説明

イミド−リンクしたマレインイミドおよびポリマレインイミド化合物

【課題】耐熱劣化井特性および弾性特性を保持しつつ脆性特性を改善したビスマレインイミド熱硬化物を提供。
【解決手段】イミド延長されたマレインイミド化合物は、適当な無水物と適当なジアミンを縮合してアミン末端化合物を与えることにより簡単に製造され、その後、これらの化合物は過剰の無水マレイン酸と縮合され、イミド延長されたマレインイミド化合物を生成する。延長されたモノ−、ビス−、またはポリマレインイミド化合物の組み込みにより、マレインイミド熱硬化性樹脂の性能が著しい改良が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願データ
本出願は、2003年5月5日に出願された出願番号60/468,037号に基づく優先権を主張し、その内容は本明細書において参照され、その一部とされる。
本発明の技術分野
【0002】
本発明は熱硬化性接着剤組成物、その製造方法および用途に関する。特には、本発明は、特にイミド延長されたモノ−、ビス−およびポリマレインイミド化合物を含む熱硬化性の化合物および組成物に関する。
本発明の背景
【0003】
接着性組成物、特に伝導性接着剤は、半導体パッケージおよびマイクロエレクトロニックデバイスの製作およびアセンブリーの中で様々な目的に使用される。より顕著な用途としては、リードフレームあるいは他の基体への集積回路チップのような電子要素のボンディング、および回路パッケージのボンディングまたはプリント配線板へのアセンブリーがあげられる。エレクトロパッケージ用途に有用な接着剤は、典型的には良好な機械的強度、コンポーネントまたはキャリアに影響を与えない硬化特性、およびマイクロエレクトロニックおよび半導体要素の用途に適合可能なチキソトロープ性を示す。
【0004】
ビスマレインイミドは、マイクロエレクトロニックパッケージング産業の中で使用される熱硬化性化合物の1つの有用な種類を代表する。ビスマレインイミドは硬化可能である。つまりそれらは重合して架橋された樹脂を与えることができる。さらに、ビスマレインイミドはフリーラジカルまたは光開始剤が存在する場合にホモ硬化されるか、あるいは他のフリーラジカル硬化モノマー(たとえば、アクリレート、メタアクリレート、スチレン類、ビニルエーテル、ビニルエステル、アリルモノマー、オレフィンなど)と結合することができる。さらに、それらはコモノマーの存在下で、ディールスアルダー、−エンおよびミカエル付加メカニズムを介して硬化されることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
商業上利用可能なビスマレインイミド熱硬化性樹脂組成物は、高いモジュラスおよび熱劣化に対する優れた抵抗で有名である。しかしながら、さらに、これらの熱硬化性の組成物は脆いことがよく知られている。望ましい熱および弾性特性を保持したまま、脆くない配合物を達成することができた場合、ビスマレインイミド熱硬化物の用途は非常に改善されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、イミド延長されたモノ−、ビス−、またはポリマレインイミド化合物の組み込みにより、マレインイミド熱硬化性樹脂の性能の著しい改良が達成されるという発見に基づく。イミド延長されたマレインイミド化合物は、適当な無水物と適当なジアミンを縮合してアミン末端化合物を与えることにより簡単に製造される。その後、これらの化合物は過剰の無水マレイン酸と縮合され、イミド延長されたマレインイミド化合物を生成する。
【0007】
熱硬化性の組成物に組み入れられた時、ここに記述されたイミド延長されたマレインイミド化合物は熱安定性を犠牲にすることなく、脆性を低減し、組成物中の靭性を増加させる。イミド官能基は既知の最も熱安定性の高いグループのうちの1つである。したがって、本発明は、熱に不安定な結合を有しないマレインイミド官能性の熱硬化性組成物を供給し、それによって、靭性化剤として使用された時に優れた熱的安定性を提供する。
【0008】
1つの実施態様では、以下の構造を有するイミド延長されたビスマレインイミド化合物が提供される:
【化1】


式中、
RとQは、各々独立して、置換または非置換の、脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、またはシロキサン部位であり;
また、nは1から約10である、ただしイミド延長されたビスマレインイミドは以下のものではない。
【化2】

【0009】
別の実施態様では、以下の構造を有するモノマレインイミド化合物が提供される:
【化3】


式中、Rは置換または非置換の、脂肪族または芳香族であり;
は置換または非置換の、脂肪族、芳香族またはシロキサンである。
【0010】
さらなる実施態様においては、以下の構造を有する複数のペンダント繰り返し単位を含むポリマーを含むポリマレインイミドが提供される:
【化4】


式中:
は、置換または非置換の脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、またはシロキサン部位である。
【0011】
さらなる実施態様では、以下の構造を有する複数の繰り返し単位を有するポリマーを含むポリマレインイミドが提供される:
【化5】


式中:
は置換または非置換の直鎖、分岐または環状の、2から約100の炭素原子を有する脂肪族部位、または置換または非置換の芳香族部位である。
【0012】
別の実施態様では、上記のモノマレインイミド、ビスマレインイミド、またはポリマレインイミド化合物の少なくとも1つ、および少なくとも1つの硬化開始剤を含む接着性組成物が提供される。
【0013】
別の実施態様では、以下を含むダイアタッチペースト(die−attach pastes)が提供される;
a) 上記のモノマレインイミド、ビスマレインイミドあるいはポリマレインイミド化合物の少なくとも1つ、またはそれらの組み合わせを、組成物の全重量に基づいて2重量%(wt%)から約98重量%;
b) 伝導性フィラー0から約90重量%;
d) 少なくとも1つの硬化開始剤を組成物の全重量に基づいて0.1重量%から約5重量%;
e) 少なくとも1つのカップリング剤を組成物の全重量に基づいて0.1重量%から約4重量%。
【0014】
さらなる実施態様では、イミド延長されたビスマレインイミド化合物の製造方法が提供される。そのような方法は、例えば末端のアミノ部位を有するイミドを形成するのに適当な条件下で、ジアンハイドライドとジアミンを接触させ;末端のアミノ部位を無水マレイン酸と、マレインイミドを形成するのに適当な条件下で接触させ、イミド延長されたビスマレインイミドモノマーを生成することにより行なうことができる。
【0015】
別の実施態様では本発明のダイアタッチペーストの硬化されたアリコートにより、第2の物品に永久的に接着された第1の物品を含むアセンブリーが提供される。
【0016】
さらなる別の実施態様においては、少なくとも1つの電子要素を基体に結合するのに十分な、イミド延長されたモノ−、ビス−またはポリマレインイミドを含む接着性組成物の所定量;および基体へ電子要素を結合するために接着性組成物を使用するための指示、を含んでいる、パッケージを有する、基体へ電子要素を結合するためのキットが提供される。
【0017】
別の実施態様では、硬化可能な接着性のロープを生産する方法が提供される。
そのような方法は、たとえば、以下の方法により行うことができる。
a.イミド延長されたモノ−、ビス−あるいはポリマレインイミドを含む接着性組成物の提供;および
b.円形に形作られた形状を介して接着性の組成物を押し出して、それにより接着性のロープを形成すること。
図面の簡単な説明
【0018】
図1および2は、本発明のイミド延長された化合物の調製例を例証する。
図3は、本発明のポリマレインイミドの一般的な構造例を示す。図3Aは、マレインイミドポリマーまたはオリゴマーからペンダントしたスクシンイミド結合基を有するポリマレインイミド構造を示す。
図3Bは、スクシンイミド結合基がマレインイミドポリマーまたはオリゴマーの主鎖の一部となっているポリマレインイミド構造を示す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明のイミド延長された化合物の調製例を例証する。
【図2】図2は、本発明のイミド延長された化合物の調製例を例証する。
【図3】図3は、本発明のポリマレインイミドの一般的な構造例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、イミド延長されたモノ−、ビス−あるいはポリマレインイミド化合物の組み込みによりマレインイミド熱硬化性樹脂のパフォーマンスの著しい改良を達成することができるという発見に基づく。1つの実施態様では、以下の構造を有するイミド延長されたビスマレインイミド化合物が提供される:
【化6】


式中:
RとQは、各々独立して、置換または非置換の、脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、またはシロキサン部位であり; また、nは1から約10である、ただしイミド延長されたビスマレインイミドは以下のものではない。
【化7】

【0021】
本明細書において、用語「イミド延長された」とは、化合物が少なくとも1つのイミド部位を、分子の末端ではない位置に含んでいることをいう。
【0022】
本明細書において、「シクロアルキル」は、約3から8個までの炭素原子を有する環構造を含む環状基をいい、「置換シクロアルキル」は、上記においてさらに1以上の置換基を有するシクロアルキル基をいう。
【0023】
本明細書において、「アルキル」は直鎖または分岐鎖のヒドロカルビル基をいう。
【0024】
本明細書において、「アルケニル」は少なくとも1つの炭素炭素二重結合と約2から12個の炭素原子を有する有する直鎖または分岐鎖のヒドロカルビル基をいい、「置換アルケニル」は上記の1またはそれ以上の置換基を有するアルケニル基をいう。
【0025】
本明細書において、「アルキニル」は少なくとも1つの炭素炭素三重結合と約2から12個の炭素原子を有する有する直鎖または分岐鎖のヒドロカルビル基をいい、「置換アルキニル」は上記の1またはそれ以上の置換基を有するアルキニル基をいう。
【0026】
本明細書において、「アリール」は約6から14個の炭素原子を有する芳香族基をいい、「置換アリール」は上記の1またはそれ以上の置換基を有するアリール基をいう。
【0027】
本明細書において、「アルキルアリール」はアルキル置換されたアリール基をいい、「置換アルキルアリール」は上記の1またはそれ以上の置換基を有するアルキルアリール基をいう。
【0028】
本明細書において、「アリールアルキル」はアリール置換されたアルキル基をいい、「置換アリールアルキル」は上記の1またはそれ以上の置換基を有するアリールアルキル基をいう。
【0029】
本明細書において、「アリールアルケニル」はアリール置換されたアルケニル基をいい、「置換アリールアルケニル」は上記の1またはそれ以上の置換基を有するアリールアルケニル基をいう。
【0030】
本明細書において、「アリールアルキニル」はアリール置換されたアルキニル基をいい、「置換アリールアルキニル」は上記の1またはそれ以上の置換基を有するアリールアルキニル基をいう。
【0031】
本明細書において、「アロイル」は、たとえば、ベンゾイルのようなアリールカルボニル部位をいい、「置換アロイル」は上記の1またはそれ以上の置換基を有するアロイル基をいう。
【0032】
本明細書において、「ヘテロ環状基」は環状、すなわち環構造含有基であって、環構造の一部として1以上のヘテロ原子(たとえば、N,O,Sなど)を含み、3から14個の炭素原子を含む基をいい、「置換ヘテロ環状基」は上記の1またはそれ以上の置換基を有するヘテロ環状基をいう。
【0033】
本明細書において、「アシル」はアルキルカルボニル基をいう。
【0034】
本明細書において、「ハロゲン」はフッ素、塩素、臭素あるいはヨウ素原子をいう。
【0035】
ある実施態様では、RおよびQは各々独立して、置換または非置換の直鎖、分岐鎖、または環状の、2から約100の炭素原子を有する脂肪族部位である。他の実施態様では、RおよびQは各々独立して置換または非置換の、6から約14の炭素原子を有する芳香族またはヘテロ芳香族部位である。 他の実施態様では、RおよびQは各々独立して、置換または非置換の、2から約50の珪素原子を有するシロキサン部位である。いくつかの実施態様では、RとQは各々独立して、たとえば、ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサンまたはそれらの組み合わせのようなポリシロキサン部位である。
【0036】
RとQが置換された脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族またはシロキサン部位を含む場合、そのような置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、水酸基、オキソ基、アルコキシ基、メルカプト基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、ヘテロ環基、置換ヘテロ環基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、アリールオキシ基、置換アリールオキシ基、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ニトロン基、アミノ基、アミド基、−C(O)H、−C(O)−、−C(O)−、−S−、−S(O)、−OC(O)−O−、NR−C(O)、−NRC(O)−NR、−OC(O)−NR、(式中RはHまたは低級アルキル基である)、アシル基、オキシアシル基、カルボキシル基、カルバメート基、スルホニル基、スルホンアミド基、またはスルフリル基などがあげられる。
【0037】
図1を参照すると、イミド延長されたビスマレインイミド化合物が、2段階の単一容器での反応により容易に調製される。
第1工程は、ジアンハイドライドとダイマージアミンとの縮合によりアミン末端ポリイミドを形成することを含んでいる。
ジアミンは少なくとも若干過剰に存在し、イミド結合されたジアミン中間体を形成する必要がある。
【0038】
種々のジアミンが本発明を実施するために使用することができる。たとえば;
1,10−ジアミノデカン;1,12−ジアミノドデカン;ダイマージアミン;1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン;1,2−ジアミノシクロヘキサン;1,2−ジアミノプロパン;1,3−ジアミノプロパン;1,4−ジアミノブタン;1,5−ジアミノペンタン;1,7−ジアミノヘプタン;1,8−ジアミノメンタン;1,8−ジアミノオクタン;1,9−ジアミノノナン;3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン;ジアミノマレオニトリル;1,3−ジアミノペンタン;9,10−ジアミノフェナントレン;4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル;3,5−ジアミノ安息香酸;3,7−ジアミノ−2−メトキシフルオレン;4,4’−ジアミノベンゾフェノン;3,4−ジアミノベンゾフェノン;3,4−ジアミノトルエン;2,6−ジアミノアントラキノン;2,6−ジアミノトルエン;2,3−ジアミノトルエン;1,8−ジアミノナフタレン;2,4−ジアミノトルエン;2,5−ジアミノトルエン;1,4−ジアミノアントラキノン;1,5−ジアミノアントラキノン;1,5−ジアミノナフタレン;1,2−ジアミノアントラキノン;2,4−クメンジアミン;1,3−ビスアミノメチルベンゼン;1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン;2−クロロ−1,4−ジアミノベンゼン;1,4−ジアミノ−2,5−ジクロロベンゼン;1,4−ジアミノ−2,5−ジメチルベンゼン;4,4’−ジアミノ−2,2’―ビストリフルオロメチルビフェニル;ビス(アミノ−3−クロロフェニ)エタン;ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)メタン;ビス(4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)メタン;ビス(4−アミノ−3−エチルジアミノフルオレン;ジアミノ安息香酸;2,3−ジアミノナフタレン;2,3−ジアミノフェノール;−5−メチルフェニル)メタン;ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)メタン;ビス(4−アミノ−3−エチルフェニル)メタン;4,4’−ジアミノフェニルスルホン;3,3’−ジアミノフェニルスルホン;2,2−ビス(4,(4アミノフェノキシ)フェニル)スルホン;2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン;4,4’―オキシジアニリン;4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド;3,4’−オキシジアニリン;2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン;1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン;4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル;4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル;4,4’−ジアミノ−3,3’―ジメチルビフェニル;4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメトキシビフェニル;Bisaniline M;Bisaniline P;9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン;o‐トリジンスルホン;メチレンビス(アントラニル酸);1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,2−ジメチルプロパン;1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン;1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン;1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン;2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン;3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン;4,4’−ジアミノベンザニリド;2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン;ポリオキシアルキレンジアミン類(たとえば、Huntsmanの Jeffamine D−230、D400、D−2000およびD−4000);1,3−シクロヘキサンビス(メチルアミン);m−キシリレンジアミン;p−キシリレンジアミン;ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン;1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン;3(4),8(9)−ビス(アミノメチル)トリシクロ(5.2.1.02,6)デカン;なとがあげられる。
【0039】
反応の第2の工程は、残っているアミン残基と若干過剰の無水マレイン酸との縮合によりマレインイミド部位を形成することを含んでいる。この第2の工程は、当該技術分野の当業者に公知の技術を使用して行うことができる。もっとも直線的なマレインイミド調製方法は、第一アミンと無水マレイン酸との反応によるマレインアミド酸の形成と、引き続く無水酢酸によるマレインアミド酸の脱水閉環を含む。主な複雑性は、閉環のうちのいくらかあるいはすべてがマレインイミドになるわけではなく、イソマレインイミドになるということである。本質的に、イソマレインイミドは支配的、排他的な速度論的生成物である。しかし、所望のマレインイミドは熱力学的生成物である。マレインイミドへのイソマレインイミドの転化は有効に遅い工程である。特に脂肪族のアミンの場合には、収率を低下させる場合のある条件を要求することがある。もちろん、様々な他のアプローチも使用することができる。
【0040】
例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)は、マレインアミド酸を、無水酢酸の場合よりも非常に早く閉じる。DCCでは、生成物は独占的にイソマレインイミドである。しかしながら、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)のような適当な異性化剤の存在下では、生成物はマレインイミドのみである。HOBtの機能は、マレインイミドに推測上優先的に閉環するマレインアミド酸のHOBtエステル(DCCの作用によって形成された)を介して閉環が進むことを可能にすることであろう。HOBtのような異性化剤は、イソイミドのアミド酸エステルへの生成を増す。これがイミドに閉環するための何らかの傾向を少しでも示す場合、そうするための大きなバイアスでなくても、イソイミドとイミドを交換するためのルートが確立され、熱力学的生成物のイミドが最終的には優勢となる。したがって、DCC反応の中で形成されたエステルの最初の閉環がイソイミドを生成すれば、あるいはイソイミドが酸の直接の閉環によって生成されれば、異性化剤としての活性なエステルアルコールの作用により、イミドへのイソイミドの転化によって、状況は引き続いて修正されるだろう。マレインアミド酸の脱水環化に影響する異なる方法は、米国特許第5,973,166号の中で述べられ、その全内容は本明細書の一部として参照され、組込まれる。この方法は、マレインアミド酸の脱水環化に使用された極性の非プロトン性溶媒を交換するために有効に使用することができるアミン塩を利用する。これらの塩の使用は、極性の非プロトン性溶媒で得られた結果に対して、匹敵する反応時間および製品収量を提供する。これらの塩は、蒸気圧を持っていないことという長所を持ち、したがって、脱水環化反応によって生産された水と共蒸留される可能性がない。更に、そのような塩は望ましい溶解性(すなわち還流共沸溶剤に可溶であるが、室温では不溶である)を有するように調製することができる。これは反応生成物からのそれらの容易な除去を許容する。そのような塩は脱水環化反応中に破壊されず、したがって、再三効率的に再利用することができる。
【0041】
発明の実行で使用するために企図される種々の無水物としては、例えば;
ポリブタジエン−グラフト−無水マレイン酸;ポリエチレン−グラフト−無水マレイン酸;ポリエチレン−無水マレイン酸交互共重合体;ポリ無水マレイン酸−1−オクタデセン交互共重合体;ポリプロピレン−グラフト−無水マレイン酸;ポリ(スチレン−コ−無水マレイン酸);無水ピロメリト酸;無水マレイン酸、無水コハク酸;1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物;1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物;3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物;ビシクロ(2.2.2)オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物;ジエチレントリアミンペンタ酢酸二無水物;エチレンジアミン四酢酸二無水物;3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物;3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物;4,4’−オキシジフタリックス無水物;3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物;2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物;4,4’−ビスフェノールA ジフタル酸無水物;5−(2,5−ジオキシテトラヒドロ)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン無水物;エチレングリコールビス(トリメリット酸無水物);ヒドロキノンジフタル酸無水物;アリルナディック酸無水物(allyl nadic anhydride);2−オクテン−1−イルコハク酸無水物;無水フタル酸;1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物;3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物;1,8−ナフタル酸無水物;グルタル酸無水物;ドデセニルコハク酸無水物;ヘキサデセニルコハク酸無水物;ヘキサヒドロフタル酸無水物;メチルヘキサヒドロフタル酸無水物;テトラデセニルコハク酸無水物;およびこれらの類似物があげられる。
【0042】
実施例の中で述べられるように、イミド延長されたマレインイミド化合物は室温で柔軟なままで、現在利用可能なマレインイミド末端ゴムより強靱である。したがって、それらは、接着性組成物の中で単独で使用されてもよいか、あるいは強靭化剤として利用可能な樹脂に追加してもよい。本発明のマレインイミドは、存在する有機成分に基づいて(すべてのフィラーを除く)2から98重量%の量で硬化可能な接着性組成物中に存在するであろう。
【0043】
別の実施態様では、以下の式のモノマレインイミドが提供される:
【化8】


式中:
は置換または非置換の脂肪族、または芳香族;
また、Rは置換または非置換の脂肪族、芳香族、あるいはシロキサンである。
【0044】
いくつかの実施態様では、RとRは、各々独立して置換または非置換の直鎖、分岐鎖または環状の、2から約100の炭素原子を有する脂肪族部位である。他の実施態様では、Rは置換または非置換の、6から約14の炭素原子を有する芳香属あるいはヘテロ芳香族部位である。
【0045】
ある他の実施態様では、Rは置換または非置換の、2から約50の珪素原子を有するシロキサン部位である。いくつかの実施態様では、Rは、ポリシロキサン部位であり、例えばジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサン、またはそれらの組み合わせである。
【0046】
とRが置換されている場合、存在する置換基は上に述べられるとおりである。
【0047】
本発明の別の実施態様では、以下の構造を有する、複数のペンダント繰り返し単位を有するポリマーを包含するポリマレインイミドが提供される:
【化9】


式中:
は置換または非置換の脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族あるいはシロキサン部位である。
【0048】
本明細書において、用語「ペンダント」は上に述べられた構造が少なくとも1つの共有結合によってポリマー主鎖に結合していることを意味する。
【0049】
いくつかの実施態様では、Rは、置換または非置換の直鎖、分岐鎖、または環状の、2から約100の炭素原子を有する脂肪族部位である。他の実施態様では、Rは置換または非置換の、6から約14の炭素原子を有する芳香族あるいはヘテロ芳香族部位である。他の実施態様では、Rは置換または非置換の、2から約50の珪素原子を有するシロキサン部位である。Rは、さらに、例えばジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサンあるいそれらの組み合わせのような、ポリシロキサンであることができる。Rが置換されている場合、置換基は上記の通りである。
【0050】
さらなる実施態様では、以下の構造を有する複数の繰り返し単位を含むポリマレインイミドポリマーが提供される:
【化10】


式中:
は、置換または非置換の直鎖、分岐鎖、または環状の、2から約100の炭素原子を有する脂肪族の部位、あるいは芳香族部位である。
【0051】
いくつかの実施態様では、Rは、置換または非置換の直鎖、分岐鎖、環状の、2から約100の炭素原子を有する脂肪族部位である。他の実施態様では、Rは置換または非置換の、6から約14の炭素原子を有する芳香族あるいはヘテロ芳香族部位である。他の実施態様では、Rは置換または非置換の、2から約50の珪素原子を有するシロキサン部位である。Rは、さらに、例えばジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサンあるいそれらの組み合わせのような、ポリシロキサンであることができる。Rが置換されている場合、置換基は上記の通りである。
【0052】
そのようなポリマレインイミドの実施例は図3の中で示される。ペンダントまたは主鎖に無水コハク酸官能基を備えた、先駆体ポリマーあるいはオリゴマーは、当該技術分野において公知である。そのような物質の例としては、無水コハク酸残基でグラフトされたポリオレフィン(たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびその他同種のもの)、無水コハク酸残基でグラフトされたポリブタジエン、無水マレイン酸とスチレンまたはアルファ−オレフィンとの交互共重合体またはランダム共重合体および同種のものがあげられる。本発明のポリマレインイミドを調製するために、大過剰のジアミンが望ましくない架橋結合反応を抑えるために典型的に使用される。
【0053】
本発明のイミド延長されたモノ−、ビスおよびポリマレインイミドは、接着性組成物の中で独立して使用されてもよいか、あるいは他の接着性の化合物および樹脂と組み合わされてもよい。1つの実施態様では、本発明のビスマレインイミドモノマーは、接着性組成物中の唯一の熱硬化性のモノマーとして使用されてもよい。別の実施態様では、本発明のビスマレインイミドモノマーは完全に配合された接着剤を作るために、他の熱硬化性のモノマーとともに使用されることができる。
【0054】
1つの実施態様では、イミド延長されたビスマレインイミド化合物および少なくとも1つの硬化開始剤を含む接着性組成物が提供される。
【0055】
いくつかの実施態様では、イミド延長されたビスマレインイミド化合物は、組成物の全重量に基づいて2から約98重量パーセント(wt%)までの量で組成物中に存在する。他の実施態様では、少なくとも1つのコモノマーが典型的に、組成物の全重量に基づいて10重量%から約90重量%までの量で組成物中に存在する。そのようなコモノマーとしては、例えば、アクリレート、メタアクリレート、マレインイミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン系化合物、アリル官能性化合物、および同種のものが含まれる。
【0056】
少なくとも1つの硬化開始剤は、典型的には、組成物の全重量に基づいて0.1重量%から約5重量%までの量で組成物中に存在し、典型的にはフリーラジカルイニシエーターである。本明細書において、用語「フリーラジカルイニシエーター」は十分なエネルギー(たとえば、光、熱、あるいはその他同種のもの)に暴露された時に、荷電していないが、各々少なくとも1つの不対電子を有する2つの部分へ分解する任意の化学種をいう。本発明を実施する際に使用するために企図される好ましいフリーラジカルイニシエーターは、約70から180℃の温度範囲で分解する化合物(すなわち約10時間の半減期を有するもの)である。本発明を実施する際に使用するために企図された典型的なフリーラジカルイニシエーターとしては、過酸化物(たとえば、ジクミルペルオキサイド、ジベンゾイルペルオキサイド、2−ブタノンペルオキサイド、tert−ブチルペルベンゾエイト、ジ−tert−ブチルペルオキサイド、2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、およびtert−ブチルヒドロペルオキシド)、アゾ化合物(たとえば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパンニトリル)、2,2’アゾビス(2−メチルブタンニトリル)、および1,1’―アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル))があげられる。
【0057】
用語「フリーラジカルイニシエーター」はさらに光開始剤を包含する。例えば、光開始剤を含んでいる本発明の接着性組成物については、UV放射により硬化プロセスを始めることができる。1つの実施態様では、光開始剤は、組成物中の有機成分(すべてのフィラーを除く)の全重量に基づいて0.1重量%から5重量%の濃度で存在する。1つの実施態様では、光開始剤は、組成物中の有機成分の全重量に基づいて0.1重量%から3重量%の濃度で存在する。光開始剤としては、ベンゾイン誘導体、ベンジルケタール類、アルファ,アルファ−ジアルコキシアセトフェノン類、アルファ−ヒドロキシアセトフェノン類、アルファ−アミノアルキルフェノン類、アシルホスフィンオキサイド類、チタノセン化合物、ベンゾフェノン類とアミンまたはミヒラーケトンの組み合わせ、および同種のものが包含される。
【0058】
本発明の異なる実施態様においては、組成物の全重量に基づいて2重量%(wt%)から約98重量%の、本明細書に記載された、少なくとも1つのイミド−延長されたモノ−、ビス−あるいはポリマレインイミド化合物、またはそれらの組み合わせを含むダイ−アタッチペーストが提供される。これは任意に、アクリレート、メタアクリレート、マレインイミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン系化合物、およびアリル官能性化合物からなる群から選択される少なくとも1つのコモノマーを、組成物の全重量に基づいて10重量%から約90重量%;導電性のフィラー0から約90重量%;組成物の全重量に基づいて0.1重量%から約5重量%の少なくとも1つの硬化開始剤;および組成物の全重量に基づいて0.1重量%から約4重量%の少なくとも1つのカップリング剤を含む。
【0059】
1つの実施態様においては、以下を含むダイ−アタッチペーストが提供される;
a) 組成物の全重量に基づいて2重量%(wt%)から約98の重量%の、以下の構造を有するイミド延長されたビスマレインイミド:
【化11】


式中:
RおよびQは各々独立して置換または非置換の、脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族あるいはシロキサン部位であり;
nは、1から約10であり、イミド延長されたビスマレインイミドは以下のものではない;
【化12】


b) 0から約90重量%のフィラー;
d) 組成物の全重量に基づいて0.1重量%から約5重量%の少なくとも1つの硬化開始剤;
e) 組成物の全重量に基づいて0.1重量%から約4重量%の少なくとも1つのカップリング剤。
【0060】
本発明の実施において使用することが企図されたフィラーは、導電性および/または熱伝導性であることができ、および/または、主として生じる組成物のレオロジーを改良されるために作用する。本発明の実施において使用することができる適当な導電性のフィラーの例としては、銀、ニッケル、銅、アルミニウム、パラジウム、金、グラファイト、金属をコーティングしたグラファイト(たとえば、ニッケルをコーティングしたグラファイト、および銅をコーティングしたグラファイトおよび同種のもの)があげられる。本発明の実施において使用することができる適当な熱伝導性フィラーの例としては、グラファイト、アルミニウム窒化物、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ダイヤモンドダスト、アルミナおよびその他同種のものがあげられる。主としてレオロジーを改良するために作用する化合物としてはシリカ、ヒュームドシリカ、アルミナ、チタニアおよびその他同種のものがあげられる。
【0061】
本明細書において、用語「カップリング剤」は鉱物の表面へ結合することができ、さらに接着性組成物と相互作用を可能にするために1つまたは複数の重合可能な反応性官能基を含む化学種をいう。カップリング剤は、このようにしてダイアタッチペーストとそれが適用される基体との結合を容易にする。
【0062】
本発明の実施において使用するために企図される典型的なカップリング剤としては、シリケートエステル、金属アクリレート塩(たとえば、アルミニウムメタアクリレート)、チタネート(たとえば、チタニウム メタアクリロキシエチルアセトアセテート トリイソプロポキシド)、または共重合可能な基とキレーティングリガンドを含む化合物(たとえば、ホスフィン、メルカプタン、アセトアセテートおよびその他同種のもの)があげられる。いくつかの実施態様では、カップリング剤は共重合可能な官能基(たとえば、ビニル基、アクリレート基、メタアクリレート基および同種のもの)と、シリケートエステル官能基の両者を有する。カップリング剤のシリケートエステル部分は基体の鉱物の表面に存在する金属水酸化物と縮合することができる。一方、共重合可能な官能基は本発明のダイアタッチペーストの他の反応可能な成分と共重合することができる。ある実施態様では、本発明の実施において使用するために企図されるカップリング剤は、ポリ(メトキシビニルシロキサン)のようなオリゴマーシリケートカップリング剤である。
【0063】
いくつかの実施態様では、光開始と熱開始反応の両方が望ましいことがある。例えば、光開始剤を含んでいる接着剤の硬化は紫外線照射によって始められることができる。また、後の処理工程で、熱を加えてフリーラジカル硬化を遂行し、硬化を完了することができる。したがって、UVおよび熱開始剤のの両方を接着性組成物に加えることができる。
【0064】
一般に、これらの組成物は、80−220℃の温度範囲内で硬化し、また1分未満から60分の時間の内に達成される。当業者によって理解されるように、各接着性組成物の硬化の時間および温度プロフィルは変化するであろう。また、特定の産業製造工程に適する硬化プロフィルを提供するように、異なる組成物をデザインすることができる。
【0065】
ある実施態様では、接着性組成物は、得られる硬化された接着剤に追加の柔軟性および靭性を与える化合物を含むことができる。そのような化合物は、50℃以下のTgを有する任意の熱硬化性または熱可塑性の物質であることができ、典型的には、化学結合の周囲の自由回転、エーテル基の存在および環構造の欠如によって特徴づけられた高分子材料であろう。そのような改質剤として適当なものとしては、ポリアクリレート、ポリ(ブタジエン)、ポリTHF(重合されたテトラヒドロフラン、ポリ(1,4−ブタンジオール)としても知られている)、CTBN(カルボキシ末端ブタジエンアクリロニトリル)ゴムおよびポリプロピレングリコールがあげられる。存在する場合、化合物を強靭にする化合物は、マレインイミドおよび他の単官能的なビニル化合物の約15重量%までの量で存在することができる。
【0066】
フリーラジカル硬化のためのインヒビターを、本明細書に記載される接着性組成物およびダイアタッチペーストに加え、イミド延長されたマレインイミドを含む組成物の有用な貯蔵寿命を延長することができる。これらのインヒビターの例としては、ヒンダードフェノール、たとえば2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール;2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール;tert−ブチルヒドロキノン;テトラキス(メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート))ベンゼン;2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−p−クレゾール);および1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンがあげられる。他の有用な水素−供与酸化防止剤としては、p−フェニレンジアミンおよびジフェニルアミンの誘導体があげられる。水素−供与酸化防止剤はキノンおよび金属不活性化剤と組み合わされて、相乗的に作用して非常に効率的なインヒビターパッケージを作ることが当業者に知られている。適当なキノンの例としてはベンゾキノン、2−tert−ブチル−1,4−ベンゾキノン;2−フェニル−1,4−ベンゾキノン;ナフトキノン、および2,5−ジクロロ−1,4−ベンゾキノンがあげられる。金属不活性化剤としてはN,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジン;オキサリル ビス(ベンジリデンヒドラジド);およびN−フェニル−N’(4−トルエンスルホニル)−p−フェニレンジアミンがあげられる。さらに、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニロキシ,フリーラジカル)のようなニトロキシルラジカル化合物も、低濃度でインヒビターとして有効である。相乗剤と酸化防止剤の合計量は、典型的にはベース樹脂の合計重量に対して、100〜2000ppmの範囲である。接着促進剤のような他の添加剤も、公知のタイプと量で加えられることができる。
【0067】
これらの組成物はダイアタッチ接着剤として商業的に許容可能な範囲内で作られるであろう。80×80平方ミルのシリコンダイ上の接着剤のためのダイシェアーに対する商業的に許容可能な値は、室温で1kg以上であり、240℃で0.5kg以上である。500×500平方ミルのダイに対する許容可能なそりの値は室温で70Nm以下である。
【0068】
有利には、本発明のイミドリンクされたモノ−、ビス−、およびポリマレインイミド化合物および組成物は、室温で安定して柔軟な熱可塑性物質とし維持されるようにデザインすることができる。これらの熱可塑性のイミド―リンクしたマレインイミドは、完全に配合されられた接着剤パッケージを作るためにフィラー、触媒、インヒビターおよびカップリング剤とコンパウンドすることができる。これらの組成物のマトリックスは熱可塑性であるので、出荷または貯蔵の間に沈降は生じない。したがって、これらの特性はさらに冷凍不要なパッケージング、船積および貯蔵を許容する。これらの特性はさらに、電子部品および/または基体への使用および適用を可能にするために、様々な形およびサイズに本発明の接着剤を成形することを容易にする。したがって、本発明の1つの態様は、電子部品を基体に結合するために、基体に直接適用されることができる接着剤ロープを形成する方法に関する。この方法によれば、イミドリンクされたマレインイミド化合物あるいは接着性組成物は、ロープ形状に押し出される。その後、接着剤ロープの単位長さはパッケージングコンテナへ分配することができる。所望の使用、用途あるいは販売の単位に便利なように、分配される接着性ロープの長さは選択することができる。したがって、シングルユースの用途のために短いロープを、大量販売のためにより長い長さを分配することができる。この方法の1つの実施態様では、ロープ接着剤は、直径で約2〜15ミリメートルの円形、正方形、または長方形の形(短軸の断面)である。ロープ接着剤のための最も好ましい形は、(断面で)四つ葉のクローバあるいはヒトデの形状に押し出される場合である。本発明は、リボン、ドット、球体およびその他同種のもののような他の形状に、押出あるいは成形によって製造されることも企図する。例えば、基体へ単一の電子要素を結合するために、接着剤は適当なボリュームのシングルユースのドットに成形されることができる。個々のドットは使い捨ての紙またはフィルムベースの上に包装され、使用の際にむいてはがされることができる。接着剤のドットは、適当な電子装置基体(たとえば、リードフレーム、またはボールグリッドアレイ)に前もって適用されることができる。典型的には、ドットは直径で、0.5mmから10mmの範囲にある。大型装置に適合するために、基体の結合領域を横切って多くのドットを適用することができる。ドットは、半球、またはハーシーのキスチョコ状の形状であることができる。
【0069】
本発明は、さらに、ロープ、リボンおよびドットのような成形された接着剤製造物を使用して、基体へ電子要素を結合する方法を提供する。この方法によれば、接着剤製造物は、所望の電子要素を結合するのに十分な量で基体上に直接分配される。例えば、ロープは基体と接触することができる。また、所望の量を、末端から切断することができる。それによって、所望のボンディングの正確な箇所に制御された量の接着剤を供給する。任意に、溶融により接着剤の供給を容易にするために基体は加熱することができる。単一の用途に必要であろう接着剤の量が製造の際にあらかじめ決定されている場合、接着剤の個々のアリコートは、あらかじめ測定し、分配し、および引き続いて使用の際に、たとえば、それぞれのドットとして基体に移動させることができる。一旦接着剤が基体上に配置されれば、その後、電子要素は分配された接着剤と接触し、接着剤は硬化され、基体へ電子要素を結合する。この方法は過剰の接着剤の使用が回避されるという点で、廃棄物を低減する。
更に、この方法は、接着剤の正確なポジショニングを容易にし、基体および周囲の作業領域の接着剤による望まれない汚染を低減する。これらの接着剤の熱可塑性の性質は、ダイアタッチに使用された従来のペースト接着剤と比較して、商用用途のために他の著しい長所を有する。本明細書において記述された材料は、ペースト接着剤に伝統的に使用された−40℃の冷凍貯蔵条件を要求しない。十分なインヒビターを含んでいる完全に配合されられた熱可塑性接着剤混合物は、性能を何ら損なうことなく、数か月の間室温ないし若干低い温度で保持することができる。この接着剤の熱可塑性の性質は、そのような貯蔵中に樹脂基体からのフィラーの沈降を更に防ぐ。
【0070】
便利なことに、本発明の接着性組成物は、エンドユーザの消費用キットへパッケージにすることができる。それぞれのキットに含まれるものは、基体へ少なくとも1つの電子要素を結合するために十分な量の硬化可能なイミド−リンクされたマレインイミド接着性組成物、および基体へ電子要素を結合するために前述の接着剤を使用するための指示を含んでいるパッケージである。キットに供給される接着剤は、意図した最終用途に応じて、たとえば、バルク、ロープあるいはドット形状であることができる。その指示は、結合される要素(たとえば、要素電子部品と基体)の調製、接着剤の適用、様々な用途での使用量に関する示唆、および接着剤を硬化するのに必要な条件に関する指示を含むことを企図する。キットフォーマットは、当該技術分野において特性がよく知られていない本発明のマレインイミド接着剤に特に役立つだろう。例えば、接着剤製品(たとえば、ロープおよびドット)の適用と硬化に関する技術が説明され、例証されることができる。
【0071】
本発明の追加の実施態様は、硬化可能なイミド−リンクされたマレインイミド接着性組成物を含んでいる接着剤結合構造を含んでいる。接着剤結合構造の非制限的な例としては、基体に結合された電子部品、およびプリント配線板に結合された回路部品があげられる。
【0072】
本発明の別の実施態様においては、上記接着性組成物および/またはダイアタッチペーストを使用した、互いに接着された要素のアセンブリーが提供される。したがって、例えば、上記接着性組成物の硬化されたアリコートにより第2の物品に永久的に結合された第1の物品を含むアセンブリーが提供される。本発明の組成物を使用するアセンブリーのために企図された物品としては、記憶デバイス、ASICデバイス、マイクロプロセッサ、フラッシュメモリーデバイスおよび同種のものがあげられる。
【0073】
さらに企図されるものは、上記ダイアタッチペーストの硬化されたアリコートにより基体に永久的に結合された、マイクロエレクトロニックデバイスが含まれる。本発明のダイアタッチペーストの使用のために企図されたマイクロエレクトロニックデバイスとしては、銅のリードフレーム、アロイ42のリードフレーム、シリコンダイス、ガリウム砒化ダイス、ゲルマニウムダイスおよび同種のものをがあげられる。
【0074】
本発明の別の実施態様においては、上記アセンブリーを生産するために接着的に2つの構成部分を付着させる方法が提供される。したがって、例えば、以下を含む方法によって、第1の物品は、接着的に、第2の物品に付着させることができる:
(a)第1の物品に上記接着性組成物を適用すること、
(b)第1の物品および第2の物品を緊密に接触させアセンブリを形成する、ここで、第1および第2の物品は(a)に適用された接着性組成物によってのみ隔てられる、そしてその後、
(c)アセンブリーを接着性組成物を硬化するのに適当な条件に暴露すること。
【0075】
同様に、以下の方法により、マイクロエレクトロニックデバイスは基体に接着的に付着されることができる:
(a) 上記ダイアタッチペーストを基体および/またはマイクロエレクトロニックデバイスに適用すること、
(b)基体とデバイスを緊密に接触させアセンブリを形成する、ここで、基体とデバイスは(a)に適用されたダイアタッチ組成物によってのみ隔てられる、そしてその後、
(c)アセンブリーをダイアタッチ組成物が硬化するのに適当な条件に暴露すること。
【0076】
本発明のダイアタッチペーストを硬化するのに適当な条件は、上記アセンブリーを約200℃未満の温度に、約0.5から2分の間、暴露することを含んでいる。この迅速な短時間の加熱は、種種の方法、たとえば、イン−ラインの加熱レール、およびベルト炉などの方法で行うことができる。任意に、物質は150−220℃でオーブンで硬化されることができる。
【0077】
本発明の別の実施態様においては、イミド延長されたビスマレインイミドモノマーを調製する方法が提供される。そのような方法は、例えば末端アミノ部位を有するイミドを形成するのに適当な条件の下で、ジアミンと二無水物を接触させ;マレインイミドを形成するのに適当な条件の下で、末端アミノ部位と無水マレイン酸を接触させ、それによりイミド延長されたビスマレインイミドモノマーを製造することにより行なうことができる。
【0078】
本発明の化合物および方法を使用して、モノ−、ビス−または多官能化合物の賢明な選択およびその量によって、広範囲の架橋密度を有する接着剤を調製することが可能であることは理解される。多官能化合物のより大きな割合での反応は、より大きな架橋密度を提供する。熱可塑性の特性が望まれる場合、架橋密度を制限するために、接着性組成物は、モノ−官能化合物から(あるいは少なくともより高い割合で)作ることができる。ポリ官能性化合物の量が、所望の熱可塑性の特性を減じない量に制限されていれば、少量のポリ官能的化合物を組成物に幾分かの架橋結合および強度を提供するために追加することができる。これらのパラメータ内では、個々の接着剤の強度および弾性は特別の最終用途に適合させることができる。
【0079】
本明細書において、「架橋結合」は、元素、分子基あるいは化合物のブリッジによる2つ以上のポリマー鎖の結合を参照する。一般に、本発明の化合物の橋かけは加熱で起こる。架橋密度が増加するとともに、材料の特性は、熱可塑性から熱硬化性に変化することができる。
【0080】
次の例は、単に本発明を例証するように意図され、本発明を何ら制限するものではない。
【0081】
実施例
イミド延長されたモノ−、ビス−およびポリマレインイミドの合成
実施例1
テフロンコーティングされた撹拌バーを装備した500mlの丸底フラスコに、250mlのトルエンを投入した。35g(0.35モル)のトリエチルアミンをフラスコに加え、ついで無水メタンスルホン酸35g(0.36モル)をゆっくりと加え、塩を形成した。ほぼ10分間撹拌して混合し、ついでVersamine 552(ダイマージアミン、Cognis社製)の57g(0.11モル)を加えた。無水ピロメリト酸(10.9g、0.05モル)を、撹拌された混合物にゆっくり加えた。ディーンスタークトラップとコンデンサーをフラスコに取り付けた。混合物を2時間還流に熱し、アミン末端のジイミドを形成した。この縮合からの水の理論的な量は、この時までに集められた。反応混合物は、室温以下に冷却され、無水マレイン酸の12.8g(0.13モル)がフラスコに加えられ、続いて無水メタンスルホン酸の5gを加えた。混合物は、さらに12時間還流され、期待された量の水を得た。室温に冷却された後、さらにトルエン100mlがフラスコに加えられた。また、混合物は沈殿された。溶液の上澄みを除去し、塩は追加のトルエン(2×100ml)ですすがれた。抽出物は一緒にされ、次に一晩沈殿され、追加の塩および酸が分離するのに十分な時間が提供された。溶液は、30gのシリカゲルがしっかりと詰められたガラスフリット漏斗を通してろ過された。溶剤を真空下で除去し、暗色のワックス状の樹脂60g(収率84%)を得た。
【0082】
実施例2
前の実施例において概説された方法と同様な方法により、38g(0.38モル)のトリエチルアミンと、250mlのトルエン中の無水メタンスルホン酸38g(0.39モル)を混合して、塩を形成した。Versamine 552の59g(0.11モル)をフラスコに加え、ついで3,3,’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の16.1g(0.05モル)を、ゆっくりと加えた。混合物を約2時間還流し、水を共沸除去し、アミン末端のジイミドを形成した。反応混合物は、室温に冷却され、無水マレイン酸の12.5g(0.13モル)およびメタンスルホン酸の5gを加えた。混合物は、さらに12時間還流され、ビスマレインイミドを形成した。生成物は先の実施例に記載された手順により処理された。溶剤を完全に除去した後、暗い琥珀色の樹脂(65g、収率82%)を得た。
【0083】
実施例3
10g(0.10モル)のトリエチルアミンと、200mlのトルエン中のメタンスルホン酸11g(0.11モル)を混合して、塩を形成した。Versamine 552の32g(0.06モル)を混合物に加え、ついで1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(ノルボルニルジカルボン酸 無水物)ジシロキサンの13.5g(0.03モル)を、ゆっくりと加えた。水を共沸除去し、アミン末端のジイミドを形成した。これはほぼ1時間の還流を要した。反応混合物は冷却され、無水マレイン酸の10g(0.10モル)およびメタンスルホン酸の3gを加えた。混合物は、さらに18時間還流され、ディーンスタークトラップに必要な量の水を採取した。生成物は先の実施例に記載された手順により処理された。溶剤を除去した後、暗い琥珀色の樹脂として最終生成物(35g、収率73%)を得た。
【0084】
実施例4
40g(0.40モル)のトリエチルアミンと、200mlのトルエン中のメタンスルホン酸40g(0.42モル)を混合して、塩を形成した。Versamine 552の57g(0.11モル)と2,8−デカジエン−1,10−ジコハク酸無水物の17g(0.05モル)を、シーケンシャルに加えた。混合物を12時間還流し、水を共沸除去し、アミン末端のジイミドを形成した。反応混合物は室温に冷却され、無水マレイン酸の12.8g(0.13モル)およびメタンスルホン酸の5gをフラスコに加えた。混合物は、さらに一晩加熱され還流され、水を共沸除去した。生成物を処理し、琥珀色の樹脂65g(収率82%)を得た。
【0085】
実施例5
500mlのフラスコ中で35g(0.35モル)のトリエチルアミンと、250mlのトルエン中のメタンスルホン酸36g(0.37モル)を混合して、塩を形成した。
Versamine 552の90g(0.17モル)をフラスコに加え、ついで無水ピロメリト酸24g(0.11モル)を、ゆっくりと加えた。ほぼ2時間の還流の後、水を完全に共沸除去し、アミン末端のジイミドを形成した。反応混合物は室温に冷却され、無水マレイン酸の13g(0.13モル)およびメタンスルホン酸の10gを加えた。混合物は、再度12時間還流され、イミド−リンクされたビスマレインイミドが生成された。生成物は先の実施例に記載された手順により処理された。溶剤を完全に除去した後、暗い琥珀色の樹脂(100g、収率82%)を得た。
【0086】
実施例6
1リットルのフラスコ中で50g(0.50モル)のトリエチルアミンと、400mlのトルエン中の無水メタンスルホン酸50g(0.52モル)を混合して、塩を形成した。ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.2.6]デカンの33g(0.17モル)をフラスコに加え、ついで4,4’−ビスフェノール−A 二無水物42g(0.08モル)を、ゆっくりと加えた。ほぼ2時間の還流により水を完全に共沸除去し、アミン末端のジイミドを形成した。反応混合物は室温に冷却され、無水マレイン酸の22g(0.22モル)およびメタンスルホン酸の8gを加えた。混合物は、再度16時間還流され、イミド−リンクされたビスマレインイミドが生成された。生成物は先の実施例に記載された手順により処理された。溶剤を完全に除去した後、ガラス質の、淡黄色の固体80g(収率94%)を得た。
【0087】
実施例7
1リットルのフラスコ中で35g(0.35モル)のトリエチルアミンと、400mlのトルエン中の無水メタンスルホン酸36g(0.38モル)を混合して、塩を形成した。2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロバン42g(0.10モル)をフラスコに加え、ついで無水ピロメリト酸11g(0.05モル)を、ゆっくりと加えた。ほぼ2時間の還流により水を共沸除去し、所望のアミン末端のジイミドを形成した。反応混合物は室温に冷却され、無水マレイン酸の8g(0.08モル)およびメタンスルホン酸の8gを加えた。混合物は、再度6時間還流され、ビスマレインイミドが生成された。真空下での溶剤除去、ブフナー漏斗での水による固体の洗浄による塩および酸の除去からなる生成物の処理を行った。水のほとんどを除去するため、アセトンで最後のリンスを行った。生成物を浅いパンの上に広げ、ほぼ100℃でオーブン中で一晩乾燥された。乾燥後、細かな黄色の粉末(44g、収率86%)を得た。
【0088】
実施例8
1リットルのフラスコ中で35g(0.35モル)のトリエチルアミンと、400mlのトルエン中の無水メタンスルホン酸36g(0.38モル)を混合して、塩を形成した。ビスフェノールA 二無水物(32g、0.06モル)をフラスコに加え、ついでVersamine 552の16g(0.03モル)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した後、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロバン24g(0.06モル)をフラスコに加えた。水の共沸除去を約20時間行い、所望のアミン末端のイミドを形成した。反応混合物は室温に冷却され、無水マレイン酸の10g(0.10モル)およびメタンスルホン酸の5gを加えた。混合物は、再度18時間還流され、イミド−延長されたビスマレインイミドが生成された。生成物は先の実施例に記載された手順により処理された。溶剤を除去した後、黄色の砕けやすいガラス質の固体60g(収率82%)を得た。
【0089】
実施例9
テフロンコーティングを施した撹拌バーを装備した500mlの丸底フラスコに、トルエンの100mlと共にエチレンジアミン24g(0.40モル)を投入した。8重量%の無水マレイン酸でグラフトされたポリブタジエン(RI130MA8、Sartomer社製)の100gをゆっくりと加えた。水および過剰のエチレンジアミンの共沸除去が12時間の還流により行なわれた。過剰のエチレンジアミンの除去は反応容器への蒸気の導入によって援助された。その後、トリエチルアミン−メタンスルホン酸の塩(25g)が、メタンスルホン酸の3gおよび無水マレイン酸の12g(0.12モル)とともに溶液に加えられた。水の共沸除去を12時間の間行い、ポリマレインイミドを形成した。生成物は先の実施例に記載された手順により処理された。琥珀色の粘ちゅうな液体樹脂を100g得た。
【0090】
実施例10
トルエン(350ml)が、テフロンをコーティングした撹拌バーを装備した1リットルの丸底フラスコに加えられた。トリエチルアミン、50g(約0.50モル)がフラスコに加えられ、ついで無水のメタンスルホン酸の50g(0.52モル)のをゆっくりと加えた。混合物を室温でほぼ10分間撹拌し、ついでVersamine 552(ダイマー ジアミン(Cognis社製))の90g(0.17モル)を加えた。混合物に、BPADA(4、4’−ビスフェノールA 二無水物、GEプラスチック)の41g(0.08モル)を加えた。ディーンスタークトラップとコンデンサーをフラスコに取り付け、混合物を還流に加熱した。およそ2時間の後、アミン末端ジイミドへの完全な転化に対応する量の水が採取された。混合物は、40℃以下に冷却され、粉砕された無水マレイン酸の22g(0.23モル、約20%過剰)がフラスコに加えられ、ついでさらに10gの無水メタンスルホン酸を加えた。混合物は、再度ゆっくりと加熱され、還流された。ディーンスタークトラップ中に期待される量の水を採取するまでに、ほぼ18時間の還流が必要であった。室温に冷却した後に、200mlの追加のトルエンがフラスコに加えられ;撹拌がこの時点で停止され、混合物は分離することを許容された。上部(トルエン溶液)のフラクションは、2リットルのエルレンマイヤーフラスコへ注意深くデカントされた。塩はトルエン(2×500ml)で洗浄され、そのすすぎ液もデカントされ、一緒にされた。一緒にされたトルエン溶液から、より多くの塩および酸が分離されるよう、十分な時間を与えるため、琥珀色の溶液は一晩沈殿された。その後、溶液は、65gのシリカゲルがしっかりと詰められたガラスフリット漏斗を通してろ過された。濾過後、シリカゲルは追加のトルエン100mlで洗浄された。トルエンを真空下で除去し、暗色の琥珀色の樹脂120g(収率約85%)を得た。
【0091】
実施例11
引っ張り接着試験が先の実施例からの生成物について行われた。試験樹脂に加えられた唯一の成分は2重量%のジクミルパーオキサイド開始剤であった。触媒された樹脂混合物は、アルミニウムスタッドに銅スラグを付けるために使用された。アルミニウムポストは、290ミルの接触ヘッド直径を有していた。銅スラグの寸法は1000×400×150ミルであった。触媒された樹脂混合物について、それぞれ10個の試験アセンブリが作られた。部材は200℃のオーブン中で30分間硬化された。部材はついで室温に冷却され、SebastianIII引っ張り試験機を使用して接着強度が測定された。試験混合物とともに対照の組成物について試験が行われた。対照混合物はダイマージアミン(すなわちVersamine 552)から誘導されたビスマレインイミドであり、2%のジクミルパーオキサイドで触媒された。
【0092】
【表1】

【0093】
【表2】

【0094】
表1および2に示される、すべてのサンプルについての接着試験結果は、対照の試験組成物に比較して明瞭に優れている。理論により拘束されることは望まないが、ここに示された改良は、本発明の組成物とダイマージアミンのみから誘導されたBMIとの間の、減少された架橋密度および/または低減された硬化収縮の直接的な結果であると考えられる。
【0095】
本発明が特定の実施例に基づいて説明されたが、本発明の精神を逸脱することなく他の改良および変法が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造式を有するイミド延長されたビスマレインイミド:
【化1】


式中、RおよびQは、各々独立して、置換または非置換の、脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、またはシロキサン部位であり;
また、nは1から約10である、ただしイミド延長されたビスマレインイミドは以下のものではない。
【化2】

【請求項2】
RおよびQは、各々独立して、置換または非置換の直鎖、分岐または環状の、2から約100の炭素原子を有する脂肪族部位である、請求項1記載のビスマレインイミド。
【請求項3】
RおよびQは、各々独立して、置換または非置換の6から約14の炭素原子を有する芳香族またはヘテロ芳香族部位である、請求項1記載のビスマレインイミド。
【請求項4】
RおよびQは、各々独立して、置換または非置換の2から約50の珪素原子を有するシロキサン部位である、請求項1記載のビスマレインイミド。
【請求項5】
シロキサン部位がポリシロキサンである、請求項4記載のビスマレインイミド。
【請求項6】
ポリシロキサンが、ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサンまたはそれらの組み合わせから選択される繰り返し単位を有する、請求項5記載のビスマレインイミド。
【請求項7】
置換された脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族またはシロキサン部位が、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、水酸基、オキソ基、アルコキシ基、メルカプト基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、ヘテロ環基、置換ヘテロ環基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、アリールオキシ基、置換アリールオキシ基、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ニトロン基、アミノ基、アミド基、−C(O)H、−C(O)−、−C(O)−、−S−、−S(O)、−OC(O)−O−、NR−C(O)、−NRC(O)−NR、−OC(O)−NR、(式中RはHまたは低級アルキル基である)、アシル基、オキシアシル基、カルボキシル基、カルバメート基、スルホニル基、スルホンアミド基、またはスルフリル基から選択される置換基を有する、請求項1記載のビスマレインイミド。
【請求項8】
以下の構造式を有するモノマレインイミド;
【化3】


式中、Rは置換または非置換の脂肪族または芳香族であり、Rは置換または非置換の脂肪族、芳香族またはシロキサンである。
【請求項9】
は、置換または非置換の直鎖、分岐または環状の、2から約100の炭素原子を有する脂肪族部位である、請求項8記載のマレインイミド。
【請求項10】
およびRは、各々独立して、置換または非置換の6から約14の炭素原子を有する芳香族またはヘテロ芳香族部位である、請求項8記載のマレインイミド。
【請求項11】
は、置換または非置換の2から約50の珪素原子を有するシロキサン部位である、請求項8記載のマレインイミド。
【請求項12】
シロキサン部位がポリシロキサンである、請求項11記載のマレインイミド。
【請求項13】
ポリシロキサンが、ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサンまたはそれらの組み合わせから選択される繰り返し単位を有する、請求項12記載のマレインイミド。
【請求項14】
置換された脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族またはシロキサン部位が、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、水酸基、オキソ基、アルコキシ基、メルカプト基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、ヘテロ環基、置換ヘテロ環基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、アリールオキシ基、置換アリールオキシ基、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ニトロン基、アミノ基、アミド基、−C(O)H、−C(O)−、−C(O)−、−S−、−S(O)、−OC(O)−O−、NR−C(O)、−NRC(O)−NR、−OC(O)−NR、(式中RはHまたは低級アルキル基である)、アシル基、オキシアシル基、カルボキシル基、カルバメート基、スルホニル基、スルホンアミド基、またはスルフリル基から選択される置換基を有する、請求項8記載のマレインイミド。
【請求項15】
以下の構造式を有する複数のペンダント繰り返し単位を有するポリマーを含むポリマレインイミド;
【化4】


式中、Rは、置換または非置換の、脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、またはシロキサン部位である。
【請求項16】
は、置換または非置換の直鎖、分岐または環状の、2から約100の炭素原子を有する脂肪族部位である、請求項15記載のポリマー。
【請求項17】
は、置換または非置換の6から約14の炭素原子を有する芳香族またはヘテロ芳香族部位である、請求項15記載のポリマー。
【請求項18】
は、置換または非置換の2から約50の珪素原子を有するシロキサン部位である、請求項15記載のポリマー。
【請求項19】
シロキサン部位がポリシロキサンである、請求項18記載のポリマー。
【請求項20】
ポリシロキサンが、ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサンまたはそれらの組み合わせから選択される繰り返し単位を有する、請求項19記載のポリマー。
【請求項21】
置換された脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族またはシロキサン部位が、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、水酸基、オキソ基、アルコキシ基、メルカプト基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、ヘテロ環基、置換ヘテロ環基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、アリールオキシ基、置換アリールオキシ基、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ニトロン基、アミノ基、アミド基、−C(O)H、−C(O)−、−C(O)−、−S−、−S(O)、−OC(O)−O−、NR−C(O)、−NRC(O)−NR、−OC(O)−NR、(式中RはHまたは低級アルキル基である)、アシル基、オキシアシル基、カルボキシル基、カルバメート基、スルホニル基、スルホンアミド基、またはスルフリル基から選択される置換基を有する、請求項15記載のポリマー。
【請求項22】
以下の構造式を有する、複数の繰り返し単位を有するポリマレインイミドポリマー;
【化5】


式中、Rは、置換または非置換の直鎖、分岐または環状の、2から約100の炭素原子を有する脂肪族部位であるか、またはRは芳香族部位である。
【請求項23】
は、置換または非置換の6から約14の炭素原子を有する芳香族またはヘテロ芳香族部位である、請求項22記載のポリマー。
【請求項24】
は、置換または非置換の2から約50の珪素原子を有するシロキサン部位である、請求項22記載のポリマー。
【請求項25】
シロキサン部位がポリシロキサンである、請求項24記載のポリマー。
【請求項26】
ポリシロキサンが、ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサンまたはそれらの組み合わせから選択される繰り返し単位を有する、請求項25記載のポリマー。
【請求項27】
置換された脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族またはシロキサン部位が、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、水酸基、オキソ基、アルコキシ基、メルカプト基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、ヘテロ環基、置換ヘテロ環基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、アリールオキシ基、置換アリールオキシ基、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ニトロン基、アミノ基、アミド基、−C(O)H、−C(O)−、−C(O)−、−S−、−S(O)、−OC(O)−O−、NR−C(O)、−NRC(O)−NR、−OC(O)−NR、(式中RはHまたは低級アルキル基である)、アシル基、オキシアシル基、カルボキシル基、カルバメート基、スルホニル基、スルホンアミド基、またはスルフリル基から選択される置換基を有する、請求項22記載のポリマー。
【請求項28】
少なくとも1種のイミド延長された請求項1記載のビスマレインイミド、および少なくとも1種の硬化開始剤を含む、接着剤組成物。
【請求項29】
少なくとも1種の硬化開始剤が、組成物の合計重量の0.1重量%から約5重量%を構成する、請求項28記載の接着剤組成物。
【請求項30】
少なくとも1種のイミド延長された請求項1記載のビスマレインイミド、少なくとも1種の請求項8記載のモノマレインイミド、少なくとも1種の請求項15記載のポリマー、少なくとも1種の請求項22記載のポリマー、および少なくとも1種の硬化開始剤を含む、接着剤組成物。
【請求項31】
少なくとも1種の硬化開始剤が、組成物の合計重量の0.1重量%から約5重量%を構成する、請求項30記載の接着剤組成物。
【請求項32】
硬化開始剤が、フリーラジカル開始剤または光開始剤を含む、請求項28記載の硬化可能な接着剤組成物。
【請求項33】
少なくとも1種のイミド延長された請求項1記載のビスマレインイミド、少なくとも1種の請求項8記載のモノマレインイミド、少なくとも1種の請求項15記載のポリマー、少なくとも1種の請求項22記載のポリマー、および少なくとも1種の硬化開始剤を含む接着剤組成物であって、接着剤組成物が室温で柔軟である、硬化可能な接着剤組成物。
【請求項34】
少なくとも1種のイミド延長された請求項1記載のビスマレインイミド、少なくとも1種の請求項8記載のモノマレインイミド、少なくとも1種の請求項15記載のポリマー、少なくとも1種の請求項22記載のポリマー、および少なくとも1種の硬化開始剤を含む接着剤組成物であって、接着剤組成物が高温で安定である、硬化可能な接着剤組成物。
【請求項35】
以下を含むダイアタッチペースト;
a) 請求項1記載のイミド延長されたビスマレインイミドを、組成物の全重量に基づいて2重量%から約98重量%;
b) 導電性フィラーを0から約90 重量%;
d) 少なくとも1つの硬化開始剤を組成物の全重量に基づいて0.1重量%から約5重量%;
e) 少なくとも1つのカップリング剤を組成物の全重量に基づいて0.1重量%から約4重量%。
【請求項36】
カップリング剤がシリケートエステル、金属アクリレート塩、またはチタネートである、請求項35記載のダイアタッチペースト。
【請求項37】
伝導性フィラーが電気伝導性である、請求項35記載のダイアタッチペースト。
【請求項38】
少なくとも1種の硬化開始剤がペルオキサイドである、請求項35記載のダイアタッチペースト。
【請求項39】
末端のアミノ部位を有するイミドを形成するのに適当な条件下で、ジアンハイドライドとジアミンを接触させ;
末端のアミノ部位を無水マレイン酸と、マレインイミドを形成するのに適当な条件下で接触させ、イミド延長されたビスマレインイミドモノマーを生成することを含む、
イミド延長されたビスマレインイミドモノマーの調製方法。
【請求項40】
請求項39記載の方法により調製された、イミド延長されたビスマレインイミドモノマー。
【請求項41】
請求項35記載のダイアタッチペーストの硬化されたアリコートにより、第2の物品に永久的に接着された第1の物品を含む、アセンブリ。
【請求項42】
少なくとも1つの電子要素を基体に結合するのに十分な、イミド延長されたモノ−、ビス−またはポリマレインイミドを含む接着性組成物の所定量;
および基体への電子要素を結合するために接着性組成物を使用するための指示、を含んでいる、パッケージを含む、基体へ電子要素を結合するためのキット。
【請求項43】
c.イミド延長されたモノ−、ビス−あるいはポリマレインイミドを含む接着性組成物の提供;および
d.円形の形作られた形状を介して接着性の組成物を押し出して、それにより接着性のロープを形成することを含む、
硬化可能な接着性ロープ製品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−117070(P2012−117070A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−44(P2012−44)
【出願日】平成24年1月4日(2012.1.4)
【分割の表示】特願2006−513422(P2006−513422)の分割
【原出願日】平成16年4月30日(2004.4.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(506389942)デジグナー モレキュールズ インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】