説明

インクジェット式記録装置およびそのヘッドクリーニング方法

【課題】 ヘッドクリーニングに消費されるインクを低減するとともに、ヘッドクリーニング時間を短縮してコストの低廉化を図る。
【解決手段】 インクジェット式記録ヘッドのノズルに負圧を加えてインクを吸引排出する第一工程と、この第一工程後に前記ノズルからのインク滴の吐出有無を検出する第二工程とを備え、ノズルの全てにおいてインク滴の吐出を検出するまで両工程を繰り返して実施するインクジェット式記録装置のヘッドクリーニング方法であって、第一工程における二回目以降のインク吸引排出動作を第二工程の検出結果に基づいて実行・停止し、このインク吸引排出動作を実行する場合にはその動作量を調整する方法とされる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録ヘッドからインクを排出するインク吐出能力回復手段を備えたインクジェット式記録装置およびそのヘッドクリーニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット式記録装置は、印刷時の騒音が比較的小さく、しかも小さなドットを高い密度で形成できるため、昨今においてはカラー印刷を含めた多くの印刷に使用されている。このようなインクジェット式記録装置には、インクカートリッジからのインクの供給を受けるインクジェット式の記録ヘッドと、この記録ヘッドに対して記録用紙を相対的に移動させる紙送り手段とが備えられている。そして、印字信号に応じて記録ヘッドを移動させながら記録用紙にインク滴を吐出させてドットを形成することで記録が行われる。この場合、キャリッジ上に例えばブラック,イエロー,シアンおよびマゼンタのインクの吐出が可能な記録ヘッドを搭載し、各インクの吐出割合を変えることにより、フルカラー印刷を可能としている。
【0003】このように、インクジェット式記録装置においては、インクをノズルからインク滴として記録用紙に吐出させて印刷を行う関係上、次に示すような問題を抱えている。すなわち、ノズル開口からのインク溶媒の蒸発に起因するインク粘度の上昇やノズル形成面におけるインクの固化,塵埃の付着によってノズル開口に目詰まりが発生し、さらには記録ヘッド内に気泡が混入し、印刷不良を起こすという問題である。
【0004】このため、インクジェット式記録装置には、前記記録ヘッドおよび前記紙送り手段に加え、非印刷時に記録ヘッドのノズル形成面を封止するキャッピング手段と、このキャッピング手段内にインクを吸引排出する吸引ポンプと、この吸引ポンプによるインクの吸引排出後に記録ヘッドのノズル形成面を清掃するワイピング手段(クリーナ)とを備えている。そして、前記したノズル開口の目詰まり発生および記録ヘッド内への気泡混入を防止するために、吸引ポンプによって記録ヘッドからインクを強制的にキャッピング手段内に吸引排出させた後、クリーナによって記録ヘッドのノズル形成面を払拭(ワイピング)することが行われる。
【0005】このような記録ヘッドの目詰まり解消のため、または記録ヘッド内に気泡が残留している場合になされるインクの強制的な排出処理は、ヘッドクリーニングと呼ばれる。そして、記録装置における長時間の休止後に印刷を再開する場合や、ユーザが印字かすれ等の印字品質不良を認識し、クリーニングスイッチを操作した場合に実行される。
【0006】また、インクジェット式記録装置にあっては、一定時間毎に記録ヘッドのノズル開口からキャッピング手段内にインクを吐出させることにより、ノズル開口の目詰まりを解消させる、いわゆるフラッシング(空吐出)も行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記したインクジェット式記録装置においては、ヘッドクリーニングが各ノズルから常に同一の条件でインクを吸引排出して実行されるため、ヘッドクリーニング時に各ノズルから同一量のインクが吸引排出されていた。この結果、ヘッドクリーニングに多量のインクが消費されるばかりか、多大の時間を要し、コストが嵩むという課題があった。
【0008】本発明は、このような技術的課題を解決するためになされたもので、ヘッドクリーニングに消費されるインクを低減することができるとともに、ヘッドクリーニング時間を短縮することができ、もってコストの低廉化を図ることができるインクジェット式記録装置およびそのヘッドクリーニング方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記した目的を達成するためになされた本発明に係るインクジェット式記録装置は、インク滴を吐出するノズルを有し、印字領域と非印字領域との間を往復可能なインクジェット式の記録ヘッドと、この記録ヘッドの移動経路近傍に配置され、前記ノズルに負圧を加えてインクを吸引排出可能なクリーニング手段と、このクリーニング手段の近傍に配置され、前記ノズルからのインク滴の吐出有無を検出するインク滴吐出有無検出手段と、このインク滴吐出有無検出手段および前記クリーニング手段と前記記録ヘッドを駆動制御するコントローラとを備え、このコントローラは、前記インク滴吐出有無検出手段による検出結果に基づいて前記クリーニング手段によるインク吸引排出動作の実行・停止を判定する判定部と、この判定部による判定結果に基づいて前記インク吸引排出動作の動作量を調整する調整部とを有することを特徴とする。
【0010】このように構成されているため、インク滴吐出有無検出手段によってノズルからインク滴の吐出が検出されると、コントローラの判定部によってクリーニング手段によるインク吸引排出動作が停止される。一方、インク滴吐出有無検出手段によってノズルからのインク滴の吐出が検出されないと、コントローラの判定部によってクリーニング手段によるインク吸引排出動作が実行される。この場合、インク吸引排出動作の動作量の調整が図られ、数少ないインク吸引排出動作によってノズル不良が改善される。したがって、全体としてのインク吸引量を少なくすることができるため、ヘッドクリーニングにおけるインク消費量を低減することができるとともに、ヘッドクリーニング時間を短縮することができ、コストの低廉化を図ることができる。
【0011】ここで、前記コントローラに、前記クリーニング手段のインク吸引排出動作に関するデータを保存する保存部が含まれていることが望ましい。なお、インク吸引排出動作に関するデータとは、インク吸引排出動作におけるクリーニング手段の動作量(例えばインク吸引量およびインク吸引速度)と吐出不良のノズル数との関係を示したデータのことをいう。このように構成されているため、コントローラの保存部によってインク吸引排出動作に関するデータが保存され、このデータに基づいてインク吸引排出動作における動作量の調整が行われる。
【0012】また、インクジェット式記録ヘッドのノズルに負圧を加えてインクを吸引排出する第一工程と、この第一工程後に前記ノズルからのインク滴の吐出有無を検出する第二工程とを備え、前記両工程を繰り返して実施するインクジェット式記録装置のヘッドクリーニング方法であって、二回目以降の前記第一工程におけるインク吸引排出動作を、前記第二工程の検出結果に基づいて実行・停止し、このインク吸引排出動作を実行する場合にはその動作量を調整することを特徴とする。
【0013】このような方法によると、ノズルからインク滴の吐出が検出されると、インク吸引排出動作が停止される。一方、ノズルからのインク滴の吐出が検出されないと、インク吸引排出動作が実行される。この場合、インク吸引排出動作の動作量の調整が図られ、数少ないインク吸引排出動作によってノズル不良が改善される。したがって、全体としてのインク吸引量を少なくすることができるため、ヘッドクリーニングにおけるインク消費量を低減することができるとともに、ヘッドクリーニング時間を短縮することができ、コストの低廉化を図ることができる。
【0014】さらに、インクジェット式記録ヘッドにおけるノズルからのインク滴の吐出有無を検出する第一工程と、この第一工程においてインク滴の吐出が検出されないノズルを含むノズル群に負圧を加えてインクを吸引排出する第二工程とを備え、前記両工程を繰り返して実施するインクジェット式記録装置のヘッドクリーニング方法であって、前記第二工程におけるインク吸引排出動作を前記第一工程の検出結果に基づいて実行・停止することを特徴とする。
【0015】このような方法によると、全てのノズルからインク滴の吐出が検出されると、インク吸引排出動作が停止される。一方、特定のノズルからのインク滴の吐出が検出されないと、そのノズルを含むノズル群のインク吸引排出動作が実行される。したがって、ヘッドクリーニングにおけるインク消費量を低減することができるとともに、ヘッドクリーニング時間を短縮することができ、コストの低廉化を図ることができる。
【0016】ここで、前記インク吸引排出動作の動作量が、前記クリーニング手段による先回の検査結果に基づいて調整されることが望ましい。このような方法によると、クリーニング手段による先回の検査結果に基づいてその動作量を調整してクリーニング効果を確実に得ることができる。そして、前記動作量の調整がインク吸引量の増減および/またはインク吸引速度の昇降によって実行されることが望ましい。このような方法によると、インク吸引量の増減および/またはインク吸引速度の昇降によって効果的なクリーニングを実行することができる。
【0017】さらに、前記第二工程におけるインク滴の吐出有無検出が所定の回数実行された場合にエラー表示することが望ましい。このような方法によると、エラー表示からユーザにメンテナンスが必要であることを警告することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るインクジェット式記録装置につき、図に示す実施の形態に基づいて説明する。図1は、本発明が適用されたインクジェット式記録装置の全体構成を概略して示す斜視図である。同図において、符号20で示す記録装置は、用紙スタッカ22と、図示しないステップモータで駆動される紙送りローラ24と、プラテン板26と、キャリッジ28と、ステップモータ30と、ステップモータ30によって駆動される牽引ベルト32と、キャリッジ28のためのガイドレール34とを備えている。キャリッジ28には、多数のノズルを備えた記録ヘッド36が搭載されている。
【0019】印刷用紙Pは、用紙スタッカ22から紙送りローラ24によって巻き取られ、プラテン板26の表面上を副走査方向へ送られる。キャリッジ28は、牽引ベルト32に牽引され、ガイドレール34に沿って主走査方向に移動する。主走査方向は、副走査方向に垂直である。なお、記録ヘッド36による印刷は、主走査においてプラテン26上の印刷用紙Pに対して行われるが、この印刷が行われるプラテン板26上の領域を「印刷領域」と呼ぶ。
【0020】図2は、インク滴の吐出有無検出(以下、「ドット抜け検査」と称する場合がある)が行われる検査領域の近傍における記録装置の構成を説明するために示す平面図である。印刷領域の外側(図1において右側)のガイドレール34下方には、インク滴吐出有無検出手段(以下、「ドット抜け検査部」と称する)40および廃インク受け46とクリーニング手段200とが設けられている。なお、図1および図2においては、クリーニング手段200はヘッドキャップ210およびワイピング部材211のみを示し、他の構成(例えば吸引ポンプ)は省略している。記録ヘッド36がガイドレール34に沿って主走査方向に移動する行路のうち、ドット抜け検査部40および廃インク受け46とヘッドキャップ210とが設けられている領域を、上記「印刷領域」に対して「調整領域」と呼ぶ。
【0021】ドット抜け検査部40は、発光部40aおよび受光部40bを備えており、これら受・発光部40a,40bを利用してインク滴の飛行状態を調べることによりドット抜けを検査する。ドット抜け検査40による検査の詳細な内容については後述する。
【0022】廃インク受け46は、ドット抜け検査の際にノズルから吐出されるインク滴を受ける容器である。この廃インク受け46の底部には、インク滴はね防止のためのフェルトが敷かれている。また、記録ヘッド36のノズルについては、インク増粘による吐出不良の防止のために所定の時間間隔をおいてノズルからインク滴を吐出するフラッシングが行われるが、このフラッシングも廃インク受け46上で行われる。その際に吐出されるインク滴も廃インク受け46が受ける。なお、廃インク受け46上の領域でインク滴の吐出検査を行うことから、記録ヘッド36における主走査方向の移動範囲のうち廃インク受け46上の領域を「検査領域」と呼ぶ。
【0023】ヘッドキャップ210は、気密性のあるキャップであり、印刷をしないときに記録ヘッド36に被せてノズル内のインクの乾燥を防止するものである。また、ノズルが詰まった場合にも記録ヘッド36にヘッドキャップ210を被せ、後述するヘッドクリーニング(以下、単に「クリーニング」と称する)処理を実行する。なお、ヘッドキャップ210上の領域でクリーニングを行うことから、記録ヘッド36における主走査方向の移動範囲のうちヘッドキャップ210上の領域を「クリーニング領域」と呼ぶ。
【0024】図3は、記録装置20の電気的な構成を説明するために示すブロック図である。記録装置20は、ホストコンピュータ100から供給された信号を受信する受信バッファメモリ50と、印刷データを格納するイメージバッファ52と、システムコントローラ54と、メインメモリ56と、タイマ58とを備えている。
【0025】システムコントローラ54は、図4に示すように、記録装置20全体の動作を制御する制御部54aと、ドット抜け検査部40による検出結果に基づいてクリーニング手段200(吸引ポンプ)によるインク吸引排出動作の実行・停止を判定する判定部54bと、この判定部54bの判定結果に基づいて(「実行」を判定した場合)インク吸引排出動作の動作量を調整する調整部54cとを有している。さらに、クリーニング手段200によるインク吸引排出動作に関するデータを保存する保存部54dを有している。この保存部54dに保存されたデータに基づき、インク吸引排出動作の動作量が調整部54cによって調整される。
【0026】そして、システムコントーラ54には、キャリッジモータ30を駆動する主走査駆動ドライバ61と、紙送りモータ31を駆動する副走査駆動ドライバ62と、ドット抜け検査部40を駆動する検査部ドライバ63と、記録ヘッド36を駆動するヘッド駆動ドライブ66とが接続されている。
【0027】ホストコンピュータ100のプリンタドライバ(図示せず)は、ユーザの指定した印刷モード(高速印刷モード,高画質印刷モード等)に基づいて、印刷動作を規定する各種のパラメータ値を決定する。さらに、このプリンタドライバは、各種のパラメータ値に基づき、その印刷モードで印刷を行うための印刷データを生成して記録装置20に転送する。この転送された印刷データは、一旦受信バッファメモリ50に蓄えられる。記録装置20内では、受信バッファメモリ50から印刷データの中から必要な情報をシステムコントローラ54が読み取り、これに基づいて各ドライバに対し制御信号を送る。
【0028】イメージバッファ52には、受信バッファメモリ50で受信された印刷データを色成分毎に分解して得られた複数の色成分の印刷データが格納される。ヘッド駆動ドライバ66は、システムコントローラ54からの制御信号にしたがってイメージバッファ52から各色成分の印刷データを読み出し、これに応じて記録ヘッド36に設けられた各色のノズルアレイを駆動する。
【0029】次に、クリーニング処理について説明する。図5は、クリーニング手段200の構成の概略を示す斜視図である。クリーニング手段200は、ヘッドキャップ210およびワイピング手段211とホース220とポンプローラ230とを備えている。このクリーニング手段200は、図1の廃インク受け46を挟んでプラテン板26の反対側に設けられている。なお、図1において、ヘッドキャップ210およびワイピング部材211以外のクリーニング手段200の構成については、図示を省略している。
【0030】ヘッドキャップ210の箱体212の上面にはゴム枠214が設けられている。クリーニングを行う場合には、クリーニング時に記録ヘッド36が主走査方向のクリーニング領域(図2)に移動すると、ワイピング部材211が記録ヘッド36の移動軌跡上に進入して記録ヘッド36のノズル形成面を払拭し、ノズル形成面に付着した紙粉・塵埃を除去する。その後、ヘッドキャップ210が上昇して記録ヘッド36の下面にゴム枠214が密着する。この結果、記録ヘッド36の下面とヘッドキャップ210とによって閉空間が形成される。
【0031】ポンプローラ230は、その周縁部の近傍に二つの小ローラ232,234を有している。これら両ローラ232,234の周囲一部にはチューブ220が巻回されている。紙送りモータ31(図1)に駆動されてポンプローラ230が矢印A方向に回転すると、小ローラ232,234によってホース220内の空気が押され、これによりヘッドキャップ210内の閉空間が排気される。この結果、記録ヘッド36の各ノズルからインクが吸引され、ホース220を介して図示しない廃インク排出部に排出される。また、ノズル先端に存在するインクが排出されると、インクカートリッジ側から新しいインクがノズルに供給される。
【0032】次に、インク滴の吐出有無検出(ドット抜け検査)について説明する。図6は、ドット抜け検査部40の構成およびその検査方法の原理を説明するために示す下面図である。この図は、記録ヘッド36の下面側から見たもので、記録ヘッド36の六色分のノズルアレイと、第一のドット抜け検査部40を構成する発光部40aおよび受光部40bとが描かれている。
【0033】記録ヘッド36の下面には、ブラックインクを吐出するためのブラックインクノズル群KDと、濃シアンインクを吐出するための濃シアンインクノズル群CDと、淡シアンインクを吐出するための淡シアンインクノズル群CLとが形成されている。さらに、濃マゼンタインクを吐出するための濃マゼンタインクノズル群MDと、淡マゼンタインクを吐出するための淡マゼンタインクノズル群MLと、濃イエローインクを吐出するためのイエローインクノズル群YDとが形成されている。なお、各ノズル群を示す符号における左側のローマ字(大文字)はインク色を意味している。また、右側のローマ字(大文字)「D」は濃度が比較的高いインクであることを、「L」は濃度が比較的低いインクであることをそれぞれ意味している。
【0034】各ノズル群における複数のノズルは副走査方向SSに沿ってそれぞれ整列している。印刷時には、キャリッジ28(図1)と共に記録ヘッド36が主走査方向MSに移動しつつ、各ノズルからインク滴が吐出される。発光部40aは、外径が約1mm以下の光束Lを射出するレーザである。このレーザ光Lは、図6に示すように、副走査方向SSに若干傾いた方向に射出され、受光部40bで受光される。
【0035】次に、ドット抜け検査の原理について説明する。図7は、図6を拡大して示す下面図である。ドット抜け検査は、検査領域(図2)で記録ヘッド36が廃インク受け46上に位置する状態で行う。ドット抜けの際には、先ず図6の矢印ARで示されている方向に記録ヘッド36を一定速度で移動させ、濃イエローYDのノズル群から順にレーザ光Lに近づいていく。このとき、レーザ光Lは、図7に示すように、記録ヘッド36が送られるにつれて、濃イエローYDのノズル群の後端からノズル#48,#47,#46,…の順に各ノズルの下方を(相対的に)横切ることとなる。なおここでは、記録ヘッド36の一色分のノズル群がそれぞれ48個のノズル#1〜#48を有しているものと仮定している。
【0036】そして、濃イエローYDのノズル群の前端に位置するノズル#1をレーザ光Lが横切ると、次には淡マゼンタインクノズル群MLのノズル群の後端からノズル#48,#47,#46,…の順に各ノズルの下方を横切る。同様にして、ブラックインクノズル群KDの前端のノズル#1に至るまで、各ノズルの下方を一つずつ(相対的に)横切ることとなる。レーザ光Lが各ノズルの真下を横切る時に、インク滴がレーザ光Lを横切るようなタイミングを含む前後一定の時間、インク滴の吐出指示が各ノズルに出される。すなわち、インク滴軌跡空間とレーザ光のインク検知空間とが交差するときに、インク滴が両者の共有空間を通過するように、その前後も含めてインク滴の吐出指示が出されるものである。
【0037】ここで、レーザ光Lの「インク滴検知空間」とは、「レーザ光Lの光路のうちインク滴を検出できる程度のビーム強度を有する空間」のことである。なお、本明細書では、簡単のために「レーザ光Lのインク滴検知空間」を単に「レーザ光L」と書くことがある。図においても単に「L」と表記する。本実施形態では光にレーザ光を用いているが、レーザ光以外の光を用いる場合においても、「インク滴検知空間」は、「発光部が発する光の光路のうち光の強度が所定値以上である空間」と定めることができる。
【0038】また、「インク滴軌跡空間」とは、「所定の大きさを有するインク滴が、ノズルから吐出されて空間を通過すると想定される軌跡」を意味している。この「インク滴軌跡空間」は予想に基づくものであることから、現実にはインク滴がインク滴軌跡空間からはみ出す場合もある。このような場合には、(予想に基づく)インク滴軌跡空間とレーザ光Lのインク滴検知空間とが交差していても、インク滴が検査部の光を十分に遮らないこともある。しかし、ノズルから正常に、かつ下方の想定した範囲内にインク滴が吐出されれば、吐出されたインク滴は途中でレーザ光Lのインク滴検知空間を遮る。
【0039】このように、インク滴が途中でレーザ光Lのインク滴検知空間を遮ると、受光部40bにおける受光が一時的に中断されるか、または弱くなり、受光される光量が所定の閾値未満となる。この場合には、そのノズルに目詰まりが無いと判断することができる。一方、あるノズルの駆動期間内に受光部40bで受光される光量が所定の閾値以上のときには、そのノズルは目詰まりしている可能性があると判断される。
【0040】したがって、レーザ光Lの「インク滴検知空間」とは、「レーザ光Lの光路のうち、検知対象であるインク滴がその空間にあって自己の投影面積分の光を遮ったとき、それによる光量の低下を受光部40bで検知できるだけの、単位面積当たりの光の強さをもった空間」ということである。
【0041】以上に説明したようにして、ブラックインクノズル群KDの前端のノズル#1がレーザ光Lの上方を通過するまでに全てのノズルについてインク滴の吐出有無検出がなされる。なお、一滴のインクでは、レーザ光Lが遮断されたか否かを確実に検出できない可能性があるため、一つのノズルについて数滴ずつ吐出するようにすることが好ましい。この検査法では、飛行中のインク滴を検出することにより各ノズルの目詰まりの有無(ドット抜けの有無)を検査するため、比較的短時間で検査が終了するという利点がある。
【0042】また、記録ヘッド36の送り方向については、主走査方向のいずれの向きに送ることとしても、同様の検査を実現することができる。そしてここでは、記録ヘッド36がキャリッジ28(図1)上で牽引ベルト32に牽引されて主走査方向に送られるものとするが、独立に検査用のヘッド走査駆動装置を備えるものとしてもよい。すなわち、記録装置は、ノズルと検査部の少なくとも一方を移動させることにより、両者の相対位置を変えさせる送り機構を備えていればよい。印刷においてヘッドの主走査を行う装置と検査において走査を行う装置とを同一の機構で兼用すれば、装置を小型化できる。一方、検査において走査を行う装置を独立に有するものとすれば、位置の精度が高いなどの検査の目的に沿った最適な装置を備えることができる。
【0043】次に、クリーニング処理手順につき、図8を用いて説明する。図8は、クリーニング処理の全体を説明するために示すフローチャートである。システムコントローラ54は、長時間の休止後に印刷を再開する場合やクリーニングスイッチ(図示せず)を操作した場合に、図8に示す処理を開始する。すなわち、ステップS1で記録ヘッド36を印刷領域から調整領域のクリーニング領域に送ると、前記したクリーニング処理がなされる。クリーニング処理後、記録ヘッド36をクリーニング領域から検査領域に送る。
【0044】そして、ステップS2で廃インク受け46上の検査領域(図2)において、各ノズルのインク滴の吐出有無検査を行う。ステップS3では、インク滴の吐出有無検査の結果、ドット抜け(インクを吐出しないノズル)が検出されたか否かを判定する。
【0045】ステップS3でドット抜けが検出された場合(ステップS3のYES)にはステップS4に進み、クリーニング領域(図2)においてノズルのクリーニング(インク吸引排出動作)を行う。ここで、ドット抜けノズル数が例えばA1個検出されると、ステップS4aに進む。また、ドット抜けノズル数が例えばA2個(全ノズル数>A2>A1)検出されると、ステップS4bに進む。なお、動作量X2は動作量X1と比べて大きい(X1<X2)動作量とされる。一方、ステップS3でドット抜けが検出されなかった場合(ステップS3のNO)にはクリーニング処理を終了する。
【0046】次に、インク滴の吐出有無検査を行い(ステップS5)、ドット抜けが検出されたか否かを判定する(ステップS6)。そして、再びドット抜けが検出された場合(ステップS6のYES)にはステップS7に進み、クリーニング領域(図2)においてノズルのクリーニング(インク吸引排出動作)を行う。ここで、ドット抜けノズル数が例えばB1(A1>B1)個検出されると、ステップS7aに進む。また、ドット抜けノズル数が例えばB2(A1>B2>B1)個検出されると、ステップS7bに進む。
【0047】なお、動作量Y1,Y2は、前回の動作量X1,X2より大きい(Y1,Y2>X1,X2)動作量とすることが望ましい。但し、ステップS2の吐出有無検査結果に対してステップS5の吐出検査結果で著しいドット抜けの低減が確認された場合には、動作量Y1,Y2を動作量X1,X2と同等もしくはそれ以下に設定すること(Y1,Y2≦X1,X2)が可能である。また、動作量Y2は動作量Y1と比べて大きい(Y1<Y2)動作量とされる。一方、ステップS6でドット抜けが検出されなかった場合(ステップS6のNO)にはクリーニング処理を終了する。
【0048】このようなクリーニングを予め設定されたN回(実施形態では二回)繰り返した後、インク滴の吐出有無検査を行い(ステップS8)、ドット抜けが検出された否かを判定する(ステップS9)。そして、再びドット抜けが検出された場合(ステップS9のYES)には、クリーニング処理を行わず、エラー表示を行い(ステップS10)、ユーザにメンテナンスが必要であることを警告する。すなわち、インク吸引排出動作およびインク吐出有無検査が繰り返して(例えば5回)行われても、ドット抜けが検出された場合にはユーザにメンテナンスが必要であることを警告する。一方、ステップS9において、ドット抜けが検出されなかった場合(ステップS9のNO)には、クリーニング処理を終了する。
【0049】このように、本実施形態においては、予め設定されたX1,X2で吸引排出動作を行い、この吸引排出動作でドット抜けが改善されない場合に、さらに動作量の大きいY1,Y2で吸引排出動作を行い、そのインク吸引排出回数を少なくすることができる。
【0050】次に、他のクリーニング処理手順(1)につき、図9および図10を用いて説明する。図9は、クリーニング処理の全体を説明するために示すフローチャートである。図10は、クリーニング処理におけるインク吸引排出動作を説明するために示すフローチャートである。システムコントローラ54は、長時間の休止後に印刷を再開する場合やクリーニングスイッチ(図示せず)を操作した場合に、図9に示す処理を開始する。すなわち、ステップS11で記録ヘッド36を印刷領域から調整領域のクリーニング領域に送ると、前記したクリーニング処理がなされる。クリーニング処理後、記録ヘッド36をクリーニング領域から検査領域に送る。
【0051】そして、ステップS12で廃インク受け46上の検査領域(図2)において、各ノズルのインク滴の吐出有無検査を行う。ステップS13では、インク滴の吐出有無検査の結果、ドット抜け(インクを吐出しないノズル)が検出されたか否かを判定する。
【0052】ステップS13でドット抜けが検出された場合(ステップS13のYES)にはステップS14に進み、クリーニング領域(図2)においてノズルのクリーニング(インク吸引排出動作)を行う。なお、動作量Z1,Z2(Z2>Z1)は、インク吸引排出動作に関する先回の検査データ(インク吸引排出動作開始時の初期動作量については予め設定された動作量)に基づいて設定される。
【0053】ここで、動作量Z1で連続してドット抜けが発生しなかったことを示す検査データ(例えば、動作量Z1で連続して二回ドット抜けが発生しなかった検査データ)である場合には、図10に示すようにステップS14aに進む。また、動作量Z1ではドット抜けが発生したが、動作量Z2ではドット抜けが発生しなかったことを示す検査データである場合には、図10に示すようにステップS14bに進む。すなわち、先回の動作量および検査データが記憶され、それに基づいてインク吸引排出動作が選択される。このように、インク吸引排出動作における動作量は大きくしたり、あるいは小さくしたりして(インク吸引量にあっては増減することにより、またインク吸引速度にあっては昇降することにより)その調整が行われる。
【0054】その後、インク滴の吐出有無検査を行い(ステップS15)、ドット抜けが検出されたか否かを判定する(ステップS16)。そして、再びドット抜けが検出された場合(ステップS16のYES)にはその検査回数nが判断される(ステップS17)。ここで、所定回数k(k≧n)を越えてない場合(ステップS17のYES)には、再びステップS14に戻り、上記動作を繰り返す。一方、ステップS16において、ドット抜けが検出されなかった場合(ステップS16のNO)には、クリーニング処理を終了する。
【0055】なお、ステップS17において、インク吐出有無の検査回数nが所定回数k(k<n)を越えている場合(ステップS17のNO)にはクリーニング処理を行わず、エラー表示を行い(ステップS18)、ユーザにメンテナンスが必要であることを警告する。すなわち、インク吸引排出動作およびインク吐出有無検出が繰り返して(例えば5回)行われても、ドット抜けが検出された場合にはユーザにメンテナンスが必要であることを警告する。
【0056】このように、本実施形態においては、先回の検査データに基づいてインク吸引排出動作がその動作量を調整して実行されるため、前記した実施形態と同様に、クリーニングにおけるインク消費量を低減することができるとともに、クリーニング時間を短縮することができ、コストの低廉化を図ることができる。
【0057】次に、他のクリーニング処理手順(2)につき、図11を用いて説明する。図11は、他のクリーニング処理の全体を説明するために示すフローチャートである。本処理手順は、図9に示した処理手順とは異なり、クリーニング処理(図9のステップS11)を経ることなく第一回目のドット抜け検査が行われる。なお、本クリーニング処理を実行する記録装置には、例えばノズル群を色種毎に独立して吸引可能なクリーニング手段が備えられているものとする。システムコントローラ54は、長時間の休止後に印刷を再開する場合やクリーニングスイッチ(図示せず)を操作した場合に、図11に示す処理を開始する。すなわち、ステップS21で記録ヘッド36を印刷領域から検査領域に送る。
【0058】そして、ステップS21で廃インク受け46上の検査領域(図2)において、各ノズルのインク滴の吐出有無検査を行う。ステップS22では、インク滴の吐出有無検査の結果、ドット抜け(インクを吐出しないノズル)が検出されたか否かを判定する。
【0059】ステップS22でドット抜けが検出された場合(ステップS22のYES)にはステップS23に進み、クリーニング領域(図2)においてノズルのクリーニング(インク吸引排出動作)を行う。この場合、インク吸引排出動作が色種の異なるノズル群毎に可能であるため、これらクリーニングが特定のノズル群に対して実行される。ここで、ステップS23において、インク吸引排出動作の動作量を、図9および図10に示した実施形態と同様に、インク吸引排出動作に関する先回の検査データに基づいて調整してもよい。一方、ステップS22でドット抜けが検出されなかった場合(ステップS22のNO)にはクリーニング処理を終了する。
【0060】その後、インク滴の吐出有無検査を行い(ステップS24)、ドット抜けが検出されたか否かを判定する(ステップS25)。そして、再びドット抜けが検出された場合(ステップS25のYES)には、その吐出有無回数が判断される(ステップS26)。この場合、所定回数を越えてない場合(ステップS26のYES)には、再びステップS23に戻り、上記動作を繰り返す。一方、ステップS25において、ドット抜けが検出されなかった場合(ステップS25のNO)には、クリーニング処理を終了する。
【0061】なお、ステップS26において、インク吐出有無の検査回数が所定回数を越えている場合(ステップS26のNO)にはエラー表示を行い(ステップS27)、ユーザにメンテナンスが必要であることを警告する。すなわち、インク吸引排出動作およびインク吐出有無検出が繰り返して(例えば5回)行われても、ドット抜けが検出された場合にはユーザにメンテナンスが必要であることを警告する。
【0062】このように、本実施形態においては、クリーニング時にインク滴の吐出が検出されなかったノズルを含むノズル群についてのみ吸引排出がなされるため、クリーニングが不要なノズルから吐出されるインクの消費量を低減することができる。また、本実施形態においては、インク吸引排出動作がその動作量を調整して実行されるため、クリーニングにおけるインク消費量を低減することができるとともに、クリーニング時間を短縮することができ、コストの低廉化を図ることができる。
【0063】なお、各実施形態においては、インク吐出有無の検査回数が所定回数を越えると、エラー表示を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、インクカートリッジの交換によってノズル不良が改善する場合もあるため、エラー表示の代わりにインク切れ表示としてもよい。
【0064】
【発明の効果】以上の説明で明らかなとおり、本発明に係るインクジェット式記録装置およびそのヘッドクリーニング方法によると、ヘッドクリーニングに消費されるインクを低減することができるとともに、ヘッドクリーニング時間を短縮することができ、コストの低廉化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたインクジェット式記録装置の全体構成を概略して示す斜視図である。
【図2】インク滴の吐出有無検出が行われる検出領域の近傍における記録装置の構成を説明するために示す平面図である。
【図3】記録装置の電気的な構成を説明するために示すブロック図である。
【図4】システムコントローラを示すブロック図である。
【図5】クリーニング手段の構成を概略して示す斜視図である。
【図6】ドット抜け検査部の構成およびその検査方法の原理を説明するために示す下面図である。
【図7】図6の一部を拡大して示す下面図である。
【図8】クリーニング処理の全体を説明するために示すフローチャートである。
【図9】他のクリーニング処理(1)の全体を説明するために示すフローチャートである。
【図10】図9のインク吸引排出動作を説明するために示すフローチャートである。
【図11】他のクリーニング処理(2)の全体を説明するために示すフローチャートである。
【符号の説明】
20 記録装置
22 用紙スタッカ
24 紙送りローラ
26 プラテン
28 キャリッジ
30 キャリッジモータ
31 紙送りモータ
32 牽引ベルト
34 ガイドレール
36 記録ヘッド
40 ドット抜け検査部
46 廃インク受け
50 受信バッファメモリ
52 イメージバッファ
54 システムコントローラ
54a 制御部
54b 判定部
54c 調整部
54d 保存部
56 メインメモリ
58 タイマ
61 主走査駆動ドライバ
62 副走査駆動ドライバ
63 検査部ドライバ
66 ヘッド駆動ドライバ
80 インク通路
100 ホストコンピュータ
210 ヘッドキャップ
211 ワイピング部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】 インク滴を吐出するノズルを有し、印字領域と非印字領域との間を往復可能なインクジェット式の記録ヘッドと、この記録ヘッドの移動経路近傍に配置され、前記ノズルに負圧を加えてインクを吸引排出可能なクリーニング手段と、このクリーニング手段の近傍に配置され、前記ノズルからのインク滴の吐出有無を検出するインク滴吐出有無検出手段と、このインク滴吐出有無検出手段および前記クリーニング手段と前記記録ヘッドを駆動制御するコントローラとを備え、このコントローラは、前記インク滴吐出有無検出手段による検出結果に基づいて前記クリーニング手段によるインク吸引排出動作の実行・停止を判定する判定部と、この判定部による判定結果に基づいて前記インク吸引排出動作の動作量を調整する調整部とを有することを特徴とするインクジェット式記録装置。
【請求項2】 前記コントローラに、前記クリーニング手段のインク吸引排出動作に関するデータを保存する保存部が含まれていることを特徴とする請求項1に記載されたインクジェット式記録装置。
【請求項3】 インクジェット式記録ヘッドのノズルに負圧を加えてインクを吸引排出する第一工程と、この第一工程後に前記ノズルからのインク滴の吐出有無を検出する第二工程とを備え、前記両工程を繰り返して実施するインクジェット式記録装置のヘッドクリーニング方法であって、二回目以降の前記第一工程におけるインク吸引排出動作を、前記第二工程の検出結果に基づいて実行・停止し、このインク吸引排出動作を実行する場合にはその動作量を調整することを特徴とするインクジェット式記録装置のヘッドクリーニング方法。
【請求項4】 インクジェット式記録ヘッドにおけるノズルからのインク滴の吐出有無を検出する第一工程と、この第一工程においてインク滴の吐出が検出されないノズルを含むノズル群に負圧を加えてインクを吸引排出する第二工程とを備え、前記両工程を繰り返して実施するインクジェット式記録装置のヘッドクリーニング方法であって、前記第二工程におけるインク吸引排出動作を前記第一工程の検出結果に基づいて実行・停止することを特徴とするインクジェット式記録装置のヘッドクリーニング方法。
【請求項5】 前記インク吸引排出動作の動作量が、前記クリーニング手段による先回の検査結果に基づいて調整されることを特徴とする請求項3または請求項4に記載されたインクジェット式記録装置のヘッドクリーニング方法。
【請求項6】 前記動作量の調整が、インク吸引量を増減することにより実行されることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかに記載されたインクジェット式記録装置のヘッドクリーニング方法。
【請求項7】 前記動作量の調整が、インク吸引速度を昇降することにより実行されることを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれかに記載されたインクジェット式記録装置のヘッドクリーニング方法。
【請求項8】 前記第二工程におけるインク滴の吐出有無検査回数が所定の回数実行された場合にエラー表示することを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれかに記載されたインクジェット式記録装置のヘッドクリーニング方法。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図7】
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【図3】
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【図4】
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【図10】
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【図11】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2003−251829(P2003−251829A)
【公開日】平成15年9月9日(2003.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−53814(P2002−53814)
【出願日】平成14年2月28日(2002.2.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】