説明

イメージセンサ

【課題】制御信号のノイズの低減を図ることができ、画品位の向上が実現するイメージセンサを提供する。
【解決手段】電子シャッタ機能を有するCMOS型固体撮像素子12、レンズ10、フラッシュを備えるイメージセンサ1において、CMOS型固体撮像素子12内のパルス生成回路によって電子シャッタパルス、光学系移動パルス及びフラッシュパルスを生成する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はイメージセンサに関する。詳しくは、電子シャッタ機能、オートフォーカス機能及びフラッシュ機能を有するイメージセンサに係るものである。
【背景技術】
【0002】
図3(a)は従来のイメージセンサを説明するための模式図であり、ここで示すイメージセンサ101は、入射光を集光するレンズ110と、レンズ110で集光された光を所定時間だけ通過させるメカニカルシャッタ111と、レンズ110及びメカニカルシャッタ111を介して入射される被写体の画像を撮像するCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型固体撮像素子112と、レンズ110、メカニカルシャッタ111及びCMOS型固体撮像素子112を制御する制御部113を備えている。なお、被写体から発せられた光は、レンズ110及びメカニカルシャッタ111を経て、CMOS型固体撮像素子112に入射することとなる。
【0003】
ここで、CMOS型固体撮像素子112は、図4で示す様に、多数の画素がマトリクス状に配列されており、この画素部52の各行(以下、ラインと称する。)を順に選択するための垂直走査回路54と、画素部52の各列(以下、カラムと称する。)を順に選択するための水平走査回路60と、信号を出力するための出力回路61を備えている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、垂直走査回路54と水平走査回路60は、例えば、シフトレジスタによって構成され、垂直走査パルス及び水平走査パルスを各ライン及び各カラムに1個ずつ順に発生する様に構成されている。
【0005】
また、各画素に蓄えられた画像信号を読み出す際には、垂直走査回路54によりパルス信号が一の垂直選択線53に加えられ、1ライン分の各画素トランジスタ51を全て通電させ、各感光部50から画像信号が各垂直信号線55に読み出される。各垂直信号線55に読み出された画像信号は、画素ごとのオフセット信号を除去する相関二重サンプリング回路(CDS)56等の回路に供給される。
【0006】
水平走査回路60は、各垂直信号線55に接続されているトランジスタ57に水平選択線59を介してパルス信号を加え、トランジスタ57を通電状態にする。CDS56によりオフセット信号が除去された画像信号は、水平信号線58に読み出され、出力回路61により電圧信号に変換されて、外部に出力される。
【0007】
ところで、近年のイメージセンサの多くに、被写体に対してフォーカスを自動的に合わせるオートフォーカス機能が搭載されている。一般に、オートフォーカス機能は、撮像画像信号の高周波成分に基づいて撮像画像のコントラストを検出し、コントラストが高いときにフォーカスが合っていると判定することで実現される。例えば、所定の設定領域内に存在する撮像画像信号の高周波成分を積分したフォーカス評価値を呼ばれるデータを生成し、このフォーカス評価値が最大となるようにフォーカスレンズを移動するといった具合である。
そして、こうしたオートフォーカスを実現するために、レンズ111を適宜移動させる必要があり、レンズについては制御部113によって移動制御を行っている。
【0008】
また、イメージセンサが低照度の被写体を撮像する場合には、被写体に光を照射して光量を補うべくフラッシュが使用され、このフラッシュの発光タイミングについては制御部113によって行っている。
【0009】
更に、イメージセンサには、CMOS型固体撮像素子の信号電荷の蓄積時間を制御することにより露光時間を制御し、これにより動きの早い被写体を撮像する場合でも、ぶれの無い撮像結果を取得できる様に、電子シャッタ機能が搭載されており、こうした電子シャッタ機能については制御部113によって制御を行っている。
【0010】
また、イメージセンサの多くは、メカニカルシャッタ111が使用されている。メカニカルシャッタを使用することにより、イメージセンサへの光の入射をほぼ完全に遮断することができ、意図しない入射光に起因するノイズの発生を抑制できるからである。
そして、こうしたメカニカルシャッタ111については制御部113によって開閉動作の制御を行っている。
【0011】
ここで、制御部113が、レンズの移動制御、フラッシュの発光タイミングの制御、電子シャッタ機能の制御、メカニカルシャッタの開閉動作制御といった各制御を行う際には、各制御信号(具体的には、レンズ移動制御信号、発光タイミングの制御信号、電子シャッタ機能の制御信号、メカニカルシャッタの開閉動作制御信号)に基づいてその制御を行うことになるのであるが、各制御信号については、CMOS型固体撮像素子からの画像信号に基づいて、デジタルシグナルプロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)によって基準タイミングが生成されると共に、生成された基準タイミングに基づいて各制御信号が生成されている。
【0012】
即ち、図3(b)で示す様に、CMOS型固体撮像素子112からの画像信号がDSP114に転送され、DSPによって、基準タイミングが生成されると共に、基準タイミングに基づいた制御信号が生成され、各制御手段115(具体的には、レンズの移動を制御するVCMドライバ回路、フラッシュ機能を制御するフラッシュ機構、メカニカルシャッタの開閉動作を制御するメカシャッタ機構等)に制御信号が出力されることとなる。
なお、特許文献2では、図5で示す様に、CMOS型固体撮像素子112からの画像信号がDSP114に供給され、DSPによって基準タイミングが生成されると共に、基準タイミングに基づいて制御信号が生成された上で、撮像駆動部115a、絞り駆動部115b、レンズ駆動部115cに制御信号が出力されている。
【0013】
【特許文献1】特開平10−126697号公報
【0014】
【特許文献2】特開2006−279652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記したイメージセンサでは、固体撮像素子から出力された画像信号に基づいてDSPが基準タイミングを生成しているために、基準タイミングにタイミングノイズが発生し易い。即ち、固体撮像素子からDSPに画像信号を出力する際に、画像信号にノイズが含まれる恐れがあり、こうしたノイズを含む可能性が高い画像信号に基づいてDSPによって基準タイミングを生成しているために、生成された基準タイミングにはノイズが含まれる可能性が高く、結果として制御信号にノイズが含まれる可能性が高くなるのである。
また、設計上イメージセンサチップとDSP等の半導体素子は設計や製造を別に行う場合が多く、カメラ機能は一般に撮像(イメージセンサでの露光)の機能を優先して他のフラッシュやAF,AE等の光学系のタイミング制御が同調されるが、上記のようにイメージセンサとDSPとを別に設計、製造を行うと同調がとりにくい場合が多く、同調がとれずにタイミングがずれると画質が劣化することがある。
【0016】
本発明は以上の点に鑑みて創案されたものであって、制御信号のノイズの低減とタイミングのずれの低減を図ることができるイメージセンサを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するために、本発明に係るイメージセンサは、蓄積した信号電荷をシャッタ速度に応じたタイミングで出力する電子シャッタ機能を有する固体撮像素子と、該固体撮像素子の撮像エリア上に入射光を集光する光学系と、前記固体撮像素子で撮像する被写体に光を照射するフラッシュとを備えるイメージセンサにおいて、前記固体撮像素子は、前記電子シャッタ機能を用いて信号電荷の蓄積時間を制御するための電子シャッタパルス、前記光学系の移動を制御するための光学系移動パルス、若しくは、前記フラッシュの発光タイミングを制御するフラッシュパルスのうちの少なくとも1つのパルスを生成するパルス生成回路を備える。
【0018】
ここで、電子シャッタ機能を用いて信号電荷の蓄積時間を制御するための電子シャッタパルス、光学系の移動を制御するための光学系移動パルス、若しくは、フラッシュの発光タイミングを制御するフラッシュパルスのうちの少なくとも1つのパルスを生成するパルス生成回路を固体撮像素子が備えているために、パルス生成回路によって生成されたパルス(具体的には制御信号の基準タイミング)のノイズを抑制することができる。
即ち、固体撮像素子から画像信号を外部回路(例えばDSP)に出力して、外部回路で基準タイミングを生成する場合には、固体撮像素子から基準タイミングを生成する外部回路に画像信号が到達するまでの間に画像信号にノイズが含まれてしまうために、生成される基準タイミングにノイズが含まれることが懸念されるのに対して、固体撮像素子から画像信号を外部回路に出力することなく、固体撮像素子内部で基準タイミングを生成することによって、基準タイミングのノイズを抑制することができるのである。
【0019】
なお、「電子シャッタ機能を用いて信号電荷の蓄積時間を制御するための電子シャッタパルス、光学系の移動を制御するための光学系移動パルス、若しくは、フラッシュの発光タイミングを制御するフラッシュパルスのうちの少なくとも1つのパルス」としているために、電子シャッタパルス、光学系移動パルス、若しくは、フラッシュパルスのいずれか1つ若しくは2つのパルスの基準タイミングを固体撮像素子のパルス生成回路で生成しても良い。但し、全てのパルスの基準タイミングを固体撮像素子のパルス生成回路で生成した場合には、全てのパルスの基準タイミングのノイズを抑制することができるために、電子シャッタパルス、光学系移動パルス及びフラッシュパルスの全てのパルスの基準タイミングを固体撮像素子のパルス生成回路で生成する方が好ましい。
更に、光学系で集光された入射光を所定時間だけ通過させるメカニカルシャッタを備えるイメージセンサにおいては、メカニカルシャッタでの入射光の通過時間を制御するメカニカルシャッタパルスの基準タイミングを固体撮像素子のパルス生成回路で生成することによって、メカニカルシャッタパルスの基準タイミングのノイズを抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のイメージセンサでは、制御信号の基準タイミングのタイミングノイズの低減を図ることができ、基準タイミングのノイズによる画品位の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1(a)は本発明を適用したイメージセンサを説明するための模式図であり、ここで示すイメージセンサ1は、従来のイメージセンサと同様に、入射光を集光するレンズ10と、レンズ10で集光された光を所定時間だけ通過させるメカニカルシャッタ11と、レンズ10及びメカニカルシャッタ11を介して入射される被写体の画像を撮像するCMOS型固体撮像素子12と、レンズ10、メカニカルシャッタ11及びCMOS型固体撮像素子12を制御する制御部13を備えている。なお、被写体から発せられた光は、レンズ10及びメカニカルシャッタ11を経て、CMOS型固体撮像素子12に入射することとなる。
【0022】
ここで、CMOS型固体撮像素子12は、上記した従来のCMOS型固体撮像素子と同様に(図4参照。)、多数の画素がマトリクス状に配列されており、この画素部52の各ラインを順に選択するための垂直走査回路54と、画素部の各カラムを順に選択するための水平走査回路60と、信号を出力するための出力回路61を備えている。垂直走査回路54と水平走査回路60は、例えば、シフトレジスタによって構成され、垂直走査パルス及び水平走査パルスを各ライン及び各カラムに1個ずつ順に発生する様に構成されている。また、各画素に蓄えられた画像信号を読み出す際には、垂直走査回路54によりパルス信号が一の垂直選択線53に加えられ、1ライン分の各画素トランジスタ51を全て通電させ、各感光部50から画像信号が各垂直信号線55に読み出される。各垂直信号線55に読み出された画像信号は、画素ごとのオフセット信号を除去するCDS56等の回路に供給される。水平走査回路60は、各垂直信号線55に接続されているトランジスタ57に水平選択線59を介してパルス信号を加え、トランジスタ57を通電状態にする。CDS56によりオフセット信号が除去された画像信号は、水平信号線58に読み出され、出力回路61により電圧信号に変換されて、外部に出力される。
【0023】
ここで、本発明を適用したイメージセンサについても、上記した従来のイメージセンサと同様に、オートフォーカス機能が搭載されており、オートフォーカスを実現するためにレンズ11を制御部13によって移動制御を行っている。
また、フラッシュ機能、メカニカルシャッタ機能、電子シャッタ機能も搭載されており、フラッシュ機能の発光タイミングの制御、メカニカルシャッタ11の開閉動作制御、電子シャッタ機能の制御についても制御部13によって行っている。
【0024】
さて、制御部13が、レンズの移動制御、フラッシュの発光タイミングの制御、メカニカルシャッタの開閉動作制御、電子シャッタ機能の制御といった各制御を行う際には、それぞれの制御信号に基づいてその制御を行うことになるのは、上記した従来のイメージセンサと同様であるが、本発明を適用したイメージセンサでは、各制御信号の基準タイミングについては、CMOS型固体撮像素子内のパルス生成回路によって生成され、生成された基準タイミング及び画像信号に基づいてDSPによって各制御信号が生成される様に構成されている。
【0025】
即ち、図1(b)で示す様に、CMOS型固体撮像素子12から画像信号及び基準タイミングがDSP14に転送され、DSPによって、画像信号及び基準タイミングに基づいた制御信号が生成され、各制御手段15に制御信号が出力されることとなる。
更に具体的には、図2で示す様に、CMOS型固体撮像素子12内のパルス生成回路20によって基準タイミングが生成され、生成された基準タイミングと画像信号がDSP14に供給され、DSPによって基準タイミング及び画像信号に基づいて制御信号が生成された上で、撮像駆動部15a、絞り駆動部15b、レンズ駆動部15cに制御信号が出力されることとなる。
【0026】
本発明を適用したイメージセンサでは、CMOS型固体撮像素子内のパルス生成回路によって基準タイミングが生成されるために、基準タイミングがノイズを含むことがなく、結果として基準タイミング及び画像信号に基づいてDSPで生成される各制御信号のノイズをも低減することができる。また、同様の理由から、他のフラッシュや光学系のタイミング制御の同調もとりやすくなる。そして、各制御信号のノイズを抑制することができる結果として、イメージセンサの画品位向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明を適用したイメージセンサを説明するための模式図(1)である。
【図2】本発明を適用したイメージセンサを説明するための模式図(2)である。
【図3】従来のイメージセンサを説明するための模式図(1)である。
【図4】CMOS型固体撮像素子を説明するための模式図である。
【図5】従来のイメージセンサを説明するための模式図(2)である。
【符号の説明】
【0028】
1 イメージセンサ
10 レンズ
11 メカニカルシャッタ
12 CMOS型固体撮像素子
13 制御部
14 DSP
15 制御手段
15a 撮像駆動部
15b 絞り駆動部
15c レンズ駆動部
20 パルス生成回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄積した信号電荷をシャッタ速度に応じたタイミングで出力する電子シャッタ機能を有する固体撮像素子と、該固体撮像素子の撮像エリア上に入射光を集光する光学系と、前記固体撮像素子で撮像する被写体に光を照射するフラッシュとを備えるイメージセンサにおいて、
前記固体撮像素子は、
前記電子シャッタ機能を用いて信号電荷の蓄積時間を制御するための電子シャッタパルス、前記光学系の移動を制御するための光学系移動パルス、若しくは、前記フラッシュの発光タイミングを制御するフラッシュパルスのうちの少なくとも1つのパルスを生成するパルス生成回路を備える
ことを特徴とするイメージセンサ。
【請求項2】
前記パルス生成回路は、
前記電子シャッタパルス、前記光学系移動パルス及び前記フラッシュパルスを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項3】
前記光学系で集光された入射光を所定時間だけ通過させるメカニカルシャッタを備え、
前記パルス生成回路は、該メカニカルシャッタでの入射光の通過時間を制御するメカニカルシャッタパルスを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−289009(P2008−289009A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−133385(P2007−133385)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】