩基、遊離酸又は両性イオンの特定の物理的性質(例えば、溶解度、結晶構造、吸湿性その他)は、その酸又は塩基付加塩と異なっていてもよい。しかしながら、一般に、化合物の遊離酸、遊離塩基又は両性イオンについての参照は、その酸及び塩基付加塩を含んでいるであろう。
【0227】
開示され特許請求された化合物は、未溶媒和及び溶媒和形態の両方、そして塩以外の他の型の錯体として、存在することができる。有用な錯体には、クラスレート、又は化合物及びホストが化学量論的又は非化学量論的量で存在する場合の化合物−ホスト錯体が含まれる。有用な錯体はまた、化学量論的又は非化学量論的量で、二つ又はそれより多くの有機、無機又は有機及び無機成分を含むことができる。生じた錯体は、イオン化、部分イオン化、又は非イオン化することができる。こうした錯体の総説については、J. K. Haleblian, J. Pharm. Sci. 64(8):1269-88 (1975) を参照されたい。薬学的に許容できる溶媒和物はまた、結晶化溶媒を同位元素で置換することができる(例えば、DO、d−アセトン、d−DMSOその他)、水和物及び溶媒和物も含む。一般に、本開示の目的についても、化合物の未溶媒和形態に関する言及はまた、化合物の対応する溶媒和又は水和形態も含む。
【0228】
開示された化合物はまた、少なくとも一つの原子が、同一の原子番号を有しているが、原子質量が天然に通常観察される原子質量とは異なっている、全ての薬学的に許容できる同位元素変異体も含む。開示された化合物での包含に適した同位元素の例には、H及びHのような水素の同位元素;13C及び14Cのような炭素の同位元素;15Nのような窒素の同位元素;17O及び18Oのような酸素の同位元素;31P及び32Pのようなリンの同位元素;35Sのような硫黄の同位元素;18Fのようなフッ素の同位元素;36Clのような塩素の同位元素が含まれ、これらに限定されない。同位元素変異体(例えば、重水素、H)の使用は、より大きな代謝的安定性から生じる特定の療法的利点、例えば、増加したインビボ半減期又は減少した用量要求性、を与えることができる。追加として、開示された化合物の特定の同位元素変異体は放射性同位元素(例えば、トリチウム、H、又は14C)を取り込むことができ、それは薬剤及び/又は基質分布研究で有用であることができる。
【実施例】
【0229】
以下の実施例は、例示及び非制限的であることが意図されており、本発明の具体的態様を表している。
【0230】
実施例1.(R)−2−メチル−ペンタン−1−オールから(R)−3−メチル−ヘキサンニトリルを経る(R)−3−メチル−ヘキサン酸の製造
(R)−2−メチル−ペンタン−1−オール、MeCl及びピリジンの混合物を、0℃〜10℃に冷却した。この混合物に、トルエンスルホニルクロリドを加え、生じた混合物を一夜かけて室温まで温めた。水の添加により反応をクエンチし、混合物を上及び下層に分離した。下層を、希HCl水溶液で洗浄した。有機層を、真空蒸留により油状物に濃縮し、次ぎにDMSOで希釈し、そしてシアン化ナトリウムを添加し、50℃で3時間加熱することにより反応させた。室温まで冷却後、反応混合物をヘキサン及び水で希釈し、上層を水で洗浄した。ヘキサン層を、真空蒸留により濃縮すると、(R)−3−メチル−ヘキサンニトリルを油状物として得た。HCl水溶液を加え、混合物を50℃〜60℃に6時間加熱することにより、油状物を反応させた。反応混合物をジエチルエーテルで抽出し、有機層を真空蒸留により濃縮すると、表題化合物を油状物として得た。
【0231】
実施例2.(R)−メチル−ヘキサン酸及びカリウムマロン酸エチルから(R)−5−メチル−3−オキソ−オクタン酸エチルエステルの製造
N,N−カルボニルジイミダゾール(26.4g)のTHF(175mL)攪拌混合物に、室温で(R)−3−メチル−ヘキサン酸(20g)を加えた。反応混合物を室温で4時間攪拌すると透明になり、活性化カルボン酸溶液を得た。マロン酸エチルカリウム塩(49.6g)のアセトニトリル(265mL)攪拌混合物に、EtN(21.4mL)を加えた。この混合物に、温度を15℃〜25℃に維持しながら、無水塩化マグネシウム粉末(35.1g)を少量ずつ加えた。生じたスラリーを室温まで温め、4時間攪拌した。スラリーに活性化カルボン酸溶液を加え、混合物を室温で17時間攪拌した。HCl水溶液で反応をクエンチし、MTBEで抽出した。有機層を炭酸水素ナトリウム及びNaCl/HO/HCl溶液で洗浄した。真空蒸留により溶媒を除去すると、表題化合物を黄色油状物として得た(36g)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.20 (q, 2H), 3.42 (S, 2H), 2.52 (dd, 1H), 2.33 (dd, 1H), 2.03 (m, 1H), 1.3 (m, 3H), 1.28 (t, 3H), 1.16 (m, 1H), 0.9 (m, 6H) 。
【0232】
実施例3.(R)−メチル−ヘキサン酸及びカリウムマロン酸エチルから(R)−5−メチル−3−オキソ−オクタン酸エチルエステルの製造
N,N カルボニルジイミダゾール(33kg)のEtOAc(217L)攪拌混合物へ、EtOAc(30L)に溶解した(R)−3−メチル−ヘキサン酸(25kg)を室温で加えた。反応混合物を室温で1時間攪拌すると透明になり、活性化カルボン酸溶液を得た。マロン酸エチルカリウム塩(45.8kg)及び塩化マグネシウム(25.6kg)のEtOAc(320L)攪拌混合物に、EtN(31.1kg)を加えた。このスラリーに活性化カルボン酸溶液を加え、生じた混合物を40℃〜50℃で11時間攪拌した。混合物を10℃〜15℃に冷却し、反応をHCl水溶液でクエンチした。有機層を、水及び炭酸水素ナトリウム水溶液で連続的に洗浄し、真空蒸留により濃縮すると、表題化合物を黄色油状物として得た(38.2kg、92%純粋な生成物を100%の収率で)。
【0233】
実施例4.(R,R)−4−メチル−3−(3−メチル−ヘキサノイル)−5−フェニル−オキサゾリジン−2−オン及びカリウムマロン酸エチルから(R)−5−メチル−3−オキソ−オクタン酸エチルエステルの製造
(R,R)−4−メチル−3−(3−メチル−ヘキサノイル)−5−フェニル−オキサゾリジン−2−オン(34g)及びマロン酸エチルカリウム塩(40g)を含有するアセトニトリル(250mL)攪拌混合物に、60℃以下に温度を保ちながら、塩化マグネシウム(45g)を少量ずつ加えた。スラリーをEtN(35mL)で希釈し、60℃で16時間加熱した。室温まで冷却後、反応をHCl水溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を炭酸水素ナトリウム及び水で洗浄した。真空蒸留により溶媒を除去し、生じた固形物を、ヘキサン(300mL)でスラリー化して濾過した。固形物は、90%の純度で回収された(4R,5S)−4−メチル−5−フェニル−オキサゾリジン−2−オンであった。濾液を真空蒸留により濃縮すると、表題化合物(14g、気相クロマトグラフィーにより94%の純度)を得た。生成物は真空蒸留によりさらに精製することができた。
【0234】
実施例5.(R,R)−3−(3−メチル−ヘキサノイル)−4−フェニル−オキサゾリジン−2−オン及びカリウムマロン酸エチルから(R)−5−メチル−3−オキソ−オクタン酸エチルエステルの製造
(R,R)−3−(3−メチル−ヘキサノイル)−4−フェニル−オキサゾリジン−2−オン(5g)及びマロン酸エチルカリウム塩(6g)を含有するアセトニトリル(50mL)攪拌混合物に、60℃以下に温度を保ちながら、無水塩化マグネシウム(7.8g)を少量ずつ加えた。スラリーをEtN(5mL)で希釈し、60℃で16時間加熱した。室温まで冷却後、反応をHCl水溶液でクエンチし、上層を油状物に濃縮し、次ぎにヘキサンで抽出した。真空蒸留により溶媒を除去すると、表題化合物を油状物(2.3g)として得た。生成物は真空蒸留によりさらに精製することができた。
【0235】
実施例6.(S)−ペンタン−2−オール及びアセト酢酸エチルエステルからの(R)−5−メチル−3−オキソ−オクタン酸エチルエステルの製造
MeCl(50mL)に溶解した4−クロロベンゼンスルホニルクロリド(25.18g、0.12 mol)及び(S)−ペンタン−2−オール(10g、0.11mol)を含有する250mLの丸底フラスコに、EtN(22.14mL、0.15mol)及びDMAP(0.69g、0.0057mol)を加えた。混合物は、40℃で少なくとも3時間加熱した。反応完了後、反応混合物に37%HCl(4.7mL)及び水(10mL)を加えた。有機層を分離し、水(25mLx2)で洗浄した。溶媒は、大気圧で蒸留により除去した。真空下、残余MeClを除去するためにTHF(10mLx2)を加えると、(S)−2−(クロロベンゼン−4−スルホニルオキシ)−ペンタンを油状物として得た。
【0236】
−20℃に冷却した、THF(50mL)に溶解したジイソプロピルアミン(46.7g、0.45mol)を含有する1Lの丸底フラスコに、−10℃以下に温度を維持しながら、n−BuLi(138.9g、0.45mol)を徐々に加えた。混合物を−40℃に冷却した。添加完了後、−30℃以下に温度を維持しながら、アセト酢酸エチルエステル(29.5g、0.22mol)を徐々に加えると、1−エトキシ−ブタ−1,3−ジエン−1,3−ジオールジアニオンを得た。
【0237】
アセト酢酸エチルエステルジアニオンに、ペンチルクロシラート油状物(30g、0.11mol)を一度に加えた。混合物を25℃まで温め、少なくとも3時間攪拌した。反応の完了後、反応をクエンチするため、0℃の冷反応混合物に、HCl溶液(200mLの水に89.4g)を加えた。有機層を分離後、水層をヘキサン(50mL)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO溶液(100mLの水に10g)及び10%食塩水(100mLの水に、10gのNaCl及び3mLの37%HCl)で洗浄した。溶媒を真空蒸留により除去した。表題化合物を、真空下、40℃〜45℃で蒸留した(収率26%)。
【0238】
実施例7.(R,R)−3−(3−メチル−ヘプタノイル)−4−フェニル−オキサゾリジン−2−オンから(R)−3−メチル−ヘプタン酸の製造
(R,R)−3−(3−メチル−ヘプタノイル)−4−フェニル−オキサゾリジン−2−オン(24.6kg)のTHF(180L)及び水(30L)溶液に、5±5℃でLiOH水溶液(6.6kgのLiOH一水和物を130Lの水に溶解)及び35%過酸化水素水溶液(33kg)を混合することにより調製した、リチウムヒドロペルオキシドを加えた。少なくとも4時間攪拌後、亜硫酸ナトリウム(42kgのNaHSOを140Lの水に溶解)の添加により反応をクエンチし、酢酸エチル(150kg)で希釈した。層を分離し、下層を酢酸エチル(60kg)で抽出した。酢酸エチル層を合わせ、食塩水で洗浄し、次ぎに真空蒸留により濃縮した。残渣をヘキサン(280L)に溶解し、冷却すると(R)−4−フェニル−オキサゾリジン−2−オンが結晶化して析出し、それを濾過して集めた。濾液を真空蒸留により濃縮すると、表題化合物を得、それを次の反応に直接持ち込んだ。
【0239】
実施例8.(R)−3−メチル−ヘプタン酸及びカリウムマロン酸エチルから(R)−5−メチル−3−オキソ−ノナン酸エチルエステルの製造
CDI(13.2g)の酢酸エチル(50mL)攪拌混合物に、(R)−3−メチル−ヘプタン酸(11.1g)を加えた。混合物を室温で4時間攪拌すると、活性化酸溶液を得た。マロン酸エチルカリウム塩(18.3g)の酢酸エチル(125mL)攪拌混合物に、EtN(12.4g)を加えた。この混合物に、15℃〜25℃の温度に維持しながら、無水塩化マグネシウム粉末(10.3g)を少量ずつ加えた。スラリーを室温まで温め、1時間攪拌した。スラリーに活性化酸溶液を加え、混合物を室温で17時間攪拌した。反応を、HCl水溶液でクエンチした。有機層を炭酸水素ナトリウム及び食塩水溶液で洗浄し、溶媒を真空蒸留により除去すると、表題化合物を黄色油状物として得た(15.9g、収率96%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.20 (q, 2H), 3.42 (S, 2H), 2.52 (dd, 1H), 2.33 (dd, 1H), 2.03 (m, 1H), 1.3 - 1.1 (m, 6H), 1.28 (t, 3H), 0.9 (m, 6H) 。
【0240】
実施例9.(R)−5−メチル−3−オキソ−オクタン酸エチルエステルから(R,E)−5−メチル−オクタ−2−エン酸エチルエステルの製造
EtOH(90kg)に溶解した(R)−5−メチル−3−オキソ−オクタン酸エチルエステル(15kg、75mol)を含有する反応器に、ジクロロ−トリス(トリフェニルホスフィン)−ルテニウム(190g)、続いて10%HCl水溶液(0.7kg)を加えた。反応器内容物を50±5℃に加熱し、50psigの水素下で20時間反応させた。続いて反応器を窒素でパージし、その内容物を濾過し、真空蒸留により油状物に濃縮した。油状物を酢酸エチル(60L)で希釈し、真空蒸留により濃縮し、再びEtOAc(60L)で希釈して−10℃〜−20℃に冷却し、メタンスルホニルクロリド(12.1kg)でさらに希釈した。生じた溶液を、−10℃〜−20℃に冷却し、20℃以下の温度を維持しながら、EtN(26kg)を徐々に加えた。溶液を40℃〜60℃に少なくとも12時間温め、次ぎに0℃〜10℃に冷却し、HCl水溶液の添加によりクエンチした。有機層を水で洗浄し、真空蒸留により濃縮すると油状物を生じた。ヘキサンを加え、溶液を真空蒸留により濃縮すると、表題化合物を得た(11kg、収率80%)。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.94 (dt, 1H), 5.80 (d, 1H), 4.18 (q, 2H), 2.19 (m, 1H), 2.05 (m, 1H), 1.63 (m, 1H), 1.3-1.1 (m, 4H), 1.29 (t, 3H), 0.9 (m, 6H) 。
【0241】
実施例10.(R)−5−メチル−オクタ−2−エン酸エチルエステルから(1S,3S,5R)−3−[ベンジル−(1−フェニル−エチル)−アミノ]−5−メチル−オクタン酸エチルエステルの製造
(S)−ベンジル−(1−フェニル−エチル)−アミン(21.3kg)のTHF(77L)冷却溶液に、−20℃〜−30℃で、24%n−BuLi(27kg)を加えた。生じた溶液を、−70℃〜−90°Cに冷却し、(R,E)−5−メチル−オクタ−2−エン酸エチルエステル(15kg)のTHF(10L)溶液を、約1時間以上かけて徐々に加えた。反応混合物を、−65℃〜−75℃でさらに5〜15分攪拌した。反応物を次ぎに、HCl水溶液の添加によりクエンチし、混合物を上及び下層に分配した。上層を水で2回洗浄し、有機層を真空蒸留により濃縮すると、表題化合物を油状物として得た(30kg、収率93%)。
【0242】
実施例11.(1S,3S,5R)−3−[ベンジル−(1−フェニル−エチル)−アミノ]−5−メチル−オクタン酸エチルエステルから(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸HClの製造
20%Pd/C(10kg、50%水湿潤)、(1S,3S,5R)−3−[ベンジル−(1−フェニル−エチル)−アミノ]−5−メチル−オクタン酸エチルエステル(31kg)のEtOH(100L)溶液及び酢酸(10kg)のスラリーを、45℃〜55℃で、水素(50psig)と少なくとも16時間反応させた。反応後、反応器を開口し、窒素でパージし、内容物を濾過した。濾液をHCl水溶液で希釈し、真空蒸留により濃縮し、そして35%HCl(30kg)及び水(100kg)で希釈した。生じた溶液を、最低でも12時間、80℃〜100℃に加熱し、そしてトルエンと混合した。溶液を上及び下層に分配した。下層を分離し、約50Lの容量まで、真空蒸留により濃縮した。溶液を冷却し、生じた沈殿を濾過により集め、トルエンで洗浄し、次ぎに真空下で乾燥すると、灰色がかった白色固形物(7kg)を得た。固形物をイソプロピルアルコール及びトルエンから再結晶すると、表題化合物を白色生成物として得た(5kg、収率30%)。1H NMR (400 MHz, D6DMSO) δ 12.71 (bs, 1H) 8.16 (bs, 3H), 3.38 (m, 1H), 2.68 (dd, 1H), 2.53 (dd, 1H), 1.61 (m, 2H), 1.3 - 1.1 (m, 5H), 0.83 (m, 6H) 。
【0243】
実施例12.(R)−5−メチル−3−オキソ−ノナン酸エチルエステルから(R,E)−5−メチル−ノナ−2−エン酸エチルエステルの製造
(R)−5−メチル−3−オキソ−ノナン酸エチルエステル(16kg、75mol)のEtOH(90kg)溶液を含有する反応器に、ジクロロ−トリス(トリフェニルホスフィン)−ルテニウム(96g)、続いて10%HCl水溶液(0.7kg)を加えた。反応器の内容物を50±5℃に加熱し、50psigの水素下で20時間反応させた。反応後、反応器を窒素でパージし、その内容物を濾過し、真空蒸留により油状物に濃縮した。油状物を酢酸エチル(60L)で希釈し、真空蒸留により濃縮し、再びEtOAc(60L)で希釈して−10℃〜−20℃に冷却し、メタンスルホニルクロリド(12.1kg)でさらに希釈した。溶液を、−10℃〜−20℃に冷却し、20℃以下の温度を維持しながら、EtN(23kg)を徐々に加えた。溶液を約50℃に少なくとも12時間温め、0℃〜10℃に冷却し、HCl水溶液でクエンチした。有機層を水で洗浄し、真空蒸留により濃縮すると油状物を生じた。ヘキサンを加え、溶液を真空蒸留により濃縮すると、表題化合物を得た(11 kg、収率75%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.94 (dt, 1H), 5.80 (d, 1H), 4.18 (q, 2H), 2.20 (m, 1H), 2.05 (m, 1H), 1.60 (m, 1H), 1.3 -1.1 (m, 6H), 1.29 (t, 3H), 0.9 (m, 6H) 。
【0244】
実施例13.(R)−5−メチル−ノナ−2−エン酸エチルエステルから(1S,3S,5R)−3−[ベンジル−(1−フェニル−エチル)−アミノ]−5−メチル−ノナン酸エチルエステルの製造
(S)−ベンジル−(1−フェニル−エチル)−アミン(29kg)のTHF(250L)冷却溶液に、−20℃〜−30℃で、24%n−BuLi(34.5kg)を加えた。生じた溶液を、−70℃〜−90℃に冷却し、(R)−5−メチル−ノナ−2−エン酸エチルエステル(19.5kg)のTHF(70L)溶液を、約1時間以上かけて徐々に加えた。反応混合物を、−65℃〜−75℃でさらに5〜15分攪拌した。反応物を、HCl水溶液の添加によりクエンチし、混合物を上及び下層に分配した。上層を水で2回洗浄し、有機層を真空蒸留により濃縮すると、表題化合物を油状物として得た(32kg、収率79%)。
【0245】
実施例14.(1S,3S,5R)−3−[ベンジル−(1−フェニル−エチル)−アミノ]−5−メチル−ノナン酸エチルエステルから(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸HClの製造
20%Pd/C(20kg、50%水湿潤)、(1S,3S,5R)−3−[ベンジル−(1−フェニル−エチル)−アミノ]−5−メチル−ノナン酸エチルエステル(50kg)のEtOH(312L)溶液及び酢酸(15kg)のスラリーを、45℃〜55℃で、水素(50psig)と少なくとも16時間反応させた。反応後、反応器を開口し、窒素でパージし、内容物を濾過した。濾液をHCl水溶液で希釈し、真空蒸留により濃縮し、そして35%HCl(50kg)及び水(100kg)で希釈した。溶液を、最低でも12時間、80℃〜100℃に加熱し、そしてトルエンと混合した。溶液を上及び下層に分配した。下層を分離し、約100Lの容量まで、真空蒸留により濃縮した。溶液を濃HCl水溶液(12kg)で希釈し冷却した。生じた沈殿を濾過により集め、トルエンで洗浄し、次ぎに真空下で乾燥すると、灰色がかった白色固形物(21kg)を得た。固形物をHCl水溶液から2回再結晶すると、表題化合物を白色固形物として得た(11kg、収率40%)。1H NMR (400 MHz, D6DMSO) δ 12.77 (bs, 1H), 8.14 (bs, 3H), 3.36 (m, 1H), 2.67 (dd, 1H), 2.53 (dd, 1H), 1.60 (m, 2H), 1.3 - 1.1 (m, 7H), 0.83 (m, 6H) 。
【0246】
実施例15.(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸HClから(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸の製造
(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸HCl(11kg)を水(45L)に熔解し、粒子を除去するために濾過し、5N NaOH(10L)で希釈すると、5〜7のpHを有するスラリーを得る。固形物をMTBE(50L)で溶解し、溶液を−5〜5℃に冷却した。生じた沈殿を濾過により集め、冷MTBEで洗浄した。固形物を水(約50L)でスラリーとし、濾過により集め、MTBEで洗浄し、真空オーブン中で乾燥すると、表題化合物を白色固形物として得た(3.8kg、収率42%)。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 4.93 (bs, 2H), 3.42 (m, 1H), 2.46 (dd, 1H), 2.28 (dd, 1H), 1.61 (m, 2H), 1.5 -1.1 (m, 7H), 0.9 (m, 6H) 。
【0247】
実施例16.(R)−5−メチル−3−オキソ−オクタン酸エチルエステルから(R,Z)−3−アセチルアミノ−5−メチル−オクタ−2−エン酸エチルエステルの製造
(R)−5−メチル−3−オキソ−オクタン酸エチルエステル(20g)及び酢酸アンモニウム(16.2g)を、EtOH(150mL)中、60℃で3時間加熱し、次ぎに冷却し、真空蒸留により油状物に濃縮した。この物質をトルエンに溶解し、真空蒸留により濃縮した。トルエンを添加して15℃〜25℃に冷却後、スラリーを濾過し、追加のトルエンで希釈し、そして無水酢酸(20g)及びピリジン(21.3mL)を加え、混合物を100℃〜110℃で16時間加熱することによりさらに反応させた。反応混合物を10℃〜20℃まで冷却し、反応を水の添加によりクエンチした。混合物を上及び下層に分配し、上層を希硫酸続いて水で洗浄した。生成物を真空蒸留により濃縮し、EtOHに溶解し、そして再び濃縮すると、表題化合物を油状物として得た(21g、収率88%)。1H NMR (CDCl3) δ 4.90 (s, 1H), 4.17 (q, J = 8 Hz, 2H), 2.88 (m, 1H), 2.34 (m, 1H), 2.14 (s, 3H), 1.79 (m, 1H), 1.30 (m, 7H), 0.89 (m, 6H)。
【0248】
実施例17.(R,R,S,S)−TangPhos−Rh触媒を使用する(R,Z)−3−アセチルアミノ−5−メチル−オクタ−2−エン酸エチルエステルの不斉水素添加を経る(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−オクタン酸エチルエステルの製造
磁気攪拌子、ゴムセプタム、ガラス栓及びガス入口アダプターを備えた、250mL 3NRBガラスフラスコを、フラスコに4回窒素を充填する及び排除することによりパージした。次ぎに、ビス(1,5−シクロオクタジエン)Rh(I)トリフルオロメタンスルホナート(0.123g、0.263mmol、1.00mol%)を含有するバイアル及び(R,R,S,S)−TangPhos(0.070g、0.245mmol、0.93mol%)を含有するバイアルとともにフラスコを窒素充填グローブボックスに置いた。バイアルを開口し、それらの内容物をフラスコに加えた。触媒前駆体を含有するフラスコを封じ、フードに移し、真空及び窒素で再びパージし、窒素陽圧下に保った。
【0249】
磁気攪拌子を備えた別の250mL 3NRBガラスフラスコに、(R,Z)−3−アセチルアミノ−5−メチル−オクタ−2−エン酸エチルエステル(6.33g、26.2mmol)及びMeOH(120mL)を加えた。このフラスコを、ゴムセプタム、ガラス栓及びPTFEストップコック付きのガス入口アダプターで封じた。その内容物を攪拌しながら、4回窒素を充填する及び排除することによりフラスコをパージした。フラスコを窒素陽圧に保ちながら、その内容物をシリンジで触媒前駆体を含有する反応フラスコに移した。
【0250】
数回の真空/窒素パージを使用して、反応フラスコを再び不活性化した(攪拌しながら)。次ぎにバブラーを通して排出された急速な流れとして、水素を導入した。約10分後、約5psig〜約10psigと見積もられる(バブラーにより指示される)、少しの陽圧を維持するように水素流速を減少させた。反応を、加熱する又は冷却することなく、外界温度で行うと、表題化合物を得た。TLC及びキラルGC分析のため、シリンジで試料を採取すると、反応は約4時間後に完了していることが観察された(キラルGCにより97.1%de)。1H NMR (D6DMSO) δ 7.66 (d, J = 8 Hz, 1H), 4.13 (m, 1H), 4.01 (q, J = 7 Hz, 2H), 2.34 (m, 2H), 1.75 (s, 3H), 1.40 (m, 2H), 1 -1.3 (m, 8H), 0.8 (m, 6H) 。
【0251】
実施例18.(R)−BINAPINE−Rh触媒を使用する(R,Z)−3−アセチルアミノ−5−メチル−オクタ−2−エン酸エチルエステルからの不斉水素添加を経る(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−オクタン酸エチルエステルの製造
(R,Z)−3−アセチルアミノ−5−メチル−オクタ−2−エン酸エチルエステル(5g)をメタノール(15mL)に溶解し、溶液をアルゴンで十分に脱ガス及び不活性化した。グローブボックス中で(R)−BINAPINE−Rh(COD)BF(30mg)を加え、容器を封じ、そして水素下(75psig)に置いた。反応物を激しく攪拌し、30℃に温めた。反応の完了後、反応混合物を濃縮すると、表題化合物を油状物として得た(5g、96%de)。
【0252】
実施例19.(R)−mTCFP−Rh触媒を使用する(R,Z)−3−アセチルアミノ−5−メチル−オクタ−2−エン酸エチルエステルからの不斉水素添加を経る(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−オクタン酸エチルエステルの製造
(R,Z)−3−アセチルアミノ−5−メチル−オクタ−2−エン酸エチルエステル (52g)をメタノール(150mL)に溶解し、溶液をアルゴンで十分に脱ガス及び不活性化した。グローブボックス中で(R)−mTCFP−Rh(COD)BF(178mg)を加え、容器を封じ、そして水素下(10psig)に置いた。反応物を激しく攪拌し、35℃に温めた。反応の完了後、反応混合物を濃縮すると、表題化合物を油状物として得た(52g、収率93.2%de)。1H NMR (CDCl3) δ 5.98 (d, 1H), 4.35 (m, 1H), 4.15 (q, 2H), 2.47 (m, 2H), 1.97 (s, 3H), 1.57 (m, 1H), 1 -1.4 (m, 8H), 0.9 (m, 6H) 。
【0253】
実施例20.(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−オクタン酸エチルエステルから(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸HClの製造
(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−オクタン酸エチルエステル(4.5g)を、35%HCl水溶液(4mL)及び水(8mL)で希釈し、95℃〜105℃で3日間加熱した。トルエン(10mL)を混合物に加え、5°Cに冷却した。生成物を濾過により集め、トルエンで洗浄すると、表題化合物(2.6g)を得た。生成物は、HCl水溶液又はトルエン/イソプロピルアルコールから再結晶し、濾過し、トルエンで洗浄し、そして真空下で乾燥することによりさらに精製することができる。1H NMR (D6DMSO) δ 12.7 (bs, 1H), 8.17 (bs, 3H), 3.38 (m, 1H), 2.69 (dd, J = 6, 17 Hz, 1H), 2.53 (dd, J = 7, 17 Hz, 1H), 1.61 (m, 2H), 1.2 (m, 4H), 1.1 (m, 1H), 0.8 (m, 6H) 。
【0254】
実施例21.(R)−5−メチル−3−オキソ−ノナン酸エチルエステルから(R,Z)−3−アミノ−5−メチル−ノナ−2−エン酸エチルエステルを経る(R,Z)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ノナ−2−エン酸エチルエステルの製造
(R)−5−メチル−3−オキソ−ノナン酸エチルエステル(30g)及び酢酸アンモニウム(22g)を、EtOH(150mL)中、60℃で16時間加熱し、次ぎに冷却し、真空蒸留により濃縮した。この物質をトルエンに溶解し、真空蒸留により濃縮した。生じた濃縮物をトルエンに溶解し、固形物を除去するために濾過し、真空蒸留により濃縮すると、(R,Z)−3−アミノ−5−メチル−ノナ−2−エン酸エチルエステルを油状物として得た(29g)。エナミンの一部(25g)をトルエン(150mL)に溶解し、そして無水酢酸(24g)及びピリジン(24mL)を加え、混合物を100℃〜110℃で16時間加熱することによりさらに反応させた。反応混合物を10℃〜20℃まで冷却し、水の添加によりクエンチした。反応混合物を上及び下層に分配し、上層をNaHSO水溶液、水で洗浄し、濃縮すると、表題化合物を油状物として得た(26g)。1H NMR (CDCl3) δ 11.2 (s, 1 H), 4.90 (s, 1H), 4.17 (q, J = 8 Hz, 2H), 2.88 (dd, 1H, J= 8, 16 Hz), 2.34 (dd, 1H, J= 12, 8 Hz), 2.14 (s, 3H), 1.79 (m, 1H), 1.30 (m, 7H), 0.89 (m, 6H); 13C NMR (CDCl3) 169.1, 1668.3, 157.8, 97.2, 59.8, 42.7, 36.3, 31.4, 29.0, 28.8, 22.9, 22.7, 19.0, 14.2, 14.0 。
【0255】
実施例22.(R)−5−メチル−3−オキソ−ノナン酸エチルエステルから(R,Z)−3−アミノ−5−メチル−ノナ−2−エン酸エチルエステルの製造
圧力容器に、(R)−5−メチル−3−オキソ−ノナン酸エチルエステル(50g)、EtOH(250mL)及びアンモニア(約8g)を加えた。生じた混合物を、50℃で約20時間反応させた。混合物は続いて室温まで冷却し、真空蒸留により濃縮した。生じた濃縮物をオクタンに溶解し、真空蒸留により濃縮すると、表題化合物を油状物として得た(50g)。
【0256】
実施例23.(R)−BINAPINE−Rh触媒を使用する(R,Z)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ノナ−2−エン酸エチルエステルの不斉水素添加を経る(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ノナン酸HClの製造
(R,Z)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ノナ−2−エン酸エチルエステル(0.64g)及び(R)−BINAPINE−Rh(COD)BF(5.2mg)を、不活性条件下、MeOH(3mL)に溶解し、水素(30psig)と30℃で反応させた。反応の完了後、混合物を油状物に濃縮し、35%HCl水溶液(0.6g)及び水(0.6mL)で希釈し、100℃〜105℃で50時間加熱した。溶液を0℃〜10℃まで冷却して濾過すると、表題化合物を得た。
【0257】
実施例24.(R)−BINAPINE−Rh及び(R)−mTCFP−Rh触媒を使用する(R,Z)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ノナ−2−エン酸エチルエステルの不斉水素添加を経る(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ノナン酸エチルエステルの製造
圧力容器に(R,Z)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ノナ−2−エン酸エチルエステル(100kg)及びMeOH(320kg)を加え、窒素でパージした。(R)−BINAPINE−Rh(COD)BF(500g)を加え、窒素パージMeOH(20L)を使用して容器内へ洗い落とした。反応容器を水素でパージし、25psigのH下で2〜5日間、35℃で内容物を反応させた。(R)−mTCFP−Rh(COD)BF(約60g)を加え、窒素パージMeOH(20L)を使用して容器内へ洗い落とした。25psigのH下、35℃で反応を続けた。反応の完了後、混合物を濃縮すると、表題化合物を油状物として得た。1H NMR (CDCl3) δ 5.97 (d, 1H), 4.35 (m, 1H), 4.15 (q, 2H), 2.56 (dd, 1H), 2.47 (dd, 1H), 1.97 (s, 3H), 1.57 (m, 1H), 1.42 (m, 1H), 1.1 -1.3 (m, 10H), 0.9 (m, 6H) 。
【0258】
実施例25.(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ノナン酸エチルエステルから(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸HCl塩の製造
(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ノナン酸エチルエステル(150kg)を、35%HCl水溶液(150L)及び水(300L)に溶解した。生じた混合物を、100℃〜115℃に少なくとも48時間、加熱し及び攪拌し、その間溶媒の一部(約100L)を蒸発させた。溶液を35℃〜50℃に冷却し、トルエン(300L)で洗浄し、真空蒸留により少しばかり濃縮した。生じた濃縮液をトルエン(300L)で希釈した。35%HCl水溶液(150L)を加え、溶液を約10℃まで徐々に冷却すると固形物沈殿が生じ、それを濾過により集め、ヘキサンで洗浄して乾燥した。固形物をi−PrOHに溶解し、ヘキサンを加えて溶液を徐々に冷却することにより再結晶した。固形物を濾過により集め、ヘキサンで洗浄して乾燥すると、表題化合物を固形物として得た(51kg、収率39%)。1H NMR (400 MHz, D6DMSO) δ 12.7 (bs, 1H), 8.14 (bs, 3H), 3.36 (m, 1H), 2.67 (dd, 1H), 2.53 (dd, 1H), 1.60 (m, 2H), 1.3 -1.1 (m, 7H), 0.84 (m, 6H) 。
【0259】
実施例26.(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸HCl塩から(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸(両性イオン)の製造
(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸HCl塩(51kg)を水(170L)に溶解し、ポリッシュフィルターを通過させ、溶液のpHが5.5〜7.5になるまでNaOH水溶液で滴定した。MTBE(200L)を加え、生じた混合物を25℃〜35℃まで温め、そして0℃〜10℃に冷却すると固形物沈殿が形成した。沈殿を濾過により集め、少量の水及びMTBEで連続的に洗浄し、乾燥すると表題化合物を白色固形物として得た(41kg、収率95%)。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 4.93 (bs, 2H), 3.42 (m, 1H), 2.46 (dd, 1H), 2.28 (dd, 1H), 1.61 (m, 2H), 1.5 -1.1 (m, 7H), 0.9 (m, 6H) 。
【0260】
実施例27.(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ノナン酸エチルエステルから(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ノナン酸を経る(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸HCl塩の製造
(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ノナン酸エチルエステルを含有するMeOH溶液に、NaOH水溶液を加えた。生じた混合物を、2時間又は反応が完了するまで攪拌すると、(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ノナン酸ナトリウム塩を得た。アミド酸塩を、その容量が約3分の1になるまで真空蒸留により濃縮した。濃縮液に水及びトルエンを加え、相を分離した。HCl水溶液を下層に加え、生じた溶液を、100℃〜110℃で少なくとも36時間加熱した。溶液を冷却すると固形物が沈殿し、それを濾過により集め、ヘキサンで洗浄すると上記表題化合物を得た。
【0261】
実施例28.(R,Z)−3−アミノ−5−メチル−ノナ−2−エン酸エチルエステルの不斉水素添加を経る(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸エチルエステルの製造
圧力容器に、(R,Z)−3−アミノ−5−メチル−ノナ−2−エン酸エチルエステル(10g)及び2,2,2−トリフルオロエタノール(32g)を加え、内容物を窒素でパージした。容器に、(R)−(S)−JOSIPHOS−Rh(COD)BF(50mg)を加えた。容器内容物を水素でパージし、1〜2日間又は反応が完了するまで、100psigのH下、50℃で反応させた。混合物を真空蒸留により濃縮すると、上記表題化合物を得た。
【0262】
実施例29.(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸エチルエステルから(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸の製造
(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸エチルエステル(10g)を、35%HCl水溶液(10mL)及び水(20mL)で希釈し、100℃〜115℃に少なくとも6時間、攪拌しながら加熱し、その間、約2mLの溶媒を蒸発させた。溶液を35℃〜50℃に冷却し、トルエン(20mL)で洗浄した。真空蒸留により溶液を少しばかり濃縮し、トルエン(20mL)で希釈した。濃HCl水溶液(10ml、35%)を加え、溶液を約10℃まで徐々に冷却すると上記表題化合物が沈殿し、それを濾過により集め、ヘキサンで洗浄して乾燥した。固形物は、i−PrOH及びヘキサンから再結晶することができる。
【0263】
本明細書及び付随する特許請求の範囲で使用される、「a」、「an」及び「the」のような単数形の冠詞は、文脈が明瞭に示さなければ、一つの対象又は複数の対象を指すことに注意すべきである。それ故、例えば、「化合物」を含んでいる文章の指示は、単一の化合物、又は二つ又はそれより多くの化合物を含むことができる。
【0264】
上記の記述は、例示でありそして限定するものではないことが意図されていることを理解すべきである。上記の記述を読むと、多くの態様が当業者には明らかになるであろう。それ故、本発明の範囲は、付随する特許請求の範囲に関するだけでなく、こうした特許請求の範囲が資格を与えた均等物の最大限の範囲と一緒に決定されるべきである。特許出願、認可された特許及び出版物を含む、全ての論文及び参照文献の開示は、その全体が、及び全ての目的について、参照により本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1
【化1】

(式中、
及びRは、独立して、水素原子、又は1〜5のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルキルであり、但し、Rが水素原子であるとき、Rは水素原子ではなく;そして
は、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜6アルキル、アリール、アリール−C1〜3アルキル、又はアリールアミノであり、ここで、Rの各アルキルは、1〜5のフッ素原子で置換されていてもよく、そして、Rの各アリールは、クロロ、フルオロ、アミノ、ニトロ、シアノ、C1〜3アルキルアミノ、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルキル、及び1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルコキシから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよい)
の化合物又はそのジアステレオマー、又はその薬学的に許容できる錯体、塩、溶媒和物又は水和物を製造するための方法であって:
式2
【化2】

又は、式4
【化3】

の化合物を、キラル触媒存在下、Hと反応させて、式3
【化4】

の化合物又はそのジアステレオマーを得ること、ここで、式2、式3及び式4中のR、R及びRは、式1で定義した通りであり;式2、式3及び式4中のRは、水素原子、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C3〜7シクロアルケニル、ハロ−C1〜7アルキル、ハロ−C2〜7アルケニル、ハロ−C2〜7アルキニル、アリール−C1〜6アルキル、アリール−C2〜6アルケニル、又はアリール−C2〜6アルキニル、又は1族金属イオン、2族金属イオン、第一アンモニウムイオン又は第二アンモニウムイオンから選択されるカチオンであり;そして、式2中のR及び式3中のR19は、独立して、水素原子、カルボキシ、C1〜7アルカノイル、C2〜7アルケノイル、C2〜7アルキノイル、C3〜7シクロアルカノイル、C3〜7シクロアルケノイル、ハロ−C1〜7アルカノイル、ハロ−C2〜7アルケノイル、ハロ−C2〜7アルキノイル、C1〜6アルコキシカルボニル、ハロ−C1〜6アルコキシカルボニル、C3〜7シクロアルコキシカルボニル、アリール−C1〜7アルカノイル、アリール−C2〜7アルケノイル、アリール−C2〜7アルキノイル、アリールオキシカルボニル、又はアリール−C1〜6アルコキシカルボニルであるが、但し、Rは水素原子ではない;及び
場合により、式3の化合物又はそのジアステレオマーを、式1の化合物又はそのジアステレオマー、又は式1の化合物又はそのジアステレオマーの薬学的に許容できる錯体、塩、溶媒和物又は水和物へ変換すること;
を含んでなる方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、該キラル触媒が、一つ又はそれより多くのリン原子を介して遷移金属に結合されたキラルなリガンドを含んでなる方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、該キラルなリガンドが、(R、R、S、S)−TANGPhos、(R)−BINAPINE、(R)−eTCFP又は(R)−mTCFP、又はその立体異性体である方法。
【請求項4】
式1
【化5】

(式中、
及びRは、独立して、水素原子、又は1〜5のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルキルであり、但し、Rが水素原子であるとき、Rは水素原子ではなく;そして
は、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜6アルキル、アリール、アリール−C1〜3アルキル、又はアリールアミノであり、ここで、Rの各アルキルは、1〜5のフッ素原子で置換されていてもよく、そして、Rの各アリールは、クロロ、フルオロ、アミノ、ニトロ、シアノ、C1〜3アルキルアミノ、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルキル、及び1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルコキシから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよい)
の化合物又はそのジアステレオマー、又はその薬学的に許容できる錯体、塩、溶媒和物又は水和物を製造するための方法であって:
式7
【化6】

(式中、式7のR、R及びRは、式1で定義した通りであり、そして、Rは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、又はアリール−C1〜3アルキルである)
の化合物又はそのジアステレオマー又は塩のアミノ部分を還元して、式1の化合物を得ること;及び
場合により、該式1の化合物又はそのジアステレオマーを薬学的に許容できる錯体、塩、溶媒和物又は水和物へ変換すること;
を含んでなる方法。
【請求項5】
式1
【化7】

(式中、
及びRは、独立して、水素原子、又は1〜5のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルキルであり、但し、Rが水素原子であるとき、Rは水素原子ではなく;そして
は、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜6アルキル、アリール、アリール−C1〜3アルキル、又はアリールアミノであり、ここで、Rの各アルキルは、1〜5のフッ素原子で置換されていてもよく、そして、Rの各アリールは、クロロ、フルオロ、アミノ、ニトロ、シアノ、C1〜3アルキルアミノ、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルキル、及び1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルコキシから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよい)
の化合物又はそのジアステレオマー、又はその薬学的に許容できる錯体、塩、溶媒和物又は水和物を製造するための方法であって:
式13
【化8】

の化合物又はそのジアステレオマーのアミン部分を還元して、式37
【化9】

の化合物又はそのジアステレオマーを得ること、ここで、式37及び式13中のR、R及びRは、式1で定義した通りであり、式37及び式13中のRは、水素原子、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C3〜7シクロアルケニル、ハロ−C1〜7アルキル、ハロ−C2〜7アルケニル、ハロ−C2〜7アルキニル、アリール−C1〜6アルキル、アリール−C2〜6アルケニル、又はアリール−C2〜6アルキニル、又は1族金属イオン、2族金属イオン、第一アンモニウムイオン又は第二アンモニウムイオンから選択されるカチオンであり、そして、式13中のRは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、又はアリール−C1〜3アルキルである;及び
場合により、式37の化合物又はそのジアステレオマーを、式1の化合物又はそのジアステレオマーへ、又は式1の化合物又はそのジアステレオマーの薬学的に許容できる錯体、塩、溶媒和物又は水和物へ変換すること;
を含んでなる方法。
【請求項6】
式6
【化10】

(式中、
及びRは、独立して、水素原子、又は1〜5のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルキルであり、但し、Rが水素原子であるとき、Rは水素原子ではなく;そして
は、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜6アルキル、アリール、アリール−C1〜3アルキル、又はアリールアミノであり、ここで、Rの各アルキルは、1〜5のフッ素原子で置換されていてもよく、そして、Rの各アリールは、クロロ、フルオロ、アミノ、ニトロ、シアノ、C1〜3アルキルアミノ、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルキル、及び1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルコキシから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよく;そして
は、水素原子、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C3〜7シクロアルケニル、ハロ−C1〜7アルキル、ハロ−C2〜7アルケニル、ハロ−C2〜7アルキニル、アリール−C1〜6アルキル、アリール−C2〜6アルケニル、又はアリール−C2〜6アルキニル、又は1族金属イオン、2族金属イオン、第一アンモニウムイオン又は第二アンモニウムイオンから選択されるカチオンである)
の化合物を製造する方法であって、
式19
【化11】

(式中、式19のR、R、R及びRは、式6で定義した通りである)
の化合物又はその塩を酸で処理することを含んでなる方法。
【請求項7】
式6
【化12】

(式中、
及びRは、独立して、水素原子、又は1〜5のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルキルであり、但し、Rが水素原子であるとき、Rは水素原子ではなく;そして
は、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜6アルキル、アリール、アリール−C1〜3アルキル、又はアリールアミノであり、ここで、Rの各アルキルは、1〜5のフッ素原子で置換されていてもよく、そして、Rの各アリールは、クロロ、フルオロ、アミノ、ニトロ、シアノ、C1〜3アルキルアミノ、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルキル、及び1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルコキシから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよく;そして
は、水素原子、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C3〜7シクロアルケニル、ハロ−C1〜7アルキル、ハロ−C2〜7アルケニル、ハロ−C2〜7アルキニル、アリール−C1〜6アルキル、アリール−C2〜6アルケニル、又はアリール−C2〜6アルキニル、又は1族金属イオン、2族金属イオン、第一アンモニウムイオン又は第二アンモニウムイオンから選択されるカチオンである)
の化合物を製造する方法であって、
式33
【化13】

の化合物を塩基で処理してジアニオンを生成させ;
該ジアニオンを、式32
【化14】

(式中、式32のR、R及びR、及び式33のRは、式6で定義した通りであり、そして、式32のR18は、脱離基である)
の化合物と反応させて中間体を得ること;及び
該中間体を酸で処理すること;
を含んでなる方法。
【請求項8】
式40
【化15】

(式中:
及びRは、独立して、水素原子、又は1〜5のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルキルであり、但し、Rが水素原子であるとき、Rは水素原子ではなく;
は、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜6アルキル、アリール、アリール−C1〜3アルキル、又はアリールアミノであり、ここで、Rの各アルキルは、1〜5のフッ素原子で置換されていてもよく、そして、Rの各アリールは、クロロ、フルオロ、アミノ、ニトロ、シアノ、C1〜3アルキルアミノ、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルキル、及び1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルコキシから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよく;
20は、水素原子、ヒドロキシ、R−O−NH−、RO−又はR19−NH−、又は
【化16】

であり;そして
21は、水素原子、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C3〜7シクロアルケニル、ハロ−C1〜7アルキル、ハロ−C2〜7アルケニル、ハロ−C2〜7アルキニル、アリール−C1〜6アルキル、アリール−C2〜6アルケニル、又はアリール−C2〜6アルキニル、又は1族金属イオン、2族金属イオン、第一アンモニウムイオン、第二アンモニウムイオン又はR−O−NH−から選択されるカチオンであり;ここで:
及びRは、独立して、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、又はアリール−C1〜3アルキルであり;
は、トシル、メシル、ブロシル、クロシル、ノシル、又はトリフリルであり;そして
19は、水素原子、カルボキシ、C1〜7アルカノイル、C2〜7アルケノイル、C2〜7アルキノイル、C3〜7シクロアルカノイル、C3〜7シクロアルケノイル、ハロ−C1〜7アルカノイル、ハロ−C2〜7アルケノイル、ハロ−C2〜7アルキノイル、C1〜6アルコキシカルボニル、ハロ−C1〜6アルコキシカルボニル、C3〜7シクロアルコキシカルボニル、アリール−C1〜7アルカノイル、アリール−C2〜7アルケノイル、アリール−C2〜7アルキノイル、アリールオキシカルボニル、又はアリール−C1〜6アルコキシカルボニルである)
の化合物、その錯体、塩、溶媒和物、水和物、反対の鏡像異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、及びそれらの混合物。
【請求項9】
式39
【化17】

(式中:
及びRは、独立して、水素原子、又は1〜5のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルキルであり、但し、Rが水素原子であるとき、Rは水素原子ではなく;
は、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜6アルキル、アリール、アリール−C1〜3アルキル、又はアリールアミノであり、ここで、Rの各アルキルは、1〜5のフッ素原子で置換されていてもよく、そして、Rの各アリールは、クロロ、フルオロ、アミノ、ニトロ、シアノ、C1〜3アルキルアミノ、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルキル、及び1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルコキシから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよく;そして
は、水素原子、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C3〜7シクロアルケニル、ハロ−C1〜7アルキル、ハロ−C2〜7アルケニル、ハロ−C2〜7アルキニル、アリール−C1〜6アルキル、アリール−C2〜6アルケニル、又はアリール−C2〜6アルキニル、又は1族金属イオン、2族金属イオン、第一アンモニウムイオン又は第二アンモニウムイオンから選択されるカチオンである)
の化合物、その錯体、塩、溶媒和物、水和物、反対の鏡像異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、及びそれらの混合物。
【請求項10】
式41
【化18】

(式中:
及びRは、独立して、水素原子、又は1〜5のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルキルであり、但し、Rが水素原子であるとき、Rは水素原子ではなく;
は、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜6アルキル、アリール、アリール−C1〜3アルキル、又はアリールアミノであり、ここで、Rの各アルキルは、1〜5のフッ素原子で置換されていてもよく、そして、Rの各アリールは、クロロ、フルオロ、アミノ、ニトロ、シアノ、C1〜3アルキルアミノ、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルキル、及び1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルコキシから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよく;
は、水素原子、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C3〜7シクロアルケニル、ハロ−C1〜7アルキル、ハロ−C2〜7アルケニル、ハロ−C2〜7アルキニル、アリール−C1〜6アルキル、アリール−C2〜6アルケニル、又はアリール−C2〜6アルキニル、又は1族金属イオン、2族金属イオン、第一アンモニウムイオン又は第二アンモニウムイオンから選択されるカチオンであり;そして
22は、水素又はカルボキシである)
の化合物、その錯体、塩、溶媒和物、水和物、反対の鏡像異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、及びそれらの混合物。
【請求項11】
式42
【化19】

(式中:
及びRは、独立して、水素原子、又は1〜5のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルキルであり、但し、Rが水素原子であるとき、Rは水素原子ではなく;
は、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜6アルキル、アリール、アリール−C1〜3アルキル、又はアリールアミノであり、ここで、Rの各アルキルは、1〜5のフッ素原子で置換されていてもよく、そして、Rの各アリールは、クロロ、フルオロ、アミノ、ニトロ、シアノ、C1〜3アルキルアミノ、1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルキル、及び1〜3のフッ素原子で置換されていてもよいC1〜3アルコキシから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよく;そして
23は、水素原子又はキラルなオキサゾリジン−2−オン−3−イルである)
の化合物、その錯体、塩、溶媒和物、水和物、反対の鏡像異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、及びそれらの混合物。
【請求項12】
(R)−5−メチル−3−オキソ−ヘプタン酸エチルエステル;
(R)−5−メチル−3−オキソ−オクタン酸エチルエステル;
(R)−5−メチル−3−オキソ−ノナン酸エチルエステル;
(R,Z)−3−アミノ−5−メチル−ヘプタ−2−エン酸エチルエステル;
(R,Z)−3−アミノ−5−メチル−オクタ−2−エン酸エチルエステル;
(R,Z)−3−アミノ−5−メチル−ノナ−2−エン酸エチルエステル;
(R,Z)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ヘプタ−2−エン酸エチルエステル;
(R,Z)−3−アセチルアミノ−5−メチル−オクタ−2−エン酸エチルエステル;
(R,Z)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ノナ−2−エン酸エチルエステル;
(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ヘプタン酸エチルエステル;
(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸エチルエステル;
(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸エチルエステル;
(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ヘプタン酸エチルエステル;
(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−オクタン酸エチルエステル;
(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ノナン酸エチルエステル;
(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ヘプタン酸;
(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−オクタン酸;
(3S,5R)−3−アセチルアミノ−5−メチル−ノナン酸;
(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ヘプタン酸;
(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−オクタン酸;
(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ノナン酸;
(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ヘプタン酸ベンジルオキシ−アミド;
(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−オクタン酸ベンジルオキシ−アミド;
(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ノナン酸ベンジルオキシ−アミド;
(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ヘプタン酸エチルエステル;
(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−オクタン酸エチルエステル;
(3R,5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ノナン酸エチルエステル;
(2R,4S)−1−ベンジルオキシ−4−(2−メチル−ブチル)−アゼチジン−2−オン;
(2R,4S)−1−ベンジルオキシ−4−(2−メチル−ペンチル)−アゼチジン−2−オン;
(2R,4S)−1−ベンジルオキシ−4−(2−メチル−ヘキシル)−アゼチジン−2−オン;
(3S,5R)−3−ベンジルオキシアミノ−5−メチル−ヘプタン酸;
(3S,5R)−3−ベンジルオキシアミノ−5−メチル−オクタン酸;
(3S,5R)−3−ベンジルオキシアミノ−5−メチル−ノナン酸;
(1S,3S,5R)−3−[ベンジル−(1−フェニル−エチル)−アミノ]−5−メチル−ヘプタン酸エチルエステル;
(1S,3S,5R)−3−[ベンジル−(1−フェニル−エチル)−アミノ]−5−メチル−オクタン酸エチルエステル;
(1S,3S,5R)−3−[ベンジル−(1−フェニル−エチル)−アミノ]−5−メチル−ノナン酸エチルエステル;
(5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ヘプタン酸エチルエステル;
(5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−オクタン酸エチルエステル;
(5R)−3−ヒドロキシ−5−メチル−ノナン酸エチルエステル;
(R,E)−5−メチル−ヘプタ−2−エン酸エチルエステル;
(R,E)−5−メチル−オクタ−2−エン酸エチルエステル;
(R,E)−5−メチル−ノナ−2−エン酸エチルエステル;
(R,E)−5−メチル−ヘプタ−3−エン酸エチルエステル;
(R,E)−5−メチル−オクタ−3−エン酸エチルエステル;
(R,E)−5−メチル−ノナ−3−エン酸エチルエステル;
(5R)−5−メチル−3−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−ヘプタン酸エチルエステル;
(5R)−5−メチル−3−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−オクタン酸エチルエステル;
(5R)−5−メチル−3−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−ノナン酸エチルエステル;
(5R)−3−メタンスルホニルオキシ−5−メチル−ヘプタン酸エチルエステル;
(5R)−3−メタンスルホニルオキシ−5−メチル−オクタン酸エチルエステル;
(5R)−3−メタンスルホニルオキシ−5−メチル−ノナン酸エチルエステル;
(R)−1−イミダゾール−1−イル−3−メチル−ペンタン−1−オン;
(R)−1−イミダゾール−1−イル−3−メチル−ヘキサン−1−オン;
(R)−1−イミダゾール−1−イル−3−メチル−ヘプタン−1−オン;
から選択される化合物、及びその薬学的に許容できる錯体、塩、溶媒和物、水和物、反対の鏡像異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、及びそれらの混合物。

【公表番号】特表2008−505879(P2008−505879A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519908(P2007−519908)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【国際出願番号】PCT/IB2005/001966
【国際公開番号】WO2006/008612
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(503181266)ワーナー−ランバート カンパニー リミテッド ライアビリティー カンパニー (167)
【Fターム(参考)】