説明

アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤含有医薬組成物

本発明は、アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤ならびに親水性ポリマー、酸性物質及び流動化剤から選択される1種又は2種以上の化合物を含有する医薬組成物に関する。医薬組成物は、改善された溶出性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、カルシウム拮抗剤及びアンジオテンシンII受容体拮抗剤は、臨床に於いて高血圧症の治療や予防のための医薬として広く用いられている。カルシウム拮抗剤は、血管拡張作用に加え、ナトリウム利尿作用を有することから、体液貯留性(レニン非依存性)の高血圧のも有効である。一方、アンジオテンシンII受容体拮抗剤は、レニン依存性の高血圧に特に有効であり、また、優れた臓器保護効果を有している。従って、カルシウム拮抗剤とアンジオテンシンII受容体拮抗剤の併用により、高血圧の病因によらず安定かつ十分な降圧治療が期待できる。
【0003】
以下の特許文献1〜4のような従来技術では、アンジオテンシンII受容体拮抗剤とカルシウム拮抗剤を組み合わせた医薬が種々提案されているが、さらに水溶性高分子、酸性物質又は流動化剤を配合し、溶出性がより改善された医薬組成物は知られていない。
【特許文献1】国際公開第92/10097号パンフレット
【特許文献2】国際公開第92/20342号パンフレット
【特許文献3】国際公開第00/02543号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2004/067003号パンフレット
【発明の開示】
【0004】
本発明の課題は、アンジオテンシンII受容体拮抗剤、カルシウム拮抗剤ならびに水溶性高分子、酸性物質及び流動化剤から選択される1種又は2種以上の化合物を含有する、溶出性の改善された医薬組成物を提供することにある。
【0005】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、水溶性高分子、酸性物質及び流動化剤から選択される1種又は2種以上の化合物を、アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を含有する医薬組成物に配合することにより溶出性が改善された医薬組成物が得られるということを見出して、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明は、アンジオテンシンII受容体拮抗剤、カルシウム拮抗剤ならびに水溶性高分子、酸性物質及び流動化剤から選択される1種又は2種以上の化合物を含有する医薬組成物(特に、高血圧症の予防又は治療のための組成物)、上記医薬組成物(特に、高血圧症の予防又は治療のための組成物)を製造するためのアンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤の使用、アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤の薬理学的な有効量を含有する前記医薬組成物を温血動物(特に、ヒト)に投与する疾病(特に、高血圧症)の予防又は治療方法を提供する。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)アンジオテンシンII受容体拮抗剤、カルシウム拮抗剤ならびに水溶性高分子、酸性物質及び流動化剤から選択される1種又は2種以上の化合物を含有する医薬組成物、
(2)(A)アンジオテンシンII受容体拮抗剤、
(B)カルシウム拮抗剤、及び
(C)水溶性高分子
を含有する上記(1)に記載の医薬組成物、
(3)(A)アンジオテンシンII受容体拮抗剤、
(B)カルシウム拮抗剤、及び
(C)酸性物質
を含有する上記(1)に記載の医薬組成物、
(4)(A)アンジオテンシンII受容体拮抗剤、
(B)カルシウム拮抗剤、及び
(C)流動化剤
を含有する上記(1)に記載の医薬組成物、
(5)アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、ロサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、プラトサルタン、オルメサルタンもしくはイルベサルタン又は薬理学的に許容しうるそれらの塩もしくはエステルである上記(1)−(4)に記載の医薬組成物、
(6)アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、ロサルタン、カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、プラトサルタン、オルメサルタンメドキソミル又はイルベサルタンである上記(1)−(4)に記載の医薬組成物、
(7)アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、オルメサルタンメドキソミルである上記(1)−(4)に記載の医薬組成物、
(8)カルシウム拮抗剤が、ニフェジピン、ニモジピン、ニルバジピン、マニジピン、バルニジピン、ニトレンジピン、ベニジピン、ニカルジピン、レルカニジピン、アムロジピン、ニソルジピン、エホニジピン、シルニジピン、アゼルニジピン、フェロジピン、アラニジピンもしくはプラニジピン又は薬理学的に許容しうるそれらの塩である上記(1)−(7)に記載の医薬組成物、
(9)カルシウム拮抗剤が、マニジピン、バルニジピン、ベニジピン、ニカルジピン、レルカニジピン、アムロジピン、エホニジピンもしくはアゼルニジピン又は薬理学的に許容しうるそれらの塩である上記(1)−(7)に記載の医薬組成物、
(10)カルシウム拮抗剤がアムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩である上記(1)−(7)に記載の医薬組成物、
(11)カルシウム拮抗剤がベシル酸アムロジピンである上記(1)−(7)に記載の医薬組成物、
(12)水溶性高分子が、セルロース誘導体又は合成高分子から選択される化合物の1種又は2種以上である上記(1)、(2)又は(5)−(11)に記載の医薬組成物、
(13)水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、マクロゴール、HA 「三共」、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールから選択される化合物の1種又は2種以上である上記(1)、(2)又は(5)−(11)に記載の医薬組成物、
(14)水溶性高分子が、セルロース誘導体から選択される化合物の1種又は2種以上である上記(1)、(2)又は(5)−(11)に記載の医薬組成物、
(15)水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びナトリウムカルボキシメチルセルロースから選択される化合物の1種又は2種以上である上記(1)、(2)又は(5)−(11)に記載の医薬組成物、
(16)水溶性高分子が、メチルセルロース及び/又はヒドロキシプロピルセルロースである上記(1)、(2)又は(5)−(11)に記載の医薬組成物、
(17)水溶性高分子が、マクロゴールである上記(1)、(2)又は(5)−(11)に記載の医薬組成物、
(18)酸性物質が、酒石酸及び/又はアスコルビン酸である上記(1)、(3)又は(5)−(17)に記載の医薬組成物、
(19)流動化剤が、ケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、無水リン酸水素カルシウム、合成ヒドロタルサイト、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムから選択される化合物の1種又は2種以上である上記(1)、(4)又は(5)−(18)に記載の医薬組成物

(20)医薬組成物を単一製剤に配合した上記(1)−(19)に記載の医薬組成物、
(21)単一製剤が固形製剤である上記(20)に記載の医薬組成物、
(22)固形製剤が、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤又は錠剤である上記(21)に記載の医薬組成物、及び
(23)固形製剤が、錠剤である上記(21)に記載の医薬組成物等を提供するものである。
【0008】
又、上記(1)−(23)を任意に組み合わせて得られる医薬組成物も好適であり、例えば、以下のものを挙げることができる。
(24)アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、ロサルタン、カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、プラトサルタン、オルメサルタンメドキソミル又はイルベサルタンであり、
カルシウム拮抗剤が、アムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩であり、
水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、マクロゴール、HA 「三共」、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールから選択される化合物の1種又は2種以上である上記(1)又は(2)に記載の医薬組成物、
(25)アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、ロサルタン、カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、プラトサルタン、オルメサルタンメドキソミル又はイルベサルタンであり、
カルシウム拮抗剤が、ベシル酸アムロジピンであり、
水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、マクロゴール、HA 「三共」、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールから選択される化合物の1種又は2種以上である上記(1)又は(2)に記載の医薬組成物、
(26)アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、オルメサルタンメドキソミルであり、
カルシウム拮抗剤が、マニジピン、バルニジピン、ベニジピン、ニカルジピン、レルカニジピン、アムロジピン、エホニジピンもしくはアゼルニジピン又は薬理学的に許容しうるそれらの塩であり、
水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、マクロゴール、HA 「三共」Sankyo、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールから選択される化合物の1種又は2種以上である上記(1)又は(2)に記載の医薬組成物、
(27)アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、オルメサルタンメドキソミルであり、
カルシウム拮抗剤が、アムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩であり、
水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、マクロゴール、HA 「三共」、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールから選択される化合物の1種又は2種以上である上記(1)又は(2)に記載の医薬組成物、
(28)アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、オルメサルタンメドキソミルであり、
カルシウム拮抗剤が、アムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩であり、
水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びナトリウムカルボキシメチルセルロースから選択される化合物の1種又は2種以上である上記(1)又は(2)に記載の医薬組成物、
(29)アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、オルメサルタンメドキソミルであり、
カルシウム拮抗剤が、アムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩であり、
水溶性高分子が、メチルセルロース及び/又はヒドロキシプロピルセルロースである上記(1)又は(2)に記載の医薬組成物、
(30)アンジオテンシンII受容体拮抗剤がオルメサルタンメドキソミルであり、
カルシウム拮抗剤が、アムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩であり、
酸性物質が、酒石酸及び/又はアスコルビン酸である上記(1)又は(3)に記載の医薬組成物、
(31)アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、オルメサルタンメドキソミルであり、
カルシウム拮抗剤が、アムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩であり、
流動化剤が、ケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、無水リン酸水素カルシウム、合成ヒドロタルサイト及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムから選択される化合物の1種又は2種以上である上記(1)又は(4)に記載の医薬組成物、及び
(32)カルシウム拮抗剤が、ベシル酸アムロジピンである上記(27)−(27)に記載の医薬組成物である。
【0009】
本発明によれば、アンジオテンシンII受容体拮抗剤、カルシウム拮抗剤ならびに水溶性高分子、酸性物質又は流動化剤から選択される1種又は2種以上の化合物を含有する、溶出性の改善された医薬組成物を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の医薬組成物の有効成分は、アンジオテンシンII受容体拮抗剤と、カルシウム拮抗剤である。
【0011】
本発明の医薬組成物における有効成分の一つである「アンジオテンシンII受容体拮抗剤」としては、種々の薬剤が提案されており、実際に臨床で使用されているので、当業者は本発明の効果を奏する適宜の薬剤を選択することが可能である。そのようなアンジオテンシンII受容体拮抗剤としては、例えば、ロサルタン(好適にはロサルタンカリウム)、カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、プラトサルタン、オルメサルタンメドキソミル又はイルベサルタンであり、好適には、オルメサルタンメドキソミルである。なお、特にオルメサルタンメドキソミルは特許第2082519号公報(米国特許第5,616,599号公報)等に記載の方法に従い、容易に製造することができる。
【0012】
本発明の医薬組成物における有効成分の一つである「カルシウム拮抗剤」としては、種々の薬剤が提案されており、実際に臨床で使用されているので、当業者は本発明の効果を奏する適宜の薬剤を選択することが可能である。そのようなカルシウム拮抗剤として、例えば、ニフェジピン、ニモジピン、ニルバジピン、マニジピン(好適には塩酸マニジピン)、バルニジピン(好適には塩酸バルニジピン)、ニトレンジピン、ベニジピン(好適には塩酸ベニジピン)、ニカルジピン(好適には塩酸ニカルジピン)、レルカニジピン(好適には塩酸レルカニジピン)、アムロジピン(好適にはベシル酸アムロジピン)、ニソルジピン、エホニジピン(好適には塩酸エホニジピン)、シルニジピン、アゼルニジピン、フェロジピン、アラニジピン又はプラニジピンであり、好適にはベシル酸アムロジピンである。なお、アムロジピン及びベシル酸アムロジピンをはじめとするその塩は、先行技術で開示されている方法、例えば、日本国特許第1401088号(米国特許第4,572,909号に対応)に記載の方法に従い、容易に製造することができる。
【0013】
上記のアンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤の薬理学的に許容しうる塩は特に限定されず、そのような塩は当業者が選択することができる。適当な薬理学的に許容しうる塩としては、たとえば、ナトリウム塩、カリウム塩もしくはリチウム塩のようなアルカリ金属塩;カルシウム塩もしくはマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩もしくはコバルト塩のような金属塩;アンモニウム塩、t−オクチルアミン塩、ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N−メチルグルカミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N′−ジベンジルエチレンジアミン塩、クロロプロカイン塩、プロカイン塩、ジエタノールアミン塩、N−ベンジル−フェネチルアミン塩、ピペラジン塩、テトラメチルアンモニウム塩もしくはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩のようなアミン塩;フッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはヨウ化水素酸塩のようなハロゲン化水素酸塩;硝酸塩;過塩素酸塩;硫酸塩;リン酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩もしくはエタンスルホン酸塩のような場合によってはハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルカンスルホン酸塩;ベンゼンスルホン酸塩もしくはp−トルエンスルホン酸塩のような場合によってはC1〜C4アルキル基で置換されていてもよいC6〜C10アリールスルホン酸塩;酢酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩もしくはマレイン酸塩のようなC1〜C6脂肪族酸塩;またはグリシン塩、リシン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩もしくはアスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩がある。
【0014】
上記のアンジオテンシンII受容体拮抗剤の薬理学的に許容しうるエステルは特に限定されず、当業者が選択することができる。当該エステルの場合、そのようなエステルは、インビボでの加水分解のような生物学的プロセスによって開裂させることができることが好ましい。エステルを構成する基(そのエステルが−COORと表される場合にRとして示される基)は、たとえば、メトキシエチル、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、1−(イソプロポキシ)エチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、1,1−ジメチル−1−メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、ブトキシメチルもしくはt−ブトキシメチルのようなC1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル基;2−メトキシエトキシメチルのようなC1〜C4アルコキシル化C1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル基;フェノキシメチルのようなC6〜C10アリールオキシC1〜C4アルキル基;2,2,2−トリクロロエトキシメチルもしくはビス(2−クロロエトキシ)メチルのようなハロゲン化C1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル基;メトキシカルボニルメチルのようなC1〜C4アルコキシカルボニルC1〜C4アルキル基;シアノメチルもしくは2−シアノエチルのようなシアノC1〜C4アルキル基;メチルチオメチルもしくはエチルチオメチルのようなC1〜C4アルキルチオメチル基;フェニルチオメチルもしくはナフチルチオメチルのようなC6〜C10アリールチオメチル基;2−メタンスルホニルエチルもしくは2−トリフルオロメタンスルホニルエチルのような、場合によってはハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキルスルホニルC1〜C4低級アルキル基;2−ベンゼンスルホニルエチルもしくは2−トルエンスルホニルエチルのようなC6〜C10アリールスルホニルC1〜C4アルキル基;ホルミルオキシメチル、アセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル、バレリルオキシメチル、イソバレリルオキシメチル、ヘキサノイルオキシメチル、1−ホルミルオキシエチル、1−アセトキシエチル、1−プロピオニルオキシエチル、1−ブチリルオキシエチル、1−ピバロイルオキシエチル、1−バレリルオキシエチル、1−イソバレリルオキシエチル、1−ヘキサノイルオキシエチル、2−ホルミルオキシエチル、2−アセトキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、2−ピバロイルオキシエチル、2−バレリルオキシエチル、2−イソバレリルオキシエチル、2−ヘキサノイルオキシエチル、1−ホルミルオキシプロピル、1−アセトキシプロピル、1−プロピオニルオキシプロピル、1−ブチリルオキシプロピル、1−ピバロイルオキシプロピル、1−バレリルオキシプロピル、1−イソバレリルオキシプロピル、1−ヘキサノイルオキシプロピル、1−アセトキシブチル、1−プロピオニルオキシブチル、1−ブチリルオキシブチル、1−ピバロイルオキシブチル、1−アセトキシペンチル、1−プロピオニルオキシペンチル、1−ブチリルオキシペンチル、1−ピバロイルオキシペンチルもしくは1−ピバロイルオキシヘキシルのようなC1〜C7脂肪族アシルオキシC1〜C4アルキル基;シクロペンチルカルボニルオキシメチル、シクロヘキシルカルボニルオキシメチル、1−シクロペンチルカルボニルオキシエチル、1−シクロヘキシルカルボニルオキシエチル、1−シクロペンチルカルボニルオキシプロピル、1−シクロヘキシルカルボニルオキシプロピル、1−シクロペンチルカルボニルオキシブチルもしくは1−シクロヘキシルカルボニルオキシブチルのようなC5〜C6シクロアルキルカルボニルオキシC1〜C4アルキル基;ベンゾイルオキシメチルのようなC6〜C10アリールカルボニルオキシC1〜C4アルキル基;メトキシカルボニルオキシメチル、1−(メトキシカルボニルオキシ)エチル、1−(メトキシカルボニルオキシ)プロピル、1−(メトキシカルボニルオキシ)ブチル、1−(メトキシカルボニルオキシ)ペンチル、1−(メトキシカルボニルオキシ)ヘキシル、エトキシカルボニルオキシメチル、1−(エトキシカルボニルオキシ)エチル、1−(エトキシカルボニルオキシ)プロピル、1−(エトキシカルボニルオキシ)ブチル、1−(エトキシカルボニルオキシ)ペンチル、1−(エトキシカルボニルオキシ)ヘキシル、プロポキシカルボニルオキシメチル、1−(プロポキシカルボニルオキシ)エチル、1−(プロポキシカルボニルオキシ)プロピル、1−(プロポキシカルボニルオキシ)ブチル、イソプロポキシカルボニルオキシメチル、1−(イソプロポキシカルボニルオキシ)エチル、1−(イソプロポキシカルボニルオキシ)ブチル、ブトキシカルボニルオキシメチル、1−(ブトキシカルボニルオキシ)エチル、1−(ブトキシカルボニルオキシ)プロピル、1−(ブトキシカルボニルオキシ)ブチル、イソブトキシカルボニルオキシメチル、1−(イソブトキシカルボニルオキシ)エチル、1−(イソブトキシカルボニルオキシ)プロピル、1−(イソブトキシカルボニルオキシ)ブチル、t−ブトキシカルボニルオキシメチル、1−(t−ブトキシカルボニルオキシ)エチル、ペンチルオキシカルボニルオキシメチル、1−(ペンチルオキシカルボニルオキシ)エチル、1−(ペンチルオキシカルボニルオキシ)プロピル、ヘキシルオキシカルボニルオキシメチル、1−(ヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチルもしくは1−(ヘキシルオキシカルボニルオキシ)プロピルのようなC1〜C6アルコキシカルボニルオキシC1〜C4アルキル基;シクロペンチルオキシカルボニルオキシメチル、1−(シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)エチル、1−(シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)プロピル、1−(シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)ブチル、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシメチル、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)プロピルもしくは1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ブチルのようなC5〜C6シクロアルキルオキシカルボニルオキシC1〜C4アルキル基;(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル、(5−エチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル、(5−プロピル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル、(5−イソプロピル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルもしくは(5−ブチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルのような[5−(C1〜C4アルキル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチル基;(5−フェニル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル、[5−(4−メチルフェニル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチル、[5−(4−メトキシフェニル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチル、[5−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチルもしくは[5−(4−クロロフェニル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチルのような[5−(場合によってはC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ又はハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチル基;又はフタリジル、ジメチルフタリジルもしくはジメトキシフタリジルのような、場合によってはC1〜C4アルキルもしくはC1〜C4アルコキシ基で置換されていてもよいフタリジル基でもよい。
【0015】
本発明の医薬組成物における「水溶性高分子」とは、水に対して親和性を有する高分子である。本発明における使用に好ましい「水溶性高分子」は、水溶性である高分子である。本発明の医薬組成物における「水溶性高分子」としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のようなセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、マクロゴール(すなわちポリエチレングリコール)等のような合成高分子;HA「三共」(ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート16〜26重量%、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 50〜75重量%、ステアリン酸12〜17重量%及びフマル酸1.5〜2.3重量%の混合物を含むプレミックスコーティング剤)、アラビアゴム、寒天、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム等を挙げることができ、好適にはヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、マクロゴール、HA「三共」、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールであり、さらに好適にはヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、マクロゴール、カルボキシメチルセルロースナトリウムであり、特に好適にはメチルセルロースである。本発明においては、これらを単独で用いることもできるし、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。本発明の処方中に1種又は2種以上の水溶性高分子が存在する場合、その水溶性高分子は、好ましくは処方重量の1〜90重量%、さらに好ましくは5〜85重量%の範囲内で含有してもよい。1種又は2種以上の水溶性高分子は、医薬組成物全体に均一に分散させてもよいし、その医薬組成物の一部分だけに適用してもよい。医薬組成物に1種又は2種以上のフィルムコーティング層があれば、1種又は2種以上の水溶性高分子をそのフィルムコーティング層に含んでもよい。
【0016】
本発明の医薬組成物における「酸性物質」としては、例えば、塩酸、リン酸、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム等の無機酸;クエン酸、乳酸、酒石酸、フマル酸、フタル酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、アジピン酸、フィチン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、アスコルビン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、アラキン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸等の有機酸;アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−システイン、塩酸アルギニン、塩酸リジン、L−グルタミン酸塩酸塩等を挙げることができ、好適には酒石酸及び/又はアスコルビン酸である。本発明においては、これらを単独で用いることもできるし、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。酸性物質は、好ましくは処方重量の1〜90重量%、さらに好ましくは5〜85重量%範囲内で含有してもよい。
【0017】
本発明の医薬組成物における「流動化剤」とは、当該組成物中に存在する他の成分の流動性を高める調整剤であり、例えば、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、合成ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミナマグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム、タルク、濃グリセリン、パーフィラー101、無水エタノール、ケイ酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、合成ヒドロタルサイト、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等を挙げることができ、好適にはケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、無水リン酸水素カルシウム、合成ヒドロタルサイト又はメタケイ酸アルミン酸マグネシウムである。本発明においては、これらを単独で用いることもできるし、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。流動化剤は、好ましくは処方重量の1〜90重量%、さらに好ましくは5〜85重量%範囲内で含有してもよい。
【0018】
本発明の医薬組成物は、さらに必要に応じて、適宜の薬理学的に許容される賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、乳化剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤等の添加剤を含むことができる。
【0019】
使用される「賦形剤」としては、例えば、乳糖、白糖、葡萄糖、マンニトール若しくはソルビトールのような糖誘導体;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、α−澱粉若しくはデキストリンのような澱粉誘導体;結晶セルロースのようなセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;又はプルランのような有機系賦形剤;或いは、軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム若しくはメタ珪酸アルミン酸マグネシウムのような珪酸塩誘導体;燐酸水素カルシウムのような燐酸塩;炭酸カルシウムのような炭酸塩;又は、硫酸カルシウムのような硫酸塩等の無機系賦形剤を挙げることができる。
【0020】
使用される「滑沢剤」としては、例えば、ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム若しくはステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸金属塩;タルク;コロイドシリカ;ビーズワックス若しくはゲイ蝋のようなワックス類;硼酸;アジピン酸;硫酸ナトリウムのような硫酸塩;グリコール;フマル酸;安息香酸ナトリウム;D,L−ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム若しくはラウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸塩;無水珪酸若しくは珪酸水和物のような珪酸類;又は、上記澱粉誘導体を挙げることができる。
【0021】
使用される「結合剤」としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、又は、前記賦形剤と同様の化合物を挙げることができる。
【0022】
使用される「崩壊剤」としては、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム若しくは内部架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体;架橋ポリビニルピロリドン;又は、カルボキシメチルスターチ若しくはカルボキシメチルスターチナトリウムのような化学修飾されたデンプン・セルロース類を挙げることができる。
【0023】
使用される「乳化剤」としては、例えば、ベントナイト若しくはビーガムのようなコロイド性粘土;水酸化マグネシウム若しくは水酸化アルミニウムのような金属水酸化物;ラウリル硫酸ナトリウム若しくはステアリン酸カルシウムのような陰イオン界面活性剤;塩化ベンザルコニウムのような陽イオン界面活性剤;又は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル若しくはショ糖脂肪酸エステルのような非イオン界面活性剤を挙げることができる。
【0024】
使用される「安定剤」としては、例えば、メチルパラベン若しくはプロピルパラベンのようなパラヒドロキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール若しくはフェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール若しくはクレゾールのようなフェノール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;又は、ソルビン酸を挙げることができる。
【0025】
使用される「矯味矯臭剤」としては、例えば、サッカリンナトリウム若しくはアスパルテームのような甘味料;クエン酸、リンゴ酸若しくは酒石酸のような酸味料;又は、メントール、レモン若しくはオレンジのような香料を挙げることができる。
【0026】
使用される「希釈剤」としては、例えば、ラクトース、マンニトール、グルコース、スクロース、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶性セルロース、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0027】
本発明の医薬組成物は、アンジオテンシンII受容体拮抗剤、カルシウム拮抗剤が別々の製剤(たとえば、固形製剤)として提供され、それらの一方又は両方が、水溶性高分子、酸性物質及び流動化剤から選択される1種又は2種以上の化合物をさらに含む製剤であってもよい。すなわち、医薬組成物は、別々の製剤が、望ましいかたちでいっしょに作用することができるよう、一斉に又は適当な時間間隔で患者に投与される「パーツキット」として提供される。あるいはまた、本発明の医薬組成物は、アンジオテンシンII受容体拮抗剤、カルシウム拮抗剤ならびに水溶性高分子、酸性物質及び流動化剤から選択される1種又は2種以上の化合物を、単一製剤中に含んでもよい。好ましくは単一製剤である。
【0028】
本発明における医薬組成物は「パーツキット」の固形製剤又は単一の固形製剤であることが好ましく、適当な製剤は当業者には周知でり、例えば、錠剤(舌下錠、口腔内崩壊錠を含む)、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、顆粒剤、細粒剤、散剤、丸剤、チュワブル剤、トローチ剤等を挙げることができ、好適には散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤又は錠剤であり、最も好適には錠剤である。
【0029】
本発明における製剤の製造方法としては、Powder Technology and Pharmaceutical Processes (D. Chulia他, Elsevier Science Pub Co (December 1, 1993))のような刊行物に記載されている一般的な方法を用いて製造すればよく、特別な制限は設けない。
【0030】
本発明の錠剤は、例えば、それ自体公知の方法で主薬を賦形剤、結合剤等とともに造粒、乾燥、整粒し、滑沢剤等を加えて混合し、製錠することにより錠剤を得る。ここで、造粒は、湿式造粒法、乾式造粒法あるいは加熱造粒法のいずれの方法によっても行うことができ、具体的には、高速攪拌造粒機、流動造粒乾燥機、押し出し造粒機、ローラーコンパクターなどを用いて行われる。また、造粒の後、必要により乾燥、整粒などの操作を行ってもよい。主薬と賦形剤、結合剤、滑沢剤等の混合物を直接打錠することもできる。また、本発明の錠剤には少なくとも1層のフィルムコーティングを設けてもよい。
【0031】
コーティングは、例えば、フィルムコーティング装置を用いて行われ、フィルムコーティング基剤としては、例えば、糖衣基剤、水溶性フィルムコーティング基剤、腸溶性フィルムコーティング基剤、徐放性フィルムコーティング基剤などが挙げられる。
【0032】
糖衣基剤としては、白糖が用いられ、さらに、タルク、沈降炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、プルラン、などから選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0033】
水溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体;ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン及びマクロゴールなどの合成高分子;プルランなどの多糖類などが挙げられる。
【0034】
腸溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースなどのセルロース誘導体;メタアクリル酸コポリマーL、メタアクリル酸コポリマーLD、メタアクリル酸コポリマーSなどのアクリル酸誘導体;セラックなどの天然物などが挙げられる。
【0035】
徐放性フィルムコーティング基剤としては、例えば、エチルセルロースなどのセルロース誘導体;アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・共重合体乳濁液などのアクリル酸誘導体などが挙げられる。
【0036】
上記コーティング基剤は、その2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。また、さらに必要に応じて、適宜の薬理学的に許容される可塑剤、賦形剤、滑沢剤、隠蔽剤、着色剤、防腐剤等の添加剤を含むことができる。
【0037】
本発明の医薬組成物の有効成分であるアンジオテンシンII受容体拮抗剤とカルシウム拮抗剤の投与量と投与比率は、個々の薬剤の活性、患者の症状、年齢、体重等の種々の条件により変化し得る。その投与量は症状、年齢等により異なるが、経口投与の場合には、各々、一日あたり0.001mg/kg(好適には 0.01mg/kg)、上限 10mg/kg(好適には 1mg/kg)であり、これを一日1乃至6回症状に応じて投与することができる。
【0038】
また、本発明の医薬組成物の有効成分であるアンジオテンシンII受容体拮抗剤とカルシウム拮抗剤の投与量の比率も、また、大幅に変わりうるが、例えばアンジオテンシンII受容体拮抗剤とカルシウム拮抗剤の投与量比率は、重量比で、1 : 1000 乃至 1000 : 1 の範囲内であり得、好適には、1 : 100 乃至 100 : 1 であり、更に好適には、1 : 10 乃至 10 : 1 である。
【0039】
本発明の医薬組成物は、例えば、高血圧症又は高血圧症に由来する疾患(より具体的には、高血圧症、心臓疾患[狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全若しくは心肥大]、腎臓疾患[糖尿病性腎症、糸球体腎炎若しくは腎硬化症]又は脳血管性疾患[脳梗塞若しくは脳出血])等の予防又は治療に有効である。
【実施例】
【0040】
以下、実施例等により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
オルメサルタンメドキソミル、ベシル酸アムロジピン、乳糖、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウムを、それぞれ下記表1の1の処方で秤量し、メノウ乳鉢で2分間混合した後、油圧式単発打錠機を用いて、φ7mm平面の杵で、錠剤重量140mg、打錠圧力10kNで打錠した。得られた錠剤について試験した結果を下記表2の1に示す。
(実施例2)
実施例1のメチルセルロースをヒドロキシプロピルセルロースに代え、表1の2の処方で、実施例1と同様の操作を行った。得られた錠剤について試験した結果を表2の2に示す。
(実施例3)
実施例1のメチルセルロースをヒドロキシプロピルメチルセルロースに代え、表1の3の処方で、実施例1と同様の操作を行った。得られた錠剤について試験した結果を表2の3に示す。
(比較例1)
実施例1の処方からメチルセルロースを除き乳糖を追加した、表1の4の処方で、実施例1と同様の操作を行った。得られた錠剤について試験した結果を表2の4に示す。
(試験例1)
日本薬局方第14改正の項に記載されている溶出試験法第2法(パドル法)に従い、毎分50回転、試験液として日局第2液(JP-2)900mLを用い、試験を行った。試験開始から30分(60分)後の試験液を採取し、吸光度測定法によりオルメサルタンメドキソミルの溶出率及び溶解量を測定した。〔富山産業(株):溶出試験器、(株)島津製作所:分光光度計〕。試験は2錠について行い、その平均値を示す
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
(実施例4)
実施例1のメチルセルロースを酒石酸に代え、表3の1の処方で、実施例1と同様の操作を行った。得られた錠剤について試験した結果を表4の1に示す。
(実施例5)
実施例1のメチルセルロースをアスコルビン酸に代え、表3の2の処方で、実施例1と同様の操作を行った。得られた錠剤について試験例2に示す操作で試験した結果を表4の2に示す。
(実施例6)
実施例1のメチルセルロースをケイ酸カルシウムに代え、表3の3の処方で、実施例1と同様の操作を行った。得られた錠剤について試験例2に示す操作で試験した結果を表4の3に示す。
(実施例7)
実施例1のメチルセルロースを軽質無水ケイ酸に代え、表3の4の処方で、実施例1と同様の操作を行った。得られた錠剤について試験例2に示す操作で試験した結果を表4の4に示す。
(実施例8)
実施例1のメチルセルロースを無水リン酸水素カルシウムに代え、表3の5の処方で、実施例1と同様の操作を行った。得られた錠剤について試験例2に示す操作で試験した結果を表4の5に示す。
(実施例9)
実施例1のメチルセルロースを合成ヒドロタルサイトに代え、表3の6の処方で、実施例1と同様の操作を行った。得られた錠剤について試験例2に示す操作で試験した結果を表4の6に示す。
(実施例10)
実施例1のメチルセルロースをメタケイ酸アルミン酸マグネシウムに代え、表3の7の処方で、実施例1と同様の操作を行った。得られた錠剤について試験例2に示す操作で試験した結果を表4の7に示す。
(比較例2)
実施例1の処方からメチルセルロースを除き乳糖を追加した、表3の8の処方で、実施例1と同様の操作を行った。得られた錠剤について試験例2に示す操作で試験した結果を表4の8に示す。
(試験例2)
日本薬局方第14改正の項に記載されている溶出試験法第2法(パドル法)に従い、毎分50回転、試験液として日局第2液(JP-2)900mLを用い、実施例4〜10及び参考例2で得られた錠剤の試験を行った。試験開始から30分(60分)後の試験液を採取し、吸光度測定法によりオルメサルタンメドキソミルの溶出率及び溶解量を測定した。〔富山産業(株):溶出試験器、(株)島津製作所:分光光度計〕。試験は2錠について行い、その平均値を示す。
【0044】
【表3】

【0045】
【表4】

【0046】
表2、4に示したように、本発明の医薬組成物は、アンジオテンシンII受容体拮抗剤(オルメサルタンメドキソミル)の溶出性に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、アンジオテンシンII受容体拮抗剤、カルシウム拮抗剤及び水溶性高分子、酸性物質又は流動化剤を含有する、溶出性の改善された医薬組成物が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤、カルシウム拮抗剤ならびに水溶性高分子、酸性物質及び流動化剤から選択される1種又は2種以上の化合物を含有する医薬組成物。
【請求項2】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤、カルシウム拮抗剤及び水溶性高分子を含有する請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤、カルシウム拮抗剤及び酸性物質を含有する請求項1記載の医薬組成物。
【請求項4】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤、カルシウム拮抗剤及び流動化剤を含有する請求項1記載の医薬組成物。
【請求項5】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、ロサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、プラトサルタン、オルメサルタンもしくはイルベサルタン又は薬理学的に許容しうるそれらの塩もしくはエステルである請求項1乃至4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、ロサルタン、カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、プラトサルタン、オルメサルタンメドキソミル又はイルベサルタンである請求項1乃至4に記載の医薬組成物。
【請求項7】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、オルメサルタンメドキソミルである請求項1乃至4に記載の医薬組成物。
【請求項8】
カルシウム拮抗剤が、ニフェジピン、ニモジピン、ニルバジピン、マニジピン、バルニジピン、ニトレンジピン、ベニジピン、ニカルジピン、レルカニジピン、アムロジピン、ニソルジピン、エホニジピン、シルニジピン、アゼルニジピン、フェロジピン、アラニジピンもしくはプラニジピン又は薬理学的に許容しうるそれらの塩である請求項1乃至7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
カルシウム拮抗剤が、マニジピン、バルニジピン、ベニジピン、ニカルジピン、レルカニジピン、アムロジピン、エホニジピンもしくはアゼルニジピン又は薬理学的に許容しうるそれらの塩である請求項1乃至7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
カルシウム拮抗剤がアムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩である請求項1乃至7に記載の医薬組成物。
【請求項11】
カルシウム拮抗剤がベシル酸アムロジピンである請求項1乃至7に記載の医薬組成物。
【請求項12】
水溶性高分子が、セルロース誘導体又は合成高分子から選択される化合物の1種又は2種以上である請求項1、2又は5乃至11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、マクロゴール、HA 「三共」、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールから選択される化合物の1種又は2種以上である請求項1、2又は5乃至11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
水溶性高分子が、セルロース誘導体から選択される化合物の1種又は2種以上である請求項1、2又は5乃至11に記載の医薬組成物。
【請求項15】
水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びナトリウムカルボキシメチルセルロースから選択される化合物の1種又は2種以上である請求項1、2又は5乃至11に記載の医薬組成物。
【請求項16】
水溶性高分子が、メチルセルロース及び/又はヒドロキシプロピルセルロースである請求項1、2又は5乃至11に記載の医薬組成物。
【請求項17】
水溶性高分子が、マクロゴールである請求項1、2又は5乃至11に記載の医薬組成物。
【請求項18】
酸性物質が、酒石酸及び/又はアスコルビン酸である、請求項1、3又は5乃至17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
流動化剤が、ケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、無水リン酸水素カルシウム、合成ヒドロタルサイト、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムから選択される化合物の1種又は2種以上である請求項1、4又は5乃至18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、ロサルタン、カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、プラトサルタン、オルメサルタンメドキソミル又はイルベサルタンであり、
カルシウム拮抗剤が、アムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩であり、
水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、マクロゴール、HA 「三共」、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールから選択される化合物の1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項21】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、ロサルタン、カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、プラトサルタン、オルメサルタンメドキソミル又はイルベサルタンであり、
カルシウム拮抗剤が、ベシル酸アムロジピンであり、
水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、マクロゴール、HA 「三共」、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールから選択される化合物の1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項22】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、オルメサルタンメドキソミルであり、
カルシウム拮抗剤が、マニジピン、バルニジピン、ベニジピン、ニカルジピン、レルカニジピン、アムロジピン、エホニジピンもしくはアゼルニジピン又は薬理学的に許容しうるそれらの塩であり、
水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、マクロゴール、HA 「三共」Sankyo、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールから選択される化合物の1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項23】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、オルメサルタンメドキソミルであり、
カルシウム拮抗剤が、アムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩であり、
水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、マクロゴール、HA 「三共」、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールから選択される化合物の1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項24】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、オルメサルタンメドキソミルであり、
カルシウム拮抗剤が、アムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩であり、
水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びナトリウムカルボキシメチルセルロースから選択される化合物の1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項25】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、オルメサルタンメドキソミルであり、
カルシウム拮抗剤が、アムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩であり、
水溶性高分子が、メチルセルロース及び/又はヒドロキシプロピルセルロースである請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項26】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤がオルメサルタンメドキソミルであり、
カルシウム拮抗剤が、アムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩であり、
酸性物質が、酒石酸及び/又はアスコルビン酸である請求項1又は3に記載の医薬組成物。
【請求項27】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、オルメサルタンメドキソミルであり、
カルシウム拮抗剤が、アムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩であり、
流動化剤が、ケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、無水リン酸水素カルシウム、合成ヒドロタルサイト及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムから選択される化合物の1種又は2種以上である請求項1又は4に記載の医薬組成物。
【請求項28】
カルシウム拮抗剤が、ベシル酸アムロジピンである請求項23乃至27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
医薬組成物を単一製剤に配合した請求項1乃至28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
単一製剤が固形製剤である請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項31】
固形製剤が、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤又は錠剤である請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
固形製剤が、錠剤である請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
高血圧症の予防又は治療のための請求項1乃至32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
請求項1乃至32に記載の医薬組成物である、高血圧症の予防又は治療のための薬剤の製造における、アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤の使用。
【請求項35】
高血圧症の予防又は治療を要する患者における高血圧症の予防又は治療の方法であって、薬理学的有効量のアンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を請求項1乃至32に記載の医薬組成物として前記患者に投与することを含む方法。

【公表番号】特表2008−543728(P2008−543728A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−558256(P2007−558256)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【国際出願番号】PCT/JP2006/313175
【国際公開番号】WO2007/001066
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(307010166)第一三共株式会社 (196)
【Fターム(参考)】